JP2011065751A - 光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子輸送性化合物が被覆された第一電極と、前記第一電極の電子輸送性化合物と対峙する第二の電極と、前記第一電極の電子輸送性化合物と前記第二の電極との間にホール輸送性材料からなるホール輸送層を具備した光電変換素子において、ホール輸送層が分子量の異なる化合物で積層されており、第二電極側に近いホール輸送材料が高分子であることを特徴とする光電変換素子。
【選択図】図1
Description
この高効率太陽電池の構造は、透明導電性ガラス基板上に多孔質な金属酸化物半導体を設け、その表面に吸着した色素と、酸化還元対を有する電解質と、対向電極とからなる。
Graetzelらは、酸化チタン等の金属酸化物半導体電極を多孔質化して表面積を大きくしたこと、並びに色素としてルテニウム錯体を単分子吸着させたことにより光電変換効率を著しく向上させた。
しかしながら、これらの太陽電池はアセトニトリル等の蒸気圧の高い電解液を用いているため、電解液の揮発や漏れに問題があった。
1)無機半導体を用いたもの(例えば、非特許文献3、4参照)
2)低分子有機ホール輸送材料を用いたもの(例えば、特許文献2、非特許文献5、6参照)
3)導電性高分子を用いたもの(例えば、特許文献3、非特許文献7参照)
しかしながら、ヨウ化銅の結晶粒の増大等を理由とする劣化により、発生電流が低下する問題があった。
そこで、非特許文献4に記載の太陽電池においては、イミダゾリニウム塩を加えることによってヨウ化銅の結晶化を抑制しているが、長期安定性に欠け、更なる耐久性向上が求められている。
しかしながら、液体電解質に比べて変換効率は非常に低く、また、特許文献2に記載のトリフェニルアミン化合物を用いた固体型太陽電池は、トリフェニルアミン化合物を真空蒸着して電荷輸送層を形成している。そのため、多孔質半導体の内部空孔へトリフェニルアミン化合物が到達できず、やはり低い変換効率しか得られていない。
しかしながら、これらにおいても変換効率は低く、特許文献3に記載のポリチオフェン誘導体を用いた固体型太陽電池は、色素を吸着した多孔質酸化チタン電極上で、電解重合法を用いて電荷移動層を設けているが、色素が酸化チタンから脱着したり、あるいは色素の分解が生じたりする問題がある。また、ポリチオフェン誘導体は耐久性に非常に問題がある。
以上、これまでに検討されてきた完全固体型の光電変換素子は、何れも満足いく特性のものが得られていないのが現状である。
上記課題は、本発明の下記(1)〜(9)によって解決される。
(1)「電子輸送性化合物が被覆された第一電極と、前記第一電極の電子輸送性化合物と対峙する第二の電極と、前記第一電極の電子輸送性化合物と前記第二の電極との間にホール輸送性材料からなるホール輸送層を具備した光電変換素子において、ホール輸送層が分子量の異なる化合物で積層されており、第二電極側に近いホール輸送材料が高分子であることを特徴とする光電変換素子」、
(2)「前期電子輸送性化合物が、光増感剤で被覆されていることを特徴とする前記第(1)項に記載の光電変換素子」、
(3)「ホール輸送層と第二電極の間に金属酸化物が存在することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の光電変換素子」、
(4)「前記金属酸化物層が、酸化モリブデンを含有することを特徴とする前記第(3)項に記載の光電変換素子」、
(5)「前記ホール輸送層に、金属化合物あるいはイオン液体の少なくとも何れか一方を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(6)「金属化合物がハロゲン化金属、チオシアン化金属、アミド化金属の何れか1種以上であることを特徴とする前記第(5)項に記載の光電変換素子」、
(7)「イオン液体が、イミダゾリニウム化合物であることを特徴とする前記第(6)項に記載の光電変換素子」、
(8)「前記電子輸送性化合物が、n型酸化物半導体であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の光電変換素子」、
(9)「前記酸化物半導体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブの少なくとも1種以上から選ばれたことを特徴とする前記第(8)項に記載の光電変換素子」。
前記(5)〜(7)の構成により、ホール輸送層のホール移動が効率的となり、更に優れた変換効率を示す光電変換素子が提供される。
前記(8)、(9)の構成により、電子輸送層にn型酸化物半導体を用いることで、電子移動が効率的となり、更に優れた変換効率を示す光電変換素子が提供される。
光電変換素子の構成について図1、図2に基づいて説明する。
なお、図1、図2は光電変換素子の断面図である。
図1に示す態様においては、基板(1)上に電極(3)が設けられ、緻密な電子輸送層(6)、粒状の電子輸送層(7)からなる電子輸送層(5)、次いで第一のホール輸送材料層(9)と高分子材料である第二のホール輸送材料層(10)からなるホール輸送層(8)が積層され、金属酸化物層(11)、電極(3)、基板(1)が順次設けられた構成をとっている。
図2に示す態様においては、基板(1)上に電極(3)が設けられ、緻密な電子輸送層(6)、粒状の電子輸送層(7)からなる電子輸送層(5)、次いで第一のホール輸送材料層(9)ポリマーである第二のホール輸送材料層(10)とからなるホール輸送層(8)が積層され、電極(3)、基板(1)が順次設けられた構成をとっている。
