JP2016124682A - ワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置、マルチデッキエレベーターの制御装置 - Google Patents

ワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置、マルチデッキエレベーターの制御装置 Download PDF

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祐紀 久保山
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祐紀 久保山
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Abstract

【課題】同一昇降路内に位置する他のかごの戸閉動作及び走行開始を促進することで既に走行開始可能となった乗りかごが走行阻止される時間を短縮し運行効率向上と乗客の不快感軽減を達成するワンシャフトマルチカーエレベーター等を提供する。
【解決手段】乗降が完了して戸全閉状態の対象かごの行先階の位置と対象かごの行先階方向の隣接かごの位置に基づき対象かごの起動を阻止し、対象かごの行先階の位置と隣接かごの位置及び乗降状態に基づいて対象かごが出発可能となる出発可能予測時間を予測し、出発可能予測時間が経過した後、対象かごの戸閉釦が押された場合に隣接かごに戸閉指令を送信して戸閉を行わせ、隣接かごで戸閉を行わせる前に隣接かごの戸開釦以外の戸開を無効にさせ、対象かごの乗客に出発可能予測時間が経過した後に戸閉釦を押すことを促す報知と、隣接かごの乗客に戸閉を行うことを知らせる報知を行う。
【選択図】図1

Description

この発明は、一つの昇降路内に複数の乗りかごが就役するエレベーターの制御装置等に関するものである。
エレベーターは、利用者がエレベーターかごと建物に挟まれたり、または利用者が昇降路に落下したりすることを防ぐ為、かごドア及び乗場ドアが完全に閉まらない限り走行開始しないよう制御される。一つの昇降路内に複数の乗りかごが就役するエレベーターシステムにおいては、さらに同一昇降路内の他かごの状況、自かごとの位置関係によって、さらに走行開始する制約が増える。
一つの例は、同一昇降路内を互いに独立に走行可能な機構をもつ、ワンシャフトマルチカーエレベーターシステムである。当システムにおいては、対象の乗りかご(自かご)が戸閉完了し、走行開始可能な状態になっても、自かごの停止位置と行先階床の間に他の乗りかご(隣接かご)が停止している場合、互いのかごが衝突することを防ぐために、隣接かごが自かごと干渉しない位置に移動するまで、自かごは走行開始を待たなければならない。
もう一つの例として、複数の乗りかごが互いに連なって昇降する、マルチデッキエレベーターシステムがあげられる。この場合、すべての乗りかごが共に昇降するため、一つの乗りかごが戸閉完了しても、連なったすべての乗りかごが戸閉完了しない限り、走行開始することはできない。
対象の乗りかごが走行を開始する準備が整った場合に、他の乗りかごの影響により走行開始できないとき、乗客に不安、不快が生じる恐れがある。例えば、ダブルデッキエレベーターにて乗員の不安感や不快感を軽減するため、他かごの状況から昇降動作が開始できるであろう予測時間を求め、その時間を乗客に報知する技術が知られている。しかしながら、走行開始するまでの時間を直接的に短縮する効果は無く、運行効率の向上は見込めず、また、出発可能までの予測時間が長いと、かえって乗客の不快感を煽る恐れもある。
特開平11−228038号公報
以上のように、ワンシャフトマルチカーエレベーターやマルチデッキエレベーターの場合、運行効率向上や乗客の不快感軽減観点からすると、対象の乗りかごにおいては一見出発する準備が整ったように見えても、同一昇降路内に設置される他の乗りかごの状況によって走行開始できないとき、走行開始が可能となるまでの時間を短縮する必要がある。
この発明は上記の課題を解消するために、同一昇降路内に位置する他の乗りかごの戸閉動作及び走行開始を促進することで、既に走行開始可能となった乗りかごが走行阻止される時間を短縮し、結果として運行効率の向上と乗客の不快感軽減を達成するワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置、マルチデッキエレベーターの制御装置を提供することを目的とする。
この発明は、同一昇降路内に複数の乗りかごを就役させたワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置であって、乗降が完了して戸全閉状態の対象かごの行先階の位置と前記対象かごの行先階方向の隣接かごの位置に基づき前記対象かごの起動を阻止するかご起動阻止制御手段と、前記かご起動阻止制御手段で前記対象かごが停止しているときに、前記対象かごの行先階の位置と前記隣接かごの位置及び乗降状態に基づいて、前記対象かごが出発可能となる出発可能予測時間を予測する出発可能時間予測手段と、前記出発可能予測時間が経過した後、前記対象かごの戸閉釦が押された場合に、前記隣接かごに戸閉指令を送信して戸閉を行わせる戸閉指令発生手段と、前記隣接かごで戸閉を行わせる前に、前記隣接かごの戸開釦以外の戸開を無効にさせる戸開制限手段と、前記対象かごの乗客に対して前記出発可能予測時間が経過した後に戸閉釦を押すことを促す報知と、前記隣接かごの乗客に対して戸閉を行うことを知らせる報知を行わせる報知制御手段と、を備えるワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置にある。
