JP6206623B1 - カビ繁殖抑制部材 - Google Patents

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Abstract

複数の突起が配置されてなる突起群を備えた突起構造体を表面に有する凹凸層を備え、前記突起の幅Wが1μm以上20μm以下であり、前記突起の高さHが1μm以上20μm以下であり、隣接する突起間の距離Dが1μm以上30μm以下である、カビ繁殖抑制部材を提供する。

Description

本開示の実施形態は、カビ繁殖抑制部材に関する。
浴室やキッチン等の水回り設備や、収納スペース等の通気性の悪い場所では、カビが繁殖しやすく、衛生上の観点等からカビの繁殖の抑制が求められる。従来、カビの繁殖を抑制するためには、防カビ剤を用いた方法が提案されている。例えば特許文献1には、防カビ剤を塗布することにより当該塗布した箇所のカビの繁殖を抑制する方法が記載されている。また、特許文献2には、合成樹脂に抗菌・防カビ剤を含有させた抗菌・防カビ層を最外層に有する積層体が記載されている。
また、例えば特許文献3には、室内空間のような微弱光下においても、高い防汚性と高い抗菌性及び抗ウイルス性とを両立させることを目的とした材料として、撥水性樹脂バインダーと、光触媒材料と、亜酸化銅とを含有し、前記光触媒材料と前記亜酸化銅とが複合化している撥水性光触媒組成物及びその塗膜が開示されている。
また、超疎水性の表面を有する物品が検討されている。例えば、特許文献4には、基板の面上に特定の***構造を備え、当該表面が超疎水性である、抗菌性表面を有する物品が開示されている。
特開2014−210739号公報 特開2004−181652号公報 特開2012−210557号公報 特表2013−517903号公報
上述の特許文献1〜3のように、従来、抗菌剤等を用いることにより、各種物品に抗菌性が付与されてきた。また、特許文献4のように、表面を超疎水性とするためには、特殊な材料を用いる必要があった。
このような状況下、本発明者らは、抗菌性を付与するための手段として、抗菌剤を用いる方法とは別の手段を検討した結果、物品の表面に特定の突起群を設けることにより、優れたカビ繁殖抑制効果が発揮され得ることを見出した。
本開示のカビ繁殖抑制部材は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、優れたカビ繁殖抑制効果を有するカビ繁殖抑制部材を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、複数の突起が配置されてなる突起群を備えた突起構造体を表面に有する凹凸層を備え、
前記突起の幅Wが1μm以上20μm以下であり、前記突起の高さHが1μm以上20μm以下であり、隣接する突起間の距離Dが4μm以上30μm以下であり、
前記突起の立ち上がり角度αが、30度以上120度以下であり、
前記突起群を有する面における水の接触角が、θ/2法で、10度超過120度未満である、カビ繁殖抑制部材を提供する。
本開示の実施形態は、優れたカビ繁殖抑制効果を有するカビ繁殖抑制部材を提供することができる。
図1は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の一例を模式的に示す概略平面図である。 図2は、図1のA−A’断面図の一例を模式的に示す、概略断面図である。 図3は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の別の一例を模式的に示す概略断面図である。 図4は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の別の一例を模式的に示す概略断面図である。 図5は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の別の一例を模式的に示す概略平面図である。 図6は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の別の一例を模式的に示す概略平面図である。 図7は、本開示において、突起群を有する面を測定する際の測定領域を説明するための図である。 図8は、本開示において、突起の立ち上がり角度αの測定方法を説明するための図である。 図9は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の使用態様の一例を模式的に示す図である。 図10は、図9のB−B’断面図の一例を模式的に示す、概略断面図である。 図11は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の使用態様の別の一例を模式的に示す図である。 図12は、図11のD−D’断面図の一例を模式的に示す、概略断面図である。 図13は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の使用態様の別の一例を模式的に示す図である。 図14は、図13のF−F’断面の一部を拡大した一例を模式的に示す概略断面図である。 図15は、本開示に係る農業用カビ繁殖抑制部材の使用態様の一例を模式的に示す図である。 図16は、本開示に係る農業用カビ繁殖抑制部材の使用態様の別の一例を模式的に示す図である。 図17は、カビ抵抗性試験後の本開示に係るカビ繁殖抑制部材表面の一例の顕微鏡写真である。 図18は、カビ抵抗性試験後の本開示に係るカビ繁殖抑制部材表面の一例の異なる倍率の顕微鏡写真である。 図19は、比較例1におけるカビ抵抗性試験後の部材表面の顕微鏡写真である。
以下、本開示に係るカビ繁殖抑制部材について詳細に説明する。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、この明細書における「平面視」とは、カビ繁殖抑制部材上面に対し垂直方向(図1)から視認することを意味する。通常、カビ繁殖抑制部材の突起群を有する面に対して垂直方向から視認することに相当する。
また、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタアクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの各々を表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル及びメタクリロイルの各々を表す。
また、本明細書において樹脂組成物の硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。
本開示のカビ繁殖抑制部材は、複数の突起が配置されてなる突起群を備えた突起構造体を表面に有する凹凸層を備え、
