(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2012年6月22日出願の米国仮出願第61,663,210号、2012年8月3日出願の米国仮出願第61,679,567号、2012年9月18日出願の米国仮出願第61,702,443号、2012年10月15日出願の米国仮出願第61,713,922号、2012年11月5日出願の米国仮出願第61,722,488号、2012年12月19日出願の米国仮出願第61,739,358号及び2013年3月29日出願の米国仮出願第61,806,644号の利益を主張し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0002] 本発明は、放射源及びリソグラフィ装置に関する。
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。この場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、連続してパターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
[0004] リソグラフィは、IC及びその他のデバイス及び/又は構造を製造する際の主要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して製造されるフィーチャの寸法がより微細になると共に、リソグラフィは小型IC又はその他のデバイス、及び/又は構造の製造を可能にするためのより決定的な要因になってきている。
[0005] パターン印刷の限界の理論的な推定値は式(1)に示すようなレイリーの解像基準によって得られる。
但し、λは使用される放射の波長、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数、k1はレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(すなわちクリティカルディメンション)である。式(1)から、フィーチャの印刷可能な最小サイズの縮小は3つの方法で達成できることが分かる。すなわち、露光波長λの短縮によるもの、開口数NAの増加によるもの、又はk1の値の減少によるものである。
[0006] 露光波長を短縮し、印刷可能な最小サイズを縮小するため、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されてきた。EUV放射は5〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。さらに、例えば6.7nm又は6.8nmなどの5〜10nmの範囲内の、10nm未満の波長を有するEUV放射を使用できることが提案されてきた。このような放射は極端紫外線放射、又は軟x線放射と呼ばれている。可能な放射源には例えば、レーザ生成プラズマ放射源、放電プラズマ放射源、又は電子蓄積リングにより与えられるシンクロトロン放射に基づく放射源が含まれる。
[0007] EUV放射はプラズマを使用して生成することができる。EUV放射を生成するための放射システムは、燃料を蒸発させるか又は励起してプラズマを提供するレーザ、及びプラズマを封じ込めるための放射源を含んでもよい。プラズマは例えば、適切な材料(例えばスズ)などの燃料にレーザビーム、又はXeガス又はLi蒸気などの適切なガス又は蒸気の流れを向けることによって生成することができる。その結果生ずるプラズマは例えばEUV放射などの出力放射を放出し、これは放射コレクタを使用して収集される。放射コレクタは、放射を受け、放射をビームに合焦する鏡像化垂直入射放射コレクタであってもよい。代替実施形態では、プラズマはスズなどの燃料が位置するギャップに放電を印加することによって生成される。放射源は、プラズマを支える真空環境を提供するために配置される閉鎖構造又はチャンバを含んでもよい。このような放射システムは通常、放電生成プラズマ(DPP)放射源と呼ばれる。
[0008] プラズマを生成する燃料の気化は不完全でもよく、したがって未気化燃料小滴は放射源の表面に入射し得る。燃料は光学面の反射率を変更させるため、放射源の光学面に燃料が累積することは望ましくない。
[0009] 先行技術から公知ではない態様で、放射源の1つ以上の光学面上の燃料の累積を低減することが望まれる。
[0010] 本発明の第1の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、該放射源が、複数の溝を設けた固定燃料デブリ受け面をさらに備え、溝が、液体燃料の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導するように配置された向きを有する放射源が提供される。
[0011] 燃料デブリを受ける面に複数のベーンを設けてもよく、ベーンには複数の溝が設けられる。
[0012] 溝の少なくとも幾つかは、毛管作用を生じるような断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。
[0013] 溝の少なくとも幾つかは、液体燃料を溝内に引き込む吸い上げ作用を生じるような断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。
[0014] 1つ以上の溝は、溝に沿って縦方向に延在する隅部を含んでいてもよい。
[0015] 1つ以上の溝は、断面がv字形の形状でもよい。
[0016] v字形の溝は、約30°から50°の間の開口角を有していてもよい。
[0017] 溝は、互いに実質的に平行に延在する溝の集合から成っていてもよい。
[0018] 溝の少なくとも幾つかは、0.1mm以上の深さを有していてもよい。
[0019] 溝の少なくとも幾つかは、2mm以下の深さを有していてもよい。
[0020] 溝の少なくとも幾つかは、0.1mm以上の幅を有していてもよい。
[0021] 溝の少なくとも幾つかは、10mm以下の幅を有していてもよい。
[0022] 隣接する溝は、液体燃料の毛管長さの2倍以下の距離で離隔されてもよい。
[0023] ベーンは、放射源のハウジングの周囲に配分されてもよい。
[0024] ベーンは、放射源の中間焦点の近傍に位置する反射構造であってよい。
[0025] ベーンは、放射源の燃料キャッチャ内に位置していてもよい。
[0026]ベーンのうち1つ以上は、実質的に螺旋状であってもよい。
[0027] 燃料はスズ、キセノン、又はリチウムであってよい。
[0028] ベーンは、燃料の溶解温度超の温度に加熱されてもよい。ベーンは、燃料の気化温度未満の温度に加熱されてもよい。
[0029] 本発明の第2の態様によれば、リソグラフィ装置、基板(例えばウェーハ、マスク)検査装置、汚染浄化装置、基板処理装置又は較正装置などの、本発明の第1の態様の放射源を備える装置が提供される。
[0030] 任意選択として、リソグラフィ装置は、放射源から受光したEUV放射を調整するように構成された照明システム、パターニングデバイスを支持するように構築された支持体、EUV放射に断面にパターンを与えて、パターニングされた放射ビームを形成可能なパターニングデバイス、及びパターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムのうちの1つ以上をさらに備えていてもよい。
[0031] 基板検査装置は以下の要素、すなわち極端紫外線光源、検査用の基板を受ける支持体、極端紫外線光源と検査用の基板を受ける支持体との間に位置する照明光学系、基板支持体と結像センサとの間に位置する対物レンズ光学系、及び選択された1つ以上のスペクトル特性を有する、結像センサの近傍に配置され、又は位置するスペクトル純度フィルタのうちの1つ以上を備えていてもよい。
[0032] 汚染浄化装置は、ガス流、反応ガス、電界、振動誘発アクチュエータ、又は不要な燃料デブリを汚染面から浄化するためのその他の手段をさらに備えていてもよい。
[0033] 本発明の第3の態様によれば、放射源を使用してEUV放射を生成する方法であって、EUV放射を放出するプラズマが燃料を用いて生成される位置に燃料を給送するステップを含み、方法が、液体燃料を放射源の固定面上で受け、固定面上に設けられた溝を用いて重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるステップをさらに含む方法が提供される。
[0034] 本発明の第4の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、放射源がさらに燃料デブリ受け面を備え、燃料デブリ受け面が、液体合金又は金属を燃料デブリ受け面に給送するように構成された液体入口に接続された放射源が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0035] 本発明の第5の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源を備える装置であって、放射源が、燃料デブリ受け面と、液体合金又は金属の流れを燃料デブリ受け面上に給送するように構成された液体入口とをさらに備える装置が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0036] 液体入口は燃料デブリ受け面に接続されてもよい。
[0037] 液体入口は、液体合金又は金属のコーティングを燃料デブリ受け面上に施すように構成されてもよい。
[0038] 燃料デブリ受け面には複数のベーンを備えていてもよい。
[0039] ベーン間の空間は、重力の影響下にある液体合金又は金属を1つ以上の所望の方向に向ける溝であってもよい。
[0040] 液体入口は、溝内に位置する開口を備えていてもよい。
[0041] 液体入口は、ベーンのベース領域を所望の充填レベルで充填する速度で合金又は金属を給送するように構成されてもよい。
[0042] ベーンは、ベーンの先端から液体合金又は金属を引き離す毛管圧を生成するような形状であってもよい。
[0043] 液体入口は、導管に接続された複数の開口を備えていてもよい。
[0044] 液体合金又は金属は液体燃料であってもよい。
[0045] 放射源は、燃料デブリ受け面を燃料の溶解温度超の温度に加熱するように構成されたヒータをさらに備えていてもよい。
[0046] 液体入口は、金属又は合金がそれを通って給送される多孔質金属から成っていてもよい。
[0047] 液体入口は、室温で液体状である金属又は合金を燃料デブリ受け面に給送するように構成されてもよい。
[0048] 金属又は合金はガリンスタンであってよい。あるいは、金属又は合金はスズ又はその他のスズ合金、又はEUV放射を生成するのに適するその他の液体燃料であってよい。
[0049] 放射源は、放射源のハウジングを冷却するように構成された冷却装置を備えていてもよい。
[0050] 冷却装置は、放射源のハウジングを概ね室温に冷却するように構成されてもよい。
[0051] 本発明の第6の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に液体合金又は金属を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、放射源がさらに、ベーンと、液体合金又は金属をベーンに給送することによって、ベーン上の液体合金又は金属のコーティングを維持するように構成された入口とを備える放射源が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0052] 本発明の第7の態様によれば、燃料を使用してEUV放射を生成する放射源内の汚染を制御する方法であって、液体合金又は金属のコーティングが燃料デブリ受け面上に維持されるように、液体合金又は金属を燃料デブリ受け面上に給送するステップを含む方法が提供される。
[0053] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、合金又は金属は入口を経て連続的に給送されてもよい。
[0054] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、合金又は金属は入口を経て断続的に給送されてもよい。
[0055] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、入口は、金属又は合金がそれを通って給送される多孔質金属から成っていてもよい。
[0056] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、金属又は合金は室温で液体状であってもよい。
[0057] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、金属又は合金はガリンスタンであってもよい。
[0058] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、方法は、放射源のハウジングを室温に冷却するステップをさらに含んでいてもよい。
[0059] 本発明の第8の態様によれば、表面と、絶縁層によって表面から分離された2つの電極とを備える液体燃料デブリガイド装置が提供される。表面上の経路を画定するギャップが2つの電極と、電極の1つに電圧を印加するように構成された電圧源との間に設けられ、それによって電極間のギャップに電位差が生じる。この電位差はギャップによって画定された経路に沿って液体燃料小滴を案内する役割を果たす。
[0060] 装置は、1つ以上の電圧源に接続された1つ以上の追加の電極をさらに備えてもよく、電極間にはギャップが設けられて表面上の経路を画定する。
[0061] 本発明の第9の態様によれば、液体燃料デブリの流れを誘導する方法が提供される。方法は、絶縁層によって表面から分離された2つの電極の一方に電圧を印加するステップを含んでいる。2つの電極間にギャップが設けられ、表面上の経路を画定する。電圧は電極間のギャップに電位差を生じ、この電位差がギャップによって画定された経路に沿って液体燃料小滴を案内する役割を果たす。
[0062] 本発明の第10の態様によれば、EUV放射源用の燃料コレクタであって、レセプタクルと、レセプタクルの上方に位置するリザーバとを備え、リザーバに、液体燃料をリザーバからレセプタクルに排出し得る穴を設け、***リップが穴の周囲に延在し、液体燃料のレベルが***リップの高さを越えるまで、液体燃料が穴に入ることを***リップが防止する燃料コレクタが提供される。このような燃料コレクタは、本明細書に記載の本発明の態様によるいずれかの放射源と共にデブリの軽減をさらに増強するために使用されてもよい。
[0063] ***リップは非湿潤性材料から形成されてもよい。
[0064] ***リップはモリブデンから形成されてもよい。
[0065] ***リップは丸みを帯びた上表面を有していてもよい。
[0066] ***リップの高さは、液体燃料の毛管長さ以上であってもよい。
[0067] 燃料コレクタは、穴から下方に突起するリップをさらに備えていてもよい。
[0068] 下方に突起するリップは鋭角の内隅部を有していてもよい。
[0069] 本発明の第11の態様によれば、EUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された放射源であって、燃料デブリ受け面と、レセプタクルとリザーバとを備えた燃料コレクタであって、リザーバがレセプタクルの上方に位置する燃料コレクタとを備え、リザーバに、液体燃料をリザーバからレセプタクルに排出する穴を設け、***リップが穴の周囲に延在し、***リップが、液体燃料のレベルが***リップの高さを越えるまで液体燃料が穴に入ることを防止する放射源が提供される。
[0070] 本発明の第12の態様によれば、放射源収納装置であって、回転自在に取り付けられたハウジングと、ハウジングを駆動して回転させるように配置されたアクチュエータと、ハウジングの第1の部分に隣接して位置するヒータと、ハウジングの第2の異なる部分に隣接して位置するクーラとを備える放射源収納装置が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0071] 任意選択として、ハウジングの第1の部分は下向きの内表面を有していなくてもよい。
[0072] 任意選択として、ハウジングの第1の部分は、液体燃料がそこから滴下する内表面を有していなくてもよい。
[0073] ハウジングの第1の部分は回転自在に取り付けられたハウジングの最も下側であってもよい。
[0074] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分をスズの溶解温度超の温度に加熱するように配置されてもよく、クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分をスズの溶解温度未満の温度に冷却するように配置されてもよい。
[0075] クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの周囲の少なくとも2/3まで延在していてもよい。
[0076] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの周囲の少なくとも1/3未満まで延在していてもよい。
[0077] 任意選択として、ヒータとクーラとは、回転自在に取り付けられたハウジングの周囲に沿って重ならない。
[0078] 任意選択として、ヒータは、スズが下向きの表面上にあるポイントまでハウジングが回転した後でスズが液体状を保つまでハウジングの周囲には延在しない。
[0079] ハウジングの内表面に溝を設けてもよい。
[0080] 本発明の第13の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備え、さらに回転自在に取り付けられたハウジングを備える放射源収納装置と、ハウジングの第1の部分に隣接して位置するヒータと、ハウジングの第2の異なる部分に隣接して位置するクーラとを備える放射源が提供される。
[0081] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分を燃料の溶解温度超の温度に加熱するように配置されてもよく、クーラは回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分を燃料の溶解温度未満の温度に冷却するように配置されてもよい。
[0082] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分を、ハウジング上の燃料が液体状になる温度に加熱するように配置されてもよく、クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分をハウジング上の燃料が固体状になる温度に冷却するように配置されてもよい。
[0083] 本発明の第14の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するステップを含む方法であって、方法が放射源を駆動して回転させるステップと、ハウジングの一部を燃料の溶解温度超の温度に加熱するステップと、ハウジングの一部を燃料源の溶解温度未満の温度に冷却するステップとをさらに含む方法が提供される。
[0084] 本発明の第15の態様によれば、燃料コレクタは、入口と貯蔵部とを設けたレセプタクルと、入口を通過する燃料がオブジェクトの表面に入射するようにレセプタクル内に配置されたオブジェクトと、表面上に収集された燃料を貯蔵部に移送するように構成された燃料移送機構とを備えるEUV放射源用の燃料コレクタが提供される。このような燃料コレクタは、本明細書に記載の本発明の態様によるいずれかの放射源と共にデブリの軽減をさらに増強するために使用されてもよい。
[0085] このような配置によって、相当量の燃料を貯蔵部に周期的に貯蔵することが可能になる。有利には、それによって単一の石筍がレセプタクル内に形成されることが防止され、レセプタクルの充填速度が向上する。
[0086] オブジェクトの温度は燃料の融点未満でよい。オブジェクトの温度は、オブジェクト上に入射した液体燃料が貯蔵部に移送される前に凝固し得るような温度でよい。
[0087] 燃料移送機構は、表面上に収集された燃料を周期的に貯蔵部に移送するように配置されてもよい。燃料は所定の期間後に、あるいは十分な量の燃料がオブジェクト上に入射された際に貯蔵部に移送されてもよい。
[0088] オブジェクトは低湿潤材料から形成されてもよい。特に、オブジェクトは、それが収集したい燃料に対して湿潤性が低い材料から形成されてもよい。燃料コレクタは、スズの収集に特に適していてもよく、オブジェクトはモリブデンから形成されてもよい。
[0089] オブジェクトは、第1の位置と第2の位置との間で移動するように動作可能であってもよい。第1の位置と第2の位置との間でのオブジェクトの移動が燃料移送機構を提供してもよい。例えば、オブジェクトが第2の位置に配置されると、その上に堆積された燃料は重力で貯蔵部に滴下し得る。オブジェクトは、燃料が表面上に入射すると、オブジェクトが第1の位置から第2の位置の方向に移動するように配置されてもよい。
[0090] オブジェクトは、第1の位置へと弾性偏倚されてもよい。オブジェクトは板ばねを備えていてもよく、又は独自の弾性偏倚力を備えていてもよい。
[0091] オブジェクトは片持ち梁構造を備えていてもよい。
[0092] オブジェクトはホイールを備えていてもよく、ホイールの回転が燃料移送機構を提供してもよい。
[0093] オブジェクトは棚を備えていてもよく、棚を掃き出す部材が燃料移送機構を提供してもよい。
[0094] 燃料コレクタは、エアロックを形成するように配置された第1及び第2のバルブをさらに備えていてもよい。
[0095] 本発明の第16の態様によれば、EUV放射源用の燃料コレクタであって、レセプタクルを備え、該レセプタクルの入口を通って燃料が通過するように配置された表面を設け、該表面が収集したい燃料に対して湿潤性が低い材料から形成され、表面の温度が燃料の溶解温度未満であり、表面がスライドを形成するように水平に対して傾斜される燃料コレクタが提供される。このような燃料コレクタは、本明細書に記載の本発明の態様によるいずれかの放射源と共にデブリの軽減をさらに増強するために使用されてもよい。
[0096] このような配置によって、相当量の燃料をレセプタクルの貯蔵部に周期的に貯蔵することが可能になる。液体燃料は表面に入射すると凝固し、表面に弱くだけ付着する。十分な量の固体燃料が堆積すると、重力で表面から滑落する。有利には、それによって燃料がレセプタクルに付着することを防止することができ、レセプタクルをより容易に空にすることが可能になる。
[0097] 燃料コレクタは、真空バルブでよい1つ以上のバルブを備えていてもよい。
[0098] 第1のバルブは、レセプタクルの入口端部の方向に配置されてもよい。EUV源の定常動作中に第1のバルブは開放されてもよく、燃料がレセプタクル内に入ることが可能になる。燃料をレセプタクルから除去できるように、第1のバルブはレセプタクルをEUV源から遮断するために周期的に閉鎖されてもよい。
[0099] 燃料コレクタは出口を備えていてもよい。それによって燃料をレセプタクルから除去することが可能になる。出口はレセプタクルの下部に位置してもよい。
[00100] 第2のバルブは、レセプタクルの出口に位置していてもよい。EUV源の定常動作中に第2のバルブが閉鎖されて、レセプタクルがEUV源と実質的に同じ圧力に維持されるようにしてもよい。燃料をレセプタクルから除去できるように、第2のバルブは周期的に開放されてもよい。
[00101] 第1及び第2のバルブはエアロックを形成してもよい。
[00102] 適切な場合は本発明の異なる態様の異なる特徴を組み合わせてもよい。
[00103] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思い付くであろう。
[00104] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は本発明を図示し、説明とともに、さらに本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
[00105]本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。
[00106]リソグラフィ装置のより詳細な概略図である。
[00107]本発明の実施形態による放射源を上から見た概略図を示す。
[00108]図3の放射源を片側から見た概略図を示す。
[00109]本発明の実施形態による表面に形成されてもよい溝の概略図を示す。
[00110]溝によって定められる角度を変更する効果を示したグラフである。
[00111]本発明の実施形態による傾斜溝を概略的に示す。
[00112]溝によって定められる角度を変更する効果を示したグラフである。
[00113]溝の傾斜角を変更する効果と、溝の深さを変更する効果と、を示したグラフである。
[00114]発明の実施形態による燃料キャッチャ22を概略的に示す。
[00115]本発明の実施形態による放射源の一部を概略的に示す。
[00116]図11の放射源の一部をより詳細に示した概略図を示す。
[00117]図11に示したベーンの曲率を示したグラフである。
[00117]図3及び図4に示した覆設バーを示した図である。
[00118]液体燃料ガイド装置を上から見た概略図を示す。
[00119]図15の液体燃料ガイド装置の断面概略図を示す。
[00120]図15の液体燃料ガイド装置の動作中の概略図を示す。
[00121]放射源の一部でよい本発明の実施形態による燃料コレクタを概略的に示す。
[0100]本発明の実施形態による放射源の一部の部分断面概略図を示す。
[0101]図19に示した実施形態による放射源の一部の断面概略図を示す。
[0102]本発明の実施形態による燃料コレクタの断面概略図を示す。
[0103]本発明の代替実施形態による燃料コレクタの断面概略図を示す。
[0104] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号が全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことでさらに明白になろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。ある要素が最初に出現する図面は、対応する参照番号の左端の1つ又は複数の数字によって示される。
[0105] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
[0106] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
[0107] 本発明の実施形態はハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組合せで実施することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサで読み取り、実行することができる機械可読媒体に記憶した命令として実施することもできる。機械可読媒体は、機械(例えば、計算デバイス)で読み取り可能な形態で情報を記憶するか、又は伝送する任意の機構を含むことができる。例えば、機械可読媒体は読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、及びその他を含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を、本明細書では特定の行為を実行するものとして記述することができる。しかしながら、このような記述は便宜的なものにすぎず、このような行為は実際には計算デバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスの結果であることを認識されたい。
[0108] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
[0109] 図1は、本発明のある実施形態による放射源SOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持することができるように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSと、を備える。
[0110] 照明システムILは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型等の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0111] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
[0112] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0113] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0114] 照明システムのような投影システムPSは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型等の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を設けてもよい。
[0115] 本明細書で示すように、装置は、(例えば反射型マスク及び/又は反射型光学系を使用する)反射型である。
[0116] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0117] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから極端紫外線放射ビームを受光する。EUV放射を生成する方法は、少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム又はスズを有する燃料材料を、EUV範囲の1つ以上の輝線を有するプラズマ状態に変換するステップを含むが、必ずしもこれに限定されない。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多いそのような1つの方法では、必要な輝線放出元素を有する物質の小滴、流れ、又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することで必要なプラズマを生成できる。放射源SOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(図1には示さず)を含んでもよい(放射源及びレーザは共に放射システムを形成する)。結果として得られるプラズマは、放射源内に配置された放射コレクタを用いて収集される出力放射、例えば、EUV放射を放出する。レーザ及び放射源は、例えば燃料を励起するためのレーザビームを提供するためにCO2レーザが使用される場合には別個の要素であってもよい。
[0118] このような場合、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いてレーザビームはレーザから放射源へ渡される。
[0119] 放電生成プラズマ(「DPP」)と呼ばれることが多い代替方法では、放電を用いてEUV放出プラズマが生成され、燃料が気化される。燃料はEUV範囲に1つ以上の輝線を有するキセノン、リチウム、又はスズなどの元素でよい。放電は、放射源の一部を形成してもよく、又は電気接続を介して放射源に接続される別個の要素であってもよい電源によって生成されてもよい。
[0120] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面に所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0121] EUV放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAに反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせしてもよい。
[0122] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0123] 1.ステップモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
[0124] 2.スキャンモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
[0125] 3.別のモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
[0126] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0127] 図2は、放射源SOと、照明システムILと、投影システムPSとを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示す。放射源SOは、放射源SOの閉鎖構造220内に真空環境が維持されるように構築され、配置される。EUV放射放出プラズマ210は、レーザ又は放電生成プラズマ放射源によって形成されてもよい。EUV放射は、超高温プラズマ210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲内の放射が放出される例えばキセノンガス、リチウム蒸気、又はスズ蒸気などの気体又は蒸気によって生成されてもよい。超高温プラズマ210は、例えば少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生じる放電によって、又は燃料小滴のレーザビーム励起によって生成される。放射を効率的に生成するには、キセノン、リチウム、スズ蒸気、又はその他の適切な気体又は蒸気の、例えば10Paの分圧が必要である場合がある。ある実施形態では、EUV放射を生成するために励起したスズ(Sn)が提供される。
[0128] 高温プラズマ210によって放出された放射は、放射源チャンバ211から、放射源チャンバ211内の開口内、又はその裏側に位置する任意選択のガスバリア又は汚染物トラップ230(場合によっては汚染物バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介してコレクタチャンバ212内に送られる。汚染物トラップ230はチャネル構造を含んでもよい。汚染物トラップ230はまた、ガスバリア又はガスバリアとチャネル構造との組合せを含んでもよい。汚染物トラップ又は汚染物バリア230はさらに、本明細書では少なくとも当技術分野で公知のようにチャネル構造を含むことが示されている。
[0129] コレクタチャンバ212は、いわゆる斜入射コレクタであってもよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251と、下流放射コレクタ側252とを有する。コレクタCOを横切る放射は、格子スペクトルフィルタ240から反射して、仮想放射源ポイントIFで合焦することができる。仮想放射源ポイントIFは一般に中間焦点と呼ばれ、放射源は、中間焦点IFが閉鎖構造220内の開口221に、又はその近傍に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ210の像である。
[0130] その後、放射は、パターニングデバイスMAでの放射ビーム223の所望の角度分布とパターニングデバイスMAでの放射強度の所望の均一性とを提供するように構成されたファセット型フィールドミラーデバイス222及びファセット型瞳ミラーデバイス224を含んでもよい照明システムILを横切る。支持構造MTに保持されたパターニングデバイスMAで放射ビーム223が反射すると、パターン付ビーム226が形成され、パターン付ビーム226は、投影システムPSによって、反射要素228、229を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