また、昇降路内に複数のかごが連結されたマルチデッキかごを就役させたマルチデッキエレベーターの制御装置において、前記マルチデッキかごの乗降が完了して戸全閉状態の対象かごに連結された各連結かごの乗降状態に基づき前記マルチデッキかごを起動を阻止するかご起動阻止制御手段と、前記かご起動阻止制御手段で前記マルチデッキかごが停止しているときに、前記各連結かごの乗降状態に基づいて、前記マルチデッキかごが出発可能となる出発可能予測時間を予測する出発可能時間予測手段と、前記出発可能予測時間が経過した後、前記対象かごの戸閉釦が押された場合に、前記各連結かごに戸閉指令を送信して戸閉を行わせる戸閉指令発生手段と、前記各連結かごで戸閉を行わせる前に、前記各連結かごの戸開釦以外の戸開を無効にさせる戸開制限手段と、前記対象かごの乗客に対して前記出発可能予測時間が経過した後に戸閉釦を押すことを促す報知と、前記各連結かごの乗客に対して戸閉を行うことを知らせる報知を行わせる報知制御手段と、を備えたことを特徴とするマルチデッキエレベーターの制御装置にある。
この発明では、同一昇降路内に位置する他の乗りかごの戸閉動作及び走行開始を促進することで、既に走行開始可能となった乗りかごが走行阻止される時間を短縮し、結果として運行効率の向上と乗客の不快感軽減を達成する効果が生じる。
この発明の実施の形態1に係るワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置を備えたワンシャフトマルチカーエレベーターシステムの全体構成を模式的に示す図である。 この発明の実施の形態1に係る制御装置において一つのかごが走行開始阻止されているケースを模式的に示す図である。 この発明の実施の形態1に係る制御装置において走行開始が阻止されている乗りかごにおいて隣接かごの戸閉及び走行開始を促進する動作の一例を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係る制御装置において戸閉及び走行開始が促進される乗りかごにおける動作の一例を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係るマルチデッキエレベーターの制御装置を備えたマルチデッキエレベーターシステムの全体構成を模式的に示す図である。 この発明の実施の形態2に係る制御装置においてマルチデッキエレベーターの一つのかごが走行開始阻止されているケースを模式的に示す図である。 この発明の実施の形態2に係る制御装置において走行開始が阻止されている乗りかごにおいて連結された他かごの強制戸閉動作を選択するときの一連の動作の一例を示すフローチャート図である。 この発明の実施の形態2に係る制御装置において強制戸閉動作が実施される乗りかごにおける動作の一例を示すフローチャートである。 図1の制御処理部1G,2Gの機能ブロック図の一例を示す図である。 図5の制御処理部3Gの機能ブロック図の一例を示す図である。
この発明では、長時間にわたり走行開始阻止をされる、または走行開始阻止が長時間にわたると予想される場合に、戸閉完了し待機している乗りかごの乗客の釦操作によって、走行開始を妨げる要因となっている他の乗りかごの乗客に対して走行開始を待っている乗客が他のかごに居ることを報知し、さらにドアの戸閉を妨げるセンサ類を無効化することを特徴とする。
以下、この発明によるエレベーターの制御装置を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1にかかる、ワンシャフトマルチカーエレベーターシステムの全体構成を模式的に表す図である。図1では、同一昇降路内に2つの乗りかごが就役している構成を表している。また、図2はこの発明の実施の形態1において、一つの乗りかごが隣接する乗りかごの走行開始を妨げる例を示した模式図である。また、図3はこの発明の実施の形態1において、走行開始阻止を被っている乗りかごにおいて、乗客の操作によって走行開始を妨げている隣接かごに対して戸閉促進動作を実施するフローチャート図である。また、図4は戸閉が促進される乗りかごの動作に関わるフローチャート図である。
図1に示すように、同一昇降路内には、乗りかご1及び乗りかご2が設置されている。乗りかご1及び乗りかご2はそれぞれ二点鎖線で示したロープ(主索)1A、2Aを介して釣り合い錘1B、2Bと連結されている。乗りかご1及び釣り合い錘1Bは巻上機1Cの回転により互いに反対方向に上下動する。また、乗りかご2及び釣り合い錘2Bは巻上機2Cの回転により互いに反対方向に上下動する。巻上機1C、2Cはそれぞれ異なるエレベーター制御装置1D、2Dによって互いに独立に制御される。また、互いのつり合い錘1B、2Bが昇降中に干渉しないよう、乗りかご1と釣り合い錘1Bの間にそらせ車1Eが設置される。
エレベーター制御装置1Dは、大別すると通信部1Fと、通信部1Fを介して通信を行いながら各種制御を行う制御処理部1Gによって構成される。通信部1Fは、巻上機1C、乗りかご1のかご操作盤1H、ドア制御装置1I、報知装置1Jと通信ケーブルを介して接続されている。
同様に、エレベーター制御装置2Dも、通信部2F、制御処理部2Gに区別される。通信部2Fは、巻上機2C、乗りかご2のかご操作盤2H,ドア制御装置2I,報知装置2Jと通信ケーブルを介して接続されている。制御処理部2Gは、通信部2Fを介して通信を行いながら各種制御を行う。
また、通信部1Fと通信部2Fの間も互いに通信ケーブルによって接続されている。それぞれのエレベーター制御装置1D,2Dの通信部1F,2Fは、自身と接続されている巻上機(1C,2C)のエンコーダ(図示省略)、かご操作盤(1H,2H)に設置された行先階釦、戸開および戸閉釦を含む押し釦(図示省略)、ドア制御装置(1I,2I)によって検出されるドアの位置および状態を含む、対応する乗りかご(1,2)の昇降路内のかごの位置、ドア状態、乗客によるエレベーター操作状況等を含む、エレベーターの運行に必要な運行状況情報を通信を利用して入手し、自身の制御処理部1G,2Gに入力する。
かごの昇降路内位置(かご位置)は巻上機(1C,2C)のエンコーダから得られ、乗降状態を示すドア位置、状態はドア制御装置(1I,2I)から得られ、乗客によるエレベーター操作状況はかご操作盤(2H,2H)に設置された押し釦、さらに後述する乗場釦から得られる。
また、かご呼び、乗場呼びの情報も運行状況情報として制御処理部に入力される。
