JP2016132736A - ポリイミド樹脂組成物及び粘着シート - Google Patents
ポリイミド樹脂組成物及び粘着シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016132736A JP2016132736A JP2015008829A JP2015008829A JP2016132736A JP 2016132736 A JP2016132736 A JP 2016132736A JP 2015008829 A JP2015008829 A JP 2015008829A JP 2015008829 A JP2015008829 A JP 2015008829A JP 2016132736 A JP2016132736 A JP 2016132736A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyimide resin
- group
- resin composition
- formula
- component
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Adhesive Tapes (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
Abstract
【課題】光重合開始剤の非存在下で活性エネルギー線により硬化可能であり、優れた耐熱性を有するポリイミド樹脂組成物及び前記組成物を含む粘着シートの提供。【解決手段】マレイミド基を有するポリイミド樹脂、及び、当該ポリイミド樹脂と反応する二重結合を有する反応性化合物を含有し、前記ポリイミド樹脂が、(A)式(1)で表されるジアミン、(B)式(2)で表されるジアミン(但し、前記(A)成分に該当するジアミンを除く)、及び、(C)テトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリアミック酸と、(D)無水マレイン酸及び無水マレイン酸誘導体から選ばれる少なくとも一種と、を反応させて得られる、ポリイミド樹脂組成物。[nは1〜70の整数][R1は2価の基]【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド樹脂組成物及び粘着シートに関するものである。
従来、200℃以上の耐熱性の粘着剤としては、フッ素系粘着剤及びシリコーン系粘着剤がよく知られている。フッ素系粘着剤は、耐熱性に優れた粘着剤であるが、非常に高価であるという問題を有している。シリコーン系粘着剤は安価であり、耐熱性に優れているため、広範囲な分野で使用されているが、環境温度が250℃程度の高温に長時間曝されるとシロキサンガスが発生し、絶縁不良の原因となる問題を有している(例えば、下記特許文献1参照)。従来用いられている過酸化物硬化型のシリコーン系粘着剤は、硬化剤にベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物を用いており、硬化させるには150℃以上の高温が必要であるため、耐熱温度が低い基材への塗工が困難であるという問題がある。フッ素系粘着剤よりも低コストでかつ250℃の高温でも劣化しない耐熱性粘着剤が市場で要望されているが、充分満足できるものは得られていないのが現状である。
従来、ポリイミド樹脂は、耐熱性に優れたエンジニアリングプラスチックとして広く利用されており、中でも、ビスマレイミド化合物と芳香族ジアミンを原料とし、これらを反応させて得られるポリイミド樹脂は、熱硬化性ポリイミド樹脂として電気絶縁材料等に広く利用されている。脂肪族ビスマレイミドであるポリオキシアルキレンビスマレイミド、芳香族ビスマレイミド、芳香族ジアミンを原料とし、これらを反応させて得られる熱硬化性ポリイミド樹脂の硬化物は、耐熱性だけでなく粘着性を有することが知られている(例えば、下記特許文献2参照)。しかしながら、上記のビスマレイミド化合物と芳香族ジアミンを反応させて硬化物を得るには、150℃以上の高温と長い時間を必要とするため、製造時に大きなエネルギーを必要とし、耐熱温度が低い基材への塗工が困難である。また、250℃以上の耐熱性を有する粘着剤としてポリイミド系粘着剤の報告もあるが(例えば、下記特許文献3参照)、硬化時に200℃以上の温度、又は、150℃以上の高温と長い時間を必要とするため、耐熱温度が低い基材への塗工が困難である。また、250℃に加熱しても分解ガスの発生が少なく、紫外線、及び/又は、150℃以下の温度で硬化する粘着剤として、ポリイミド樹脂組成物の報告もあるが(例えば、下記特許文献4参照)、光重合開始剤を必要とするため、未反応の光重合開始剤の分解物が残存し、光又は熱が作用した際に、硬化塗膜が黄変するという問題点や、悪臭を発生するという問題点がある。
そこで、本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、光重合開始剤の非存在下で活性エネルギー線の照射により硬化可能であると共に、優れた耐熱性を有するポリイミド樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記ポリイミド樹脂組成物を用いて得られる粘着シートを提供することを目的とする。
本発明に係るポリイミド樹脂組成物は、マレイミド基を有するポリイミド樹脂、及び、当該ポリイミド樹脂と反応する二重結合を有する反応性化合物を含有し、前記ポリイミド樹脂が、(A)下記一般式(1)で表されるジアミン、(B)下記一般式(2)で表されるジアミン(但し、前記(A)成分に該当するジアミンを除く)、及び、(C)テトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリアミック酸と、(D)無水マレイン酸及び無水マレイン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を反応させて得られる。
[式(1)において、nは、1〜70の整数を示す。]
[式(2)において、R1は、2価の基を示す。]
[式(1)において、nは、1〜70の整数を示す。]
[式(2)において、R1は、2価の基を示す。]
本発明に係るポリイミド樹脂組成物は、光重合開始剤の非存在下で活性エネルギー線(可視光線、紫外線等)の照射により硬化可能であると共に、優れた耐熱性(例えば、硬化塗膜の耐熱性)を有する。また、本発明に係るポリイミド樹脂組成物は、得られる硬化塗膜を300℃に加熱しても分解ガスの発生が少ない。さらに、本発明に係るポリイミド樹脂組成物は、反応性化合物により粘着力と粘度とを調整することができる。