[0131] 一般に、照明光学系ユニットIL及び投影システムPS内には図示したよりも多くの要素があってもよい。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに応じて任意選択で備えられてもよい。さらに、図示した以上のミラーがあってもよく、図2に示した以上の、例えば1〜6個の追加の反射要素が投影システムPS内にあってもよい。
[0132] 図2に図示されるように、コレクタ光学系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の例と同様に斜入射リフレクタ253、254及び255を有する入れ子式コレクタ光学系として示されている。斜入射リフレクタ253、254及び255は、光軸Oを中心に軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学系COを、DPP源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ源と組み合わせて使用してもよいが、燃料小滴が例えばレーザビームエネルギーでプラズマ状態に励起されるレーザ生成プラズマと組み合わせて使用してもよい。
[0133] 本発明の実施形態による代替放射源SOが図3及び図4に概略的に示されている。図3では上から見た、又、図4では片側から見た放射源は、LPP放射源である。
[0134] 放射源SOは、燃料小滴をプラズマ形成位置12に給送するように構成された燃料小滴エミッタ10を備えている。レーザLAは、レーザエネルギーがプラズマ形成位置12で燃料小滴に蓄積することによって、数10eVの電子温度の高電離プラズマ14を形成するように配置されている。これらのイオンの脱励起及び再結合中に生成されるエネルギー放射はプラズマ14から放出される。このエネルギー放射はEUV放射を含んでいる。放射は近垂直入射コレクタ光学系COによって収集され、中間焦点IFに合焦され、放射はそこからリソグラフィ装置の照明システムILに入る(図1及び図2を参照)。
[0135] 放射源SOは、制御された環境がその内部に備えられるハウジング16をさらに備え、プラズマ形成位置12とコレクタ光学系COはハウジング内に位置している。環境の制御は、例えばハウジング16内の所望の圧力を与え、及び/又は所望の圧力で1つ以上の所望のガスを供給することを含んでもよい(所望の圧力は大気圧よりも大幅に低くてもよく、したがって真空であると見なしてもよい)。ハウジング16の一端に開口18が設けられ、開口の位置は中間焦点IFの位置に実質的に対応している。レーザ放射がレーザLAからハウジング内に入ることができるように、開口20(又はウィンドウ)がハウジングの反対端に設けられている。開口20は、レーザビームが放射源SOの光軸Oと角度を成すように、例えばハウジングの側面などの任意の適切な位置にあってよい。(当技術分野で公知のように、燃料を励起するための別のメインパルスレーザ、及び/又は燃料を蒸発させるためのプレパルスレーザなどの)プラズマを生成するために必要なさらに別のレーザ用の別の開口を設けてもよい。
[0136] 放射源SOは、放射源のハウジング16の内部にわたって実質的に水平に延在し、光軸Oと相互作用するバー60を含んでいる。バー60は、レーザLAによって放出されたレーザ放射を遮断することによって、レーザ放射がリソグラフィ装置のイルミネータIL及び投影システムPSの表面に直接入射することを防止する役割を果たす(図1及び図2を参照)。覆設バー60と呼んでもよいバー60は、以下により詳細に説明する。
[0137] 以下の説明では、燃料小滴エミッタ10から放出される燃料はスズである。しかしながら、例えばキセノン又はリチウムなどの他の燃料を使用してもよい。
[0138] 燃料小滴エミッタ10は、連続動作するように構成されてもよい。すなわち、燃料小滴エミッタ10は、燃料(例えばスズ)の溶解温度超の温度に加熱されてもよく、その温度に保たれて、燃料小滴エミッタの交換が必要になるまで連続的に燃料の小滴を放出してもよい。その結果、レーザ放射がレーザLAによって放出されずに、燃料小滴が燃料小滴エミッタ10によって連続的に放出される期間があってもよい。燃料小滴エミッタ10とは反対側の放射源SO上に燃料キャッチャ22が設けられる。燃料キャッチャ22は、燃料小滴エミッタ10によって放出されたが、レーザ放射によって未だ気化されていない燃料小滴を受け、これを保持すように構成されたチューブなどの容器を備えていてもよい。
[0139] 複数のベーン24a〜dがハウジング16から延在している。ベーンは、例えばモリブデン製でもよく、又はスズのガルバニメッキを施したステンレス鋼製でもよい。ベーンには、入射する液体スズを保持する表面(すなわち燃料材料にとって良好な湿潤面)を設けてもよい。(例えばスズのガルバニメッキによって得られた)スズの表面は、表面が液体スズの状態を保つように液体との親和性をもたらす。ベーンには、放射源の動作温度で液体にそれほど反応しない表面を設けてもよい。例えば、ステンレス鋼製のベーンの場合は、ベーンは(スズが液体状を保つ温度である)250℃超の温度に保たれてもよく、400℃未満の温度に保たれてもよい。モリブデン製のベーンの場合は、ベーンは250℃超の温度に保たれてもよく、(放射源の圧力で沸点であってよい)約1100℃未満の温度に保たれてもよい。ベーンは、任意の適切な加熱装置(図示せず)を用いて加熱されてもよい。
[0140] 図3には2つのベーン24a、bだけが、又、図4には2つのベーン24c、dだけが示されているが、4つ以上のベーンを備えてもよい。例えば、ベーンをハウジング16の内壁の周囲に配分してもよい。例えば、ハウジング16の内壁の周囲の20以上のベーン、40以上のベーン又は60以上のベーンを配分してもよい。ベーン24a〜dは、全般的にハウジング16から径方向内側に延在していてもよい。ベーン24a〜dは、径方向に対して1つ以上の角度を成してもよい。ベーン24a〜dは平坦でもよい。あるいは、ベーンはある程度の湾曲を含んでいてもよい。(図4に示すように)例えばハウジング16が角度を有する上向きであることを考慮に入れて、異なるベーン24a〜dは径方向に対して異なる形状及び/又は角度を有していてもよい。ベーン24a〜dの一端には排出溝27が位置している。排出溝27は、ドレン(図示せず)に接続されてもよい。ベーン24a〜dは、排出溝27とは反対側のベーンの端部に位置してもよい支持構造29を含んでいてもよい。
[0141] ハウジング16からは反射構造26も延在している。反射構造26は、中間焦点IFの近傍に位置し、EUV放射を反射するように構成されている。コレクタ光学系COに入射する放射の一部は一般に中間焦点IFへと合焦されてもよいが、中間焦点IFを通過するほど十分に強く合焦されなくてもよい。この放射は反射構造26に入射する。反射構造26は、例えばこの放射をハウジング16へと後方反射することによって、強く合焦されない放射が開口18を通って照明システムILへと入る可能性を低減するように配置されてもよい(図1及び図2を参照)。反射構造26は、例えば中間焦点IFの近傍のハウジング16の実質的に周囲に延在する一連のベーンを備えていてもよい。反射構造26は略円錐台の形状を有していてもよい。
[0142] さらに上述したように、プラズマ形成位置12に給送されるスズ小滴は、レーザLAによって放出されたレーザビームによって気化され、放射放出プラズマ14を生成する。しかしながら、スズ小滴の気化は不完全であり、その結果、残留スズの小滴がプラズマ14の形成後も残ることがある。これらの残留スズ小滴がコレクタ光学系COに入射し、又は開口18を通って照明システムILに入る可能性を低減することが望ましい。ベーン24a〜dは、残留スズ小滴を受けるトラップの役割を果たし、したがって燃料デブリの受け面の例である。
[0143] ベーン24a〜d(又は放射源SOのその他のベーン)は、加熱装置によって加熱されてもよい。ベーン24a〜dは、スズの溶解温度超の温度(例えば約230℃以上、例えば約250℃以上)に加熱されてもよい。その結果、ベーン24a〜dに入射する残留スズ小滴は液体の形態に留まり、ベーンに沿って、又はこれを横切って流れることがある。排出溝27はベーン24a〜dからの液体スズを受け、液体スズをドレン(図示せず)へと誘導する。
[0144] ベーン(例えばベーン24a〜d)の温度はスズの蒸発温度(例えばかなりの蒸発が生じる温度)未満でよい。これは放射源内の圧力に左右され、例えば1100℃〜1600℃の範囲でよい。蒸発したスズは光学面などの放射源SO内のその他の面(又は別の面)上に移動し、そこで凝結することがあるため、スズが蒸発しないことが好ましい。
[0145] 図4から分かるように、放射源SOは角度のある上向きであるため、幾つかのベーン24cはコレクタ光学系COの上方に位置している。ベーン24の表面には溝が設けられ、この溝は線28で概略的に示されている。溝28は、液体スズの流れを重力で排出溝27の方向に向けるような配向を有している。したがって溝28は、液体スズがベーン24cからコレクタ光学系CO上に滴下する可能性を低減する。スズがコレクタ光学系CO上に累積すると、コレクタ光学系COの反射性を不都合に変更することがあるため、このことは有利である。
[0146] したがって、ベーン24を固定的な燃料デブリ受け面の例であると見なしてもよい。壁、ベーンの間、覆設バーの表面などの放射源内の別の固定燃料デブリ受け面に溝を設けてもよい。
[0147] ベーンの最も下の縁部の近傍に位置する液体小滴は、ベーンから滴下する可能性が最も高い。その結果、ベーンの最も下の縁部に、又はそれに隣接して溝を設けることが有利である。また、放射源の動作中にデブリを受ける可能性が最も高いベーンの1つ又は複数の位置に溝を設けることも有利である。
[0148] 溝は、毛管作用、及び/又は吸い上げ作用をもたらし、それによって液体燃料が溝内に流れることを促進し(且つ液体燃料が溝を横切って流れることを抑止する)断面形状を有していてもよい。溝は例えばv字形の断面を有していてもよい。あるいは溝は、各々が例えば約90°の角度を成す2つの隅部を有する矩形の断面を有していてもよい。この場合は、2つの隅部は、毛管作用及び/又は吸い上げ作用を生じる力をもたらし得る。溝は、例えば毛管作用及び/又は吸い上げ作用をもたらし得るその他の適切な形状を有していてもよい。例えば、隅部は溝に沿って縦方向に延在し、隅部が毛管作用及び/又は吸い上げ作用を生じるようにしてもよい。
[0149] ベーン24上の溝28の集合は、互いに実質的に平行に延在する溝を含んでいてもよい。実質的に平行な溝は直線的でも湾曲していてもよく、又、両方の組み合わせでもよい。溝は相互接続されてもよい。
[0150] 各ベーン24上には3つの溝28だけが示されているが、これは単に概略的な例である。各ベーン24上には3つ以上の溝を設けてもよい。例えば、各ベーン24上に10以上、又は20以上の溝を設けてもよい。隣接するベーン間の間隔は例えば6mm以下でよい。6mmは液体スズ用の毛管の長さの2倍である(毛管の長さとは、毛管作用がスズを溝内に引き込むことができる溝からの最大距離を意味するものである)。したがって、2つの溝が6mmだけ離間されている場合は、これらの溝間の表面全体は溝の1つの毛管長さ内に収まることができる。隣接する溝間の間隔(すなわち液体スズ用の毛管長さ)は例えば約3mmでよい。隣接する溝間の間隔は例えば1mm以下でよい。約1mmの間隔は全体に溝を設けた表面を効果的に作製可能である。
[0151] 溝の深さは例えば最大0.1mmでよい。溝の深さは最大0.2mm、最大0.5mm、又は最大2mmであってよい。溝の深さは例えば0.5mmでよい。
[0152] 溝がv形の断面を有している場合は、溝の幅はその深さと開き角によって決定される。溝(例えばv形溝)の幅は例えば少なくとも0.1mmでよい。溝(例えばv形溝)の幅は例えば最大0.2mm、最大0.5mm、又は最大2mmでよい。
[0153] 溝が矩形の断面を有している場合は、溝の幅はその深さに左右される。それによって、溝により得られる排液能力を高めるためにより広い幅が得られる。矩形の溝の幅は例えば最大0.2mm、最大0.5mm、又は最大2mm、又は最大10mmでよい。矩形の溝の幅は例えば少なくとも0.1mmでよい。
[0154] 図5は、例えば本発明の実施形態による放射源SOの内部のベーン面又はその他の面に形成されてもよいv形溝の断面を概略的に示している。v形溝28は、例えばベーンの表面に平行でもよいx方向に対して示されている。x方向に対する法線も示されている。v形溝28は開き角βを有している。v形溝28の各側面はx方向に対して、2α+β=180°になるような角度α(以下仰角と呼ぶ)を成している。v形溝は、深さh0を有している。
[0155] 図5には、(その他の液体燃料も考えられるが)液体スズ30も示されている。液体スズ30は、曲率半径Rを有するメニスカス32を有している。メニスカスは、これがv形溝28の表面と接触する位置で角度θを成している。
[0156] 溝内の液体小滴の毛管作用は、小滴の湿潤前面を前進させる(すなわち小滴が溝内で散開する)ことができる。小滴の湿潤前面のこのような前進の特性を以下の式で示してもよい。
[0157] 但し、Dは小滴の湿潤前面の前進速度の特性を示す輸送係数、σは液体の表面張力、h0は溝の深さ、μは液体の動的粘度、及びKは仰角αと、液体が移動を開始する前のメニスカスと溝との間に形成される角度θ0との幾何関数である。上式から分かるように、輸送係数DはKに比例する。
[0158] 図6は、仰角α(αはラジアンで示される)の関数としてKがどのように変化するかを示したグラフである。図6に見られるように、Kは約70°の仰角αで最大値を通る(図6の水平目盛で約0.77)。これは約40°の溝の開き角βに相当する。したがって、v形溝内のスズ小滴の毛管作用は、溝の開き角が約40°で最大になり得る。図6から分かるように、その他の開き角βでもかなりの毛管作用を生じ得る。溝の開き角βは例えば30°〜50°の範囲でもよく、例えば20°〜60°の範囲でもよい。
[0159] 溝内に流入する液体に対する溝の形状が及ぼす作用についてのより詳細な情報は、本明細書に参照として組み込まれるL.A. Romero他著、流体力学ジャーナル(1996年)第322巻、109〜129ページに記載されている。
[0160] 上に説明したように、v形溝28によって得られる毛管作用は、溝に沿ってスズ小滴を散開させ得る。さらに、v形溝28は、液体スズを周囲領域からv形溝内に引き込むことができる。このことは例えば、液体スズ小滴の一部が溝と重なり、液体スズ小滴の一部が溝と重ならない場合に起こり得る。溝内の液体スズによって生じる力に起因する吸い上げ作用は、小滴を溝内に引き込む。毛管作用を介した溝内への液体スズ小滴のこのような引き込みは、液体スズ小滴が溝を横切って流れることを防止又は抑止するので有利である。
[0161] 図4を参照すると、液体スズがコレクタ光学系COの上方に位置するベーン24c上で受けられると、その液体小滴は重力によってベーンの底縁部に向かって下方に流れるように付勢される。溝28がなければ、液体スズがベーン24cから滴下してコレクタ光学系CO上に入射する危険が生じる。しかしながら、液体スズが溝28(例えばv形溝)を越えて流れると、溝によって得られる毛管作用が液体スズを溝内に引き込み、液体が下方に、ベーン24cを横切って流れることを抑止する。溝28は液体スズの流れを重力の影響で排出溝27方向に誘導する。したがって、ベーン24cは、液体スズを受け、その液体スズを溝28を介して排出溝27に誘導するように構成される。重力に加えて、溝28内の毛管作用はまた、液体スズの流れを排出溝27に向かって押しやることもできよう。
[0162] 溝の断面が矩形である場合は、溝の側壁による流れ抵抗が、流体が溝を横切る方向に溢れることを防止する(すなわち流れ抵抗が流体を溝内に保持する)。流体は溝の方向に流れ、重力の影響で溝に沿って誘導される。矩形の溝に沿って延在する隅部も毛管作用及び/又は吸い上げ作用を引き起こし得る。一般に、溝に沿って延在する隅部(すなわち縁部)は、毛管作用及び/又は吸い上げ作用を引き起こし得る。
[0163] 図4の右側のベーン24d内の溝28も、液体スズが排出溝27に流入するように液体スズの流れを促進する。この場合は、ベーンは光学系COの上方には延在しておらず、上記のベーン24cよりも垂直に近い向きにある。したがって溝28は、液体スズがコレクタ上に滴下することを防止する必要がない。それにも関らず、溝28は液体の流れを重力の影響で排出溝27へと誘導し得る。
[0164] 一般に、溝28は、溝が液体スズを重力の影響で排出溝27へと誘導するような向きにある。溝28は、溝がない場合よりも迅速に液体スズが流れるように構成されてもよい。それによってベーン24は、液体スズがベーンを満たしたり、余分な液体スズがコレクタ光学系CO(又はその他の表面)上に滴下させたりせずに、そうしない場合に可能な流量よりも多くの流量で液体スズを受けることが可能になる。
[0165] ベーン24によって受けられた液体スズの流れに対する重力の作用は、以下に検討する。図7は矢印34で示すように、重力がv形溝に沿った液体スズ30の流れを促進するように傾斜したv形溝28を概略的に示している。下向きの矢印gは重力を概略的に示している。水平に対する溝28の角度ψも概略的に示されている(この角度は以下では、重力の垂直方向に対する角度(90°−ψ)として表すこともできる傾斜角ψと呼ばれる)。図7に示す状況では、液体スズ30は、重力によって誘発される圧力勾配p7によりv形溝28を通って流れることができる。液体スズの体積流束q(すなわち液体スズの流速)は、以下により得られる。
但し、hは溝の深さ、μは液体スズの動的粘度、Гは、仰角αと、液体スズが移動を開始する前のメニスカスと溝との間に形成される角度θ0と、の幾何関数、ρは液体スズの濃度、gは重力による加速度、及びψは溝の傾斜角である。重力による溝に沿った液体の流れに関する追加情報は、上にも記載したRomero他の論文に記載されている。
[0166] 図8は、溝の仰角αの関数として幾何関数Гがどのように変化するかを示したグラフである。図から分かるように、幾何関数Г、したがって(この関数に比例する)体積流束は仰角αが小さい場合に最大になり、仰角αが増大すると低減する。
[0167] 図8は図6と組み合わせて、溝によって得られる液体スズの体積流束と、(仰角αの作用により)溝によって得られる毛管作用との間には兼ね合いがあることを示している。約70°の仰角αによって液体は溝内に強く引き込まれ、液体小滴はその溝に沿って速やかに散開する。しかしながら、約70°の仰角αは、(図8に示すように)例えば20°の仰角αと比較して溝に沿った液体の流量を大幅に低減させることがある。
[0168] 式(2)から分かるように、液体の体積流束は溝の深さの4倍に及ぶ。したがって、溝の深さは体積流束に仰角αよりも強く影響する。このことは、異なる2つの深さの溝について、溝の傾斜角αの関数として幾何関数がどのように変化するか(図7を参照)を示したグラフである図9から分かる。溝は両方とも、70°の仰角αを有している。図から分かるように、体積流束は傾斜角ψが大きくなると共に増大する。図9のグラフは、深さが0.1mmの溝、及び深さが0.2mmの溝の場合の体積流束を示している。図から分かるように、深さが0.2mmの溝の場合の体積流束は、深さが0.1mmの溝の場合よりも体積流束が大幅に大きい。
[0169] 溝の深さが体積流束に及ぼす影響は仰角αの作用よりも強いため、ベーン24内に形成される溝は、例えば所望の毛管作用を引き起こす仰角α(例えば約70°の角度)で形成されてもよく、その後で所望の体積流束を得るための溝の深さが選択されてもよい。
[0170] 代替のアプローチでは、液体スズを保つために強い毛管作用を必要とする溝28の場合は仰角αに優先順位を与えてもよいのに対して、強い毛管作用を必要としない溝の場合は流量に優先順位を与えてもよい。図4を参照すると、コレクタ光学系COの上方のベーン24c上に位置する溝28は、強い毛管作用を必要とする溝であると見なしてもよい。放射源SOの右側のベーン24d上に位置する溝28は、(溝の向きが垂直に近いため)強い毛管作用を必要としない溝であると見なしてもよい。
[0171] 溝28がベーン24上にない場合は、掻傷などの不完全さによってスズがベーン上の所望の方向に通過することが抑止、又は妨害される可能性がある。例えば、図4でコレクタ光学系CO上方にあるベーン24c上の縦の掻傷は、液体スズが排出溝27に向かって移動することを抑止することがあり、液体の下方への移動(及び引き続きコレクタ光学系CO上への滴下)を促進する可能性がある。これは、(期待されることであるが)溝がどの掻傷よりも深ければ溝28によって防止し得る。
[0172] 溝28がない場合は、直径が10μmと10mmの間のスズ(又はその他の燃料)の小滴はベーン24上に累積する可能性がある。ベーン24内に溝があれば、ベーン24上に形成されるスズ小滴の最大サイズは、(上にも記載したように)スズを溝内に引き込む溝の吸い上げ作用により溝によって限定され得る。
[0173] 本明細書の記述では、溝28をベーン24上に設けられるものとして記載してきた。それには、ベーンの一部を形成する支持構造29上に溝を設けることも含めてもよい。
[0174] 溝を放射源SO内のその他の位置に設けてもよい。例えば、放射源ハウジング16の壁に溝を設けてもよい。ハウジングから延在するベーン24間に溝を設けてもよい。放射源SO内のいずれかの固定燃料デブリ受け面上に溝を設けてもよい。この文脈では、「燃料デブリ受け面」という用語は、放射源の動作中に燃料デブリ(例えば液体スズ小滴)を受ける表面を意味すると解釈してもよい。「固定」という用語は、放射源の動作中に表面が移動しないことを意味するものと解釈してもよい。
[0175] 溝を反射構造26上に設けてもよい。反射構造26はベーンであると見なしてもよい。溝は例えば、実質的に反射構造26の周囲に延在していてもよく、又は径方向に延在していてもよく、又は一部は径方向、一部は周方向の複合的な形状を有していてもよい。溝は、その他の任意の適切な形態を有していてもよい。溝の向きは、液体スズの流れを重力の影響で排出溝(図示せず)へと誘導するように配置された向きであってもよい。
[0176] ある実施形態では、例えば図10に概略的に示すように、スズキャッチャ22に一連のベーンを設けてもよい。ベーン36は、スズキャッチャ22の壁から内側に延在してもよく、スズキャッチャに流入した液体スズがスズキャッチャから跳ね返る確率を低減するように構成されてもよい。ベーン36には、液体スズの流れを所望の方向(例えばスズキャッチャの底面方向)に誘導するように配置された向きの溝を設けてもよい。ある実施形態では、スズキャッチャ22の内周に延在する1つ以上の螺旋をベーン36に設けてもよい。1つ以上の溝は所与の螺旋状ベーン36の実質的に全てに沿って延在していてもよい。溝は任意の適切な形態のものでよい。
[0177] 溝は放射源SO内の別の位置にベーン上に設けてもよい。
[0178] 反射構造26上、又はスズキャッチャ22のベーン36上(又はその他の表面上)に設けられた溝は、ベーン24に関して上にも記載した1つ以上の特性を有していてもよい。
[0179] 力の成分が重力により液体スズが溝に沿って流れるようにするため、溝を水平に対して傾斜させてもよい。
[0180] 溝は重力の影響で液体スズの流れを誘導するものと見なしてもよい。
[0181] 本明細書の記述では、「仰角」という用語には、溝が形成されるベーンの表面が水平でなければならないことを示唆する意図はない。
[0182] 図11は、片側から見た放射源ハウジング40の実質的に円錐形の部分を一部断面図で概略的に示している。放射源のその他の部分は図示していないが、図4に示した放射源SOの部分と対応する部分でよい。複数のベーン42がハウジング40から内側に延在している。ベーン42をハウジング40の周囲に配分してもよい。図11には7つのベーンが示されているが、これは単に概略的に示したものであり、任意の適切な数のベーンを備えていてもよい。例えば、20以上のベーン、40以上のベーン、又は60以上のベーンがハウジング40から内側に延在していてもよい。排出溝44はベーン42の底端部に位置している。スズコレクタ46は排出溝44に接続されている。
[0183] 液体スズ入口48はベーン42の上端部に、又はそれに隣接して位置している。液体スズ入口48は、液体燃料の流れをベーン42上に給送する。液体スズ入口48を経て給送された液体スズはベーン42に沿って、及び/又はベーン42の間を流れ、排出溝44内に受けられ、そこからスズコレクタ46(すなわち図3のキャッチャ22などのスズキャッチャ)に流入する。
[0184] 楕円形の点線で囲まれた図11の部分は、図12でより詳細に断面で概略的に示されている。図12には2つのベーン42が示されている。液体スズ入口48の一部も示されている。液体スズ入口48は、液体スズの流れがそれを通って給送される開口50をベーン42の間に備えている。開口50は、液体スズを開口50に給送する役割を果たす導管52に接続されている。導管52は、リザーバ又はその他の何らかの液体スズ供給源に接続されてもよい。
[0185] この場合は加熱要素54であるヒータが導管52の後部に位置している。加熱要素は、導管52とベーン42が両方ともスズの溶解温度超になることで、スズが液体状に保たれることを確実にするように導管52とベーン42とを加熱する。加熱要素54は、例えば導管52とベーン42とを250℃〜350℃の間の温度に加熱する。ハウジング壁40の一部も図12に示されている。
[0186] 使用時には、EUVリソグラフィ装置の動作中、液体スズは導管52を経て開口50に給送される。液体スズは、図12ではグレーの陰影55によって表わされている。スズは加熱要素54によって液体状に維持される。液体スズ55は開口50を通って流れると、ベーン42のスズデブリ受け面(すなわちベーンの外表面)上に給送される。それによって液体スズ55のコーティングがベーン42上に施される。液体スズのコーティングは静止せず、ベーンに沿って下方に流れる。これは図11の矢印56で概略的に示されている。液体スズのコーティングのこのような下方への流れは、少なくとも部分的には重力によるものである。液体スズがベーン42の底面に到達すると、液体スズは排出溝44に入り、次いでスズコレクタ46へと流入する。液体スズはコレクタから液体スズ入口48に戻り、それによってベーン42のスズデブリ受け面へと再導入されてもよい。液体スズ入口48は、液体スズの流れをベーン42のスズデブリ受け面に供給するように構成されてもよい。液体スズの流れは、例えば液体スズの連続的供給であってもよい。液体スズの流れは、例えばベーン42のスズデブリ受け面が液体スズのコーティングで継続的に覆われることを確実にするものであってよい。液体スズのコーティングは、ベーン42のスズデブリ受け面が良好な湿潤面であることを確実にするものであってよい。
[0187] 「湿潤」という用語は、液体面と固体面との接合時の分子間相互作用に起因して、液体が固定面との接触を維持する能力のことを指す。液体と固体との粘着力は、固体面を横切って液滴を散開させる傾向がある。液体内の凝集力は、液滴を球形の形状にして、固体面との接触を回避させる傾向がある。上にも記載したように、EUVリソグラフィ装置では、液体スズのデブリをデブリ受け面上に維持することが望ましく、逆に液体スズのデブリがデブリ受け面上から滴下することが望ましくないことがある。したがって、デブリ受け面が良好な湿潤面であることを確実にすることが望ましい。
[0188] ベーン42はステンレス鋼製でよい。ステンレス鋼の湿潤特性は劣っていることがある。したがって、ベーン42のデブリ受け面はスズの層で事前コーティングされてもよい(スズの湿潤特性は良好である)。しかしながら、それは、EUVリソグラフィ装置の動作中に、ステンレス鋼の表面に被覆されたスズ層が流出し、ステンレス鋼の表面が露出された領域になる場合がある。ステンレス鋼の表面のこのような露出領域は、ステンレス鋼の湿潤特性が劣っているため、排出溝44への液体スズのデブリの流れを妨げることがあるため望ましくない。例えば、露出したステンレス鋼の領域は液体スズの流れを抑止し、そのため液体スズが露出したステンレス鋼の領域の上に累積することがある。このようなスズの累積は、スズが重力によりベーンから滴下するのに十分に多い可能性がある。これは、例えば液滴が放射源SOのコレクタ光学系CO上に入射し(図4を参照)、それによってコレクタの有効性を損なうため望ましくない。
[0189] 図11及び図12に示す本発明の実施形態は、液体スズのコーティングがベーン42上に維持されるように、液体スズが液体スズ入口48を通って液体スズが流れるようにすることによって上記の問題を解決するものである。液体スズはベーンのステンレス鋼が露出することを防止、又は抑止する。したがって、ベーン上には良好な湿潤面(すなわち液体スズ)が存在する。良好な湿潤面は、液体スズのデブリが排出溝44(図示せず)へと流れるように、液体スズのデブリがスズのコーティングとして制御されて流れることを促進する。以下にさらに記載するように、液体スズを別のデブリ受け面上に施してもよい。
[0190] 液体スズ入口48は、図12に概略的に示すように、ベーン42の間に位置する開口50を備えていてもよい。各ベーン42の間には1つの開口50しか示されていないが、ベーンの間に複数の開口を設けてもよい。ある実施形態では、液体スズ入口48に1つ以上のアレイの微細孔を設けてもよい。微細孔の直径は、例えば100μm程度でよい。液体スズ入口48は、ハウジング40の周囲に配分された一連の開口を備えていてもよい。開口50は、例えばベーン42の間、又はベーンに隣接して位置していてもよい。開口50は、例えばベーン42の上端部に、又はそれに隣接して位置していてもよい。開口を任意の適切な位置に設けてもよい。液体スズ入口48は任意の適切な形態のものでよい。
[0191] 液体スズ入口48は、燃料デブリ受け面、例えば燃料デブリ受け面上の直の開口に、又は(液体スズがその表面を越えて、燃料デブリ受け面上に流れるように)燃料デブリ受け面に接続された表面上の開口に接続されてもよい。液体スズ入口48は、例えば液体スズが重力の影響で燃料デブリ受け面に滴下するように、燃料デブリ受け面から離間した1つ以上の開口を備えていてもよい。燃料デブリ受け面に滴下する連続的な流れの形態の液体スズは、デブリ受け面上への液体燃料の流れの例であると見なしてもよい。
[0192] ベーン42は、放射源の光軸に向かって径方向内側に延在していてもよい。ベーンは凹面の形状を有していてもよい。ベーンは鋭利な先端を有していてもよい。ベーンは、径方向に対して垂直な表面を最小限にすることによって、デブリがベーンから放射源内に直に跳ね返る確率を最小限にするように配置された形状を有していてもよい。ベーンは図11に示すように直線的でもよく、湾曲していてもよい。
[0193] ベーン42には、液体スズ55をベーンの先端から引き離す不均一な毛管圧を引き起こす湾曲した表面を設けてもよい。これは、大量の液体スズ55がベーン42の先端に蓄積することを防止すると共に、ベーン上の液体スズのコーティングを維持することによって、良好な湿潤面を維持するので有利である。
[0194] 図13は、使用可能なベーンの輪郭の例を示す図表である。図13ではベーン42は下方に延在し、放射源(図示せず)の内部は図表の線の下にある。開口50は図表には示されていない(開口は例えば図表に示すベーンの輪郭の上流側にあってもよい)。ベーン42の曲率はベーンの先端で最高であり、ベーンの先端からの距離が増すほど低減する。この曲率の結果、約0.7mbar/mmである液体スズの(コーティングと見なしてもよい)スズ層の毛管圧の勾配が生じる。これは重力の作用による圧力勾配とほぼ同じ大きさである。したがって、図13の図表に示したベーン42の形状は、重力がベーンの先端に液体スズを累積させることを抑止又は防止する。その代りに、液体スズ55のコーティングがベーンの先端の近傍に施され、残りの液体スズは隣接するベーン42間の空間45内に引き込まれる。液体スズ55のコーティングの厚さは、例えば約100μm以下でよい(ベーンの先端からの不都合な滴下は、コーティングの厚さがこの値を優に超える場合に起こり得る)。
[0195] 図13から分かるように、ベーン42の両側には、このベーンが隣接するベーンと接触する位置に隅部43がある。ベーン42間の空間45は溝45であると見なしてもよい。隅部43の近傍では、ベーン42の輪郭は実質的に直線状である。したがって溝45の隅部43は、隅部43の近傍の輪郭形状とともにv形溝を形成する。溝45のv形は、液体スズ内に毛管圧を生じ、これが液体スズを溝内に引き込むことによって液体スズを保持する。毛管圧はまた、液体スズが溝45によって散開することを促進し、液体スズの充填レベル58を確立させる(図12を参照)。
[0196] 図12及び図13に示す実施形態のベーン42は、6mm以下だけ離隔される。上にも記載したように、6mmは液体スズの場合の毛管長さの2倍である(他の燃料の場合は、毛管長さは異なることがある)。ベーン42間の所与の離隔距離で、ベーンの高さは、曲率勾配がベーンの先端の近傍で確立されることによって、ベーンの先端に液体スズが累積することを防止又は抑止するように選択されてもよい。したがって、約6mmだけ離隔されたベーン42の場合は、ベーンの高さは約3mmでよい。これは、ベーン42の先端から液体スズを引き離す毛管圧を生じる不均一な曲率に適応するのに十分な高さである。ベーン42の高さは任意の適切な高さでよい。ベーン42の高さの選択には、ベーン42に入射した液体スズの後方散乱を低減又は防止する程度を考慮に入れてもよい(高さが増すと、後方散乱の低減又は防止により効果的である)。ベーン42の高さは、液体スズの毛管長さ程度でよい。
[0197] 上記のように、ベーン42間の離隔距離は6mm以下でよい。ベーン間の離隔距離が短いいと製造がより困難になり、したがって製造可能性がベーン42間の離間距離を縮小できる程度を制限することがある。さらに、ベーン間の離間距離がより短くなると、(所与のベーン高さで)ベーンに与えることができる曲率勾配が低減する。
[0198] ベーン42間の溝45は、液体スズの流れを重力の影響で排出溝44に向かって誘導する向きを有している。溝45は、入射する液体スズのデブリを捕捉し得る。
[0199] ベーン42の先端の近傍の液体スズ55のコーティングのある部分を液体スズ入口48から供給される液体スズによって施し、液体スズのコーティングの別の部分を液体スズデブリによって施してもよい。液体スズデブリがベーン42に入射すると、余分な液体スズは毛管圧によって自動的にベーンのベースへと引き込まれる。次いで余分な液体スズはベーン42のベースに沿って流れる液体スズと合流し、排出溝44へと案内される。
[0200] 図12を再び参照すると、ベーン42の曲率は、液体スズ55がベーンのベースで累積する傾向があるような曲率である。液体スズ55は、液体スズが液体スズ入口48によって供給される速度により少なくとも部分的に決定されるレベル58までベーンのベースの領域を充填してもよい。液体スズが液体スズ入口48によって供給される速度は、所望の充填レベル58が得られるように選択されてもよい。例えば、液体スズ55は、1mm以下(又はその他のいずれかの値)の充填レベルをもたらす速度で液体スズ入口48を経て供給されてもよい。液体スズ入口48を経て過剰な液体スズ55が供給されることは、必要以上に高い充填レベル58を引き起こし、したがって例えばスズのベーン42からの滴下を引き起こすため好ましくない。液体スズ55は、ベーン42間に画定された溝によって生じる毛管圧作用により、自動的に液体スズの流れ方向に沿って充填レベル58を配分し得る。
[0201] 代替実施形態(図示せず)では、液体スズは液体スズ入口を経て、ベーンを備えていない放射源の壁、又は(上に例示したような)その他の何らかのスズデブリ受け面に供給されてもよい。この場合は、液体スズの供給によってデブリ受け面の湿潤特性を上記のように維持することによって、スズが表面上に累積すること、及び次いでスズが表面から滴下することが抑止される。
