JP6920727B2 - 蛍光体、蛍光体を含む光源、および新規無機酸化物 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光体、蛍光体を含む光源、および新規無機酸化物に関する。より詳しくは、本発明は、ダブルペロブスカイト(double-perovskite)構造の無機酸化物を含む蛍光体、この蛍光体を含む光源、およびダブルペロブスカイト構造の新規無機酸化物に関する。
LEDを発光源とする光源は高効率かつ長寿命であって、環境親和性が高く多くの長所を持つ新世代の光源とされている。白色光源としては、青色LED、緑色LED、および赤色LEDを組み合わせたものの他、紫外光〜青色光発光LEDと各種蛍光体とを組み合わせたものが一般的である。
現在実用化されている白色光源の例としてはCe3+で賦活したYAG黄色蛍光体とInGaN青色LEDチップの組み合わせによるものが挙げられる。しかし、この白色光源は、赤色成分を欠くため、演色性は屋内での使用などに対しては十分ではない。このような観点から、白色光源の演色性の向上のため、近年、赤色蛍光体が各種探索されている。赤色蛍光体としてはEu2+等の希土類イオンを含む蛍光体が報告されてきているが、希土類イオンの多くは高価である。一方、希土類元素を含まない蛍光体として、ヒ素含有酸化物蛍光体、硫化物蛍光体、および酸窒化物蛍光体なども開発されているが、安全性、安定性または合成容易性などの観点から十分なものではない。
一方、安全性などに優れた赤色蛍光体として、近年、マンガンを用いた蛍光体が各種報告されている。マンガンは安価であるため赤色蛍光体のコスト削減にも寄与する。例えば、非特許文献1では、ダブルペロブスカイト構造のBa2LaNbO6にMn4+またはCr3+をドープしてNbサイトに置換、配置した深赤色蛍光体が報告されている。また、非特許文献2は、ダブルペロブスカイト構造のLa2LiTaO6にMn4+をドープした蛍光体を開示しており、非特許文献3は、ダブルペロブスカイト構造のGd2ZnTiO6にMn4+をドープした蛍光体を開示している。
P.A.Tanner et al, Inorg. Chem. 2009, 48, 11142-11146 Lei Wang et al, Appl. Phys. A, 2014, 117, 1777-1783 Hui Chen et al, J. Mater. Chem. C 2016, DOI: 10.1039/C6TC00313C
本発明の課題は、青色光波長域の光の励起により赤色の蛍光を示す新規蛍光体を提供することである。特に本発明の課題は、安価で安全性および安定性が高いマンガンを賦活剤として用いた蛍光体を提供することである。本発明は、また、屋内での使用に適した演色性を有する照明装置等を提供可能な光源を提供することを課題とする。
本発明者らは、マンガンを含む赤色蛍光体として様々な蛍光体を検討する過程でダブルペロブスカイト(double-perovskite)構造を有する無機酸化物を母体とする蛍光体を得、この蛍光体が、青色光波長域の光の励起により赤色の蛍光を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の[1]〜[13]を提供するものである。
[1]Sb、Nb、Ta、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素、La、ならびにNaを構成元素とする無機酸化物を含み、
上記無機酸化物はダブルペロブスカイト構造を有し、
上記無機酸化物がマンガンイオンでドープされている蛍光体。
[2]上記無機酸化物がLa2-yNa1+yMO6で表され、
MはSb、Nb、Ta、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素を示し、
yは0、0.5または1である[1]に記載の蛍光体。
[3]上記マンガンイオンが4価のマンガンイオンである[1]または[2]に記載の蛍光体。
[4]上記無機酸化物がさらにカルシウムイオンでドープされている[1]〜[3]のいずれかに記載の蛍光体。
[5]La2NaTaO6、Ca2LaTaO6またはNaLaMgTeO6と同一のXRDパターンを示し、青色光による励起により赤色蛍光を与える[1]〜[4]のいずれかに記載の蛍光体。
[6]上記無機酸化物がLa2NaSbO6、La2NaNbO6、La2NaTaO6、La1.5Na1.5TeO6、La1.5Na1.5WO6、またはLaNa2IO6で表される[1]〜[5]のいずれかに記載の蛍光体。
[7]上記無機酸化物が、Sb、Nb、Ta、Te、W、またはIのatom数に対して0.1atom%〜1atom%のマンガンイオンおよびSb、Nb、Ta、Te、W、またはIのatom数に対して0.01atom%〜5atom%のカルシウムイオンでドープされている[6]に記載の蛍光体。
[8]La2NaSbO6、La2NaNbO6、またはLa2NaTaO6が、Sb、Nb、またはTaのatom数に対して0.1atom%〜1atom%のマンガンイオンおよびSb、Nb、またはTaのatom数に対して0.01atom%〜5atom%のタングステンイオンでドープされている[6]に記載の蛍光体。
[9]青色光領域または紫外光領域で発光を示す発光素子と[1]〜[8]のいずれかに記載の蛍光体とを含む光源。
