JP2016176168A - ゴム補強用コード - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、初期強力が高く、かつ疲労後の強力保持率が高く、耐疲労性に優れる、有機繊維からなるゴム補強用コードを提供することを目的とする。
さらに、前記下撚りコードのうちの少なくとも1本に、ナイロン糸を撚糸したものを含ませるようにすることにより、疲労後の強力保持率が飛躍的に向上することを見出した。
2)下撚り時の撚係数が2〜10の範囲であり、上撚り時の撚係数が2〜10の範囲である、上記1)に記載のゴム補強用コード。
3)エポキシ化合物を浸透させた前処理糸の初期弾性率が、300cN/dtex〜750cN/dtexである、上記1)または2)に記載のゴム補強用コード。
4)上記1)〜3)いずれかに記載のゴム補強用コードに、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする接着剤が付与されたゴム補強用コード。
5)上記1)〜4)のいずれかに記載のゴム補強用コードにおいて、前記下撚りコードのうちの少なくとも1本に、ナイロン糸を撚糸したものを含むことを特徴とするゴム補強用コード。
それによって、初期強力と疲労後の強力が一定した、品質のバラツキがないゴム補強用コードを得ることができ、これを使用することで、強力が安定した高品質の自動車・自転車用タイヤ、搬送ベルト等を提供することができる。
R={(m1−m2)/m2}×100
R :水分率[%]
m1:試料の採取時の質量[g]
m2:試料の絶乾質量[g]
アラミド繊維中の水分率が15質量%以上としたのは、水分率が一度でも15質量%未満になると、アラミド繊維の構造が緻密になり、エポキシ化合物を均一に繊維骨格内に浸透させることが困難になり、ゴムとの架橋効果が得られないためである。アラミド繊維中の水分率は、エポキシ化合物を繊維骨格内へ均一に浸透させるために、25質量%以上が好ましい。
また、アラミド繊維中の水分率は、100質量%以下であることが好ましい。水分率が高いことはエポキシ化合物を付与する上で特に問題はないが、水分量が多すぎる場合、エポキシ化合物を浸透させた後、巻き取り工程までにガイド等に接触した際にエポキシ化合物が水分と一緒に脱落してしまう可能性がある。
エポキシ化合物を浸透させるアラミド繊維中の水分率は、25〜70質量%であることがより好ましく、特に好ましくは25〜50質量%である。
R1 −O−(AO)n−R2 ・・・・・(I)
上記一般式(I)において、R1は炭素原子数1〜10、好ましくは炭素原子数4〜8のアルキル基またはアルケニル基であり、R2は水素原子、または炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素原子数1〜5のアルケニル基を示す。好ましくは、R2は水素原子である。また、Aは炭素原子数2〜4のアルキレン基、好ましくは炭素原子数2〜3のアルキレン基であり、nはオキシアルキレン基(AO)の平均付加モル数を表す、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは2〜8である。なお、−(AO)−においては、同一のオキシアルキレン基が単独で付加していても、2種類以上のオキシアルキレン基が付加していてもよい。
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコール(n=3)グリセリルエーテル等が挙げられる。
撚係数(K)=0.0033×T×D1/2
T:撚数(T/10cm)
D:アラミド繊維の総繊度(dtex)
さらに、ナイロン糸と合糸することにより、アラミド前処理糸で作製したディップコードと比べ初期強力は低下するが、従来のアラミド繊維糸からなるディップコードに比べて疲労後強力が高くなり、100%に近い疲労後強力保持率が得られることから、高品質の製品を提供できる。
(1)初期弾性率
引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)により、糸試験用チャックを用いて、ASTM D7269/D7269M−10の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
測定環境温度:24±3℃
湿度:55±5%
試験速度:250mm/分
チャック間距離:500mm
引張試験機(エイ・アンド・デイ社製 商品名:テンシロン、型式:RTM1T)を使用してJIS L 1017:2002の方法の手順に基づき、以下の条件で測定を実施した。
[測定条件]
測定環境温度:20±3℃
湿度:65±5%
試験速度:100mm/分
チャック間距離:250mm