[0202] ある実施形態では、液体スズ入口は、ベーン又はその他の構造を有していない壁などの表面に液体スズを供給するように配置されてもよい。この場合は、壁は液体スズを受ける壁の一部が水平部分を含まないように配置されてもよい。壁は、壁の一部が水平に対して20°以上の角度を成すように配置されてもよく、液体スズを受ける壁の一部が水平に対して30°以上の角度を成すように(すなわち、重力の垂直方向に対して60°以下の角度を成すように)配置されてもよい。これは液体スズが壁から滴下することを防止、又は低減する。液体スズ入口からの液体スズの供給速度は、壁上の液体スズのコーティングの厚さを約100μm以下に保つように選択されてもよい。
[0203] 液体スズは液体スズ入口を経て、例えば中間焦点IFの近傍に位置する反射構造(例えば、図3及び図4に関連して上にも記載した反射構造26)に供給されてもよい。反射構造は燃料デブリ受け面にであってもよい。
[0204] 液体スズ、液体スズ入口を経て、例えば燃料小滴エミッタ10(図3を参照)の外表面に供給されてもよい。燃料小滴エミッタの外表面(例えば燃料小滴放出ノズル)は、燃料デブリ受け面であってもよい。
[0205] 液体スズは液体スズ入口を経て、(図3及び図4を参照して上にも記載したように)例えば溝28を設けたベーン24に供給されてもよい。ベーン24は燃料デブリ受け面であってもよい。
[0206] ある実施形態では、上記の1つ以上の液体スズ入口を用いて液体スズ以外の液体を給送してもよい。したがって液体スズ入口を一般に液体入口であると見なしてもよい。液体入口を用いて任意の適切な液体を給送してもよい。例えば、液体入口を経てガリンスタンを投入してもよい。ガリンスタンはドイツのGerathern Medical AGから市販されており、ガリウム、インジウム及びスズを含んでいる。ガリンスタンは好適に、凝固を避けるために、スズデブリが溶解した成分が低い比率になるような成分の濃度を有している。これらの成分は例えば以下の比率で提供される。すなわち、約68%のガリウム、約22%のインジウム、及び約10%のスズである。
[0207] ガリンスタンの融点は−19℃であり、したがって室温(例えば約20℃)では液体状である。その結果、ハウジングが室温にある場合、ハウジング40の表面を伝って流れるようにガリンスタンを配置してもよい。ガリンスタンは湿潤性が良好な材料であり、したがってガリンスタンが流れる表面上にコーティングを形成し得る。ガリンスタンに入射するデブリはガリンスタンによって捕捉され、(例えば上記の態様で)ハウジング40の表面を伝って流れ得る。このようにして、スズデブリは捕捉され、(ガリンスタンと共に)スズコレク46に給送される。スズデブリのこのような補足は、ハウジング40をスズの溶解温度超(例えば約200℃以上)に加熱する必要なく達成される。
[0208] ハウジング40を加熱しないことは様々な理由で有利である。例えば、加熱されたハウジングのメンテナンスが必要である場合、ハウジングを再び取り扱えるようになる前にハウジングのクールダウンを待機する時間遅延が生じる。ハウジングが加熱されなければこれが避けられる。同様に、加熱されたハウジングのメンテナンスの後に、ハウジングが動作温度にヒートアップするまで待機する時間遅延が生じる。これもハウジングが加熱されなければ避けられる。さらに別の利点は、ヒータ及びそれに関連する制御電子機器が不要であるため、ハウジングの構造が簡略化されることである。さらに別の利点は、温度と共に増加する傾向があるガス放出がハウジング内で低減することである。
[0209] 例えば水又はその他の液体によるハウジング40の冷却を用いてEUV放射生成の副産物として生成される熱を散逸させてもよい。例えば冷却を用いて、ハウジングの少なくとも一部を350℃未満、例えば室温(又はその他の適切な温度)に維持し得る。
[0210] ガリンスタンは周期的又は連続的に供給されてもよい。ガリンスタンは、ガリンスタンに入射するスズがガリンスタンの特性をそれほど老化させないために十分な速度で供給されてもよい。ガリンスタンに入射し、ガリンスタン中に溶解するスズは、ガリンスタンの組成を室温ではもはや液体ではなくなるように変化させる可能性がある。これは、デブリがハウジング40の表面上に入射する速度を考慮に入れて、十分な高速度でガリンスタンを供給することによって避けられよう。この速度は例えば経験的に決定されてもよい。
[0211] ある実施形態では、ベーン42は多孔質金属から形成されてもよく、ガリンスタンはベーン内から供給されてもよい。ハウジングは、例えばガリンスタンが例えばベーンを通って進行し、ベーンの前面から流出するように構成されてもよい。ガリンスタンは、例えばベーンの裏面からベーン42内に給送されてもよい。多孔質金属を通してガリンスタンを給送することの利点は、それによってより多くのガリンスタンが、スズデブリの大部分を受ける位置に自動的に給送されることにある。その理由は、多くのスズデブリを受ける位置が、溶解したスズデブリ(及びガリンスタン)がこの位置から大量に流れることにより、より多くのガリンスタンを多孔質金属からそこに引き込むからである。逆に、少量のスズデブリを受ける位置は、溶解したスズデブリ(及びガリンスタン)の少量の流れを受け、したがってより少ないガリンスタンしかそこに引き込まない。このような多孔質金属の使用はガリンスタンに限定されない。すなわち、例えば、液体燃料又はその他の金属又は合金を給送するために多孔質金属を使用してもよい。
[0212] ガリンスタンの代わりに、室温で液体状のその他の合金又は金属を使用してもよい。例えば水銀を使用することもできよう。ガリンスタンは、毒性がなく、水銀よりも溶解し易いため水銀より有利である。
[0213] ハウジングのベーンの文脈で記載したが、ガリンスタン、又は室温で液体上のその他の幾つかの合金又は金属を使用して任意の適切な位置でスズ(又はその他の燃料)を捕捉してもよい。
[0214] 図14は、図3及び図4に示した覆設バー60の断面を概略的に示している。放射源の光軸Oも図14に示されている。図14から分かるように、覆設バー60は光軸Oと交差する。覆設バー60は、レーザLAから放出された放射が入射する2つの面62を備えている(図3及び図4を参照)。面62は、レーザ放射を放射源SOの中間焦点IFから反射するように配置されてもよい。それに加えて面62は、レーザ放射をレーザOLAに直接的に後方反射しないように配置されてもよい(このような直接的反射は、レーザの動作の不安定さを引き起こす可能性がある)。覆設バー60の面62は互いに接合して縁部64を形成する。縁部64は、放射源の光軸Oと交差してもよい。
[0215] 上記のように、覆設バー60はレーザLAによって放出されたレーザ放射を遮断する。さらに、覆設バー60はプラズマ14から放出されたEUV放射を遮断する。さらに、プラズマ14が形成された後に残される残留スズ小滴が覆設バー60に入射する。覆設バー60は、スズの残滓を受ける溝66を含み、これを排出溝、ドレン又はその他のレセプタクルへと誘導する。
[0216] 覆設バー60は高温に耐えることができるように、例えばモリブデンから形成されてもよい(又はその他の適切な材料から形成されてもよい)。覆設バー60に入射する残留スズ小滴が液体状を保つように、バーはスズの溶解温度超の温度(例えば約200℃以上、例えば約230℃以上)に加熱されてもよい。覆設バー60に入射する残留スズ小滴は、例えば最初は覆設バー上で静止状態に留まっていてもよい。経時と共に、追加の残留スズ小滴は覆設バー上の同じ位置、又は隣接位置に入射してもよく、これらのスズ小滴は融合してより大きい小滴を形成してもよい。スズ小滴が特定のサイズに成長すると、スズは重力によって覆設バー上へと下方に移動する。スズ小滴は、溝66に達するまで下方に移動し、そこでスズ小滴の更なる下方移動は上記溝によって妨げられる。溝66が存在しないと、小滴が覆設バー60上へと下方に流れ続け、覆設バーの縁部64から滴下する。これは、コレクタ光学系CO、又は放射源SOのその他の表面の汚染を引き起こすため望ましくない。
[0217] 図3を参照すると、ある実施形態では、覆設バー60は水平ではない向きを有していてもよい。すなわち、図3では、覆設バー60の向きは、図3の紙面とは平行ではなく、覆設バーの一端が紙面の上方にあり、覆設バーの別の一端が紙面の下にあるように光軸Oを中心に回転するような向きであってもよい。このように、覆設バー60は水平に対して傾斜していてもよい。覆設バー60が水平ではない向きにある結果、溝66内の液体スズは重力によって溝に沿って流れ、覆設バーの最下端に流れる。次いで液体スズはドレン、排出溝又はその他の何らかの適切なレセプタクル内に受けられる。
[0218] 溝66は任意の適切な断面形状を有していてもよい。溝は例えば、(図14に示すように)実質的にv形の断面を有していてもよい。溝は、毛管作用を引き起こす断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。溝は、液体燃料を溝内引き込む吸い上げ作用を生じる断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。
[0219] 覆設バー60は、覆設バーをスズの溶解温度超の温度(例えば約200℃以上、例えば約230℃以上)に加熱するように配置された加熱システムを含んでいてもよい。これは能動加熱システムであると見なしてもよい。あるいは、覆設バー60は、プラズマ14、及びレーザLAから放出されたレーザビームから熱を受けることによって加熱されてもよい。これは受動加熱システムであると見なしてもよい。覆設バー60は、能動加熱と受動加熱の組み合わせによって加熱されてもよい。
[0220] 図14から分かるように、覆設バー60の最下部68に入射する残留スズ小滴は、覆設バー上の最も下の溝の下に位置しているため、溝66には流入しない。液体スズが覆設バーの最も下の領域68から滴下することを防止するため、この部分をスズの蒸発温度超の温度に加熱してもよい。この温度は放射源SO内に圧力に左右され、例えば1100℃〜1600℃の範囲でよい。
[0221] ある実施形態では、覆設バー60の最下部68を蒸発が生じる温度に加熱することは、例えば少なくとも部分的に、覆設バー60の最下部68と残りの部分との接続幅Wを、覆設バーの最下部68から残りの部分に熱が伝達されるのに十分狭く配置することによって達成できる。最下部68は、レーザLAから放出されたレーザ放射によって加熱される(図3及び図4を参照)。最下部68からの熱流を制限することが、レーザ放射によって最下部に給送される熱が最下部から奪われる程度を制限し、それによって最下部の温度を覆設バー60の残りの部分の温度よりも大幅に高い温度まで上昇させる。覆設バー60の最下部68と残りの部分との接続幅Wは、放射源の動作中に最下部がスズの蒸発温度超に温度に加熱されるように選択されてもよい。
[0222] 覆設バーの最下部68と残りの部分との接続幅を狭くすることは、最下部の熱的分離の一例である。その他の形態の熱的分離を用いてもよい。例えば、熱伝導性が低い材料を使用して、覆設バーの最下部と残りの部分とを接続し、それによって熱伝達を制限してもよい。「熱的分離」という用語は、覆設バーの最下部と残りの部分との間に熱伝達が生じないことを意味するものではない。むしろ、「熱的分離」は、覆設バーの最下部と残りの部分との間に著しい温度差があるように熱伝達が制限されることを意味するものと解釈してもよい。
[0223] 溝66は、溝内に受けられる小滴の予測される直径に匹敵する幅を有していてもよい。溝66の幅は、例えば数ミリメートル(例えば10mm未満)でよい。
[0224] 単にバーと呼んでもよい覆設バーは、重力の影響で液体スズの流れを誘導する溝を設けることが可能な任意の適切な形状を有していてもよい。バーは例えば2つ以上の面を有している。
[0225] 溝を使用する代替アプローチは、覆設バー60全体をスズの溶解温度超の温度に維持することである。しかしながら、蒸発したスズは光源などの放射源SO内の(又はその他の別の位置の)表面に進行し、そこで凝結することがあるため、これは望ましくない。本発明の実施形態では、スズの蒸発は覆設バーの最下部68で生じるが、これは覆設バーの比較的小さい部分であり、したがって蒸発するスズの量は比較的限定的である。
[0226] 覆設バー60は、本発明の別の実施形態の1つ以上の特徴を組み込んでもよい。
[0227] 上記実施形態のうちの1つ以上は、スズの汚染を除去するために放射源SOの動作を周期的に中断する必要をなくすることができる。あるいは、上記実施形態のうちの1つ以上は、スズの汚染を除去するために放射源SOの動作の中断の間の期間を長くすることができる。
[0228] 上記実施形態のうちの1つ以上に関連して液体スズに言及したが、実施形態はその他の液体に応用されてもよい。例えば、図11〜図13に関連して記載した実施形態に関して、EUV放出プラズマを生成するために液体スズ以外の液体が使用される場合は、その液体を使用してデブリ受け面の湿潤性を維持してもよい。
[0229] EUV放出プラズマを生成するために使用される液体燃料は、燃料デブリ受け面に給送される液体燃料と同じでもよい。あるいは、EUV放出プラズマを生成するために使用される液体燃料は、燃料デブリ受け面に給送される液体燃料と異なっていてもよい。異なる液体燃料が燃料デブリ受け面に給送される場合は、その燃料は、液体燃料デブリの流れを促進する良好な湿潤面をもたらす燃料でよい。液体燃料はまた、液体燃料デブリが燃料デブリ受け面から跳ね散ることを低減又は回避する燃料でもよい。
[0230] 本発明の異なる実施形態の異なる特徴を互いに組み合わせてもよい。例えば、液体スズ入口48がなくても図12に示したベーン42を使用してスズの流れを誘導してもよい。
[0231] レーザLAは、例えば異なる位置に備えられた放射源SOから離間していてもよい(レーザビームはビームガイドを用いて放射源内に案内されてもよい)。その場合は、レーザLAは放射源SOの一部を形成しないものと見なしてもよい。
[0232] 図3及び図4に示したコレクタ光学系COは単一の曲面ミラーであるが、コレクタはその他の形態のものでもよい。例えば、コレクタは、2つの放射収集面を有するサンドイッチ型コレクタでもよい。ある実施形態では、コレクタは、互いに入れ子状の実質的に円筒形のリフレクタを備える斜入射コレクタであってもよい。斜入射コレクタは、放電生成プラズマ(DPP)に使用されるのに適している。本発明の実施形態はDPP源を備えていてもよい。
[0233] これまでの記述で、燃料小滴エミッタ10から放出される燃料はスズである。しかしながら、例えばキセノン又はリチウムなどの他の燃料が燃料小滴エミッタ10から放出されてもよい(及び/又は燃料デブリ受け面上に湿潤面を設けるために使用されてもよい)。
[0234] 「ベーン」という用語は***部を意味するものと解釈してもよい。「ベーン」という用語をブレード、プレート、又は液体流を再誘導する表面に(例えば径方向に)取り付けられ、それによって排液流の方向を制御し、したがって燃料デブリ軽減機能をもたらす(例えば燃料小滴を受けることによって、燃料小滴が光学面に入射する可能性を低減する)その他の薄い平坦な、又は湾曲したオブジェクトを意味するものと解釈してもよい。
[0235] ベーンは表面に固定されてもよく、又は可動的(すなわち、ベーンを清浄し、又は新たなベーンと交換できるように、ベーンが固定されている表面から引き抜き可能)でもよい。
[0236] 溝は、例えば表面(例えば平滑面)に切り込みを入れることによって形成されてもよい。あるいは、溝は例えば、溝がリブ又はその他の構造の間に構築されるようにリブ又はその他の構造を追加することによって形成されてもよい。
[0237] 図15は、上から見た液体燃料デブリガイド装置102の一部を概略的に示している。液体燃料デブリガイド装置102は例えば固定式でよい。液体燃料デブリガイド装置は、例えば放射源SOの壁、又は壁の一部でもよく、又は放射源のその他の何らかの部分でもよい(又は、リソグラフィ装置内のその他の何らかの位置にあってもよい)。
[0238] 液体燃料デブリガイド装置102は、複数の電極100を備えている。図15に示すように、電極100は互いに物理的に離隔され、電極は液体燃料デブリガイド装置102の表面上に経路を画定するギャップを設けて配置される。電極100間のギャップによって画定されて経路に沿って、液体燃料デブリガイド装置102を介して液体燃料デブリ110を案内するように電極100間の電位差を設定してもよい。
[0239] 図16は、液体燃料デブリガイド装置102のA−A線に沿った断面図である。液体燃料デブリガイド装置102は、例えばガラス(又はその他の適切な材料)でよい2層の支持材料101を含んでいる。電極100は2層の支持材料101の間に備えられる。電極100はどの導電性材料から形成されてもよい。電極は、例えば酸化インジウムスズの層でもよく、又は例えば化学蒸着によって支持材料101の第1の層上に形成されてもよい。電極100間のギャップは、例えばエッチングプロセスを用いて作製されてもよい。次いで支持構造層101を電極100の上面に設けてもよい。
[0240] 絶縁材料層103が支持材料101の層上に設けられる。絶縁材料層103は、電極100と、液体燃料デブリガイド装置102の表面上の液体燃料デブリと、の間を電流が流れること(これは支持材料101が十分に絶縁性でない場合に起こる)を防ぐ。絶縁材料は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE−DuPont社の商品名TEFRON(登録商標))であってもよい。支持材料101自体が絶縁体であってもよく、その場合は別個の絶縁層は不要である。
[0241] 電極100は各々、電圧源105の一端子に電気的に接続される。電圧源105は他端で、例えば(図16に示すように)アースであってよい共通の基準電圧106に接続されている。電圧源105はAC電圧を供給してもよい。あるいは、電圧源105はDC電圧を供給してもよい。
[0242] 液体燃料デブリガイド装置102は、液体燃料デブリガイド装置の上端部107が、液体燃料デブリガイド装置の下端部108の上方に位置するように傾斜していてもよい。その結果、液体燃料デブリガイド装置の表面上に位置する液体燃料デブリ110の小滴は、重力の影響で図15の矢印109で示す方向に液体燃料デブリガイド装置102の表面上を移動する。
[0243] 電圧源105は、2つの電極間に電位差が存在するように設定されてもよい。電極間に電位差が存在する場合は、ポテンシャル井戸が電極間のギャップの近傍に形成される。液体燃料デブリの小滴が電極間のギャップから離れた位置にある場合は、液体燃料デブリの小滴は電界の作用を受けないであろう。しかしながら、液体燃料デブリ110の小滴が電極間のギャップと重なる場合は、この小滴は(電極間の電位差により生じる)電界の作用を受けよう。液体燃料デブリの小滴が電界の作用を受けると、電界線が液体燃料デブリの小滴を通過し、液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーは(電界の作用を受けない同じ液体燃料デブリの小滴と比較して)低減する。図15を参照すると、液体燃料デブリガイド装置の表面上の経路が電極100a〜e間のギャップによって画定され、したがって、電極間に電位差が存在するように電極100a〜eの電圧を設定することによって、液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーを低減可能な位置を示している。
[0244] 図17は、図15に示した液体燃料デブリガイド装置102の同じ部分を上から見て概略的に示している。しかしながら、図17では、電極100bには400Vの電圧が供給され、その他の全ての電極はアースに接続されている。電極100a及び100b間のギャップの近傍の液体燃料デブリガイド装置102の表面上に位置する液体燃料デブリ110の小滴は、電極間の電位差によって十分に確立された電位によってギャップ内に保持される。液体燃料デブリの小滴は、重力の影響で、矢印109aで示す方向に液体燃料デブリガイド装置の表面の上を移動する。電極100aと100bとの間の電位差が液体燃料デブリ110の小滴のポテンシャルエネルギーを低減させるため、小滴は左又は右に逸れず、電極間のギャップで画定された経路に沿って案内される。
[0245] 液体燃料デブリ110の小滴は、電極100dの上面に達するまで矢印109aで示す方向に進行する。したがって、小滴は接合点にあり、左又は右に移動することができる。小滴は、そのポテンシャルエネルギーが最小限になる方向に移動する。電極間のポテンシャルエネルギーが、電極100dの上面に位置する液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーが電極100bと100dとの間のギャップによって画定された経路に沿って最小限になるのに十分に大きい場合は、液体燃料デブリの小滴は(矢印109b及び109cで示される)電極100bと100dとの間のギャップによって画定される経路をたどる。
[0246] 同様に、電極100bと100eとの間の電位差が、電極100eの上面に位置する液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーが電極100bと100eとの間のギャップによって画定される経路に沿って最小になるのに十分に大きい場合は、液体燃料デブリの小滴は矢印109d及び109eによって示される経路をたどる。
[0247] あるいは、電極100eと100dとの間の電位差が、電極100dの上面に位置する液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーが電極100bと100dとの間のギャップによって画定された経路に沿って最小限になるのに十分に大きくなるように、電極100eに電圧(例えば400V)を供給してもよい。したがって、液体燃料デブリの小滴は矢印109f及び109gで示すように、電極100eと100dとの間のギャップによって画定される経路をたどる。
[0248] より一般的には、液体燃料デブリが、液体燃料デブリガイド装置の表面上を、電極間のギャップによって画定された経路をたどるような電極間の電位差を生成するように、いずれかの電極100a〜eの電圧を設定してもよい。
[0249] 液体燃料デブリガイド装置102の表面上の液体燃料デブリの経路は、所望の経路をたどることによって液体燃料デブリのポテンシャルエネルギーが最小限になるように、電極間の電位差を設定することによって決定されてもよい。電極間のギャップが液体燃料デブリの所望の経路を画定する電極間の電位差は、電極間のギャップによって画定される経路に沿った液体燃料デブリのポテンシャルエネルギーが最小限になるのに十分であるいずれかの電位差に設定されてもよい。十分な電位差は、例えば400Vでよい。その他の任意の適切な電位差も使用できる。電極間のギャップによって画定される経路は、上記の溝の電気的等価であると見なしてもよく、流れは重力に加えて、電極間に印加される電位差により生成される電界によっても制御される。
[0250] 電極に電圧を印加するために使用される電圧源は、コントローラ(図示せず)によって制御されてもよい。コントローラは、1つ以上の電圧を選択的に電極に印加し、それによって、少なくとも第1の電極と第2の電極の間の電位差を確立するように構成されたいずれかの装置でよい。コントローラは、例えばプロセッサを含んでいてもよい。
[0251] 一般に、電圧を1つ以上の電極に印加するために任意の適切な電圧源を使用してもよい。
[0252] ある実施形態では、電圧は選択的に電極に印加されてもよい。すなわち、例えば液体燃料デブリがそれに沿って案内される異なる経路を選択するために、電圧を電極に印加し、電極から遮断してもよい。あるいは、例えば燃料デブリガイド装置の動作中に2つの電極間に同じ電位差が常に存在するように、電圧は固定電圧であってもよい。
[0253] 液体燃料デブリは液体スズでもよく、又はその他の何らかの導電性液体でもよい。
[0254] 図18は、本発明の実施形態により燃料コレクタ(80)の断面を概略的に示している。燃料コレクタ80は、例えば図11に示した燃料スズコレクタ46に対応するものでよい。燃料コレクタは放射源SOの任意の適切な位置に備えてもよい。燃料コレクタは、排出溝から、又はその他の源から液体燃料(例えば液体燃料デブリ)を受けるような位置にあってもよい。
[0255] 燃料コレクタは、レセプタクル81とリザーバ82とを備えている。液体燃料79は、燃料コレクタのリザーバ82内に受けられる。リザーバ82には、液体燃料がそれを通ってリザーバからレセプタクル内に排出される穴83が設けられている。液体燃料79はスズでもよく、又はその他の何らかの燃料でもよい。
[0256] レセプタクルはベース84と壁85とから形成されている。レセプタクル81は、例えば円筒形、矩形でよく、又は任意の適切な形状を有していてもよい。レセプタクルの直径は、例えば約100mmでよい。リザーバ82は、レセプタクル81の上方に位置している。リザーバはベース86と壁87とを備えている。リザーバは円筒形、矩形でよく、又は任意の適切な形状を有していてもよい。リザーバ82は、(図示のように)レセプタクル81の上面に載置されてもよい。リザーバ82は、レセプタクルにアクセスし易いようにレセプタクル81から取り外し可能であってもよい。あるいは、リザーバ82は、レセプタクル81の上方に***されてもよい。燃料がリザーバ内に保持されている間、燃料が確実に液状を保つために、リザーバ82を加熱してもよい。燃料がレセプタクル内で凝固するように、レセプタクル81は加熱されなくてもよい。
[0257] ***リップ88が穴83の周囲に延在している。***リップ88は、液体燃料のレベルが***リップの高さを超えるまで、液体燃料79が穴83に入ることを妨げる役割を果たす。***リップは、非湿潤性材料(例えば、90°超である液体燃料と表面との間の接触角をもたらす材料)から形成される。***リップ88は、(例えば曲率半径が1mm以上の)丸い上表面を有していてもよい。***リップ88は、例えばモリブデンから形成されてもよい。
[0258] 液体燃料79内の凝集力は、液体燃料のレベルが***リップの高さをわずかに越える場合(例えば高さが約1mmだけ超えた場合)に、液体燃料が***リップを越えて穴83内に流入することを妨げる役割を果たす。
[0259]液体燃料79のレベルは、(例えば液体燃料のレベルが液体燃料の毛管の高さを越える場合に)液体燃料が***リップを越えて穴83内に流入することを妨げるように液体内の凝集力が十分ではない時点まで***リップ88の上面を超えて上がり続ける。それが起こると、相当量の液体燃料が穴83からレセプタクル81内に流入する。穴83への液体燃料の流れは連続的な流れであってよく、単一流と呼んでもよい。液体燃料は、液体燃料のレベルが***リップ88の高さ未満になるまで穴83に流入してもよい。
[0260] 単一流の間にレセプタクル81内に入る液体燃料の容積は、レセプタクルが排出溝から液体燃料の小滴を直に受ける場合にレセプタクルに流入する筈の液体燃料の容積よりも大幅に大きい。レセプタクル81は加熱されないため、液体燃料はレセプタクル81内で凝固する。レセプタクルが(例えば排出溝からの)液体燃料小滴を受ければ、ベース84から上方に延在する石筍が形成されるであろう。したがって、レセプタクル81の燃料貯蔵潜在能力は活用されず、レセプタクルは頻繁に交換する必要がある。本発明の実施形態を用いると、単一流としてレセプタクル81に流入する液体燃料の量は小滴よりも大幅に多く、液体燃料は凝固する前にレセプタクル81のベース84上で散開する。燃料は、パンケーキに類似する比較的平坦なボデー78として凝固する。このようにして、レセプタクル81の容積はより十分に活用され、それはレセプタクルの交換間隔が長くなることを意味する。これは有利に、放射源SOが動作可能な期間を長くすることができる。
[0261] ***リップ88の高さは、例えば液体燃料(例えば液体スズ)の毛管長さと等しいか、又はそれ以上でよい。(***リップが液体燃料の毛管長さよりも大幅に短い高さを有している場合と比較すると)これは単一流でレセプタクル81に流入する液体燃料の量が増大するため有利である。液体スズの毛管長さは3mmであり、したがって***リップ88の高さは3mm以上でよい。この文脈で***リップ88の高さとは、リザーバ82のベース86の表面から測定した高さである。
[0262] リザーバの壁87の高さは、例えば***リップ88の高さを、少なくとも液体燃料の毛管長さだけ越える高さでよい。その理由は、液体燃料79のレベルが***リップ88の高さを、毛管長さを越えないと予期されるからである(穴83への液体燃料の流入は、液体燃料がこの高さに達すると生じる)。
[0263] 丸い上表面がない***リップ88を形成することもできるが、そうすると、(***リップが丸い上表面を有している場合と比較して)液体燃料のレベルがより低レベルに達すると、液体燃料が穴83に流入することを促進する傾向になる。これは例えば、リップの縁部が鋭利であるため、液体燃料のリボンが***リップを横切って流れることによって生じる。その結果、***リップが丸い上表面を有していないと、単一流でレセプタクルに流入する液体燃料の容積は低減する。
[0264] 同様に、***リップ88を非湿潤性材料ではなく湿潤材料から製造してもよいが、そうすると液体燃料はより容易に穴83に流入し、それにより単一流でレセプタクルに流入する液体燃料の容量は低減する。
[0265] ***リップ88が形成される材料としてモリブデンを記載したが、***リップは任意の適切な材料から形成されてもよい。材料は例えば非湿潤性材料でもよい。
[0266] 図示した実施形態では、***リップ88に加えて、穴83には下方に突起したリップ89も設けられている。下方に突起したリップは、液体燃料が穴83の出口からベース86の下表面へと流出することを防止する役割を果たす。これは、液体燃料がベース86上にしばらく留まり、次いでレセプタクル81内に滴下し、石筍を形成するため望ましくない。
[0267] 下方に突起するリップ89は鋭利な縁部を有し、それによって液体燃料が下方に突起するリップの周囲からベース86の底面へと流れることを抑止する。下方に突起するリップ89は、例えば2mm以上ベース86の底を越えてもよい。
[0268] 下方に突起するリップ89は、任意の適切な材料から形成されてもよい。下向きに突起するリップ89は、非湿潤性材料から形成されてもよい。下向きに突起するリップ89は、モリブデンから形成されてもよい。
[0269] 下方に突起するリップ89及び***リップ88は、ベース86に嵌め込まれてもよい(例えばチューブとして形成された)単体の材料から形成されてもよい。チューブの外表面は段を含んでもよく、それによってチューブを穴83に押し込み、そこに固定的に保持することができる。
[0270] 穴83の直径は例えば約8mm以上でよい。直径が8mm以上の穴83を形成することで、(より狭い直径の穴と比較して)穴が詰まる可能性を低減する。穴の直径は例えば最大12mmでよい。
[0271] 穴83の形状は、例えば円形又は楕円形でよい。穴83は任意の適切な形状を有していてもよい。
[0272] 図19は、本発明の実施形態による放射源収納装置141の片側から見た部分断面図を概略的に示している。放射源収納装置141は、回転可能に取り付けられたハウジング140を備えている。図示したハウジング140は任意の適切な形状を有してもよいが、実質的に円錐形である。複数のベーン142がハウジング140から内側に延在している。ベーン142は、ハウジング140の周囲に配分されてもよい。図19には7つのベーンが示されているが、これは単に概略的な図であり、任意の適切な数のベーンを備えていてもよい、例えば、20以上のベーン、40以上のベーン、又は60以上のベーンがハウジング140から内側に延在していてもよい。燃料デブリコレクタ146が、ハウジング140の最下部の下に位置している。
[0273] 放射源収納装置は、ハウジング140の片側に備えられたヒータ150をさらに備えている。ヒータ150は、ヒータの近傍にあるハウジングの部分をスズの溶解温度超の温度に加熱するように配置されている。例えば、ヒータ150は、ヒータの近傍のハウジング140の部分の温度を約230℃以上、例えば約250℃以上の温度に保つように配置されてもよい。
[0274] 放射源収納装置は、クーラ152をさらに備えている。クーラ152は図19には、ヒータ150からハウジング140の反対側にあるものとして示されている。クーラ152は、ハウジングの一部の温度がスズの溶解温度未満の温度になるように、クーラの近傍のハウジング140の部分を冷却するように配置されてもよい。例えば、クーラ152は、クーラの近傍のハウジング140の部分の温度を約230℃未満(例えば約200℃未満)に保ってもよい。
[0275] 放射源収納装置は、ハウジング140に接続されたアクチュエータ154をさらに備えている。アクチュエータによってハウジング140は回転される。ハウジング140は例えば、放射源の光軸OAを中心に回転するように取り付けられてもよい。回転は例えば、毎時約1回転の速度(又はその他の適切な速度)であってよい。回転は連続的でもよく、断続的でもよい。例えば、ある実施形態では、ハウジング140は10分経過後に30°回転し、次の10分経過後にさらに30°回転し、以下同様に回転してもよい。この実施形態では、ハウジング140の全回転は2時間で行われる。任意の適切な回転量と間隔を用いてもよい。
[0276] アクチュエータ154は、例えばモータでよく、又は例えば遠隔位置にあるモータへの接続部を備えていてもよい。ハウジング140の回転自在の取り付け台は任意の適切な形態でよく、簡明にするためにこの図では図示しない。回転自在の取り付け台が、真空である放射源の一部内に位置している場合は、真空に適応する回転自在の取り付け台を使用してもよい。
[0277] 放射源収納装置141は、放射源の一部を形成する。放射源のその他の部分は図示しないが、例えば図3及び図4に示した放射源SOの部分に対応していてもよい。放射源はスズ、又はその他の適切な燃料を使用してもよい。本明細書ではスズに言及しているが、本発明の実施形態は任意の適切な燃料にも適応し得る。
[0278] 図20は、ハウジング140をB−B線に沿った断面図で概略的に示している。ベーン142は、ハウジングの140から内側に延在しているのが分かり、ベーンは三角形の断面形状で概略的に示されている。12のベーンが示されているが、任意の適切な数のベーンを備えていてもよい。ベーンは例えば、ベーン間に空間が少ないか、又は空間がないように配置されてもよい。ヒータ150は断面が矩形であるものとして概略的に示されているが、任意の適切な形状を有していてもよい。図20から分かるように、クーラ152はハウジングの周囲の3/4以上に延在している。クーラ152は、クーラがハウジング140の大部分を冷却するように構成されている。ヒータ150は、ハウジング140の周囲の1/4未満に延在している。ヒータ150は、ヒータがハウジング140の周囲の1/4未満を加熱するように構成されている。
[0279] アクチュエータ154(図19を参照)によるハウジングの回転は、図20の矢印によって概略的に示されている。ハウジングは図示した方向と逆の方向に回転してもよい。
[0280] 図19及び図20に示す装置の動作は以下のとおりである。クーラ152は、クーラがその周囲に延在するハウジング140の部分を、スズの溶解温度未満の温度に冷却する。したがって、スズデブリはハウジング140の冷却部分に入射すると凝固する。これは、スズがハウジング140からコレクタ光学系COなどの放射源の光学コンポーネント上に滴下する可能性を低減するため有利である(図3及び図4を参照)。
[0281] ハウジング140の冷却部分に入射するデブリは、スズの溶解温度未満であるため固体状を保つ。この状態は、アクチュエータ154によるハウジング140の回転によりハウジングのデブリ受け部分がヒータ150の近傍に移動するまで保たれる。ヒータ150は、ヒータの近傍のハウジング部分の温度を、ハウジング140のその部分がスズの溶解温度を越えるまで上昇させる。したがって、スズデブリはヒータ150に接近すると溶解し、液体になる。スズデブリは液体になると、重力の影響でハウジング140を伝って下方に流れ、スズコレクタ146内に受けられる。
