JP2017043686A - 蛍光体、蛍光体を含む光源、および蛍光体の製造方法 - Google Patents

蛍光体、蛍光体を含む光源、および蛍光体の製造方法 Download PDF

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慶太郎 手塚
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Abstract

【課題】赤色蛍光体として高い蛍光強度の蛍光体、屋内での使用に適した演色性を有する照明装置等を提供可能な光源、および蛍光強度が高い赤色蛍光体の製造方法を提供する。
【解決手段】式(I):AGe4-x9:xMn(式中、AはSr、BaおよびCaからなる群より選択される1種以上を示し、0.0005≦x≦0.030である)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体、上記蛍光体と青色光領域または紫外光領域で発光を示す発光素子とを含む光源、ならびにマンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体の製造方法であって、原料混合物を焼成する工程を含み、上記原料混合物がMnCO3を含み、好ましくは上記焼成を酸化性ガス環境下で行い、好ましくは上記焼成が900℃〜1000℃で行われる仮焼工程と1000℃〜1100℃で行われる本焼工程とを含む、製造方法。
【選択図】図5

Description

本発明は、蛍光体、蛍光体を含む光源、および蛍光体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、マンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体、この蛍光体を含む光源、およびマンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体の製造方法に関する。
LEDを発光源とする光源は高効率かつ長寿命であって、環境親和性が高く多くの長所を持つ新世代の光源とされている。白色光源としては、青色LED、緑色LED,および赤色LEDを組み合わせたものの他、紫外光〜青色光発光LEDと各種蛍光体とを組み合わせたものが一般的である。
現在実用化されている白色光源の一例としてはCe3+で賦活したYAG黄色蛍光体とInGaN青色LEDチップの組み合わせによるものが挙げられる。しかし、この白色光源は、赤色成分を欠くため、演色性は屋内での使用などに対しては十分ではない。このような観点から、白色光源の演色性の向上のため、近年、赤色蛍光体が各種探索されている。赤色蛍光体としてはEu2+等の希土類イオンを含む蛍光体が報告されてきているが,希土類イオンの多くは高価である。一方、希土類元素を含まない蛍光体として、ヒ素含有酸化物蛍光体、硫化物蛍光体、および酸窒化物蛍光体なども開発されているが、安全性、安定性または合成容易性などの観点から十分なものではない。
一方、安全性などに優れた赤色蛍光体として、近年、マンガンを用いた蛍光体が各種報告されている。マンガンは安価であるため赤色蛍光体のコスト削減にも寄与する。例えば、ゲルマン酸塩を結晶母体とするマンガン置換型蛍光体としてBaGe49またはSrGe49を結晶母体とする蛍光体が、非特許文献1および特許文献1にそれぞれ報告されている。
特開2008−69334号公報
Surface & Coatings Technology 271 (2015) 127−135
非特許文献1および特許文献1においては、ゲルマン酸塩を結晶母体とするマンガン置換型蛍光体において、青色光波長域の光の励起により赤色蛍光が得られたことが開示されているが、蛍光強度について理解できる開示はない。また、非特許文献1においては、BaGe49の結晶は他の化合物の結晶との混合物として得られているに過ぎず、純度は不十分であると考えられる。
本発明の課題は、赤色蛍光体として、蛍光強度が高い蛍光体、およびその製造方法を提供することである。特に本発明の課題は、安価で安全性および安定性が高いマンガンを賦活剤として用いた蛍光体として蛍光強度が高い蛍光体、およびその製造方法を提供することである。本発明は、また、屋内での使用に適した演色性を有する照明装置等を提供可能な光源を提供することを課題とする。
本発明者らは、マンガンを含む赤色蛍光体として様々な蛍光体を検討する過程でゲルマン酸塩を結晶母体とする蛍光体を得、この蛍光体が、現在最も高い蛍光強度を示す黄色蛍光体の一つとして知られている市販のYAG蛍光体BY−102Aと同時に使用しても、赤色成分の補填に十分寄与できる蛍光強度を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。すなわち、本発明は下記の[1]〜[14]を提供するものである。