ベルト式屈曲疲労試験機(上島製作所社製)を用い、JIS L 1017:2002に準じて測定した。厚さ4mmのゴムシートに本発明の方法で処理したコードを16本/inchで打ち込み、0.4mmのゴムシートで挟み込み2層に平行に並べて150℃で30分間、50kg/cm2のプレス圧力で加硫した。加硫後のゴムシートを1inch幅×410mm長のベルト形状に切断し、これを直径1inchφのローラーに取り付けて荷重50kgをかけ、180rpmの速度で往復運動を24時間繰り返した。疲労負荷後のベルトサンプルをトルエンに浸漬して膨潤させた後、2層のゴムシートのうちローラー接地側の層よりコードを取り出し、JIS L 1017:2002の方法により強力を測定して疲労後強力とした。また、初期強力対比の疲労後強力の割合を疲労後強力保持率(%)とした。
公知の方法で得られたポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(分子量約20,000)1kgを4kgの濃硫酸に溶解し、直径0.1mmのホールを1,000個有する口金からせん断速度30,000sec−1となるよう吐出し、4℃の水中に紡糸した後、10%の水酸化ナトリウム水溶液で、10℃×15秒の条件で中和処理した。その後、脱水処理をして、0.8g/dtexの張力下、110℃で低温乾燥を行い、水分率を45%に調整した。次に、エポキシ化合物を50%以上含有する油剤を、水分率0%に換算したときの繊維質量に対し1.0%となるように付着させた。この後、乾燥処理をして水分率を5%にまで下げ、初期弾性率520cN/dtexのPPTA繊維を得た。
得られたPPTA繊維1,670dtex(エポキシ前処理糸、初期弾性率520cN/dtex)をZ方向に40t/10cmで加撚して下撚りコードを作成し、この下撚りコードを2本使用しS方向に40t/10cmで加撚して上撚り撚糸コードを作成した。
得られた上撚り撚糸コードをビニルピリジン・スチレン・共役ジエンゴムラテックスおよびエポキシ化合物を主成分とする第1の接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理した。さらにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする第2の接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理することによりアラミド繊維コードを完成した。結果を表1に示す。
実施例1と同様の上撚り撚糸コードを作成した。得られた上撚り撚糸コードをレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理することによりアラミド繊維コードを完成した。結果を表1に示す。
公知の方法で得られたポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(分子量約20,000)1kgを4kgの濃硫酸に溶解し、直径0.1mmのホールを1,000個有する口金からせん断速度30,000sec−1となるよう吐出し、4℃の水中に紡糸した後、10%の水酸化ナトリウム水溶液で、10℃×15秒の条件で中和処理した。その後、脱水処理をして、0.4g/dtexの張力下、110℃で低温乾燥を行い、水分率を45%に調整した。次に、エポキシ化合物を50%以上含有する油剤を、水分率0%に換算したときの繊維質量に対し1.0%となるように付着させた。この後、乾燥処理をして水分率を5%にまで下げ、初期弾性率380cN/dtexのPPTA繊維を得た。
得られたPPTA繊維1,670dtex(エポキシ前処理糸、初期弾性率380cN/dtex)を用いて、実施例1と同様の方法により上撚り撚糸コードを作成した。
得られた上撚り撚糸コードを用いて実施例1と同様の方法によりアラミド繊維コードを完成した。結果を表1に示す。
実施例3と同様の上撚り撚糸コードを作成した。得られた上撚り撚糸コードを用いて実施例2と同様の方法によりアラミド繊維コードを完成した。結果を表1に示す。
公知の方法で得られたポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(分子量約20,000)1kgを4kgの濃硫酸に溶解し、直径0.1mmのホールを1,000個有する口金からせん断速度30,000sec−1となるよう吐出し、水中に紡糸した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和処理した。その後、0.8g/dtexの張力下、脱水と熱処理を行い水分率15%以下とし、初期弾性率527cN/dtexのPPTA繊維を得た。
得られたPPTA繊維1,670dtex(エポキシ未処理糸、初期弾性率527cN/dtex)を用いて、実施例1と同様の方法により、アラミド繊維コードを完成した。結果を表1に示す。
公知の方法で得られたポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)(分子量約20,000)1kgを4kgの濃硫酸に溶解し、直径0.1mmのホールを1,000個有する口金からせん断速度30,000sec−1となるよう吐出し、水中に紡糸した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和処理した。その後、0.4g/dtexの張力下、脱水と熱処理を行い水分率15%以下とし、初期弾性率375cN/dtexのPPTA繊維を得た。