光電変換素子は一般に電子集電電極、電子受容体兼電子輸送層(以下単に電子輸送層と称す)、電子供与体兼ホール輸送層(以下単にホール輸送層と称す)、ホール集電電極から構成される。
例えば、インジウム・スズ酸化物(以下、ITOと称す)、フッ素ドープ酸化スズ(以下、FTOと称す)等が挙げられる。これらの内、FTOが好ましい。
電子集電電極の厚さは5nm〜100μmが好ましく、50nm〜10μmが更に好ましい。
また電子集電電極は一定の硬性を維持するため、可視光に透明な材質からなる基板上に設けることが好ましく、例えば、ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが用いられる。
また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものでもよい。これらは単独あるいは2種以上の混合、または積層したものでも構わない。
また基板(1)の抵抗を下げる目的で、金属リード線等を用いてもよい。
金属リード線の材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が挙げられる。金属リード線は、基板に蒸着、スパッタリング、圧着等で設置し、その上にITOやFTOを設ける方法が挙げられる。
この電子輸送層(5)は、電子集電電極(4)上に緻密な電子輸送層(6)を形成し、更にその上に多孔質状の電子輸送層(7)を形成する積層構造であることが好ましい。
この緻密な電子輸送層(6)は、電子集電電極(4)とホール輸送層(8)との電子的コンタクトを防ぐ目的で形成するものである。従って、電子集電電極とホール輸送層が物理的に接触しなければ、ピンホールやクラック等が形成されていても構わない。
また、この緻密な電子輸送層の膜厚に制限はないが、10nm〜1μmが好ましく、20nm〜700nmがより好ましい。
なお、電子輸送層(6)の「緻密」とは、電子輸送層(7)中の半導体微粒子の充填密度より高密度で無機酸化物半導体が充填されていることを意味する。
多層の場合、粒径の異なる半導体微粒子の分散液を多層塗布することも、種類の異なる半導体や、樹脂、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもできる。
一度の塗布で膜厚が不足する場合には、多層塗布は有効な手段である。
一般的に、電子輸送層の膜厚が増大するほど単位投影面積当たりの担持光増感化合物量も増えるため光の捕獲率が高くなるが、注入された電子の拡散距離も増えるため電荷の再結合によるロスも大きくなってしまう。従って、電子輸送層の膜厚は100nm〜100μmが好ましい。
具体的には、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、あるいは金属のカルコゲニドに代表される化合物半導体、またはペロブスカイト構造を有する化合物等を挙げることができる。
金属のカルコゲニドとしてはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、あるいはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。
他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム、等のリン化物、ガリウム砒素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が好ましい。
また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が好ましい。
これらの中でも酸化物半導体が好ましく、特に酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブが好ましく、単独、あるいは2種以上の混合で使用しても構わない。これらの半導体の結晶型は特に限定されるものではなく、単結晶でも多結晶でも、あるいは非晶質でも構わない。
半導体微粒子のサイズに特に制限はないが、一次粒子の平均粒径は1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。
また、より大きい平均粒径の半導体微粒子を混合し、入射光を散乱させる効果により、効率を向上させることも可能である。この場合の半導体の平均粒径は50〜500nmが好ましい。
製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、半導体微粒子の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、電子集電電極基板上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。
この時に使用される樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等によるビニル化合物の重合体や共重合体、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、製膜性を向上させる目的で増粘剤を添加することも有効な手段である。
この時加える増粘剤としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の高分子、エチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。
