JP2016153345A - 無アルカリガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクションが低く、線膨張係数が小さく、フロート成形が容易な無アルカリガラスの提供。【解決手段】コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が40ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、SiO264〜72、Al2O317〜22、MgO 1〜8、CaO 4〜15.5、を含有し、0.20≦MgO/(MgO+CaO)≦0.41である無アルカリガラス。【選択図】なし
Description
本発明は、各種フラットパネルディスプレイ(FPD)の製造に用いられるディスプレイ用基板ガラスやフォトマスク用基板ガラとして好適な、アルカリ金属酸化物を実質上含有せず、コンパクションが低く、フロート成形が可能な、無アルカリガラスに関する。
従来、各種ディスプレイ用基板ガラス、特に表面に金属ないし酸化物薄膜等を形成するものでは、例えば特許文献1に示されるような以下に示す特性が要求されてきた。
(1)アルカリ金属酸化物を含有していると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して膜特性を劣化させるため、実質的にアルカリ金属イオンを含まないこと。
(2)半導体形成に用いる各種薬品に対して充分な化学耐久性を有すること。特にSiOxやSiNxのエッチングのためのバッファードフッ酸(BHF:フッ酸とフッ化アンモニウムの混合液)、およびITOのエッチングに用いる塩酸を含有する薬液、金属電極のエッチングに用いる各種の酸(硝酸、硫酸等)、レジスト剥離液のアルカリに対して耐久性のあること。
(3)内部および表面に欠点(泡、脈理、インクルージョン、ピット、キズ等)がないこと。
(1)アルカリ金属酸化物を含有していると、アルカリ金属イオンが薄膜中に拡散して膜特性を劣化させるため、実質的にアルカリ金属イオンを含まないこと。
(2)半導体形成に用いる各種薬品に対して充分な化学耐久性を有すること。特にSiOxやSiNxのエッチングのためのバッファードフッ酸(BHF:フッ酸とフッ化アンモニウムの混合液)、およびITOのエッチングに用いる塩酸を含有する薬液、金属電極のエッチングに用いる各種の酸(硝酸、硫酸等)、レジスト剥離液のアルカリに対して耐久性のあること。
(3)内部および表面に欠点(泡、脈理、インクルージョン、ピット、キズ等)がないこと。
上記の要求に加えて、近年では、以下のような状況にある。
(4)ディスプレイの軽量化が要求され、ガラス自身も密度の小さいガラスが望まれる。
(5)ディスプレイの軽量化が要求され、基板ガラスの薄板化が望まれる。
(4)ディスプレイの軽量化が要求され、ガラス自身も密度の小さいガラスが望まれる。
(5)ディスプレイの軽量化が要求され、基板ガラスの薄板化が望まれる。
(6)これまでのアモルファスシリコン(a−Si)タイプの液晶ディスプレイに加え、若干熱処理温度の高い多結晶シリコン(p−Si)タイプの液晶ディスプレイが作製されるようになってきた(a−Si:約350℃→p−Si:350〜550℃)。
(7)液晶ディスプレイ作製時の熱処理の昇降温速度を速くして、生産性を上げたり耐熱衝撃性を上げるために、ガラスの線膨張係数の小さいガラスが求められる。
(7)液晶ディスプレイ作製時の熱処理の昇降温速度を速くして、生産性を上げたり耐熱衝撃性を上げるために、ガラスの線膨張係数の小さいガラスが求められる。
背景技術で述べた特性に加え、近年では薄膜形成工程で高温にさらされる際に、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う寸法変化を最小限に抑えるため、ガラスのコンパクションが低いことが求められている。
本発明の目的は、コンパクションが低く、線膨張係数が小さく、フロート成形が容易な無アルカリガラスを提供することにある。
本発明は、コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が40ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、
SiO2 64〜72、
Al2O3 17〜22、
MgO 1〜8、
CaO 4〜15.5、
を含有し
0.20≦MgO/(MgO+CaO)≦0.41である無アルカリガラスを提供する。
SiO2 64〜72、
Al2O3 17〜22、
MgO 1〜8、
CaO 4〜15.5、
を含有し
0.20≦MgO/(MgO+CaO)≦0.41である無アルカリガラスを提供する。
本発明の無アルカリガラスにおいて、
コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が25ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、
SiO2 67.5〜72、
Al2O3 17〜21、
MgO 1〜6、
CaO 4〜8.5、
を含有し、
SiO2 、Al2O3、MgOおよびCaOが合量で96質量%以上であり、
