JP2016189716A - 香辛料感増強用調味料 - Google Patents

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Abstract

【課題】風味、辛さ、厚みなどの香辛料感を増強することができる調味料であって、容易に製造することができ、幅広く利用可能な調味料を提供する。
【解決手段】(A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量が30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物を含む調味料。(A)と(B)との重量比が1:1〜1:50000であり、食品中に(A)0.01〜7ppm及び(B)0.001〜0.2重量%となる様に添加する調味料。
【選択図】なし

Description

本発明は、香辛料感を増強するための調味料に関し、さらに詳しくは特定の香料とたん白加水分解物を含む調味料、当該調味料を含む飲食品及びその製造方法ならびに香辛料感増強方法に関する。
香辛料は、その独特の風味から飲食品に広く用いられている。香辛料やそれらに含まれる香気成分は、賦香作用、矯臭作用、辛味作用等を有し、食品の味や香りをより嗜好性の高いものに矯正する効果があることが知られている。例えば、飲食品中の香辛料の風味を向上させる技術として、特許文献1及び2に記載のもの等が知られている。
特許文献1には、メチオノール及び2−フェニルエタノールを飲食品に添加することにより、当該香辛料及び/又は香気成分に由来するスパイス香が増強されることが記載されている。
特許文献2には、麹菌によって小麦たん白を含んだ素材を加水分解して得られる糖ペプチドが、呈味向上作用、特に先味及び中味のコク味を飲食品に付与できることが記載されている。
例えばカレー製品に使用するスパイスは、色調、香り、辛さを決定づける素材であるとともに、多数ブレンドされることで味の厚み、深みを付与するが、厚みを伴った総合的香辛料感をさらに増強する素材は知られていない。
国際公開第2013/133051号 特許第5141248号公報
本発明は、香辛料感(香辛料及び/又は香気成分の芳香)を増強することができる調味料を提供することを目的とする。更に本発明は、香辛料感が増強された飲食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに特定の分子量画分を含有するたん白加水分解物を組み合わせて使用することにより、飲食品中の種々の香辛料感を増強することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1](A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物、を含む調味料。
[2](B)が、麹菌酵素による小麦たん白及び/又は大豆たん白の加水分解物である[1]に記載の調味料。
[3]調味料中の(A)と(B)の重量比が、1:1〜1:50,000である[1]または[2]に記載の調味料。
[4]更に香辛料を含む、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の調味料。
[5]香辛料感を増強するための、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の調味料。
[6]カレー用である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の調味料。
[7](A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物を飲食品に添加する工程を含む飲食品の製造方法。
[8]飲食品中に(A)0.01ppm以上7ppm以下及び(B)0.001重量%以上0.2重量%以下となるように添加する[7]に記載の製造方法。
[9][7]または[8]に記載の製造方法により得られる、飲食品。
[10]飲食品がカレー食品である請求項[9]の飲食品。
[11](A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物を香辛料と共存させる工程を含む、香辛料感増強方法。
本発明により、香辛料感を簡便且つ効果的に増強することが可能となる。それにより、香辛料を含有する飲食品等の製造において香辛料の添加量を削減することができる。
また香辛料、特に賦香効果/賦香作用のある香辛料は熱に弱いことが知られているが、本発明の組成物による香辛料感増強効果は加熱後も維持されるため、ラボスケールと比べて加熱負荷が大きくなる工業スケールでの飲食品等の製造においても、賦香効果/賦香作用の低減は抑えられ、香辛料感を効果的に増強することが可能となる。
本発明は、(A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物、を含む調味料を提供する(以下、本発明の調味料ともいう)。
