以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明を、自動車等の車両における骨格部品であるバンパーリンフォースに採用した場合を例とする。
図1は、バンパーリンフォース10の一部を示す斜視図である。この図1を参照しつつ、バンパーリンフォース10の全体像を説明する。バンパーリンフォース10は長尺状に形成された車体部品であり、図1にはその長手方向中央部を中心とした一部が示されている。図1に図示された長手方向中央部では、バンパーリンフォース10は一直線状をなしている。なお、実際のバンパーリンフォース10は、図1に図示されたバンパーリンフォース10よりも、その両端部がさらにその長手方向へ延びた状態で構成されている。
図1に示すように、バンパーリンフォース10は、第1部品11と第2部品21との2つの部品により構成されている。第1部品11及び第2部品21は、いずれも長尺状に形成されている。両部品11,21はそれぞれの長手方向の端部同士が接続され、これにより一つのバンパーリンフォース10が構成されている。かかるバンパーリンフォース10において、第1部品11と第2部品21との接続部分Sは、バンパーリンフォース10の長手方向中央部に存在している。
バンパーリンフォース10を構成する第1部品11及び第2部品21は、いずれも、本体部12,22と、他方の部品との接続部13,23とを有している。また、両部品11,21とも長尺状に形成され、横断面略コ字状をなす溝形鋼よりなる。その溝形形状の寸法は、両部品11,21とも同一となっている。
第1部品11の本体部12は、底板部としてのウェブ14と、そのウェブ14の両端から側方に延び、ウェブ14を挟んで対向する一対の側板部としてのフランジ15,16とを有している。なお、図1では同図における下側のフランジ16は隠れた状態になっている。接続部13は、本体部12の端部のうち、第2部品21と接続される側の端部に設けられ、第2部品21の接続部23とともに接続部分Sを構成する。
第2部品21の本体部22は、前記第1部品11の本体部12と同様、底板部としてのウェブ24と、一対の側板部としてのフランジ25,26とを有している。第2部品21の接続部23は、本体部22のうち、第1部品11と接続される側の端部に設けられ、第1部品11の接続部13とともに接続部分Sを構成する。
次に、第1部品11及び第2部品21における各接続部13,23の構成を、図2〜図4を参照しつつより詳しく説明する。図2は、第1部品11と第2部品21とを分解して示す分解斜視図であり、各部品11,21の接続部13,23の構成を示している。図3は、図2における正面図である。図4は、接続部13,23における断面図であり、(a)は第1部品11の接続部13の断面(図2のA−A断面)を、(b)は第2部品21の接続部23の断面(図2のB−B断面)を示している。
なお、説明の便宜上、以下では、図2に図示された状態を基準に上下、左右、奥行の各方向を特定するものとする。このうち、左右方向は第1部品11と第2部品21との並び方向となり、上下方向がその並び方向の略直交方向となる。
図2に示すように、第1部品11の接続側端部には、長手方向(左右方向)に沿ってウェブ14にその端縁で開放されるスリット31が形成されている。このスリット31により、ウェブ14は前記長手方向と直交する方向(上下方向)に2つに分割されている。スリット31は、上下方向の略中央部に設けられている。このスリット31によって分割された状態となる第1部品11の接続側端部が、前記接続部13となっている。
図3に示すように、スリット31は上下方向の略中央部に設けられている。スリット31を形成する上下の2つの端縁のうち、下縁31aは、本体部12の上下幅L1の略中央に位置している。つまり、本体部12の下端縁からスリット31の下縁31aまでの長さL2は、本体部12の上下幅L1の1/2の長さとなっている。他方、スリット31を形成する上縁31bは、本体部12の上下幅L1の中央よりも上側に位置している。つまり、本体部12の上端縁からスリット31の上縁31bまでの長さL3は、本体部12の上下幅L1の1/2よりも短い長さとなっている。
図2に戻って説明を続ける。前述したように、ウェブ14が上下2つに分割されたことにより、接続部13は、スリット31の上側に位置する上側接続部32と、下側に位置する下側接続部33とを有する。上側接続部32は、スリット31の上側にある上側ウェブ14aと上側フランジ15aとで略L字状に形成されている。他方、下側接続部33は、スリット31の下側にある下側ウェブ14bと、下側フランジ16a(図4(a)参照)とで略L字状に形成されている。
