JP2016203197A - 加圧ピン制御方法及び加圧ピン制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】どのような場合でも引け巣の発生を抑制することができ、安定した製造を実現するために試行錯誤を繰り返す必要がなく、ダイカスト鋳造品での多品種少量生産に対応できる加圧ピン制御方法及び加圧ピン制御装置を提供する。【解決手段】加圧ピン制御方法は、キャビティ内の溶湯を局所的に押圧するための加圧ピンをセットする加圧ピンセット工程と、前記キャビティ内に充填された前記溶湯が凝固している溶湯凝固工程と、前記加圧ピンを前進させて実際に前記溶湯を押圧する加圧ピン前進工程と、前記加圧ピンの前進を停止する加圧ピン停止工程と、前記加圧ピンを後退させる加圧ピン後退工程とを備えた加圧ピン制御方法であって、前記加圧ピン前進工程にて、前記溶湯の表面が固相となったときに前記加圧ピンの前進を開始する。【選択図】 図1
Description
本発明はダイカスト鋳造法に適用される加圧ピン制御方法及び加圧ピン制御装置に関するものである。
一般に金属が液体から室温の固体に変化する際の体積変化は液体収縮、凝固収縮、固体収縮を伴っている。凝固収縮は著しく体積を減少させることから、凝固様式に応じて外引け、内引け、ざく巣、ポロシティなどの形となって金属中に現れる。砂型や金型鋳造の場合は鋳造方案の検討、凝固解析時に押湯の設置、型温制御などにより指向性凝固をさせるようにし、凝固収縮分を製品部以外に排出している。
しかし、ダイカスト鋳造法の場合は押湯の設置や指向性凝固させることが難しく、大物製品の厚肉中心部等に内引け巣が発生しやすい。そこで、製品厚肉部の溶湯を加圧プランジャーにより直接強制的に加圧して、加圧維持したまま凝固完了させることにより、引け巣の発生を防止する局部加圧鋳造が行われている。しかし、加圧のタイミングが極めて重要で、早すぎても遅すぎても引け巣は発生する。そこで、加圧のタイミングを適切に設定するための方法が開発されている。その一例として特許文献1及び2が開示されている。
特許文献1に記載された技術は、溶湯の充填完了から設定時間が経過した後に、溶湯の凝固状態を検知するものである。そのために、まず加圧ピンを微速度で前進させている。そして、加圧ピンが溶湯から受ける反発力に応じた加圧ピンの前進速度で加圧ピンを前進させて溶湯の加圧を行っている。
特許文献2に記載された技術は、キャビティ内の溶湯の圧力を加圧ピンを介して伝達される油圧シリンダのヘッド側の圧力で検知するものである。この油圧シリンダのヘッド側が所定の圧力に達したときの信号で加圧タイミングを制御している。
しかしながら、常にキャビティ内の溶湯が同じ状態で凝固する訳ではないので、凝固状態にばらつきが生じ、その結果、製品の品質にばらつきが生じてしまう。すなわち、引け巣が発生してしまう。ましてや型交換後等は特許文献1や2で示されたような設定時間や設定圧力の設定外になる場合が多々あり、この引け巣により製品は全て不良品扱いとなってしまう。製品を安定して製造するためには試行錯誤を繰り返して加圧ピンの加圧タイミングを発見する必要があり、それまでの製造工程が無駄になっている。
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、どのような場合でも引け巣の発生を抑制することができ、安定した製造を実現するために試行錯誤を繰り返す必要がなく、ダイカスト鋳造品での多品種少量生産に対応できる加圧ピン制御方法及び加圧ピン制御装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明では、キャビティ内の溶湯を局所的に押圧するための加圧ピンをセットする加圧ピンセット工程と、前記キャビティ内に充填された前記溶湯が凝固している溶湯凝固工程と、前記加圧ピンを前進させて実際に前記溶湯を押圧する加圧ピン前進工程と、前記加圧ピンの前進を停止する加圧ピン停止工程と、前記加圧ピンを後退させる加圧ピン後退工程とを備えた加圧ピン制御方法であって、前記加圧ピン前進工程にて、前記溶湯の表面が固相となったときに前記加圧ピンの前進を開始することを特徴とする加圧ピン制御方法を提供する。
好ましくは、前記加圧ピン前進工程にて、前記加圧ピンが受ける圧力が一定となるように前記加圧ピンの前進速度を調整する。
好ましくは、前記加圧ピン前進工程にて、前記加圧ピンの前進速度の調整は、前記キャビティの温度、前記加圧ピンの位置、前記加圧ピンが受ける圧力の測定結果に基づいて行う。
