JP2017016890A - 二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた電極スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 - Google Patents

二次電池電極用バインダ樹脂、これを用いた電極スラリー、二次電池用電極、及び二次電池 Download PDF

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松本 晃和
Akikazu Matsumoto
晃和 松本
史子 藤江
Fumiko Fujie
史子 藤江
春樹 岡田
Haruki Okada
春樹 岡田
石垣 憲一
Kenichi Ishigaki
憲一 石垣
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Abstract

【課題】本発明の課題は、電極作製時の溶剤であるN−メチルピロリドンへの溶解性を制御して集電箔の柔軟性を向上させながら、シアン化ビニル単量体単位の持つ電池内での電気化学的安定性を発揮する、非水二次電池電極用バインダ樹脂を提供することにある。【解決手段】重合体(A)を含有する非水二次電池電極用バインダ樹脂であって、該重合体(A)が、ポリオレフィン幹ポリマーに、極性基を有する重合体が枝ポリマーとしてグラフトされ、幹ポリマーと枝ポリマーの質量比が1:99〜40:60である、非水二次電池電極用バインダ樹脂。【選択図】 なし

Description

本発明は、二次電池電極用バインダ樹脂、該バインダ樹脂と活物質と溶媒とを含む電極スラリー、該バインダ樹脂を含む二次電池用電極、及び該電極を備える二次電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池は、携帯電話、ビデオカメラ、ノート型パソコン等のポータブル機器や、ハイブリッド車、電気自動車に用いられている。リチウムイオン二次電池用電極は、通常、電極活物質材料に結着剤(バインダ)を適当量添加した混合物に溶媒を混ぜてペースト状にし、集電体に塗布、乾燥後圧着させて得られる。
結着剤としては、電解液に用いられる有機溶媒への耐溶剤性、駆動電圧内での耐酸化性、耐還元性等を満足する材料として、ポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」と記す。)が使用されている。しかしながら、PVDFは集電体との密着性が低いという問題があった。
PVDFの密着性の低さを改良する方法として、(メタ)アクリロニトリル重合体を用いる提案がなされている。例えば、特許文献1、2ではアクリロニトリル重合体をバインダに使用し、集電体との密着性・接着性を向上させている。
国際公開第WO02/039518号パンフレット 特開2010−174058号公報
しかしながら、特許文献1ではバインダ全量に占めるアクリロニトリルの量が少なく、(メタ)アクリロニトリル重合体の持つ集電体との密着性の良さを充分には発揮できない。
また、特許文献2ではアクリロニトリル重合体を主成分とした電極用バインダが提案されている。しかしながら、(メタ)アクリロニトリル重合体を主成分にした場合、作製した電極が柔軟性に劣り、製造プロセス中での巻回工程において合剤層に割れ、クラックが生じ、電池を製造することが困難になることが想定された。
本発明者らは鋭意検討した結果、ポリオレフィン幹ポリマーに、極性基を有する重合体が枝ポリマーとしてグラフトされ、幹ポリマーと枝ポリマーの質量比が1:99〜40:60である重合体を含む、二次電池電極用バインダ樹脂を用いることにより、電極作製時の溶剤であるN−メチルピロリドン(NMP)への溶解性を制御して集電箔の柔軟性を向上させながら、シアン化ビニル単量体単位の持つ電池内での電気化学的安定性を発揮する電池を得ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 重合体(A)を含有する非水二次電池電極用バインダ樹脂であって、該重合体(A)が、ポリオレフィン幹ポリマーに、極性基を有する重合体が枝ポリマーとしてグラフトされ、幹ポリマーと枝ポリマーの質量比が1:99〜40:60である、非水二次電池電極用バインダ樹脂。
[2] 前記極性基を有する重合体が、シアン化ビニル単量体単位を含有する、[1]の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
[3] 更に、酸性基を有する重合体(B)を含有する、[1]又は[2]の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
[4] 前記酸性基がリン酸基である、[3]の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
[5] [1]〜[4]のいずれかの非水二次電池電極用バインダ樹脂と、活物質と、溶媒とを含有する、電極スラリー。
[6] 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、前記合剤層が、[1]〜[4]のいずれかの非水二次電池電極用バインダ樹脂を含有する、二次電池用電極。
