JP2016215622A - 抗菌・抗カビ性物品、及び農業用抗菌・抗カビ性物品 - Google Patents

抗菌・抗カビ性物品、及び農業用抗菌・抗カビ性物品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた抗菌性・抗カビ性を発揮することができる抗菌・抗カビ性物品を提供すること。【解決手段】複数の微小突起が配置されてなり、隣接する前記微小突起間の距離Pの平均PAVGが1μm以下である微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、前記微小突起構造体が、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起を有する、抗菌性物品。【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌・抗カビ性物品、及び農業用抗菌・抗カビ性物品に関するものである。
家具、家電製品、調理用機器、医療機器、食品包装材等の物品及び建築物の内装用部材等においては、清潔な環境を保つために、物品表面に対する細菌等の病原体の付着、及び付着した細菌やカビ等の病原体の繁殖を防ぐことができる抗菌性・抗カビ性の付与が求められている。
従来、各種物品に抗菌性を付与するためには、例えば光触媒材料や銀イオン等の抗菌剤が用いられている。例えば特許文献1には、室内空間のような微弱光下においても、高い防汚性と高い抗菌性及び抗ウイルス性とを両立させることを目的とした材料として、撥水性樹脂バインダーと、光触媒材料と、亜酸化銅とを含有し、前記光触媒材料と前記亜酸化銅とが複合化している撥水性光触媒組成物及びその塗膜が開示されている。
特許文献2には、バクテリア、ウイルス、細菌などを分解除去することができる材料として、光触媒活性を有するアパタイトを含む光触媒粉体を含有する組成物が開示されており、光触媒粉体は、表面がイガグリ形状であると、光触媒として機能する表面積が拡大し、微生物との接触効率がより向上すると記載されている。
特許文献3には、表層に抗菌物質を有する抗菌性ガラスであって、表層において、ガラス表面から深さ30μm以内に銀イオンの拡散層と、ガラス表面から深さ方向に厚み15μm以上の圧縮層とを有する抗菌性ガラスが開示されている。
また、特許文献4には、表面粗さ(Ra)0.2μm以上、最大粗さ(Rt)1μm以上、0.5μm以上の粗さ(Pc)5ケ/mm以上の表面粗さをもつプラスチックフィルムの表面の微細凹部に、1μm以下の粒径をもつ、銀を含む無機化合物を定着させることにより、抗菌性を有する無機化合物の剥離、脱落を抑制し、抗菌機能を長期間保持できると記載されている。
特許文献5には、ポリオレフィン系樹脂よりなる基材シートに、絵柄層を形成し、該絵柄層の上に抗菌剤を含有する透明又は半透明な樹脂層を形成した抗菌性化粧シートが記載されており、樹脂層にはエンボス加工によって凹凸模様を形成することができる旨が記載されている。
また、農業分野においては、従来からのビニールハウス栽培に加え、近年、屋内において、温度や湿度、光などを植物育成に適した状態に管理することにより、工業的に農作物を生産しようとする試みがなされている(工場栽培)。工場栽培は比較的閉鎖的な空間で行われる場合が多く、病原菌やカビなどの侵入は少ない。そのため、太陽光よりも紫外線の強度の低いLED光源を用い、抗菌剤や抗カビ剤などの農薬を用いない、無農薬栽培が試みられている。しかしながら、ヒト等の出入りなどにより、一旦、細菌やカビなどが侵入すると、無農薬環境下においては細菌やカビを除去するのは困難な場合があった。
特開2012−210557号公報 特開2012−239499号公報 特開2013−71878号公報 特開平9−57893号公報 特開平11−262983号公報
上述の特許文献1〜5のように、従来、各種物品に抗菌性を付与するためには、抗菌剤を用いることが行われている。一方で本発明者らは、抗菌性を付与するための手段として、抗菌剤を用いる方法とは別の手段を検討した結果、物品の表面を特定の微細凹凸形状とすることにより、優れた抗菌性・抗カビ性が発揮され得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、優れた抗菌性・抗カビ性を発揮することができる抗菌・抗カビ性物品、及び、当該抗菌・抗カビ性物品を有する、農業用抗菌・抗カビ性物品を提供することを目的とする。
本発明に係る第一態様の抗菌・抗カビ性物品は、複数の微小突起が配置されてなり、隣接する前記微小突起間の距離Pの平均PAVGが1μm以下である微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、
前記微小突起構造体が、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起を有することを特徴とする。
本発明に係る第二態様の抗菌・抗カビ性物品は、複数の線状凸部が一方向又は略一方向に延在されてなり、隣接する前記線状凸部間の距離P’の平均P’AVGが1μm以下である線状微細凹凸形状を表面に有する微細凹凸層を備え、
前記線状微細凹凸形状が、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部を有することを特徴とする。
また、本発明に係る農業用抗菌・抗カビ性物品は、少なくとも一部に前記本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を有するを有することを特徴とする。
本発明によれば、優れた抗菌性・抗カビ性を発揮することができる抗菌・抗カビ性物品、及び、当該抗菌・抗カビ性物品を有する、農業用抗菌・抗カビ性物品を提供することができる。
図1は、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品の別の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品の別の一例を模式的に示す斜視図である。 図4は、図3の例に示される抗菌・抗カビ性物品のA−A’断面図である。 図5は、ドロネー図の一例を模式的に示す図である。 図6は、実施例1の抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図7は、実施例2の抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図8は、実施例3の抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図9は、実施例4の抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図10は、実施例5の抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図11は、実施例6の抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図12は、比較例1の比較抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図13は、比較例2の比較抗菌・抗カビ性物品の断面を、SEMを用いて撮影した写真である。 