JP2016522831A - 炎症を予防および治療するためのクリオピリン阻害剤 - Google Patents

炎症を予防および治療するためのクリオピリン阻害剤 Download PDF

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Abstract

抗炎症剤である阻害剤を提供し、炎症を阻害して心不全および自己免疫疾患などの炎症を伴う疾患および状態を予防または治療するその類似体を使用する方法も同様に提供する。

Description

本発明は、概括的には改善された抗炎症剤、および炎症を阻害するためのそれらの使用方法に関する。より詳しくいうと、本発明はクリオピリン(NLRP3またはNALP3)インフラマソーム形成および活性化を阻害する化合物、ならびに心不全や急性および慢性の炎症性疾患などのNLRP3インフラマソーム関連疾患および状態を予防または治療するための類似体の使用方法を提供する。
インフラマソームは、多様な炎症誘発刺激を認識し、カスパーゼ‐1の活性を経てIL‐1βおよび1L‐18などの重要な炎症誘発性サイトカインの産生を制御するタンパク質複合体である。全てのインフラマソームは類似した構造を有し、通常、NOD様受容体(NLR)センサー成分(すなわちクリオピリン[NLRP3またはNALP3])、アダプター成分(ASC)、エフェクター成分(カスパーゼ‐1)および基質成分(炎症誘発性サイトカインであるpro‐IL‐1βおよびpro‐IL‐18)によって形成される。センサーは、組織障害またはストレス(細胞外ATP、尿酸結晶、β‐アミロイド、細胞破片)中に放出される損傷関連分子パターン分子(DAMP)、病原関連分子パターン(PAMP)、感染性病原体の進化的に保存された構造などの危険信号を認識する。NLRファミリーメンバーの中では、クリオピリン(NLRP3またはNALP3)は、最も研究されているインフラマソームセンサーである。インフラマソームのアセンブリは、クリオピリンのピリンドメインとアダプター成分ASC(カスパーゼ動員ドメインを含むアポトーシス関連スペック様タンパク質)との相互作用を必要とする。この相互作用によって、カスパーゼ‐1の動員、次いで炎症誘発性サイトカインIL‐βおよびIL‐18の成熟ならびに分泌が導かれる。センサー、アダプター、およびエフェクター間の複雑な相互作用を経て、インフラマソームは外部または内部ストレスの「保護物質」、および炎症反応の重要な「増幅器」として機能する。
急性心筋梗塞(AMI)は、虚血、すなわち酸素供給と需要との間の不均衡によって心臓細胞が死滅する臨床的症候群を意味する。AMIは世界的に最も頻繁に見られる有害な心臓リモデリング、心不全および死亡の原因の1つである。AMIの間中に心臓細胞が死滅すると、初期に機能的心臓筋(心筋)が喪失し、次いで無菌炎症反応によって媒介された損傷の第2波がそれに続く。インフラマソームは、AMIなどの虚血性損傷後の炎症反応において中心的な役割を占めている。AMIの間中の炎症反応の程度によってAMI患者の臨床結果が予測され、炎症が多い患者ほど心不全または死亡率が高い。最近の研究では、センサーであるクリオピリンを目的とする小型の干渉(サイレンシング)RNAを用いた実験的AMIにおけるインフラマソームの形成を阻害すると、心臓損傷が緩和し、梗塞の治癒がより好ましくなることが示されている(Mezzaromaら、Proc Natl Acad Sci 2011年;127;143〜152)。類似の効果がASC(インフラマソームのための足場タンパク質)についてのマウスノックアウトで見られた。これらのデータは、AMIの間中の心臓内インフラマソーム形成におけるクリオピリンの中心的な役割、およびAMI後の有害な心臓リモデリングを予防するクリオピリン阻害の潜在的な価値を指摘している。特異的にクリオピリンを阻害することを目的とした既知の薬物は存在しない。
膵臓β細胞からのインスリン放出を促進する抗糖尿病薬グリブリドは、インビトロで骨髄細胞においてクリオピリンに対し阻害活性を有することが分かっている。また、患者においてグリブリドも保護的な抗炎症効果を有することを示唆する観察研究もある。しかし、インビボでの効果的な抗炎症治療としてのグリブリドの使用は、非常に高用量が必要であり、これが重篤かつ致命的な低血糖を引き起こす可能性があるため、制限を受ける。更に、グリブリドもまた、先天的な保護効果である虚血プレコンディショニングを制限する能力があるために潜在的に「心毒性」であることが分かっている。
特異的に炎症、例えばAMIに関連する無菌炎症を調節することを目的とする新たな治療戦略が差し迫って必要である。再灌流および神経ホルモン活性化阻害の現在のアプローチはAMIの罹患率および死亡率を良好に減少させているが、AMIは依然として、抵抗できない程の過剰な炎症活性に伴う心不全および死亡の受け入れがたい高い発生率と関連している。
グリブリドのスルホニルおよびベンズアミド部分はクリオピリンの阻害に関与しており、一方、シクロヘキシル尿素部分はインスリン放出および虚血プレコンディショニングに関与している。シクロヘキシル尿素部分の存在はスルホニル尿素として知られている薬物のクラスを特徴付けている。類似体の新たなファミリーは、スルホニルおよびベンズアミド部分を保持するが、グリブリドのシクロヘキシル尿素部分を持たないように設計されており、すなわち、シクロヘキシル尿素部分は存在せず、従って糖尿病を治療するために使用するスルホニル尿素の一部は存在しない。得られた化合物は、クリオピリン(NLRP3、NALP3)インフラマソームの形成および活性を阻害し、従ってインスリン放出または虚血プレコンディショニングに影響を与えることなく、抗炎症剤として作用する。従って本開示は、抗炎症剤である新規な類似体、ならびに例えばクリオピリン(NLRP3)インフラマソーム形成および/または活性を阻害することによって炎症を阻害するためのそれらの使用法を提供する。いくつかの態様では、本薬剤および方法は、例えば、初期の炎症およびAMI後に発症する炎症の「第2波」の両方の炎症に伴う心不全を予防または治療する目的で、AMIの治療に使用される。他の態様では、痛風や多様な自己炎症性疾患などの他のNLRP3インフラマソーム媒介性疾患を予防または治療するために阻害剤が使用される。インビボで投与する場合、阻害剤は有利にも非毒性である。
本発明の他の特徴および利点は、下記の本発明の説明に記載され、一部は説明から明らかになり、または本発明の実施によって習得することも可能となる。本発明は、特に、記述された明細書およびこれに関する請求項において特に指摘された組成物および方法によって実現および達成されるであろう。
本発明の目的は、式I:


式I

の化合物を提供することであり、
式中、
R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;
R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
YはNH、OまたはSであり;
ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なってもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分;およびその製薬的に許容される塩である。1つの態様では、化合物は式II:


式II

である。
別の態様では、化合物は式III:


式III

である。
本発明はまた、生理学的に許容可能な担体と結合したこれらの各化合物および本明細書に記載したその変異体から成る組成物も提供する。
本発明はまた、必要とする被検体においてNLRP3インフラマソーム関連炎症を予防または治療する方法も提供し、この方法は上記被検体に治療有効量の式I:


式I

の化合物を投与する工程を含み、
式中、
R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;
R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
YはNH、OまたはSであり;
ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なっていてもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分である。
本方法のいくつかの態様では、化合物は式II:


式II

である。
本方法の別の態様では、化合物は式III:


式III

である。
例示的な方法では、NLRP3インフラマソーム関連炎症は、急性心筋梗塞(AMI)後の有害な心臓リモデリング;腹膜炎および自己炎症状態からなる群から選択される。
本発明はまた、急性心筋梗塞(AMI)の被検体において心不全を予防または治療する方法も提供し、この方法は上記被検体に治療有効量の式I:


式I

の化合物を投与する工程を含み、
式中、
R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;
R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
YはNH、OまたはSであり;
ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なってもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分である。
例示的な方法では、化合物は式II:


式II

である。
その他の例示的な方法では、化合物は式III:


式III

である。
炎症反応の増幅を招き(IL‐1β、IL‐18)、細胞死(ピロトーシス)を促進するクリオピリン活性化およびインフラマソーム形成の簡略化スキームである。 化合物1の改質である。 5‐クロロ‐2‐メトキシ‐N‐[2‐(4‐スルファモイルフェニル)‐エチル]‐ベンズアミドの合成経路である。 16673‐34‐0によるNLRP3インフラマソームの標的阻害である。 パネルAは、NLRP3インフラマソームならびにNLRC4およびAIM2インフラマソームの形成のための刺激の概略図を示す。パネルBは、LPS/ATPに応答した培養マクロファージ(J774A.1)によるインターロイキン‐1β(IL‐1β)放出の増加を示し、これは16673‐34‐0またはグリブリドによって阻害される(LPS/ATPに対してP<0.05)。パネルC〜Eは、刺激のない状態(パネルC)またはLPS/ATP添加後(パネルD)の培地(HL‐1)における心筋細胞内ASC凝集を示し、パネルEの定量は16673‐34‐0またはグリブリドでの治療によるLPS/ATP添加後のASC凝集体形成の阻害を示す(LPS/ATPに対してP<0.05)。パネルFおよびGは、心筋細胞におけるLPS/ATPまたはLPS/ナイジェリシン添加後のカスパーゼ‐1活性および細胞死の増加を示す(LPS/ATPまたはLPS/ナイジェリシンに対してP<0.05)。パネルHおよびIは、それぞれフラジェリンまたはポリ(dA:dT)によるNLRC4またはAIM2インフラマソームの刺激後のそれぞれのカスパーゼ‐1活性および細胞死の増加、ならびに16673‐34‐0による阻害効果の喪失を示す。 スルホニル残基を含まない16673‐34‐0中間体はNLRP3インフラマソームに対して阻害効果は無い。図は、心筋細胞におけるLPS/ATP添加後のカスパーゼ‐1活性(A)および細胞死(B)の増加を示し、これは16673‐34‐0での治療によって予防されるが、スルホニル残基を含まない合成の中間体化合物では予防されない(LPS/ATPに対してP<0.05)。16673‐34‐0と中間体化合物との間のP値は図に示してある。 16673‐34‐0はインビボではマウスにおけるグルコース制御に対して効果が無い。パネルAは、16673‐34‐0単回投与(100mg/kg)から2時間後のグルコース濃度に有意な変化が無いこと、およびグリブリド132.5mg(100mg/kgの16673‐34‐0に対して等モル)投与後に有意に減少したことを示している。パネルBは、132.5mgのグリブリドを6時間ごとに24時間投与した健常マウスにおける50%死亡率、および100mg/kgの16673‐34‐0を6時間ごとに24時間投与しても効果が無かったことを示している(P<0.01)。 16673‐34‐0はマウス急性心筋梗塞におけるNLRP3インフラマソームを阻害する。試験計画の概略を示す。パネルAおよびBは、賦形剤投与マウスおよび16673‐34‐0投与マウスにおける梗塞サイズ測定のためのTTC染色の典型的な画像である。パネルCは、虚血‐再灌流から24時間後の心臓内カスパーゼ‐1活性の有意な増加、および16673‐34‐0での有意な減少(>90%)を示す。パネルDおよびEは、病巣領域には差が無く、16673‐34‐0によって梗塞サイズが有意に減少した(>40%)ことを示している。パネルFは、虚血再灌流から24時間後に血清心筋トロポニンI濃度が有意に増加し、16673‐34‐0を投与したマウスにおいて濃度が有意に低下していた(−70%)ことを示す。 16673‐34‐0は、マウス急性腹膜炎のモデルにおけるNLRP3インフラマソームを阻害する。 試験計画の概略図を示す。ザイモサン投与から6時間後、腹膜洗浄液から回収した細胞の数に有意な増加が見られ、それは16673‐34‐0またはグリブリド投与によって有意に減少した。 インビボでの急性再灌流心筋梗塞の治療である。16673‐34‐0または賦形剤の単回投与後のA:カスパーゼ‐1活性、B:cTnI濃度。 インビボでの急性再灌流心筋梗塞の治療である。16673‐34‐0または賦形剤の単回投与から7日後のA:心臓組織の外観、B:左室径短縮率(LVFS)。 インビボでの急性非再灌流心筋梗塞の治療である。16673‐34‐0または賦形剤を毎日投与し、7日目の、A:心臓組織の外観、B:左室拡張末期径(LVEDD)、C:左室収縮末期径(LVESD)、およびD:左室径短縮率(LVFS)。 インビボでの急性非虚血心筋損傷の治療である。16673‐34‐0または賦形剤を毎日投与し、10日目の、A:心臓組織の外観、B:5線維形成、C:LVFS。 A:野生型およびB:NLRP3‐mutマウスにおけるインビトロでの骨髄由来単核細胞(BMDMC)でのIL‐1βの産生である。NLRP3阻害剤の存在下、または非存在下での、LPSまたはLPS+ATPによる刺激後のwtマウス、およびLPS単独投与のNLRP3‐mutマウスにおいてデータを取得した。 LPSおよび尿酸一ナトリウム(MSU)による刺激、ならびにNLRP3阻害剤の投与後のインビトロでの培養マクロファージ(J774A.1)におけるIL‐1βの産生である。LPSおよびMSUによる刺激後、培養マクロファージは大量のIL‐1βを産生し、これはNLRP3阻害剤によって有意に阻害される。
発明の詳細な説明
クリオピリン(NLRF3、NLP3)インフラマソーム形成および活性を阻害する類似体が提供され、様々なNLRP3‐インフラマソーム関連疾患および状態を治療するためのそれらの使用方法も同様に提供される。類似体は式Iおよび式II:

式I 式II

の一般構造を有する。
本発明の目的は式I:

の化合物を提供することであり、
式中、
R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;。
R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
YはNH、OまたはSであり;
ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なってもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分である。
いくつかの態様では、この化合物は式II:

の化合物であり、
式中、
R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択される。
Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なってもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分である。
本明細書に開示された化合物では:
ハロゲンの例としては:F、Cl、BrおよびIが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「環式」炭化水素(アルキル)には、置換または非置換ペンチルおよびベンジル部分が挙げられる。
アルキル基の例としては:置換または非置換CH‐、CHCH‐、CH(CH‐、CH(CH‐、CH(CH‐、CH(CH‐、CH(CH‐、CH(CH‐、またはプロパルジルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルコキシル基の例としては:置換または非置換CHO‐、CHCHO‐、CH(CHO‐、CH(CHO‐、CH(CHO‐、CH(CHO‐、CH(CHO‐、CH(CHO‐、またはエチニルオキシが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「置換」とは、S、N、O、NO、OH等の単数または複数のヘテロ原子を、アルキル鎖または環式炭化水素内に、あるいはそれに結合して包含することを意味する。
例示的な化合物は式III:


式III

に示す。
下記実施例の章および添付図面の凡例では、式III(5‐クロロ‐2‐メトキシ‐N‐[2‐(4‐スルファモイルフェニル)‐エチル]‐ベンズアミド)は16673‐34‐0とも称される。また、式IIIは、実施例のスキームIで化合物5と表されている。
別の化合物の例を式IV:


式IV

に示す。
別の化合物の例を式V:

式V

に示す。
別の化合物の例を式VI:

式VI

に示す。
別の化合物の例を式VII:

式VII

に示す。
本明細書に開示された類似体は、望ましくないNLRP3インフラマソームの形成および/または活性化、ならびに/あるいはそのような形成および/または活性化の結果、例えば、炎症誘発性サイトカインpro‐IL‐1βおよびpro‐IL‐18の望ましくない産生に伴う(例えば、産生に起因する、もしくは産生に関連する、もしくは産生を悪化させる)障害または状態を治療するために使用する。このような疾患/状態は、いわゆる無菌炎症(例えば、多様な炎症性疾患、心臓発作後の第2波炎症、脳卒中または他の虚血性もしくは外傷性損傷)、または感染に起因する炎症(例えば細菌またはウイルスなどの感染性生物による)によって発生する可能性がある。このような疾患および状態は、多様な刺激に起因する。例えば、様々な細菌、ウイルス、真菌、および寄生原虫を含む多数の微生物がNLRP3インフラマソームを活性化することが可能であり、例えば、細菌毒素ナイジェリシンも、パネキシン‐1依存的にカリウム流出を起こすことによってNLRP3の活性化を誘導することが報告されている。微生物活性化剤に加えて、ATP、尿酸一ナトリウム(MSU)およびアミロイド‐βなどの内因性「危険」信号はNLRP3インフラマソームを活性化させ、また例えば、代謝ストレス、虚血および外傷に起因する多様な他のタイプの細胞損傷も同様である。NLRP3インフラマソームは、代謝性疾患、およびII型糖尿病、痛風、アルツハイマー病および虚血を含む無菌炎症反応に関与している。多数の内因性および外因性結晶性分子は、NLRP3インフラマソーム、例えば痛風および偽性痛風それぞれの原因物質である尿酸結晶およびピロリン酸カルシウム二水和物を活性化する。アルツハイマー病の病因に関連する線維性アミロイド‐βもNLRP3インフラマソームを活性化する。線維性肺障害の珪肺症および石綿症をそれぞれ発症するシリカおよびアスベスト粒子もNLRP3インフラマソームを活性化する。壊死細胞からのATPの放出は先天的または無菌の炎症免疫反応を活性化する危険信号である。NLRP3インフラマソーム活性化の阻害は、腎臓、心臓および脳虚血などの疾患における無菌炎症反応によって媒介される損傷の予防に有利な効果を示す。更に、外傷時の壊死誘発性無菌炎症や、感染および敗血症に続く2期症候は、本明細書に記載のNLRP3経路の阻害剤によって調節される。 NLRP3インフラマソームは、結晶性および粒子状物質を含む、ストレスまたは危険に伴う分子によっても活性化することが可能である。
本明細書に記載の薬剤によって予防または治療され得る特定の自己炎症性疾患の例としては、限定するものではないが以下が挙げられる:
i)関節リウマチ、乾癬性関節炎、骨関節炎、強直性脊椎炎、手のびらん性骨関節炎、再発性多病巣性骨髄炎、外傷性膝損傷などの関節、骨および筋肉の疾患;再発性多発性軟骨炎等;
ii)家族性地中海熱(FMF)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)などの遺伝性全身自己炎症性疾患;マックル‐ウェルズ症候群、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、高IgD症候群(HIDS)、周期熱、アフタ性口内炎、咽頭炎およびリンパ節炎(PFAPA)、インターロイキン‐1(IL‐1)受容体アンタゴニスト(DIRA)の欠乏等;
iii)全身若年性特発性関節炎、成人発症スティル病、シュニッツラー症候群、ベーチェット病、PFAPA(周期熱、アフタ性)口内炎、咽頭炎、リンパ節炎)、SAPHO(滑膜炎、にきび、膿疱症、骨化過剰症、骨炎)症候群、マクロファージ活性化症候群等の全身性炎症疾患;ならびに
iv)痛風、1型糖尿病、2型糖尿病、メタボリック症候群、インスリン抵抗、脳卒中、心臓発作、心筋炎、薬物または放射線による心臓毒性、虚血性心疾患、家族性または遺伝性心筋症、心不全、心停止および無酸素性脳損傷;感染症、虚血、毒素、外傷による急性および慢性肺損傷などの一般的炎症性疾患;ドライアイ症候群、膿疱性乾癬;好中球皮膚疾患;ウイルス、毒素、虚血もしくは薬物による急性または慢性肝炎;虚血、高血圧、糖尿病、毒素、もしくは薬物による急性または慢性腎損傷;敗血症、敗血症性ショック;アルツハイマー病を含む認知症;等。
1つの態様では、上記化合物はAMIと併発する状態、例えば心機能低下、心不全および早期死亡につながる有害な心臓リモデリング等での炎症の第2波などの無菌炎症状態を治療するために使用する。従って有害な心臓リモデリングは本明細書に開示された化合物の投与によって予防または治療することも可能である。
別の態様では、上記化合物は、腹膜炎を治療するために使用する。「腹膜炎」は、腹部の内壁の裏側にあり、腹部器官の大部分を覆う薄い組織である腹膜の炎症を意味する。腹膜炎は(例えば、穿孔前ではあるが虫垂炎もしくは憩室炎によって)局在化し、または(例えば、穿孔後に、例えば腹部外傷もしくは虫垂炎で発症するような中空器官の破裂によって)全体に拡がる場合がある。腹膜炎は自身の感染に起因する場合、または非感染過程に起因する場合がある。
本発明は、本明細書に記載の化合物を含む組成物および/または上記化合物の製薬的に許容可能な塩を提供する。上記組成物は、概括的には、炎症、例えばNLRP3インフラマソームの形成および活性による炎症を予防または治療する際に使用するためのものである。上記組成物は、本明細書に記載されているような1種またはそれ以上の実質的に精製された化合物、および薬理学的に好適な(適合性のある)担体を含む。そのような組成物の調製は、当業者に公知である。典型的に、このような組成物は、液体溶液または懸濁液として調製されるが、錠剤、丸剤、散剤等の固体形態もまた検討されている。投与前に液体中に入れる溶液または懸濁液に適した固体形態も調製することが可能である。調製物はまた乳化してもよい。活性成分は、製薬的に許容可能であり活性成分と適合する賦形剤と混合してもよい。適切な賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、またはこれらの組み合わせが挙げられる。また、上記組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等の少量の補助剤を含有してもよい。更に、上記組成物は、異種ではあるが補完的な活性を有する他の薬剤、例えば、他の抗炎症剤、鎮痛剤、血液希釈剤、抗ヒスタミン薬等を含有してもよい。経口形態の組成物を投与したい場合は、多様な増粘剤、香味料、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤等を添加してもよい。投与に適した形態で組成物を提供するために、本発明の組成物は、任意のこのような追加成分を含有してもよい。製剤中の化合物の最終量は多様である。しかし一般的に、製剤中の量は、約1〜99%であると考えられている。本発明での使用に適した更に別の好適な製剤は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、ペンシルベニア州、Philadelphia、第19版(1995年)に見られる。
本明細書で使用されている用語、「製薬的に許容される塩」は、本発明の化合物の、比較的非毒性の無機および有機酸付加塩および塩基付加塩を指す。これらの塩は、化合物の最終的な単離および精製中にインサイツで調製することができる。特に、酸付加塩は、遊離塩基形態の精製化合物と好適な有機または無機酸とを別々に反応させ、このように形成された塩を単離することによって調製することが可能となる。酸付加塩の例としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシレート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、スルファミン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、プロピオン酸塩、メチレン‐ビス‐ベータ‐ヒドロキシナフトエート、ゲンチシン酸塩、イセチオン酸塩、ジ‐p‐トルオイル酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩等が挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれたS.M.Bergeら、「Pharmaceutical Salts」J.Pharm.Sci.,66,1〜19(1977年)を参照。塩基付加塩も、酸形態の精製化合物と好適な有機または無機塩基とを別々に反応させ、このように形成された塩を単離することによって調製することが可能となる。
塩基付加塩には、製薬的に許容される金属およびアミン塩が挙げられる。好適な金属塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウム塩が挙げられる。ナトリウムおよびカリウム塩が好ましい。好適な無機塩基付加塩は金属塩基から調製され、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等が挙げられる。好適なアミン塩基付加塩は、安定な塩を形成するのに十分な塩基性を有するアミンから調製し、好ましくは、医療用では低毒性かつ許容性があるために医薬化学によく使用されるアミン、アンモニア、エチレンジアミン、N‐メチル‐グルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’‐ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N‐ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)‐アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェナミン、デヒドロアビエチルアミン、N‐エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基性アミノ酸、例えば、リジンおよびアルギニン、ならびにジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
活性形態の本明細書に記載された化合物/活性剤を産生するために投与した後に代謝される化合物の前駆体(一般的に不活性前駆体)も包含される。
本明細書に記載の治療薬は、単独で、または他の好適な薬剤、例えば、炎症を(例えば別のメカニズムによって)予防または治療する他の薬剤と組み合わせて使用し、これらの薬剤には:アナキンラなどのIL‐1Rアンタゴニスト;カナキヌマブ(Ilaris)などのインターロイキン1βに対するモノクローナル抗体;リロナセプトなどの多様なインターロイキン1結合タンパク質;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。したがって、本明細書で提供される組成物は、これらの追加的薬剤のうちの1種以上を含んでいてもよい。
本開示の組成物(製剤)は、当業者に周知の多くの好適な手段:注射による手段(例えば静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、耳内、関節内、***内、等)、上皮または皮膚粘膜裏層を介した吸収による手段(例えば、経鼻、経口、膣、直腸、胃腸粘膜裏層等)、経口、鼻腔吸入による手段、抗菌ペプチドを含む食品やプロバイオティクス製品の局所的摂取による手段(例えば目、皮膚、耳などの領域、または炎症領域)、点眼薬としての手段、スプレーを介した手段、包帯または絆創膏に組み込む手段(例えば、凍結乾燥形態は包帯に直接含ませてもよい)等のいずれかによって投与することが可能である。一般的に投与様式は、薬剤の全身分布を達成するための注射による様式、あるいは炎症部位もしくは炎症が発生し易い部位またはこれらの近傍に、適当な手段を介して局所的に直接塗布することによる様式である。
投与される化合物の量は、治療対象の疾患または状態、疾患の段階、患者の全体的な健康状態、被験体の年齢、性別および体重等を含むいくつかの要因に依存して多様である。一般的に、量は約0.01〜約100mg/体重kgの範囲にあり、通常は約1〜約20mg/体重kgの範囲である。本明細書に記載されているように扱われている被験者(患者)は、一般的に哺乳動物、例えばヒトであるが、例えばネコおよびイヌのような愛玩ペット用にも本技術の多様な用途が包含される。
本開示の化合物はNLRP3インフラマソーム形成および/または活性に伴う(例えば、それによって引き起こされる)状態および/または疾患を予防および/または治療するために(すなわちNLRP3インフラマソーム関連炎症を治療するために)利用する。「予防」に関しては、本発明者らが意味するところは、疾患または状態を発症しやすい被検体に対して予防的に上記化合物を投与するが、疾患の症状もしくは兆候が現れる前、または発症の初期に投与することを指している。例えば、AMIを経験した被験体は、炎症の「第2波」中に後続の有害な心臓リモデリングを予防するために本明細書の記載のとおりに治療することができる。あるいは、または更に、上記化合物は、既に発症した状態/疾患(例えば、症状がすでに現れている場合、または観察や測定が可能な場合)を治療するために投与することも可能である。この場合、化合物の投与によって症状が改善され、軽減され、または少なくとも疾患をくい止めることが可能である(例えば、更なる疾患の発症や進行を防ぐ)。予防または治療の目的は疾患の症状を完全に予防または緩和することではあるが、十分な治療が効果ない場合でも、もし症状が完全に根絶はされないまでも低減され、またはその発病が遅延すれば多くの利益を得る可能性がある。
NLRP3インフラマソーム関連疾患を治療する方法が提供される。このような方法には、そのような処置を必要とする被験体(例えば、NLRP3インフラマソーム関連障害の1つ以上の状態を持つ被検体、またはそのような疾患を発症する可能性のある被験体)を特定する工程が含まれてもよい。例えば、心臓発作(または心筋への他のタイプの損傷)の患者は、心筋梗塞(または損傷)の最初の徴候を示している患者、更に、AMI(または他の損傷)を発症する可能性があると疑われる理由がある患者、例えば心臓組織に損傷を与えることが知られている他の薬剤を服用している患者、または心臓病にかかりやすい遺伝子疾患を持つ患者等と同様に治療してもよい。本明細書に開示された薬剤によって治療する他の状態も同様であり、すなわち、治療を受けることに適した被検体は、1つ以上の既に観察できる症状、または初期症状、または治療中である疾患(例えば遺伝、生活様式、炎症等を起こすことが知られている物質への曝露に起因している)を発症する素因を有している可能性がある。
上述したように、本発明はとりわけ:AMI後リモデリング等に伴う無菌炎症、更に急性炎症、または損傷が炎症を誘発する多様な疾患を発症する可能性のある急性炎症反応などのNLRP3インフラマソーム関連性炎症を予防または治療する方法:のうちの1つの方法で使用するための特定の化合物を提供する。急性炎症の例として、本発明者らは、AMIおよび急性腹膜炎における急性炎症反応のデータを示している。誤解を避けるため、この態様では、本発明は、特定の方法で薬剤として使用するための特定の化合物を提供することができる。更に、本発明は、特定の方法において活性治療成分としての特定の化合物を提供できる。更に、本発明は、治療法によってヒトまたは動物の身体を治療する方法で使用するための特定の化合物を提供することが可能であり、上記方法は特定の方法も含む。
より詳細に本発明の例示的な実施形態を説明する前に、当然のことながら本発明は、記載されている特定の実施形態に限定するものではなく、可変であるように記載されている。また、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ限定されるので、当然のことながら、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定を意図するものではない。
値の範囲が与えられている場合、その範囲の上限および下限と、任意の他の指定値またはその指定範囲内の中間値との間で文脈が別途指定していない限り、各中間値からその10分の1の単位の下限までは本発明の範囲内に包含されていることは理解されているものとする。これらのより狭い範囲の上限および下限は、個々に、より狭い範囲に含まれてもよく、また、本発明の範囲内に包含されており、指定範囲内であれば、明記された範囲以外の限界値になってもよい。指定範囲が、上限および下限の一方または両方を包含する場合、その包含された限界値の一方または両方を含まない範囲もまた本発明に包含される。
特段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、一般的に、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の方法および材料はどのようなものでも本発明の実施または試験に使用可能ではあるが、代表的な例示的方法および材料をこれから説明することとする。
個々の刊行物または特許が参照により本明細書中に組み込まれ、開示を引用して本明細書中に組み込まれ、引用された刊行物に関する方法および/または材料を記載するように具体的かつ個別に示されているように、本明細書で引用されたすべての刊行物および特許は参照により本明細書に包含される。どの刊行物の引用も出願日に先立つ開示用であり、本発明が先行発明によりこのような刊行物に先行する権利を与えられない承認であると解釈すべきではない。更に、提供された刊行物の日付は、実際の公開日と異なっていている場合もあり、個々に確認する必要がある。
なお、本明細書および添付の請求項中で使用されるように、単数形(原文において「a」、「an」および「the」)は、文脈が別途指定していない限り複数の対象を含む。更に、請求項は任意の要素を排除するように起草している場合もあることに留意されたい。このように、この陳述は、請求項の要素の記述と合わせて「単に」、「のみ」等のこのような排他的な用語の使用、または「負の」限定を使用するための先行する根拠として機能するように意図されている。
本開示を読めば当業者に明らかになるように、本明細書に記述および図示された個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離し、またはそれと組み合わせられる個別の構成要素および特徴を有している。記載された方法はいずれも、記載順、または論理的に可能な任意の他の順序で実施可能である。
化合物例の合成はスキーム1〜3に記載されている。
スキーム1:


スキーム2:


1,2‐ジクロロエタン


スキーム3:

3の調製
4‐クロロ‐2‐メトキシ‐安息香酸(5.35mmol、1当量)を無水DCM(25mL)に溶解し、0℃冷却した。これに、EDC(8.025mmol、1.5当量)およびトリエチルアミン(8.025mmol、1.5当量)を添加し、反応物を1時間撹拌した。その後、フェネチルアミン(5.35mmol、1当量)を添加し、反応物を室温まで加温し、1晩撹拌した。次いで、反応物を塩水で2回洗浄し、濃縮した。アミド生成物を20%EtOAc/80%ヘキサン〜60%EtOAc/40%ヘキサンの勾配でカラムクロマトグラフィーによって精製し、全収率は約40%であった。3の化学構造はNMRで確認し、純度はHPLCおよびLC‐MSで確認した。
4の調製
クロロスルホン酸(2mL)をアセトンおよびドライアイス浴で冷却し、これに、少量のDCM(0.5mL)中のアミド出発物質3(2.76mmol)を添加した。反応物を室温に加温し、次いで100℃で1時間加熱した。反応物を室温に冷却し、次いでゆっくりと砕氷上に注いだ。生成物をこの氷/水層からDCM中に抽出し、濃縮した。クロロスルホニル生成物4を25%EtOAc/75%ヘキサン〜60%EtOAc/40%ヘキサンの勾配でカラムクロマトグラフィーによって精製し、全収率は約40%であった。4の化学構造はNMRで確認し、純度はHPLCおよびLC‐MSで確認した。
5〜7の調製
塩化スルホニル4(1.00mmol、1当量)を無水DCM(5mL)に溶解した。これに、水性NHOHまたは置換アミン(2.00mmol、2当量)およびN‐メチルモルホリン(0.5mL)を添加し、反応物を1晩撹拌した。スルホンアミド生成物を100%DCM〜95%DCM/5%MeOHの勾配でカラムクロマトグラフィーによって精製し、全収率は約80%であった。
化合物5:1H NMR(400MHz,DMSO‐d)δ8.25(t,J=5.52Hz,1H),7.77(d,J=8.28Hz,2H),7.65(d,J=3.01Hz,1H),7.50(dd,J=2.89,8.91Hz,1H),7.45(d,J=8.28Hz,2H),7.28(s,2H),7.15(d,J=8.78Hz,1H),3.81(s,3H),3.54(q,J=6.30Hz,2H),2.92(t,J=7.15Hz,2H)。
化合物6:1H NMR(400MHz,DMSO‐d)δ8.17(d,J=2.76Hz,1H),7.82(d,J=8.28Hz,2H),7.41(d,J=8.53Hz,2H),7.39(dd,J=2.89,8.91Hz,1H),6.88(d,J=8.78Hz,1H),4.26(q,J=5.19Hz,1H),3.80(s,3H),3.75(q,J=6.78Hz,2H),3.02(t,J=6.78Hz,2H),2.68(d,J=5.52Hz,3H)。
化合物7:1H NMR(400MHz,DMSO‐d)δ8.16(d,J=2.76Hz,1H),7.74(d,J=8.30Hz,2H),7.42(d,J=8.30Hz,OH),7.38(dd,J=2.76,8.78Hz,1H),6.88(d,J=8.78Hz,1H),4.12(q,J=7.03Hz,1H),3.80(s,3H),3.76(q,J=6.00Hz,1H),3.02(t,J=6.53Hz,2H),2.71(s,6H)。
10の調製
8(2.93mmol、1当量)および9(3.28mmol、1.12当量)を含む1,2‐ジクロロエタン(100mL)の溶液に、酢酸(3.28mmol、1.12当量)を添加した。混合液を室温で1時間撹拌し、次いでNaCNBH(3.9mmol、1.3当量)を含むメタノール(30mL)を段階的に添加した。混合液を室温で1晩撹拌した。水(2mL)を加え、反応を停止した。溶媒を除去し、10の粗生成物をDCM/MeOH(90/10)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。10の化学構造をNMRで確認し、純度をHPLCおよびLC‐MSで確認した。
13の調製
濃硫酸(7mL)を、無水酢酸(80mL)および酢酸(40mL)の混合液に滴下で添加した。混合液を氷浴で冷却し、4‐メチルベンゼンスルホンアミド11(12g、70mmol)を添加し、反応温度を5℃未満で維持した。塩化クロム(8g、80mmol)をバッチに添加した。その後、反応混合液を5〜10℃で4時間撹拌し、次いで溶液を氷水(500mL)に注いだ。水溶液をDCM(3×100mL)で抽出した。複合有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、黄色油として二酢酸(4‐スルファモイルフェニル)メチレン12を得た。
最終工程で得られた黄色油をエタノール(10mL)に溶解した。水(10mL)および濃硫酸(2mL)を添加した。反応混合液を加熱して還流し、2時間撹拌した。溶媒を濃縮し、残渣を水(50mL)で希釈した。水溶液を酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。複合有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラム(溶離剤:ヘキサン/EA3:1〜1:1)で精製し、白色固体(1.5g、12%収率)として13を得た。H NMR(400MHz,DMSO)δ10.09(s,1H),8.10(d,J=8.3Hz,2H),8.03(d,J=8.3Hz,2H),7.59(s,2H)。
16の調製
5‐クロロ‐2‐メトキシ安息香酸14(500mg、2.68mmol)を含むエタノール(15mL)の溶液に、濃硫酸(0.1mL)を添加した。混合液を加熱して8時間還流した。溶媒を真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、溶液を飽和NaHCO溶液および塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、無色油としてエチル5‐クロロ‐2‐メトキシ安息香酸塩15を得た。
上記無色油をエタノール(10mL)で希釈した。無水ヒドラジン(258mg、8.04mmol)を添加した。反応混合液を加熱して1晩還流し、その後、室温で冷却した。白色針状結晶を形成し、濾過によって回収した。結晶をエタノールで洗浄し、乾燥させ、所望の生成物16(330mg、61%収率)を得た。H NMR(400MHz,DMSO)δ9.30(s,1H),7.61(d,J=2.8Hz,1H),7.49(dd,J=8.9、2.8Hz,1H),7.15(d,J=8.9Hz,1H),4.54(s,2H),3.86(s,3H)。
17の調製
13(200mg、1mmol)および16(217mg、1mmol)を含むエタノール(5mL)の懸濁液に、1滴の酢酸を添加した。混合液を加熱して1晩還流した。濾過によって沈殿物を回収し、エタノール(2×5mL)で洗浄した。白色固体を乾燥させ、所望の生成物17(353mg、96%収率)を得た。H NMR(400MHz,DMSO)δ11.72(s,1H),8.38(s,1H),7.92〜7.86(m,4H),7.60(d,J=3.1Hz,1H),7.56(dd,J=8.9,2.8Hz,1H),7.43(s,2H),7.21(d,J=8.9Hz,1H),3.87(s,3H)。
18の調製
17(200mg、0.54mmol)およびNaBHCN(51mg、0.82mmol)を含むTHF‐MeOH(v/v1:1、6mL)の懸濁液を室温で24時間撹拌した。濃塩化水素(1mL)で反応を停止した。その後、混合液を飽和NaHCO溶液で塩基性化する。白色沈殿を形成し、濾過によって回収した。白色固体を水で洗浄し、乾燥させ、所望の生成物18(178mg、89%収率)を得た。H NMR(400MHz,アセトン)δ9.26(d,J=5.6Hz,1H),7.95(d,J=2.8Hz,1H),7.89(d,J=8.4Hz,2H),7.62(d,J=8.4Hz,2H),7.49(dd,J=8.9,2.8Hz,1H),7.18(d,J=8.9Hz,1H),6.56(s,2H),5.54(d,J=6.0Hz,1H),4.17(d,J=4.5Hz,2H),3.92(s,3H)。
NLRP3インフラマソームの阻害は虚血‐再灌流後の心筋損傷を制限する
導入
急性心筋梗塞(AMI)の間に強い炎症反応が発生し、このような反応の強度は、有害転帰を予測する。虚血性壊死で細胞内内容物が放出されると、白血球および心筋細胞などの常在細胞において、巨大分子構造体、インフラマソームが形成される(図1)。インターロイキン‐1β(IL−1β)放出および細胞死を促進することによって、損傷時のインフラマソームの活性化は炎症反応を大幅に増幅する。NLRP3(NALP3またはクリオピリン)は、インフラマソームの形成およびカスパーゼ‐1の活性化を誘発する細胞内センサーの1つ、Nod様受容体(NLR)ファミリーの1部である。細胞死では、細胞外ATPによって、細胞からKが流出し、その後、NLRP3が活性化する。マウスにおけるNLRP3のサイレンシングまたは遺伝子欠失は実験的なAMIの梗塞サイズを制限し、このことは、NLRP3インフラマソームが薬理学的阻害の実行可能なターゲットとなることを示唆していた。
炎症性疾患におけるNLRP3の中心的な役割はクリオピリン関連周期性症候群(CAPS)で際立っており、恒常的に活性なNLRP3が点変異によってインフラマソームの活性を制御不能にする状態が、重大かつ、致命的になることもある炎症性疾患を誘発する。しかし、臨床的に利用可能なNLRP3阻害剤は不足している。広く使用されている抗糖尿病薬(スルホニル尿素)、グリブリドはインビトロでNLRP3阻害活性を有しているが、インビボで阻害剤としてグリブリドを使用するには、非常に高用量、例えば糖尿病での使用より数百倍高い用量が必要となり、必然的に致命的な低血糖が伴う。