[1]式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体;
AGe4-x9:xMn (I)
式中、AはSr、BaおよびCaからなる群より選択される1種以上を示し、0.0005≦x≦0.030である。
[2]AがSrまたはBaである[1]に記載の蛍光体。
[3]AがSrであり、かつ0.0005≦x<0.015である[1]に記載の蛍光体。
[4]AがBaであり、かつ0.0005≦x≦0.025である[1]に記載の蛍光体。
[5]AGe49と同一のXRDパターンを示し、青色光による励起により赤色蛍光を与える[1]〜[4]のいずれか一項に記載の蛍光体。
[6]青色光領域または紫外光領域で発光を示す発光素子と[1]〜[5]のいずれか一項に記載の蛍光体とを含む光源。
[7]上記発光素子が発光ダイオードである[6]に記載の光源。
[8]上記発光ダイオードがInGaNを含む[7]に記載の光源。
[9]さらにCe3+で賦活したYAG蛍光体を含み、
上記発光素子が青色光領域で発光を示す発光素子である
[6]〜[8]のいずれか一項に記載の光源。
[10]マンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体の製造方法であって、
原料混合物を焼成する工程を含み、
上記焼成を酸化性ガス環境下で行う製造方法。
[11]上記原料混合物がMnCO3を含む[10]に記載の製造方法。
[12]上記焼成が800℃〜1050℃で行われる仮焼工程と1000℃〜1200℃で行われる本焼工程とを含む[10]または[11]に記載の製造方法。
[13]上記マンガン賦活ゲルマン酸塩が式(I)で表される[10]〜[12]のいずれか一項に記載の製造方法:
AGe4-x9:xMn (I)
式中、AはSr、BaおよびCaからなる群より選択される1種以上を示し、0.0005≦x≦0.030である。
[14]上記原料混合物が、上記MnCO3、ACO3、およびGeO2の混合物である[13]に記載の製造方法。
本発明により、赤色蛍光体として、高い蛍光強度の蛍光体、およびその製造方法が提供される。本発明の蛍光体は希土類イオンに代わる賦活剤として遷移金属であるマンガンを用いているため安価であるうえ、汎用されているYAG黄色蛍光体と同時に使用しても、赤色成分の補填に十分寄与できる蛍光強度を有する。また、本発明の蛍光体は、入手が容易な材料を利用して、簡便な固相反応法により、容易に製造が可能である。
本発明の蛍光体を利用して、屋内での使用に適した演色性を有する照明装置や、画像表示装置のバックライト等として使用可能な光源を提供することができる。
SrGe49を母体結晶とする蛍光体(a)、BaGe49を母体結晶とする蛍光体(b)のXRDパターンを示す。 実施例で合成した試料のESRスペクトルを示す。 SrGe49を母体結晶とする蛍光体(a)、BaGe49を母体結晶とする蛍光体(b)の励起及び蛍光スペクトルを示す。 Mn量の異なるSrGe4-x9:xMn(a)およびMn4+量の異なるBaGe4-x9:xMn(b)の蛍光スペクトルを示す。 SrGe3.9969:0.004Mn,BaGe3.9889:0.012MnおよびYAG蛍光体BY−102Aの蛍光スペクトルを示す。 マンガンの含量または製造方法(原料、手順)の異なるSrGe4-x9:xMnの蛍光強度の励起及び蛍光スペクトルを示す。(b)は(a)の蛍光スペクトルの拡大図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「LED」は発光ダイオードを意味し、「有機EL」は有機エレクトロルミネセンスを意味し、「YAG」は、イットリウムとアルミニウムとの複合酸化物のガーネット構造の結晶を意味する。「XRD」はX線回折(X−ray diffraction)を意味する。「ESR」は電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance)を意味し、EPR(Electron Paramagnetic Resonance:電子常磁性共鳴)と同義で用いられる。Å(オングストローム)は長さの単位であり、1Å=0.1nmである。また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
<蛍光体>
