JP2017001197A - スクラッチ印刷物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブラックライト照射によっても潜在画像が浮き出ることのないスクラッチ印刷物を、印刷工程及びインク等使用量の増加を伴うことなく提供することを課題とする。【解決手段】そこで、上記課題を解決するための手段として、以下の発明などを提供する。すなわち、潜在画像を含む印刷領域を、硬貨若しくは硬貨と同程度の硬度を有する物質である硬貨等で擦ることにより潜在画像が顕在化するスクラッチ印刷物であって、蛍光剤を含有する印刷基材と、印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより印刷される潜在画像と、からなるスクラッチ印刷物などを提供する。【選択図】図2
Description
本発明は、印刷面上のある部分に特殊な加工を施すことで用紙上に印刷された文字や絵柄などを隠し、コイン等で擦るとその文字や絵柄が表れる特殊印刷の一種であるスクラッチ印刷に関する。
銀粉末を溶かしたインクで文字や絵柄を隠していたこれまでスクラッチ印刷は、コインで擦る際に削りカスが出るというデメリットがあった。そこで、近年ではコインで擦っても削りカスが出ないスクラッチ印刷が開発されている。
例えば、特許文献1においては、印刷基材上に硬貨よりも硬度の高い酸化チタンなどを含み印刷基材と同色のインクで潜在画像を印刷し、この潜在画像を含む印刷領域を硬貨で擦ることで硬貨に付着した汚れや削り取られた硬貨の金属が潜在画像を着色して顕在化させる技術を開示している。
しかし、特許文献1の技術においては、ブラックライト(紫外線)を照射することで擦らなくても潜在画像が視認できるようになってしまう。これは、被印刷体である白紙に含まれる蛍光材料がブラックライト照射により発光する一方で、潜在画像を印刷したインクがブラックライト照射によって発光しないため、潜在画像が黒く浮き出てしまうからである。
この問題に対して特許文献2では、酸化チタンを含む白色インクでベタ刷り印刷した下地層を配置し、その上に潜在画像のネガパターンを硬貨よりも柔らかいマットニス層で描画するスクラッチ印刷物が開示されている。このスクラッチ印刷物を硬貨で擦ると、ネガパターンにより残される酸化チタン含有白色インクに硬貨の汚れ等が付着する一方で、マットニス層は硬貨に擦られても剥がれることなく硬貨の汚れ等も付着しないため、潜在画像が顕在化する。また、下地層はブラックライト照射時に紙に含まれる蛍光材料の発光を遮蔽するとともに自身には蛍光剤が含まれないため発光せず、併せてマットニス層も蛍光剤が含まれず発光しないため、潜在画像が黒く浮き出ることを防止する技術を提案している。
特許文献2の技術は、ブラックライト照射により潜在画像が浮き出てしまうことを防止することはできるが、上述の通りベタ刷りの下地層、マットニス層の各層を配置しなければならず、印刷工程及びインク等使用量が増加し高価になりがちであるという問題がある。そこで、本発明においては、ブラックライト照射によっても潜在画像が浮き出ることのないスクラッチ印刷物を、印刷工程及びインク等使用量の増加を伴うことなく提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解決するための手段として、以下の発明などを提供する。すなわち、潜在画像を含む印刷領域を、硬貨若しくは硬貨と同程度の硬度を有する物質である硬貨等で擦ることにより潜在画像が顕在化するスクラッチ印刷物であって、蛍光剤を含有する印刷基材と、印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより印刷される潜在画像と、からなるスクラッチ印刷物を提供する。
また、上記スクラッチ印刷物において、インクに含有される蛍光剤は、前記印刷基材に含有される蛍光剤と同程度の含有率で含有されるスクラッチ印刷物を提供する。また、上記スクラッチ印刷物において、印刷領域における潜在画像のネガパターン領域をニスで印刷したニスネガパターンを有するスクラッチ印刷物を提供する。また、上記のスクラッチ印刷物において、潜在画像を含む印刷領域の上に、前記硬貨等より低硬度の有色のインクにて模様を印刷してなる記載のスクラッチ印刷物を提供する。
