JP2015224415A - シート状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】シボ模様を有する天然皮革と遜色ない表面感を有するシート状物を提供する。
【解決手段】単繊維の平均繊維径が0.1〜7μmの極細繊維と、ポリウレタンを主成分とした高分子弾性体を含むシート状物であり、前記シート状物の表面が立毛を有し、かつ凸部1で区切られた複数の凹部2で形成されているシボ模様を有するシート状物であり、シボ模様を有するシート状物の表面が、極細繊維のみからなり、シボ模様を有する天然皮革とそん色ない表面感
を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、シート状物に関するものであり、特に好適には立毛を有するシート状物に関するものである。
主として極細繊維と高分子弾性体とからなる立毛を有するスエード調のシート状物やヌバック調のシート状物は、耐久性や均一性などの天然皮革にはない優れた特徴を有しており、衣料、椅子張りおよび自動車内装材用途等に使用されてきた。近年では、より天然皮革に近い品位が求められており、特に天然皮革の特徴であるシボ模様を有するシート状物が求められている。
これまで、スエード調のシート状物やヌバック調のシート状物にシボ模様付与する検討は行われており、例えば、エンボスロールを用いる方法が提案されている(特許文献1および2参照)。しかしながら、この提案では、シボ模様のエンボスロールによってシート状物を圧縮することにより、シート状物の表面にシワ状の凹部を形成してシボ模様を付与するものであるが、スエード調のシート状物やヌバック調のシート状物のような立毛を有するシート状物にエンボスロールによるシボ模様を付与すると、凹部となったシワ状模様の表面は立毛が揃えられて平滑な表面となるため、光を反射して白化して見える(図2参照。)。すなわち、天然皮革のシボ模様は、シワ状の模様が表面と比較し暗く濃く見えるものであるのに対し、上記提案のエンボスロールでのシボ模様はシワ状模様の白化により、天然皮革と陰影が逆となるため、天然皮革とは異なる印象となる。
また、別の方法として、高分子弾性体を含有する極細繊維不織布と一体化した熱収縮性織編物を収縮させることにより、シート表面に天然皮革のシボに類似した凹凸模様を付与する方法が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案で得られるシボ模様は粗く、シボ模様の発現を制御することは難しいと考えられる。
このように、これまでは天然皮革と遜色のないシボ模様を有する表面感のシート状物は得られていないのが実情である。
特開昭59−9282号公報 特開2002−105870号公報 特開2012−136801号公報
本発明の目的は、シボ模様を有する天然皮革と遜色ない表面感を有するシート状物を提供することにある。
本発明のシート状物は、単繊維の平均繊維径が0.1μm以上7μm以下の極細繊維と、ポリウレタンを主成分とした高分子弾性体を含むシート状物であり、前記のシート状物の表面が立毛を有し、かつ凸部で区切られた複数の凹部で形成されているシボ模様を有することを特徴とするシート状物である。
本発明のシート状物の好ましい態様によれば、前記のシボ模様を有するシート状物の表面が極細繊維のみからなることである。
本発明によれば、シボ模様を有する天然皮革と遜色ない表面感を有するシート状物を得ることができる。
本発明のシート状物は、表面が立毛を有し、かつ凸部で区切られた複数の凹部で形成されているシボ模様を有するものである。エンボスロール等によってシボ模様を付与する際、シワ部を凸部とし、表面部を凹部とすることにより、凹部となった表面部の繊維は圧着されることで平滑となり、光の反射によって白化して見え、シワ部の凸部は圧着されていないため繊維は立毛を維持しているため凹部に比べ暗く濃く見える。これにより、表面の陰影を天然皮革と揃えることにより、シボ模様を有する天然皮革と遜色のない表面感を有するシート状物が得られる。
図1は、本発明のシート状物のシボ模様を例示する概略平面図である。 図2は、従来のシート状物のシボ模様を例示する概略平面図である。
本発明のシート状物は、単繊維の平均繊維径が0.1μm以上7μm以下の極細繊維と、ポリウレタンを主成分とした高分子弾性体を含むシート状物であり、前記のシート状物の表面が立毛を有し、かつ凸部で区切られた複数の凹部で形成されているシボ模様を有するシート状物である。
本発明のシート状物は、上記のように極細繊維を含んでおり、極細繊維により、スエード調やヌバック調の優美な外観や風合いを得ることができる。
本発明のシート状物を構成する極細繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートおよびポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリルポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび熱可塑性セルロース等からなる各種合成繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性および染色性に優れているという観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステルからなる合成繊維が特に好ましく用いられる。また、環境配慮の観点から、リサイクル原料や植物由来原料から得られる繊維を用いることができる。さらに、シート状物には異なる素材の極細繊維を混合させることができる。
