JP2016017151A - 硬化物及び硬化物の製造方法 - Google Patents

硬化物及び硬化物の製造方法 Download PDF

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朋子 宍倉
Tomoko Shishikura
朋子 宍倉
理人 大津
Masato Otsu
理人 大津
直人 矢木
Naoto Yagi
直人 矢木
孝之 兼松
Takayuki Kanematsu
孝之 兼松
恵子 永井
Keiko Nagai
恵子 永井
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Abstract

【課題】 熱伝導性に優れ、スループット性に優れかつ脆化しにくい活性エネルギー線で硬化可能な硬化物、及び該硬化物の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】 樹脂αと樹脂βと熱伝導性フィラーとを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物であって、樹脂αは、ポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが結合された複合樹脂(A)であって、樹脂βは重合性二重結合を有する基を有し水酸基価が0−100mgKOH/gである樹脂であって、樹脂αと樹脂βとが相分離し、かつ電界放出形透過電子顕微鏡を用いたEDS組成分析において樹脂αにおける単位面積当たりのフィラー存在比が樹脂βに対して10倍以上であることを特徴とする硬化物を提供することで上記課題を解決する。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱伝導性に優れた硬化物とそれを含有する熱伝導性材料、及び該硬化物の製造方法に関する。
LEDやパワー半導体デバイスといった、電子部材分野において、モジュールの小型化・集積化に伴い、発生する熱を如何に放熱するかが重要になってきている。特に、ブラスチック部品に対して高い熱伝導性を付与できると、モジュールの熱伝導性が改善する。そこで、樹脂中に熱伝導性フィラーを配合し、得られる硬化物の熱伝導率を向上させる試みがなされている。しかし、熱伝導性を向上させるためには、樹脂中に熱伝導性フィラーを大量に配合する必要があった。しかし、フィラーを大量に配合することで硬化性が低下するうえ、樹脂とフィラーの界面面積が増大する為に、得られる硬化物の強度が低くなるという課題があった。
そこで、少ないフィラー量でも高い熱伝導性を発揮させる方法として、特許文献1−4において、二種類の樹脂を用いて海島構造を形成した上で熱伝導性フィラーを偏在させ、硬化物の上面と下面が熱伝導相によって連続している熱伝導パス構造を形成させる発明が開示されている。このような技術は、少ないフィラーで高い熱伝導性を発揮できるが、これら文献で開示されているのは熱硬化性樹脂であるため、電子部材の製造においてはスループット性が悪い上、過大な熱履歴を与えると電子部材自体に悪影響を及ぼす可能性が有ることが課題であった。
また、特許文献5においては、光硬化性樹脂と熱硬化性樹脂の混合相が微細相分離構造を形成して絶縁性フィラーが偏在して存在する絶縁感光性組成物が開示されているが、スループット性が悪い上、熱伝導性が発揮されるかどうかは不明であった。
また、熱可塑性樹脂と光硬化性樹脂は微細相分離構造を形成しているのみで樹脂同士の間に化学的な結合関係はなく、かつ樹脂に分散させたフィラーと樹脂の間も化学結合していないので、それぞれの界面が弱く脆化しやすいという欠点があった。
特開平9−59511号公報 特開2005−248076号公報 特開2002−194339号公報 特開2013−159735号公報 特開2002−258476号公報
本発明は、前記従来の熱伝導性樹脂の有する問題点を解消し、スループット性に優れかつ脆化しにくい活性エネルギー線で硬化可能な硬化物、及び該硬化物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリシロキサンセグメント(a1)とビニル系重合体セグメント(a2)とを有する複合樹脂である樹脂αと、それに相溶しない樹脂βと、フィラーとを有し、樹脂αと樹脂βとが相分離し、樹脂α中に存在するフィラーの、樹脂β中に存在するフィラーとの単位面積当たりの存在比が、10倍以上であることを特徴とする、硬化物、及び該硬化物の製造方法を提供することで、上記課題を解決する。
すなわち本発明は、樹脂αと樹脂βと熱伝導性フィラーとを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物であって、
樹脂αは、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが、一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)であって、
樹脂βは重合性二重結合を有する基を有し水酸基価が0−100mgKOH/gである樹脂であって、
樹脂αと樹脂βとが相分離し、かつ電界放出形透過電子顕微鏡を用いたEDS組成分析において樹脂αにおける単位面積当たりのフィラー存在比が樹脂βに対して10倍以上であることを特徴とする硬化物を提供するものである。
(1)
(2)
(一般式(1)及び(2)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、−R4−CH=CH2、−R4−C(CH3)=CH2、−R4−O−CO−C(CH3)=CH2、及び−R4−O−CO−CH=CH2からなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但しR4は単結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す)、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子が3〜8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子が7〜12のアラルキル基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは前記重合性二重結合を有する基である)

(3)
(一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする)
また、本発明は、前記複合樹脂(A)中のポリシロキサンセグメント(a1)の含有率が全固形分量に対して10〜90重量%であり、ビニル系重合体セグメント(a2)がビニル系単量体の重合体であって、該ビニル系単量体のうち10〜50モル%が極性基を含有するビニル系単量体である硬化物を提供するものである。
また、本発明は、上記硬化物において、相分離構造は海島構造、棒状構造、相互連結構造のうちのいずれかであることを特徴とし、樹脂α層のHeywood径が、1μm以下である硬化物を提供するものである。
また本発明は、上記硬化物を含有する熱伝導性材料を提供するものである。
また、本発明は、樹脂αと樹脂βとフィラーとを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物において、
樹脂αは、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが、一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)であって、樹脂βは重合性二重結合を有する基を有し水酸基価が0−100mgKOH/gである樹脂であって、樹脂αにフィラーを分散後、樹脂βを混合し樹脂αと樹脂βとが相分離した状態で硬化反応を行うことを特徴とする硬化物の製造方法を提供するものである。
本発明の硬化物は、樹脂αの有するポリシロキサンセグメント(a1)により、フィラーが樹脂αと水素結合または共有結合を形成することにより安定に偏在するうえ、樹脂αの有するビニル系重合体セグメント(a2)により、樹脂βとの界面に剥離が起きにくいため、フィラーが偏在したミクロ相分離構造が安定して形成可能であり、なおかつ硬化物の安定性に優れる。