[7] [6]の二次電池用電極を備える、リチウムイオン二次電池。
[8] ポリオレフィンの存在下でセリウム(IV)を含む化合物をラジカル発生剤として用い、極性基を有する単量体を重合して得られた重合体(A)を、非水二次電池電極用バインダ樹脂として用いる、[1]又は[2]の非水二次電池電極用バインダ樹脂の製造方法。
本発明によれば、電極の柔軟性を良好にする二次電池電極用バインダ樹脂、二次電池用電極スラリー組成物を提供することができる。また前記バインダ樹脂から柔軟性に優れた二次電池用電極を提供することができる。更に、本発明の二次電池電極用バインダ樹脂により、電気化学的安定性が高い二次電池用電極及び非水系二次電池を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<重合体(A)>
本発明で用いられるバインダ樹脂は、ポリオレフィンの幹ポリマーに、極性基を有する重合体が枝ポリマーとしてグラフトされ、幹ポリマーと枝ポリマーの質量比が1:99〜40:60である重合体(A)を含有する。
<ポリオレフィン幹ポリマー>
本発明の幹ポリマーであるポリオレフィンとしては、入手が容易であることから、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましい。
また、本発明のポリオレフィンとしては、幹ポリマーに枝ポリマーをグラフトする工程を水系で実施することから、ポリオレフィンが水中に分散したポリオレフィンラテックスの形態であることが好ましい。
ポリオレフィンラテックスとしては、例えば、MGP−055、MYE−35G(商品名、いずれも丸芳化学(株)製)、アウローレンAE−202、アウローレンAE−301(商品名、いずれも日本製紙(株)製)、APTOLOK(商品名、三菱化学(株)製)が好適に使用できる。
ポリオレフィンの含有率は、重合体(A)を構成する全質量の1〜40質量%であり、好ましくは2〜35質量%、より好ましくは3〜30質量%である。ポリオレフィンの含有率が上記範囲の下限値以上であれば、重合体(A)をNMPへ溶解させる際の溶解性が低下し、電極を作製した際に重合体が活物質表面に塗れ広がらず、活物質間に間隙ができることで電極の柔軟性が向上する。また、ポリオレフィンの含有率が上記範囲の上限値以下であれば、電極スラリーを作製可能な程度の溶解性を保つことができる。
<極性基を有する枝ポリマー>
本発明の枝ポリマーは極性基を有する重合体である。極性基としては、例えば、(メタ)アクリル基、シアノ基、ハロゲン、フェニル基、アミド基、カルボン酸基が挙げられる。
枝ポリマーを構成する、極性基を有する単量体単位としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート単位、シアン化ビニル単量体単位、ハロゲン化ビニル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、マレイミド単位、(メタ)アクリルアミド単位、酢酸ビニル単位が挙げられる。
これら単量体単位の由来源となる単量体としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリル等のシアン化ビニル単量体が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらの中でも集電箔への密着性の高さ、電池内で電気化学的に安定に存在できる点から、シアン化ビニル単量体が好ましい。
更に、重合の容易さやコストパフォーマンスの点から、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
枝ポリマーは、極性基を持たない単量体単位を構成成分として含んでもよい。
極性基を持たない単量体単位の由来源となる、極性基を持たない単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン;ブタジエン等のジエンが挙げられる。
極性基を有する単量体単位の含有率は、枝ポリマーを構成する全単量体単位の50〜100モル%であり、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。極性基を有する単量体単位の含有率が上記の範囲内であれば、重合体(A)の集電箔への密着性が向上し、活物質が集電箔から剥離せず、長期にわたって電池内で安定に存在することができる。
極性基を有する枝ポリマーの含有率は、重合体(A)を構成する全質量の60〜99質量%であり、好ましくは65〜97質量%、より好ましくは70〜95質量%である。
重合体(A)の質量平均分子量は、0.1万〜500万が好ましく、3万〜100万がより好ましく、3万〜50万が更に好ましく、5万〜50万が特に好ましい。
重合体(A)の質量平均分子量は、溶剤としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、標準としてポリスチレンを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定できる。
<重合体(A)の製造方法>