エレベーター制御装置1D,2Dの通信部(1F,2F)は互いの間の通信ケーブルを利用し、互いに他方に自身のエレベーターの運行状況情報を送信している。制御処理部(1G,2G)は、それぞれの通信部(1F,2F)から得られる自身のエレベーターの運行状況情報及び他方のエレベーターの運行状況情報に基づいて、巻上機(1C,2C)、ドア(図示省略)、乗りかご(1,2)への指令や報知等を決定し、通信部(1F,2F)を介して各装置に送ることで、エレベーターシステム全体の制御を行っている。また、制御処理部(1G,2G)は、通信部(1F,2F)とやり取りする情報や、自身の処理によって演算される各種データを記憶しておく、記憶領域を内部に包含している。
なお、エレベーター制御装置1D,2Dはさらに、破線で代表して示した各乗場の乗場釦10からの乗場釦操作状況(乗場呼び)もエレベーター操作状況に含めて運行状況情報として入手して使用する。
エレベーター制御装置1D,2Dの構成については一例として共に、通信部(1F,2F)は送受信機からなり、制御処理部(1G,2G)は、プロセッサ、メモリ等のハードウェアと、プロセッサに制御処理をさせるための、メモリに格納されたプログラムからなるソフトウェアとからなる。メモリ(揮発性領域、不揮発性領域を含む)には制御処理に必要な各種データおよび制御処理結果の各種データも格納される。
制御処理部1G,2Gの機能ブロック図の一例を示すと例えば図9のようになる。制御処理部1G,2Gは、通信部1F,2Fにより通信を行う通信制御部G1、通常のかご呼び、乗場呼びに従って巻上機1C,2Cを駆動させて乗りかご1,2を走行、停止させるかご基本制御部G2、そして以下で説明するこの発明によるかご起動阻止制御部G3、出発可能時間予測部G4、報知制御部G5、戸閉指令発生部G6、戸開制限部G7を含む。これらは、記憶部GMに相当するメモリに格納されたプログラムに従ってプロセッサにより実行される。すなわちプロセッサはG1−G7で示されている。
エレベーター制御装置1D、2Dの通信制御部G1、かご基本制御部G2によって乗りかご1及び乗りかご2の昇降動作を独立に制御することが可能であるが、互いのエレベーター制御装置1D、2Dが通信ケーブルで接続され、互いの乗りかごの昇降路内位置、ドア状態等を知ることができるため、それぞれの制御処理部(1G,2G)は自身のかごがかご呼び出し等により走行開始した場合、他かごが走行方向の近傍に位置していると互いの乗りかごが衝突する危険があることを認識することができる。このような場合に、制御処理部(1G,2G)のかご起動阻止制御部G3は、自身の乗りかごが走行開始しないように制御する。
図2に、乗りかご2が乗りかご1の走行開始を妨げる場合の一例を説明するための図を示す。図2において、乗りかご1は3階乗場に停止中であり、また戸閉完了していることを表している。さらに、乗りかご1の行先階として、2階が既に登録されているものとする。また、乗りかご2は2階乗場に停止中であり、行先階として1階が登録されているものとする。ただし、乗りかご2は乗客の乗降者等の要因によって、戸が開放された状態が継続されているものとする。
乗降している利用者がいるために戸閉ができないケースとして、乗場にいる利用者が乗場のエレベーター呼び出し釦(乗場釦10)を操作している場合や、かご内の戸開釦(かご操作盤1H)が乗客によって操作されている場合が考えられる。このほかにも、ドアには光電センサ(ドア制御装置1I)を使用した安全装置が設置されており、ドアの間に人や物があることが光電センサによって検出された場合にも、戸閉動作が阻止される。
図2における例の場合、乗りかご1に着目すると、既に行先階として2階が登録されており、かつ戸閉完了している為、速やかに下方向に走行開始し、2階へ向かうのが本来の動作である。しかしながら、2階に乗りかご2がそのドアを開放した状態で停止しているため、互いの乗りかごが衝突しないよう、乗りかご1は走行開始することができない。乗りかご2の戸閉が完了し、乗りかご2が1階に向って走行開始して初めて、乗りかご1は2階に向って走行開始することが許される。
前記の例の場合、乗りかご同士が衝突することを防ぐために、乗りかご1の制御処理部1Gのかご起動阻止制御部G3によって乗りかご1が走行開始しないよう制御することはやむを得ない。しかしながら、運行効率の低下を防ぐこと、及び乗りかご1に乗車している利用者の不快感を和らげることを目的として出発可能時間予測部G4、報知制御部G5、戸閉指令発生部G6、戸開制限部G7により、乗りかご1内のかご操作盤1Hに設置された押し釦の操作によって、乗りかご2の戸閉及び走行開始を促す動作を実施する。
ここで、図2に示した例における、図3及び図4のフローチャートに基づく乗りかご2に対する戸閉、走行開始促進動作を説明する。
まず、図3は乗りかご1における動作のフローである。かご基本制御部G2により、図2の事例において、乗りかご1は行先階として2階が登録され、戸閉完了した時点で、下方向へ走行開始する準備が整ったことになる(ステップS1)。
仮に、乗りかご2が1階または地下階に位置していれば、かご基本制御部G2により、乗りかご1は即座に2階に向って走行開始するが、かご起動阻止制御部G3により、図2に示した状況から、乗りかご1は乗りかご2によって走行開始を阻止されていると判定される(ステップS2)。
このとき、報知制御部G5により、乗りかご1の報知装置1Jに対して、自かごすなわち乗りかご1の乗客に走行開始をしばらく待つ旨を伝えるメッセージを報知する指令を出力する(ステップS3)。報知装置1Jは前記指令を検出すると、適切なメッセージを報知する。報知の形態は、アナウンス等の音声メッセージでも、インジケータ等を用いた表示メッセージでもよい(以下同様)。
次に、出発可能時間予測部G4により、乗りかご1の出発可能予測時間を演算し、記憶部GMのデータ記憶領域に演算結果を記憶する(ステップS4)。乗りかご1の出発可能予測時間Tは、通信部1Fによって入手できる乗りかご2の運行状況等から演算される。例えば出発可能予測時間Tは以下の式(1)で演算される。
T=X+Y+Z+α (1)
ここで、
X:乗りかご2において以降の利用者の乗降が全くない場合の戸開継続時間、
Y:乗りかご2のドアが全開の状態から全閉の状態に達するまでの所要時間、
