JP2018123437A - 皮革様布帛 - Google Patents

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健司 秋月
Kenji Akizuki
健司 秋月
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知治 廣瀬
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Abstract

【課題】
本発明は、天然のヌバック皮革の触感とスエード皮革の立毛感を持ちながら、耐光堅牢性に優れた皮革様布帛を提供する。
【解決手段】
本発明の皮革様布帛は、 平均単繊維直経が、0.1μm以上10μm以下の極細繊維を含んでなる繊維構造物であり、前記繊維構造物の少なくとも一面に立毛を有し、その立毛面に非連続な樹脂層が形成されており、かつ前記樹脂層が2層以上からなり、かつ少なくともいずれかの樹脂層に顔料を含んでなる皮革様布帛である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、天然のヌバック皮革の触感とスエード皮革の立毛感の両面を保ちながら、耐光堅牢性に優れた皮革様布帛に関するものである。
極細繊維と高分子弾性体からなるスエード調の人工皮革は、耐久性や均一性などの点において、天然皮革にはない優れた性質を有している。このような特徴を活かし、スエード調の人工皮革は、衣料、家具および自動車用内装材など、幅広い用途に使用されてきた。また近年では、さらなる多様化のニーズが生まれており、スエード調以外の品位を有する人工皮革の開発が望まれている。
それらの例としては、銀付調やヌバック調などの人工皮革が挙げられる。天然のヌバック皮革は、スエードとは異なり、皮革の銀面に起毛処理を施して得られるものである。このため、銀付革のような表面の緻密さとフラットさを有しながら、ウェットな触感を有するという特徴がある。しかしながら、既存のヌバックを模した人工皮革や合成皮革の中には、十分な品位や風合いを達成しているものは、存在しなかった。
ヌバック調人工皮革については、例えば、極細繊維からなる皮革状のシートに対して、立毛面に樹脂液を塗布した後に、さらに化学的および/または機械的に分割し、立毛上繊維を露出せしめる方法が提案されている(特許文献1および3参照。)。しかしながら、これらの提案の方法では、表面の樹脂層が紫外線により色相が変色あるいは退色するというような耐光堅牢性が課題であった。
また、耐光性に優れた人工皮革として、基材および高分子弾性体に顔料を含有させる方法が提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案の方法では、風合いが硬くなり、色相のバラツキが課題であった。
特許第3409554号公報 特許第4233965号公報 特許第4263012号公報
そこで本発明の目的は、極細繊維と高分子弾性体からなる人工皮革において、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感の両面を保ちながら、耐光堅牢性に優れた皮革様布帛を提供することにある。
本発明の皮革様布帛は、上記の課題を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、次の構成を有するものである。
すなわち、本発明の皮革様布帛は、 平均単繊維直経が、0.1μm以上10μm以下の極細繊維を含んでなる繊維構造物であり、前記繊維構造物の少なくとも一面に立毛を有し、その立毛面に非連続な樹脂層が形成されており、かつ前記樹脂層が2層以上からなり、かつ少なくともいずれかの樹脂層に顔料を含んでなることを特徴とする皮革様布帛である。
ここで言う、非連続な樹脂層とは、皮革様布帛表面に形成されている樹脂層が表面上に不規則かつ非連続に配置されていることを示し、すなわち、本発明の皮革調布帛上に、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、島状で点在している樹脂部分の間に立毛部分が存在する表面層の状態を言う。
また、前記の非連続な樹脂層の布帛表面に占める割合は、10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%である。非連続な樹脂層の割合が10%以下の場合は、耐摩耗性に劣るだけでなく、ヌバック調の表面感と触感を得ることが困難であり、非連続な樹脂層の割合が90%以上の場合は、スエード調の通気性がなくなり、また立毛感を得ることが困難である。
本発明の皮革様布帛の好ましい態様によれば、前記の樹脂層は、接着層、中間層および表面層の3層構造からなることである。
本発明の皮革様布帛の好ましい態様によれば、前記の皮革様布帛の耐光堅牢度は5級以上である。
本発明の皮革様布帛の好ましい態様によれば、前記の繊維構造物は、内部に高分子弾性体を含んでなることである。
本発明の皮革様布帛の好ましい態様によれば、前記の繊維構造物は、内部に織編物からなる補強布を含んでなることである。
本発明によれば、天然のヌバック皮革に近い触感と、スエード皮革の立毛感を持ちながら、更には耐光堅牢性に優れた皮革様布帛が得られることができる。ちなみに、従来の合成皮革では、表面が樹脂で覆われており立毛感がなく、風合いが硬くなり触感に劣るものであった。
本発明の皮革様布帛は、平均単繊維直経が0.1μm以上10μm以下の極細繊維を含んでなる繊維構造物であり、前記の繊維構造物の少なくとも一面に立毛を有し、その立毛面に非連続な樹脂層が形成されており、かつ前記樹脂層が2層以上からなりかつ少なくともいずれかの樹脂層には顔料を含んで構成されている。
本発明の皮革様布帛は、このように平均単繊維直経が0.1μm以上10μm以下の極細繊維を含むものである。この極細繊維の単繊維直経は、好ましくは0.3μm以上7μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上6μm以下である。
単繊維直径が0.1μm未満では、皮革様布帛の強度が低下する。また、単繊維直経が10μmを超えると、風合いが硬くなり、また、繊細な立毛も形成しにくくなるため表面品位が低下したり、また、繊維構造物が不織布の場合は、繊維の絡合が不十分になって耐摩耗性が低下したりする等の課題も発生する。
本発明でいう平均単繊維直径は、シート状物断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定し、平均値を計算することにより算出される。
本発明で用いられる繊維構造物を構成する極細繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリルポリエチレンおよびポリプロピレンなどの重合体等からなる各種合成繊維を用いることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレート等の重合体等からなるポリエステル繊維は、強度、寸法安定性、耐光性および染色性に優れている点から特に好ましく用いられる。また、繊維構造物には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、異なる素材の極細繊維を混合させることもできる。
