JP2016169283A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱安定性が改善された熱可塑性樹脂組成物の提供。【解決手段】式1で表される単位、2種の式2で表される単位を有するアクリル系共重合体と、スピロビシクロ有機リン系化合物とを含み、有機リン系化合物が、該共重合体に対して0.01〜2質量部、該共重合体が、50〜95質量%の式1で表される単位と0.1〜20質量%の式2で表される単位と、0.1〜49.9質量%の別の式2で表される単位とを有する樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物に関する。特に、光学材料に適した光学特性を有し、熱安定性にも優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
近年、液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機EL表示装置等のフラットパネルディスプレイや、赤外線センサー、光導波路等の進歩に伴い、透明性に優れるだけでなく光学材料としての光学特性(いわゆる低複屈折性)を有する材料が求められようになってきている(特許文献1)。
一方、自動車用部品を想定した場合、例えば、テールランプでは、ランプ自体の大型化、照度アップからくる発熱の増加、及びコスト低減に伴う薄肉化の両面から、従来の光学材料に比較して、より高い耐熱性を有する光学材料が要求されている。また、例えば、車両用計器カバーにおいては、近年、車両内装のデザイン性、計器類の視認性等の観点から、直射日光に曝されやすい位置に取り付けられる場合が増加しており、従来よりも高温条件下に置かれる傾向にあり、二輪者(オートバイ)のメーターカバー、太陽熱エネルギー利用の温水器カバー等直射日光下で温度が非常に上昇する部品などでも耐熱性のある光学材料が求められている(特許文献2)。
従来のメタクリル樹脂と同等の優れた機械的性質、耐候性、透明性を保持するとともに、従来のメタクリル樹脂が持ちえなかった優れた耐熱性を有する樹脂として、メタクリル酸メチル/スチレン/無水マレイン酸系共重合体が広く知られている(特許文献1、特許文献3)。また、耐熱性と低複屈折性を有するメタクリル樹脂として、メタクリル酸メチル単量体と、1種又は2種以上のN−置換マレイミド単量体単位とからなる共重合体が知られている(特許文献4)。
また、複屈折を通常のPMMAより小さいものに改良した低複屈折性メタクリル樹脂(メタクリル酸メチル/スチレン/無水マレイン酸/メタクリル酸ベンジル共重合体)に対して特定のリン化合物を組み合わせることにより、耐熱性を維持しつつ熱安定性を改良した技術が知られている(特許文献5)。
一方、極めて小さい複屈折と優れた耐熱性、及び湿熱条件下での複屈折の長期安定性を有するメタクリル樹脂が知られている。当該メタクリル樹脂は、メタクリル酸メチル単量体単位、N−芳香族置換マレイミド単量体単位及びN−脂環式アルキル置換マレイミド単量体単位を必須成分として含む共重合体樹脂であり、低複屈折性、配向複屈折及び光弾性複屈折がいずれもゼロ(いわゆる光学等方性)というものである(特許文献6)。
また、主鎖にヒドロキシル基とエステル基とを有する(メタ)アクリル系重合体を加熱すると、アルコールが副生成物として発生して、成形品に気泡やシルバーストリークが生じる問題がある為、環化残渣を減らすことで成型時の気泡を減らす技術が知られている(特許文献7)。該特許文献に記載されているのは、環化反応後の加熱工程(例えば、成型工程)において発生する気泡の数を抑制する技術である。
また、主鎖にヒドロキシル基とエステル基とを有する(メタ)アクリル系重合体を加熱すると、アルコールが副生成物として発生して、成形品に気泡やシルバーストリークが生じる問題がある為、環化残渣を減らすことで成型時の気泡を減らす技術が知られている(特許文献7)。該特許文献に記載されているのは、環化反応後の加熱工程(例えば、成型工程)において発生する気泡の数を抑制する技術である。
しかしながら、メタクリル酸メチル/スチレン/無水マレイン酸/メタクリル酸ベンジル系共重合体は、大気中の水分の影響により樹脂構造が変化(環構造が加水分解により開環)しやすく、用途によっては使用が適さないことがある。また、メタクリル酸メチル/N−芳香族置換マレイミド/N−脂環式アルキル置換マレイミド系共重合体は、成形加工時の溶融樹脂粘度が高いために高温溶融成形が必要であることから、熱安定性の向上が求められている。
そこで本発明は、熱安定性が改善された樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、特定のアクリル系共重合体と特定の有機リン系化合物とを含む樹脂組成物が、格段に熱安定性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]下記式(1)で表される第一の構造単位、下記式(2)で表される第二の構造単位及び下記式(3)で表される第三の構造単位を有するアクリル系共重合体と、下記式(A)で表される有機リン系化合物と、を含み、有機リン系化合物の含有量が、アクリル系共重合体100質量部に対して0.01〜2質量部であり、アクリル系共重合体が、その総量基準で、50〜95質量%の第一の構造単位と、0.1〜20質量%の第二の構造単位と、0.1〜49.9質量%の第三の構造単位とを有する、樹脂組成物。
[式中、R1は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記A群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示す。
A群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。]
[式中、R2は、炭素数7〜14のアリールアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、又は、下記B群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基、を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
B群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。]
[式中、R5は、水素原子、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12のアルキル基、又は、下記C群より選ばれる少なくとも一種の置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基、を示し、R6及びR7はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
C群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基。]
[式中、R8、R9は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基置換フェニル基のいずれかを示す。]
[2]ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物、及び、有機リン系化合物に属しない亜リン酸エステル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を0.01〜1質量部更に含む[1]記載の樹脂組成物。
[3]アクリル系共重合体におけるハロゲン原子の含有率が、アクリル系共重合体の総量基準で0.47質量%未満である[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
[4]第三の構造単位の含有量に対する第二の構造単位の含有量のモル比が、0より大きく15以下である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[5]下記方法によって測定される長径1μm以上の気泡の数が100個/g以下である、[1]〜[4]いずれか1つに記載の樹脂組成物。
気泡の数の測定法:アクリル系重合体をJIS K7210に規定されるメルトインデクサーのシリンダー内に装填し、260℃で20分間保持した後、3.8kg荷重にてストランド状に押出し、メルトインデクサーのピストンの上部標線から下部標線との間に押出されたストランドに存在する長径が1μm以上の気泡の個数を数えて、重合体1gあたりの個数に換算する。
[6]アクリル系共重合体のGPC測定法によるポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量が、3000〜1000000であり、分子量分布が、1.5〜4.0である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[1]下記式(1)で表される第一の構造単位、下記式(2)で表される第二の構造単位及び下記式(3)で表される第三の構造単位を有するアクリル系共重合体と、下記式(A)で表される有機リン系化合物と、を含み、有機リン系化合物の含有量が、アクリル系共重合体100質量部に対して0.01〜2質量部であり、アクリル系共重合体が、その総量基準で、50〜95質量%の第一の構造単位と、0.1〜20質量%の第二の構造単位と、0.1〜49.9質量%の第三の構造単位とを有する、樹脂組成物。
A群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。]
B群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。]
C群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基。]
[2]ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物、及び、有機リン系化合物に属しない亜リン酸エステル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を0.01〜1質量部更に含む[1]記載の樹脂組成物。
[3]アクリル系共重合体におけるハロゲン原子の含有率が、アクリル系共重合体の総量基準で0.47質量%未満である[1]又は[2]記載の樹脂組成物。
[4]第三の構造単位の含有量に対する第二の構造単位の含有量のモル比が、0より大きく15以下である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
[5]下記方法によって測定される長径1μm以上の気泡の数が100個/g以下である、[1]〜[4]いずれか1つに記載の樹脂組成物。
気泡の数の測定法:アクリル系重合体をJIS K7210に規定されるメルトインデクサーのシリンダー内に装填し、260℃で20分間保持した後、3.8kg荷重にてストランド状に押出し、メルトインデクサーのピストンの上部標線から下部標線との間に押出されたストランドに存在する長径が1μm以上の気泡の個数を数えて、重合体1gあたりの個数に換算する。
[6]アクリル系共重合体のGPC測定法によるポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量が、3000〜1000000であり、分子量分布が、1.5〜4.0である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