上側接続部32における上側ウェブ14a及び上側フランジ15aは、本体部12のウェブ14及び上側フランジ15がそのまま延長されており、両者は同一平面となっている。これに対し、下側接続部33では、下側ウェブ14b及び下側フランジ16aは、本体部12のウェブ14及びフランジ16と平行状態を維持しながら、それらよりも内側に後退した状態となっている。これにより、下側フランジ16aは上側フランジ15a側にシフトした位置に配置されることになる。
そして、この後退により、図4に示すように、上側接続部32と下側接続部33との間に段差34が形成されている。この段差34の寸法D1(つまり、後退量)は、板厚D2と略同じに設定されている。なお、上側ウェブ14aは第1平板部に、下側ウェブ14bは第2平板部に相当する。
前記下側接続部33は、次のように形成される。すなわち、本体部12の接続側端部において、左右方向に沿ってスリット31を形成する。その形成には、プレス加工やレーザ加工等の適宜の方法を採用することができる。次いで、スリット31の開放端縁とは反対の端部側を基端として、プレス加工等の適宜の方法により、その基端部を略鉤状に折り曲げながら、下側ウェブ14b及び下側フランジ16aを内側に後退させる。これにより、上側接続部32よりも下側接続部33が内側に後退して、両者の間に、板厚方向に段違いとなる段差34が形成される。
続いて、第2部品21の接続部23について説明する。なお、第1部品11の接続部13と同様の構成を有するものに関しては説明を簡略化する。
図2に示すように、第2部品21の接続側端部でも、本体部22の左右方向に沿って、ウェブ24の上下の略中央部にスリット41が形成され、このスリット41により、ウェブ24が上下2つに分割されている。スリット41の左右長さは、第1部品11のスリット31と同じに設定されている。このスリット41によって分割された状態となる第2部品21の接続側端部が、前記接続部23となっている。
図3に示すように、スリット41は上下方向の略中央部に設けられている。スリット41を形成する上下の2つの端縁のうち、上縁41aは、本体部22の上下幅L1の略中央に位置している。つまり、本体部22の上端縁からスリット31の上縁41aまでの長さL4は、本体部22の上下幅L1の1/2の長さとなっている。他方、スリット41を形成する下縁41bは、本体部22の上下幅L1の中央よりも下側に位置している。つまり、本体部22の下端縁からスリット41の下縁41bまでの長さL5は、本体部22の上下幅L1の1/2よりも短い長さとなっている。なお、第2部品21におけるスリット41の切欠き幅W2は、前記第1部品11におけるスリット31の切欠き幅W1と同じに設定されている。
図2に戻り、ウェブ24が上下に分割されたことにより、接続部23は、スリット41の上側に位置する上側接続部42と、下側に位置する下側接続部43とを有する。上側接続部42は、スリット41の上側にある上側ウェブ24aと上側フランジ25aとで略L字状に形成されている。他方、下側接続部43は、スリット41の下側にある下側ウェブ24bと、下側フランジ26a(図4(b)参照)とで略L字状に形成されている。
第2部品21では、その上側接続部42及び下側接続部43について、前記第1部品11の上側接続部32及び下側接続部33とは、内側に後退する部分が上下逆となっている。すなわち、上側接続部42が内側に後退する一方、下側接続部43は本体部22がそのまま延長されている。
このため、上側接続部42において、上側ウェブ24a及び上側フランジ25aは、本体部22のウェブ24及びフランジ25と平行状態を維持しながら、それらよりも内側に後退した状態となっている。これにより、上側フランジ25aは下側フランジ26a側にシフトした位置に配置されることになる。そして、下側接続部43における下側ウェブ24b及び下側フランジ26aは、本体部22のウェブ24及び上側フランジ26と同一平面となっている。
この上側接続部42の後退により、図4に示すように、上側接続部42と下側接続部43との間に、板厚方向に段違いとなる段差44が形成されている。この段差44は前記第1部品11の段差34と高低が逆であり、その寸法D3(つまり、後退量)は、板厚D2と略同じに設定されている。なお、上側ウェブ24aは第2平板部に、下側ウェブ24bは第1平板部に相当する。