焼成する場合、焼成温度の範囲に特に制限はないが、温度を上げ過ぎると基板の抵抗が高くなったり、溶融することもあるため、30〜700℃が好ましく、100〜600℃がより好ましい。また、焼成時間にも特に制限はないが、10分〜10時間が好ましい。
焼成後、半導体微粒子の表面積の増大や、光増感化合物から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタンの水溶液や有機溶剤との混合溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行なってもよい。
マイクロ波照射は、電子輸送層形成側から照射しても、裏側から照射しても構わない。
照射時間には特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。
プレス処理は、100kg/cm2以上が好ましく、1000kg/cm2が更に好ましい。プレスする時間は特に制限がないが、1時間以内で行なうことが好ましい。また、プレス処理時に熱を加えても構わない。
このナノ多孔構造は、非常に高い表面積を持ち、その表面積はラフネスファクターを用いて表わすことができる。
このラフネスファクターは、基板に塗布した半導体微粒子の面積に対する多孔質内部の実面積を表わす数値である。従って、ラフネスファクターは大きいほど好ましいが、電子輸送層の膜厚との関係もあり、本発明においては20以上が好ましい。
光増感化合物(12)は使用される励起光により光励起される化合物であれば特に限定されないが、具体的には以下の化合物が挙げられる。
特表平7−500630号公報、特開平10−233238号公報、特開2000−26487号公報、特開2000−323191号公報、特開2001−59062号公報等に記載の金属錯体化合物、特開平10−93118号公報、特開2002−164089号公報、特開2004−95450号公報、J. Phys. Chem. C, 7224, Vol.111(2007)等に記載のクマリン化合物、同特開2004−95450号公報、Chem. Commun., 4887(2007)等に記載のポリエン化合物、特開2003−264010号公報、特開2004−63274号公報、特開2004−115636号公報、特開2004−200068号、特開2004−235052号公報、J. Am. Chem. Soc., 12218, Vol.126(2004)、Chem. Commun., 3036(2003)、Angew. Chem. Int. Ed., 1923, Vol.47(2008)等に記載のインドリン化合物、J. Am. Chem. Soc., 16701, Vol.128(2006)、J. Am. Chem. Soc., 14256, Vol.128(2006)等に記載のチオフェン化合物、特開平11−86916号公報、特開平11−214730号公報、特開2000−106224号公報、特開2001−76773号公報、特開2003−7359号公報等に記載のシアニン色素、特開平11−214731号公報、特開平11−238905号公報、特開2001−52766号公報、特開2001−76775号公報、特開2003−7360号等に記載メロシアニン色素、特開平10−92477号公報、特開平11−273754号公報、特開平11−273755号公報、特開2003−31273号等に記載の9−アリールキサンテン化合物、特開平10−93118号公報、特開2003−31273号等に記載のトリアリールメタン化合物、特開平9−199744号公報、特開平10−233238号公報、特開平11−204821号公報、特開平11−265738号、J. Phys. Chem., 2342, Vol.91(1987)、J. Phys. Chem. B, 6272, Vol.97(1993)、Electroanal. Chem., 31, Vol.537(2002)、特開2006−032260号公報、J. Porphyrins Phthalocyanines, 230, Vol.3(1999)、Angew. Chem. Int. Ed., 373, Vol.46(2007)、Langmuir, 5436, Vol.24(2008)等に記載のフタロシアニン化合物、ポルフィリン化合物等を挙げることができる。
特にこの中で、金属錯体化合物、クマリン化合物、ポリエン化合物、インドリン化合物、チオフェン化合物を用いることが好ましい。
前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等を用いることができ、後者の場合は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等を用いることができる。
また、二酸化炭素などを用いた超臨界流体中で吸着させても構わない。
縮合剤は、無機物表面に物理的あるいは化学的に光増感化合物と電子輸送化合物を結合すると思われる触媒的作用をするもの、または化学量論的に作用し、化学平衡を有利に移動させるものの何れであってもよい。
更に、縮合助剤としてチオールやヒドロキシ化合物を添加してもよい。
凝集解離剤としてはコール酸、ケノデオキシコール酸などのステロイド化合物、長鎖アルキルカルボン酸または長鎖アルキルホスホン酸が好ましく、用いる色素に対して適宜選ばれる。これら凝集解離剤の添加量は、色素1質量部に対して0.01〜500質量部が好ましく、0.1〜100質量部がより好ましい。
また、この吸着は静置しても攪拌しながら行なっても構わない。
攪拌する場合の方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