(A)メチオノール及び2−フェニルエタノール
メチオノールは、CAS登録番号505−10−2の公知の化合物であり、3−ヒドロキシプロピルメチルスルフィド(3-Hydroxypropyl Methyl Sulfide)、3−メチルメルカプトプロピルアルコール(3-Methylmercaptopropyl Alcohol)、3−メチルチオ−1−プロパノール(3-Methylthio-1-propanol)等とも呼ばれる。2−フェニルエタノールは、CAS登録番号60−12−8の公知の化合物であり、β−フェニルエチルアルコール、フェネチルアルコール等とも呼ばれる。
本発明の調味料に含有されるメチオノール及び2−フェニルエタノールは、天然物から抽出する方法、化学的に合成する方法等の公知の手法を適宜用いることによって取得したものであっても、市販品であってもよい。
本発明の調味料におけるメチオノールと2−フェニルエタノールの配合比率は、それらの一方が0でない限り特に限定されないが、重量比で好ましくは1:100〜100:1、さらに好ましくは1:50〜50:1、特に好ましくは1:10〜10:1の範囲で設定することができる。この範囲で配合比率を設定することにより、香辛料感増強効果を効果的に得ることができる。
(B)たん白加水分解物
たん白加水分解物は、魚類、家畜、穀類及び豆類、あるいは該食品の加工副産物などを加水分解することによって得られる、ペプチド、アミノ酸等を含むものである。
本発明における分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物とは、後述の限外ろ過等により分子量30,000を超える画分を除去した、分子量が30,000を超える画分を実質的に含まないたん白加水分解物である。
分子量が30,000を超える画分を実質的に含まないとは、30,000を超える画分の含量が通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下を意味する。本発明における(B)としては、30,000を超える画分の含量が0である、分子量が30,000以下のたん白加水分解物が最も好ましい。
また当該分子量は、好ましくは1,000以上であり、より好ましくは3,000以上である。
たん白質を含む素材としては、任意のたん白質を含む原料素材でよく、例えば植物性たん白及び動物性たん白が挙げられるが、植物性たん白が好ましい。一般に植物性たん白とは、大豆、小麦、米などの穀類や、野菜などに含まれるたん白質を指すが、本明細書中における植物性たん白としては、小麦たん白、大豆たん白、とうもろこしたん白などの種子たん白が挙げられ、小麦たん白又は大豆たん白が好ましい。なかでも市販されている植物性たん白としては、小麦グルテンが好ましい。
加水分解は、上記たん白質を加水分解することができる方法であれば特に限定されないが、香辛料感増強の観点から、微生物の培養により得られる酵素(液体麹)、市販の酵素製剤などの酵素による加水分解が好ましく、麹菌酵素による加水分解がより好ましい。麹菌としては、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ソーヤ、アスペルギルス・ニガー等が挙げられ、特にアスペルギルス・オリゼーが好ましい。液体麹とは、麹菌を液体培地中で好気的に培養したものである。固体麹とは、醤油等の製造時に一般的に用いられているように、大豆等の原料を蒸煮等の処理をした後に、原料表面に麹菌を接種して培養したものである。
本発明におけるたん白加水分解物は、加水分解した後に、限外ろ過膜、逆浸透膜、透析膜、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーから選ばれる1以上の方法により、分子量30,000を超える画分を除去する工程を含む方法で製造することができ、好ましくは限外ろ過膜で除去する工程を含む方法が好ましい。
酵素を用いて加水分解処理をする場合は一種又は複数の酵素を適宜用いることができる。またその際のpHは飲食品に許容される酸やアルカリを添加することで調整することができる。植物性たん白又はこれを含む原料素材を酵素加水分解処理する際の処理時間は使用するたん白質加水分解酵素の種類、使用量、温度、pHなどの加水分解にかかわる条件により異なるが、長すぎると分解や褐変が進むなど、品質に悪影響を及ぼすことがあるため、例えば、加水分解にかかる時間は通常10時間〜100時間、好ましくは20時間〜50時間である。
このようにして得られたたん白加水分解物は活性炭や限外ろ過などにより脱色処理、各種クロマトグラフィーや透析膜などを使用する膜分離等による分離精製処理、膜濃縮や減圧濃縮等の濃縮処理をして、脱色、精製、濃縮等の処理に付すこともできる。また、たん白加水分解物を、スプレードライ、凍結真空乾燥などの方法により乾燥粉末化すれば食塩などを加えることなく保存安定性に優れる粉末調味料の形態とすることができる。
