JP2015155470A - ジアミド化合物の結晶性シュウ酸塩 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶性シュウ酸塩を提供すること
【解決手段】
本発明は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩に関する。本発明はまた、そのような結晶性シュウ酸塩を含む組成物;そのような結晶性シュウ酸塩を、例えば、肺の障害を処置するために使用する方法;およびそのような結晶性シュウ酸塩を調製するためのプロセスに関する。
【選択図】 図1

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、ジアミド化合物の新規の結晶性シュウ酸塩に関する。本発明はまた、そのような結晶性塩を含む薬学的組成物、そのような結晶性塩を調製するために有用なプロセスおよび中間体、ならびにそのような結晶性塩を、例えば、肺の障害を処置するために使用する方法に関する。
技術水準
2010年10月28日に公開された国際公開第2010/123766 A1号は、肺の障害(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息)を処置するための治療剤として有用であることが予期されるジアミド化合物を開示する。本願において開示される1つの化合物は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルであり、これは、式I
Figure 2015155470
によって表される化学構造を有する。
肺の障害を処置するために使用される治療剤は、代表的に、吸入デバイス(例えば、乾燥粉末吸入器(DPI)、定量吸入器(MDI)、またはネブライザー吸入器)を用いて直接気道に投与される。そのようなデバイスにおいて使用するために治療剤を製剤化する場合に、著しい分解も結晶性の損失もなく、微粉化されるか、または他の方法で製剤化され、保存され得る治療剤の安定な結晶性の形態を有することは有益である。特に、上記結晶性の形態は、過度に吸湿性または潮解性であるべきではない。さらに、上記結晶性の形態は、加工および保存の間の熱劣化を最小限にするために、比較的高い融点(すなわち、約130℃よりも高い)を有するべきではない。
しかし、有機化合物の結晶性の形態の形成は、非常に予測できない。有機化合物の形態がもしあれば、それが結晶性であることを予測するための確実な方法は存在しない。さらに、結晶性の形態がもしあれば、それが、例えば、薬学的吸入デバイスにおいて使用するための所望される物理的特性を有することを予測するための方法は存在しない。
目下、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性の形態は開示されていない。従って、この化
合物の安定な結晶性の形態の必要性が存在する。特に、受容可能なレベルの吸湿性、および比較的高い融点を有する安定な非潮解性の結晶性の形態の必要性が存在する。
発明の概要
本発明は、結晶性固体状態の形態であるビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルのシュウ酸付加塩に関する。そのような結晶性シュウ酸塩としては、結晶性シュウ酸塩イソプロパノール溶媒和物、および結晶性シュウ酸塩水和物が挙げられる。
本発明の特定の結晶性シュウ酸塩は、大気の水分にさらされる場合に、非潮解性であること、および受容可能な吸湿性特性を有することが見出されている。さらに、本発明の結晶性シュウ酸塩は、少なくとも約160℃の比較的高い融点を有する。
従って、1つの局面において、本発明は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}−エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩を提供する。
1つの実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、11.66±0.20、15.75±0.20、19.55±0.20、23.00±0.20、および23.45±0.20の2θ値における回折ピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられるイソプロパノール溶媒和物である。この結晶性の形態または多形は、Form 1と指定されている。
別の実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、15.32±0.20、16.90±0.20、19.25±0.20、および23.73±0.20の2θ値における回折ピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる水和物である。この結晶性の形態または多形は、Form 2と指定されている。
1つの実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩を約1日〜約5日の期間の間、約80%相対湿度〜約100%相対湿度に曝すことによって調製される水和物である。
別の局面において、本発明は、本発明の結晶性シュウ酸塩を含む組成物を提供する。
1つの実施形態において、上記組成物は、(a)本発明の結晶性シュウ酸塩、および(b)薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物である。
別の実施形態において、上記組成物は、(a)本発明の結晶性シュウ酸塩;(b)ステロイド性抗炎症剤、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物;および(c)薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物である。
別の局面において、本発明は、治療における使用のための本発明の結晶性シュウ酸塩を提供する。
1つの実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、肺の障害の処置において使用される。特定の実施形態において、上記肺の障害は、慢性閉塞性肺疾患である。別の特定の実施形態において、上記肺の障害は、喘息である。
1つの実施形態において、本発明は、肺の障害を処置する方法を提供し、上記方法は、本発明の結晶性シュウ酸塩を患者に投与する工程を含む。
別の実施形態において、本発明は、肺の障害を処置する方法を提供し、上記方法は、(a)本発明の結晶性シュウ酸塩;および(b)ステロイド性抗炎症剤、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を患者に投与する工程を含む。
さらに別の実施形態において、本発明は、哺乳動物において気管支拡張をもたらす方法を提供し、上記方法は、本発明の結晶性シュウ酸塩を吸入によって哺乳動物に投与する工程を含む。
別の実施形態において、本発明は、医薬の製造における使用のための本発明の結晶性シュウ酸塩を提供する。
本発明の他の局面および実施形態は、本明細書中に開示される。
本発明の種々の局面は、添付の図面を参照することによって例示される。
図1は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩イソプロパノール溶媒和物(Form 1)についての粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図2は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩イソプロパノール溶媒和物(Form 1)についての示差走査熱分析(DSC)トレースを示す。 図3は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩イソプロパノール溶媒和物(Form 1)についての熱重量分析(TGA)トレースを示す。 図4は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩水和物(Form 2)についての粉末X線回折(PXRD)パターンを示す。 図5は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩水和物(Form 2)についての示差走査熱分析(DSC)トレースを示す。 図6は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩水和物(Form 2)についての熱重量分析(TGA)トレースを示す。 図7は、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩水和物(Form 2)についての動的水分収着(DMS)トレースを示す。
発明の詳細な説明
本発明は、結晶性固体状態の形態であるビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルのシュウ酸付加塩(そのイソプロパノール溶媒和物および水和物を含む)に関する。本発明の結晶性シュウ酸塩は、1つまたはそれより多くのまったく異なった(distinct)結晶性固体状態の形態として存在し得、本発明は、別段示されない限り、すべてのそのような形態(形態の混合物を含む)を包含する。
1つの実施形態において、本発明は、本明細書中でForm 1と称される、式Iの化合物のシュウ酸付加塩の結晶性シュウ酸塩の固体状態の第一の形態を提供する。Form
1は、イソプロパノール溶媒和物の形態である。
別の実施形態において、本発明は、本明細書中でForm 2と称される、式Iの化合物のシュウ酸付加塩の結晶性シュウ酸塩の固体状態の第二の形態を提供する。Form 2は、水和物である。
式Iの化合物は、(R)配置を有する1つのキラル中心を含む。しかし、別段示されない限り、重大ではない量の(S)立体異性体が、本発明の組成物中に存在し得、ただし、上記組成物の任意の有用性は、全体として、そのような異性体の存在によって排除されないことが当業者によって理解される。
式Iの化合物およびその中間体は、市販のMDL(登録商標)ISIS/Drawソフトウェア(Symyx,Santa Clara,California)のAutoNom機能を用いて名付けられている。
定義
本発明の化合物、組成物、方法、およびプロセスを記載する場合、以下の項目は、別段示されない限り、以下の意味を有する。
用語「融点」は、最大吸熱熱流が示差走査熱分析によって観測される温度を意味する。
用語「微粉化」または「微粉化された形態で」は、粒子の少なくとも約90%が約10μm未満の直径を有する粒子を意味する。
用語「溶媒和物」は、溶質の1つまたはそれより多くの分子(すなわち、式Iの化合物のシュウ酸塩)と、溶媒の1つまたはそれより多くの分子との会合(例えば、複合体また
は凝集体)を意味する。代表的な溶媒としては、例として、水およびイソプロパノールが挙げられる。上記溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物である。
用語「治療上有効な量」は、処置を必要とする患者に投与する場合に、処置を達成するために十分な量を意味する。
用語「処置すること」または「処置」は:
(a) 疾患または医学的状態が起こらないようにすること、すなわち、患者または被験体の予防的処置;
(b) 疾患または医学的状態を改善すること、すなわち、患者における疾患または医学的状態を排除するか、または患者における疾患または医学的状態の回帰を生じさせること;