また、潜在画像を含む印刷領域を、硬貨若しくは硬貨と同程度の硬度を有する物質である硬貨等で擦ることにより潜在画像が顕在化するスクラッチ印刷物の製造方法であって、蛍光剤を含有する印刷基材を準備する印刷基材準備ステップと、印刷基材準備ステップにて準備された印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより潜在画像を印刷する潜在画像印刷ステップと、を有するスクラッチ印刷物の製造方法を提供する。
また、上記のスクラッチ印刷物の製造方法において、印刷領域における潜在画像のネガパターン領域をニスで印刷するニス印刷ステップを、さらに有するスクラッチ印刷物の製造方法を提供する。また、上記のスクラッチ印刷物の製造方法において、潜在画像印刷ステップにて印刷された潜在画像を含む印刷領域の上に前記硬貨等より低硬度の有色のインクにて模様を印刷する模様印刷ステップを、さらに有するスクラッチ印刷物の製造方法を提供する。また、上記のスクラッチ印刷物の製造方法において、インクに含有される蛍光剤は、前記印刷基材に含有される蛍光剤と同程度の含有率で含有されるスクラッチ印刷物の製造方法を提供する。
本発明により、ブラックライト照射によっても潜在画像が顕在化することのないスクラッチ印刷物を印刷工程及びインク等使用量の増加を伴うことなく提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
<実施形態>
<概要>
<実施形態>
<概要>
本実施形態は、潜在画像を印刷するためのインクに蛍光剤をさらに含有することを特徴とする。すなわち、潜在画像を印刷するインクをブラックライト照射によって発光させることにより、蛍光剤により発光する周囲の紙などの印刷基材との明暗のコントラストが抑えられ潜在画像が浮き上がりにくくなる。また、従来技術のようにブラックライト照射による発光を遮蔽するために白インクでベタ刷りする下地層を配置する必要がないため、印刷工程とインク等使用量を相対的に少なくすることができるという利点が生じる。
<構成>
<構成>
本実施形態のスクラッチ印刷物は、潜在画像を含む印刷領域を、硬貨若しくは硬貨と同程度の高度を有する硬貨等で擦ることにより潜在画像が顕在化するスクラッチ印刷物であって、蛍光剤を含有する印刷基材と、印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより印刷される潜在画像と、からなるスクラッチ印刷物である。
図1は、本実施形態のスクラッチ印刷物の使用態様の一例を示す概念図である。図示するように「抽選券」の紙面上の楕円領域を硬貨で擦ることが促されており、その楕円領域内に、抽選の結果である「当たり」の文字が視認できないように印刷されている(a)。そして、楕円領域を硬貨で擦った結果、抽選の結果である「当たり」の文字が視認できるようになる(b)。ここで、硬貨で擦るまでは視認できないよう印刷されている「当たり」のような画像を潜在画像といい、その潜在画像が印刷される領域であり硬貨等で擦られることが想定される領域を印刷領域という。
図2は、本実施形態のスクラッチ印刷物の断面を示す概念図である。図示するように、印刷基材となる蛍光剤と硬貨等より高硬度の物質を含む「紙」(0201)の表面上に潜在画像が紙と同色の蛍光剤を含む「インク」(0202)により印刷されている。そして、このインクにより印刷された潜在画像を含む印刷領域を「硬貨」(0203)で擦ると、硬貨より高硬度のインクにより硬貨が削られて生じる金属粉や硬貨の表面に付着していた汚れなどがインク表面に付着する。この「付着物」(0204)は、およそ白色を呈するものではないため、白色の印刷領域において付着物により潜在画像が顕在化する。