重合体(A)の重合の方法としては、使用する単量体の種類や生成する重合体の溶解性等に応じて、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を選択できる。
単量体の投入方法としては、一度に全量の単量体を仕込んで重合する方法や、全単量体を少しずつ滴下して重合する方法を選択できる。
本発明では、幹ポリマーであるポリオレフィンを水中に分散させた状態に、枝ポリマーを構成する単量体を投入して反応を実施し、重合体(A)を得る方法が好ましい。また、ポリオレフィンを水中で分散させた状態を得るためには市販のポリオレフィンラテックスを使用することが好ましい。
<重合開始剤>
枝ポリマーの重合に用いる重合開始剤としては、重合開始効率等に優れることから、水溶性重合開始剤が好ましい。
水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酸化水素等の水溶性過酸化物;2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド等の水溶性アゾ化合物が挙げられる。
過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、及び硫酸、硫酸鉄、硫酸銅等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。
本発明では、重合開始剤としてセリウム(IV)を含む化合物を用いることが好ましく、硝酸セリウム(IV)アンモニウムがより好ましい。
硝酸セリウム(IV)アンモニウムは強力な酸化剤であることから、ポリオレフィン鎖の一部からラジカルを発生させ、そこを起点としてポリオレフィン鎖から枝ポリマーを直接重合することが可能となる。
<連鎖移動剤>
枝ポリマーを重合する際に、分子量調節等の目的で、連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、次亜リン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中では、臭気が少なく取扱いが容易であることから、α−メチルスチレンダイマー、次亜リン酸ナトリウムが好ましい。
<溶媒>
重合体(A)を懸濁重合する場合、得られる共重合体の粒子径を調節するため、水以外の溶媒を加えることができる。
水以外の溶媒としては、例えば、NMP、N,N−ジメチルアセトアミド、DMF等のアミド類;N,N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類;γ−ブチロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類;プロピレンカーボネート等のカーボネート類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;スルホラン等のスルホン類;メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール類が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<界面活性剤>
重合体(A)を乳化重合で製造する場合、界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等のノニオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルアミン等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<重合体(B)>
重合体(B)は、酸性基を有する重合体である。
酸性基としては、例えば、リン酸基、カルボキシ基、スルホン酸基、フェノール性水酸基が挙げられる。これらの中でも、集電体に対する密着性向上効果が高い点で、リン酸基、カルボキシ基、スルホン酸基が好ましく、リン酸基がより好ましい。
重合体(B)に含まれる酸性基は、1種でも2種以上でもよい。
酸性基を有する重合体の原料となる酸性基を有する単量体としては、例えば、リン酸基含有ビニル単量体及びその塩、カルボキシ基含有ビニル単量体及びその塩、スルホン酸基含有ビニル単量体及びその塩、フェノール系水酸基含有ビニル単量体及びその塩が挙げられる。
リン酸基含有ビニル単量体としては、リン酸基含有(メタ)アクリレート、リン酸基含有アリル化合物が好ましい。また、重合性官能基(ビニル基、α−メチルビニル基等)を1つ有する単官能性のリン酸基含有ビニル単量体が好ましい。
リン酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート・モノエタノールアミン塩、ジフェニル((メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、3−クロロ−2−アシッド・ホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッド・ホスホオキシポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
リン酸基含有アリル化合物としては、例えば、アリルアルコールアシッドホスフェートが挙げられる。
