ところで、給湯機能や追い焚き機能に加えて温水循環式の暖房機能を備えた複合型に構成された複合熱源機が知られている。このような複合熱源機では、給湯用熱交換器と暖房用熱交換器とを燃焼バーナで加熱するようにし、暖房用熱交換器で加熱された熱媒を外部の暖房用端末に対し熱源として循環供給すると同時に、追い焚き加熱のための液−液熱交換式の追い焚き用熱交換器に対し熱源として循環供給するように2缶3水路式に構成されている。つまり、追い焚き用熱交換器が、燃焼バーナにより直接に加熱されるのではなくて、その燃焼バーナにより加熱されて循環供給される暖房用循環熱媒を熱源として間接加熱されるという構成となっている。
このような2缶3水路式に構成された複合熱源機を対象にして、追い焚き用熱交換器を通る浴槽内の循環湯水の循環流量を検出するために、前記特許文献1で提案した技術を適用しようとしても、迅速かつ正確な循環流量を検出することができないという不都合が生じる。その理由は、燃焼バーナによる直接的な追い焚き加熱であれば、その燃焼バーナの燃焼作動を停止させれば追い焚き加熱は即座に停止し、追い焚き用熱交換器内を通過する循環湯水の温度は例えば図8に示すように急激に降下することになる。前記の特許文献1で提案の技術は、このような昇温から降下に急変する急激な温度降下を利用して、所定の温度差ΔT分だけ降下するために要した降下時間値(例えばΔτ1又はΔτ2)を検出することで循環流量の値を迅速かつ正確に得るようにしたものである。しかしながら、前記の2缶3水路式の場合の追い焚き用熱交換器は、暖房用熱源として循環供給される熱媒を熱源とした液−液熱交換による間接加熱であるため、その暖房用熱源を加熱するための燃焼バーナを燃焼停止にしたとしても、既に加熱された熱媒が配管を通して追い焚き用熱交換器に循環供給されるため、追い焚き用熱交換器に対する熱供給は停止されず、又、その供給される熱入力も暖房側の循環流量に依存するため、未知のものとなる。さらに、追い焚き用熱交換器に対する熱媒の循環供給をたとえ遮断することができたとしても、その遮断時点からしばらくは、追い焚き用熱交換器内は熱源である熱媒が充満した状態に維持され、その熱媒から循環湯水への熱伝達が継続されることになる。このため、前記の1缶2水路式の如き昇温から降下への変換点自体も明確には表れず、又、急激な温度降下も生じず、前記特許文献1で提案の技術をそのまま適用しても循環流量の迅速かつ正確な検出を得ることはできない。
なお、前記の浴槽内の湯水を追い焚き加熱するための追い焚き循環路において、例えば通常の水車式の流量センサ等の循環流量を直接に検出し得る機器を設置するのではなくて、制御により把握・検出しようとしているのは、単なるコスト上の事情ではなくて、次のような背景事情があるからである。すなわち、追い焚き循環路に循環される流体は浴槽湯水であり、その浴槽湯水には毛髪等の混入が予想されるため、このような毛髪等による詰まり発生のおそれにより、流量センサを設置して循環流量を直接に検出することは現実にはできない。又、追い焚き循環回路に設置されている循環ポンプの定格の吐出流量が既知であったとしても、開放水面をもつ浴槽と、熱交換器とを結ぶ追い焚き循環回路における循環流量は循環ポンプの吐出流量とは合致せず、循環ポンプの吐出流量によって循環流量を把握することもできない。さらに、追い焚き循環路の循環流量を把握する意義としては、特に浴槽内に残り湯がある場合にはその残り湯量の把握処理のために時間を要し、その結果、自動湯張り完了までの時間が長くなってしまうという問題があり、この問題解決のためにも、追い焚き循環回路の循環流量の迅速かつ正確な検出(把握)が特に重要な課題となっている、という事情がある。
又、追い焚き運転のための運転制御と、暖房運転のための運転制御とは、互いに別個の要求やロジックに基づいて実行されるため、追い焚き用熱交換器に対し追い焚き用の熱源として循環供給される暖房用熱源の熱媒の温度が、暖房側の独自の変更制御により急変することがある。この場合、追い焚き用熱交換器において、暖房側の熱媒により液−液熱交換される追い焚き側の浴槽水も、その急変の影響を受けて不安定化することが考えられる。さらに、暖房側の熱媒を加熱するための燃焼部が他の制御系の影響を受けて意図しない変動を生じる場合には、前記の不安定化をより増大させることも考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、循環流体に対する加熱が間接加熱によるものであっても、循環路における循環流量の検出を、流量センサ等の直接的な検出手段を用いずに行うことができ、しかも、その循環流量の検出を正確かつ確実に行うことができる複合熱源機を提供することにある。
前記目的を達成するために、第1の発明では、給湯用に水を燃焼加熱するための給湯用燃焼バーナと、温水暖房用の熱源として暖房循環路に循環供給される熱媒を加熱するための暖房用燃焼バーナと、熱源として前記暖房用燃焼バーナにより加熱された熱媒の循環供給を受ける一方、追い焚き循環路を通して浴槽からの湯水の循環供給を受けて液−液熱交換により前記湯水を追い焚き加熱するための追い焚き用熱交換器と、この追い焚き用熱交換器を通して前記追い焚き循環路に循環される湯水の循環流量を制御上の処理により検出するための循環流量検出処理部とを備え、前記給湯用燃焼バーナと前記暖房用燃焼バーナとは共通の燃料調整弁を介して燃焼供給を受けるように構成され、前記循環流量検出処理部は、前記追い焚き循環路内を湯水が循環している状態に維持しつつ前記暖房循環路を通しての前記追い焚き用熱交換器に対する熱源の循環供給を遮断させた状態で、前記追い焚き用熱交換器を通過して浴槽に向かう前記湯水の往き温度の降下状況に基づいて前記循環流量を検出するように構成されている複合熱源機を対象にして次の技術的手段を講じた。
すなわち、前記循環流量検出処理部として、前記給湯用燃焼バーナ及び暖房用燃焼バーナの内の少なくとも1つの制御状況について監視し、前記循環流量の検出処理を開始する際に、前記追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたときには、前記往き温度が安定するのに要するものとして予め設定された時間だけ待機した上で、前記循環流量の検出処理を開始する構成とした(請求項1)。