前記上側接続部42も、第1部品11の下側接続部33と同様の方法によって形成されている。すなわち、ウェブ24にスリット41を形成した後、基端部を略鉤状に折り曲げながら、上側ウェブ24a及び上側フランジ25aを内側に後退させる。これにより、下側接続部43よりも上側接続部42が後退して、両者の間に段差44が形成される。
ここで、第1部品11と第2部品21の寸法を再び確認する。
まず、いずれの本体部12,22も同一形状かつ同一寸法である(図2,図3参照)。また、各接続部13,23に形成されたスリット31,41について、その長さや切欠き幅W1,W2も同じである(図3参照)。さらに、それぞれの接続部13,23における段差34,44の寸法(後退量)D1,D3も同じである(図4参照)。
それに加え、第1部品11の接続部13において、本体部12の下端縁からスリット31の下縁31aまでの長さL2と、第2部品21の接続部23において、本体部22の上端縁からスリット41の上縁41aまでの長さL4とは、略同じ長さとなっている。つまり、いずれも、本体部12,22の上下幅L1の略半分である。このため、図3に示すように、第1部品11と第2部品21とを上下同じ位置に配置すれば、第1部品11のスリット31の下縁31aと、第2部品21のスリット41の上縁41aとは、略同一直線上に配置されることになる。
そうすると、本実施形態のような第1部品11及び第2部品21であれば、第1部品11を180度反転させることにより、第1部品11は、第2部品21の構成となる。図5は、その様子、つまり第1部品11を反転させることにより第2部品21となることを示す斜視図である。このため、第2部品21を第1部品11とは別に製造する必要はなく、第1部品11を製造すれば同時に第2部品21が製造されることになる。
なお、バンパーリンフォース10は、その長手方向を左右とした場合に、その正面視において左右対称となる構成を有している。これまでの説明では、本体部12,22の接続部13,23とは反対側の端部に関して、その説明を省略しているが、このようにバンパーリンフォース10が左右対称の構成を有しているため、第1部品11を反転させることにより第2部品21とすることが可能となる。
次に、第1部品11と第2部品21との接続方法について、図6及び図7を参照しつつ説明する。図6は、第1部品11と第2部品21とを接続する様子を示す斜視図であり、(a)は接続途中の状態を示し、(b)は接続完了した状態を示している。図7は、図6(b)におけるC−C断面図である。
第1部品11と第2部品21との接続は次のように行われる。まず、先の図2に示すように、第1部品11と第2部品21とをその長手方向を一致させ、溝形の向きも一致させた、それぞれの接続部13,23同士を対向させた状態とする。
そして、第1部品11の上側接続部32の内側に第2部品21の上側接続部42を、第2部品21の下側接続部43の内側に第1部品11の下側接続部33をそれぞれ挿入するようにして、両部品11,21をスライドさせて連結する。これにより、図6(a)に示すように、第1部品11の上側接続部32の内側に第2部品21の上側接続部42が、第1部品11の下側接続部33の外側に第2部品21の下側接続部43がそれぞれ重なり合うようにして、両部品11,21の接続が進行する。この時、両部品11,21のそれぞれのスリット31,41は重複した状態となっている。
この場合において、前述したように、第1部品11及び第2部品21の板厚D2は同じで、挿入される側の部位(第2部品21の上側接続部42及び第1部品11の下側接続部33)は、その板厚D2と同じだけ後退した構成となっている(図4参照)。そのため、図7に示すように、第1部品11の上側接続部32と第2部品21の上側接続部42との間、第2部品21の下側接続部43と第1部品11の下側接続部33との間はいずれも面接触しつつ重なり合う。
また、第1部品11のスリット31の下縁31aと、第2部品21のスリット41の上縁41aとは、略同一直線上に配置されている(図3参照)。前者については、第1部品11の下側接続部33の上縁でもあり、後者は第2部品21の上側接続部42の下縁でもある。このため、図7に示すように、第1部品11の下側接続部33の上縁と、第2部品21の上側接続部42の下縁とが接触しつつ重なり合う。