図14は、実施例1の抗菌・抗カビ性物品の大腸菌を用いた抗菌性評価後のシャーレの写真である。 図15は、実施例1の抗菌・抗カビ性物品の黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価後のシャーレの写真である。 図16は、比較例1の比較抗菌・抗カビ性物品の大腸菌を用いた抗菌性評価後のシャーレの写真である。 図17は、比較例1の比較抗菌・抗カビ性物品の黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価後のシャーレの写真である。 図18は、本発明に係る農業用抗菌・抗カビ性物品の使用態様の一例を模式的に示す図である。 図19は、本発明に係る農業用抗菌・抗カビ性物品の使用態様の別の一例を模式的に示す図である。
次に、本発明の実施の態様について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の態様に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「物品」は、「板」、「シート」、「フィルム」等の態様を含む概念である。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルの各々を表す。
また、本発明において樹脂組成物の硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。
本発明に係る第一態様の抗菌・抗カビ性物品は、複数の微小突起が配置されてなり、隣接する前記微小突起間の距離Pの平均PAVGが1μm以下である微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、
前記微小突起構造体が、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起を有することを特徴とする。
また、本発明に係る第二態様の抗菌・抗カビ性物品は、複数の線状凸部が一方向又は略一方向に延在されてなり、隣接する前記線状凸部間の距離P’の平均P’AVGが1μm以下である線状微細凹凸形状を表面に有する微細凹凸層を備え、
前記線状微細凹凸形状が、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部を有することを特徴とする。
上記本発明に係る抗菌・抗カビ性物品について、図を参照して説明する。図1は、本発明に係る第一態様の抗菌・抗カビ性物品の一例を模式的に示す断面図である。図1に例示される抗菌・抗カビ性物品10は、基材1の一面側に、微小突起構造体2を有する。図1に示す抗菌・抗カビ性物品10では、微小突起構造体2が、基材1とは別の材料からなる微小突起層に形成されている。
図2は、本発明に係る第一態様の抗菌・抗カビ性物品の別の一例を模式的に示す断面図である。図2に例示される抗菌・抗カビ性物品10は、一面側に微小突起構造体2を有し、基材を有しない又は微小突起構造体2が基材と一体となっている。
また、図3は、本発明に係る第二態様の抗菌・抗カビ性物品の一例を模式的に示す断面図であり、図4は、当該図3の例における抗菌・抗カビ性物品のA−A’断面図である。
図3及び図4の例示される抗菌・抗カビ性物品10’では、複数の線状凸部3’が一方向又は略一方向に延在する線状微細凹凸形状2’を表面に有する微細凹凸層を備えている。
上記本発明の抗菌・抗カビ性物品が、優れた抗菌性及び抗カビ性を発揮する作用としては、未解明の部分もあるが以下のように推測される。
本発明に係る第一態様の抗菌・抗カビ性物品は、複数の微小突起が配置されてなり、隣接する前記微小突起間の距離Pの平均PAVGが1μm以下である微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有し、当該微小突起のうち少なくとも一部が、高さHが80nm以上1000nm以下であり、当該高さの97%高さ(H0.97)における幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下の微小突起となっている。
また、本発明に係る第二態様の抗菌・抗カビ性物品は、複数の線状凸部が一方向又は略一方向に延在されてなり、隣接する前記線状凸部間の距離P’の平均P’AVGが1μm以下である線状微細凹凸形状を表面に有し、当該線状凸部のうち少なくとも一部が、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部となっている。
このような微小突起、及び、線状凸部は、いずれも先端が先細り形状となっている。第一態様の抗菌・抗カビ性物品は、このような先細り形状の微小突起を含む複数の微小突起が、隣接する突起間距離Pの平均PAVGが1μm以下の間隔で配置されている。また第二態様の抗菌・抗カビ性物品は、先細り形状の線状凸部を含む複数の線状凸部が、隣接する線状凸部間の距離P’の平均P’AVGが1μm以下の間隔で配置されている。
ここで、細菌の大きさは、一般的に約1μmであるため、前記微小突起構造体乃至線状微細凹凸形状を有する表面に細菌やカビが付着した場合には、当該細菌乃至カビは、前記微小突起間又は線状凸部間の隙間に入り込まずに先端と接触することとなる。本発明の抗菌・抗カビ性物品が有する微小突起乃至線状凸部は、前述した通り、先端が先細りの形状のものを含んでいるため、細菌やカビが微小突起構造体を有する表面、乃至、線状微細凹凸形状を有する表面に付着すると、微小突起の先端が細菌の細胞に突き刺さり、細菌やカビが死滅することによって、抗菌・抗カビ性能が発揮されると考えられる。
以下では、本発明の抗菌・抗カビ性物品について、第一態様の抗菌・抗カビ性物品、第二態様の抗菌・抗カビ性物品の順に詳細に説明する。
<第一態様の抗菌・抗カビ性物品>
本発明に係る第一態様の抗菌・抗カビ性物品は、微小突起構造体を表面に有する。本発明においては、典型的には、シート状の抗菌・抗カビ性物品の一方の表面全体に微小突起構造体を有するものであるが、シート状の抗菌・抗カビ性物品の両面全体に微小突起構造体を有するものであってもよいし、一方の表面又は両面の一部に微小突起構造体を有するものであってもよい。また、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品は、所定形状に成形された成形体である場合において、表面全体に微小突起構造体を有するものであってもよいし、表面の一部に微小突起構造体を有するものであってもよい。なお、ここでシート状とは、巻き取り可能に曲がるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもの、のいずれであってもよい。