前記突起の幅Wが1μm以上20μm以下であり、前記突起の高さHが1μm以上20μm以下であり、隣接する突起間の距離Dが1μm以上30μm以下である。
本開示に係るカビ繁殖抑制部材が、カビの繁殖を抑制する作用については未解明な部分もあるが、以下のように推定される。
通常、カビの胞子が、基材等に付着すると、発芽して菌糸を発生する。菌糸は、通常直径1〜10μm程度の太さの糸状の構造を有し、基材表面を分枝しながら先端成長によって伸長する。菌糸が十分に成長すると、多数ある先端のうち、一部の先端が生殖にかかわる構造、即ち胞子嚢柄や分生子柄を形成する。そして、当該構造から胞子が形成されて、カビが増殖する。
本開示のカビ繁殖抑制部材の突起群に付着した胞子は、発芽して菌糸を発生するものの、カビ抵抗性試験後のカビ繁殖抑制部材表面の顕微鏡写真(図17及び図18)に示されるように、突起群に成長を阻害され、特に菌糸の分岐が抑制される。図17は、カビ抵抗性試験後の本開示に係るカビ繁殖抑制部材表面の一例の顕微鏡写真であり、図18は、カビ抵抗性試験後の本開示に係るカビ繁殖抑制部材表面の一例の異なる倍率の顕微鏡写真である。本開示のカビ繁殖抑制部材は、突起群における隣接する突起間の距離Dが1μm以上30μm以下であり、且つ、突起の高さHが1μm以上20μm以下であることから、菌糸が突起間に入り込んでも、突起間には菌糸が成長できるほどの十分なスペースがなく、且つ、突起間に入り込んだ菌糸が突起を乗り越えることも困難である。さらに、本開示のカビ繁殖抑制部材は、突起の幅Wが1μm以上20μm以下であることから、突起上にも菌糸が成長できるほどの十分なスペースがない。そのため、本開示のカビ繁殖抑制部材においては、菌糸の成長、特に、菌糸の分枝が抑制されるものと推定される。従って、菌糸の先端の数が増大せず、菌糸の先端において前記生殖にかかわる構造を形成することが抑制される。このようなことから、本開示のカビ繁殖抑制部材は、カビの繁殖が抑制されると推定される。
なお、本開示のカビ繁殖抑制部材は、一般にカビの繁殖に適するとされる条件(例えば、温度20℃以上30℃以下、湿度80%以上)においてもカビの繁殖を抑制する効果を発揮する。
また、従来、表面を超親水や超撥水とすることにより抗カビ効果を得ようとする技術があるが、当該表面は、少し汚染されただけで接触角が敏感に変化するため、超撥水面や超親水面を維持することは困難であった。本開示のカビ繁殖抑制部材は、上述の作用により、水の接触角によらず、カビの繁殖を抑制する効果を発揮する。
本開示のカビ繁殖抑制部材について、図を参照して説明する。図1は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の一例を模式的に示す概略平面図である。また、図2は、図1のA−A’断面図の一例を模式的に示す、概略断面図である。
図1及び図2の例に示されるように、本開示に係るカビ繁殖抑制部材10は、基材1の表面に、複数の突起3が配置されてなる突起群2を備えた突起構造体を表面に有する凹凸層2’を備えており、各突起の幅Wが1μm以上20μm以下であり、各突起の高さHが1μm以上20μm以下であり、隣接突起間の距離Dが1μm以上30μm以下となっている。
本開示のカビ繁殖抑制部材において、突起群を構成する各突起は、前記突起群を有する側の表面に対して植立するように形成される。
本開示のカビ繁殖抑制部材は、任意の形状であってよいが、典型的には、シート状の基材の一方の表面全体に突起群を有するものであってもよく、シート状の基材の両面全体に突起群を有するものであってもよいし、一方の表面の一部に突起群を有するものであってもよい。また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、所定形状に成形された成形体である場合において、表面全体に突起群を有するものであってもよいし、表面の一部に突起群を有するものであってもよい。なお、ここでシート状とは、巻き取り可能に曲がるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもの、のいずれであってもよい。
また、図3及び図4は、本開示のカビ繁殖抑制部材の図2とは別の例を示す模式断面図である。本開示において各突起の高さ方向における断面形状は特に限定されず、図2の例に示されるような長方形であってもよく、図3の例に示されるような先細り形状であってもよく、図4に示されるような基材の付け根の方が細い形状(いわゆる逆テーパー形状)であってもよい。
また、図5及び図6は、本開示のカビ繁殖抑制部材の図1とは別の例を示す模式平面図である。本開示における各突起を平面視した場合、突起の平面視形状は特に限定されず、図1や図5に示されるような多角形形状であってもよく、図6の例に示されるような円形形状であってもよい。
また、各突起の平面視配列は、隣接する突起間の距離Dが1μm以上30μm以下であればよく、特に限定されない。図1、図5及び図6に示されるような規則的な配置であってもよく、突起間の距離が1μm以上30μm以下の範囲でランダムに配置されたものであってもよい(図示せず)。
突起の形状の具体例としては、円柱状、楕円柱状、半円柱状、三角柱状、四角柱状、六角柱等の柱状型;円錐状、楕円錐状、三角錐状、四角錐状、半球状、回転放物線面状、釣鐘形状、鉛筆形状などの先細り形状のもの、及びこれらに近似する形状が挙げられる。本開示において複数ある突起は、同一形状であってもよく異なる形状であってもよい。
本開示において、前記突起の幅Wは1μm以上20μm以下である。突起の幅Wが1μm以上であることにより、前記突起の高さH及び隣接突起間の距離Dを適宜調整して組み合わせることで、菌糸の発達を阻害することができ、また、突起の機械強度にも優れている。また、突起の幅Wは20μm以下で十分であり、幅Wが大きすぎると、突起上で菌糸が成長する恐れが生じるためである。本開示において突起の幅Wは、中でもカビ繁殖抑制効果が向上する点から、10μm以下であることが好ましい。
複数ある突起は、幅がそれぞれ同一であってもよく、異なる幅のものを有していてもよい。
なお、本開示において突起の幅Wは、突起を平面視したときの当該突起の輪郭上の2点間の最大値とする。具体的には、断面プロファイル解析を用い、高さ方向に切断した突起の断面において、各高さでの2点間の距離を測定し、最も大きい2点間の距離を当該突起の幅Wとする。例えば、突起の平面視が四角形となる図1の例では、突起の幅は対角線の長さとなる。突起の平面視が円形となる図6の例では、突起の幅は直径となる。また、突起の断面が先細り形状である図3の例では突起の幅は、突起の付け根位置における底面の最大径となり、突起の断面がいわゆる逆テーパー型の図4の例では、突起の幅は上端面又はその近傍の面の最大径となる。また、図示はしないが、突起の平面視が四角形以外の多角形となる場合の突起の幅は最大の対角線長となる。また、突起の平面視が楕円形となる場合の突起の幅は楕円の長径となる。