本発明の調味料中の(A)及び(B)の総含有量は、特に限定されず、添加剤等の他の成分の含有量に応じて変化し得るが、通常は0.00001〜100重量%である。本明細書において、(A)又は(B)が液体の場合は、濃度や含有量等は固形分の重量で換算することができる。
また本発明の調味料中の(A)及び(B)の総含有量は、本発明の組成物の飲食品への添加比率によっても変わり得るが、通常(A)50〜50,000ppm及び(B)1〜95%、好ましくは(A)100〜10,000ppm及び(B)5〜65%、より好ましくは(A)1,000〜5,000ppm及び(B)10〜35%である。
本発明の調味料において、(A)の合計量と(B)の重量比((A):(B))は、通常1:1〜1:50,000であり、1:1〜1:5,000が好ましく、1:1〜1:500がより好ましい。重量比が上記範囲内であれば、風味、辛さ、厚みなどの香辛料感を増強するのに好適となる。
本発明の調味料は、自体公知の方法を用いて、(A)及び(B)、ならびに必要に応じて添加剤等の飲食品に使用可能な各種成分を混合することにより製造することができる。添加剤としては、例えば食品に使用可能な緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、pH調整剤等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば酢酸ナトリウム等が、防腐剤としては、例えば亜硝酸ナトリウム等が、抗酸化剤としては、例えばL−アスコルビン酸等が、着色剤としては、例えばベニバナ色素等が、矯味剤としては、例えばハッカ油等が、pH調整剤としては、例えば乳酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の調味料の有効成分である(A−1)メチオノール、(A−2)2−フェニルエタノール及び(B)は、2又は3つの調味料に別々に含有されていてもよく、両者が1つの調味料中に含有されていてもよい。(A−1)を含有する調味料、(A−2)を含有する調味料、(B)を含有する調味料というように3つの別々の調味料として本発明の調味料を調製した場合(即ち調味料の併用)、上記の(A−1)、(A−2)及び(B)の配合比率は、各調味料に含有される各成分の重量の比である。またこの場合、香辛料感増強のためにそれらを飲食品等に添加するタイミングは、同時であっても別々であってもよく、またいずれを先に添加してもよい。
本明細書において、「香辛料」とは、植物の葉、茎、樹皮、根、花、蕾、種子、果実、果皮又はそれらの抽出物であって、食品や飲料に特別な風味を与えることを目的として使用されるものをいう。また「香辛料感」とは、風味、厚みなどの香辛料の賦香効果/賦香作用及び辛みなどのヒトの鼻や舌に刺激を与える作用などによって飲食品等に付与される芳香をいう。
「風味」とは、香辛料由来の口内から鼻腔に抜ける香気である。
「辛さ」とは、香辛料由来の口内に感じる持続性のある刺激である。
「厚み」とは、飲食品を口に含んだときに、飲食品の味を濃く感じさせる感覚である。
本発明の調味料は、香辛料感を増強するために使用することができる。香辛料感の増強は、種々の官能評価方法により評価することができる。官能評価は、例えば、本発明の調味料を添加した香辛料を含有する飲食品(例えば、カレースープ等の香辛料の風味を有する加工食品)について、十分に訓練された専門パネルにより実施され、本発明の調味料を添加しない香辛料を含有する飲食品をコントロールとして、風味、辛さ、厚みを指標に香辛料感の増強が評価される。評価基準は、例えば、「コントロールと比較して効果が非常に明瞭である」、「コントロールと比較して効果がより明瞭である」、「コントロールと比較して効果が明瞭である」、「コントロールと比較して効果が明瞭でない」などとすることができ、その結果を数値等で表してもよい。
本発明の調味料にはさらに香辛料を含んでもよい。香辛料は、本発明の調味料によってその風味、辛さ、厚みなどが増強される香辛料であれば、特に限定されないが、例えば、カルダモン、レモングラス、ローリエ、コリアンダー、クローブ、ナツメグ、メース、オールスパイス、シナモン、フェンネル(ウイキョウ)、クミン、ジンジャー、レッドペッパー、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、キャラウェイ、アニス、バジル、パセリ、セージ、タイム、オレガノ、ローズマリー、セロリシード、ミント、ガーデンクレス、ディル、マジョラム、タデ、ターメリック及びセロリが挙げられる。なかでもカルダモン、レモングラス、ローリエ、コリアンダー、クローブ、ナツメグ、オールスパイス、クミン、ジンジャー、レッドペッパー、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、バジル、タイムが好ましく、カルダモン、レモングラス、クローブ、オールスパイスがより好ましい。