その後、第1部品11と第2部品21との接続をさらに進行させると、図6(b)に示すように、第1部品11の上側接続部32は、その先端部が第2部品21の上側接続部42における基端部分に当接する。また、第2部品21の下側接続部43は、その先端部が第1部品11の下側接続部33における基端部分に当接する。これにより、第1部品11と第2部品21との接続が完了し、両部品11,21で構成された一つのバンパーリンフォース10となる(図1参照)。
このような接続方法による接続の結果、第1部品11と第2部品21とが接続された接続部分Sでは、次のような特徴的な構造を有している。
第1に、図6(b)及び図7に示すように、スリット31,41を境にしてその上下両側では、第1部品11及び第2部品21が前後に互い違いに重なり合った状態となっている。つまり、第1部品11又は第2部品21を基準とした場合に、当該部品の前後に他方の部品が重なり合って互い違いの状態となっている。より詳しくは、スリット31,41よりも上方では、第1部品11の上側ウェブ14aの後側に第2部品21の上側ウェブ24aが重なる一方、スリット31,41の下方では、第1部品11の下側ウェブ14bの前側に第2部品21の下側ウェブ24bが重なっている。
第2に、図7に示すように、第1部品11の上側接続部32と第2部品21の上側接続部42との間、第2部品21の下側接続部43と第1部品11の下側接続部33との間は、いずれも面接触した状態で重なり合っている。つまり、第1部品11における上側接続部32の上側ウェブ14a及び上側フランジ15aと、第2部品21における上側接続部42の上側ウェブ24a及び上側フランジ25aとが面接触して重なっている。また、第1部品11における下側接続部33の下側ウェブ14b及び下側フランジ16aと、第2部品21における下側接続部43の下側ウェブ24b及び下側フランジ26aとが面接触して重なっている。かかる構成は、第1部品11及び第2部品21の板厚D2が同じで、挿入される側の部位(第2部品21の上側接続部42及び第1部品11の下側接続部33)は、その板厚D2と同じだけ後退した構成となっていることによる(図4参照)。
第3に、図6(b)及び図7に示すように、第1部品11の下側接続部33の上縁(スリット31の下縁31a)と、第2部品21の上側接続部42の下縁(スリット41の上縁41a)とが接触した状態となっている。これは、第1部品11のスリット31の下縁31aと、第2部品21のスリット41の上縁41aとが、略同一直線上に配置され(図3参照)、前者は、第1部品11の下側接続部33の上縁でもあり、後者は第2部品21の上側接続部42の下縁でもあることによる。
第4に、図6(b)に示すように、第1部品11のスリット31及び第2部品21のスリット41により、接続部分Sの前面には、両スリット31,41の切欠き幅W1,W2を合わせた寸法(W1+W2)の隙間が形成されている。
第5に、図7に示すように、第1部品11における上側接続部32の上側ウェブ14aと、第2部品21における下側接続部43の下側ウェブ24bとが同一平面となり、これは本体部12,22のウェブ14,24とも同一平面となっている。
以上のように、本実施形態のバンパーリンフォース10は、第1部品11と第2部品21とで構成され、両部品11,21の接続部分Sは上記接続構造を有している。かかる接続構造を有するバンパーリンフォース10によれば、以下の優れた効果が得られる。
第1部品11と第2部品21との接続部分Sでは、ウェブ14,24に設けられたスリット31,41の両側で、一方の部品の前後に他方の部品が互い違いに重なり合った状態となっている。また、フランジ15,16,25,26においても、第1部品11と第2部品21とが重なり合っている。このため、接続部分Sでは板材が二重化された状態となっており、強度が確保されている。これにより、図17に示す従来の車体部品120のように、強度確保のための補強部材123を別に取り付ける必要がなくなる。その結果、強度補強のための部品点数増加や、その補強部材123を取り付けるための工程の増加を抑制することができる。
また、この構成によれば、端面同士を突き合わせただけの従来技術や単純に板材を重ね合わせただけの構成と異なり、接続部分Sでの構造が安定し、両部品11,21を引き離す方向への力が作用しない限り、接続状態を保持できる。そのため、両部品11,21の接続状態を固定する溶接等は必須ではなくなり、製造工程の増加や製造コストの増大を抑制することができる。仮に溶接等を接続部分Sに施す場合であっても、接続部分Sが安定して保持されることから、両部品11,21の接続状態を保持するための大掛かりな治具は不要であり、製造工程の増加や製造コストの増大を抑制することができる。
