JP2017011066A - 光電変換素子 - Google Patents

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直道 兼為
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裕二 田中
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Ryota Arai
遼太 新居
重代 鈴木
Shigeyo Suzuki
重代 鈴木
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Abstract

【課題】透光性を有する第二の電極を用いても良好な光電変換効率が得られる光電変換素子を提供することを目的とする。【解決手段】第一の基板と、前記第一の基板上に配置された透光性を有する第一の電極と、前記第一の電極上に配置された光電変換層と、前記光電変換層上に配置された透光性を有する第二の電極と、前記第二の電極上に配置された多孔質層と、前記多孔質層上に配置された第二の基板とを有し、前記多孔質層は金属酸化物からなる光散乱粒子を含むことを特徴とする光電変換素子。【選択図】図1

Description

本発明は光電変換素子に関する。
近年、電子回路における駆動電力が非常に少なくなり、微弱な電力(μWオーダー)でもセンサ等の様々な電子部品を駆動することができるようになった。さらに、センサの活用に際し、その場で発電し消費できる自立電源として環境発電素子への応用が期待されており、その中でも太陽電池(光電変換素子の一種)は光があればどこでも発電できる素子として注目を集めている。
太陽電池(光電変換素子の一種)の中でも、スイスローザンヌ工科大学のGraetzelらが発表した色素増感型太陽電池は、微弱な室内光環境下においてアモルファスシリコン太陽電池以上の高い光電変換特性を有することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。通常、LEDライトや蛍光灯などの室内光の照度は200Luxから1000Lux程度であり、太陽の直射光(およそ100000Lux)と比較し、非常に微弱な光である。この太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。Graetzelらは、酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた(例えば、特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。
色素増感型太陽電池の対向電極としては、白金や銀、金といった貴金属の蒸着膜が一般的に用いられる。しかしこれらは資源的に希少であり高価な材料であるとともに、蒸着設備が高価なことから製造コストが高くなるといった問題点がある。このため貴金属に変わる代替材料が研究されており、例えば、導電性高分子化合物を用いたものが検討されている(非特許文献4)。また、製膜方法として上記貴金属のナノ粒子、あるいは上記導電性化合物などから構成されるペーストをスクリーン印刷などの塗布工程により簡便に製膜することによる製造コストの低減が検討されている。
実用的には、色素増感型太陽電池は複数のセルから構成されるモジュール形態をとる。例えば、特許文献2には、基板、第一電極、表面に光増感化合物を吸着させた電子輸送性半導体からなる電子輸送層、ホール輸送層、第二電極をこの順に具備し、前記第一電極と第二電極が、それぞれ分割された複数の電極からなることを特徴とする固体色素増感型太陽電池が提案されている。しかし、上記導電性高分子化合物を対向電極に用いた色素増感型太陽電池モジュールの光電変換に関しては、モジュールを構成する太陽電池セルの電極間に照射された光が、光電変換へ殆ど寄与せず透過してしまう課題1と、上記導電性高分子化合物は透光性を有する為、金属対極等とは異なり散乱光を利用できないといった課題2がある。
また、課題2に関しては、色素の吸収係数が小さく光電変換層内において光が十分に吸収されずに透過してしまうため、光散乱層を設け、散乱光も利用することで光電変換効率を向上させる事が必要である。例えば、特許文献3には、光吸収粒子層(粒径80nm以下の半導体微粒子)の下面(電解質側)に粒径を制御した高屈折材料粒子(粒径が200〜500nm)を堆積させた光反射粒子層を設けた色素増感太陽電池が提案されている。また、特許文献4には、半導体電極の受光面に対向する裏面上(電解質側)に隣接して配置された光反射層を有し、前記光反射層の層厚が3〜50μmであり、前記光反射層には、屈折率が1.8以下の第1の粒子と、平均粒子径が150nm以上で屈折率が2.4以上の第2の粒子とが含有されており、かつ、前記光反射層における前記第2の粒子の占める体積の割合が15〜40%であることを特徴とする光電極が提案されている。また、特許文献5には、透明電極、光電変換層及び光反射層をこの順に積層し、光電変換層を、増感色素が担持された多孔質半導体とし、光反射層を、増感色素が担持されていない多孔質体として構成された光電極が提案されている。
上記課題1に関しては、太陽電池セルの電極間を透過する光を散乱するため、対向電極を挟んで光電変換層と逆側に太陽電池セルを跨いだ光散乱基材を設けることが必要である。しかし、光散乱基材として金属などの導電体を用いると、対向電極同士を電気的に繋いでしまい並列もしくは直列性が保てなくなる場合が容易に推測される。また、ガラス基板や高屈折ポリマー等の平滑な表面を有した光散乱基材を用いた場合、例えば85℃以上の高温環境下において、上記導電性高分子化合物電極が反射基材に熱転写されてしまい、光電変換層との電気的コンタクトが悪化し、接触抵抗が増加してしまう場合が容易に推測される。
上記課題2に対する提案は何れも光電変換層内に光反射層を設けることで光電変換効率を向上させる手法であるが、有機ホール輸送材料を用いるような固体型色素増感型太陽電池の場合、電解液を用いる場合と比較しホールの拡散移動距離が短いため、光電変換層内に反射粒子層を設けることによるホール拡散移動距離の増加により電流損失が大きくなる。そのため、固体型色素増感型太陽電池において光電変換層内に反射粒子層を設けることと、良好な光電変換効率を両立することは困難である。
以上のように、これまで検討されてきた光散乱技術では、いずれも満足できるものが得られていないのが現状である。
そこで、本発明は上記課題を鑑み、透光性を有する対向電極(第二の電極)を用いても良好な光電変換効率が得られる光電変換素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の光電変換素子は、
(1)第一の基板と、前記第一の基板上に配置された透光性を有する第一の電極と、前記第一の電極上に配置された光電変換層と、前記光電変換層上に配置された透光性を有する第二の電極と、前記第二の電極上に配置された多孔質層と、前記多孔質層上に配置された第二の基板とを有し、前記多孔質層は金属酸化物からなる光散乱粒子を含むことを特徴とする光電変換素子
である。
以下の詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、透光性を有する対向電極(第二電極)を用いても、室内光環境下においても良好な光電変換効率が得られる光電変換素子を提供することができる。
本発明に係る光電変換素子の構造を表わす一例の概略図である。 本発明に係る光電変換素子の構造を表わす他の例の概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、前記(1)の「光電変換素子」に係るものであるが、以下の(2)〜(6)に記載の「光電変換素子」に係るものでもあるので、これらについても併せて詳細に説明する。