前記ポリイミド樹脂の5%重量減少温度は、300℃以上であることが好ましい。
前記(D)成分は、下記式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、及び、下記一般式(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
[式(4)において、R2は、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(5)において、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(6)において、R5は、プロピレン基又はブチレン基を示す。]
[式(4)において、R2は、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(5)において、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(6)において、R5は、プロピレン基又はブチレン基を示す。]
前記(C)成分は、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及び、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
前記ポリイミド樹脂の数平均分子量は、1000〜100000であることが好ましい。
前記反応性化合物は、(メタ)アクリル化合物及びビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
本発明に係るポリイミド樹脂組成物は、前記ポリイミド樹脂の含有量及び前記反応性化合物の含有量の合計を基準として、前記ポリイミド樹脂の含有量が40〜95質量%であり且つ前記反応性化合物の含有量が5〜60質量%である態様であることが好ましい。
本発明に係るポリイミド樹脂組成物の25℃における粘度は、1000〜15000mPa・sであることが好ましい。
本発明に係る粘着シートは、前記樹脂組成物を基材に塗布して得られた塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化して得られたものである。本発明に係る粘着シートの5%重量減少温度は、300℃以上であることが好ましい。
本発明は、光重合開始剤の非存在下で活性エネルギー線の照射により硬化可能であると共に、優れた耐熱性を有するポリイミド樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明は、前記ポリイミド樹脂組成物を用いて得られる粘着シートを提供することができる。
本発明の実施形態について以下説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、1つ以上のマレイミド基を有するポリイミド樹脂、及び、当該ポリイミド樹脂と反応する1つ以上の二重結合を有する反応性化合物を含有する。前記ポリイミド樹脂は、(A)下記一般式(1)で表されるジアミン(ポリオキシプロピレンジアミン。以下、場合により「(A)成分」という)、(B)下記一般式(2)で表されるジアミン(但し、(A)成分に該当するジアミンを除く。以下、場合により「(B)成分」という)、及び、(C)テトラカルボン酸二無水物(以下、場合により「(C)成分」という)を反応させて得られるポリアミック酸(ポリアミド酸)と、(D)無水マレイン酸及び無水マレイン酸誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、場合により「(D)成分」という)と、を反応させて得られる。本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、例えば、室温(25℃。以下同じ)で液状である。
[式(1)において、nは、1〜70の整数を示す。]
[式(2)において、R1は、2価の基を示す。]
[式(1)において、nは、1〜70の整数を示す。]
[式(2)において、R1は、2価の基を示す。]
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、特定の成分を反応させて得られるポリイミド樹脂がマレイミド基を有するため、光重合開始剤の非存在下で活性エネルギー線(可視光線、紫外線等)の照射により、二重結合を有する反応性化合物と容易に反応して硬化することができる。また、このようなポリイミド樹脂及び反応性化合物を含有するポリイミド樹脂組成物は、優れた耐熱性を有している。
本実施形態におけるポリイミド樹脂の5%重量減少温度は、耐熱性に更に優れる観点から、300℃以上が好ましく、330℃以上がより好ましく、350℃以上が更に好ましい。これにより、高温下に放置されても、劣化したり、分解したり、アウトガスが発生したり等の問題を更に抑制することができる。ここで、5%重量減少温度とは、例えば、TG/DTA7200(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、昇温速度10℃/min、窒素流量300mL/minで測定したときの5%重量減少温度を意味する。
(A)成分に関する式(1)において、nは、樹脂の溶解性と硬化性の観点から、10〜60が好ましく、25〜40がより好ましい。nが10未満では、得られるポリイミド樹脂のTgが高くなり、溶解性が低下する傾向があり、nが60を超えると、活性エネルギー線の照射により硬化しにくくなる傾向がある。(A)成分としては、ジェファーミンD−230、ジェファーミンD−400、ジェファーミンD−2000、ジェファーミンD−4000(いずれも、ハインツマン製、商品名)等が挙げられる。(A)成分は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(A)成分の含有量は、(A)成分の含有量及び(B)成分の含有量の合計を基準として、70質量%以上100質量%未満が好ましく、75〜95質量%がより好ましく、80〜90質量%が更に好ましい。この含有量が70質量%未満であると、得られるポリイミド樹脂のTgが高く、溶解性が低下する傾向がある。