前記微小突起構造体を構成する各微小突起は、前記微小突起構造体を有する側の表面とは反対側の面(以下、単に裏面と称する場合がある。)、或いは本発明に係る抗菌・抗カビ性物品が所定形状に成型された成形体である場合には微小突起の底面、に対して植立するように形成される。
本発明において隣接する微小突起間の距離Pの平均PAVGは1μm以下である。当該PAVGが1μm以下であることにより、細菌やカビが微小突起の先端に効率よく接触して、抗菌性及び抗カビ性が発揮される。本発明においては、抗菌性及び抗カビ性を向上する点から、前記微小突起間の距離Pの平均PAVGが500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。また、微小突起の強度確保の点からは、前記微小突起間の距離Pの平均PAVGが75nm以上であることが好ましい。
なお、隣接する前記微小突起間の距離(以下、「隣接突起間距離」と称する場合がある。)Pに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品の微小突起構造体を有する表面の平面視において、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。隣接突起間距離Pに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
本発明において微小突起の少なくとも一部は、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起である。本発明においては、微小突起構造体が、このような微小突起を含むことにより、抗菌性及び抗カビ性が発揮される。
抗菌性及び抗カビ性に優れる点からは、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起が、微小突起全体の95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。更に抗菌性及び抗カビ性に優れる点から、微小突起構造体を構成する微小突起が全て(100%)が、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起であることが特に好ましい。
また、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起において、当該高さHは、抗菌性、抗カビ性及び強度の点から、100nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上300nm以下であることがより好ましい。
また、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起において、前記Wt/Wbは、抗菌性及び抗カビ性の点から、0.4以下であることが好ましく、0.1以上0.3以下であることがより好ましい。
なお微小突起の底部の幅Wb及び、微小突起の高さの97%高さにおける当該微小突起の幅Wtは、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面における幅である。
また、本発明において微小突起は、当該微小突起の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から底面方向に近づくに従い、微小突起の高さHの連続的に漸次増加する構造であることが好ましく、頂部において完全に断面積占有率が0に収束する形状であることがより好ましい。
前記微小突起の具体的な形状としては、例えば、三角形状、台形状、五角形状等の多角形状、鉛筆形状、半円状、半楕円状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられ、中でも、抗菌性及び抗カビ性に優れる点から、垂直断面が多角形状の微小突起が好ましく、垂直断面が三角形の微小突起がより好ましい。垂直断面が三角形の微小突起は、典型的には、円錐状又は多角錐状である。なお、垂直断面が鉛筆形状の微小突起は、典型的には、円柱又は多角柱上に、円錐又は多角錐が、尖った先端が表面に向くように置かれ、円柱又は多角柱と円錐又は多角錐とが一体化した形状である。なお、複数ある微小突起は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。尚、此処で、「垂直断面」とは、各微小突起を其の頂点を含み該微小突起の高さ方向と平行な断面を意味する。
本発明において、隣接突起間距離Pの平均値PAVG、及び、微小突起の形状は、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)又は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope: TEM)を用いて測定することができる。
なお、隣接突起間距離Pの平均値PAVGは以下の方法により算出される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。図5に、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を本発明に係る抗菌・抗カビ性物品の平面視拡大写真の模式図と重ね合わせた図を示す。ここでドロネー図とは、図5に示すように、各極大点31を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分32で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(隣
接突起間距離)の度数分布を求める。
(5)このようにして求めた隣接突起間距離Pの度数分布を正規分布とみなして平均値PAVGを求めることができる。
次いで、前記微小突起構造体の材料について説明する。本発明に係る抗菌・抗カビ性物品は、例えば、前記微小突起構造体が、後述する基材とは別の材料からなる微小突起層の表面に形成されてなるもの、前記微小突起構造体が、後述する基材と同じ材料からなり当該基材と一体化した微小突起層の表面に形成されてなるもの、基材を有さず、前記微小突起構造体が単層の微小突起層の表面に形成されてなるもの等が挙げられる。また、前記微小突起構造体が形成される微小突起層は、単層であっても、多層であってもよい。以下に説明する微小突起構造体の材料は、前記微小突起層を形成するために用いられる材料である。
前記微小突起構造体の材料は、樹脂を含有することができ、前記微小突起構造体は、特に、樹脂組成物の硬化物からなるものであることが、微小突起構造体の形状をより長期間に渡り保持できる点から好ましい。前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。また、本発明においては、前記微小突起構造体を樹脂組成物の硬化物からなるものとすることにより、当該樹脂組成物の組成を適宜調整することにより、微小突起構造体を賦型により形成する際の賦型性を向上したり、各種添加剤を含有させて、更に抗菌性、及び抗カビ性を向上することが容易にできる。また、前記樹脂組成物に各種添加剤を含有させた場合であっても、樹脂や重合開始剤の種類及び含有量を調整することにより、当該樹脂組成物を硬化させるための温度、時間等の硬化条件を、微小突起構造体が変質しない範囲となるように調整することができる。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化態様の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、微小突起の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