(c) 疾患または医学的状態を抑制すること、すなわち、患者における疾患または医学的状態を遅くすること、または患者における疾患または医学的状態の発症を阻止すること;あるいは、
(d) 患者における疾患または医学的状態の症状を緩和すること
を意味する。
用語「単位剤形」は、患者に投薬するために適した物理的に別々の単位、すなわち、単独または1つもしくはそれより多くのさらなる単位と組み合わせて治療効果を生み出すように計算された所定の量の治療剤を含む各単位を意味する。例えば、そのような単位剤形は、乾燥粉末吸入器のカプセル剤、定量吸入器からの定量、カプセル剤、錠剤、丸剤などであり得る。
本発明の代表的な結晶性シュウ酸塩
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩は、少なくとも2つの異なる結晶性の形態で存在することが見出されている。本発明の目的のために、これらの形態は、本明細書中でForm 1およびForm 2と識別される。
Form 1は、約11.66±0.20、約15.75±0.20、約19.55±0.20、約23.00±0.20、および約23.45±0.20の2θ値において、他のピークの中でも顕著な回折ピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられるイソプロパノール溶媒和物である。Form 1は、約162℃〜約164℃における(例えば、約163.3℃における)吸熱熱流においてピークを示す示差走査熱分析(DSC)トレースを有する。Form 1は、式Iの化合物のシュウ酸塩1モル当量当たり、約1モル当量〜約2モル当量のイソプロパノールを含み、それには、約1.25モル当量〜約1.75モル当量(例えば、1.5モル当量)が挙げられる。
Form 2は、約15.32±0.20、約16.90±0.20、約19.25±0.20、および約23.73±0.20の2θ値において、他のピークの中でも顕著な回折ピークを有する粉末X線回折(PXRD)パターンによって特徴付けられる水和物である。Form 2は、約162℃〜約164℃における(例えば、約162.6℃における)吸熱熱流においてピークを示す示差走査熱分析(DSC)トレースを有する。Form 2は、式Iの化合物のシュウ酸塩1モル当量当たり、約1モル当量〜約3モル当量の水を含み、それには、約1.5モル当量〜約2モル当量が挙げられる。
本発明の結晶性シュウ酸塩は、1モル当量の式Iの化合物当たり、約0.90モル当量
と約1.10モル当量との間のシュウ酸を代表的に含み;1モル当量の式Iの化合物当たり、約0.95モル当量と約1.05モル当量との間のシュウ酸が挙げられる。特定の実施形態において、本発明のシュウ酸塩は、1モル当量の式Iの化合物当たり、約1モル当量のシュウ酸を含む。モル比は、従来の方法(例えば、13C NMR、元素分析、イオン分析、またはHPLC)を用いて決定される。
本発明の結晶性シュウ酸塩は、代表的に、シュウ酸またはシュウ酸二水和物、およびビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルを用いて調製される。シュウ酸およびシュウ酸二水和物は、例えば、Sigma−Aldrich,St.Louis,MOから市販されている。本発明において用いられるビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}−エチル)ピペリジン−4−イルエステルは、下の実施例に記載される手順を用いて、または本願の背景のセクションに記載された同一人に譲渡された米国出願に記載される手順を用いることによって、市販の出発物質および試薬から容易に調製され得る。
本発明の結晶性シュウ酸塩を調製するための方法またはプロセスは、実施例において提供される。代表的に、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルは、希釈剤中、約0.90モル当量〜約1.1モル当量(例えば、1.0モル当量)のシュウ酸またはシュウ酸二水和物と接触させられる。一般に、この反応は、約0℃〜約60℃の範囲に及ぶ温度において行われ;約20℃〜約35℃(例えば、約25℃〜約30)が挙げられる。この反応に適切な不活性希釈剤としては、必要に応じて水を含む、メタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、反応混合物は、結晶化を容易にするために従来の装置を用いて音波処理され得る。
本発明の結晶性シュウ酸塩を調製するプロセスは、主に特定の結晶性の形態を生成するために、必要に応じて種晶の使用を含み得る。例えば、Form 2の種晶を用いることによって、結晶性シュウ酸塩水和物は、種晶と実質的に同じ形態(すなわち、Form 2)を有して調製され得る。そのような種晶は、本発明の結晶性シュウ酸塩を初めに形成する場合に使用され得る、またはそれらは、結晶性の形態もしくは部分的に結晶性の形態を再結晶化するために使用され得る。
代表的に、種晶は、撹拌せずに、そして冷却せずに、ゆっくりとした結晶化によって調製される。例示として、種晶を得るために、式Iの化合物は代表的に、溶解をもたらすのに十分な温度で希釈剤中に溶解される。例えば、式Iの化合物は、熱い、メタノール中10%(v/v)の水中に溶解され、次に周囲温度に冷却される。この溶液は、ゆっくりと蒸発させられて、本発明の結晶性シュウ酸塩を提供する。得られた結晶は、濾過または他の従来の手段によって単離される。あるいは、種晶は、結晶性物質の以前の調製物から得られ得る。
Form 2の結晶性は、結晶性物質が、高い湿度の下で周囲温度にて保存される場合に向上することが見出されている。例えば、Form 2のサンプルが84%相対湿度で周囲温度にて保存される場合、結晶性はサンプルのPXRDパターンによって測定される際に、約5日の期間にわたって向上した。
組成物、組み合わせ物、および製剤
本発明の結晶性シュウ酸塩は、他の物質(例えば、治療剤、キャリア、賦形剤、希釈剤、および溶媒など)と組み合わせられて、組成物を形成し得る。
1つの実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、キャリアまたは賦形剤とともに製剤化されて、薬学的組成物または製剤を形成し得る。そのような薬学的組成物は、代表的に、治療上有効な量の本発明の結晶性シュウ酸塩を含む。しかし、いくつかの場合において、上記薬学的組成物は、治療上有効な量より多い量(例えば、濃縮されたバルク組成物);または治療上有効な量より少ない量(例えば、複数単位投与を意図した単位剤形)を含み得る。
上記薬学的組成物は、代表的に、約0.01重量%〜約95重量%の本発明の結晶性シュウ酸塩を含み、それには、例えば、約0.05重量%〜約30重量%;または約0.1重量%〜約10重量%が挙げられる。
そのような薬学的組成物は、従来のキャリアまたは賦形剤を用いて調製され得る。特定のキャリアもしくは賦形剤、またはキャリアもしくは賦形剤の組み合わせの選択は、種々の要因(例えば、投与の様式、または処置される疾患もしくは医学的状態)に依存する。薬学的組成物を調製するための多くの適切なキャリアおよび賦形剤は市販されている。例えば、物質は、Sigma(St.Louis,MO)から購入され得る。投与の特定の様式に適した薬学的組成物を調製するための手順および物質は、薬学的な技術分野(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(2000);およびH.C.Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Edition,Lippincott Williams & White,Baltimore,Maryland(1999)が挙げられる)において記載される。
薬学的に受容可能なキャリアの代表的な例としては:(1)糖(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース);(2)デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、およびジャガイモデンプン);(3)セルロース、およびその誘導体(例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロース);(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)凝脂、およびワックス(例えば、ココアバター、および坐剤用ワックス);(9)液体油(室温で)(例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油);(10)グリコール(例えば、プロピレングリコール);(11)ポリオール(例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール);(12)エステル(例えば、オレイン酸エチル、およびラウリン酸エチル);(13)寒天;(14)緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウム、および水酸化アルミニウム);(15)アルギン酸;(16)パイロジェン除去水;(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;(21)圧縮プロペラントガス(例えば、クロロフルオロカーボン、およびヒドロフルオロカーボン);ならびに(22)薬学的組成物に用いられる非毒性の他の適合可能な物質が挙げられるが、これらに限定されない。
薬学的組成物は、代表的に、本発明の結晶性シュウ酸塩を、薬学的に受容可能なキャリアおよび任意の他の任意選択の成分と完全におよび密に、混合すること、またはブレンドすることによって調製される。必要であれば、または所望される場合、得られた均一にブ
レンドされた混合物は次に、従来の手順および装置を用いて、錠剤、カプセル剤、丸剤、キャニスター、カートリッジ、ディスペンサーなどに成形され得るか、または充填され得る。
1つの実施形態において、上記薬学的組成物は、吸入投与に適している。吸入投与のための薬学的組成物は、代表的に、エアゾールまたは粉末の形態である。そのような組成物は、一般に、吸入器送達デバイス(例えば、定量吸入器(MDI)、乾燥粉末吸入器(DPI)、ネブライザー吸入器、または同様の送達デバイス)を用いて投与される。
特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、乾燥粉末吸入器を用いて吸入によって投与される。そのような乾燥粉末吸入器は、代表的に、上記薬学的組成物を、吸息中に患者の空気の流れ(air−stream)に分散される流動性(free−flowing)粉末として投与する。流動性粉末組成物を達成するために、上記治療剤は、代表的に、適切な賦形剤(例えば、ラクトース、デンプン、マンニトール、デキストロース、ポリ乳酸(PLA)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、またはそれらの組み合わせ)とともに製剤化される。代表的に、上記治療剤は、微粉化され、適切なキャリアと組み合わせられて、吸入に適した組成物を形成する。従って、1つの実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、微粉化された形態である。
