以下、本発明の実施の形態に係るボール検査リペア装置1について図面を参照しながら説明する。なお、ボール検査リペア装置1は、複数種類の直径を有するボールB(以降、ボールの総称として使用する)に対応可能であるが、以下の実施の形態では、ボールの直径が2種類の場合を代表例として説明する。なお、ボール検査リペア装置1で取り扱うボールは、導電性を有する微小なボールであって、電気的な接続を得るために半田ボール(銀(Ag)や銅(Cu)などを含み、主成分が錫(Sn)からなるボール)、金あるいは銀などの導電率が高い金属製のボールなどがある。さらに、ボールBとしては、セラミックス製のボールあるいはプラスチック製のボールに導電性メッキなどの処理が施されたものが含まれる。また、ボールの直径は概ね1mm以下であって、たとえば、数10μm〜数100μm程度の微小ボールで、ボール検査リペア装置1は、直径が複数種類のボールを同時に扱うことが可能な装置である。
(ボール検査リペア装置1の全体構成)
まず、ボール検査リペア装置1の全体構成を図1、図2を参照しながら説明する。以下に説明するボール検査リペア装置1は、回路基板やウエハなどのワークW上のボール搭載状態を検査し、搭載ミスがある場合は、搭載抜け(所定位置にボールBが無い)の箇所にはボールBを再搭載したり、余剰に搭載されたボールB(余剰ボール)を排除して、所定位置に所定のボールBを再搭載する装置である。
図1は、本発明の実施の形態に係るボール検査リペア装置1を上方から見たレイアウト説明図(平面図)、図2は、図1の手前方向から見たボール検査リペア装置1の構成を示す正面図である。なお、以下に説明する各図は、図1および図2の図示右側をX1、左側をX2とし、手前側をY1、奥側をY2と表し、接地側をZ1(または下方)、その反対側をZ2(または、上方、上面)と表し説明する。図1および図2に示すように、ボール検査リペア装置1は、ワークWが搭載されるステージ2を移動させるステージ搬送機構3をX2側に有する。また、ボール検査リペア装置1は、ステージ2に搭載されたワークWの所定の電極位置に、フラックスFを転写するフラックス転写部4と、ボールBを再搭載すべき選択された所定の電極位置に、ボールBを再搭載するボール搭載部5と、余分に搭載された余剰ボールを除去する余剰ボール除去部6を装置中央部分に有している。さらに、ボール検査リペア装置1は、ボールBが所定位置、所定の状態に有るか無いかを検査する検査部7をフラックス転写部4のX2側方向に有し、検査部7は、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bを有している。第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bは、Y方向に取り付けピッチ(取付け間隔)が変更できるようになっている。
ワークWは、たとえば、表面に複数のランド状の電極(図6に電極112として例示する)が設けられた半導体ウエハや、半導体が実装される半導体実装基板や多層基板などを含むプリント配線基板もしくはガラス基板などである。
ステージ搬送機構3は、本体ベース8の上部に配置された第1ベースフレーム9の上に直交するように配置された第2ベースフレーム10上に配置されている。第1ベースフレーム9は、X方向(X1−X2)に本体ベース8のほぼ両端部まで延長されていて、ステージ2が第1ベースフレーム9に沿ってX方向に往復移動できるようになっている。ステージ2は、第2ベースフレーム10に沿ってY方向(Y1−Y2)に移動できるようになっている。すなわち、ステージ搬送機構3は、第2ベースフレーム10と共にX方向に移動し、第2ベースフレーム10上をY方向に移動可能となっている。また、ステージ搬送機構3は、ステージ2をXY平面内で回転させることと、Z方向(Z1−Z2)に移動させることができるようになっている。図1に示すように、ステージ2は、第2ベースフレーム10の上面に固定された搬送テーブル11に固定されている。
ステージ搬送機構3は、ステージ2を、ワークWが供給される位置からX1方向に移動しながら、フラックス転写部4、ボール搭載部5、余剰ボール除去部6の各配置位置に精度よく移送する機能を有する。なお、ワークWが排出される位置(X1方向端部)のステージ2を二点鎖線で表している。
ステージ2のワーク搭載面には、不図示の吸引孔が複数個設けられていて、ワークWをステージ2上に載置した際、ワークWを真空吸引し、ワークWの反りを矯正しつつステージ2に吸着固定する機能を有する。
ボール検査リペア装置1は、X2方向端部に配置され、ワークWを第1移載位置15からステージ2上に搬送する第1搬送アーム駆動機構16と、X1方向端部に配置され、ワークWをステージ2上から第2移載位置17に搬送する第2搬送アーム駆動機構18を有している。第1移載位置15は、ワーク供給位置であり、たとえば、ワーク供給用ストッカなどである。第2移載位置17は、ワーク排出位置であり、たとえば、ワーク収納用ストッカなどである。
第1搬送アーム駆動機構16は、第1搬送フレーム19にX(X1−X2)方向に往復移動できるように取り付けられていて、Z方向に往復移動できる第1搬送アーム20を有している。第1搬送アーム20の先端には、ワークWを吸着したり離したりする第1吸着チャック(図示は省略)が配置されている。第2搬送アーム駆動機構18は、第2搬送フレーム22にX方向に往復移動できるように取り付けられていて、Z方向に往復移動できる第2搬送アーム23を有している。第2搬送アーム23の先端には、ワークWを吸着したり離したりする吸着チャック(図示は省略)が配置されている。なお、第1移載位置15の位置にある第1搬送アーム駆動機構16を二点鎖線で表している。また、ワークWをステージ2から吸着する位置の第2搬送アーム駆動機構18を二点鎖線で表している。
ボール検査リペア装置1は、フラックス転写手段であるフラックス転写部4と、ボール搭載手段であるボール搭載部5、および余剰ボールを除去する余剰ボール除去部6を有する。フラックス転写部4、ボール搭載部5および余剰ボール除去部6は、X方向に延長された支持支柱30に取り付けられている。支持支柱30は、X方向に延長された梁状部材であって、X2側端部が第1フレーム31に支持され、X1側端部が第2フレーム32で支持されている。フラックス転写部4は、第1フラックス転写機構28と第2フラックス転写機構29を有している。第1フラックス転写機構28および第2フラックス転写機構29は、X1方向に並設されている。また、図2に示すように、第1フラックス転写機構28は第1フラックス転写ピン33(以降、「第1転写ピン33」と記載する。)を備え、第2フラックス転写機構29には、第2フラックス転写ピン34(以降、「第2転写ピン34」と記載する。)が備えられている。
ボール搭載部5は、第1ボール搭載機構35と第2ボール搭載機構36を有している。第1ボール搭載機構35および第2ボール搭載機構36はX1方向に並設されている。また、図2に示すように、第1ボール搭載機構35は第1ボール搭載ノズル37を備え、第2ボール搭載機構36には第2ボール搭載ノズル38が備えられている。また、余剰ボール除去部6は、第1ボール除去機構39と第2ボール除去機構40を有している。第1ボール除去機構39および第2ボール除去機構40は、X1方向に並設され、第1ボール除去機構39は第1余剰ボール除去ノズル41を備えている。また、第2ボール除去機構40には第2余剰ボール除去ノズル42が備えられている。
図1に示すように、フラックス転写部4、ボール搭載部5および余剰ボール除去部6は、支持支柱30に取り付けられている。そして、フラックス転写部4は、第1フラックス転写機構28で第1転写ピン33を、第2フラックス転写機構29で第2転写ピン34をZ方向に移動させる。また、ボール搭載部5は、第1ボール搭載機構35で第1ボール搭載ノズル37を、第2ボール搭載機構36で第2ボール搭載ノズル38をZ方向に移動させる。余剰ボール除去部6は、第1ボール除去機構39で第1余剰ボール除去ノズル41を、第2ボール除去機構で第2余剰ボール除去ノズル42をZ方向に移動させる。なお、第1転写ピン33と第2転写ピン34、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38、第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42のそれぞれは、Z方向に独立して移動できるようになっている。