なお、本開示において、突起の付け根位置とは、突起の付け根の極小点を連ねた面である突起の底面と、突起側面とが交差する位置を指す。突起の付け根の極小点は、高さ方向に切断した突起の断面を用いて測定することができる。
また、本開示において、断面プロファイル解析は、例えば、レーザー顕微鏡や三次元光学プロファイラーを用いて行うことができ、より具体的には例えば、オリンパス製 LEXT OLS4100、Zygo製 ZeGageを用いて行うことができる。
また、本開示において、突起群を有する面を測定する際は、図7に示すように、突起群を有する面全体Aのうち、中央の1mm四方の領域aと、中央を通る1本目の対角線L1と当該対角線L1と直交する対角線L2とを引いたときの各対角線上において、中央から対角線端部までの中間における1mm四方の領域b、c、d、eの合計5か所の領域を用いて測定する。
また、本開示において、測定対象とするカビ繁殖抑制部材の前記突起群を有する面が1m四方よりも大きい場合は、1m四方の大きさに切断した測定サンプルを用いて測定を行う。
本開示において、前記突起の高さHは1μm以上20μm以下である。突起の高さHが1μm以上であることにより、菌糸が突起上に成長していくことが阻害され、カビの繁殖を抑制することができる。また、突起高さHが20μm以下であれば、機械強度にも優れている。本開示において突起の高さHは、中でも、カビ繁殖抑制効果が向上する点から、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましく、機械強度の点から、10μm以下であることが好ましい。
複数ある突起は、高さがそれぞれ同一であってもよく、異なる高さのものを有していてもよい。
また、本開示において、突起の高さHに対する突起の幅Wの比(W/H)は、特に限定はされないが、カビの繁殖をより抑制する点から、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、また、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
なお、本開示において突起の高さHは、当該突起の付け根位置から、当該突起の頂点、すなわち最も高い点までの垂直方向の距離とする。具体的には、前記断面プロファイル解析を用いて突起の高さを測定することができる。
また、本開示において、隣接突起間の距離Dは1μm以上30μm以下である。隣接突起間の距離Dが当該範囲内であることにより、カビ繁殖抑制部材に付着した胞子又は菌糸が、突起先端ではなく、突起間に付着しやすく、また、突起間で成長する菌糸の分岐を阻害して、カビの繁殖を抑制することができる。本開示において隣接突起間距離Dは、中でも、胞子又は菌糸が突起間に付着しやすく、カビ繁殖抑制効果が向上する点から、4μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、突起間での菌糸の成長を抑制する点から、20μm以下であることが好ましい。隣接突起間距離Dが狭すぎると菌糸は、平面と感じるため成長抑制効果が低下する恐れがある。
また、本開示において、隣接突起間の距離Dに対する突起の幅Wの比(W/D)は、特に限定はされないが、カビの繁殖をより抑制する点から、0.05以上であることが好ましく、更に0.1以上であることが好ましく、また、5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
なお、隣接する突起間の距離Dは以下のように定義する。突起が分布する領域について、各突起の平面視形状の重心を母点として該領域をボロノイ分割した際に、ある1つの突起のボロノイ領域に隣接するボロノイ領域に属する突起を該突起と隣接する突起と定義する。そして、該隣接するボロノイ領域に含まれる突起同士について、両突起の付け根の外輪郭間の距離の最小値を以って、隣接突起間の距離Dと定義する。突起が規則的に配置されている場合、その突起間の距離Dは、突起の繰り返し周期により規定することができる。
なお、隣接突起間距離Dは、必要に応じて適宜前記断面プロファイル解析と組み合わせて、カビ繁殖抑制部材の平面視顕微鏡写真から測定することができる。
また、本開示においては、前記突起の立ち上がり角度αが30度以上120度以下であることが好ましい。突起の立ち上がり角度αが30度以上であれば、突起の機械強度に優れている。また、立ち上がり角度αが120度以下であれば、菌糸が突起上に乗り上げて発達することを抑制できる。本開示において突起の立ち上がり角度は、中でも、突起の機械強度の点から、40度以上であることが好ましく、45度以上であることがより好ましく、60度以上であることがより更に好ましく、菌糸が突起上に乗り上げて発達することを抑制する点から、110度以下であることが好ましく、100度以下であることがより好ましい。
複数ある突起は、立ち上がり角度それぞれ同一であってもよく、異なる角度のものを有していてもよい。
なお、本開示において突起の立ち上がり角度αは、前記突起の幅Wの測定に用いた断面において、図8の(a)に示すように、当該突起の付け根位置b1と、当該突起と隣接する突起の付け根位置b2とを通る線L3と、当該突起の側面を表す線L4とがなす角度とする。なお、図8の(b)に示すように、突起の側面を表す線L4が曲がっている場合は、代わりに、突起の側面において、突起の高さHの30%の高さの点H30%と、70%の高さの点H70%とを通る直線L4’を用いる。
また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材において、前記突起群を有する面の平面視における単位面積当たりの前記突起の個数は、前記突起の高さH及び隣接突起間の距離Dとの組み合わせにより適宜調整され、特に限定はされないが、カビ繁殖抑制効果が向上する点から、4万個/cm以上であることが好ましく、10万個/cm以上であることがより好ましく、60万個/cm以上であることがより更に好ましく、また、500万個/cm以下であることが好ましく、400万個/cm以下であることがより好ましく、300万個/cm以下であることがより更に好ましい。
また、本開示においては、カビ繁殖抑制効果が向上する点から、前記特定の突起のない部分は、典型的には実質的に平坦面であるが、カビ繁殖抑制部材自体の表面が湾曲していたり、畝りを有していても良い。実質的に平坦面とは、前記特定の突起の高さの下限値よりも1/100以下など、例えば傷や材料由来の微小な凹凸を有していても良いことをいう。
なお、本開示のカビ繁殖抑制部材においては、本開示の効果が得られなくならない限り、前記特定の突起とは異なる凸部が、表面の一部に含まれていても良い。