この第1の発明の場合、循環流量の検出処理の開始の際に、もしも、給湯用燃焼バーナ及び暖房用燃焼バーナの内の少なくとも1つの制御状況において、追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたときには、設定時間だけ待機した上で、循環流量の検出処理を開始するようにしているため、たとえ、熱媒温度が急変動して追い焚き循環路内の往き温度が不安定化したとしても、設定時間だけ待機している間に安定化させることが可能となり、その後に開始される循環流量の検出処理を正確にかつ確実に行うことが可能となる。
第1の発明の複合熱源機において、循環流量検出処理部として、給湯用燃焼バーナが暖房用燃焼バーナと同時燃焼状態になった場合における給湯用燃焼バーナの燃焼開始、燃焼能力の切換、又は、燃焼停止のいずれかを含む制御が実行されたとき、熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたものとして、循環流量の検出処理の開始前に設定時間だけ待機する構成とすることができる(請求項2)。もしも、給湯用の燃焼バーナが同時に燃焼作動されてその燃焼開始、燃焼能力切換又は燃焼停止という制御が給湯側で実行されると、その給湯側制御の実行に伴い燃焼調整弁に対する制御も変更される結果、暖房用燃焼バーナの燃焼状態も変動することになる。このため、追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒の温度に急変動がもたらされて、追い焚き用熱交換器を通過する湯水の往き温度も不安定化することになる。そこで、このような制御が実行されれば、循環流量の検出処理の開始を設定時間だけ待機させることにより、請求項1の作用をより具体的かつ確実に得られるようになる。
又、第1の発明の複合熱源機において、循環流量検出処理部として、追い焚き用熱交換器に熱媒が循環供給されている途中で暖房用燃焼バーナについて燃焼能力を切換える制御が実行されたとき、熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたものとして、循環流量の検出処理の開始前に設定時間だけ待機する構成とすることができる(請求項3)。この場合も、暖房用燃焼バーナの燃焼能力を切換える制御が実行されると、この暖房用燃焼バーナにより加熱される熱媒の温度にも急変動がもたらされて、追い焚き用熱交換器を通過する湯水の往き温度も不安定化することになる。そこで、このような制御が実行されれば、循環流量の検出処理の開始を設定時間だけ待機させることにより、請求項1又は請求項2の作用をより具体的かつ確実に得られるようになる。
第2の発明では、温水暖房用の熱源として暖房循環路に循環供給される熱媒を加熱するための暖房用燃焼バーナと、熱源として前記暖房用燃焼バーナにより加熱された熱媒の循環供給を受ける一方、追い焚き循環路を通して浴槽からの湯水の循環供給を受けて液−液熱交換により前記湯水を追い焚き加熱するための追い焚き用熱交換器と、この追い焚き用熱交換器を通して前記追い焚き循環路に循環される湯水の循環流量を制御上の処理により検出するための循環流量検出処理部とを備え、前記循環流量検出処理部は、前記追い焚き循環路内を湯水が循環している状態に維持しつつ前記暖房循環路を通しての前記追い焚き用熱交換器に対する熱源の循環供給を遮断させた状態で、前記追い焚き用熱交換器を通過して浴槽に向かう前記湯水の往き温度の降下状況に基づいて前記循環流量を検出するように構成されている複合熱源機を対象にして次の技術的手段を講じた。すなわち、前記循環流量検出処理部として、前記暖房用燃焼バーナの制御状況について監視し、前記循環流量の検出処理を開始する際に、前記追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたときには、前記往き温度が安定するのに要するものとして予め設定された時間だけ待機した上で、前記循環流量の検出処理を開始する構成とした(請求項4)。
この第2の発明の場合、循環流量の検出処理の開始の際に、もしも、暖房用燃焼バーナの制御状況において、追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたときには、設定時間だけ待機した上で、循環流量の検出処理を開始するようにしているため、たとえ、熱媒温度が急変動して追い焚き循環路内の往き温度が不安定化したとしても、設定時間だけ待機している間に安定化させることが可能となり、その後に開始される循環流量の検出処理を正確にかつ確実に行うことが可能となる。つまり、第1の発明の場合と異なり、給湯回路を備えず、暖房回路と、暖房用熱源である熱媒が追い焚き用熱源として循環供給される追い焚き回路とで構成された複合熱源機における循環流量の検出処理についても、この第2の発明により、正確にかつ確実に行うことが可能となる。
そして、第2の発明の複合熱源機においても、循環流量検出処理部として、追い焚き用熱交換器に前記熱媒が循環供給されている途中で暖房用燃焼バーナについて燃焼能力を切換える制御が実行されたとき、熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたものとして、循環流量の検出処理の開始前に設定時間だけ待機する構成とすることができる(請求項5)。このようにすることにより、暖房用燃焼バーナの燃焼能力を切換える制御が実行されると、この暖房用燃焼バーナにより加熱される熱媒の温度にも急変動がもたらされて、追い焚き用熱交換器を通過する湯水の往き温度も不安定化することになる。そこで、このような制御が実行されれば、循環流量の検出処理の開始を設定時間だけ待機させることにより、請求項4の作用をより具体的かつ確実に得られるようになる。
以上、説明したように、第1の発明の複合熱源機によれば、循環流量の検出処理の開始の際に、もしも、給湯用燃焼バーナ及び暖房用燃焼バーナの内の少なくとも1つの制御状況において、追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたとき、設定時間だけ待機した上で、循環流量の検出処理を開始するようにしているため、たとえ、熱媒温度が急変動して追い焚き循環路内の往き温度が不安定化したとしても、設定時間だけ待機している間に安定化させることができ、その後に開始される循環流量の検出処理を正確にかつ確実に行うことができるようになる。