(基材)
本発明に係る抗菌・抗カビ性物品は、支持体として基材を含むものであっても良い。本発明に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、透明基材であっても、不透明基材であってもよく、特に限定されない。前記透明基材の材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。前記不透明基材の材料としては、例えば、金属、紙、布帛、木、石材、及びこれらの複合材料、並びにこれらと前記透明基材の材料との複合材料等が挙げられる。
また、基材と微小突起構造体が一体となって形成される場合は、基材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂や前述した微小突起形成用の樹脂組成物を用いることができる。
また、前記基材は、シートであってもフィルムであってもよく、また、巻き取れるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。基材の厚みは、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、通常10〜5000μmである。
本発明に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
微小突起構造体が、基材とは別の材料からなる微小突起層に形成される場合は、基材と前記微小突起層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。このプライマー層は、基材として透明基材を用いる場合には、当該透明基材とプライマー層を介して隣接する微小突起層に密着性を有し、可視光を透過するものが好ましい。また透明基材と微小突起層の屈折率差により干渉ムラが出る場合にはプライマー層の屈折率を基材と微小突起層の中間の値に調整することでムラ軽減が可能である。
本発明に用いられる基材の可視領域における全光線透過率は、用途に応じて適宜調節することができ、特に限定されず、前記透過率が80%以上の透明基材を用いることもできるし、前記透過率が80%未満の半透明の基材又は不透明の基材を用いることもできる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を、例えば保護フィルム等のような透明部材として用いる場合には、前記基材としては透明基材を用いることが好ましい。また、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を、後から貼り付ける態様において用いる場合に、意匠性を妨げないようにするためにも、前記基材としては透明基材を用いることが好ましい。
また、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を、ガラス部分へ設置する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂基材を用いることが、ガラス破損時の耐飛散性を付与する点から好ましい。
本発明に係る抗菌・抗カビ性物品は、特に限定はされないが、用途に応じて、可視領域における全光線透過率を80%以上とすることができる。前記透過率が前記下限値以上であることにより、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を他の物品に貼り付けて用いる態様において、下地の意匠性の損傷を抑制することができ、また、視認性に優れるものとすることができる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
(第一態様の抗菌・抗カビ性物品の製造方法)
本発明に係る抗菌・抗カビ性物品の製造方法は、前述したような本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を製造することができる方法であれば特に限定はされないが、例えば、まず透明基材上に、微小突起層形成用の樹脂組成物を塗布し、所望の凹凸形状を有する微小突起構造体形成用原版の当該凹凸形状を有する面を、前記樹脂組成物の塗膜表面に押圧し、該樹脂組成物を硬化させ、前記微小突起構造体形成用原版から剥離し、所望の微小突起構造体を賦型により形成する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。なお、微小突起構造体形成用原版の凹凸形状とは、多数の微小孔が密に形成されたものであり、微小突起構造体の形状に対応する形状である。微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を微小突起層形成用樹脂組成物に賦型し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微小突起構造体形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
前記微小突起構造体形成用原版の凹凸形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微小突起構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に凹凸形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
前記微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微小孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微小孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微小孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
前記微小突起構造体形成用原版に凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微小な孔をそれぞれ目的とする深さ及び形状に作製することができる。
このようにして、前記微小突起構造体形成用原版には、多数の微小孔が密に作製される。当該微小突起構造体形成用原版を用いて製造される微小突起構造体には、前記微小孔に対応した形状を有する微小突起が密接して配置されてなる微小突起群が形成される。