本開示のカビ繁殖抑制部材においては、前記特定の突起が、前記特定の隣接突起間距離Dで複数配置されている面積が、突起が配置されている全面積に対して70%以上であることが好ましく、更に80%以上であることが好ましく、より更に90%以上であることが好ましい。
次いで、前記突起群の材料について説明する。本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、例えば、前記突起群が、後述する基材とは別の材料からなる凹凸層の表面に形成されてなるもの、前記突起群が、後述する基材と同じ材料からなり当該基材と一体化した凹凸層の表面に形成されてなるもの、基材を有さず、前記突起群が単層の凹凸層の表面に形成されてなるもの等が挙げられる。また、前記突起群が形成される凹凸層は、単層であっても、多層であってもよい。以下に説明する突起群の材料は、前記凹凸層を形成するために用いられる材料である。
前記凹凸層の材料は、前記突起構造体を形成することができる材料であれば特に限定はされず、用途に応じて適宜選択することができ、透明材料であっても、不透明材料であってもよい。前記凹凸層の材料としては、各種樹脂組成物、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石、各種金属酸化物等の無機材料、銀、銅、鉄等の金属及びこれらの合金、並びに、これらの材料の組み合わせが挙げられる。
前記凹凸層の材料としては、中でも、樹脂組成物の硬化物からなるものであることが、突起群の形状をより長期間に渡り保持できる点から好ましい。前記樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。また、本開示においては、前記突起群を樹脂組成物の硬化物からなるものとすることにより、当該樹脂組成物の組成を適宜調整することにより、突起群を賦型により形成する際の賦型性を向上したり、各種添加剤を含有させて、更にカビ繁殖抑制効果を向上することが容易にできる。さらに、各種添加剤と前記突起構造体との組み合わせにおいて、十分な抗カビ効果を得るための添加剤を減量できるという効果が期待できる。
また、前記樹脂組成物に各種添加剤を含有させた場合であっても、樹脂や重合開始剤の種類及び含有量を調整することにより、当該樹脂組成物を硬化させるための温度、時間等の硬化条件を、突起群が変質しない範囲となるように調整することができる。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、メラミン系、フェノール系、ポリエステル系、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、尿素系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリスチレン系等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂は、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、重合開始剤によって硬化されるものである。
前記樹脂組成物としては、中でも前記突起構造体の成形性及び機械的強度に優れる点から、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物及び熱硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物が好ましい。
また、前記樹脂組成物は、(メタ)アクリレート系樹脂を含有することが好ましい。(メタ)アクリレート系樹脂が滅菌ガスを発生し得ることから、抗菌性を向上することができる。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
前記突起の成形性及び機械的強度に優れる点から好適に用いられる電離放射線硬化性樹脂の中で、特に好ましく用いられる(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性樹脂組成物を例にとって、以下具体的に説明する。
(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能(メタ)アクリレートであっても、(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能アクリレートであってもよく、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを併用するものであってもよい。
多官能アクリレートの具体例としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記多官能(メタ)アクリレートの含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、40質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上99.5質量%以下であることが好ましい。後述する単官能(メタ)アクリレートと併用する場合には、固形分に対して、40質量%以上98.9質量%以下であることが好ましく、50質量%以上96.5質量%以下であることが好ましい。なお本明細書において固形分とは、溶剤を除いたすべての成分を表す。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ビフェニロキシエチルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジル(メタ)アクリレート、ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビフェニリロキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能(メタ)アクリル酸エステルは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
単官能(メタ)アクリレートを用いる場合の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
上記(メタ)アクリレートの硬化反応を開始又は促進させるために、必要に応じて光重合開始剤を適宜選択して用いても良い。光重合開始剤の具体例としては、例えば、(メタ)アクリレート系のようなラジカル重合型の電離放射線硬化性樹脂の場合には、ビスアシルフォスフィノキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フォスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル等が挙げられる。又、エポキシ系のようなカチオン重合型の電離放射線硬化性樹脂の場合には、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン系化合物等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤の含有量は、通常、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