ボール搭載リペア装置1は、図2に示すように、フラックス供給トレイ65およびボール供給トレイ66をX方向同軸上に移動させる各トレイX移動機構45と、フラックス供給トレイ65をY方向に移動させるフラックス供給トレイY移動機構46と、ボール供給トレイ66をY方向に移動させるボール供給トレイY移動機構47を有している。さらに、ボール搭載リペア装置1は、余剰ボールケース移動機構48を有している。余剰ボールケース移動機構48は、第1余剰ボールケース67と第2余剰ボールケース68を共にX方向およびY方向に移動させる。よって、第1余剰ボールケース67と第2余剰ボールケース68を一つにしてもよい。すなわち、各トレイX移動機構45、フラックス供給トレイY移動機構46、ボール供給トレイY移動機構47、余剰ボールケース移動機構48の各々は、フラックス供給トレイ65をフラックス転写部4の直下に、ボール供給トレイ66をボール搭載部5の直下に、第1余剰ボールケース67および第2余剰ボールケース68を余剰ボール除去部6の直下に移動させる機能を有する。なお、フラックス転写部4、ボール搭載部5、および余剰ボール除去部6それぞれの詳細な説明は、図3〜図5を参照して後述する。
図1に示すように、搬送テーブル11には、ステージ2から平面外側に突出した位置にキャリブレーション部50が設けられている。キャリブレーション部50は、X―Y方向に移動可能である。キャリブレーション部50は、フラックス転写部4の第1転写ピンピン33と第2転写ピン34、ボール搭載部5の第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38および余剰ボール除去部6の第1余剰ボール除去ノズル41と第2ボール除去ノズル42の平面方向(X−Y平面)の位置と高さ方向(Z方向)の位置の各データを入手して較正する機能を有する。キャリブレーション部50の詳細構造および機能は、図6を参照して後述する。
また、図1、図2に示すように、検査部7は、ボールBがワークWの電極の所定位置に有るか無いかなどの搭載ミスを検査する第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7Bを有している。第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bは、各々第1検査用カメラ移動機構53および第2検査用カメラ移動機構54によってZ方向に独立して移動できるようになっている。また、第2検査用カメラ7Bは、カメラY移動機構55によってY方向に移動できるようになっている。すなわち、このカメラY移動機構は、第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7BとのY方向の間隔(ピッチ)を変更する機能を有する。
第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bは、それらの下方に移動してくるワークWの表面を撮像して、ボールBがワークWの所定の電極位置に所定の状態で搭載されているかを検出する機能を有する。たとえば、ボールBが径小のものと径大のものとの2種類の場合は、第1検査用カメラ7Aで径小のボールB1の搭載状態を検出し、第2検査用カメラ7Bで径大のボールB2の搭載状態を検出するようにすればよい。検出結果は、ボール検査リペア装置1の動作を制御する不図示の制御部に出力される。なお、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラは、CCDカメラやライン型CCDカメラ(スキャナ)などを採用できる。ワークW上のボールB1の群とボールB2の群は、所定の間隔で配置されている。第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7Bの取り付けピッチは、この間隔に合わせて設定される。
ボールBの搭載ミスとしては、所定の電極の上にボールBが無い場合(ミッシングボール状態)、所定の電極からボールBがずれている場合(シフトボール状態)および1個の電極上または付近の領域に2個以上のボールBがある場合(余剰ボール状態)などがある。検査部7は、これらのボール搭載ミスが有るか、無いか、どのようなミスであるかを検出し、その結果と電極配置位置を対応付ける機能を有する。
また、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7B各々の下方(Z2方向)には、検査用照明装置56が配置されている。検査用照明装置56は、ワークWが第1検査用カメラ7Aまたは第2検査用カメラ7Bの下方に移動してきたときに、ワークWの表面の照明を行うようになっている。
また、検査部7には、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bの検査後に、ボールBの搭載状態を目視で再確認するためのベリファイ用カメラ59(目視再確認用カメラと呼ぶことがある)を有している。ベリファイ用カメラ59は、X−Y方向には固定位置とされ、Z方向には不図示のZ移動機構によって移動可能となっている。第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7Bの間に配置されている。なお、ベリファイ用カメラ59による再確認は、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bによる検査の都度、または所定の間隔をあけて行われる。なお、ベリファイ用カメラ59の詳細構成は、図7を参照して後述する。
また、図1、図2に示すように、ボール検査リペア装置1は、ワーク位置認識カメラ60を有している。ワーク位置認識カメラ60は、フラックス転写部4の固定位置(動かない部分)に取り付けられている。ワーク位置認識カメラ60は、フラックス転写部4近傍の所定位置にワークWが移動してきたことを認識する機能を有する。ワークWが所定位置に移動してきたとき、フラックス転写の実行可能位置を検出し、制御部(不図示)にその情報を出力し、制御部からステージ2に停止命令を出力する。フラックス転写動作の実行可能位置は、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bで検出したフラックスFの再転写位置と第1転写ピン33または第2転写ピン34のX−Y位置と正確な相関位置を決定するために設けられる。なお、ワーク位置認識カメラ60は、フラックス転写部4に代えて、または」加えて、ボール搭載部5および余剰ボール除去部6に設けてもよい。ただし、前述したキャリブレーション部50による位置の較正が行われているので、ワーク位置検出用カメラ60は、フラックス転写部4に配置しておけばよく、省略することも可能である。
図2に示すように、ボール検査リペア装置1は、フラックスFを表面に貯留するフラックス供給トレイ65と、ボールBを供給するボール供給トレイ66と、除去したボールBを貯留する第1余剰ボールケース67と第2余剰ボールケース68を有している。図1、図2に示すように、フラックス供給トレイ65およびボール供給トレイ66は、各トレイX移動機構45により、X方向に移動可能となっており、フラックス供給トレイ65はフラックス供給トレイY移動機構46によってY方向に移動可能となっている。したがって、第1転写ピン33と第2転写ピン34にフラックスFを供給する場合には、各トレイX移動機構45およびフラックス供給トレイY移動機構46によってフラックス供給トレイ65を第1転写ピン33および第2転写ピン34の直下に移動する。なお、第1転写ピン33と第2転写ピン34をクリーニングする必要があるときは、不図示のクリーニングユニットが第1転写ピン33と第2転写ピン34の下方になるようにフラックス供給トレイ65を移動すればよい。