また、前記微小突起構造体形成用原版の形状としては、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール状であっても良いが、本発明においては、微小突起構造体の形成が容易な点から、前記微小突起構造体形成用原版としては平板状の金型を用いることが好ましい。平板状の金型を用いることにより、当該金型を樹脂組成物の硬化物から剥離する際に、微小突起の変形や、微小突起同士の付着等による微小突起構造体の変形を容易に抑制することができる。
本発明において用いられる平板状の金型としては、例えば、母材として、板状の金属材料を用い、当該母材の周側面に、直接に又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微小突起構造体の形状に対応する凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
<第二態様の抗菌・抗カビ性物品>
本発明に係る第二態様の抗菌・抗カビ性物品は、線状微細凹凸形状を表面に有する。本発明においては、典型的には、シート状の抗菌・抗カビ性物品の一方の表面全体に微小突起構造体を有するものであるが、シート状の抗菌・抗カビ性物品の両面全体に微小突起構造体を有するものであってもよいし、一方の表面又は両面の一部に微小突起構造体を有するものであってもよい。また、本発明に係る抗菌・抗カビ性物品は、所定形状に成形された成形体である場合において、表面全体に微小突起構造体を有するものであってもよいし、表面の一部に微小突起構造体を有するものであってもよい。なお、ここでシート状とは、巻き取り可能に曲がるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもの、のいずれであってもよい。
前記線状微細凹凸形状を構成する各線状凸部は、前記線状微細凹凸形状を有する側の表面とは反対側の面(以下、単に裏面と称する場合がある。)、或いは本発明に係る抗菌・抗カビ性物品が所定形状に成型された成形体である場合には線状微細凹凸形状の底面、に対して植立するように形成される。
本発明において隣接する線状凸部間の距離P’の平均P’AVGは1μm以下である。当該P’AVGが1μm以下であることにより、細菌やカビが線状凸部の先端に効率よく接触して、抗菌性が発揮される。本発明においては、抗菌性及び抗カビ性を向上する点から、前記線状凸部間の距離P’の平均P’AVGが500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。また、線状凸部の強度確保の点からは、前記線状凸部間の距離P’の平均P’AVGが100nm以上であることが好ましい。
本発明において線状凸部の少なくとも一部は、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部である。本発明においては、線状微細凹凸形状が、このような線状凸部を含むことにより、抗菌性及び抗カビ性が発揮される。
抗菌性及び抗カビ性に優れる点からは、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部が、線状凸部全体の95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。更に抗菌性及び抗カビ性に優れる点から、線状微細凹凸形状を構成する線状凸部が全て(100%)が、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部であることが特に好ましい。
また、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部において、当該高さH’は、抗菌性、抗カビ性及び強度の点から、100nm以上500nm以下であることが好ましく、100nm以上300nm以下であることがより好ましい。
また、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部において、前記Wt’/Wb’は、抗菌性、抗カビ性の点から、0.4以下であることが好ましく、0.1以上0.3以下であることがより好ましい。
なお線状凸部の底部の幅Wb’及び、線状凸部の高さの97%高さにおける当該線状凸部の幅Wt’は、当該線状凸部の高さ方向と直交する水平面における幅である。
また、本発明において線状凸部は、当該線状凸部の高さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該線状凸部を形成する材料部分の断面積占有率が、当該線状凸部の頂部から底面方向に近づくに従い、線状凸部の高さH’の連続的に漸次増加する構造であることが好ましく、頂部において完全に断面積占有率が0に収束する形状であることがより好ましい。
前記線状凸部の具体的な断面形状としては、例えば、三角形状、台形状、五角形状等の多角形状、鉛筆形状、半円状、半楕円状、放物線状、釣鐘状等の垂直断面形状を有するものが挙げられ、中でも、抗菌性、抗カビ性に優れる点から、垂直断面が多角形状の線状凸部が好ましく、垂直断面が三角形の線状凸部がより好ましい。垂直断面が三角形の線状凸部は、典型的には、円錐状又は多角錐状である。なお、垂直断面が鉛筆形状の微小突起は、典型的には、円柱又は多角柱上に、円錐又は多角錐が、尖った先端が表面に向くように置かれ、円柱又は多角柱と円錐又は多角錐とが一体化した形状である。なお、複数ある線状凸部は、同一の形状を有していても異なる形状を有していてもよい。
本発明において、隣接線状凸部間距離P’の平均値P’AVG、及び、線状凸部の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。
線状微細凹凸形状の材質、及び第二態様の抗菌・抗カビ性物品が有していてもよい基材については、前記第一態様の微小突起構造体の材質、及び第一態様の抗菌・抗カビ性物品が有していてもよい基材と同様のものとすることができるためここでの説明は省略する。
(第二態様の抗菌・抗カビ性物品の製造方法)
第二態様の抗菌・抗カビ性物品の製造方法は、前述したような本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を製造することができる方法であれば特に限定はされないが、例えば、まず透明基材上に、微細凹凸層形成用の樹脂組成物を塗布し、所望の凹凸形状を有する線状微細凹凸形状形成用原版の当該凹凸形状を有する面を、前記樹脂組成物の塗膜表面に押圧し、該樹脂組成物を硬化させ、前記線状微細凹凸形状形成用原版から剥離し、所望の微小突起構造体を賦型により形成する方法等が挙げられる。前記樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。線状微細凹凸形状形成用原版の凹凸形状を微細凹凸層形成用樹脂組成物に賦型し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
