JP2015149396A - 強誘電体膜の成膜方法、電子素子、及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な結晶配向性を有する厚膜の強誘電体膜の成膜方法等を提供する。【解決手段】化学溶液堆積法を用いた、配向制御層の上に形成される強誘電体膜の成膜方法であって、アモルファス膜を成膜する第1工程を所定回数実施した後に、前記アモルファス膜を結晶化する第2工程を1回実施して酸化物結晶層を成膜する工程と、前記酸化物結晶層の成膜工程を複数回数繰り返して複数の前記酸化物結晶層が積層した強誘電体膜を前記配向制御層の上に形成する工程と、を有し前記積層された複数の酸化物結晶層の上層になるにしたがって、厚みを薄くすることを特徴とする強誘電体膜の成膜方法。【選択図】図4

Description

本発明は、強誘電体膜の成膜方法、強誘電体膜を備えた電子素子、及び電子素子を備えた電子機器に関する。
インクを吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子で変形させることで圧力発生室内のインクを加圧してノズル開口からインクを吐出させるインクジェット記録ヘッドが知られている。圧電素子(圧電アクチエータ)として、軸方向に伸長収縮するものとたわみ力を利用したものがあり、たわみ力を利用した圧電素子中の圧電体膜にはチタンジルコン酸鉛(PZT)等の酸化物結晶膜からなる強誘電体膜が用いられている圧電アクチュエーターが既に知られている。
このように圧電アクチュエーターとして強誘電体膜を活用する場合、強誘電体膜を形成する酸化物結晶の(100)面が優先的に結晶配向されていると、その強誘電体膜は、最も大きなe31圧電定数を保有するようになるため、下部電極上に(100)優先配向した酸化物結晶の強誘電体膜を成膜するのが好ましい。
強誘電体膜は、下部電極が成膜されたシリコンウエハ基板上にゾルゲル法等のCSD法によりアモルファス層を積層することにより成膜される。
ここで、シリコンウエハ基板上に形成される下部電極の材料として、後のCSD法の中で晒される高温環境下での安定性や電極に要求される良好な導電性を考慮して、白金やイリジウム等の貴金属あるいは貴金属酸化物、特に白金が採用されることが通例である。
下部電極に採用される白金膜は、通常(111)面に優先配向した多結晶膜であるため、その上に成長させた酸化物結晶からなる強誘電体膜は全く優先配向のない膜か成膜プロセスの工夫によって白金下部電極膜と同じ(111)優先配向した膜にしかならない。
そこで、(100)配向し易い配向制御層(シード層)を強誘電体膜の下地として予め下部電極上に成膜しその上に強誘電体膜を成膜することによって、得られる酸化物結晶の強誘電体膜が(100)優先配向になるようにする手法がある。
この配向制御層として、LaNiOなどの酸化物導電体、酸化チタン(TiO)やチタン酸鉛(PbTiO)等が特に鉛系ペロブスカイト型酸化物強誘電体膜を成膜する際の配向制御層材料として広く採用されている。
例えば、特許文献1では白金下部電極上に、特許文献2では酸化イリジウム下部電極上に、配向制御層を成膜しその上に所望する方位に結晶配向が制御された鉛含有ペロブスカイト型酸化物結晶の強誘電体膜を成膜するプロセスが開示されている。
後に詳述するCSD法にて強誘電膜体薄膜を成膜する場合、基板上に成膜した下部電極上に薄い強誘電体性結晶層を繰り返し成膜・積層して所望の厚みの強誘電体膜を得る手法を採用する。しかし、強誘電体性結晶層を繰り返し成膜・積層するにしたがって、配向制御性が低下する問題があった。即ち、強誘電体性結晶層の積層回数を増やして強誘電体膜の膜厚が厚くなるにつれ、得られる強誘電体膜を形成する酸化物結晶の配向性が低下することがある。その為、強誘電体膜(積層強誘電体性結晶層)の上層側では下層の強誘電体性結晶層の原子配列に倣って原子が配列・結晶化が行われるのでなく、様々な結晶方位に無秩序に向いた結晶化が随所で生じる問題があった。なお、上述した従来技術の配向制御層を配置する手法のみでは、配向制御層の上に強誘電体性結晶層を繰り返し成膜・積層するにしたがって配向制御性が低下する問題は解消できなかった。
上述した配向性の低下の問題は、特に、一度の結晶化プロセスで厚めの結晶膜を得ようとする場合に顕著に現れる。また上述のように最下層ではない層で無秩序な結晶化が行われた強誘電体膜結晶層の上にさらに成膜される強誘電体膜結晶層は、さらに配向性が低下する問題があった。