乾燥粉末吸入器において使用するための代表的な薬学的組成物は、微粉化された形態での、ラクトースおよび本発明の結晶性シュウ酸塩を含む。そのような乾燥粉末組成物は、例えば、乾式粉砕されたラクトースを上記治療剤と組み合わせ、次に構成要素を乾式ブレンドすることによって作製され得る。上記組成物は次に、代表的に、乾燥粉末ディスペンサー、または乾燥粉末送達デバイスで使用するための吸入カートリッジもしくはカプセルへ充填される。
吸入によって治療剤を投与することに適した乾燥粉末吸入器送達デバイスは、当該分野において記載され、そのようなデバイスの例は、市販されているものである。例えば、代表的な乾燥粉末吸入器送達デバイスまたは製品としては、Aeolizer(Novartis);Airmax(IVAX);ClickHaler(Innovata Biomed);Diskhaler(GlaxoSmithKline);Diskus/Accuhaler(GlaxoSmithKline);Easyhaler(Orion Pharma);Eclipse(Aventis);FlowCaps(Hovione);Handihaler(Boehringer Ingelheim);Pulvinal(Chiesi);Rotahaler(GlaxoSmithKline);SkyeHaler/Certihaler(SkyePharma);Twisthaler(Schering−Plough);Turbuhaler(AstraZeneca);Ultrahaler(Aventis);などが挙げられる。
別の特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、定量吸入器を用いて吸入によって投与される。そのような定量吸入器は、代表的に、圧縮プロペラントガスを用いて、測定量の治療剤を放出する。従って、定量吸入器を用いて投与される薬学的組成物は、代表的に、液化プロペラント中に上記治療剤の溶液または懸濁物を含む。任意の適切な液化プロペラントは、ヒドロフルオロアルカン(HFA)(例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134a)、および1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパン(HFA 227));およびクロロフルオロカーボン(例えば、CClF)を含んで用いられる。特定の実施形態において、上記プロペラントは、ヒドロフルオロアルカンである。いくつかの実施形態において、上記ヒドロフルオロアルカン製剤は、共溶媒(例えば、エタノールまたはペンタン)、および/または界面活性剤(例えば、ソルビタントリオレエート、オレイン酸、レシチン、およびグリセリン)を含む。
定量吸入器において使用するための代表的な薬学的組成物は、約0.01重量%〜約5重量%の本発明の結晶性シュウ酸塩;約0重量%〜約20重量%のエタノール;および約0重量%〜約5重量%の界面活性剤を含み;残りはHFAプロペラントである。そのような組成物は、代表的に、上記治療剤、エタノール(存在する場合)、および上記界面活性剤(存在する場合)を含む適切な容器に、冷却または加圧されたヒドロフルオロアルカンを加えることによって調製される。懸濁物を調製するために、上記治療剤は、微粉化され、次に上記プロペラントと組み合わせられる。上記組成物は次に、定量吸入器デバイスの一部分を代表的に形成するエアゾールキャニスターに充填される。
吸入によって治療剤を投与するのに適した定量吸入器デバイスは、当該分野において記載され、そのようなデバイスの例は、市販されているものである。例えば、代表的な定量吸入器デバイスまたは製品としては、AeroBid Inhaler System(Forest Pharmaceuticals);Atrovent Inhalation Aerosol(Boehringer Ingelheim);Flovent(GlaxoSmithKline);Maxair Inhaler(3M);Proventil Inhaler(Schering);Serevent Inhalation Aerosol(GlaxoSmithKline);などが挙げられる。
別の特定の実施形態において、上記薬学的組成物は、ネブライザー吸入器を用いて、吸入によって投与される。そのようなネブライザーデバイスは、代表的に、上記薬学的組成物をミストとしてスプレーさせ、そのミストを患者の気道に運ぶ高速の空気の流れを生み出す。従って、ネブライザー吸入器において使用するために製剤化される場合、上記治療剤は、適切なキャリアに溶解されて、溶液を形成し得る。あるいは、上記治療剤は、微粉化され、適切なキャリアと組み合わされて、微粉化された粒子の懸濁物を形成し得る。
ネブライザー吸入器において使用するための代表的な薬学的組成物は、微粉化された形態での約0.05μg/mL〜約10mg/mLの本発明の結晶性シュウ酸塩を含む等張水性懸濁物を含む。1つの実施形態において、上記溶液は、約4〜約6のpHを有する。
吸入によって治療剤を投与するのに適したネブライザーデバイスは、当該分野において記載され、そのようなデバイスの例は、市販されているものである。例えば、代表的なネブライザーデバイスまたは製品としては、Respimat Softmist Inhalaler(Boehringer Ingelheim);the AERx Pulmonary Delivery System(Aradigm Corp.);the PARI LC Plus Reusable Nebulizer(Pari GmbH);などが挙げられる。
所望される場合、本発明の結晶性シュウ酸塩は、1つまたはそれより多くの他の治療剤と組み合わせて投与され得る。本発明のこの局面において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、他の治療剤と物理的に混合されて両方の剤を含む組成物を形成するか;または各剤は、同時もしくは逐次のいずれかで、患者に別個に投与されるかのいずれかである。
例えば、本発明の結晶性シュウ酸塩は、従来の手順および装置を用いて第二の治療剤と組み合わせられて、本発明の結晶性シュウ酸塩および上記第二の治療剤を含む組成物を形成し得る。さらに、上記治療剤は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせられて、本発明の結晶性シュウ酸塩、第二の治療剤、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を形成し得る。この実施形態において、上記組成物の構成要素は、代表的に、混合されるか、またはブレンドされて、物理的混合物を作り出す。上記物理的混合物は次に、本明細書中に記載される経路のうちの任意のものを用いて患者に投与される。
あるいは、上記治療剤は、患者への投与前に、別個およびまったく異なったままであり得る。この実施形態において、上記治療剤は、投与前には物理的に一緒に混合されていないが、別個の剤または組成物として、同時投与または逐次投与される。例えば、本発明の結晶性シュウ酸塩は、各治療剤について別個の区画(例えば、ブリスターパック)を用いる吸入送達デバイスを用いて、別の治療剤とともに吸入によって同時投与または逐次投与され得る。あるいは、組み合わせ物は、別個の送達デバイス、すなわち、各治療剤について1つの送達デバイスを用いて投与され得る。さらに、上記治療剤は、異なる投与経路(すなわち、1つは吸入によるものであり、もう1つは、経口投与によるものである)によって送達され得る。
本発明の結晶性シュウ酸塩と適合可能な任意の治療剤は、そのような塩と組み合わせて使用され得る。特定の実施形態において、上記第二の治療剤は、吸入によって有効に投与されるものである。例示として、使用され得る治療剤の代表的なタイプとしては、抗炎症剤(例えば、ステロイド性抗炎症剤(コルチコステロイドおよびグルココルチコイドが挙げられる)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、およびPDEインヒビター);気管支拡張剤(例えば、PDEインヒビター、アデノシン2b調節因子、およびβアドレナリン作動性受容体アゴニスト);抗感染剤(例えば、グラム陽性抗生物質、グラム陰性抗生物質、および抗ウイルス剤);抗ヒスタミン;プロテアーゼインヒビター;求心性遮断剤(例えば、Dアゴニスト、およびノイロイキン調節因子);ならびにムスカリン性受容体アンタゴニスト(抗コリン薬)が挙げられるが、これらに限定されない。そのような治療剤の数多くの例は、当該分野において公知である。これらの他の治療剤についての適切な用量も当該分野において公知であり、代表的に、約0.05μg/日〜約500mg/日の範囲に及ぶ。1つの実施形態において、上記第二の治療剤は、肺の障害を処置するために有用である。
特定の実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、ステロイド性抗炎症剤と組み合わせて投与される。代表的なステロイド性抗炎症剤としては、ジプロピオン酸ベクロメタゾン;ブデソニド;ブチキソコルトプロピオネート;20R−16α,17α−[ブチリデンビス(オキシ)]−6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−17β−(メチルチオ)アンドロスタ−4−エン−3−オン(RPR−106541);シクレソニド;デキサメタゾン;6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸S−フルオロメチルエステル;6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−17α−[(4−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボニル)オキシ]−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸S−フルオロメチルエステル;6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシアンドロスタ−1,4−ジエン−17β−チオカルボン酸(S)−(2−オキソテトラヒドロフラン−3S−イル)エステル;フルニソリド;フロ酸フルチカゾン;プロピオン酸フルチカゾン;メチルプレドニゾロン;フロ酸モメタゾン;プレドニゾロン;プレドニゾン;ロフレポニド;ST−126;トリアムシノロンアセトニド;など、ならびにそれらの薬学的に受容可能な塩および溶媒和物が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなステロイド性抗炎症剤は、市販されているか、または従来の手順および試薬を用いて調製され得る。例えば、ステロイド性抗炎症剤の調製および使用は、2003年3月25日に発行された米国特許第6,537,983号;2004年6月15日に発行された米国特許第6,750,210 B2号;2004年7月6日に発行された米国特許第6,759,398 B2号;2005年2月22日に発行された米国特許第6,858,596 B2号;2006年9月5日に発行された米国特許第7,101,866 B2号;およびそれらにおいて引用された参考文献に記載されている。
上記ステロイド性抗炎症剤は、用いられる場合、代表的に、本発明の結晶性シュウ酸塩と共投与される場合に治療上有益な効果を生み出す量で投与される。代表的に、上記ステロイド性抗炎症剤は、1用量当たり約0.05μg〜約500μgの上記剤を提供するために十分な量で投与される。
代表的な薬学的組成物としては、以下の例が挙げられるが、これらに限定されない:
A. 乾燥粉末組成物
本発明の微粉化された結晶性シュウ酸塩(100mg)は、乾式粉砕されたラクトース(25g)とブレンドされる。このブレンドされた混合物は次に、はがすことができるブリスターパックの個々のブリスターへ、1用量当たり約10μg〜約500μgの本発明の結晶性シュウ酸塩を提供するために十分な量で充填される。ブリスターの中身は、乾燥粉末吸入器を用いて投与される。
B. 乾燥粉末組成物
本発明の微粉化された結晶性シュウ酸塩(1g)は、乾式粉砕されたラクトース(200g)とブレンドされて、1:200の結晶性シュウ酸塩:ラクトースの重量比を有するバルク組成物を形成する。ブレンドされた組成物は、1用量当たり約10μgと約500μgとの間の本発明の結晶性シュウ酸塩を送達することが可能な乾燥粉末吸入デバイスへパックされる。
C. 乾燥粉末組成物
本発明の微粉化された結晶性シュウ酸塩(100mg)および微粉化されステロイド性抗炎症剤(500mg)は、乾式粉砕されたラクトース(30g)とブレンドされる。このブレンドされた混合物は次に、はがすことができるブリスターパックの個々のブリスターへ、1用量当たり約10μg〜約500μgの本発明の結晶性シュウ酸塩を提供するために十分な量で充填される。ブリスターの中身は、乾燥粉末吸入器を用いて投与される。
D. 定量吸入器組成物
本発明の微粉化された結晶性シュウ酸塩(10g)は、脱塩水(200mL)中にレシチン(0.2g)を溶解させることによって調製された溶液中に分散される。得られた懸濁物は、スプレー乾燥され、次に微粉化されて、約1.5μmよりも小さい平均直径を有する粒子を含む微粉化された組成物を形成する。上記微粉化された組成物は次に、定量吸入器によって投与される場合に、1用量当たり約10μg〜約500μgの本発明の結晶性シュウ酸塩を提供するために十分な量で、加圧された1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含む定量吸入器カートリッジに充填される。
有用性
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}−エチル)ピペリジン−4−イルエステルは、βアドレナリン作動性受容体アゴニストおよびムスカリン性受容体アンタゴニストの両方の活性を有し、従って、本化合物のシュウ酸塩は、βアドレナリン作動性受容体またはムスカリン性受容体によって媒介される医学的状態、すなわち、βアドレナリン作動性受容体アゴニストまたはムスカリン性受容体アンタゴニストでの処置によって改善される医学的状態を処置するための治療剤として有用であることが予期される。
そのような医学的状態は、例えば、Eglen et al.,Muscarinic
Receptor Subtypes:Pharmacology and Ther
apuetic Potential,DN&P 10(8),462−469(1997);Emilien et al.,Current Therapeutic Uses and Potential of beta−Adrenoceptor Agonists and Antagonists,European J.Clinical Pharm.,53(6),389−404(1998);およびそこに引用される参考文献の教示によって例示されるように当該分野において公知である。例えば、そのような医学的状態としては、例示として、可逆的な気道閉塞に関連する肺の障害または疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気管支炎、気腫、肺の線維症など)が挙げられる。慢性閉塞性肺疾患、すなわちCOPDは、Barnes,Chronic Obstructive Pulmonary Disease,N.Engl.J.Med.,2000:343:269−78、およびそこに引用される参考文献の教示によって例示されるように、多様な呼吸状態(慢性閉塞性気管支炎および気腫が挙げられる)を含むことが、当該分野において公知である。他の状態としては、早産、うつ病、うっ血性心不全、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性の皮膚疾患)、消化の酸性度を下げることが望ましい状態(例えば、消化性潰瘍化および胃潰瘍化)、および筋肉消耗性疾患(muscle wasting disease)が挙げられる。
1つの局面において、本発明は、治療において使用するための、本発明の結晶性シュウ酸塩を提供する。例えば、本発明の結晶性シュウ酸塩は、肺の障害(例えば、慢性閉塞性肺疾患、または喘息)を処置するために使用され得る。
本発明の結晶性シュウ酸塩は、肺の障害を処置するために使用される場合、処置を必要とする患者に投与される。1つの実施形態において、上記結晶性シュウ酸塩は、吸入によって投与される。本発明の結晶性シュウ酸塩は、1日当たり複数用量(例えば、1日2回または1日3回)、1日当たり1用量(例えば、毎日)、1週間当たり単一用量、または必要とされる通りに投与され得る。一般に、肺の障害を処置するための用量は、約10μg/日〜約1,000μg/日の範囲に及ぶ。
本発明の結晶性シュウ酸塩は、吸入によって哺乳動物に投与される場合、代表的に、気管支拡張をもたらし、従って、本発明の結晶性シュウ酸塩は、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、モルモット、ラットなど)において気管支拡張をもたらすための剤として有用である。この実施形態において、本発明の結晶性シュウ酸塩は、代表的に、気管支拡張をもたらす量で、吸入によって哺乳動物に投与される。一般に、気管支拡張をもたらすための用量は、約0.25μg/kg〜約20μg/kgの範囲に及ぶ。
本発明の結晶性シュウ酸塩は、治療剤として用いられる場合、必要に応じて、1つまたはそれより多くの他の治療剤と組み合わせて投与される。特に、本発明の結晶性シュウ酸塩をステロイド性抗炎症剤とともに投与することによって、三重の肺の治療、すなわち、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト活性、ムスカリン性受容体アンタゴニスト活性、および抗炎症性活性が、たった2つの治療剤を用いて達成され得る。2つの治療剤を含む薬学的組成物(および組み合わせ物)は、代表的に、3つの治療剤を含む組成物と比較して、製剤化することおよび/または投与することがより容易であるので、そのような2つの構成要素の組成物は、3つの治療剤を含む組成物よりも著しい利点を提供する。従って、特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物、組み合わせ物、および方法は、ステロイド性抗炎症剤またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物をさらに含む。
本発明の結晶性シュウ酸塩の特性および有用性は、当業者に公知である種々のインビトロおよびインビボでのアッセイを用いて実証され得る。例えば、代表的なアッセイは、以下の実施例において記載される。
実施例
以下の実施例を本発明の種々の代表的な実施形態および局面を例示するために提供し、具体的に示されない限り、あらゆる様式において本発明の範囲を限定することは意図されない。
以下の実施例において使用される全ての試薬、出発物質、および溶媒を商業的供給業者(例えば、Sigma−Aldrich Chemical Company,St.Louis,MO)から購入し、別段示されない限り、さらなる精製なしで使用した。以下の略語を希釈剤に使用する。:DCM=ジクロロメタン;DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;EtOAc=酢酸エチル;MeOH=メタノール;およびTHF=テトラヒドロフラン。
H NMRスペクトルを、別段示されない限り、400MHz Varian AS400スペクトロメーターにおいて記録した。化学シフトを、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に対して、ppmでのδ値として報告する。結合定数(J値)をヘルツ(Hz)で示し、多重度を以下の略語を用いて報告する:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、br=ブロード、nd=決定されない。
液体クロマトグラフィー質量分光法(LC−MS)条件
Agilent 1100 Liquid Chromatography System−G1312A Binary Pump(Agilent Technologies)、ZORBAX Rapid Resolution 3.5μm Rx、Bonus−RPカラム(3.5μmの粒径;2.1mm×50mm)(Agilent Technologies)、およびAPI 150EX Single Quadrupole LC/MS Mass Spectrometer(Perkin−Elmer Sciex Instruments)を用いて、LC−MSデータを得た。使用した溶媒系は:
溶媒A:98%の水および2%のアセトニトリル(v/v)+1mL/LのTFA
溶媒B:90%のアセトニトリルおよび10%の水(v/v)+1mL/LのTFA
流速:500μL/分
勾配:(方法10−90):3分間にわたって10%のBから90%のB
(方法2−90):3分間にわたって2%のBから90%のB
(方法10−70):3分間にわたって10%のBから70%のB
であった。
HPLC条件
HP 1100 Series HPLC System(Agilent Technologies)、およびZORBAX Rapid Resolution 3.5μm Rx、Bonus−RPカラム(3.5μmの粒径;2.1mm×50mm)(Agilent Technologies)、またはAscentis Express
C18 HPLCカラム(2.7μmの粒径、3.0mm×3cm)を用いて、HPLCを行った。使用した溶媒系は:
溶媒A:98%の水および2%のアセトニトリル(v/v)+1mL/LのTFA
溶媒B:90%アセトニトリルおよび10%の水(v/v)+1mL/LのTFA
流速:500μL/分
勾配:(方法10−50):6分間にわたって10%のBから50%のB
(方法10−70):6分間にわたって10%のBから70%のB
(方法2−90):6分間にわたって2%のBから90%のB
であった。
実施例1
3−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]プロピオン酸の調製
DCM(500mL)中、ビフェニル−2−イルカルバミン酸ピペリジン−4−イルエステル(50.0g、168.7mmol)(例えば、2006年2月16日に公開された米国特許公開第2006/0035931 A1号を参照のこと)およびアクリル酸(15.1mL、219.3mmol)の撹拌溶液を50℃で一晩加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をMeOH(600mL)中に溶解させた。得られた溶液を75℃で2時間加熱し、その後、室温で約48時間静置させた。得られた固体を濾過によって収集し、MeOHで洗浄し、乾燥させて表題化合物(61.5g、99%の収率)を得た。
実施例2
メチル5−メチルアミノペンタノエート塩酸塩の調製