線状微細凹凸形状形成用原版の製造方法は、例えば、金属製の母材をバイトにより切削し、並列した複数の溝を順次形成する方法などが挙げられる。なお、バイトの刃先の形状は、適宜、製造する線状微細凹凸形状に対応した形状とすることができる。
<抗菌・抗カビ性物品の用途>
本発明に係る抗菌性物品は、抗菌性の付与が求められるあらゆる用途に用いることができ、特に限定されない。本発明に係る抗菌性物品が抗菌性を発揮し得る用途としては、例えば、エアーディショナー、空気清浄機等の空調機器;冷蔵庫、洗濯機、電話機、掃除機等の家電製品;電子レンジ、炊飯器等の調理用機器;医療機器等の医療設備;学校設備の事務用機器及びその他の電子機器等が挙げられ、具体的には例えば、これら各種機器に内蔵される抗菌フィルター、及びこれら各種物品が備える電子表示部やタッチパネル等の保護フィルム、筐体、並びに窓ガラス用フィルム等を挙げることができる。本発明に係る抗菌性物品は、抗菌性が長期間維持されるため、中でも、各種物品において人の手が届きにくい部分に好適に用いることができ、例えば、前記各種機器に内蔵される抗菌フィルター等として好ましく用いられる。其の他、食品、医薬品等の容器或いは包装材について、其の内側、外側、或いは内外両側の表面に該微小突起或いは該線条微細凹凸形状を具備した形態とすることも出来る。
本発明の抗菌・抗カビ性物品は、中でも、農業用途に好ましく用いることができる。少なくとも一部に前記本発明に係る抗菌・抗カビ性物品を有する農業用抗菌・抗カビ性物品は、植物病原菌とも呼ばれる細菌類やカビ類の繁殖を抑制することができ、農作物の安定した育成が可能となり、また、収穫量を高めることも可能となる。なお、植物病原菌の具体例としては、養液栽培のすべて−植物工場を支える基本技術 日本施設園芸協会 (編集), 日本養液栽培研究会 (編集)に記載のものが挙げられ、本発明の農業用抗菌・抗カビ性物品は、中でも、ピシューム属(Pythium)やフザリウム属(Fusarium)等のカビ類に対して高い抗カビ性を有することが明らかとなった。
本発明の農業用抗菌・抗カビ性物品の使用態様について、図を参照して説明する。図18は、本発明に係る農業用抗菌・抗カビ性物品の使用態様の一例を模式的に示す図であり、具体的にはビニールハウス50の模式的な断面図である。本発明の農業用抗菌・抗カビ性物品は、例えば、天井部41や壁面部42の内面側に配置されるものであってもよく、土壌面43上に設けられた反射シートの表面に配置されるものであってもよい。また、本発明の農業用抗菌・抗カビ性物品は、それ自体が天井部41や壁面部42を形成するようなシート状又は板状のものであってもよく、天井部41や壁面部42の内面側に貼り合わせて用いられるフィルム状のものであってもよい。
また、図19は、本発明に係る農業用抗菌・抗カビ性物品の使用態様の別の一例を模式的に示す図であり、具体的には工場栽培における植物栽培ユニット60(LEDハウスともいう)の一例を示す模式的な断面図である。図19の例に示される植物栽培ユニットは、1段乃至2段以上の棚の天板側にLED光源等の光源52が配置され、当該棚は、光源光を効率よく利用し、また、温度、湿度条件を維持するための反射フィルム51が配置されている。本発明の農業用抗菌・抗カビ性物品は、例えば、前記反射フィルム51の内面側に配置されるものであってもよく、棚を構成する棚板や天板に配置されるものであってもよい。
本発明の農業用抗菌・抗カビ性物品を用いることにより、抗菌剤・抗カビ剤等の農薬の使用量を削減することができ、農作物の収穫量を向上し、安定的な生産が可能となる。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
(製造例1:微小突起構造体形成用原版Aの作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、その表面が、十点平均粗さRz30nm、且つ周期1μmの凹凸形状となるように研磨後、0.04Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧20V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微小突起構造体形成用原版Aを得た。なお、アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均間隔が200nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(製造例2:微小突起構造体形成用原版Bの作製)
微小突起構造体形成用原版Aの製造において、化成電圧を25V、第二エッチング処理を180秒間としたこと以外は、上記と同様にして、微小突起構造体形成用原版Bを得た。アルミニウム層に形成された微細な凹凸形状は、平均間隔が100nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に形成された形状であった。
(製造例3:微小突起構造体形成用原版Cの作製)
ステンレス板にブラスト加工をして、三次元表面粗さ測定における算術平均面粗さ(以下、Saと略する。)が0.2μmとなるように仕上げた。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状の微小突起を版面に有した微小突起構造体形成用原版Cを得た。
<電解クロムめっきの条件>
以下の組成を含有するめっき浴を用い、陽極としてグラファイト電極を用いて、電流密度を80A/dmから1分毎に2.0A/dmずつ小さくして、最終的に20A/dmとし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
<<めっき浴の組成>>
・塩化クロム:200g/dm(0.75mol/dm
・塩化アンモニウム:30g/dm(0.56mol/dm
・シュウ酸:3g/dm(0.024mol/dm
・炭酸バリウム:5g/dm(0.025mol/dm
・ホウ酸:30g/dm(0.49mol/dm
・フッ化バリウム:10g/dm(0.057mol/dm
(製造例4:線状微細凹凸形状形成用原版Dの作製)
厚さ600μmのシリコンウエハを準備した。次いでこのシリコンウエハの基板の表面を熱酸化して、シリコンのエッチングマスクとなる酸化シリコン膜を形成した。その後、電子線もしくはフォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成した。レジストパターン開口部で露出された酸化シリコン膜をドライエッチング法を用いて除去した後、Oプラズマによるアッシング法によりレジストを除去することで、形成すべき箇所に対応するようにエッチング用マスクパターンを形成した。マスクパターンの線幅は100nm、ピッチは400nmとした。
次いで、シリコンウエハに対して結晶異方性エッチング処理を施した。濃度25%の水酸化テトラメチルアンモニウム溶液に23度の温度下で浸漬させ、深さ200nm程度、線幅300nm程度、ピッチ400nm程度のリニアプリズム状の溝を有する線状微細凹凸形状形成用原版Dを作製した。
