JP2016021390A - 電気化学素子用導電材分散液、電気化学素子正極用スラリー、電気化学素子用正極および電気化学素子 - Google Patents

電気化学素子用導電材分散液、電気化学素子正極用スラリー、電気化学素子用正極および電気化学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、電気化学素子電極用スラリーに良好な塗工性を付与しつつ、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子用導電材分散液を提供する。
【解決手段】導電材、重合体X、およびピロリドン系溶媒を含む電気化学素子用導電材分散液であって、前記重合体Xは、ニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含み、ヨウ素価が20mg/100mg以下であり、前記導電材100質量部当たり、前記重合体Xを2質量部以上30質量部以下含み、そして、粘度が800mPa・s以下である、電気化学素子用導電材分散液。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気化学素子用導電材分散液、電気化学素子正極用スラリー、電気化学素子用正極および電気化学素子に関するものである。
リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタおよび電気二重層キャパシタなどの電気化学素子は、小型で軽量、且つ、エネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。ここで、例えばリチウムイオン二次電池用の電極は、通常、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを備えている。そして、電極合材層、例えば正極合材層は、通常、正極活物質に加え、導電性を向上させるための導電材、これらの成分を結着するための結着材を分散媒中に含んでなる正極用スラリーを集電体上に塗布し、乾燥させることにより形成されている。
ここで、電気化学素子の性能向上を達成すべく、従来から正極用スラリー等の電極用スラリーを改良する試みがなされている。具体的には、凝集し易いカーボンブラックなどの導電材の分散性を改良して電気化学素子の性能を向上させるべく、導電材、分散剤、および分散媒を予混合してなる導電材分散液と、電極活物質とを併せて電極用スラリーとし、当該電極用スラリーを用いて電極を形成する技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、導電材としてのカーボンブラックと、分散剤としての特定の性状を有するポリビニルアルコール樹脂と、分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を含む導電材分散液をリチウムイオン二次電池の電極合材層の形成に用いることが提案されている。そして、特許文献1では、この導電材分散液はカーボンブラックの分散性と貯蔵安定性に優れ、かつ、当該分散液に電極活物質を加えた電極用スラリーを用いて均質な塗膜を塗布可能であり、当該電極用スラリーから表面抵抗の低い電極合材層を形成することができると報告されている。
また例えば、特許文献2では、導電材としてのカーボンブラックと、分散剤としてのポリビニルアセタール樹脂と、分散媒としてのNMPと含む導電材分散液をリチウムイオン二次電池の電極合材層の形成に用いることが提案されている。そして、特許文献2では、この導電材分散液はカーボンブラックの分散性と貯蔵安定性に優れ、当該分散液に電極活物質を加えた電極用スラリーを用いることで、内部抵抗の低減が可能な電極合材層を形成することができると報告されている。
特許第5454725号 特開2011−184664号公報
しかしながら、上記従来の技術では、導電材分散液および電極用スラリー中において、分散剤の導電材分散能が十分に発揮されない場合があり、経時による粘度変化により導電材の分散性が損なわれる虞、即ち、保存安定性が低下する虞があった。また、導電材分散液を含む電極用スラリーを集電体上に塗布して塗膜を形成する際に、当該塗膜の厚みを十分に均一に出来ない場合があった。そして、このような導電材分散液および電極用スラリーを用いて形成される電極合材層は、厚みが一様となり難く、また、当該電極合材層中で好適な導電材ネットワークが形成され難い場合があり、電気化学素子に十分な出力特性を発揮させることができなかった。
したがって、上記従来の技術には、導電材分散液の保存安定性を確保しつつ、当該導電材分散液を含む正極用スラリーの塗工性を改良し、そして電気化学素子の出力特性を向上させるという点において未だ改善の余地があった。
そこで、本発明は、保存安定性に優れ、電気化学素子電極用スラリーに良好な塗工性を付与しつつ、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子用導電材分散液を提供することを目的とする。
また、本発明は、保存安定性および塗工性に優れ、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子正極用スラリーを提供することを目的とする。
更に、本発明は、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子用正極、および出力特性に優れる電気化学素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者らは、分散媒としてピロリドン系溶媒を使用した導電材分散液において、分散剤としてニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含み、そしてヨウ素価が特定の範囲内である重合体を特定量用い、かつ導電材分散液を特定の粘度以下の低粘度とすることで、導電材の保存安定性を優れたものとしつつ、この導電材分散液を含んでなる電極用スラリーの塗工性を向上させ、さらには、当該電極用スラリーを用いて形成される電極を備える電気化学素子の出力特性を高めることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の電気化学素子用導電材分散液は、導電材、重合体X、およびピロリドン系溶媒を含む電気化学素子用導電材分散液であって、前記重合体Xは、ニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含み、ヨウ素価が20mg/100mg以下であり、前記導電材100質量部当たり、前記重合体Xを2質量部以上30質量部以下含み、そして、粘度が800mPa・s以下であることを特徴とする。このように、分散媒としてピロリドン系溶媒を使用した導電材分散液において上述した重合体Xを特定量使用し、さらに当該導電材分散液の粘度を特定の範囲内とすれば、導電材分散液の保存安定性を高めつつ、電気化学素子電極用スラリーに良好な塗工性を付与することができ、さらには、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることができる。
なお、本発明において重合体Xのヨウ素価は、重合体Xの水分散液または溶液100gを、メタノール1リットルで凝固した後、60℃で12時間真空乾燥して得られる乾燥した重合体Xのヨウ素価を、JIS K6235(2006)に従って測定することで得ることができる。
また、本発明において導電材分散液の粘度は、B型粘度計を用いて、温度25℃、回転速度60rpm、回転時間60秒の条件で測定することができる。
ここで、本発明の電気化学素子用導電材分散液は、前記重合体Xが、ニトリル基含有単量体単位を15質量%以上50質量%以下含み、アルキレン構造単位を50質量%以上85質量%以下含むことが好ましい。ニトリル基含有単量体単位とアルキレン構造単位を上述の範囲内で含む重合体Xは、導電材分散能とピロリドン系溶媒への溶解性をバランスよく備え、当該重合体Xを含む導電材分散液の保存安定性を更に向上させることができるからである。
そして、本発明の電気化学素子用導電材分散液は、さらにフッ素樹脂Yを含むことが好ましい。フッ素樹脂Yを使用することで、導電材分散液から形成される電極合材層と集電体の密着性が確保され、電気化学素子の出力特性などの電気的特性を更に向上させることができるからである。