[10]上記発光素子が発光ダイオードである[9]に記載の光源。
[11]上記発光ダイオードがInGaNを含む[10]に記載の光源。
[12]Ce3+で賦活したYAG蛍光体を含み、
上記発光素子が青色光領域で発光を示す発光素子である
[9]〜[11]のいずれかに記載の光源。
[13]La2-yNa1+yMO6で表され、
MはSb、Nb、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素を示し、
yは0、0.5または1であり、
ダブルペロブスカイト構造を有する無機酸化物。
本発明により、赤色蛍光体として、ダブルペロブスカイト構造の無機酸化物からなる母体がマンガンイオンでドープされている新規蛍光体が提供される。本発明の蛍光体を利用して、屋内での使用に適した演色性を有する照明装置や、画像表示装置のバックライト等として使用可能な光源を提供することができる。また、本発明によってダブルペロブスカイト構造の新規無機酸化物が提供される。
ダブルペロブスカイト構造を示す図である。 実施例で作製した蛍光体およびダブルペロブスカイト構造を有する既知の無機酸化物のXRDパターンを示す図である。 実施例で作製した蛍光体およびダブルペロブスカイト構造を有する既知の無機酸化物のXRDパターンを示す図である。 実施例で作製した蛍光体およびダブルペロブスカイト構造を有する既知の無機酸化物のXRDパターンを示す図である。 実施例で作製した蛍光体の励起スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。 実施例で作製した蛍光体の励起スペクトルおよび蛍光スペクトルを示す図である。 実施例で作製した蛍光体およびYAG蛍光体BY−102Aの蛍光スペクトルを重ねて示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「LED」は発光ダイオードを意味し、「有機EL」は有機エレクトロルミネセンスを意味し、「YAG」は、イットリウムとアルミニウムとの複合酸化物のガーネット構造の結晶を意味する。「XRD」はX線回折(X−ray diffraction)を意味する。また、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。また、本明細書において、数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同一」、「同じ」等の表現)については、無機物や結晶について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
<蛍光体>
本発明の蛍光体は、Sb、Nb、Ta、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素(本明細書において「M」ということがある)とLaとNaとを構成元素とする無機酸化物を含む。この無機酸化物はダブルペロブスカイト構造を有する。本発明の蛍光体においては、上記無機酸化物がマンガンイオンでドープされている。本発明の蛍光体はすなわち、M、La、ならびにNaを構成元素とする無機酸化物を母体として有し、この母体がマンガンイオンでドープされることによって賦活されて蛍光性を示す。マンガンイオンでドープされた無機酸化物である蛍光体もダブルペロブスカイト構造を有することが好ましい。
無機酸化物または蛍光体に含まれるM(Sb、Nb、Ta、Te、WまたはI)の価数は限定されるものではないが、Sb、Nb、およびTaは5価のイオン、TeおよびWは6価のイオン、Iは7価のイオンであることが好ましい。
[ダブルペロブスカイト構造]
ダブルペロブスカイト構造の典型的な例を図1に示す。ペロブスカイト型化合物は、一般的にABX3で表すことができるが、ダブルペロブスカイト構造を有する化合物は、ペロブスカイト型構造のAサイトとBサイトの両方または片方のみのサイトが異種原子となり、一般的にA’A”B’B”X6で表すことができる組成を有する。図1中で8つ描かれている球体がAサイトであり、頂点にXサイトが存在する八面体の中心部がBサイトである。ダブルペロブスカイト構造においては一般的には、AサイトまたはBサイトに2種のイオンが交互配列している。図1に示すダブルペロブスカイト構造では、Bサイトが交互配列している。しかし、このような配列から変動があるものもダブルペロブスカイト構造に含まれる。例えば、上記交互配列は厳密な交互配列でなくてもよく、AサイトおよびBサイトの双方に2種のイオンが存在していてもよい。また、ダブルペロブスカイト構造としては、図1に示す構造に歪みが加わった構造も知られており(例えば、J. Cryt. Growth 2008. 310, 240-244)、本明細書において、ダブルペロブスカイト構造というときは、このような歪みを有する構造も含む。
ダブルペロブスカイト構造においてXサイトに存在する元素(好ましくはO)の数は6からわずかに変動しうる(例えば、5.0〜6.0)が、このような変動の範囲のものは全てA’A”B’B”X6で表すことができる組成を有するダブルペロブスカイト構造の範囲内であるものとする。
本発明の蛍光体におけるダブルペロブスカイト構造は、AサイトにLaが存在し、XサイトにはOが存在することが好ましい。AサイトにさらにNaが存在していてもよい。BサイトにはNaならびにM(Sb、Nb、Ta、Te、WまたはI)が交互配列していることが好ましい。