本発明によれば、熱安定性が改善された樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、特定のアクリル系共重合体と、特定の有機リン系化合物とを含む。この樹脂組成物によれば、高温での加熱成形加工がなされた場合であっても、優れた着色防止効果(すなわち高い熱安定性)が奏される。
本実施形態の樹脂組成物は、特定のアクリル系共重合体と、特定の有機リン系化合物とを含む。この樹脂組成物によれば、高温での加熱成形加工がなされた場合であっても、優れた着色防止効果(すなわち高い熱安定性)が奏される。
[アクリル系共重合体]
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、第一の構造単位、第二の構造単位及び第三の構造単位を有する。
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、第一の構造単位、第二の構造単位及び第三の構造単位を有する。
(第一の構造単位)
第一の構造単位は、下記式(1)で表される構造単位である。
第一の構造単位は、下記式(1)で表される構造単位である。
ここで、A群は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基からなる群である。
なお、本明細書中、アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、アリールアルキル基中のアルキル基及びアルコキシ基中のアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
R1における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、R1における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
また、R1における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
R1における炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基、イソボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられ、これらのうち、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基、イソボルニル基が好適である。
R1における炭素数7〜14のアリールアルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、6−フェニルヘキシル基、8−フェニルオクチル基が挙げられ、これらのうち、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基が好適である。
R1における炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、フェニル基が好適である。
R1は置換基を有する炭素数6〜14のアリール基であってもよく、ここで置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基からなる群(A群)より選ばれる基である。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルキル基としては、上記R1における炭素数1〜12のアルキル基として例示された基が同様に例示される。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルキル基としては、上記R1における炭素数1〜12のアルキル基として例示された基が同様に例示される。
R1において、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、置換基を有するフェニル基が好ましい。
また、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、2,4,6−トリブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられ、これらのうち難燃性が付与される点において、2,4,6−トリブロモフェニル基が好適である。
また、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、2,4,6−トリブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられ、これらのうち難燃性が付与される点において、2,4,6−トリブロモフェニル基が好適である。
第一の構造単位の含有量は、アクリル系共重合体の優れた透明性、耐候性及び機械特性を保持するために、他の構造単位より優位量含まれることが好ましいことから、アクリル系共重合体の総量基準で50〜95質量%であり、好ましくは60〜95質量%、より好ましくは65〜95質量%、更に好ましくは70〜90質量%、特に好ましくは70〜85質量%である。第一の構造単位の含有量が、50質量%以上であれば全光線透過率及び耐環境性も向上する。
アクリル系共重合体は、第一の構造単位を一種のみ含有していてもよく、第一の構造単位を二種以上含有していてもよい。
例えば、アクリル系共重合体は、R1がアルキル基である構造単位と、R1がアリールアルキル基又はアリール基である構造単位と、を有するものとすることができる。このとき後者の構造単位の含有量は、アクリル系共重合体の総量基準で0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜6質量%であることがさらに好ましい。この範囲にあるアクリル系共重合体によれば、大きな耐熱性低下を伴わずに、複屈折等の光学特性の改良効果が得られる。
第一の構造単位は、例えば、メタクリル酸単量体及びメタクリル酸エステル類から選ばれる第一の単量体から形成される。第一の単量体は、下記式(1−a)で表すことができる。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル;メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸トリシクロデシル、メタクリル酸微シクロオクチル、メタクリル酸トリシクロドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸1−フェニルエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸3−フェニルプロピル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル等が挙げられる。これらの第一の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用する場合もある。メタクリル酸エステルのうち、得られるアクリル系共重合体の透明性や耐候性が優れる点でメタクリル酸メチル及びメタクリル酸ベンジルが好ましい。また、難燃性が付与される点でメタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニルが好ましい。
(第二の構造単位)
第二の構造単位は、下記式(2)で表される構造単位である。
第二の構造単位は、下記式(2)で表される構造単位である。
B群は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基からなる群である。
R2における炭素数7〜14のアリールアルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、6−フェニルヘキシル基、8−フェニルオクチル基が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性などの光学的特性が一層向上する点において、ベンジル基が好適である。
R2における炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性等の光学的特性が一層向上する点において、フェニル基が好適である。
R2は置換基を有する炭素数6〜14のアリール基であってもよく、ここで置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基からなる群(B群)より選ばれる基である。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基としては、R1における炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基として例示された基が同様に例示される。
R2において、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、置換基を有するフェニル基、置換基を有するナフチル基が好ましい。
また、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、2,4,6−トリブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられ、これらのうち、難燃性が付与される点において、2,4,6−トリブロモフェニル基が好適である。
また、置換基を有する炭素数6〜14のアリール基としては、2,4,6−トリブロモフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられ、これらのうち、難燃性が付与される点において、2,4,6−トリブロモフェニル基が好適である。
R3及びR4における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、R3及びR4における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
また、R3及びR4における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
R3及びR4における炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性等の光学的特性が一層向上する点において、フェニル基が好適である。
R3及びR4は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
第二の構造単位の含有量としては、耐熱性及び光学特性の観点からアクリル系共重合体の総量基準で0.1〜20質量%であり、好ましくは0.1〜18質量%、より好ましくは0.1〜16質量%、更に好ましくは1〜16質量%である。第二の構造単位の含有量がこの範囲であれば樹脂の透明性を維持し、黄変を伴わず、また耐環境性を損なうことなく耐熱性が向上する。
アクリル系共重合体は、第二の構造単位を一種のみ含有していてもよく、第二の構造単位を二種以上含有していてもよい。
第二の構造単位は、例えば、下記式(2−a)で表されるN−置換マレイミド化合物から選ばれる第二の単量体から形成される。
式中、R2、R3及びR4は、それぞれ式(2)におけるR2、R3及びR4と同義である。