これら単官能のリン酸基含有ビニル単量体の他に、集電体に対する密着性の低下を招かない範囲で、2官能のリン酸基含有ビニル単量体を用いてもよい。
リン酸基含有ビニル単量体の中では、集電体に対する密着性と電極製造時のハンドリング性に優れることから、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートが好ましい。2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートは、工業的にライトエステルP1−M(商品名、共栄社化学(株)製)として入手可能である。
尚、「アシッド」は、リン原子に結合した水酸基を有するリン化合物であることを示す。例えば「アシッドホスフェート」は、リン酸のリン原子に結合した3つの水酸基のうち、1つ又は2つがエステル化されたリン化合物(リン酸のモノエステル又はジエステル)である。
カルボキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸が挙げられる。
スルホン酸基含有ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
フェノール系水酸基含有ビニル単量体としては、例えば、ヒドロキノンモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキノン(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
重合体(B)中の酸性基を有する単量体単位の含有率は、重合体(B)を構成する全ての構成単位の合計(100モル%)に対し、0.01〜20モル%が好ましく、0.1〜10モル%がより好ましい。酸性基を有する単量体単位の含有率が上記範囲の下限値以上であれば、充分な量の酸性基を含むことができ、合剤層の集電体に対する密着性がより優れる。酸性基を有する単量体単位の含有率が上記範囲の上限値以下であれば、重合体(B)が非水溶媒に充分に溶解し、合剤層の集電体に対する密着性がより優れる。
重合体(B)は、酸性基を有する単量体単位のほかに、シアン化ビニル単量体単位を含むことが好ましい。
シアン化ビニル単量体単位は、重合体(A)の説明で挙げたシアン化ビニル単量体単位と同様である。
重合体(B)に含まれるシアン化ビニル単量体単位は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
重合体(B)中のシアン化ビニル単量体単位の含有率は、重合体(B)を構成する全ての構成単位の合計(100モル%)に対し、80〜99.99モル%が好ましく、90〜99.9モル%がより好ましい。シアン化ビニル単量体単位の含有率が上記範囲の下限値以上であれば、重合体(B)が非水溶媒に充分に溶解し、合剤層の集電体に対する密着性がより優れる。シアン化ビニル単量体単位の含有率が上記範囲の上限値以下であれば、充分な量の酸性基を有する単量体単位を含むことができ、合剤層の集電体に対する密着性がより優れる。
重合体(B)は、必要に応じて、酸性基を有する単量体単位及びシアン化ビニル単量体単位以外の構成単位(任意構成単位)を更に含んでもよい。任意構成単位により、合剤層の剛性、曲げ強度等の機械的特性を調整できる。
重合体(B)における任意単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニル単量体、芳香族ビニル単量体、マレイミド類、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルが挙げられる。これらの単量体の具体例は、重合体(A)の極性基を有する単量体の説明で挙げたものと同様である。
任意単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
重合体(B)中の任意構成単位の含有率は、重合体(B)を構成する全ての構成単位の合計(100モル%)に対し、0〜19.99モル%が好ましい。この時、重合体(B)中のシアン化ビニル単量体単位の含有率は80〜99.99モル%、酸性基を有する単量体単位の含有率は0.01〜20モル%が好ましい。
重合体(B)中の任意構成単位の含有率は、0〜4モル%がより好ましい。この時、重合体(B)中のシアン化ビニル単量体単位の含有率は90〜99.9モル%、酸性基を有する単量体単位の含有率は0.1〜10モル%が好ましい。
重合体(B)の質量平均分子量は、0.1万〜500万が好ましく、3万〜100万がより好ましく、3万〜50万が更に好ましく、5万〜50万が特に好ましい。
重合体(B)の質量平均分子量は、重合体(A)の質量平均分子量と同様の方法で測定できる。
重合体(B)は、市販のものを用いても、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。
<バインダ樹脂>
本発明のバインダ樹脂は、重合体(A)のみを用いてもよく、重合体(A)と重合体(B)の混合物を用いてもよい。