[0282] ハウジング140はアクチュエータ154により回転し続ける。ハウジング140の加熱部分はヒータ150から移動して離れると、スズの溶解温度未満の温度に冷却される(したがって、ハウジングの冷却部分になる)。この状態になると、ハウジングの一部に入射するスズデブリは凝固し、したがってコレクタ又はその他の光学面に滴下することはない。
[0283] 上記から理解されるように、ハウジング140の第1の部分はヒータ150によって加熱され、ハウジングの第2の部分はクーラ152によって冷却される。ハウジング140の回転により、加熱部分はヒータ150の近傍からクーラ152の近傍へと移動し、したがって加熱部分は冷却部分になる。同様に、ハウジング140の回転により、冷却部分の一部はクーラ152の近傍からヒータ150の近傍へと移動し、したがって冷却部分のその部分は加熱部分になる。
[0284] 図19及び図20から分かるように、ヒータ150は、下向きの内表面を有していないハウジング140の部分に隣接して位置している。ヒータ150は、ベーン142が下向きの表面を含んでいないハウジング140の部分に隣接して位置している。ヒータ150は、ハウジング140の最も下側に隣接して位置するものとして記載されてもよい。
[0285] ヒータ150の位置決めの結果、ヒータにより溶解したスズが不都合に下向きの表面から(例えばコレクタ光学系CO又はその他の何らかの光学面上に)滴下する可能性がなくなる。その代りに、液体スズは重力の影響で(例えば上向きのベーン142を含む)ハウジング140の上向きの内面に沿って下方に流れる。液体スズは、ハウジングの底端部に達するまでハウジング140の上向きの部分に沿って下方に流れ、そこからスズコレクタ146内に滴下する。この文脈で、「上向き」という用語は、垂直に上向きに面する表面に限定することを意図するものではなく、むしろ垂直に上向きの成分を含む方向に面する表面も包含することを意図している。同様に、この文脈で、「下向き」という用語は、垂直に下向きに面する表面に限定することを意図するものではなく、むしろ垂直に下向きの成分を含む方向に面する表面も包含することを意図している。
[0286] ある実施形態では、ヒータ150に隣接するハウジング140の部分は、液体スズがその内部から滴下できる内表面を有していない。言い換えると、内表面のその部分には、液体スズが累積し、内表面から落下する小滴を形成する位置がない。液体スズは内表面の最も下の縁部に累積し、小滴を形成する(そこからスズコレクタ146内に落下する)ことがある。しかしながら、このような液体スズの滴下は内表面の最も下の縁部からであり、したがって内表面の内部からではない。
[0287] ある実施形態では、ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分をハウジング上のスズ(又はその他の燃料)が液体状になる温度まで加熱するように配置されている。ある実施形態では、クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分をハウジング上のスズ(又はその他の燃料)が固体状になる温度まで冷却するように配置されている。
[0288] 「固体状」という用語は、スズ(又はその他の燃料)が流れたり滴下したりすることができず、ある程度の順応性を有するゲル状などの状態を含むものと見なしてもよい。
[0289] ベーン142は、液体スズの流れをある程度案内してもよい。液体スズの流れのこのような案内は必ずしも必要ないが、それはヒータ150の位置が、重力による流れが所望の方向(例えばスズコレクタ146に向かう方向)にあるからである。しかしながら、ベーン142は、入射したスズデブリがハウジング140からコレクタ光学系CO又はその他の光学面に向かって散乱する可能性を低減するようなその他の有用な機能性を備え得る。
[0290] 溝は、ベーン142内、及び/又はベーン間にあるハウジング140の部分内に設けてもよい。溝は必ずしも液体スズを特に所望の方向に案内する必要はない。しかし、それにも関らず溝はある程度は案内し得る。
[0291] 本発明の実施形態の利点は、液体スズが放射源SOのコレクタ光学系CO又はその他の光学面上に滴下することを低減し、又はなくすることにある。別の利点は、装置が、(例えば別の実施形態で必要である)ハウジング全体が加熱される場合よりも低温であることにある。このことは、例えば放射源のメンテナンスや修理作業を行う必要がある場合に、放射源が装置に安全にアクセスできるのに十分な低温に急激に冷却されるので有用であり得る。
[0292] ヒータ150は、例えばハウジング140の周囲の約1/10以下にわたって延在していてもよい。ヒータ150は、例えばハウジング140の周囲の最大約1/6まで延在していてもよい。ヒータ150は、例えばハウジング140の周囲の最大約1/3未満まで延在していてもよい。ヒータ150がハウジング140の周囲の延在する程度(例えばハウジングに送られる熱がハウジングに周囲に伝導される程度)は、少なくとも部分的にハウジングの熱特性に左右される。ヒータは、スズデブリが液体になるのに十分に長時間加熱され、(例えばスズデブリがスズコレクタに達する前に再び凝固せずに)スズコレクタ146内に流入できるのに十分に周囲の遠くまで延在していてもよい。これは、ハウジング上に受けられると予期されるスズデブリ粒子のサイズに少なくとも部分的に左右され得る(より大きいスズデブリ粒子は、溶解するまでにより多くの熱を必要とする)。
[0293] ある実施形態では、ヒータは、液体スズがハウジングから不都合な位置(例えばコレクタ光学系CO上)に滴下し得る位置までハウジングが回転した後に、スズを液体状に保つほど遠くまでハウジングの周囲に延在しない。例えば、ヒータ150は、スズがハウジング140の周囲の約1/3未満、ハウジングの周囲の1/6未満、又はハウジングの周囲の約1/10未満で 液体に保たれるのに十分な熱を供給してもよい。
[0294] クーラ152は、例えばハウジング140の周囲の少なくとも約2/3まで延在していてもよい。クーラ152は、例えばハウジング140の周囲の約4/5まで延在していてもよい。クーラ152は、例えばハウジング140の周囲の約9/10まで延在していてもよい。
[0295] ハウジングは、例えば鋼又はモリブデン、又はその他の適切な材料から形成されてもよい。「〜から形成される」という用語は、その他の全ての材料が除外されることを意味することを意図しない。すなわち、ハウジングはその他の材料を含んでもよい。鋼が使用される場合は、鋼を例えばスズでコーティングしてもよい。これは例えば、スズデブリがハウジングに粘着することを促進する。同様に、モリブデンにスズのコーティングを施してもよい。
[0296] 鋼の熱特性は、熱の一部はヒータ150からハウジング140の周囲に伝導されるが、伝導熱が比較的限定されるような特性である。したがって、ヒータ150によって上昇するハウジングの温度は、主としてヒータの近傍の温度である。モリブデンの熱伝導性は鋼よりも高いが、モリブデンが使用される実施形態では、上昇した温度は一般に、依然としてヒータ150の近傍に限定され得る。
[0297] ハウジング140の厚さはハウジングの熱特性を考慮に入れて選択されてもよい。ハウジングがより薄いと、より厚いハウジングよりも(ヒータの近傍の所与の温度での)熱伝導性が低くなる。
[0298] 上記実施形態では、ヒータ150及びクーラ152は、ハウジング140(図示した回転自在に取り付けられたハウジング)の一部にだけ作用する。しかしながら、放射源ハウジングは、例えば図3及び図4に示すような他の壁などの他の部分を含んでいてもよい。ある実施形態では、1つ以上のこれらの他の部分も適切に位置決めされたヒータ及びクーラによって加熱、冷却されてもよく、これらの部分も(例えばアクチュエータを用いて)駆動して回転されてもよい。ある実施形態では、ハウジング全体を駆動して回転させてもよい(又、それに応じて加熱、冷却されてもよい)。その場合は、回転自在の取り付け台を、真空である放射源の部分の外側に配置してもよく、真空適応性のない回転自在の取り付け台を使用してもよい。
[0299] 図20では、ヒータ150はハウジング140の周囲の最下部を中心に配置されてもよい。しかしながら、ある実施形態では、ヒータ150は部分的に偏倚され、例えば最下部からさらに上流方向に延在し、最下部から下流方向に延在していてもよい(「上流」という用語は、ハウジングの移動方向とは反対方向を意味することを意図している)。これは点線150aで概略的に示されている。この配置が用いられると、固形スズデブリの加熱がより早く開始され、より早く終了する。これは、スズデブリがハウジング140の周囲の最下部にある時に、スズデブリが液体状に溶解している可能性を高める。それによって、スズデブリがハウジング140の周囲の最下部からかなりの距離まで移動したときにスズデブリが液体状である可能性を低減する。
[0300] 図21は、本発明の実施形態による燃料コレクタ90の断面を概略的に示している。燃料コレクタ90は、例えば図11に示したスズコレクタ46、又は図19に示したスズコレクタ146に対応するものでよい。燃料コレクタを放射源SOの任意の適切な位置に備えてもよい。使用時には、燃料コレクタ90は燃料源91(例えばEUV放射源の一部を形成するドレン又は排出溝)から液体燃料(例えばスズなどの液体燃料デブリ)を受ける位置にある。
[0301] 燃料コレクタはレセプタクル92を備えている。レセプタクル92は、ベース92a、及び1つ以上の壁92bから形成され、開放端93と閉鎖端94とを備えている。図示した実施形態では、レセプタクル92は略円筒形の形状であるが、レセプタクルは任意の適切な形状を有していてもよい。
[0302] 使用時には、レセプタクルの開放端93は、全般的に閉鎖端94の上方を向いている。図示のように、レセプタクル92の向きに角度をつけてもよい。しかしながら、代替としてレセプタクル92は、ベース92aが実質的に水平になるように配置されてもよい。開放端93は、液体燃料がそれを通ってレセプタクル92入ることができる入口を形成する。閉鎖端94は、レセプタクルの貯蔵部を提供する。
[0303] 使用時には、レセプタクルは一般に液体燃料源91の下方に配置される。液体燃料はスズでもよく、その他の何らかの燃料でもよい。燃料は重力により燃料源91から矢印95で示す方向に開放端93を経てレセプタクル92内に落下する。
[0304] レセプタクルは棚96をさらに備えている。棚96は、燃料源91から落下する燃料が種の上表面96aに入射するようにレセプタクル92内に配置されている。燃料源91から落下する燃料の実質的に全てが棚の上表面96aに入射してもよい。
[0305] 棚96は、棚96の一端がレセプタクル92の壁92bによって支持される片持ち梁構造を備え、棚96は上記壁92bから内側に延在している。
[0306] 棚96は加熱されない。したがって、棚96の温度は一般に、例えばスズであってよい燃料の融点未満である。その結果、燃料が棚96上に滴下すると、燃料は凝固し、上表面96aに付着し、パンケーキ状の燃料を形成する。この文脈で、「パンケーキ」という用語は、見た目がパンケーキに似た形態を有することを意味すると見なしてもよい。
[0307] 棚96は、非湿潤性材料から形成されてもよい。特に、棚は、これが収集しようとする燃料に対して湿潤性が低い材料から形成されてもよい。有利には、それによって燃料が棚に強く付着することを防止し、凝固した燃料を棚の表面から除去し易くなる。本発明の一実施形態では、燃料コレクタ90はスズの収集に特に適しており、棚96はモリブデンから形成されている。モリブデンが棚96用に選択されたのは、スズに対して湿潤性が低い(すなわち、棚とスズとの粘着力が低い)からである。
[0308] 棚96上に燃料がない場合は、棚は一般に(図21の実線で示すような)第1の位置に配置される。第1の位置は、使用時に棚96の上表面96aが略水平であるような位置である。
[0309] 棚は、棚上に燃料が蓄積すると、燃料の重さによって棚96が回転して、(水平に対する)上表面96aの傾斜角が大きくなるように配置される。棚が水平に対して傾斜しているため、上表面に沿って作用するパンケーキ状固体燃料の重量分量が生じ、パンケーキ状の燃料を棚の遠端部96bの方向に下方に引き下げる傾向がある。これは、燃料と棚の上表面96aとの間の接着力によって抵抗される。ある時点で、棚は(図21に点線で示す)第2の位置に達し、そこでパンケーキ状燃料の重量分量は粘着を乗り越えるのに十分なものになり、パンケーキは棚から貯蔵部内に落下する。
[0310] したがって、第1の位置と第2の位置間での棚96の移動により、燃料を上表面96aから貯蔵部に移送する機構が得られる。
[0311] 当業者には理解されるように、パンケーキ状燃料を上表面96aから貯蔵部に移送するその他の何らかの機構を備えてもよい。例えば、棚96をレセプタクル92に実質的に固定してもよく、棚96を横切って掃き出し、パンケーキ状の燃料を棚から貯蔵部に押し込むように動作可能な部材を備えてもよい。
[0312] 棚96は、任意の適切な方法で第1の位置と第2の位置との間を移動するように配置されてもよい。例えば、棚をレセプタクル92の壁92bに回転自在に連結して、第1の位置と第2の位置との間の回転を容易にしてもよい。追加的に又は代替的に、棚96は、入射する燃料の重さで変形する弾性材料から形成されてもよい。
[0313] 棚96には、これを第1の位置へと偏倚させる弾性バイアスを与えてもよい。弾性バイアスはばねから成っていてもよい。ある実施形態では、棚96は、弾性材料から形成され、板ばねから成っていてもよい。
[0314] 弾性バイアスは、第1の位置と第2の位置への移動に抵抗する。棚96が第2の位置に達し、パンケーキ状燃料が棚96から外れるようにスライドして貯蔵部に入ると、弾性バイアスにより棚96は移動して第1の位置に戻る。弾性バイアスは、生成されるパンケーキ状燃料のサイズを変えるように調整されてもよい。例えば、棚96の剛性を調整してパンケーキ状燃料の所望のサイズを達成することで、許容できる充填レベルを確保してもよい。これは棚の厚さを選択することによって達成されてもよい。比較的薄い棚96は剛性が低く、したがって比較的小さく薄いパンケーキを生成するのに対して、より厚い棚96は剛性がより高く、より大きく重いパンケーキを生成する。
[0315] 棚96は、例えば厚さ約0.1mmのモリブデンプレートから成っていてもよい。
[0316] 図21に示したタイプの燃料コレクタ90によって、大量の燃料を周期的に貯蔵部に堆積することができる。有利には、それによってレセプタクル92内に単一の石筍がレセプタクル内に形成されることが防止され、レセプタクル92の充填速度が向上する(すなわち、燃料コレクタが満タンになるまでの経過時間が長くなる)。一方、燃料コレクタ90が空の間はEUV放射源の動作が不可能になるため、これはEUV放射源の利用可能性に大きな影響を及ぼす。
[0317] 燃料源91からのスズなどの燃料の産出量は少なくてもよい。したがって燃料は、個々の小滴としてレセプタクル内に落下してもよい。例えば、(その他の量の燃料がレセプタクル内に落下してもよいが)0.3mlの小滴が毎時約3滴の速度で燃料源から落下してもよい。これは毎週約150mlの燃料に等しい。コレクタ90の温度は一般に燃料の融点未満であるため、燃料小滴はレセプタクル内で互いの上で凝固する。したがって、棚96がないと、直径がかなり小さい石筍が形成されることがある。その結果、比較的少量の燃料を供給した後、燃料がレセプタクル92の上面に達し、レセプタクル92を空にする必要がある。したがって、レセプタクル92の燃料貯蔵潜在力は活用されず、レセプタクル92を頻繁に空にし、又は交換する必要がある。
[0318] 本発明の実施形態を使用すると、棚96は単一の燃料石筍の形成を防止する。むしろ少量の固体燃料が(例えばパンケーキの形態で)棚96上に形成され、これは次いでレセプタクルのより低い貯蔵部に移送される。このようにして、レセプタクル92の容積がより効果的に活用され、それは、レセプタクルを交換したり、又は空にしたりする間隔が延在することを意味する。それによって有利に、放射源SOを動作可能な期間が増す。
[0319] 本発明の上記実施形態では、棚96は、入口93を通過する燃料が棚96の表面96aに入射するようにレセプタクル92内に配置されるオブジェクトである。棚96が第1の位置と第2の位置との間を移動すると、燃料を上表面96aから貯蔵部に移送する機構がもたらされる。しかしながら、代替として別のオブジェクトを使用してもよい。例えば、オブジェクトは湾曲した外表面を有するホイールであってもよい。ホイールは、入口93を通過する燃料その湾曲面に入射して、これに付着した固体燃料によりホイールがその軸を中心に回転するように配置されてもよい。ホイールが回転すると、より多くの燃料が異なる周囲位置で湾曲面上に堆積し得る。ホイールが回転すると、ホイールの下部への燃料の堆積が貯蔵部に落下し得る。
[0320] 図22は、本発明の実施形態による燃料コレクタ100の断面を概略的に示している。燃料コレクタ100は、例えば図11に示したスズコレクタ46、又は図19に示したスズコレクタ146に対応するものでよい。燃料コレクタは放射源SOの任意の適切な位置に備えてもよい。使用時には、燃料コレクタ100は液体燃料(例えば液体燃料デブリ)を燃料源101から受けるような位置に配置されてもよい。
[0321] 燃料コレクタはレセプタクル102を備えている。レセプタクル102は、1つ以上の壁102aから形成され、第1端部103と第2端部104とを備えている。使用時には、第1端部103は、液体燃料がレセプタクル102に入る入口を形成し、一般に第2端部104の上を向いている。使用時には、第2端部104は、液体燃料がレセプタクル104から除去される出口を形成する。図示した実施形態では、レセプタクル102は略円筒形の形状であるが、レセプタクルはその他の任意の適切な形状を有していてもよい。レセプタクル102の下部部分は、スライドを形成するように配置された表面102bを備えている(壁部は一般に上向きであり、水平に対して傾斜している)。第2端部104はスライドの下端部に配置されている。
[0322] 使用時には、レセプタクル102は一般に液体燃料源101の下方に配置される。液体燃料はスズでもよく、その他の何らかの燃料でもよい。燃料は重力で燃料源101から矢印105で示す方向に開放端103を経てレセプタクル102内に落下してもよい。このような液体燃料は、スライドを形成するように配置されたレセプタクルの壁面102bに入射する。
[0323] レセプタクルの壁面102bは、収集したい燃料に対して湿潤性が低い材料から形成される。有利には、それによって燃料がこの表面102bに強く付着することが防止される。本発明の一実施形態では、燃料コレクタ100はスズの収集に特に適しており、表面102bはモリブデンから形成されている。モリブデンが選択されるのは、スズに対して湿潤性が低い(表面102bとスズとの間の粘着力が弱い)からである。
[0324] 燃料コレクタ100は加熱されなくてもよい。少なくとも液体燃料が入射する表面102bの温度は、それが収集したい燃料の融点未満である。したがって、液体燃料は表面102bに入射すると凝固し、これに弱く付着する。
[0325] このような燃料コレクタ100によって、大量の燃料が周期的に貯蔵部に堆積可能である。液体燃料は表面102bに入射すると凝固し、弱くしか表面に付着しない。表面102bは傾斜し、スライドを形成するように配置されているため、十分な量の固体燃料が蓄積すると、これは重量により表面102bに滑落する。すなわち、多量の固体燃料の重さが表面102bと固体燃料の表面間の粘着力を乗り越えて、固体燃料を表面から滑り落とす。したがって、燃料はレセプタクルに付着しないため、レセプタクルを空にしやすい。
[0326] 燃料コレクタ100は、2つの真空バルブ106、107をさらに備えている。第1のバルブ106はレセプタクル102の第1端部103の方向に配置される。第2のバルブ107は、レセプタクル102の第2端部104の方向に配置され、レセプタクル102の出口を封止するように動作する。
[0327] EUV放射源の定常動作中、第1のバルブ106は開放されており、燃料がレセプタクル内に流入可能であり、第2のバルブ107は閉鎖されているため、レセプタクル102はEUV放射源(図示せず)と実質的に同じ圧力に維持される。
[0328] 第1及び第2のバルブ106、107はエアロックを形成する。したがって、燃料をレセプタクル102から除去するために、第1のバルブ106は閉鎖されてレセプタクル102のエアロック部をEUV放射源から遮断する。第1のバルブ106が閉鎖されると、燃料をレセプタクルから除去できるように第2のバルブ107が開放される。液体燃料が入射する表面102bは傾斜しており、加熱されず、それが収集したい(例えばスズなどの)燃料に対して湿潤性が低い材料から形成されている。したがって、レセプタクル102に強く付着しない固体燃料のスライスが形成される。固体燃料のスライスは十分に大きくなると、重量で出口に向かって表面102bから滑落する。バルブ106、107を用いて出口が開放されると、固体燃料のスライスはレセプタクルから落下する。
[0329] 定常動作を再開するには、第2のバルブ107が閉鎖される。第2のバルブ107が閉鎖されると、エアロックがポンプダウンされ、真空が形成される。次いで第1のバルブ106が開放され、燃料コレクタ100の定常動作を再開してもよい。
[0330] バルブ106、107によって形成されるエアロックを図22に示す燃料コレクタに関連して記載しているが、エアロックはその他の適切な燃料コレクタ(例えば図21に示す燃料コレクタ)に使用してもよい。
[0331] 本発明の上記実施形態をスズの文脈で記載したが、実施形態は任意の適切な燃料用に用いられてもよい。
[0332] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。このような代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0333] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明はその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、文脈によっては光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[0334] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はそれらの組合せを指すことができる。
[0335] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
[0336] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
[0337] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
[0338] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
[0339] 本発明の幅及び範囲は、上記例示的実施形態のいずれによっても限定されず、以下の特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2012年6月22日出願の米国仮出願第61,663,210号、2012年8月3日出願の米国仮出願第61,679,567号、2012年9月18日出願の米国仮出願第61,702,443号、2012年10月15日出願の米国仮出願第61,713,922号、2012年11月5日出願の米国仮出願第61,722,488号、2012年12月19日出願の米国仮出願第61,739,358号及び2013年3月29日出願の米国仮出願第61,806,644号の利益を主張し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
[0002] 本発明は、放射源及びリソグラフィ装置に関する。
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。この場合、代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ又は幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は通常、基板に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般的に、1枚の基板は、連続してパターンが与えられる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
[0004] リソグラフィは、IC及びその他のデバイス及び/又は構造を製造する際の主要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して製造されるフィーチャの寸法がより微細になると共に、リソグラフィは小型IC又はその他のデバイス、及び/又は構造の製造を可能にするためのより決定的な要因になってきている。
[0005] パターン印刷の限界の理論的な推定値は式(1)に示すようなレイリーの解像基準によって得られる。
但し、λは使用される放射の波長、NAはパターンを印刷するために使用される投影システムの開口数、k1はレイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは印刷されるフィーチャのフィーチャサイズ(すなわちクリティカルディメンション)である。式(1)から、フィーチャの印刷可能な最小サイズの縮小は3つの方法で達成できることが分かる。すなわち、露光波長λの短縮によるもの、開口数NAの増加によるもの、又はk1の値の減少によるものである。
[0006] 露光波長を短縮し、印刷可能な最小サイズを縮小するため、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されてきた。EUV放射は5〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。さらに、例えば6.7nm又は6.8nmなどの5〜10nmの範囲内の、10nm未満の波長を有するEUV放射を使用できることが提案されてきた。このような放射は極端紫外線放射、又は軟x線放射と呼ばれている。可能な放射源には例えば、レーザ生成プラズマ放射源、放電プラズマ放射源、又は電子蓄積リングにより与えられるシンクロトロン放射に基づく放射源が含まれる。
[0007] EUV放射はプラズマを使用して生成することができる。EUV放射を生成するための放射システムは、燃料を蒸発させるか又は励起してプラズマを提供するレーザ、及びプラズマを封じ込めるための放射源を含んでもよい。プラズマは例えば、適切な材料(例えばスズ)などの燃料にレーザビーム、又はXeガス又はLi蒸気などの適切なガス又は蒸気の流れを向けることによって生成することができる。その結果生ずるプラズマは例えばEUV放射などの出力放射を放出し、これは放射コレクタを使用して収集される。放射コレクタは、放射を受け、放射をビームに合焦する鏡像化垂直入射放射コレクタであってもよい。代替実施形態では、プラズマはスズなどの燃料が位置するギャップに放電を印加することによって生成される。放射源は、プラズマを支える真空環境を提供するために配置される閉鎖構造又はチャンバを含んでもよい。このような放射システムは通常、放電生成プラズマ(DPP)放射源と呼ばれる。
[0008] プラズマを生成する燃料の気化は不完全でもよく、したがって未気化燃料小滴は放射源の表面に入射し得る。燃料は光学面の反射率を変更させるため、放射源の光学面に燃料が累積することは望ましくない。
[0009] 先行技術から公知ではない態様で、放射源の1つ以上の光学面上の燃料の累積を低減することが望まれる。
[0010] 本発明の第1の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、該放射源が、複数の溝を設けた固定燃料デブリ受け面をさらに備え、溝が、液体燃料の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導するように配置された向きを有する放射源が提供される。
[0011] 燃料デブリを受ける面に複数のベーンを設けてもよく、ベーンには複数の溝が設けられる。
[0012] 溝の少なくとも幾つかは、毛管作用を生じるような断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。
[0013] 溝の少なくとも幾つかは、液体燃料を溝内に引き込む吸い上げ作用を生じるような断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。
[0014] 1つ以上の溝は、溝に沿って縦方向に延在する隅部を含んでいてもよい。
[0015] 1つ以上の溝は、断面がv字形の形状でもよい。
[0016] v字形の溝は、約30°から50°の間の開口角を有していてもよい。
[0017] 溝は、互いに実質的に平行に延在する溝の集合から成っていてもよい。
[0018] 溝の少なくとも幾つかは、0.1mm以上の深さを有していてもよい。
[0019] 溝の少なくとも幾つかは、2mm以下の深さを有していてもよい。
[0020] 溝の少なくとも幾つかは、0.1mm以上の幅を有していてもよい。
[0021] 溝の少なくとも幾つかは、10mm以下の幅を有していてもよい。
[0022] 隣接する溝は、液体燃料の毛管長さの2倍以下の距離で離隔されてもよい。
[0023] ベーンは、放射源のハウジングの周囲に配分されてもよい。
[0024] ベーンは、放射源の中間焦点の近傍に位置する反射構造であってよい。
[0025] ベーンは、放射源の燃料キャッチャ内に位置していてもよい。
[0026]ベーンのうち1つ以上は、実質的に螺旋状であってもよい。
[0027] 燃料はスズ、キセノン、又はリチウムであってよい。
[0028] ベーンは、燃料の溶解温度超の温度に加熱されてもよい。ベーンは、燃料の気化温度未満の温度に加熱されてもよい。
[0029] 本発明の第2の態様によれば、リソグラフィ装置、基板(例えばウェーハ、マスク)検査装置、汚染浄化装置、基板処理装置又は較正装置などの、本発明の第1の態様の放射源を備える装置が提供される。
[0030] 任意選択として、リソグラフィ装置は、放射源から受光したEUV放射を調整するように構成された照明システム、パターニングデバイスを支持するように構築された支持体、EUV放射に断面にパターンを与えて、パターニングされた放射ビームを形成可能なパターニングデバイス、及びパターニングされた放射ビームを基板のターゲット部分に投影するように構成された投影システムのうちの1つ以上をさらに備えていてもよい。
[0031] 基板検査装置は以下の要素、すなわち極端紫外線光源、検査用の基板を受ける支持体、極端紫外線光源と検査用の基板を受ける支持体との間に位置する照明光学系、基板支持体と結像センサとの間に位置する対物レンズ光学系、及び選択された1つ以上のスペクトル特性を有する、結像センサの近傍に配置され、又は位置するスペクトル純度フィルタのうちの1つ以上を備えていてもよい。
[0032] 汚染浄化装置は、ガス流、反応ガス、電界、振動誘発アクチュエータ、又は不要な燃料デブリを汚染面から浄化するためのその他の手段をさらに備えていてもよい。
[0033] 本発明の第3の態様によれば、放射源を使用してEUV放射を生成する方法であって、EUV放射を放出するプラズマが燃料を用いて生成される位置に燃料を給送するステップを含み、方法が、液体燃料を放射源の固定面上で受け、固定面上に設けられた溝を用いて重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるステップをさらに含む方法が提供される。
[0034] 本発明の第4の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、放射源がさらに燃料デブリ受け面を備え、燃料デブリ受け面が、液体合金又は金属を燃料デブリ受け面に給送するように構成された液体入口に接続された放射源が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0035] 本発明の第5の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源を備える装置であって、放射源が、燃料デブリ受け面と、液体合金又は金属の流れを燃料デブリ受け面上に給送するように構成された液体入口とをさらに備える装置が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0036] 液体入口は燃料デブリ受け面に接続されてもよい。
[0037] 液体入口は、液体合金又は金属のコーティングを燃料デブリ受け面上に施すように構成されてもよい。
[0038] 燃料デブリ受け面には複数のベーンを備えていてもよい。
[0039] ベーン間の空間は、重力の影響下にある液体合金又は金属を1つ以上の所望の方向に向ける溝であってもよい。
[0040] 液体入口は、溝内に位置する開口を備えていてもよい。
[0041] 液体入口は、ベーンのベース領域を所望の充填レベルで充填する速度で合金又は金属を給送するように構成されてもよい。
[0042] ベーンは、ベーンの先端から液体合金又は金属を引き離す毛管圧を生成するような形状であってもよい。
[0043] 液体入口は、導管に接続された複数の開口を備えていてもよい。
[0044] 液体合金又は金属は液体燃料であってもよい。
[0045] 放射源は、燃料デブリ受け面を燃料の溶解温度超の温度に加熱するように構成されたヒータをさらに備えていてもよい。
[0046] 液体入口は、金属又は合金がそれを通って給送される多孔質金属から成っていてもよい。
[0047] 液体入口は、室温で液体状である金属又は合金を燃料デブリ受け面に給送するように構成されてもよい。
[0048] 金属又は合金はガリンスタンであってよい。あるいは、金属又は合金はスズ又はその他のスズ合金、又はEUV放射を生成するのに適するその他の液体燃料であってよい。
[0049] 放射源は、放射源のハウジングを冷却するように構成された冷却装置を備えていてもよい。
[0050] 冷却装置は、放射源のハウジングを概ね室温に冷却するように構成されてもよい。
[0051] 本発明の第6の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に液体合金又は金属を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、放射源がさらに、ベーンと、液体合金又は金属をベーンに給送することによって、ベーン上の液体合金又は金属のコーティングを維持するように構成された入口とを備える放射源が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0052] 本発明の第7の態様によれば、燃料を使用してEUV放射を生成する放射源内の汚染を制御する方法であって、液体合金又は金属のコーティングが燃料デブリ受け面上に維持されるように、液体合金又は金属を燃料デブリ受け面上に給送するステップを含む方法が提供される。
[0053] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、合金又は金属は入口を経て連続的に給送されてもよい。
[0054] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、合金又は金属は入口を経て断続的に給送されてもよい。
[0055] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、入口は、金属又は合金がそれを通って給送される多孔質金属から成っていてもよい。