吸着に要する時間は、5秒以上、1000時間以下が好ましく、10秒以上、500時間以下がより好ましく、1分以上、150時間が更に好ましい。
また、吸着は暗所で行なうことが好ましい。
製膜性に優れる高分子材料を用いることで多孔質状の電子輸送層の表面をより平滑化することができ、光電変換特性を向上することができるためである。
また、高分子は多孔質状の電子輸送層内部へ浸透することが困難であるため、逆に多孔質状の電子輸送層表面の被覆にも優れ、電極を設ける際の短絡防止にも効果を発揮するため、より高い性能を得ることが可能となる。
この中で、キャリア移動度やイオン化ポテンシャルを考慮するとポリチオフェン化合物とポリアリールアミン化合物が特に好ましい。
添加剤としては、ヨウ素、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化セシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化銀等の金属ヨウ化物、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム、ヨウ化ピリジニウム等の4級アンモニウム塩、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化セシウム、臭化カルシウム等の金属臭化物、臭化テトラアルキルアンモニウム、臭化ピリジニウム等の4級アンモニウム化合物の臭素塩、塩化銅、塩化銀等の金属塩化物、酢酸銅、酢酸銀、酢酸パラジウム等の酢酸金属塩、硫酸銅、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン等、ヨウ化1,2−ジメチル−3−n−プロピルイミダゾイニウム塩、ヨウ化1−メチル−3−n−ヘキシルイミダゾリニウム塩、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムトリフロオロメタンスルホン酸塩、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムノナフルオロブチルスルホン酸塩、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチル)スルホニルイミド等のInorg. Chem. 35 (1996) 1168に記載のイオン液体、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ベンズイミダゾール等の塩基性化合物、リチウムトリフルオロメタンスルホニルイミド、リチウムジイソプロピルイミド等のリチウム化合物を挙げることができる。
その酸化剤としては、ヘキサクロロアンチモン酸トリス(4−ブロモフェニル)アミニウム、ヘキサフルオロアンチモネート銀、ニトロソニウムテトラフルオボラート等が好ましい。
この酸化剤の添加によって全てのホール輸送材料が酸化される必要はなく、一部のみが酸化されていればよい。また添加した酸化剤は添加した後、系外に取り出しても、取り出さなくてもよい。
ホール輸送層の作製方法には特に制限はなく、スパッタリング等の真空中で薄膜を形成する方法や湿式製膜法が挙げられる。
製造コスト等を考慮した場合、特に湿式製膜法が好ましく、電子輸送層上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。また、超臨界流体あるいは亜臨界流体中で注入してもよい。
この超臨界流体は、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、n−ブタノールなどのエルコール系溶媒、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロトリフロロメタンなどのハロゲン系溶媒、ジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒が好適である。
これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力7.3MPa、臨界温度31℃であることから、容易に超臨界状態をつくり出せるともに、不燃性で取扱いが容易であり、特に好ましい。
また、これらの流体は、単独であっても二種以上の混合であっても構わない。
亜臨界流体としては、臨界点近傍の温度及び圧力領域において、高圧液体として存在する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
上述した超臨界流体として挙げられる化合物は、亜臨界流体としても好適に使用することができる。
超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度としては、−273℃以上300℃以下が好ましく、0℃以上200℃以下が特に好ましい。
有機溶媒及びエントレーナーの添加により、超臨界流体中での溶解度の調整をより容易に行なうことができる。
このような有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいは1−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒などが挙げられる。
湿式製膜法においては、金属酸化物の粉末あるいはゾルを分散したペーストを調製し、ホール輸送層上に塗布する方法が好ましい。
この湿式製膜法を用いた場合、塗布方法は特に制限はなく、公知の方法に従って行なうことができる。