本発明の蛍光体は、以下式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩を含む。
AGe4-x9:xMn (I)
式中、AはSr、BaおよびCaからなる群より選択される1種以上を示す。すなわち、式(I)において、AはSr、BaおよびCaのいずれか一種のみからなってもよく、SrおよびBa、SrおよびCa、BaおよびCaまたはSr、BaおよびCaが混在していてもよい。Aは、Sr、Ba、またはSrおよびBaであることが好ましく、SrまたはBaであることがより好ましく、Srであることがさらに好ましい。CaはSrおよび/またはBaと混在していることが好ましく、CaがSrおよび/またはBaと混在している場合、CaはAの原子数の総数に対し、50%以下、30%以下、20%以下、10%以下、または5%以下であって、0.001%以上、0.01%以上、0.1%以上または1%以上の数で含まれていればよい。
式(I)において、「:」は、本発明の蛍光体にかかるマンガン賦活ゲルマン酸塩の母体結晶や構造の特徴を表すために用いられているが、式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩は、AGe4-xMnx9との組成式で表すこともできる。
式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩は、以下実施例で示すようにAGe49と同様の結晶構造を有するが、その結晶構造の一部のGeがマンガンに置換した構造をとっていると考えられる。
AGe49の結晶構造として、例えば、SrGe49の結晶構造は三方晶(a=11.344Å、b=11.344Å、c=4.750Å),空間群はP321であり,全Geイオンの25%が八面体配位GeO6サイトを構成し、残る75%が四面体配位GeO4サイトを構成していることが報告されている。八面体配位GeO6サイトのうち単位格子の頂点に位置するものは正八面体サイトを形成し、単位格子の面上に位置するものは歪んだ八面体サイトを形成している。GeO6サイトのいずれもが3つの四面体配位GeO4が形成する輪に挟まれており、多面体配位SrO8はそのGe群の空隙に位置する(Nishi, F; Acta Crystallogr 1996, C52, 2393)。また、BaGe49の結晶構造も三方晶(a=11.610Å、b=11.610Å、c=4.740Å)、空間群P321であることが報告されている(Smolin, Y. I. (1969). Sov. Phys. Dokl. 13, 641-643)AとしてSrおよびBaを含むAGe49の結晶構造、および、AとしてSrおよび/またはBaに加えてCaが混在しているAGe49の結晶構造も同様に三方晶であって空間群はP321であると考えられる。
後述の実施例のESRスペクトル測定結果では、本発明の蛍光体にかかるマンガン賦活ゲルマン酸塩において、Mn4+イオンが含まれていることが示されている。Mn4+のイオン半径(0.053nm)はGe4+のイオン半径(0.053nm)とほぼ等しく、Mn4+イオンとGe4+イオンは価数が等しい。そのため、AGe49の母体結晶構造において、Mn4+イオンはGe4+に置換しやすい。また、Mn4+イオンは3d3電子配置であるためにGeO6サイトのGe4+に置換しやすい。そして、GeO6サイトのGe4+の一部がMn4+となった結晶中で6配位の上記八面体配位GeO6サイトに位置するMn4+イオンの2E→42遷移によって、赤色の蛍光が得られると考えられる。すなわち、Mn4+イオンは、上記蛍光を得るための賦活剤として機能し得る。
式(I)において、0.0005≦x≦0.030である。本発明者らは、式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩においてxをこの範囲とすることにより、従来知られていたマンガン含有蛍光体よりも高い蛍光強度の蛍光体を得ることができることを見出した。xがこの範囲であることにより、Mn4+間のエネルギー伝達による蛍光ピーク強度の減少を起こすことなく、蛍光を得ることができているためと考えられる。式(I)において、0.001≦x≦0.020であることが好ましい。また、AがSrであるときは、0.0005≦x<0.015であることが好ましく、0.001≦x≦0.008であることがより好ましい。さらに、AがBaであるときは、0.0005≦x≦0.025であることが好ましく、0.001≦x≦0.020であることがより好ましく、0.002≦x≦0.020であることがより好ましい。