好ましくは、前記加圧ピンセット工程にて、前記加圧ピン前進工程の直前に前記加圧ピンを最大まで後退させた位置から少し前進させた位置に待機させる。
また、本発明では、前記加圧ピンと、該加圧ピンを前後方向に摺動動作させるためのシリンダと、該シリンダと接続されて油圧ポンプとサーボモータとが一体となっているモータユニットと、該モータユニット、前記キャビティの温度を測定する温度センサ、前記加圧ピンの前後方向の位置を測定する位置センサ、及び前記加圧ピンが受ける圧力を測定する圧力センサのそれぞれと接続されたコントローラとを備えた加圧ピン制御装置を提供する。
本発明によれば、加圧ピン前進工程にて、溶湯の表面が固相となったときに加圧ピンの前進を開始する。すなわち加圧ピンの前進開始のタイミングを溶湯の表面が固相となったときとしている。この溶湯の表面が固相となったときとは、加圧ピンに加わっているキャビティ内の溶湯圧力が開放されたときである。より詳しくは、加圧ピンに加わっている圧力が急激に降下したときである。このようなときは溶湯の表面が固相(まだ内部までは完全に固まっていない状態)となっていると判断できる。これにより、製品内部に引け巣が発生することを防止できる。またこのように圧力の変化を検知して溶湯表面の固相開始(凝固開始)を捉えることは、試作鋳造を行いながら多大な工数を費やして凝固開始を発見するためのしきい値を設定する必要がなくなり、製造工程の変化に対応しやすくなる。この様なしきい値を設定することは、製品が良品と判断される範囲を狭めることになるが、加圧ピンに加わっている圧力により加圧タイミングを決定することでその都度良品となる様な製造を行うことができ、不良品発生の削減に繋がり、製品の品質が安定する。試行錯誤を繰り返してその都度最適な加圧タイミングを設定することが不要となるので、金型交換が多い場合や、多品種の少量生産にも対応しやすくなる。
また、加圧ピン前進工程にて、加圧ピンが受ける圧力が一定となるように加圧ピンの前進速度を調整するので、溶湯内部の徐々に固相となりつつある部位を適切に加圧し、引け巣の発生を防止できる。この前進速度の調整をキャビティの温度、加圧ピンの位置、加圧ピンが受ける圧力の測定結果に基づいて行うこととすれば、効率よく引け巣発生を防止できることが分かっている。
また、加圧ピンセット工程にて、加圧ピン前進工程の直前に加圧ピンを最大まで後退させた位置(後退限)から少し前進させた位置(後退限と最大まで前進させた位置(前進限)との間の位置(中立位置))に待機させるので、溶湯からの圧力を適切に検知することができる。すなわち、加圧ピンがシリンダ内で後退限に位置していると(後退限に張り付いていると)、加圧ピンを押す力(溶湯圧)が発生しても加圧ピンが動かない。後退限から少し前に置く(中立位置に待機させる)ことで、加圧ピンを押す力が発生したときに加圧ピンは後退し、加圧ピンを前後進動作させるための油圧回路が閉のため、加圧ピンが受ける圧力の変化を感知できる。また、加圧ピンの位置を後退限にしたときはシリンダの前方室側に作動油が満たされており、後方室側は圧力がたっていないが、加圧ピンを少し前進させることで、後方室側は作動油が満たされることになり、ピストンの動きによる油圧の変化をとらえやすくなる。
また、油圧ポンプとサーボモータとが一体となっているモータユニットを用いることで、絞り回路や電磁弁類が不要で回路が簡素、小型軽量を実現できる。さらには、絞りによる油温上昇が少ないため、位置センサや圧力センサの良好な精度を確保できる。
まず、本発明の目的を達成するための基本的な考え方は、凝固収縮に合わせ加圧ピンを移動させることで当該部位の体積を減少させ引け巣を防止することにある。そのためには凝固の開始と終了を種々の状態(製品、位置、鋳造条件等)においても検知する手段が必要であるという知見から本発明は得られたものである。
本発明を適用する技術はダイカスト鋳造である。金型となるキャビティ内に溶湯(アルミニウムや亜鉛、マグネシウムなどの溶融金属が液状となったもの)を高圧で入れ込み、冷却させて製造するものである。キャビティへの入れ込みはプランジャと呼ばれる注入器が用いられている。
図1に示すように、本発明に係る加圧ピン制御方法は、まず加圧ピンセット工程を行う(ステップS1)。この加圧ピンセット工程は、キャビティ内に充填された溶湯の例えば厚肉部に発生する引け巣を防止するための加圧ピンの位置を決定するものである。すなわち、加圧ピンはキャビティ内の溶湯を局所的に押圧するものである。このセット工程を経ると、加圧ピンの先端はキャビティ内に配された状態となっている。