例えば、ディップ法、スプレー法、ワイヤーバー法、スピンコート法、ローラーコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、また、湿式印刷方法として、凸版、オフセット、グラビア、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等様々な方法を用いることができる。膜厚としては0.1〜50nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。
またホール集電電極は、通常前述の電子集電電極と同様のものを用いることができ、強度や密封性が充分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要ではない。
ホール集電電極材料の具体例としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム等の金属、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ等の炭素系化合物、ITO、FTO等の導電性金属酸化物、ポリチオフェン、ポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。
ホール集電電極層の膜厚には特に制限はなく、また単独あるいは2種以上の混合で用いても構わない。
ホール集電電極の塗設については、用いられる材料の種類やホール輸送層の種類により、適宜ホール輸送層上に塗布、ラミネート、蒸着、CVD、貼り合わせ等の手法により形成可能である。
本発明の光電変換素子においては、電子集電電極側が透明であり、太陽光を電子集電電極側から入射させる方法が好ましい。この場合、ホール集電電極側には光を反射させる材料を使用することが好ましく、金属、導電性酸化物を蒸着したガラス、プラスチック、あるいは金属薄膜が好ましい。
また、太陽光の入射側に反射防止層を設けることも有効な手段である。
応用例としては、従来から太陽電池やそれを用いた電源装置を利用している機器類であれば、いずれのものでも可能である。
例えば電子卓上計算機や腕時計用の太陽電池に用いてもよいが、本発明の光電変換素子の特徴を活用する一例として、携帯電話、電子手帳、電子ペーパー等の電源装置が挙げられる。また充電式や乾電池式の電気器具の連続使用時間を長くするための補助電源として用いることもできる。
チタニウムテトラ−n−プロポキシド2ml、酢酸4ml、イオン交換水1ml、2−プロパノール40mlを混合し、FTOガラス基板上にスピンコートし、室温で乾燥後、空気中450℃で30分間焼成した。再度同一溶液を用いて、得た電極上に膜厚100nmになるようにスピンコートで塗布し、空気中450℃で30分間焼成して緻密な電子輸送層を形成した。
酸化チタン(石原産業社製ST−21)3g、アセチルアセトン0.2g、界面活性剤(和光純薬社製ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)0.3gを水5.5g、エタノール1.0gと共にビーズミル処理を12時間施した。
得られた分散液にポリエチレングリコール(#20,000)1.2gを加えてペーストを作製した。
このペーストを、上記緻密な電子輸送層上に膜厚2μmになるように塗布し、室温で乾燥後、空気中500℃で30分間焼成し、多孔質状の電子輸送層を形成した。
上記酸化チタン半導体電極を、ルテニウム錯体として0.5mMに調整したN719色素[シス−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)−ビス−テトラ−n−ブチルアンモニウム、Solaronix社製]のアセトニトリル/t−ブタノール(体積比1:1)混合溶液中に室温で2日間、暗所にて静置して光増感化合物を吸着させた。
更に、上記化合物(2)を溶解したクロロベンゼン(固形分2%)に、トリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(27mM)、4−t−ブチルピリジン(0.11M)を加えて得た溶液をこのホール輸送層上にスピンコートにて製膜し、酸化モリブデンを5.0nm、銀を50.0nmそれぞれ真空蒸着して光電変換素子を作製した。この光電変換素子の疑似太陽光照射下(AM1.5、100mW/cm2)における光電変換効率は、開放電圧=0.85V、短絡電流密度3.9mA/cm2、形状因子=0.60、変換効率=1.99%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.80V、短絡電流密度4.2mA/cm2、形状因子=0.60、変換効率=2.02%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.82V、短絡電流密度3.6mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.74%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.83V、短絡電流密度3.8mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.86%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.83V、短絡電流密度4.2mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=2.06%