第二の単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(4−ベンジルフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミド、N−アントラセニルマレイミド、3−メチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、3,4−ジメチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1,3−ジフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1,3,4−トリフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン等が挙げられる。これらの第二の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用する場合もある。これらの第二の単量体のうち、アクリル系共重合体の耐熱性、及び複屈折等の光学的特性が優れることから、N−フェニルマレイミド及びN−ベンジルマレイミドが好ましい。また、難燃性が付与される点で、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミドが好ましい。
(第三の構造単位)
第三の構造単位は、下記式(3)で表される構造単位である。
第三の構造単位は、下記式(3)で表される構造単位である。
C群は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基からなる群である。
R5における炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、ビシクロオクチル基、トリシクロドデシル基、イソボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられ、これらのうち、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が好適であり、アクリル系共重合体の耐候性及び透明性などの光学特性が一層向上するとともに、アクリル系共重合体に低吸水性を付与できる点からは、シクロヘキシル基がより好適である。
R5における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。
また、R5における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の耐候性及び透明性等の光学特性が一層向上することから、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好適である。
また、R5における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の耐候性及び透明性等の光学特性が一層向上することから、メチル基、エチル基、イソプロピル基が好適である。
R5は置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基であってもよく、ここで置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基からなる群(C群)より選ばれる基である。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。
また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
また、置換基としての炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられる。
R5において、置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基としては、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロエチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられ、これらのうち、トリフルオロエチル基が好適である。
R6及びR7における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、R6及びR7における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
また、R6及びR7における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デカニル基、ラウリル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系共重合体の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
R6及びR7における炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、これらのうち、耐熱性及び低複屈折性などの光学的特性が一層向上する点において、フェニル基が好適である。
R6及びR7は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
第三の構造単位の含有量としては、耐候性、低吸水性及び透明性などの光学特性の観点からアクリル系共重合体の総量基準で0.1〜49.9質量%であり、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.1〜35質量%、更に好ましくは1〜30質量%である。第三の構造単位の含有量がこの範囲であれば、透明性を維持し、低吸湿性が発揮される。
アクリル系共重合体は、第三の構造単位を一種のみ含有していてもよく、第三の構造単位を二種以上含有していてもよい。
第三の構造単位は、例えば、下記式(3−a)で表されるN−置換マレイミド化合物から選ばれる第三の単量体から形成される。
式中、R5、R6及びR7は、それぞれ式(3)におけるR5、R6及びR7と同義である。
第三の単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド、1−シクロヘキシル−3−メチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3,4−ジメチル−1−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3−フェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン、1−シクロヘキシル−3,4−ジフェニル−1H−ピロール−2,5−ジオン等が挙げられる。これらの第三の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。アクリル系共重合体の耐候性が優れ、かつ低複屈折性などの光学特性に優れる点から、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましく、近年光学材料に求められている低吸湿性に優れることからN−シクロヘキシルマレイミドが特に好ましい。
アクリル系共重合体において、第二の構造単位及び第三の構造単位の合計含有量は、アクリル系共重合体の総量基準で5〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%、更に一層好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは15〜30質量%である。この範囲内にあるとき、アクリル系共重合体はより十分な耐熱性改良効果が得られ、また、耐候性、低吸水性、光学特性についてより好ましい改良効果が得られる。なお、第二の構造単位の含有量及び第三の構造単位の含有量が50質量%を超えると、重合反応時に単量体成分の反応性が低下して、未反応で残存する単量体量が多くなり、アクリル系共重合体の物性が低下してしまう場合がある。
アクリル系共重合体において、第三の構造単位の含有量(M2)(モル)に対する第二の構造単位の含有量(M1)(モル)のモル比(M1/M2)は、望ましくは0より大きく15以下である。後述する光学特性(低い複屈折、低い光弾性係数)の観点から、モル比M1/M2は、より好ましくは10以下である。モル比M1/M2がこの範囲にあるとき、本実施形態のアクリル系共重合体はより一層良好な光学特性を発現する。
アクリル系共重合体において、第一の構造単位、第二の構造単位及び第三の構造単位の合計の含有量は、アクリル系共重合体の総量基準で、80質量%以上であってもよい。これにより、アクリル系共重合体は一層良好な光学特性を発現する。
(第四の構造単位)
アクリル系共重合体は、上記以外の構造単位を更に有していてもよい。例えば、アクリル系共重合体は、発明の目的を損なわない範囲で、上記第一、第二及び第三の単量体と共重合可能なその他の単量体に由来する第四の構造単位を有することができる。
アクリル系共重合体は、上記以外の構造単位を更に有していてもよい。例えば、アクリル系共重合体は、発明の目的を損なわない範囲で、上記第一、第二及び第三の単量体と共重合可能なその他の単量体に由来する第四の構造単位を有することができる。
共重合可能なその他の単量体としては、芳香族ビニル;不飽和ニトリル;シクロヘキシル基、ベンジル基又は炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸エステル;オレフィン;ジエン;ビニルエーテル;ビニルエステル;フッ化ビニル;プロピオン酸アリル等の飽和脂肪酸モノカルボン酸のアリルエステル又はメタリルエステル;多価(メタ)アクリレート;多価アリレート;グリシジル化合物;不飽和カルボン酸類等を挙げることができる。その他の単量体は、これらの群より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり得る。
上記芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。上記不飽和ニトリルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル等が挙げられる。また、上記アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
また、上記オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン等が挙げられる。また、上記ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、上記ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。また、上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。また、上記フッ化ビニルとしては、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
上記多価(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビスフェノールAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物のジ、又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多価アリレート単量体としては、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。グリシジル化合物単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、及びアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの半エステル化物又は無水物が挙げられる。