第1部品11及び第2部品21に、両部品11,21の長手方向に沿ったスリット31,41が形成され、かつその両側に段差34,44が設けられている。そして、それぞれの段差34,44は高低が逆となっている。このため、これらスリット31,41や段差34,44を利用し、スリット31,41同士を重ね合わせながら、両部品11,21をその並び方向へ移動させて接続することができ、両部品11,21の接続作業の作業性が向上する。
第1部品11の下側接続部33及び第2部品21の上側接続部42の後退量は、板厚D2と同じに設定されている。このため、図7に示すように、接続部分Sでは、両部品11,21の上側接続部32,42と下側接続部33,43同士は面接触した状態となっている。これにより、第1部品11にかかる力に対して、第2部品21が面で支えることになるため、強度補強の程度を向上させることができる。
第1部品11の下側接続部33及び第2部品21の上側接続部42は、いずれもウェブ14,24をスリット31,41によって分割した上で、内側へ後退させることにより形成される。そのため、プレス加工やレーザ加工等を施せば、それらを容易に形成することができる。
第1部品11の上側接続部32や第2部品21の下側接続部43は、本体部12,22が延長された構成となっており、第1部品11の下側接続部33や第2部品21の上側接続部42を内側へ後退させて、それらを重ね合わせている。これにより、接続部分Sの外側は、本体部12,22と同一平面が形成され、接続部分Sでの凹凸発生を抑制できる。
第1部品11及び第2部品21の各スリット31,41は、いずれも上下方向の中央部に設けられ、その左右長さ、切欠き幅W1,W2が同一で、段差34,44の寸法D1,D3も同一である。そして、両部品11,21を上下同じ位置に配置した場合には、スリット31の下縁31aと、スリット41の上縁41aとが略同一直線上に配置されるように設定されている。そのため、第1部品11を反転させれば第2部品21とすることができ、第2部品21を第1部品11とは別に製造する必要がなくなり、製造コストの抑制に寄与できる。
第1部品11の下側接続部33の上縁(スリット31の下縁31a)と、第2部品21の上側接続部42の下縁(スリット41の上縁41a)とが接触した状態となっており、両部品11,21の接続時にも、それら端縁同士が接触しつつ接続される。これにより、その接触が、第1部品11と第2部品21とをその並び方向に移動させて接続する際のガイドとして機能し、接続作業を容易に行うことができる。また、溶接による固定が必要な場合は、その接触部分を溶接すれば、溶接品質を安定させることができる。
また、第1部品11及び第2部品21のそれぞれの接続部13,23を、特定の長手方向長さを有するバンパーリンフォース10に合わせて個別に設定するのではなく、様々な長手方向長さを有するバンパーリンフォース10を製造できるように、汎用性を持たせることが可能である。
この点について、図8を参照しつつ説明する。図8は、各種長さのバンパーリンフォース10を製造可能なことを説明する説明図である。
図8(a)に示すように、各接続部13,23の長手方向長さを比較的長くした第1部品11及び第2部品21を予め準備しておく。この第1部品11及び第2部品21をそのまま利用して、両部品11,21を接続すれば、図8(b)に示すように、接続部分Sが比較的長く、全体の寸法も比較的長いバンパーリンフォース10を得ることができる。
そして、図8(b)に示すものよりも短い寸法のバンパーリンフォース10を製造する場合にも、前記第1部品11及び前記第2部品21を利用することができる。この場合、図8(c)及び図8(d)に示すように、所望するバンパーリンフォース10の長さに合わせて設定される適宜の切断線CUTにて、接続部13,23を切断する。その切断後の第1部品11及び第2部品21を接続することにより、図8(e)に示すように、長手方向の長さがより短いバンパーリンフォース10を得ることができる。
バンパーリンフォース10は、その両端部において後方へ湾曲していたり、他の骨格部品等と接続するための各種構成が採用されたりしている。このため、当該両端部で長さを調整することは困難となる。その点、長手方向中央部側となる各接続部13,23で長さ調整を可能とする構成とすれば、その長さ調整を行いやすいというメリットがある。