(2)前記光電変換層が、前記第一の電極上に配置されたホールブロッキング層と、前記ホールブロッキング層上に配置され、表面に光増感化合物を吸着させた電子輸送性半導体からなる電子輸送層と、前記電子輸送層と接続し、ホール輸送性材料からなるホール輸送層とから構成されることを特徴とする(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記光散乱粒子が、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化イットリウム、及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の光電変換素子。
(4)前記第二の電極が、下記A及びBの少なくとも一種から構成されることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の光電変換素子。
A:ポリチオフェン、及びその誘導体よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物
B:第11属金属元素からなるナノワイヤ
(5)前記第一の電極と前記第二の電極が、それぞれ分割された複数の電極からなることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の光電変換素子。
(6)太陽電池として用いることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の光電変換素子。
本明細書において光電変換素子とは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子あるいは電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子を表し、具体的には太陽電池あるいはフォトダイオード等が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、第一の基板と、前記第一の基板上に配置された透光性を有する第一の電極と、前記第一の電極上に配置された光電変換層と、前記光電変換層上に配置された透光性を有する第二の電極と、前記第二の電極上に配置された多孔質層と、前記多孔質層上に配置された第二の基板とを有し、前記多孔質層は金属酸化物からなる光散乱粒子を含む。
前記多孔質層は、第二の電極と第二の基板の間に設けられ、光散乱粒子を含み、第一の基板から入射した透過光を光電変換層に戻すものである。これにより、透光性を有する第二の電極を用いても良好な光電変換効率が得られることを見出し、本発明に至った。ここで、ガラス基板や高屈折ポリマー等の平滑な表面を有した光散乱基材を用いた場合、例えば85℃以上の高温環境下において、導電性高分子化合物電極が反射基材に熱転写されてしまい、光電変換層との電気的コンタクトが悪化し、接触抵抗が増加してしまう場合がある。そのため、光散乱層を多孔質とし、上記導電性高分子化合物電極との接触面積を低下させることで、上記懸念点を低減できる。
本発明の光電変換素子は、複数のセルから構成されるモジュール形態をとる場合においては、モジュールを構成する太陽電池セルの電極間に照射された光を散乱させることができるので、良好な光電変換効率が得られる。
また、多孔質層を第二の電極と第二の基板の間に設けることにより、光電変換層が有機ホール輸送性材料を用いた固体型色素増感型であっても、ホール拡散移動距離が増加することがなく、電流損失を低減できる。
前記光電変換層は、前記第一の電極上に配置されたホールブロッキング層と、前記ホールブロッキング層上に配置され、表面に光増感化合物を吸着させた電子輸送性半導体からなる電子輸送層と、前記電子輸送層と接続し、ホール輸送性材料からなるホール輸送層とから構成されることが好ましい。光電変換層としては有機薄膜太陽電池も挙げられる。
つぎに、本発明に係る光電変換素子について図面を参照しながら説明する。
なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
光電変換素子の構成について図1に基づいて説明する。なお、図1は光電変換素子の断面の概略図である。
図1に示す態様においては、第一の基板1と、前記第一の基板1上に配置された透光性を有する第一の電極2と、前記第一の電極2上に配置されたホールブロッキング層3と、前記ホールブロッキング層3上に配置され、表面に光増感化合物5を吸着させた電子輸送性半導体からなる電子輸送層4と、前記電子輸送層4と接続し、ホール輸送性材料からなるホール輸送層6と、前記ホール輸送層6上に配置された透光性を有する第二の電極7と、前記第二の電極7上に配置された多孔質層8と、前記多孔質層8上に配置された第二の基板9を有し、前記多孔質層8には光散乱粒子を含む構成の例が図示されている。
以下、詳細を説明する。
<第一の基板>
本発明に用いられる第一の基板1としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。第一の基板1は透明な材質のものが好ましく、例えばガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体等が挙げられる。
<第一の電極>
本発明に用いられる第一の電極2としては、可視光に対して透明な導電性物質であれば特に限定されるものではなく、通常の光電変換素子、あるいは液晶パネル等に用いられる公知のものを使用できる。
第一の電極の材料としては、例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)、アンチモンドープ酸化スズ(以下、ATOと称す)、インジウム・亜鉛酸化物、ニオブ・チタン酸化物、グラフェン等が挙げられ、これらが単独あるいは複数積層されていてもよい。
第一の電極2の厚さは5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmがより好ましい。
また、第一の電極2は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板1上に設けることが好ましい。第一の電極2と基板1とが一体となっている公知のものを用いることもでき、例えば、FTOコートガラス、ITOコートガラス、酸化亜鉛:アルミニウムコートガラス、FTOコート透明プラスチック膜、ITOコート透明プラスチック膜等が挙げられる。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状等、光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。
これらは単独あるいは2種以上の混合又は積層したものでも構わない。また抵抗を下げる目的で、金属リード線等を併用してもよい。
前記金属リード線の材質は、アルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法により形成できる。
<ホールブロッキング層>
一般的に、ホールブロッキング層3は、電解質が電極と接して、電解質中のホールと電極表面の電子が再結合(いわゆる逆電子移動)することによる電力低下を抑制するために設けられる。このホールブロッキング層3の効果は、固体型色素増感型太陽電池において特に顕著である。これは、電解液を用いた湿式色素増感太陽電池と比較し、有機ホール輸送材料等を用いた固体型色素増感型太陽電池はホール輸送材料中のホールと電極表面の電子の再結合(逆電子移動)速度が速いことに起因している。