本発明の蛍光体に含まれる無機酸化物は、La2-yNa1+yMO6で表されることが好ましい。MはSb、Nb、Ta、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素を示し、yは0、0.5、または1である。
La2-yNa1+yMO6の例としては、La2NaSbO6、La2NaNbO6、La2NaTaO6、La1.5Na1.5TeO6、La1.5Na1.5WO6、LaNa2IO6が挙げられる。なお、各元素の量については多少の誤差が生じ得ることは当業者に周知である。
マンガンイオンでドープされたLa2-yNa1+yMO6は、「La2-yNa1+yMO6:Mn」との式で表すことができ、さらに、後述のようにドープ量を考慮した式で表すこともできる。例えば、La2NaSbO6がマンガンイオンおよびカルシウムイオンでドープされた蛍光体を「La2Na0.997Sb0.9976:0.003Mn,0.003Ca」のように表すことができる。
[マンガンイオン]
本発明の蛍光体において、ドープされたマンガンイオンはBサイトにあるMと置換した構造をとっていると考えられる。La2-yNa1+yMO6の組成のダブルペロブスカイト構造においては、BサイトにNaおよびMが交互配列している構造を有するため、置換したマンガンイオンは母体中で孤立しやすく、その結果蛍光強度が上げやすい。
マンガンイオンは、2〜5価のイオンとして母体にドープされていればよく、2価、4価または5価のイオンとしてドープされていることが好ましく、4価のイオンとしてドープされていることがより好ましい。4価のイオンとしてドープされているときに蛍光強度がより高くなると考えられる。本発明の蛍光体においては複数の価数のマンガンイオンが混在してもよい。
一般に、マンガンイオンでドープされた蛍光体においては、合成の際添加したマンガンのうち、Mに置換していないマンガンイオンまたは母体結晶に取り込まれないマンガンイオンが含まれていると考えられるが、本発明の蛍光体においては、Mnイオンの大部分が母体結晶構造のMと置換し高い蛍光強度を与えていると考えられる。
マンガンイオンのドープ量は元素Mのatom数を1とするとき、0.0005〜0.02(Mのatom数に対して0.05atom%〜2atom%)であることが好ましく、0.001〜0.01(Mのatom数に対して0.1atom%〜1atom%)であることがより好ましく、0.002〜0.005(Mのatom数に対して0.2atom%〜0.5atom%)であることがさらに好ましい。
[その他のドーパントイオン]
本発明の蛍光体はマンガンイオンに加えてマンガンイオン以外のその他のドーパントイオン(コドーパント)でドープされていることも好ましい。その他のドーパントイオンは母体結晶構造の元素と置換していても置換していなくてもよいが、置換していることが好ましい。その他のドーパントイオンは電荷補償のためのイオンとして本発明の蛍光体に含まれていればよい。
またその他のドーパントイオンは母体結晶に取り込まれていることが好ましい。
その他のドーパントイオンとしては、例えば、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、ナトリウムイオン(Na+)、タングステンイオン(W6+)が挙げられ、これらのうち、カルシウムイオン(Ca2+)が好ましい。Sb、Nb、またはTaを含む無機酸化物を母体とするときは、タングステンイオン(W6+)であることも好ましい。
その他のドーパントイオンのドープ量は電荷補償のために必要なドープ量であればよいが、厳密に必要なドープ量でなくてもよく、電荷補償のために必要なドープ量に対し、多くなっていても、少なくなっていてもよい。例えば、元素Mのatom数を1とするとき、0.0001〜0.05(Mのatom数に対して0.01atom%〜5atom%)であることが好ましく、0.0005〜0.02(Mのatom数に対して0.05atom%〜2atom%)であることがより好ましく、0.001〜0.01(Mのatom数に対して0.1atom%〜1atom%)であることがさらに好ましい。マンガンイオンのドープ量に対し、1〜3倍(atom数)のドープ量であることも好ましい。
本発明の蛍光体としては以下の例が挙げられる。
La2Na0.997Sb0.9976:0.003Mn,0.003Ca
La2Na0.997Nb0.9976:0.003Mn,0.003Ca
La2Na0.997Ta0.9976:0.003Mn,0.003Ca
La1.5Na1.494Te0.9976:0.003Mn,0.006Ca
La1.5Na1.4940.9976:0.003Mn,0.006Ca
La2NaSb0.9946:0.003Mn,0.003W
La2NaNb0.9946:0.003Mn,0.003W
La2NaTa0.9946:0.003Mn,0.003W
LaNa1.9910.9976:0.003Mn,0.009Ca
La2NaSb0.9975.9985:0.003Mn
La2NaNb0.9975.9985:0.003Mn
La2NaTa0.9975.9985:0.003Mn
La1.5Na1.5Te0.9975.997:0.003Mn
La1.5Na1.50.9975.997:0.003Mn