Z:乗りかご2が2階(現在の階)から1階(乗りかご1の行先階の1つ先の階)へ移動するための所要時間、
α:戸閉促進動作を実施するまでの猶予となる時間
X、Y、Z、αはエレベーターシステムの設計時に設計者によって設定される定数でもよいし、また、エレベーターを運行させる中で実測されるデータから決定してもよい。たとえば、Xはエレベーターシステム設計者によって設定される固定値、Yは通常サービス時のエレベーター扉の戸閉速度より一意に定まる値とし、Zは乗りかごが2階から1階へ走行する際の走行速度変化と、1階、2階の間の階間距離に基づいて算出することができる。具体的には2階から1階へ乗りかごが走行する際の走行速度を時刻の関数と考え、その積分関数を求め、積分関数の値が1階と2階の階間距離に等しくなる時刻をZと定めればよい。また、αについては、この発明における戸閉促進動作によって、かえって利便性を損なうことを防ぐ為、エレベーターシステムの設計者によって適宜設定される定数とすることができる。これらの予め設定されたデータはメモリ(記憶部GM)に格納しておく。
以降、乗りかご1のかご起動阻止制御部G3は、乗りかご1が走行開始可能となるまでの経過時間を計測する。前記Tだけ経過していないとき、かご起動阻止制御部G3は、乗りかご2の状況を繰り返して確認する(ステップS5→S6)。仮に前記Tだけ時間が経過する前に乗りかご1が走行開始可能となったときは、かご起動阻止制御部G3がこれを確認し、かご基本制御部G2が、乗りかご1を2階へ向けて走行させる(ステップS6→S11)。
一方で、乗りかご2が戸閉完了しないまま、前記Tの時間が経過した場合、報知制御部G5が、通信部1Fを介して乗りかご1の報知装置1Jに対して、戸閉釦操作を促進(指示)する報知を実施する指令を出力する(ステップS5→S7)。この報知は乗りかご1の乗客を対象としたメッセージである。本メッセージを出力後も、かご起動阻止制御部G3は、乗りかご2の状況を監視し、乗りかご1が走行開始可能かどうかを確認する処理を継続して実施する(ステップS8→S10)。
乗りかご1が走行開始する前に、前記メッセージを受けて乗りかご1の乗客が戸閉釦を操作した場合(ステップS8)、乗りかご1のかご操作盤1Hから戸閉釦が操作されたという情報がエレベーター制御装置1Dの通信部1Fを介して制御処理部1Gに伝達される。すると、戸閉指令発生部G6は、乗りかご2の制御装置2Dに対する強制戸閉指令を生成し、通信部1Fを介して同指令を制御装置2Dに出力する(ステップS8→S9)。
強制戸閉指令を受信したエレベーター制御装置2Dの振る舞いと乗りかご2の動作については後述する。強制戸閉指令を出力した後も制御処理部1Gのかご起動阻止制御部G3は、乗りかご2の状況を監視し、乗りかご1が走行開始可能かどうかを確認する処理を継続して実施し、やがて乗りかご1が走行開始可能となると、かご基本制御部G2が、乗りかご1を2階へ向けて走行させる(ステップS10→S11)。
一方、乗りかご1の制御装置1Dからの強制戸閉指令を受信した制御装置2Dの動作と乗りかご2の動作フローを図4に示す。まず、乗りかご1の制御装置1Dからの強制戸閉指令を制御装置2Dが受信していない場合、制御装置2Dの制御処理部2Gのかご基本制御部G2が、乗りかご2に通常通りの動作を継続させる(ステップS12→S13)。
制御装置2Dの通信部2Fにおいて、乗りかご1の制御装置1Dからの強制戸閉指令を検出した場合、強制戸閉指令は制御処理部2Gに送られる。制御処理部2Gにおいては、戸閉指令発生部G6は、乗りかご2のドア制御装置2Iからのドアの状態に関する情報を確認し、既に戸閉が完了していれば、特別な制御は実施せず、かご基本制御部G2が、乗りかご2に通常通りの動作をおこなわせる(ステップS14→13)。
もし、乗りかご2のドアが開放されたままになっている場合、制御処理部2Gの報知制御部G5は、通信部2Fを介して乗りかご2の報知装置2Jに対して、戸閉促進動作の選択を乗客に周知するための報知を実施する指令を出力する(ステップS14→S15)。この際、戸開制限部G7が、ドア制御装置2Iに設置された乗客を検知して戸閉動作を止めさせるための光電センサを無効化する指令も、ドア制御装置2Iに出力する(ステップS16)。これは戸開釦等により戸閉が阻止されている場合と異なり、乗客が自身の意思に反して戸閉阻止を実施してしまっている場合を考慮した処置である。この場合、例えば戸開釦以外の戸開を無効にする。
この後、制御処理部2Gの戸閉指令発生部G6は、通信部2Fを介して、乗りかご2のドア制御装置2Iに対して戸閉指令を出力することで乗りかご2の戸閉動作を実施する(ステップS17)。ただし、かご内の戸開釦が操作された場合は、乗りかご2の乗客の意思によって戸閉が阻止されていると判断され、その意思に反して戸閉する制御を実施することは危険を伴う為、そのような場合は、かご基本制御部G2が、戸開動作を実施する(ステップS18→S19)。
以上のような制御方法をとることにより、乗りかご1内におけるエレベーターの操作によって、乗りかご2の戸閉動作及び走行開始を促すことができ、乗りかご1が過剰に走行開始阻止されることを防ぐことができる。
また、図2に示した例においては、乗りかご1の行先階が、停止している階に隣接している階の場合を取り上げた。仮に、乗りかご1の行先階が、より離れた地下3階であったとする。この場合、乗りかご1が3階から地下3階へ移動する間に乗りかご2と衝突しないようにするためには、乗りかご2は2階から少なくとも地下4階まで移動しなければならない。このとき、乗りかご2が1階から地下3階までの間の行先階が登録されている場合や、または途中の階の乗場からの呼びに応答しながら走行する場合、地下4階へ達するための所要時間が増大する。このような場合、前記の乗りかご1の出発可能予測時間Tを計算するための変数のうち、乗りかごが移動する所要時間Zを適切な値Z’に置き換える必要がある。なお、乗りかご2が乗りかご1の行先階に達する前に走行方向を反転させるような場合にはさらに乗りかご1の待機する時間が増加することになるが、方向を反転させる乗場呼びには乗りかご2を割り当てない、乗りかご2が上方向に走行しているときには乗りかご2の後方のかご呼びには応答しないといったように、乗りかご2が無暗に方向反転しないよう、乗りかご1、2のかご基本制御部G2によって制御することが可能であるため、この実施の形態では乗りかご1の出発可能予測時間Tを算出するうえでは考慮しないこととする。