本発明で用いられるホールブロッキング層3の材料としては、可視光に対して透明であり、かつ電子輸送性材料であれば特に限定されるものではない。材料としては、例えば、
酸化チタン、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化スズ等が挙げられ、これらが単独あるいは積層、あるいは混合されていてもよい。
ホールブロッキング層3の製膜方法は特に限定されるものではないが、室内光における損失電流を抑制するためには、高い内部抵抗が必要であり、製膜方法も重要である。一般的には、湿式製膜となるゾルゲル法が挙げられるが、膜密度が低く十分に損失電流を抑制できない。そのため、より好ましくは、スパッタリング法などの乾式製膜であり、膜密度が十分に高く損失電流を抑制できる。
このホールブロッキング層3は、第一の電極2とホール輸送層6との電子的コンタクトを防ぐ目的でも形成される。このホールブロッキング層3の膜厚は特に制限はないが、5nm〜1μmが好ましく、湿式製膜では500〜700nmがより好ましく、乾式製膜では10nm〜30nmがより好ましい。
<電子輸送層>
本発明の光電変換素子は、上記のホールブロッキング層3上に電子輸送層4を形成するものが好ましく、一般的に多孔質状の層として構成される。電子輸送層4は、半導体微粒子などの電子輸送性材料を含み、電子輸送性材料は後述する光増感化合物5が吸着されていることが好ましい。電子輸送性材料としては特に限定されるものでなく、ロッド状やチューブ状等の半導体材料でもよい。以下、半導体微粒子を例として挙げて説明する箇所があるが、これに限られるわけではない。
また、電子輸送層4は単層であっても多層であってもよい。多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
前記半導体としては特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、もしくは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体又はペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも、電子輸送性材料としては、酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ及び酸化ニオブから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。そのため、これらは単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。また、これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
半導体微粒子の粒径は特に制限はないが、一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。また、より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合あるいは積層して入射光を散乱させる効果により、効率を向上させることも可能である。この場合の半導体の平均粒径は50〜500nmが好ましい。
一般的に、電子輸送層4の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感化合物5の量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。そのため、電子輸送層の膜厚は100nm〜100μmが好ましく、100nm〜50μmがより好ましく、100nm〜10μmがさらに好ましい。
電子輸送層4の作製方法には特に制限はなく、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、電子集電電極基板(基板1、第一の電極2、ホールブロッキング層3が形成された電極基板)上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
半導体微粒子の分散液を機械的粉砕、あるいはミルを使用して作製する場合、少なくとも半導体微粒子単独、あるいは半導体微粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成される。
このときに用いられる樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
半導体微粒子を分散する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
半導体微粒子の分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた半導体微粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
このとき加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
半導体微粒子は、塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせ、膜強度の向上や基板との密着性を向上させるために焼成、マイクロ波照射、電子線照射、あるいはレーザー光照射を行うことが好ましい。これらの処理は単独で行ってもよいし、あるいは二種類以上組み合わせて行ってもよい。
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融したりすることもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
前記マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行うことが好ましい。
焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、後述する光増感化合物5から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
直径が数十nmの半導体微粒子を焼結等によって積層した膜は、多孔質状態を形成する。このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。
このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。したがって、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層4の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
<光増感化合物>
本発明では変換効率のさらなる向上のため、光増感化合物5を電子輸送性半導体の表面に吸着させる。