グリブリド分子中のシクロヘキシル尿素部分はKATPチャネルの阻害を介した膵細胞によるインスリンの放出に関与しているが、それはNLRP3阻害効果には必要ない。本実施例は、インスリン放出に関与するシクロヘキシル尿素部分がないグリブリドの合成における中間基質、16673‐34‐0の、NLRP3インフラマソーム活性に対する阻害効果を説明している。16673‐34‐0は本明細書の式IIIでもあり、上記スキームIの化合物5である。
方法
グリブリド類似体の設計および合成。塩化スルホニル基を含む最近報告された類似体(化合物1、図2)はグリブリドの抗炎症活性の一部を保持するがインスリンに対する影響はないことが分かっている(Lamkanfiら、J Cell Biol 2009年;18761〜18770)。しかし、化合物1は化学的に反応性であるスルホニルクロライド部分を含み、化合物1がクリオピリンインフラマソーム阻害剤として非選択的になる可能性がある。従って、化学的に安定な類似体2および3は、スルホンアミドおよびスルホン酸部分がクリオピリンインフラマソーム阻害活性を保持するか否かを評価するために設計された。
スキーム1(図3)に示すように、化合物2および3の合成が達成された。要するに、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐カルボジイミド(EDCI)の存在下での、市販されている4(5‐クロロ‐2‐メトキシ安息香酸)および5(2‐フェニルエタンアミン)とのカップリング反応によって、6(アミド中間体、5‐クロロ‐2‐メトキシ‐N‐(2‐フェニルエチル)‐ベンズアミド)が得られる。1を形成する6のスルホン化は、クロロスルホン酸を5に添加し、次いで85℃に加熱することによって達成された。スルホンアミド類似体2(5‐クロロ‐2‐メトキシ‐N‐[2‐(4‐スルファモイルフェニル)‐エチル]‐ベンズアミド(16673‐34‐0))は、1とNHOHとを反応させることによって生成された。HOの還流条件下で1を加水分解したところ、良好な収率でスルホン酸3が産生された。
インビトロでのインフラマソームの形成の測定
マウスマクロファージ細胞株J774A.1細胞を、10%のウシ胎児血清(FBS)(Sigma‐Aldrich、ミズーリ州、St.Louis)を補足したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)培地(GIBCO(登録商標)、ニューヨーク州、Grand Island)で96マルチウェルプレート中、5×l0細胞個/ウェルで24時間平板培養した。細胞は、大腸菌(Escherichia coli)0111:B4リポ多糖(LPS)(25ng/mL;Sigma‐Aldrich)(1μg/ml)で4時間、その後、ATP(5mM)で30分間プライミングし、NLRP3 インフラマソーム形成を誘導した。上清を回収し、IL‐βの濃度を、マウスIL‐1βのELISAキット(Thermo Fisher Scientific、ニュージャージー州、Princeton)で測定した。NLRP3インフラマソーム活性化に対する16673‐34‐0の阻害効果を試験するため、細胞を、ATPと同時に16673‐34‐0(400μM)またはグリブリド(400μM)で30分間同時処理し、IL‐1β濃度を読出し情報として利用した。
別の実験では、不死化させた成体マウス心筋細胞(HL‐1)細胞を使用した。示唆したように(Claycombら、n Proc Natl Acad Sci USA 1998年;95:2979‐2984)、Claycomb培地(Sigma‐Aldrich)で細胞を培養し、その後、LPS(25 ng/mL)で2時間プライミングし、前述と同様にATP(5mM)で1時間処理し、NLRP3インフラマソーム形成を誘導した(Mezzaromaら、Proc Natl Acad Sci USA 2011年;108:19725‐19730)。その後、LPSプライミング相中、HL‐1細胞を16673‐34‐0(400 μM)またはグリブリド(400μM)で処理し、次いでATPで処理した。前述と同様に、HL‐1細胞中のNLRP3インフラマソームの形成を測定し、ASC凝集(免疫組織化学)、カスパーゼ‐1活性(酵素活性)および細胞死(トリパンブルー排除法)によって定量した。簡単に説明すると、免疫組織化学では、実験の24時間前に、ゼラチン/フィブロネクチン(0.02〜0.5%)を被覆した24×24mmガラス製カバーグラス上、35mm皿に2.5×10個で、HL‐1細胞を平板培養した。ASC発現は限局性細胞質核周囲凝集体として検出し、領域当たりの全細胞数に対するASC陽性細胞として表し、ASC凝集体は、2人の異なる研究者によって盲検的に定量化した。 NLRP3インフラマソーム活性化の読出し情報として、カスパーゼ‐1酵素活性および細胞死を評価した。簡単に説明すると、HL‐1細胞(2×10細胞)を90mm皿で平板培養し、上記と同様にNLRP3インフラマソーム形成を誘導した。処理後、カスパーゼ‐1活性を測定するために、細胞を洗浄し、回収し、凍結させた。ペレットを、プロテアーゼ阻害剤(Sigma‐Aldrich)の混合液を含むRIPA緩衝液(Sigma‐Aldrich)を用いて再懸濁し、16,200×gで20分間遠心分離した。上清を回収し、タンパク質含量をブラッドフォードアッセイによって定量した。蛍光性基質の切断によって生じた蛍光を測定することによってカスパーゼ‐1活性を測定した。蛍光は1分毎に、1μgの試料によって生成される任意の蛍光単位(蛍光/μg/分)として報告した。 HL‐1心筋細胞における細胞死はトリパンブルー排除アッセイによって測定した。簡単に説明すると、HL‐1細胞を上記と同様に処理し、回収し、1mlのClaycomb培地に再懸濁し、100μLの0.4%トリパンブルー染色剤を塗付してインキュベートし、室温で5分間インキュベートした。トリパンブルー陽性細胞は生存不能とみなし、細胞死の割合は、領域当たりの総細胞数に対するトリパンブルー陽性細胞の割合として測定した。また、P2X7受容体に結合するATPに見られるものと類似の様式で細胞からのK流出を可能にする孔形成毒素であるナイジェリシン(Enzo Life Sciences Inc.、ニューヨーク州、Farmingdale)20μMも使用した。NLRP3インフラマソームに対する特異性を決定し、他のインフラマソームへの影響を排除するために、HL‐1細胞(1×10個)を35mm皿で平板培養し、フラジェリンまたはポリ‐デオキシアデニル酸‐デオキシチミジル酸ナトリウム塩(ポリ(dA:dT))で処理し、それぞれNLRC4およびAIM2インフラマソームを誘導した。これらはNLRP3センサーの活性化を伴わないものである。ウシ胎児血清(FBS)を含まないClaycomb培地に、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)株14028から単離したフラジェリン(Enzo Life Sciences、ニューヨーク州、Farmingdale)0.7μg/mlを添加した。NLRC4インフラマソームを誘導するために、最初にPolyplusトランスフェクションキット(PULSin(登録商標)、ニューヨーク州、ニューヨーク)を使用して細胞をフラジェリンで4時間処理し、次いでLPS(25ng/ml)で1時間処理した。ポリ(dA:dT)はAIM2インフラマソーム形成を誘導するために使用される反復二本鎖DNA分子である。HL‐1細胞を、FBSを含まないDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Invitrogen)で培養した。細胞をポリ(dA:dT)(4μg/ml)(InvivoGen、カリフォルニア州、San Diego)で6時間インキュベートし、その後、LPS(25ng/ml)で1時間処理した。NLRC4およびAIM2インフラマソームの形成に対する16673‐34‐0の阻害効果を評価するため、HL‐1細胞は、フラジェリンまたはポリ(dA:dT)と共に16673‐34‐0(400μM)で処理した。AIM2およびNLRC4インフラマソームの形成を測定し、上記と同様に、カスパーゼ‐1活性および細胞死によって定量した。
インビボでのマウスへの16673‐34‐0の投与
全ての動物実験は、National Institutes of Health発行の「Guide for the care and use of laboratory animals」のガイドライン(2011年改訂)の下で行われた。研究プロトコルは、Virginia Commonwealth University Institutional Animal Care and Use Committeeによって承認された。16673‐34‐0を、ジメチルスルホキシド(DMSO)(0.05〜0.1ml)に溶解し、グリブリドを対照として使用した。16673‐34‐0による治療がインビボで毒性作用を有しているか否かを決定するため、健常対照マウスにおいて、単回および複数回の腹腔内投与後の体重、食欲および挙動を測定した。成体雄(12〜16週齢)非近交系Cancer Research(CDI)マウスをHarlan Laboratories(マサチューセッツ州、Charles River)から入手した。また、20〜500mg/Kgの濃度範囲で、単回および複数回の注射後に(尾の刺しピン、およびポイントオブケア試験用血糖計によって)毛細管血糖値を測定した(1群当りN=4〜6)。