また、本発明においては、香辛料とは上記香辛料に含まれている芳香を有する化合物である「香気成分」も含む概念である。香辛料の芳香は、香辛料に含まれている香気成分の組成によって特徴付けられることが知られており、例えば、カルダモンはリナロール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、α−ピネン、α−酢酸テルピニル、酢酸リナリル、リモネン、シネオール等を、ローリエはリナロール、α−テルピネオール、α−ピネン、β−ピネン、α−酢酸テルピニル、酢酸リナリル、リモネン、シネオール等を、コリアンダーはリナロール、α−テルピネオール、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、γ−テルピネン等を、クローブはオイゲノール等を、ナツメグ、メースはリナロール、α−テルピネオール、α−ピネン、β−ピネン、α−フェランドレン、β−フェランドレン、リモネン、α−テルピネン、γ−テルピネン等を、香気成分として含有することが知られている。本発明の調味料によってその風味、辛さ、厚みが増強される香気成分は、特に限定されないが、例えば酢酸リナリル、α−酢酸テルピニル、リナロール、シネオール、オイゲノール、リモネン、α−テルピネオール及びα−テルピネンなどが挙げられる。
香辛料感は、上記香辛料を単独で又は組み合わせて用いることにより得られるものであってよい。本発明の調味料において香辛料を含む場合には、(A)の合計量に対して、0.1〜100倍、1倍〜10倍程度の香辛料の添加が挙げられる。上記範囲内であれば、香辛料の持つ風味、辛さ、厚みなどの香辛料感を増強することができる。
本発明の調味料の形態は、特に限定されず、例えば、粉末、液体、ペースト等が挙げられる。
本発明の調味料は、さらに食品原料(アミノ酸系うま味調味料(例、グルタミン酸ナトリウム等);核酸系うま味調味料(例、イノシン酸ナトリウム等);食品添加物(例、クエン酸等);アミノ酸(例、グリシン、アラニン等);(B)以外のたん白加水分解物;家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等);アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応又はメイラード反応)を利用した加工食品;生肉を原料に使用した加工食品;酵素等で分解した加工食品;コク味を付与する機能を持つペプチド類等を配合した加工食品等)を1種以上(好ましくは1種類〜100種類)混合することにより、天然系調味料又は風味調味料として調製してもよい。「天然系調味料」とは、アミノ酸系うま味調味料(例、グルタミン酸ナトリウム等);核酸系うま味調味料(例、イノシン酸ナトリウム等);食品添加物(例、クエン酸等);アミノ酸(例、グリシン、アラニン等);たん白加水分解物;家畜家禽肉、魚介、野菜、酵母由来のエキス(例、チキンエキス、ポークエキス、ビーフエキス、酵母エキス等);アミノ酸と糖の加熱褐変反応(アミノカルボニル反応又はメイラード反応)を利用した加工食品;生肉を原料に使用した加工食品;酵素等で分解した加工食品;コク味を付与する機能を持つペプチド類等を配合した加工食品等の食品原料を1種以上(好ましくは1種類〜100種類)含有してなる調味料である。天然系調味料の形態としては、例えば、液状、ペースト状、粉末状、顆粒状等が挙げられる。また、「風味調味料」とは、天然系調味料に砂糖類、食塩等を加えた調味料であり、飲食品に風味原料の香気、風味及び味を付与するために用いられる。風味調味料の形態としては、例えば、液状、ペースト状、粉末状、顆粒状等が挙げられる。
本発明の調味料が天然系調味料又は風味調味料の形態である場合、当該調味料中の(A)及び(B)の含有量は、通常(A)50〜50,000ppm及び(B)1〜85重量%、好ましくは(A)100〜10,000ppm及び(B)5〜65重量%、より好ましくは(A)1,000〜5,000ppm及び(B)10〜35重量%である。
上記調味料のなかでも本発明の調味料は、カレー用調味料として好ましく使用され、カレー風味を有する各種食品に添加することにより、当該食品のもつカレーの風味、辛さ、味の厚みなど総合的香辛料感を増強することができる。例えば、カレーを調理する際又は調製したカレーに添加してもよいし、カレーを調理する際に用いる固形状、顆粒状、ペースト状、液状あるいはフレーク状等のルーに、予め配合して用いることもできる。また本発明の調味料は、そのままで又は後述の添加剤と一緒に容器に充填密封してカレー調理時又は調理後のカレーソースに混合する調味料として提供してもよい。
本発明の調味料がカレー用調味料の形態である場合、最終飲食品に通常0.01〜0.5%程度添加される。カレー用調味料中の(A)及び(B)の含有量は、飲食品への添加比率によっても変わり得るが、通常(A)50〜50,000ppm及び(B)1〜95重量%、好ましくは(A)100〜10,000ppm及び(B)5〜65重量%、より好ましくは(A)500〜5,000ppm及び(B)10〜35重量%である。