また、本発明の電気化学素子正極用スラリーは、上述の何れかの電気化学素子用導電材分散液および正極活物質を含むことを特徴とする。上述したいずれかの導電材分散液を用いて調製された正極用スラリーは、保存安定性および塗工性に優れる。また、当該正極用スラリーを用いて調製した正極を使用すれば、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることができる。
また、本発明の電気化学素子用正極は、上述の電気化学素子正極用スラリーを用いて調製した正極合材層を、集電体上に備えることを特徴とする。上述の正極用スラリーから形成された正極合材層を備える正極は、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることができる。
また、本発明の電気化学素子は、上述の電気化学素子用正極を備えることを特徴とする。上述の電気化学素子用正極を備える電気化学素子は、優れた出力特性を発揮する。
本発明によれば、保存安定性に優れ、電気化学素子電極用スラリーに良好な塗工性を付与しつつ、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子用導電材分散液を提供することができる。
本発明によれば、保存安定性および塗工性に優れ、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子正極用スラリーを提供することができる。
更に、本発明によれば、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子用正極、および出力特性に優れる電気化学素子を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明の電気化学素子用導電材分散液は、電気化学素子電極用スラリー、好ましくは電気化学素子正極用スラリーを製造する際の材料として用いられる。そして、本発明の電気化学素子正極用スラリーは、本発明の電気化学素子用導電材分散液を用いて形成される。加えて、本発明の電気化学素子用正極は、本発明の電気化学素子正極用スラリーを用いて形成された正極合材層を備えることを特徴とする。また、本発明の電気化学素子は、本発明の電気化学素子用正極を備えることを特徴とする。
(電気化学素子用導電材分散液)
本発明の電気化学素子用導電材分散液は、ピロリドン系溶媒中に、導電材に加え、ニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含み、ヨウ素価が20mg/100mg以下である重合体Xを含み、任意にフッ素樹脂Yを更に含有する。そして、本発明の電気化学素子用導電材分散液は、重合体Xの配合量が、導電材100質量部当たり、2〜30質量部であり、そして、粘度が800mPa・s以下であることを特徴とする。
このように、上述した重合体Xを特定の割合で含み、粘度が800mPa・s以下である導電材分散液は、保存安定性に優れる上、当該導電材分散液を含む電極用スラリーの塗工性を向上させ、集電体上に均一な塗膜を形成することができる。そして、当該塗膜を乾燥等して形成された電極合材層を備える電極は、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることができる。
なお、本発明において「単量体単位を含む」とは、「その単量体を用いて得た重合体中に単量体由来の繰り返し単位が含まれている」ことを意味する。
また、本発明において「アルキレン構造単位を含む」とは、「重合体中に一般式−C2n−[但し、nは2以上の整数]で表わされるアルキレン構造のみで構成される繰り返し単位が含まれている」ことを意味する。
<導電材>
導電材は、電極合材層中で電極活物質同士の電気的接触を確保するためのものである。そして、本発明の導電材分散液に用いる導電材としては、特に限定されることなく、カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラックなど)、単層または多層カーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブにはカップスタック型が含まれる)、カーボンナノホーン、気相成長炭素繊維、ポリマー繊維を焼成後に破砕して得られるミルドカーボン繊維、単層または多層グラフェン、ポリマー繊維からなる不織布を焼成して得られるカーボン不織布シートなどの導電性炭素材料、並びに各種金属のファイバー又は箔などを用いることができる。これらは一種単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、化学的安定性に優れるという点で、導電性炭素材料が好ましい。また、近接する導電性炭素材料同士の接触頻度を高め、安定した導電パスを形成しつつ高効率での電子授受を達成して、優れた導電性を発現させる観点からは、カーボンブラックや、繊維状又はシート状である導電性炭素材料がより好ましい。
ここで、本発明において導電性炭素材料が「繊維状」であるとは、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した導電性炭素材料のアスペクト比が10以上であることをいい、繊維状導電性炭素材料としては、例えば、上述した単層または多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、気相成長炭素繊維、ミルドカーボン繊維などが挙げられる。
また、本発明において導電性炭素材料が「シート状」であるとは、導電性炭素材料が平面状に広がる構造を有することをいい、シート状導電性炭素材料としては、例えば、上述した単層または多層グラフェン、カーボン不織布シートなどが挙げられる。なお、平面状に広がる構造を有するシート状導電性炭素材料には、繊維状導電性炭素材料は含まれないものとする。
カーボンブラックの平均粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、更に好ましくは20nm以上であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下、更に好ましくは50nm以下である。カーボンブラックの平均粒子径が上述の範囲内であれば、導電材であるカーボンブラックの分散性を確保しつつ電極合材層中において良好な導電パスを形成することができるため、導電材分散液の保存安定性、電極用スラリーの塗工性および電気化学素子の出力特性を更に向上させることができる。
なお、本発明において「カーボンブラックの平均粒子径」は、TEMを用いて無作為に選択されたカーボンブラック粒子100個の粒子径(個々の粒子の外縁上の2点を結ぶ線分の長さのうち、最大の長さ)を測定して求めることができる。
導電材の比表面積は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは35m/g以上であり、好ましくは1000m/g以下、より好ましくは800m/g以下、更に好ましくは500m/g以下、特に好ましくは100m/g以下、最も好ましくは60m/g以下である。導電材の比表面積が上述の範囲内であれば、導電材の分散性を確保しつつ電極合材層中において良好な導電パスを形成することができるため、導電材分散液の保存安定性、電極用スラリーの塗工性および電気化学素子の出力特性を更に向上させることができる。特に導電材の比表面積が60m/g以下である場合は、保存安定性に優れた導電材分散液を容易に得ることができる。
なお、本発明において「導電材の比表面積」とは、窒素吸着法によるBET比表面積のことであり、ASTM D3037−81に準拠して測定することができる。
導電材の密度は、好ましくは0.01g/cm以上、より好ましくは0.02g/cm以上であり、好ましくは0.5g/cm以下、より好ましくは0.3g/cm以下、更に好ましくは0.2g/cm以下である。導電材の密度が上述の範囲内であれば、導電材分散液調製時における導電材の飛散が抑制され、作業性を確保することができる。また分散性を確保しつつ電極合材層中において良好な導電パスを形成することができるため、導電材分散液の保存安定性、電極用スラリーの塗工性および電気化学素子の出力特性を更に向上させることができる。
なお、本発明において「導電材の密度」とは、かさ密度のことであり、JIS Z 8901に準拠して測定することができる。
<重合体X>