アクリル系共重合体中の第四の構造単位の含有量は、アクリル系共重合体の総量基準で、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.1〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることがさらに好ましい。含有量が上記範囲であると、アクリル系共重合体の吸湿性が一層改善される。耐候性の観点からは、10質量%未満であることが好ましく、7質量%未満であることがより好ましい。
アクリル系共重合体が第四の構造単位を含有する場合、第四の構造単位を一種のみ有していてもよく、二種以上を有していてもよい。
第四の構造単位の一例として、下記式(4)で表される構造単位が挙げられる。
式中、R8は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示し、R9はハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を示し、aは1〜3の整数を示す。
R8における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。
また、R8における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうちメチル基が好適である。
また、R8における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうちメチル基が好適である。
R9におけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R9における炭素数1〜12のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。
また、R9における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
また、R9における炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、1−デシル基、1−ドデシル基等が挙げられ、これらのうち、アクリル系熱可塑性樹脂の透明性及び耐候性が一層向上する点において、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基が好適であり、メチル基がより好適である。
R9における炭素数1〜12のアルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましい。
また、R9における炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられ、これらのうち、メトキシ基が好適である。
また、R9における炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、1−デシルオキシ基、1−ドデシルオキシ基等が挙げられ、これらのうち、メトキシ基が好適である。
式(4)で表される構造単位は、例えば、下記式(4−a)で表される第四の単量体から形成することができる。
第四の単量体としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α―メチルスチレン、cis−β−メチルスチレン、trans−β−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、4−フルオロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、4−ブロモ−α−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,4−ジフルオロスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン、α−ブロモスチレン、β−ブロモスチレン、2−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらの単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用して用いる場合もある。アクリル系共重合体を構成する第一の単量体、第二の単量体及び第三の単量体との共重合性に優れ、その光学特性の調整が少量の使用で可能な点からスチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。これらの第四の単量体は、単独で用いる場合も2種以上を併用する場合もある。
アクリル系共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記単量体と共重合可能なその他の単量体由来の繰り返し単位を含有していてもよい。共重合可能なその他の単量体としては、芳香族ビニル;不飽和ニトリル;シクロヘキシル基、ベンジル基又は炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸エステル;オレフィン;ジエン;ビニルエーテル;ビニルエステル;フッ化ビニル;プロピオン酸アリル等の飽和脂肪酸モノカルボン酸のアリルエステル又はメタクリルエステル;多価(メタ)アクリレート;多価アリレート;グリシジル化合物;不飽和カルボン酸類等を挙げることができる。これらの単量体は、これらの群より選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであり得る。
アクリル系共重合体のGPC測定法によるPMMA換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜1000000であることが好ましい。重量平均分子量が3000以上であれば高分子として必要な強度が得られやすい。また重量平均分子量が1000000以下であればプレス成形による成形体とすることが容易となる。アクリル系共重合体の重量平均分子量は、より好ましくは4000〜800000であり、さらに好ましくは5000〜500000であり、より一層好ましくは100000〜500000である。
アクリル系共重合体のGPC測定法による分子量分布(Mw/Mn)は、1〜10であることが望ましい。アクリル系共重合体は、リビングラジカル重合法で重合することも可能であり、必要に応じて分子量分布を調整可能である。成形加工に適した樹脂粘度に調整する観点から、分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.1〜7.0、より好ましくは1.2〜5.0、さらに好ましくは1.5〜4.0である。
アクリル系共重合体のハロゲン原子の含有率は、アクリル系共重合体全体の質量を基準として、0以上0.47質量%未満であることが好ましい。アクリル系共重合体がハロゲン原子を多量に含有すると、溶融成形などのために高温でアクリル系共重合体を取り扱う際に、ハロゲン系ガスが発生して、装置を腐食したり、作業環境に影響を与えたりする可能性がある。また、アクリル系共重合体の成形体等を廃棄したときに、廃棄物がハロゲン原子を多量に含有すると、環境負荷が比較的大きいハロゲン系ガスが分解物として発生する可能性がある。アクリル系共重合体のハロゲン原子の含有率は、より好ましくは0.40質量%未満、さらに好ましくは0.30質量%未満である。
アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、樹脂組成で任意に制御できるが、産業上の応用性の観点から、好ましくは120℃以上に制御される。より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは135℃以上に制御される。
アクリル系共重合体の製造法は公知の懸濁重合、溶液重合、塊状重合等の重合方法を適用して製造でき、特に限定されない。例えば、特公昭63−1964号公報、特開昭60−147417号公報、特許第3879364号公報、特公昭61−49325号公報などに記載されている方法等を用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/メタアクリル酸共重合体等のスチレン系樹脂、ポリメタアクリル酸エステル系樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、環状オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の熱可塑性樹脂、及びフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などの少なくとも1種以上を混合することができる。
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、これを成形して得られるフィルム又はシート状の成形体を特性評価した場合に、成形体の光弾性係数(C)の絶対値が、3.0×10−12Pa−1以下であることが好ましく、2.0×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、1.0×10−12Pa−1以下であることが更に好ましい。
光弾性係数に関しては種々の文献に記載があり(例えば化学総説,No.39,1998(学会出版センター発行)参照)、次式により定義されるものである。光弾性係数CRの値がゼロに近いほど、外力による複屈折変化が小さいことが判る。
CR=|Δn|/σR
|Δn|=nx−ny
(式中、CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
CR=|Δn|/σR
|Δn|=nx−ny
(式中、CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
本実施形態におけるアクリル系共重合体の光弾性係数(C)は、既存樹脂(例えば、PMMA、PC、トリアセチルセルロース樹脂、環状オレフィン樹脂など)に比較して十分に小さい。従って、外力に起因した(光弾性)複屈折を生じないために複屈折変化を受けにくい。また、成形時の残存応力に起因する(光弾性)複屈折を生じにくいために成形体内での複屈折分布が小さい。
さらに、本実施形態におけるアクリル系共重合体を成形して得られるフィルムを特性評価した場合に、フィルムを一軸延伸したときに発現する複屈折(Δn(S))と延伸倍率(S)(%)との最小二乗法近似直線関係式(下記式(A))において、傾きKの値が下記式(B)を満たすことが好ましい。
Δn(S)=K×S+C (Cは定数:無延伸時の複屈折値)・・・(A)
|K|≦0.30×10−5 ・・・(B)
(但し、ここで複屈折とは、アクリル系共重合体のフィルムについて測定した値を100μm厚に換算して求めた値である。)
Δn(S)=K×S+C (Cは定数:無延伸時の複屈折値)・・・(A)
|K|≦0.30×10−5 ・・・(B)
(但し、ここで複屈折とは、アクリル系共重合体のフィルムについて測定した値を100μm厚に換算して求めた値である。)
傾きKの絶対値は、|K|≦0.15×10−5であることがより好ましく、|K|≦0.10×10−5であることがさらに好ましい。傾きKの絶対値が小さいほど、延伸加工による複屈折が生じにくいことから好ましい。
ここで、Kの値は、アクリル系共重合体のDSC測定によりガラス転移温度(Tg)を測定し、(Tg+20)℃の延伸温度で、かつ500mm/minの延伸速度で一軸延伸を行ったときの値である。一般に、延伸速度を遅くすると複屈折の増加量は小さくなることが知られている。Kの値は、例えば延伸倍率(S)を100%、200%、又は300%として延伸して得られた一軸延伸フィルムが発現している複屈折(Δn(S))の値を測定し、これらの値を延伸倍率に対してプロットし最小二乗法近似することにより算出することができる。延伸倍率(S)とは、延伸前のチャック間距離をL0、延伸後のチャック間距離をL1とすると、以下の式で表される値である。