急性心筋梗塞の実験モデル
実験的急性心筋梗塞(AMI)を30分間の可逆性心筋虚血によって誘導し、その後、記載されているように(Toldoら、J Mol Cell Cerdiol 2011年:51:244〜251)再還流を行った。簡単に説明すると、マウスを麻酔下(50〜70mg/kgのペントバルビタール)で経口気管内挿管し、右側臥位にし、左開胸、心膜切除術および近位左冠動脈の結紮を行った。30分後に結紮した冠動脈を解放し、その後、胸部閉鎖を行った。冠動脈結紮せずに同じ外科手術を動物に対して行う擬似手術を行った(1群当りN=6〜12)。16673‐34‐0の効果を評価するため、手術の所定の30分前にマウス群に16673‐34‐0(0.05ml中100mg/kg)、またはDMSO溶液(0.05ml、賦形剤)もしくはNaCl0.9%溶液(0.05ml、対照)を投与し、その後、再灌流時に繰り返し、更に6時間ごとに3回追加投与し、その後、24時間経過時点でマウスを屠殺し、心臓摘出し、組織におけるカスパーゼ‐1の評価、または梗塞サイズの測定のために処理した。RIPA緩衝液中で均質化した凍結心臓から抽出したタンパク質においてカスパーゼ‐1活性を測定した。カスパーゼ‐1活性を測定し、上記と同様に報告した。
生存している心筋の塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)(Sigma Aldrich)染色を利用して梗塞サイズを測定し、手術から24時間後の血清トロポニンI濃度を心筋損傷のマーカーとして測定した。簡単に説明すると、マウスを麻酔し、下大静脈から採血し、血清単離のために回収した。マウストロポニンI濃度は、ELISA(Life Diagnostic Inc.、ペンシルベニア州、West Chester)によって測定した。梗塞サイズの染色を行うために、屠殺後、心臓を速やかに摘出し、ランゲンドルフ装置に設置した。冠動脈を2.5mMのCaClを含む0.9%のNaClで灌流した。血液を洗浄した後、結紮した冠動脈を再度閉鎖し、約1mlの1%エバンスブルー染色剤(Sigma Aldrich)を、「危険性の無い」心臓が青色になるまで大動脈にボーラス注射した。次に心臓を摘出し、凍結し、心尖から基部までの等しい厚さ(約1mm)の6つの横断面切片に切断した。その後、切片を10%TTC等張リン酸緩衝液(pH7.4)中、室温で30分間インキュベートした。梗塞組織(白い外観)、リスク領域(赤色)、および非危険ゾーン(青)を、コンピューター形態計測によって測定した。
マウス急性腹膜炎の実験モデル
ザイモサンAは、腹膜に注入すると、NLRP3インフラマソーム依存性炎症反応を誘発する。インビボでのNLRP3インフラマソームに対する16673‐34‐0の効果を測定するため、心臓生存率または機能に対する他の潜在的な効果とは無関係に、無菌生理食塩水溶液(0.9%NaCl)中で新たに調製した1mg(0.1ml)のザイモサンA(Sigma Aldrich)をマウス腹膜内に注射し、6時間後に、マウスを麻酔薬過剰投与によって屠殺した。腹膜腔を直ちに7mlの冷却PBSで洗浄し、腹膜細胞を回収した。16673‐34‐0による治療、または等量のDMSO(賦形剤)を異なる用量(0.1ml中、5、20および100mg/kg)でザイモサンAによる刺激の30分前に投与し、腔内の白血球動員に対する阻害効果を測定した(1群当りN=4〜12)。16673‐34‐0に加えて、グリブリド(100mg/kgの16673‐34‐0と等モルの132.5mg/kg)を陽性対照として使用した。腹腔内の白血球総数は、細胞数によって測定した。
データの統計分析
連続変数は平均値および標準誤差で表し、3つ以上の群間で比較する一元配置ANOVAを利用し、続いて、対応のないデータのためのボンフェローニ補正T試験を利用した。生存率分析は、カプランマイヤー曲線およびログランク(マンテル‐コックス)分析を利用して行った。P<0.05は統計的に有意と考えられた。
結果
16673‐34‐0はインビトロでNLRP3インフラマソームの形成を防止する
NLRP3インフラマソーム形成を誘導し、上清中の成熟IL‐1βの放出を測定するため、培養マウスマクロファージをLPSで処理し、その後ATPによって処理した(図4)。LPSおよびATP負荷後、16673‐34‐0での処理によってIL‐1β放出は大幅に制限された(図4)。16673‐34‐0が心筋細胞においてもインフラマソームの形成を阻害するか否かを判断するために、ASC、カスパーゼ‐1活性および炎症性細胞死について免疫細胞学的に高分子凝集体として測定されるNLRP3インフラマソーム形成を誘発するLPSおよびATPを培養成熟HL‐1心筋細胞に投与した。これらの影響はすべて16673‐34‐0の投与によって防止された(図2および3の化合物2)。スルホニル残基(図3の化合物6)を欠いている16673‐34‐0の中間体もまた、カスパーゼ‐1を阻害せず、インビトロで炎症性細胞死から細胞を救出することはできなかった(図5AおよびB)。ATPがP2X7受容体に結合すると、Kが細胞に流出し、それに応じて、孔形成毒素であるナイジェリシンを添加するとK流出によってLPSがNLRP3インフラマソームの形成および活性化を誘導し、これはまた16673‐34‐0によって防止される(図4)。NLRP3以外のセンサー(外因性2重鎖DNAによって誘発されるAIM2、またはフラジェリンに誘発されるNLRC4)を利用するインフラマソームの活性化は、NLRP3インフラマソームに選択的効果を示す16673‐34‐0(図2)に阻害されなかった。
16673‐34‐0はインビボでマウスのグルコース制御に影響を与えない
グリブリドとの差異に関し、16673‐34‐0は、インスリン放出の活性に関与するシクロキシ尿素(cycloxyurea)部分を欠いており、よって、16673‐34‐0は7日間500mg/kgもの高用量で与えられたとき良好な耐容性を示し、生存率、体重、食欲または挙動に有意な影響を示さず、また血漿グルコース濃度にも影響を示さなかった。一方、グリブリドは2時間もの早さでグルコース濃度を有意に減少させ、全症例で、重篤な低血糖になったため100mg/kgを6時間毎に3回投与したマウスの50%が3日以内に死亡し、その後、毎日500mg/kgの投与行い、3日後に100%が死亡した(図6AおよびB)。構造にシクロキシ尿素部分が無いため、予想通り、16673‐34‐0はマウスのグルコース制御に対して測定できる影響を示さないことがこれらのデータから分かった。
16673‐34‐0はマウスの急性心筋梗塞においてNLRP3インフラマソームを阻害する
インビボで16673‐34‐0がNLRP3インフラマソームを阻害したか否かを判定するため、外科的冠動脈結紮(30分)、その後の再灌流(24時間)による重度の局所心筋虚血のモデルを使用した。虚血の24時間後に測定した心臓組織で、16673‐34‐0での治療によって、カスパーゼ‐1活性が有意に>90%減少した(活性的なインフラマソームの形成の反映)(図7)。賦形剤のみと比較した場合、16673‐34‐0による治療はまた、TTC(>40%減少)またはトロポニンI濃度(>70%減少)で測定した梗塞サイズを有意に減少した(図7)。これらのデータから、16673‐34‐0がインフラマソームの阻害によって媒介された強力な心臓保護特性を有することが分かる。同等の投与量のグリブリドによる治療は、AMI投与マウスにおいて100%死亡率を招いた。(図示せず)。
16673‐34‐0はマウス急性腹膜炎モデルにおいてNLRP3インフラマソームを阻害する
インフラマソームの活性化が心筋虚血/梗塞の影響に依存しているモデルにおいてインビボで16673‐34‐0がNLRP3インフラマソームを阻害したか否かを判定するため、ザイモサンAを使用し、無傷のNLRP3インフラマソームシグナル伝達および活性IL‐1βの放出に依存することが分かっている腹膜炎を誘導した。 16673‐34‐0(5.20および100mg/kg)での前処置によって、用量依存的に、腹膜腔内の白血球浸潤の強度として測定した腹膜炎の重症度が制限された(図8)。これらのデータから、16673‐34‐0がインビボでNLRP3インフラマソームの形成および活性化を阻害することが分かり、また、AMIモデルに見られる効果がNLRP3インフラマソームの直接的阻害に起因している可能性があり、梗塞サイズの減少だけに限定されていないことが示唆される。
従って、グリブリド類似体16673‐34‐0は、NLRP3インフラマソームの新規な阻害剤である。グリブリドはインビトロでNLRP3インフラマソーム阻害特性を有しているが、インビボでこの効果に必要な用量は重篤かつ致死的な低血糖をまねき、よってその臨床的使用は制限されている。グリブリドと比較すると、16673‐34‐0はシクロキシ尿素部分を欠いているため、スルホニル尿素ではなく、膵β細胞からのインスリン放出を調節するKATPチャネルに対して活性的ではない。16673‐34‐0はインビトロでNLRP3インフラマソームを阻害し、急性心筋梗塞や急性腹膜炎のインビボモデルでNLRP3インフラマソームが媒介する損傷を制限する。我々の知る限り、これはインビボで試験するNLRP3インフラマソームの初の薬理学的阻害剤である。この薬理学的NLRP3インフラマソーム阻害剤の保護効果の発見は、AMIにおける炎症の中心的な役割を確認するものである。
