JP2015229856A - 免震構造物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上部構造体2と、免震装置4を介して上部構造体2を支持する下部構造体3とを備える免震構造物1であって、下部構造体3は、上部構造体2の下層階部分21の外面に隙間をあけて形成された地下階部分32を有しており、地下階部分32は、地山に面する外壁と、外壁より突出して外壁と一体的に設けられた外柱34とを備えていて、外柱34の上端に設けられた免震装置4を介して上部構造体2の上層階部分22の周縁部を支持している。
【選択図】図1
Description
従来の免震建物は、図4の(a)に示すように、下部構造体102の基礎部103と擁壁104により囲まれた空間(免震ピット105)に免震装置106を配設し、この免震装置106により上部構造体101を支持する基礎下免震建物100が一般的である。
しかし、中間階免震建物で地震時に揺れが低減するなどの免震効果を発揮するのは免震層より上の上部構造のみで、下部構造では免震効果はほとんどない。加えて既存建物を免震化する場合には、免震層や下部構造体で大幅な補強が必要になることが多く、柱補強による床面積の減少や免震化工事期間中使用できない面積が多くなる。
更に、免震装置を設置して上部構造の荷重を支持している柱の上端部には、地震時等に大きな水平力が作用するため、柱が下端部だけで固定されていると下端部にかかる力が膨大になってしまう。この場合、上端部と下端部の距離に比例して下端部にかかる力が大きくなるので、複数層にわたる長柱は更なる補強が必要となる。
また、擁壁の壁厚が大きくなると、上部構造体の下層階の居住空間を小さくする必要がある。
さらに、擁壁により囲まれた部分を免震ピットとして利用するため、上部構造体の下層階として使用できる面積が減ってしまう。非免震構造物を免震化する場合には、免震ピット分だけ床面積が減少する上、下層階の工事中に使用できない面積も増えてしまう。特に、免震装置を設置する最下層階は工事範囲が広く、工事期間が長くなってしまう。
なお、前記外柱の上端に設けられた前記免震装置は、地盤面より上部に設置されていると、擁壁と免震ピットを建物外周部に設ける必要がなく、それだけ外周部分を敷地境界線の近傍まで広げることができるので望ましい。
また、上層階部分の周縁部を前記外壁と一体的に設けられた外柱で支持しており、鉛直荷重は主に柱で支持するため、大きな地震時水平力が外壁のみに作用することがなく、地震時の応力に応じて地下階部分の外壁の壁厚を必要以上に大きくする必要がない。
更に、前記外柱と、外柱の内側に間隔をあけて立設された内柱と、前記外柱および前記内柱に横架された梁とで架構を構成すれば、架構全体で一体となって外壁に作用する土圧や上層階部分の周縁部を支持することになるので、柱や外壁が下端部だけで固定されているのに比べて構造的に安定し望ましい。
さらに、外壁に沿って形成された外柱により上部構造体を支持しているため、上部構造体を敷地境界線の近傍まで広げることができ、用地を有効に活用することができる。
なお、免震構造物1は、必ずしも既設建物を改修したものである必要はなく、新設建物であってもよい。
また、既設建物10の構造形式も限定されない。例えば、既設建物10は、鉄筋コンクリート造であってもよいし、鉄骨鉄筋コンクリート造であってもよい。また、既設建物10の基礎は杭基礎であってもよいし、直接基礎であってもよい。
上部構造体2は、免震装置4を介して下部構造体3により支持されている。
既設建物10は、免震化工事に伴い、地下部分の地山に面する側部と中央部とに分割されている。既設建物10の地下部分の中央部は上部構造体の下層階部分21を構成し、側部は下部構造体3の一部(地下階部分32)を構成している。
下層階部分21は、必要に応じて、補強柱23等により補強してもよい。
すなわち、既設建物10の周縁に設けられた既設の外柱の頂部は、上部構造体2と下部構造体3との境界に位置する。
基礎部分31は、下層階部分21の下側に形成されたコンクリート製の基礎スラブである。なお、基礎部分31の構成は限定されるものではなく、例えば、基礎梁であってもよい。
すなわち、基礎部分31は、免震装置4,4,…を介して下層階部分21を支持している。