(製造例5:微小突起構造体形成用原版Eの作製)
厚さ600μmのシリコンウエハを準備した。次いでこのシリコンウエハの基板の表面を熱酸化して、シリコンのエッチングマスクとなる酸化シリコン膜を形成した。その後、電子線もしくはフォトリソグラフィー法によりレジストパターンを形成した。レジストパターン開口部で露出された酸化シリコン膜をドライエッチング法を用いて除去した後、Oプラズマによるアッシング法によりレジストを除去することで、形成すべき箇所に対応するようにエッチング用マスクパターンを形成した。マスクパターンの幅は50nm、ピッチは300nmとした。
次いで、シリコンウエハに対して結晶異方性エッチング処理を施した。濃度25%の水酸化テトラメチルアンモニウム溶液に23度の温度下で浸漬させ、深さ200nm程度、底辺幅300nm程度、ピッチ350nm程度のピラミッド状の穴を有する微小突起構造体形成用原版Eを作製した。
(製造例6:線状微細凹凸形状形成用原版Fの作製)
まず、基部と基部の一面から突出する凸構造部とを有する基材を準備し、凸構造部の天面(パターン形成面)に電子線感応型レジスト膜を形成した。次に、電子線描画装置を用いて、電子線感応型レジスト膜に線状微細凹凸形状を形成するためのパターン像を描画した。その後、所定の現像液にて現像し、凸構造部の天面(パターン形成面)に線状微細凹凸形状形成用のレジストパターンを形成した。そして、当該レジストパターンをマスクとしてドライエッチングすることにより、凸構造部のパターン形成面に線状微細凹凸形状が形成されてなる線状微細凹凸形状形成用原版F(インプリントモールド)を作製した。
(比較製造例1:微小突起構造体形成用原版Gの作製)
厚み6.35mmの石英基板にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み15nm)を成膜してハードマスク材料層とし、その後、このクロム薄膜上に市販の電子線感応型のレジストを塗布した。次いで、市販の電子線描画装置内のステージ上に石英基板を載置し、レジストに電子線を照射してレジストにパターン潜像を形成した。
次に、レジストを現像してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとしてハードマスク材料層をドライエッチングして、クロムのハードマスクを形成した。その後、このハードマスクをエッチングマスクとして石英基板をドライエッチングした。これにより、深さ200nm、ピッチ400nm、幅200nmの微細な凹パターンを有する微小突起構造体形成用原版Gを作製した。
(比較製造例2:線状微細凹凸形状形成用原版Hの作製)
まず、微細凹凸溝に対応するストライプ状の複数の微細凹部を有する単結晶のダイヤモンドからなるダイヤモンドバイトを用意した。そのダイヤモンドバイトを用いて、金属基体表面に切削加工を行うことにより線状微細凹凸形状形成用原版Hを形成した。ダイヤモンドバイトは、特開2013−146795に記載の方法にて作製した。金属基体は、純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を用いた。
[実施例1]
微細凹凸層形成用樹脂組成物を、前記微小突起構造体形成用原版Aの表面を覆うようにして、厚さ20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、品番:T80SZ)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。微小突起構造体形成用原版A全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、透明基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して微細凹凸層形成用樹脂組成物を硬化させて微小突起構造体を有する微細凹凸層を透明基材上に作製した。その後、微細凹凸層形成用樹脂組成物の硬化物としての微細凹凸層を透明基材とともに、微小突起構造体形成用原版Aより剥離することにより、実施例1の抗菌・抗カビ性物品を得た。
実施例1の抗菌・抗カビ性物品は、高さHが247nmであり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.18である微小突起が微小突起全体の98%であった。
[実施例2]
実施例1において、微小突起構造体形成用原版Aの代わりに微小突起構造体形成用原版Bを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の抗菌・抗カビ性物品を得た。
実施例2の抗菌・抗カビ性物品は、高さHが235nmであり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.28である微小突起が微小突起全体の98%であった。
[実施例3]
実施例1において、微小突起構造体形成用原版Aの代わりに微小突起構造体形成用原版Cを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例3の抗菌・抗カビ性物品を得た。
実施例3の抗菌・抗カビ性物品は、高さHが908nmであり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.13である微小突起が微小突起全体の99%であった。
[実施例4]
実施例1において、微小突起構造体形成用原版Aの代わりに線状微細凹凸形状形成用原版Dを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の抗菌・抗カビ性物品を得た。
実施例4の抗菌・抗カビ性物品は、高さH’が144nmであり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.22である線状凸部が線状凸部全体の99%であった。
[実施例5]
実施例1において、微小突起構造体形成用原版Aの代わりに微小突起構造体形成用原版Eを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の抗菌・抗カビ性物品を得た。
実施例5の抗菌・抗カビ性物品は、高さHが139nmであり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.12である線状凸部が線状凸部全体の99%であった。
[実施例6]
実施例1において、微小突起構造体形成用原版Aの代わりに線状微細凹凸形状形成用原版Fを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の抗菌・抗カビ性物品を得た。
実施例6の抗菌・抗カビ性物品は、高さH’が126nmであり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.40である線状凸部が線状凸部全体の99%であった。
[比較例1]