ボール供給トレイ66は、各トレイX移動機構45およびボール供給トレイY移動機構47によってX−Y方向に移動可能となっている。第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38にボールBを供給する場合には、ボール供給トレイ66を第1ボール搭載ノズル37および第2ボール搭載ノズル38の直下に移動する。ボール供給トレイ66は、径小のボールB1を貯留する第1ボールケース部69と径大のボールB2を貯留する第2ボールケース部70を有している(図4参照)。なお、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38をクリーニングする必要があるときは、不図示のクリーニングユニットを第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38下方になるように移動すればよい。
第1余剰ボールケース67および第2余剰ボールケース68は、図5に示すように、X1方向に並んで備えられていて、余剰ボールケース移動機構48により、共にX−Y方向に移動可能となっている。第1余剰ボールケース67は、第1余剰ボール除去ノズル41の直下になるように、第2余剰ボールケース68は、第2余剰ボール除去ノズル42の直下にくるように移動する。第1余剰ボールケース67には、除去された径小のボールB1を入れ、第2余剰ボールケース68には、除去された径大のボールB2を入れる(図5参照)。なお、第1余剰ボールケース67と第2余剰ボールケース68に、径小のボールB1と径大のボールB2をそれぞれ混在させてもよい。第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42をクリーニングする必要があるときには、不図示のクリーニングユニットが、第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42それぞれの下方になるように移動すればよい。
なお、第1余剰ボールケース67と第2余剰ボールケース68を一体化した余剰ボールケースとしてもよい。また、たとえば、フラックス供給トレイ65、ボール供給トレイ66および第1余剰ボールケース67と第2余剰ボールケース68を一つのパレット上に配置し、パレット移動機構によって、このパレットをX−Y方向に移動するようにしてもよい。
(フラックス転写部4の構成)
続いて、フラックス転写部4の構成について図3を参照しながら説明する。なお、フラックス転写部4のボール検査リペア装置1における配置などは、図1および図2を参照する。
図3は、フラックス転写部4の構成を示す正面図であり、(A)は第1転写ピン33および第2転写ピン34が、平面四角形のフラックス供給トレイ65から上方に離れた待機位置にある状態を示し、(B)は、第1転写ピン33が、フラックスFに接触している状態を表している。すなわち、図3(B)は、第1転写ピン33にフラックスFを供給する状態を表している。なお、第1転写ピン33および第2転写ピン34の先端形状は、平面型または丸型などが用いられている。図3に示すように、フラックス転写部4は、第1フラックス転写機構28と第2フラックス転写機構29を有している。第1フラックス転写機構28と第2フラックス転写機構29は、第1転写ピン33と第2転写ピン34をそれぞれ単独にZ方向に移動することが可能である。しかし、構成は同じなので、代表して第1フラックス転写機構28を説明する。なお、フラックス供給トレイ65は、2つに分割し、各転写ピン用としてもよい。また、その形状は、平面丸形としてもよい。
第1フラックス転写機構28は、第1転写ピン33を取り付けたり、取り外したりできるピンホルダー75と、このピンホルダー75が取り付けられるキャリッジ76と、キャリッジ76をZ方向に移動させるキャリッジ移動機構77を有している。キャリッジ移動機構77は、キャリッジ76のZ方向(Z1−Z2)の移動量(つまり、第1転写ピン33の移動量)を測定する手段であるロータリーエンコーダー78を有している。ロータリーエンコーダー78は、キャリッジ移動機構77の駆動源となる不図示のサーボモーターの回転量を測定する。この回転量に基づきキャリッジ76の移動量を測定することになる。
ピンホルダー75は、第1転写ピン33を保持する不図示のチャック部を有している。第1転写ピン33は、このチャック部によって取り付けたり、取り外したりできるようになっている。また、このチャック部は、ピンホルダー75に対して上下方向(Z1−Z2方向)に移動可能となっている。すなわち、第1転写ピン33は、ピンホルダー75に対して上下方向に移動可能に保持されていることになる。したがって、第1転写ピン33に上方(Z2方向)に向けての移動力が作用したときに、第1転写ピン33は上方に移動する。第1転写ピン33に上方への移動力が作用していないときは、チャック部は下端位置(ガイド部によるガイド範囲の下端)に配置され、第1転写ピン33に上方への移動力が作用したときに、チャック部は第1転写ピン33と共に上方に移動する。移動力としては、バネや空気圧による付勢力を利用してもよい。
ピンホルダー75には、チャック部を規定値よりも上方に移動させないようにロックするロック機構79が備えられている。このロック機構79は、チャック部の進路内に、たとえば、プランジャを電磁ソレノイドなどにより進出したり、戻したりすることで、プランジャが進出するときにチャック部の上方への移動を阻止するようになっている。このロック機構79を作動させることで、第1転写ピン33に上方に向けた付勢力などの移動力が作用する場合でも、第1転写ピン33を上方に移動させないようにすることができる。
第1フラックス転写機構28には、移動位置測定手段である位置測定センサー80が備えられている。第1転写ピン33に対して上方へ向けて付勢力などの移動力が作用し、第1転写ピン33がピンホルダー75に対して上方に移動したときの位置を移動位置とする。位置測定センサー80は、第1転写ピン33の移動位置を測定することができる。位置測定センサー80としては、たとえば、渦電流センサーを用いる。渦電流センサーの他、エンコーダー、静電容量センサー等を用いることもできる。
キャリッジ76は、ガイド軸81を介して支持支柱30(図1,2参照)に取り付けられている。ガイド軸81は、キャリッジ76を、X−Y方向(左右前後方向)には移動しないように、Z方向(上下方向)だけに移動可能にガイドする。ガイド軸81によりZ方向にガイドされるキャリッジ76は、キャリッジ移動機構77の駆動力を受けて、上下方向(Z方向)に移動させられる。キャリッジ移動機構77は、たとえば、ボールねじとこれを回転させるモーター等により構成することができる。ピンホルダー75は、キャリッジ76に固定されている。したがって、ピンホルダー75およびピンホルダー75に保持される第1転写ピン33は、キャリッジ76と一体となって上下方向に移動する。
第1フラックス転写機構28には、キャリッジ移動機構77の駆動量、すなわち、キャリッジ76の移動量を測定するロータリーエンコーダー78が備えられている。第1転写ピン33、ピンホルダー75、およびキャリッジ76は、一体となって移動する。したがって、ロータリーエンコーダー78により測定されるキャリッジ76の移動量は、第1転写ピン33およびピンホルダー75の移動量である。
第2フラックス転写機構29は、第1フラックス転写機構28と同じ構成なので、第1フラックス転写機構28と同じ符号を付し、説明を省略する。ただし、第2転写ピン34は、径小のボールB1と径大のボールB2とで、フラックスFの転写面積が異なる場合には、直径を変更する。転写面積が同一の場合には、第1転写ピン33と第2転写ピン34は、同じものを使用できる。
図3(B)は、第1転写ピン33が、フラックスFに接触している状態を表している。すなわち、第1転写ピン33にフラックスFを供給する状態を表している。第2転写ピン34は、移動させていない(図3(A)と同じ待機位置にある)ので、説明を省略する。次いで、第1転写ピン33へフラックスFを転写する動作を説明する。