0.22≦MgO/(MgO+CaO)≦0.39であることが好ましい。
コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が25ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、
SiO2 67.5〜72、
Al2O3 17〜21、
MgO 1〜6、
CaO 4〜8.5、
を含有し、
SiO2 、Al2O3、MgOおよびCaOが合量で96質量%以上であり、
0.22≦MgO/(MgO+CaO)≦0.39であることが好ましい。
また、本発明の無アルカリガラスにおいて、コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が40ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、
SiO2 64〜68、
Al2O3 17〜22、
MgO 2.3〜8、
CaO 9〜15.5、
を含有し、
SiO2 、Al2O3、MgOおよびCaOが合量で96質量%以上であり、
0.22≦MgO/(MgO+CaO)≦0.39であることが好ましい。
SiO2 64〜68、
Al2O3 17〜22、
MgO 2.3〜8、
CaO 9〜15.5、
を含有し、
SiO2 、Al2O3、MgOおよびCaOが合量で96質量%以上であり、
0.22≦MgO/(MgO+CaO)≦0.39であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスは、各種ディスプレイ用基板ガラスやフォトマスク用基板ガラスとして好適であるが、磁気ディスク用ガラス基板等としても使用できる。但し、コンパクションが低いことから、薄膜形成工程で高温にさらされる際に、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う寸法変化を最小限に抑えることが求められる、各種ディスプレイ用基板ガラスやフォトマスク用基板ガラスとして有効である。
次に各成分の組成範囲について説明する。SiO2は、72%(質量%、以下特記しないかぎり同じ)超では、失透温度TLが上昇するおそれがある。また、粘性も高くなり、溶解温度の上昇や、清澄時に泡が抜けきらず、気泡が混入するおそれがある。64%未満では、ネットワークフォーマーの割合が少なくなり、コンパクションが増加してしまう。また、熱膨張係数が大きくなる。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、SiO2含有量が67.5%以上72%以下である。72%超では、粘性も高くなり、溶解温度の上昇や、清澄時に泡が抜けきらず、気泡が混入するおそれがある。67.5%未満では、コンパクションが増加するおそれがある。68%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、SiO2含有量が64%以上68%以下である。68%超では、溶解温度が上昇するおそれがある。67%以下がより好ましい。64%未満では、コンパクションが増加するおそれがある。また、熱膨張係数が大きくなる。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、SiO2含有量が67.5%以上72%以下である。72%超では、粘性も高くなり、溶解温度の上昇や、清澄時に泡が抜けきらず、気泡が混入するおそれがある。67.5%未満では、コンパクションが増加するおそれがある。68%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、SiO2含有量が64%以上68%以下である。68%超では、溶解温度が上昇するおそれがある。67%以下がより好ましい。64%未満では、コンパクションが増加するおそれがある。また、熱膨張係数が大きくなる。
Al2O3は22%超では失透温度TLが上昇する恐れがある。また、SiO2同様ネットワークフォーマーとしてはたらくため、22%超では粘性が増加し、溶解温度の上昇、気泡混入のおそれがある。17%未満では、コンパクションの増加を起こしてしまう。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、Al2O3含有量が17%以上21%以下である。21%超では、失透温度TLが上昇する恐れがある。20.5%以下がより好ましい。17%未満では、コンパクションの増加を起こしてしまう。18%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、Al2O3含有量が17%以上22%以下である。22%超では、失透温度TLが上昇する恐れがある。21%以下がより好ましい。17%未満では、コンパクションの増加を起こしてしまう。18%以上がより好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、Al2O3含有量が17%以上21%以下である。21%超では、失透温度TLが上昇する恐れがある。20.5%以下がより好ましい。17%未満では、コンパクションの増加を起こしてしまう。18%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、Al2O3含有量が17%以上22%以下である。22%超では、失透温度TLが上昇する恐れがある。21%以下がより好ましい。17%未満では、コンパクションの増加を起こしてしまう。18%以上がより好ましい。