一般に、マンガン賦活ゲルマン酸塩においては、合成の際添加したマンガンのうち、ゲルマン酸塩の結晶に取り込まれないMnイオン、またはGe4+に置換していないMnイオンが含まれていると考えられるが、本発明の蛍光体のマンガン賦活ゲルマン酸塩においては、Mnイオンの大部分がAGe49の母体結晶構造の八面体配位GeO6サイトに取り込まれており、Ge4+に置換して高い蛍光強度を与えていると考えられる。
本発明の蛍光体は、式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩を含む。また、本発明の蛍光体は、式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩から本質的になることが好ましい。マンガン賦活ゲルマン酸塩から本質的になるとは、AGe49の結晶構造以外の他の結晶構造が実質的に含まれていないことを意味する。例えば、粉末の蛍光体のXRDパターンを測定した際に、AGe49の結晶構造以外の他の結晶構造に由来するピークが実質的に観測されない状態であればよく、実質的に観測されないとは、上記XRDパターンにおいて、AGe49の結晶構造由来の最も高強度のピークに対し、15%以上の強度の他の結晶構造に由来するピークが観測されないことであればよい。本発明の蛍光体においては、上述のAGe49の結晶構造が、例えば、AGeO3,GeO2等の他の結晶構造を混在させることなく形成され、高い蛍光強度を与えていると考えられる。
本発明の蛍光体の形状は、粉末状で粒子サイズは1〜30μmである。粒子サイズは光散乱式粒径分布測定装置を用いて平均粒径として求めたものであればよい。
<蛍光体の製造方法>
マンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体は、原料混合物を焼成する工程を含む固相反応法により製造することができる。本発明の製造方法においては、上記焼成を酸化性ガス環境下で行う。酸化性ガス環境下で行うことにより、発光に寄与する高い価数の4価のマンガンが存在し易くなるため,蛍光強度の高い蛍光体を得ることができる。酸化性ガスとしては、酸素、オゾンなどが挙げられる。酸化性ガスは、特に酸素であることが好ましい。本明細書において、「酸化性ガス環境下」というとき、常圧下の大気の酸素分圧よりも高い(例えば2倍以上)酸化性ガスの分圧のガス環境下であることを意味する。このような環境は、常圧下での酸化性ガスの導入により達成されていてよく、大気の加圧による酸素分圧の増加により達成されていてもよい。例えば、酸素環境下は、常圧下の大気と比較して2倍以上の酸素分圧のガス環境下であればよい。3倍以上の酸素分圧のガス環境下であることも好ましい。さらに、900hPa以上の酸素分圧のガス環境下で焼成を行うことも好ましい。4価のマンガンがより存在し易くなって、より蛍光強度が高くなるためである。上限は特にないが、製造の容易性の観点からは、2000hPa以下または1500hPa以下の酸素分圧のガス環境下であることが好ましい。
焼成は、例えば、950℃〜1300℃、好ましくは1000℃〜1200℃で行えばよい。焼成時間は一般に1時間以上であればよく、3時間〜72時間であることが好ましく、5〜36時間であることがより好ましい。焼成における昇温は、30分〜6時間、好ましくは1時間〜5時間かけて行ってもよい。
焼成は仮焼工程と本焼工程とを含むことも好ましい。仮焼工程と本焼工程とを含む焼成により、式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩の純度の高い蛍光体を得ることができる。仮焼工程は700℃〜1100℃、好ましくは、800℃〜1050℃で、2時間〜12時間、好ましくは、4〜9時間行えばよい。本焼工程は950℃〜1300℃、好ましくは、1000℃〜1200℃で、4時間〜24時間、好ましくは、8〜18時間行えばよい。仮焼工程および本焼工程のいずれか一方のみを酸化性ガス環境下で行ってもよいが、仮焼工程および本焼工程の双方を酸化性ガス環境下で行うことが好ましい。仮焼工程と本焼工程との間に、中間生成物を環境温度まで冷却する工程を含むことが好ましい。冷却により中間生成物を粉砕、混合することができるからである。すなわち、冷却後再昇温の前に粉砕、混合、または粉砕および混合の工程を含むことが好ましい。固相反応を促進させて純粋な生成物を得ることができるからである。冷却後は再度30分〜6時間、好ましくは1時間〜5時間かけて昇温し、本焼を行えばよい。
原料混合物において、マンガンの供給源としては、例えば、炭酸マンガン(MnCO3)、または酢酸マンガンなどを用いることができ、MnCO3を用いることが好ましい。