重合体Xは、ニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含む共重合体であり、任意に、ニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位以外のその他の単量体単位(繰り返し単位)を含んでいてもよい。そして重合体Xは、本発明の導電材分散液において、導電材を分散させる分散剤として機能しうる。
このように、重合体Xがニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含むことで、重合体Xの導電材分散能およびピロリドン系溶媒に対する溶解性が確保されるため、導電材分散液中で導電材を良好に分散させることができ、しかも経時による導電材の凝集が抑制されて導電材分散液の保存安定性を向上させることができる。加えて、重合体Xの寄与により、本発明の導電材分散液は導電材の凝集などによる高粘度化が抑制されるため、導電材分散液を適度に低粘度とすることができる。このような低粘度の導電材分散液からは、電極用スラリーを容易に調製することができ、当該電極用スラリーも適度に低粘度とすることができる。そのような低粘度の電極用スラリーは、集電体上に均一に塗布することが可能となり、塗布むらが抑制される。そして、このような導電材分散液を用いて形成される電極合材層は、導電性に優れしかも均一な厚みを有し、電気化学素子に優れた出力特性などの電気的特性を発揮させることができる。
以下、重合体Xに含まれるニトリル基含有単量体単位、アルキレン構造単位、および任意のその他の単量体単位について詳述する。
[ニトリル基含有単量体単位]
ニトリル基含有単量体単位を形成しうるニトリル基含有単量体としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体が挙げられる。そして、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。なかでも、重合体Xのピロリドン系溶媒への溶解性を高める観点からは、ニトリル基含有単量体としては、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。
これらは一種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
そして、上記重合体X中でのニトリル基含有単量体単位の含有割合は、重合体X中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、15質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上が特に好ましく、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。重合体X中のニトリル基含有単量体単位の含有割合を15質量%以上とすることで、重合体Xのピロリドン系溶媒への溶解性を向上させることができ、50質量%以下とすることで、重合体Xの導電材分散能を向上させることができる。従って、重合体X中のニトリル基含有単量体単位の含有割合を上述の範囲内とすることで、導電材分散液の保存安定性を更に向上させることができる。そして、導電材分散液を用いて形成される電極合材層中で導電材を良好に分散させて、導電性を向上させる(即ち、内部抵抗を低減する)ことができ、本発明の導電材分散液を用いて製造された電極を備える電気化学素子の出力特性などの電気的特性を更に向上させることができる。
[アルキレン構造単位]
アルキレン構造単位は、直鎖状であっても分岐状であってもよいが、導電材分散液の保存安定性を向上させる観点からは、アルキレン構造単位は直鎖状、すなわち直鎖アルキレン構造単位であることが好ましい。
そして、重合体Xへのアルキレン構造単位の導入方法は、特に限定はされないが、例えば以下の(1)、(2)の方法:
(1)共役ジエン単量体を含む単量体組成物から重合体を調製し、当該重合体に水素添加することで、共役ジエン単量体単位をアルキレン構造単位に変換する方法
(2)1−オレフィン単量体を含む単量体組成物から重合体を調製する方法
が挙げられる。これらの中でも、(1)の方法が重合体Xの製造が容易であり好ましい。
ここで、共役ジエン単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数4以上の共役ジエン化合物が挙げられる。中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。すなわち、アルキレン構造単位は、共役ジエン単量体単位を水素化して得られる構造単位(共役ジエン水素化物単位)であることが好ましく、1,3−ブタジエン単量体単位を水素化して得られる構造単位(1,3−ブタジエン水素化物単位)であることがより好ましい。
また、1−オレフィン単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどが挙げられる。
これらの共役ジエン単量体や1−オレフィン単量体は、一種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる
そして、上記重合体X中でのアルキレン構造単位の含有割合は、重合体X中の全繰り返し単位(単量体単位と構造単位との合計)を100質量%とした場合に、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、85質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましい。重合体X中でのアルキレン構造単位の含有割合を50質量%以上とすることで、重合体Xの導電材分散能を向上させることができ、85質量%以下とすることで、重合体Xのピロリドン系溶媒への溶解性を向上させることができる。従って、重合体X中のアルキレン構造単位の含有割合を上述の範囲内とすることで、導電材分散液の保存安定性を更に向上させることができる。そして、導電材分散液を用いて形成される電極合材層中で導電材を良好に分散させて、導電性を向上させる(即ち、内部抵抗を低減する)ことができ、本発明の導電材分散液を用いて製造された電極を備える電気化学素子の出力特性などの電気的特性を更に向上させることができる。
[その他の単量体単位]
重合体Xは、上述したニトリル基含有単量体単位、アルキレン構造単位以外に、その他の単量体単位を含んでいてもよい。そのようなその他の単量体単位としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、親水性基含有単量体単位などが挙げられる。
なお本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
[[(メタ)アクリル酸エステル単量体単位]]
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成しうる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルを用いることができる。
これらの単量体の具体例としては、国際公開第2013/080989号に記載のものが挙げられる。
ここで、特にブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体は、重合体Xの柔軟性に寄与し得る一方、導電材分散能には寄与し難いため、本発明の導電材分散液を用いて製造した電気化学素子の出力特性が損なわれる場合がある。したがって、重合体X中での(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有割合は、アルキレン構造単位の含有割合を十分に確保し、導電材分散能を向上させる観点から、重合体X中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、35質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、0.05質量%未満(実質的に含まない)が更に好ましく、0質量%が特に好ましい。
[[親水性基含有単量体単位]]
親水性基含有単量体単位を形成しうる親水性基含有単量体としては、カルボン酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、リン酸基を有する単量体および水酸基を有する単量体を用いることができる。