次に、溶湯凝固工程を行う(ステップS2)。この溶湯凝固工程は、上述したようにキャビティ内に充填された溶湯が凝固していく段階である。すなわち、溶湯の凝固が行われている状態であり、完全(100%)に溶湯が固まって固相となっている段階ではない。
次に、加圧ピン前進工程を行う(ステップS3)。この加圧ピン前進工程は、加圧ピンを前進させて実際に溶湯を押圧する工程である。この前進工程では、加圧ピンが前進を開始するタイミングと、その前進速度が重要となってくる。加圧ピンが前進することで、溶湯は局所的に押圧され、引け巣の発生が防止される。
次に、加圧ピン停止工程を行う(ステップS4)。この加圧ピン停止工程は、前進した加圧ピンを停止する工程である。そして、加圧ピン後退工程を行う(ステップS5)。この加圧ピン後退工程は、加圧ピンの停止位置から加圧ピンを後退させる工程である。そして鋳造品はキャビティから取り出され、新たに溶湯が供給されて連続生産される。すなわち工程としては、必要に応じてステップS1からまた繰り返される。
本発明では、上記加圧ピン前進工程(ステップS3)にて、溶湯の表面が固相となったときに加圧ピンの前進を開始することにしている。すなわち加圧ピンの前進開始のタイミングを溶湯の表面が固相となったときとしている。この溶湯の表面が固相となったときとは、加圧ピンに加わっているキャビティ内の溶湯圧力が開放されたときである。より詳しくは、加圧ピンに加わっている圧力が急激に降下したときである。このようなときは溶湯の表面が固相(まだ内部までは完全に固まっていない状態)となっていると判断できる。これにより、製品内部に引け巣が発生することを防止できる。
この加圧ピンの前進タイミングについてさらに詳述する。加圧ピンの先端が受ける圧力については図2のグラフに示すとおりである。加圧ピンが受ける圧力は、ダイカスト鋳造装置の金型が閉じ、溶湯がキャビティに充填された後に加圧ピンの先端が押圧されて発生する。これは、加圧ピンを前後に摺動させるための油圧シリンダのピストン(これがすなわち加圧ピン)が押されることで油に圧力が伝播して生じる。この加圧ピンが受ける圧力はキャビティの場所や状態により異なるが、ダイカストプランジャーに近い位置であるほど高い圧力となっている(図2の線A)。他の位置では図2の線B及び線Cで示す様に、加圧ピン先端は溶湯の充填から急激に圧を受けて最高圧まで達し、そしてこの圧力が一定時間保持され、その後急激に降下する(図2のS点)。最高圧の大小、保持時間の多少こそあれ、その傾向は常に同じである(図2の様なグラフで示すと同じような波形を示す)。最高圧が急激に降下する点はプランジャーからの液圧伝播が途切れたとき、すなわち凝固の閉ループ(溶湯の表面が固相となり、内部は液相又は半固相となっている状態)が形成され収縮が開始する時である(当該部位の固相率は70%程度と予想される)。溶湯の表面が固相とは、固相率が70%以上のことをいう。
またこのように圧力の変化を検知して溶湯表面の固相開始(凝固開始)を捉えることは、試作鋳造を行いながら多大な工数を費やして凝固開始を発見するためのしきい値を設定する必要がなくなり、製造工程の変化に対応しやすくなる。この様なしきい値を設定することは、製品が良品と判断される範囲を狭めることになるが、加圧ピンに加わっている圧力により加圧タイミングを決定することでその都度良品となる様な製造を行うことができ、不良品発生の削減に繋がり、製品の品質が安定する。試行錯誤を繰り返してその都度最適な加圧タイミングを設定することが不要となるので、金型交換が多い場合や、多品種の少量生産にも対応しやすくなる。
また、加圧ピン前進工程では、加圧ピンが受ける圧力が一定となるように加圧ピンの前進速度が調整される。この調整は、キャビティの温度、加圧ピンの位置、加圧ピンが受ける圧力の測定結果に基づいて行われる。このように、加圧ピンが受ける圧力が一定となるように加圧ピンの前進速度が調整されるので、溶湯内部の徐々に固相となりつつある部位を適切に加圧し、引け巣の発生を防止できる。この前進速度の調整をキャビティの温度、加圧ピンの位置、加圧ピンが受ける圧力の測定結果に基づいて行うこととすれば、効率よく引け巣発生を防止できることが分かっている。