MgOは、8%超では、ガラス転移点Tgが低下する。また、コンパクションが増加し、熱膨張係数が大きくなる。1%未満では、溶解性が悪化し、ヤング率が低下し、失透温度TLの上昇を起こしてしまう。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、MgO含有量が1%以上6%以下である。6%超では、ガラス転移点Tgが低下し、コンパクションが増加し、熱膨張係数が大きくなる。5%以下がより好ましい。1%未満では、失透温度TLの上昇を起こしてしまう。また、ヤング率が低下する。2%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、MgO含有量が2.3%以上8%以下である。8%超では、コンパクションが増加し、熱膨張係数が大きくなる。2.3%未満では失透温度TLの上昇を起こしてしまう。また、ヤング率が低下する。4%以上がより好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、MgO含有量が1%以上6%以下である。6%超では、ガラス転移点Tgが低下し、コンパクションが増加し、熱膨張係数が大きくなる。5%以下がより好ましい。1%未満では、失透温度TLの上昇を起こしてしまう。また、ヤング率が低下する。2%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、MgO含有量が2.3%以上8%以下である。8%超では、コンパクションが増加し、熱膨張係数が大きくなる。2.3%未満では失透温度TLの上昇を起こしてしまう。また、ヤング率が低下する。4%以上がより好ましい。
CaOは、15.5%超では、コンパクションの増加や失透温度TLの上昇を起こしてしまう。4%未満では、溶解性が悪化し、溶解温度が上昇し、失透温度も上昇する。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、CaO含有量が4%以上8.5%以下である。8.5%超では、コンパクションの増加や失透温度TLの上昇を起こしてしまう。4%未満では、溶解性が悪化し、溶解温度が上昇し、失透温度も上昇する。5%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、CaO含有量が9%以上15.5%以下である。15.5%超では、コンパクションの増加や失透温度TLの上昇を起こしてしまう。9%未満では、溶解性が悪化し、溶解温度が上昇する。10%以上がより好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、CaO含有量が4%以上8.5%以下である。8.5%超では、コンパクションの増加や失透温度TLの上昇を起こしてしまう。4%未満では、溶解性が悪化し、溶解温度が上昇し、失透温度も上昇する。5%以上がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、CaO含有量が9%以上15.5%以下である。15.5%超では、コンパクションの増加や失透温度TLの上昇を起こしてしまう。9%未満では、溶解性が悪化し、溶解温度が上昇する。10%以上がより好ましい。
MgO/(CaO+MgO)が0.41よりも高いと、600℃で加熱処理した際のコンパクションが増加する。また、熱膨張係数が大きくなる。0.39以下が好ましく、0.37以下がより好ましい。0.20よりも低いと、失透温度TLが上昇する。0.22以上が好ましく、0.24以上がより好ましい。
本発明の効果を妨げない範囲で、他の成分、例えば以下の成分を含有してもよい。この場合の他の成分は、高いヤング率と低いコンパクションを両立するために、好ましくは5%未満、より好ましくは3%未満、さらに好ましくは1%未満、さらにより好ましくは0.5%未満であり、特に好ましくは、実質的に、すなわち不可避的不純物を除き、含有しないことが好ましい。したがって、本発明において、SiO2、Al2O3、CaO、および、MgOの合計含有量は95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましく、99.5%以上であることがさらにより好ましい。実質的に、即ち不可避的不純物を除き、SiO2、Al2O3、CaO、および、MgOからなることが特に好ましい。
B2O3は、ガラスの溶解反応性をよくさせるため含有できる。しかし、多すぎるとヤング率が低下し、コンパクションが増加するため、含有量は3%未満が好ましく、1%未満がさらに好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
BaOは、ガラスの溶解性を向上させるため含有できる。しかし、多すぎると、熱膨張係数が増加するため、含有量は5%未満が好ましく、3%未満がより好ましく、1%未満がさらに好ましく、0.5%未満がさらにより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