実施例1で得られた硬化塗膜1の顕微鏡写真(×10,000倍)である 比較例1で得られた比較硬化塗膜1の顕微鏡写真(×10,000倍)である。
本発明の硬化物は、樹脂αと樹脂βとフィラーとを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物であって、樹脂αと樹脂βとが相分離し、フィラーが樹脂αに偏在することを特徴とする。
<樹脂α>
本発明の樹脂αとは、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)(以下単にポリシロキサンセグメント(a1)と称す)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが、前記一般式(4)で表される結合により結合された複合樹脂(A)であることを特徴とする。
〔複合樹脂(A) ポリシロキサンセグメント(a1)〕
本発明における複合樹脂(A)は、ポリシロキサンセグメント(a1)を有する。ポリシロキサンセグメント(a1)は、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するシラン化合物を縮合して得られるセグメントであって、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有する。
該ポリシロキサンセグメント(a1)の含有率が複合樹脂(A)の全固形分量に対して10−90重量%であることで、後述のフィラーと親和性が向上するため好ましい。
(一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位)
具体的には、本発明のポリシロキサンセグメントは、下記一般式(1)及び(2)で表される構造単位とシラノール基および/または加水分解性シリル基とを有する。
(1)
(2)
上記一般式(1)及び(2)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、−R4−CH=CH2、−R4−C(CH3)=CH2、−R4−O−CO−C(CH3)=CH2、及び−R4−O−CO−CH=CH2からなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但しR4は単結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す)、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子が3〜8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子が7〜12のアラルキル基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは前記重合性二重結合を有する基を表す。
前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位は、ケイ素の結合手のうち2または3つが架橋に関与した、三次元網目状のポリシロキサン構造単位である。三次元網目構造を形成しながらも密な網目構造を形成しないので、ゲル化等を生じることもなく保存安定性も良好となる。
前記一般式(1)及び(2)におけるR1、R2及びR3において、R4における前記炭素原子数が1〜6のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、イソヘシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、1,2−ジメチルブチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、1−エチルブチレン基、1,1,2−トリメチルプロピレン基、1,2,2−トリメチルプロピレン基、1−エチル−2−メチルプロピレン基、1−エチル−1−メチルプロピレン基等が挙げられる。中でもR4は、原料の入手の容易さから単結合または炭素原子数が2〜4のアルキレン基が好ましい。
また、前記炭素原子数が1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。
また、前記炭素原子数が3〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また、前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
また、前記炭素原子数が7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
また、前記R1、R2及びR3の少なくとも1つが前記重合性二重結合を有する基であると、活性エネルギー線等により硬化させることができ、即時硬化する為、スループット性に優れる。また、活性エネルギー線による重合性二重結合と、並びに、シラノール基及び/又は加水分解性シリル基の縮合反応の2つの硬化機構により、得られる硬化物の架橋密度が高くなり、脆化しにくい硬化物を形成できる。
前記重合性二重結合を有する基は、ポリシロキサンセグメント(a1)中に2つ以上存在することが好ましく、3〜200個存在することがより好ましく、3〜50個存在することが更に好ましく、より脆化しにくい成形物を得ることができる。尚、ここでいう重合性二重結合とは、ビニル基、ビニリデン基もしくはビニレン基のうち、フリーラジカルによる生長反応を行うことができる基の総称である。また、重合性二重結合の含有率とは、当該ビニル基、ビニリデン基もしくはビニレン基のポリシロキサンセグメント中における重量%を示すものである。
重合性二重結合を有する基としては、当該ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基を含有してなる公知の全ての官能基を使用することができるが、中でも−R4−C(CH3)=CH2や−R4−O−CO−C(CH3)=CH2で表される(メタ)アクリロイル基は、紫外線硬化の際の反応性に富むことや、後述のビニル系重合体セグメント(a2)との相溶性が良好となる。
(シラノール基および/または加水分解性シリル基)
本発明においてシラノール基とは、珪素原子に直接結合した水酸基を有する珪素含有基である。該シラノール基は具体的には、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位の、結合手を有する酸素原子が水素原子と結合して生じたシラノール基であることが好ましい。
また本発明において加水分解性シリル基とは、珪素原子に直接結合した加水分解性基を有する珪素含有基であり、具体的には、例えば、一般式(6)で表される基が挙げられる。
(6)
(一般式(6)中、R5はアルキル基、アリール基又はアラルキル基等の1価の有機基を、R6はハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、アリールオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基及びアルケニルオキシ基からなる群から選ばれる加水分解性基である。またbは0〜2の整数である。)
前記R5において、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基等が挙げられる。
またアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビニルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
またアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
前記R6において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基等が挙げられる。
またアシロキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ピバロイルオキシ、ペンタノイルオキシ、フェニルアセトキシ、アセトアセトキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等が挙げられる。
またアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−ペテニルオキシ基、3−メチル−3−ブテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基等が挙げられる。
前記R6で表される加水分解性基が加水分解されることにより、一般式(6)で表される加水分解性シリル基はシラノール基となる。加水分解性に優れることから、中でも、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
また前記加水分解性シリル基は具体的には、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位の、結合手を有する酸素原子が前記加水分解性基と結合もしくは置換されている加水分解性シリル基であることが好ましい。
前記シラノール基や前記加水分解性シリル基は、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行するので、ポリシロキサン構造の架橋密度が高まり、脆化しにくい硬化物を形成することができる。
また、前記シラノール基や前記加水分解性シリル基を含むポリシロキサンセグメント(a1)と後述のビニル系重合体セグメント(a2)とを、前記一般式(3)で表される結合を介して結合させる際に使用する。
(その他の基)
ポリシロキサンセグメント(a1)は、前記一般式(1)および/または前記一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有する以外は特に限定はなく、他の基を含んでいてもよい。例えば、
前記一般式(1)におけるR1が前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるR1がメチル等のアルキル基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるR1が前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(1)におけるR1がメチル基等のアルキル基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR2及びR3がメチル基等のアルキル基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、
前記一般式(1)におけるR1が前記重合性二重結合を有する基である構造単位と、前記一般式(2)におけるR2及びR3がメチル基等のアルキル基である構造単位とが共存したポリシロキサンセグメント(a1)であってもよいし、特に限定はない。
〔複合樹脂(A) ビニル系重合体セグメント(a2)〕
本発明におけるビニル系重合体セグメント(a2)とは、ビニル基または(メタ)アクリル基含有モノマーを重合して得られる重合体セグメントであって、ビニル重合体セグメント、アクリル重合体セグメント、ビニル/アクリル共重合体セグメント等が挙げられ、これらは用途により適宜選択することが好ましい。本発明の硬化物は、ビニル系重合体セグメント(a2)を有するため、ミクロ相分離構造を形成していても造膜性に優れる。
例えば、アクリル重合体セグメントは、汎用の(メタ)アクリルモノマーを重合または共重合させて得られる。(メタ)アクリルモノマーとしては特に限定はなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素原子数が1〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸エチル等のクロトン酸のアルキルエステル類;ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジメチルイタコネート等の不飽和二塩基酸のジアルキルエステル類等が挙げられる。
例えば、ビニル重合体セグメントとしては具体的には芳香族ビニル重合体セグメント、ポリオレフィン重合体、フルオロオレフィン重合体等が挙げられ、それらの共重合体でも構わない。これらビニル重合体を得るためには、ビニル基含有モノマーを重合すればよく、具体的にはエチレン、プロピレン、1,3−ブタジエン、シクロペンチルエチレン、等のα−オレフィン類;スチレン、1−エチニル−4−メチルベンゼン、ジビニルベンゼン、1−エチニル−4−メチルエチルベンゼン、ベンゾニトリル、アクリロニトリル、p−tert−ブチルスチレン、4−ビニルビフェニル、4−エチニルベンジルアルコール、2−エチニルナフタレン、フェナントレン−9−エチニル、等の芳香環を有するビニル化合物;フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン類等、が好適に使用できる。更に好ましくは、芳香環を有するビニル化合物である、スチレン、p−tert−ブチルスチレンである。
また、(メタ)アクリルモノマーとビニル基含有モノマーを共重合させて得られるビニル/アクリル共重合体セグメントであってもかまわない。
また、本発明の樹脂αにおいて、複合樹脂(A)中のビニル系重合体セグメント(a2)がビニル系単量体の重合体であって、該ビニル系単量体のうち10〜50モル%が極性基を含有するビニル系単量体であることが好ましい。この時、複合樹脂(A)の親水性が高まるため、樹脂αと特定の水酸基価を有する樹脂βが相分離しやすくなる。
ここで言う極性基とは、極性を有する基であって、具体的には水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。
極性を有する基を含有するビニル系単量体としては、例えば水酸基含有ビニル系単量体、アミノ基含有ビニル系単量体、カルボキシル基含有ビニル系単量体等が挙げられる。具体的には、水酸基含有ビニル系単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチルモノブチルフマレート、ポリエチレングルコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、「プラクセルFMもしくはプラクセルFA」〔ダイセル化学(株)製のカプロラクトン付加モノマー〕等の各種α、β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、またはこれらとε−カプロラクトンとの付加物、フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート、コハク酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、各種エポキシエステルの(メタ)アクリル酸付加物、等が挙げられ、アミノ基含有ビニル系単量体としては、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート, 2−ジエチルアミノエチル(メタ)クリレート,N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアクリルアミドなどが挙げられ、なかでも、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等が挙げられ、カルボキシル基含有ビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、等が挙げられる。
前記モノマーを共重合させる際の重合方法、溶剤、あるいは重合開始剤にも特に限定はなく、公知の方法によりビニル系重合体セグメント(a2)を得ることができる。例えば、塊状ラジカル重合法、溶液ラジカル重合法、非水分散ラジカル重合法等の種々の重合法により、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の重合開始剤を使用してビニル系重合体セグメント(a2)を得ることができる。