特に、請求項2の複合熱源機によれば、循環流量検出処理部として、給湯用燃焼バーナが暖房用燃焼バーナと同時燃焼状態になった場合における給湯用燃焼バーナの燃焼開始、燃焼能力の切換、又は、燃焼停止のいずれかを含む制御が実行されたとき、熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたものとして、循環流量の検出処理の開始前に設定時間だけ待機する構成とすることにより、次の効果を得ることができる。すなわち、給湯用の燃焼バーナが同時に燃焼作動されてその燃焼開始、燃焼能力切換又は燃焼停止という制御が給湯側で実行されると、その給湯側制御の実行に伴い燃焼調整弁に対する制御も変更される結果、暖房用燃焼バーナの燃焼状態も変動することになる。このため、追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒の温度に急変動がもたらされて、追い焚き用熱交換器を通過する湯水の往き温度も不安定化することになる。そこで、請求項2の如く、このような制御が実行されれば、循環流量の検出処理の開始を設定時間だけ待機させることにより、請求項1の効果をより具体的かつ確実に得ることができるようになる。
又、請求項3の発明の複合熱源機によれば、循環流量検出処理部として、追い焚き用熱交換器に熱媒が循環供給されている途中で暖房用燃焼バーナについて燃焼能力を切換える制御が実行されたとき、熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたとものとして、循環流量の検出処理の開始前に設定時間だけ待機する構成とすることにより、次の効果を得ることができる。すなわち、暖房用燃焼バーナの燃焼能力を切換える制御が実行されると、この暖房用燃焼バーナにより加熱される熱媒の温度にも急変動がもたらされて、追い焚き用熱交換器を通過する湯水の往き温度も不安定化することになる。そこで、請求項3の如く、このような制御が実行されれば、循環流量の検出処理の開始を設定時間だけ待機させることにより、請求項1の発明による効果をより具体的かつ確実に得ることができるようになる。
第2の発明の複合熱源機によれば、循環流量の検出処理の開始の際に、もしも、暖房用燃焼バーナの制御状況において、追い焚き用熱交換器に循環供給される熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたときには、設定時間だけ待機した上で、循環流量の検出処理を開始するようにしているため、たとえ、熱媒温度が急変動して追い焚き循環路内の往き温度が不安定化したとしても、設定時間だけ待機している間に安定化させることができ、その後に開始される循環流量の検出処理を正確にかつ確実に行うことができるようになる。つまり、第1の発明の場合と異なり、給湯回路を備えず、暖房回路と、暖房用熱源である熱媒が追い焚き用熱源として循環供給される追い焚き回路とで構成された複合熱源機における循環流量の検出処理についても、この第2の発明により、正確にかつ確実に行うことができるようになる。
そして、請求項5の複合熱源機によれば、循環流量検出処理部として、追い焚き用熱交換器に前記熱媒が循環供給されている途中で暖房用燃焼バーナについて燃焼能力を切換える制御が実行されたとき、熱媒温度に急変動をもたらす制御が実行されたものとして、循環流量の検出処理の開始前に設定時間だけ待機する構成とすることにより、次の効果を得ることができる。すなわち、暖房用燃焼バーナの燃焼能力を切換える制御が実行されると、この暖房用燃焼バーナにより加熱される熱媒の温度にも急変動がもたらされて、追い焚き用熱交換器を通過する湯水の往き温度も不安定化することになる。そこで、請求項5の如く、このような制御が実行されれば、循環流量の検出処理の開始を設定時間だけ待機させることにより、請求項4の発明による効果をより具体的かつ確実に得ることができるようになる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る複合熱源機の模式図である。この複合熱源機は、給湯機能、温水循環式の温水暖房機能、ふろの追い焚き機能、注湯機能の各機能を併有する複合型に構成されたものであり、構造的に特に2缶3水路式に構成されたものである。すなわち、給湯回路2と、追い焚き循環回路3と、注湯回路4と、温水式の暖房循環回路5とを備え、追い焚き循環回路3として、液−液熱交換式に構成された追い焚き用熱交換器31により浴槽B内の湯水を追い焚き加熱し、この追い焚き用熱交換器31に対し追い焚き加熱用の熱源として暖房循環回路5から暖房端末61に供給するための高温水(熱媒)が循環供給されるようになっている。なお、図1に例示の複合熱源機は、燃焼加熱部において顕熱に加え燃焼排ガスから潜熱回収を行うことにより高効率化を図る潜熱回収型のものを例示しているが、本発明は、潜熱回収機能を付加した高効率型ではないものでも、実施することができ、本発明による作用効果を得ることができる。又、以下の説明では、暖房循環回路5として、低温用・高温用の複数種類の暖房端末に低温水や高温水を循環供給するもの、等の具体構成を備えた例を示すが、一方の循環路(例えば追い焚き循環回路)に循環される流体(例えば浴槽湯水)に対する加熱が、他方の循環路(例えば暖房循環回路)から循環供給される熱媒(例えば高温水)を熱源として液−液熱交換式の間接加熱により行われるものであれば、これら以外の構成を備えたものでもよく、本発明の適用上、限定されるものではない。
給湯回路2は、給湯用熱源機21と、この給湯用熱源機21に対し水道水等の給水を入水させる入水路22と、給湯用熱源機21で熱交換加熱された湯が出湯される出湯路23とを備えている。給湯用熱源機21は燃焼バーナ24の燃焼に伴う顕熱により主加熱する一次熱交換器25と、燃焼排ガスから潜熱を回収して予熱する二次熱交換器26とを備え、入水をまず二次熱交換器26に通して予熱した上で、一次熱交換器25に通すようになっている。出湯路23の途中には入水路22から分岐された混水用のバイパス路27が合流されており、一次熱交換器25からの出湯に対し混水弁27aの開度調整により入水路22からの水を所定量混水して設定給湯温度に温調した上で給湯栓28等に給湯されるようになっている。入水路22には入水流量を検出する入水流量センサ22aと、入水温度を検出する入水温度センサ22bとが設けられ、バイパス路27の合流点よりも下流側位置の出湯路23には給湯栓28への給湯流量を調整する流量調整弁23aと、出湯温度を検出する出湯温度センサ23bとが設けられている。そして、出湯路23から注湯回路4の注湯路41の上流端が分岐され、下流端が前記追い焚き循環回路3の戻り流路32aに対し合流点Mで接続され、出湯路23の湯が注湯路41及び戻り流路32aを通して浴槽Bに注湯可能とされている。