光増感化合物5は、使用される励起光により光励起される化合物であれば特に限定されるものでないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J.Phys.Chem.C,7224,Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem.Commun.,4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報、J.Am.Chem.Soc.,12218,Vol.126(2004)、Chem.Commun.,3036(2003)、Angew.Chem.Int.Ed.,1923,Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J.Am.Chem.Soc.,16701,Vol.128(2006)、J.Am.Chem.Soc.,14256,Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J.Phys.Chem.,2342,Vol.91(1987)、J.Phys.Chem.B,6272,Vol.97(1993)、Electroanal.Chem.,31,Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J.Porphyrins Phthalocyanines,230,Vol.3(1999)、Angew.Chem.Int.Ed.,373,Vol.46(2007)、Langmuir,5436,Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。
更に好ましくは、三菱製紙社製の下記構造式(1)で表されるD131、下記構造式(2)で表されるD102、下記構造式(3)で表されるD358が挙げられる。
電子輸送性半導体に光増感化合物5を吸着させる方法としては、光増感化合物溶液中あるいは分散液中に電子輸送性半導体微粒子を含有する電子集電電極を浸漬する方法、または、光増感化合物溶液あるいは分散液を電子輸送性半導体に塗布して吸着させる方法を用いることができる。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができる。
後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
光増感化合物5を吸着させる際、縮合剤を併用してもよい。
前記縮合剤は、電子輸送性半導体表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物5を結合させるような触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。
さらに、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
光増感化合物5を溶解、あるいは分散する溶媒としては、たとえば、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、
アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、
ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、
ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、
ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合として用いることができる。
また、光増感化合物5は、その種類によっては化合物間の凝集を抑制した方がより効果的に働くものが存在するため、凝集解離剤を併用しても構わない。
前記凝集解離剤としてはコール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましく、用いる色素に対して適宜選ばれる。
これら凝集解離剤の添加量は、光増感化合物1質量部に対して0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
これらを用い、光増感化合物5、あるいは光増感化合物5と凝集解離剤を吸着する際の温度としては、−50℃以上、200℃以下が好ましい。
また、この吸着は静置しても攪拌しながら行なっても構わない。
前記攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間以下がさらに好ましい。
また、吸着は暗所で行なうことが好ましい。
<ホール輸送層>
ホール輸送層6には、酸化還元対を有機溶媒に溶解した電解液、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリックスに含浸したゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩、固体電解質、無機ホール輸送材料、有機ホール輸送材料等が用いられる。これらの中でも、有機ホール輸送材料が好ましい。なお、以下、有機ホール輸送材料を例として説明する箇所があるが、これに限られるものではない。
本発明におけるホール輸送層6は、単一材料からなる単層構造でも、複数の化合物からなる積層構造でも構わない。積層構造の場合、第二の電極7に近いホール輸送層6に高分子材料を用いることが好ましい。製膜性に優れる高分子材料を用いることで多孔質状の電子輸送層4の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができる。
また、高分子材料は多孔質状の電子輸送層4内部へ浸透しにくいことから、多孔質状の電子輸送層4表面の被覆に優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果を発揮するため、より高い性能を得ることが可能となる。
単一で用いられる単層構造において用いられる有機ホール輸送材料としては、公知の有機ホール輸送性化合物が用いられる。
その具体例としては特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン化合物、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン化合物、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン化合物、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール化合物、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン化合物、特開昭58−65440号公報あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン化合物等を挙げることができる。
その中でも、Adv.Mater.,813,vol.17,(2005)記載のホール輸送材料(2,2’,7,7’−tetrakis(N,N−di−p−methoxyphenylamino)−9,9’−spirobifluorene:spiro−OMeTAD)が特に好ましい。spiro−OMeTADは、高いホール移動度を有している他に、2つのベンジジン骨格分子が捻れて結合している。そのため、球状に近い電子雲を形成しており、分子間におけるホッピング伝道性が良好であることにより優れた光電変換特性を示す。また可溶性も高く各種有機溶媒に溶解し、アモルファス(結晶構造をもたない無定形物質)であるため、多孔質状の電子輸送層に密に充填されやすく、固体型色素増感型太陽電池にとって有用な特性を有している。さらに、450nm以上の光吸収特性を有さないために、光増感化合物に効率的に光吸収をさせることができ、固体型色素増感型太陽電池にとって有用な特性を有している。spiro−OMeTADからなるホール輸送層の膜厚は限定されないが、多孔質状の電子輸送層の細孔に入り込んだ構造を有することが好ましく、電子輸送層上に0.01μm以上が好ましく、0.1〜10μm程度がより好ましい。
積層構造において用いられる第二の電極7に近いホール輸送層6に用いられる高分子材料としては、公知のホール輸送性高分子材料が用いられる。