以下、本実施形態の各構成について説明する。「印刷基材」は、蛍光剤を含有する。印刷基材は、その表面上にインクを配置することで何らかの像を表わし得るものであればよく、紙のほかに、合成樹脂、金属、木や竹などを薄く平らに成形し、その表面にインクがのるように加工されている物が該当する。例えば、印刷媒体として紙を用いる場合には、表面に塗料を塗布し平滑さを高めた塗工紙がインクののりがよく好ましい。一般的に用いられている白紙の多くは、白色の発色をよくするために蛍光増白剤と称される蛍光剤が含有されている。
「蛍光剤」は、波長300−400nmの紫外線を吸収し波長400−450nmの青色の光を発する蛍光物質である。このような物質としては、例えば、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体、フルオレセインなどがある。
「潜在画像」は、印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより印刷される。まず、このインクの色であるが、日光や通常の照明のもとで印刷された潜在画像が視認しにくいものとなることが前提となるので、印刷基材の色と同じ色を呈することが必要である。例えば、白い紙を印刷基材とする場合には、この印刷基材に潜在画像を印刷するためのインクは白色を呈することが必要である。印刷基材が白以外の色を呈する場合についても同様である。
「硬貨等」とは、硬貨のほかにスクラッチ印刷を擦るために硬貨の代用品として用いられ得る物を含む概念である。代用品となり得るものとは、例えば、鍵、鋏の刃、金属製の工具や金具、電子機器の接続端子などが考えられる。硬貨には、鉄、黄銅、銅、アルミニウム、亜鉛、鉛などが材料として使用されている。また、硬貨の代用品となり得る物の材料も、硬貨に用いられる材料と大きく異なるものではない。
潜在画像を印刷するインクには硬貨等より高硬度の材料が含まれる。硬貨の高度は材料によって異なるが、その材料として挙げたなかで鉄のモース硬度が4.5で最も高いため、硬貨に限って言えばモース硬度5以上の材料をインクに含有すればよい。また、硬貨の代用となり得る物には硬貨よりも硬度の高い鋼が材料として含まれる場合がある。したがって、硬貨等より高硬度な材料としては、例えば酸化チタン(硬度7)、タングステンカーバイド(硬度8)、アルミナ(硬度9)、炭化ケイ素(硬度9)などをインクに含有すればよい。
潜在画像を印刷するインクに含まれる蛍光剤の含有量は、当該インクの蛍光輝度と蛍光剤を含有する印刷基材の蛍光輝度とが同程度になるように適宜定めることが好ましい。両輝度の差異が少ない程ブラックライト照射により潜在画像が浮き出ることを抑制できるからである。例えば、高級なカタログなどに用いられる光沢を抑えた塗工紙を印刷基材とする場合には、重量比にて0.1〜10パーセントの蛍光剤をインクに含有することが好ましい。
また、印刷基材の色や含有する蛍光剤の種類などによって、その発光の色相に違いが表れる場合もある。したがって、潜在画像を印刷するインクに含有する蛍光剤による発光の色相が印刷基材の発光の色相と近いものとなるよう、インクに含有する蛍光剤を適宜選択することが好ましい。蛍光剤にはRGB三原色(赤、緑、青)のそれぞれの発色を呈するものなどが存在するので、それらの蛍光剤を適宜添加して色相を調整するとよい。なお、蛍光輝度や色相を調整するためには、蛍光分光光度計を用いて蛍光輝度や色相を測定しながら行うことができる。なお、印刷基材の光沢の度合いに応じて潜在画像を印刷するインクに光沢調整のためのニスインクを含ませてもよい。
上述の構成による本実施形態のスクラッチ印刷物と、特許文献2などに開示されている従来のスクラッチ印刷物との差異を、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態のスクラッチ印刷物の断面と従来のスクラッチ印刷物の断面とそれらに照射されるブラックライトとを示す概念図である。