第1転写ピン33は、キャリッジ移動機構77によって下方に移動させられ、フラックスFに接触し、所定量のフラックスFを第1転写ピン33に供給する。図3(B)に示す第1フラックス転写機構28において、二点鎖線で表すキャリッジ76は、待機位置を示し、実線で表すキャリッジ76は、フラックスFの供給状態を表している。図示は省略するが、フラックスFが供給された第1転写ピン33は、キャリッジ移動機構77によって、上方に移動する。フラックス供給トレイ65は、各トレイX移動機構45およびフラックス供給トレイY移動機構46を動作させることによってステージ2の移動の妨げにならない待機位置に移動させられる。次いで、ステージ2(ワークW)のフラックスFの転写位置を、第1転写ピン33の延長線状に移動させる。そして、第1転写ピン33が、ワークWの電極112(図6参照)に接触するまで降下させることで、転写対象位置にフラックスFを転写することができる。その後、第1転写ピン33を待機位置まで移動させるが、転写対象位置が複数存在する場合には、フラックスFの第1転写ピン33への供給から転写までの動作を繰り返す。フラックスFの転写後、ボール再搭載または余剰ボール除去動作に移行する。第2転写ピン34の動作も第1転写ピン33と同様な動作で、第1転写ピン33とは異なる転写対象位置(たとえば、径大のボールB2の再搭載位置)へのフラックスFの転写を行う。
(ボール搭載部5の構成)
続いて、ボール搭載部5の構成について図4を参照しながら説明する。なお、ボール搭載部5のボール検査リペア装置1における配置などは、図1および図2を参照する。
図4は、ボール搭載部5の構成を示す正面図であり、(A)は第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38が、ボール供給トレイ66から上方に離れた待機位置にある状態を示し、(B)は、第2ボール搭載ノズル38が、径大のボールB2を吸引している状態を表している。図4に示すように、ボール搭載部5は、第1ボール搭載機構35および第2ボール搭載機構36を有している。第1ボール搭載機構35と第2ボール搭載機構36は、それぞれ第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38を単独にZ方向に移動可能としているが、構成は同じなので、代表して第1ボール搭載機構35を説明する。
第1ボール搭載機構35は、第1ボール搭載ノズル37を取り付けたり、取り外したりできるノズルホルダー85と、ノズルホルダー85が取り付けられるキャリッジ86と、キャリッジ86をZ方向に移動させるキャリッジ移動機構87を有している。キャリッジ移動機構87は、キャリッジ86のZ方向(Z1−Z2)の移動量(つまり、第1ボール搭載ノズル37の移動量)を測定する手段であるロータリーエンコーダー88を有している。ロータリーエンコーダー88は、キャリッジ移動機構87の駆動源となる不図示のサーボモーターの回転量を測定する。この回転量に基づきキャリッジ86の移動量を測定することになる。
ノズルホルダー85は、第1ボール搭載ノズル37を保持する不図示のチャック部を有している。第1ボール搭載ノズル37は、このチャック部によって取り付けたり、取り外したりできるようになっている。また、このチャック部は、ノズルホルダー85に対して上下方向(Z1−Z2方向)に移動可能となっている。すなわち、第1ボール搭載ノズル37は、ノズルホルダー85に対して上下方向に移動可能に保持されていることになる。したがって、第1ボール搭載ノズル37に上方(Z2方向)に向けて移動力が作用したときに、第1ボール搭載ノズル37は上方に移動する。第1ボール搭載ノズル37に上方への移動力が作用していないときは、チャック部は下端位置(ガイド部によるガイド範囲の下端)に配置され、第1ボール搭載ノズル37に上方への移動力が作用したときに、チャック部は第1ボール搭載ノズル37と共に上方に移動する。移動力としては、バネや空気圧による付勢力を利用してもよい。
ノズルホルダー85には、チャック部を規定値よりも上方に移動させないようにロックするロック機構89が備えられている。このロック機構89は、チャック部の進路内に、たとえば、プランジャを電磁ソレノイドなどにより進退させることで、プランジャが進出するときにチャック部の上方への移動を阻止するようになっている。このロック機構89を作動させることで、第1ボール搭載ノズル37に上方に向けた付勢力などの移動力が作用する場合でも、第1ボール搭載ノズル37を上方に移動させないようにすることができる。
第1ボール搭載機構35には、移動位置測定手段としての位置測定センサー90が備えられている。第1ボール搭載ノズル37に対して上方へ向けて付勢力などの移動力が作用し、第1ボール搭載ノズル37がノズルホルダー85に対して上方に移動したときの位置を移動位置とする。位置測定センサー90は、第1ボール搭載ノズル37の移動位置を測定することができる。位置測定センサー90としては、たとえば、渦電流センサーを用いる。渦電流センサーの他、エンコーダー、静電容量センサー等を用いることもできる。
キャリッジ86は、ガイド軸91を介して支持支柱30(図1,2参照)に取り付けられている。ガイド軸91は、キャリッジ86を、X−Y方向(左右前後方向)には移動しないように、Z方向(上下方向)に移動可能にガイドする。ガイド軸91によりZ方向にガイドされるキャリッジ86は、キャリッジ移動機構87の駆動力を受けて、上下方向(Z方向)に移動させられる。キャリッジ移動機構87は、たとえば、ボールねじとこれを回転させるモーター等により構成することができる。ノズルホルダー85は、キャリッジ86に固定されている。したがって、ノズルホルダー85およびノズルホルダー85に保持される第1ボール搭載ノズル37は、キャリッジ86と一体となって上下方向に移動する。
第1ボール搭載機構35には、キャリッジ移動機構87の駆動量、すなわち、キャリッジ86の移動量を測定するロータリーエンコーダー88が備えられている。第1ボール搭載ノズル37、ノズルホルダー85およびキャリッジ86は、一体となって移動する。したがって、ロータリーエンコーダー88により測定されるキャリッジ86の移動量は、第1ボール搭載ノズル37およびノズルホルダー85の移動量である。図4に示す例では、第1ボール搭載ノズル37は、径小のボールB1を吸着するノズル径を有する。
第2ボール搭載機構36は、第1ボール搭載機構35と同じ構成なので、第1ボール搭載機構35と同じ符号を付し、説明を省略する。ただし、第2ボール搭載ノズル38は、径大のボールB2を吸着可能なノズル径を有している。ボールB1とボールB2が同じ直径の場合は、当然同じボール搭載ノズルを使用することができる。
図4(B)は、第2ボール搭載ノズル38が、1個のボールB2を吸着している状態を表している。第1ボール搭載ノズル37は、移動させていない(図4(A)と同じ待機位置にある)ので、説明を省略する。次いで、第2ボール搭載ノズル38が、ボールB2を吸着する動作を説明する。なお、ボール搭載部5の下方には、平面四角形のボール供給トレイ66が配設され、ボール供給トレイ66には、径小のボールB1を貯留する第1ボールケース部69と、径大のボールB2を貯留する第2ボールケース部70が配置されている。第1ボールケース部69は、第1ボール搭載ノズル37の下方延長線上に配置され、第2ボールケース部70は、第2ボール搭載ノズル38の下方延長線に配置される。なお、ボール供給トレイ66は、2つに分割し、各ボール搭載ノズル用としてもよい。また、その形状は、平面丸形としてもよい。
図4(B)に示すように、第2ボール搭載ノズル38は、キャリッジ移動機構87によって下方に移動させられ、ボールB2を吸着する。第1ボール搭載ノズル37および第2ボール搭載ノズル38は、たとえば、吸引ポンプ(不図示)に接続され、いわゆる真空吸着式を採用している。真空吸着式の第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38は、その先端から空気を吸い込むことにより、ボールB1またはボールB2を吸着することが可能となる。第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38は、それぞれのエアーフローを検出することにより、第1ボール搭載ノズル37および第2ボール搭載ノズル38の先端にボールB1またはボールB2が有るか無いかを判断することができる。なお、第1ボールケース部69は、第1ボール搭載ノズル37の先端が挿通可能な円形の孔92を有し、第2ボールケース部70は、第2ボール搭載ノズル38の先端が挿通可能な円形の孔93を有している。孔92は、径小のボールB1の1個が通過可能な大きさで、同時に複数個は通過できないようになっている。孔93は、径大のボールB2の1個が通過可能な大きさで、同時に複数個は通過できないようになっている。