SrOは、溶解性を向上させるため含有できる。しかし、多すぎると、熱膨張係数が増加するため、含有量は5%未満が好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、SrOの含有量が3%未満であり、1%未満がより好ましく、0.5%未満がさらにより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、SrOの含有量が2%未満であり、1%未満がより好ましく、0.3%未満がより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、SrOの含有量が3%未満であり、1%未満がより好ましく、0.5%未満がさらにより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、SrOの含有量が2%未満であり、1%未満がより好ましく、0.3%未満がより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
ZrO2は、ガラスのヤング率を向上させる含有できる。しかし、多すぎると、失透温度が上昇するため、含有量は3%未満が好ましく、1%未満がさらに好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
なお、本発明のガラスは、パネル製造時にガラス表面に設ける金属ないし酸化物薄膜の特性劣化を生じさせないために、アルカリ金属酸化物を不純物レベルを超えて(すなわち実質的に)含有しない。また、ガラスのリサイクルを容易にするため、PbO、As2O3、Sb2O3は実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の無アルカリガラスは、コンパクションがきわめて低い。
コンパクションとは、加熱処理の際にガラス構造の緩和によって発生するガラス熱収縮率である。本発明においてコンパクションとは、次に説明する方法で測定した値を意味するものとする。
初めに、対象となるガラスを1550℃〜1650℃で溶解した後、溶融ガラスを流し出し、板状に成形後冷却する。得られた板状ガラスを研磨加工して100mm×20mm×1mmのガラス板を得る。
次に、得られたガラス板をガラス転移点Tg+70℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、降温速度40℃/分で室温まで冷却する。その後、ガラス板の表面に圧痕を長辺方向に2箇所、間隔A(A=90mm)で打ち、処理前試料とする。
次に処理前試料を450℃まで昇温速度100℃/時間で加熱し、450℃で2時間保持した後、降温速度100℃/時間で室温まで冷却し処理後試料1とする。
そして、処理後試料1の圧痕間距離B1を測定する。
このようにして得たA、B1から下記式を用いてコンパクションC1を算出する。
C1[ppm]=(A−B1)/A×106
また処理前試料を600℃まで昇温速度100℃/時間で加熱し、600℃で1時間保持した後、降温速度100℃/時間で室温まで冷却し処理後試料2とする。
そして、処理後試料2の圧痕間距離B2を測定する。
このようにして得たA、B2から下記式を用いてコンパクションC2を算出する。
C2[ppm]=(A−B2)/A×106
コンパクションとは、加熱処理の際にガラス構造の緩和によって発生するガラス熱収縮率である。本発明においてコンパクションとは、次に説明する方法で測定した値を意味するものとする。
初めに、対象となるガラスを1550℃〜1650℃で溶解した後、溶融ガラスを流し出し、板状に成形後冷却する。得られた板状ガラスを研磨加工して100mm×20mm×1mmのガラス板を得る。
次に、得られたガラス板をガラス転移点Tg+70℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、降温速度40℃/分で室温まで冷却する。その後、ガラス板の表面に圧痕を長辺方向に2箇所、間隔A(A=90mm)で打ち、処理前試料とする。
次に処理前試料を450℃まで昇温速度100℃/時間で加熱し、450℃で2時間保持した後、降温速度100℃/時間で室温まで冷却し処理後試料1とする。
そして、処理後試料1の圧痕間距離B1を測定する。
このようにして得たA、B1から下記式を用いてコンパクションC1を算出する。
C1[ppm]=(A−B1)/A×106
また処理前試料を600℃まで昇温速度100℃/時間で加熱し、600℃で1時間保持した後、降温速度100℃/時間で室温まで冷却し処理後試料2とする。
そして、処理後試料2の圧痕間距離B2を測定する。
このようにして得たA、B2から下記式を用いてコンパクションC2を算出する。
C2[ppm]=(A−B2)/A×106
本発明の無アルカリガラスは、コンパクションC1が5ppm以下である。一方、コンパクションC2が40ppm以下である。