すなわち、加圧ピンの前進速度を決定する要因のうちの一つは、既に計算された前進速度で発進させることである。上述した最高圧や停止工程での加圧ピンの保持時間は統計データとしてメモリに記録される。加圧ピンの前進速度は金型温度(例えば、型閉時、射出完了時など同じタイミングで測定する)と加圧ピンが対象とする溶湯補給領域の形状係数などのデータを用いて鋳造ショット毎に計算される。加圧ピンを前進することで受ける凝固が開始されている溶湯の抵抗を加圧ピンの反力として記録し、その値を維持するように移動速度を微調整する。
本発明の上記効果を換言すれば、キャビティ内の溶湯圧力を加圧ピンを介して検知し、加圧ピンに加わる溶湯圧力が開放されたときが当該部位の凝固が開始したときと捕らえ加圧を開始する。その際、当該部位の状態量(形状係数、金型温度、溶湯材質、金型材質等)により決定した初期移動速度で発進させ、前進することで受ける凝固層の抵抗を加圧ピンの反力として記録し、その値を維持するように移動速度を微調整しながら当該部位の溶湯補給量相当に達したところで、移動を停止し、一定時間保持後加圧ピンを戻す。これにより、前記種々の変動状態にも対応できるようにしたものである。
ここで、加圧ピンセット工程にて、加圧ピン前進工程の直前に加圧ピンを最大まで後退させた位置から少し前進させた位置に待機させる。このように、加圧ピン前進工程の直前に加圧ピンを最大まで後退させた位置(後退限)から少し前進させた位置(後退限と最大まで前進させた位置(前進限)との間の位置(中立位置))に待機させるので、溶湯からの圧力を適切に検知することができる。すなわち、加圧ピンがシリンダ内で後退限に位置していると(後退限に張り付いていると)、加圧ピンを押す力(溶湯圧)が発生しても加圧ピンが動かない。後退限から少し前に置く(中立位置に待機させる)ことで、加圧ピンを押す力が発生したときに加圧ピンは後退し、加圧ピンを前後進動作させるための油圧回路が閉のため、加圧ピンが受ける圧力の変化を感知できる。また、加圧ピンの位置を後退限にしたときはシリンダの前方室側に作動油が満たされており、後方室側は圧力がたっていないが、加圧ピンを少し前進させることで、後方室側は作動油が満たされることになり、ピストンの動きによる油圧の変化をとらえやすくなる。
加圧ピンセット工程を詳述すると、前回の局部加圧動作の終了時には油圧シリンダ(加圧ピン)は後退限を原位置として停止している。最初の動作信号はマシン(後述するコントローラ2)の取り出し完了信号であり、この信号を受け、加圧ピンは前進限まで移動される。このとき、ピンに離型剤が塗布される。塗布が完了されると、加圧ピンは後退限に戻される。このとき、一定速度で前進限まで移動させ摺動抵抗が測定される。本測定値は管理データとしてメモリに記録される。摺動抵抗は油圧圧力或いはモータトルクを測定することで得られる。再度、加圧ピンは後退限まで戻され、その後に僅かに前進させて保持される(中立位置)。
次に上記加圧ピン制御方法を実施するための加圧ピン制御装置について説明する。図3に示す様に、加圧ピン制御装置1は、加圧ピン3と、この加圧ピン3を前後方向に摺動動作させるためのシリンダ4とを有している。シリンダ4は油圧シリンダであり、具体的には、加圧ピン3と油圧シリンダ4のピストンとは一体である。すなわち、加圧ピン3はシリンダ4のピストンと一体として前後進する。シリンダ4には、モータユニット5が接続されている。
このモータユニット5は、油圧ポンプ(両回転ピストンポンプ)6とサーボモータ7とが一体となっているものである。モータユニット5にはオイルタンクも一体として設けられている(不図示)。このモータユニット5としては、例えば(株)オプトン製 DDV油圧サーボポンプを利用できる。すなわち、サーボモータ7により油圧ポンプ6のオイル循環方向を変更することができ、これにより加圧ピン3の前後進を制御することができる。なお、このようなモータユニット5を用いずとも、油圧系として油圧発生源、方向切替弁、流量調整弁及びそれらを接続する油圧配管と位置及び圧力を検知するセンサーで構成されたものを用いてもよい。油圧ポンプ6とサーボモータ7とが一体となっているモータユニット5を用いれば、絞り回路や電磁弁類が不要で回路が簡素、小型軽量を実現できる。さらには、絞りによる油温上昇が少ないため、位置センサ9(後述)や圧力センサ10(後述)の良好な精度を確保できる。