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、一態様によれば、良好な結晶配向性を有する厚膜の強誘電体膜の成膜方法等を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
一態様によれば、化学溶液堆積法を用いた、配向制御層の上に形成される強誘電体膜の成膜方法であって、
アモルファス膜を成膜する第1工程を所定回数実施した後に、前記アモルファス膜を結晶化する第2工程を1回実施して酸化物結晶層を成膜する工程と、
前記酸化物結晶層の成膜工程を複数回数繰り返して複数の前記酸化物結晶層が積層した強誘電体膜を前記配向制御層の上に形成する工程と、を有し
前記積層された複数の酸化物結晶層の上層になるにしたがって膜厚を薄くすることを特徴とする。
一態様によれば、良好な結晶配向性を有する厚膜の強誘電体膜の厚膜の成膜方法等を提供できる。
CSD法(化学溶液堆積法)による成膜方法について説明するフローチャートの例である。 強誘電体膜を成膜する自動成膜装置を例示する図である。 強誘電体膜の成膜について説明する図である。 本発明の第1実施例に係る強誘電体膜の成膜方法を示すフローチャートの例である。 本発明の手法における強誘電体前駆体塗布時のスピン回転数と結晶膜圧の関係を示すグラフである。 下部電極と第1実施例に係る強誘電体膜のX線回折結果を例示する図である。 本発明の第2、第4実施例に係るCSD法による成膜方法について説明するフローチャートの例である。 本発明の第2実施例に係る強誘電体膜の成膜方法を示すフローチャートの例である。 本発明の第3実施例に係る強誘電体膜の成膜方法を示すフローチャートの例である。 EBDS法で分析した第3実施例のPZT強誘電体膜結晶配向性の厚み方向の結晶配向の分布と従来手法による厚み方向の結晶配向の分布を示す図である。 本発明の第4実施例に係る強誘電体膜の成膜方法を示すフローチャートの例である。 本発明の方法で成膜された強誘電体膜が含まれる電気機械変換素子を用いた液滴吐出ヘッドを例示する断面図(その1)である。 電気機械変換素子を用いた液滴吐出ヘッドを例示する断面図(その2)である。 本発明の方法で成膜された強誘電体膜が含まれる電気機械変換素子が搭載されたインクジェット記録装置を例示する斜視図である。 図14のインクジェット記録装置の機構部を例示する側面図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈実施形態〉
(全体フロー)
まず、一般的なゾルゲル法に代表されるCSD法(Chemical Solution Deposition 化学溶液堆積法)による成膜方法について説明する。図1は、CSD法による成膜方法について説明するフローチャートである。CSD法により強誘電体膜である(複合)酸化物の結晶膜を成膜する場合、まず酸化物の組成に合わせた前駆体液を合成する。そして、図1のフローチャートのステップS1において、導電膜である下部電極を成膜したシリコンウエハ基板上にスピンコート法等の手法によって前駆体液の塗膜を成膜する(塗布工程)。
次に、ステップS2において、下部電極上に前駆体液の塗膜を成膜したシリコンウエハ基板を第一の加熱温度(乾燥温度)まで加熱して塗膜中の溶媒を蒸発させて乾燥させ、前駆体乾燥膜とする(乾燥工程)。
次に、ステップS3において、前駆体乾燥膜を第一の加熱温度よりも高い第二の加熱温度(熱分解温度)まで加熱して前駆体乾燥膜中の有機成分を分解・燃焼させ、酸化物のアモルファス(非晶質)膜を得る(熱分解工程或いは脱脂工程)。次に、ステップS4において、アモルファス膜を冷却する(冷却工程)。
続いて、ステップS1に示した塗布工程からステップS4に示した冷却工程を所定回数(X回:X≧1)繰り返す。その後、ステップS5において、熱分解温度より高い第三の加熱温度(結晶化温度)までシリコンウエハ基板上に成膜されたアモルファス膜を加熱して結晶化を行い、強誘電体特性を有する酸化物結晶膜を形成する(結晶化工程)。
次に、ステップS6において、酸化物結晶膜を冷却する(冷却工程)。
続いて、ステップS1からS4を所定回数(X回)繰り返した後にステップS5及びS6を行う工程を所定回数(Y回:Y≧1)繰り返して酸化物結晶膜を積層し、所望の厚みを持った(厚膜化された)強誘電体膜をシリコンウエハ基板上に形成する。所望の厚みの強誘電体膜を得る。ただし本発明においては、強誘電体結晶層を積層するに従い、後述の実施例中の手法によって、1度の結晶化プロセスによって積層される強誘電体結晶層の厚みを薄くしている。
