JP2016077238A - ルウ用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、この発明は、原料が乳原料等を多く含有する場合に油浮き等を抑えるものであり、即席ルウのスパイシー感を強めるものではない。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、平均重合度が2〜4であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油相中に、油脂組成物基準で0.05〜5質量%含有することを特徴とするルウ用油脂組成物を提供することにより上記目的を達成したものである。
本発明のルウ用油脂組成物は、平均重合度が2〜4のポリグリセリン脂肪酸エステルを、油相中に油脂組成物基準で0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜4質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%含有するものである。
平均重合度が2〜4のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.05質量%よりも少ないと本発明の効果が得られず、5質量%よりも多くなると、風味への影響が生じるほか、加工食品が雑味も強いものとなってしまう。
上記食用油脂としては、食用に適する油脂であればよく、パーム油や、パームステアリン、パームオレイン、パーム中部油等のパーム系油脂をはじめ、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油、パーム核油、ヤシ油、乳脂、豚脂、魚油、鯨油、カカオ脂、シア脂、サル脂等をとくに制限なく用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、最終的に得られる加工食品でスパイシー感をより強調できる点で、パーム系の油脂を食用油脂中に50〜100質量%含有するのが好ましく、より好ましくは70〜100質量%、最も好ましくは80〜100質量%である。
ルウ用油脂組成物がSUS型トリグリセリドを特定量含有することで、最終的に得られる加工食品ではスパイシー感をより感じやすいものとなる。
水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、部分水素添加油脂には、通常、構成脂肪酸残基中にトランス脂肪酸残基が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸残基が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス脂肪酸残基を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。
本発明のルウ用油脂組成物に用いられる上記食用油脂として、部分水素添加油脂を使用しないことにより、トランス脂肪酸残基を含まずとも適切なコンステンシーを有するルウ用油脂組成物とすることができる。
本発明のルウ用油脂組成物は、平均重合度が2〜4であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂組成物基準で0.05〜5質量%となるように食用油脂に添加し、均質に分散または溶解することにより製造することができる。そして、好ましくは冷却し、結晶化させる。
なお、ルウとは、一般的には、油脂及び小麦粉を混合加熱した調理用食品素材であって、必要に応じ香辛料、その他の成分を含有するものである。
本発明のルウ用油脂組成物の配合量が25質量%より少ないと、本発明の効果、特に最終的に得られるカレー等の加工食品のスパイシー感を高めることができなくなってしまう場合がある。
また、本発明のルウ用油脂組成物の配合量が70質量%より多いと、ルウを使用した加工食品の粘度が低下し、また油っぽくなってしまう場合がある。
ただし、本発明では、スパイシー感の増強効果を阻害する可能性があるため、上記本発明のルウ用油脂組成物に含まれる乳化剤以外には、ルウに乳化剤を配合しないことが好ましい。
本発明のルウは、一般的なルウの製造方法を用いて製造することが出来るが、例えば、上述した本発明のルウ用油脂組成物及び小麦粉を混合加熱し、必要に応じ、副原料を混合して混合物を得、得られた混合物を例えば容器に流し込み、風冷等の冷却方法により冷却固化させることで製造できる。
カレールウを製造する場合は、本発明のルウ用油脂組成物を加熱溶解し、小麦粉を加えて混合物を作製し、該混合物を110〜120℃に達するまで撹拌しながら加熱焙焼した後、ここにカレー粉等の香辛料、食塩、糖類、調味料等の副材料を添加して、混合する。必要に応じ、これを型に流し込み、風冷等の冷却方法により、0〜25℃で5〜120分冷却して固化させることによって製造することができる。
なお、本発明のルウを製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、させなくても構わない。
本発明の加工食品は、上述した本発明のルウを使用して製造されたものであり、その具体例としては、デミグラスソース、カレーソース等のソースや、デミグラスシチュー、カレーシチュー等のシチューの他、パンのフィリング材、トッピング材、包餡生地の内包材等が挙げられる。
なお、「実質的に乳原料を含有しない」とは、上記ルウ用油脂組成物、ルウ、及び、加工食品、それぞれにおいて、乳原料の含有量が、固形分として5質量%未満、好ましくは3質量%未満、最も好ましくは1質量%未満であることを言うものとする。
なお、該乳原料としては、牛乳、濃縮乳、練乳、ホエイ、クリーム、バタークリーム、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等の水中油型の乳や乳製品をはじめ、脱脂粉乳、全粉乳、ホエイパウダーなどの粉乳類や、脱脂乳などが挙げられる。
本発明の加工食品のスパイシー感増強方法は、下記ルウ用油脂組成物を用いたルウを、香辛料を含有する加工食品の製造に使用するものである。
ルウ用油脂組成物:平均重合度が2〜4であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油相中、油脂組成物基準で0.05〜5質量%含有。
本発明の加工食品のスパイシー感増強方法を利用することにより、雑味が少なく、持続性のある良好なスパイシー感を有する加工食品を得ることができる。
<エステル交換油脂Iの製造>
ヨウ素価51のパーム油65質量部、及び、ヨウ素価0のパーム油の極度硬化油35質量部を70℃にて混合溶解して得た油脂配合物を、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂Iを得た。
ヨウ素価60のパームスーパーオレインを、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂IIを得た。
ヨウ素価55のパーム分別軟部油を、ナトリウムメチラートを触媒として、非選択的エステル交換反応を行なった後、漂白(白土3%、85℃、0.93kPa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、0.4kPa以下の減圧下)を行ない、エステル交換油脂IIIを得た。
[実施例1]ショートニングタイプのルウ用油脂組成物Aの製造
上記エステル交換油脂Iを50質量部、パーム油48質量部、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量部からなる混合油Aを65℃に加熱し、ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)0.1質量部、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、本発明のルウ用油脂組成物Aを得た。
得られたルウ用油脂組成物Aは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)を0.4質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明のルウ用油脂組成物Bを得た。
得られたルウ用油脂組成物Bは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)を1.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明のルウ用油脂組成物Cを得た。