16673‐34‐0はNLRP3インフラマソームには阻害効果を示すが、NLRC4またはAIM2インフラマソームには示さない。16673‐34‐0は、LPSおよびK流出後のNLRP3インフラマソームの凝集を阻害する(しかし他のNLPR3に依存しない刺激の後では阻害しない)。このことは、NLRP3の活性化または足場ASCによる凝集のいずれかを干渉することによって構造の重合を妨げていることを示唆している。複数の多様な刺激がNLRP3を活性化するが、16673−34−0の効果は刺激が発生することとは無関係に維持され、このことは、活性化またはASCへの凝集に続発するNLRP3立体構造変化に関与する後続事象が16673‐34‐0によって妨害されていることを示唆している。刺激がNLRP3と無関係であれば、インフラマソームにおけるカスパーゼ‐1の動員およびその活性化は阻害されないと思われ、よって16673‐34‐0はカスパーゼ‐1阻害剤ではない。
臨床的な観点から、16673‐34‐0は、AMI治療における全く新しいアプローチである。16673‐34‐0による治療は、初期の損傷に対する炎症反応を制限し、心臓に対する炎症性損傷の第2波を予防する。より多くの患者がそれらの初期または再発AMIで生存しているが、多くの患者は依然として、「第2波」によって最初の1年以内に心不全を発症し、最終的には初期に心臓死で死亡する。NLRP3インフラマソームの阻害はAMI中の心臓損傷、および随伴し得る炎症によってもたらされる更なる損傷を低減する際のまったく新しいアプローチであり、その目的は、急性および長期的な死亡率の両方を低下させることである。
しかし、NLRP3インフラマソームの重要性は、心臓学の分野にまったく限定されない。 NLRP3の遺伝子変異はクリオピリン関連周期性症候群と呼ばれる自己炎症性疾患の病理学的根拠である(WilsonおよびCassel.Postgrad Med.、2010年;122:125〜133)。NLRP3インフラマソームの活性化およびIL‐1βの産生は、リウマチおよび痛風性関節炎などの急性ならびに慢性の炎症性および変性疾患、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病および癌の中心であると考えられており、16673‐34‐0などのグリブリド類似体も、これらの、および他のNLRP3インフラマソーム関連状態を治療するために使用することができる。
結論
インスリン放出に関与するシクロヘキシル尿素部分が無いグリブリドの類似体である小分子16673‐34‐0は、グルコース濃度に影響を与えずに、インビトロで心筋細胞内のNLRP3インフラマソーム形成を阻害し、インビボで心筋梗塞後のリモデリングおよび腹膜炎を改善する。
急性再灌流心筋梗塞の治療の長期的効果
急性再潅流心筋梗塞、急性非再潅流心筋梗塞、および急性ドキソルビシン誘発性非虚血性心筋損傷の予防ならびに治療におけるインビボでの16673‐34‐0の使用の長期的効果を調査するため、更なる試験を行った。
1.実施例1の記載と同様に、急性再灌流心筋梗塞を冠動脈結紮によって誘導し、再灌流後、単回用量100mg/kgの16673‐34‐0を投与した。24時間経過時点でカスパーゼ‐1活性およびcTnI濃度を測定した(図9AおよびB)。7日目にマウスを屠殺した。屠殺の直前に左室径短縮率(LVFS)を測定したところ、16673‐34‐0(NLRP3インフラマソーム阻害剤)を投与したマウスで収縮機能の保存が、また賦形剤投与マウスにおいて機能低下が見られた(図10B)。屠殺後、梗塞瘢痕を測定するため、左室の中央横断面を染色したところ、賦形剤投与マウスと比較して、16673−34−0(NLRP3 インフラマソーム阻害剤)投与したマウスの梗塞瘢痕の方が有意に小さかった(図10A)。図9および図10に見られるように、(16673‐34‐0として示される)NLRP3インフラマソーム阻害剤での治療は、心臓を強力に保護し、梗塞を小さくし、収縮機能を良好にする。
2.急性非再灌流心筋梗塞を永久冠動脈結紮によって誘導し、マウスに1日用量100mg/kgの16673‐34‐0または賦形剤を投与した。7日目にマウスを屠殺した。屠殺の直前に左室拡張末期径(LVEDD)、収縮末期径(LVESD)および短縮率(LVFS)を測定したところ、賦形剤投与マウスと比較して、16673−34−0(NLRP3 インフラマソーム阻害剤)投与したマウスの拡張が有意に小さく、収縮機能が有意に高かった(図11B、11C、11D)。屠殺後、梗塞瘢痕を測定するため、左室の中央横断面を染色したところ、賦形剤投与マウスと比較して、16673−34−0(NLRP3 インフラマソーム阻害剤)投与したマウスの心室腔の方が有意に小さかった(図11A)。図11に見られるように、(16673‐34‐0として示される)NLRP3インフラマソーム阻害剤での治療は、心肥大および大型の非再灌流梗塞後の収縮機能障害に対して強力に保護するものである。
3.急性非虚血心筋梗塞をドキソルビシン(10mg/kg)の投与によって誘導した。マウスに1日用量100mg/kgの16673‐34‐0または賦形剤を投与し、10日目に屠殺した。結果を図12A〜Cに示す。屠殺の直前に左室径短縮率(LVFS)を測定したところ、16673‐34‐0(NLRP3インフラマソーム阻害剤)を投与したマウスで収縮機能の保存が、また賦形剤投与マウスにおいて収縮機能の有意な低下が見られた(図12C)。屠殺後、心筋線維形成を測定するため、左室の中央横断面を染色したところ、賦形剤投与マウスと比較して、16673−34−0(NLRP3 インフラマソーム阻害剤)投与したマウス心臓の線維形成の方が有意に小さかった(図12Aおよび12B)。図12に見られるように、(16673‐34‐0として示される)NLRP3インフラマソーム阻害剤での治療は、ドキソルビシンによる心臓損傷に対して強力に保護し、このことは線維形成の縮小および収縮機能の保存を反映している。
野生型およびNLRP‐3変異体マウスからの骨髄由来単核細胞(BMDMC)におけるIL‐1βに対するNLRP3阻害剤の効果
「NLRP3‐mut」は、自己活性化する傾向にある変異体NLRP3遺伝子を発現させるタモキシフェン誘導性DNA組換えを示すマウス株である。この株はCAPS疾患の動物モデルとして機能し、ここでは構成的に活性なNLRP3が、点変異によってインフラマソームの活性化を制御不能にし、結果として深刻な、しばしば致命的になる炎症性疾患をもたらす。
簡単に説明すると、NLRP3‐mutおよび野生型マウスを以下のように処置した。骨髄を長骨から採取した。骨髄由来単核細胞(BMDMC)を培養し、骨髄由来マクロファージで分化させた。タモキシフェンを添加してDNA組換えを誘導し、遺伝子変異を活性化し:1マイクロMの4‐oh‐タモキシフェン(4ヒドロキシタモキシフェン)を42時間かけて添加した。同時に、400マイクロMの濃度で、NLRP3インフラマソーム阻害剤(NLRP3 inh)を添加し;42時間後にLPS(大腸菌0111:B4)25ng/mlを添加し、その後、48時間経過時点で上清を回収した。ELISAに基づくアッセイでIL‐1β濃度を測定した。
結果を図13に示す。図から分かるように、野生型マウス由来のBMDMCは、LPS+ATPによる刺激後に大量のIL‐1βを産生するが、LPS単独の刺激後では産生せず(図13A)、しかしNLRP3が構成的に活性的であるNLRP3‐mutマウス由来のBMDMCはLPS単独刺激後にIL‐1βを産生する(図13B)。しかし、NLRP3阻害剤は、i)LPS+ATP投与後の野生型マウス(図13A)およびLPS単独投与後のNLRP3‐mutマウス(図13B)の両方の骨髄においてIL‐1β産生を有意に減少させた。
これらの結果から、NLRP3インフラマソーム阻害剤を使用して、NLRP3インフラマソームが構成的に活性的ではないが性質の損傷に伴って活性化されるような疾患を治療できること(図13A)、あるいは、それを使用して、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)などのNLRP3インフラマソームが構成的に活性的である疾患を治療できること(図13B)が分かる。
LPSおよび尿酸一ナトリウム(MSU)による刺激後の培養マクロファージ(J774A.1)におけるIL‐1β産生に対するNLRP3阻害剤の効果
簡単に説明すると、図14は、培養マクロファージが、LPSおよびMSUによる刺激後に大量のIL‐1βを産生することを示している。MSUはNLRP3インフラマソームを活性化し、関節におけるMSU結晶沈着は急性および慢性痛風関節炎を含む痛風の原因である。上記と同様に、マクロファージを4時間、LPSを加えてインキュベートし、その後、MSUをプレートに添加し、結晶を形成した。NLRP3インフラマソーム阻害剤(NLRP3 inh)の添加は、IL−1βの産生を顕著に阻害した。
これらの結果から、NLRP3インフラマソーム阻害剤を使用して、MSUの結晶または他の関連する結晶がNLRP3インフラマソームを活性化する痛風、痛風性関節炎および他の疾患を治療できることが分かる。
その好ましい実施形態に関して本発明を説明してきたが、添付の特許請求の範囲の真意および範囲内の変更で本発明を実施することができることを当業者は認識しているものとする。従って、本発明は、上記の実施形態に限定すべきではなく、本明細書に提供された説明の真意および範囲内において、その変更内容および均等物すべてを更に含むべきである。
(図面中の符号等の対応訳)
[図1]
(1)ATP(細胞破片)
(2)病原パターン認識(細胞破片および微生物抗原)
(3)K流出
(4)尿酸
コレステロール
(結晶)
(5)クリオピリン
(6)プライミング
(7)微生物抗原
(8)カスパーゼ‐1
(9)インフラマソーム
(10)細胞死(ピロトーシス)