これらの単量体の具体例としては、国際公開第2013/080989号に記載のものが挙げられる。
なお本発明において、上述した(メタ)アクリル酸エステル単量体、ニトリル基含有単量体には、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基および水酸基は含まれないものとする。
ここで、特にカルボン酸基を有する単量体などの親水性基含有単量体は、重合体Xの製造安定性の向上に寄与し得る一方、親水性基含有単量体単位を重合体Xに含めると、重合体Xが有する導電材分散能が損なわれる虞がある。したがって、導電材分散液の保存安定性を確保する観点から、重合体X中での親水性基含有単量体単位の含有割合は、重合体X中の全繰り返し単位を100質量%とした場合に、0.05質量%未満(実質的に含まない)が好ましく、0質量%がより好ましい。
[重合体Xの調製方法]
重合体Xの製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した単量体を含む単量体組成物を重合して重合体を得て、任意に、得られた重合体を水素添加することで調製することができる。
ここで、本発明において単量体組成物中の各単量体の含有割合は、重合体Xおける各単量体単位および構造単位(繰り返し単位)の含有割合に準じて定めることができる。
重合様式は、特に制限なく、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法も用いることができる。各重合法において、必要に応じて既知の乳化剤や重合開始剤を使用することができる。
水素添加の方法は、特に制限なく、触媒を用いる一般的な方法(例えば、国際公開第2012/165120号、国際公開第2013/080989号および特開2013−8485号公報参照)を使用することができる。
[重合体Xのヨウ素価]
なお、重合体Xのヨウ素価は20mg/100mg以下である必要があり、18mg/100mg以下であることが好ましく、10mg/100mg以下であることが更に好ましく、一方、5mg/100mg以上であることが好ましい。重合体Xのヨウ素価が20mg/100mg超であると、導電材分散液の保存安定性が確保できず、電気化学素子の出力特性が低下してしまう。一方、5mg/100mg以上であることで、重合体Xのピロリドン系溶媒への溶解性が向上する。そして、重合体Xのヨウ素価を上述の範囲内とすることで、導電材の分散性が確保され、電気化学素子の出力特性を向上させることができる。
[好適な重合体Xの構造]
そして、重合体Xとしては、導電材分散液を用いて形成される電極合材層中で導電材を良好に分散させて、電極合材層の導電性を向上させる観点から、単量体として、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリルと、共役ジエン単量体としての1,3−ブタジエンを含む単量体組成物を重合してなる重合体に、さらに水素添加することで得られる重合体が好ましい。くわえて、重合体Xとしては、上述と同様の観点から、単量体として、ニトリル基含有単量体としてのアクリロニトリルと、共役ジエン単量体としての1,3−ブタジエンのみを含む単量体組成物を重合してなる重合体に、さらに水素添加することで得られる重合体がより好ましい。
[重合体Xの配合量]
導電材分散液中における重合体Xの配合量は、導電材100質量部当たり、2質量部以上30質量部以下であることが必要であり、好ましくは5質量部以上であり、より好ましくは6質量部以上であり、好ましくは25質量部以下である。導電材分散液中の重合体Xの配合量が2質量部未満であると、導電材分散液中の導電材の分散性を十分に確保することができない。一方、導電材分散液中の重合体Xの配合量が30質量部超であると、導電材の分散液の粘度が増加することで電極用スラリーの良好な塗工性が確保できず、また、重合体Xの配合量の増加に見合う分散性の向上効果が得られなくなると共に、導電材分散液から形成された電極合材層を備える電極を有する電気化学素子において、内部抵抗が上昇し、出力特性などの電気的特性が低下する。
よって、重合体Xの配合量を、導電材100質量部当たり、2質量部以上30質量部以下とすることで、電極用スラリーの良好な塗工性および電極合材層中の導電材の分散性が確保され、電気化学素子の出力特性を向上させることができる。
<フッ素樹脂Y>
本発明の導電材分散液は、任意に、結着材として機能しうるフッ素樹脂Yを含有してもよい。結着材として機能しうるフッ素樹脂Yを使用することで、当該導電材分散液から形成される電極合材層と集電体の密着性が確保され、出力特性などの電気化学素子の電気的特性を向上させることができる。
なお、上記重合体Xも結着性を発揮するが、上述した通り、導電材の分散性、電極用スラリーの塗工性、および電気化学素子の電気的特性の全てを確保する観点からは、重合体Xの配合量には限界がある。そこで、本発明の導電材分散液では、重合体X以外に結着材として機能しうるフッ素樹脂Yを使用することで、電極合材層と集電体の密着性を確保することが好ましい。
フッ素樹脂Yは、フッ素含有単量体単位を含む重合体である。具体的には、フッ素樹脂Yとしては、1種類以上のフッ素含有単量体の単独重合体または共重合体や、1種類以上のフッ素含有単量体とフッ素を含有しない単量体(以下、「フッ素非含有単量体」と称する。)との共重合体が挙げられる。
なお、フッ素樹脂Yにおけるフッ素含有単量体単位の割合は、通常70質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、フッ素樹脂Yにおけるフッ素非含有単量体単位の割合は、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
ここで、フッ素含有単量体単位を形成し得るフッ素含有単量体としては、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、三フッ化塩化ビニル、フッ化ビニル、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、フッ素含有単量体としては、フッ化ビニリデンが好ましい。
また、フッ素非含有単量体単位を形成し得るフッ素非含有単量体としては、フッ素含有単量体と共重合可能なフッ素を含まない単量体、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの1−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸などのカルボキシル基を含有するビニル化合物;アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有不飽和化合物;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸などのスルホン酸基含有不飽和化合物;3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパン硫酸などの硫酸基含有不飽和化合物;(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などのリン酸基含有不飽和化合物などが挙げられる。
そして、フッ素樹脂Yとしては、フッ素含有単量体としてフッ化ビニリデンを用いた重合体およびフッ素含有単量体としてフッ化ビニルを用いた重合体が好ましく、フッ素含有単量体としてフッ化ビニリデンを用いた重合体がより好ましい。
具体的には、フッ素樹脂Yとしては、フッ化ビニリデンの単独重合体(ポリフッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体およびポリフッ化ビニルが好ましく、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましい。