前記電離放射線硬化性樹脂組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、濡れ性調整のための界面活性剤、フッ素系化合物、シリコーン系化合物の他、安定化剤、消泡剤、撥(はじ)き防止剤、酸化防止剤、凝集防止剤、粘度調整剤、離型剤等が挙げられる。
また、前記突起群を表面に備える部材の表面に、更に表面処理が施されていても良い。例えば、濡れ性調整のために、突起群を備える表面に、フッ素系化合物、シリコーン系化合物等の蒸着膜を有していても良い。
(基材)
本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、支持体として基材を含むものであっても良い。本開示のカビ繁殖抑制部材に用いられる基材は、用途に応じて適宜選択することができ、透明基材であっても、不透明基材であってもよく、特に限定されない。前記透明基材の材料としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂、ソーダ硝子、カリ硝子、無アルカリガラス、鉛ガラス等の硝子、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。前記不透明基材の材料としては、例えば、金属、紙、布帛、木、石材、及びこれらの複合材料、並びにこれらと前記透明基材の材料との複合材料等が挙げられる。
また、基材と突起群が一体となって形成される場合は、基材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂や前述した突起形成用の樹脂組成物を用いることができる。
また、前記基材は、シートであってもフィルムであってもよく、また、巻き取れるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。基材の厚みは、用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、通常10μm以上5000μm以下である。
本開示のカビ繁殖抑制部材に用いられる基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。例えば、突起群が、基材とは別の材料からなる凹凸層に形成される場合は、基材と前記凹凸層との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性(耐傷性)を向上させるためのプライマー層を基材上に形成してもよい。
本開示に係るカビ繁殖抑制部材を、例えば保護フィルム等のような透明部材として用いる場合には、前記基材としては透明基材を用いることが好ましい。また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材を、後から貼り付ける態様において用いる場合に、意匠性を妨げないようにするためにも、前記基材としては透明基材を用いることが好ましい。
また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材を、ガラス部分へ設置する場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂基材を用いることが、ガラス破損時の耐飛散性を付与する点から好ましい。
また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、接着層との積層体であっても良い。接着層は、典型的には、前記突起構造体を有しない面側に位置する。本開示に係るカビ繁殖抑制部材が接着層を有する場合、当該接着層は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材を別の物品等に貼り付けるために、最表面又は後述する剥離可能な保護フィルム下に位置するものであっても良いし、本開示に係るカビ繁殖抑制部材が2層以上の層構成を有する場合には、各層間を接着するために層間に位置するものであっても良い。
なお、前記接着層の材料としては、公知の接着剤を用いることができ、特に限定はされない。
本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、少なくとも一部の表面に剥離可能な保護フィルムを有するものであっても良い。本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、少なくとも一部の表面に剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。
本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、特に限定はされないが、用途に応じて、可視領域における全光線透過率を80%以上とすることができる。前記透過率が前記下限値以上であることにより、本開示に係るカビ繁殖抑制部材を他の物品に貼り付けて用いる態様において、下地の意匠性の損傷を抑制することができ、また、視認性に優れるものとすることができる。前記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の表面における水の静的接触角は特に限定されないが、前記突起群を有する面における水の接触角が、θ/2法で、10度超過120度未満であっても好適にカビの繁殖を抑制することができる。なお、一般に、水の接触角が、θ/2法で、10度超過120度未満であると、水が表面に残留しやすく、カビが繁殖しやすいという問題があった。また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、中でも、前記突起群を有する面における水の接触角が、θ/2法で、好ましくは40度以上100度以下、より好ましくは45度以上85度以下、より更に好ましくは60度以上80度以下であることが、カビ繁殖抑制効果と突起の強度を両立しやすい点から好ましい。
なお、本開示において水の静的接触角は、測定対象物の表面に1.0μLの純水を滴下し、着滴1秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。