極細繊維を形成するポリマーには、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することも好ましい態様である。
本発明のシート状物を構成する極細繊維の平均単繊維径は、0.1μm以上7μm以下とすることが重要である。平均単繊維径を、7μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下とすることにより、柔軟性と緻密でタッチの柔らかい表面品位に優れたシート状物が得られる。また、後述するエンボスロールによるシボ模様を付与する際に、繊維が圧着されやすく、耐久性の高いシボ模様を付与することが可能となる。
一方、平均単繊維径を、0.1μm以上、好ましくは0.7μm以上、より好ましくは1μm以上とすることにより、染色後の発色性、サンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性、およびさばけ易さに優れた効果を奏する。
極細繊維の断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用することができる。
極細繊維は、シート状物において不織布(極細繊維ウエブ)の形態をなしていることが好ましい態様である。不織布とすることにより、均一で優美な外観や風合いを得ることができる。
不織布(極細繊維ウエブ)の形態としては、短繊維不織布と長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位を重視する場合には、短繊維不織布が好ましく用いられる。
短繊維不織布とする場合の極細繊維の繊維長は、好ましくは25〜90mmである。繊維長を90mm以下とすることにより、良好な品位と風合いとなり、繊維長を25mm以上とすることにより、耐摩耗性に優れたシート状物とすることができる。繊維長は、より好ましくは35〜80mmであり、特に好ましくは40〜70mmである。
不織布には、その内部に強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を挿入させることができる。このような織物や編物を構成する繊維の平均単繊維直径は、0.3〜10μm程度が好ましい。
本発明のシート状物は、ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体も含んでなるものである。高分子弾性体とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、高分子弾性体としては、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等が挙げられる。また、ここでいう主成分とは、高分子弾性体全体の質量に対してポリウレタンの重量が50質量%より多いことをいう。
ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体を用いることにより、充実感のある触感、皮革様の外観および実使用に耐える物性を備えたシート状物を得ることができる。
ポリウレタンには、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンや、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンなどがあるが、本発明においてはどちらも採用することができる。
本発明で用いられるポリウレタンとしては、ポリマージオールと有機ジイソシアネートと鎖伸長剤との反応により得られるポリウレタンが好ましく用いられる。
前記のポリマージオールとしては、例えば、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリエーテル系、シリコーン系およびフッ素系のジオールを採用することができ、これらを組み合わせた共重合体を用いることもできる。風合いの観点からは、ポリエーテル系ジオールが好ましく用いられる。また、耐加水分解性の観点からは、ポリカーボネート系およびポリエーテル系のジオールが好ましく用いられ、耐光性とエンボスロールによるシボ模様の付与を含めた耐熱性の観点からは、ポリカーボネート系およびポリエステル系が好ましく用いられる。さらに、耐加水分解性と耐熱性と耐光性のバランスの観点からは、ポリカーボネート系とポリエステル系のジオールが好ましく用いられ、特に好ましくはポリカーボネート系のジオールが用いられる。
前記のポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
前記のアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネート系ジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネート系ジオールのいずれでも好ましく用いられる。
前記のポリエステル系ジオールとしては、各種低分子量ポリオールと多塩基酸とを縮合させて得られるポリエステルジオールを挙げることができる。