[0056] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、金属又は合金は室温で液体状であってもよい。
[0057] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、金属又は合金はガリンスタンであってもよい。
[0058] 本発明の第6又は第7の態様の方法では、方法は、放射源のハウジングを室温に冷却するステップをさらに含んでいてもよい。
[0059] 本発明の第8の態様によれば、表面と、絶縁層によって表面から分離された2つの電極とを備える液体燃料デブリガイド装置が提供される。表面上の経路を画定するギャップが2つの電極と、電極の1つに電圧を印加するように構成された電圧源との間に設けられ、それによって電極間のギャップに電位差が生じる。この電位差はギャップによって画定された経路に沿って液体燃料小滴を案内する役割を果たす。
[0060] 装置は、1つ以上の電圧源に接続された1つ以上の追加の電極をさらに備えてもよく、電極間にはギャップが設けられて表面上の経路を画定する。
[0061] 本発明の第9の態様によれば、液体燃料デブリの流れを誘導する方法が提供される。方法は、絶縁層によって表面から分離された2つの電極の一方に電圧を印加するステップを含んでいる。2つの電極間にギャップが設けられ、表面上の経路を画定する。電圧は電極間のギャップに電位差を生じ、この電位差がギャップによって画定された経路に沿って液体燃料小滴を案内する役割を果たす。
[0062] 本発明の第10の態様によれば、EUV放射源用の燃料コレクタであって、レセプタクルと、レセプタクルの上方に位置するリザーバとを備え、リザーバに、液体燃料をリザーバからレセプタクルに排出し得る穴を設け、***リップが穴の周囲に延在し、液体燃料のレベルが***リップの高さを越えるまで、液体燃料が穴に入ることを***リップが防止する燃料コレクタが提供される。このような燃料コレクタは、本明細書に記載の本発明の態様によるいずれかの放射源と共にデブリの軽減をさらに増強するために使用されてもよい。
[0063] ***リップは非湿潤性材料から形成されてもよい。
[0064] ***リップはモリブデンから形成されてもよい。
[0065] ***リップは丸みを帯びた上表面を有していてもよい。
[0066] ***リップの高さは、液体燃料の毛管長さ以上であってもよい。
[0067] 燃料コレクタは、穴から下方に突起するリップをさらに備えていてもよい。
[0068] 下方に突起するリップは鋭角の内隅部を有していてもよい。
[0069] 本発明の第11の態様によれば、EUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された放射源であって、燃料デブリ受け面と、レセプタクルとリザーバとを備えた燃料コレクタであって、リザーバがレセプタクルの上方に位置する燃料コレクタとを備え、リザーバに、液体燃料をリザーバからレセプタクルに排出する穴を設け、***リップが穴の周囲に延在し、***リップが、液体燃料のレベルが***リップの高さを越えるまで液体燃料が穴に入ることを防止する放射源が提供される。
[0070] 本発明の第12の態様によれば、放射源収納装置であって、回転自在に取り付けられたハウジングと、ハウジングを駆動して回転させるように配置されたアクチュエータと、ハウジングの第1の部分に隣接して位置するヒータと、ハウジングの第2の異なる部分に隣接して位置するクーラとを備える放射源収納装置が提供される。発明の第1の態様について上述した特性を有し、重力の影響下にある液体燃料の流れを1つ以上の所望の方向に向けるように配置された配向を有する複数の溝を本発明のこの態様に設けてもよい。
[0071] 任意選択として、ハウジングの第1の部分は下向きの内表面を有していなくてもよい。
[0072] 任意選択として、ハウジングの第1の部分は、液体燃料がそこから滴下する内表面を有していなくてもよい。
[0073] ハウジングの第1の部分は回転自在に取り付けられたハウジングの最も下側であってもよい。
[0074] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分をスズの溶解温度超の温度に加熱するように配置されてもよく、クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分をスズの溶解温度未満の温度に冷却するように配置されてもよい。
[0075] クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの周囲の少なくとも2/3まで延在していてもよい。
[0076] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの周囲の少なくとも1/3未満まで延在していてもよい。
[0077] 任意選択として、ヒータとクーラとは、回転自在に取り付けられたハウジングの周囲に沿って重ならない。
[0078] 任意選択として、ヒータは、スズが下向きの表面上にあるポイントまでハウジングが回転した後でスズが液体状を保つまでハウジングの周囲には延在しない。
[0079] ハウジングの内表面に溝を設けてもよい。
[0080] 本発明の第13の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備え、さらに回転自在に取り付けられたハウジングを備える放射源収納装置と、ハウジングの第1の部分に隣接して位置するヒータと、ハウジングの第2の異なる部分に隣接して位置するクーラとを備える放射源が提供される。
[0081] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分を燃料の溶解温度超の温度に加熱するように配置されてもよく、クーラは回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分を燃料の溶解温度未満の温度に冷却するように配置されてもよい。
[0082] ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分を、ハウジング上の燃料が液体状になる温度に加熱するように配置されてもよく、クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分をハウジング上の燃料が固体状になる温度に冷却するように配置されてもよい。
[0083] 本発明の第14の態様によれば、燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するステップを含む方法であって、方法が放射源を駆動して回転させるステップと、ハウジングの一部を燃料の溶解温度超の温度に加熱するステップと、ハウジングの一部を燃料源の溶解温度未満の温度に冷却するステップとをさらに含む方法が提供される。
[0084] 本発明の第15の態様によれば、燃料コレクタは、入口と貯蔵部とを設けたレセプタクルと、入口を通過する燃料がオブジェクトの表面に入射するようにレセプタクル内に配置されたオブジェクトと、表面上に収集された燃料を貯蔵部に移送するように構成された燃料移送機構とを備えるEUV放射源用の燃料コレクタが提供される。このような燃料コレクタは、本明細書に記載の本発明の態様によるいずれかの放射源と共にデブリの軽減をさらに増強するために使用されてもよい。
[0085] このような配置によって、相当量の燃料を貯蔵部に周期的に貯蔵することが可能になる。有利には、それによって単一の石筍がレセプタクル内に形成されることが防止され、レセプタクルの充填速度が向上する。
[0086] オブジェクトの温度は燃料の融点未満でよい。オブジェクトの温度は、オブジェクト上に入射した液体燃料が貯蔵部に移送される前に凝固し得るような温度でよい。
[0087] 燃料移送機構は、表面上に収集された燃料を周期的に貯蔵部に移送するように配置されてもよい。燃料は所定の期間後に、あるいは十分な量の燃料がオブジェクト上に入射された際に貯蔵部に移送されてもよい。
[0088] オブジェクトは低湿潤材料から形成されてもよい。特に、オブジェクトは、それが収集したい燃料に対して湿潤性が低い材料から形成されてもよい。燃料コレクタは、スズの収集に特に適していてもよく、オブジェクトはモリブデンから形成されてもよい。
[0089] オブジェクトは、第1の位置と第2の位置との間で移動するように動作可能であってもよい。第1の位置と第2の位置との間でのオブジェクトの移動が燃料移送機構を提供してもよい。例えば、オブジェクトが第2の位置に配置されると、その上に堆積された燃料は重力で貯蔵部に滴下し得る。オブジェクトは、燃料が表面上に入射すると、オブジェクトが第1の位置から第2の位置の方向に移動するように配置されてもよい。
[0090] オブジェクトは、第1の位置へと弾性偏倚されてもよい。オブジェクトは板ばねを備えていてもよく、又は独自の弾性偏倚力を備えていてもよい。
[0091] オブジェクトは片持ち梁構造を備えていてもよい。
[0092] オブジェクトはホイールを備えていてもよく、ホイールの回転が燃料移送機構を提供してもよい。
[0093] オブジェクトは棚を備えていてもよく、棚を掃き出す部材が燃料移送機構を提供してもよい。
[0094] 燃料コレクタは、エアロックを形成するように配置された第1及び第2のバルブをさらに備えていてもよい。
[0095] 本発明の第16の態様によれば、EUV放射源用の燃料コレクタであって、レセプタクルを備え、該レセプタクルの入口を通って燃料が通過するように配置された表面を設け、該表面が収集したい燃料に対して湿潤性が低い材料から形成され、表面の温度が燃料の溶解温度未満であり、表面がスライドを形成するように水平に対して傾斜される燃料コレクタが提供される。このような燃料コレクタは、本明細書に記載の本発明の態様によるいずれかの放射源と共にデブリの軽減をさらに増強するために使用されてもよい。
[0096] このような配置によって、相当量の燃料をレセプタクルの貯蔵部に周期的に貯蔵することが可能になる。液体燃料は表面に入射すると凝固し、表面に弱くだけ付着する。十分な量の固体燃料が堆積すると、重力で表面から滑落する。有利には、それによって燃料がレセプタクルに付着することを防止することができ、レセプタクルをより容易に空にすることが可能になる。
[0097] 燃料コレクタは、真空バルブでよい1つ以上のバルブを備えていてもよい。
[0098] 第1のバルブは、レセプタクルの入口端部の方向に配置されてもよい。EUV源の定常動作中に第1のバルブは開放されてもよく、燃料がレセプタクル内に入ることが可能になる。燃料をレセプタクルから除去できるように、第1のバルブはレセプタクルをEUV源から遮断するために周期的に閉鎖されてもよい。
[0099] 燃料コレクタは出口を備えていてもよい。それによって燃料をレセプタクルから除去することが可能になる。出口はレセプタクルの下部に位置してもよい。
[00100] 第2のバルブは、レセプタクルの出口に位置していてもよい。EUV源の定常動作中に第2のバルブが閉鎖されて、レセプタクルがEUV源と実質的に同じ圧力に維持されるようにしてもよい。燃料をレセプタクルから除去できるように、第2のバルブは周期的に開放されてもよい。
[00101] 第1及び第2のバルブはエアロックを形成してもよい。
[00102] 適切な場合は本発明の異なる態様の異なる特徴を組み合わせてもよい。
[00103] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思い付くであろう。
[00104] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は本発明を図示し、説明とともに、さらに本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
[00105]本発明のある実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。
[00106]リソグラフィ装置のより詳細な概略図である。
[00107]本発明の実施形態による放射源を上から見た概略図を示す。
[00108]図3の放射源を片側から見た概略図を示す。
[00109]本発明の実施形態による表面に形成されてもよい溝の概略図を示す。
[00110]溝によって定められる角度を変更する効果を示したグラフである。
[00111]本発明の実施形態による傾斜溝を概略的に示す。
[00112]溝によって定められる角度を変更する効果を示したグラフである。
[00113]溝の傾斜角を変更する効果と、溝の深さを変更する効果と、を示したグラフである。
[00114]発明の実施形態による燃料キャッチャ22を概略的に示す。
[00115]本発明の実施形態による放射源の一部を概略的に示す。
[00116]図11の放射源の一部をより詳細に示した概略図を示す。
[00117]図11に示したベーンの曲率を示したグラフである。
[00117]図3及び図4に示した覆設バーを示した図である。
[00118]液体燃料ガイド装置を上から見た概略図を示す。
[00119]図15の液体燃料ガイド装置の断面概略図を示す。
[00120]図15の液体燃料ガイド装置の動作中の概略図を示す。
[00121]放射源の一部でよい本発明の実施形態による燃料コレクタを概略的に示す。
[0100]本発明の実施形態による放射源の一部の部分断面概略図を示す。
[0101]図19に示した実施形態による放射源の一部の断面概略図を示す。
[0102]本発明の実施形態による燃料コレクタの断面概略図を示す。
[0103]本発明の代替実施形態による燃料コレクタの断面概略図を示す。
[0104] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号が全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことでさらに明白になろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。ある要素が最初に出現する図面は、対応する参照番号の左端の1つ又は複数の数字によって示される。
[0105] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
[0106] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。さらに、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
[0107] 本発明の実施形態はハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組合せで実施することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサで読み取り、実行することができる機械可読媒体に記憶した命令として実施することもできる。機械可読媒体は、機械(例えば、計算デバイス)で読み取り可能な形態で情報を記憶するか、又は伝送する任意の機構を含むことができる。例えば、機械可読媒体は読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響又は他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、及びその他を含むことができる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令を、本明細書では特定の行為を実行するものとして記述することができる。しかしながら、このような記述は便宜的なものにすぎず、このような行為は実際には計算デバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行する他のデバイスの結果であることを認識されたい。
[0108] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
[0109] 図1は、本発明のある実施形態による放射源SOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。この装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調節するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、パターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持することができるように構築され、基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)に投影するように構成された投影システム(例えば反射投影システム)PSと、を備える。
[0110] 照明システムILは、放射の誘導、整形、又は制御を行うための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型等の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。
[0111] 支持構造MTは、パターニングデバイスの配向、リソグラフィ装置の設計及び、例えばパターニングデバイスが真空環境で保持されているか否か等の条件に応じた方法でパターニングデバイスMAを保持する。この支持構造は、パターニングデバイスを保持するために、機械式、真空式、静電式等のクランプ技術を使用することができる。支持構造は、例えばフレーム又はテーブルでよく、必要に応じて固定式又は可動式でよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して確実に所望の位置に来るようにしてもよい。
[0112] 「パターニングデバイス」MAという用語は、基板のターゲット部分にパターンを生成するように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用し得る任意のデバイスを指すものとして広義に解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、集積回路などのターゲット部分に生成されるデバイスの特定の機能層に相当する。
[0113] パターニングデバイスは透過性又は反射性でよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィにおいて周知のものであり、これには、バイナリマスク、レベンソン型(alternating)位相シフトマスク、ハーフトーン型(attenuated)位相シフトマスクのようなマスクタイプ、さらには様々なハイブリッドマスクタイプも含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例として、小さなミラーのマトリクス配列を使用し、そのミラーは各々、入射する放射ビームを異なる方向に反射するよう個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射する放射ビームにパターンを与える。
[0114] 照明システムのような投影システムPSは、使用する露光放射、又は真空の使用などの他の要因に合わせて適宜、例えば屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型等の光学コンポーネント、又はそれらの任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含んでいてもよい。その他のガスは放射を吸収しすぎるため、EUV放射用には真空を使用することが望ましいことがある。したがって、真空壁及び真空ポンプを用いてビーム経路全体に真空環境を設けてもよい。
[0115] 本明細書で示すように、装置は、(例えば反射型マスク及び/又は反射型光学系を使用する)反射型である。
[0116] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプでよい。このような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルを並行して使用するか、1つ以上の他のテーブルを露光に使用している間に1つ以上のテーブルで予備工程を実行することができる。
[0117] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから極端紫外線放射ビームを受光する。EUV放射を生成する方法は、少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム又はスズを有する燃料材料を、EUV範囲の1つ以上の輝線を有するプラズマ状態に変換するステップを含むが、必ずしもこれに限定されない。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多いそのような1つの方法では、必要な輝線放出元素を有する物質の小滴、流れ、又はクラスタなどの燃料をレーザビームで照射することで必要なプラズマを生成できる。放射源SOは、燃料を励起するレーザビームを提供するレーザ(図1には示さず)を含んでもよい(放射源及びレーザは共に放射システムを形成する)。結果として得られるプラズマは、放射源内に配置された放射コレクタを用いて収集される出力放射、例えば、EUV放射を放出する。レーザ及び放射源は、例えば燃料を励起するためのレーザビームを提供するためにCO2レーザが使用される場合には別個の要素であってもよい。
[0118] このような場合、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するとは見なされず、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えるビームデリバリシステムを用いてレーザビームはレーザから放射源へ渡される。
[0119] 放電生成プラズマ(「DPP」)と呼ばれることが多い代替方法では、放電を用いてEUV放出プラズマが生成され、燃料が気化される。燃料はEUV範囲に1つ以上の輝線を有するキセノン、リチウム、又はスズなどの元素でよい。放電は、放射源の一部を形成してもよく、又は電気接続を介して放射源に接続される別個の要素であってもよい電源によって生成されてもよい。
[0120] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するアジャスタを備えていてもよい。通常、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(一般にそれぞれ、σ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調整することができる。また、イルミネータILは、ファセット型フィールド及び瞳ミラーデバイスなどの他の種々のコンポーネントを備えていてもよい。イルミネータを用いて放射ビームを調節し、その断面に所望の均一性と強度分布とが得られるようにしてもよい。
[0121] EUV放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスク)MAに入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAに反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦させる。第2のポジショナPWと位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTは、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路に位置決めするように正確に移動できる。同様に、第1のポジショナPMと別の位置センサPS1を用いて、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせしてもよい。
[0122] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つにて使用可能である。
[0123] 1.ステップモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは、基本的に静止状態に維持される一方、放射ビームに与えたパターン全体が1回でターゲット部分Cに投影される(すなわち単一静的露光)。次に、別のターゲット部分Cを露光できるように、基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動される。
[0124] 2.スキャンモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期的にスキャンされる一方、放射ビームに与えられるパターンがターゲット部分Cに投影される(すなわち単一動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)及び像反転特性によって求めることができる。
[0125] 3.別のモードにおいては、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラマブルパターニングデバイスを保持して基本的に静止状態に維持され、基板テーブルWTを移動又はスキャンさせながら、放射ビームに与えられたパターンをターゲット部分Cに投影する。このモードでは、一般にパルス状放射源を使用して、基板テーブルWTを移動させるごとに、又はスキャン中に連続する放射パルス間で、プログラマブルパターニングデバイスを必要に応じて更新する。この動作モードは、以上で言及したようなタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用できる。
[0126] 上述した使用モードの組合せ及び/又は変形、又は全く異なる使用モードも利用できる。
[0127] 図2は、放射源SOと、照明システムILと、投影システムPSとを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示す。放射源SOは、放射源SOの閉鎖構造220内に真空環境が維持されるように構築され、配置される。EUV放射放出プラズマ210は、レーザ又は放電生成プラズマ放射源によって形成されてもよい。EUV放射は、超高温プラズマ210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲内の放射が放出される例えばキセノンガス、リチウム蒸気、又はスズ蒸気などの気体又は蒸気によって生成されてもよい。超高温プラズマ210は、例えば少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生じる放電によって、又は燃料小滴のレーザビーム励起によって生成される。放射を効率的に生成するには、キセノン、リチウム、スズ蒸気、又はその他の適切な気体又は蒸気の、例えば10Paの分圧が必要である場合がある。ある実施形態では、EUV放射を生成するために励起したスズ(Sn)が提供される。
[0128] 高温プラズマ210によって放出された放射は、放射源チャンバ211から、放射源チャンバ211内の開口内、又はその裏側に位置する任意選択のガスバリア又は汚染物トラップ230(場合によっては汚染物バリア又はフォイルトラップとも呼ばれる)を介してコレクタチャンバ212内に送られる。汚染物トラップ230はチャネル構造を含んでもよい。汚染物トラップ230はまた、ガスバリア又はガスバリアとチャネル構造との組合せを含んでもよい。汚染物トラップ又は汚染物バリア230はさらに、本明細書では少なくとも当技術分野で公知のようにチャネル構造を含むことが示されている。
[0129] コレクタチャンバ212は、いわゆる斜入射コレクタであってもよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251と、下流放射コレクタ側252とを有する。コレクタCOを横切る放射は、格子スペクトルフィルタ240から反射して、仮想放射源ポイントIFで合焦することができる。仮想放射源ポイントIFは一般に中間焦点と呼ばれ、放射源は、中間焦点IFが閉鎖構造220内の開口221に、又はその近傍に位置するように配置される。仮想放射源ポイントIFは、放射放出プラズマ210の像である。
[0130] その後、放射は、パターニングデバイスMAでの放射ビーム223の所望の角度分布とパターニングデバイスMAでの放射強度の所望の均一性とを提供するように構成されたファセット型フィールドミラーデバイス222及びファセット型瞳ミラーデバイス224を含んでもよい照明システムILを横切る。支持構造MTに保持されたパターニングデバイスMAで放射ビーム223が反射すると、パターン付ビーム226が形成され、パターン付ビーム226は、投影システムPSによって、反射要素228、229を介して、ウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
[0131] 一般に、照明光学系ユニットIL及び投影システムPS内には図示したよりも多くの要素があってもよい。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに応じて任意選択で備えられてもよい。さらに、図示した以上のミラーがあってもよく、図2に示した以上の、例えば1〜6個の追加の反射要素が投影システムPS内にあってもよい。
[0132] 図2に図示されるように、コレクタ光学系COは、コレクタ(又はコレクタミラー)の例と同様に斜入射リフレクタ253、254及び255を有する入れ子式コレクタ光学系として示されている。斜入射リフレクタ253、254及び255は、光軸Oを中心に軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学系COを、DPP源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ源と組み合わせて使用してもよいが、燃料小滴が例えばレーザビームエネルギーでプラズマ状態に励起されるレーザ生成プラズマと組み合わせて使用してもよい。
[0133] 本発明の実施形態による代替放射源SOが図3及び図4に概略的に示されている。図3では上から見た、又、図4では片側から見た放射源は、LPP放射源である。
[0134] 放射源SOは、燃料小滴をプラズマ形成位置12に給送するように構成された燃料小滴エミッタ10を備えている。レーザLAは、レーザエネルギーがプラズマ形成位置12で燃料小滴に蓄積することによって、数10eVの電子温度の高電離プラズマ14を形成するように配置されている。これらのイオンの脱励起及び再結合中に生成されるエネルギー放射はプラズマ14から放出される。このエネルギー放射はEUV放射を含んでいる。放射は近垂直入射コレクタ光学系COによって収集され、中間焦点IFに合焦され、放射はそこからリソグラフィ装置の照明システムILに入る(図1及び図2を参照)。
[0135] 放射源SOは、制御された環境がその内部に備えられるハウジング16をさらに備え、プラズマ形成位置12とコレクタ光学系COはハウジング内に位置している。環境の制御は、例えばハウジング16内の所望の圧力を与え、及び/又は所望の圧力で1つ以上の所望のガスを供給することを含んでもよい(所望の圧力は大気圧よりも大幅に低くてもよく、したがって真空であると見なしてもよい)。ハウジング16の一端に開口18が設けられ、開口の位置は中間焦点IFの位置に実質的に対応している。レーザ放射がレーザLAからハウジング内に入ることができるように、開口20(又はウィンドウ)がハウジングの反対端に設けられている。開口20は、レーザビームが放射源SOの光軸Oと角度を成すように、例えばハウジングの側面などの任意の適切な位置にあってよい。(当技術分野で公知のように、燃料を励起するための別のメインパルスレーザ、及び/又は燃料を蒸発させるためのプレパルスレーザなどの)プラズマを生成するために必要なさらに別のレーザ用の別の開口を設けてもよい。
[0136] 放射源SOは、放射源のハウジング16の内部にわたって実質的に水平に延在し、光軸Oと相互作用するバー60を含んでいる。バー60は、レーザLAによって放出されたレーザ放射を遮断することによって、レーザ放射がリソグラフィ装置のイルミネータIL及び投影システムPSの表面に直接入射することを防止する役割を果たす(図1及び図2を参照)。覆設バー60と呼んでもよいバー60は、以下により詳細に説明する。
[0137] 以下の説明では、燃料小滴エミッタ10から放出される燃料はスズである。しかしながら、例えばキセノン又はリチウムなどの他の燃料を使用してもよい。
[0138] 燃料小滴エミッタ10は、連続動作するように構成されてもよい。すなわち、燃料小滴エミッタ10は、燃料(例えばスズ)の溶解温度超の温度に加熱されてもよく、その温度に保たれて、燃料小滴エミッタの交換が必要になるまで連続的に燃料の小滴を放出してもよい。その結果、レーザ放射がレーザLAによって放出されずに、燃料小滴が燃料小滴エミッタ10によって連続的に放出される期間があってもよい。燃料小滴エミッタ10とは反対側の放射源SO上に燃料キャッチャ22が設けられる。燃料キャッチャ22は、燃料小滴エミッタ10によって放出されたが、レーザ放射によって未だ気化されていない燃料小滴を受け、これを保持すように構成されたチューブなどの容器を備えていてもよい。
[0139] 複数のベーン24a〜dがハウジング16から延在している。ベーンは、例えばモリブデン製でもよく、又はスズのガルバニメッキを施したステンレス鋼製でもよい。ベーンには、入射する液体スズを保持する表面(すなわち燃料材料にとって良好な湿潤面)を設けてもよい。(例えばスズのガルバニメッキによって得られた)スズの表面は、表面が液体スズの状態を保つように液体との親和性をもたらす。ベーンには、放射源の動作温度で液体にそれほど反応しない表面を設けてもよい。例えば、ステンレス鋼製のベーンの場合は、ベーンは(スズが液体状を保つ温度である)250℃超の温度に保たれてもよく、400℃未満の温度に保たれてもよい。モリブデン製のベーンの場合は、ベーンは250℃超の温度に保たれてもよく、(放射源の圧力で沸点であってよい)約1100℃未満の温度に保たれてもよい。ベーンは、任意の適切な加熱装置(図示せず)を用いて加熱されてもよい。
[0140] 図3には2つのベーン24a、bだけが、又、図4には2つのベーン24c、dだけが示されているが、4つ以上のベーンを備えてもよい。例えば、ベーンをハウジング16の内壁の周囲に配分してもよい。例えば、ハウジング16の内壁の周囲の20以上のベーン、40以上のベーン又は60以上のベーンを配分してもよい。ベーン24a〜dは、全般的にハウジング16から径方向内側に延在していてもよい。ベーン24a〜dは、径方向に対して1つ以上の角度を成してもよい。ベーン24a〜dは平坦でもよい。あるいは、ベーンはある程度の湾曲を含んでいてもよい。(図4に示すように)例えばハウジング16が角度を有する上向きであることを考慮に入れて、異なるベーン24a〜dは径方向に対して異なる形状及び/又は角度を有していてもよい。ベーン24a〜dの一端には排出溝27が位置している。排出溝27は、ドレン(図示せず)に接続されてもよい。ベーン24a〜dは、排出溝27とは反対側のベーンの端部に位置してもよい支持構造29を含んでいてもよい。
[0141] ハウジング16からは反射構造26も延在している。反射構造26は、中間焦点IFの近傍に位置し、EUV放射を反射するように構成されている。コレクタ光学系COに入射する放射の一部は一般に中間焦点IFへと合焦されてもよいが、中間焦点IFを通過するほど十分に強く合焦されなくてもよい。この放射は反射構造26に入射する。反射構造26は、例えばこの放射をハウジング16へと後方反射することによって、強く合焦されない放射が開口18を通って照明システムILへと入る可能性を低減するように配置されてもよい(図1及び図2を参照)。反射構造26は、例えば中間焦点IFの近傍のハウジング16の実質的に周囲に延在する一連のベーンを備えていてもよい。反射構造26は略円錐台の形状を有していてもよい。