第1ボール搭載ノズル37および第2ボール搭載ノズル38は、各々ボールB1とボールB2の直径に対応したノズル径を有する。図4(B)に示す第2ボール搭載機構36において、二点鎖線で表されたキャリッジ86は、動作前の待機位置を示し、実線で表すキャリッジ86は、ボール吸着後の保持位置を表している。図示は省略するが、ボールB2を吸着した第2ボール搭載ノズル38は、キャリッジ移動機構87によって、上方に移動する。ボール供給トレイ66は、不図示のボール供給トレイ移動機構を動作させることによってステージ2の移動の妨げにならない位置に移動させられる。次いで、ステージ2(ワークW)のボール再搭載位置を、第2ボール搭載ノズル38の延長線状に移動させる。そして、第2ボール搭載ノズル38が、少なくともワークWのボール再搭載対象位置のフラックスFに接触するまで降下させ、ボール吸着を解除することで、ボール再搭載位置にボールB2を再搭載することができる。その後、第2ボール搭載ノズル38を待機位置まで移動させるが、ボール再搭載対象位置が複数存在する場合には、第2ボール搭載ノズル38がボールB2の吸着からボール再搭載までの動作を繰り返す。第1ボール搭載ノズル37の動作も第2ボール搭載ノズル38と同様な動作で、第2ボール搭載ノズル38とは異なるボール再搭載対象位置(たとえば、径小のボールB1の再搭載位置)へのボールB1の再搭載を行う。
(余剰ボール除去部6の構成)
続いて、余剰ボール除去部6の構成について図5を参照しながら説明する。なお、余剰ボール除去部6のボール検査リペア装置1における配置などは、図1および図2を参照する。
図5は、余剰ボール除去部6の構成を示す正面図であり、(A)は第1余剰ボール除去ノズル41および第2余剰ボール除去ノズル42が、各々第1余剰ボールケース67および第2余剰ボールケース68から上方(Z2方向)に離れた待機位置にある状態を示し、(B)は、第2余剰ボール除去ノズル42が、吸着した径大のボールB2を第2余剰ボールケース68に入れる様子を表す図である。図5に示すように、余剰ボール除去部6は、第1ボール除去機構39および第2ボール搭載機構40を有している。第1ボール除去機構39および第2ボール除去機構40は、第1余剰ボール除去ノズル41と第2ボール除去ノズル42を、それぞれ単独にZ方向(Z1−Z2)に移動可能としているが、構成は同じなので、代表して第1ボール除去機構39を説明する。
第1ボール除去機構39は、第1余剰ボール除去ノズル41を取り付けたり、取り外したりできるノズルホルダー95と、ノズルホルダー95が取り付けられるキャリッジ96と、キャリッジ96を上下方向(Z1−Z2方向)に移動させるキャリッジ移動機構97を有している。キャリッジ移動機構97は、キャリッジ96の上下方向の移動量(つまり、第1余剰ボール除去ノズル41の上下方向の移動量)を測定する手段であるロータリーエンコーダー98を有している。ロータリーエンコーダー98は、キャリッジ移動機構97の駆動源となる不図示のサーボモーターの回転量を測定する。この回転量に基づきキャリッジ96の移動量を測定することになる。
ノズルホルダー95は、第1余剰ボール除去ノズル41を保持する不図示のチャック部を有している。第1余剰ボール除去ノズル41は、このチャック部によって取り付けたり、取り外したりできるようになっている。また、このチャック部は、ノズルホルダー95に対して上下方向に移動可能となっている。すなわち、第1余剰ボール除去ノズル41は、ノズルホルダー95に対して上下方向に移動可能に保持されていることになる。したがって、第1余剰ボール除去ノズル41に上方(Z2方向)に向けて移動力が作用したときに、第1余剰ボール除去ノズル41は上方に移動することができる。第1余剰ボール除去ノズル41に上方への移動力が作用していないとき、チャック部は下端位置(ガイド部によるガイド範囲の下端)に配置され、第1ボール搭載ノズル41に上方への移動力が作用したときに、チャック部は第1余剰ボール除去ノズル41と共に上方に移動する。移動力としては、バネや空気圧による付勢力を利用してもよい。
ノズルホルダー95には、チャック部を規定値よりも上方に移動させないようにロックするロック機構99が備えられている。このロック機構99は、チャック部の進路内に、たとえば、プランジャを電磁ソレノイドなどにより進退させることで、プランジャが進出するときにチャック部の上方への移動を阻止するようになっている。このロック機構99を作動させることで、第1余剰ボール除去ノズル41に上方に向けた付勢力などの移動力が作用する場合でも、第1余剰ボール除去ノズル41を上方に移動させないようにすることができる。
第1ボール除去機構39には、移動位置測定手段としての位置測定センサー100が備えられている。第1余剰ボール除去ノズル41に対して上方へ向けて付勢力などの移動力が作用し、第1余剰ボール除去ノズル41がノズルホルダー95に対して上方に移動したときの位置を移動位置とする。位置測定センサー100は、第1余剰ボール除去ノズル41の移動位置を測定することができる。位置測定センサー100としては、たとえば、渦電流センサーを用いる。渦電流センサーの他、エンコーダー、静電容量センサー等を用いることもできる。
キャリッジ96は、ガイド軸101を介して支持支柱30(図1,2参照)に取り付けられている。ガイド軸101は、キャリッジ96を、X−Y方向(左右前後方向)には移動しないように、Z方向(上下方向)に移動可能にガイドする。ガイド軸101によりZ方向にガイドされるキャリッジ96は、キャリッジ移動機構97の駆動力を受けて、上下方向(Z方向)に移動させられる。キャリッジ移動機構97は、たとえば、ボールねじとこれを回転させるモーター等により構成することができる。ノズルホルダー95は、キャリッジ96に固定されている。したがって、ノズルホルダー95およびここに保持される第1余剰ボール除去ノズル41は、キャリッジ96と一体となって移動する。
第1ボール除去機構39には、キャリッジ移動機構97の駆動量、すなわち、キャリッジ96の移動量を測定するロータリーエンコーダー98が備えられている。第1余剰ボール除去ノズル41、ノズルホルダー95およびキャリッジ96は、一体となって移動する。したがって、ロータリーエンコーダー98により測定されるキャリッジ96の移動量は、第1余剰ボール除去ノズル41およびノズルホルダー95の移動量である。図5に示す例では、第1余剰ボール除去ノズル41は、径小のボールB1を吸着するノズル径を有する。
第2ボール除去機構40は、第1ボール除去機構39と同じ構成なので、第1ボール除去機構39と同じ符号を付し、説明を省略する。ただし、第2余剰ボール除去ノズル42は、径大のボールB2を吸着可能なノズル径を有している。ボールB1とボールB2が同じ直径の場合は、同じ余剰ボール除去ノズルを使用することができる。
図5(B)は、第2余剰ボール除去ノズル42が、1個の径大のボールB2の吸着を解除している状態を表している。なお、図5(B)で示す第2ボール除去機構40では、二点鎖線で表されたキャリッジ96は、動作前の待機位置を示し、実線で表すキャリッジ96は、吸着した径大のボールB2を第2ボールケース68に入れたときの状態を表している。第1余剰ボール除去ノズル41は、移動させていない(図5(A)と同じ待機位置にある)ので、説明を省略する。第1余剰ボール除去ノズル41の下方延長線上には、第1ボールケース67が配置され、第2余剰ボール除去ノズル42の下方延長線上には、第2ボールケース68が配置される。第1ボールケース67には、径小のボールB1を入れ、第2ボールケース68には、径大のボールB2を入れるようになっている。ただし、第1ボールケース67と第2ボールケース68を一つにして、径小のボールB1と径大のボールB2を混在させるようにしてもよい。