前記ビニル系重合体セグメント(a2)の数平均分子量としては、数平均分子量(以下Mnと略す)に換算して500〜200,000の範囲であることが好ましく、前記複合樹脂(A)を製造する際の増粘やゲル化を防止でき、且つ耐久性に優れる。Mnは中でも700〜100,000の範囲がより好ましく、1,000〜50,000の範囲がさらに好ましい。
また前記ビニル系重合体セグメント(a2)は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)と一般式(4)で表される結合により結合された複合樹脂(A)とするために、ビニル系重合体セグメント(a2)中に、炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を有する。これらのシラノール基および/または加水分解性シリル基は、複合樹脂(A)中において一般式(4)で表される結合となってしまうために、最終生成物である複合樹脂(A)中のビニル系重合体セグメント(a2)には殆ど存在しない。しかしながらビニル系重合体セグメント(a2)にシラノール基および/または加水分解性シリル基が残存していても何ら問題はなく、本複合樹脂(A)を含有する樹脂組成物を硬化させる際、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行するので、得られる硬化物のポリシロキサン構造の架橋密度が高まり、脆化しにくい硬化物を形成することができる。
炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基をビニル系重合体セグメント(a2)に導入するには、具体的には、ビニル系重合体セグメント(a2)を重合する際に、ビニル基重合モノマー及び(メタ)アクリルモノマーに対し、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーを併用すればよい。
炭素原子に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。中でも、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することができることからビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明のビニル系重合体セグメント(a2)は、各種官能基を有していてもよい。例えば重合性二重結合を有する基、エポキシ基等であり、導入するには該当する官能基を有するビニル系モノマーを重合時に配合すればよい。
エポキシ基を有するビニル系モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシジルビニルエーテル、メチルグリシジルビニルエーテルもしくはアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
[複合樹脂(A)の合成方法]
本発明で用いる複合樹脂(A)は、具体的には下記(方法1)〜(方法3)に示す方法で製造する。
(方法1)前記水酸基を有する(メタ)アクリルモノマー、前記汎用の(メタ)アクリルモノマー等、及び、前記炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系モノマーとを共重合させて炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。これに、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物、必要に応じて汎用のシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応させる。
該方法においては、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物のシラノール基あるいは加水分解性シリル基と、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とが加水分解縮合反応し、前記ポリシロキサンセグメント(a1)が形成されると共に、前記ポリシロキサンセグメント(a1)と、極性基を有するビニル系重合体セグメント(a2)とが前記一般式(3)で表される結合により複合化された複合樹脂(A)が得られる。
(方法2)方法1と同様にして、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。
一方、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物、必要に応じて汎用のシラン化合物を加水分解縮合反応させ、ポリシロキサンセグメント(a1)を得る。そして、ビニル系重合体セグメント(a2)が有するシラノール基および/または加水分解性シリル基と、とポリシロキサンセグメント(a1)とが有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とを加水分解縮合反応をさせる。
(方法3)方法1と同様に、炭素結合に直接結合したシラノール基および/または加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体セグメント(a2)を得る。一方、方法2と同様にして、ポリシロキサンセグメント(a1)を得る。更に、重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物と、必要に応じて汎用のシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応させる。
前記(方法1)〜(方法3)で使用する、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物としては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、2−トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン等が挙げられる。中でも、加水分解反応を容易に進行でき、また反応後の副生成物を容易に除去することができることからビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、前記(方法1)〜(方法3)で使用する、汎用のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、iso−ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等の各種のオルガノトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシランもしくはメチルフェニルジメトキシシラン等の、各種のジオルガノジアルコキシシラン類;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシランもしくはジフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類が挙げられる。中でも、加水分解反応が容易に進行し、また反応後の副生成物を容易に除去することが可能なオルガノトリアルコキシシランやジオルガノジアルコキシシランが好ましい。また、エポキシ基含有シラン化合物を使用することもできる。
また、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランもしくはテトラn−プロポキシシランなどの4官能アルコキシシラン化合物や該4官能アルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。前記4官能アルコキシシラン化合物又はその部分加水分解縮合物を併用する場合には、前記ポリシロキサンセグメント(a1)を構成する全珪素原子に対して、該4官能アルコキシシラン化合物の有する珪素原子が、20モル%を超えない範囲となるように併用することが好ましい。