バインダ樹脂として重合体(A)と重合体(B)の混合物を使用する場合、バインダ樹脂中の重合体(A)の割合は、重合体(A)と重合体(B)の合計を100質量%とした場合に、5〜95質量%が好ましく、10〜93質量%がより好ましく、20〜90質量%が更に好ましく、40〜90質量部が特に好ましく、60〜90質量部が中でも好ましい。バインダ樹脂中の重合体(A)の割合が上記下限値以上であれば、本発明のバインダ樹脂を用いて作製した電極が良好な柔軟性を持つことができる。また、バインダ樹脂中の重合体(A)の割合が上記上限値以下であれば、合剤層の集電箔に対する密着性が向上する。
本発明のバインダ樹脂は、電池性能を向上させるその他の「バインダ」、塗工性を向上させる「粘度調整剤」、電極の可撓性を向上させる「可塑剤」等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で組み合わせてもよい。
その他のバインダとしては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ポリ(メタ)アクリロニトリル、エチレン−ビニルアルコールコポリマー等の重合体;ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン等のフッ素系重合体が挙げられる。
粘度調整剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系重合体及びこれらのアンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム等のポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸とビニルアルコールの共重合体、変性ポリビニルアルコール、変性ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、グリコール類、グリセリン類、エリスリトール類等の水酸基を有する化合物が挙げられる。電解液への溶出のし難さから、多価アルコールの重縮合体であるポリエチレングリコール、ポリグリセリンがより好ましい。
最終的に電極に残留する添加剤については、電気化学的安定性のあることが好ましい。
二次電池電極用バインダ樹脂は、粉体状、溶媒に溶解した溶液、水性又は油性媒体に分散させたエマルションのいずれの形態で使用してもよい。
<バインダ樹脂の用途>
本発明の二次電池用バインダ樹脂が使用できる電池の種類としては、非水系の二次電池が好ましく、リチウムイオン二次電池における正極又は負極への使用がより好ましい。
<二次電池電極用スラリー組成物>
二次電池電極用スラリー組成物は、少なくとも、上述のバインダ樹脂、電極活物質及び溶媒を含む。また、更に導電助剤その他の添加剤を含んでいてもよい。具体的には、本発明の二次電池電極用バインダ樹脂と電極活物質とを、導電助剤その他の添加剤と共に、溶媒中に分散又は溶解させて得ることできる。
二次電池電極用スラリー組成物の組成は、活物質を100質量部とした場合、本発明の二次電池電極用バインダ樹脂を0.1〜10質量部、導電助剤を0.5〜20質量部とすることが好ましい。また、その他の添加剤を0〜10質量部加えてもよい。
<二次電池用電極>
二次電池用電極は、集電体と、この集電体の少なくとも一面に設けられた合剤層とを有するものである。本発明のバインダ樹脂は、この合剤層を構成する材料として使用される。具体的には、本発明の二次電池電極用バインダ樹脂に活物質を配合し、溶媒に溶解又は分散させたスラリー組成物を乾燥して得られる固相が合剤層となる。
合剤層に用いる活物質は、正極材の電位と負極材の電位が異なるものであればよい。
リチウムイオン二次電池の場合、用いられる正極活物質としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる少なくとも1種類以上の金属とリチウムを含有するリチウム含有金属複合酸化物が挙げられる。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、用いられる負極活物質としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料;上記炭素材料とシリコン、錫、銀等の金属又はこれらの酸化物との複合物が挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
リチウムイオン二次電池において、正極にはリチウム含有金属複合酸化物、負極には黒鉛を用いることが好ましい。このような組合せとすることで、リチウムイオン二次電池の電圧は約4Vとなる。
尚、正極活物質には、導電助剤を組み合わせて使用してもよい。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、導電性高分子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
集電体としては、導電性を有する物質であればよく、材料としては金属が使用できる。リチウムと合金化し難い金属が望ましく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、あるいはこれらの合金が挙げられる。
集電体の形状としては、薄膜状、網状、繊維状が挙げられる。この中では、薄膜状が好ましい。集電体の厚さは、5〜30μmが好ましく、8〜25μmがより好ましい。