また、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の前記突起群を有する面における鉛筆硬度は、特に限定はされないが、カビ繁殖抑制部材の機械的強度に優れる点から、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。なお、前記鉛筆硬度は、測定サンプルを温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS−S−6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度試験(0.98N荷重)を、測定サンプルの前記突起群を有する面に行い、傷がつかない最も高い鉛筆硬度を評価することにより行うことができる。測定においては、例えば東洋精機(株)製 鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機を用いることができる。
(カビ繁殖抑制部材の製造方法)
カビ繁殖抑制部材の製造方法は、前述したような本開示に係るカビ繁殖抑制部材を製造することができる方法であれば特に限定はされないが、例えば、突起群形成用原版の凹凸形状を賦型する方法、フォトリソグラフィ法、バイト切削法、及びこれらの組み合わせ等が挙げられ、中でも、突起群を成形し易い点から、突起群形成用原版の凹凸形状を賦型する方法、フォトリソグラフィ法及びこれらの組み合わせが好ましい。
フォトリソグラフィ法により本開示のカビ繁殖抑制部材を製造する方法としては、例えば、凹凸層形成用樹脂組成物の塗膜をパターン露光し、現像して、所望のパターンを形成した後、必要に応じてエッチングを行う方法等が挙げられる。前記パターン露光は、突起群構造体の平面視形状に対応するパターンとなるように露光すればよく、例えば、フォトマスクを介して露光する方法、レーザー描画法等、一般的な方法を用いることができる。
突起群形成用原版の凹凸形状を賦型することにより本開示のカビ繁殖抑制部材を製造する方法としては、例えば、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の突起群を有する面の形状に対応する、多数の孔が形成された凹凸形状を有する面を備えた突起群形成用原版を準備し、突起群形成用原版の前記凹凸形状を有する面を、凹凸層形成用樹脂組成物の塗膜表面に押圧し、該樹脂組成物を硬化又は固化させ、その後前記突起群形成用原版を剥離し、所望の突起群を賦型により形成する方法が挙げられる。
また、前記凹凸層形成用の樹脂組成物を硬化又は固化させる方法は、凹凸層形成用樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。凹凸層形成用樹脂組成物として熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いる場合には、熱可塑性樹脂の軟化温度に合わせて適宜選択した温度で加熱して、突起群形成用原版の当該凹凸形状を有する面を、前記熱可塑性樹脂組成物表面に押圧して突起群を賦型し、冷却して固化した後、前記突起群形成用原版から剥離することにより、熱可塑性樹脂組成物表面に所望の突起群を賦型により形成することができる。
前記突起群形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
前記突起群形成用原版は、例えば、まず、均一なクロムメッキ又は銅メッキを施したスチール製やアルミ製の母材の表面に、適宜選択された樹脂レジストをスピンコートしてレジスト層を形成する。次いで、レーザー描画装置を用いてレーザー描画し、所定の現像液を用いて現像処理を施すことにより、レジストパターン層を形成する。次いで、該レジストパターン層の開口部から露出しているクロム又は銅の金属膜をドライエッチングすることにより、金属パターン層を形成する。ついで、レジストパターン層と金属パターン層とを耐エッチング層として、母材のドライエッチングを行う。これにより、所望の凹凸形状が形成された突起群形成用原版を得ることができる。レジスト層へのパターン形成に際しては、レーザー描画法の他に、電子線描画法も利用できる。
また、版の耐久性を向上するため、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)薄膜等の薄膜を、更に、版に均一にコートしても良い。
前記突起群形成用原版としては、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に陽極酸化法により前記凹凸形状を形成したものを挙げることもできる。母材の表面にアルミニウム層を設ける場合は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の表面を超鏡面化しても良い。
陽極酸化法により前記突起群形成用原版に前記凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。
また、前記突起群形成用原版の形状としては、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール状であっても良いが、大量生産が容易な点からは、ロール状が好ましい。また、本開示においては、突起群の形成が容易な点から、前記突起群形成用原版としては平板状の金型も好適に用いることができる。平板状の金型を用いることにより、当該金型を樹脂組成物の硬化物から剥離する際に、突起の変形や、突起同士の付着等による突起群の変形を容易に抑制することができる。
本開示において用いられるロール状の金型としては、例えば、母材の周側面に、上述したように、突起群の形状に対応する凹凸形状が作製されたものが挙げられる。
<カビ繁殖抑制部材の用途>
本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、カビの繁殖の抑制が求められるあらゆる用途に用いることができ、特に限定されない。本開示に係るカビ繁殖抑制部材が効果を発揮し得る用途としては、例えば、浴室、洗面所、洗濯機置き場、キッチン、トイレ(ユニットバス設備を含む)等の水回り設備が設けられた部屋若しくは空間、又は、脱衣所、物干し場、食堂等の水回り設備に隣接した部屋若しくは空間に用いられる内壁、天井、室内の装飾品等のインテリア部材;門扉、フェンス、外壁、カーポート等のエクステリア部材;ビニールハウス、植物栽培槽等の植物栽培施設;エアーコンディショナー、空気清浄機等の空調機器;冷蔵庫、洗濯機、電話機、掃除機等の家電製品;電子レンジ、炊飯器等の調理用機器;医療機器等の医療設備;学校設備の事務用機器及びその他の電子機器等が挙げられる。これら各種機器においては、具体的には例えば、これら各種機器に内蔵されるフィルター、及びこれら各種物品が備える電子表示部やタッチパネル等の保護フィルム、筐体、並びに窓ガラス用フィルム等を挙げることができる。本開示に係るカビ繁殖抑制部材は、中でも、各種物品において人の手が届きにくい部分に好適に用いることができ、例えば、カーポートの屋根材、前記各種機器に内蔵されるフィルター等として好ましく用いられる。其の他、食品、医薬品等の容器或いは包装材について、其の内側、外側、或いは内外両側の表面に該突起群を具備した形態とすることも出来る。