また、前記シラン化合物には、ホウ素、チタン、ジルコニウムあるいはアルミニウムなどの珪素原子以外の金属アルコキシド化合物を、本発明の効果を損なわない範囲で併用することもできる。例えば、ポリシロキサンセグメント(a1)を構成する全珪素原子に対して、上述の金属アルコキシド化合物の有する金属原子が、25モル%を超えない範囲で、併用することが好ましい。
前記(方法1)〜(方法3)における加水分解縮合反応は、前記加水分解性基の一部が水などの影響で加水分解され水酸基を形成し、次いで該水酸基同士、あるいは該水酸基と加水分解性基との間で進行する進行する縮合反応をいう。該加水分解縮合反応は、公知の方法で反応を進行させることができるが、前記製造工程で水と触媒とを供給することで反応を進行させる方法が簡便で好ましい。
使用する触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール等の各種の塩基性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の各種の4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫又はステアリン酸錫など錫カルボン酸塩等が挙げられる。触媒は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
前記触媒の添加量に特に限定はないが、一般的には前記シラノール基または加水分解性シリル基を有する各々の化合物全量に対して、0.0001〜10重量%の範囲で使用することが好ましく、0.0005〜3重量%の範囲で使用することがより好ましく、0.001〜1重量%の範囲で使用することが特に好ましい。
また、供給する水の量は、前記シラノール基または加水分解性シリル基を有する各々の化合物が有するシラノール基または加水分解性シリル基1モルに対して0.05モル以上が好ましく、0.1モル以上がより好ましく、特に好ましくは、0.5モル以上である。
これらの触媒及び水は、一括供給でも逐次供給であってもよく、触媒と水とを予め混合したものを供給しても良い。
前記(方法1)〜(方法3)における加水分解縮合反応を行う際の反応温度は、0℃〜150℃の範囲が適切であり、好ましくは、20℃〜100℃の範囲内である。また、反応の圧力としては、常圧、加圧下又は減圧下の、いずれの条件においても行うことができる。また、前記加水分解縮合反応において生成しうる副生成物であるアルコールや水は、必要に応じ蒸留などの方法により除去してもよい。
前記(方法1)〜(方法3)における各々の化合物の仕込み比率は、所望とする本発明で使用する複合樹脂(A)の構造により適宜選択される。中でも、得られる塗膜の耐久性が優れることから、ポリシロキサンゼグメント(a1)の含有率が30〜90重量%となるよう複合樹脂(A)を得るのが好ましく、30〜75重量%が更に好ましい。
前記(方法1)〜(方法3)において、ポリシロキサンセグメントとビニル系重合体セグメントをブロック状に複合化する具体的な方法としては、ポリマー鎖の片末端あるいは両末端のみに前記したシラノール基および/または加水分解性シリル基を有するような構造のビニル系重合体セグメントを中間体として使用し、例えば、(方法1)であれば、当該ビニル系重合体セグメントに、シラノール基および/または加水分解性シリル基並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物、必要に応じて汎用のシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応させる方法が挙げられる。
一方、前記(方法1)〜(方法3)において、ビニル系重合体セグメントに対してポリシロキサンセグメントをグラフト状に複合化させる具体的な方法としては、ビニル系重合体セグメントの主鎖に対し、前記したシラノール基および/または加水分解性シリル基をランダムに分布させた構造を有するビニル系重合体セグメントを中間体として使用し、例えば、(方法2)であれば、当該ビニル系重合体セグメントが有するシラノール基および/または加水分解性シリル基と、前記したポリシロキサンセグメントが有するシラノール基および/または加水分解性シリル基とを加水分解縮合反応をさせる方法を挙げることができる。
(重合開始剤)
本発明における活性エネルギー線硬化性樹脂は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、特に光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては公知のものを使用すればよく、例えば、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、ベンゾフェノン類からなる群から選ばれる一種以上を好ましく用いることができる。前記アセトフェノン類としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等が挙げられる。前記ベンジルケタール類としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。前記ベンゾイン類等としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。光重合開始剤は単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
市販の光重合開始剤としては、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア819、イルガキュア907、イルガキュア1870、イルガキュア500、イルガキュア369、イルガキュア1173、イルガキュア2959、イルガキュア4265、イルガキュア4263、ダロキュアTPO、イルガキュアOXE01等(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。
前記光重合開始剤の使用量は、前記複合樹脂(A)100重量%に対して、1〜15重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
また、前記光重合開始剤と組合せて増感色素を併用することにより、感光性を大幅に向上させることができる。増感色素の具体例としては、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系などの色素類が挙げられる。
また、前記複合樹脂(A)にビニルエーテル基やエポキシ基などの光カチオン重合性基を有する場合は、光カチオン開始剤を併用することができる。光カチオン開始剤としては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩等が挙げられ、これらはカチオン部分がそれぞれ芳香族ジアゾニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族スルホニウムであり、アニオン部分がBF4−、PF6−、SbF6−、[BY4]−(ただし、Yは少なくとも2つ以上のフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)等により構成されたオニウム塩であるが好ましくは、安定性の観点よりリン系化合物であるカチオン重合開始剤である。具体的には四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩、アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体、フェニルチオピリジウム塩、六フッ化リンアレン−鉄錯体等を挙げることができる。
[樹脂β]
本発明の樹脂βは樹脂αに相溶しない樹脂である。樹脂βは特定の疎水度を有する樹脂であり、具体的には重合性二重結合を有する基を有する樹脂であって、樹脂βの有する水酸基価が0〜100mgKOH/gである樹脂である。樹脂βは重合性二重結合を有する基を有するので、本発明の樹脂組成物は活性エネルギー線によって好適に硬化が可能である。また、特定の疎水度を有する為、樹脂αと相溶せず、混合した際に相分離する。