フィルム又はシートは、機械的強度を高めることを目的として延伸加工される場合がある。前述の関係式において、傾きKの値は、延伸倍率(S)に対する複屈折(Δn(S))の変化の大きさを表し、Kが大きい程延伸に対する複屈折の変化量が大きく、Kが小さい程延伸に対する複屈折の変化量が小さいことを意味している。
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、傾きKの値が、既存樹脂(例えば、PMMA、PC、トリアセチルセルロース樹脂、環状オレフィン樹脂など)に比較して十分に小さい。従って、既存樹脂が延伸加工時の延伸配向で複屈折が増大するのに対し、延伸加工しても複屈折が増大しにくいという特徴を有する。
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、フィルム又はシート状の成形体として特性評価した場合に、(i)面内方向の位相差(Re)の絶対値が30nm以下であることが好ましい。(但し、ここで位相差とは、フィルムとして測定した値を100μm厚に換算して求めた値である。)面内方向の位相差(Re)の絶対値は、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましく、11nm以下であることが特に好ましい。一般に、位相差の絶対値は、複屈折の大小を表す指標である。
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、既存樹脂(例えば、PMMA、PC、トリアセチルセルロース樹脂、環状オレフィン樹脂など)と比較して、複屈折が十分に小さく、光学材料として低複屈折やゼロ複屈折を要求される用途に好適である。
面内方向の位相差の絶対値が30nmを超える場合、屈折率異方性が高いことを意味し、光学材料として低複屈折やゼロ複屈折を要求される用途には使用できないことがある。また、光学材料(例えば、フィルム、シートなど)の機械的強度を向上させるために延伸加工をする場合があるが、延伸加工後の面内方向の位相差の絶対値が30nmを超える場合は、光学材料として低複屈折やゼロ複屈折材料が得られたことにはならない。
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、フィルム又はシート状の成形体として特性評価した場合に、(ii)厚み方向の位相差(Rth)の絶対値が30nm以下であることが好ましい。(但し、ここで位相差とは、アクリル系共重合体のフィルムについて測定した値を100μm厚に換算して求めた値である。)
厚み方向の位相差(Rth)の絶対値は、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましく、11nm以下であることが特に好ましい。
この厚み方向の位相差は、光学材料、特に光学フィルムとしたとき、光学フィルムを組み込んだ表示装置の視野角特性と相関する指標である。具体的には、厚み方向の位相差の絶対値が小さいほど視野角特性は良好であり、見る角度による表示色の色調変化、コントラストの低下が小さい。
この厚み方向の位相差は、光学材料、特に光学フィルムとしたとき、光学フィルムを組み込んだ表示装置の視野角特性と相関する指標である。具体的には、厚み方向の位相差の絶対値が小さいほど視野角特性は良好であり、見る角度による表示色の色調変化、コントラストの低下が小さい。
本実施形態におけるアクリル系共重合体は、既存樹脂(例えば、PMMA、PC、トリアセチルセルロース樹脂、環状オレフィン樹脂など)と比較して、光学フィルムとしたときの厚み方向の位相差の絶対値が非常に小さいという特徴を有する。
本実施形態における樹脂組成物は、各種成型品に用いることができる。
一般に、成型品を作成する場合、外観不良等を解消するためにさまざまな射出条件が採用される。例えば、高速低圧で樹脂を入れれば、離型に際して抵抗は少なくなるものの、当然エアの排気がきちんと対策されていなければ、ガス抜き不良・ガス焼けを生じることなり、一般的に寸法は小さめに変化するだけではなく、射出圧力の変化に比較的敏感に反応し、バリは発生しやすい。一方で、低速高圧で成形すればヒケ・ボイド等に効果があり、樹脂が充分の流動距離を持っていれば寸法は大きめになるが、離型に際してクラック等の障害を生じ易く、射出速度の変化に敏感で速度上昇によってバリが発生しやすい。成型条件は、上記現象に鑑みて、適宜決定される。したがって、様々な条件の下で熱安定性に優れた樹脂組成物が求められる。
本実施形態における樹脂組成物は、高温滞留時に一定荷重下で押出を行った際に発生する気泡の数を抑制することができる。
即ち、下記条件で測定した際に発生する長径1μm以上の気泡の数が200個/g以下に抑制することができる。この気泡の数は、好ましくは100個/g以下であり、より好ましくは50個以下である。
(気泡の数の測定方法)メルトインデクサーのシリンダー内に装填し、260℃で20分間保持した後、3.8kg荷重でストランド状に押出し、メルトインデクサーのピストンの上部標線と下部標線との間に押し出されたストランドに存在する長径1μm以上の気泡の個数を計測し、1gあたりの個数に換算する。
また、各種射出速度を考慮して、10kg荷重でストランド状に押出を実施した際の長径1μm以上の気泡の個数が400個/g以下であることが好ましい。より好ましくは350個/g以下、更に好ましくは300個/g以下である。
一般に、成型品を作成する場合、外観不良等を解消するためにさまざまな射出条件が採用される。例えば、高速低圧で樹脂を入れれば、離型に際して抵抗は少なくなるものの、当然エアの排気がきちんと対策されていなければ、ガス抜き不良・ガス焼けを生じることなり、一般的に寸法は小さめに変化するだけではなく、射出圧力の変化に比較的敏感に反応し、バリは発生しやすい。一方で、低速高圧で成形すればヒケ・ボイド等に効果があり、樹脂が充分の流動距離を持っていれば寸法は大きめになるが、離型に際してクラック等の障害を生じ易く、射出速度の変化に敏感で速度上昇によってバリが発生しやすい。成型条件は、上記現象に鑑みて、適宜決定される。したがって、様々な条件の下で熱安定性に優れた樹脂組成物が求められる。
本実施形態における樹脂組成物は、高温滞留時に一定荷重下で押出を行った際に発生する気泡の数を抑制することができる。
即ち、下記条件で測定した際に発生する長径1μm以上の気泡の数が200個/g以下に抑制することができる。この気泡の数は、好ましくは100個/g以下であり、より好ましくは50個以下である。
(気泡の数の測定方法)メルトインデクサーのシリンダー内に装填し、260℃で20分間保持した後、3.8kg荷重でストランド状に押出し、メルトインデクサーのピストンの上部標線と下部標線との間に押し出されたストランドに存在する長径1μm以上の気泡の個数を計測し、1gあたりの個数に換算する。
また、各種射出速度を考慮して、10kg荷重でストランド状に押出を実施した際の長径1μm以上の気泡の個数が400個/g以下であることが好ましい。より好ましくは350個/g以下、更に好ましくは300個/g以下である。
[有機リン系化合物]
本実施形態の樹脂組成物に含まれる有機リン系化合物は、下記式(A)で表される。
本実施形態の樹脂組成物に含まれる有機リン系化合物は、下記式(A)で表される。
式(A)
[式中、R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基又は炭素数1〜20のアルキル基置換フェニル基のいずれかを示す。]
式(A)で表される有機リン系化合物としては、代表的には、ジドデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトオールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリスノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・メチル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2−エチルヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,6−ジ−t−ブチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・イソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル・ラウリル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・シクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどがあげられる。
特に好ましくは、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトがあげられる。ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトは、(株)ADEKAよりPEP−36又はPEP−36Aとして市販されているものを好適に使用することができる。
特に好ましくは、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトがあげられる。ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトは、(株)ADEKAよりPEP−36又はPEP−36Aとして市販されているものを好適に使用することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、式(A)で表される有機リン系化合物の添加量は、アクリル系共重合体100質量部に対して0.01〜2.0質量部であり、好ましくは0.03〜1.5質量部であり、より好ましくは0.05〜1.0質量部、更に好ましくは0.05〜0.5質量部である。この添加量が0.01質量部未満では熱安定化効果は認められず、また2.0質量部を超えると着色防止効果は良好であるが熱変形温度が低下する傾向がある。
[その他の成分]
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で各種添加剤を含有することができる。
例えば、本実施形態の樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物、及び、式(A)で表される有機リン系化合物に属しない亜リン酸エステル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を0.01〜1.0質量部更に含んでいてもよく、好ましくは0.05〜0.5質量部含むことができる。これらの化合物の添加量が1.0質量部を越えると熱変形温度が低下するとともに、アクリル系共重合体の熱着色、熱劣化に対しての効果は保持されるが、添加剤自体による着色が増加することがある。
また、式(A)で表される有機リン系化合物の添加量は、ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物又は亜リン酸エステル系化合物の添加量より多い方が好ましい。また、ハロゲン化リン酸エステルをアクリル系共重合体100質量部に対して1.0〜5.0質量部更に添加してもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で各種添加剤を含有することができる。