前記の低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、およびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールから選ばれる一種または二種以上を使用することができる。また、ビスフェノールAに、各種のアルキレンオキサイドを付加させた付加物も使用可能である。
また、前記の多塩基酸としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロイソフタル酸から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
前記のポリエーテル系ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびそれらを組み合わせた共重合ジオールを挙げることができる。
本発明で用いられるポリマージオールの数平均分子量は、好ましくは500〜4000である。数平均分子量を、好ましくは500以上、より好ましくは1500以上とすることにより、シート状物の風合いが硬くなることを防ぐことができる。また、数平均分子量を、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下とすることにより、ポリウレタンとしての強度を維持することができる。
前記の有機ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、およびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることもできる。中でも、耐久性や耐熱性を重視する場合には、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートが好ましく、耐光性を重視する場合には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートが好ましく用いられる。
前記の鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミンおよびメチレンビスアニリン等のアミン系の鎖伸長剤、およびエチレングリコール等のジオール系の鎖伸長剤を用いることができる。また、ポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを鎖伸長剤として用いることもできる。
ポリウレタンには、所望により、耐水性、耐摩耗性および耐加水分解性等を向上させる目的で、架橋剤を併用することができる。架橋剤は、ポリウレタンに対し、第3成分として添加する外部架橋剤でもよく、またポリウレタン分子構造内に予め架橋構造となる反応点を導入する内部架橋剤でもよく、いずれも好ましく用いられる。本発明においては、ポリウレタン分子構造内により均一に架橋点を形成することができ、柔軟性の減少を軽減できるという観点から、内部架橋剤を用いることが好ましい。
前記の架橋剤としては、イソシアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、メラミン樹脂、およびシラノール基などを有する化合物を用いることができる。ただし、架橋が過剰に進むと、ポリウレタンが硬化してシート状物の風合いも硬くなる傾向にあるため、反応性と柔軟性とのバランスの点ではシラノール基を有する架橋剤が好ましく用いられる。
本発明において水分散型ポリウレタンを使用する場合には、ポリウレタンを水に分散させるため、内部乳化剤を使用することが好ましい。内部乳化剤としては、例えば、4級アミン塩等のカチオン系の内部乳化剤、スルホン酸塩やカルボン酸塩等のアニオン系の内部乳化剤およびポリエチレングリコール等のノニオン系の内部乳化剤が挙げられ、さらにカチオン系とノニオン系の内部乳化剤の組み合わせ、およびアニオン系とノニオン系の内部乳化剤の組み合わせのいずれも採用することができる。中でも、ノニオン系の内部乳化剤が、カチオン系の内部乳化剤に比べて耐光性に優れ、またアニオン系の内部乳化剤に比べて中和剤による弊害もないという点で、好ましく用いられる。
本発明で用いられる高分子弾性体には、バインダーとしての性能や風合いを損なわない範囲でポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂、およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などを含有させることができる。
また、高分子弾性体には、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤および染料などを含有させることができる。
シート状物における高分子弾性体の含有量は、使用するポリウレタンの種類および風合や物性を考慮し、適宜調整することができる。高分子弾性体の含有量は、好ましくは10質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上50質量%以下である。
本発明のシート状物は、例えば、染料、顔料、柔軟剤、風合い調整剤、ピリング防止剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、耐光剤および耐候剤等を含んでいることも好ましい態様である。