実施例1において、微小突起構造体形成用原版Aの代わりに微小突起構造体形成用原版Gを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例1の抗菌・抗カビ性物品を得た。
比較例1の抗菌・抗カビ性物品は、微小突起の高さHが179nmであり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.56であった。
[比較例2]
実施例2において、微小突起構造体形成用原版Aの代わりに線状微細凹凸形状形成用原版Hを用いた以外は実施例1と同様にして、比較例2の抗菌・抗カビ性物品を得た。
比較例2の抗菌・抗カビ性物品は、線状凸部の高さH’が62nmであり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.55であった。
[比較例3]
基材(材質:PET、厚さ:100μm、商品名:ルミラーU34、東レ社製)上に、硬化後の厚さが20μmとなるように、前記微細凹凸層形成用樹脂組成物を塗布し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させることにより、比較例3の部材を得た。
<抗菌性評価>
(試験菌液の作製)
下記試験菌それぞれについて、普通寒天培地に接種し、35±1℃で18時間培養を2回行った。これを100倍に希釈した普通ブイヨン(1/100NB)を用いて、2.5×10〜10×10/mLに調整したものを試験菌液とした。
[試験菌]
Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌) NBRC12732
Escherichia coli(大腸菌) NBRC3972
(試験試料の作製)
実施例及び比較例で得られた抗菌性物質を、それぞれ、消毒用エタノールで表面を拭き取ったものを試験試料とした。また、滅菌された東洋紡A4100のPETフィルムを5cm角に切り取ったものをコントロールとした。
(試験菌液の接種および培養)
前記の各試験試料に前記の試験菌液を接種し、被覆フィルムを被せた後、シャーレに入れた。これを35±1℃、相対湿度90%以上の環境下で24時間培養した。
(生菌数測定)
コントロールは接種直後、24時間培養後、試験試料は24時間培養後、SCDLP培地で洗い出したものを試験液とし、試験液の10倍希釈系列を作製した。これら希釈液をSCDLP寒天培地に接種し、35±1℃、48時間培養した。培養後、形成された集落をカウントし、生菌数を換算した。
下記式により算出した抗菌活性値の評価結果を表1に示す。
抗菌活性値=log(コントロールの生菌数)−log(実施例又は比較例の抗菌性物品の生菌数)
なお、抗菌活性値が2.0以上であれば、抗菌効果があるものとして判断される。
なお、実施例4、6及び比較例2については、表1中のH、Wt、及びWbは、それぞれH’、Wt’、及びWb’と読み替えるものとする。
<抗カビ性評価1>
実施例1及び6の抗菌・抗カビ性物品と、比較例1〜3の部材について、JIS Z 2911:2010の「プラスチック製品の試験」に準じて、下記手順によりカビ抵抗性試験を行った。但し、短時間でカビを繁殖させる加速試験とするために、更に10%ブドウ糖ペプトン培地を添加して試験を行った。
ポテトデキストロース寒天培地に表1に記載の各試験カビを接種して25℃で7〜14日間培養した後、更に10%ブドウ糖ペプトン培地を添加し、胞子数が10CFU/mLになるようにすることにより、胞子液を調製した。
試験試料は、各部材の前記微細凹凸層形成用樹脂組成物の硬化物からなる表面をエタノール消毒し、50mm角に切断することにより作製した。
試験試料の前記表面全体に胞子液を水滴が付く程度に噴霧接種し、前記表面が鉛直方向となるように試験試料を吊るし、温度24±1℃、湿度95%RHの条件で、4週間培養した。
培養後の試験試料の前記表面を肉眼及び実体顕微鏡にて観察し、下記基準により判定した。判定結果を表1に示す。
0:肉眼及び顕微鏡下でカビの発育は認められない
1:肉眼ではカビの発育が認められないが,顕微鏡下では明らかに確認できる
2:肉眼でカビの発育が認められ,発育部分の面積は試料の全面積の25%未満
3:肉眼でカビの発育が認められ,発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満
4:菌糸はよく発育し,発育部分の面積は試料の全面積の50%以上
5:菌糸の発育は激しく,試料全面を覆っている
<抗カビ性評価2>
上記抗カビ性評価1において、カビをPythium vanterpoolii、Fusarium solani、Fusarium oxysporum、Fusarium moniliformeとした以外は、抗カビ性評価1と同様に抗カビ性評価2を行った。結果を表3に示す。
(結果のまとめ)
比較例3で得られた表面が平坦な部材は、温度24±1℃、湿度95%RHの湿潤状態で行われた前記カビ抵抗性試験において、前記基準で4〜5レベルのカビの繁殖が認められた。
これに対し、実施例1及び6で得られた抗菌・抗カビ性物品は、微小突起構造体が高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起を有する、又は、前記線状微細凹凸形状が、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部を有するため、カビ抵抗性試験において、前記基準で1又は2レベルでしかカビの繁殖が認められず、試験に用いた全種類のカビにおいて、カビの繁殖を抑制することができた。
1 基材
2 微小突起構造体
2’ 線状微細凹凸形状
3 微小突起
3’ 線状凸部
10、10’ 抗菌性物品
31 極大点
32 線分
41 天井部
42 壁面部
43 土壌面(反射シート)
50 ビニールハウス
51 反射シート
52 光源
60 植物栽培ユニット

Claims (3)

  1. 複数の微小突起が配置されてなり、隣接する前記微小突起間の距離Pの平均PAVGが1μm以下である微小突起群を備えた微小突起構造体を表面に有する微細凹凸層を備え、
    前記微小突起構造体が、高さHが80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wtと、底部における幅Wbとの比(Wt/Wb)が0.5以下である微小突起を有する、抗菌・抗カビ性物品。
  2. 複数の線状凸部が一方向又は略一方向に延在されてなり、隣接する前記線状凸部間の距離P’の平均P’AVGが1μm以下である線状微細凹凸形状を表面に有する微細凹凸層を備え、
    前記線状微細凹凸形状が、高さH’が80nm以上1000nm以下であり、高さの97%高さにおける幅Wt’と、底部における幅Wb’との比(Wt’/Wb’)が0.5以下である線状凸部を有する、抗菌・抗カビ性物品。
  3. 少なくとも一部に前記請求項1又は請求項2に記載の抗菌・抗カビ性物品を有する、農業用抗菌・抗カビ性物品。
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