LaNa20.9975.9955:0.003Mn
なお、各元素の量について多少の誤差が生じ得ることは当業者に周知である。
本発明の蛍光体の形状は、特に限定されないが、例えば、粒子状であればよく、0.1μm〜100μmの粒子サイズであることが好ましい。より大きい粒子サイズの蛍光体がより高い輝度を与えると考えられる。
<蛍光体の製造方法>
本発明の蛍光体は、原料混合物を焼成する工程を含む固相反応法により製造することができる。
焼成は、例えば、400℃〜1300℃、好ましくは500℃〜1100℃で行えばよい。焼成時間は一般に1時間以上であればよく、3時間〜72時間であることが好ましく、5〜18時間であることがより好ましい。焼成における昇温は、30分〜6時間、好ましくは1時間〜5時間かけて行ってもよい。
焼成は、大気条件下で行うことができるが、必要に応じて、酸素雰囲気下で行ってもよい。
焼成は仮焼工程と本焼工程とを含むことも好ましい。仮焼工程と本焼工程とを含む焼成により、La2-yNa1+yMO6で表されるダブルペロブスカイト型酸化物の純度の高い蛍光体を得ることができる。仮焼工程は400℃〜800℃、好ましくは、500℃〜700℃で、2時間〜12時間、好ましくは、3時間〜9時間行えばよい。本焼工程は500℃〜1300℃、好ましくは、600℃〜1100℃で、2時間〜24時間、好ましくは、8時間〜18時間行えばよい。仮焼工程と本焼工程との間に、中間生成物を環境温度まで冷却する工程を含むことが好ましい。冷却により中間生成物を粉砕、混合することができるからである。すなわち、冷却後再昇温の前に粉砕、混合、または粉砕および混合の工程を含むことが好ましい。固相反応を促進させて純粋な生成物を得ることができるからである。冷却後は再度30分〜6時間、好ましくは1時間〜5時間かけて昇温し、本焼を行えばよい。
本焼はパウダーベッド法により行なうことが好ましい。パウダーベッド法はペレット状の被焼成物の周りに粉末状の被焼成物を配して焼成を行なう方法である。このような方法により、ペレットからの蒸発等を起こりにくくし、被焼成物における各元素のモル比を維持した生成物をペレットにおいて得ることができる。被焼成物は原料を混合した混合物であってもよく、原料を混合した混合物をか焼して得られた中間生成物であってもよい。粉末とペレットとの質量比はおよそ1:2以上、好ましくは1:3以上であればよい。
ペレットは、被焼成物に例えば5〜10トンの圧力を加えて作製することができる。ペレットは、例えば、7mm×7mm〜10mm×10mmサイズ、厚み約1〜2mmに作製すればよい。
焼成の後にアニール処理を行ってもよい。アニール処理は400℃〜1300℃、好ましくは、600℃〜1000℃で、2時間〜42時間、好ましくは、12時間〜36時間行えばよい。アニール処理は酸素雰囲気下または窒素雰囲気下で行うことができ、MがTeの場合は窒素雰囲気下で、MがSb、Nb、又はTaの場合は酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
原料混合物において、マンガンの供給源としては、例えば、炭酸マンガン(MnCO3)、酸化マンガンまたは酢酸マンガンなどを用いることができ、MnCO3を用いることが好ましい。
原料混合物において、La、Sb、Nb、Ta、Te、WおよびIの供給源としては、例えば、それぞれの酸化物を用いることができる。
Naの供給源としては、例えば、炭酸塩(Na2CO3)を用いることができる。
すべての原料は粉末状でできるだけ高純度(99.9%以上)でかつ粒子サイズが小さいものが好ましい。反応性を高くするためである。
各原料、目的の蛍光体の化学量論比にしたがったモル比で混合すればよい。ただし、製造中の蒸発量を考慮して上記の比は適宜修正することができる。
混合方法は特に限定されない。例えば、乳鉢またはボールミルを用いてもよい。混合は乾式法で行ってもよく、湿式法で行なってもよく、双方を行ってもよい。例えば、乾式法での混合のあと湿式法での混合を行ってもよい。湿式法での混合は、例えばエタノールを混ぜて乳鉢上で混合することにより行うことができる。
<蛍光体の用途>
本発明の蛍光体は、赤色蛍光体として使用することができる。赤色蛍光体が発する蛍光は波長620〜730nmの範囲にピーク(蛍光スペクトルのピーク)を与える光であればよい。
赤色蛍光体は、各種光源の製造に使用可能であり、その蛍光体を励起する光波長領域で発光を示す発光素子と組み合わせて用いることにより、光源を構成することができる。発光素子としては、発光ダイオード(LED)を用いることができる。
本発明の蛍光体は青色光または紫外光で励起されて赤色の蛍光を与える性質を有する。
青色光領域で発光を示す青色LEDとしては特に限定されないが、例えば、波長390〜480nmの範囲にピーク(励起スペクトルのピーク)を与えるものであればよく、InGaN、GaNまたはAlGaNなどを含む素子を用いることができる。
紫外光領域で発光を示す紫外光LEDとしては特に限定されないが、例えば波長200〜350nmの範囲にピーク(励起スペクトルのピーク)を与えるものであればよく、InAlGaNまたはAlGaNなどを含む素子を用いることができる。