また、本発明のシート状物においては、シート状物全体の密度が0.20g/cm以上0.60g/cm以下であることが好ましい。密度を0.20g/cm以上とすることにより、シート状物自体の実用に耐える物性を確保することができ、密度を0.60g/cm以下とすることによりシート状物の風合いが良好なものとなる。シート状物全体の密度は、好ましくは0.25g/cm以上0.50g/cm以下であり、より好ましくは0.30g/cm以上0.45g/cm以下である。
本発明のシート状物は、少なくとも片面に極細繊維の立毛を有していることが、重要である。立毛を有していることにより、良好なスエード調やヌバック調のシート状物とすることができる。また、本発明のシート状物の好ましい態様によれば、シート状物の表面が極細繊維のみからなることである。シート状物の表面が極細繊維のみからなることにより、良好なタッチが得られるためである。シート状物の表面に樹脂等を付与すると、ザラツキや引っ掛かり等により、極細繊維のみからなるシート状物と比較し、タッチは劣るものとなる。
本発明のシート状物は、立毛を有する面に、凸部で区切られた複数の凹部で形成されているシボ模様を有することが重要である。一般的にシート状物へのシボ模様の付与は、シワ部を凹部として付与する。これは天然皮革のシボ模様もシワ部が凹部となっているからであるが、立毛を有するシート状物にエンボスロールなどによってシボ模様を付与すると、圧着された凹部の表面の繊維が平滑となり、光を反射して白化して見えてしまう。しかしながら、天然皮革はシワ部である凹部は表面に比べ、色が暗く濃くなっているため、エンボスロールによってシワ部を凹部として付与されたシボ模様は、陰影が逆となり不自然な品位となってしまうという課題がある。この課題は、樹脂等の被覆層を有する銀面加工品では発生しないが、極細繊維による微細な凹凸がある立毛調のシート状物では発生しやすく、特有の課題である。
本発明では、天然皮革と陰影を合わせるため、シワ部を凸部としたシボ模様を付与するものである。すなわち、凸部で区切られた複数の凹部で形成されているシボ模様を有することを特徴とするものである。これにより、シワ部以外の表面部の繊維が平滑となり白化して見え、シワ部はより暗く濃く見えることとなり、天然皮革と陰影が同じとなる。その結果、本発明のシート状物は、天然皮革と遜色のない品位となるものである。また、本発明では、シート表面の凹凸は天然皮革と逆になるが、陰影を揃えることによって、不自然に感じることはない。
また、本発明のシボ模様は凸部をシワ部としたものであるが、この凸部は連続しており、かつ分岐しており、天然皮革のシワの様な模様である。また、表面部である凸部はシワ状の凹部に区切られ独立しており、その形状は主に楕円や多角形となるが特に制限はなく、目標とする天然皮革のシボ模様を参考にすることができる。
次に、このシボ模様について、図面に基づいて説明ずる。
図1は、本発明のシート状物のシボ模様を例示する概略平面図である。凸部1は連続し分岐したシワ状の模様を形成しており、凹部2はシワ状の凸部1に囲まれ独立した形状となっている。凹部2はエンボスロールにより圧着されているため、表面の繊維が平滑となっているため白化して見えるが、凸部1は立毛が立っているため、シワ状模様の凸部1の方が暗く濃く見え、天然皮革と同じ陰影となる。
これに対し、図2は、従来のシート状物のシボ模様を例示する概略平面図である。凹部3が連続し分岐したシワ状の模様を形成しており、凸部4がシワ状の凹部3に囲まれ独立した形状となっている。凹部3はエンボスロールにより圧着されているため、表面の繊維が平滑となっているため白化して見えるが、凸部4は立毛が立っているため、シワ模様の凹部3の方が明るく薄く見え、天然皮革とは逆の陰影となる。
次に、本発明のシート状物を製造する方法の例について説明する。
本発明において、シート状物を構成する極細繊維を得る手段としては、極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい態様である。極細繊維発生型繊維をあらかじめ絡合し不織布とした後に、繊維の極細化を行うことによって、極細繊維(束)が絡合してなる不織布を得ることができる。
極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分と島成分とし、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面を放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、風合いや表面品位の観点からも好ましく用いられる。
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体を用いる方式と、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点で、高分子配列体を用いる方式による海島型複合繊維が好ましく用いられる。
不織布として短繊維不織布とする場合には、得られた極細繊維発現型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカットして原綿を得る。捲縮加工やカット加工は、公知の方法を用いることができる。
次に、得られた原綿を、クロスラッパー等により繊維ウエブとし、絡合させることにより不織布を得る。繊維ウエブを絡合させ不織布を得る方法としては、ニードルパンチやウォータージェットパンチ等を用いることができる。
前記の不織布には、繊維の緻密感向上のために、温水やスチーム処理による熱収縮処理を施すことも好ましい態様である。