加圧ピン制御装置1は、さらにキャビティの温度を測定する温度センサ8、加圧ピン3の前後方向の位置を測定する位置センサ9、及び加圧ピン3が受ける圧力を測定する圧力センサ10を備えている。上述した加圧ピン3は、ダイカスト鋳造機11のキャビティ内に挿通可能であり、温度センサ8はキャビティ内に配されている(あるいはキャビティと接している)。モータユニット5、各センサ8〜10及び鋳造機11は、それぞれコントローラ2と接続されている。このコントローラ2がそれぞれの部位の動作を制御する。またコントローラ2には各種データが保存される。このコントローラ2は、PLC、サーボアンプ、タッチパネル等で構成される。コントローラ2によりサーボモータ7を制御することで、加圧ピン2の前後進、保持、移動速度を変化させることができる。位置センサ9で加圧ピンの移動量、圧力センサ10で加圧ピンが受ける圧力を精度よく検知できる。なお、シリンダ4の油圧回路には、パイロットチェック弁12が配設されている。これにより、作動油の内部リークを減少させることができる。
溶湯の凝固についてさらに説明する。溶湯が凝固するとき、外側から徐々に凝固していく。つまり、最初に表面から固相化が始まる。したがって、溶湯の固相率70%を狙って溶湯表面から加圧ピン3で押圧する際、溶湯は外側から内側に向けて徐々に固相率が70%になるので、この時間に合わせて加圧ピン3で外側から押圧すればよい。この押圧は、加圧ピン3の総移動体積が当該部位の溶湯補給量に相当するまで移動速度を調整しながら移動される。所定の移動量となった時点で移動を停止し、一定時間保持した後、サーボモータ7を逆転させ加圧ピン3を後進限まで戻す。このとき、日時、ショット数、摺動抵抗、溶湯最高圧、同保持時間、金型温度、初期移動速度、平均移動速度、凝固抵抗等のデータがコントローラ2に保管され、局部加圧鋳造のサイクルが停止する。
なお、加圧ピン制御装置1は、ダイカスト鋳造機11とは別に設けることができるので、どのような鋳造機11にも限定されることはなく、そのサイズも製品形状も問わない。したがって、重力、低圧、高圧、差圧、減圧などの様々な鋳造法に適用可能であり、軽合金全般に適用可能である。また、鋳型壁が圧力で移動しない鋳造法に対し適用可能であり、加圧部形状はピンに限らずスライドコアなどの形状に対しても適用可能である。すなわち、加圧ピン制御装置1は、鋳造機11があればそれだけで適用可能であり、いわば最低限の条件設定で生産に寄与できるというものである。
1:加圧ピン制御装置、2:コントローラ、3:加圧ピン、4:シリンダ、5:モータユニット、6:油圧ポンプ、7:サーボモータ、8:温度センサ、9:位置センサ、10:圧力センサ、11:鋳造機、12:パイロットチェック弁
Claims (5)
- キャビティ内の溶湯を局所的に押圧するための加圧ピンをセットする加圧ピンセット工程と、
前記キャビティ内に充填された前記溶湯が凝固している溶湯凝固工程と、
前記加圧ピンを前進させて実際に前記溶湯を押圧する加圧ピン前進工程と、
前記加圧ピンの前進を停止する加圧ピン停止工程と、
前記加圧ピンを後退させる加圧ピン後退工程とを備えた加圧ピン制御方法であって、
前記加圧ピン前進工程にて、前記溶湯の表面が固相となったときに前記加圧ピンの前進を開始することを特徴とする加圧ピン制御方法。 - 前記加圧ピン前進工程にて、前記加圧ピンが受ける圧力が一定となるように前記加圧ピンの前進速度を調整することを特徴とする請求項1に記載の加圧ピン制御方法。
- 前記加圧ピン前進工程にて、前記加圧ピンの前進速度の調整は、前記キャビティの温度、前記加圧ピンの位置、前記加圧ピンが受ける圧力の測定結果に基づいて行うことを特徴とする請求項2に記載の加圧ピン制御方法。
- 前記加圧ピンセット工程にて、前記加圧ピン前進工程の直前に前記加圧ピンを最大まで後退させた位置から少し前進させた位置に待機させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加圧ピン制御方法。
- 前記加圧ピンと、
該加圧ピンを前後方向に摺動動作させるためのシリンダと、
該シリンダと接続されて油圧ポンプとサーボモータとが一体となっているモータユニットと、
該モータユニット、前記キャビティの温度を測定する温度センサ、前記加圧ピンの前後方向の位置を測定する位置センサ、及び前記加圧ピンが受ける圧力を測定する圧力センサのそれぞれと接続されたコントローラとを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加圧ピン制御方法を使用するための加圧ピン制御装置。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20170317 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20171024 |