(B)成分に関する式(2)において、2価の基(例えば有機基)としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、エーテル基、アミノ基等が挙げられる。アルキレン基としては、炭素数1〜40のアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基としては、置換アルキレン基であってもよく、ヒドロキシアルキレン基等を用いることもできる。アリーレン基としては、フェニレン基;アルキルアリーレン基;アルコキシアルキレン基、ハロゲン化アリーレン基等が挙げられる。R1は、樹脂の溶解性の観点から、アルキレン基が好ましい。
(B)成分としては、特に限定されるものではなく、例えば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,6,2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルフォニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル−4,4’−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)シクロヘキシル]プロパン、パラフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,6,2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルフォニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン、プライアミン1075(クローダ製、商品名)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,4−ブタンジオールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.2.6]デカン等が挙げられる。(B)成分は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分の含有量は、硬化塗膜の強度の観点から、(A)成分の含有量及び(B)成分の含有量の合計を基準として、0質量%を超え30質量%以下が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましい。
(C)成分は、特に限定されるものではないが、例えば、商業的に入手しやすい観点から、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及び、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。特に、(C)成分は、耐熱性に更に優れる観点から、ピロメリット酸二無水物を含むことがより好ましい。(C)成分は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態におけるポリイミド樹脂は、硬化塗膜の強度の観点から、(A)成分の含有量及び(B)成分の含有量の合計を基準として、(A)成分の含有量が70質量%以上100質量%未満であり且つ(B)成分の含有量が0質量%を超え30質量%以下であり、(C)成分がピロメリット酸二無水物を含む態様であることが好ましい。
(D)成分としては、無水マレイン酸(無置換体)及び無水マレイン酸誘導体(例えば置換体)からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いることができる。例えば、(D)成分としては、特に限定されるものではなく、無置換体、1置換体及び2置換体からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができる。(D)成分は、活性エネルギー線の照射による硬化性の観点から、下記式(3)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物、下記一般式(5)で表される化合物、及び、下記一般式(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
[式(4)において、R2は、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(5)において、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(6)において、R5は、プロピレン基又はブチレン基を示す。]
[式(4)において、R2は、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(5)において、R3及びR4は、それぞれ独立してアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す。]
[式(6)において、R5は、プロピレン基又はブチレン基を示す。]
無置換体としては、無水マレイン酸(式(3))等が挙げられる。1置換体としては、一般式(4)で表される化合物等が挙げられる。2置換体としては、一般式(5)で表される化合物、一般式(6)で表される化合物等が挙げられる。式(4)及び式(5)のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基等が挙げられる。アルキル基としては、置換アルキル基であってもよく、ヒドロキシアルキル基等を用いることもできる。式(4)及び式(5)のアリール基としては、フェニル基;ベンジル基;トリル基、キシリル基等のアリールアルキル基;アリールアルコキシ基、ハロゲン化アリール基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
1置換体としては、シトラコン酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、3−ブロモフラン−2,5−ジオン、シス−アコニット酸無水物、3−(4−メトキシフェニル)フラン−2,5−ジオン、3−フェニルフラン−2,5−ジオン、3−(4−クロロフェニル)フラン−2,5−ジオン等が挙げられる。2置換体としては、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、2,5−ジヒドロ−4−メチル−2,5−ジオキソ−3−フランプロピオン酸、3,4−ジクロロフラン−2,5−ジオン、3,4−ジブロモフラン−2,5−ジオン、3,4−ジベンジルフラン−2,5−ジオン、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。(D)成分は単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