第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42は、それぞれキャリッジ移動機構97によって下方に独立して移動し、それぞれが、ワークWに搭載されたボールB1またはボールB2を吸着する。第1余剰ボール除去ノズル41および第2余剰ボール除去ノズル42は、たとえば、吸引ポンプ(不図示)に接続され、いわゆる真空吸着式を採用可能である。真空吸着式の第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42は、その先端から空気を吸い込むことにより、ワークWに誤搭載された余剰ボールを吸着し、径小のボールB1と径大のボールB2ごとに、第1ボールケース69または第2ボールケース70に入れ、ワークWから除去する。吸着していたボールB1またはボールB2を離す方法としては、真空吸引を停止するか、または逆に圧空を噴射するなどがある。第1余剰ボール搭載ノズル41および第2余剰ボール除去ノズル42は、各々ボールB1とボールB2の直径に対応したノズル径を有している。
なお、第1ボールケース67および第2ボールケース68には、各々ボールB1またはボールB2各々を入れる孔102,103が設けられ、この孔102,103の下方側には、ボール除去ブラシ104が配設されている。ボール除去ブラシ104は、第1余剰ボール除去ノズル41および第2余剰ボール除去ノズル42の先端にボールB1またはボールB2が貼り付いてしまった場合に、刷き落とす機能を有している。
真空吸着式の第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42は、それぞれのエアーフローを検出することにより、第1余剰ボール除去ノズル41および第2余剰ボール除去ノズル42の先端にボールB1またはボールB2が有るか無いかを判断することができる。
次いで、ワークWに搭載された余剰ボールの除去動作について説明する。なお、径大のボールB2を例にして説明する。まず、ワークW上に誤搭載されたボールB(余分に搭載された余剰ボールまたは所定位置からずれて搭載されたボール)の位置が、第2余剰ボール除去ノズル42の下方延長線上に来るようにワークWを移動させる。そして、第2余剰ボール除去ノズル42を下方に移動させて、余剰ボールを吸引吸着し、第2余剰ボール除去ノズル42を待機位置まで上昇させる。次いで、ステージ2を待機位置まで移動させると共に、第2余剰ボールケース68を、第2余剰ボール除去ノズル42の下方延長線上まで移動させる。そして、余剰ボールを第2余剰ボールケース68に入れ、その後、第2余剰ボール除去ノズル42および第2余剰ボールケース68を待機位置まで移動させる。余剰ボールが複数または複数位置に存在する場合には、第2ボール搭載ノズル42がボールBの吸着から第2余剰ボールケース68に入れるまでの動作を繰り返す。第1余剰ボール除去ノズル41の動作も第2余剰ボール除去ノズル42と同様な動作で、第2ボール搭載ノズル42とは異なるボール除去載対象位置のボール除去を行う。ボール除去後、ボール再搭載位置にフラックスFの転写を行い、ボールの再搭載を行う。
(キャリブレーション部50の構成)
続いて、キャリブレーション部50の構成について図6を参照しながら説明する。キャリブレーション部50は、第1転写ピン33と第2転写ピン34、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38および第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42のX−Y方向(平面方向)の位置情報およびZ方向(Z1−Z2)の位置情報を取得し、制御部(不図示)に出力する機能を有する。
図6は、キャリブレーション部50を示す斜視図である。キャリブレーション部50は、X−Y位置検出ユニットであるX−Yキャブレーション用カメラ108(以降、「キャブレーション用カメラ108」と記載する。)と、Z位置検出ユニットであるZキャリブレーション用センサー109(以降、「キャリブレーション用センサー109」と記載する。)を備える。キャリブレーション用カメラ108とキャリブレーション用センサー109は、第2ベースフレーム10上の搬送テーブル11(図1参照)に固定されている。キャリブレーション用センサー109は、キャリブレーション用カメラ108のY2方向に近接されて取り付けられている。
キャリブレーション用カメラ108は、第1転写ピン33と第2転写ピン34、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38および第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42それぞれの先端位置を下方から(Z1方向からZ2方向に向けて)撮像することで、X−Y方向の位置を検出することができる。このX−Y方向の位置は、制御部が有するX−Y方向位置を基準にして検出することができるようになっている。
キャリブレーション用センサー109は、Z方向の変位センサー110を備えていて、第1転写ピン33と第2転写ピン34、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38および第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42の先端が変位センサー110に接触した位置を検出し、この検出値と、フラックス転写部4、ボール搭載部5および余剰ボール除去部6のそれぞれが備える各ロータリーエンコーダー78,88,98が待機位置から変位センサー110に接触するまでの移動量検出値からZ方向の位置を検出することができるようになっている。なお、ステージ2上に載置されたワークWは、図6に示すように、四角形の電極112が格子状に配置された基板を例示している。なお、ワークWの対角に配置される電極112Aと電極112Bは、ワーク位置認識用カメラ60によるワークWの位置を認識するための基準マークとして位置づけられる。
(ベリファイ用カメラ59の構成)
続いて、ベリファイ用カメラ59について図7を参照しながら説明する。ベリファイ用カメラ59は、検査部7(第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7B)で、ボール搭載ミスが有ったか、無かったかを検査した結果を目視で再確認する機能を有する。
図7は、ベリファイ用カメラ59を模式的に示す斜視図である。ベリファイ用カメラ59は、撮像部115と、撮像部115から延出された鏡筒部116と、鏡筒部116の先端部に取り付けられたレンズ鏡筒部117を有する。レンズ鏡筒部117から入射した光は、鏡筒部116を通って撮像部115に送られ、ワークW上を撮像するようになっている。撮像されたワークWの画像は、不図示の制御部に出力され、制御部に備えられたモニターなどで、ワーク上のボール搭載状態を観察することが可能となっている。なお、図2に示すように、ベリファイ用カメラ59は、ステージ2よりも上方(Z2方向側)で、第1フレーム31に取り付けられ、ステージ2が下方(Z2方向側)を通過できる配置となっている。また、レンズ鏡筒部117の下方には、中央に円柱状の空間部119を有するリング状のベリファイ用カメラ用照明装置118が設けられていて、ベリファイ用カメラ59の下方に移動してきたワークWを照らす。したがって、ベリファイ用カメラ照明装置118は、高さ方向で、レンズ鏡筒部117とステージ2の間に配置される。
(ボール検査リペア装置1によるリペア方法)
次に、ボール検査リペア装置1によるリペア方法について図面を参照しながら説明する。まず、図8を参照しながらボール搭載ミスの主たる例をあげ説明する。
図8は、ボール搭載ミスの主たる例を示す断面図であり、(A)〜(D)に搭載ミスの例を表している。なお、径小のボールB1と径大のボールB2では、リペア方法に相違がないので、両者を総称してボールBとして説明する。図8(A)で示す状態は、搭載ミスが無い正常状態を表していて、電極112上の所定位置にボールBが1個搭載されている状態である。この状態では、リペア作業は必要ない。ボールBは、電極112にフラックスFで貼着されている。この状態では、ボールBは固定されてはおらず、移動させたり、除去させたりできる状態である。なお、電極112は、たとえば、図6で示したように格子状に配列されているものとする。
図8(B)で示す状態は、複数の電極112のうち、1か所の電極112A上にボールBが搭載されていない状態である。この状態を「ミッシングボール状態」と記載する。電極112A上にはフラックスFが最初の状態のまま残っている。ミッシングボールの場合には、電極112A上にボールBを搭載する必要がある。このようなボール搭載を再搭載と呼ぶこととする。