例えば、本実施形態の樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物、及び、式(A)で表される有機リン系化合物に属しない亜リン酸エステル系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を0.01〜1.0質量部更に含んでいてもよく、好ましくは0.05〜0.5質量部含むことができる。これらの化合物の添加量が1.0質量部を越えると熱変形温度が低下するとともに、アクリル系共重合体の熱着色、熱劣化に対しての効果は保持されるが、添加剤自体による着色が増加することがある。
また、式(A)で表される有機リン系化合物の添加量は、ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物又は亜リン酸エステル系化合物の添加量より多い方が好ましい。また、ハロゲン化リン酸エステルをアクリル系共重合体100質量部に対して1.0〜5.0質量部更に添加してもよい。
このように、式(A)で表される有機リン系化合物と、上記ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物、亜リン酸エステル系化合物、ハロゲン化リン酸エステルのうち少なくとも1種の化合物とを組み合せることにより、式(A)で表される有機リン系化合物を単独で添加した場合と同等あるいはそれ以上の熱安定化効果が発揮される。一方、ヒンダードフェノール系化合物、チオジプロピオン酸系化合物あるいは亜リン酸エステル系化合物単独では熱安定化効果がみられない。
ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1−ビス−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)3,5,5−トリメチルヘキサン、テトラキス−(メチレン−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)、メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、4,4’−メチレンビス−(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−5−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
チオジプロピオン酸系化合物の具体例としては、ジオクチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
式(A)で表される有機リン系化合物に属しない亜リン酸エステル系化合物の具体例としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジフェニルノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト等が挙げられる。
ハロゲン化リン酸エステルとしては、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)オクチルホスフェート等のハロゲン原子を含有するリン酸エステルや、ハロゲン化アルキルポリホスフェート等のハロゲン原子を含有するポリリン酸エステル(所謂含ハロゲン縮合リン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、ハロゲン原子を含有するポリリン酸エステル(いわゆる含ハロゲン縮合リン酸エステル)が好ましい。また、これらハロゲン化リン酸エステルとしては、市販のものを用いることができ、例えば、大八化学工業株式会社製の「TMCPP」、「CRP」、「CR−504L」、「CR−570」、「DAIGUARD−540」等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物には、上記化合物のほか、必要に応じて公知の色剤、紫外線吸収剤・酸化防止剤等の安定剤、各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、無機充填剤、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物を得る方法は特に限定されることなく、例えばヘンシェルミキサーでアクリル系共重合体、式(A)で表される有機リン系化合物、及び、その他必要に応じて添加してもよい添加剤を混合し、押出機を用いて溶融混練してペレットとする方法、あるいは展着剤等を用いてアクリル系共重合体のペレットに添加剤をまぶす方法等如何なる方法によっても混合することが可能である。
本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形加工後の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
ここで全光線透過率は、100μm厚に換算して求めた値である。全光線透過率が85%未満では、高い透明性を要求される用途に対して樹脂組成物の透明性が不十分である場合がある。
ここで全光線透過率は、100μm厚に換算して求めた値である。全光線透過率が85%未満では、高い透明性を要求される用途に対して樹脂組成物の透明性が不十分である場合がある。
また、本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形加工後のヘイズの値が0〜5%であることが好ましく、0〜3%であることがより好ましく、0〜2%であることが更に好ましい。
また、本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形加工後のb値が0〜3.0であることが好ましく、0〜2.5であることがより好ましく、0〜1.5であることが更に好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例における各測定値の測定方法は次のとおりである。
(a)アクリル系共重合体の解析
(1)各繰り返し単位の含有量
重合により得られたアクリル系共重合体をCDCl3に溶解し、ブルーカー株式会社製 DPX−400装置を用い、1H−NMR、13C−NMR(測定温度:40℃)測定を実施し、(i)第一の構造単位、(ii)第二の構造単位、(iii)第三の構造単位、及び(iv)第四の構造単位の量をそれぞれ同定し、その比率から組成を確認した。
(a)アクリル系共重合体の解析
(1)各繰り返し単位の含有量
重合により得られたアクリル系共重合体をCDCl3に溶解し、ブルーカー株式会社製 DPX−400装置を用い、1H−NMR、13C−NMR(測定温度:40℃)測定を実施し、(i)第一の構造単位、(ii)第二の構造単位、(iii)第三の構造単位、及び(iv)第四の構造単位の量をそれぞれ同定し、その比率から組成を確認した。
(2)ガラス転移温度
重合により得られたアクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとし、JIS−K−7121に準拠して、試料約10mgを常温から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温して得られたDSC曲線から中点法で算出した。
重合により得られたアクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとし、JIS−K−7121に準拠して、試料約10mgを常温から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温して得られたDSC曲線から中点法で算出した。
(3)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
重合により得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製 HLC−8220)を用いて、溶媒はテトラヒドロフラン、設定温度40℃で、市販の標準PMMA換算により求めた。
重合により得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー(株)製 HLC−8220)を用いて、溶媒はテトラヒドロフラン、設定温度40℃で、市販の標準PMMA換算により求めた。
(b)アクリル系共重合体の光学特性評価
(1)光学フィルムサンプルの作製
(1−a)プレスフィルムの成形
製造例1〜5及び参考例1のアクリル系共重合体単体を真空圧縮成形機((株)神藤金属工業所製 SFV−30型)を用いて、大気圧下、260℃、で25分間予熱後、真空下(約10kPa)、260℃、約10MPaで5分間圧縮してプレスフィルムを成形した。
(1−b)延伸フィルムの製造
(1−a)で得られたプレスフィルムをインストロン社製5t引張り試験機を用いて、延伸温度(Tg+20)℃、延伸速度(500mm/分)で一軸フリー延伸して延伸フィルムを成形した。延伸倍率は、100%、200%、及び300%で延伸した。
(1)光学フィルムサンプルの作製
(1−a)プレスフィルムの成形
製造例1〜5及び参考例1のアクリル系共重合体単体を真空圧縮成形機((株)神藤金属工業所製 SFV−30型)を用いて、大気圧下、260℃、で25分間予熱後、真空下(約10kPa)、260℃、約10MPaで5分間圧縮してプレスフィルムを成形した。
(1−b)延伸フィルムの製造
(1−a)で得られたプレスフィルムをインストロン社製5t引張り試験機を用いて、延伸温度(Tg+20)℃、延伸速度(500mm/分)で一軸フリー延伸して延伸フィルムを成形した。延伸倍率は、100%、200%、及び300%で延伸した。
(2)複屈折の測定
大塚電子製RETS−100を用いて、回転検光子法により測定を行った。複屈折の値は、波長550nm光に対する値である。複屈折(Δn)は、以下の式により計算した。得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
Δn=nx−ny
(Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率)
複屈折(Δn)の絶対値(|Δn|)は、以下のように求めた。
|Δn|=|nx−ny|
大塚電子製RETS−100を用いて、回転検光子法により測定を行った。複屈折の値は、波長550nm光に対する値である。複屈折(Δn)は、以下の式により計算した。得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
Δn=nx−ny
(Δn:複屈折、nx:伸張方向の屈折率、ny:面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率)
複屈折(Δn)の絶対値(|Δn|)は、以下のように求めた。
|Δn|=|nx−ny|
(3)位相差の測定
(3−a)面内の位相差
大塚電子(株)製RETS−100を用いて、回転検光子法により波長400〜800nmの範囲について測定を行った。得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差(Re)は以下の関係にある。
Re=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Re:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|nx−ny|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な方向の屈折率)
(3−a)面内の位相差