文献(東亜合成グループ研究年報,TREND 2009,第12号,31−33頁)によれば、無置換体のマレイミド基は、活性エネルギー線の照射だけでなく熱でも硬化させられる。一方、1置換体や2置換体は、活性エネルギー線の照射により硬化するが、熱では硬化しにくいため高温用途で使用する際に好ましい。これらを鑑みて(D)成分は適宜選択される。特に、2置換体は熱で重合しにくいため、製造上好適である。
本実施形態におけるポリイミド樹脂の数平均分子量は、1000〜100000が好ましく、2000〜30000がより好ましく、4000〜15000が更に好ましい。数平均分子量が1000未満であると、硬化塗膜の粘着力が低下する場合がある。数平均分子量が100000を超えると、反応性化合物へのポリイミド樹脂の溶解性が低下する場合がある。ポリイミド樹脂の数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態におけるポリイミド樹脂の分子量は、ジアミン成分((A)成分及び(B)成分)と(C)成分(テトラカルボン酸二無水物)との比率により制御することができる。ジアミン成分((A)成分及び(B)成分)の含有量(合計量)は、(C)成分1.0molに対し、1.2〜2.0molが好ましく、1.3〜1.8molがより好ましく、1.4〜1.6molが更に好ましい。ジアミン成分の含有量が1.2mol未満であると、理論的に末端がカルボン酸になるため、(D)成分の反応点(マレイミド基)が少なくなり、活性エネルギー線を照射した際に硬化しにくくなる傾向がある。ジアミン成分の含有量が2.0molを超えると、低分子量成分が多くなり耐熱性が向上しにくい傾向がある。
ポリイミド樹脂の含有量は、耐熱性と粘度の観点から、ポリイミド樹脂の含有量及び反応性化合物の含有量の合計を基準として40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、70〜80質量%が更に好ましい。40質量%未満では、硬化塗膜の耐熱性が低下することがあり、95質量%を超えると、粘度が高くなり、塗工性が低下することがある。
本実施形態におけるポリイミド樹脂を得るには、例えば、まず、(A)成分及び(B)成分の混合物と、(C)成分とを反応させて、ポリアミック酸を生成させる。このとき、反応温度は60〜120℃が好ましい。反応温度が60℃未満であると、充分な反応速度が得られにくくなる傾向がある。
このポリアミック酸生成反応において、触媒を用いることもでき、触媒を添加することで低温及び短時間で反応を進行させることができる。触媒としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等の3級アミンなどが挙げられる。触媒の使用量は、テトラカルボン酸二無水物の全量に対して0.1〜50mol%が好ましい。触媒の使用量が0.1mol%未満の場合は、反応促進効果が充分に得られにくい傾向があり、50mol%を超える場合は、過剰量の触媒により、得られるポリイミド樹脂の特性が充分なものでなくなる傾向がある。
次いで、上記反応で得られたポリアミック酸に(D)成分を反応させて、マレイミド基を有するポリアミック酸を生成させる。このとき、反応温度は60〜120℃が好ましい。反応温度が60℃未満であると、充分な反応速度が得られにくくなる傾向がある。
次いで、上記反応で得られたマレイミド基を有するポリアミック酸を脱水閉環させることによって、1つ以上のマレイミド基を有するポリイミド樹脂が得られる。このときの反応温度は、120〜220℃が好ましい。反応温度が120℃未満であると、充分な反応速度が得られにくく、脱水閉環反応が充分に進行しにくくなる傾向がある。一方、反応温度が220℃を超えるように調整することは、熱媒による加熱が困難であることから現実的ではない。
上記脱水閉環反応において、脱水剤を用いることもできる。脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、カルボジイミド等が挙げられる。脱水剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。脱水剤の使用量は、テトラカルボン酸二無水物の全量に対して100〜200mol%が好ましい。脱水剤の使用量が100mol%未満の場合は、脱水閉環反応が進行しにくくなり、アミック酸部位が残る傾向があり、200mol%を超える場合は、過剰量の脱水剤により、得られるポリイミド樹脂の特性が充分なものでなくなる傾向がある。
なお、例えば、(A)成分及び(B)成分の混合物と、(C)成分とを120℃以上で反応させて、ポリアミック酸の生成反応と脱水閉環反応を連続して進行させることもできる。
上記ポリアミック酸生成反応及び脱水閉環反応において、溶媒は必須ではないが、樹脂の重合が進行するに従って粘度が上昇して充分な撹拌ができなくなることがあるため、溶媒を用いることが好ましい。溶媒を用いる場合は、脱水閉環反応後に、反応液を加熱(必要に応じて、減圧下で加熱)して溶媒を留去する。
溶媒としては、ポリイミド樹脂が溶解するものであれば特に限定されないが、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ガンマブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、イソプロパノール、1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルイソブチルカルビノール、1−プロポキシ−2−プロパノール等が挙げられる。溶媒は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、基板等に塗布する際に、反応性化合物により粘度調整が可能なため、ハンドリングしやすい。また、本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、溶剤希釈と異なり、活性エネルギー線の照射により反応性化合物とポリイミド樹脂が硬化するため、反応性化合物を除去する必要がなくなる。そのため、溶剤除去のための高温加熱工程を省くことができる点で優れている。さらに、活性エネルギー線の照射により硬化させて得られた粘着シートの粘着力を、反応性化合物の種類により調整可能である点で優れている。