追い焚き循環回路3は、液−液熱交換式の追い焚き用熱交換器31が追い焚き循環路32に介装されたものである。この追い焚き循環路32は、戻り流路32a及び往き流路32bにより構成されたものである。そして、追い焚き用の循環ポンプ33の作動により浴槽Bからふろ戻り流路32aを通して取り出された浴槽B内の湯水が追い焚き用熱交換器31に流入され、この追い焚き用熱交換器31内において後述の熱源との液−液熱交換により追い焚き加熱され、追い焚き加熱後の湯水が往き流路32bを通して浴槽Bに送られるというように循環されるようになっている。戻り流路32aには循環ポンプ33の他に浴槽B内の水位を検出する圧力式の水位検出センサ30と、循環流の通過によりフラップが開いて循環判定のON指令を出力する水流スイッチ34と、浴槽Bからの湯水の温度(浴槽B内の湯水温度と同等;戻り温度)を検出する戻り温度センサ35とが設けられ、往き流路32bには追い焚き用熱交換器31の下流側位置に追い焚き加熱後の湯水の温度(往き温度)を検出する往き温度センサ36が設けられている。追い焚き用熱交換器31には熱源を循環供給するための熱源循環路37が接続され、この熱源循環路37に介装されたふろ熱動弁38を開閉切換することで、熱源を循環供給させたりその循環供給を停止させたりというように切換して、追い焚き加熱のON・OFF切換が行われるようになっている。熱源循環路37やふろ熱動弁38は、後述の暖房循環回路5の温水循環路55の一部を構成している。
注湯回路4は、前記の注湯路41と、この注湯路41に介装された注湯弁42とを備えたものである。注湯路41には、注湯弁42の他に、注湯流量を検出する注湯流量センサ43や、一対の逆止弁44等が介装されている。前記注湯弁42がコントローラ7により開閉制御され、注湯の実行により出湯路23の湯が注湯路41,追い焚き循環路32(戻り路32a)を経て浴槽Bに注湯されて所定量の湯張りが行われるようになっている。
暖房循環回路5の暖房用熱源機51は、給湯用熱源機21と同様に、燃焼バーナ52の燃焼に伴う顕熱により主加熱する一次熱交換器53と、燃焼排ガスから潜熱を回収して予熱する二次熱交換器54とを備えている。そして、暖房循環回路5は、暖房循環路を構成する温水循環路55と、暖房用循環ポンプ56とを備え、暖房用熱源の熱媒として低温水と高温水との2種類の温度の温水を低温用・高温用の複数種類の暖房端末61,63に対し熱源として循環供給するようになっている。
すなわち、前記の温水循環路55は、膨張タンク57に戻されて貯留される低温水を暖房用循環ポンプ56の作動により一次熱交換器53に送り、ここで燃焼バーナ52により加熱した後の高温水を熱源循環路37を通して追い焚き用熱交換器31に熱源として供給したり、高温水供給路59及び高温往きヘッダー60を介して例えば浴室乾燥機等の高温用暖房端末61に供給したりされるようになっている。又、循環ポンプ56の作動により、膨張タンク57内の低温水を低温往きヘッダー62を介して例えば床暖房機等の低温用暖房端末63に供給し、全ての暖房端末61,63から放熱により低温になった低温水を戻りヘッダー64及び低温水供給路65を介して潜熱回収用の二次熱交換器54に通し、予熱した上で膨張タンク57に戻すというように、循環させるようになっている。以上の作動制御が、例えば暖房リモコンの暖房スイッチのON操作により、後述の暖房制御部72の暖房運転制御によって実行される。
なお、図示を省略するが、二次熱交換器26,54において燃焼排ガスが潜熱回収のための熱交換により冷やされて凝縮することにより生じたドレン水を導出し、導出したドレン水を中和処理等した上で排水等させるために、ドレン水処理回路も付設されている。
ここで、前記2種類の燃焼バーナ24,52は、元ガス弁66や燃料調整弁であるガス比例弁67を介装した燃料供給系からの燃料ガスの供給と、送風ファン68からの燃焼用空気の供給とを受けて燃焼作動するようになっている。ガス比例弁67は、コントローラ7により開度が変更制御され、これにより、前記2つの燃焼バーナ24,52の双方に対する燃料ガスのガス圧を変更調整し得るようになっている。つまり、2つの燃焼バーナ24,52はいずれもガス比例弁67により制御された燃料ガスにより燃焼されるようになっている。又、図例の各燃焼バーナ24,52は、複数の能力切換弁241〜243,521,522のコントローラ7による開閉切換制御により、燃焼能力が複数段階に切換可能となっている。
すなわち、給湯用の燃焼バーナ24は、多数(例えば10本)の燃焼管から構成され、燃料ガスの供給が所定本数毎に区画されている。例えば、能力切換弁241の開閉切換により2本の燃焼管への燃料ガスの供給切換が行われ、能力切換弁242の開閉切換により3本の燃焼管への燃料ガスの供給切換が行われ、能力切換弁243の開閉切換により5本の燃焼管への燃料ガスの供給切換が行われるようになっている。同様に暖房用の燃焼バーナ52も、例えば、4本の燃焼管から構成され、能力切換弁521開閉切換により2本の燃焼管への燃料ガスの供給切換が行われ、能力切換弁522の開閉切換により他の2本の燃焼管への燃料ガスの供給切換が行われるようになっている。そして、給湯用の燃焼バーナ24では、能力切換弁241〜243を単独で又は組み合わせて開閉制御することにより5段階に燃焼能力が切換可能となり、又、暖房用の燃焼バーナ52では、能力切換弁521,522の開閉制御により2段階に燃焼能力が切換可能となっている。能力切換の例としては、能力切換弁241だけ開切換すると2本の燃焼管が燃焼作動され(1段)、能力切換弁242だけ開切換すると3本の燃焼管が燃焼作動され(2段)、能力切換弁243だけ開切換すると5本の燃焼管が燃焼作動され(3段)、能力切換弁241,243を共に開切換すると7本の燃焼管が燃焼作動され(4段)、能力切換弁241〜243を共に開切換すると10本の燃焼管が燃焼作動される(5段)。又、暖房用の燃焼バーナ52では、能力切換弁521だけ開切換すると2本の燃焼管が燃焼作動され(1段)、能力切換弁521,522を共に開切換すると4本の燃焼管が燃焼作動される(2段)。加えて、給湯用の燃焼バーナ24では、1〜5段の各燃焼段において、ガス比例弁の開度変更により小能力から大能力までの所定範囲の燃焼能力を発揮し、又、暖房用の燃焼バーナ52も1〜2段の各燃焼段において同様に所定範囲の燃焼能力を発揮する。これにより、ある下位の燃焼段においてガス比例弁67の調整により小能力から大能力に増大させ、次に、上位の燃焼段に切換えると同時にガス比例弁67を小能力に変更し、ついで、その燃焼段でガス比例弁を大能力側に増大していく、というように、燃焼段の切換とガス比例弁の変更調整とによって、燃焼能力を最小から最大まで増大させ得るようになっている。