[他の実施形態]
(1)上記実施の形態では、バンパーリンフォース10の長手方向が一直線状をなす構成となっているが、湾曲した構成であってもよい。この場合、第1部品11と第2部品21とは同じ曲率となるように設定される。
(2)上記実施の形態では、バンパーリンフォース10を第1部品11と第2部品21とで構成しているが、3個以上の部品を接続して構成してもよい。また、上記実施の形態では、接続部分Sがバンパーリンフォース10の長手方向中央部に設けられているが、接続部分Sを設ける位置はそこに特定されることはなく、任意の位置に設けることができる。前述したように、接続部分Sでは前後に板材が重ね合わされて強度が補強されるところ、大きな荷重が加わるためにそのような補強を必要とする箇所があれば、そこに接続部分Sを設けるようにしてもよい。
(3)上記実施の形態では、第1部品11と第2部品21との接続状態を固定するための構成は採用されていないが、溶接をさらに行ったり、ねじ類やリベット等を用いたりして接続状態を固定するようにしてもよい。例えば、接続部13,23において、重ね合わされたウェブ14,24やフランジ15,16,25,26を、ねじ類やリベット等を用いて固定したり、接続部13,23の先端部やスリット31,41を溶接したりする等の構成を採用できる。
(4)上記実施の形態では、第1部品11における下側接続部33、及び第2部品21における上側接続部42を、板厚D2だけ後退させる構成としたが、板厚D2よりも大きく後退させるようにしてもよい。これにより、図9(a)に示すように、第1部品11の上側接続部32と第2部品21の上側接続部42との間、及び第1部品11の下側接続部33と第2部品21の下側接続部43との間にクリアランスK1が形成される。このクリアランスK1により、第1部品11及び第2部品21の製造時における精度のばらつきを吸収することができる。そのため、この部分での高精度な加工が不要となり、製造コストを低減することができる。
(5)第1部品11及び第2部品21の各スリット31,41の構成を変更した構成を採用してもよい。例えば、本実施形態では、各スリット31,41の切欠き幅W1,W2を同じ寸法としているが、これを違う寸法に設定してもよい。接続部13,23がスリット31,41により上下に分割され、段差34,44が設けられている限り、切欠き幅W1,W2が零であってもよい。
また、図3を参照しつつ説明すると、第1部品11において、長さL2を本体部12の上下幅L1の略半分よりも短くし、長さL3を本体部12の上下幅L1の1/2の長さとしてもよい。この場合、第2部品21では、長さL4が本体部22の上下幅L1の1/2よりも短くなり、長さL5は本体部22の上下幅L1の1/2の長さとなる。かかる構成を採用した場合、バンパーリンフォース10の接続部分Sでは、図9(b)に示すように、各スリット31,41によって形成される隙間が、本実施の形態とは前後逆となり、後ろ側に形成される。
さらに、第1部品11において、長さL3を上記実施の形態と同じとしつつ、長さL2を、本体部12の上下幅L1の1/2よりも短くしてもよい。この場合、第2部品21では、長さL5を上記実施の形態と同じとしつつ、長さL4が本体部22の上下幅L1の1/2よりも短くなる。かかる構成を採用した場合、図9(c)に示すように、第1部品11の下側接続部33の上縁(スリット31の下縁31a)と、第2部品21の上側接続部42の下縁(スリット41の上縁41a)との間にクリアランスK2が形成される。このクリアランスK2により、第1部品11及び第2部品21の製造時における精度のばらつきを吸収することができる。そのため、この部分での高精度な加工が不要となり、製造コストを低減することができる。
(6)上記実施の形態では、第1部品11の上側接続部32及び第2部品21の下側接続部43は、それぞれのウェブ14a,24b及びフランジ15a,26aが、本体部12,22側と同一平面を形成するように構成されていた。これに代えて、図10(a)に示すように、第1部品11の上側接続部32及び第2部品21の下側接続部43も、内側に後退させるように構成してもよい。この構成においても、第1部品11の上側接続部32と下側接続部33との間、及び第2部品21の上側接続部42と下側接続部43との間には、それぞれ段差34,44が形成される。そのため、第1部品11の下側接続部33及び第2部品21の上側接続部42は、上記実施の形態の場合よりもさらに内側へ後退した構成となる。このような構成を採用することにより、図10(b)に示すように、バンパーリンフォース10の接続部分Sを、それ以外の部分よりも内側に後退させた、つまり凹ませた状態を作り出せる。