本実施形態における反応性化合物とは、ポリイミド樹脂と反応する1つ以上の二重結合を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル化合物(アクリル化合物及びメタクリル化合物)、ビニル化合物等が挙げられる。前記反応性化合物としては、(メタ)アクリル化合物、ビニル化合物、又は、(メタ)アクリル化合物とビニル化合物の混合物を用いることができる。
(メタ)アクリル化合物としては、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、イソデシルアクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、エチレングリコールアクリレート、プロピルヘプチルアクリレート、ジヒドロシクロペンタジエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリペンタエリスリトールアクリレート、モノペンタエリスリトールアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。ビニル化合物としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メチルビニルカルビノール、ヘキシルビニルカルビノール、ステアリルビニルエーテル、酢酸ビニル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジメチルエトキシビニルシラン、スチレン、4−アミノスチレン、4−メトキシスチレン、ジエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。反応性化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、活性エネルギー線の照射量を抑えることができる観点から、2つ以上の二重結合を有する反応性化合物が好ましい。
反応性化合物の含有量は、ポリイミド樹脂の含有量及び反応性化合物の含有量の合計を基準として5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜30質量%が更に好ましい。含有量が60質量%を超えると、硬化塗膜の耐熱性が低下する場合があり、5質量%未満であると、粘度が高くなり、塗工性が低下する場合がある。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物の室温(25℃)における粘度は、1000〜15000mPa・sが好ましく、2000〜10000mPa・sがより好ましく、3000〜6000mPa・sが更に好ましい。粘度が1000mPa・s未満又は15000mPa・sを超えると、塗工性が低下することがある。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、光重合開始剤を配合しなくても活性エネルギー線により容易に硬化できるが、必要に応じて光重合開始剤を配合することができる。
光重合開始剤を配合する場合において、光重合開始剤としては、ベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アシルホスフィンオキシド類、α−ジケトン類等が挙げられる。光重合開始剤としては、樹脂組成物の硬化速度を向上させる効果が高い観点から、ベンゾフェノン類及びチオキサントン類が好ましい。光重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の含有量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。
活性エネルギー線による感度を向上させるため、光増感剤を併用することもできる。
光増感剤としては、安息香酸系、アミン系光増感剤等が挙げられる。光増感剤は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光増感剤の含有量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、硬化塗膜のTgを低下させたり、粘着性能を高めたりするために、粘着性付与剤を含有してもよい。
粘着性付与剤としては、種々のものが使用でき、例えば、ロジン系樹脂やテルペン系樹脂等の天然樹脂及びその誘導体、石油樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。これらの中でも、2重結合を有しないか又は2重結合の比率の少ないものが、組成物の活性エネルギー線による硬化阻害が少ないため好ましい。
粘着性付与剤の含有量は、ポリイミド樹脂と粘着性付与剤との合計量100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。粘着性付与剤の含有量が50質量部を超えると、組成物の粘度が高くなり塗工性が低下する傾向がある。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、これら以外にも、用途に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のラジカル重合禁止剤などを含有してもよい。本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、必要に応じて、粘度を調整するために有機溶媒を含有することもできる。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物は、種々の粘着剤、接着剤の用途に使用可能であり、粘着シートの形態で使用することもできる。本実施形態に係る粘着シートは、本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物の硬化物を含有する。
本実施形態に係る粘着シートの5%重量減少温度は、耐熱性に更に優れる観点から、300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましく、330℃以上が更に好ましい。これにより、高温下に放置されても、劣化したり、分解したり、アウトガスが発生したり等の問題を更に抑制することができる。