上記容器或いは包装材の具体例について図を参照して説明する。図9は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の使用態様の一例を模式的に示す図である。また、図10は、図9のB−B’断面図の一例を模式的に示す概略断面図であり、図10にはC部分の拡大図を併せて示している。図9及び図10は、液状体を保存するための容器の一例であり、いわゆるパウチ容器の例である。図9及び図10の例に示される容器40は、2枚の包装材31を重ね合わせて周縁部を貼り合わせた形状を有しており、底部は、容器の容積を確保するために3枚の包装材31を貼り合わせている。また、上部には密栓可能な取出し口32を備えている。B−B’断面は、図10の例に示されるように、2枚の包装材31の間に液状体を収容する空間が形成されている。本開示のカビ繁殖抑制部材は、例えば液体を収容する空間の内側に設けることができ、液状態中でのカビの繁殖を抑制することができる(図10のC参照)。また、本開示のカビ繁殖抑制部材は、包装材31の外側面に配置されていてもよい(図示せず)。
また、図11は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の使用態様の別の一例を模式的に示す図である。また、図12は、図11のD−D’断面図の一例を模式的に示す概略断面図であり、図12にはE部分の拡大図を併せて示している。図11及び図12は、パンや野菜等の食品を保存するための包装材50の例であり、いわゆるラッピングフィルムの例である。図12に示すように、包装材50は、食品を収容する空間の内面が突起群を有する面となっている。包装材内に収容される食品等の収容物は、包装材と接触する部分からカビが繁殖し始め、その後収容物全体に広がってカビが繁殖しやすい。それに対し、本開示に係るカビ繁殖抑制部材を包装材として用いることにより、包装材表面におけるカビの繁殖が抑制されるため、食品等の収容物において、包装材と接触した部分のカビの繁殖を抑制することができる。そのため、収容物全体においてもカビの繁殖を抑制することができる。本開示に係るカビ繁殖抑制部材を包装材として用いる場合、カビ繁殖抑制効果を向上する点から、内面の少なくとも一部が前記突起群を有する面であることが好ましく、収容物を収容する空間の内面が前記突起群を有する面であることがより好ましい。
上記エクステリア部材の具体例について図を参照して説明する。図13は、本開示に係るカビ繁殖抑制部材の使用態様の別の一例を模式的に示す図である。また、図14は、図13のF−F’断面の一部を拡大した一例を模式的に示す概略断面図である。図13及び図14は、本開示のカビ繁殖抑制部材をカーポート60の屋根材61として用いた例であり、図14に示すように、カーポート60の屋根材61の両面が突起群を有する面となっている。
また、本開示のカビ繁殖抑制部材は、農業用途に好ましく用いることができる。少なくとも一部に前記本開示に係るカビ繁殖抑制部材を有する農業用カビ繁殖抑制部材は、植物病原菌とも呼ばれる細菌類やカビ類の繁殖を抑制することができ、農作物の安定した育成が可能となり、また、収穫量を高めることも可能となる。なお、植物病原菌の具体例としては、養液栽培のすべて−植物工場を支える基本技術 日本施設園芸協会 (編集), 日本養液栽培研究会 (編集)に記載のものが挙げられ、本開示のカビ繁殖抑制部材は、中でも、ピシューム属(Pythium)やフザリウム属(Fusarium)等のカビ類に対して高い抗カビ性を有する。
本開示のカビ繁殖抑制部材の使用態様について、図を参照して説明する。図15は、本開示に係る農業用カビ繁殖抑制部材の使用態様の一例を模式的に示す図であり、具体的にはビニールハウス20の模式的な断面図である。本開示の農業用カビ繁殖抑制部材は、例えば、天井部11や壁面部12の内面側に配置されるものであってもよく、土壌面13上に設けられた反射シートの表面に配置されるものであってもよい。また、本開示のカビ繁殖抑制部材は、それ自体が天井部11や壁面部12を形成するようなシート状又は板状のものであってもよく、天井部11や壁面部12の内面側に貼り合わせて用いられるフィルム状のものであってもよい。
また、図16は、本開示に係る農業用カビ繁殖抑制部材の使用態様の別の一例を模式的に示す図であり、具体的には工場栽培における植物栽培ユニット30(LEDハウスともいう)の一例を示す模式的な断面図である。図16の例に示される植物栽培ユニット30は、1段乃至2段以上の棚の天板側にLED光源等の光源22が配置され、当該棚は、光源光を効率よく利用し、また、温度、湿度条件を維持するための反射シート21が配置されている。本開示の農業用カビ繁殖抑制部材は、例えば、前記反射シート21の内面側に配置されるものであってもよく、棚を構成する棚板や天板に配置されるものであってもよい。
本開示のカビ繁殖抑制部材を用いることにより、農薬の使用量を削減することができ、農作物の収穫量を向上し、安定的な生産が可能となる。
次に、本開示の実施の態様について詳細に説明するが、本開示は以下の実施の態様に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、以下において、突起の幅W、突起の高さH、立ち上がり角度αはレーザー顕微鏡(オリンパス製、LEXT OLS4100)を用いた断面プロファイル解析により測定した。
(製造例1:突起群形成用原版の作製)
均一なクロム或いは銅メッキを施したロール版の表面にレーザー描画により後述する各実施例の所定のレジストパターンを形成し、メッキ層をエッチング処理することで原版を作成した。後で説明する版と樹脂の剥離性、及び版の耐久性を確保するため、2μm厚のDLC薄膜を版に均一にコートした。
(調製例1:凹凸層形成用樹脂組成物の調製)
下記成分を酢酸エチル200質量部に溶解し、凹凸層用樹脂組成物を調製した。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)23質量部
・アロニックスM−260(東亜合成社製、ポリエチレングリコールジアクリレート)72質量部
・ヒドロキシエチルアクリレート5質量部
・光開始剤(ルシリンTPO、BASF社製)3質量部
[実施例1:カビ繁殖抑制部材の製造]
前記凹凸層形成用樹脂組成物を、突起群形成用原版の凹凸形状を有する面が覆われ、突起群が形成される凹凸層の硬化後の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に基材(材質:PET、厚さ:100μm、商品名:ルミラーU34、東レ社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cmの加重で圧着した。突起群形成用原版全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。その後、突起群形成用原版より剥離し、実施例1のカビ繁殖抑制部材を得た。