繊維構造物を構成する極細繊維には、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することができる。
本発明で用いられる繊維構造物としては、織物、編物および不織布、更にはこれら構造の中に高分子弾性体が充填された人工皮革等のいずれでもよく、用途や目的毎に要求されるコストおよび特性に応じて適宜使い分けることができる。コストの点では、織物と編物を用いることが好ましく、充実感のある風合いや微細な立毛による品位の点では、不織布や人工皮革が好ましく用いられる。
本発明で用いられる織物としては、平織、綾織、朱子織およびそれらの織組織を基本とした各種織物などが挙げられる。また、編物としては、経編、トリコット編みで代表される緯編、レース編みおよびそれらの編組織を基本とした各種編物のいずれも採用することができる。
また、不織布としては、一般的な短繊維不織布や長繊維不織布、ニードルパンチ不織布や抄造不織布、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、およびエレクトロスピニング不織布等、種々のカテゴリーで表現される全ての不織布を適用することができる。ここで、充実感のある風合いや微細な立毛による品位の点では不織布が好ましく用いられるが、これら構造の中に高分子弾性体が充填された人工皮革は、布帛の耐久性や、布帛表面の耐摩耗性に優れるという観点から、より好ましく用いられる。更に、人工皮革においては、機械的強度に優れるとの観点から、その構造内部に織編物からなる補強布を含んでいることが好ましいが、織編物としては、取り扱い性や成型性のし易さから、ストレッチ性を有する繊維からなる織編物であることがより好ましい態様である。
また、繊維構造物は、その少なくとも一面が立毛を有するものである。繊維構造物に立毛面を有することにより、その後の樹脂層との接着性に優れ、更には布帛表面に露出した立毛繊維により、より天然皮革に近い表面触感を得ることができる。
また、その立毛面には、非連続な樹脂層が形成されており、かつその樹脂層は2層以上で構成されている。この樹脂層は、接着層、中間層および表面層の3層構造であることが好ましい態様である。
まず、非連続に樹脂層が形成されることにより、非樹脂部において、皮革様布帛の持つ十分な通気性が確保されると共に、皮革様布帛が屈曲した際には、樹脂層の割れも発現せず、良好な品位と風合いを維持することができる。更には、樹脂層が2層以上であることにより、自動車シートやソファーなど、より耐久性が要求される摩耗性に優れた皮革様布帛を得ることができる。樹脂層が1層以下の場合は、摩耗性に劣る。
また、本発明で使用される顔料は、有機系顔料としては、例えば、フタロシアニン系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インジゴ系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系、ペリレン系およびペリノン系等の縮合多環系有機顔料や、ベンズイミダゾロン系、縮合アゾ系およびアゾメチンアゾ系等の不溶性アゾ系などが挙げられる。
カーボンブラックには、チャンネルブラック、ファーネスブラックおよびサマールブラックなどがあるが、本発明で使用されるカーボンブラックはそれ自体の種類を何ら限定するものではない。これらの有機系顔料やカーボンブラックを、樹脂層に1種以上含有させる。本発明の効果を妨げない範囲で、無機系顔料を併用しても構わず、無機系顔料としては、例えば、酸化チタン、べんがら、クロムレッド、モリブデンレッド、リサージ、群青、酸化鉄等が挙げられる。
特に、得られるスエード調人工皮革の鮮明性、発色性、色調の広さ、耐光堅牢性、摩擦堅牢性および表面耐磨耗性などが優れるという観点で、高分子弾性体に含有される顔料としては、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系および不溶性アゾ系顔料が特に好ましく、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系や不溶性アゾ系顔料のみの顔料からなる、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系や不溶性アゾ系顔料を主体とし、色調等の必要に応じてカーボンブラックや酸化チタン等を併用した顔料が特に好ましい例として挙げられる。また、カーシートなど高耐光性が必要な用途においては、耐光劣化の大きい顔料は使用を避けることが望ましい。
また、本発明の皮革様布帛を構成する樹脂層は、その総厚みが0.001〜0.400mmであることが好ましい態様である。総厚みが0.001未満の場合、耐摩耗性に劣る傾向があり、また、総厚みが0.400mmを超える場合は、風合いが硬いものとなる傾向がある。樹脂層の総厚みは、より好ましくは0.01〜0.100mmの範囲である。
また、樹脂層の各層の厚みは、1層目と2層目は、それぞれ好ましくは0.001〜0.02mmであり、3層目は好ましくは0.008〜0.06mmである。また、1層目と2層目の厚みは、それぞれ最大0.065mm程度で、3層目は最大0.25mmの程度である。
本発明の皮革様布帛を構成する高分子弾性体とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、例えば、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、風合いと物性のバランスが取れる点で、ポリウレタンを主成分としてなる高分子弾性体、具体的には50質量%以上がポリウレタンからなる高分子弾性体が好ましく用いられる。
ポリウレタンには、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンや、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンなどが挙げられるが、本発明においてはどちらも採用することができる。
本発明で用いられるポリウレタンとしては、ポリオール、ポリイソシアネートおよび鎖伸長剤を適宜反応させた構造を有するポリウレタンを用いることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールや、これらを組み合わせた共重合体を用いることができる。中でも、耐光性の観点から、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエステル系ジオールを用いることが好ましい態様である。さらに、耐加水分解性と耐熱性の観点から、ポリカーボネート系ジオールが好ましく用いられる。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、または、ホスゲンもしくはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールなどの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネートジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネートジオールのいずれも用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることができる。中でも、耐久性や耐熱性を重視する場合には、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが好ましく、耐光性を重視する場合には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系鎖伸長剤、エチレングリコール等のジオール系鎖伸長剤、さらにはポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることができる。