水酸化ナトリウム水溶液(4M、11.0mL、44.0mmol)中の1−メチル−2−ピペリジノン(4.40mL、40.0mmol)の撹拌溶液を100℃で15時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、その後、濃塩酸でpH2に酸性化した。上記混合物を次に、減圧下で濃縮して、桃色がかった白色固体として粗製5−メチルアミノペンタン酸を得た。粗製5−メチルアミノペンタン酸にMeOH(40.0mL、987mmol)および濃塩酸(0.33mL、4.0mmol)を加えた。得られた濁った溶液を60℃で39時間加熱し、その時点でLC−MSは、残りの出発物質を示した。さらなる濃塩酸(0.33mL、4.0mmol)を加え、得られた混合物を60℃で33時間加熱し、その後、65℃でさらに24時間加熱した。LC−MSは、残りの出発物質を示した。反応混合物を減圧下で濃縮し、MeOH中の塩化水素の溶液(1.25M)を残留物に加えた。得られた混合物を60℃で72時間加熱し、その時点で残りの出発物質は、LC−MSによって観測されなかった。反応混合物を減圧下で部分的に濃縮し、形成された固体物質を濾過によって除去し、MeOHで洗浄した。濾液を次に、減圧下で濃縮して、メチル5−メチルアミノペンタノエート塩酸塩(7.57g、100%の収率)を薄黄色固体として提供した。
LC−MS(方法2−90):保持時間1.10分; m/z 146.4 [M + H]H NMR(CDOD) δ 4.86(s), 3.66(s), 3.30(t), 3.00(t), 2.69(s), 2.41(t), 1.71(m)。
実施例3
5−({3−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]プロピオニル}メチルアミノ)ペンタン酸メチルエステルの調製
DCM(160mL)中、メチル5−メチルアミノペンタノエート塩酸塩(7.27g、40.0mmol)、3−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]プロピオン酸(13.3g、36.0mmol)および1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(5.14g、37.8mmol)と、2,6−ルチジン(12.5mL、108mmol)との混合物を室温で3時間撹拌した。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(10.4g、54.0mmol)を加え、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(約100mL)を加え、層を分離した。水層をDCM(50mL)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30%〜100%のEtOAc;次にDCM中2%〜10%のMeOH)によって精製して、表題化合物(12.38g、69%の収率)を薄黄色の粘稠な油状物/白色固体として得た。
LC−MS(方法2−90):保持時間2.43分; m/z 496.6 [M + H]H NMR(CDCl) δ 8.10(d, 1H), 7.40(m, 6H), 7.20(m, 2H), 6.58(s, 1H), 4.74(m, 1H), 3.66(d, 3H), 3.37(t, 1H), 3.29(m,
1H), 2.97(s, 2H), 2.91(s, 1H), 2.70(m, 4H), 2.49(m, 2H), 2.34(m, 4H), 1.92(m, 2H), 1.60(m, 5H)。
実施例4
5−({3−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]プロピオニル}メチルアミノ)ペンタン酸の調製
5−({3−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイルオキシ)ピペリジン−1−イル]プロピオニル}−メチルアミノ)ペンタン酸メチルエステル(10.21g、20.60mmol)、tert−ブチルアルコール(20mL)、および水(20mL)の混合物に、LiOH:水が1:1の混合物(1.97g、41.2mmol)を加えた。得られた混合物を室温で4時間撹拌し、次に上記混合物のpHを、塩酸水溶液(1N)を用いて約pH2に調整した。水層をDCM(2×約80mL)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(12.23g、定量的)をオフホワイトの泡状固体(残留tert−ブチルアルコールを含む)として得た。
LC−MS(方法2〜90):保持時間2.32分; m/z 482.4 [M + H]
実施例5
2−(4−ニトロフェニル)−1,3−ジオキソランの調製
トルエン(800mL)中、p−ニトロベンズアルデヒド(101.5g、672mmol)、エチレングリコール(112mL)およびp−トルエンスルホン酸(12.8g、67.2mmol)の撹拌溶液を、Dean−Starkトラップを備えたフラスコにおいて、120℃で4時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃縮した。残留物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(800mL)を加え、この混合物を室温で15分間撹拌した。得られた固体を濾過によって単離し、減圧下で乾燥させて表題化合物(121.8g、92%の収率)を黄色固体として得た。
H NMR(DMSO−d): δ=8.12(d, 2H), 7.59(d, 2H), 5.78(s, 1H), 3.8−4.0(m, 4H)。
実施例6
4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニルアミンの調製
乾燥窒素下で、二酸化白金(227mg、1.00mmol)と炭酸水素ナトリウム(420mg、5.00mmol)との混合物に、EtOH(30.0mL)中の2−(4−ニトロフェニル)−1,3−ジオキソラン(976mg、5.00mmol)の溶液を加えた。反応混合物を水素で15分間バブリングし、次に水素雰囲気(バルーン)下で2時間撹拌した。反応混合物を次に、MeOHで洗浄しながらCeliteのパッドを通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物(0.80g、96%の収率)を得た。
実施例7
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの調製
DCM(48.4mL)中、5−({3−[4−(ビフェニル−2−イルカルバモイル
オキシ)ピペリジン−1−イル]−プロピオニル}メチルアミノ)ペンタン酸(2.33g、4.84mmol)、4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニルアミン(800mg、5mmol)、およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.26mL、7.26mmol)の撹拌溶液に、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(692mg、5.08mmol)、およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.39g、7.26mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を次に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(3.04g、100%の収率)を黄色固体として得た。
LC−MS(方法10〜70):保持時間2.67分; m/z 629.6 [M +
H]
実施例8
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−ホルミルフェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの調製
塩酸水溶液(1M、10mL)およびアセトニトリル(10mL)中のビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−(1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(3.04g、4.84mmol)の撹拌混合物を50℃で2時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液およびDCMを残留物に加えた。層を分離し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、表題化合物(2.83g、100%の収率)を得た。
LC−MS(方法10〜70):保持時間2.67分; m/z 585.4 [M +
H]
実施例9
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−(tert−ブチルジメチル−シラニルオキシ)−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの調製
MeOH:DCMが1:1の混合物(40.0mL、312mmol)中、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−ホルミル−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(2.83g、4.84mmol)、および5−[(R)−2−アミノ−1−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)エチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン酢酸塩(1.91g、4.84mmol)の撹拌溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.08g、14.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次に層を分離した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して黄色固体を得た。上記固体をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(DCM中0%〜30%のMeOH+0.5%のNHOH)によって精製して、表題化合物(3.60g、82%の収率)を黄色固体として得た。
LC−MS(方法10〜70):保持時間2.72分; m/z 903.8 [M +
H]
実施例10
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルジトリフルオロ酢酸塩の調製
DCM:DMFが9:1の混合物(32.9mL)中、ビフェニル−2−イルカルバミ
ン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(3.60g、3.98mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(1.95mL、12.0mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、次に減圧下で濃縮した。残留物をHPLC(方法10〜70)によって精製して、表題化合物(1.90g、46%の収率)を白色固体として得た。