その具体例としては、ポリ(3−n−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−n−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(9,9’−ジオクチル−フルオレン−コ−ビチオフェン)、ポリ(3,3’’’−ジドデシル−クォーターチオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チエノ[3,2−b]チオフェン)、ポリ(3,6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−チオフェン)、ポリ(3.6−ジオクチルチエノ[3,2−b]チオフェン−コ−ビチオフェン)等のポリチオフェン化合物、ポリ[2−メトキシー5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[2−メトキシー5−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ[(2−メトキシ−5−(2−エチルフェキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)−コ−(4,4’−ビフェニレンービニレン)]等のポリフェニレンビニレン化合物、ポリ(9,9’−ジドデシルフルオレニル−2,7−ジイル)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(9,10−アントラセン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(4,4’−ビフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレン)−alt−コ−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジイル)−コ−(1,4−(2,5−ジヘキシルオキシ)ベンゼン)]等のポリフルオレン化合物、ポリ[2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレン]、ポリ[2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ−1,4−フェニレン]等のポリフェニレン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(p−ヘキシルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−オクチルオキシフェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[(N,N’−ビス(4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル)ベンジジン−N,N’−(1,4−ジフェニレン)]、ポリ[フェニルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジオクチルオキシ−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[p−トリルイミノ−1,4−フェニレンビニレン−2,5−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン−1,4−フェニレン]、ポリ[4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルイミノ−1,4−ビフェニレン]等のポリアリールアミン化合物、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−alt−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール]、ポリ(3,4−ジデシルチオフェン−コ−(1,4−ベンゾ(2,1’,3)チアジアゾール)等のポリチアジアゾール化合物等を挙げることができる。
この中で、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルを考慮するとポリチオフェン化合物とポリアリールアミン化合物が特に好ましい。
また、上記に示した有機ホール輸送材料に各種添加剤を加えても構わない。
添加剤としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド等のInorg.Chem.35(1996)1168に記載のイオン液体、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物等を挙げることができる。
本発明においては、前記ホール輸送層に下記一般式(4)で表される塩基性化合物を添加することで、光電変換素子における内部抵抗が高まり、室内光等の微弱光における損失電流を低減することができ、より高い開放電圧を得られる。
(式中、R2、R3は置換もしくは無置換のアルキル基または芳香族炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、R2、R3は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。)
従来から前記一般式(4)で表される化合物である下記化合物No.4−1で表される塩基性化合物自体は知られている。また、その一部の化合物は、ヨウ素電解液を用いた液体型色素増感型太陽電池においては、塩基性化合物として用いることが知られている。しかし、ヨウ素電解液を用いた液体型色素増感型太陽電池において前記塩基性化合物を用いると、開放電圧が高いが、短絡電流密度が大幅に減少し、光電変換特性は著しく悪化することが知られている。
本発明においてホール輸送層は、有機ホール輸送性材料を用いることが好ましい。有機ホール輸送性材料を用いた固体型色素増感型太陽電池において前記塩基性化合物を用いると、短絡電流密度の低下量が少なく、高い開放電圧が得られることで、優れた光電変換特性を得ることができる。さらに、報告例が少ない室内光等の微弱光における光電変換において、特に際立って優位性が現れる。
以下に一般式(4)における具体的な例示化合物を下記に記すが、何らこれらに限定されるものではない。構造式の横に日化辞番号を示した。
前記前記一般式(4)で表される塩基性化合物のホール輸送層中の添加量は、有機ホール輸送材料100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
また、導電性を向上させる目的で、有機ホール輸送材料の一部をラジカルカチオンにするための酸化剤を添加しても構わない。
その酸化剤としては、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート、硝酸銀、コバルト錯体系化合物等が挙げられる。
この酸化剤の添加によって全ての有機ホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
ホール輸送層6は、光増感化合物5が含まれる電子輸送層4と接続して直接形成することができる。ホール輸送層6の作製方法には特に制限はなく、真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層4上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。また、超臨界流体あるいは臨界点より低い温度・圧力の亜臨界流体中で製膜してもよい。