(7)上記実施の形態では、第1部品11及び第2部品21の各スリット31,41の両側に段差34,44が設けられているが、この段差34,44は必須の構成ではなく、段差34,44を無くした構成を採用してもよい。
(8)上記実施の形態では、第1部品11及び第2部品21の両者を上下に分割した構成となっているが、スリット31,41をいずれか一方の部品のみに設けて、その一方の部品のみを分割した構成としてもよい。この場合、当該一方の部品に形成されたスリットに、他方の部品の接続側端部を差し込むようにして接続すれば、当該一方の部品の前後に他方の部品が互い違いに重ね合された構成とすることが可能となる。
さらに、上記実施の形態のような2分割ではなく、スリット31,41を複数形成して、それ以上の数に分割してもよい。第1部品11と第2部品21とを共通化する場合は、偶数個に分割する構成が好適となる。一例として、図11は、3つのスリット31,41により各接続部13,23を4つに分割した構成を示している。
図11(a)に示すように、第1部品11における各分割片51〜54のうち上端に位置する第1分割片51が、上記実施の形態における上側接続部32に、下端に位置する第4分割片54が上記実施の形態における下側接続部33に相当する。それぞれが断面略L字状に形成され、第4分割片54は内側に後退した状態となっている。また、第2分割片52及び第3分割片53は板状をなし、そのうち第2分割片52は、第1分割片51及び第3分割片53に対し内側に後退した状態となっている。これにより、各分割片51〜54の間にはそれぞれ段差55a〜55cが形成されている。なお、この別形態において、第2分割片52は第2平板部に、第3分割片53は第1平板部に相当する。
他方、第2部品21においては、各分割片61〜64のうち上端に位置する第1分割片61が、上記実施の形態における上側接続部42に、下端に位置する第4分割片64が上記実施の形態における下側接続部43に相当する。それぞれが断面略L字状に形成され、第1分割片61は内側に後退した状態となっている。また、第2分割片62及び第3分割片63は板状をなし、そのうち第3分割片63は、第2分割片62及び第4分割片64に対し内側に後退した状態となっている。これにより、各分割片61〜64の間にはそれぞれ段差65a〜65cが形成されている。なお、この別形態において、第2分割片62は第1平板部に、第3分割片63が第2平板部に相当する。
このような構成では、第1部品11の第1分割片51の下に第2部品21の第1分割片61を、第1部品11の第2分割片52上に第2部品21の第2分割片62を、それぞれ重ね合わせるようする。さらに、第1部品11の第3分割片53の下に第2部品21の第3分割片63を、第1部品11の第4分割片54上に第2部品21の第4分割片64を、それぞれ重ね合わせるようにする。このようにして、両部品11,21を接続する。
その結果、図11(b)に示すように、第1部品11と第2部品21との接続部分Sでは、第1分割片51,61から第4分割片54,64が互い違いに重なり合った状態となっている。そのため、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(9)上記実施の形態では、横断面略コ字状をなす第1部品11と第2部品21とを接続させて、一つの長尺状のバンパーリンフォース10を構成した。そのような複数の部品を接続してなる長尺状の組合せ部品を複数組み付けて、一つのバンパーリンフォースを構成してもよい。例えば、図12には2つの長尺状部材を組み合わせて、一つのバンパーリンフォース70を構成した例を示しており、(a)は分解斜視図であり、(b)は全体を示す斜視図である。
図12(a)に示すように、このバンパーリンフォース70は、2つの組合せ部品71,72により構成されている。各組合せ部品71,72は、それぞれ第1部品11と第2部品21とが接続されたものである。両組合せ部品71,72のうち、一方(図では第2組合せ部品72)の上下寸法は、他方(図では第1組合せ部品71)の上下寸法よりも小さく設定されている。そして、両組合せ部品71,72の内側(コ字状の開放側)同士を合わせ、寸法の小さい組合せ部品(図では第2組合せ部品72)が、他方の組合せ部品(第1組合せ部品71)の内側に入り込むようにして、両組合せ部品71,72が組み付けられている。この組み付け状態では、両組合せ部品71,72のフランジ同士が面接触して重なり合っている。なお、両組合せ部品71,72の固定は、溶接やねじ類等の適宜の方法で行われる。