LC−MS(方法10〜70):保持時間2.12時間; m/z 789.6 [M + H]
実施例11
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル二フッ化水素酸塩の調製
DCM(20mL)とDMF(2.5mL)との混合物中、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(3.87g、4.28mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(2.1mL、13mmol)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。DCM(68mL)を反応混合物に加え、次に、撹拌しながら、EtOAc(68mL)を滴下して加えた。薄い色の沈殿物が形成され、スラリーをもたらした。スラリー混合物を中程度の多孔度のフリット付き(fritted)ガラスフィルターを通して濾過し、濾過ケークをEtOAc(2×10mL)ですすぎ、次に、窒素プレスでプレス乾燥(press dry on a nitrogen press)させて、表題化合物(3.73g、99%の収率)を得た。
実施例12
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの調製
MeOH中10%の0.5Mの水酸化アンモニウムを含むDCM溶液(150mLの合計溶液)中のビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル二フッ化水素酸塩(15.2g、16.7mmol)の溶液を、MeOH中10%の0.5Mの水酸化アンモニウムを含むDCM溶液(200mL)で前もって濡らされた粗いフリット付きガラス漏斗中のシリカゲル(80g)上に充填した。上記シリカゲルを、MeOH中20%の0.5Mの水酸化アンモニウムを含むDCM溶液(1×1000mL)ですすぎ;次にMeOH中25%の0.5Mの水酸化アンモニウムを含むDCM溶液(1×1000mL)ですすいだ。濾液を減圧下で濃縮して黄色のガラス状固体(13.6g)を得た。この物質をDCM(600mL)中に溶解させ、得られた溶液をフリット付きガラスフィルターを通して濾過し、フィルターをDCM(3×150mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、油浴を用いて残留物を50℃に温め、高い減圧下に一晩保持して表題化合物(12.7g)(約6重量%のDCMを含んだ)を提供した。
実施例13
結晶性ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩水和物(Form 2)の調製
THF(5mL、60mmol)中のビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(0.50g、0.63mmol)の撹拌溶液に、MeOH(2mL、50mmol)中のシュウ酸二水和物(80mg、0.63mmol)の溶液を滴下して加えた。オフホワイトの沈殿物は、すぐに、および5分の期間にわたって形成され、固体が凝集して粘着性のボールを形成した。反応混合物を次に、60℃で2時間加熱し、その時点において、上記混合物は、非常に細かい粒子のオフホワイトの粘稠なスラリーを形成していた。この混合物をゆっくりと室温に冷却し、次に約72時間撹拌した。混合物を濾過する試みがなされたが、沈殿物のほとんどはフィルターを通り抜けた。濾液を次に、減圧下で濃縮して残留物を形成した。
約1/4の残留物を除去し、MeOH中10%(v/v)の水の、熱い溶液中に溶解させた。この溶液を室温に冷却したが、沈殿物は形成されなかった。上記溶液を次に静置させ、4日の期間にわたってゆっくりと室温で蒸発させ、そのことにより、ある複屈折を示す粒子を生じた。時折、音波処理をしながら、撹拌を5日の期間にわたって続けて、より良好な複屈折を示す物質の白色スラリーを形成した。この物質を濾過によって収集し、高い減圧下で室温にて2時間乾燥させて、表題化合物を得た。PXRDパターンは、この物質が結晶性または半結晶性であることを示した。
実施例14
結晶性ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩水和物(Form 2)の調製
MeOH(12.4mL)中、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(0.65g、0.824mmol)の撹拌溶液に、水(0.6mL)中のシュウ酸二水和物(104mg、0.824mmol)の溶液を滴下して加えた。わずかに粘着性の沈殿物がすぐに形成され、実施例13からの種晶を加えた。得られたスラリーを室温で約72時間撹拌し、次に5分間音波処理した。上記スラリーを次に、30℃で一晩撹拌した。上記スラリーを次に、0℃に冷却し、30分間撹拌し、濾過して沈殿物を収集した。濾過ケークを1時間空気乾燥させ、次に、高い減圧下で室温にて2時間乾燥させて、表題化合物(705mg、96%の収率、>99%の純度)を得た。
実施例15
高い相対湿度へのForm 2の曝露
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}−エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩水和物(約100mg;実施例14から)を、ペトリ皿に置かれたフィルターペーパー上に広げた。上記ペトリ皿を、デシケーター内の、飽和塩化カリウム水溶液(100mL)より上の有孔プレートの上に置き、デシケーターをしっかりと密閉した。チャンバー内の相対湿度は、湿度計によって測定する場合に約84%RHのままであった。3日後、固体をデシケーターから取り出した。この物質につい
てのPXRD、DSC、TGA、DMSのプロットを、それぞれ図4、5、6、および7に示す。
実施例16
結晶性ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩水和物(Form 2)の調製
MeOH(19mL)中、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(1.0g、1.27mmol)の撹拌溶液に、水(1.0mL)中のシュウ酸二水和物(160mg、1.269mmol)の溶液を滴下して加えた。粘着性の黄色がかった沈殿物がすぐに形成された。反応混合物を40℃で一晩加熱し、次に5分間音波処理した。反応混合物を次に、40℃で18時間加熱し、0℃に冷却し、沈殿物を濾過によって収集した。沈殿物を乾燥させて表題化合物(1.05g、93%の収率、>99%の純度)を得た。
実施例17
高い相対湿度へのForm 2の曝露
塩化カリウムの過飽和水溶液をデシケーターの底部で調製した(固体のKClは、長くはげしい撹拌後に残った)。秤量紙において、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩水和物(500mg、0.569mmol;実施例16から)を広げ、上記秤量紙を、デシケーター内の、KCl溶液の上にある有孔プラスチックプレート上に置き、デシケーターを閉めた。KCl溶液の平衡蒸気圧に起因して、デシケーター内の相対湿度を84%RHに維持した。3日後、5日後、および10日後にシュウ酸塩の一部におけるPXRDパターンを得た。PXRDパターンは、5日に至るまでシュウ酸塩の結晶性が向上することを示した。結晶性における変化は、5日間と10日間との間でわずかだった。
実施例18
結晶性ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩水和物(Form 2)の調製
MeOH(400mL)中、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−キノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステル(11.0g、13.9mmol)の撹拌溶液に、水(22mL)中のシュウ酸二水和物(1.758g、13.9mmol)の溶液を滴下して加えた。粘着性の沈殿物がすぐに形成された。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に5分間音波処理した。反応混合物を次に、室温で48時間撹拌し、次に40℃で8時間加熱した。反応混合物をゆっくり周囲温度に冷却し、次に30℃で約72時間加熱した。沈殿物を濾過によって収集し、MeOH(1×50mL)で洗浄し、高い減圧下で一晩乾燥させて表題化合物(11.6g、94%の収率、>99%の純度)を得た。
実施例19
結晶性ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩イソプロパノール溶媒和物(Form 1)の調製
結晶性ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]−メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルシュウ酸塩水和物(約40mg)を、イソプロパノール中5%(v/v)の水の溶液(4mL)中に懸濁し、得られたスラリーを200rpmで室温にて撹拌した。3日後、上記スラリーを吸引濾過によって濾過し、固体を空気中で乾燥させて表題化合物(36mg)を得た。
この物質についてのPXRD、DSC、およびTGAスペクトルを、それぞれ図1、2、および3に示す。
実施例20
粉末X線回折
Rigaku MiniFlex X線回折計を用いて、粉末X線回折分析を実施した。X線源は、20kVの出力電圧および15mAの電流を有するCu−Kα放射線(λ=1.54051 Å)であった。サンプルにおける強度を最大にするように設定された入射スリット、発散スリット、および散乱スリットを有するBragg−Brentano幾何学配置において、機器を作動した。測定について、少量の粉末(5mg〜25mg)を単結晶シリコンサンプルホルダー上で穏やかにプレスして、滑らかな表面を形成し、X線曝露に供した。上記サンプルを2θ−2θモードで、1分間当たり0.03°のステップサイズおよび2.0°の走査スピードで、2θにおいて2°〜40°で走査した。データ収集をRigaku Standard測定ソフトウェア(Version 1.2.0.0)によって制御し、Jadeソフトウェア(version 7.5.1)によって分析した。
Form 1およびForm 2についての代表的な生の未処理PXRDパターンを、それぞれ図1および図4に示す。Form 1およびForm 2について、観測されたPXRD 2−θピーク位置およびd−間隔を、それぞれ表1および2に示す(約20%以上の相対ピーク高(H%)を有するピークのみを列挙する)。
Figure 2015155470
Figure 2015155470
実施例21
示差走査熱分析
Thermal Analystコントローラーを備えたTA Instruments Model Q−100モジュールを用いて、示差走査熱分析(DSC)を実施した。データを収集し、TA Instruments Thermal Solutionsソフトウェアを用いて分析した。約2mgのサンプルを正確に計量し、ふた付きのアルミニウムパンに入れた。周囲温度から約300℃まで10℃/分の線形加熱傾斜(linear heating ramp)を用いて、上記サンプルを評価した。使用中、DSCセルを乾燥窒素でパージした。Form 1およびForm 2についての代表的なDSCトレースを、それぞれ図2および図5に示す。