[0142] さらに上述したように、プラズマ形成位置12に給送されるスズ小滴は、レーザLAによって放出されたレーザビームによって気化され、放射放出プラズマ14を生成する。しかしながら、スズ小滴の気化は不完全であり、その結果、残留スズの小滴がプラズマ14の形成後も残ることがある。これらの残留スズ小滴がコレクタ光学系COに入射し、又は開口18を通って照明システムILに入る可能性を低減することが望ましい。ベーン24a〜dは、残留スズ小滴を受けるトラップの役割を果たし、したがって燃料デブリの受け面の例である。
[0143] ベーン24a〜d(又は放射源SOのその他のベーン)は、加熱装置によって加熱されてもよい。ベーン24a〜dは、スズの溶解温度超の温度(例えば約230℃以上、例えば約250℃以上)に加熱されてもよい。その結果、ベーン24a〜dに入射する残留スズ小滴は液体の形態に留まり、ベーンに沿って、又はこれを横切って流れることがある。排出溝27はベーン24a〜dからの液体スズを受け、液体スズをドレン(図示せず)へと誘導する。
[0144] ベーン(例えばベーン24a〜d)の温度はスズの蒸発温度(例えばかなりの蒸発が生じる温度)未満でよい。これは放射源内の圧力に左右され、例えば1100℃〜1600℃の範囲でよい。蒸発したスズは光学面などの放射源SO内のその他の面(又は別の面)上に移動し、そこで凝結することがあるため、スズが蒸発しないことが好ましい。
[0145] 図4から分かるように、放射源SOは角度のある上向きであるため、幾つかのベーン24cはコレクタ光学系COの上方に位置している。ベーン24の表面には溝が設けられ、この溝は線28で概略的に示されている。溝28は、液体スズの流れを重力で排出溝27の方向に向けるような配向を有している。したがって溝28は、液体スズがベーン24cからコレクタ光学系CO上に滴下する可能性を低減する。スズがコレクタ光学系CO上に累積すると、コレクタ光学系COの反射性を不都合に変更することがあるため、このことは有利である。
[0146] したがって、ベーン24を固定的な燃料デブリ受け面の例であると見なしてもよい。壁、ベーンの間、覆設バーの表面などの放射源内の別の固定燃料デブリ受け面に溝を設けてもよい。
[0147] ベーンの最も下の縁部の近傍に位置する液体小滴は、ベーンから滴下する可能性が最も高い。その結果、ベーンの最も下の縁部に、又はそれに隣接して溝を設けることが有利である。また、放射源の動作中にデブリを受ける可能性が最も高いベーンの1つ又は複数の位置に溝を設けることも有利である。
[0148] 溝は、毛管作用、及び/又は吸い上げ作用をもたらし、それによって液体燃料が溝内に流れることを促進し(且つ液体燃料が溝を横切って流れることを抑止する)断面形状を有していてもよい。溝は例えばv字形の断面を有していてもよい。あるいは溝は、各々が例えば約90°の角度を成す2つの隅部を有する矩形の断面を有していてもよい。この場合は、2つの隅部は、毛管作用及び/又は吸い上げ作用を生じる力をもたらし得る。溝は、例えば毛管作用及び/又は吸い上げ作用をもたらし得るその他の適切な形状を有していてもよい。例えば、隅部は溝に沿って縦方向に延在し、隅部が毛管作用及び/又は吸い上げ作用を生じるようにしてもよい。
[0149] ベーン24上の溝28の集合は、互いに実質的に平行に延在する溝を含んでいてもよい。実質的に平行な溝は直線的でも湾曲していてもよく、又、両方の組み合わせでもよい。溝は相互接続されてもよい。
[0150] 各ベーン24上には3つの溝28だけが示されているが、これは単に概略的な例である。各ベーン24上には3つ以上の溝を設けてもよい。例えば、各ベーン24上に10以上、又は20以上の溝を設けてもよい。隣接するベーン間の間隔は例えば6mm以下でよい。6mmは液体スズ用の毛管の長さの2倍である(毛管の長さとは、毛管作用がスズを溝内に引き込むことができる溝からの最大距離を意味するものである)。したがって、2つの溝が6mmだけ離間されている場合は、これらの溝間の表面全体は溝の1つの毛管長さ内に収まることができる。隣接する溝間の間隔(すなわち液体スズ用の毛管長さ)は例えば約3mmでよい。隣接する溝間の間隔は例えば1mm以下でよい。約1mmの間隔は全体に溝を設けた表面を効果的に作製可能である。
[0151] 溝の深さは例えば最大0.1mmでよい。溝の深さは最大0.2mm、最大0.5mm、又は最大2mmであってよい。溝の深さは例えば0.5mmでよい。
[0152] 溝がv形の断面を有している場合は、溝の幅はその深さと開き角によって決定される。溝(例えばv形溝)の幅は例えば少なくとも0.1mmでよい。溝(例えばv形溝)の幅は例えば最大0.2mm、最大0.5mm、又は最大2mmでよい。
[0153] 溝が矩形の断面を有している場合は、溝の幅はその深さに左右される。それによって、溝により得られる排液能力を高めるためにより広い幅が得られる。矩形の溝の幅は例えば最大0.2mm、最大0.5mm、又は最大2mm、又は最大10mmでよい。矩形の溝の幅は例えば少なくとも0.1mmでよい。
[0154] 図5は、例えば本発明の実施形態による放射源SOの内部のベーン面又はその他の面に形成されてもよいv形溝の断面を概略的に示している。v形溝28は、例えばベーンの表面に平行でもよいx方向に対して示されている。x方向に対する法線も示されている。v形溝28は開き角βを有している。v形溝28の各側面はx方向に対して、2α+β=180°になるような角度α(以下仰角と呼ぶ)を成している。v形溝は、深さh0を有している。
[0155] 図5には、(その他の液体燃料も考えられるが)液体スズ30も示されている。液体スズ30は、曲率半径Rを有するメニスカス32を有している。メニスカスは、これがv形溝28の表面と接触する位置で角度θを成している。
[0156] 溝内の液体小滴の毛管作用は、小滴の湿潤前面を前進させる(すなわち小滴が溝内で散開する)ことができる。小滴の湿潤前面のこのような前進の特性を以下の式で示してもよい。
[0157] 但し、Dは小滴の湿潤前面の前進速度の特性を示す輸送係数、σは液体の表面張力、h0は溝の深さ、μは液体の動的粘度、及びKは仰角αと、液体が移動を開始する前のメニスカスと溝との間に形成される角度θ0との幾何関数である。上式から分かるように、輸送係数DはKに比例する。
[0158] 図6は、仰角α(αはラジアンで示される)の関数としてKがどのように変化するかを示したグラフである。図6に見られるように、Kは約70°の仰角αで最大値を通る(図6の水平目盛で約0.77)。これは約40°の溝の開き角βに相当する。したがって、v形溝内のスズ小滴の毛管作用は、溝の開き角が約40°で最大になり得る。図6から分かるように、その他の開き角βでもかなりの毛管作用を生じ得る。溝の開き角βは例えば30°〜50°の範囲でもよく、例えば20°〜60°の範囲でもよい。
[0159] 溝内に流入する液体に対する溝の形状が及ぼす作用についてのより詳細な情報は、本明細書に参照として組み込まれるL.A. Romero他著、流体力学ジャーナル(1996年)第322巻、109〜129ページに記載されている。
[0160] 上に説明したように、v形溝28によって得られる毛管作用は、溝に沿ってスズ小滴を散開させ得る。さらに、v形溝28は、液体スズを周囲領域からv形溝内に引き込むことができる。このことは例えば、液体スズ小滴の一部が溝と重なり、液体スズ小滴の一部が溝と重ならない場合に起こり得る。溝内の液体スズによって生じる力に起因する吸い上げ作用は、小滴を溝内に引き込む。毛管作用を介した溝内への液体スズ小滴のこのような引き込みは、液体スズ小滴が溝を横切って流れることを防止又は抑止するので有利である。
[0161] 図4を参照すると、液体スズがコレクタ光学系COの上方に位置するベーン24c上で受けられると、その液体小滴は重力によってベーンの底縁部に向かって下方に流れるように付勢される。溝28がなければ、液体スズがベーン24cから滴下してコレクタ光学系CO上に入射する危険が生じる。しかしながら、液体スズが溝28(例えばv形溝)を越えて流れると、溝によって得られる毛管作用が液体スズを溝内に引き込み、液体が下方に、ベーン24cを横切って流れることを抑止する。溝28は液体スズの流れを重力の影響で排出溝27方向に誘導する。したがって、ベーン24cは、液体スズを受け、その液体スズを溝28を介して排出溝27に誘導するように構成される。重力に加えて、溝28内の毛管作用はまた、液体スズの流れを排出溝27に向かって押しやることもできよう。
[0162] 溝の断面が矩形である場合は、溝の側壁による流れ抵抗が、流体が溝を横切る方向に溢れることを防止する(すなわち流れ抵抗が流体を溝内に保持する)。流体は溝の方向に流れ、重力の影響で溝に沿って誘導される。矩形の溝に沿って延在する隅部も毛管作用及び/又は吸い上げ作用を引き起こし得る。一般に、溝に沿って延在する隅部(すなわち縁部)は、毛管作用及び/又は吸い上げ作用を引き起こし得る。
[0163] 図4の右側のベーン24d内の溝28も、液体スズが排出溝27に流入するように液体スズの流れを促進する。この場合は、ベーンは光学系COの上方には延在しておらず、上記のベーン24cよりも垂直に近い向きにある。したがって溝28は、液体スズがコレクタ上に滴下することを防止する必要がない。それにも関らず、溝28は液体の流れを重力の影響で排出溝27へと誘導し得る。
[0164] 一般に、溝28は、溝が液体スズを重力の影響で排出溝27へと誘導するような向きにある。溝28は、溝がない場合よりも迅速に液体スズが流れるように構成されてもよい。それによってベーン24は、液体スズがベーンを満たしたり、余分な液体スズがコレクタ光学系CO(又はその他の表面)上に滴下させたりせずに、そうしない場合に可能な流量よりも多くの流量で液体スズを受けることが可能になる。
[0165] ベーン24によって受けられた液体スズの流れに対する重力の作用は、以下に検討する。図7は矢印34で示すように、重力がv形溝に沿った液体スズ30の流れを促進するように傾斜したv形溝28を概略的に示している。下向きの矢印gは重力を概略的に示している。水平に対する溝28の角度ψも概略的に示されている(この角度は以下では、重力の垂直方向に対する角度(90°−ψ)として表すこともできる傾斜角ψと呼ばれる)。図7に示す状況では、液体スズ30は、重力によって誘発される圧力勾配p7によりv形溝28を通って流れることができる。液体スズの体積流束q(すなわち液体スズの流速)は、以下により得られる。
但し、hは溝の深さ、μは液体スズの動的粘度、Гは、仰角αと、液体スズが移動を開始する前のメニスカスと溝との間に形成される角度θ0と、の幾何関数、ρは液体スズの濃度、gは重力による加速度、及びψは溝の傾斜角である。重力による溝に沿った液体の流れに関する追加情報は、上にも記載したRomero他の論文に記載されている。
[0166] 図8は、溝の仰角αの関数として幾何関数Гがどのように変化するかを示したグラフである。図から分かるように、幾何関数Г、したがって(この関数に比例する)体積流束は仰角αが小さい場合に最大になり、仰角αが増大すると低減する。
[0167] 図8は図6と組み合わせて、溝によって得られる液体スズの体積流束と、(仰角αの作用により)溝によって得られる毛管作用との間には兼ね合いがあることを示している。約70°の仰角αによって液体は溝内に強く引き込まれ、液体小滴はその溝に沿って速やかに散開する。しかしながら、約70°の仰角αは、(図8に示すように)例えば20°の仰角αと比較して溝に沿った液体の流量を大幅に低減させることがある。
[0168] 式(2)から分かるように、液体の体積流束は溝の深さの4倍に及ぶ。したがって、溝の深さは体積流束に仰角αよりも強く影響する。このことは、異なる2つの深さの溝について、溝の傾斜角αの関数として幾何関数がどのように変化するか(図7を参照)を示したグラフである図9から分かる。溝は両方とも、70°の仰角αを有している。図から分かるように、体積流束は傾斜角ψが大きくなると共に増大する。図9のグラフは、深さが0.1mmの溝、及び深さが0.2mmの溝の場合の体積流束を示している。図から分かるように、深さが0.2mmの溝の場合の体積流束は、深さが0.1mmの溝の場合よりも体積流束が大幅に大きい。
[0169] 溝の深さが体積流束に及ぼす影響は仰角αの作用よりも強いため、ベーン24内に形成される溝は、例えば所望の毛管作用を引き起こす仰角α(例えば約70°の角度)で形成されてもよく、その後で所望の体積流束を得るための溝の深さが選択されてもよい。
[0170] 代替のアプローチでは、液体スズを保つために強い毛管作用を必要とする溝28の場合は仰角αに優先順位を与えてもよいのに対して、強い毛管作用を必要としない溝の場合は流量に優先順位を与えてもよい。図4を参照すると、コレクタ光学系COの上方のベーン24c上に位置する溝28は、強い毛管作用を必要とする溝であると見なしてもよい。放射源SOの右側のベーン24d上に位置する溝28は、(溝の向きが垂直に近いため)強い毛管作用を必要としない溝であると見なしてもよい。
[0171] 溝28がベーン24上にない場合は、掻傷などの不完全さによってスズがベーン上の所望の方向に通過することが抑止、又は妨害される可能性がある。例えば、図4でコレクタ光学系CO上方にあるベーン24c上の縦の掻傷は、液体スズが排出溝27に向かって移動することを抑止することがあり、液体の下方への移動(及び引き続きコレクタ光学系CO上への滴下)を促進する可能性がある。これは、(期待されることであるが)溝がどの掻傷よりも深ければ溝28によって防止し得る。
[0172] 溝28がない場合は、直径が10μmと10mmの間のスズ(又はその他の燃料)の小滴はベーン24上に累積する可能性がある。ベーン24内に溝があれば、ベーン24上に形成されるスズ小滴の最大サイズは、(上にも記載したように)スズを溝内に引き込む溝の吸い上げ作用により溝によって限定され得る。
[0173] 本明細書の記述では、溝28をベーン24上に設けられるものとして記載してきた。それには、ベーンの一部を形成する支持構造29上に溝を設けることも含めてもよい。
[0174] 溝を放射源SO内のその他の位置に設けてもよい。例えば、放射源ハウジング16の壁に溝を設けてもよい。ハウジングから延在するベーン24間に溝を設けてもよい。放射源SO内のいずれかの固定燃料デブリ受け面上に溝を設けてもよい。この文脈では、「燃料デブリ受け面」という用語は、放射源の動作中に燃料デブリ(例えば液体スズ小滴)を受ける表面を意味すると解釈してもよい。「固定」という用語は、放射源の動作中に表面が移動しないことを意味するものと解釈してもよい。
[0175] 溝を反射構造26上に設けてもよい。反射構造26はベーンであると見なしてもよい。溝は例えば、実質的に反射構造26の周囲に延在していてもよく、又は径方向に延在していてもよく、又は一部は径方向、一部は周方向の複合的な形状を有していてもよい。溝は、その他の任意の適切な形態を有していてもよい。溝の向きは、液体スズの流れを重力の影響で排出溝(図示せず)へと誘導するように配置された向きであってもよい。
[0176] ある実施形態では、例えば図10に概略的に示すように、スズキャッチャ22に一連のベーンを設けてもよい。ベーン36は、スズキャッチャ22の壁から内側に延在してもよく、スズキャッチャに流入した液体スズがスズキャッチャから跳ね返る確率を低減するように構成されてもよい。ベーン36には、液体スズの流れを所望の方向(例えばスズキャッチャの底面方向)に誘導するように配置された向きの溝を設けてもよい。ある実施形態では、スズキャッチャ22の内周に延在する1つ以上の螺旋をベーン36に設けてもよい。1つ以上の溝は所与の螺旋状ベーン36の実質的に全てに沿って延在していてもよい。溝は任意の適切な形態のものでよい。
[0177] 溝は放射源SO内の別の位置にベーン上に設けてもよい。
[0178] 反射構造26上、又はスズキャッチャ22のベーン36上(又はその他の表面上)に設けられた溝は、ベーン24に関して上にも記載した1つ以上の特性を有していてもよい。
[0179] 力の成分が重力により液体スズが溝に沿って流れるようにするため、溝を水平に対して傾斜させてもよい。
[0180] 溝は重力の影響で液体スズの流れを誘導するものと見なしてもよい。
[0181] 本明細書の記述では、「仰角」という用語には、溝が形成されるベーンの表面が水平でなければならないことを示唆する意図はない。
[0182] 図11は、片側から見た放射源ハウジング40の実質的に円錐形の部分を一部断面図で概略的に示している。放射源のその他の部分は図示していないが、図4に示した放射源SOの部分と対応する部分でよい。複数のベーン42がハウジング40から内側に延在している。ベーン42をハウジング40の周囲に配分してもよい。図11には7つのベーンが示されているが、これは単に概略的に示したものであり、任意の適切な数のベーンを備えていてもよい。例えば、20以上のベーン、40以上のベーン、又は60以上のベーンがハウジング40から内側に延在していてもよい。排出溝44はベーン42の底端部に位置している。スズコレクタ46は排出溝44に接続されている。
[0183] 液体スズ入口48はベーン42の上端部に、又はそれに隣接して位置している。液体スズ入口48は、液体燃料の流れをベーン42上に給送する。液体スズ入口48を経て給送された液体スズはベーン42に沿って、及び/又はベーン42の間を流れ、排出溝44内に受けられ、そこからスズコレクタ46(すなわち図3のキャッチャ22などのスズキャッチャ)に流入する。
[0184] 楕円形の点線で囲まれた図11の部分は、図12でより詳細に断面で概略的に示されている。図12には2つのベーン42が示されている。液体スズ入口48の一部も示されている。液体スズ入口48は、液体スズの流れがそれを通って給送される開口50をベーン42の間に備えている。開口50は、液体スズを開口50に給送する役割を果たす導管52に接続されている。導管52は、リザーバ又はその他の何らかの液体スズ供給源に接続されてもよい。
[0185] この場合は加熱要素54であるヒータが導管52の後部に位置している。加熱要素は、導管52とベーン42が両方ともスズの溶解温度超になることで、スズが液体状に保たれることを確実にするように導管52とベーン42とを加熱する。加熱要素54は、例えば導管52とベーン42とを250℃〜350℃の間の温度に加熱する。ハウジング壁40の一部も図12に示されている。
[0186] 使用時には、EUVリソグラフィ装置の動作中、液体スズは導管52を経て開口50に給送される。液体スズは、図12ではグレーの陰影55によって表わされている。スズは加熱要素54によって液体状に維持される。液体スズ55は開口50を通って流れると、ベーン42のスズデブリ受け面(すなわちベーンの外表面)上に給送される。それによって液体スズ55のコーティングがベーン42上に施される。液体スズのコーティングは静止せず、ベーンに沿って下方に流れる。これは図11の矢印56で概略的に示されている。液体スズのコーティングのこのような下方への流れは、少なくとも部分的には重力によるものである。液体スズがベーン42の底面に到達すると、液体スズは排出溝44に入り、次いでスズコレクタ46へと流入する。液体スズはコレクタから液体スズ入口48に戻り、それによってベーン42のスズデブリ受け面へと再導入されてもよい。液体スズ入口48は、液体スズの流れをベーン42のスズデブリ受け面に供給するように構成されてもよい。液体スズの流れは、例えば液体スズの連続的供給であってもよい。液体スズの流れは、例えばベーン42のスズデブリ受け面が液体スズのコーティングで継続的に覆われることを確実にするものであってよい。液体スズのコーティングは、ベーン42のスズデブリ受け面が良好な湿潤面であることを確実にするものであってよい。
[0187] 「湿潤」という用語は、液体面と固体面との接合時の分子間相互作用に起因して、液体が固定面との接触を維持する能力のことを指す。液体と固体との粘着力は、固体面を横切って液滴を散開させる傾向がある。液体内の凝集力は、液滴を球形の形状にして、固体面との接触を回避させる傾向がある。上にも記載したように、EUVリソグラフィ装置では、液体スズのデブリをデブリ受け面上に維持することが望ましく、逆に液体スズのデブリがデブリ受け面上から滴下することが望ましくないことがある。したがって、デブリ受け面が良好な湿潤面であることを確実にすることが望ましい。
[0188] ベーン42はステンレス鋼製でよい。ステンレス鋼の湿潤特性は劣っていることがある。したがって、ベーン42のデブリ受け面はスズの層で事前コーティングされてもよい(スズの湿潤特性は良好である)。しかしながら、それは、EUVリソグラフィ装置の動作中に、ステンレス鋼の表面に被覆されたスズ層が流出し、ステンレス鋼の表面が露出された領域になる場合がある。ステンレス鋼の表面のこのような露出領域は、ステンレス鋼の湿潤特性が劣っているため、排出溝44への液体スズのデブリの流れを妨げることがあるため望ましくない。例えば、露出したステンレス鋼の領域は液体スズの流れを抑止し、そのため液体スズが露出したステンレス鋼の領域の上に累積することがある。このようなスズの累積は、スズが重力によりベーンから滴下するのに十分に多い可能性がある。これは、例えば液滴が放射源SOのコレクタ光学系CO上に入射し(図4を参照)、それによってコレクタの有効性を損なうため望ましくない。
[0189] 図11及び図12に示す本発明の実施形態は、液体スズのコーティングがベーン42上に維持されるように、液体スズが液体スズ入口48を通って液体スズが流れるようにすることによって上記の問題を解決するものである。液体スズはベーンのステンレス鋼が露出することを防止、又は抑止する。したがって、ベーン上には良好な湿潤面(すなわち液体スズ)が存在する。良好な湿潤面は、液体スズのデブリが排出溝44(図示せず)へと流れるように、液体スズのデブリがスズのコーティングとして制御されて流れることを促進する。以下にさらに記載するように、液体スズを別のデブリ受け面上に施してもよい。
[0190] 液体スズ入口48は、図12に概略的に示すように、ベーン42の間に位置する開口50を備えていてもよい。各ベーン42の間には1つの開口50しか示されていないが、ベーンの間に複数の開口を設けてもよい。ある実施形態では、液体スズ入口48に1つ以上のアレイの微細孔を設けてもよい。微細孔の直径は、例えば100μm程度でよい。液体スズ入口48は、ハウジング40の周囲に配分された一連の開口を備えていてもよい。開口50は、例えばベーン42の間、又はベーンに隣接して位置していてもよい。開口50は、例えばベーン42の上端部に、又はそれに隣接して位置していてもよい。開口を任意の適切な位置に設けてもよい。液体スズ入口48は任意の適切な形態のものでよい。
[0191] 液体スズ入口48は、燃料デブリ受け面、例えば燃料デブリ受け面上の直の開口に、又は(液体スズがその表面を越えて、燃料デブリ受け面上に流れるように)燃料デブリ受け面に接続された表面上の開口に接続されてもよい。液体スズ入口48は、例えば液体スズが重力の影響で燃料デブリ受け面に滴下するように、燃料デブリ受け面から離間した1つ以上の開口を備えていてもよい。燃料デブリ受け面に滴下する連続的な流れの形態の液体スズは、デブリ受け面上への液体燃料の流れの例であると見なしてもよい。
[0192] ベーン42は、放射源の光軸に向かって径方向内側に延在していてもよい。ベーンは凹面の形状を有していてもよい。ベーンは鋭利な先端を有していてもよい。ベーンは、径方向に対して垂直な表面を最小限にすることによって、デブリがベーンから放射源内に直に跳ね返る確率を最小限にするように配置された形状を有していてもよい。ベーンは図11に示すように直線的でもよく、湾曲していてもよい。
[0193] ベーン42には、液体スズ55をベーンの先端から引き離す不均一な毛管圧を引き起こす湾曲した表面を設けてもよい。これは、大量の液体スズ55がベーン42の先端に蓄積することを防止すると共に、ベーン上の液体スズのコーティングを維持することによって、良好な湿潤面を維持するので有利である。
[0194] 図13は、使用可能なベーンの輪郭の例を示す図表である。図13ではベーン42は下方に延在し、放射源(図示せず)の内部は図表の線の下にある。開口50は図表には示されていない(開口は例えば図表に示すベーンの輪郭の上流側にあってもよい)。ベーン42の曲率はベーンの先端で最高であり、ベーンの先端からの距離が増すほど低減する。この曲率の結果、約0.7mbar/mmである液体スズの(コーティングと見なしてもよい)スズ層の毛管圧の勾配が生じる。これは重力の作用による圧力勾配とほぼ同じ大きさである。したがって、図13の図表に示したベーン42の形状は、重力がベーンの先端に液体スズを累積させることを抑止又は防止する。その代りに、液体スズ55のコーティングがベーンの先端の近傍に施され、残りの液体スズは隣接するベーン42間の空間45内に引き込まれる。液体スズ55のコーティングの厚さは、例えば約100μm以下でよい(ベーンの先端からの不都合な滴下は、コーティングの厚さがこの値を優に超える場合に起こり得る)。
[0195] 図13から分かるように、ベーン42の両側には、このベーンが隣接するベーンと接触する位置に隅部43がある。ベーン42間の空間45は溝45であると見なしてもよい。隅部43の近傍では、ベーン42の輪郭は実質的に直線状である。したがって溝45の隅部43は、隅部43の近傍の輪郭形状とともにv形溝を形成する。溝45のv形は、液体スズ内に毛管圧を生じ、これが液体スズを溝内に引き込むことによって液体スズを保持する。毛管圧はまた、液体スズが溝45によって散開することを促進し、液体スズの充填レベル58を確立させる(図12を参照)。
[0196] 図12及び図13に示す実施形態のベーン42は、6mm以下だけ離隔される。上にも記載したように、6mmは液体スズの場合の毛管長さの2倍である(他の燃料の場合は、毛管長さは異なることがある)。ベーン42間の所与の離隔距離で、ベーンの高さは、曲率勾配がベーンの先端の近傍で確立されることによって、ベーンの先端に液体スズが累積することを防止又は抑止するように選択されてもよい。したがって、約6mmだけ離隔されたベーン42の場合は、ベーンの高さは約3mmでよい。これは、ベーン42の先端から液体スズを引き離す毛管圧を生じる不均一な曲率に適応するのに十分な高さである。ベーン42の高さは任意の適切な高さでよい。ベーン42の高さの選択には、ベーン42に入射した液体スズの後方散乱を低減又は防止する程度を考慮に入れてもよい(高さが増すと、後方散乱の低減又は防止により効果的である)。ベーン42の高さは、液体スズの毛管長さ程度でよい。
[0197] 上記のように、ベーン42間の離隔距離は6mm以下でよい。ベーン間の離隔距離が短いいと製造がより困難になり、したがって製造可能性がベーン42間の離間距離を縮小できる程度を制限することがある。さらに、ベーン間の離間距離がより短くなると、(所与のベーン高さで)ベーンに与えることができる曲率勾配が低減する。
[0198] ベーン42間の溝45は、液体スズの流れを重力の影響で排出溝44に向かって誘導する向きを有している。溝45は、入射する液体スズのデブリを捕捉し得る。
[0199] ベーン42の先端の近傍の液体スズ55のコーティングのある部分を液体スズ入口48から供給される液体スズによって施し、液体スズのコーティングの別の部分を液体スズデブリによって施してもよい。液体スズデブリがベーン42に入射すると、余分な液体スズは毛管圧によって自動的にベーンのベースへと引き込まれる。次いで余分な液体スズはベーン42のベースに沿って流れる液体スズと合流し、排出溝44へと案内される。
[0200] 図12を再び参照すると、ベーン42の曲率は、液体スズ55がベーンのベースで累積する傾向があるような曲率である。液体スズ55は、液体スズが液体スズ入口48によって供給される速度により少なくとも部分的に決定されるレベル58までベーンのベースの領域を充填してもよい。液体スズが液体スズ入口48によって供給される速度は、所望の充填レベル58が得られるように選択されてもよい。例えば、液体スズ55は、1mm以下(又はその他のいずれかの値)の充填レベルをもたらす速度で液体スズ入口48を経て供給されてもよい。液体スズ入口48を経て過剰な液体スズ55が供給されることは、必要以上に高い充填レベル58を引き起こし、したがって例えばスズのベーン42からの滴下を引き起こすため好ましくない。液体スズ55は、ベーン42間に画定された溝によって生じる毛管圧作用により、自動的に液体スズの流れ方向に沿って充填レベル58を配分し得る。
[0201] 代替実施形態(図示せず)では、液体スズは液体スズ入口を経て、ベーンを備えていない放射源の壁、又は(上に例示したような)その他の何らかのスズデブリ受け面に供給されてもよい。この場合は、液体スズの供給によってデブリ受け面の湿潤特性を上記のように維持することによって、スズが表面上に累積すること、及び次いでスズが表面から滴下することが抑止される。
[0202] ある実施形態では、液体スズ入口は、ベーン又はその他の構造を有していない壁などの表面に液体スズを供給するように配置されてもよい。この場合は、壁は液体スズを受ける壁の一部が水平部分を含まないように配置されてもよい。壁は、壁の一部が水平に対して20°以上の角度を成すように配置されてもよく、液体スズを受ける壁の一部が水平に対して30°以上の角度を成すように(すなわち、重力の垂直方向に対して60°以下の角度を成すように)配置されてもよい。これは液体スズが壁から滴下することを防止、又は低減する。液体スズ入口からの液体スズの供給速度は、壁上の液体スズのコーティングの厚さを約100μm以下に保つように選択されてもよい。
[0203] 液体スズは液体スズ入口を経て、例えば中間焦点IFの近傍に位置する反射構造(例えば、図3及び図4に関連して上にも記載した反射構造26)に供給されてもよい。反射構造は燃料デブリ受け面にであってもよい。
[0204] 液体スズ、液体スズ入口を経て、例えば燃料小滴エミッタ10(図3を参照)の外表面に供給されてもよい。燃料小滴エミッタの外表面(例えば燃料小滴放出ノズル)は、燃料デブリ受け面であってもよい。
[0205] 液体スズは液体スズ入口を経て、(図3及び図4を参照して上にも記載したように)例えば溝28を設けたベーン24に供給されてもよい。ベーン24は燃料デブリ受け面であってもよい。
[0206] ある実施形態では、上記の1つ以上の液体スズ入口を用いて液体スズ以外の液体を給送してもよい。したがって液体スズ入口を一般に液体入口であると見なしてもよい。液体入口を用いて任意の適切な液体を給送してもよい。例えば、液体入口を経てガリンスタンを投入してもよい。ガリンスタンはドイツのGerathern Medical AGから市販されており、ガリウム、インジウム及びスズを含んでいる。ガリンスタンは好適に、凝固を避けるために、スズデブリが溶解した成分が低い比率になるような成分の濃度を有している。これらの成分は例えば以下の比率で提供される。すなわち、約68%のガリウム、約22%のインジウム、及び約10%のスズである。
[0207] ガリンスタンの融点は−19℃であり、したがって室温(例えば約20℃)では液体状である。その結果、ハウジングが室温にある場合、ハウジング40の表面を伝って流れるようにガリンスタンを配置してもよい。ガリンスタンは湿潤性が良好な材料であり、したがってガリンスタンが流れる表面上にコーティングを形成し得る。ガリンスタンに入射するデブリはガリンスタンによって捕捉され、(例えば上記の態様で)ハウジング40の表面を伝って流れ得る。このようにして、スズデブリは捕捉され、(ガリンスタンと共に)スズコレク46に給送される。スズデブリのこのような補足は、ハウジング40をスズの溶解温度超(例えば約200℃以上)に加熱する必要なく達成される。
[0208] ハウジング40を加熱しないことは様々な理由で有利である。例えば、加熱されたハウジングのメンテナンスが必要である場合、ハウジングを再び取り扱えるようになる前にハウジングのクールダウンを待機する時間遅延が生じる。ハウジングが加熱されなければこれが避けられる。同様に、加熱されたハウジングのメンテナンスの後に、ハウジングが動作温度にヒートアップするまで待機する時間遅延が生じる。これもハウジングが加熱されなければ避けられる。さらに別の利点は、ヒータ及びそれに関連する制御電子機器が不要であるため、ハウジングの構造が簡略化されることである。さらに別の利点は、温度と共に増加する傾向があるガス放出がハウジング内で低減することである。
[0209] 例えば水又はその他の液体によるハウジング40の冷却を用いてEUV放射生成の副産物として生成される熱を散逸させてもよい。例えば冷却を用いて、ハウジングの少なくとも一部を350℃未満、例えば室温(又はその他の適切な温度)に維持し得る。
[0210] ガリンスタンは周期的又は連続的に供給されてもよい。ガリンスタンは、ガリンスタンに入射するスズがガリンスタンの特性をそれほど老化させないために十分な速度で供給されてもよい。ガリンスタンに入射し、ガリンスタン中に溶解するスズは、ガリンスタンの組成を室温ではもはや液体ではなくなるように変化させる可能性がある。これは、デブリがハウジング40の表面上に入射する速度を考慮に入れて、十分な高速度でガリンスタンを供給することによって避けられよう。この速度は例えば経験的に決定されてもよい。
[0211] ある実施形態では、ベーン42は多孔質金属から形成されてもよく、ガリンスタンはベーン内から供給されてもよい。ハウジングは、例えばガリンスタンが例えばベーンを通って進行し、ベーンの前面から流出するように構成されてもよい。ガリンスタンは、例えばベーンの裏面からベーン42内に給送されてもよい。多孔質金属を通してガリンスタンを給送することの利点は、それによってより多くのガリンスタンが、スズデブリの大部分を受ける位置に自動的に給送されることにある。その理由は、多くのスズデブリを受ける位置が、溶解したスズデブリ(及びガリンスタン)がこの位置から大量に流れることにより、より多くのガリンスタンを多孔質金属からそこに引き込むからである。逆に、少量のスズデブリを受ける位置は、溶解したスズデブリ(及びガリンスタン)の少量の流れを受け、したがってより少ないガリンスタンしかそこに引き込まない。このような多孔質金属の使用はガリンスタンに限定されない。すなわち、例えば、液体燃料又はその他の金属又は合金を給送するために多孔質金属を使用してもよい。
[0212] ガリンスタンの代わりに、室温で液体状のその他の合金又は金属を使用してもよい。例えば水銀を使用することもできよう。ガリンスタンは、毒性がなく、水銀よりも溶解し易いため水銀より有利である。
[0213] ハウジングのベーンの文脈で記載したが、ガリンスタン、又は室温で液体上のその他の幾つかの合金又は金属を使用して任意の適切な位置でスズ(又はその他の燃料)を捕捉してもよい。
[0214] 図14は、図3及び図4に示した覆設バー60の断面を概略的に示している。放射源の光軸Oも図14に示されている。図14から分かるように、覆設バー60は光軸Oと交差する。覆設バー60は、レーザLAから放出された放射が入射する2つの面62を備えている(図3及び図4を参照)。面62は、レーザ放射を放射源SOの中間焦点IFから反射するように配置されてもよい。それに加えて面62は、レーザ放射をレーザOLAに直接的に後方反射しないように配置されてもよい(このような直接的反射は、レーザの動作の不安定さを引き起こす可能性がある)。覆設バー60の面62は互いに接合して縁部64を形成する。縁部64は、放射源の光軸Oと交差してもよい。
[0215] 上記のように、覆設バー60はレーザLAによって放出されたレーザ放射を遮断する。さらに、覆設バー60はプラズマ14から放出されたEUV放射を遮断する。さらに、プラズマ14が形成された後に残される残留スズ小滴が覆設バー60に入射する。覆設バー60は、スズの残滓を受ける溝66を含み、これを排出溝、ドレン又はその他のレセプタクルへと誘導する。