本発明で用いられる高分子弾性体は、バインダーとしての性能や風合いを損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などを含有させることができる。また、高分子弾性体には、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤、および染料などを含有させることができる。
高分子弾性体の含有量は、使用する高分子弾性体の種類、製造方法および風合を考慮し、適宜調整することができる
本発明の皮革様布帛を構成する極細繊維および補強布に用いられる繊維は、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、およびポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる繊維が好ましく用いられる。
ここで、本発明の実施形態においては、皮革様布帛としての人工皮革における極細繊維発生型繊維として海島型繊維を用いる場合について詳しく説明するが、本発明の人工皮革を構成する極細繊維は、溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質からなる極細繊維発現型繊維を用いて得ることができる。
極細繊維発現型繊維としては、溶剤に対する溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分および島成分とし、前記の海成分を溶剤を用いて溶解除去することによって前記の島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を、繊維表面を放射状または多層状に交互に配置し、溶剤処理により剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができることから、基材の柔軟性や風合いの観点からも好ましく用いられる。
海島型複合繊維の製造には、海島型複合用口金を用い、海成分と島成分の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式と、海成分と島成分の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点で高分子配列体方式による海島型複合繊維がより好ましく用いられる。
海島型複合繊維の島成分、すなわち、本発明で用いられる繊維構造物の製造方法で得られる繊維構造物を構成する極細繊維としては、既述のように、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートおよびポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどのポリエステル、6−ナイロンや66−ナイロンなどのポリアミド、アクリルポリエチレンおよびポリプロピレンなどの重合体等からなる各種合成繊維を用いることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレート等の重合体等からなるポリエステル繊維は、強度、寸法安定性、耐光性および染色性に優れている点から好ましく用いられる。
また、本発明で用いられる繊維構造物には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、異なる素材の極細繊維を混合させることができる。
本発明において、島成分を形成するポリマーには、種々の目的に応じて、酸化チタン粒子等の無機粒子、潤滑剤、顔料、熱安定剤、紫外線吸収剤、導電剤、蓄熱剤および抗菌剤等を添加することができる。
極細繊維の断面形状は、丸断面でよいが、楕円、扁平および三角などの多角形、扇形および十字型などの異形断面のものを採用することができる。
極細繊維は、繊維構造物において不織布(極細繊維ウエブ)の形態をなしていることが好ましい態様である。不織布とすることにより、均一で優美な外観や風合いを得ることができる。不織布(極細繊維ウェブ)の形態としては、短繊維不織布および長繊維不織布のいずれも用いられるが、風合いや品位を重視する場合には、短繊維不織布が好ましく用いられる。
短繊維不織布とする場合の極細繊維の繊維長は、25mm以上90mm以下であることが好ましい。極細繊維の繊維長を90mm以下とすることにより、良好な品位および風合いとなり、繊維長を25mm以上とすることにより、耐摩耗性が良好なシート状物とすることができる。
本発明では、得られた極細繊維発生型繊維に、好ましくは捲縮加工を施し、所定長にカット加工して不織布の原綿を得ることができる。極細繊維発生型繊維を所定長にカット加工せず長繊維不織布として用いることもできるが、風合いや品位を重視する場合には、所定長にカット加工し短繊維不織布とすることが好ましい。同様に、風合いや品位を重視する場合は、短繊維の繊維長は絡合による耐摩耗性を考慮して、25mm以上90mm以下であることが好ましい。
捲縮加工やカット加工は、公知の方法を用いることができる。得られた原綿を、クロスラッパー等により繊維ウェブとし、得られた繊維ウェブを織編物との絡合に供することができる。
繊維ウェブの目付は、最終製品の設計、後工程での寸法変化および加工マシンの特性等を考慮して、適宜設定することができる。
本発明で用いられる繊維構造物の製造方法においては、織編物と極細繊維発生型繊維からなる繊維絡合体(不織布)を絡合一体化させ、極細繊維発生型繊維からなる不織布と織編物との積層シートを得ることを含む。両者を絡合一体化させる方法としては、ニードルパンチやウォータージェットパンチ等の方法を用いることができる。中でも、ニードルパンチによる交絡処理が貼り合せ性と製品の品位の観点から好ましい態様である。
織編物としては、収縮性を有する織編物を用いることが好ましい。織編物の収縮処理は、熱処理、薬剤や溶剤処理、機械的処理あるいは他の処理方法の、いずれの方法によって発現されるものであっても構わない。織編物の収縮処理は、生産性の観点からは、熱処理によって発現することが好ましい態様である。
極細繊維発生型繊維からなる繊維構造物(繊維ウェブ)と織編物の絡合は、繊維絡合体に織編物を1枚積層する方法や、2枚の織編物で繊維絡合体を挟む方法および織編物を2枚の繊維絡合体で挟む方法などが挙げられるが、加工性と効率の点で2枚の織編物で繊維絡合体を挟む方法が好ましい態様である。
本発明で用いられる皮革様布帛を構成する補強布としての織編物は、極細繊維発生型繊維からなる不織布等の繊維絡合体と積層一体化される。この積層工程として、ニードルパンチ工程を適用する場合、織編物の糸種によっては針によって切断されて人工皮革の強力が低下することがある。これを抑制する手段としては、織編物を構成する糸条の糸種は撚糸であることが好ましい。