このとき、想定できる所要時間の最大値、すなわち乗りかご2が地下4階までの各階に停止しながら移動するための所要時間をZ’として定めてもよいし、または所要時間Z’が、乗りかご2が停止しなければならない階床数に関する関数として、乗りかご1の出発可能予測時間Tを決定してもよい。乗りかご2が停止しなければならない階床数は、乗りかご2の登録済みの行先階(かご呼び)の情報や乗場からの呼び出し(乗場呼び)の有無から容易に判定することができ、また、その情報はエレベーター制御装置2Dの通信部2F及びエレベーター制御装置1Dの通信部1Fを介して制御処理部1Gに入力され、出発可能予測時間Tの演算に利用する。具体的なZ’の算出方法を下記に示す。乗りかご2の停止位置と、乗りかご1の行先階より1つ先の階までの距離をD、乗りかご2の乗場呼び、かご呼び応答による停止階数をN、乗りかご2の定格速度をVと定義する。近似的に、乗りかご2が単純に乗りかご1の行先階より1つ先の階まで走行するのに要する時間をD/Vによって求める。また、かご呼びまたは乗場呼びに停止した場合に必要な時間の増分を、定数係数aを用いてaNと定めると、Z’=D/V+aNとして、所用時間の近似値を求めることができる。
また、この実施の形態1において、むやみに乗りかご1から乗りかご2への強制戸閉指令が出力されると、乗りかご2の乗客の乗降車時間が過剰に短くなり、かえって不便になる懸念がある。このような場合、乗りかご1の出発可能予測時間Tを適切に設定することで、不適切な時間での強制戸閉実施を防ぐことができる。例えば、エレベーターシステムの設計者によって自由に設定できる定数αをより大きい値に設定し、前記強制戸閉を実施するタイミングを遅らせることができる。または、乗りかご2の乗客数を乗りかご1の制御処理部1Gが入手できる構成とし(乗りかごに設けられた積載重量計(図示省略)の計測値を使用)、乗りかご2の乗客数が多い場合には通常より乗降車に時間がかかる場合があると判断し、出発可能予測時間Tをより大きな値に設定する方法もある。後者の方法を用いた場合、定数係数bを用いて、荷重量Lより乗客の乗降車による所要時間の増分をbLと求め、Z’の算出式をZ’=D/V+aN+bLとすることができる。
また、この実施の形態1においては同一昇降路内に就役する乗りかごが2つの場合について言及したが、乗りかごの数が3つ以上、すなわち対象かごである自かごと複数の他のかごとなっても、互いの乗りかごの運行状況が各制御処理部に伝達される構成とし、かつ走行開始阻止された乗りかごが現れたときに、その乗りかごの出発可能予測時間Tを、走行開始を妨げている全ての乗りかごの状態から適切に求めることによって、同様の動作フローでこの発明を実施可能である。
具体的に、3台の乗りかごが同一昇降路内に就役していた場合について説明する。下方に設置された乗りかごから順に、乗りかご1、乗りかご2、乗りかご3と呼ぶこととし、乗りかご1の停止位置と、乗りかご1に対して設定された行先階の間に乗りかご2、乗りかご3が共に存在している場合を考える。このとき、前記と同様にして乗りかご3に対して乗りかご2が起動阻止されていることによる、乗りかご2の出発可能予測時間T2を算出することができる。T2を算出するにあたり、乗りかご3が移動すべき階床は、乗りかご1の行先階の2つ先の階と、乗りかご2の行先階のさらに1つ先の階を比較したより遠方の階床と設定する。次に乗りかご1の出発可能予測時間T1を求める。T1を求めるとき、乗りかご2が時間T2だけ経過したときに走行開始するものと仮定し、乗りかご2が乗りかご1の行先階のさらに1つ先の階に達するまでの所要時間Z2を前記Z’=D/V+aN+bLと同様の算出式にて求めれば、T1=T2+Z2として、乗りかご1の出発可能予測時間T1を算出することができる。乗りかご1について、出発可能予測時間T1が経過したときに、乗りかご2、乗りかご3のいずれか、或いは両方の乗りかごがいまだ戸閉完了していなければ、戸閉完了していないかごに対して戸閉促進のための報知実施及び戸閉指令の出力を行う。
なお、各かごの制御処理部の通信制御部G1が通信制御手段、かご基本制御部G2がかご基本制御手段、かご起動阻止制御部G3がかご起動阻止制御手段、出発可能時間予測部G4が出発可能時間予測手段、報知制御部G5が報知制御手段、戸閉指令発生部G6が戸閉指令発生手段、戸開制限部G7が戸開制限手段、記憶部GMが記憶手段をそれぞれ構成する。また、各かごの制御処理部を1つにまとめ、上記各機能ブロックG1−G7,GMをそれぞれ機能毎に1つにまとめて集中制御する構成としてもよい。
また、かご起動阻止制御部G3が構成するかご起動阻止制御手段は、乗降が完了して戸全閉状態の対象かごの行先階の位置と対象かごの行先階方向の隣接かごの位置に基づき対象かごの起動を阻止するが、対象かごの行先階およびその位置はそれぞれのかご基本制御部G2から得られ、隣接かごの位置は巻上機のエンコーダの検出値より得られる。
また、出発可能時間予測部G4が構成する出発可能時間予測手段は、かご起動阻止制御手段で対象かごが停止しているときに、対象かごの行先階の位置と隣接かごの位置及び乗降状態に基づいて、対象かごが出発可能となる出発可能予測時間を予測するが、隣接かごの乗降状態は、隣接かごのドア制御装置からのドア状態から得られる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2として、複数の乗りかごが連結されてなるマルチデッキかごが昇降路内を昇降する、マルチデッキエレベーターシステムを考える。以下では説明の便宜上、2つの乗りかごを連結したダブルデッキエレベーターシステムを例に挙げて説明する。図5はこの発明の実施の形態2にかかる、ダブル(マルチ)デッキエレベーターシステムの全体構成を模式的に表す図である。また、図6はこの発明の実施の形態2において、下かごのドアが開放しているためにダブルデッキかごの走行開始が妨げられる例を示した模式図である。