大塚電子(株)製RETS−100を用いて、回転検光子法により波長400〜800nmの範囲について測定を行った。得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差(Re)は以下の関係にある。
Re=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Re:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|nx−ny|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な方向の屈折率)
(3―b)厚み方向の位相差
王子計測機器(株)製位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて、波長589nmにおける位相差を測定し、得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差(Rth)は以下の関係にある。
Rth=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Rth:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|(nx+ny)/2−nz|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な方向の屈折率、nz:面外で延伸方向と垂直な厚み方向の屈折率)
(理想となる、3次元方向すべてについて完全光学的等方性であるフィルムでは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)が共に0となる。)
王子計測機器(株)製位相差測定装置(KOBRA−21ADH)を用いて、波長589nmにおける位相差を測定し、得られた値をフィルムの厚さ100μmに換算して測定値とした。
複屈折の絶対値(|Δn|)と位相差(Rth)は以下の関係にある。
Rth=|Δn|×d
(|Δn|:複屈折の絶対値、Rth:位相差、d:サンプルの厚み)
また、複屈折の絶対値(|Δn|)は以下に示す値である。
|Δn|=|(nx+ny)/2−nz|
(nx:延伸方向の屈折率、ny:面内で延伸方向と垂直な方向の屈折率、nz:面外で延伸方向と垂直な厚み方向の屈折率)
(理想となる、3次元方向すべてについて完全光学的等方性であるフィルムでは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)が共に0となる。)
(4)光弾性係数の測定
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349−2357に詳細について記載のある複屈折測定装置を用いた。具体的には、レーザー光の経路にフィルムの引張り装置(井元製作所製)を配置し、23℃で伸張応力をかけながらその複屈折を、大塚電子(株)製RETS−100を用いて回転検光子法により波長400〜800nmの範囲について測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:50mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は6mmで測定を行った。複屈折の絶対値(|Δn|)と伸張応力(σR)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め、光弾性係数(CR)を計算した。計算には伸張応力が2.5MPa≦σR≦10MPaの間のデータを用いた。
CR=|Δn|/σR
|Δn|=|nx−ny|
(CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率)
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349−2357に詳細について記載のある複屈折測定装置を用いた。具体的には、レーザー光の経路にフィルムの引張り装置(井元製作所製)を配置し、23℃で伸張応力をかけながらその複屈折を、大塚電子(株)製RETS−100を用いて回転検光子法により波長400〜800nmの範囲について測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:50mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は6mmで測定を行った。複屈折の絶対値(|Δn|)と伸張応力(σR)の関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め、光弾性係数(CR)を計算した。計算には伸張応力が2.5MPa≦σR≦10MPaの間のデータを用いた。
CR=|Δn|/σR
|Δn|=|nx−ny|
(CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:面内で伸張方向と垂直な方向の屈折率)
(5)耐湿熱時耐久性の評価
(1−b)で前述した方法で成形した100%延伸フィルムを雰囲気温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内で1000時間放置して、試験前後での光学特性変化を面内の位相差(Re)を用いて評価した。
ポリメタクリル酸メチル重合体の場合と比較して、光学特性変化が同等又はそれ以下の場合をA、大きい場合をBと評価した。
(1−b)で前述した方法で成形した100%延伸フィルムを雰囲気温度80℃、湿度90%RHの恒温恒湿槽内で1000時間放置して、試験前後での光学特性変化を面内の位相差(Re)を用いて評価した。
ポリメタクリル酸メチル重合体の場合と比較して、光学特性変化が同等又はそれ以下の場合をA、大きい場合をBと評価した。
(c)樹脂組成物の評価
(1)熱着色の尺度
ハンターの測色色差計により測定したb値を用いた。
(2)全光線透過率及びヘイズ
ASTM D1003に準拠して測定した。
(3)熱安定性(成形品の外観)
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたペレットを85℃に設定したスチームオーブンで8時間乾燥させた試料を用いて、東芝機械株式会社製IS−100EN射出成型機を使用して、成型温度290℃、金型温度60℃にて、厚さ2mm×幅100mm×長さ100mm試験片を10ショット分捨てた後に50ショット連続で製造し、得られた50サンプルに基づいて以下の基準により評価した。
(シルバースジの有無)
10サンプル以上の試験片でシルバー及び/又はスジが観測されたもの:「×」
シルバー及び/又はスジの発生が10サンプル未満のもの:「○」
(1)熱着色の尺度
ハンターの測色色差計により測定したb値を用いた。
(2)全光線透過率及びヘイズ
ASTM D1003に準拠して測定した。
(3)熱安定性(成形品の外観)
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたペレットを85℃に設定したスチームオーブンで8時間乾燥させた試料を用いて、東芝機械株式会社製IS−100EN射出成型機を使用して、成型温度290℃、金型温度60℃にて、厚さ2mm×幅100mm×長さ100mm試験片を10ショット分捨てた後に50ショット連続で製造し、得られた50サンプルに基づいて以下の基準により評価した。
(シルバースジの有無)
10サンプル以上の試験片でシルバー及び/又はスジが観測されたもの:「×」
シルバー及び/又はスジの発生が10サンプル未満のもの:「○」
(4)気泡の発生数(個/g)
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたペレットを80℃にて24時間乾燥後、JIS K7210に規定されるメルトインデクサー内に装填し、260℃で20分間保持した後、3.8kg荷重にてストランド状に押出し、メルトインデクサーのピストンの上部標線から下部標線との間に押し出されたストランドに存在する長径が1μm以上の気泡の数を数えた。具体的には、得られたストランドを顕微鏡を用いて観察し、ストランド中に存在する、外接長方形(外接する面積が最小となる長方形)の長辺が1μm以上である気泡の個数を数えた。
さらに、該ストランドの質量を測定して、重合体1gあたりの個数に換算して示した。
使用機器:株式会社東洋精機製作所製MELT INDEXER T−1001
測定荷重:(a)3.8kg荷重、(b)10kg荷重
実施例1〜5及び比較例1〜5で得られたペレットを80℃にて24時間乾燥後、JIS K7210に規定されるメルトインデクサー内に装填し、260℃で20分間保持した後、3.8kg荷重にてストランド状に押出し、メルトインデクサーのピストンの上部標線から下部標線との間に押し出されたストランドに存在する長径が1μm以上の気泡の数を数えた。具体的には、得られたストランドを顕微鏡を用いて観察し、ストランド中に存在する、外接長方形(外接する面積が最小となる長方形)の長辺が1μm以上である気泡の個数を数えた。
さらに、該ストランドの質量を測定して、重合体1gあたりの個数に換算して示した。
使用機器:株式会社東洋精機製作所製MELT INDEXER T−1001
測定荷重:(a)3.8kg荷重、(b)10kg荷重
[アクリル系共重合体の製造]
[製造例1]メタクリル酸メチル/N−フェニルマレイミド/N−シクロヘキシルマレイミド重合体
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたSUS製反応器(容量0.5L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度はオイルバスで130℃に制御した。
[製造例1]メタクリル酸メチル/N−フェニルマレイミド/N−シクロヘキシルマレイミド重合体
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、開始剤溶液導入ノズル、及び重合溶液排出ノズルを備えたSUS製反応器(容量0.5L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度はオイルバスで130℃に制御した。
メタクリル酸メチル(MMA)576g、N−フェニルマレイミド(N−PheMI)61g、N−シクロヘキシルマレイミド(N−CyMI)83g、メチルイソブチルケトン480gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。パーヘキサC(日油(株)製;濃度75wt%)8.63gをメチルイソブチルケトン91.37gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調製した。
原料溶液はポンプを用いて8.25ml/minで原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はポンプを用いて0.08ml/minで開始剤溶液導入ノズルから導入した。30分後、重合溶液排出ノズルから抜き出しポンプを用いて500ml/hrの一定流量でポリマー溶液を排出した。
ポリマー溶液は、排出から1.5時間分は初流タンクに分別回収した。排出開始から、1.5時間後から2.5時間のポリマー溶液を本回収した。得られたポリマー溶液と、抽出溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して目的とするアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=81/8/11wt%
・分子量:Mw=22.5×104;Mw/Mn=2.09