極細繊維の発現処理は、溶剤中に海島型複合繊維からなる不織布を浸漬させて海成分を溶解除去することにより行うことができる。
極細繊維発現型繊維が海島型複合繊維の場合、海成分を溶解除去する溶剤としては、海成分がポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリスチレンの場合には、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤を用いることができる。また、海成分が共重合ポリエステルやポリ乳酸の場合には、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができる。また、海成分が水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂の場合には、熱水を用いることができる。
ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体を不織布からなるシートに固定する方法としては、高分子弾性体の溶液をシートに含浸させ湿式凝固または乾式凝固する方法があり、使用するポリウレタンの種類により適宜選択することができる。
極細繊維発現型繊維から極細繊維を発現させる処理と、高分子弾性体を付与する処理とは、いずれを先に行う方法も採用することができる。極細繊維の発現処理を先に行う場合には、高分子弾性体が極細繊維を把持するため、極細繊維の脱落等が無く、より長期の使用に耐えうるものとなる。高分子弾性体の付与を先に行う場合には、高分子弾性体が極細繊維を把持していない構造となるため、良好な風合いのシートが得られる。いずれを先に行うかは、使用するポリウレタンの種類等により、適宜選択することができる。
また、極細繊維の発現処理の後に高分子弾性体の付与を行う場合は、両工程の間に水溶性樹脂を付与する工程を設けることが好ましい。この水溶性樹脂を付与する工程を設けることにより、極細繊維の繊維束を構成する繊維の表面が水溶性樹脂により保護され、極細繊維の繊維束を構成する繊維の表面において、高分子弾性体と直接接合している箇所が連続的ではなく断続的に存在することとなり、接着面積を適度に抑えることができる。その結果、高分子弾性体による良好な手持ち感を有しつつも、ソフトな風合いを有する人工皮革を得ることができる。
このような水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、糖類および澱粉などを用いることができる。その中でも、鹸化度80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
水溶性樹脂を繊維絡合体に付与する方法としては、不織布に水溶性樹脂の水溶液を含浸し乾燥する方法などがある。
水溶性樹脂の付与量は、付与直前の繊維絡合体の質量に対し、1〜50質量%であることが好ましい。付与量を1質量%以上とすることにより、良好な風合いが得られる。また、付与量を50質量%以下とすることにより、加工性が良く耐摩耗性等の物性が良好な人工皮革が得られる。また、後の工程において繊維絡合体への高分子弾性体付与可能量が増加するため、人工皮革の高密度化および触感の緻密化が可能である。水溶性樹脂の付与量は、より好ましくは3%以上30%以下であり、特に好ましくは5%以上20%以下である。付与された水溶性樹脂は、高分子弾性体を付与した後に熱水等で除去される。
本発明のシート状物においては、少なくとも片面に極細繊維の立毛を有していることは、立毛調とする上で重要である。起毛処理は、ポリウレタンを主成分とする高分子弾性体の付与工程以降に行うことが好ましい。
起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与することができる。また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によってシートから発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなるので、好ましい態様である。
本発明のシート状物は、染色することができる。染料は、シート状物を構成する極細繊維にあわせて選択することができる。例えば、極細繊維がポリエステル繊維からなる場合には分散染料を用い、また、極細繊維がポリアミド繊維からなる場合には酸性染料や含金染料を用いることができる。分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行うことが好ましい。
また、染色の均一性や再現性を向上させる目的で、染色助剤を使用することも好ましい態様である。
また、本発明のシート状物は、シリコーン等の柔軟剤や帯電防止剤等の仕上げ剤処理を施すこともできる。仕上げ剤処理は、染色後でも染色と同浴でも行うことができる。
また、シートは、高分子弾性体を付与した後に、シート厚み方向に半裁、ないしは数枚に分割されていてもよい。
本発明のシート状物は、凸部で区切られた複数の凹部で形成されているシボ模様を付与することが重要である。シボ模様の付与方法は、エンボスロールによる加工やプリントなどの公知の方法を用いることができるが、表面のタッチや品位の観点からエンボスロールでの加工によって付与することが好ましい。