上記DSCトレースにより、Form 1およびForm 2が約162℃〜164℃の範囲での融点を有して、優れた熱安定性を有することが実証される。
実施例22
熱重量分析
高分解能を備えたTA Instruments Model Q−500モジュールを用いて熱重量分析(TGA)を実施した。データを収集し、TA Instruments Thermal Solutionsソフトウェアを用いて分析した。約10mgの重さのサンプルを白金パンの上に置き、周囲温度から300℃まで高分解な加熱速度で
走査した。使用中、てんびんチャンバーおよび炉チャンバーを窒素流でパージした。Form 1およびForm 2についての代表的なTGAトレースを、それぞれ図3および図6に示す。
実施例23
動的水分収着判定
Form 2のサンプルについて、動的水分収着(DMS)判定(水分収着−脱着プロフィールとしても公知である)を、VTI大気下微量てんびん(atmospheric
microbalance)、SGA−100システム(VTI Corp.,Hialeah,FL 33016)を用いて実施した。約10mgのサンプルサイズを使用し、分析の開始時に湿度を周囲の値に設定した。代表的なDMS分析は、3つの走査からなった:5%相対湿度(RH)/ステップの走査速度で、周囲から5%RH、5%RHから90%RH、90%RHから5%RH。質量を、2分毎に測定し、サンプルの質量が5つの連続した点について0.01%以内に安定している場合、RHを次の値(+/−5%RH)に変更した。Form 2についての代表的なDMSトレースを図7に示す。
図7のDMSトレースにより、Form 2が5%RH〜90%RHの湿度範囲において約1.6重量%というほんのわずかな重量増を有したことが実証される。可逆的水分収着/脱着プロフィールにより、Form 2が受容可能な吸湿性を有し、潮解性でないことが実証される。上記塩のPXRDプロフィールは、DMSの実験前および実験後で同様であり、このことは、水分収着および水分脱着のプロセスの間に物理的形態の変化が起こらなかったことを示唆した。
生物学的アッセイおよび調製
実施例A
ヒトM、M、M、およびMムスカリン性受容体を発現する細胞からの細胞培養および膜調製
それぞれクローン化ヒトhM、hM、hM、およびhMムスカリン性受容体サブタイプを安定に発現するCHO細胞系を、10%のFBSおよび250μg/mLのGeneticinを補ったHams F−12培地において、コンフルエントに近い状態(near confluency)まで増殖させた。上記細胞を、5%のCO、37℃のインキュベーターにおいて増殖させ、dPBS中2mMのEDTAで取り上げた(lifted)。細胞を650×gでの5分間の遠心分離によって収集し、細胞ペレットを−80℃で冷凍保存するか、または膜を、使用のためにすぐに調製した。
膜調製物について、細胞ペレットを溶解バッファーに再懸濁し、Polytron PT−2100組織破壊機(disrupter)(Kinematica AG;20秒×2バースト(burst))で均質化した。粗製膜を、4℃にて40,000×gで15分間遠心分離した。膜ペレットを次に、再懸濁バッファーで再懸濁し、Polytron組織破壊機で再度均質化した。
膜懸濁物のタンパク質濃度を、Lowryら、1951,Journal of Biochemistry,193,265に記載される方法によって決定した。全ての膜を、アリコートで−80℃にて凍結保存するか、またはすぐに使用した。
調製されたhM受容体膜のアリコートをPerkinElmer,Inc.(Wellesley,MA)から購入し、使用まで−80℃で保存した。
実施例B
ムスカリン性受容体についての放射リガンド結合アッセイ
クローン化ムスカリン性受容体についての放射リガンド結合アッセイを、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、100μLの合計アッセイ体積で実施した。hM、hM、hM、hM、またはhMムスカリン性サブタイプのいずれかを安定に発現するCHO細胞膜を、以下の特定の標的タンパク質濃度(μg/ウェル)(hMについては10μg、hMについては10μg〜15μg、hMについては10μg〜20μg、hMについては10μg〜20μg、およびhMについては10μg〜12μg)に、アッセイバッファー中に希釈して同様のシグナル(cpm)を得た。アッセイプレートの添加前に、Polytron組織破壊機を用いて上記膜を短時間均質化した(10秒間)。
L−[N−メチル−H]スコポラミンメチルクロリド([H]−NMS)(TRK666,84.0Ci/mmol,Amersham Pharmacia Biotech,Buckinghamshire,England)を0.001nM〜20nMの範囲に及ぶ濃度で用いて、放射リガンドのK値を決定するための飽和結合研究を実施した。
試験化合物のK値の決定のための置換アッセイを、1nMでの[H]−NMSおよび11個の異なる試験化合物の濃度を用いて実施した。上記試験化合物を最初に、希釈バッファー中400μMの濃度へ溶解させて、次に希釈バッファーを用いて10pM〜100μMの範囲に及ぶ最終濃度まで5倍連続希釈にした。添加の順序およびアッセイプレートに添加された体積は、以下の通りであった:25μLの放射リガンド、25μLの希釈した試験化合物、および50μLの膜。アッセイプレートを37℃で6時間インキュベートした。結合反応を、1%のBSAにおいて前もって処理されたGF/Bガラス繊維フィルタープレート(PerkinElmer,Inc.)を通して急速濾過によって終結させた。フィルタープレートを洗浄バッファー(10mMのHEPES)で3回すすいで、未結合の放射能を除去した。上記プレートを次に、空気乾燥させ、50μLのMicroscint−20液体シンチレーション流体(PerkinElmer,Inc.)を各ウェルに加えた。上記プレートを次に、PerkinElmer Topcount液体シンチレーションカウンター(PerkinElmer,Inc.)においてカウントした。
結合データを、1部位競合モデルを用い、GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いて非線形回帰分析によって分析した。試験化合物についてのK値を、Cheng−Prusoff式(Cheng Y;Prusoff WH.(1973)Biochemical Pharmacology,22(23):3099−108)を用いて、放射リガンドの、観測されたIC50値およびK値から計算した。K値をpK値に変換して、相乗平均および95%信頼区間を決定した。これらの概要的な統計を次に、データ報告のためにK値に変換し直した。
このアッセイにおいて、より低いK値は、受容体について試験化合物がより高い結合親和性を有することを意味する。このアッセイにおいて、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルジトリフルオロ酢酸塩は、0.1nM(データを最も近い0.1nMに丸めた)のhMにおいてK値を有した。
実施例C
ヒトβ、β、またはβアドレナリン作動性受容体を発現する細胞からの細胞培養
および膜調製
クローン化ヒトβおよびβアドレナリン作動性受容体を安定に発現するヒト胚性腎(HEK−293)細胞系またはクローン化ヒトβアドレナリン作動性受容体を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系を、500μg/mLのGeneticinの存在下で、10%のFBSを補った、DMEMまたはHams F−12培地において、コンフルエントに近い状態まで増殖させた。細胞単層をPBS中2mMのEDTAで取り上げた。細胞を1,000rpmでの遠心分離によってペレットにし、細胞ペレットを−80℃で冷凍保存するか、または膜を、使用のためにすぐに調製した。
βおよびβ受容体を発現する膜の調製について、細胞ペレットを溶解バッファー(4℃にて、10mMのHEPES/HCl、10mMのEDTA、pH7.4)に再懸濁し、氷上で、ぴったり合う(tight−fitting)Dounce型ガラスホモジェナイザー(30ストローク)を用いて均質化した。
よりプロテアーゼ感受性のβ受容体を発現する膜について、50mLのバッファー当たり「2mMのEDTAを有するComplete Protease Inhibitor Cocktail Tablet」(Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)(1錠)を補った溶解バッファー(10mMのTris/HCl、pH7.4)において、細胞ペレットを均質化した。ホモジェネートを20,000×gで遠心分離し、得られたペレットを、本明細書中に記載される通りに再懸濁および遠心分離することによって、溶解バッファーで1回洗浄した。最終ペレットを次に、氷冷結合アッセイバッファー(75mMのTris/HCl pH7.4、12.5mMのMgCl、1mMのEDTA)中に再懸濁した。
膜懸濁物のタンパク質濃度を、Lowry et al.,1951,Journal
of Biological Chemistry,193,265;およびBradford,Analytical Biochemistry,1976,72,248−54に記載される方法によって決定した。全ての膜をアリコートで−80℃にて凍結保存するか、またはすぐに使用した。
実施例D
アドレナリン作動性受容体アゴニストの効力を決定するためのアッセイ
製造者の指示に従って、[125I]−cAMP(NEN SMP004,PerkinElmer Life Sciences Inc.,Boston,MA)を用い、Flashplate Adenylyl Cyclase Activation Assay Systemを用いて、放射線免疫アッセイフォーマットでcAMPアッセイを実施した。このアッセイについて、クローン化ヒトβまたはβ受容体を安定に発現するHEK−293細胞系を、10%のFBSおよびGeneticin(500μg/mL)を補ったDMEMにおいて、コンフルエントに近い状態まで増殖させるか;またはクローン化ヒトβアドレナリン作動性受容体を安定に発現するCHO−K1細胞系を、10%のFBSおよびGeneticin(250μg/mL)を補ったHams F−12培地において、コンフルエントに近い状態まで増殖させた。細胞をPBSですすぎ、2mMのEDTAまたはTrypsin−EDTA溶液(0.05%のトリプシン/0.53mMのEDTA)を含むdPBS(CaClおよびMgClなしのDulbecco’s Phosphate Buffered Saline)中で取り外した。Coulter細胞カウンターにおいて細胞をカウントした後、細胞を1,000rpmでの遠心分離によってペレットにし、前もって室温に温められたIBMXを含む刺激バッファー(PerkinElmer Kit)中に再懸濁して1.6×10細胞/mL〜2.8×10細胞/mLの濃度にした。1ウェル当たり、約40,000細胞〜約80,000細胞をこのアッセイに使用した。試験化合物(DMSO中10mM)を、Beck
man Biomek−2000において、0.1%のBSAを含むPBSに希釈し、100μM〜1pMの範囲に及ぶ11個の異なる濃度において試験した。反応物を、37℃で10分間インキュベートし、[125I]−cAMP(NEN SMP004,PerkinElmer Life Sciences,Boston,MA)を含む冷検出バッファー(100μL)を加えることによって止めた。生成されたcAMPの量(pmol/ウェル)を、製造者の使用者マニュアルに記載される通りに、サンプルについて観測されたカウントおよびcAMP標準に基づいて計算した。