・Tg:135℃
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=81/8/11wt%
・分子量:Mw=22.5×104;Mw/Mn=2.09
・Tg:135℃
[製造例2]
製造例1において、MMA:576g、N−PheMI:50g、N−CyMI:94gを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=79/6/15wt%
・分子量:Mw=15.4×104;Mw/Mn=1.75
・Tg:135℃
製造例1において、MMA:576g、N−PheMI:50g、N−CyMI:94gを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=79/6/15wt%
・分子量:Mw=15.4×104;Mw/Mn=1.75
・Tg:135℃
[製造例3]
製造例1において、MMA:576g、N−PheMI:83g、N−CyMI:61gを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=77/10/12wt%
・分子量:Mw=14.3×104;Mw/Mn=1.79
・Tg:137℃
製造例1において、MMA:576g、N−PheMI:83g、N−CyMI:61gを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=77/10/12wt%
・分子量:Mw=14.3×104;Mw/Mn=1.79
・Tg:137℃
[製造例4]
製造例1において、MMA:504g、N−PheMI:2.4g、N−CyMI:213.6gを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=70/1/29wt%
・分子量:Mw=18.7×104;Mw/Mn=1.81
・Tg:146℃
製造例1において、MMA:504g、N−PheMI:2.4g、N−CyMI:213.6gを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI=70/1/29wt%
・分子量:Mw=18.7×104;Mw/Mn=1.81
・Tg:146℃
[製造例5]メタクリル酸メチル/N−フェニルマレイミド/N−シクロヘキシルマレイミド/スチレン重合体
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、及び開始剤溶液導入ノズルを備えたガラス製反応器(容量1.0L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度はオイルバスで100℃に制御した。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素ガス導入ノズル、原料溶液導入ノズル、及び開始剤溶液導入ノズルを備えたガラス製反応器(容量1.0L)を用いた。重合反応器の圧力は、微加圧、反応温度はオイルバスで100℃に制御した。
メタクリル酸メチル(MMA)140g、N−フェニルマレイミド(N−PheMI)14g、N−シクロヘキシルマレイミド(N−CyMI)34g、スチレン(St)12g、メチルイソブチルケトン200gを混合した後、窒素ガスで置換して原料溶液を調製した。パーヘキサC(日油(株)製;濃度75wt%)0.32gをメチルイソブチルケトン1.00gに溶解した後、窒素ガスで置換して開始剤溶液を調整した。
原料溶液は圧送でガラス反応器内に原料溶液導入ノズルから導入した。また、開始剤溶液はシリンジで開始剤溶液導入ノズルから導入し重合反応を開始した。反応開始3時間後を反応終了点とし、ポリマー溶液を回収した。得られたポリマー溶液と、貧溶媒であるメタノールを同時にホモジナイザーに供給し、乳化分散抽出した。分離沈降したポリマーを回収し、真空下、130℃で2時間乾燥して目的とするアクリル系共重合体を得た。
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI/St=70/5/20/5wt%
・分子量:Mw=15.6×104;Mw/Mn=2.01
・Tg:141℃
・組成:MMA/N−PheMI/N−CyMI/St=70/5/20/5wt%
・分子量:Mw=15.6×104;Mw/Mn=2.01
・Tg:141℃
[参考例1]ポリメタクリル酸メチル重合体
製造例1において、メタクリル酸メチル960g、メチルイソブチルケトン240gのみを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってポリメタクリル酸メチル重合体(PMMA)を得た。
・組成:MMA=100wt%
・分子量:Mw=10.2×104;Mw/Mn=1.89
・Tg:121℃
以上のように得られたアクリル系共重合体の組成、及び評価結果を表1に示す。
製造例1において、メタクリル酸メチル960g、メチルイソブチルケトン240gのみを用いた以外は、製造例1と同様の操作を行ってポリメタクリル酸メチル重合体(PMMA)を得た。
・組成:MMA=100wt%
・分子量:Mw=10.2×104;Mw/Mn=1.89
・Tg:121℃
以上のように得られたアクリル系共重合体の組成、及び評価結果を表1に示す。
製造例1〜5のアクリル系共重合体は、従来のポリメタクリル酸メチル樹脂(参考例1)に対して、耐熱性が高く、低複屈折性に優れ、また、その耐湿熱時耐久性も同等以上であった。
[樹脂組成物]
前記製造例1〜5のアクリル系共重合体と特定の有機リン化合物との樹脂組成物を調製し、その熱安定性を評価した。
前記製造例1〜5のアクリル系共重合体と特定の有機リン化合物との樹脂組成物を調製し、その熱安定性を評価した。
[実施例1〜5]
表2に示すアクリル系共重合体(製造例1〜5)100質量部、及び表2に示される量の式(A)で表される有機リン系化合物(株式会社ADEKA製PEP−36)をヘンシェルミキサーで混合した後、φ15mmの二軸押出機(テクノベル社製;KZW15−45MG)を用いシリンダー温度230℃で溶融混練しペレットを得た。次いで、射出成形機(FUNAC社製;AUTO SHOT 15A)を用いシリンダー温度240℃で射出成形し、幅10mm、長さ50mm、厚さ1mmの板状成形体を得た。
表2に示すアクリル系共重合体(製造例1〜5)100質量部、及び表2に示される量の式(A)で表される有機リン系化合物(株式会社ADEKA製PEP−36)をヘンシェルミキサーで混合した後、φ15mmの二軸押出機(テクノベル社製;KZW15−45MG)を用いシリンダー温度230℃で溶融混練しペレットを得た。次いで、射出成形機(FUNAC社製;AUTO SHOT 15A)を用いシリンダー温度240℃で射出成形し、幅10mm、長さ50mm、厚さ1mmの板状成形体を得た。
[比較例1〜5]
有機リン系化合物(A)を除いた以外、実施例1〜5と同様にして、アクリル系共重合体を射出成形し、実施例1〜5と同様の板状成形体を得た。
有機リン系化合物(A)を除いた以外、実施例1〜5と同様にして、アクリル系共重合体を射出成形し、実施例1〜5と同様の板状成形体を得た。
実施例1〜5、及び比較例1〜5の熱安定性評価結果を表2に示す。
表2の評価においては、成形品の外観がよいもの(シルバーストリークス(銀条)が出ない、且つ、すじがない)を○、外観が悪いもの(シルバーストリークスが出る、又は、すじがある)を×で表している。
表2より、本発明の、特定のアクリル系共重合体と特定の有機リン系化合物を含む樹脂組成物が熱安定性に優れていることが判る。
表2より、本発明の、特定のアクリル系共重合体と特定の有機リン系化合物を含む樹脂組成物が熱安定性に優れていることが判る。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、加熱成形加工時による着色変化のないアクリル系共重合体を含有し、熱安定性にも優れているので、光学材料として、光学フィルム、プラスチック基板、レンズ、光ファイバー、光導波路などに好適である。
また、車両用ランプレンズ、メーターパネル、バイザー、照明カバーなどの射出成形体にも好適である。
また、車両用ランプレンズ、メーターパネル、バイザー、照明カバーなどの射出成形体にも好適である。
Claims (6)
- 下記式(1)で表される第一の構造単位、下記式(2)で表される第二の構造単位及び下記式(3)で表される第三の構造単位を有するアクリル系共重合体と、
下記式(A)で表される有機リン系化合物と、を含み、
前記有機リン系化合物の含有量が、前記アクリル系共重合体100質量部に対して0.01〜2質量部であり、
前記アクリル系共重合体が、その総量基準で、50〜95質量%の前記第一の構造単位と、0.1〜20質量%の前記第二の構造単位と、0.1〜49.9質量%の前記第三の構造単位とを有する、樹脂組成物。
A群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。]
B群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。]
C群:ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基及び炭素数1〜12のアルコキシ基。]
(式A)
- 前記アクリル系共重合体のハロゲン原子含有率が、前記アクリル系共重合体の総量基準で0.47質量%未満である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記第三の構造単位の含有量に対する前記第二の構造単位の含有量のモル比が、0より大きく15以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記アクリル系共重合体のGPC測定法によるポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量が、3000〜1000000であり、分子量分布が、1.5〜4.0である、請求項1〜3いずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 下記方法によって測定される長径1μm以上の気泡の数が100個/g以下である、請求項1〜4いずれか一項に記載の樹脂組成物。
気泡の数の測定法:JIS K7210に規定されるメルトインデクサーのシリンダー内に装填し、260℃で20分間保持した後、3.8kg荷重にてストランド状に押出し、メルトインデクサーのピストンの上部標線から下部標線との間に押出されたストランドに存在する長径が1μm以上の気泡の個数を数えて、1gあたりの個数に換算する。 - 請求項1〜5いずれか一項に記載の樹脂組成物からなる成型体。
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---|---|---|---|
JP2015049396A JP2016169283A (ja) | 2015-03-12 | 2015-03-12 | 熱可塑性樹脂組成物 |
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JP2019099593A (ja) * | 2017-11-28 | 2019-06-24 | 旭化成株式会社 | メタクリル系樹脂、メタクリル系樹脂組成物、成形体、光学部材及び自動車部品 |
-
2015
- 2015-03-12 JP JP2015049396A patent/JP2016169283A/ja active Pending
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