エンボスロールを用いてシボ模様を付与する際のロール温度は、シート状物の構成や厚み等によって適宜調整すれば良いが、100℃以上180℃以下であることが好ましい。ロール温度を100℃以上とすることにより、実使用でもシボ模様が消失しない耐久性を得ることができ、またロール温度を180℃以下とすることにより、シート状物を構成する極細繊維やポリウレタンを主成分とした高分子弾性体の劣化を抑制することができる。ロール温度は、より好ましくは110℃以上170℃以下であり、特に好ましくは120℃以上160℃以下である。また、受けロールを加熱して加工を行うことは、シボ模様の耐久性の観点から好ましい態様である。
シボ模様の付与のタイミングは、染色前または染色後のどちらでも行うことができる。シボ模様の付与を染色前に付与を行うと、染色によって表面が乱され自然な表面感となり、一方、染色後に付与を行うと、はっきりとしたシボ模様を付与することができる。
本発明のシート状物は、天然皮革と遜色のないシボ模様を有するシート状物であり、家具や椅子の表皮材や壁材に、さらには自動車、電車および航空機などの車輛室内における座席や天井などの表皮材に、非常に優美な外観を有する内装材として好適に用いることができる。本発明のシート状物は、さらには、シャツ、ジャケット、鞄、ベルト、財布等、およびそれらの一部に使用した衣料用資材、カジュアルシューズ、スポーツシューズ、紳士靴、婦人靴等の靴のアッパー、トリム等、モバイル端末やパソコン、携帯電話、スマートフォンなどの外装やケース材用、およびその他工業材料として好適に用いることができる。
<評価方法>
(1)ポリマーのメルトフローレイト(MFR):
試料ペレット4〜5gを、MFR計電気炉のシリンダーに入れ、東洋精機製メルトインデクサー(S101)を用いて、荷重2160gf、温度285℃の条件で、10分間に押し出される樹脂の量(g)を測定した。同様の測定を3回繰り返し、平均値をMFRとした。
(2)平均単繊維径:
シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して100本の平均値を計算することにより算出した。
(3)凹部と凸部の平均高低差:
シート状物の凹部と凸部を含む断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、ランダムに選んだ10ヶ所について凹部と凸部の高低差を測定し、平均値を計算することにより算出した。なお、単位はμmとし、1の位を四捨五入した。
(4)外観品位(シボ模様の陰影):
健康な成人男性と成人女性各10名ずつ、計20名を評価者として、シート状物のシボ模様のシワ部と表面部で、色が濃い方を判断し、多かった部分を濃いと判断した。
<化学物質の表記>
・PU:ポリウレタン
・PTMG:数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール
・PCL:数平均分子量2000のポリカプロラクトン
・MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
・DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
・PET:ポリエチレンテレフタレート
・PVA:ポリビニルアルコール
・EG:エチレングリコール。
<ポリウレタン(PU)種類>
(1)有機溶剤系ポリウレタンI(PU−I)
・ポリイソシアネート:MDI
・ポリオール :PTMG 70質量%、PCL 30質量%
・鎖伸長剤 :EG
・溶媒 :DMF。
[実施例1]
(原綿)
島成分としてMFRが48のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが65のポリスチレンを用い、島数が16島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島/海質量比率が80/20、吐出量が1.2g/分・ホール、そして紡糸速度が1100m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で2.8倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度3.8dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(織物)
PETを、紡糸温度295℃で72孔の紡糸口金から吐出し、紡糸速度1650m/分で引き取り未延伸糸を得た。さらに、ホットロール−熱板系延伸機を用いて、延伸倍率2.8倍で延伸して総繊度84dtex、72フィラメントの延伸糸を得た。
上記のようにして得られた延伸糸に2500回/m(撚係数22900)の撚りを施したものを緯糸と経糸の両方に用いて、織密度が経69本/2.54cm、緯69本/2.54cmの平織物を作製した。
(絡合)
上記のようにして得られた原綿を用いて、カードとクロスラッパー工程を経て、積層繊維ウエブを形成し、600本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施した後に、上記の平織物を繊維ウエブの上下に挿入し、2900本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施して積層繊維ウエブと織物を一体化させた、厚みが3.0mmで、密度が0.24g/cmの絡合シート(フェルト)を得た。
(収縮・水溶性樹脂の付与・脱海)