また、図7はこの発明の実施の形態2において、乗客の操作によって走行開始を妨げているかごに対して強制戸閉動作を選択するフローチャート図である。また、図8は強制戸閉動作が選択されたときの乗りかごの動作に関わるフローチャート図である。
図5に示すように、ダブルデッキかご3は2つの乗りかご31,32が上下に連結した形状をしている。上側の乗りかご31を「上かご」、下側の乗りかご32を「下かご」と呼ぶ。ダブルデッキかご3は二点鎖線で示したロープ3Aを介して釣り合い錘3Bと連結されている。ダブルデッキかご3は巻上機3Cが回転することにより、上かごと下かごが連なったまま昇降路内を上下動する。巻上機3Cはエレベーター制御装置3Dによって制御される。また、釣り合い錘3Bがダブルデッキかご3と干渉しないよう、そらせ車3Eが設置される。
エレベーター制御装置3Dの機能は、大別すると通信部3Fと、通信部3Fを介して通信を行いながら各種制御を行う制御処理部3Gによって構成される。通信部3Fは、巻上機3C、上かご31のかご操作盤3H、ドア制御装置3I、報知装置3J、及び下かご32のかご操作盤3K、ドア制御装置3L、報知装置3Mと通信ケーブルを介して接続される。
エレベーター制御装置3Dの通信部3Fは、自身と接続されている巻上機3Cのエンコーダ(図示省略)、かご操作盤3H,3Kに設置された行先階釦、戸開および戸閉釦を含む押し釦(図示省略)、ドア制御装置3I,3Lによって検出されるドアの位置および状態を含む、ダブルデッキかご3の昇降路内位置、ドア状態、乗客によるエレベーター操作状況等を含む、エレベーターの運行に必要な運行状況情報を通信を利用して入手し、自身の制御処理部3Gに入力する。
かごの昇降路内位置(かご位置)は巻上機3Cのエンコーダから得られ、ドア位置、状態はドア制御装置3I、3Lから得られ、乗客によるエレベーター操作状況はかご操作盤3H,3Kに設置された押し釦、さらに後述する乗場釦から得られる。
制御処理部3Gは、通信部3Fから得られるダブルデッキかご3の運行状況情報に基づいて、巻上機3C、ドア(図示省略)、上かご31および下かご32の指令や報知等を決定し、通信部3Fを介して各装置に送ることで、エレベーターシステム全体の制御を行っている。また、制御処理部3Gは、通信部3Fとやり取りする情報や、自身の処理によって演算される各種データを記憶しておく、記憶領域を内部に包含している。
なお、エレベーター制御装置3Dはさらに、破線で代表して示した各乗場の乗場釦10からの乗場釦操作状況(乗場呼び)もエレベーター操作状況に含めて運行状況情報として入手して使用する。
エレベーター制御装置3Dの構成については一例として共に、通信部3Fは送受信機からなり、制御処理部3Gは、プロセッサ、メモリ等のハードウェアと、プロセッサに制御処理をさせるための、メモリに格納されたプログラムからなるソフトウェアとからなる。メモリ(揮発性領域、不揮発性領域を含む)には制御処理に必要な各種データおよび制御処理結果の各種データも格納される。
制御処理部3Gの機能ブロック図の一例を示すと例えば図10のようになる。制御処理部3Gは、通信部3Fにより通信を行う通信制御部3G1、通常のかご呼び、乗場呼びに従って巻上機3Cを駆動させてダブルデッキかご3を走行、停止させるかご基本制御部3G2、そして以下で説明するこの発明によるかご起動阻止制御部3G3、出発可能時間予測部3G4、報知制御部3G5、戸閉指令発生部3G6、戸開制限部3G7を含む。これらは、記憶部3GMに相当するメモリに格納されたプログラムに従ってプロセッサにより実行される。すなわちプロセッサは3G1−3G7で示されている。
上記の構成において、実施の形態1と異なるところは、連結した二つのかご、上かご31と下かご32は昇降路内上下方向の走行及び停止について、常に共通の動作をしなければならないことである。しかしながら、ドア装置の制御、及びかごの報知制御については上かご31と下かご32で独立に制御することができる。したがって、片方のかご(自かご)において行先階が登録され、戸閉が完了したとき、反対側のかご(連結かご)の戸が開放されたままとなるケースが生じる。このとき、各かごの行先階やドア状態は、通信部3Fを介して制御処理部3Gに送られる。制御処理部3Gは、片方のかごにおいてドアが開放されている場合は、ドアと建物の間に利用者が挟まれることを防ぐ為に、ダブルデッキかご3が停止状態を継続するよう制御する。
図6に、下かご32がダブルデッキかご3の走行開始を妨げる場合の一例を示す。上かご31には行先階として1階が登録されており、かつ戸閉も完了しているため、上かご31に乗車している乗客からみると、あたかもすぐにダブルデッキかご3が出発可能であるように見える。しかしながら、制御処理部3Gは下かご32が2階にて戸開停止状態であることを検出し、ダブルデッキかご3が走行開始するのを阻止する。このような場合に、上記実施の形態1と類似の制御手法によって、下かご32の戸閉を促し、速やかにエレベーターかご3が走行開始させる。
ここで、図6に示した例における、図7及び図8のフローチャートに基づく下かご32の戸閉を促す動作を説明する。
まず、図7は上かご31に着目した動作のフローである。かご基本制御部3G2により、図6の事例において、上かご31は行先階として1階が登録され、戸閉完了した時点で、下方向へ走行開始する準備が整ったことになる(ステップS21)。
かご起動阻止制御部3G3により、図6に示した状況では下かご32が戸開していることにより、ダブルデッキかご3は走行開始を阻止されていると判定される(ステップS22)。このとき、報知制御部3G5により、上かご31の報知装置3Jに対して、上かご31の乗客に走行開始をしばらく待つ旨を伝えるメッセージを報知する指令を出力する(ステップS23)。報知装置3Jは前記指令を検出すると、適切なメッセージを報知する。報知形態は、アナウンス等の音声メッセージでも、インジケータ等を用いた表示メッセージでもよい(以下同様)。