前記超臨界流体は、気体と液体が共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝集性高密度流体として存在し、圧縮しても凝集せず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
超臨界流体としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどのエルコール系溶媒、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒が好適である。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるとともに、不燃性で取扱いが容易であり、特に好ましい。
また、これらの流体は、単独であっても二種以上の混合であっても構わない。
前記亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
さらに、上述の超臨界流体及び亜臨界流体に加え、有機溶媒やエントレーナーを併用することもできる。有機溶媒及びエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行うことができる。
このような有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、
ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、
ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、
ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。
本発明では、光増感化合物5を吸着した電子輸送性材料が含まれる電子輸送層4上に、有機ホール輸送材料を設けた後、プレス処理工程を施しても構わない。このプレス処理を施すことによって、有機ホール輸送材料がより電子輸送層4と密着するため効率が改善すると考えている。
プレス処理方法に特に制限はないが、IR錠剤整形器に代表されるような平板を用いたプレス成型法、ローラーなどを用いたロールプレス法を挙げることができる。
圧力としては10kgf/cm2以上が好ましく、30kgf/cm2以上がより好ましい。プレス処理する時間に特に制限はないが、1時間以内で行うことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
また、上述のプレス処理の際、プレス機と電極間に離型材を挟んでも構わない。
前記離型材に用いられる材料としては、ポリ四フッ化エチレン、ポリクロロ三フッ化エチレン、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体、ペルフルオロアルコキシフッ化樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン四フッ化エチレン共重合体、エチレンクロロ三フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニルなどのフッ素樹脂等を挙げることができる。
上記プレス処理工程を行った後、第二の電極7を設ける前に、有機ホール輸送材料と第二の電極7の間に金属酸化物を設けても良い。設けてもよい金属酸化物としては、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化ニッケルを挙げることができ、特に酸化モリブデンが好ましい。
これら金属酸化物をホール輸送層6上に設ける方法としては特に制限はなく、スパッタリングや真空蒸着等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式成膜法が挙げることができる。
湿式製膜法においては、金属酸化物の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
この湿式成膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。膜厚としては0.1〜50nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
<第二の電極>
第二の電極7は、ホール輸送層6上に、又はホール輸送層6における金属酸化物上に形成することができる。また、第二の電極7は、通常前記第一の電極2と同様のものを用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
第二の電極7の材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン等の炭素系化合物、ITO、FTO、ATO等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびそれらの誘導体等の導電性高分子化合物が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。
第二の電極7の膜厚には特に制限はなく、塗設については、用いられる材料の種類やホール輸送層6の種類により、適宜ホール輸送層6上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
本発明の光電変換素子においては、安価な塗布方式による製膜が好ましい。そのため、材料としてはポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールおよびそれらの誘導体等の導電性高分子化合物を用いることが好ましく、導電性が良好なポリチオフェンおよびその誘導体等よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物を用いることがより好ましい。あるいは銀や銅といった第11属金属原子からなるナノ粒子、ナノロッド、ナノワイヤ等のナノ材料で構成されたペーストを用いることが好ましく、繊維状の金属ネットワークが形成可能で、少ない塗布量でも良好な導電性が得られるナノワイヤがより好ましい。これらは単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。また、本発明の光電変換素子ではこれらを用いて製膜した電極膜は、透光性を有している。
<多孔質層>
本発明において多孔質層8は、第二の電極7と第二の基板9の間に設けられ、金属酸化物からなる光散乱粒子を含み、第一の基板1から入射した透過光を光電変換層に戻すものである。これにより、安価で透光性を有する第二の電極7を用いても良好な光電変換効率が得られる。
モジュール形態においては、分割された電極間の透過光を利用するため、分割された第二の電極7を跨いで前記光散乱粒子を含んだ多孔質層を設置することが好ましい。このとき、多孔質層8は分割された第二の電極間に存在する空隙を埋めるように配置されても良く、空隙を空気層として空気層上に配置されてもよい。空気層は、特に限定されるものではない。例えば、大気、酸素、窒素、アルゴン等様々なガスを用いることが出来る。
金属酸化物からなる前記光散乱粒子の具体例としては特に限定されるものではないが、屈折率が1.6以上であるものが好ましく、特に可視光領域に高い感度を持つ色素増感型太陽電池においては、可視光領域に吸収が少ない物質の方が可視光の散乱効率が高くなるため、より好ましい。具体的には、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムなどである。多孔質層8は単層であっても多層であってもよく、単独あるいは2種類以上の混合材料を用いても構わない。