得られたルウ用油脂組成物Cは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)を3.5質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明のルウ用油脂組成物Dを得た。
得られたルウ用油脂組成物Dは、SUS型トリグリセリド含有量:18質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)0.1質量部に替えてテトラグリセリンステアレート(HLB5.6)1質量部とした以外は実施例1と同様にして、本発明のルウ用油脂組成物Eを得た。
得られたルウ用油脂組成物Eは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
上記エステル交換油脂IIを45質量部、パーム油30質量部、パームステアリン10質量部、大豆油10質量部及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油5質量部からなる混合油Bを65℃に加熱し、ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)0.7質量部、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、本発明のルウ用油脂組成物Fを得た。
得られたルウ用油脂組成物Fは、SUS型トリグリセリド含有量:13質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.58であった。
上記エステル交換油脂IIを30質量部、エステル交換油脂III40質量部、パームステアリン20質量部、パーム極度硬化油5質量部及び、大豆油5質量部からなる混合油Cを65℃に加熱し、ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)0.7質量部、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、本発明のルウ用油脂組成物Gを得た。
得られたルウ用油脂組成物Gは、SUS型トリグリセリド含有量:10質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.45であった。
上記エステル交換油脂Iを50質量部、パーム油38質量部、パーム分別中融点部10質量部、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量部からなる混合油Dを65℃に加熱し、ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)0.7質量部、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、本発明のルウ用油脂組成物Hを得た。
得られたルウ用油脂組成物Hは、SUS型トリグリセリド含有量:23質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.56であった。
上記エステル交換油脂I50質量部、エステル交換油脂IIを30質量部、エステル交換油脂III20質量部からなる混合油Eを60℃に加熱し、ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)0.7質量部、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、本発明のルウ用油脂組成物Iを得た。
得られたルウ用油脂組成物Iは、SUS型トリグリセリド含有量:9質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.31であった。
ジグリセリンモノオレエート(HLB6.5)を3.0質量部に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明のルウ用油脂組成物Jを得た。
得られたルウ用油脂組成物Jは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
上記エステル交換油脂Iを50質量部、パーム油48質量部、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量部からなる混合油Aを65℃に加熱し、グリセリンモノラウレート(HLB5.4)0.7質量部、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、比較例である油脂組成物Kを得た。
得られた油脂組成物Kは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
上記エステル交換油脂Iを50質量部、パーム油48質量部、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量部からなる混合油Aを65℃に加熱し、ヘキサグリセリントリリノレート(HLB7.0)0.7質量部、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、比較例である油脂組成物Lを得た。
得られた油脂組成物Lは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
上記エステル交換油脂Iを50質量部、パーム油48質量部、及び、ハイエルシン菜種油の極度硬化油2質量部からなる混合油Aを65℃に加熱し、60%トコフェロール0.08質量部を溶解・混合し混合物を得た。続いて、得られた混合物を急冷可塑化工程にかけ、比較例である油脂組成物Mを得た。
得られた油脂組成物Mは、SUS型トリグリセリド含有量:19質量%、SUS型トリグリセリド/S2U型トリグリセリド=0.53であった。
ルウ用油脂組成物350g及び小麦粉320gを釜に投入し、かき混ぜながら120℃まで加熱した後、火を止め、さらにかき混ぜた。約100℃まで下がった時点で、引き続きかき混ぜながら、食塩100g、上砂糖50g、カレー粉90g、調味料90gを順次添加し、さらにかき混ぜ、次いで、これを直径50mmの型に厚さ10mmに流し込み、20℃で60分冷却・固化させ、本発明又は比較例のルウ(固形カレールウ)を得た。
上記固形ルウを20質量%含有するカレーソースを常法により作成した。
品温45℃におけるカレーソースの「スパイシー感の強さ」、「スパイシー感の持続性」、「雑味」について、10人のパネラーにより下記評価基準に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点を評価点数とし、結果を下記のようにして[表1]に示した。
40〜50点:◎、28〜39点:○、16〜27点:○、15点以下:×
5点 スパイシー感が強く感じられ、非常に良好である。
3点 スパイシー感が感じられ、良好である。
1点 スパイシー感が感じられない。
(スパイシー感の持続性評価基準)
5点 持続性のあるスパイシー感が強く感じられ、非常に良好である。
3点 持続性のあるスパイシー感が感じられ、良好である。
1点 スパイシー感の持続性が感じられない。
(雑味の持続性評価基準)
5点 雑味がなく、非常に良好である。
3点 ほとんど雑味がなく、良好である。
1点 雑味が感じられる。
Claims (6)
- 平均重合度が2〜4であるポリグリセリン脂肪酸エステルを、油相中に油脂組成物基準で0.05〜5質量%含有することを特徴とするルウ用油脂組成物。
- 上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが3〜9である、請求項1記載のルウ用油脂組成物。
- 油相中、SUS型トリグリセリド(Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸を示し、Uは炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸を示す)を10〜40質量%含有する、請求項1又は2記載のルウ用油脂組成物。
- 請求項1〜3の何れか一項記載のルウ用油脂組成物を用いたことを特徴とするルウ。
- 請求項4記載のルウを用いたことを特徴とする加工食品。
- 請求項1〜3の何れか一項記載のルウ用油脂組成物を用いたルウを使用することを特徴とする、香辛料を含有する加工食品のスパイシー感増強方法。
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