合剤層は、電極活物質等を含むバインダ樹脂を用いて形成される。合剤層は、例えば、上記バインダ樹脂、添加剤、溶媒及び電極活物質を含むスラリー組成物を調製し、このスラリー組成物を集電体に塗布し、溶媒を乾燥除去することによって得られる。
スラリー組成物の調製に用いる溶媒は、例えば、水、NMP、N−エチルピロリドン、DMF、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、NMPとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)の混合溶媒、NMPとグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液が挙げられ、NMPが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、スラリー組成物には、必要に応じて、分散剤、粘度調整剤等の添加剤を添加することができる。具体的には、スラリーの粘度を調整するレオロジーコントロール剤、集電体へ塗工後の平滑性を出すレベリング剤、分散剤等である。これらはいずれも公知のものを用いることができる。
電極を作製するプロセス例として、本発明の二次電池電極用バインダ樹脂、電極活物質、アセチレンブラックを溶媒、例えばNMPの存在下で混練してスラリーを得る。上記スラリーを電極集電体に塗布、乾燥後、必要に応じてプレスして電極が得られる。
乾燥条件は、溶媒が充分に除去可能で上記電池用バインダが分解しない条件であればよく、40〜160℃、好ましくは60〜140℃で、1分間〜10時間、加熱処理することが好ましい。この範囲で、二次電池用バインダ樹脂は分解することなく、活物質と集電体、あるいは活物質間の密着性を付与することができる。
以上の様にして作製された負極構造体と正極構造体とを、透液性のセパレータ(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム)を間に介して、配置し、これに非水系の電解液を含浸させることにより非水系二次電池が形成される。
また、両面に活性層が形成された負極構造体/セパレータ/両面に活性層が形成された正極構造体/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回して得られる構造体を有底の金属ケーシングに収容し、負極を負極端子に、正極を正極端子に接続し、電解液を含浸させた後、ケーシングを封止することにより筒状の二次電池が得られる。
電解液としては、例えば、リチウムイオン二次電池の場合、電解質としてのリチウム塩を1M程度の濃度で非水系有機溶媒に溶解したものが用いられる。
リチウム塩としては、電解液としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiI、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiCl、LiBr、LiB(C25)4、LiCH3SO3、LiC49SO3、Li(CF3SO2)2N、Li[(CO2)2]2Bが挙げられる。
非水系有機溶剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。電解液は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<二次電池>
電池は、公知の方法を用いて製造することができ、例えば、リチウムイオン二次電池の場合は、先ず、正極と負極の2つの電極を、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して巻回する。得られたスパイラル状の巻回群を電池缶に挿入し、予め負極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池缶底に溶接する。
得られた電池缶に電解液を注入し、更に予め正極の集電体に溶接しておいたタブ端子を電池の蓋に溶接し、蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置し、蓋と電池缶とが接した部分をかしめて密閉することによって電池を得る。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<二次電池電極用バインダ樹脂の合成>
(製造例1)
1Nの硝酸水溶液に硝酸セリウム(IV)アンモニウムを5質量%の濃度となるように溶解させ、重合開始剤水溶液とした。
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した1リットルのセパラブルフラスコに、蒸留水294.4g、ポリオレフィンラテックスとしてMGP−055(商品名、丸芳化学(株)製、固形分30%)を8.0g、アクリロニトリル57.6gを仕込み、窒素ガスを通気量100mL/分で15分間バブリングした。攪拌しながら30℃まで昇温し、窒素ガスの通気をフローに切り替えた。
次いで、重合開始剤水溶液15g及び蒸留水45gを投入し、重合を開始した。重合開始後、30℃で3時間保持して重合を完了させた。