なお、上述したフッ素樹脂Yは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、フッ素樹脂Yが12質量%の濃度でNMPに溶解した溶液の粘度は、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上であり、好ましくは1800mPa・s以下、より好ましくは1300mPa・s以下、更に好ましくは600mPa・s以下である。フッ素樹脂Yの12質量%NMP溶液の粘度が10mPa・s以上であることで、導電材分散液から形成される電極合材層と集電体との密着性を向上させることができ、1800mPa・s以下であることで、導電材分散液の粘度が過剰に上昇することにより導電材の分散性が損なわれることもない。そして、フッ素樹脂Yの12質量%NMP溶液の粘度が上述の範囲内であることにより、当該フッ素樹脂Yを用いた導電材分散液から形成された電極合材層を備える電極を有する電気化学素子の、出力特性などの電気的特性を向上させることができる。
なお、フッ素樹脂Yの12質量%NMP溶液の粘度は、B型粘度計を用いて、温度25℃、回転速度60rpm、回転時間60秒の条件で測定することができる。
ここで、上述したフッ素樹脂Yの製造方法は特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法も用いることができる。
また、重合方法としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合を用いることができる。また、重合開始剤としては、既知の重合開始剤を用いることができる。
そして、フッ素樹脂Yは、分散媒に分散された分散液または溶解された溶液の状態で導電材分散液の調製に使用される。導電材分散液の調製に使用するフッ素樹脂Yの分散媒としては、フッ素樹脂Yを均一に分散または溶解し得るものであれば、特に制限されず、水や有機溶媒を用いることができ、有機溶媒を用いることが好ましい。なお、有機溶媒としては、特に限定されることなく、本発明の導電材分散液の分散媒として用いるピロリドン系溶媒を用いることができる。
そして、本発明の導電材分散液は、導電材100質量部当たり、フッ素樹脂Yを好ましくは10質量部以上含み、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下含む。フッ素樹脂Yの配合量が導電材100質量部当たり10質量部以上であることで、導電材分散液から形成される電極合材層と集電体との密着性を向上させることができる。一方、フッ素樹脂Yの配合量が導電材100質量部当たり200質量部以下であることで、当該導電材分散液から形成された電極合材層を備える電極を有する電気化学素子において、フッ素樹脂Yの量が過剰となることに起因する内部抵抗の上昇が抑制され、出力特性などの電気的特性を確保することができる。加えて、導電材分散液の粘度が過剰に高粘度とならず、電極用スラリーの調製が容易であり、また、電極用スラリーの集電体上への塗工性が向上する。さらに、導電材分散液中での導電材の分散性を確保することができる。
なお、本発明の導電材分散液は、重合体Xの量とフッ素樹脂Yの量の合計中、フッ素樹脂Yの量が占める割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは87質量%以下である。重合体Xとフッ素樹脂Yの合計量中のフッ素樹脂Yの割合が上述の範囲内であることで、重合体Xおよびフッ素樹脂Yにより得られる結着能と、重合体Xにより得られる導電材分散能のバランスが良好となり、導電材分散液の保存安定性、そして当該導電材分散液から形成された電極合材層を備える電極を有する電気化学素子の、出力特性などの電気的特性を更に向上させることができる。加えて、重合体Xとフッ素樹脂Yの合計量中のフッ素樹脂Yの割合が上述の範囲内であることで、電極用スラリーの集電体上への塗工性を更に向上させることができる。
<ピロリドン系溶媒>
本発明の導電材分散液において、分散媒としてピロリドン系溶媒を用いる。ピロリドン系溶媒は、重合体Xの溶解度が高いため、重合体Xの導電材分散能を十分に発揮させることができるからである。具体的なピロリドン系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)が挙げられる。これらの中でも、フッ素樹脂Yの溶解性の観点からNMPが好ましい。
なお、これらのピロリドン系溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
<導電材分散液の調製方法>
上述の導電材、重合体X、任意のフッ素樹脂Y、およびピロリドン系溶媒を混合して導電材分散液を得るにあたり、混合方法には特に制限は無く、例えば、ディスパー、ミル、ニーダーなどの一般的な混合装置を用いることができる。例えば、ディスパーを使用する場合には、1000rpm以上5000rpm以下で、5分以上60分以下攪拌することが好ましい。
また、導電材分散液を得るにあたり、混合手順も特に制限はなく、例えば、(A)ピロリドン系溶媒に重合体Xを溶解後、導電材を添加し、上述の混合装置および混合条件で混合してもよいし、(B)導電材、重合体Xおよびピロリドン系溶媒を上述の混合装置および混合条件で一括混合してもよい。これらの中でも、(A)の混合手順が好ましい。
更に、フッ素樹脂Yを導電材分散液に添加する場合は、導電材分散液の保存安定性を一層向上させる観点から、導電材、重合体Xおよびピロリドン系溶媒を例えば上述の混合装置および混合条件で予混合した後に、フッ素樹脂Yを添加することが好ましい。そして、フッ素樹脂Yを添加後、例えば上述の混合装置および混合条件でさらに混合することが好ましい。フッ素樹脂Yの添加に先んじて、導電材、重合体Xおよびピロリドン系溶媒を混合することで、分散剤としての重合体Xを優先して導電材に吸着させることができ、重合体Xの導電材分散能を十分に発揮させることができるからである。なお、フッ素樹脂Yは、電気化学素子正極用スラリーの調製段階で添加してもよい。
そして、得られる導電材分散液の粘度は、800mPa・s以下である必要があり、750mPa・s以下であることが好ましく、700mPa・s以下であることがより好ましく、300mPa・s以上であることが好ましい。導電材分散液の粘度が800mPa・s超であると、当該導電材分散液を含む電極用スラリーの塗工性が損なわれ、集電体上に塗布した際にむらが生じ、電気化学素子の出力特性などの電気的特性が低下する。一方、導電材分散液の粘度が300mPa・s以上であれば、電極用スラリーの塗布の際に生じるハジキを抑制することができる。
また、得られる導電材分散液のTI値(チクソトロピックインデックス値)は、0.80以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましく、3.50以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。TI値が上述の範囲内であれば、電極用スラリーの塗工性が向上し、電気化学素子の出力特性などの電気的特性を一層高めることができる。
ここで、TI値は、B型粘度計を用いて、温度25℃、回転速度60rpm、回転時間60秒の条件で測定される導電材分散液の粘度η60に対する、回転速度を6rpmとした以外はη60と同様にして測定される導電材分散液の粘度η6の比(η6/η60)として求めることができる。
(電気化学素子正極用スラリー)
本発明の電気化学素子正極用スラリーは、上述した電気化学素子用導電材分散液および正極活物質を含む。即ち、導電材と、重合体Xと、正極活物質と、ピロリドン系溶媒と、任意にフッ素樹脂Yとを含む。
このように、上述した電気化学素子用導電材分散液を含む電気化学素子正極用スラリーは、本発明の導電材分散液を用いて調製されているため、保存安定性および塗工性に優れる。したがって、そのような正極用スラリーから形成される正極合材層は、その中で導電材が良好に分散しかつ均一な厚みを有し、そして電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることができる。
<正極活物質>
電気化学素子正極用スラリーに配合する正極活物質としては、特に限定されることなく、既知の正極活物質を用いることができる。
例えばリチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質としては、特に限定されることなく、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)、Co−Ni−Mnのリチウム含有複合酸化物、Ni−Mn−Alのリチウム含有複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム含有複合酸化物、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO)、オリビン型リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、Li1+xMn2−x(0<X<2)で表されるリチウム過剰のスピネル化合物、Li[Ni0.17Li0.2Co0.07Mn0.56]O、LiNi0.5Mn1.5等が挙げられる。