本発明の蛍光体は、青色LED、および青色光による励起により緑色光の蛍光を示す緑色蛍光体と組み合わせることにより白色光源を形成することができる。または、本発明の蛍光体を、紫外光LED、紫外光による励起により青色光の蛍光を示す青色蛍光体、および紫外光による励起により緑色光の蛍光を示す緑色蛍光体と組み合わせることにより白色光源を形成することができる。
また、青色LEDと青色光による励起により黄色光の蛍光を示す黄色蛍光体とを組み合わせた白色光源の演色性の調整のために本発明の蛍光体を用いることも好ましい。例えば、青色LEDが発光する波長により非常に高い強度の黄色蛍光を示す蛍光体としてYAGをCe3+で賦活した蛍光体が知られているが、本発明の蛍光体は、YAG蛍光体の蛍光とは明確に異なる赤色波長域において十分な強度の蛍光を示す。そのため、本発明の蛍光体は、青色LEDおよびYAG蛍光体を含む白色光源に用いられてもよい。本発明の蛍光体を含む白色光源の光は赤色成分を十分に含み、屋内照明装置に適した温かみのある白色光が実現できる。また、白色光源はその他の照明装置や液晶表示装置の各種画像表示装置のバックライトとして使用することもできる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
<蛍光体の合成>
(Teを含む蛍光体)
合成は固相反応法で行なった。出発物質には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、Na2CO3粉末(99.5%)と高純度化学研究所から市販されているTeO2粉末(99.9%)、MnCO3粉末(99.9%)、及び関東化学から市販されているCaCO3粉末(99.99%)を用いた。それぞれの粉末を原子比でLa:Na:Te:Mn:Ca=1.5:(2.5−2x)/(1.5−2x):1−x:x:2xとなるように秤量した。xはMnドープ量であり、ここではx=0.003である。なお、揮発性が高いNa2CO3については、最終生成物の量比に対して高比率で秤量した。秤量したそれらの出発物質を、メノウ乳鉢を用いて乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、大気条件において600℃で4時間か焼を行った。その後再度混合し、一部をペレット化した。作製したペレットの周りに粉末状の生成物を配して、大気条件において1000℃で12時間、パウダーベッド法で焼成した。その後、焼成後のペレットについて窒素雰囲気でアニールを800℃で24時間行い、蛍光体を得た。アニール時のガス流量は60mL/minとした。
生成物についてICP発光分析を行い、母体結晶の組成はおよそLa1.5Na1.5TeO6であると特定された。La1.5Na1.5TeO6の結晶の空間群はP21/c(No.14−1)である。リートベルト解析の結果から得た結晶構造はBサイトのTeとNaが岩塩型でオーダーで配列したBサイトオーダーダブルペロブスカイト構造であり、AサイトはLaとNaが3:1の割合でディスオーダーしていることがわかった。
(Sbを含む蛍光体)
試料の合成は改良固相反応法で行なった。出発物質には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、Na224粉末(99.5%)、Sb23(99.9%)及び関東化学から市販されているCaCO3粉末(99.99%)、(CH3COO)2Mn・4H2O(99.0%)、尿素(99.0%)を用いた。それぞれの粉末を原子比でLa:Na:Sb:Mn:Ca=1:1.5−x:1.1−x:x:xとなるように秤量した(xはMnドープ量)。xはMnドープ量であり、ここではx=0.003である。また、尿素は全金属原子の総物質量と同じ物質量だけ秤量した。秤量したそれらの出発物質をメノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、大気条件において600℃で4時間か焼を行った。その後再度混合し、一部をペレット化し大気条件において800℃で12時間、パウダーベッド法で焼成した。酸素雰囲気でアニールを700℃で24時間行った。その際のガス流量は60mL/minとした。
生成物についてICP発光分析を行い、母体結晶の組成はおよそLa2NaSbO6であると特定された。La2NaSbO6の結晶の空間群はP21/c(No.14−1)である。リートベルト解析の結果から得た結晶構造はBサイトのSbとNaが岩塩型でオーダーで配列したBサイトオーダーダブルペロブスカイト構造であり、AサイトはLaのみが占有していることがわかった。
CaCO3粉末(99.99%)の代わりにキシダ化学製のWO3粉末(99.9%)を用いた以外は、上記と同様の手順で、コドーパントの異なる蛍光体をさらに製造した。
(Nbを含む蛍光体)