そして、得られたシリコンウエハ基板上の強誘電体膜に導電膜である上部電極を成膜する。上部電極の膜厚についても特に制限はないが、通常は0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmである。
上部電極の上にフォトリソ・エッチング等の微細加工を施すことによって、狙いとする圧電素子(圧電アクチュエータ素子)等のデバイスを得る。
上記のような工程からなるゾルゲル法に代表されるCSD法は、基板上に塗布する前駆体液中の(金属)成分組成を容易に変更・制御することが可能で、それにより得られる酸化物結晶膜組成と強誘電体膜としての特性を制御できる。
なお、CSD法として、ゾルゲル法を説明したが、MOD法(Metal Organic Deposition)を用いてもよい。
このように配向制御層上に強誘電体膜を成膜することによって、強誘電体膜を形成する酸化物結晶の結晶方位を望みの方位に配向させることがある程度可能になる。配向制御層を形成している望みの結晶方位に配向するように配列している原子の配列に倣って強誘電体膜を形成する酸化物の原子が配列しながら結晶化が行われるからである。
しかし、配向制御層と強誘電体膜の各層はそれぞれを構成する元素種あるいは組成比が異なるため、各層を形成する結晶格子の格子定数が異なる。その為、配向制御層と強誘電体膜(強誘電性を有する複合酸化物結晶層)の界面において結晶格子のミスマッチが生じる。
例えば下部電極上に成膜される配向制御層は、強誘電体膜(結晶)に望まれる結晶方位に優先配向する配向性と強誘電体膜結晶の格子定数に近い値の格子定数を有する材料が選択される。しかし、両者の格子定数は完全には一致しない。
このような関係の配向制御層材料と強誘電体膜材料を用いて強誘電体膜を配向制御層の上に成膜する場合、強誘電体膜材料原子は、その下の配向制御層(結晶)の原子配列に倣って配列しながら結晶化する。その為、得られる強誘電体膜結晶はその下の配向制御層と同じ結晶方位に配向しながら成長する。
しかし、配向制御層とこれに直接接して成膜される強誘電性の酸化物結晶層との界面にて異物質間の結晶格子のミスマッチによって、配向制御層結晶の原子配列に倣って強誘電体膜材料原子が配列・結晶化する際に、形成される強誘電体膜結晶に「歪み」が生じる。この「歪み」は、強誘電体膜材料原子がある結晶方位を保ちながら規則的に整列する(結晶化する)ことを妨げる要因となる為、得られる強誘電体膜の結晶配向性は、配向制御層の結晶配向性と完全には一致しない、すなわち配向性が低下する。
そして、CSD法では、下部電極並びに配向制御層が成膜されたシリコンウエハ等の基板上に前駆体液の塗布から結晶化までの工程を所定回数繰り返す、即ち強誘電性の複合酸化物の薄い結晶層を積層することによって、所望の厚みの強誘電体膜を形成している。所望の厚めの膜厚の強誘電体膜を得る為に配向制御層の上に成膜した強誘電体膜の上にさらに繰り返し結晶層を積層成膜する場合、配向性が配向制御層と比較して低下した強誘電体膜、即ち規則性が乱れた状態の原子配列を基準とし、これに倣わせながら新たな強誘電体膜材料原子を配列・結晶化をさせる。そのため、結晶層同士の界面にて新たな歪みが発生し、その結果得られる上層の強誘電体膜の結晶配向性はその下の強誘電体膜の結晶配向性と比較してさらに低下するようになる。
より詳しくは、配向制御層に直接接して基板上に成膜される第1層目の結晶層は、その下面で直に接している配向制御層の影響・効果を良く受けながら結晶化が行われる為、非常に良好な結晶配向性を有する。しかし、CSD法は、結晶のエピタキシャル成長を促す手法としては必ずしも好適な手法では無いため、第1層目の「非常に良好な」結晶配向性は、「完全な」配向性にはならない。続いて第2層目の結晶層を第1層目の結晶層の上に成膜・積層する。この第2層目の結晶層は、その下面で直に接している「非常に良好ではあるが完全では無い配向性」を有する第1層目の結晶層の影響・効果を直接的に受けながら結晶化が行われる為、その配向性は良好ではあるが第1層目の結晶層と比較すると「劣る」。そして「良好ではあるが第1層目の結晶層と比較すると劣る」第2層目の結晶層の上に第3層目の結晶層を・・・と、結晶層の成膜・積層を繰り返すにつれてその結晶層の配向性は徐々に低下する。その結果、得ようとする強誘電体膜の膜厚が厚くなり、結晶層の積層回数が増えるにつれ、その結晶配向性が低下する。