また例えばリチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタに用いられる正極活物質としては、特に限定されることなく、炭素の同素体が挙げられる。炭素の同素体の具体例としては、活性炭、ポリアセン、カーボンウィスカ及びグラファイト等が挙げられ、これらの粉末または繊維を使用することができる。
上述した中でも、リチウムイオン二次電池において電池容量などを向上させる観点からは、正極活物質としてリチウム含有コバルト酸化物(LiCoO)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO)、Co−Ni−Mnのリチウム含有複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム含有複合酸化物、Li[Ni0.17Li0.2Co0.07Mn0.56]OまたはLiNi0.5Mn1.5を用いることが好ましい。
なお、正極活物質の粒径は、特に限定されることなく、従来使用されている正極活物質と同様とすることができる。
そして、本発明の電気化学素子正極用スラリーは、導電材100質量部当たり、正極活物質を好ましくは1000質量部以上、より好ましくは2000質量部以上含み、好ましくは10000質量部以下、より好ましくは5000質量部以下含む。上述の範囲内で正極活物質を含むことで、導電材の分散性を向上させつつ正極用スラリーを用いて形成される正極合材層の導電性を優れたものとすることができる。
<その他の成分>
電気化学素子正極用スラリーには、上記成分の他に、例えば、フッ素樹脂Y以外の結着材、粘度調整剤、補強材、酸化防止剤、電解液の分解を抑制する機能を有する電解液添加剤などの成分を混合してもよい。これらの他の成分は、公知のものを使用することができる。また、これらの他の成分は、上述した本発明の電気化学素子用導電材分散液に配合してもよい。
<電気化学素子正極用スラリーの調製方法>
導電材分散液に対して、上述の正極活物質と、任意に、その他の成分および追加のピロリドン系溶媒とを混合して電気化学素子正極用スラリーを得るにあたり、混合方法には特に制限は無く、例えば、ディスパー、ミル、ニーダーなどの一般的な混合装置を用いることができる。例えば、ディスパーを使用する場合には、2000rpm以上5000rpm以下で、5分以上120分以下攪拌することが好ましい。
(電気化学素子用正極)
本発明の電気化学素子用正極は、本発明の電気化学素子正極用スラリーを使用して製造することができる。
そして、本発明の電気化学素子用正極は、集電体と、集電体上に形成された正極合材層とを備え、正極合材層には、少なくとも、正極活物質と、導電材と、重合体Xとが含まれ、任意にフッ素樹脂Yが含まれている。なお、正極合材層中に含まれている正極活物質、導電材および重合体Xは、本発明の電気化学素子用導電材分散液および電気化学素子正極用スラリー中に含まれていたものであり、それら各成分の好適な存在比は、本発明の電気化学素子用導電材分散液および電気化学素子正極用スラリー中の各成分の好適な存在比と同じである。
そして、上述した電気化学素子正極用スラリーから形成される正極合材層は、導電材が良好に分散し内部抵抗の上昇が抑制されているとともに、均一な厚みを有する。従って、そのような正極合材層を備える本発明の電気化学素子用正極を有する電気化学素子は、出力特性などの電気的特性に優れる。
<電気化学素子用正極の製造方法>
本発明の電気化学素子用正極の製造方法は、本発明の電気化学素子正極用スラリーを、集電体の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥して正極合材層を形成する工程を含む。より詳細には、当該製造方法は、電気化学素子正極用スラリーを集電体の少なくとも一方の面に塗布する工程(塗布工程)と、集電体の少なくとも一方の面に塗布された電気化学素子正極用スラリーを乾燥して集電体上に正極合材層を形成する工程(乾燥工程)とを含む。
[塗布工程]
上記電気化学素子正極用スラリーを集電体上に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、電気化学素子正極用スラリーを集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。塗布後乾燥前の集電体上のスラリー膜の厚みは、乾燥して得られる正極合材層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
ここで、電気化学素子正極用スラリーを塗布する集電体としては、電気導電性を有し、かつ、電気化学的に耐久性のある材料が用いられる。具体的には、集電体としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる集電体を用い得る。この際、アルミニウムとアルミニウム合金とを組み合わせて用いてもよく、種類が異なるアルミニウム合金を組み合わせて用いてもよい。アルミニウムおよびアルミニウム合金は耐熱性を有し、電気化学的に安定であるため、優れた集電体材料である。
[乾燥工程]
集電体上の電気化学素子正極用スラリーを乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上の電気化学素子正極用スラリーを乾燥することで、集電体上に正極合材層を形成し、集電体と正極合材層とを備える電気化学素子用正極を得ることができる。
なお、乾燥工程の後、金型プレスまたはロールプレスなどを用い、正極合材層に加圧処理を施してもよい。加圧処理により、正極合材層と集電体との密着性を向上させることができる。
さらに、正極合材層が硬化性の重合体を含む場合は、正極合材層の形成後に前記重合体を硬化させることが好ましい。
(電気化学素子)
本発明の電気化学素子は、特に限定されることなく、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタであり、好ましくはリチウムイオン二次電池である。そして、本発明の電気化学素子は、本発明の電気化学素子用正極を備えることを特徴とする。このような電気化学素子は、出力特性などの電気的特性に優れる。
ここで、以下では、本発明の電気化学素子の一例としてのリチウムイオン二次電池の構成について説明する。このリチウムイオン二次電池は、通常、上記本発明の電気化学素子用正極に加え、負極、電解液、セパレーターを備える。以下、上記各構成について説明する。
<負極>
リチウムイオン二次電池の負極としては、リチウムイオン二次電池用負極として用いられる既知の負極を用いることができる。具体的には、負極としては、例えば、金属リチウムの薄板よりなる負極や、負極合材層を集電体上に形成してなる負極を用いることができる。
なお、集電体としては、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金等の金属材料からなるものを用いることができる。また、負極合材層としては、負極活物質と結着材とを含む層を用いることができる。更に、結着材としては、特に限定されず、任意の既知の材料を用いうる。
<電解液>
電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。支持電解質としては、例えば、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSO)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF、LiClO、CFSOLiが好ましく、LiPFが特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導度が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類を用いることが好ましく、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物を用いることが更に好ましい。