これにより、図12(b)に示すように、横断面が略四角形状をなす1つのバンパーリンフォース70が構成される。このような構成を有するバンパーリンフォース70によれば、上記実施の形態のように組合せ部品71,72が単独である場合に比べ、強度をより向上させることができる。
(10)上記実施の形態は、本発明の接続構造を、骨格部品としてのバンパーリンフォース10に適用した構成であったが、他の骨格部品や補強部品等の車体部品に適用してもよい。他の適用例としては、フロントアンダーランプロテクタ、クロスメンバ、フロアーリンフォース、ドアインパクトビーム、ベルトラインリンフォース、ルーフリンフォース、サイドシル等がある。
図13〜図16に、それらの適用例を示す。各図に示されているように、各車体部品はその長手方向中央部に2つの部品の接続部分Sを有している。
図13は、クロスメンバ80への適用例であり、(a)(b)はそれぞれ接続前後を示している。フロアーリンフォースの場合もこれと同様の構成となる。この構成では、第1部品81及び第2部品82は横断面略コ字状ではなく、フランジ83,84がさらに設けられた構成を有している。そのフランジ83,84にも段差85,86が設けられ、両部品81,82が接続されると、両フランジ83,84が上下に重なった状態となる。
図14は、ドアインパクトビーム90への適用例であり、(a)(b)はそれぞれ接続前後を示している。ベルトラインリンフォースの場合もこれと同様の構成となる。この構成では、図13のクロスメンバ80と同様、第1部品91及び第2部品92にはフランジ93,94が設けられ、接続部分Sでは両フランジ93,94が上下に重なった状態となっている。また、ドアインパクトビーム90の両端部には、他の部材への接続に用いられる溶接フランジ95,96が設けられている。
図15は、ルーフリンフォース100への適用例であり、(a)(b)はそれぞれ接続前後を示している。この構成でも、図13のクロスメンバ80や図14のドアインパクトビーム90と同様、第1部品101及び第2部品102にはフランジ103,104が設けられ、接続部分Sでは両フランジ103,104が上下に重なった状態となっている。
図16は、サイドシル110への適用例であり、(a)(b)はそれぞれ接続前後を示している。このサイドシル110は、図12に示すバンパーリンフォース70と同様、2つの組合せ部品111,112により構成されている。各組合せ部品111,112は、図15のルーフリンフォース100のように、フランジ113,114が設けられている。そのフランジ113,114同士を重ね合わせるようにして、両組合せ部品111,112が組み付けられている。なお、両組合せ部品111,112の固定は、溶接やねじ類等の適宜の方法で行われる。
(11)上記実施の形態では、第1部品11及び第2部品21は共通化されているが、第1部品11及び第2部品21の各本体部12,22の構成を別の構成として、両部品11,21を非共通化した構成としてもよい。例えば、第1部品11と第2部品21とで、本体部12,22の構成が異なる場合には、両部品11,21は共通化されない。その場合でも、接続部13,23の構成として上記実施の形態の構成を採用すれば、上記実施の形態と同じ接続構造を有する接続部分Sが得られる。
なお、両部品11,21の各本体部12,22を共通の構成とし、各接続部13,23における各スリット31,41が、いずれも上下方向の中央部に設けられた構成を採用した場合には、第1部品11を反転させたものを第2部品21として利用することが可能となる。
(12)上記実施の形態では、第1部品11及び第2部品21は、横断面略コ字状をなす溝形鋼により形成されているが、その横断面形状は、左右対称の形状であればよく、形状は限定されない。例えば、平板であってもよく、また、台形や三角形状等の多角形形状でも、半円形形状や波型等の非多角形形状であってもよい。例えば波板のように、略コ字状等の横断面が複数連なった横断面形状であってもよい。
(13)上記実施の形態では、バンパーリンフォース10は鋼材により構成されているが、その材質は特に限定されない。例えば、アルミニウム等の非鉄金属、樹脂材料、炭素やガラス等の繊維材料、又はそれらの複合材料等であってもよい。