得られたPPTA繊維1,670dtex(エポキシ未処理糸、初期弾性率375cN/dtex)を用いて、実施例1と同様の方法により、アラミド繊維コードを完成した。結果を表1に示す。
実施例1で得られたPPTA繊維1,670dtex(エポキシ前処理糸、初期弾性率520cN/dtex)を、Z方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本と、ナイロン66繊維1,400dtexをZ方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本を使用し、S方向に40t/10cmで加撚して上撚り撚糸コードを作製した。
得られた上撚り撚糸コードをビニルピリジン・スチレン・共役ジエンゴムラテックスおよびエポキシ化合物を主成分とする第1の接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理した。さらにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする第2の接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理することによりディップコードを完成した。結果を表2に示す。
実施例5と同様の上撚り撚糸コードを、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理することによりディップコードを完成した。結果を表2に示す。
実施例3で得られたPPTA繊維1,670dtex(エポキシ前処理糸、初期弾性率380cN/dtex)を、Z方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本と、ナイロン66繊維1,400dtexをZ方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本を使用し、S方向に40t/10cmで加撚して上撚り撚糸コードを作製した。得られた上撚り撚糸コードを用いて実施例5と同様の方法によりディップコードを完成した。結果を表2に示す。
実施例7と同様の上撚り撚糸コードを、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする接着剤処理液に浸漬し、140℃で2分間熱処理を実施して水分を除去し、その後230℃で1分間熱処理することによりディップコードを完成した。結果を表2に示す。
比較例1で得られたPPTA繊維をZ方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本と、ナイロン66繊維1,400dtexをZ方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本を使用し、S方向に40t/10cmで加撚して上撚り撚糸コードを作製した。上撚り撚糸コードを用いて、実施例5と同様の方法によりディップコードを完成した。結果を表2に示す。
比較例2で得られたPPTA繊維をZ方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本と、ナイロン66繊維1,400dtexをZ方向に40t/10cmで加撚した下撚りコード1本を使用し、S方向に40t/10cmで加撚して上撚り撚糸コードを作製した。上撚り撚糸コードを用いて、実施例5と同様の方法によりディップコードを完成した。結果を表2に示す。
Claims (5)
- 少なくとも2本以上の下撚りコードを引き揃えて上撚りをかけた有機繊維からなるゴム補強用コードであって、前記下撚りコードのうちの少なくとも1本が、紡出後水分率が15質量%未満に乾燥された履歴を持たないアラミド繊維骨格内に、エポキシ化合物を浸透させ、水分率7質量%以下に乾燥した、前処理糸を撚糸したものであることを特徴とするゴム補強用コード。
- 下撚り時の撚係数が2〜10の範囲であり、上撚り時の撚係数が2〜10の範囲である、請求項1に記載のゴム補強用コード。
- エポキシ化合物を浸透させた前処理糸の初期弾性率が、300cN/dtex〜750cN/dtexである、請求項1または2に記載のゴム補強用コード。
- 請求項1〜3いずれかに記載のゴム補強用コードに、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を主成分とする接着剤が付与されたゴム補強用コード。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム補強用コードにおいて、前記下撚りコードのうちの少なくとも1本に、ナイロン糸を撚糸したものを含むことを特徴とするゴム補強用コード。
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