本発明の無アルカリガラスは、コンパクションC1、C2が上記の条件を満たすため、無アルカリガラスを用いて各種ディスプレイを製造する過程で実施される薄膜形成工程で、高温にさらされた際に、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う寸法変化を最小限に抑制することができる。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、コンパクションC1が5ppm以下である。一方、コンパクションC2が25ppm以下であり、20ppm以下がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、コンパクションC1が5ppm以下である。一方、コンパクションC2が40ppm以下であり、35ppm以下がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスは、コンパクションC1、C2が上記の条件を満たすため、無アルカリガラスを用いて各種ディスプレイを製造する過程で実施される薄膜形成工程で、高温にさらされた際に、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う寸法変化を最小限に抑制することができる。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、コンパクションC1が5ppm以下である。一方、コンパクションC2が25ppm以下であり、20ppm以下がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、コンパクションC1が5ppm以下である。一方、コンパクションC2が40ppm以下であり、35ppm以下がより好ましい。
また、本発明の無アルカリガラスは、粘度ηが102ポイズ(dPa・s)となる温度T2が1760℃以下であり、溶解が比較的容易である。また、溶解窯を構成する耐火レンガの侵食を抑制できる。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、T2が1760℃以下である。1740℃がより好ましく、1720℃以下がさらにより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、T2が1730℃以下であり、1710℃以下がより好ましく、1690℃以下がさらにより好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、T2が1760℃以下である。1740℃がより好ましく、1720℃以下がさらにより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、T2が1730℃以下であり、1710℃以下がより好ましく、1690℃以下がさらにより好ましい。
また、本発明の無アルカリガラスは、粘度ηが104ポイズ(dPa・s)となる温度T4が1380℃以下であり、フロート成形が比較的容易である。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、T4が1380℃以下である。1360℃がより好ましく、1340℃以下がさらにより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、T4が1360℃以下であり、1340℃以下がより好ましく、1320℃以下がさらにより好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、T4が1380℃以下である。1360℃がより好ましく、1340℃以下がさらにより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、T4が1360℃以下であり、1340℃以下がより好ましく、1320℃以下がさらにより好ましい。
また、本発明の無アルカリガラスは、50〜350℃での平均熱膨張係数が40×10-7/℃以下であり、耐熱衝撃性が大きく、パネル製造時の生産性を高くできる。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、50〜350℃での平均熱膨張係数が37×10-7/℃以下であり、34×10-7/℃以下がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、50〜350℃での平均熱膨張係数が40×10-7/℃以下であり、38×10-7/℃以下がより好ましい。
ここで、本発明の無アルカリガラスの第1態様では、50〜350℃での平均熱膨張係数が37×10-7/℃以下であり、34×10-7/℃以下がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスの第2態様では、50〜350℃での平均熱膨張係数が40×10-7/℃以下であり、38×10-7/℃以下がより好ましい。
本発明の無アルカリガラスは、ガラス転移点Tgが780℃以上であるため、パネル製造時の熱収縮を抑えられる。また、p−Si TFTの製造方法としてレーザーアニールによる方法を適用することができる。