前記の複合熱源機は、コントローラ7によって、給湯運転、注湯・注水による湯張り運転、追い焚き運転及び暖房運転等の各種の運転制御がリモコン8からの出力及び前記の各種センサからの出力等に基づいて行われる他、後述の如く追い焚き循環回路3の循環流量の検出を流量センサ等の直接的な検出手段を用いることなく制御上の処理によって行うようになっている。前記コントローラ7は、給湯回路2により給湯栓28に対する給湯運転を行う給湯制御部71(図2参照)と、暖房循環回路5により暖房端末61,63に熱媒(高温水・低温水)を循環供給して暖房運転を行う暖房制御部72と、注湯路41を通して浴槽Bに注湯・注水して湯張り運転を行う湯張り制御部73と、追い焚き循環回路3により浴槽B内の湯水を所定温度まで焚き上げる追い焚き運転を行う追い焚き制御部74と、循環流量を検出するための制御手段を構成する循環流量検出処理部75とを含む各種制御部を備えている。かかるコントローラ7は、CPUや書き換え可能メモリを備えるマイコンによって主構成されており、メモリに記憶されたプログラム及び各種データに基づいて前記の各種運転制御などを行うようになっている。
給湯制御部71による給湯運転制御の概略を説明すると、給湯要求(例えばユーザーによる給湯栓28の開操作)により入水路22への入水流量が最低作動流量(MOQ;例えば3リットル/分)以上になったことが入水流量センサ22aにより検出されれば、燃焼バーナ24等の燃焼系を作動制御することにより、出湯路23に出湯される出湯温度が所定温度になるように所定の燃焼量で燃焼バーナ24を燃焼させるようになっている。そして、出湯路23に出湯させた湯と、バイパス路27を通して出湯路23に分岐入水させた水とを混合させて温調させることにより、給湯栓28等に給湯される湯の温度がリモコン8に設定された設定給湯温度(設定注湯温度)になるように作動制御するようになっている。この設定給湯温度の給湯を実現させるために、燃焼バーナ24が所定の要求号数の燃焼能力を発揮するように、能力切換弁241〜243の開閉切換制御やガス比例弁67の開度制御が実行される。
又、リモコン8のふろ自動スイッチがON操作されると、湯張り制御部73による注湯制御及び注湯後の追い焚き運転制御部74による追い焚き制御が自動処理により実行され、又は、リモコン8の注湯スイッチがON操作されると、注湯運転制御が実行されることになる。注湯制御は、熱動弁38がそれ以前に閉作動されていればそのまま、熱動弁38が開状態であれば熱動弁38を閉作動させた後に、注湯弁42を開作動させることで開始される。この開作動により機外からの給水圧を受けて入水路22に対し入水され、入水路22への入水流量が最低作動流量(MOQ)以上になったことが入水流量センサ22aにより検出されれば燃焼バーナ24が燃焼作動され、出湯路23から設定注湯温度の湯が注湯路41に供給された後、戻り流路32aの合流点Mに供給されることになる。そして、合流点Mから戻り流路32aを通して浴槽Bに所定量が注湯されて、浴槽Bが湯張りされることになる。
前記追い焚き制御部74による追い焚き制御は次のようにして行われる。すなわち、リモコン8の追い焚きスイッチをユーザがON操作するか、あるいは、前段階にふろ自動スイッチをユーザがON操作して注湯制御により浴槽B内に所定水位までの湯張りが終了すると追い焚き指令が出力され、この追い焚き指令を受けて循環ポンプ33を作動させる。この作動開始により水流スイッチ34がONすると、前記暖房用熱源機51の燃焼作動制御が開始されて燃焼バーナ52が燃焼作動される。この燃焼作動は戻り温度センサ35により検出される戻り温度が設定ふろ温度を維持するように行われる。つまり、戻り温度センサ35の検出戻り温度が設定ふろ温度よりも低ければ燃焼作動され、設定ふろ温度以上であれば燃焼作動が停止される。
前記湯張り制御部71は、まず、循環判定により浴槽B内の残り湯(残り水を含め「残り湯」と表記する)が有るか否かを判定し、残り湯無しと判定されれば例えば所定の段階に分けて注湯回路4により所定水位まで注湯し、残り湯有りと判定されれば、その残り湯を用いて循環流量検出処理を行った上で残り湯量を演算し、演算結果に基づき前記の所定水位まで湯張りするのに不足分を注湯回路4により注湯する。循環判定は、図3に示すように追い焚き用の循環ポンプ33を作動させ(ステップS1)、水流スイッチ34がONするか否かを判定し(ステップS2)、水流スイッチ3がONしなければ残り湯無し(又は所定量未満)と判定して注湯する一方(ステップS2でNO)、水流スイッチ3がONすれば残り湯有りと判定する(ステップS2でYES)。なお、注湯は、注湯弁42を開変換させて給湯用の燃焼バーナ24の燃焼作動により所定温度の湯を注湯路41及び追い焚き循環路32を通して浴槽Bに落とし込む。
残り湯有りと判定された場合(ステップS2でYES)には、原則として、その残り湯を利用して循環流量検出処理部75による追い焚き循環回路3の循環流量の検出を行う。循環流量検出処理部75は、タイマ手段751、テーブル記憶部752及び熱源変動監視部753を含み、後述の如く、熱源変動監視部753により熱源(暖房循環回路5から循環供給される高温水)の状況に急変動が生じたか否かについて監視し、熱源側の急変動に伴う検出往き温度への影響を排除して安定した状態で循環流量の検出処理を行うようになっている。このような熱源変動監視部753による監視は、コントローラ7の給湯制御部71や暖房制御部72による後述の如き燃焼バーナ24,52及びガス比例弁67に対する制御状況を対象にして行うようになっている。なお、図3は循環流量検出処理を中心にした湯張り制御に係るフローチャートである。又、前記のステップS1では、循環ポンプ33の作動を一定時間継続して浴槽B内の残り湯を撹拌し、均一温度にしておくことが望ましい。