次に、出発可能時間予測部3G4により、ダブルデッキかご3の出発可能予測時間を演算し記憶部3GMのデータ記憶領域に演算結果を記憶する(ステップS24)。図7においては、ダブルデッキかご3の出発可能予測時間Tは、下かご32が戸閉完了するための所要時間の予測値に等しい。出発可能予測時間Tの値は、通信部3Fによって入手できる下かご32の状況から演算される。例えば出発可能予測時間Tは下記の式(2)で演算される。
T=U+V+α (2)
ここで、
U:下かご32において以降の利用者の乗降が全くない場合の戸開継続時間、
V:下かご32のドアが全開の状態から全閉の状態に達するまでの所要時間、
α:戸閉促進動作を実施するまでの猶予となる時間
U、V、αはエレベーターシステムの設計時に設計者によって設定される定数でもよいし、また、エレベーターを運行させる中で実測されるデータから決定してもよい。たとえば、Uはエレベーターシステム設計者によって設定される固定値、Vは通常サービス時のエレベーター扉の戸閉速度より一意に定まる値とすることができる。また、αについては、この発明における戸閉促進動作によって、かえって利便性を損なうことを防ぐ為、エレベーターシステムの設計者によって適宜設定される定数とすることができる。これらの予め設定されたデータはメモリ(記憶部GM)に格納しておく。
以降、かご起動阻止制御部3G3は、ダブルデッキかご3が走行開始可能となるまでの経過時間を計測する。前記Tだけ経過していないとき、かご起動阻止制御部3G3は下かご32の状況を繰り返して確認する(ステップS25→S26)。仮に前記Tだけ時間が経過する前に下かご32が戸閉完了したときは、かご起動阻止制御部3G3がこれを確認し、かご基本制御部3G2が、ダブルデッキかご3を走行開始させる(ステップS26→S31)。
一方で、下かご32が戸閉完了しないまま、前記Tの時間が経過した場合、報知制御部3G5が、通信部3Fを介して上かご31の報知装置3Jに対して、戸閉釦操作を促進(指示)する報知を実施する指令を出力する(ステップS25→S27)。この報知は上かご31の乗客を対象としたメッセージである。本メッセージを出力後も、かご起動阻止制御部3G3は、ダブルデッキかご3の状況を監視し、ダブルデッキかご3が走行開始となったかどうかを確認する処理を継続して実施する(ステップS28→S30)。
下かご32が戸閉完了する前に、前記メッセージを受けて上かご31の乗客が戸閉釦を操作した場合、上かご31のかご操作盤1Hから戸閉釦が操作されたという情報がエレベーター制御装置3Dの通信部3Fを介して制御処理部3Gに伝達される。すると、戸閉指令発生部3G6は、下かご32の強制戸閉動作を選択する(ステップS28→S29)。
下かご32の強制戸閉動作の詳細は後述する。強制戸閉動作選択後も制御処理部3Gのかご起動阻止制御部G3は、下かご32の状況を監視し、ダブルデッキかご3が走行開始可能かどうかを確認する処理を継続して実施し、やがて下かご32が戸閉完了し、ダブルデッキかご3が走行開始可能となると、走行開始させる(ステップS30⇒S31)。
一方、強制戸閉動作が選択された下かご32の動作フローを図8に示す。まず、強制戸閉動作が選択されていないとき、かご基本制御部G2が、下かご32に通常通りの動作を継続させる(ステップS32→S33)。
制御処理部3Gにおいて強制戸閉指令を検出した場合、戸開制限部3G7は、下かご32のドア制御装置3Lからのドアの状態に関する情報を確認し、既に戸閉が完了していれば、特別な制御は実施せず、かご基本制御部3G2が、下かご32に通常通りの動作を行わせる(ステップS34→S33)。
もし、下かご32のドアが開放されたままになっている場合、制御処理部3Gの報知制御部3G5は、通信部3Fを介して下かご32の報知装置3Mに対して、戸閉促進動作の選択を乗客に周知するための報知を実施する指令を出力する(ステップS34→S35)。この際、戸開制限部3G7が、ドア制御装置3Lに設置された光電センサを無効化する指令も、ドア制御装置3Lに出力する(ステップS36)。この場合、例えば戸開釦以外の戸開を無効にする。
この後、制御処理部3Gの戸閉指令発生部G6は、通信部3Fを介して、下かご32のドア制御装置3Lに対して戸閉指令を出力することで下かご32の戸閉動作を実施する(ステップS37)。ただし、下かご32内の戸開釦が操作された場合は、下かご32の乗客の意思によって戸閉が阻止されていると判断され、その意思に反して戸閉する制御を実施することは危険を伴う為、そのような場合は戸開動作を実施する(ステップS38→S39)。
以上のような制御方法をとることにより、上かご31内におけるエレベーターの操作によって、下かご32の戸閉動作及びダブルデッキかご3の走行開始を促すことができ、ダブルデッキかご3を速やかに走行開始させることができる。
また、実施の形態1と同様、この実施の形態2で言及したダブルデッキエレベーターについても、むやみに強制戸閉動作を選択することは望ましくない。それを防ぐために、出発可能時間Tを適切に設定することが考えられる。例えば、乗りかごの負荷(乗りかごに設けられた積載重量計によるもの)や行先階の登録状況(かご呼び)、乗場呼びの登録状況に関する情報を制御処理部3Gが得られる構成を考える。このとき、例えば乗りかごの負荷が大きく、それに反して行先階の登録が単一階床しかない場合、その階で降車する利用者が多いと考えられる。そのような場合には、その階でのドア開放時間が長くなることが想定される。このような場合を想定し、ダブルデッキかご3の出発可能予測時間Tを演算する際に定義した、戸閉促進動作を実施するまでの猶予となる時間αを、強制戸閉動作の対象となるかごの負荷値、呼びが存在する階床数の関数α’と置き換える手法が考えられる。α’を求める具体例を以下に示す。乗降中のかごの負荷値をL、当該乗りかごが停止階に到着する直前に登録されていたかご呼びの個数をNとする。このとき、定数係数aを用いて、α’=a(L/N)と定義する。このようなα’を用いることでかご負荷に比しかご呼び個数が少ない場合、すなわち当該停止階で多くの乗客が降車する可能性がある場合に、エレベーターの出発可能予測時間Tを大きい値に設定することができる。