また、織編物を構成する糸条の繊度(マルチフィラメントの場合は総繊度)は、繊度が、200dtex以上では織編物の目付が大きくなり、そのため人工皮革の目付が大きくなりすぎ、それによって織編物の剛性が高くなるため、皮革様布帛として満足するほどの柔軟性を得ることが困難となる。織編物を構成する糸条の総繊度は、剛性および目付等の観点から、好ましくは30dtex以上150dtex以下であり、より好ましくは50dtex以上130dtex以下である。
また、本発明で用いられる織編物は、織編物を構成する糸条の平均単繊維直経が0.1μm以上10μm以下の極細繊維を含むものである。この極細繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.3μm以上7μm以下であり、より好ましくは、0.5μm以上6μm以下の極細繊維を用いることもできる。
織編物を構成する糸条は、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンおよびポリプロピレン、またはそれらの共重合体類などからなる合成繊維が好適に用いられる。中でも、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらの共重合体類からなる合成繊維を単独でまたは複合もしくは混合して用いることができる。また、織編物を構成する糸条としては、フィラメントヤーン、紡績糸、およびフィラメントと短繊維の混紡糸などを用いることができる。
また、本発明で用いられる織編物については、2種類以上のポリマーがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された複合繊維(以下、「サイドバイサイド型等複合繊維」と記載することがある。)を含んでなる織編物を用いることができる。例えば、固有粘度(IV)差のある2種類以上のポリマーからなるサイドバイサイド型等複合繊維においては、延伸時の高粘度側への応力集中により、2成分間で異なった内部歪みが生じる。この内部歪みのため、延伸後の弾性回復率差および熱処理工程での熱収縮差により高粘度側が大きく収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル型の捲縮を発現する。この3次元コイル型の捲縮により、人工皮革としてのストレッチ性が発現する。
本発明で用いられる織物としては、平織、綾織、朱子織およびそれらの織組織を基本とした各種の織物などが挙げられる。また、編物としては、経編、トリコット編みで代表される緯編、レース編みおよびそれらの編組織を基本とした各種の編物のいずれも採用することができる。それらの中でも、加工性の観点から織物が好ましく、特にコストの面で平織織物が好ましく用いられる。また、織物の織密度は、糸条の総繊度や後述する不織布と織編物を絡合させる設備や条件により、適宜設定することができる。
本発明では、このような織編物に、必要に応じて水溶性樹脂を付与することができる。織編物に水溶性樹脂を付与することにより、織編物を構成する糸条の表面が水溶性樹脂により保護され、織編物を構成する糸条の表面において、高分子弾性体と直接接合している箇所が連続的ではなく断続的に存在することとなり、接着面積を適度に調整することができる。その結果、適度な接着により強力と寸法安定性を有しながらも、柔軟な風合いの人工皮革を得ることができる。また、サイドバイサイド型複合繊維からなる織編物を用いた場合は、高いストレッチ性を有する皮革様布帛が得られる。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、糖類および澱粉などが用いられる。その中でも、鹸化度が80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。織編物に水溶性樹脂を付与する方法としては、水溶性樹脂の水溶液を織編物に含浸し、乾燥する方法などが挙げられる。織編物に付与された水溶性樹脂は、後述する高分子弾性体の付与の後に、熱水等で除去することができる。
本発明の皮革様布帛の製造方法においては、前記の工程で得られた織編物と、溶剤に対する溶解性の異なる2種類以上の高分子物質からなる極細繊維発生型繊維からなる繊維構造物とを絡合一体化させて、積層シートを作製することができる。
このようにして得られた極細繊維発生型繊からなる繊維絡合体と織編物の積層シートは、緻密化の観点から、高分子弾性体を付与する前の段階において、乾熱もしくは湿熱またはその両者によって収縮させ、さらに高密度化させることが好ましい態様である。この収縮処理は、極細繊維を発現させる前に行っても、発現させた後に行っても構わないが、収縮に極細繊維発生型繊維の海成分ポリマーの特性を利用できる点において、極細繊維発生前に収縮処理を行うことが好ましい態様である。
また、この収縮工程における積層シートの面積収縮率の範囲は、15%以上35%未満であることが好ましい。面積収縮率を15%以上とすることにより、収縮による品位の向上効果を好ましく得ることができる。また、面積収縮率を35%未満とすることにより、不織布と一体化した織編物に収縮の余地を残すことができるため、後に高分子弾性体を付与した後に効率的に収縮させることが可能となる。より好ましい面積収縮率の範囲は、13%以上30%未満であり、さらに好ましくは15%以上25%未満である。
本発明の皮革様布帛の製造方法は、前記の極細繊維発生型繊維からなる繊維絡合体(不織布)と織編物との積層シートを処理して平均単繊維直経が0.1μm以上10μm以下の極細繊維を発現させる工程を含む。極細繊維の発生処理方法としては、極細繊維発生型繊維を構成する樹脂の一方を、溶剤によって溶解させる方法が挙げられる。特に、海成分が易溶解性ポリマーからなり、島成分が難溶解性ポリマーからなる極細繊維発生型海島複合繊維について、海成分を溶解させる方法が好ましい。
海成分を溶解する溶剤としては、海成分がポリエチレンやポリスチレン等のポリオレフィンの場合は、トルエンやトリクロロエチレン等の有機溶媒が用いられる。また、海成分がポリ乳酸や共重合ポリエステルの場合は、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いることができる。また、この極細繊維発生加工(脱海処理)は、溶剤中に極細化可能繊維からなる繊維絡合体を浸漬し、窄液することによって行うことができる。
次いで、得られた極細繊維を含む繊維構造物に、高分子弾性体を付与する処理を行う。本発明で用いられる繊維構造物は、高分子弾性体を含んでなるものである。高分子弾性体を含有させることにより、充実感のある触感や皮革様の外観や実使用に耐える物性を得ることができる。
高分子弾性体とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、例えば、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、風合いと物性のバランスが取れる点で、ポリウレタンを主成分としてなる高分子弾性体、具体的には50質量%以上がポリウレタンからなる高分子弾性体が好ましく用いられる。