循環流量の検出処理のために、まず追い焚き処理を行う(ステップS3)。すなわち、追い焚き用の循環ポンプ33の作動をそのまま維持する一方、熱動弁38の開切換,暖房用の循環ポンプ56の作動及び暖房用の燃焼バーナ52の燃焼開始により、暖房用の一次熱交換器53で加熱した高温水を熱源として追い焚き用熱交換器31に循環供給させる。これにより、追い焚き循環路32の戻り流路32aを通して追い焚き用熱交換器31に送られた浴槽Bの湯水が、追い焚き用熱交換器31で前記高温水との液−液熱交換により加熱され、加熱後の湯水が往き流路32bを通して浴槽Bに送られることになる。つまり、浴槽B内の湯水の追い焚きが行われる。なお、このときに暖房回路5による暖房運転が行われている場合には、高温水が循環しているので、ステップS3の追い焚き処理としては熱動弁38の開切換のみを行う。そして、この追い焚きの間に、戻り温度センサ35により検出される戻り温度と、往き温度センサ36により検出される往き温度とを記録する。ここで、追い焚き期間中に戻り温度及び往き温度の両者を検出して記録するのは後の残り湯量の演算(ステップ10)で利用するためである。
検出戻り温度により得られる浴槽B内の湯水温度が所定の目標温度まで上昇したら(ステップS4でYES)、原則として循環流量の検出処理を行う。但し、循環流量の検出処理に移る前に、前記の追い焚き制御と並行して熱源に急変動が生じていたか否かについて監視している熱源変動監視部753からの出力状況に基づいて、追い焚き用熱交換器31に循環供給されている熱源としての高温水に急激な温度変動が有るか否か、つまり、直前に熱源側に急変が有ったか否かの確認を行い(ステップS5)、熱源側に急変が無かったことを確認した上で(ステップS5でNO)、循環流量を検出するための処理(ステップS6)に移行する。
すなわち、熱源側に急変が無ければ(ステップS5でNO)、少なくとも暖房用循環ポンプ56の作動を停止する一方、追い焚き循環ポンプ33の作動は継続させる(ステップS6)。この際、暖房用循環ポンプ56の作動停止に伴い、暖房用燃焼バーナ52の燃焼を停止させてもよい。又、追い焚き用熱交換器31に対する熱源供給(高温水の供給)を遮断するために、熱動弁38の閉切換ではなくて暖房用循環ポンプ56の作動停止を行うようにしているのは、即応性を担保するためである。つまり、熱動弁38はその開閉切換に一定の時間を要するため、熱動弁38の閉切換に代えて暖房用循環ポンプ56の作動停止により追い焚き用熱交換器31に対する熱源供給を即時に遮断するようにしている。加えて、前記の暖房用循環ポンプ56の作動停止(追い焚き用熱交換器31に対する熱源供給の遮断)と同時に、この熱源供給遮断時点(t=0)に検出された戻り温度(Tl(0);括弧内は経過時間t=0を表す)、及び、往き温度(Th(0);括弧内は経過時間t=0を表す)を記録すると共に、タイマ手段751をスタートさせる(ステップS6)。併せて、前記の熱源供給遮断時点(t=0)の戻り温度Tl(0)及び往き温度Th(0)に基づいて、降下時間値Δτgを計測する設定温度値T(g)の設定を行う(ステップS6)。
設定温度値T(g)の設定は、次のようにして行う。すなわち、戻り温度Tl(0)に対し、往き温度Th(0)から戻り温度Tl(0)を減じた往き・戻り温度差に対し所定の比率λ(0<λ<1.0)を乗じて得た値を加えたものを設定温度値T(g)として設定する。これを演算式により表すと次のようになる。
T(g)=Tl(0)+λ・[Th(0)−Tl(0)] …(1)
式(1)をλについて変形すると、式(2)となる。
λ=[T(g)−Tl(0)]/[Th(0)−Tl(0)] …(2)
比率λとしては、後述の降下時間値に基づく循環流量の検出をより正確に行うという見地から定めることができ、例えば、往き・戻り温度差の1/2(λ=0.5)又は2/3(λ=0.67)を採用することができる。本実施形態においては、比率λ(0<λ<1.0)の値として、いわゆる半減期に相当する0.5を採用している。
比率λの設定についてさらに詳細に説明する。図5に、追い焚き用熱交換器31に対する熱源供給を遮断する一方、追い焚き循環路32の循環作動は継続させた場合の、往き温度Th(t)の変化と、経過時間tとの関係を特性図として示す。熱源供給が遮断されても追い焚き用熱交換器31内にはそれまでに供給された高温水が充満しているため、往き温度Th(t)は熱源供給停止時点(t=0)から即座に降下はせずに一定時間はTh(0)を維持した後に緩やかに降下し始める。その際、循環流量が大であるほど温度降下は早期に始まりその降下度合も急になり、循環流量が小であるほど温度降下は遅れて始まりその降下度合いも緩やかになる。そして、往き温度Th(t)は降下を続けて、終局的には、熱源供給停止時点の戻り温度Tl(0)に収束していく。ここで、λ=0.5を設定した場合の設定温度差に対応する温度値まで降下するのに要する降下時間値は、循環流量が大の場合はΔτ2、循環流量が小の場合はΔτ1ということになる。ここで、λの値を大きくしていけば、循環流量が大の場合と小の場合との降下時間値の差が小さくなり、λの値を小さくしていけば、前記の降下時間値の差が大になる。つまり、λの値を余りに大きく設定してしまうと、計測した降下時間値から求める循環流量の値についての正確性が損なわれるおそれがある一方、逆に、λの値を余りに小さく設定してしまうと、降下時間値の計測にかなりの経過時間を要することになりかねず、迅速性に欠けるおそれが生じることになる。
さらに、図6を参照しつつ詳細に説明する。図6には、各種の循環流量で追い焚き循環路32に流れる各種戻り温度・往き温度の組み合わせの循環流を対象にして、前記の熱源供給遮断時点からの検出往き温度の変化について計測し、計測結果を前記の比率λに換算した値と、経過時間との関係を実験により求めたものを示している。前記循環流としては、循環流量として4L/min,6L/min,8L/min,10L/minに設定し、又、浴槽B内の湯水温度(戻り温度)が33℃,40℃,48℃の3種類の湯水をそれぞれ準備し、これら各種温度の湯水について前記の4種類の循環流量により循環させた。そして、経過時間t毎に計測した往き温度Th(t)の変化を前記の式(2)に相当する次の式(3)に基づいて比率λに換算し、この比率λと経過時間との関係を示したものが図6である。なお、実験に際し、実際の循環流量値については電磁流量計を用いて確認した。
λ=[T(t)−Tl(0)]/[Th(0)−Tl(0)] …(3)