本発明の調味料は、香辛料感を簡便且つ効果的に増強することを可能にするため有用である。また本発明の調味料による香辛料感増強効果は加熱処理(例えば、鍋で100℃にて3時間)の後も維持されるため、本発明の調味料を、香辛料(特にカレー用香辛料)を含有する飲食品等に添加すれば、加熱負荷が大きくなっても十分に高い香辛料感を有する飲食品等を製造することができる。工業スケールでの飲食品等の製造においては加熱負荷が大きくなるため、本発明の調味料は特に有用である。
また本発明は、少なくとも(A)及び(B)を飲食品に添加する工程を含む飲食品の製造方法(以下、本発明の製造方法ともいう)、特に香辛料感が増強された香辛料を含有する飲食品の製造方法を提供する。(A)及び(B)を添加することで、飲食品中の香辛料感を増強することができる。従って、本発明の製造方法により製造される飲食品(以下、本発明の飲食品ともいう)は、(A)及び(B)を添加しない従来の飲食品と香辛料の含有量が同じであってもより強い香辛料感を有する。また(A)及び(B)を添加しない従来の飲食品と同等の香辛料感を有する飲食品を製造する場合には、香辛料の含有量をより少なくすることが可能であり、原料コストを従来よりも削減することができる。更に、香辛料、特に賦香効果/賦香作用のある香辛料は熱に弱いことが知られているが、(A)及び(B)による香辛料感増強効果は加熱後も維持されるため、加熱負荷が大きくなる工業スケールでの飲食品等の製造においても、目標品質の再現が可能になる。
本発明の飲食品の態様としては、特に限定されないが、例えばそのまま喫食され得る最終飲食品、最終飲食品を調製するために喫食前に適宜希釈される飲食品等が挙げられる。
(A)のメチオノールと2−フェニルエタノールとの飲食品への添加比率は、上記の本発明中調味料における配合比率と同様である。
(A)と(B)の飲食品への添加比率は、通常1:1〜1:50,000であり、好ましくは1:1〜1:5,000、より好ましくは1:1〜1:500の範囲で設定することができる。この範囲で添加比率を設定することにより、香辛料感増強効果を効果的に得ることができる。
(A)及び(B)の飲食品への添加量は、飲食品本来の風味を損なうことなく香辛料感増強効果が得られる限り特に限定されず、本発明の飲食品の態様によって変わり得るが、そのまま喫食され得る最終飲食品を製造する場合には、当該最終飲食品中の総含有量が以下になるように添加すると香辛料感が効果的に増強される:
(A);通常0.01ppm以上、好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは0.2ppm以上、さらに好ましくは0.5ppm以上であり、通常7ppm以下、好ましくは5ppm以下、より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下、特に好ましくは0.75ppm未満、及び
(B);通常0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.02重量%以上、さらに好ましくは0.03重量%以上、上限は飲食品の味を損なわない範囲で使用することができるが、通常0.2重量%以下、好ましくは0.15重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下。
また、最終飲食品を調製するために喫食前に適宜希釈される飲食品(例えば、カレールーなど)を製造する場合には、(A)及び(B)の当該喫食前に適宜希釈される飲食品への添加量は、最終飲食品中の(A)及び(B)の総含有量が上記範囲となるように、その希釈率に応じて増やすことができる。例えば、喫食時に10倍希釈される飲食品を製造する場合には、当該飲食品中の(A)及び(B)を、上記含有量を10倍にして添加することで香辛料感増強効果を効果的に得ることができる。
(A)及び(B)は、香辛料を含有する飲食品を製造する過程のどの段階で添加されてもよく、香辛料を添加する前であっても、添加と同時であっても、添加した後であってもよい。また(A)及び(B)を飲食品に添加するタイミングは、同時であっても別々であってもよく、またいずれを先に添加してもよい。
(A)及び(B)を飲食品に添加する工程は、本発明の調味料を飲食品に添加することにより好適に行なうことができる。この場合、本発明の製造方法は、少なくとも(A)及び(B)を含有する香辛料感を増強するための組成物を飲食品に添加する工程を含む。
また本発明の調味料の飲食品への添加量は、調味料中の(A)及び(B)の含有量や他の成分の含有量に応じて変化し得るが、飲食品本来の風味を損なうことなく香辛料感増強効果が得られる限り特に限定されず、通常は0.00001〜10重量%程度である。
本発明の調味料は、香辛料を含有する飲食品を製造する過程のどの段階で添加されてもよく、香辛料を添加する前であっても、添加と同時であっても、添加した後であってもよい。また本発明の調味料が、(A−1)を含有する調味料、(A−2)を含有する調味料、(B)を含有する調味料又はいずれかの組合せというように2つ又は3つの別々の調味料として本発明の調味料を調製した場合(即ち調味料の併用)、それら2つ又は3つの調味料を飲食品に添加するタイミングは、同時であっても別々であってもよく、またいずれを先に添加してもよい。