なお、電解液中の電解質の濃度は適宜調整することができ、例えば0.5〜15質量%することが好ましく、2〜13質量%とすることがより好ましく、5〜10質量%とすることが更に好ましい。また、電解液には、既知の添加剤、例えばフルオロエチレンカーボネートやエチルメチルスルホンなどを添加してもよい。
<セパレーター>
セパレーターとしては、特に限定されることなく、例えば特開2012−204303号公報に記載のものを用いることができる。これらの中でも、セパレーター全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、リチウムイオン二次電池内の電極活物質の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
<リチウムイオン二次電池の製造方法>
本発明に従うリチウムイオン二次電池は、例えば、正極と、負極とを、セパレーターを介して重ね合わせ、これを必要に応じて電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより製造することができる。二次電池の内部の圧力上昇、過充放電等の発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
実施例および比較例において、導電材分散液の保存安定性、正極用スラリーの塗工性およびリチウムイオン二次電池の出力特性は、それぞれ以下の方法を使用して評価した。
<導電材分散液の保存安定性>
調製直後の導電材分散液の粘度η1を、B型粘度計(東機産業社製、RB―80L)を用いて、温度25℃、回転速度60rpm、回転時間60秒で測定した。その後、導電材分散液を、25℃環境下で30日間保管後、そのまま上述のη1と同様にして、粘度η2を測定し、粘度変化Δη(%)=(|η1−η2|/η1)×100を求めた。そして下記基準で導電材分散液の保存安定性を評価した。粘度変化Δηが小さいほど、導電材分散液の粘度が安定であり、導電材の分散状態を良好に維持することができることを示す。
A:粘度変化Δηが5%未満である。
B:粘度変化Δηが5%以上10%未満である。
C:粘度変化Δηが10%以上30%未満である。
D:粘度変化Δηが30%以上である。
<正極用スラリーの塗工性>
正極用スラリーを集電体としてのアルミニウム箔上に塗工し、乾燥して得られた正極を切り出して、大きさ0.5mの試験片を10枚準備した。そして、試験片の正極合材層の表面を目視により観察し、ピンホール、ハジキが存在する試験片の枚数をカウントし、以下の指標で塗工性を評価した。ピンホール、ハジキが少ないほど、正極用スラリーの塗工性が優れることを示す。
A:10枚中、全てにピンホールおよびハジキの双方がみられない。
B:10枚中、1〜2枚に、ピンホールおよび/またはハジキがみられる。
C:10枚中、3〜4枚に、ピンホールおよび/またはハジキがみられる。
D:10枚中、5枚以上に、ピンホールおよび/またはハジキがみられる。
<リチウムイオン二次電池の出力特性>
作製したラミネート型リチウムイオン二次電池を、25℃環境下、電流140mAで電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、電圧4.2Vで充電電流が14mAになるまで定電圧充電を行った。続いて、電流140mAで電池電圧が3Vになるまで定電流放電を行い、初期容量とした。
初期容量を測定したラミネート型リチウムイオン二次電池を、25℃環境下、0.2Cで電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、電圧4.2Vで充電電流が0.02Cになるまで定電圧充電を行った。続いて、電流2Cで電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電を行い、2C容量とした。{(2C容量)/(初期容量)}×100(%)の値を出力特性とし、下記基準で評価を行った。この値が高いほど、初期出力特性に優れ、すなわち内部抵抗が小さいことを意味する。
A:出力特性が90%以上である。
B:出力特性が87%以上90%未満である。
C:出力特性が84%以上87%未満である。
D:出力特性が80%以上84%未満である。
E:出力特性が80%未満である。
(実施例1)
<重合体Xの調製>
撹拌機付きのオートクレーブに、イオン交換水240部、乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部、ニトリル基含有単量体としてアクリロニトリル(AN)36部をこの順で入れ、ボトル内を窒素で置換した後、共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン(BD)64部(単量体としてAN,BDのみを含む単量体組成物を構成)を圧入し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.25部を添加して反応温度40℃で重合反応させ、共役ジエン単量体単位およびニトリル基含有単量体単位を含んでなる重合体を得た。重合転化率は85%であった。
得られた重合体に対してイオン交換水を添加して全固形分濃度を12質量%に調整した400ミリリットル(全固形分48グラム)の溶液を、撹拌機付きの1リットルオートクレーブに投入し、窒素ガスを10分間流して溶液中の溶存酸素を除去した後、水素添加反応触媒として、酢酸パラジウム75mgを、パラジウム(Pd)に対して4倍モルの硝酸を添加したイオン交換水180mLに溶解して、添加した。系内を水素ガスで2回置換した後、3MPaまで水素ガスで加圧した状態でオートクレーブの内容物を50℃に加温し、6時間水素添加反応(第一段階の水素添加反応)させた。
次いで、オートクレーブを大気圧にまで戻し、更に水素添加反応触媒として、酢酸パラジウム25mgを、Pdに対して4倍モルの硝酸を添加したイオン交換水60mLに溶解して、添加した。系内を水素ガスで2回置換した後、3MPaまで水素ガスで加圧した状態でオートクレーブの内容物を50℃に加温し、6時間水素添加反応(第二段階の水素添加反応)させた。
その後、内容物を常温に戻し、系内を窒素雰囲気とした後、エバポレータを用いて、固形分濃度が40%となるまで濃縮して重合体Xの水分散液を得た。また、この重合体Xの水分散液100部にNMP320部を加え、減圧下に水を蒸発させて、ニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含み、ヨウ素価が6mg/100mgである重合体XのNMP溶液を得た。
<導電材分散液の製造>
導電材としてのカーボンブラックα(電気化学工業(株)製、HS−100、アセチレンブラック、平均粒子径:48nm、比表面積:39m/g、密度:0.15g/cm)100部と、上述のようにして得た重合体XのNMP溶液を固形分相当量で10部と、適量のNMPとをディスパーにて攪拌(2000rpm、60分)した。その後、固形分濃度が10質量%になるように適量のNMPを入れてディスパーで撹拌(2000rpm、10分)し、さらにフッ素樹脂YとしてのPVDF1(クレハ(株)製 L#1120 12%NMP溶液の粘度:550mPa・s)20部を添加し、ディスパーで撹拌することにより、導電材分散液を製造した。調製直後の導電材分散液の粘度を測定し、またこの導電材分散液の保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
<正極用スラリーおよび正極の製造>
得られた導電材分散液に正極活物質としてのLiCoO2000部を添加し、ディスパーを用いて2500rpmで30分間攪拌撹拌することで正極用スラリーを得た。この正極用スラリーの粘度は1500mPa・sであった。
この正極用スラリーを、コンマコーターで、集電体である厚さ18μmのアルミニウム箔の上に塗布量が20mg/cmとなるように塗布した。その後、正極用スラリーが塗布されたアルミ箔を、雰囲気温度120℃で30分乾燥して、正極原反を得た。得られた正極原反をロールプレス機にて密度が3.8g/cmとなるようにプレスし、正極(正極合材層の厚みが53μm)を得た。この正極を用いて、正極用スラリーの塗工性を評価した。結果を表1に示す。
<負極用スラリーおよび負極の製造>