上記のようにして得られた絡合シートを96℃の温度の熱水で収縮させた後、鹸化度が88%で、12質量%のPVA水溶液を含浸させ固形分の繊維分に対する目標付量10質量%で絞り、温度110℃の熱風で10分間乾燥させ、PVA付シートを得た。次に、このようにして得られたPVA付シートをトリクロロエチレンに浸漬させて、海成分の溶解除去し、極細繊維束と織物が絡合してなる脱海PVA付シートを得た。
(高分子弾性体の付与)
上記のようにして得られた脱海PVA付シートを、固形分濃度12質量%に調整したポリウレタン−I(PU−I)のDMF溶液に含浸させ、固形分の繊維分に対する目標付量25質量%で絞り、DMF濃度30質量%の水溶液中でポリウレタンを凝固せしめた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥させてポリウレタン付シートを得た。
(半裁・起毛)
上記のようにして得られたポリウレタン付シートを厚さ方向に半裁し、半裁面をサンドペーパー番手240番のエンドレスサンドペーパーで研削して立毛面を形成し、立毛面の形成と同時に厚み調整を行い、厚みが1.00mmの立毛シートを得た。
(染色)
上記のようにして得られた立毛シートに対して、液流染色機を用いて130℃の温度条件下で染色を施し、乾燥機を用いて乾燥を行い皮革様シートを得た。
(シボ模様の付与)
上記のようにして得られた皮革様シートに対して、シワ部が連続し分岐した凹部で、表面部が凹部に区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凸部のシボ模様で、深さが300μmのシボ模様が施されたエンボスロールを用いて、エンボスロールの温度を160℃とし、受けロールの温度を150℃として圧縮し、シボ付与皮革様シート(シート状物)を得た。得られたシボ付与皮革様シート(シート状物)は、シワ部が連続し分岐した凸部で立毛が立っており、表面部は凸部で区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凹部で極細繊維が平滑となっているシボ模様が付与されており、凹部と凸部の平均高低差は270μmであった。また、表面部よりシワ部が暗く濃い色となっており、天然皮革と同じ陰影であった。結果を、表1に示す。
[実施例2]
(原綿)
島成分としてMFRが48のPETを用い、また海成分としてMFRが65のポリスチレンを用い、島数が36島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が280℃、島/海質量比率が55/45、吐出量が1.3g/分・ホール、そして紡糸速度が1300m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.6倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理を施し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度2.9dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(織物〜半裁・起毛)
上記のようにして得られた原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、立毛シートを得た。
(シボ模様の付与)
上記のようにして得られた立毛シートに対して、シワ部が連続し分岐した凹部で、表面部が凹部に区切られ独立した楕円形と多角形からなる凸部のシボ模様で、深さが300μmのシボ模様が施されたエンボスロールを用いて、エンボスロールの温度を170℃とし、受けロールの温度を150℃として圧縮し、シボ付与立毛シートを得た。得られたシボ付与立毛シートは、シワ部が連続し分岐した凸部で立毛が立っており、表面部は凸部で区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凹部で極細繊維が平滑となっているシボ模様が付与されていた。
(染色)
上記のようにして得られたシボ付与立毛シートに対して、液流染色機を用いて130℃の温度条件下で染色を施し、乾燥機を用いて乾燥を行いシボ付与皮革様シート(シート状物)を得た。得られたシボ付与皮革様シート(シート状物)は、シワ部が凸部で、表面部は凹部のシボ模様が付与されており、凹部と凸部の平均高低差は240μmであった。また、表面部よりシワ部が暗く濃い色となっており、天然皮革と同じ陰影であった。結果を、表1に示す。
[実施例3]
(原綿)
島成分としてMFRが48のPETを用い、また海成分としてMFRが95の5−スルホイソフタル酸ナトリウムを8mol%共重合したポリエチレンテレフタレートを用い、島数が376島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度285℃、島/海質量比率30/70、吐出量1.3g/分・ホール、紡糸速度1250m/分で溶融紡糸した。次いで、60℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で3.7倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度2.8dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(織物〜絡合)
上記のようにして得られた原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、絡合シート(フェルト)を得た。