シグモイド式(sigmoidal equation)を用い、GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.,San Diego,CA)を用いて、非線形回帰分析によってデータを分析した。Cheng−Prusoff式(Cheng Y,and Prusoff WH.,Biochemical Pharmacology,1973,22,23,3099−108)を使用してEC50値を計算した。
このアッセイにおいて、より低いEC50値は、試験した受容体において試験化合物がより高い機能的活性を有することを意味する。このアッセイにおいて、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−メチル}フェニルカルバモイル)−ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルジトリフルオロ酢酸塩は、1nM(データを最も近い1nMに丸めた)のhβにおいてEC50値を有した。
実施例E
アイントホーフェンアッセイ
このアッセイは、ラットにおいて、メタコリン(MCh)により誘導された気管支収縮に対して気管支保護を提供する試験化合物の能力を測定する。
200gと350gとの間の体重のオスのSprague−Dawleyラット(Harlan,Indianapolis,IN)を、全ての研究に使用した。
試験化合物またはビヒクル(滅菌脱イオン水)を、5mLの投薬溶液を用いて、パイ型(pie shaped)吸入チャンバー(R+S Molds,San Carlos,CA)において、吸入(IH)によって10分の期間にわたって投薬した。ラットを、22psiの圧力下でBioblend(5%のCO2/95%の大気)によって駆動されたLC Star Nebulizer Set Model 22F51(PARI
Respiratory Equipment,Inc.Midlothian,VA)から生じたエアゾールに曝した。別段示されない限り、100μgの試験化合物をラットに投薬した。
所定の時点において、120mg/kgのイナクチン(チオブタバルビタール)の腹腔内(IP)注射でラットに麻酔をかけた。動物が身体的刺激(例えば、趾をつまむ(toe pinch))に反応する場合、補充用量(40mg/kg、IP)を投与した。手術部位を剃り、首の腹面側の、1cm〜2cmの正中切開を行った。頸静脈を分離し、食塩水が充填されたポリエチレンカテーテル(PE−50)を挿入して(cannulated)MChのIV注入を可能にした。気管を切開して自由にし(dissected free)、14G針(#NE−014,Small Parts,Miami Lakes,FL)を挿入した。気管のカニューレの配置後、1mL/100gの体重の一回拍出量(しかし、2.5mLの体積を超えない)、および1分間に90回の脈拍の速度に設定したレスピレータ(Model 683,Harvard Apparatus,In
c.,MA)を用いて各ラットに換気を行わせた。T−コネクターを、レスピレータ呼気チューブに沿って置いて、Biopac(TSD 137C)前置増幅器に接続されたBiopac変換器を用いて換気圧(VP)の変化の測定を可能にした。体温を、加熱パッドを用いて37℃に維持した。
Acknowledge Data Collection Software(Santa Barbara,CA)を用いて、VPの変化を記録した。ベースラインの値を少なくとも2.5分間収集した。次にラットを40μg/kgおよび80μg/kgのMChの非累積静脈内(IV)注入により調べた。MChを、シリンジポンプ(sp210iw,World Precision Instruments,Inc.,Sarasota,FL)から2mL/kg/分の速度で、2用量のMChの間で2分の間隔をあけて、2.5分間静脈内に注入した。対照動物と比較して、処置動物における通気圧(cm HO)の変化をMCh応答の阻害%として表した。
このアッセイにおいて、他の気管支収縮剤(例えば、ヒスタミンおよびアセチルコリン)を、MChの代わりに使用し得る。さらに、ラットの代わりにモルモットを使用し得る。
このアッセイにおいて、MCh応答のより高い阻害%は、試験化合物がより大きな気管支保護効果を提供したことを示す。24時間において、30%よりも大きい阻害または30%と等しい阻害は、作用の長い持続を示すものである。このアッセイにおいて、ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]−メチル}フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルジトリフルオロ酢酸塩は、24時間において少なくとも約40%の阻害を提供した。
本発明の1つの好ましい実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
ビフェニル−2−イルカルバミン酸1−(2−{[4−(4−{[(R)−2−ヒドロキシ−2−(8−ヒドロキシ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−5−イル)エチルアミノ]メチル}−フェニルカルバモイル)ブチル]メチルカルバモイル}エチル)ピペリジン−4−イルエステルの結晶性シュウ酸塩であって;該結晶性シュウ酸塩は:
(a)11.66±0.20、15.75±0.20、19.55±0.20、23.00±0.20、および23.45±0.20の2θ値における回折ピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられるイソプロパノール溶媒和物;ならびに
(b)15.32±0.20、16.90±0.20、19.25±0.20、および23.73±0.20の2θ値における回折ピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる水和物
から選択される、結晶性シュウ酸塩。
(項目2)
前記結晶性シュウ酸塩は、11.66±0.20、15.75±0.20、19.55±0.20、23.00±0.20、および23.45±0.20の2θ値における回折ピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられるイソプロパノール溶媒和物である、項目1に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目3)
前記結晶性シュウ酸塩は、ピーク位置が図1に示されるパターンのピーク位置に実質的に一致する粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、項目2に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目4)
前記結晶性シュウ酸塩は、約162℃〜約164℃の範囲に及ぶ融点によって特徴付けられる、項目2に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目5)
前記結晶性シュウ酸塩は、図2に示されるものに実質的に一致する示差走査熱分析トレースによって特徴付けられる、項目2に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目6)
前記結晶性シュウ酸塩は、15.32±0.20、16.90±0.20、19.25±0.20、および23.73±0.20の2θ値における回折ピークを含む粉末X線回折パターンによって特徴付けられる水和物である、項目1に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目7)
前記結晶性シュウ酸塩は、ピーク位置が図3に示されるパターンのピーク位置に実質的に一致する粉末X線回折パターンによって特徴付けられる、項目6に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目8)
前記結晶性シュウ酸塩は、約162℃〜約164℃の範囲に及ぶ融点によって特徴付けられる、項目6に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目9)
前記結晶性シュウ酸塩は、図4に示されるものに実質的に一致する示差走査熱分析トレースによって特徴付けられる、項目6に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目10)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は:
(a)項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩;および
(b)薬学的に受容可能なキャリア
を含む、薬学的組成物。
(項目11)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は:
(a)項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩;
(b)ステロイド性抗炎症剤、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物;および
(b)薬学的に受容可能なキャリア
を含む、薬学的組成物。
(項目12)
肺の障害を処置する方法であって、該方法は、項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩を患者に投与する工程を含む、方法。
(項目13)
肺の障害を処置する方法であって、該方法は、(a)項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩;および(b)ステロイド性抗炎症剤、またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を患者に投与する工程を含む、方法。
(項目14)
前記肺の障害は、慢性閉塞性肺疾患または喘息である、項目12または13に記載の方法。
(項目15)
哺乳動物において気管支拡張をもたらす方法であって、該方法は、項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩を吸入によって該哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
(項目16)
治療において使用するための、項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目17)
肺の障害の処置において使用するための、項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目18)
慢性閉塞性肺疾患または喘息の処置において使用するための、項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩。
(項目19)
医薬の製造のための、項目1〜9のうちのいずれか1項に記載の結晶性シュウ酸塩の使用。

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