粘着シートの製造方法としては、例えば、本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物を基材に塗布(例えば塗工)して塗膜を得た後、当該塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化させる方法が挙げられる。
基材の材質としては、金属、プラスチック、ガラス、セラミックス、木材、紙(印刷紙等)、繊維などが挙げられる。金属としては、アルミニウム、鉄、銅等が挙げられる。プラスチックとしては、塩化ビニル重合体、アクリレート系重合体、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
ポリイミド樹脂組成物の塗布方法としては、ロールコーティング、グラビヤ印刷、スクリーン印刷、ダイコーティング、ナイフコーティング等が挙げられる。
基材に対するポリイミド樹脂組成物の塗布量は、使用する用途に応じて適宜選択すればよいが、5〜200g/m2が好ましく、10〜100g/m2がより好ましい。塗布量が5g/m2に満たないと、粘着力が不足する場合があり、200g/m2を超えると、活性エネルギー線が深部まで到達し難いことにより、目的とする性能が得られないことがある。
塗布処理の終了後に、活性エネルギー線を照射して、ポリイミド樹脂のマレイミド基から生じるラジカルにより、ポリイミド樹脂と反応性化合物が反応し硬化塗膜が得られる。
活性エネルギー線の照射方法は、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物で行われている従来の方法に従えばよい。活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等が挙げられ、安価な装置を使用できることから、紫外線を使用することが好ましい。紫外線を使用する場合の光源としては、超高圧、高圧、中圧又は低圧水銀灯、メタルハライド灯、キセノンランプ、無電極放電ランプ、カーボンアーク灯等が挙げられ、数秒〜数分間照射すればよい。
本実施形態に係るポリイミド樹脂組成物、及び、活性エネルギー線により硬化させて得られる粘着シートは、粘着剤や接着剤等、種々の用途に使用できる。例えば、粘着テープ、粘着ラベル及び粘着シートが挙げられる。
特に、本実施形態における粘着型の硬化塗膜は、耐熱性に優れるため、耐熱性の要求される用途に特に有用である。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリイミド樹脂の合成>
(製造例1)
冷却器、窒素導入管、熱伝対、攪拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコに、ピロメリット酸二無水物6.83gと、水1.13gと、反応溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル75.5mLとを投入し、反応液を調製した。反応液を昇温させて110℃にて2時間反応させた後、ポリオキシプロピレンジアミン(商品名「ジェファーミンD−2000」、ハインツマン製。式(1)で表されるジアミン。式(1)におけるn=33)50.00gと、プライアミン1075(クローダ製。式(2)で表されるジアミン。)13.35gとを110℃にて滴下速度2.0mL/minで滴下した。その後、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物5.69gを投入し、反応液を150℃まで昇温させて、反応液中の水とプロピレングリコールモノメチルエーテルとを除去することにより、マレイミド基を有するポリイミド樹脂を得た。
(製造例1)
冷却器、窒素導入管、熱伝対、攪拌機を備えた300mLのセパラブルフラスコに、ピロメリット酸二無水物6.83gと、水1.13gと、反応溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル75.5mLとを投入し、反応液を調製した。反応液を昇温させて110℃にて2時間反応させた後、ポリオキシプロピレンジアミン(商品名「ジェファーミンD−2000」、ハインツマン製。式(1)で表されるジアミン。式(1)におけるn=33)50.00gと、プライアミン1075(クローダ製。式(2)で表されるジアミン。)13.35gとを110℃にて滴下速度2.0mL/minで滴下した。その後、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物5.69gを投入し、反応液を150℃まで昇温させて、反応液中の水とプロピレングリコールモノメチルエーテルとを除去することにより、マレイミド基を有するポリイミド樹脂を得た。
(製造例2〜5)
下記表1に示す成分及び配合量(単位:g)を使用する以外は製造例1と同様の条件でポリイミド樹脂を得た。
下記表1に示す成分及び配合量(単位:g)を使用する以外は製造例1と同様の条件でポリイミド樹脂を得た。
<ポリイミド樹脂組成物の調製>
製造例1〜5で得られたポリイミド樹脂を、下記表2に示す質量割合(単位:g)で混合してポリイミド樹脂組成物を調製した。
製造例1〜5で得られたポリイミド樹脂を、下記表2に示す質量割合(単位:g)で混合してポリイミド樹脂組成物を調製した。
<ポリイミド樹脂及びポリイミド樹脂組成物の評価>
GPCを使用して、製造例1〜5で得たポリイミド樹脂の数平均分子量を測定した。また、TG−DTA測定によりポリイミド樹脂の5%重量減少温度を測定した。結果を下記表1に示す。
GPCを使用して、製造例1〜5で得たポリイミド樹脂の数平均分子量を測定した。また、TG−DTA測定によりポリイミド樹脂の5%重量減少温度を測定した。結果を下記表1に示す。
ポリイミド樹脂組成物の室温(25℃)における状態を目視で観察すると共に、粘度測定を行った。また、粘着シートを作製し、TG−DTA測定により粘着シートの5%重量減少温度を測定した。さらに、粘着強度(90°剥離強度)を測定した。結果を下記表2に示す。
{測定方法}
(1)分子量
ポリイミド樹脂の分子量は、HPLC−L17000シリーズ(日立製作所製)を用いて測定した。臭化リチウム0.03mol/L、リン酸0.06mol/Lを加えたN−メチルピロリドンの展開溶媒に該ポリアミド樹脂を濃度1質量%で溶解し、30℃に加温されたカラム(GPC KD−806M×1本(Shodex製))に注入し、流速1.0mL/minで測定した。溶出時間から、標準ポリスチレン(TOSOH製)を用いて作成した分子量/溶出時間曲線から数平均分子量(Mn)を換算した。