(A)及び(B)を飲食品に添加する工程以外の工程は、当該飲食品の製造において通常用いられる原料を使用して自体公知の方法により行なうことができる。但し、当該飲食品が香辛料を含有しない場合には、本発明の製造方法には、香辛料を添加する工程が更に含まれる。また当該飲食品が通常香辛料を含有する飲食品(例えば香辛料の風味を有する加工食品等)である場合にも、香辛料感を補強するために、香辛料を添加する工程が更に含まれてもよい。これらの場合、香辛料は、飲食品を製造する過程のどの段階で添加されてもよく、本発明の調味料を添加する前であっても、添加と同時であっても、添加した後であってもよい。また複数の香辛料を添加する場合には、それらを飲食品に添加するタイミングは、同時であっても別々であってもよく、添加する順序も特に限定されない。
香辛料の添加量は、上記官能評価において香辛料感が認識される限り、特に限定されず、また香辛料の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、飲食品がカレースープの場合、カルダモン等の香辛料を各々2ppm程度の濃度(本明細書中、香辛料の濃度は、飲食品等に添加される香辛料の乾燥重量に基づき計算される。)まで添加すれば香辛料感が付与される。
本発明の飲食品中の(A)及び(B)と香辛料との含有比率は、香辛料の種類に応じて適宜設定することができる。
本発明の調味料を飲食品に添加することにより(A)及び(B)を添加する場合、本発明の飲食品中の本発明の調味料と香辛料との含有比率は、香辛料の種類に応じて適宜設定することができる。
本発明の飲食品は、香辛料を含有し得るものであれば特に限定されないが、例えば、加工食品又は飲料である。加工食品としては、例えば以下のものが挙げられる:カレー、カレースープ、レトルトカレー等の必要に応じて熱水、電子レンジ等の加熱手段で加温するか、あるいはそのまま喫食し得る形態の調理済みカレー食品、カレールー又はカレー粉などのカレーを調理するのに用いる食品基材;シチュー、ハヤシライス、ストロガノフ等の煮込み類;コーンスープ等のポタージュスープ、コンソメスープ、わかめスープ、トムヤムクン等のスープ類;グラタン、ドリア、ラザニア等のグラタン類;コロッケ等のフライ、天ぷら、唐揚げ、フライドポテト、ポテトチップス等の揚げ物;焼き肉、ステーキ、ハンバーグ、焼き鳥等の肉類の焼き物又は炒め物;焼き魚、エビのチリソース等の魚介類の焼き物又は炒め物;野菜のグリル、野菜炒め等の野菜の焼き物又は炒め物;チャーハン、ピラフ等の米飯加工食品;スパゲッティー等のパスタ、ラーメン、焼きそば等の麺類;ギョウザ、シュウマイ、ピザ等の麺帯利用食品;スナック菓子、煎餅、クッキー等の菓子;スパイス(単品);ハヤシルー、シチューの素等のルー類;ユズコショウ、花椒塩、その他の合わせ調味料;ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソースに代表されるウスターソース類、オイスターソース、チリソース、タバスコソース、ホワイトソース、ブラウンソース等のソース類;フレンチドレッシング等のドレッシング類;焼き肉のたれ、蒲焼きのたれ等のたれ類;うどんつゆ等のつゆ類;ごま油、ラー油等の油類;固形コンソメ、液体コンソメ等のコンソメ類;及び、七味唐辛子、豆板醤、コチュジャン等の辛味調味料類。飲料としては、例えば、清涼飲料、果汁飲料、スポーツ飲料、栄養飲料等が挙げられる。(A)及び(B)の添加による香辛料感増強効果が顕著であることから、本発明の飲食品は好ましくは加工食品であり、より好ましくは、カレー、カレースープ、レトルトカレー等のカレー食品、カレールー又はカレー粉等のカレーを調理するのに用いる食品基材、スパイス(単品)である。
更に本発明は、(A)及び(B)を香辛料と共存させる工程を含む、香辛料感増強方法を提供する。本発明の香辛料感増強方法により、香辛料感を簡便且つ効果的に増強することが可能である。
(A)及び(B)を香辛料と共存させる工程は、共存していれば特に限定されないが、(a)(A)及び(B)と香辛料とを直接混合することにより行なうか、又は(b)(A)及び(B)を、香辛料を含有する飲食品に添加することなどにより行なうことができる。いずれの場合にも、上記本発明の製造方法において記載したように香辛料感増強効果が得られる含有比率で、(A)及び(B)と香辛料とを混合すればよい。また(A)及び(B)と香辛料とを混合する順番も特に限定されない。例えば、上記(b)の場合、(A)及び(B)と香辛料との混合はいかなる時点で行なってもよく、例えば上記本発明の製造方法における(A)及び(B)を飲食品に添加する工程と同様に飲食品等に添加するか、又は飲食品の製造後、喫食前若しくは喫食中に(A)及び(B)を、香辛料を含有する飲食品に添加すればよい。