即ち、積層成膜される酸化物結晶層界面にて下層の酸化物結晶が歪んでいる故に生じる上下結晶層間の結晶格子のミスマッチによって歪みが増大する。この結果、得られる強誘電体膜の結晶配向性が低下する。
このように積層回数を増やして厚膜の強誘電体膜を成膜する際に、良好な配向性を有する酸化物結晶の強誘電体膜を得ることが困難になることがあった。そこで、本発明では下記に説明するような強誘電体膜の成膜を行う。
(自動成膜装置)
次に、本実施形態に係る強誘電体膜の成膜方法について説明する。まず、図2を参照しながら、強誘電体膜を成膜する自動成膜装置について説明する。
図2は、強誘電体膜を成膜する自動成膜装置を例示する図である。自動成膜装置10は本実施の形態に係る成膜方法により強誘電体膜を成膜する装置である。自動成膜装置10は、例えば、下部電極が成膜された円盤状のシリコンウエハ基板19(6)を1枚ずつ流動させる枚葉式装置である。自動成膜装置10は、収納部材11と、搬送装置12と、アライナー13と、スピナー塗布装置14と、ホットプレート15と、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置16と、冷却ステージ17とを有する。
収納部材11は、シリコンウエハ基板19を収納する部材である。搬送装置12は、シリコンウエハ基板19を自動成膜装置10内の各装置へ搬送する装置である。アライナー13は、自動成膜装置10内におけるシリコンウエハ基板19の受け渡し、位置決め、並びに自動成膜装置10を構成する各装置内でのシリコンウエハ基板19の位置決め及び芯だしを行う装置である。
スピナー塗布装置(スピンコート装置)14は、強誘電体膜の前駆体液及び配向制御層の前駆体液をそれぞれ個別に制御し、シリコンウエハ基板19上に前駆体液を塗布する(スピンコーティングする)機構(図示せず)を有する装置である。ホットプレート15は、塗布された前駆体液の塗膜の乾燥を行う装置である。RTA装置16は、前駆体乾燥膜の熱分解工程及び結晶化工程の熱処理を行う装置である。ホットプレート15による乾燥、RTA装置16による熱分解、焼成・結晶化の温度は、夫々100〜150℃、250〜500℃、600℃〜750℃に設定されるのが通例である。なお、採用された強誘電体材料の種類ならびに前駆体液の合成条件によってそれぞれ最適に設定される。
冷却ステージ17は、RTA装置16での熱処理後のシリコンウエハ基板19の冷却を行う装置である。
収納部材11に収納されたシリコンウエハ基板19は、搬送装置12により、まず始めにアライナー13によって位置決め・芯だしがなされた後、後述の図3に示すフローチャートに従って、フローチャート中の各工程を担当する各装置間を流動する。
なお、本実施の形態では、熱分解工程と結晶化工程を共通の(1台の)RTA装置16で行うが、これには限定されない。例えば、熱分解工程と結晶化工程をそれぞれ別の(2台の)RTA装置で行ってもよい。或いは、熱分解工程を乾燥工程用とは別の高温型ホットプレートで行い、結晶化工程をRTA装置で行ってもよい。
(積層結晶膜の構成)
図3に図2の装置を利用してシリコン基板上に形成された配向制御層と強誘電体の積層結晶膜を示す。
図3中、符号1はシリコンウエハ、2は密着層、3は白金からなる下部電極、4(4A)は配向制御層(PT配向制御層)、5(5A)は酸化物結晶積層からなる強誘電体を示す。シリコンウエハ基板6は、シリコンウエハ1、密着層(密着向上層)2、下部電極(下部電極膜)3を含む。強誘電体膜5は、複数の酸化物結晶層(強誘電体性結晶層)5−1、5−2・・・・・が積層されている。
ここで、図3のシリコンウエハ基板6で示した基板としては、シリコンウエハが好ましく使用されるが、酸化マグネシウム、ステンレス、アルミナ、ガラスなども用いることが可能である。基板の厚みについては、特に制限は無い。基板の材質は強誘電体膜の成膜プロセスやその後加工プロセスにおけるハンドリング性によって決められる。
また、シリコンウエハ1上に、もしくはその上に設けられた密着層2(又は絶縁層)に金属又は金属酸化物の下部電極3を設けるには、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ−ティングなどの公知の手法が採用される。下部電極3の膜厚について特に制限はないが、通常は0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmである。