光散乱粒子の粒径は、散乱する光の波長によって選択される。特開2012−181983号公報によれば、光を散乱させる粒径は散乱される光の波長に比例し、粒径は入射光の波長を複数の経験式に代入することで決定される(住友大阪セメント株式会社テクニカルレポート,色素増感太陽電池用酸化チタン(2005)36−40)。特に可視光領域に高い感度を持つ色素増感型太陽電池においては、可視光領域の波長に合わせた散乱粒子を適宜選択することが好ましく、400nmから800nmの波長に対しては粒径0.15μmから0.45μmが好ましいと報告されている。
光散乱粒子の粒径は、一次粒子の平均径であり、粒子径の測定は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した。
多孔質層8の膜厚は1μm以上であれば、光散乱効率が良好となり、入射した透過光を効率よく光電変換層に戻すことが出来る。上限は特に限定されるものでないが、例えば500℃程度の高温で焼成して多孔質層を形成する場合は、厚膜過ぎるとクラックが発生し、膜剥がれなどを引き起こし易い。そのため、好ましくは20μm以下である。
多孔質層8の製膜方法としては特に制限されるものではないが、より安価な製膜が可能な湿式製膜法が好ましく、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
金属酸化物微粒子の分散液を機械的粉砕、あるいはミルを使用して作製する場合、少なくとも金属酸化物微粒子単独、あるいは金属酸化物微粒子と樹脂の混合物を水あるいは有機溶剤に分散して形成される。
このときに用いられる樹脂としては特に限定されるものでない。例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。
分散する溶媒としては特に限定されるものでない。例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
光散乱粒子の分散液、あるいはゾル−ゲル法等によって得られた光散乱粒子のペーストは、粒子の再凝集を防ぐため、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、ポリオキシエチレン、オクチルフェニルエーテル等の界面活性剤、アセチルアセトン、2−アミノエタノール、エチレンジアミン等のキレート化剤等を添加することができる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
このとき加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
多孔質層の固定化方法は特に限定されるものではなく、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、加熱焼結、マイクロ波照射、電子線照射、レーザー光照射、紫外線硬化、熱硬化等が挙げられる。これらの処理は単独で行ってもよく、あるいは二種類以上組み合わせて行ってもよい。焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融したりすることもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
<第二の基板>
本発明に用いられる第二の基板9としては、特に制限されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えばガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体等が挙げられる。
<用途>
本発明の光電変換素子は、太陽電池として用いることができる。また、発生した電流を制御する回路基盤等と組み合わせることにより電源装置に応用できる。このような電源装置を利用している機器類として、例えば、電子卓上計算機や腕時計が挙げられる。この他、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等に本発明の光電変換素子を有する電源装置を適用することができる。また、充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として本発明の光電変換素子を有する電源装置を用いることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて説明する。なお、本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<酸化チタン半導体電極の作製>
金属チタンからなるターゲットを用いた酸素ガスによる反応性スパッタにより、ITO系ガラス基板上に酸化チタンの緻密なホールブロッキング層を形成した。
次に、酸化チタン(日本エアロジル社製P90)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬社製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを水5.5g、エタノール1.0gと共にビーズミル処理を12時間施した。得られた分散液にポリエチレングリコール(#20,000)1.2gを加えてペーストを作製した。このペーストを、上記基板上に膜厚1.5μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。本実施例においては、ここまで形成されたものを便宜上、酸化チタン半導体電極と称する。
<光電変換素子の作製>
上記酸化チタン半導体電極を、増感色素として前記構造式(3)で表される三菱製紙社製D358(0.5mM、アセトニトリル/t-ブタノール(体積比1:1)溶液)に浸漬し、1時間暗所にて静置し光増感材料を吸着させた。
光増感材料を担持した半導体電極上に、下記の構造式(5)で表される有機ホール輸送材料(メルク株式会社製、銘柄:2,2’,7,7’-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenylamino)-9,9’-spirobifluorene、品番:SHT-263、CAS番号207739-72-8)のクロロベンゼン(固形分14質量%)溶液に、関東化学社製リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(次の構造式(6)で表される化合物)(固形分1質量%)、前記一般式(4)で表される例示塩基性化合物No.4−3(固形分1.4質量%)を加えて得た溶液を、スピンコートにて塗布し、ホール輸送層6を成膜した。ここまで形成されたものを便宜上、固体型の光電変換層と称する。この上に、PEDOT/PSS(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/ポリスチレンスルホン酸)(アルドリッチ社製)ペーストをスクリーン印刷し、100℃で30分乾燥して第二の電極を作製した。
カバーガラスに、光散乱粒子として酸化チタン(粒径200nm)からなるペースト(酸化チタン16質量%、α―テルピネオール70質量%、エチルセルロース10cps8質量%、アセチルアセトン3質量%、酢酸3質量%)を膜厚2.0μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質層を形成した。上記多孔質層を具備したカバーガラスを、上記第二の電極まで具備した基板と合わせることで光電変換素子を作製した。
<光電変換素子の評価>
上記により得られた光電変換素子について、白色LED照射下(1000Lux:0.24mW/cm)における光電変換効率を測定した。白色LEDはコスモテクノ社製デスクランプCDS−90α(スタディーモード)、評価機器はNF回路設計ブロック社製太陽電池評価システムAs−510−PV03にて測定した。測定結果を表1に示す。