[0216] 覆設バー60は高温に耐えることができるように、例えばモリブデンから形成されてもよい(又はその他の適切な材料から形成されてもよい)。覆設バー60に入射する残留スズ小滴が液体状を保つように、バーはスズの溶解温度超の温度(例えば約200℃以上、例えば約230℃以上)に加熱されてもよい。覆設バー60に入射する残留スズ小滴は、例えば最初は覆設バー上で静止状態に留まっていてもよい。経時と共に、追加の残留スズ小滴は覆設バー上の同じ位置、又は隣接位置に入射してもよく、これらのスズ小滴は融合してより大きい小滴を形成してもよい。スズ小滴が特定のサイズに成長すると、スズは重力によって覆設バー上へと下方に移動する。スズ小滴は、溝66に達するまで下方に移動し、そこでスズ小滴の更なる下方移動は上記溝によって妨げられる。溝66が存在しないと、小滴が覆設バー60上へと下方に流れ続け、覆設バーの縁部64から滴下する。これは、コレクタ光学系CO、又は放射源SOのその他の表面の汚染を引き起こすため望ましくない。
[0217] 図3を参照すると、ある実施形態では、覆設バー60は水平ではない向きを有していてもよい。すなわち、図3では、覆設バー60の向きは、図3の紙面とは平行ではなく、覆設バーの一端が紙面の上方にあり、覆設バーの別の一端が紙面の下にあるように光軸Oを中心に回転するような向きであってもよい。このように、覆設バー60は水平に対して傾斜していてもよい。覆設バー60が水平ではない向きにある結果、溝66内の液体スズは重力によって溝に沿って流れ、覆設バーの最下端に流れる。次いで液体スズはドレン、排出溝又はその他の何らかの適切なレセプタクル内に受けられる。
[0218] 溝66は任意の適切な断面形状を有していてもよい。溝は例えば、(図14に示すように)実質的にv形の断面を有していてもよい。溝は、毛管作用を引き起こす断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。溝は、液体燃料を溝内引き込む吸い上げ作用を生じる断面サイズ及び/又は形状を有していてもよい。
[0219] 覆設バー60は、覆設バーをスズの溶解温度超の温度(例えば約200℃以上、例えば約230℃以上)に加熱するように配置された加熱システムを含んでいてもよい。これは能動加熱システムであると見なしてもよい。あるいは、覆設バー60は、プラズマ14、及びレーザLAから放出されたレーザビームから熱を受けることによって加熱されてもよい。これは受動加熱システムであると見なしてもよい。覆設バー60は、能動加熱と受動加熱の組み合わせによって加熱されてもよい。
[0220] 図14から分かるように、覆設バー60の最下部68に入射する残留スズ小滴は、覆設バー上の最も下の溝の下に位置しているため、溝66には流入しない。液体スズが覆設バーの最も下の領域68から滴下することを防止するため、この部分をスズの蒸発温度超の温度に加熱してもよい。この温度は放射源SO内に圧力に左右され、例えば1100℃〜1600℃の範囲でよい。
[0221] ある実施形態では、覆設バー60の最下部68を蒸発が生じる温度に加熱することは、例えば少なくとも部分的に、覆設バー60の最下部68と残りの部分との接続幅Wを、覆設バーの最下部68から残りの部分に熱が伝達されるのに十分狭く配置することによって達成できる。最下部68は、レーザLAから放出されたレーザ放射によって加熱される(図3及び図4を参照)。最下部68からの熱流を制限することが、レーザ放射によって最下部に給送される熱が最下部から奪われる程度を制限し、それによって最下部の温度を覆設バー60の残りの部分の温度よりも大幅に高い温度まで上昇させる。覆設バー60の最下部68と残りの部分との接続幅Wは、放射源の動作中に最下部がスズの蒸発温度超に温度に加熱されるように選択されてもよい。
[0222] 覆設バーの最下部68と残りの部分との接続幅を狭くすることは、最下部の熱的分離の一例である。その他の形態の熱的分離を用いてもよい。例えば、熱伝導性が低い材料を使用して、覆設バーの最下部と残りの部分とを接続し、それによって熱伝達を制限してもよい。「熱的分離」という用語は、覆設バーの最下部と残りの部分との間に熱伝達が生じないことを意味するものではない。むしろ、「熱的分離」は、覆設バーの最下部と残りの部分との間に著しい温度差があるように熱伝達が制限されることを意味するものと解釈してもよい。
[0223] 溝66は、溝内に受けられる小滴の予測される直径に匹敵する幅を有していてもよい。溝66の幅は、例えば数ミリメートル(例えば10mm未満)でよい。
[0224] 単にバーと呼んでもよい覆設バーは、重力の影響で液体スズの流れを誘導する溝を設けることが可能な任意の適切な形状を有していてもよい。バーは例えば2つ以上の面を有している。
[0225] 溝を使用する代替アプローチは、覆設バー60全体をスズの溶解温度超の温度に維持することである。しかしながら、蒸発したスズは光源などの放射源SO内の(又はその他の別の位置の)表面に進行し、そこで凝結することがあるため、これは望ましくない。本発明の実施形態では、スズの蒸発は覆設バーの最下部68で生じるが、これは覆設バーの比較的小さい部分であり、したがって蒸発するスズの量は比較的限定的である。
[0226] 覆設バー60は、本発明の別の実施形態の1つ以上の特徴を組み込んでもよい。
[0227] 上記実施形態のうちの1つ以上は、スズの汚染を除去するために放射源SOの動作を周期的に中断する必要をなくすることができる。あるいは、上記実施形態のうちの1つ以上は、スズの汚染を除去するために放射源SOの動作の中断の間の期間を長くすることができる。
[0228] 上記実施形態のうちの1つ以上に関連して液体スズに言及したが、実施形態はその他の液体に応用されてもよい。例えば、図11〜図13に関連して記載した実施形態に関して、EUV放出プラズマを生成するために液体スズ以外の液体が使用される場合は、その液体を使用してデブリ受け面の湿潤性を維持してもよい。
[0229] EUV放出プラズマを生成するために使用される液体燃料は、燃料デブリ受け面に給送される液体燃料と同じでもよい。あるいは、EUV放出プラズマを生成するために使用される液体燃料は、燃料デブリ受け面に給送される液体燃料と異なっていてもよい。異なる液体燃料が燃料デブリ受け面に給送される場合は、その燃料は、液体燃料デブリの流れを促進する良好な湿潤面をもたらす燃料でよい。液体燃料はまた、液体燃料デブリが燃料デブリ受け面から跳ね散ることを低減又は回避する燃料でもよい。
[0230] 本発明の異なる実施形態の異なる特徴を互いに組み合わせてもよい。例えば、液体スズ入口48がなくても図12に示したベーン42を使用してスズの流れを誘導してもよい。
[0231] レーザLAは、例えば異なる位置に備えられた放射源SOから離間していてもよい(レーザビームはビームガイドを用いて放射源内に案内されてもよい)。その場合は、レーザLAは放射源SOの一部を形成しないものと見なしてもよい。
[0232] 図3及び図4に示したコレクタ光学系COは単一の曲面ミラーであるが、コレクタはその他の形態のものでもよい。例えば、コレクタは、2つの放射収集面を有するサンドイッチ型コレクタでもよい。ある実施形態では、コレクタは、互いに入れ子状の実質的に円筒形のリフレクタを備える斜入射コレクタであってもよい。斜入射コレクタは、放電生成プラズマ(DPP)に使用されるのに適している。本発明の実施形態はDPP源を備えていてもよい。
[0233] これまでの記述で、燃料小滴エミッタ10から放出される燃料はスズである。しかしながら、例えばキセノン又はリチウムなどの他の燃料が燃料小滴エミッタ10から放出されてもよい(及び/又は燃料デブリ受け面上に湿潤面を設けるために使用されてもよい)。
[0234] 「ベーン」という用語は***部を意味するものと解釈してもよい。「ベーン」という用語をブレード、プレート、又は液体流を再誘導する表面に(例えば径方向に)取り付けられ、それによって排液流の方向を制御し、したがって燃料デブリ軽減機能をもたらす(例えば燃料小滴を受けることによって、燃料小滴が光学面に入射する可能性を低減する)その他の薄い平坦な、又は湾曲したオブジェクトを意味するものと解釈してもよい。
[0235] ベーンは表面に固定されてもよく、又は可動的(すなわち、ベーンを清浄し、又は新たなベーンと交換できるように、ベーンが固定されている表面から引き抜き可能)でもよい。
[0236] 溝は、例えば表面(例えば平滑面)に切り込みを入れることによって形成されてもよい。あるいは、溝は例えば、溝がリブ又はその他の構造の間に構築されるようにリブ又はその他の構造を追加することによって形成されてもよい。
[0237] 図15は、上から見た液体燃料デブリガイド装置102の一部を概略的に示している。液体燃料デブリガイド装置102は例えば固定式でよい。液体燃料デブリガイド装置は、例えば放射源SOの壁、又は壁の一部でもよく、又は放射源のその他の何らかの部分でもよい(又は、リソグラフィ装置内のその他の何らかの位置にあってもよい)。
[0238] 液体燃料デブリガイド装置102は、複数の電極100を備えている。図15に示すように、電極100は互いに物理的に離隔され、電極は液体燃料デブリガイド装置102の表面上に経路を画定するギャップを設けて配置される。電極100間のギャップによって画定されて経路に沿って、液体燃料デブリガイド装置102を介して液体燃料デブリ110を案内するように電極100間の電位差を設定してもよい。
[0239] 図16は、液体燃料デブリガイド装置102のA−A線に沿った断面図である。液体燃料デブリガイド装置102は、例えばガラス(又はその他の適切な材料)でよい2層の支持材料101を含んでいる。電極100は2層の支持材料101の間に備えられる。電極100はどの導電性材料から形成されてもよい。電極は、例えば酸化インジウムスズの層でもよく、又は例えば化学蒸着によって支持材料101の第1の層上に形成されてもよい。電極100間のギャップは、例えばエッチングプロセスを用いて作製されてもよい。次いで支持構造層101を電極100の上面に設けてもよい。
[0240] 絶縁材料層103が支持材料101の層上に設けられる。絶縁材料層103は、電極100と、液体燃料デブリガイド装置102の表面上の液体燃料デブリと、の間を電流が流れること(これは支持材料101が十分に絶縁性でない場合に起こる)を防ぐ。絶縁材料は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE−DuPont社の商品名TEFRON(登録商標))であってもよい。支持材料101自体が絶縁体であってもよく、その場合は別個の絶縁層は不要である。
[0241] 電極100は各々、電圧源105の一端子に電気的に接続される。電圧源105は他端で、例えば(図16に示すように)アースであってよい共通の基準電圧106に接続されている。電圧源105はAC電圧を供給してもよい。あるいは、電圧源105はDC電圧を供給してもよい。
[0242] 液体燃料デブリガイド装置102は、液体燃料デブリガイド装置の上端部107が、液体燃料デブリガイド装置の下端部108の上方に位置するように傾斜していてもよい。その結果、液体燃料デブリガイド装置の表面上に位置する液体燃料デブリ110の小滴は、重力の影響で図15の矢印109で示す方向に液体燃料デブリガイド装置102の表面上を移動する。
[0243] 電圧源105は、2つの電極間に電位差が存在するように設定されてもよい。電極間に電位差が存在する場合は、ポテンシャル井戸が電極間のギャップの近傍に形成される。液体燃料デブリの小滴が電極間のギャップから離れた位置にある場合は、液体燃料デブリの小滴は電界の作用を受けないであろう。しかしながら、液体燃料デブリ110の小滴が電極間のギャップと重なる場合は、この小滴は(電極間の電位差により生じる)電界の作用を受けよう。液体燃料デブリの小滴が電界の作用を受けると、電界線が液体燃料デブリの小滴を通過し、液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーは(電界の作用を受けない同じ液体燃料デブリの小滴と比較して)低減する。図15を参照すると、液体燃料デブリガイド装置の表面上の経路が電極100a〜e間のギャップによって画定され、したがって、電極間に電位差が存在するように電極100a〜eの電圧を設定することによって、液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーを低減可能な位置を示している。
[0244] 図17は、図15に示した液体燃料デブリガイド装置102の同じ部分を上から見て概略的に示している。しかしながら、図17では、電極100bには400Vの電圧が供給され、その他の全ての電極はアースに接続されている。電極100a及び100b間のギャップの近傍の液体燃料デブリガイド装置102の表面上に位置する液体燃料デブリ110の小滴は、電極間の電位差によって十分に確立された電位によってギャップ内に保持される。液体燃料デブリの小滴は、重力の影響で、矢印109aで示す方向に液体燃料デブリガイド装置の表面の上を移動する。電極100aと100bとの間の電位差が液体燃料デブリ110の小滴のポテンシャルエネルギーを低減させるため、小滴は左又は右に逸れず、電極間のギャップで画定された経路に沿って案内される。
[0245] 液体燃料デブリ110の小滴は、電極100dの上面に達するまで矢印109aで示す方向に進行する。したがって、小滴は接合点にあり、左又は右に移動することができる。小滴は、そのポテンシャルエネルギーが最小限になる方向に移動する。電極間のポテンシャルエネルギーが、電極100dの上面に位置する液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーが電極100bと100dとの間のギャップによって画定された経路に沿って最小限になるのに十分に大きい場合は、液体燃料デブリの小滴は(矢印109b及び109cで示される)電極100bと100dとの間のギャップによって画定される経路をたどる。
[0246] 同様に、電極100bと100eとの間の電位差が、電極100eの上面に位置する液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーが電極100bと100eとの間のギャップによって画定される経路に沿って最小になるのに十分に大きい場合は、液体燃料デブリの小滴は矢印109d及び109eによって示される経路をたどる。
[0247] あるいは、電極100eと100dとの間の電位差が、電極100dの上面に位置する液体燃料デブリの小滴のポテンシャルエネルギーが電極100bと100dとの間のギャップによって画定された経路に沿って最小限になるのに十分に大きくなるように、電極100eに電圧(例えば400V)を供給してもよい。したがって、液体燃料デブリの小滴は矢印109f及び109gで示すように、電極100eと100dとの間のギャップによって画定される経路をたどる。
[0248] より一般的には、液体燃料デブリが、液体燃料デブリガイド装置の表面上を、電極間のギャップによって画定された経路をたどるような電極間の電位差を生成するように、いずれかの電極100a〜eの電圧を設定してもよい。
[0249] 液体燃料デブリガイド装置102の表面上の液体燃料デブリの経路は、所望の経路をたどることによって液体燃料デブリのポテンシャルエネルギーが最小限になるように、電極間の電位差を設定することによって決定されてもよい。電極間のギャップが液体燃料デブリの所望の経路を画定する電極間の電位差は、電極間のギャップによって画定される経路に沿った液体燃料デブリのポテンシャルエネルギーが最小限になるのに十分であるいずれかの電位差に設定されてもよい。十分な電位差は、例えば400Vでよい。その他の任意の適切な電位差も使用できる。電極間のギャップによって画定される経路は、上記の溝の電気的等価であると見なしてもよく、流れは重力に加えて、電極間に印加される電位差により生成される電界によっても制御される。
[0250] 電極に電圧を印加するために使用される電圧源は、コントローラ(図示せず)によって制御されてもよい。コントローラは、1つ以上の電圧を選択的に電極に印加し、それによって、少なくとも第1の電極と第2の電極の間の電位差を確立するように構成されたいずれかの装置でよい。コントローラは、例えばプロセッサを含んでいてもよい。
[0251] 一般に、電圧を1つ以上の電極に印加するために任意の適切な電圧源を使用してもよい。
[0252] ある実施形態では、電圧は選択的に電極に印加されてもよい。すなわち、例えば液体燃料デブリがそれに沿って案内される異なる経路を選択するために、電圧を電極に印加し、電極から遮断してもよい。あるいは、例えば燃料デブリガイド装置の動作中に2つの電極間に同じ電位差が常に存在するように、電圧は固定電圧であってもよい。
[0253] 液体燃料デブリは液体スズでもよく、又はその他の何らかの導電性液体でもよい。
[0254] 図18は、本発明の実施形態により燃料コレクタ(80)の断面を概略的に示している。燃料コレクタ80は、例えば図11に示した燃料スズコレクタ46に対応するものでよい。燃料コレクタは放射源SOの任意の適切な位置に備えてもよい。燃料コレクタは、排出溝から、又はその他の源から液体燃料(例えば液体燃料デブリ)を受けるような位置にあってもよい。
[0255] 燃料コレクタは、レセプタクル81とリザーバ82とを備えている。液体燃料79は、燃料コレクタのリザーバ82内に受けられる。リザーバ82には、液体燃料がそれを通ってリザーバからレセプタクル内に排出される穴83が設けられている。液体燃料79はスズでもよく、又はその他の何らかの燃料でもよい。
[0256] レセプタクルはベース84と壁85とから形成されている。レセプタクル81は、例えば円筒形、矩形でよく、又は任意の適切な形状を有していてもよい。レセプタクルの直径は、例えば約100mmでよい。リザーバ82は、レセプタクル81の上方に位置している。リザーバはベース86と壁87とを備えている。リザーバは円筒形、矩形でよく、又は任意の適切な形状を有していてもよい。リザーバ82は、(図示のように)レセプタクル81の上面に載置されてもよい。リザーバ82は、レセプタクルにアクセスし易いようにレセプタクル81から取り外し可能であってもよい。あるいは、リザーバ82は、レセプタクル81の上方に***されてもよい。燃料がリザーバ内に保持されている間、燃料が確実に液状を保つために、リザーバ82を加熱してもよい。燃料がレセプタクル内で凝固するように、レセプタクル81は加熱されなくてもよい。
[0257] ***リップ88が穴83の周囲に延在している。***リップ88は、液体燃料のレベルが***リップの高さを超えるまで、液体燃料79が穴83に入ることを妨げる役割を果たす。***リップは、非湿潤性材料(例えば、90°超である液体燃料と表面との間の接触角をもたらす材料)から形成される。***リップ88は、(例えば曲率半径が1mm以上の)丸い上表面を有していてもよい。***リップ88は、例えばモリブデンから形成されてもよい。
[0258] 液体燃料79内の凝集力は、液体燃料のレベルが***リップの高さをわずかに越える場合(例えば高さが約1mmだけ超えた場合)に、液体燃料が***リップを越えて穴83内に流入することを妨げる役割を果たす。
[0259]液体燃料79のレベルは、(例えば液体燃料のレベルが液体燃料の毛管の高さを越える場合に)液体燃料が***リップを越えて穴83内に流入することを妨げるように液体内の凝集力が十分ではない時点まで***リップ88の上面を超えて上がり続ける。それが起こると、相当量の液体燃料が穴83からレセプタクル81内に流入する。穴83への液体燃料の流れは連続的な流れであってよく、単一流と呼んでもよい。液体燃料は、液体燃料のレベルが***リップ88の高さ未満になるまで穴83に流入してもよい。
[0260] 単一流の間にレセプタクル81内に入る液体燃料の容積は、レセプタクルが排出溝から液体燃料の小滴を直に受ける場合にレセプタクルに流入する筈の液体燃料の容積よりも大幅に大きい。レセプタクル81は加熱されないため、液体燃料はレセプタクル81内で凝固する。レセプタクルが(例えば排出溝からの)液体燃料小滴を受ければ、ベース84から上方に延在する石筍が形成されるであろう。したがって、レセプタクル81の燃料貯蔵潜在能力は活用されず、レセプタクルは頻繁に交換する必要がある。本発明の実施形態を用いると、単一流としてレセプタクル81に流入する液体燃料の量は小滴よりも大幅に多く、液体燃料は凝固する前にレセプタクル81のベース84上で散開する。燃料は、パンケーキに類似する比較的平坦なボデー78として凝固する。このようにして、レセプタクル81の容積はより十分に活用され、それはレセプタクルの交換間隔が長くなることを意味する。これは有利に、放射源SOが動作可能な期間を長くすることができる。
[0261] ***リップ88の高さは、例えば液体燃料(例えば液体スズ)の毛管長さと等しいか、又はそれ以上でよい。(***リップが液体燃料の毛管長さよりも大幅に短い高さを有している場合と比較すると)これは単一流でレセプタクル81に流入する液体燃料の量が増大するため有利である。液体スズの毛管長さは3mmであり、したがって***リップ88の高さは3mm以上でよい。この文脈で***リップ88の高さとは、リザーバ82のベース86の表面から測定した高さである。
[0262] リザーバの壁87の高さは、例えば***リップ88の高さを、少なくとも液体燃料の毛管長さだけ越える高さでよい。その理由は、液体燃料79のレベルが***リップ88の高さを、毛管長さを越えないと予期されるからである(穴83への液体燃料の流入は、液体燃料がこの高さに達すると生じる)。
[0263] 丸い上表面がない***リップ88を形成することもできるが、そうすると、(***リップが丸い上表面を有している場合と比較して)液体燃料のレベルがより低レベルに達すると、液体燃料が穴83に流入することを促進する傾向になる。これは例えば、リップの縁部が鋭利であるため、液体燃料のリボンが***リップを横切って流れることによって生じる。その結果、***リップが丸い上表面を有していないと、単一流でレセプタクルに流入する液体燃料の容積は低減する。
[0264] 同様に、***リップ88を非湿潤性材料ではなく湿潤材料から製造してもよいが、そうすると液体燃料はより容易に穴83に流入し、それにより単一流でレセプタクルに流入する液体燃料の容量は低減する。
[0265] ***リップ88が形成される材料としてモリブデンを記載したが、***リップは任意の適切な材料から形成されてもよい。材料は例えば非湿潤性材料でもよい。
[0266] 図示した実施形態では、***リップ88に加えて、穴83には下方に突起したリップ89も設けられている。下方に突起したリップは、液体燃料が穴83の出口からベース86の下表面へと流出することを防止する役割を果たす。これは、液体燃料がベース86上にしばらく留まり、次いでレセプタクル81内に滴下し、石筍を形成するため望ましくない。
[0267] 下方に突起するリップ89は鋭利な縁部を有し、それによって液体燃料が下方に突起するリップの周囲からベース86の底面へと流れることを抑止する。下方に突起するリップ89は、例えば2mm以上ベース86の底を越えてもよい。
[0268] 下方に突起するリップ89は、任意の適切な材料から形成されてもよい。下向きに突起するリップ89は、非湿潤性材料から形成されてもよい。下向きに突起するリップ89は、モリブデンから形成されてもよい。
[0269] 下方に突起するリップ89及び***リップ88は、ベース86に嵌め込まれてもよい(例えばチューブとして形成された)単体の材料から形成されてもよい。チューブの外表面は段を含んでもよく、それによってチューブを穴83に押し込み、そこに固定的に保持することができる。
[0270] 穴83の直径は例えば約8mm以上でよい。直径が8mm以上の穴83を形成することで、(より狭い直径の穴と比較して)穴が詰まる可能性を低減する。穴の直径は例えば最大12mmでよい。
[0271] 穴83の形状は、例えば円形又は楕円形でよい。穴83は任意の適切な形状を有していてもよい。
[0272] 図19は、本発明の実施形態による放射源収納装置141の片側から見た部分断面図を概略的に示している。放射源収納装置141は、回転可能に取り付けられたハウジング140を備えている。図示したハウジング140は任意の適切な形状を有してもよいが、実質的に円錐形である。複数のベーン142がハウジング140から内側に延在している。ベーン142は、ハウジング140の周囲に配分されてもよい。図19には7つのベーンが示されているが、これは単に概略的な図であり、任意の適切な数のベーンを備えていてもよい、例えば、20以上のベーン、40以上のベーン、又は60以上のベーンがハウジング140から内側に延在していてもよい。燃料デブリコレクタ146が、ハウジング140の最下部の下に位置している。
[0273] 放射源収納装置は、ハウジング140の片側に備えられたヒータ150をさらに備えている。ヒータ150は、ヒータの近傍にあるハウジングの部分をスズの溶解温度超の温度に加熱するように配置されている。例えば、ヒータ150は、ヒータの近傍のハウジング140の部分の温度を約230℃以上、例えば約250℃以上の温度に保つように配置されてもよい。
[0274] 放射源収納装置は、クーラ152をさらに備えている。クーラ152は図19には、ヒータ150からハウジング140の反対側にあるものとして示されている。クーラ152は、ハウジングの一部の温度がスズの溶解温度未満の温度になるように、クーラの近傍のハウジング140の部分を冷却するように配置されてもよい。例えば、クーラ152は、クーラの近傍のハウジング140の部分の温度を約230℃未満(例えば約200℃未満)に保ってもよい。
[0275] 放射源収納装置は、ハウジング140に接続されたアクチュエータ154をさらに備えている。アクチュエータによってハウジング140は回転される。ハウジング140は例えば、放射源の光軸OAを中心に回転するように取り付けられてもよい。回転は例えば、毎時約1回転の速度(又はその他の適切な速度)であってよい。回転は連続的でもよく、断続的でもよい。例えば、ある実施形態では、ハウジング140は10分経過後に30°回転し、次の10分経過後にさらに30°回転し、以下同様に回転してもよい。この実施形態では、ハウジング140の全回転は2時間で行われる。任意の適切な回転量と間隔を用いてもよい。
[0276] アクチュエータ154は、例えばモータでよく、又は例えば遠隔位置にあるモータへの接続部を備えていてもよい。ハウジング140の回転自在の取り付け台は任意の適切な形態でよく、簡明にするためにこの図では図示しない。回転自在の取り付け台が、真空である放射源の一部内に位置している場合は、真空に適応する回転自在の取り付け台を使用してもよい。
[0277] 放射源収納装置141は、放射源の一部を形成する。放射源のその他の部分は図示しないが、例えば図3及び図4に示した放射源SOの部分に対応していてもよい。放射源はスズ、又はその他の適切な燃料を使用してもよい。本明細書ではスズに言及しているが、本発明の実施形態は任意の適切な燃料にも適応し得る。
[0278] 図20は、ハウジング140をB−B線に沿った断面図で概略的に示している。ベーン142は、ハウジングの140から内側に延在しているのが分かり、ベーンは三角形の断面形状で概略的に示されている。12のベーンが示されているが、任意の適切な数のベーンを備えていてもよい。ベーンは例えば、ベーン間に空間が少ないか、又は空間がないように配置されてもよい。ヒータ150は断面が矩形であるものとして概略的に示されているが、任意の適切な形状を有していてもよい。図20から分かるように、クーラ152はハウジングの周囲の3/4以上に延在している。クーラ152は、クーラがハウジング140の大部分を冷却するように構成されている。ヒータ150は、ハウジング140の周囲の1/4未満に延在している。ヒータ150は、ヒータがハウジング140の周囲の1/4未満を加熱するように構成されている。
[0279] アクチュエータ154(図19を参照)によるハウジングの回転は、図20の矢印によって概略的に示されている。ハウジングは図示した方向と逆の方向に回転してもよい。
[0280] 図19及び図20に示す装置の動作は以下のとおりである。クーラ152は、クーラがその周囲に延在するハウジング140の部分を、スズの溶解温度未満の温度に冷却する。したがって、スズデブリはハウジング140の冷却部分に入射すると凝固する。これは、スズがハウジング140からコレクタ光学系COなどの放射源の光学コンポーネント上に滴下する可能性を低減するため有利である(図3及び図4を参照)。
[0281] ハウジング140の冷却部分に入射するデブリは、スズの溶解温度未満であるため固体状を保つ。この状態は、アクチュエータ154によるハウジング140の回転によりハウジングのデブリ受け部分がヒータ150の近傍に移動するまで保たれる。ヒータ150は、ヒータの近傍のハウジング部分の温度を、ハウジング140のその部分がスズの溶解温度を越えるまで上昇させる。したがって、スズデブリはヒータ150に接近すると溶解し、液体になる。スズデブリは液体になると、重力の影響でハウジング140を伝って下方に流れ、スズコレクタ146内に受けられる。
[0282] ハウジング140はアクチュエータ154により回転し続ける。ハウジング140の加熱部分はヒータ150から移動して離れると、スズの溶解温度未満の温度に冷却される(したがって、ハウジングの冷却部分になる)。この状態になると、ハウジングの一部に入射するスズデブリは凝固し、したがってコレクタ又はその他の光学面に滴下することはない。
[0283] 上記から理解されるように、ハウジング140の第1の部分はヒータ150によって加熱され、ハウジングの第2の部分はクーラ152によって冷却される。ハウジング140の回転により、加熱部分はヒータ150の近傍からクーラ152の近傍へと移動し、したがって加熱部分は冷却部分になる。同様に、ハウジング140の回転により、冷却部分の一部はクーラ152の近傍からヒータ150の近傍へと移動し、したがって冷却部分のその部分は加熱部分になる。
[0284] 図19及び図20から分かるように、ヒータ150は、下向きの内表面を有していないハウジング140の部分に隣接して位置している。ヒータ150は、ベーン142が下向きの表面を含んでいないハウジング140の部分に隣接して位置している。ヒータ150は、ハウジング140の最も下側に隣接して位置するものとして記載されてもよい。
[0285] ヒータ150の位置決めの結果、ヒータにより溶解したスズが不都合に下向きの表面から(例えばコレクタ光学系CO又はその他の何らかの光学面上に)滴下する可能性がなくなる。その代りに、液体スズは重力の影響で(例えば上向きのベーン142を含む)ハウジング140の上向きの内面に沿って下方に流れる。液体スズは、ハウジングの底端部に達するまでハウジング140の上向きの部分に沿って下方に流れ、そこからスズコレクタ146内に滴下する。この文脈で、「上向き」という用語は、垂直に上向きに面する表面に限定することを意図するものではなく、むしろ垂直に上向きの成分を含む方向に面する表面も包含することを意図している。同様に、この文脈で、「下向き」という用語は、垂直に下向きに面する表面に限定することを意図するものではなく、むしろ垂直に下向きの成分を含む方向に面する表面も包含することを意図している。
[0286] ある実施形態では、ヒータ150に隣接するハウジング140の部分は、液体スズがその内部から滴下できる内表面を有していない。言い換えると、内表面のその部分には、液体スズが累積し、内表面から落下する小滴を形成する位置がない。液体スズは内表面の最も下の縁部に累積し、小滴を形成する(そこからスズコレクタ146内に落下する)ことがある。しかしながら、このような液体スズの滴下は内表面の最も下の縁部からであり、したがって内表面の内部からではない。
[0287] ある実施形態では、ヒータは、回転自在に取り付けられたハウジングの第1の部分をハウジング上のスズ(又はその他の燃料)が液体状になる温度まで加熱するように配置されている。ある実施形態では、クーラは、回転自在に取り付けられたハウジングの第2の部分をハウジング上のスズ(又はその他の燃料)が固体状になる温度まで冷却するように配置されている。
[0288] 「固体状」という用語は、スズ(又はその他の燃料)が流れたり滴下したりすることができず、ある程度の順応性を有するゲル状などの状態を含むものと見なしてもよい。
[0289] ベーン142は、液体スズの流れをある程度案内してもよい。液体スズの流れのこのような案内は必ずしも必要ないが、それはヒータ150の位置が、重力による流れが所望の方向(例えばスズコレクタ146に向かう方向)にあるからである。しかしながら、ベーン142は、入射したスズデブリがハウジング140からコレクタ光学系CO又はその他の光学面に向かって散乱する可能性を低減するようなその他の有用な機能性を備え得る。
[0290] 溝は、ベーン142内、及び/又はベーン間にあるハウジング140の部分内に設けてもよい。溝は必ずしも液体スズを特に所望の方向に案内する必要はない。しかし、それにも関らず溝はある程度は案内し得る。
[0291] 本発明の実施形態の利点は、液体スズが放射源SOのコレクタ光学系CO又はその他の光学面上に滴下することを低減し、又はなくすることにある。別の利点は、装置が、(例えば別の実施形態で必要である)ハウジング全体が加熱される場合よりも低温であることにある。このことは、例えば放射源のメンテナンスや修理作業を行う必要がある場合に、放射源が装置に安全にアクセスできるのに十分な低温に急激に冷却されるので有用であり得る。
[0292] ヒータ150は、例えばハウジング140の周囲の約1/10以下にわたって延在していてもよい。ヒータ150は、例えばハウジング140の周囲の最大約1/6まで延在していてもよい。ヒータ150は、例えばハウジング140の周囲の最大約1/3未満まで延在していてもよい。ヒータ150がハウジング140の周囲の延在する程度(例えばハウジングに送られる熱がハウジングに周囲に伝導される程度)は、少なくとも部分的にハウジングの熱特性に左右される。ヒータは、スズデブリが液体になるのに十分に長時間加熱され、(例えばスズデブリがスズコレクタに達する前に再び凝固せずに)スズコレクタ146内に流入できるのに十分に周囲の遠くまで延在していてもよい。これは、ハウジング上に受けられると予期されるスズデブリ粒子のサイズに少なくとも部分的に左右され得る(より大きいスズデブリ粒子は、溶解するまでにより多くの熱を必要とする)。
[0293] ある実施形態では、ヒータは、液体スズがハウジングから不都合な位置(例えばコレクタ光学系CO上)に滴下し得る位置までハウジングが回転した後に、スズを液体状に保つほど遠くまでハウジングの周囲に延在しない。例えば、ヒータ150は、スズがハウジング140の周囲の約1/3未満、ハウジングの周囲の1/6未満、又はハウジングの周囲の約1/10未満で 液体に保たれるのに十分な熱を供給してもよい。
[0294] クーラ152は、例えばハウジング140の周囲の少なくとも約2/3まで延在していてもよい。クーラ152は、例えばハウジング140の周囲の約4/5まで延在していてもよい。クーラ152は、例えばハウジング140の周囲の約9/10まで延在していてもよい。
[0295] ハウジングは、例えば鋼又はモリブデン、又はその他の適切な材料から形成されてもよい。「〜から形成される」という用語は、その他の全ての材料が除外されることを意味することを意図しない。すなわち、ハウジングはその他の材料を含んでもよい。鋼が使用される場合は、鋼を例えばスズでコーティングしてもよい。これは例えば、スズデブリがハウジングに粘着することを促進する。同様に、モリブデンにスズのコーティングを施してもよい。
[0296] 鋼の熱特性は、熱の一部はヒータ150からハウジング140の周囲に伝導されるが、伝導熱が比較的限定されるような特性である。したがって、ヒータ150によって上昇するハウジングの温度は、主としてヒータの近傍の温度である。モリブデンの熱伝導性は鋼よりも高いが、モリブデンが使用される実施形態では、上昇した温度は一般に、依然としてヒータ150の近傍に限定され得る。