ポリウレタンには、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンや、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンなどがあるが、本発明においてはどちらも採用することができる。
本発明で用いられるポリウレタンとしては、ポリオール、ポリイソシアネートおよび鎖伸長剤を適宜反応させた構造を有するポリウレタンを用いることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールや、これらを組み合わせた共重合体を用いることができる。中でも、耐光性の観点から、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエステル系ジオールを用いることが好ましい。さらに、耐加水分解性と耐熱性の観点から、ポリカーボネート系ジオールが好ましく用いられる。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、または、ホスゲンもしくはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、などの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネートジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネートジオールのいずれも用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることができる。中でも、耐久性や耐熱性を重視する場合には、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが好ましく、耐光性を重視する場合には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系鎖伸長剤、エチレングリコール等のジオール系鎖伸長剤、さらにはポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることができる。
本発明で用いられる高分子弾性体は、バインダーとしての性能や風合いを損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などを含有させることができる。また、高分子弾性体には、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤、および染料などを含有させることができる。
高分子弾性体の含有量は、使用する高分子弾性体の種類、製造方法および風合を考慮し、適宜調整することができる。
前記の極細繊維発現型繊維から極細繊維を発現させる処理と、高分子弾性体を付与する処理とは、いずれを先に行う方法も採用することができる。極細繊維の発現処理を先に行う場合には、高分子弾性体が極細繊維を把持するため、極細繊維の脱落等が無くより長期の使用に耐え得るものとなる。また、高分子弾性体の付与を先に行う場合には、高分子弾性体が極細繊維を把持していない構造となるため、良好な風合いの皮革様布帛が得られる。いずれを先に行うかは、使用するポリウレタンの種類等により適宜選択することができる。
また、極細繊維の発現処理の後に高分子弾性体の付与を行う場合は、両工程の間に水溶性樹脂を付与する工程を設けることが好ましい。この水溶性樹脂を付与する工程を設けることにより、極細繊維の繊維束や織編物を構成する繊維の表面が水溶性樹脂により保護され、極細繊維の繊維束や織編物を構成する繊維の表面において、高分子弾性体と直接接合している箇所が連続的ではなく断続的に存在することとなり、接着面積を適度に抑えることができる。その結果、高分子弾性体による良好な手持ち感を有しつつも、ソフトな風合いや、サイドバイサイド型等複合繊維からなる織編物を用いた場合は、高いストレッチ性を有する人工皮革を得ることができる。
このような水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、糖類および澱粉などを用いることができる。その中でも、鹸化度が80%以上のポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
水溶性樹脂を繊維構造体に付与する方法としては、繊維構造体に水溶性樹脂の水溶液を含浸し乾燥する方法などがある。乾燥温度や乾燥時間等の乾燥条件は、織編物の収縮を抑えるという観点から、水溶性樹脂を付与した繊維構造体自体の温度を110℃以下に抑えるようにすることが好ましい態様である。
水溶性樹脂の付与量は、付与直前の繊維構造体の質量に対し、1〜30質量%であることが好ましい。付与量を1質量%以上とすることにより、良好な風合いや、サイドバイサイド型等複合繊維からなる織編物を用いた皮革様布帛の場合は、良好なストレッチ性が得られる。また、付与量を30質量%以下とすることにより、加工性が良く耐摩耗性等の物性が良好な皮革様布帛が得られる。また、後の工程において繊維絡合体への高分子弾性体付与可能量が増加するため、皮革様布帛の高密度化および触感の緻密化が可能である。
本発明の皮革様布帛の製造方法としては、前駆体である極細繊維からなる繊維構造体(不織布)と織編物の積層シートに高分子弾性体を付与し、凝固せしめた後に、収縮処理を施すことが好ましい態様である。
皮革様布帛の製法において、高分子弾性体の付与前に前駆体である不織布に必要に応じて織編物を積層したシートを、高分子弾性体の付与前に収縮させる手法は、品位を向上させる方法として知られている。一般に、不織布を収縮させる工程を経た立毛調の皮革様布帛は、立毛密度が増加するため品位が向上する。
本発明の皮革様布帛の製造方法においては、高分子弾性体を付与した皮革様布帛の前駆体シートを平面方向に半裁する工程を経ることができる。半裁工程を含むことによって、皮革様布帛の生産性を向上させることができる。例えば、織編物の積層方法として、極細繊維発生型繊維からなる不織布層を織編物層で挟む方法を採用している場合には、前駆体シートを半裁し、内側の面を立毛面とすることが、緻密な品位を達成する方法として好ましい態様である。
本発明の皮革様布帛は、少なくとも片面に立毛を有する。立毛は、不織布面に形成される。立毛処理は、不織布表面をサンドペーパーやロールサンダーなどを用いてバフすることによって行うことができる。特に、サンドペーパーを用いることにより、均一かつ緻密な立毛を形成することができる。さらに、皮革様布帛の表面に均一な立毛を形成させるためには、研削負荷を小さくすることが好ましい。
本発明の皮革様布帛は、好適に染色される。染色は、分散染料、カチオン染料やその他反応性染料を用い、染色される皮革様布帛の風合いを柔軟にするためにも高温高圧染色機により行うことが好ましい。
さらに、必要に応じて、シリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤、撥水剤、難燃剤および耐光剤等の仕上げ処理を施すことができ、仕上げ処理は染色後でも染色と同浴でも行うことができる。難燃処理は、公知の臭素、塩素などのハロゲン系の難燃剤やリンなどの非ハロゲン系の難燃剤を用いることができ、染色後に浸積による付与でも、ナイフコーティングやロータリースクリーン法などのバックコーティングによる付与でも行うことができる。