(1)分子量
ポリイミド樹脂の分子量は、HPLC−L17000シリーズ(日立製作所製)を用いて測定した。臭化リチウム0.03mol/L、リン酸0.06mol/Lを加えたN−メチルピロリドンの展開溶媒に該ポリアミド樹脂を濃度1質量%で溶解し、30℃に加温されたカラム(GPC KD−806M×1本(Shodex製))に注入し、流速1.0mL/minで測定した。溶出時間から、標準ポリスチレン(TOSOH製)を用いて作成した分子量/溶出時間曲線から数平均分子量(Mn)を換算した。
(2)示差熱−熱重量同時分析(TG−DTA)
ポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂組成物をオープン型試料容器(セイコー電子社製「P/N SSC000E030」)に6.0〜10.0mg量りとり、窒素流量300mL/min、昇温速度10℃/minの条件で測定した。測定装置は、TG/DTA7200(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を使用した。
ポリイミド樹脂又はポリイミド樹脂組成物をオープン型試料容器(セイコー電子社製「P/N SSC000E030」)に6.0〜10.0mg量りとり、窒素流量300mL/min、昇温速度10℃/minの条件で測定した。測定装置は、TG/DTA7200(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を使用した。
(3)粘度測定
ポリイミド樹脂組成物0.5mLを量りとり、温度25.0℃、プレヒート時間2分、測定時間3分の条件で測定した。ロータの速度は、測定する粘度に合わせて、0.5〜20.0rpmの間で調整した。測定装置としては、粘度計がRE−85(東機産業株式会社製 R85系粘度計)、温度コントローラがF12−ED(Julabo製 高低温サーキュレーター)を使用した。
ポリイミド樹脂組成物0.5mLを量りとり、温度25.0℃、プレヒート時間2分、測定時間3分の条件で測定した。ロータの速度は、測定する粘度に合わせて、0.5〜20.0rpmの間で調整した。測定装置としては、粘度計がRE−85(東機産業株式会社製 R85系粘度計)、温度コントローラがF12−ED(Julabo製 高低温サーキュレーター)を使用した。
(4)粘着シートの製造方法
支持体シートである厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製)の表面に、膜厚が50μmになるようにポリイミド樹脂組成物を塗布し、ベルトコンベアを有する紫外線照射装置を用いて、水銀灯(1灯、高さ18cm)下を3.3m/minのコンベアスピードで10パス通過して塗布面側から紫外線を照射(積算光量4000mJ/cm2)し、樹脂組成物を硬化させ、粘着シートを試験体として製造した。得られた試験体を用いて粘着強度を評価した。
支持体シートである厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製)の表面に、膜厚が50μmになるようにポリイミド樹脂組成物を塗布し、ベルトコンベアを有する紫外線照射装置を用いて、水銀灯(1灯、高さ18cm)下を3.3m/minのコンベアスピードで10パス通過して塗布面側から紫外線を照射(積算光量4000mJ/cm2)し、樹脂組成物を硬化させ、粘着シートを試験体として製造した。得られた試験体を用いて粘着強度を評価した。
(5)粘着強度
試験体の90°剥離強度を測定した。23℃の条件において厚さ0.7mmのガラス板に長さ100mm分を貼付けて荷重2kgのローラーで圧着し、剥離強度を測定した。その他はJIS Z−0237に準じて行った。測定装置は、クリープメータ(株式会社山電「RE2−33005B」)を使用した。
試験体の90°剥離強度を測定した。23℃の条件において厚さ0.7mmのガラス板に長さ100mm分を貼付けて荷重2kgのローラーで圧着し、剥離強度を測定した。その他はJIS Z−0237に準じて行った。測定装置は、クリープメータ(株式会社山電「RE2−33005B」)を使用した。
表2に示されるように、実施例のポリイミド樹脂組成物は室温で液状であった。また、実施例のポリイミド樹脂組成物の25℃における粘度は1000〜15000mPa・sであった。実施例の粘着シートの5%重量減少温度は350℃以上であり耐熱性に優れていた。さらに、粘着強度を希釈剤により調整できた。
本発明により提供されるポリイミド樹脂組成物は、光重合開始剤の非存在下で活性エネルギー線(可視光線、紫外線等)の照射により硬化可能であり、耐熱性に優れ、例えば、得られる硬化塗膜が300℃に加熱しても分解ガスの発生が少ない。また、反応性化合物により粘着力と粘度が調整可能であるため、種々の粘着用途に使用できる。
Claims (10)
- 前記ポリイミド樹脂の5%重量減少温度が300℃以上である、請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及び、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物。
- 前記ポリイミド樹脂の数平均分子量が1000〜100000である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物。
- 前記反応性化合物が、(メタ)アクリル化合物及びビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物。
- 前記ポリイミド樹脂の含有量及び前記反応性化合物の含有量の合計を基準として、前記ポリイミド樹脂の含有量が40〜95質量%であり且つ前記反応性化合物の含有量が5〜60質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物。
- 25℃における粘度が1000〜15000mPa・sである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリイミド樹脂組成物を基材に塗布して得られた塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化して得られた、粘着シート。