[図2]
(1)シクロヘキシル尿素部分
(2)スルホニル部分
(3)ベンズアミド部分
(4)グリブリド
(5)化学的に反応性

[図3]
(1)スキーム1
(2)反応薬および条件:a)EtN、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチル‐アミノプロピル)‐カルボジイミド、ジクロロメタン(DCM);b)ClSOH、85℃;c)NH;d)HO、100℃

[図4A−4E]
(1)LPS+ナイジェリシン
(2)16673‐34‐0のターゲット
(3)フラジェリン
(4)ポリ(dA:dT)
(5)カスパーゼ‐1
(6)インフラマソーム
(7)IL‐1β濃度(上清)pg/mL
(8)グリブリド
(9)ASC濃度
染色スコア

[図4F−4I]
(1)カスパーゼ‐1活性(対照に対する%)
(2)グリブリド
(3)ナイジェリシン
(4)細胞死(対照に対する%)
(5)カスパーゼ‐1活性(対照に対する%)
(6)フラジェリン
(7)ポリ(dA:dT)
(8)細胞死(対照に対する%)

[図5A−5B]
(1)カスパーゼ‐1活性(対照に対する%)
(2)中間体化合物
(3)細胞死(対照に対する%)

[図6A−6B]
(1)基準値に対するグルコースの変化 mg/dl
(2)グリブリド
(3)生存率%
(4)グリブリド P<0.01
(5)時間

[図7A−7B]
(1)屠殺
(2)時間(h)
(3)賦形剤
(4)冠動脈結紮(30分)

[図7C−7F]
(1)カスパーゼ‐1活性(対照に対する%)
(2)擬似薬
(3)生理食塩水
(4)賦形剤
虚血(30分)/再灌流(24時間)
(5)病巣領域(LVに対する%)
(6)心臓トロポニンI(ng/ml、血清)
(7)梗塞サイズ(%AAR)

[図8]
(1)ザイモサン注射
(2)屠殺/腹膜細胞回収
(3)時間(h)
(4)16673‐34‐0または賦形剤注射
(5)細胞数(×10
(6)擬似薬
(7)賦形剤
(8)グリブリド
(9)ザイモサン注射

[図9A−9B]
(1)冠動脈結紮(30分)
(2)再灌流後の100mg/kgの16673‐34‐0または賦形剤注射の単回投与
(3)屠殺
(4)タイムライン
(5)7日間
(6)30分
(7)カスパーゼ‐1活性(擬似薬に対する%)
(8)擬似薬
(9)賦形剤
(10)24時間
(11)cTnl濃度

[図10A−10B]
(1)冠動脈結紮(30分)
(2)再灌流後の16673‐34‐0または賦形剤注射の単回投与
(3)屠殺
(4)30分
(5)7日間
(6)タイムライン
(7)賦形剤
(8)7日間
(9)擬似薬
(10)賦形剤
(11)7日間

[図11A−11D]
(1)永久冠動脈結紮
(2)16673‐34‐0または賦形剤注射を毎日投与
(3)屠殺
(4)7日間
(5)タイムライン
(6)賦形剤
(7)7日間
(8)擬似薬
(9)賦形剤
(10)AMI 7日間

[図12A−12C]
(1)ドキソルビシン 10mg/kg
(2)16673‐34‐0または賦形剤注射を毎日投与
(3)屠殺
(4)10日間
(5)タイムライン
(6)賦形剤(10日間)
(7)%線維形成
(8)擬似薬
(9)賦形剤
(10)ドキソルビシン

[図13A、13B、図14]
(1)タモキシフェン
(2)NLRP3阻害剤
(3)野生型
(4)NLRP3‐変異体

Claims (13)

  1. 式Iの化合物であって:

    式I

    式中、
    R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
    R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;
    R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
    Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
    XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
    YはNH、OまたはSであり;
    ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
    Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なってもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分;およびその製薬的に許容される塩であることを特徴とする化合物。
  2. 前記化合物が式II:

    式II

    であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  3. 前記化合物が式III:

    式III

    であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  4. 式Iの化合物、すなわち


    式I

    式中、
    R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
    R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;
    R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
    Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
    XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
    YはNH、OまたはSであり;
    ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
    Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なっていてもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分である
    化合物;あるいはその製薬的に許容可能な塩と、
    生理学的に許容可能な担体とを含むことを特徴とする組成物。
  5. 前記化合物が式II:

    式II

    であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  6. 前記化合物が式III:


    式III

    であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  7. 必要とする被検体においてNLRP3インフラマソーム関連炎症を予防または治療する方法であって、前記被検体に治療有効量の式Iの化合物、すなわち、


    式I

    式中、
    R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
    R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;
    R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
    Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
    XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
    YはNH、OまたはSであり;
    ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
    Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なっていてもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分である:
    の化合物を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
  8. 前記化合物が式II:


    式II

    であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記化合物が式III:


    式III

    であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  10. NLRP3インフラマソーム関連炎症が、急性心筋梗塞(AMI)後の有害な心臓リモデリング;腹膜炎および自己炎症状態からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  11. 急性心筋梗塞(AMI)の被検体において心不全を予防または治療する方法であって、前記被検体に治療有効量の式Iの化合物、すなわち、


    式I

    式中、
    R1は非分岐、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルキル、または非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換C1‐C8アルコキシルであり;
    R4は、ハロゲン、アミノ、ニトロまたはシアノであり;
    R2、R3およびR5は同一でも異なっていてもよく、独立してH、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキル、C1‐C8非分枝、分岐、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルコキシル、C1‐C8非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式または非環式、置換または非置換アルキルカルボニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、ニトロおよびシアノから選択され;
    Wは、非分枝、分枝、飽和、不飽和、置換または非置換C1‐C4アルキルであり、含まれていてもいなくてもよく;
    XはカルボニルまたはCHもしくはCHOHであり;
    YはNH、OまたはSであり;
    ZはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキル、またはNHRであり、RはC1‐C5非分枝、分枝、飽和、不飽和、環式もしくは非環式、置換もしくは非置換アルキルから選択され;
    Vはi)RおよびRがHもしくはC‐Cアルキルであり、それらは同一でも異なってもよいものであるNR;またはii)Sに直接結合したNを含む飽和複素環;またはiii)非置換もしくは置換グアニジン部分である:
    の化合物を投与する過程を含むことを特徴とする方法。
  12. 前記化合物が式II:


    式II

    であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  13. 前記化合物が式III:


    式III

    であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
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