下部電極3に用いられる金属としては、白金、金、イリジウム等の貴金属ならびにそれらの酸化物が用いられる。また金属でできた下部電極3の上にさらにニッケル酸ランタン(LaNiO LNO)やルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO SrRuO)等の酸化物電極を成膜したものを用いることができる。なお、下部電極3として特に好ましく使用されるのは、白金である。
配向制御層4は下部電極3の上に設けられ、狙いとする結晶方位に配向しかつ強誘電体膜を形成する(複合)酸化物結晶と近い格子定数を有する。なお、例えば下部電極3として白金を採用し、強誘電体膜5Aとして好適なPZTを採用してこれを(111)配向を狙って成膜しようとする場合は、必ずしも配向制御層4は必要としない。あるいは、(111)配向を狙った配向制御層として、上述のSrRuO配向制御層(4A)等の酸化物電極を用いることもできる。
下部電極3上に配向制御層4を設ける手法としては、スパッタリングなどの公知の手法が採用される。なお、(100)配向を狙った配向制御層として良く採用されるチタン酸鉛(PT)の様な酸化物系配向制御層の成膜方法として、強誘電体膜の成膜と同じCSD法を採用することも可能である。配向制御層の膜厚についても特に制限はないが、通常は5〜20nm、好ましくは5〜10nmである。
また、強誘電体膜5の形成に用いられる強誘電体材料としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛等のペロブスカイト構造系酸化物材料を用いる。特に、極めて良好な強誘電性ないし圧電性を有することが知られるチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrTi1−x(xは0〜1の整数または小数)以下、PZTという)の鉛系ペロブスカイト構造の複合酸化物が好ましく選ばれる。ただし、本発明の手法はペロブスカイト構造以外の他の酸化物強誘電体にも適用可能である。
次に、図4〜10を参照しながら、本実施形態に係る強誘電体膜の複数の成膜方法について説明する。
本発明の方法により強誘電体膜を得るには、予め基板上に金属又は金属酸化物の下部電極の上に狙いとする結晶方位に配向しかつ強誘電体膜を形成する(複合)酸化物結晶と近い格子定数を有する配向制御層を設ける。そしてCSD法を用いて、強誘電体膜を形成する(複合)酸化物結晶層を積層成膜する。
ここで、CSD法は、基板上に塗布した前駆体液の塗膜を乾燥、熱分解させた後により高温下に晒して結晶化させる手法である。そしてこの結晶化のプロセスにおいて、下層の配向制御層あるいは既に成膜した強誘電体膜の結晶層の原子配列に倣わせて原子を配列させて結晶化を行うことにより、得られる結晶膜の配向制御を行うものである。
しかし、上述の下層の原子配列に倣わせて新たに原子を配列させる操作は、原子層を一層、一層毎に倣わせながら配列させるのではなく、下層上に塗布、乾燥、熱分解プロセスで形成させたある厚みのアモルファス膜全体を一度、かつ短時間のプロセスで結晶化させる。その為、アモルファス膜の上層側では、下層の原子配列に倣って原子が配列・結晶化が行われるのでなく、様々な結晶方位に無秩序に向いた結晶化が随所で生じるおそれがあった。
特にこの現象は、一度の結晶化プロセスで厚めの結晶膜を得ようとする場合に顕著に生じる。また上述のように無秩序な結晶化が行われた強誘電体膜の結晶層の上に成膜される結晶層は、さらに配向性が低下してしまう。
よって本発明では、この酸化物結晶層を積層成膜する際には、積層された複数の酸化物結晶層が上層になるにしたがって厚みを薄くする操作を行う。続いてその上に上部電極を形成すればよい。
<<第1実施例>>
本実施例では、白金下部電極、さらに白金下部電極上にPT(チタン酸鉛)配向制御層が成膜されたシリコンウエハ基板上に、圧電性に最も良好な特性を発現する(100)優先配向したPZT(チタン酸ジルコン酸鉛、PbTiO)強誘電体膜を成膜する。なお、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)強誘電体膜は最も良好な強誘電性並びに圧電性を有することで知られている。