図8(C)に示す状態は、複数の電極112のうち、電極112B位置からボールBの位置がずれて搭載された状態である。この状態を「シフトボール状態」と記載する。シフトボール状態の場合には、ずれてしまったボールBを除去し、電極112B上にボールBを再搭載する必要がある。また、図8(D)で示す状態は、電極112Cの配置位置に2個のボールBが搭載されている状態である。余分なボールBを余剰ボールB0と記載し、この状態を「余剰ボール状態」と記載する。余剰ボール状態の場合には、余剰ボールB0とボールBを除去し、ボールBを再搭載する必要がある。図8(D)の状態のときには、余剰ボールB0のみを除去し、ボールBを再搭載しない処理としてもよい。続いて、図9を参照しながらリペア方法について説明する。
図9は、ボール検査リペア装置1によるリペア方法の主要工程を示すフロー説明図である。ここでは、ボールB(径小のボールB1または径大のボールB2を総称する)をワークWに再搭載する場合を説明する。図9に示すように、まず、ボールBが搭載されているワークWを第1搬送アーム駆動機構16によって第1移載位置15からステージ2の位置まで搬送し、ステージ2に搭載すると共に、ステージ2の上面に吸着させる(ステップS1)。次いで、ステージ2をX1方向に移動しながら、ワーク位置認識カメラ60で、ワークWの位置を認識する(ステップS2)。ワークWの位置を認識したところで、第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7Bによって、ワークWのボール搭載ミスの検査を開始する(ステップS3)。たとえば、第1検査用カメラ7Aで径小のボールB1を検出し、第2検査用カメラ7Bで径大のボールB2を検出する。この検出は、まず径小のボールB1を第1検査用カメラ7Aで検出し、その後、径大のボールB2を第2検査用カメラ7Bで検出することで行う。しかし、ワークWの区域ごとに検査用カメラ7A,7Bを交互または所定順序で使用するようにしてもよい。
なお、フラックス転写部4の第1転写ピン33と第2転写ピン34、ボール搭載部5の第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38および余剰ボール除去部6の第1余剰ボール除去ノズル41と第2ボール除去ノズル42の平面方向(X−Y平面)の位置と高さ方向(Z方向)位置は、キャリブレーション部50によってステップS2の前に正確に較正されている。したがって、ワークWの移動量と、第1転写ピン33と第2転写ピン34、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38およびの第1余剰ボール除去ノズル41と第2ボール除去ノズル42の平面方向(X−Y平面)の位置と高さ方向(Z方向)位置は、正確な相関が取れているので、ステップS2のワーク位置を認識する工程を省略することが可能である。
本来搭載すべきボールB1およびボールB2の配置位置(基準配置位置とする)は、制御部のメモリに記録されている。したがって、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bで検出したボールB1およびボールB2の配置位置を基準配置位置と比較すれば、メモリに記録されている基準配置位置との差からボール搭載ミスが有るか、無いかを判定することができる。そして、ボール搭載ミス検査の1サイクルが終わったところで、ボール搭載ミス検査を終了する(ステップS4)。ボール搭載ミス検査結果は、制御部に出力される。続いて、ベリファイ用カメラ59を用いて、ボール搭載ミスが有るか、無いかを目視で再確認する(ステップS5)。この目視再確認は、ボール搭載ミス検査が適切に行われたかを作業者が確認するもので、ボール搭載ミス検査が終了した時点で(ステップS4)都度行ってもよく、所定の間隔をおいて行ってもよい。また、ボール搭載ミスが検出されたときに行ってもよく、または省略することも可能である。目視再確認(ステップS5)を省略する場合は、ステップS4からステップS6に移行する。
次に、ボール搭載ミスが有るか、無いかを判定する(ステップS6)。この判定は、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bによるボール搭載ミス検査の結果と、目視による再確認の結果の一致をみて行われる。ボール搭載ミスの判定としては、ボール搭載ミスがない正常状態(図8(A)の状態)、ミッシングボール状態(図8(B)の状態)、シフトボール状態(図8(C)の状態)、または余剰ボール状態(図8(D)の状態)であるかを判別する。さらに、ボール搭載ミスがある電極位置と、上記ボール搭載ミスの種別を判別し、制御部に出力する。制御部は、これらの情報を記録する。制御部には、どの電極にどのボール(径小のボールB1および径大のボールB2)が配置されるかが記録されている。
ボール搭載ミスが無いと判定された場合には、第2搬送アーム駆動機構18によってワークWを第2移載位置17に搬送し、ワークWの吸着を解除して終了する(ステップS10)。
ボール搭載ミス有りと判定された場合は、ボール搭載の不良個所を修正する(ステップS7)。不良個所の修正は、上記検査結果と制御部に記録されている修正プログラムに基づいて行われる。ミッシングボール状態では、ボールBが搭載されていない電極112A(図8(B)参照)に、第1転写ピン33または第2転写ピン34によってフラックスFを転写後、第1ボール搭載ノズル37または第2ボール搭載ノズル38でボールBの再搭載を実行する。径小のボールB1を再搭載するか、径大のボールB2を再搭載するかは、制御部の命令によって実行する。
シフトボール状態の場合では、位置ずれのあるボールBを第1余剰ボール除去ノズル41または第2余剰ボール除去ノズル42で除去した後、ボールBが搭載されるべき電極112B(図8(C)参照)に、第1転写ピン33または第2転写ピン34によってフラックスFを転写後、第1ボール搭載ノズル37または第2ボール搭載ノズル38でボールBの再搭載を実行する。径小のボールB1を再搭載するか、径大のボールB2を再搭載するかは、制御部の命令によって実行する。
余剰ボール状態では、まず、余分な余剰ボールB0を第1余剰ボール除去ノズル41または第2余剰ボール除去ノズル42で除去する。しかし、図8(D)に示すように、余剰ボールB0に隣り合うボールBは、フラックスFで余剰ボールB0が貼りついていて、ボールB0の除去と共に移動してしまうことがあるため、一旦、ボールBと余剰ボールB0共に除去することが好ましい。次いで、ボールBが除去された電極112C(図8(D)参照)に、第1転写ピン33または第2転写ピン34によってフラックスFを転写後、第1ボール搭載ノズル37または第2ボール搭載ノズル38でボールBの再搭載を実行する。径小のボールB1を再搭載するか、径大のボールB2を再搭載するかは、制御部の命令によって実行する。
不良個所の修正作業(ステップS7)が終了した後、再度、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bでボール再搭載検査を行い(ステップS8)、ボール搭載ミスの修正ができたか判定する(ステップS9)。修正ができている(YES)と判定した場合には、第2搬送アーム駆動機構18によってワークWを第2移載位置17に搬送し、ワークWの吸着を解除して終了する(ステップS10)。修正できていなければ(NO)、目視再確認工程(ステップS5)に移行し、ステップS5以降の工程を繰り返す。なお、このボール搭載ミスに関わる修正プログラムは、搭載ミスの種類や搭載ミスの発生数など品質基準(または検査基準)に基づいて実行される。
電気的な接続を得るための複数のボールを、一つのワークに搭載(マウント)するボール搭載装置は、ワークのボール搭載位置に対応する位置に微小開口が形成されたマスク板をワークに重ね、ボールをマスク板の微小開口に通過させることで、ワークの所定のボール搭載位置にボールを搭載するものである。しかし、このようなボール搭載方法では、ボールの搭載ミスが発生することがある。特許文献1に記載のボール検査リペア装置は、直径が1種類のボールに対応可能ではあるが、直径が複数種類のボールには対応できず、ボールの直径ごとに検査をしたり、装置の構成を替えたりしなければならなかった。