- 5%重量減少温度が300℃以上である、請求項9に記載の粘着シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015008829A JP2016132736A (ja) | 2015-01-20 | 2015-01-20 | ポリイミド樹脂組成物及び粘着シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015008829A JP2016132736A (ja) | 2015-01-20 | 2015-01-20 | ポリイミド樹脂組成物及び粘着シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016132736A true JP2016132736A (ja) | 2016-07-25 |
Family
ID=56425953
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015008829A Pending JP2016132736A (ja) | 2015-01-20 | 2015-01-20 | ポリイミド樹脂組成物及び粘着シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016132736A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020189764A1 (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 積水化学工業株式会社 | 粘着剤組成物、粘着テープ、及び、電子部品の処理方法 |
WO2021070623A1 (ja) * | 2019-10-11 | 2021-04-15 | 積水化学工業株式会社 | 粘着剤組成物、粘着テープ、及び、電子部品の製造方法 |
WO2023276517A1 (ja) * | 2021-07-02 | 2023-01-05 | 東レ株式会社 | 樹脂組成物、硬化物、硬化物の製造方法、電子部品、表示装置および半導体装置 |
-
2015
- 2015-01-20 JP JP2015008829A patent/JP2016132736A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020189764A1 (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 積水化学工業株式会社 | 粘着剤組成物、粘着テープ、及び、電子部品の処理方法 |
CN113574083A (zh) * | 2019-03-20 | 2021-10-29 | 积水化学工业株式会社 | 粘合剂组合物、粘合带及电子部件的处理方法 |
JP7433228B2 (ja) | 2019-03-20 | 2024-02-19 | 積水化学工業株式会社 | 粘着剤組成物、粘着テープ、及び、電子部品の処理方法 |
WO2021070623A1 (ja) * | 2019-10-11 | 2021-04-15 | 積水化学工業株式会社 | 粘着剤組成物、粘着テープ、及び、電子部品の製造方法 |
WO2023276517A1 (ja) * | 2021-07-02 | 2023-01-05 | 東レ株式会社 | 樹脂組成物、硬化物、硬化物の製造方法、電子部品、表示装置および半導体装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5879971B2 (ja) | ポリイミド溶液組成物 | |
TW575607B (en) | Polyimide copolymer and methods for preparing the same | |
JP4372065B2 (ja) | 無溶剤型ポリイミドシリコーン樹脂組成物及びその硬化樹脂皮膜 | |
JP2002332305A (ja) | 無溶剤型ポリイミドシリコーン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂皮膜 | |
JP7201859B2 (ja) | 硬化性樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法 | |
WO2006064867A1 (ja) | 不飽和基含有ポリイミド樹脂、それを含有する感光性樹脂組成物及びその硬化物 | |
JP5423949B2 (ja) | 2液型熱硬化性ポリイミド樹脂組成物及びその硬化物 | |
EP2492331B1 (en) | Photosensitive adhesive composition, photosensitive adhesive sheet, and semiconductor devices using same | |
JPWO2010128667A1 (ja) | 熱硬化性ポリイミド樹脂組成物、硬化物及び粘着剤 | |
JP2016132736A (ja) | ポリイミド樹脂組成物及び粘着シート | |
WO2017195728A1 (ja) | イミド架橋型樹脂、透明フィルム及び表面保護フィルム | |
JP2005330479A (ja) | 無溶剤型ポリイミドシリコーン系樹脂組成物及びこれを用いた樹脂皮膜 | |
JP2023104983A (ja) | 仮固定材、及び、電子部品の製造方法 | |
JPH11222522A (ja) | ポリアミド酸共重合体及びポリイミド共重合体、ならびに耐熱性接着剤 | |
JP7234509B2 (ja) | ブロックポリマー | |
JP2001262116A (ja) | 電子部品用接着性ポリイミド樹脂 | |
JP2016132735A (ja) | ポリイミド樹脂、樹脂組成物及び粘着シート | |
JP2017122157A (ja) | 耐熱粘着樹脂、耐熱粘着組成物及びそれらを用いた粘着剤、積層体、接着方法 | |
KR20220081951A (ko) | 점착제 조성물, 점착 테이프, 및, 전자 부품의 제조 방법 | |
JPH05140525A (ja) | 耐熱性樹脂接着剤 | |
JP2024044715A (ja) | 電子部品の製造方法 | |
JPH1171457A (ja) | ポリイミドシロキサン | |
JP2024045085A (ja) | 接着性フィルム、及び、電子部品の製造方法 | |
WO2024063112A1 (ja) | 樹脂組成物、仮固定材、及び、電子部品の製造方法 | |
CN113574083A (zh) | 粘合剂组合物、粘合带及电子部件的处理方法 |