原料混合物において、ゲルマニウムの供給源としては、例えば、酸化ゲルマニウム(IV)(GeO2)を用いることができる。
マンガン賦活ゲルマン酸塩が元素Aを含むとき、元素Aの供給源としては、例えば、炭酸塩(ACO3)または硝酸塩(A(NO3)2)を用いることができる。
すべての原料は粉末状でできるだけ高純度(99.9%以上)でかつ粒子サイズが小さいものが好ましい。反応性を高くするためである。
Aの供給源、Geの供給源、およびMnCO3は、目的のAGe4-x9:xMnの化学量論比にしたがったモル比で混合すればよい。例えば、マンガン賦活ゲルマン酸塩が式(I)で表される化合物すなわち、Aの供給源、Geの供給源、およびMnCO3のモル比が、1:(4−x):xであるように混合すればよい。混合方法は特に限定されない。乳鉢で通常に混合してもよく,エタノール等を混ぜて乳鉢上で湿式混合してもよく,ボールミルを用いてもよい。
<蛍光体の用途>
本発明の蛍光体は、赤色蛍光体として使用することができる。赤色蛍光体が発する蛍光は波長620〜730nmの範囲にピーク(蛍光スペクトルのピーク)を与える光であればよい。
赤色蛍光体は、各種光源の製造に使用可能であり、その蛍光体を励起する光波長領域で発光を示す発光素子と組み合わせて用いることにより、光源を構成することができる。発光素子としては、発光ダイオード(LED)を用いることができる。
本発明の蛍光体は青色光または紫外光で励起されて赤色の蛍光を与える性質を有する。青色光は例えば、波長390〜480nmの範囲にピーク(励起スペクトルのピーク)を与える光であればよく、紫外光は波長200〜350nmの範囲にピーク(励起スペクトルのピーク)を与える光であればよい。
青色光領域で発光を示す青色LEDとしては特に限定されないが、InGaN、GaNまたはAlGaNなどを含む素子を用いることができる。
紫外光領域で発光を示す紫外光LEDとしてはInAlGaNまたはAlGaNなどを含む素子を用いることができる。
本発明の蛍光体は、青色LED、および青色光による励起により緑色光の蛍光を示す緑色蛍光体と組み合わせることにより白色光源を形成することができる。または、本発明の蛍光体を、紫外光LED、紫外光による励起により青色光の蛍光を示す青色蛍光体、および紫外光による励起により緑色光の蛍光を示す緑色蛍光体と組み合わせることにより白色光源を形成することができる。
また、青色LEDと青色光による励起により黄色光の蛍光を示す黄色蛍光体とを組み合わせた白色光源の演色性の調整のために本発明の蛍光体を用いることも好ましい。例えば、青色LEDが発光する波長により非常に高い強度の黄色蛍光を示す蛍光体としてYAGをCe3+で賦活した蛍光体が知られているが、本発明の蛍光体は、YAG蛍光体の蛍光とは明確に異なる赤色波長域において十分な強度の蛍光を示す。そのため、本発明の蛍光体は、青色LEDおよびYAG蛍光体を含む白色光源に用いられてもよい。本発明の蛍光体を含む白色光源の光は赤色成分を十分に含み、屋内照明装置に適した温かみのある白色光が実現できる。また、白色光源はその他の照明装置や液晶表示装置の各種画像表示装置のバックライトとして使用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<蛍光体の合成>
固相反応法により蛍光体を合成した。
SrCO3(99.9%炭酸ストロンチウム関東化学株式会社製))、GeO2(99.99%酸化ゲルマニウム(IV)、関東化学株式会社製)、MnCO3(99.9%UP炭酸マンガン(II)、株式会社高純度化学研究所製)を出発原料として用いた。それぞれの出発物質を後述のx値での生成物の化学量論比で量り取り、よく混合した。混合物を燃焼ボートに移し、酸素ガスを導入した常圧のチャンバー内にて、3時間かけて950℃に昇温し、その温度で6時間加熱した後、室温に冷却し、再混合した。その後さらに4時間かけて1050℃に昇温し、その温度で12時間加熱し、粉末状のSrGe4-x9:xMnを得た。
SrCO3(99.9%)の代わりにBaCO3(99.9%炭酸バリウム、関東化学株式会社製)を用いた以外は同様の手順で合成を行い、粉末状のBaGe4-x9:xMnを得た。
得られた粉末状の試料を用いて、以下のXRDパターン、励起及び蛍光スペクトル、ESRスペクトルの測定を行った。
<XRDパターン>
測定は、RINT−2200X線回折装置(株式会社リガク製)にてCuKα単色光源(λ=0.15418nm)を用いて行った。得られたXRDパターンを図1に示す。
図1(a)には、SrGe49(ICSD No:082393)のXRDパターンとともに、SrGe4-x9:xMnのxを0.001、0.004,0.008、および0.020としたときのXRDパターンを示す。