本発明の無アルカリガラスは、ガラス転移点が780℃以上であるため、製造プロセスにおいてガラスの仮想温度が上昇しやすい用途(例えば、板厚0.7mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下の有機EL等用のディスプレイ用基板または照明用基板、あるいは板厚0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下の薄板のディスプレイ用基板または照明用基板)に適している。
板厚0.7mm以下、さらには0.5mm以下、さらには0.3mm以下、さらには0.1mm以下の板ガラスの成形では、成形時の引き出し速度が速くなる傾向があるため、ガラスの仮想温度が上昇し、ガラスのコンパクションが増大しやすい。この場合、高ガラス転移点のガラスであると、コンパクションを抑制することができる。
本発明の無アルカリガラスは、ガラス転移点が780℃以上であるため、製造プロセスにおいてガラスの仮想温度が上昇しやすい用途(例えば、板厚0.7mm以下、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下の有機EL等用のディスプレイ用基板または照明用基板、あるいは板厚0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下の薄板のディスプレイ用基板または照明用基板)に適している。
板厚0.7mm以下、さらには0.5mm以下、さらには0.3mm以下、さらには0.1mm以下の板ガラスの成形では、成形時の引き出し速度が速くなる傾向があるため、ガラスの仮想温度が上昇し、ガラスのコンパクションが増大しやすい。この場合、高ガラス転移点のガラスであると、コンパクションを抑制することができる。
本発明の無アルカリガラスは、例えば次のような方法で製造できる。通常使用される各成分の原料を目標成分になるように調合し、これを溶解炉に連続的に投入し、1550〜1650℃に加熱して溶融する。この溶融ガラスをフロート法により所定の板厚に成形し、徐冷後切断することによって板ガラスを得ることができる。
以下において例1〜12は実施例、例13〜15は比較例である。各成分の原料を目標組成になるように調合し、白金坩堝を用いて1550〜1650℃の温度で溶解した。溶解にあたっては、白金スターラを用い撹拌しガラスの均質化を行った。次いで溶解ガラスを流し出し、板状に成形後徐冷した。
表1〜2には、ガラス組成(単位:質量%)と、密度ρ(g/cm3)、ヤング率E(GPa)(超音波法により測定)、比弾性E/ρ(GPa・cm3/g)、ガラス転移点Tg(単位:℃)、50〜350℃での熱膨脹係数α(単位:×10-7/℃)、ガラス粘度ηが102ポイズとなる温度T2(単位:℃)、ガラス粘度ηが104ポイズとなる温度T4(単位:℃)、および、コンパクションC1、C2(上述した方法により測定、単位:ppm)を示す。
なお、表1〜2中、括弧書で示した値は計算値である。
なお、表1〜2中、括弧書で示した値は計算値である。
表から明らかなように、実施例のガラスはコンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が25ppm以下である。また、50〜350℃での平均熱膨張係数が40×10-7/℃以下であり、T2が1760℃以下である。
本発明の無アルカリガラスは、各種ディスプレイ用基板ガラスやフォトマスク用基板ガラスとして好適であるが、磁気ディスク用ガラス基板等としても使用できる。但し、コンパクションが低いことから、薄膜形成工程で高温にさらされる際に、ガラスの変形およびガラスの構造安定化に伴う寸法変化を最小限に抑えることが求められる、各種ディスプレイ用基板ガラスやフォトマスク用基板ガラスとして有効である。
Claims (3)
- コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が40ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、
SiO2 64〜72、
Al2O3 17〜22、
MgO 1〜8、
CaO 4〜15.5、
を含有し
0.20≦MgO/(MgO+CaO)≦0.41である無アルカリガラス。 - コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が25ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、
SiO2 67.5〜72、
Al2O3 17〜21、
MgO 1〜6、
CaO 4〜8.5、
を含有し、
SiO2 、Al2O3、MgOおよびCaOが合量で96質量%以上であり、
0.22≦MgO/(MgO+CaO)≦0.39である、請求項1に記載の無アルカリガラス。 - コンパクションC1が5ppm以下であり、コンパクションC2が40ppm以下であり、酸化物基準の質量%表示で、
SiO2 64〜68、
Al2O3 17〜22、
MgO 2.3〜8、
CaO 9〜15.5、
を含有し、
SiO2 、Al2O3、MgOおよびCaOが合量で96質量%以上であり、
0.22≦MgO/(MgO+CaO)≦0.39である、請求項1に記載の無アルカリガラス。
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