(収縮・脱海)
上記のようにして得られた絡合シートを96℃の温度の熱水で収縮させた後、95℃の温度に加熱した濃度10g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して30分間処理を行い、海成分を除去し、極細繊維と織物が絡合してある脱海シートを得た。
(水溶性樹脂の付与)
上記のようにして得られた脱海シートを、鹸化度が88%で、12質量%のPVA水溶液を含浸させ固形分の繊維分に対する目標付量10質量%で絞り、温度110℃の熱風で10分間乾燥させ、脱海PVA付シートを得た。
(高分子弾性体の付与〜シボ模様の付与)
上記のようにして得られた脱海PVA付シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてシボ付与皮革様シート(シート状物)を得た。得られたシボ付与皮革様シート(シート状物)は、シワ部が連続し分岐した凸部で立毛が立っており、表面部は凸部で区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凹部で極細繊維が平滑となっているシボ模様が付与されており、凹部と凸部の平均高低差は290μmであった。また、表面部よりシワ部が暗く濃い色となっており、天然皮革と同じ陰影であった。結果を、表1に示す。
[比較例1]
(原綿〜染色)
実施例1と同様にして、皮革様シートを得た。
(シボ模様の付与)
上記のようにして得られた皮革様シートに対して、シワ部が連続し分岐した凸部で、表面部が凸部に区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凹部のシボ模様で、深さが300μmのシボ模様が施されたエンボスロールを用いて、エンボスロールの温度を160℃とし、受けロールの温度を150℃として圧縮し、シボ付与皮革様シート(シート状物)を得た。得られたシボ付与皮革様シート(シート状物)は、シワ部が連続し分岐した凹部で極細繊維が平滑となっており、表面部は凹部で区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凸部で立毛が立っているシボ模様が付与されており、凹部と凸部の平均高低差は290μmであった。また、シワ部は白化して表面部より明るく天然皮革とは異なる陰影であった。結果を、表1に示す。
[比較例2]
(原綿〜半裁・起毛)
実施例2と同様にして、立毛シートを得た。
(シボ模様の付与)
上記のようにして得られた皮革様シートに対して、シワ部が連続し分岐した凸部で、表面部が凸部に区切られ独立した楕円形と多角形からなる凹部のシボ模様で、深さが300μmのシボ模様が施されたエンボスロールを用いて、エンボスロールの温度を170℃とし、受けロールの温度を150℃として圧縮し、シボ付与立毛シートを得た。得られたシボ付与立毛シートは、シワ部が連続し分岐した凹部で極細繊維が平滑となっており、表面部は凹部で区切られ独立した楕円形と多角形からなる凸部で立毛が立っているシボ模様が付与されていた。
(染色)
上記のようにして得られたシボ付与立毛シートに対して、液流染色機を用いて130℃の温度条件下で染色を施し、乾燥機を用いて乾燥を行いシボ付与皮革様シート(シート状物)を得た。得られたシボ付与皮革様シート(シート状物)は、シワ部が凹部で、表面部は複数の凸部のシボ模様が付与されており、凹部と凸部の平均高低差は280μmであった。また、シワ部は白化して表面部より明るく天然皮革とは異なる陰影であった。結果を、表1に示す。
[比較例3]
(原綿)
島成分としてMFRが48のポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、また海成分としてMFRが65のポリスチレンを用い、島数が8島/ホールの海島型複合用口金を用いて、紡糸温度が285℃、島/海質量比率が80/20、吐出量が1.8g/分・ホール、そして紡糸速度が1100m/分の条件で溶融紡糸した。次いで、90℃の温度の紡糸用の油剤液浴中で2.5倍に延伸し、押し込み型捲縮機を用いて捲縮加工処理し、その後、51mmの長さにカットし、単繊維繊度7.2dtexの海島型複合繊維の原綿を得た。
(織物〜シボ模様の付与)
上記のようにして得られた原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シボ付与皮革シート(シート状物)を得た。得られたシボ付与皮革様シート(シート状物)は、シワ部が連続し分岐した凸部で立毛が立っており、表面部は凸部で区切られ独立した楕円形と多角形からなる複数の凹部で極細繊維が若干平滑となっているシボ模様が付与されており、凹部と凸部の平均高低差は200μmであり、柄が若干弱いものであった。また、表面部よりシワ部が若干暗く濃い色となっており、天然皮革と同じ陰影であった。結果を、表1に示す。
Figure 2015224415
1:凸部
2:凹部
3:凹部
4:凸部

Claims (1)

  1. 単繊維の平均繊維径が0.1μm以上7μm以下の極細繊維と、ポリウレタンを主成分とした高分子弾性体を含むシート状物であり、前記シート状物の表面が立毛を有し、かつ凸部で区切られた複数の凹部で形成されているシボ模様を有することを特徴とするシート状物。
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