得られたカビ繁殖抑制部材の表面の断面をSEM及びレーザー顕微鏡(オリンパス製、LEXT OLS4100)により観察したところ、突起幅Wが4μm、高さHが4μm、突起間距離が8μmの複数の突起が配置されてなる突起群が形成されていた。立ち上がり角度αは80度であった。また、水に対する接触角は70°であった。本技術は接触角に依存しないため、安定して抗カビ機能を保持することができる。
[実施例2:カビ繁殖抑制部材の製造]
実施例1において突起群形成用原版を変更し、突起幅Wが10μm、高さHが2μm、突起間距離が20μmの複数の突起が配置されてなる突起群を形成した。立ち上がり角度αは60度であった。また、突起群を有する面の水に対する接触角は78°であった。
[実施例3:カビ繁殖抑制部材の製造]
実施例1において突起群形成用原版を変更し、突起幅Wが20μm、高さHが10μm、突起間距離が10μmの複数の突起が配置されてなる突起群を形成した。立ち上がり角度αは90度であった。また、突起群を有する面の水に対する接触角は84°であった。
[実施例4:カビ繁殖抑制部材の製造]
実施例1において突起群形成用原版を変更し、突起幅Wが20μm、高さHが10μm、突起間距離が10μmの複数の突起が配置されてなる突起群を形成した。立ち上がり角度αは108度であった。また、突起群を有する面の水に対する接触角は96°であった。
[比較例1]
基材(材質:PET、厚さ:100μm、商品名:ルミラーU34、東レ社製)上に、硬化後の厚さが20μmとなるように、前記凹凸層形成用樹脂組成物を塗布し、基材側から2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して前記樹脂組成物を硬化させることにより、平坦な面を有する比較例1の部材を得た。
<評価>
[カビ抵抗性試験1]
実施例で得られたカビ繁殖抑制部材及び比較例1で得られた部材について、JIS Z 2911:2010の「プラスチック製品の試験」に準じて、下記手順によりカビ抵抗性試験を行った。但し、短時間でカビを繁殖させる加速試験とするために、更に10%ブドウ糖ペプトン培地を添加して試験を行った。
ポテトデキストロース寒天培地に表1に記載の各試験カビを接種して25℃で7〜14日間培養した後、更に10%ブドウ糖ペプトン培地を添加し、胞子数が10CFU/mLになるようにすることにより、胞子液を調製した。
試験試料は、各部材の前記凹凸層形成用樹脂組成物の硬化物からなる表面をエタノール消毒し、50mm角に切断することにより作製した。
試験試料の前記表面全体に胞子液を水滴が付く程度に噴霧接種し、前記表面が鉛直方向となるように試験試料を吊るし、温度24±1℃、湿度95%RHの条件で、4週間培養した。
培養後の試験試料の前記表面を肉眼及び実体顕微鏡にて観察し、下記基準により判定した。判定結果を表1に示す。
0:肉眼及び顕微鏡下でカビの発育は認められない
1:肉眼ではカビの発育が認められないが,顕微鏡下では明らかに確認できる
2:肉眼でカビの発育が認められ,発育部分の面積は試料の全面積の25%未満
3:肉眼でカビの発育が認められ,発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満
4:菌糸はよく発育し,発育部分の面積は試料の全面積の50%以上
5:菌糸の発育は激しく,試料全面を覆っている
Figure 0006206623
前記カビ抵抗性試験で用いた比較例1の培養後の試験試料の前記表面の顕微鏡写真を図19に示す。図19は比較例1のコウジカビの試験試料表面の顕微鏡写真である。
(結果のまとめ)
比較例1で得られた表面が平坦な部材は、温度24±1℃、湿度95%RHの湿潤状態で行われた前記カビ抵抗性試験1において、前記基準で5レベルのカビの繁殖が認められた。
これに対し、実施例1〜4で得られたカビ繁殖抑制部材は、前記比較例1と同じ湿潤状態で行われた前記カビ抵抗性試験において、前記基準で1又は2レベルでしかカビの繁殖が認められず、試験に用いた全種類のカビにおいて、カビの繁殖を抑制することができた。
[カビ抵抗性試験2]
上記カビ抵抗性試験1において、カビをPythium vanterpoolii、Fusarium solani、Fusarium oxysporum、Fusarium moniliformeとした以外は、カビ抵抗性試験1と同様にカビ抵抗性試験2を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006206623
(結果のまとめ)
比較例1で得られた表面が平坦な部材は、温度24±1℃、湿度95%RHの湿潤状態で行われた前記カビ抵抗性試験2において、前記基準で5レベルのカビの繁殖が認められた。
これに対し、実施例1〜4で得られたカビ繁殖抑制部材は、前記比較例1と同じ湿潤状態で行われた前記カビ抵抗性試験において、前記基準で1又は2レベルでしかカビの繁殖が認められず、試験に用いた全種類のカビにおいて、カビの繁殖を抑制することができた。
[実施例5〜21:カビ繁殖抑制部材の製造]
実施例1において突起群形成用原版を変更し、突起幅W、突起高さH、突起間距離Dがそれぞれ表3に示す値となるようにし、凹凸層の硬化後の厚さが30μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例5〜21のカビ繁殖抑制部材を製造した。
実施例5〜21のカビ繁殖抑制部材について、立ち上がり角度α、突起群を有する面の水に対する接触角の測定を行い、前記カビ抵抗性試験1を行った。測定結果及び試験結果を表3に示す。
Figure 0006206623
1 基材
2 突起群
2’ 凹凸層
3 突起
10 カビ繁殖抑制部材
11 天井部
12 壁面部
13 土壌面(反射シート)
20 ビニールハウス
21 反射シート
22 光源
30 植物栽培ユニット
31 包装材
32 取出し口
40 容器
50 包装材
60 カ−ポート
61 屋根材

Claims (1)

  1. 複数の突起が配置されてなる突起群を備えた突起構造体を表面に有する凹凸層を備え、
    前記突起の幅Wが1μm以上20μm以下であり、前記突起の高さHが1μm以上20μm以下であり、隣接する突起間の距離Dが4μm以上30μm以下であり、
    前記突起の立ち上がり角度αが、30度以上120度以下であり、
    前記突起群を有する面における水の接触角が、θ/2法で、10度超過120度未満である、カビ繁殖抑制部材。
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