図3(a)は、本実施形態のスクラッチ印刷物の断面を示す概念図である。図示するように、本実施形態のスクラッチ印刷物は、「印刷基材」(0301)の上に硬貨等より高硬度である「蛍光剤を含有するインク」(0303、0304)により潜在画像が印刷されている。このスクラッチ印刷物に「ブラックライト」(0302)を照射すると、印刷基材と潜在画像を印刷するインクはいずれも蛍光剤を含有しているため、ブラックライトにより照射される紫外線を吸収し、波長400−450nmの青色の光を発する。この青色の光を示すのが図中の矢印である。上記インクと印刷基材のいずれもが発光することにより、発光の有無による明暗のコントラストが生じず潜在画像が顕在化しない。
図3(b)は、従来のスクラッチ印刷物の断面を示す概念図である。図示するように、従来のスクラッチ印刷物は、「印刷基材」(0311)の上に硬貨等より高硬度の「インク」(0313)をベタ刷りして下地層を設けている。そして、下地層の上に「マットニス」(0314、0315、0316)などにより潜在画像をネガパターンで印刷している。このスクラッチ印刷物に「ブラックライト」(0312)を照射すると、紫外線を吸収した印刷基材は発光するものの、図示するようにベタ刷りした下地層に遮られるためスクラッチ印刷物の表面に光が洩れない。したがって、発光の有無による明暗のコントラストが生じず潜在画像が顕在化しない。
上記の通り、本実施形態のスクラッチ印刷物と従来技術のスクラッチ印刷物とは、明暗のコントラストを生じさせないことにより潜在画像の顕在化を防止するという点においては共通するものの、その効果を得るための構成が異なる。また、この構成の相違により本実施形態のスクラッチ印刷物は、従来のスクラッチ印刷物に対してインクの使用量の抑制と工程の低減という有利な効果を得ることができる。
図4は、本実施形態のスクラッチ印刷物を製造する方法の一例を示すフロー図である。図示するように、まず、蛍光剤を含有する印刷基材を準備する(印刷基材準備ステップ:S0401)。そして、印刷基材準備ステップにて準備された印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより潜在画像を印刷する(潜在画像印刷ステップ:S0402)。上記各ステップにおける構成は、上述した通りである。また、上記各ステップを行うためには周知の印刷技術を用いることができる。
<効果>
<効果>
本実施形態により、ブラックライト照射によっても潜在画像が顕在化することのないスクラッチ印刷物を、印刷工程及びインク等使用量の増加を伴うことなく提供することができる。
<実施形態2>
<概要>
<実施形態2>
<概要>
本実施形態は、実施形態1を基本とし、潜在画像のネガパターンをニスで印刷することで潜在画像の輪郭をぼかし視認しにくくするスクラッチ印刷物である。潜在画像は印刷基材と同色のインクで印刷することで視認しにくくしている。しかしながら、日光や強い照明の下ではインクと印刷基材との境界が明らかになり潜在画像が視認されてしまう場合が起こり得る。本実施形態のスクラッチ印刷物は、上述の構成によりこのような事態を防止するものである。
<構成>
<構成>
図5は本実施形態のスクラッチ印刷物を示す概念図である。図5(a)は、正面視による概念図であり、図5(b)は、図5(a)の印刷領域の一部を断面視により示した概念図である。
図5(a)に示すように、「印刷領域」(0501)には"当たり"の文字が「潜在画像」(0502)として印刷されている。そして、"当たり"の文字を抜いた「ネガパターン領域」(0503)をニスで印刷している。このニスで印刷されたネガパターンをニスネガパターンという。なお、説明の便宜のため、図中において潜在画像は斜線で示し、ネガパターン領域は縦線で示している。
図5(b)に示すように、本実施形態のスクラッチ印刷物における印刷領域は、「印刷基材」(0511)に「潜在画像」(0512)がインクにより印刷され、潜在画像を縁取るように「ニスネガパターン」(0513)が印刷されている。
ニスネガパターンを印刷するためのニスとしては、例えば、グラビア印刷やオフセット印刷による印刷面を保護するために一般的に用いられているオーバープリントニスが挙げられる。一般的なオーバープリントニスは透明であるが、印刷基材と同色の顔料が含まれているものであってもよい。また、印刷基材の光沢の度合いと潜在画像を印刷するインクの光沢の度合いとに隔たりがある場合には、その隔たりを減ずるようなニスを選択してネガパターンを印刷することが好ましい。例えば、印刷基材の光沢が潜在画像を印刷するインクの光沢に対して強い場合には、光沢を抑えるためにマット系のニスによりネガパターンを印刷することが好ましい。これにより、光沢度合いの差異により潜在画像が視認されるおそれを低下することができる。