図1(b)には、BaGe49(ICSD No015674)のXRDパターンとともに、BaGe4-x9:xMnのxを0.004、0.012、0.020、および0.030としたときのXRDパターンを示す。
SrGe4-x9:xMnはxの値にかかわらず、SrGe4Oと同じXRDパターンを示し、またBaGe4-x9:xMnはxの値にかかわらず、BaGe49と同じXRDパターンを示している。この結果から、合成したSrGe4-x9:xMnおよびBaGe4-x9:xMnはそれぞれSrGe49およびBaGe49の結晶構造を有していることがわかる。
<ESRスペクトル>
測定は、JEOL JES−TE100電子スピン共鳴分光光度計を用い、室温にて低域マイクロ波応答で行った。測定試料にはSrGe4-x9:xMn(x=0.004)、BaGe4-x9:xMn(x=0.012)を用いた。結果を図2に示す。上がSrGe4-x9:xMn(x=0.004)の結果であり、下がBaGe4-x9:xMn(x=0.012)の結果である。いずれも150−210 mTで+4価のMnイオンを象徴する6つのピークを示した。この結果より、測定試料中には4価のMnイオンが存在していることがわかる。また、このESRスペクトルはSrGe49およびBaGe49と類似の結晶構造を有するNa2SiF6中のMn4+のESRスペクトルにほぼ一致した[T. Arai, S. Adachi; J. Appl. Phys. 110, 063514 (2011)]。
<励起及び蛍光スペクトル>
測定は、JASCO FP−6500蛍光分光光度計(150Wキセノン光源,積分球JASCO ISF−513)を用いて、室温で行った。
SrGe4-x9:xMn(x=0.004)のスペクトルを図3(a)に示す。励起スペクトルの測定は蛍光波長657.2nmで行った。その結果、390−480nmに位置する6配位Mn4+イオンのスピン許容4242遷移に由来する励起帯、および230〜350nmに位置する6配位Mn4+イオンのスピン許容4241遷移に由来する励起帯が観察された。各励起帯のピーク波長はそれぞれ276,429nmに位置していた。また、波長約429nmの青色光での励起による蛍光スペクトルでは、波長約651nm、657nmに2つの強いピークを持つ620〜730nmに位置する蛍光帯を示した。これらのピークは、Mn4+イオンの2E→42遷移に基づくと考えられる。
BaGe4-x9:xMn(x=0.012)のスペクトルを図3(b)に示す。励起スペクトルの測定は蛍光波長667.2nmで行った。その結果、波長230〜350nmに位置し283nmにピーク波長を有する励起帯と、390〜480nmに位置し436nmにピーク波長を有する励起帯とが観測された。230−350nmの帯はMn4+イオンの4241の遷移に起因すると考えられる。2つ目の帯は390−480nm域に存在し、Mn4+イオンの4242の遷移に起因すると考えられる。また、約436nmの青色光での励起による蛍光スペクトルでは、BaGe49:Mn4+の蛍光スペクトルは約651nm、667nmに位置する2つのピークを持つ620〜720nmに位置する蛍光帯を示した。
さらに、Mn4+量(x)の異なるSrGe4-x9:xMnおよびBaGe4-x9:xMnの蛍光スペクトルをそれぞれ図4(a)および(b)に示す。SrGe4-x9:xMnの測定においては428.6nmの励起光を用い、BaGe4-x9:xMnの測定においては435.8nmの励起光を用いた。最も高強度の蛍光が得られたMn4+量(x)はSrGe4-x9:xMnでx=0.004、BaGe4-z9:xMnでx=0.012であった。
図5に、SrGe3.9969:0.004Mn,BaGe3.9889:0.012MnとY3Al512:Ce(YAG)蛍光体BY−102A(三菱化学株式会社製)の、450nm励起光下の蛍光スペクトルをそれぞれ示す。YAGの蛍光スペクトルは561nmに蛍光ピーク強度波長を持つ500−750nm域に広がるブロードな帯を示す。一方、SrGe3.9969:0.004MnおよびBaGe3.9889:0.012Mnの最大ピーク波長は、それぞれ657nm、667nmであり、黄色蛍光体として機能するYAG蛍光体とは明確に異なる赤色波長域でのピーク波長を示した。また、最大ピーク波長での蛍光強度はYAG蛍光体の最大ピーク波長での蛍光強度に対しそれぞれ約1/2,1/4倍であった。従って、InGaN青色LEDチップ(発光波長ピークおおよそ450nm)とYAG蛍光体とから成る白色LEDの赤色成分の補填に十分寄与できる強度であると考えられる。
<SrGe4-x9:xMnの蛍光強度の比較>