負極活物質として人造黒鉛(平均粒子径:24.5μm、黒鉛層間距離(X線回折法による(002)面の面間隔(d値):0.354nm)96部と、粘度調整剤としてのカルボキシメチルセルロースの1.5%水溶液(日本製紙社製、「MAC350」)を固形分相で1.0部とをディスパーで混合し、さらにイオン交換水を固形分濃度が45%となるように加え、混合分散した。次に結着材としてのスチレン−ブタジエン共重合体(日本ゼオン(株)製、BM−400B)をさらに固形分相当で3.0部混合して最終固形分濃度が40%の負極用スラリーを得た。
この負極用スラリーを、コンマコーターで、集電体である厚さ18μmの銅箔の上に塗布量が9mg/cmとなるように塗布した。その後、負極用スラリーが塗布された銅箔を、雰囲気温120℃で30分間乾燥して、負極原反を得た。得られた負極原反をロールプレス機にて密度が1.6g/cmとなるようにプレスし、負極(負極合材層の厚みが56μm)を得た。
<セパレーターの用意>
単層のポリプロピレン製セパレーター(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm、乾式法により製造、気孔率55%)を、5cm×5cmの正方形に切り抜いた。
<リチウムイオン二次電池の製造>
電池の外装として、アルミ包材外装を用意した。上記で得られた正極を、4cm×4cmの正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミ包材外装に接するように配置した。正極の正極合材層の面上に、上記で得られた正方形のセパレーターを配置した。さらに、上記で得られた負極を、4.2cm×4.2cmの正方形に切り出し、これをセパレーター上に、負極合材層側の表面がセパレーターに向かい合うように配置した。更に、ビニレンカーボネートを2.0%含有する、濃度1.0MのLiPF溶液を充填した。このLiPF溶液の溶媒はエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC/EMC=3/7(体積比))である。さらに、アルミニウム包材の開口を密封するために、150℃でヒートシールをしてアルミニウム外装を閉口し、ラミネート型のリチウムイオン二次電池を製造した。得られたリチウムイオン二次電池について出力特性を評価した。結果を表1に示す。
(実施例2、3、10)
重合体Xの製造時に、表1の単量体を表1の量で含む単量体組成物を使用し、ヨウ素価が実施例1と同様となるよう水素添加条件を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
導電材分散液の製造時に、重合体Xの配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
重合体Xの製造時に、表1の単量体を表1の量で含む単量体組成物を使用((メタ)アクリル酸エステル単量体としてブチルアクリレート(BA)を使用)し、さらに、導電材分散液の製造時に重合体Xの配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6〜8)
導電材分散液の製造時に、PVDF1(フッ素樹脂Y)の配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
導電材分散液の製造時に、PVDF1に替えてPVDF2(クレハ(株)製 L#1320 12%NMP溶液の粘度:1150mPa・s)を使用した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
ピロリドン系溶媒としてのNMPに替えて、NEPを使用した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
導電材分散液の製造時に、重合体Xの配合量およびフッ素樹脂Yの配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
導電材としてのカーボンブラックαに替えて、カーボンブラックβ(電気化学工業(株)製、デンカブラック、粉状品、平均粒子径:35nm、比表面積:68m/g、密度0.04g/cm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
重合体Xの製造時に、水素添加を行わずNMPに溶媒置換し、共役ジエン単量体単位およびニトリル基含有単量体単位を含む重合体を重合体Xとして使用した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
導電材分散液の製造時に、重合体Xの配合量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、導電材分散液、正極用スラリー、負極用スラリー、正極、負極およびリチウムイオン二次電池を製造した。そして、実施例1と同様にして各種評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016021390
表1より、実施例1〜13および比較例1、2より、実施例1〜13では、保存安定性に優れた導電材分散液が得られ、正極用スラリーの塗工性も良好であり、そして、リチウムイオン二次電池に優れた出力特性を発揮させることができることがわかる。
また、表1の実施例1〜5、10より、重合体Xの組成、配合量を変更することで、導電材分散液の保存安定性、正極用スラリーの塗工性およびリチウムイオン二次電池の出力特性をより向上させ得ることがわかる。
さらに、表1の実施例1、6〜9より、フッ素樹脂Yの配合量、12質量%NMP溶液の粘度を変更することで、正極用スラリーの塗工性およびリチウムイオン二次電池の出力特性をより向上させ得ることがわかる。
加えて、表1の実施例1、11より、ピロリドン系溶媒としてNEPを用いた場合でも、保存安定性に優れた導電材分散液が得られ、正極用スラリーの塗工性を良好とすることができ、そして、リチウムイオン二次電池に優れた出力特性を発揮させることができることがわかる。
そして、表1の実施例1、12より、重合体Xの配合量およびフッ素樹脂Yの配合量を変更することで、正極用スラリーの塗工性およびリチウムイオン二次電池の出力特性をより向上させ得ることがわかる。
また、表1の実施例1、13より、導電材の種類を変更することで、導電材分散液の保存安定性をより向上させ得ることがわかる。
本発明によれば、保存安定性に優れ、電気化学素子電極用スラリーに良好な塗工性を付与しつつ、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子用導電材分散液を提供することができる。
本発明によれば、保存安定性および塗工性に優れ、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子正極用スラリーを提供することができる。
更に、本発明によれば、電気化学素子に優れた出力特性を発揮させることが可能な電気化学素子用正極、および出力特性に優れる電気化学素子を提供することができる。

Claims (6)

  1. 導電材、重合体X、およびピロリドン系溶媒を含む電気化学素子用導電材分散液であって、
    前記重合体Xは、ニトリル基含有単量体単位およびアルキレン構造単位を含み、ヨウ素価が20mg/100mg以下であり、
    前記導電材100質量部当たり、前記重合体Xを2質量部以上30質量部以下含み、
    そして、粘度が800mPa・s以下である、電気化学素子用導電材分散液。
  2. 前記重合体Xが、ニトリル基含有単量体単位を15質量%以上50質量%以下含み、アルキレン構造単位を50質量%以上85質量%以下含む、請求項1に記載の電気化学素子用導電材分散液。
  3. さらにフッ素樹脂Yを含む、請求項1または2に記載の電気化学素子用導電材分散液。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の電気化学素子用導電材分散液および正極活物質を含む、電気化学素子正極用スラリー。
  5. 請求項4に記載の電気化学素子正極用スラリーを用いて調製した正極合材層を、集電体上に備える、電気化学素子用正極。
  6. 請求項5に記載の電気化学素子用正極を備える電気化学素子。
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