合成は固相反応法で行なった。出発物質には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、Na2CO3(99.5%)と前駆体であるNa1-xNb1-x3:xMn,xCaを用いた。前駆体は改良固相反応法にて合成した。原料には和光純薬工業から市販されているNb25粉末(99.9%)、Na224粉末(99.5%)、及び関東化学から市販されているCaCO3粉末(99.99%)、(CH3COO)2Mn・4H2O(99.0%)、尿素(99.0%)を用いた。それぞれの粉末を原子比でNa:Nb:Mn:Ca=1:1−x:x:xとなるように秤量した。xはMnドープ量であり、ここでx=0.003である。また、尿素は全金属原子の総物質量と同じ物質量だけ秤量した。秤量したそれらの出発物質をメノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、大気条件において600℃で4時間焼成を行って前駆体を得た。この前駆体粉末と水酸化ランタン粉末をモル比La:Na1-xCaxNb1-xMnx=2:1となるように秤量した。秤量したそれらの出発物質をメノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合した。一部をペレット化し、大気条件において850℃で4時間パウダーベッド法にてか焼を行った。その後ペレットに対して20質量%のNa2CO3を添加して再度混合し、ペレット化し、パウダーベッド法にて大気条件において850℃で4時間焼成した。
(Taを含む蛍光体)
合成は固相反応法で行なった。出発物質には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、Na2CO3(99.5%)と前駆体であるNa1-xTa1-x3:xMn,xCaを用いた。前駆体は改良固相反応法にて合成した。原料には和光純薬工業から市販されているNa224粉末(99.5%)、及び関東化学から市販されているTa25粉末(99.95%)、CaCO3粉末(99.99%)、(CH3COO)2Mn・4H2O(99.0%)、尿素(99.0%)を用いた。それぞれの粉末を原子比でNa:Ta:Mn:Ca=1:1−x:x:xとなるように秤量した。xはMnドープ量であり、ここでx=0.003である。また、尿素は全金属原子の総物質量と同じ物質量だけ秤量した。秤量したそれらの出発物質をメノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、大気条件において600℃で4時間焼成を行って前駆体を得た。この前駆体粉末と水酸化ランタン粉末をモル比La(OH)3:Na1-xCaxTa1-xMnx=2:1となるように秤量した。またフラックスのNa2CO3は30質量%秤量した。秤量したそれらの出発物質を、メノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合した。一部をペレット化し、大気条件において850℃で4時間パウダーベッド法にてか焼を行った。その後ペレットに対して10質量%のNa2CO3を添加して再度混合し、ペレット化し、パウダーベッド法にて大気条件において950℃で4時間焼成した。
(Wを含む蛍光体)
合成は固相反応法で行なった。出発物質には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、Na2CO3(99.5%)と前駆体であるLa2-2x3-x12:xMn,2xCaを用いた。前駆体も固相反応法にて合成した。原料には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、キシダ化学から市販されているWO3粉末(99.9%)、高純度化学研究所から販売されているMnCO3粉末(99.9%)、及び関東化学から市販されているCaCO3粉末(99.99%)を用いた。それぞれの粉末を原子比でLa:W:Mn:Ca=2−2x:3−x:x:2xとなるように秤量した。xはMnドープ量であり、ここでx=0.003である。秤量したそれらの出発物質をメノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、大気条件において1000℃で10時間か焼を行った。その後再度混合し、大気条件において1020℃で10時間本焼を行い前駆体を得た。この前駆体粉末と水酸化ランタン粉末及び炭酸ナトリウム粉末をモル比La2-2xCa2x3-xMnx:La(OH)3:Na2CO3=1:2.5:2.25となるように秤量した。秤量したそれらの出発物質を乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、一部をペレット化した。作製したペレットの周りに粉末状の生成物を配して、大気条件において900℃で10時間パウダーベッド法にて焼成を行い、ペレットとして蛍光体を得た。
(Moを含む化合物)
合成は固相反応法で行なった。出発物質には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、Na2CO3(99.5%)と前駆体であるLa2-2xMo3-x12:xMn,2xCaを用いた。前駆体も固相反応法にて合成した。原料には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、高純度化学研究所から販売されているMoO3粉末(99.98%)、MnCO3粉末(99.9%)、及び関東化学から市販されているCaCO3粉末(99.99%)を用いた。それぞれの粉末を原子比でLa:Mo:Mn:Ca=2−2x:3−x:x:2xとなるように秤量した。xはMnドープ量であり、ここでx=0.003である。秤量したそれらの出発物質をメノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、大気条件において500℃で4時間か焼を行った。その後再度混合し、大気条件において800℃で4時間本焼を行い前駆体を得た。この前駆体粉末と水酸化ランタン粉末及び炭酸ナトリウム粉末をモル比La2-2xCa2xMo3-xMnx:La(OH)3:Na2CO3=1:2.5:2.25となるように秤量した。秤量したそれらの出発物質を、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、一部をペレット化した。作製したペレットの周りに粉末状の生成物を配して、大気条件において900℃で10時間パウダーベッド法にて焼成を行った。ペレットとして化合物を得た。