(A)及び(B)を香辛料と混合する工程は、本発明の調味料を香辛料と混合することにより行なってもよい。この場合、本発明の調味料を香辛料と混合する工程は、(a)本発明の調味料と香辛料とを直接混合することにより行なうか、又は(b)本発明の調味料を香辛料を含有する飲食品等に添加することにより行なうことができる。いずれの場合にも、上記本発明の製造方法において記載したように、香辛料感増強効果が得られる含有比率で(A)及び(B)と香辛料とが含有されるように、本発明の調味料と香辛料とを混合すればよい。また本発明の調味料と香辛料とを混合する順番も特に限定されない。例えば、上記(b)の場合、本発明の調味料と香辛料との混合はいかなる時点で行なってもよく、例えば上記本発明の製造方法における(A)及び(B)を飲食品に添加する工程と同様に本発明の調味料を飲食品等に添加するか、又は飲食品の製造後、喫食前若しくは喫食中に本発明の調味料を香辛料を含有する飲食品に添加すればよい。
以下、本発明について実施例で更に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの例によって制限されるものではない。また本実施例における官能評価は、特に断りのない限り、食品業務に10年以上従事している充分に訓練された専門パネルを用いて実施した。なお本明細書中においては、特に断りのない限り、%及びppmは重量%及び重量ppmを表す。
試験例1
たん白加水分解物のカレーへの添加効果確認
インドカレー系カレーソース(新宿中村屋社製「プレミアムチキンカリーの素」)を水で1.2倍に増量したものを、90℃以上となるように温めた後に、表1に記載の香料成分(以下香料と略す)又は表2に記載の加水分解物を添加して評価を行った。
Figure 2016189716
Figure 2016189716
E−HVPは植物性たん白の酵素加水分解物、HVPは植物性たん白の塩酸加水分解物及びHAPは動物性たん白質の塩酸加水分解物を示す。
たん白塩酸加水分解物は、常法によりたん白原料(大豆、とうもろこし、小麦、ゼラチン)を濃塩酸による高温加水分解、アルカリでのpH5付近までの中和、分解残渣濾過、濃縮を行い、スプレードライした粉末である。
小麦グルテン酵素分解調味料Aは、WO2006/104022の実施例1の第1段落に記載の方法に準じ、小麦グルテンをアスペルギルス・オリゼー培養液で20時間以上酵素分解した後、限外濾過膜にて分子量30,000を超える画分を除去したものをスプレードライした乾燥粉末である。
小麦グルテン酵素分解調味料Bは、WO2004/096836の実施例1の第1段落に記載の方法に準じ、小麦グルテンをアスペルギルス・オリゼー培養液で20時間以上酵素分解した後、スプレードライした乾燥粉末である。
「コウジ・ベース」(粉末)は、脱脂大豆の酵素分解調味料「コウジ・ベース」(味の素社製)をスプレードライした乾燥粉末である。
香料は、A−1:A−2=6:1の比率で混合したものを使用し、上記ソースに表4に記載の濃度になるように添加した。加水分解物は、加水分解方法及び由来たん白の異なる素材を選定し、表5に記載の濃度になるようにカレーソースに添加した。
表3に示すように、カレーソースの香辛料を増量したときのような「風味」、「辛さ」、「厚み」の3項目の総合を「香辛料感」として10段階で5人の専門パネルによる官能評価を行った。コントロールは素材無添加品とした。香料単体の官能評価の結果を表4及び加水分解物単体の官能評価の結果を表5に示す。
Figure 2016189716
Figure 2016189716
Figure 2016189716
香料、各種たん白加水分解物ともに「風味」「辛さ」「厚み」の3点をバランス良く、かつ大きく増強するには至らなかった。主に香料は風味を増強するが、厚みが弱く、たん白加水分解物は厚みを増強するが風味は増強しない傾向が認められた。たん白加水分解物中で効果のあるものの中で小麦グルテン酵素分解調味料Aの効果が良好であった。
試験例2
メチオノール、2−フェニルエタノールとたん白加水分解物の複合物のカレーへの添加効果確認
試験例1と同じカレーソースを用い、同様の比率(6:1)で混合した香料の濃度を1.03ppm、加水分解物の濃度を0.022%となるように添加したカレーソースを試験例1と同じ評価方法で試験した。官能評価の結果を表6に示す。
Figure 2016189716
たん白加水分解物を香料と組み合わせることで、単体では効果が弱い、又は発揮していない機能が明らかに増強されることを確認した。特に小麦グルテン酵素分解調味料Aは相乗的な効果を発揮し、香料と特定のたん白加水分解物を組み合わせることで「香辛料感」(風味、辛さ、厚み)を総合的に増強させ、かつ、相乗的に香辛料感を増強することが確認された。いっぽう「A−1000」及びとうもろこし塩酸加水分解物は、香料と組み合わせることで単体の香料で確認された効果を感じにくくすることがわかった。
試験例3
香料と小麦グルテン酵素分解調味料Aの最適添加量の把握