しかし、以上説明したボール検査リペア装置1は、ワークWに設けられた複数の電極112に搭載された複数の異なる種類のボールBごとのボール搭載状態を検査するように、取り付けピッチが変更可能な複数の検査用カメラを備えた検査部7を有している。また、ボール検査リペア装置1は、検査部7の検査結果に基づき、複数の電極のうち、ボールBの搭載ミスがあった位置にフラックスFを転写するフラックス転写部4と、ボールBの搭載ミスがあった位置にボールBを再搭載するボール搭載部5を有している。さらに、ボール検査リペア装置1は、余分に搭載された余剰ボールB0を除去する余剰ボール除去部6を有している。
本実施の形態に記載のボール検査リペア装置1は、多数の径小のボールB1および径大のボールB2が一つのワークWに搭載された例であり、ボールB1およびボールB2に対応して第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bを有している。しかし、このようなボール検査リペア装置1は、直径が複数種類のボールBが搭載される一つのワークW上のボール搭載状態を、ボールBの種類に対応して検査可能な複数の検査用カメラで検査することが可能である。したがって、検査の1工程で複数種類のボール搭載状態の検査が可能となり、ボールB搭載後の検査を短時間に行うことができ、複数の検査用カメラの検査結果の基づき、ボールBのリペアを効率的に実行できる。第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7Bは、取り付けピッチが変更できるようになっているので、ワークWに搭載されたボールB1の群と径大のボールB2の群の間隔に合わせて配置でき、第1検査用カメラ7AでボールB1を、第2検査用カメラ7BでボールB2というように異なる種類のボールごとに検査できるので、検査を短時間に行うことができる。
また、フラックス転写部4は、各々が独立してフラックスFを転写できる複数のフラックス転写ピンを有し、ボール搭載部5は、直径が異なる複数種類のボールごとに、各々が独立してボールBを搭載できる複数種類のボール搭載ノズルを有している。
一つのワークWに搭載されるボールBが、径小のボールB1と径大のボールB2の2種類のときには、フラックス転写部4は、第1転写ピン33および第2転写ピン34を有し、ボール搭載部5は、第1ボール搭載ノズル37および第2ボール搭載ノズル38を有している。したがって、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bによって得られた検査結果に基づき、ボールB1およびボールB2ごとにボール再搭載を行うことが可能となる。すなわち、一つのワークWに、直径が複数種類のボールBが搭載される場合において、ボールBの直径ごとに転写ピンやボール搭載ノズルを設置しておけば、ボールBの再搭載を効率的に行うことが可能となる。
また、余剰ボール除去部6は、直径が異なる複数種類のボールBの直径ごとに、各々が独立してボールを吸引できる複数種類の余剰ボール除去ノズルを有している。なお、余剰ボール除去部6が除去するのは、シフトボール状態(図8(C)参照)や余剰ボール状態(図8(D)参照)の位置ずれのボールBや余剰ボールB0などである。一つのワークWに搭載されるボールBが、径小のボールB1と径大のボールB2の2種類のときには、余剰ボール除去部6は、第1余剰ボール除去ノズル41および第2余剰ボール除去部42を有している。したがって、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bによって得られた検査結果に基づき、直径が異なる2種類の余剰ボールの除去を効率的行うことが可能となる。すなわち、一つのワークWに、直径が複数種類のボールBが搭載される場合において、ボールBの直径ごとに余剰ボール除去ノズルを設置しておけば、余剰ボールの除去を効率的に行うことができる。
また、ボール検査リペア装置1は、ワークWを搭載するステージ2と一体となって移動すると共に、第1転写ピン33と第2転写ピン、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38および第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42の平面方向(X−Y平面)および高さ方向(Z1−Z2)の位置を較正するキャリブレーション部50を有する。キャリブレーション部50は、キャリブレーション用カメラ108でX−Y平面の位置を較正し、キャリブレーション用センサー109でZ方向の位置を較正する。したがって、ステージ2(ワークW)に対する第1転写ピン33と第2転写ピン、第1ボール搭載ノズル37と第2ボール搭載ノズル38および第1余剰ボール除去ノズル41と第2余剰ボール除去ノズル42を高精度で制御できるので、信頼性が高いフラックス転写、ボール再搭載および余剰ボール除去などのリペア動作を実現できる。
また、ボール検査リペア装置1は、複数種類のボールの搭載状態を目視で確認できるベリファイ用カメラ60を有している。ベリファイ用カメラ50は、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7Bでボール搭載状態を検査した後、ボール搭載状態を目視で再確認するもので、検査結果の再確認によって、リペアの信頼性を高めることができる。
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。前述した実施の形態では、第1移載位置15方向から第2移載位置17に向かって、フラックス転写部4、ボール搭載部5、余剰ボール除去部6の順に配列させているが、この配列順は限定されず、たとえば、余剰ボール除去部6、フラックス転写部4、ボール搭載部5というように配列させてもよい。
また、前述した実施の形態では、第1検査用カメラ7Aおよび第2検査用カメラ7BをY方向に配列したが、配列方向は限定されず、たとえば、X方向に配列するようにしてもよい。また、ボールBの種類が多数になるような場合には、フラックス転写部4を構成する複数の各転写ピン、ボール搭載部5の各ボール搭載ノズルおよび余剰ボール除去部6の各余剰ボール除去ノズルのいずれか、または全部をX方向とY方向の両方に群として配列するようにしてもよい。
また、フラックス転写部4は、第1転写ピン33および第2転写ピン34によって、フラックスFを転写する方式を記載したが、ディスペンサー方式などにして、フラックスFを適量吐出する方式としてもよい。
また、前述した実施の形態では、2種類のボールB1,B2に対して2台の検査用カメラ7A,7Bを用意して、それぞれの検査用カメラに対し1種類のボールの搭載状態を検査するようにしたが、3種類のボールに対してそれぞれ専用に3台の検査用カメラを配置してもよい。また、3種類のボールに対して2台の検査用カメラを用意し、1台の検査用カメラは1種類のボール用とし、他のカメラは、他の2種類のボール用としてもよい。さらに、2種類のボールに2台の検査カメラを用意し、一方の検査用カメラは、ある1種類用とし、他方の検査用カメラは、2種類のボールを検査できるようにしてもよい。
また、前述した実施の形態では、第2検査用カメラ7BをカメラY移動機構55によってY方向に移動して第1検査用カメラ7Aとの距離(ピッチ)を変更できるようにしているが、第1検査用カメラ7Aと第2検査用カメラ7BそれぞれをY方向に移動できるようにしてもよい。
さらに、前述の実施の形態では、ボールB1に対し、第1フラックス転写機構28、第1ボール搭載機構35および第1ボール除去機構39を、ボールB2に対し、第2フラックス転写機構29、第2ボール搭載機構36および第2ボール除去機構40を、それぞれ使用するようにいるが、フラックス転写部4、ボール搭載部5、余剰ボール除去部6のいずれか1つ、または複数の部分には、各1つの機構のみを配置するようにしてもよい。
また、本発明のボール検査リペア装置1は、リペア装置に限定されるものではなく、直径が異なる複数種類のボールBを新規にワークWの所定の位置に搭載するボール搭載装置としても適用できる。