攪拌を止めて冷却し、反応液を吸引濾過した。60℃の温水で洗浄後、80℃で24時間乾燥させ、重合体(A1)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例2)
セパラブルフラスコ内の仕込みを蒸留水283.2g、MGP−055を24.0g、アクリロニトリルを52.8gに変更する以外は製造例1と同様にして重合体(A2)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例3)
セパラブルフラスコ内の仕込みを蒸留水273.3g、MYE−35G(商品名、丸芳化学(株)製、固形分35%)を41.1g、アクリロニトリルを45.86に変更する以外は製造例1と同様にして重合体(A3)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例4)
セパラブルフラスコ内の仕込みを蒸留水266.4g、アウローレンAE−301(商品名、日本製紙(株)製、固形分30%)を48.0g、アクリロニトリルを45.6gに変更する以外は製造例1と同様にして重合体(A4)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例5)
セパラブルフラスコ内の仕込みを蒸留水283.2g、APTOLOK(商品名、三菱化学(株)製、固形分30%)を24.0g、アクリロニトリルを52.8gに変更する以外は製造例1と同様にして重合体(A5)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例6)
セパラブルフラスコ内の仕込みを蒸留水249.6g、APTOLOKを72.0g、アクリロニトリルを38.4gに変更する以外は製造例1と同様にして重合体(A6)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例7)
セパラブルフラスコ内の仕込みを蒸留水219.8g、MYE−35Gを123.4g、アクリロニトリルを16.8gに変更する以外は製造例1と同様にして重合体(A7)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例8)
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した1リットルのセパラブルフラスコに、蒸留水235gと1質量%の硫酸水溶液を仕込み、窒素ガスを通気量100mL/分で15分間バブリングした。攪拌しながら60℃まで昇温し、窒素ガスの通気をフローに切り替えた。
次いで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.27g、50質量%亜硫酸水素アンモニウム0.81g、0.01質量%硫酸鉄0.1875g及び蒸留水15gを投入した。
アクリロニトリル25.0gを混合した単量体を、窒素ガスを15分間バブリングした後、セパラブルフラスコに30分間滴下しながら投入した。滴下終了後、60℃で3時間保持して重合を完了させた。
攪拌を止めて冷却し、反応液を吸引濾過した。60℃の温水で洗浄後、80℃で24時間乾燥させ、重合体(A8)を得た。得られた重合体の幹ポリマーと枝ポリマーの質量比について表1に示す。
(製造例9)
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を装備した1リットルのセパラブルフラスコに、蒸留水235gと1質量%の硫酸水溶液を仕込み、窒素ガスを通気量100mL/分で15分間バブリングした。攪拌しながら60℃まで昇温し、窒素ガスの通気をフローに切り替えた。
次いで、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.27g、50質量%亜硫酸水素アンモニウム0.81g、0.01質量%硫酸鉄0.1875g及び蒸留水15gを投入した。
アクリロニトリル24.50gとライトエステルP1−M(共栄社化学(株)製)0.49gを混合した単量体を、窒素ガスを15分間バブリングした後、セパラブルフラスコに30分間滴下しながら投入した。滴下終了後、60℃で3時間保持して重合を完了させた。
攪拌を止めて冷却し、反応液を吸引濾過した。60℃の温水で洗浄後、80℃で24時間乾燥させ、重合体(B1)を得た。得られた重合体のモル組成について表2に示す。
(実施例1)
上記製造例1で製造した重合体(A1)をバインダ樹脂として用いた電極用スラリー組成物を以下のように調製し、その特性評価を行なった。
<電池電極用スラリーの調製>
バインダ樹脂組成物として、コバルト酸リチウム(日本化学工業(株)製、品名:セルシードC−5H)、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製、品名:デンカブラック)、重合体(A1)を、質量比 100:5:3で混ぜ合わせ、溶剤としてNMPを用いて、所謂固練りになるように加えて混練した。混練には自転公転ミキサー(泡取り練太郎ARV−200、シンキー(株)製)を使用した。更に、NMPを加えて混練して、塗工可能な粘度になるように固形分を下げて、最終的な電池電極用スラリーを得た。
<電極の作成>