試験例1と同じカレーソースを用い、同様の比率(6:1)で混合した香料及びたん白加水物の濃度を表7に記載の添加量で添加したカレーソースを試験例1と同じ評価方法で試験した。官能評価を表7に示す。
Figure 2016189716
香料と小麦グルテン酵素分解調味料Aを組み合わせることにより、単体以上の効果を発揮した。また配合比率の違いにより香辛料感を増強する効果が異なり、香料を多量に添加した場合にはたん白加水分解物との組み合わせによる相乗効果が小さくなることが確認された。香料と小麦グルテン酵素分解調味料Aを組み合わせることによりカレー中で相乗効果を発揮することを確認した。
試験例4
市販カレーへの添加効果
香料と小麦グルテン酵素分解調味料Aの混合物を他の市販カレーに添加することにより「香辛料感」が増強されるかを、表8に示す各カレーのサンプルに、香料1.03ppm及び小麦グルテン酵素分解調味料A0.05%を添加し、下記の評価基準に基づき5人の専門パネルによる官能評価を行った。官能評価の結果を表8に示した。
評価基準:混合物の添加により市販カレーの香辛料感の増強が認められること
◎ :無添加品に対し効果が非常に明瞭である
○ :無添加品に対し効果が明瞭である
Figure 2016189716
香料と小麦グルテン酵素分解調味料Aの混合物は、「風味」「辛さ」「厚み」ともいずれのカレーにも増強効果があった。アジア系カレーなどには効果が特に強く表れ、香辛料感が顕著に増強された。
試験例5
香辛料との相性評価
添加した香辛料効果が分かりやすいよう市販品カレーフレークを下記表9の配合に基づいて混合し、10分加熱してカレースープを調製した。表10に記載のように各香辛料が認識できる量を添加し、香料1.03ppm及び小麦グルテン酵素分解調味料A0.05%を添加して、各香辛料感を増強する効果について専門パネルによる官能評価を実施した。実施例に用いた香辛料は一般的にインド、アジア系カレー等に使用される香辛料のうち、市場で入手しやすいものを選択した。下記の評価基準に基づき3人の専門パネルによる官能評価を行った。
評価は、各香辛料を表9の添加量(1倍量)添加したサンプルをコントロールとし、コントロールにさらに、香料と小麦グルテン酵素分解調味料Aを上記のとおり添加することで香辛料感が増強するかを評価した。その際、各香辛料を表10の添加量の5倍量添加したサンプルも比較対照とし、下記評価基準の通り評価を行った。官能評価の結果を表10に示した。
評価基準:添加した各香辛料の特有の香辛料感を増強させていること
◎◎:香辛料5倍添加品以上の効果
◎ :香辛料5倍添加品と同等
○ :香辛料1倍添加以上、香辛料5倍添加品以下の効果
Figure 2016189716
Figure 2016189716
いずれの香辛料を添加したカレースープにおいても、香料と小麦グルテン酵素分解調味料Aの添加により香辛料感増強効果が認められた。香辛料感増強効果は、カルダモン、レモングラス、オールスパイス及びクローブを添加した場合に最も強かった。
本発明によれば、香辛料感が効果的に増強されることから、一定量の香辛料を削減した飲食品等においても削減前と同等もしくはそれ以上の香辛料感を得ることが可能となり、飲食品等の製造において香辛料感を損なうことなく原料コストを削減することができる。

Claims (11)

  1. (A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物、を含む調味料。
  2. (B)が、麹菌酵素による小麦たん白及び/又は大豆たん白の加水分解物である請求項1に記載の調味料。
  3. 調味料中の(A)と(B)の重量比が、1:1〜1:50,000である請求項1または2に記載の調味料。
  4. 更に香辛料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の調味料。
  5. 香辛料感を増強するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調味料。
  6. カレー用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の調味料。
  7. (A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物を飲食品に添加する工程を含む飲食品の製造方法。
  8. 飲食品中に(A)0.01ppm以上7ppm以下及び(B)0.001重量%以上0.2重量%以下となるように添加する請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の製造方法により得られる、飲食品。
  10. 飲食品が、カレー食品である請求項9の飲食品。
  11. (A)メチオノール及び2−フェニルエタノール並びに(B)分子量30,000を超える画分を含まないたん白加水分解物を香辛料と共存させる工程を含む、香辛料感増強方法。
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