[0297] ハウジング140の厚さはハウジングの熱特性を考慮に入れて選択されてもよい。ハウジングがより薄いと、より厚いハウジングよりも(ヒータの近傍の所与の温度での)熱伝導性が低くなる。
[0298] 上記実施形態では、ヒータ150及びクーラ152は、ハウジング140(図示した回転自在に取り付けられたハウジング)の一部にだけ作用する。しかしながら、放射源ハウジングは、例えば図3及び図4に示すような他の壁などの他の部分を含んでいてもよい。ある実施形態では、1つ以上のこれらの他の部分も適切に位置決めされたヒータ及びクーラによって加熱、冷却されてもよく、これらの部分も(例えばアクチュエータを用いて)駆動して回転されてもよい。ある実施形態では、ハウジング全体を駆動して回転させてもよい(又、それに応じて加熱、冷却されてもよい)。その場合は、回転自在の取り付け台を、真空である放射源の部分の外側に配置してもよく、真空適応性のない回転自在の取り付け台を使用してもよい。
[0299] 図20では、ヒータ150はハウジング140の周囲の最下部を中心に配置されてもよい。しかしながら、ある実施形態では、ヒータ150は部分的に偏倚され、例えば最下部からさらに上流方向に延在し、最下部から下流方向に延在していてもよい(「上流」という用語は、ハウジングの移動方向とは反対方向を意味することを意図している)。これは点線150aで概略的に示されている。この配置が用いられると、固形スズデブリの加熱がより早く開始され、より早く終了する。これは、スズデブリがハウジング140の周囲の最下部にある時に、スズデブリが液体状に溶解している可能性を高める。それによって、スズデブリがハウジング140の周囲の最下部からかなりの距離まで移動したときにスズデブリが液体状である可能性を低減する。
[0300] 図21は、本発明の実施形態による燃料コレクタ90の断面を概略的に示している。燃料コレクタ90は、例えば図11に示したスズコレクタ46、又は図19に示したスズコレクタ146に対応するものでよい。燃料コレクタを放射源SOの任意の適切な位置に備えてもよい。使用時には、燃料コレクタ90は燃料源91(例えばEUV放射源の一部を形成するドレン又は排出溝)から液体燃料(例えばスズなどの液体燃料デブリ)を受ける位置にある。
[0301] 燃料コレクタはレセプタクル92を備えている。レセプタクル92は、ベース92a、及び1つ以上の壁92bから形成され、開放端93と閉鎖端94とを備えている。図示した実施形態では、レセプタクル92は略円筒形の形状であるが、レセプタクルは任意の適切な形状を有していてもよい。
[0302] 使用時には、レセプタクルの開放端93は、全般的に閉鎖端94の上方を向いている。図示のように、レセプタクル92の向きに角度をつけてもよい。しかしながら、代替としてレセプタクル92は、ベース92aが実質的に水平になるように配置されてもよい。開放端93は、液体燃料がそれを通ってレセプタクル92入ることができる入口を形成する。閉鎖端94は、レセプタクルの貯蔵部を提供する。
[0303] 使用時には、レセプタクルは一般に液体燃料源91の下方に配置される。液体燃料はスズでもよく、その他の何らかの燃料でもよい。燃料は重力により燃料源91から矢印95で示す方向に開放端93を経てレセプタクル92内に落下する。
[0304] レセプタクルは棚96をさらに備えている。棚96は、燃料源91から落下する燃料が種の上表面96aに入射するようにレセプタクル92内に配置されている。燃料源91から落下する燃料の実質的に全てが棚の上表面96aに入射してもよい。
[0305] 棚96は、棚96の一端がレセプタクル92の壁92bによって支持される片持ち梁構造を備え、棚96は上記壁92bから内側に延在している。
[0306] 棚96は加熱されない。したがって、棚96の温度は一般に、例えばスズであってよい燃料の融点未満である。その結果、燃料が棚96上に滴下すると、燃料は凝固し、上表面96aに付着し、パンケーキ状の燃料を形成する。この文脈で、「パンケーキ」という用語は、見た目がパンケーキに似た形態を有することを意味すると見なしてもよい。
[0307] 棚96は、非湿潤性材料から形成されてもよい。特に、棚は、これが収集しようとする燃料に対して湿潤性が低い材料から形成されてもよい。有利には、それによって燃料が棚に強く付着することを防止し、凝固した燃料を棚の表面から除去し易くなる。本発明の一実施形態では、燃料コレクタ90はスズの収集に特に適しており、棚96はモリブデンから形成されている。モリブデンが棚96用に選択されたのは、スズに対して湿潤性が低い(すなわち、棚とスズとの粘着力が低い)からである。
[0308] 棚96上に燃料がない場合は、棚は一般に(図21の実線で示すような)第1の位置に配置される。第1の位置は、使用時に棚96の上表面96aが略水平であるような位置である。
[0309] 棚は、棚上に燃料が蓄積すると、燃料の重さによって棚96が回転して、(水平に対する)上表面96aの傾斜角が大きくなるように配置される。棚が水平に対して傾斜しているため、上表面に沿って作用するパンケーキ状固体燃料の重量分量が生じ、パンケーキ状の燃料を棚の遠端部96bの方向に下方に引き下げる傾向がある。これは、燃料と棚の上表面96aとの間の接着力によって抵抗される。ある時点で、棚は(図21に点線で示す)第2の位置に達し、そこでパンケーキ状燃料の重量分量は粘着を乗り越えるのに十分なものになり、パンケーキは棚から貯蔵部内に落下する。
[0310] したがって、第1の位置と第2の位置間での棚96の移動により、燃料を上表面96aから貯蔵部に移送する機構が得られる。
[0311] 当業者には理解されるように、パンケーキ状燃料を上表面96aから貯蔵部に移送するその他の何らかの機構を備えてもよい。例えば、棚96をレセプタクル92に実質的に固定してもよく、棚96を横切って掃き出し、パンケーキ状の燃料を棚から貯蔵部に押し込むように動作可能な部材を備えてもよい。
[0312] 棚96は、任意の適切な方法で第1の位置と第2の位置との間を移動するように配置されてもよい。例えば、棚をレセプタクル92の壁92bに回転自在に連結して、第1の位置と第2の位置との間の回転を容易にしてもよい。追加的に又は代替的に、棚96は、入射する燃料の重さで変形する弾性材料から形成されてもよい。
[0313] 棚96には、これを第1の位置へと偏倚させる弾性バイアスを与えてもよい。弾性バイアスはばねから成っていてもよい。ある実施形態では、棚96は、弾性材料から形成され、板ばねから成っていてもよい。
[0314] 弾性バイアスは、第1の位置と第2の位置への移動に抵抗する。棚96が第2の位置に達し、パンケーキ状燃料が棚96から外れるようにスライドして貯蔵部に入ると、弾性バイアスにより棚96は移動して第1の位置に戻る。弾性バイアスは、生成されるパンケーキ状燃料のサイズを変えるように調整されてもよい。例えば、棚96の剛性を調整してパンケーキ状燃料の所望のサイズを達成することで、許容できる充填レベルを確保してもよい。これは棚の厚さを選択することによって達成されてもよい。比較的薄い棚96は剛性が低く、したがって比較的小さく薄いパンケーキを生成するのに対して、より厚い棚96は剛性がより高く、より大きく重いパンケーキを生成する。
[0315] 棚96は、例えば厚さ約0.1mmのモリブデンプレートから成っていてもよい。
[0316] 図21に示したタイプの燃料コレクタ90によって、大量の燃料を周期的に貯蔵部に堆積することができる。有利には、それによってレセプタクル92内に単一の石筍がレセプタクル内に形成されることが防止され、レセプタクル92の充填速度が向上する(すなわち、燃料コレクタが満タンになるまでの経過時間が長くなる)。一方、燃料コレクタ90が空の間はEUV放射源の動作が不可能になるため、これはEUV放射源の利用可能性に大きな影響を及ぼす。
[0317] 燃料源91からのスズなどの燃料の産出量は少なくてもよい。したがって燃料は、個々の小滴としてレセプタクル内に落下してもよい。例えば、(その他の量の燃料がレセプタクル内に落下してもよいが)0.3mlの小滴が毎時約3滴の速度で燃料源から落下してもよい。これは毎週約150mlの燃料に等しい。コレクタ90の温度は一般に燃料の融点未満であるため、燃料小滴はレセプタクル内で互いの上で凝固する。したがって、棚96がないと、直径がかなり小さい石筍が形成されることがある。その結果、比較的少量の燃料を供給した後、燃料がレセプタクル92の上面に達し、レセプタクル92を空にする必要がある。したがって、レセプタクル92の燃料貯蔵潜在力は活用されず、レセプタクル92を頻繁に空にし、又は交換する必要がある。
[0318] 本発明の実施形態を使用すると、棚96は単一の燃料石筍の形成を防止する。むしろ少量の固体燃料が(例えばパンケーキの形態で)棚96上に形成され、これは次いでレセプタクルのより低い貯蔵部に移送される。このようにして、レセプタクル92の容積がより効果的に活用され、それは、レセプタクルを交換したり、又は空にしたりする間隔が延在することを意味する。それによって有利に、放射源SOを動作可能な期間が増す。
[0319] 本発明の上記実施形態では、棚96は、入口93を通過する燃料が棚96の表面96aに入射するようにレセプタクル92内に配置されるオブジェクトである。棚96が第1の位置と第2の位置との間を移動すると、燃料を上表面96aから貯蔵部に移送する機構がもたらされる。しかしながら、代替として別のオブジェクトを使用してもよい。例えば、オブジェクトは湾曲した外表面を有するホイールであってもよい。ホイールは、入口93を通過する燃料その湾曲面に入射して、これに付着した固体燃料によりホイールがその軸を中心に回転するように配置されてもよい。ホイールが回転すると、より多くの燃料が異なる周囲位置で湾曲面上に堆積し得る。ホイールが回転すると、ホイールの下部への燃料の堆積が貯蔵部に落下し得る。
[0320] 図22は、本発明の実施形態による燃料コレクタ100の断面を概略的に示している。燃料コレクタ100は、例えば図11に示したスズコレクタ46、又は図19に示したスズコレクタ146に対応するものでよい。燃料コレクタは放射源SOの任意の適切な位置に備えてもよい。使用時には、燃料コレクタ100は液体燃料(例えば液体燃料デブリ)を燃料源101から受けるような位置に配置されてもよい。
[0321] 燃料コレクタはレセプタクル102を備えている。レセプタクル102は、1つ以上の壁102aから形成され、第1端部103と第2端部104とを備えている。使用時には、第1端部103は、液体燃料がレセプタクル102に入る入口を形成し、一般に第2端部104の上を向いている。使用時には、第2端部104は、液体燃料がレセプタクル104から除去される出口を形成する。図示した実施形態では、レセプタクル102は略円筒形の形状であるが、レセプタクルはその他の任意の適切な形状を有していてもよい。レセプタクル102の下部部分は、スライドを形成するように配置された表面102bを備えている(壁部は一般に上向きであり、水平に対して傾斜している)。第2端部104はスライドの下端部に配置されている。
[0322] 使用時には、レセプタクル102は一般に液体燃料源101の下方に配置される。液体燃料はスズでもよく、その他の何らかの燃料でもよい。燃料は重力で燃料源101から矢印105で示す方向に開放端103を経てレセプタクル102内に落下してもよい。このような液体燃料は、スライドを形成するように配置されたレセプタクルの壁面102bに入射する。
[0323] レセプタクルの壁面102bは、収集したい燃料に対して湿潤性が低い材料から形成される。有利には、それによって燃料がこの表面102bに強く付着することが防止される。本発明の一実施形態では、燃料コレクタ100はスズの収集に特に適しており、表面102bはモリブデンから形成されている。モリブデンが選択されるのは、スズに対して湿潤性が低い(表面102bとスズとの間の粘着力が弱い)からである。
[0324] 燃料コレクタ100は加熱されなくてもよい。少なくとも液体燃料が入射する表面102bの温度は、それが収集したい燃料の融点未満である。したがって、液体燃料は表面102bに入射すると凝固し、これに弱く付着する。
[0325] このような燃料コレクタ100によって、大量の燃料が周期的に貯蔵部に堆積可能である。液体燃料は表面102bに入射すると凝固し、弱くしか表面に付着しない。表面102bは傾斜し、スライドを形成するように配置されているため、十分な量の固体燃料が蓄積すると、これは重量により表面102bに滑落する。すなわち、多量の固体燃料の重さが表面102bと固体燃料の表面間の粘着力を乗り越えて、固体燃料を表面から滑り落とす。したがって、燃料はレセプタクルに付着しないため、レセプタクルを空にしやすい。
[0326] 燃料コレクタ100は、2つの真空バルブ106、107をさらに備えている。第1のバルブ106はレセプタクル102の第1端部103の方向に配置される。第2のバルブ107は、レセプタクル102の第2端部104の方向に配置され、レセプタクル102の出口を封止するように動作する。
[0327] EUV放射源の定常動作中、第1のバルブ106は開放されており、燃料がレセプタクル内に流入可能であり、第2のバルブ107は閉鎖されているため、レセプタクル102はEUV放射源(図示せず)と実質的に同じ圧力に維持される。
[0328] 第1及び第2のバルブ106、107はエアロックを形成する。したがって、燃料をレセプタクル102から除去するために、第1のバルブ106は閉鎖されてレセプタクル102のエアロック部をEUV放射源から遮断する。第1のバルブ106が閉鎖されると、燃料をレセプタクルから除去できるように第2のバルブ107が開放される。液体燃料が入射する表面102bは傾斜しており、加熱されず、それが収集したい(例えばスズなどの)燃料に対して湿潤性が低い材料から形成されている。したがって、レセプタクル102に強く付着しない固体燃料のスライスが形成される。固体燃料のスライスは十分に大きくなると、重量で出口に向かって表面102bから滑落する。バルブ106、107を用いて出口が開放されると、固体燃料のスライスはレセプタクルから落下する。
[0329] 定常動作を再開するには、第2のバルブ107が閉鎖される。第2のバルブ107が閉鎖されると、エアロックがポンプダウンされ、真空が形成される。次いで第1のバルブ106が開放され、燃料コレクタ100の定常動作を再開してもよい。
[0330] バルブ106、107によって形成されるエアロックを図22に示す燃料コレクタに関連して記載しているが、エアロックはその他の適切な燃料コレクタ(例えば図21に示す燃料コレクタ)に使用してもよい。
[0331] 本発明の上記実施形態をスズの文脈で記載したが、実施形態は任意の適切な燃料用に用いられてもよい。
[0332] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。このような代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが、当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板処理ツールに適用することができる。さらに基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
[0333] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明はその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、文脈によっては光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組合せを印加することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
[0334] 「レンズ」という用語は、状況が許せば、屈折型、反射型、磁気型、電磁型及び静電型光学コンポーネントを含む様々なタイプの光学コンポーネントのいずれか一つ、又はそれらの組合せを指すことができる。
[0335] 以上、本発明の特定の実施形態を説明したが、説明とは異なる方法でも本発明を実践できることが理解される。上記の説明は例示的であり、限定的ではない。したがって、特許請求の範囲から逸脱することなく、記載されたような本発明を変更できることが当業者には明白である。
[0336] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
[0337] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
[0338] 特定の実施形態に関する以上の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に修正する、及び/又はこれらを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び修正は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲内に入るものとする。本明細書の言葉遣い又は用語は説明のためのもので、限定するものではなく、したがって本明細書の用語又は言葉遣いは、当業者には教示及び案内の観点から解釈されるべきことを理解されたい。
[0339] 本発明の幅及び範囲は、上記例示的実施形態のいずれによっても限定されず、以下の特許請求の範囲及び条項並びにその同等物によってのみ規定されるものである。
条項
1.燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、該放射源が、複数の溝を設けた固定燃料デブリ受け面をさらに備え、前記溝が、液体燃料の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導するように配置された向きを有する、放射源。
2.前記燃料デブリ受け面に複数のベーンを備え、前記複数の溝が前記ベーン内に設けられる、条項1に記載の放射源。
3.前記溝の少なくとも幾つかが、毛管作用を引き起こす断面サイズ及び/又は形状を有する、条項1に記載の放射源。
4.前記溝の少なくとも幾つかが、液体燃料を前記溝内に引き込む吸い上げ作用を引き起こす断面サイズ及び/又は形状を有する、条項1に記載の放射源。
5.1つ以上の前記溝が、前記溝に沿って長手方向に延在する隅部を含む、条項1に記載の放射源。
6.1つ以上の前記溝の断面形状がv形である、条項1に記載の放射源。
7.前記v形の溝が、約30°〜50°の開き角を有する、条項6に記載の放射源。
8.前記溝が、互いに実質的に平行に延在する溝の集合から成る、条項1に記載の放射源。
9.前記溝の少なくとも幾つかの深さが0.1mm以上である、条項1に記載の放射源。
10.前記溝の少なくとも幾つかの深さが2mm以下である、条項1に記載の放射源。
11.前記溝の少なくとも幾つかの幅が0.1mm以上である、条項1に記載の放射源。
12.前記溝の少なくとも幾つかの幅が10mm以下である、条項1に記載の放射源。
13.隣接する溝が、前記液体燃料の毛管長さの2倍以下である、条項1に記載の放射源。
14.前記ベーンが、前記放射源のハウジングの周囲に配分される、条項2に記載の放射源。
15.前記ベーンが、前記放射源の中間焦点の近傍に位置する反射構造である、条項2に記載の放射源。
16.前記ベーンが、前記放射源の燃料キャッチャ内に位置する、条項2に記載の放射源。
17.前記溝が、前記液体燃料の流れを重力の影響でドレン又は排出溝に誘導するように配置された向きを有する、条項1に記載の放射源。
18.前記溝が、前記ドレン又は排出溝に接続される、条項17に記載の放射源。
19.前記ベーンが、加熱装置によって、前記燃料の溶解温度超で前記燃料の蒸発温度未満の温度に加熱される、条項1に記載の放射源。
20.前記固定燃料デブリ受け面が、前記放射源の内部を横切って延在し、それによって放射を遮るバーである、条項1に記載の放射源。
21.前記バーが非水平の向きを有する、条項20に記載の放射源。
22.前記バーの最下部から残りの部分への熱伝達が制限されるように、前記バーが、前記バーの残りの部分から熱的に分離された最下部を含む、条項20に記載の放射源。
23.前記熱的分離が、前記バーの前記最下部と前記残りの部分との間の接続部を狭めることによってもたらされる、条項22に記載の放射源。
24.前記熱的分離が、使用時に、前記バーの前記最下部が前記燃料の蒸発温度超の温度に加熱されるような熱的分離である、条項22に記載の放射源。
25.燃料がEUV放射を放出する位置に前記燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源を備える装置であって、前記放射源が、複数の溝を設けた固定燃料デブリ受け面をさらに備え、前記溝が、液体燃料の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導するように配置された向きを有する、装置。
26.放射源を用いてEUV放射を生成する方法であって、
EUV放射を放出するプラズマが燃料を用いて生成される位置に燃料を給送するステップと、
前記放射源の固定面上に液体燃料を受けるステップと、を含み、
前記固定面上に設けられた溝が、液体燃料の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導する、方法。
27.燃料がEUV放射を放出する位置に前記燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源であって、前記放射源が、燃料デブリ受け面と、液体燃料の流れを前記燃料デブリ受け面に給送するように構成された液体燃料入口とをさらに備える、放射源。
28.前記液体燃料入口が、前記燃料デブリ受け面に接続される、条項27に記載の放射源。
29.前記液体燃料入口が、液体燃料のコーティングを前記燃料デブリ受け面に供給するように構成された、条項27に記載の放射源。
30.前記燃料デブリ受け面が、複数のベーンを備える、条項27に記載の放射源。
31.前記ベーン間の空間が、前記液体燃料の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導する溝である、条項30に記載の放射源。
32.前記液体燃料入口が、前記ベーンの間に、又は前記ベーンに隣接して位置する開口を備える、条項30に記載の放射源。
33.前記液体燃料入口が、前記ベーンのベース領域を所望の充填レベルに充填する速度で液体燃料を給送するように構成された、条項30に記載の放射源。
34.前記ベーンが、液体燃料を前記ベーンの先端から引き込む毛管圧を生じるような形状とされる、条項30に記載の放射源。
35.前記液体燃料入口が、導管に接続された複数の開口を備える、条項27に記載の放射源。
36.前記放射源が、前記燃料デブリ受け面を前記燃料の溶解温度超の温度に加熱するように構成されたヒータをさらに備える、条項27に記載の放射源。
37.EUV放射を生成するために燃料を使用する放射源内の汚染を制御する方法であって、
液体燃料のコーティングが燃料デブリ受け面上に維持されるように、入口を経て液体燃料を前記燃料デブリ受け面に給送するステップを含む、方法。
38.燃料がEUV放射を放出する位置に前記燃料を給送するように構成された燃料源を備える放射源を備える装置であって、前記放射源が、燃料デブリ受け面と、液体燃料の流れを前記燃料デブリ受け面上に給送するように構成された液体燃料入口とをさらに備える、装置。
39.放射源を使用してEUV放射を生成する方法であって、
燃料を使用してEUV放射を放出するプラズマが生成される位置に前記燃料を給送するステップと、
液体燃料を前記放射源の固定面上に受けるステップと、
前記固定面に設けられた溝を用いて液体燃料の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導するステップと、
を含む、方法。
40.放射源であって、
燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源と、
燃料デブリ受け面、及び液体合金又は金属の流れを前記燃料デブリ受け面に給送するように構成された液体入口と、
を備える、放射源。
41.前記液体入口が、前記燃料デブリ受け面に接続される、条項40に記載の放射源。
42.前記液体燃料入口が、液体合金又は金属のコーティングを前記燃料デブリ受け面に供給するように構成された、条項40に記載の放射源。
43.前記燃料デブリ受け面が、複数のベーンを備える、条項40に記載の放射源。
44.前記ベーン間の空間が、液体合金又は金属の流れを重力の影響で1つ以上の所望の方向に誘導する溝である、条項43に記載の放射源。
45.前記液体入口が、前記ベーンの間に、又は前記ベーンに隣接して位置する開口を備える、条項43に記載の放射源。
46.前記液体入口が、前記ベーンのベース領域を所望の充填レベルに充填する速度で液体合金又は金属を給送するように構成された、条項43に記載の放射源。
47.前記ベーンが、液体合金又は金属を前記ベーンの先端から引き離す毛管圧を生成するような形状とされる、条項43に記載の放射源。
48.前記液体入口が、導管に接続された複数の開口を備える、条項40に記載の放射源。
49.前記液体合金又は金属が、液体燃料である、条項40に記載の放射源。
50.前記放射源が、前記燃料デブリ受け面を前記燃料の溶解温度超の温度に加熱するように構成されたヒータをさらに備える、条項49に記載の放射源。
51.前記液体入口が、前記金属又は合金がそこを通って給送される多孔質金属から成る、条項40に記載の放射源。
52.前記液体入口が、室温で液体である金属又は合金を前記燃料デブリ受け面に給送するように構成される、条項40に記載の放射源。
53.前記金属又は合金が、ガリンスタンである、条項52に記載の放射源。
54.前記放射源が、前記放射源のハウジングを冷却するように構成された冷却装置をさらに備える、条項52に記載の放射源。
55.前記冷却装置が、前記放射源の前記ハウジングをほぼ室温に冷却するように構成された、条項54に記載の放射源。
56.燃料を使用してEUV放射を生成する放射源内の汚染を制御する方法であって、
液体合金又は金属のコーティングが前記燃料デブリ受け面上に維持されるように、液体合金又は金属を燃料デブリ受け面上に給送するステップを含む、方法。
57.前記合金又は金属が、前記入口を経て連続的に給送される、条項56に記載の方法。
58.前記合金又は金属が、前記入口を経て断続的に給送される、条項56に記載の方法。
59.前記入口が、前記金属又は合金が給送される多孔質金属から成る、条項56に記載の方法。
60.前記金属又は合金が、液体燃料である、条項56に記載の方法。
61.前記金属又は合金が、室温で液体である、条項56に記載の方法。
62.前記金属又は合金が、ガリスタンである、条項61に記載の方法。
63.前記方法が、前記放射源のハウジングを室温に冷却するステップをさらに含む、条項61に記載の方法。
64.液体燃料デブリガイド装置であって、
表面と、
絶縁層によって前記表面から離間された2つの電極であって、前記表面上の経路を画定するギャップが前記2つの電極間に設けられる2つの電極と、
前記電極の1つに電圧を印加するように構成され、それによって、前記電極間の前記ギャップを横切る電位差を確立し、前記電位差は、液体燃料小滴を前記ギャップによって画定される前記経路に沿って案内するように作用する、電圧源と、
を備える、液体燃料デブリガイド装置。
65.前記装置が、1つ以上の電圧源に接続された1つ以上の追加の電極をさらに備え、該電極間に前記表面上の経路を画定するギャップが設けられる、条項64の液体燃料デブリガイド装置。
66.液体燃料デブリの流れを誘導する方法であって、
絶縁層によって表面から離間された2つの電極の1つに電圧を印加するステップであって、前記2つの電極間に前記表面上の経路を画定するギャップが設けられ、前記電圧は、前記電極間のギャップを横切る電位差を確立し、前記電位差は、前記ギャップによって画定される前記経路に沿って液体燃料小滴を案内するように作用する、ステップを含む、方法。
67.EUV放射源用の燃料コレクタであって、
レセプタクルと、
前記レセプタクルの上方に位置するリザーバと、を備え、
前記リザーバに、液体燃料を前記リザーバから前記レセプタクルに排出し得る穴を設け、
***リップが前記穴の周囲に延在し、液体燃料のレベルが前記***リップの高さを越えるまで、液体燃料が前記穴に入ることを前記***リップが防止する、燃料コレクタ。
68.前記***リップが、非湿潤性材料から形成される、条項67に記載の燃料コレクタ。
69.前記***リップが、モリブデンから形成される、条項67に記載の燃料コレクタ。
70.前記***リップが、丸みを帯びた上表面を有する、条項67に記載の燃料コレクタ。
71.前記***リップの高さが、前記液体燃料の毛管長さ以上である、条項67に記載の燃料コレクタ。
72.前記穴から下方に突起するリップをさらに備える、条項67に記載の燃料コレクタ。
73.前記下方に突起するリップが、鋭利な内隅部を有する、条項72に記載の燃料コレクタ。
74.EUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された放射源であって、
燃料デブリ受け面と、
レセプタクルとリザーバとを備えた燃料コレクタであって、前記リザーバが前記レセプタクルの上方に位置する燃料コレクタと、を備え、
前記リザーバに、液体燃料を前記リザーバから前記レセプタクルに排出する穴を設け、
***リップが前記穴の周囲に延在し、前記***リップが、前記液体燃料のレベルが前記***リップの高さを越えるまで前記液体燃料が前記穴に入ることを防止する、放射源。
75.放射源収納装置であって、
回転自在に取り付けられたハウジングと、
前記ハウジングを駆動して回転させるように配置されたアクチュエータと、
前記ハウジングの第1の部分に隣接して位置するヒータと、
前記ハウジングの第2の異なる部分に隣接して位置するクーラと、
を備える、放射源収納装置。
76.前記ハウジングの前記第1の部分が下向きの内表面を有していない、条項75に記載の放射源収納装置。
77.前記ハウジングの前記第1の部分が、液体燃料がその内部から滴下できる内表面を有していない、条項75に記載の放射源収納装置。
78.前記ハウジングの前記第1の部分が、前記回転自在に取り付けられたハウジングの最も下側である、条項75に記載の放射源収納装置。
79.前記ヒータが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの前記第1の部分を、スズの溶解温度超の温度に加熱するように配置され、前記クーラが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの前記第2の部分を、スズの溶解温度未満の温度に冷却するように配置される、条項75に記載の放射源収納装置。
80.前記クーラが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの周囲の少なくとも約2/3に延在する、条項75に記載の放射源収納装置。
81.前記ヒータが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの周囲の約1/3未満に延在する、条項75に記載の放射源収納装置。
82.前記ヒータとクーラとが、前記回転自在に取り付けられたハウジングのほぼ周囲で重ならない、条項75に記載の放射源収納装置。
83.前記ヒータが、スズが下向きの表面にあるポイントまで前記ハウジングが回転した後、スズが液体状を保つほど遠くまで前記ハウジングのほぼ周囲に延在しない、条項75に記載の放射源収納装置。
84.前記ハウジングの前記内表面に溝を設ける、条項75に記載の放射源収納装置。
85.放射源であって、
燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するように構成された燃料源と、
回転自在に取り付けられたハウジングと、前記ハウジングを駆動して回転させるように配置されたアクチュエータと、前記ハウジングの第1の部分に隣接して位置するヒータと、前記ハウジングの第2の異なる部分に隣接して位置するクーラと、を有する放射源収納装置と、
を備える、放射源。
86.前記ヒータが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの前記第1の部分を、前記燃料の溶解温度超の温度に加熱するように配置され、前記クーラが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの前記第2の部分を、前記燃料の溶解温度未満の温度に冷却するように配置される、条項85に記載の放射源。
87.前記ヒータが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの前記第1の部分を、前記ハウジング上の燃料が液体状になる温度まで加熱するように配置され、前記クーラが、前記回転自在に取り付けられたハウジングの前記第2の部分を、前記ハウジング上の燃料が固体状になる温度まで冷却するように配置される、条項85に記載の放射源。
88.EUV放射を生成する方法であって、
前記燃料がEUV放射を放出する位置に燃料を給送するステップと、
放射源ハウジングを駆動して回転させるステップと、
前記ハウジングの部分を前記燃料の溶解温度超の温度に加熱するステップと、
前記ハウジングの部分を前記燃料の溶解温度未満の温度に冷却するステップと、
を含む、方法。
89.EUV放射源用の燃料コレクタであって、
入口と貯蔵部とを設けたレセプタクルと、
前記入口を通過する燃料がその表面に入射するように、前記レセプタクル内に配置されたオブジェクトと、
前記表面上に収集された燃料を前記貯蔵部に移送するように構成された燃料移送機構と、
を備える、燃料コレクタ。
90.前記オブジェクトが、収集したい燃料に対して低湿潤性材料から形成される、条項89に記載の燃料コレクタ。
91.前記オブジェクトが、モリブデンから形成される、条項90に記載の燃料コレクタ。
92.前記オブジェクトが、第1の位置と第2の位置との間で移動するように動作可能である、条項89から90のいずれかに記載の燃料コレクタ。
93.前記第1及び第2の位置との間の前記オブジェクトの移動により前記燃料移送機構を提供する、条項92に記載の燃料コレクタ。
94.前記オブジェクトが、燃料が前記表面上に累積するように配置され、前記オブジェクトが前記第1の位置から前記第2の位置の方向に移動する、条項92に記載の燃料コレクタ。
95.前記オブジェクトが、前記第1の位置の方向に弾性偏倚される、条項92に記載の燃料コレクタ。
96.前記オブジェクトが、片持ち梁構造を備える、条項89から91のいずれかに記載の燃料コレクタ。
97.前記オブジェクトがホイールを備え、該ホイールの回転が燃料移送機構を提供する、条項89から91のいずれかに記載の燃料コレクタ。
98.前記オブジェクトが棚を備え、前記棚を横切って掃き出すように操作可能な部材が、前記燃料移送機構を提供する、条項89から91のいずれかに記載の燃料コレクタ。
99.前記燃料コレクタが、エアロックを形成するように配置された第1及び第2のバルブをさらに備える、条項89から91のいずれかに記載の燃料コレクタ。
100.EUV放射源用の燃料コレクタであって、レセプタクルを備え、該レセプタクルは、前記レセプタクルの入口を通過する燃料がその上に入射するように配置された表面を設け、該表面が収集したい燃料に対して湿潤性が低い材料から形成され、前記表面の温度が前記燃料の溶解温度未満であり、前記表面がスライドを形成するように水平に対して傾斜される、燃料コレクタ。
101.前記燃料コレクタが、前記レセプタクルの入口端部の方向に配置された第1のバルブを備える、条項100に記載の燃料コレクタ。
102.前記レセプタクルが、その下部に位置する出口を備える、条項100又は条項101に記載の燃料コレクタ。
103.前記燃料コレクタが、前記レセプタクルの出口に位置する第2のバルブを備える、条項100又は条項101に記載の燃料コレクタ。
104.前記燃料コレクタが、前記レセプタクルの出口に位置する第2のバルブを備え、前記第1及び第2のバルブがエアロックを形成する、条項101に記載の燃料コレクタ。