使用する樹脂βとしては、上記要件に合致していれば特に限定はなく、公知のものを使用することができ、モノマーであってもオリゴマーであってもポリマーであってもかまわない。樹脂βとして、好ましくは、上記特定の疎水度を有する、多官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレートが好ましい。
特定の疎水度を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、例えばフェノールEO変性アクリレート、O−フェニルフェノールEO変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート等が挙げられる。
また、特定の疎水度を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジグリセリンEO変性アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ウレタンアクリレート類等が挙げられる。例えば、ウレタンアクリレート類としては、具体的にユニディックV−4000BA(DIC株式会社製等)が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
[熱伝導性フィラー]
本発明の熱伝導性フィラーは、公知慣用のものを使用すればよい。
本発明のフィラーとしては、有機フィラーであっても無機フィラーであってもよいが、樹脂αが有するポリシロキサンセグメント(a1)との親和性を高めるには無機フィラーが好ましく、特に表面に極性基を持つ金属酸化物が好ましい。
フィラーは、一種類でも複数種を組み合わせて用いてもかまわない。
熱伝導性フィラーとしては、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、等の酸化物粒子、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物粒子、炭化ケイ素等の炭化物粒子、銅、アルミニウム等の金属粒子、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
本発明の熱伝導性フィラーとしては、平均粒径が0.01μm〜10μm程度であることが、硬化物中でフィラーを偏在させるためには好ましい。10μm以上であると、一時偏在しても、短時間で自重により下方に沈みやすく、所望の相分離状態で硬化させることが難しい。フィラーの形状、アスペクト比については特に限定は無く、アスペクト比が低いフィラーと高いフィラーを組み合わせて用いてもかまわない。
[配合]
本発明の樹脂組成物は、樹脂α、樹脂β、熱伝導性フィラーを含有する。
本発明の樹脂組成物において、樹脂αと樹脂βとの重量配合比は、20:80〜80〜20であると、熱伝導性と成形体の強度の両立が可能なため好ましく、より好ましくは25:75〜75:25である。
また、フィラーの配合量としては、樹脂αとフィラーの体積比が10:1〜1:1であると熱伝導性と樹脂α層の十分な強度が保たれるため好ましく、より好ましくは5:1〜1:1である。
[その他配合物]
本発明の硬化物は、樹脂αと樹脂βと熱伝導性フィラーとを混合した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を作成し、該樹脂組成物を硬化することで得ることができる。本発明の樹脂組成物は、樹脂α、樹脂β、熱伝導性フィラーの他の配合物を有していてもかまわない。
例えば、樹脂組成物の固形分量や粘度を調製する目的として、分散媒を使用してもよい。分散媒としては、本発明の効果を損ねることのない液状媒体であればよく、各種水性溶媒、有機溶剤、液状有機ポリマー等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、カルビトール、セロソルブ、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ノルマルプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独又は併用して使用可能であるが、中でもメチルエチルケトンが塗工時の揮発性や溶媒回収の面から好ましい。
前記液状有機ポリマーとは、硬化反応に直接寄与しない液状有機ポリマーであり、例えば、カルボキシル基含有ポリマー変性物(フローレンG−900、NC−500:共栄社)、アクリルポリマー(フローレンWK−20:共栄社)、特殊変性燐酸エステルのアミン塩(HIPLAAD ED−251:楠本化成)、変性アクリル系ブロック共重合物(DISPERBYK2000;ビックケミー)などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、発明の効果を損ねない範囲において、その他の添加剤を用いてもよく、触媒、重合開始剤、有機フィラー、無機フィラー、有機溶剤、無機顔料、有機顔料、体質顔料、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調製剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤等を用いてもかまわない。
[硬化および相分離]
(硬化工程)
本発明に係る硬化物は、特に限定はされないが、例えば上述した材料を混合したものを基材に塗布し塗膜面に剥離用フィルムを載せ、樹脂αと樹脂βが相分離をした状態で、活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。塗布した後、活性エネルギー線硬化させるまでの時間を変えることにより相分離状態をコントロールすることができる。樹脂組成物が溶媒を含有する場合には、塗膜形成後に乾燥させ相分離させればよい。
剥離用フィルムが活性エネルギー線を透過する材質の場合は剥離用フィルム側から活性エネルギー線を照射する方法や、基材が活性エネルギー線を透過する材質の場合は基材側から活性エネルギー線を照射する方法が挙げられる。照射に用いる活性エネルギー線としては、光重合開始剤が反応する活性エネルギー線であればよく、中でも、光重合開始剤が容易に反応し、より低温で硬化させることができる面から、450nm以下の波長の光(紫外線、X線、γ線等の活性エネルギー線)が好ましい。操作性の面から200から450nmの波長の光が特に好ましい。
(相分離)
本発明の相分離構造とは、具体的には海島構造、棒状構造、相互連結構造が挙げられる。このとき、相分離した各樹脂α層がHeywood径で1μm以下であることが好ましい。1μm以下であれば、硬化物の強度が高まるため、好ましい。
ここで言うHeywood径とは、顕微鏡の画像上で不定形物の大きさを測定し粒度分布に変換する方法であり、投影面積円相当径ともいう。
Heywood径は、顕微鏡観察下で測定を行うが、この時の解像度は5000倍〜25000倍程度が好ましい。50000倍以上の解像度であると、フィラーの一次粒子径を測定することとなってしまう為、好ましくない。
相分離の状態は、透過電子顕微鏡等で観察することができる。どちらが樹脂α相か判別したい場合には、電界放出形透過電子顕微鏡を用いたEDS組成分析において、Si原子の存在を確認すればよく、樹脂α相と樹脂β相ではSi存在比が2倍以上となるため、判別が可能である。
(硬化物)
本発明の硬化性樹脂組成物は、樹脂αがポリシロキサンセグメント(a1)を有するため、樹脂βとくらべて熱伝導性フィラーが樹脂α相に偏在しやすい。そのため、少量のフィラーの添加でも熱伝導パスが形成され、硬化物の物性を低下させることなく熱伝導性を向上させることができる。また、樹脂αに存在するポリシロキサンセグメント(a1)と、フィラーが水素結合または共有結合を形成することによりフィラーが安定に偏在するうえ、樹脂に存在するポリシロキサンセグメント(a1)及びビニル系重合体セグメント(a2)と、樹脂βの反応性基とが反応することにより、樹脂同士の界面に剥離が起きにくいため、フィラーが偏在した脆化しにくいミクロ相分離構造が形成できる。