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.78V、短絡電流密度3.9mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.79%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.75V、短絡電流密度3.8mA/cm2、形状因子=0.61、変換効率=1.74%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.78V、短絡電流密度3.5mA/cm2、形状因子=0.61、変換効率=1.67%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.74V、短絡電流密度4.8mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=2.06%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.76V、短絡電流密度4.7mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=2.07%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.81V、短絡電流密度4.4mA/cm2、形状因子=0.58、変換効率=2.07%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.83V、短絡電流密度4.3mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=2.11%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.86V、短絡電流密度3.4mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.73%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.80V、短絡電流密度3.6mA/cm2、形状因子=0.59、変換効率=1.70%という優れた特性を示した。
その結果、開放電圧=0.82V、短絡電流密度4.3mA/cm2、形状因子=0.60、変換効率=2.12%という優れた特性を示した。
実施例1における化合物(2)からなるホール輸送層を設けなかった以外は実施例1と同様にして素子を作製した。
得られた素子を実施例1と同様にして光電変換特性を測定したところ、開放電圧=0.57V、短絡電流密度2.4mA/cm2、形状因子=0.44、変換効率=0.62%という結果であり、本発明に比較して低い特性であった。
実施例5における化合物(2)からなるホール輸送層を設けなかった以外は実施例1と同様にして素子を作製した。
得られた素子を実施例1と同様にして光電変換特性を測定したところ、開放電圧=0.55V、短絡電流密度2.2mA/cm2、形状因子=0.47、変換効率=0.57%という結果であり、本発明に比較して低い特性であった。
実施例9、10に示されるように、ホール輸送材へ金属化合物を添加するとより高い効率が得られ、実施例3、4、11、12に示されるように、リチウム化合物の代わりにイオン液体を用いても高い効率を示すことがわかる。
また実施例13に示すように、ホール輸送層の上に金属酸化物層を挿入しなくとも高い変換効率を示すが、挿入することでより高い効率を得られる。
Claims (9)
- 電子輸送性化合物が被覆された第一電極と、前記第一電極の電子輸送性化合物と対峙する第二の電極と、前記第一電極の電子輸送性化合物と前記第二の電極との間にホール輸送性材料からなるホール輸送層を具備した光電変換素子において、ホール輸送層が分子量の異なる化合物で積層されており、第二電極側に近いホール輸送材料が高分子であることを特徴とする光電変換素子。
- 前期電子輸送性化合物が、光増感剤で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
- ホール輸送層と第二電極の間に金属酸化物が存在することを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換素子。
- 前記金属酸化物層が、酸化モリブデンを含有することを特徴とする請求項3に記載の光電変換素子。
- 前記ホール輸送層に、金属化合物あるいはイオン液体の少なくとも何れか一方を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 金属化合物がハロゲン化金属、チオシアン化金属、アミド化金属の何れか1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の光電変換素子。
- イオン液体が、イミダゾリニウム化合物であることを特徴とする請求項6に記載の光電変換素子。
- 前記電子輸送性化合物が、n型酸化物半導体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光電変換素子。
- 前記酸化物半導体が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブの少なくとも1種以上から選ばれたことを特徴とする請求項8に記載の光電変換素子。
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