このように潜在画像のネガパターンをニスで印刷することにより、印刷基材に潜在画像を印刷しただけの構成とした場合に比べ潜在画像の輪郭がぼやける。したがって、日光や強い照明の下であっても潜在画像が視認されにくくなる。
図6は、本実施形態のスクラッチ印刷物を製造する方法の一例を示すフロー図である。図示するように、まず、蛍光剤を含有する印刷基材を準備する(印刷基材準備ステップ:S0601)。そして、印刷基材準備ステップにて準備された印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより潜在画像を印刷する(潜在画像印刷ステップ:S0602)。そして、印刷領域における潜在画像のネガパターン領域をニスで印刷する(ニス印刷ステップ:S0603)。なお、ニス印刷ステップを潜在画像印刷ステップの前に行い、その後に潜在画像印刷ステップを行ってもよい。上記各ステップにおける構成は、上述した通りである。また、上記各ステップを行うためには周知の印刷技術を用いることができる。
<効果>
<効果>
本実施形態により、潜在画像が視認されにくいスクラッチ印刷物を提供することが可能となる。
<実施形態3>
<概要>
<実施形態3>
<概要>
本実施形態は、実施形態1又は2を基本とし、潜在画像を含む印刷領域に硬貨等より低硬度の有色のインクで模様を印刷してなるスクラッチ印刷物である。このような模様を施すことにより、潜在画像がより視認されにくくなる。
<構成>
<構成>
図7は、本実施形態のスクラッチ印刷物を示す概念図である。図5(a)は、正面視による概念図であり、図7(b)は、図7(a)の印刷領域の一部を断面視により示した概念図である。
図7(a)に示すように、「印刷領域」(0701)には"当たり"の文字が「潜在画像」(0702)として印刷されている。そして、潜在画像の上から有色のインクで「網点」(0703)が印刷されている。なお、図中においては潜在画像の存在を示すため"当たり"の文字の輪郭を描写したが、実際にはこのような輪郭が表れる態様で潜在画像は印刷されない。このように潜在画像の上から模様を印刷することにより、潜在画像がより視認されにくくなる。
なお、本実施形態における「有色のインク」とは、そのインクにより印刷される網点などの模様が視認され得るよう何らかの発色を呈することのできるインクであり、印刷基材の色と異なる色を有するインクであるともいえる。例えば、印刷基材や潜在画像の色が白色である場合に同じく白色のインクにより模様を印刷した場合には、その模様を視認することは凡そ不可能であるため、そのような同色のインクは有色のインクに含まれない。一方、印刷基材や潜在画像が青色である場合には、模様を印刷したインクが白色であっても、その白色のインクは有色のインクに該当する。
また、本実施形態における「模様」は、潜在画像を一面に覆う態様で印刷されるものではなく、網点や格子などのように潜在画像を構成するインクの表面を部分的に覆う態様で印刷されるものをいう。そして、この模様は硬貨等より低硬度のインクで印刷され、硬貨等で擦っても印刷領域から剥がれないよう印刷される。図7(b)に示すように、「印刷基材」(0711)に「潜在画像」(0712)がインクにより印刷され、さらに潜在画像の上から「網点」(0713)が印刷されている。図示するように、模様を印刷するインクは潜在画像を含む印刷領域に点在する。このようなスクラッチ印刷物を硬貨等で擦った場合、模様を印刷するインクは硬貨等より低硬度であるため、このインクとの接触により硬貨等の汚れが付着したり硬貨等が削り取られることはない。したがって、印刷された模様に変色や着色は生じることはない。