上記で調製したスラリーを、ドクターブレードを用いて集電体に塗布した。ドクターブレードの設定膜厚は220μm、用いた集電体はアルミ箔(厚み20μm)であった。スラリーを塗布した集電体を、80℃で50分間乾燥させて、目付け21mg/cm2の電極を得た。
<電極の柔軟性評価>
電極を幅30mm×長さ50mmに切り出し、試験片1とした。続いて、試験片1の銅箔面にマンドレル(直径はそれぞれ16mm、10mm、8mm、6mm、5mm、4mm、3mm)をあて、試験片1の片側をテープで固定した。アルミ箔面が内側になるよう試験片1を折り曲げたときの合剤層の状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて電極の柔軟性を評価した。測定は3回行ない、そのうち2回以上○、×が一致した結果について記載している。
○:変化なし
×:クラックや剥がれが生じた
(結着性の評価)
正極電極を横20mm、縦80mmになるように切り出し、切り出し片の合剤層面を両面テープ(積水化学工業(株)製、「#570」)でポリカーボネートシート(横25mm、縦100mm、厚さ1mm)に固定し、試験片2とした。試験片2を引張り強度試験テンシロン試験機(オリエンテック社製、「RTC−1210A」)にセットし、10mm/minで銅箔を180°剥離し、剥離強度(N/cm)を測定した。試験は5回実施し、その平均値を記録した。
(実施例2〜6)
電池電極用バインダ樹脂として重合体(A2)〜(A6)を使用した以外は、実施例1と同様に電極を作製し、柔軟性、結着性を評価した。
(実施例7)
電池電極用バインダ樹脂として重合体(A2):重合体(B1)を質量比70:30で混合したものを使用した。
バインダ樹脂組成物として、コバルト酸リチウム(日本化学工業(株)製、品名:セルシードC−5H)、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製、品名:デンカブラック)、混合後のバインダ樹脂を、質量比 100:5:3で混ぜ合わせ、溶剤としてNMPを用いて、所謂固練りになるように加えて混練した。混練には自転公転ミキサー(泡取り練太郎ARV−200、シンキー(株)製)を使用した。更に、NMPを加えて混練して、塗工可能な粘度になるように固形分を下げて、最終的な電池電極用スラリーを得た。
(実施例8)
混合するバインダ樹脂を重合体(A2):重合体(B1)を質量比50:50としたものを用いる以外は実施例7と同様に電極を作製し、柔軟性、結着性を評価した。
(実施例9)
混合するバインダ樹脂を重合体(A2):重合体(B1)量比30:70としたものを用いる以外は実施例7と同様に電極を作製し、柔軟性、結着性を評価した。
(実施例10)
混合するバインダ樹脂を重合体(A2):重合体(B1)量比85:15としたものを用いる以外は実施例7と同様に電極を作製し、柔軟性、結着性を評価した。
(比較例1、2)
電池電極用バインダ樹脂として重合体(A7)、(A8)をそれぞれ使用した以外は実施例1と同様に電極を作製し、柔軟性、結着性を評価した。
実施例1〜9、比較例1、2の評価結果を表3に示す。
比較例1に記載のバインダ樹脂はポリオレフィン幹ポリマーの含有率が72質量%と、本願請求範囲の上限である40質量%を上回っていたためにNMPへの溶解性が著しく低下してドープとならず、電極を作製することができなかった。
比較例2に記載のバインダ樹脂はポリオレフィン幹ポリマーを含まないがために、NMPへの溶解性が過剰に良好になり、バインダ樹脂がスラリー内の活物質を覆ってしまい、電極作製後の合剤層の柔軟性を阻害する結果が得られた。

Claims (8)

  1. 重合体(A)を含有する非水二次電池電極用バインダ樹脂であって、
    該重合体(A)が、ポリオレフィン幹ポリマーに、極性基を有する重合体が枝ポリマーとしてグラフトされ、幹ポリマーと枝ポリマーの質量比が1:99〜40:60である、非水二次電池電極用バインダ樹脂。
  2. 前記極性基を有する重合体が、シアン化ビニル単量体単位を含有する、請求項1記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
  3. 更に、酸性基を有する重合体(B)を含有する、請求項1又は2に記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
  4. 前記酸性基がリン酸基である、請求項3に記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂と、活物質と、溶媒とを含有する、電極スラリー。
  6. 集電体と、該集電体上に設けられた合剤層とを備え、
    前記合剤層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂を含有する、二次電池用電極。
  7. 請求項6に記載の二次電池用電極を備える、リチウムイオン二次電池。
  8. ポリオレフィンの存在下でセリウム(IV)を含む化合物をラジカル発生剤として用い、極性基を有する単量体を重合して得られた重合体(A)を、非水二次電池電極用バインダ樹脂として用いる、請求項1又は2に記載の非水二次電池電極用バインダ樹脂の製造方法。
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