(Iを含む蛍光体)
試料の合成は固相反応法で行なった。出発物質には和光純薬工業から市販されているLa23粉末(99.99%)を空気中で3日間放置して得たLa(OH)3粉末、Na2CO3(99.5%)と高純度化学研究所から市販されているMnCO3粉末(99.9%)、及び関東化学から市販されているCaCO3粉末(99.99%)、NaIO4(99.5%)を用いた。それぞれの粉末をモル比La(OH)3:Na2CO3:NaIO4:MnCO3:CaCO3=1:1−2x:1.1−x:x:3xとなるように秤量した(xはMnドープ量で、x=0.003)。秤量したそれらの出発物質を、メノウ乳鉢を用いて、乾式法で10分間、湿式法(エタノール)で20分間混合し、一部をペレット化した。作製したペレットの周りに粉末状の生成物を配して、大気条件において600℃で12時間でパウダーベッド法にて焼成し、ペレットとして蛍光体を得た。
得られた蛍光体について波長分散型のXRF測定を行い、母体結晶の組成はおよそLaNa2IO6であると特定された。結晶の空間群はP21/m(No.11−1)である。リートベルト解析の結果から、結晶構造はBサイトのIとNaが岩塩型でオーダー配列したBサイトオーダーダブルペロブスカイト構造ということがわかった。また、AサイトについてもLaとNaが層状にオーダーしていることがわかった。しかし完全なオーダーではなく、10−20%程度のLaがNaのサイトに混じっており、逆に、10−20%程度のNaがLaのサイトに交じっていることがわかった。
<XRDパターン>
測定は、RINT−2200X線回折装置(株式会社リガク製)にてCuKα単色光源(λ=0.15418nm)を用いて行った。得られたXRDパターンを図2〜4に示す。
図2には、La2NaTaO6(ICSD No:159206)のXRDパターンとともに、上記合成で得られたLa2Na0.9970.9976:0.003Mn,0.003Ca(M=Sb,Nb,Ta)のXRDパターンを示す。
図2に示す結果から、マンガンイオンおよびカルシウムイオンでドープされたLa2NaTaO6はダブルペロブスカイト構造を有するLa2NaTaO6(ICSD No:159206)と同じXRDパターンを示しており、同様の結晶構造を有していることがわかる。さらに、マンガンイオンおよびカルシウムイオンでドープされたLa2NaSbO6およびLa2NaNbO6はLa2NaTaO6(ICSD No:159206)と同じXRDパターンを示しており、同様の結晶構造を有していることがわかる。この結果から、マンガンイオンおよびカルシウムイオンでドープされたLa2NaMO6(M=Sb,Nb,Ta)はいずれも公知のLa2NaTaO6と同様の結晶構造を有していることがわかる。
また、MnおよびWでドープされたLa2NaSbO6のXRDパターンを図2に示す。図2からわかるように、マンガンイオンおよびタングステンイオンでドープされたLa2NaSbO6はLa2NaTaO6(ICSD No:159206)と同じXRDパターンを示しており、公知のLa2NaTaO6と同様の結晶構造を有していることがわかる。
図3には、Ca2LaTaO6(ICSD No:20916)のXRDパターンとともに、上記合成で得られたLa1.5Na1.4940.9976:0.003Mn,0.006Ca(M=Te,W,Mo)のXRDパターンを示す。
図3に示す結果から、マンガンイオンおよびカルシウムイオンでドープされたLa1.5Na1.5TeO6はダブルペロブスカイト構造を有するCa2LaTaO6(ICSD No:20916)と同じXRDパターンを示しており、同様の結晶構造を有していることがわかる。La1.5Na1.5WO6については、不純物が多いがLa1.5Na1.5TeO6と同様のXRDパターンを示しているため、ダブルペロブスカイト構造を有していることがわかる。La1.5Na1.5MoO6としては同様のXRDパターンが得られなかったため、ダブルペロブスカイト構造を有するものが得られておらず、組成も異なると推定される。
図4には、NaLaMgTeO6(ICSD No:78532)のXRDパターンとともに、上記合成で得られたLaNa1.9910.9976:0.003Mn,0.009CaのXRDパターンを示す。
図4に示す結果から、マンガンイオンおよびカルシウムイオンでドープされたLaNa2IO6はダブルペロブスカイト構造を有するNa2LaMgTeO6(ICSD No:78532)と同じXRDパターンを示しており、同様の結晶構造を有していることがわかる。
<励起および蛍光スペクトル>
測定は、JASCO FP−6500蛍光分光光度計(150Wキセノン光源、積分球JASCO ISF−513)を用いて、室温で行った。