基礎部分31は、既設建物10の底盤の下方の地盤を掘り下げることにより形成する。基礎部分31は、中央が周縁よりも窪んでいることで段差を有していて、断面視凹字状に形成されている。
なお、下層階部分21と地下階部分32との間(隙間42)には、エキスパンションジョイントが介設されている。
外壁33は、必要に応じて壁厚を増加させてもよい。また、外壁33は、新設部材に置き換えてもよい。
本実施形態では、既設建物10の既設の柱を外柱34として使用するが、外柱34は、新たに新設してもよい。また、既設の柱を増し打ちコンクリート等により補強して外柱34を形成してもよい。
外柱34の上端と、上層階部分22の周縁部との間には、免震装置4が介設されていて、地下階部分32は、免震装置4を介して上層階部分22の周縁部を支持している。
本実施形態では、鉄筋コンクリートにより内柱35を形成するが、内柱35の構成は限定されるものではなく、例えば鉄骨柱であってもよい。また、内柱35は、既存の柱を利用してもよい。
部材である。本実施形態では、既設建物10の既設の梁を梁36として利用するが、梁36は新設してもよい。また、既設の梁を増し打ちコンクリート等により補強して梁36を形成してもよい。
また、本実施形態では、免震装置4に加え、図示しないオイルダンパーも上部構造体2と下部構造体3との間に配設する。免震化に用いる各装置の種類、数、配置等は、適宜設定すればよい。
なお、本実施形態の外柱34の上端に設けられた免震装置4は、地盤面よりも高い位置に配置されている。
外壁33に作用する土圧は外柱34に伝達されるため、外壁33の壁厚を必要最小限に抑えることができる。
また、外壁33は、柱梁架構により支持されているため、土圧に対してより優れた耐力を有している。
また、上部構造体2の上層階部分22の周縁部を支持する免震装置4は、地盤面よりも高い位置に設けられているため、上層階部分22の周囲にクリアランスを確保する必要がなく、上部構造体2を敷地境界線の近傍まで広げることができる。
したがって、本実施形態の免震構造物1によれば、既設建物10の共用空間を、免震改修後も大幅に減ずることなく、有効に活用することができる。
また、上部構造体2(下層階部分21)と下部構造体3(地下階部分32)との隙間42は、想定される地震時における上部構造体2の下部構造体3に対する相対変位よりも大きいため、地震時に上部構造体2と下部構造体3とが接触して免震機能が阻害されることがない。
また、上部構造体2の下層階部分21を基礎部分31で支持しているとともに、上層階部分22の周縁部を地下階部分32の外柱34の上端部で支持する構成としているため、上部構造体2を構造的に安定した状態に保つことができる。
2 上部構造体
21 下層階部分
22 上層階部分
3 下部構造体
31 基礎部分
32 地下階部分
33 外壁
34 外柱
35 内柱
36 梁
4 免震装置
41 免震ピット
42 隙間
B 隣接建物
Claims (4)
- 上部構造体と、免震装置を介して前記上部構造体を支持する下部構造体と、を備える免震構造物であって、
前記下部構造体は、前記上部構造体の下層階部分の外面に隙間をあけて形成された地下階部分を有しており、
前記地下階部分は、地山に面する外壁と、前記外壁より突出して前記外壁と一体的に設けられた外柱と、を備えていて、前記外柱の上端に設けられた免震装置を介して前記上部構造体の上層階部分の周縁部を支持していることを特徴とする、免震構造物。 - 前記地下階部分は、前記外柱の内側に間隔をあけて立設された内柱と、前記外柱および前記内柱に横架された梁と、を有していることを特徴とする、請求項1に記載の免震構造物。
- 前記下部構造体は、前記上部構造体の下層階部分の下側に形成された基礎部分を有していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の免震構造物。
- 前記外柱の上端に設けられた前記免震装置は、地盤面より上部に設置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の免震構造物。
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