その結果、第二の電極を透過した光を光散乱することにより光電変換層に戻したため、高い電流値が得られ、優れた特性を示した。
(実施例2〜8)
実施例1において、光散乱粒子を表1に記載した光散乱粒子に変更した以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、酸化チタンと比較し屈折率が小さいため、光散乱効果は比較的小さいが、高い電流値が得られ、優れた特性を示した。
(実施例9)
実施例1において、レーザー装置により、第一の電極をレーザーエッチングし、4セル直列基板とし、また、4セル直列となるようにパターニングされたマスクを用い、PEDOT/PSS(アルドリッチ社製)ペーストをスクリーン印刷し、100℃で30分乾燥して第二の電極を作製した以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した(構成については図2に表記する。なお、図2は光電変換素子の断面の概略図である)。その結果、第二の電極を透過した光、および電極間を透過した光を光散乱することにより光電変換層に戻したため、高い電流値が得られ、優れた特性を示した。
(実施例10)
実施例1において、PEDOT/PSS電極上に銀ナノワイヤペーストをスクリーン印刷し、100℃で30分乾燥した以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、光散乱効果により高い電流値が得られるとともに、低抵抗な銀ナノワイヤにより高いFF(曲線因子)が得られ、優れた特性を示した。
(実施例11)
実施例1において、ホール輸送層をヨウ素電解液(ヨウ化リチウム(0.1M)、ヨウ素(0.05M)、1,2-dimethyl-3-propylimidazolium iodide(0.6M)、4-tert-butylpyridine(0.5M)をアセトニトリルに溶かした溶液)とし(便宜上、液体型の光電変換層と称する)、カバーガラスに形成した多孔質層上にPEDOT/PSS(アルドリッチ社製)ペーストをスクリーン印刷し、100℃で30分乾燥して第二の電極を作製し、上記多孔質層および第二の電極を具備したカバーガラスを、増感色素を吸着させた酸化チタン半導体電極基板と合わせ、電極間を上記ヨウ素電解液で満たすことで光電変換素子を作製した以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、第二の電極を透過した光を光散乱することにより光電変換層に戻したため、高い電流値が得られ、優れた特性を示したが、多くの光がヨウ素電解液に吸収されてしまったため、その効果は小さかった。
(比較例1)
実施例1において、光散乱粒子含む多孔質層を設けなかった以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、実施例1と比較し、低い電流値を示し、低い性能に留まった。これは、第二の電極を透過した光を十分に利用できなかったためである。
(比較例2)
実施例1において、光散乱粒子を含む多孔質層を酸化チタン半導体電極上に製膜し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、第二の電極上には光散乱粒子を含む多孔質層を設けなかった以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、ホール輸送層中のホール拡散移動距離が長くなり、電力損失が大きくなったため、低い性能に留まった。
(比較例3)
実施例11において、光散乱粒子含む多孔質層を設けなかった以外は実施例11と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、実施例11と比較し低い電流値を示し、低い性能に留まった。これは、第二の電極を透過した光を十分に利用できなかったためである。
(比較例4)
実施例11において、光散乱粒子を含む多孔質層を酸化チタン半導体電極上に製膜し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、第二の電極上には光散乱粒子を含む多孔質層を設けなかった以外は実施例11と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、実施例11と比較し低い性能に留まった。これは、光電変換層内に多孔質層を設けたことにより、電解液のイオン拡散が阻害され、抵抗が高くなったためである。
(比較例5)
実施例1において、PEDOT/PSS電極上に銀ナノワイヤペーストをスクリーン印刷し、100℃で30分乾燥し、光散乱粒子含む多孔質層を設けなかった以外は実施例1と同様にして光電変換素子を作製し、同様に評価した。その結果、実施例1と比較し、低い電流値を示し、低い性能に留まった。これは、第二の電極を透過した光を十分に利用できなかったためである。
以上明らかなように、本発明の光電変換素子は優れた光電変換特性を示すことがわかる。
1 第一の基板
2 第一の電極
3 ホールブロッキング層
4 電子輸送層
5 光増感化合物
6 ホール輸送層
7 第二の電極
8 多孔質層
9 第二の基板
特許第2664194号公報 特開2014−143333 特開平10−255863号公報 特開2003−142171 特開2012−119189
パナソニック電工技報,Vol.56,No.4(2008)87 Nature,353(1991)737 J.Am.Chem.Soc.,115(1993)6382 Chinese Science Bulletin Vol.58 No.4−5(2013)559−566

Claims (6)

  1. 第一の基板と、前記第一の基板上に配置された透光性を有する第一の電極と、前記第一の電極上に配置された光電変換層と、前記光電変換層上に配置された透光性を有する第二の電極と、前記第二の電極上に配置された多孔質層と、前記多孔質層上に配置された第二の基板とを有し、前記多孔質層は金属酸化物からなる光散乱粒子を含むことを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記光電変換層が、前記第一の電極上に配置されたホールブロッキング層と、前記ホールブロッキング層上に配置され、表面に光増感化合物を吸着させた電子輸送性半導体からなる電子輸送層と、前記電子輸送層と接続し、ホール輸送性材料からなるホール輸送層とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記光散乱粒子が、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化イットリウム、及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記第二の電極が、下記A及びBの少なくとも一種から構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
    A:ポリチオフェン、及びその誘導体よりなる群から選ばれる導電性高分子化合物
    B:第11属金属元素からなるナノワイヤ
  5. 前記第一の電極と前記第二の電極が、それぞれ分割された複数の電極からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  6. 太陽電池として用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光電変換素子。
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