図6によると、まず、戻り温度が33℃,40℃,48℃というように互いに異なる温度条件であったとしても、比率λと経過時間との関係は4種類の循環流量値の違いのみによって一義的に定まることが分かる。この点について、図7に、図6の試験データを用いて浴槽B内の湯水温度が33℃,40℃,48℃の3種類の循環流について循環流量と経過時間との関係を示した。この図7によると、いずれの温度条件(33℃,40℃,48℃の3種類)の循環流であっても、循環流量と経過時間との関係はほぼ同じとみなし得る程度に互いに同じであることが分かる。要するに、湯水温度33℃,40℃,48℃の違い、つまり追い焚き用熱交換器31による加熱度合の違いがあっても、循環流量と降下時間値との関係はほぼ一定の関係曲線により表すことが可能であり、ある温度値まで降下するのに要した降下時間値と循環流量との関係はほぼ一定の関係を示すことが分かる。このため、降下時間値と循環流量との関係テーブル(関係曲線又は数値表)を予め試験により求め、この関係テーブルを循環流量検出処理部75のテーブル記憶部752に記憶させておけば、前記の降下時間値に相当するタイマ値(図4のステップS8参照)を計測することにより、前記関係テーブルから循環流量の値を割り出して検出することができることになる。
図6に戻り、4種類の循環流量においてλ=0.9における各経過時間(ラインL1と変化曲線との各交点における経過時間)は近接しているのに対し、λ=0.3における各経過時間(ラインL4と変化曲線との各交点における経過時間)は互いに大きく離れかつ各経過時間値も長期化している。これに対し、λ=0.5やλ=0.67における各経過時間(ラインL3,L2と変化曲線との各交点における経過時間)は適度な間隔を有しかつ全てが僅か5秒以内という極めて短時間の範囲となっている、つまり極めて短時間で循環流量の値の検出が可能であることが分かる。
以上より、往き温度が熱源供給遮断時点から所定の温度値まで降下するのに要した時間(降下時間値)と、循環流量との間には相関関係があり、かつ、熱源供給遮断時点の循環流(浴槽B内の湯水温度)の温度条件の如何に拘わらず、その降下時間値の検出だけで循環流量の値が一義的に得られることになる。このため、降下時間値と循環流量との間の関係テーブルを予め実験により定めておけば、前記の降下時間値を計測するだけで容易に、迅速かつ正確に循環流量の値を割り出すことができるようになる。これにより、浴槽内の湯水の循環流が液−液熱交換式の追い焚き用熱交換器31で間接加熱を受けるものであっても、その循環流量の値を検出し得るようになる。
図4のフローチャートに戻り、熱源供給遮断時点からの往き温度センサ36による往き温度T(t)の変化を監視する(ステップS7)。そして、検出された往き温度T(t)が設定温度値T(g)まで温度降下すれば(ステップS7でYES)、その時のタイマ手段751のタイマー値(降下時間値)を出力する(ステップS8)。つまり、追い焚き用熱交換器31を通過した後に検出される往き温度が、熱源供給遮断時点に検出される往き温度T(0)から設定温度値T(g)まで温度降下するのに要する時間値(降下時間値)を得る。出力された降下時間値に基づき、テーブル記憶部752に予め記憶された関係テーブルから対応する循環流量の値を割り出し、追い焚き循環路32における循環流量値としてこの割り出された循環流量値を設定する(ステップS9)。ここで、前記の関係テーブルとは、降下時間値と循環流量値との関係を実験等により予め定めて、テーブル記憶部752に記憶設定したものである。
このような関係テーブルとして、熱源供給遮断時点の循環流の温度(浴槽B内の湯水の温度;戻り温度)の高低如何によって異なる複数種類の関係テーブルを設定することができる。すなわち、循環流の温度として互いに異なる複数の温度毎に、その温度の循環流に適用する関係テーブルを設定し、これら複数種類の関係テーブルをテーブル記憶部752に記憶させておくことができる。そして、循環流量の検出処理の際に、戻り温度センサ35により検出される戻り温度に基づいてこの戻り温度に対応する関係テーブルを呼び出し、この関係テーブルから循環流量の値を割り出すようにする。なお、循環流の温度として、戻り温度の代わりに、リモコン8に設定された浴槽Bの沸き上がり設定温度を用いるようにしてもよい。要するに、ヒートマスの影響を無視して循環流量値の検出処理を行うようにしてもよいが、さらに、追い焚き用熱交換器31が有するヒートマス(熱容量)による影響を加味してより高精度な循環流量値の検出処理を図るために、前記ヒートマスを熱源供給遮断時点の循環流の温度により簡易に把握し、この熱源供給遮断時点の循環流の温度に基づき補正するようにすることができる。
又、テーブル記憶部752に、互いに異なる複数の外気温に対し適用するものとして予め設定した複数種類の関係テーブルを記憶させておき、複合熱源機に設けた外気温センサ(例えばF点サーミスタ;図示省略)により検出される外気温の高低の如何によって適用する関係テーブルを変更設定するようにすることができる。又、このような外気温に基づく補正を、前記の互いに異なる複数の循環流の温度毎にその温度の循環流に適用する関係テーブルに対し上乗せするようにすることもできる。
テーブル記憶部752に対する記憶設定は、工場出荷前に記憶させても、あるいは、使用現場に複合熱源機を設置した後にテーブル記憶部752に対し記憶させるようにしても、いずれでもよい。又、使用後に、その関係テーブルを新たなものに更新・記憶させるようにしてもよい。
以上で循環流量値の検出処理が終了し、流量センサ等の循環流量を直接的に計測する検出手段を用いることなく、循環流量値を検出(取得)することができるようになる。しかも、循環流量検出処理を開始してから僅か数秒間というように極めて迅速に循環流量値の検出処理を終了することができることになる。又、検出される降下時間値について、タイマ値の始期が暖房用循環ポンプ56の作動停止時点であるため、その始期を正確に把握することができる一方、タイマ値の終期も検出往き温度が設定温度値T(g)を検出した時点であるため、その終期をも正確に把握することができる。この結果、関係テーブルと照合すべき降下時間値として、制御上のタイムラグもなく、極めて正確な値を計測することができ、かかる正確な降下時間値に基づいて対応する循環流量値を導いているため、正確な循環流量値を得ることができることになる。