(フィラーの偏在)
本硬化物は、樹脂αと樹脂βが相分離した際、樹脂αに熱伝導性フィラーが偏在することを特徴とする。この時、フィラーの偏在は、電界放出形透過電子顕微鏡(STEM)を用いたEDS組成分析で測定することが可能である。電界放出型透過電子顕微鏡(STEM)を用いたエネルギー分散型X線分光(EDS)組成分析とは、微小電子プローブで電子線を細く絞り、試料上を走査しながら、試料の各点から発生する特性X線をEDS検出器に取り込むことにより、試料の組成分布の情報を得る分析方法である。
この時、樹脂αにおける単位面積当たりのフィラー存在比が樹脂βに対して10倍以上であることが好ましく、特に好ましくは15倍以上である。
(熱伝導性材料)
本発明の硬化物は、熱伝導性に優れ脆化しにくいため、熱伝導性材料として好適に使用可能である。熱伝導性材料として用いる場合、形状に特に限定は無く、シート状であっても板状であってもよく、三次元構造を有していてもよい。また、塗膜として基材に塗布してもよく、塗膜が三次元構造を有していてもよい。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は重量規準である。
(合成例1〔ポリシロキサン(a1)の調製例〕)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(MTMS) 415部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)756部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、60℃まで昇温した。次いで、「Phoslex A−4」〔堺化学(株)製のノルマルブチルアシッドホスフェート〕(A−4)0.1部と脱イオン水 121部からなる混合物を5分間で滴下した。滴下終了後、反応容器中を80℃まで昇温し、4時間攪拌することにより加水分解縮合反応を行い、反応生成物を得た。
得られた反応生成物中に含まれるメタノールおよび水を、1〜30キロパスカル(kPa)の減圧下、40〜60℃の条件で除去することにより、数平均分子量が1000で、有効成分が75.0%であるポリシロキサン(a1)1000部を得た。
尚、「有効成分」とは、使用したシランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)を、加水分解縮合反応後の実収量(重量部)で除した値、即ち、〔シランモノマーのメトキシ基が全て加水分解縮合反応した場合の理論収量(重量部)/加水分解縮合反応後の実収量(重量部)〕の式により算出したものである。
(合成例2〔複合樹脂(A−1)の調製例〕)
合成例1と同様の反応容器に、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)20.1部、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS) 24.4部、メチルイソブチルケトン(MIBK)107.7部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、メチルメタクリレート(MMA) 15部、n−ブチルメタクリレート(BMA)43.5部、2−エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)39部、アクリル酸(AA)1.5部、ブチルアクリレート(BA)1.5部、MPTS 4.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)45部、メチルイソブチルケトン(MIBK)15部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH)6部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「A−4」 0.07部と脱イオン水 12.8部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で5時間攪拌することにより、PTMS、DMDMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。反応生成物を、1H−NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前期反応生成物に、合成例1で得られたポリシロキサン(a1) 162.5部を添加して、5分間撹拌したのち、脱イオン水 27.5部を加え、80℃で4時間撹拌を行い、前期反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を、1〜30kPaの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、MIBK177.3部を添加し、ポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなり、ポリシロキサンセグメント(a1)の含有量が50.0重量%である複合樹脂(Α−1)溶液 600部(固形分50.0%)を得た。
(合成例3〔複合樹脂(A−2)の調製例〕)
合成例1と同様の反応容器に、PTMS 20.1部、DMDMS 24.4部、MIBK107.7部を仕込んで、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、95℃まで昇温した。次いで、MMA15部、BMA60部、EHMA45部、AA 1.5部、BA 3部、MPTS 7.5部、HEMA18部、MIBK15部、TBPEH 6部を含有する混合物を、同温度で、窒素ガスの通気下、攪拌しながら、前記反応容器中へ4時間で滴下した。さらに同温度で2時間撹拌したのち、前記反応容器中に、「A−4」 0.07部と脱イオン水 12.8部の混合物を、5分間をかけて滴下し、同温度で5時間攪拌することにより、PTMS、DMDMS、MPTSの加水分解縮合反応を進行させた。反応生成物を、1H−NMRで分析したところ、前記反応容器中のシランモノマーが有するトリメトキシシリル基のほぼ100%が加水分解していた。次いで、同温度にて10時間攪拌することにより、TBPEHの残存量が0.1%以下の反応生成物が得られた。尚、TBPEHの残存量は、ヨウ素滴定法により測定した。
次いで、前期反応生成物に、合成例1で得られたポリシロキサン(a1)162.5部を添加して、5分間撹拌したのち、脱イオン水 27.5部を加え、80℃で4時間撹拌を行い、前期反応生成物とポリシロキサンとの加水分解縮合反応を行った。得られた反応生成物を、1〜30kPaの減圧下で、40〜60℃の条件で2時間蒸留することにより、生成したメタノール及び水を除去し、次いで、MIBK 177.3部を添加し、ポリシロキサンセグメントとビニル重合体セグメントからなり、ポリシロキサンセグメント(a1)の含有量が50.0重量%である複合樹脂(A−2)溶液 600部(固形分50.0%)を得た。
(実施例1 無機微粒子含有組成物(硬化性樹脂組成物−1)の調製)
合成例2で得られた複合樹脂(A−1)溶液を50部(固形分25部)、アルミナ(日本アエロジル株式会社AEROXIDE Alu C)25部及びMIBK125部を配合した。これを直径約φ100nmのジルコニアビーズを原料の重量と等量投入し、ペイントコンディショナーを使用して1時間攪拌し、無機微粒子分散樹脂溶液を得た。次いで、前記無機微粒子分散樹脂溶液に、ユニディック V−4000BA(DIC株式会社 ウレタンアクリレート )50部を投入しプライミクス株式会社製T.K.HOMO MIXERを使用して500rpmで4分間混合することにより硬化性樹脂組成物−1を得た。
(硬化物およびフィルムの作製)