Mn4+の含量または製造方法(原料、手順)の異なるSrGe4-x9:xMnを作製して蛍光強度を比較した。
試料A:上述の手順で作製したSrGe4-x9:xMn(x=0.004)。原料のSrCO3、GeO2、およびMnCO3のモル比は1.0:3.996:0.004である。
試料B:試料Aと同じ手順で作製したSrGe4-x9:xMn(x=0.04)。原料のSrCO3、GeO2、およびMnCO3のモル比は1.0:3.96:0.04である。
試料C:MnCO3の代わりにMnO2(純度99.99%酸化マンガン(IV) 株式会社高純度化学研究所製)を用いた以外は、試料Aと同様の手順で作製したSrGe4-x9:xMn(x=0.04)。原料のSrCO3、GeO2、およびMnO2のモル比は1.0:3.96:0.04である。
試料D:以下の手順で得られたSrGe4-x9:xMn(x=0.04):SrCO3(99.9%)、GeO2(99.99%)、MnO2(純度99.99%酸化マンガン(IV) 株式会社高純度化学研究所製)を出発原料として用いた。出発物質をSrCO3、GeO2、およびMnO2のモル比1.0:3.96:0.04で量り取りよく混合した。混合物を燃焼ボートに移し、常圧の大気雰囲気中にて、4時間かけて1100℃に昇温し、その温度で8時間加熱した後、室温に冷却し、粉末状の目的物を得た。
上記試料A〜Dにつき、JASCO FP−6500蛍光分光光度計(150Wキセノン光源,積分球JASCO ISF−513)を用いて、励起、蛍光スペクトルの測定を行った。結果を図6に示す。
図6に示す結果から分かるように、試料Aで最も高い蛍光強度が得られた。原料混合物中のMn供給源原料比を増加させた試料Bでは蛍光強度が大幅に低下した。さらに、試料Bと同じ原料混合物中のMn供給源原料比であるがMn供給源原料をMnO2とした試料Cでは試料Bと比較してさらに蛍光強度が低下した。また、試料Cと同じMn供給源原料比およびMn供給源原料を用いたが、焼成を大気雰囲気中で行い仮焼を含まない本焼のみで行って作製された試料Dでは、試料Cと比較してさらに蛍光強度が低下した。

Claims (14)

  1. 式(I)で表されるマンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体;
    AGe4-x9:xMn (I)
    式中、AはSr、BaおよびCaからなる群より選択される1種以上を示し、0.0005≦x≦0.030である。
  2. AがSrまたはBaである請求項1に記載の蛍光体。
  3. AがSrであり、かつ0.0005≦x<0.015である請求項1に記載の蛍光体。
  4. AがBaであり、かつ0.0005≦x≦0.025である請求項1に記載の蛍光体。
  5. AGe49と同一のXRDパターンを示し、青色光による励起により赤色蛍光を与える請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体。
  6. 青色光領域または紫外光領域で発光を示す発光素子と請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体とを含む光源。
  7. 前記発光素子が発光ダイオードである請求項6に記載の光源。
  8. 前記発光ダイオードがInGaNを含む請求項7に記載の光源。
  9. さらにCe3+で賦活したYAG蛍光体を含み、
    前記発光素子が青色光領域で発光を示す発光素子である
    請求項6〜8のいずれか一項に記載の光源。
  10. マンガン賦活ゲルマン酸塩を含む蛍光体の製造方法であって、
    原料混合物を焼成する工程を含み、
    前記焼成を酸化性ガス環境下で行う製造方法。
  11. 前記原料混合物がMnCO3を含む請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記焼成が800℃〜1050℃で行われる仮焼工程と1000℃〜1200℃で行われる本焼工程とを含む請求項10または11に記載の製造方法。
  13. 前記マンガン賦活ゲルマン酸塩が式(I)で表される請求項10〜12のいずれか一項に記載の製造方法:
    AGe4-x9:xMn (I)
    式中、AはSr、BaおよびCaからなる群より選択される1種以上を示し、0.0005≦x≦0.030である。
  14. 前記原料混合物が、前記MnCO3、ACO3、およびGeO2の混合物である請求項13に記載の製造方法。
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