本発明の皮革様布帛は、繊維構造物の立毛面に非連続な樹脂層が形成されており、かつその樹脂層が2層以上の層構造である。さらには、前記の樹脂層が、接着層、中間層および表面層からなる3層構造からなることがより好ましい態様である。ここで、接着層は、繊維構造物の表面と中間層および表面層の樹脂層の接着機能を有する。
本発明における樹脂層の形成方法としては、皮革様布帛となる繊維構造物の表面に非連続状に塗布できる方法であれば特に限定はされないが、フラットスクリーンやロータリースクリーン等のスクリーン法やグラビアコーティング法等での塗布後に乾燥して樹脂層を形成する方法や、離型紙等の支持基材上に非連続状の樹脂膜を形成した後、その樹脂膜の表面に接着剤を塗布し、基材となる表面に貼り合わせて接着し、離型紙を剥離することによって樹脂層を形成する方法等が挙げられる。
さらに、樹脂層を2層や3層にするためには、上記の方法を2度および3度と繰り返すことにより形成することができる。また、上記の方法については、同じ方法を繰り返しても良く、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明における樹脂層で用いられる樹脂とは、伸び縮みするゴム弾性を有している高分子化合物であり、例えば、ポリウレタン、SBR、NBRおよびアクリル樹脂等を挙げることができる。中でも、風合いと物性のバランスが取れる点で、ポリウレタンを主成分としてなる高分子弾性体、具体的には50質量%以上がポリウレタンからなる高分子弾性体が好ましく用いられる。
ポリウレタンには、有機溶剤に溶解した状態で使用する有機溶剤系ポリウレタンや、水に分散した状態で使用する水分散型ポリウレタンなどがあるが、本発明においてはどちらも採用することができる。
本発明で用いられるポリウレタンとしては、ポリオール、ポリイソシアネートおよび鎖伸長剤を適宜反応させた構造を有するポリウレタンを用いることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールおよびフッ素系ジオールや、これらを組み合わせた共重合体を用いることができる。中でも、耐光性の観点から、ポリカーボネート系ジオールおよびポリエステル系ジオールを用いることが好ましい。さらに、耐加水分解性と耐熱性の観点から、ポリカーボネート系ジオールが好ましく用いられるが、本発明の接着層においては、布帛表面との接着性から、ポリエーテル系ジオール、またはポリエステル系ジオールが好ましく用いられる。
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、または、ホスゲンもしくはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、などの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオール、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
本発明では、それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネートジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネートジオールのいずれも用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートおよびキシリレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートや、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが挙げられ、またこれらを組み合わせて用いることができる。中でも、耐久性や耐熱性を重視する場合には、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネートが好ましく、耐光性を重視する場合には、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびイソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく用いられる。
鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミンやメチレンビスアニリン等のアミン系鎖伸長剤、エチレングリコール等のジオール系鎖伸長剤、さらにはポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることができる。
本発明における樹脂層で用いられる樹脂は、耐摩耗性や風合いを損なわない範囲で、ポリエステル系、ポリアミド系およびポリオレフィン系などのエラストマー樹脂、アクリル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル樹脂などを含有させることができる。また、これらの樹脂には、各種の添加剤、例えば、カーボンブラックなどの顔料、リン系、ハロゲン系および無機系などの難燃剤、フェノール系、イオウ系およびリン系などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系およびオキザリックアシッドアニリド系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系やベンゾエート系などの光安定剤、ポリカルボジイミドなどの耐加水分解安定剤、可塑剤、耐電防止剤、界面活性剤、凝固調整剤、および染料などを含有させることができる。
本発明の皮革様布帛は、天然のヌバック皮革の触感とスエード皮革の立毛感を持ちながら、更には優れた耐光堅牢性を有しており、従来のスエード調人工皮革が用いられていた用途である家具、椅子および車両内装材から衣料用途まで幅広く好適に用いることができる。
次に、実施例を挙げて、本発明の皮革様布帛についてさらに詳しく説明する。
[測定方法および評価用加工方法]
(1)皮革様布帛表面の樹脂層の総厚み:
皮革様布帛の平面方向および機械方向に垂直な断面を切り出し、断面が歪まないように試料台に設置した。続いて、走査型電子顕微鏡(SEM、キーエンス社製VE−7800)を用いて、皮革様布帛の試料片の断面を200倍の倍率で異なる箇所について10枚撮影した。これらの各撮影像から、断面に並行な方向を水平とし、断面の立毛層側を上とし、他方の面を下としたときの、樹脂層の最高位置z1と樹脂層の最低位置z2の2点間距離を取得し、樹脂層の総厚みを算出した。さらに、算出して得られた10個の値の平均値を、樹脂層の総厚みとした。
(2)皮革様布帛の耐光堅牢度の評価:
JIS L 0842(2015)第3露光法において、皮革様布帛の耐光堅牢度(級)を測定した。試験片の大きさは6.5cm×4cmで、光源に紫外線カーボンアークを用い、ブラックパネル温度を63℃±3℃とし、所定の照射時間(40時間程度)で、試験片を処理した。本発明において良好なレベルは、5級以上である。
(3)皮革様布帛表面の耐摩耗性の評価:
測定する皮革様布帛について、任意の1か所から直径120mmの大きさで円形状の試験片を1枚採取し、ASTM D3884の6.1項のテーバ摩耗試験法によって試験を行った。試験は、CS#10摩耗輪により、4.9Nで1000回転摩耗を行った後、皮革様布帛表面の摩耗状態を観察し、試験前の表面状態と比較して、異常の程度を下記の基準に従い等級を判定した。本評価においては、3級〜5級を合格とした。
・5級…全く認められない。
・4級…わずかに認められるが、殆ど目立たない。
・3級…明らかに認められるが、目立たない。
・2級…やや著しい異常が認められる。
・1級…著しい異常がある。
(4)皮革様布帛の表面触感評価:
対象者10名の官能検査により評価した。8名以上が、ヌバック調の緻密でウェットな触感を有すると判定したものを二重丸(◎)、5〜7名が判断したものを一重丸(○)、3〜4名が判定したものを三角(△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。二重丸と一重丸を合格とした。この判定では、天然ヌバック調の触感を有するものが高い判定となる。
(5)皮革様布帛の表面立毛感評価:
対象者10名の官能検査により評価した。8名以上が、スエード調の立毛感を有すると判定したものを二重丸(◎)、5〜7名が判断したものを一重丸(○)、3〜4名が判定したものを三角(△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。二重丸と一重丸を合格とした。この判定では、天然スエード調の触感を有するものが高い判定となる。
[実施例1]
<原綿>
島成分として、固有粘度(IV)が0.510のポリエチレンテレフタレートを用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が16島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率を80/20として溶融紡糸した後、延伸し捲縮加工し、その後、51mmの長さにカットして単繊維直径が19μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布および織編物の絡合体(積層シート)>
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、織物を貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために、100本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施した。別に、固有粘度(IV)が0.65のポリエチレンテレフタレート単成分からなる単糸で、撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を緯糸に用い、固有粘度(IV)が0.65のポリエチレンテレフタレート単成分からなる単糸で撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を経糸として用い、織密度が経97本/2.54cmで、緯76本/2.54cmの平織物を製織した。得られた平織物を、前記の積層ウェブの上下に積層した。
その後、2500本/cmのパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が740g/mで、厚みが3.4mmの極細繊維発生型繊維からなる不織布と熱収縮性の織物からなる積層シートを得た。
<繊維構造物>
前記の工程で得られた積層シートを、96℃の温度の熱水で処理して収縮させた後、PVA(ポリビニルアルコール)(日本合成化学工業(株)製のゴーセノールNH−18)10%水溶液を含浸し、温度110℃の熱風で10分間乾燥することにより、積層シート質量に対するPVA質量が7.6質量%のシート基体を得た。このようにして得られたシート基体を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分のポリスチレンを溶解除去し、平均単繊維直径が4.43μmからなる極細繊維と平織物が絡合してなる脱海シートを得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布と平織物とからなる脱海シートを、固形分濃度を12%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで、DMF濃度が30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる極細繊維と前記の平織物の合計質量に対するポリウレタン質量が27質量%の繊維構造物の前駆体シートを得た。
このようにして得られた繊維構造物の前駆体シートを厚さ方向に、その繊維構造物の前駆体シート内部の不織布層を垂直に半裁し、半裁したシート面をサンドペーパー番手320番のエンドレスサンドペーパーで研削して、表層部に立毛面を形成させ、厚みが0.81mmの繊維構造物の生機を得た。このようにして得られた繊維構造物の生機を、液流染色機を用いて、120℃の温度の条件下で、収縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機で乾燥を行い、繊維構造物を得た。
<樹脂層形成と皮革様布帛>
前記の工程で得られた繊維構造物の立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、かつ3層目には顔料(大日精化工業(株)製、顔料Blue.FL2B Conc)をポリウレタンの固形分に対して0.1質量%添加し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめ皮革様布帛を得た。皮革様布帛の表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の布帛表面に占める割合は、60%であった。このようにして得られた皮革様布帛は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更には耐光堅牢性に優れることを有していた。結果を、表1に示す。
[実施例2]
<原綿〜繊維構造物>
実施例1と同様にして、平均単繊維直径が19μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
また、実施例1と同様にして、平均単繊維直径が4.43μmからなる極細繊維と平織物が絡合してなる脱海シートを得た。
<樹脂層形成と皮革様布帛>
前記の工程で得られた繊維構造物の立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、かつ2層目と3層目には顔料(大日精化工業(株)製、顔料Blue.FL2B Conc)を、ポリウレタンの固形分に対してそれぞれ0.05質量%と0.1質量%添加し、非連続に表面が被覆された3層のポリウレタン樹脂層を形成せしめ皮革様布帛を得た。皮革様布帛の表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の布帛表面に占める割合は、60%であった。このようにして得られた皮革様布帛は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更には耐光堅牢性に優れることを有していた。結果を、表1に示す。