実施例1で調製した硬化性樹脂組成物に、固形分に対して4%になるよう重合開始剤イルガキュア184(BASFジャパン株式会社製 光重合開始剤)を添加し、バーコーター#75を用いて基板用PETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、セラピールHP2(U) 厚み80μm)に塗布したのち、80℃で4分間加熱して溶剤成分を除去後、塗膜面に剥離用PETフィルム(セラピールHP2(U) 厚み80μm)を載せ、FUSION製UV照射装置F−6100Vにて1000mJ/cm2の条件で、UVを照射し、硬化物1を作製した。得られた硬化物1から、剥離用PETフィルムを剥離し、硬化塗膜1を得た。また、得られた硬化塗膜から基板用PETフィルムを除去し、硬化フィルム1を作製した。
(評価方法1: フィラーの存在比)
得られた硬化塗膜1を、電界放出形透過電子顕微鏡(STEM)を用いて倍率10000倍で観察した時、フィラーが最も多く観察される部分と、最も少なく観察される部分の単位面積当たりのフィラーの存在比をEDSで組成分析した。
得られた硬化塗膜1は、可視光硬化型樹脂に包埋し、硬化させた後、ミクロトーム(ULTRACUT S、LEICA製)にて設定膜厚50nmで薄片を作成した。これを電界放出形透過電子顕微鏡(JEM−2200FS、 JEOL製、加速電圧200kV)で観察した。TEM像、STEM像は、DigitalMicrograph(登録商標) Ver.1.6.2,Gatan、EDSデータ解析(マッピング画像処理、組成定性): Analysis Station Ver.3.8.0.26、JEOLを用いて解析した。
(評価方法2:ミクロ相分離構造)
得られた硬化塗膜1を、電界放出形透過電子顕微鏡(STEM)を用いて倍率10000倍で、前記フィラーの存在比を測定した時、フィラーが最も多く観察されたる部分と、最も少なく観察される部分の単位面積当たりのSiの存在比をEDSで組成分析した。
(評価方法3:樹脂α層のHeywood径の測定)
得られた硬化塗膜1を、電界放出形透過電子顕微鏡(STEM)を用いて倍率10000倍で撮影した画像を、画像解析式粒度分布測定ソフトウエアMac−View Ver4(株式会社マウンテック)で解析し、樹脂α層の面積を同一の面積を持つ円の直径に置きかえた時の直径(Heywood径)を計測した。
(評価方法4:熱伝導率)
得られた硬化フィルム1の厚み方向の熱伝導率を、迅速熱伝導率計:QTM−500(京都電子工業株式会社)を用いて、非定常法細線加熱法にて、室温(23℃)で測定した。
(評価方法5:脆化)
得られた硬化物1に対し、剥離PETフィルム側からカッターで5×10cmの切込みを入れ、両面からPETフィルムを除去した。完全な形のフィルムを得られた場合◎、われやひびが生じた場合1〜2ヶ所生じたものを○、それ以上のわれ・ひびが生じたもの△、完全に2つ以上に割れたものを×とした。
(評価方法6:ヘイズ)
得られた硬化フィルム1のヘイズを濁度計:NDH5000(日本電色工業株式会社)を用いて、JISK−7136に基づいて測定した。
(評価方法7:水酸基価)
樹脂βの水酸基価(試料1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数)をJISK−0070(1992)に基づいて測定した。
(実施例2〜3)
表1に示した配合に基づき、実施例1と同様の方法で組成物2〜3を得た。
得られた組成物に対し、実施例1と同様に硬化物、硬化塗膜、硬化フィルムを作成し、評価を行った。
(比較例1)
合成例2で得られた複合樹脂(A−1)溶液を50部(固形分25部)、アルミナ(日本アエロジル(株)製AEROXIDE Alu C)25部及びMIBK125部を配合した。これを直径約φ100nmのジルコニアビーズを原料の重量と等量投入し、ペイントコンディショナーを使用して1時間攪拌し、無機微粒子分散樹脂溶液を得た。次いで、前記無機微粒子分散樹脂溶液に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA:東亞合成株式会社 アロニックスM−305)50部を投入しプライミクス株式会社製T.K.HOMO MIXERを使用して500rpmで4分間混合することにより比較組成物−1を得た。
得られた比較組成物−1も実施例1と同様に硬化させた後、60℃3日の養生期間を経てフィルムを単離して試験に供した。これにより比較硬化フィルム1である、60〜80μmのフィルムを作製し、実施例1と同様に評価を行った。
実施例及び比較例の結果を下記表1に示す。
本発明は、熱伝導性に優れ、活性エネルギー線で硬化可能な硬化物、及び該硬化物の製造方法を提供し、該硬化物はLEDやパワー半導体デバイスといった電子部材に好適に使用可能な熱伝導性部材を提供可能である。

Claims (5)

  1. 樹脂αと樹脂βと熱伝導性フィラーとを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物であって、
    樹脂αは、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが、一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)であって、
    樹脂βは重合性二重結合を有する基を有し水酸基価が0-100mgKOH/gである樹脂であって、
    樹脂αと樹脂βとが相分離し、かつ電界放出形透過電子顕微鏡を用いたEDS組成分析において樹脂αにおける単位面積当たりのフィラー存在比が樹脂βに対して10倍以上であることを特徴とする硬化物。
    (1)



    (2)
    (一般式(1)及び(2)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、−R4−CH=CH2、−R4−C(CH3)=CH2、−R4−O−CO−C(CH3)=CH2、及び−R4−O−CO−CH=CH2からなる群から選ばれる1つの重合性二重結合を有する基(但しR4は単結合又は炭素原子数1〜6のアルキレン基を表す)、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子が3〜8のシクロアルキル基、アリール基、または炭素原子が7〜12のアラルキル基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは前記重合性二重結合を有する基である)

    (3)
    (一般式(3)中、炭素原子は前記ビニル系重合体セグメント(a2)の一部分を構成し、酸素原子のみに結合したケイ素原子は、前記ポリシロキサンセグメント(a1)の一部分を構成するものとする)
  2. 前記複合樹脂(A)中のポリシロキサンセグメント(a1)の含有率が全固形分量に対して10〜90重量%であり、ビニル系重合体セグメント(a2)がビニル系単量体の重合体であって、該ビニル系単量体のうち10〜50モル%が極性基を含有するビニル系単量体である、請求項1に記載の硬化物。
  3. 請求項1または2に記載の硬化物において、相分離構造は海島構造、棒状構造、相互連結構造のうちのいずれかであることを特徴とし、かつ樹脂α層のHeywood径が、1μm以下である硬化物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の硬化物を含有することを特徴とする熱伝導性材料。
  5. 硬化物の製造方法であって、
    樹脂αと樹脂βとフィラーとを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物において、
    樹脂αは、一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位と、シラノール基および/または加水分解性シリル基とを有するポリシロキサンセグメント(a1)と、ビニル系重合体セグメント(a2)とが、一般式(3)で表される結合により結合された複合樹脂(A)であって、樹脂βは重合性二重結合を有する基を有し水酸基価が0-100mgKOH/gである樹脂であって、樹脂αにフィラーを分散後、樹脂βを混合し樹脂αと樹脂βとが相分離した状態で硬化反応を行うことを特徴とする、硬化物の製造方法。
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