また、この実施の形態2は、連結する乗りかごの数が3つ以上となっても、互いの乗りかごの運行状況が制御処理部3Gに伝達される構成とし、かつ走行開始阻止された乗りかごが現れたときに、その乗りかごの出発可能予測時間Tを、走行開始を妨げている全ての乗りかごの状態から適切に求めることによって、同様の動作フローでこの発明を実施可能である。例えば、3つの乗りかごが連結されたエレベーターにおいて、下方の乗りかごから順に乗りかご1、乗りかご2、乗りかご3と呼ぶことにする。乗りかご1が戸閉完了したときに乗りかご2、乗りかご3がともに戸閉未完了状態であった場合、乗りかご2、乗りかご3それぞれの乗客無時戸開継続時間をU2,U3、戸全開の状態から戸全閉の状態に達するまでの所要時間をV2,V3、戸閉促進動作を実施するまでの猶予となる時間α2、α3と定義したとき、当該エレベーターの出発可能予測時間Tを、(U2+V2+α2)と(U3+V3+α3)のうち、より大きい値として設定すれば良い。
なお、制御処理部の通信制御部G1が通信制御手段、かご基本制御部G2がかご基本制御手段、かご起動阻止制御部G3がかご起動阻止制御手段、出発可能時間予測部G4が出発可能時間予測手段、報知制御部G5が報知制御手段、戸閉指令発生部G6が戸閉指令発生手段、戸開制限部G7が戸開制限手段、記憶部3GMが記憶手段をそれぞれ構成する。
また、かご起動阻止制御部3G3が構成するかご起動阻止制御手段が、マルチデッキかごの乗降が完了して戸全閉状態の対象かごに連結された各連結かごの乗降状態に基づきマルチデッキかごの起動を阻止し、出発可能時間予測部3G4が構成する出発可能時間予測手段が、かご起動阻止制御手段でマルチデッキかごが停止しているときに、各連結かごの乗降状態に基づいて、マルチデッキかごが出発可能となる出発可能予測時間を予測するが、各連結かごの乗降状態は、連結かごのドア制御装置からのドア状態から得られる。
この発明は上記各実施の形態に限定されるものではく、これらの可能な組み合わせも全て含む。
1,2,31,32 乗りかご、1A,2A,3A ロープ(主索)、
1B,2B,3B 錘、1C,2C,3C 巻上機、
1D,2D,3D エレベーター制御装置、1E,3E そらせ車、
1F,2F,3F 通信部、1G,2G,3G 制御処理部、
1H,2H,3H,3K かご操作盤、1I,2I,3I,3L ドア制御装置、
1J,2J,3J,3M 報知装置、3 ダブルデッキかご、
3G1,G1 通信制御部、3G2,G2 かご基本制御部、
3G3,G3 かご起動阻止制御部、3G4,G4 出発可能時間予測部、
3G5,G5 報知制御部、3G6,G6 戸閉指令発生部、
3G7,G7 戸開制限部、3GM,GM 記憶部、
10 乗場釦。

Claims (6)

  1. 同一昇降路内に複数の乗りかごを就役させたワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置であって、
    乗降が完了して戸全閉状態の対象かごの行先階の位置と前記対象かごの行先階方向の隣接かごの位置に基づき前記対象かごの起動を阻止するかご起動阻止制御手段と、
    前記かご起動阻止制御手段で前記対象かごが停止しているときに、前記対象かごの行先階の位置と前記隣接かごの位置及び乗降状態に基づいて、前記対象かごが出発可能となる出発可能予測時間を予測する出発可能時間予測手段と、
    前記出発可能予測時間が経過した後、前記対象かごの戸閉釦が押された場合に、前記隣接かごに戸閉指令を送信して戸閉を行わせる戸閉指令発生手段と、
    前記隣接かごで戸閉を行わせる前に、前記隣接かごの戸開釦以外の戸開を無効にさせる戸開制限手段と、
    前記対象かごの乗客に対して前記出発可能予測時間が経過した後に戸閉釦を押すことを促す報知と、前記隣接かごの乗客に対して戸閉を行うことを知らせる報知を行わせる報知制御手段と、
    を備えるワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置。
  2. 前記出発可能時間予測手段は、前記対象かご及び前記隣接かごのさらにかご呼び及び乗場呼びに基づいて予測を行う請求項1に記載のワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置。
  3. 前記報知制御手段がさらに、前記対象かごの乗客に対して前記かご起動阻止制御手段による停止中であることを知らせる報知を行わせる請求項1または2に記載のワンシャフトマルチカーエレベーターの制御装置。
  4. 昇降路内に複数のかごが連結されたマルチデッキかごを就役させたマルチデッキエレベーターの制御装置において、
    前記マルチデッキかごの乗降が完了して戸全閉状態の対象かごに連結された各連結かごの乗降状態に基づき前記マルチデッキかごの起動を阻止するかご起動阻止制御手段と、
    前記かご起動阻止制御手段で前記マルチデッキかごが停止しているときに、前記各連結かごの乗降状態に基づいて、前記マルチデッキかごが出発可能となる出発可能予測時間を予測する出発可能時間予測手段と、
    前記出発可能予測時間が経過した後、前記対象かごの戸閉釦が押された場合に、前記各連結かごに戸閉指令を送信して戸閉を行わせる戸閉指令発生手段と、
    前記各連結かごで戸閉を行わせる前に、前記各連結かごの戸開釦以外の戸開を無効にさせる戸開制限手段と、
    前記対象かごの乗客に対して前記出発可能予測時間が経過した後に戸閉釦を押すことを促す報知と、前記各連結かごの乗客に対して戸閉を行うことを知らせる報知を行わせる報知制御手段と、
    を備えたことを特徴とするマルチデッキエレベーターの制御装置。
  5. 前記出発可能時間予測手段は、前記対象かご及び前記各連結かごのさらにかご呼び及び乗場呼びに基づいて予測を行う請求項4に記載のマルチデッキエレベーターの制御装置。
  6. 前記報知制御手段がさらに、前記対象かごの乗客に対して前記かご起動阻止制御手段による停止中であることを知らせる報知を行わせる請求項4または5に記載のマルチデッキエレベーターの制御装置。
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