そして、ステップS9で循環流量値の割り出し・検出が完了すれば、この循環流量値を用いて残り湯量の演算を湯張り制御部73により実行する(ステップ10)。この残り湯量の演算は、前記の追い焚き期間中(ステップS3)に記録した検出戻り温度、検出往き温度、及び、前記の循環流量値を用いて熱量演算により行う。すなわち、検出往き温度から検出戻り温度を差し引いた温度上昇幅に循環流量値を乗じ経過時間に従って積分することにより、追い焚き加熱により付与された積算熱量を得る。そして、この積算熱量と、同じ経過時間の間における戻り温度(浴槽湯水の温度)の温度上昇分とから残り湯量を演算すればよい。
ステップS10の演算で残り湯量が把握できれば、浴槽Bに対する湯張りの設定水位までに足すべき湯量(又は水量)を把握することができるため、この湯量に相当する量の注湯(又は注水)を湯張り制御部73により行って湯張りを終了させる(ステップS11)。
一方、ステップS5の判定・確認において、熱源変動監視部753から直前に熱源側に急変が生じたとの判定結果が出力された場合には(ステップS5でYES)、往き温度が安定すると考えられる時間であって予め設定された時間tw(例えば20〜30秒)だけ一時的に待機してから、前記のステップS6以降の循環流量の検出処理を開始する(ステップS12,S6)。これにより、所定の設定温度値T(g)までの温度降下を所定通りのものにして正確な降下時間値の計測が可能になり、循環流量の検出処理を正確かつ確実に行うことができるようになる。
高温水の温度に急変動を生じさせる熱源側の要因としては、給湯回路2による給湯使用に伴う制御の実行、又は、暖房回路5での暖房能力の変更に伴う制御の実行がある。給湯回路2での制御上の要因としては給湯使用に伴う給湯用燃焼バーナ24の点火(燃焼開始),燃焼能力の切換(能力切換),消火(燃焼停止)があり、暖房回路5での要因としては燃焼バーナ52の燃焼能力の切換(能力切換)がある。給湯使用が生じて暖房運転との同時使用になると、コントローラ7では給湯制御部71による給湯制御が優先(給湯優先)されることになり、燃焼バーナ24に対する要求燃焼能力に応じた開度にガス比例弁67は制御されることになる。つまり、それまで暖房用燃焼バーナ52に対する要求燃焼能力に応じて制御されていたガス比例弁67の開度が、給湯側の要求に応じて変更されることになる。このため、変更後の供給圧で燃料ガスが暖房用燃焼バーナ52にも供給されてしまい、熱交換器53での燃焼加熱に変動が生じる結果、追い焚き用熱交換器31に供給される熱源としての高温水の温度も急変動することになる。又、同様の事情は暖房制御においても生じ得る。すなわち、暖房制御において、要求燃焼能力に変動が生じて燃焼バーナ52に対する能力切換が生じると、追い焚き制御とは関係なく、追い焚き用熱交換器31に供給される高温水の温度も急変動することになる。
このような熱源側の急変動の影響を受けて追い焚き側の往き温度が一時的に不安定化したまま、循環流量の検出処理に移行してしまうと、設定温度値T(g)の設定や、計測した降下時間値と関係テーブルとの対応関係とは合致しない温度降下特性となり、正確な循環流量の検出を行い得ないことになる。これを回避して、正確な循環流量の検出を可能とするために、設定時間twだけ一時待機して往き温度が安定するのを待った上で、循環流量の検出処理を開始するようにしているのである。
<他の実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、ステップS2で残り湯有りと判定された場合(ステップS2でYES)に、その残り湯を利用して循環流量検出処理部75による追い焚き循環回路3の循環流量の検出を行うために、一旦追い焚き制御を実行した上で、追い焚き用熱交換器31に対する熱源供給を停止して往き温度の降下時間の計測を行うようにしているが、これに限らず、例えば通常の追い焚き制御が実行される場合には、その追い焚き制御の終了時点(追い焚き用熱交換器31に対する熱源供給の停止時点)から往き温度の降下時間を計測するというように循環流量の検出処理に移行するようにすることもできる。但し、この場合にも、直前に熱源側に急変動が生じたか否かのステップS5(図3参照)の確認を行った上で、循環流量の検出処理に移行する。
前記実施形態では、比率λを乗じて得た1種類の設定温度値まで降下するのに要した降下時間値を検出し、この1種類の降下時間値に対応する循環流量値を関係テーブルから割り出すようにしているが、これに限らず、2種類のλ1(例えばλ1=0.5),λ2(例えばλ=0.67)を用いて得た2種類の設定温度値に基づき、これら2種類の設定温度値まで往き温度が降下した2種類の降下時間値を検出し、これら2種類の降下時間値に対応する2つの循環流量値を関係テーブルから割り出し、これらを平均化処理して最終の循環流量値を得るようにすることができる。平均化処理することで、より高精度な循環流量値の検出が可能になる。
前記実施形態で用いる関係テーブルとして外気温の高低の如何に対応した複数種類の関係テーブルをテーブル記憶部752に予め記憶設定する代わりに、計測された降下時間値に対し、あるいは、その降下時間値に基づき関係テーブルから割り出される循環流量値に対し、外気温の高低の如何に応じて補正を加えるようにしてもよい。例えば、外気温センサにより検出した外気温が基準温度範囲よりも低ければ温度降下の度合も大きく温度降下に要する時間も少なめになると考えられるため、タイマ手段751から出力されたタイマ値に対しプラス側の補正を加え、逆に外気温が基準温度範囲よりも高ければ前記タイマ値に対しマイナス側の補正を加えるようにする。補正幅としては、例えばプラス・マイナス0.05秒とすればよい。このような外気温に基づく補正を加えることで、検出処理により得られる循環流量値としてより一層精度(正確性)の高いものを得ることができるようになる。
なお、関係テーブルとしては、関係曲線又は関係曲線を直線近似にした線形の関係線を設定してもよいし、そのような関係曲線を規定する数式を設定してもよいし、数値表を設定してもよいし、いずれでもよい。数式を設定するには実験結果から例えば最小二乗法等を用いて近似式を定めることができ、この近似式に基づいて降下時間値と循環流量値との座標系で関係曲線を特定することもでき、あるいは、その近似式そのものを関係テーブルとして設定することができる。又、数値表を関係テーブルとして設定した場合には、ぴったり合致する循環流量の値がない場合には、隣接する循環流量の数値間で線形補間により、循環流量の値を割り出すようにすることができる。