[実施例3]
<原綿>
島成分として、固有粘度(IV)が0.580のポリエチレンテレフタレートを用い、また海成分としてJIS K7206(1999)に準じて測定したビカット軟化点が100℃で、MFRが120のポリスチレン(PSt)を用い、島数が36島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率を55/45として溶融紡糸した後、延伸し捲縮加工し、その後、51mmの長さにカットして平均単繊維直径が17μmの海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布および織編物の絡合体(積層シート)>
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブを形成し、織物貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために、100本/cmのパンチ本数でニードルパンチを施した。別に、固有粘度(IV)が0.78のPETと固有粘度(IV)が0.51のPETからなる複合比(質量%)が50:50からなるサイドバイサイド型複合糸で、撚数1500T/mからなるマルチフィラメント(56dtex、12フィラメント)を緯糸に用い、固有粘度(IV)が0.65の単成分(PET)からなる単糸で撚数2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を経糸として用い、織密度が経69本/2.54cm、緯83本/2.54cmである平織物を製織した。得られた平織物を、前記の積層ウェブの上下に積層した。
その後、2500本/cmのパンチ本数(密度)でニードルパンチを施し、目付が560g/mで、厚みが2.3mmの極細繊維発生型繊維からなる不織布と熱収縮性の織物からなる積層シートを得た。
<繊維構造物>
前記の工程で得られた積層シートを、96℃の温度の熱水で処理して収縮させた後、PVA(ポリビニルアルコール)(日本合成化学工業(株)製のゴーセノールNH−18)10%水溶液を含浸し、温度110℃の熱風で10分間乾燥することにより、積層シート質量に対するPVA質量が4.0質量%のシート基体を得た。この積層シートを、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分のポリスチレンを溶解除去してなる平均単繊維直径が2.1μmの極細繊維と平織物が絡合してなる脱海シートを得た。
このようにして得られた極細繊維からなる不織布と平織物とからなる脱海シートを、固形分濃度を12%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで、DMF濃度が30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる極細繊維と前記の平織物の合計質量に対するポリウレタン質量が20質量%の繊維構造物の前駆体シートを得た。
このようにして得られた繊維構造物の前駆体シートを厚さ方向に、その繊維構造物の前駆体シート内部の不織布層を垂直に半裁し、半裁したシート面をサンドペーパー番手320番のエンドレスサンドペーパーで研削して、表層部に立毛面を形成させ、厚みが0.46mmの繊維構造物の生機を得た。このようにして得られた繊維構造物の生機を、液流染色機を用いて、120℃の温度の条件下で、収縮処理と染色を同時に行った後に、乾燥機で乾燥を行い、繊維構造物を得た。
<樹脂層形成と皮革様布帛>
前記の工程で得られた繊維構造物の立毛面にグラビアコーティング手法を2度繰り返し、かつ2層目には顔料(大日精化工業(株)製、顔料Blue.FL2B Conc)を0.2質量%添加し、非連続に表面が被覆された2層のポリウレタン樹脂層を形成せしめ皮革様布帛を得た。皮革様布帛の表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の布帛表面に占める割合は、30%であった。このようにして得られた皮革様布帛は、天然のヌバック皮革の触感と、スエード皮革の立毛感、更には耐光堅牢性に優れることを有していた。結果を、表1に示す。
Figure 2018123437
[比較例1]
<原綿>
実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布および織編物の絡合体>
実施例1と同様にして、海島型複合繊維からなる不織布と織編物の積層シートを得た。
<繊維構造物>
実施例1と同様にして、繊維構造物を得た。
<樹脂層形成>
非連続に表面が被覆された1層のポリウレタン樹脂層を形成せしめたこと以外は、実施例1と同様にして皮革様布帛を得た。皮革様布帛の表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の布帛表面に占める割合は、8%であった。このようにして得られた皮革様布帛は、天然のヌバック皮革の触感は有しておらず、むしろスエード皮革の立毛感が強く、更には性耐光堅牢性に劣るものであった。結果を、表2に示す。
[比較例2]
<原綿>
実施例1と同様にして、海島型複合繊維の原綿を得た。
<不織布および織編物の絡合体>
実施例1と同様にして、海島型複合繊維からなる不織布と織編物の積層シートを得た。
<繊維構造物>
エンドレスサンドペーパーで研削せず、表層部に立毛面を形成させなかったこと以外は、実施例1と同様にして、繊維構造物を得た。
<樹脂層形成と皮革様布帛>
実施例1と同様にして皮革様布帛を得た。皮革様布帛の表面は、樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と非立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の布帛表面に占める割合は、60%であった。このようにして得られた皮革様布帛は、天然のヌバック皮革の触感は有し、耐摩耗性に優れているものの、スエード皮革の立毛感は全くなく、合成皮革に近い、触感に劣るものであった。更には、耐光堅牢性に劣るものであった。結果を、表2に示す。
Figure 2018123437

Claims (5)

  1. 平均単繊維直経が、0.1μm以上10μm以下の極細繊維を含んでなる繊維構造物であり、前記繊維構造物の少なくとも一面に立毛を有し、その立毛面に非連続な樹脂層が形成されており、かつ前記樹脂層が2層以上からなり、かつ少なくともいずれかの樹脂層に顔料を含んでなることを特徴とする皮革様布帛。
  2. 樹脂層が、接着層、中間層および表面層の3層構造からなることを特徴とする請求項1記載の皮革様布帛。
  3. 耐光堅牢度が5級以上であることを特徴とする請求項1または2記載の皮革様布帛。
  4. 繊維構造物が、内部に高分子弾性体を含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様布帛。
  5. 繊維構造物が、内部に織編物からなる補強布を含んでなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様布帛。
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