La2Na0.9970.9976:0.003Mn,0.003Ca(M=Sb,Nb,Ta)の励起および蛍光スペクトルを図5に示す。励起スペクトルの測定は蛍光波長700nmで行った。その結果、いずれも、波長250〜450nmに位置し315nmにピーク波長を有する励起帯と、440〜550nmに位置し500nmにピーク波長を有する励起帯とが観測された。また、約315nmの青色光での励起による蛍光スペクトルでは、いずれも約700nmに位置するピークを持つ650〜750nmに位置する蛍光帯を示した。
また、MnおよびWでドープされたLa2NaSbO6(La2NaSb0.9946:0.003Mn,0.003W)の励起および蛍光スペクトルを図5に示す。図5からわかるように、MnおよびCaでドープされたLa2NaSbO6よりも強い蛍光強度を示している。
La1.5Na1.5Te0.9916:0.003Mn,0.006Ca、La1.5Na1.50.9916:0.003Mn,0.006Ca、LaNa1.9910.9976:0.003Mn,0.009Caの励起および蛍光スペクトルを図6に示す。励起スペクトルの測定は蛍光波長700nmで行った。その結果、いずれも、波長300〜400nmにピーク波長を有する励起帯と、440〜550nmにピーク波長を有する励起帯とが観測された。また、約315nmの紫外光での励起による蛍光スペクトルでは、いずれも約700nmに位置するピークを有する蛍光帯を示した。
図7に、La1.5Na1.494Te0.9976:0.003Mn,0.006CaとY3Al512:Ce(YAG)蛍光体BY−102A(三菱化学株式会社製)の、465nm励起光下の蛍光スペクトルをそれぞれ示す。YAGの蛍光スペクトルは561nmに蛍光ピーク強度波長を持つ500〜750nm域に広がるブロードな帯を示す。一方、La1.5Na1.494Te0.9976:0.003Mn,0.006Caの最大ピーク波長は、700nmであり、黄色蛍光体として機能するYAG蛍光体とは明確に異なる赤色波長域でのピーク波長を示した。また、最大ピーク波長での蛍光強度はYAG蛍光体の最大ピーク波長での蛍光強度に対しそれぞれ約1/2倍であった。従って、InGaN青色LEDチップ(発光波長ピークおおよそ450nm)とYAG蛍光体とから成る白色LEDの赤色成分の補填に十分寄与できる強度であると考えられる。

Claims (13)

  1. Sb、Nb、Ta、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素、La、ならびにNaを構成元素とする無機酸化物を含み、
    前記無機酸化物はダブルペロブスカイト構造を有し、
    前記無機酸化物がマンガンイオンでドープされている蛍光体。
  2. 前記無機酸化物がLa2-yNa1+yMO6で表され、
    MはSb、Nb、Ta、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素を示し、
    yは0、0.5または1である請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記マンガンイオンが4価のマンガンイオンである請求項1または2に記載の蛍光体。
  4. 前記無機酸化物がさらにカルシウムイオンでドープされている請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体。
  5. La2NaTaO6、Ca2LaTaO6またはNaLaMgTeO6と同一のXRDパターンを示し、青色光による励起により赤色蛍光を与える請求項1〜4のいずれか一項に記載の蛍光体。
  6. 前記無機酸化物がLa2NaSbO6、La2NaNbO6、La2NaTaO6、La1.5Na1.5TeO6、La1.5Na1.5WO6、またはLaNa2IO6で表される請求項1〜5のいずれか一項に記載の蛍光体。
  7. 前記無機酸化物が、Sb、Nb、Ta、Te、W、またはIのatom数に対して0.1atom%〜1atom%のマンガンイオンおよびSb、Nb、Ta、Te、W、またはIのatom数に対して0.01atom%〜5atom%のカルシウムイオンでドープされている請求項6に記載の蛍光体。
  8. La2NaSbO6、La2NaNbO6、またはLa2NaTaO6が、Sb、Nb、またはTaのatom数に対して0.1atom%〜1atom%のマンガンイオンおよびSb、Nb、またはTaのatom数に対して0.01atom%〜5atom%のタングステンイオンでドープされている請求項6に記載の蛍光体。
  9. 青色光領域または紫外光領域で発光を示す発光素子と請求項1〜8のいずれか一項に記載の蛍光体とを含む光源。
  10. 前記発光素子が発光ダイオードである請求項9に記載の光源。
  11. 前記発光ダイオードがInGaNを含む請求項10に記載の光源。
  12. Ce3+で賦活したYAG蛍光体を含み、
    前記発光素子が青色光領域で発光を示す発光素子である
    請求項9〜11のいずれか一項に記載の光源。
  13. La2-yNa1+yMO6で表され、
    MはSb、Nb、Te、WおよびIからなる群より選択される1種以上の元素を示し、
    yは0、0.5または1であり、
    ダブルペロブスカイト構造を有する無機酸化物。
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