一方、模様を印刷するインクは点在しているため、潜在画像を印刷するインクと硬貨等との接触は生じる。潜在画像を印刷したインクには硬貨等より高硬度の物質が含まれるため、硬貨等と接触したこのインクには「硬貨等の汚れや削りとられた硬貨等の金属」(0714)が付着し、潜在画像が顕在化する。
なお、この模様を印刷するインクにおける蛍光剤の含有の如何は、ブラックライト照射においても潜在画像が顕在化しないことに影響を及ぼさない。模様を印刷するインクが蛍光剤を含むものである場合には、この模様は模様を印刷するインクがのっていない印刷領域と同じく発光するため潜在画像が浮かび上がることはない。また、模様を印刷するインクが蛍光剤を含まないものである場合には、模様を印刷するインクがのった部分は印刷基材又は潜在画像を印刷するインクによる発光を遮蔽することになり、明暗の濃淡でこの模様が表れ、より一層潜在画像を視認しにくくする。
図8は、本実施形態のスクラッチ印刷物を製造する方法を示すフロー図である。図示するように、まず、蛍光剤を含有する印刷基材を準備する(印刷基材準備ステップ:S0801)。そして、印刷基材準備ステップにて準備された印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより潜在画像を印刷する(潜在画像印刷ステップ:S0802)。そして、印刷領域における潜在画像のネガパターン領域をニスで印刷する(ニス印刷ステップ:S0803)。そして、潜在画像印刷ステップにて印刷された潜在画像を含む印刷領域の上に硬貨等より低硬度の有色のインクにて模様を印刷する(模様印刷ステップ:S0804)。なお、ニス印刷ステップを潜在画像印刷ステップの前に行い、その後に潜在画像印刷ステップを行ってもよい。また、ニス印刷ステップを省略してもよい。そして、上記各ステップにおける構成は、上述した通りである。また、上記各ステップを行うためには周知の印刷技術を用いることができる。
<効果>
<効果>
本実施形態により、潜在画像がより視認されにくいスクラッチ印刷物を提供することができる。
0201 印刷基材
0202 インク
0203 硬貨
0204 付着物
0202 インク
0203 硬貨
0204 付着物
Claims (8)
- 潜在画像を含む印刷領域を、硬貨若しくは硬貨と同程度の硬度を有する物質である硬貨等で擦ることにより潜在画像が顕在化するスクラッチ印刷物であって、
蛍光剤を含有する印刷基材と、
印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより印刷される潜在画像と、
からなるスクラッチ印刷物。 - 前記インクに含有される蛍光剤は、前記印刷基材に含有される蛍光剤と同程度の含有率で含有される請求項1に記載のスクラッチ印刷物。
- 印刷領域における潜在画像のネガパターン領域をニスで印刷したニスネガパターンを有する請求項1又は2に記載のスクラッチ印刷物。
- 潜在画像を含む印刷領域の上に、前記硬貨等より低硬度の有色のインクにて模様を印刷してなる請求項1から3のいずれか一に記載のスクラッチ印刷物。
- 潜在画像を含む印刷領域を、硬貨若しくは硬貨と同程度の硬度を有する物質である硬貨等で擦ることにより潜在画像が顕在化するスクラッチ印刷物の製造方法であって、
蛍光剤を含有する印刷基材を準備する印刷基材準備ステップと、
印刷基材準備ステップにて準備された印刷基材の表面上に前記硬貨等より高硬度の材料と蛍光剤とを含有するインクにより潜在画像を印刷する潜在画像印刷ステップと、
を有するスクラッチ印刷物の製造方法。 - 印刷領域における潜在画像のネガパターン領域をニスで印刷するニス印刷ステップを、さらに有する請求項5に記載のスクラッチ印刷物の製造方法。
- 潜在画像印刷ステップにて印刷された潜在画像を含む印刷領域の上に前記硬貨等より低硬度の有色のインクにて模様を印刷する模様印刷ステップを、さらに有する請求項5又は6に記載のスクラッチ印刷物の製造方法。
- 前記インクに含有される蛍光剤は、前記印刷基材に含有される蛍光剤と同程度の含有率で含有される請求項5から7のいずれか一に記載のスクラッチ印刷物の製造方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20170310 |