図4は、第1実施例に係る強誘電体膜の成膜方法を示すフローチャートの例である。
<(1)前駆体液の合成>
始めに、強誘電体膜作成の前段階の第1工程SP1において、CSD法にてPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)強誘電体膜を成膜するPZT前駆体液を準備した。出発材料としては、酢酸鉛三水和物Pb(CHCOO)・3HO、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシドZr(OCHCHCH、チタニウムテトライソプロポキシドTi[OCH(CHを用いた。
PZT前駆体液の合成に際し、Pb(Zr0.53Ti0.47)O、一般的にはPZT(53/47)と示され、特に良好な圧電特性を現すジルコン酸チタン酸鉛の化学量論組成に対し、鉛量が10mol%過剰になる組成、即ちPb1.10(Zr0.53Ti0.47)Oとなるように出発材料を秤量した。これは、塗布された前駆体液膜の加熱処理中に発生する、いわゆる「鉛抜け」による結晶性低下を防ぐためである。
出発材料の秤量後、まず酢酸鉛三水和物を2−メトキシエタノールCHOCHCHOHに溶解した後、溶媒の沸点(125℃)以上の溶液温度にて18時間加熱・還流し、結晶水の脱水と副生成物の除去、ならびに鉛アルコキシド化合物の生成を行った。
続いて、脱水、アルコキシド化合物生成を行った前記鉛化合物の2−メトキシエタノール溶液に対し、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシドおよびチタニウムテトライソプロポキシドを投入して加熱・還流し、アルコール交換反応、エステル化反応(重縮合反応)を進行させるとともに、副生成物のエステルを除去した。溶媒沸点に達した後の保持時間は18時間とした。
最後に、前駆体液中のPZT濃度が0.5mol/lとなるように溶媒を追加、濃度調整を行うとともに、安定剤として2.5vol%相当の酢酸CHCOOHを添加してPZT前駆体液とした。
<(2)PT配向制御層の成膜>
図3に示すように、シリコンウエハ基板6において、シリコンウエハ1上に密着層2としてTi層(膜厚50nm)を介して下部電極3の白金膜(膜厚160nm)をスパッタリング法にて成膜した。
さらに、第2の前段階工程SP2において、スパッタリング法にて(100)配向したPT配向制御層4(膜厚6nm)を下部電極3の上に形成した。このPT配向制御層4の上に強誘電体膜5が成膜される。
シリコンウエハ基板6に成膜された白金の下部電極3は、図6(a)に示すように、(111)方向の強い結晶配向性を有している。
そこで、(100)配向し易い配向制御層4(シード層)を強誘電体膜の下地として予め下部電極3上に成膜し、その上に強誘電体膜を成膜することによって、得られる酸化物結晶の強誘電体膜5が(100)優先配向になる。
<(3)PZT強誘電体膜の成膜>
上記(2)の手法で準備したシリコンウエハ基板6のPT配向制御層4の上に、図1とともに説明した通例のCSD法のプロセスフローに従って上記(1)の手法で準備したPZT前駆体液を滴下、PZT強誘電体膜を所望の厚みとなるまで積層成膜した。
本実施例では図1のX=3、Y=9、つまり図4で示すように、PZT前駆体液の塗布工程から、乾燥、熱分解工程を経て冷却工程までのプロセスを3回繰り返すごとに結晶化処理を行うプロセスを9回繰り返した。
下記、図4を用いてPZT強誘電体膜の成膜フローについて説明する。初めに、収納部材11(図2参照)に収納されたシリコンウエハ基板6(19)は、搬送装置12により、まず始めにアライナー13によってシリコンウエハ基板6の位置決め・芯だしが行われる。その後、スピナー塗布装置14に投入され、上記(1)の工程にて準備したPZT前駆体液を滴下、スピナー塗布装置14によって最大2000rpmで回転させてPZT前駆体液の塗膜をシリコンウエハ基板6上に形成した(塗布工程、図4、ステップS101)。
次に、搬送装置12により、PZT前駆体塗膜が形成されたシリコンウエハ基板6は、主溶媒の沸点より高い140℃に加熱されたホットプレート15に1分間投入され、シリコンウエハ基板6上に乾燥膜が形成される(乾燥工程、S102)。
続いて、PZT前駆体乾燥膜が形成されたシリコンウエハ基板6は、搬送装置12により、RTA装置16に投入される。RTA装置16により熱分解温度:380℃にて5分間加熱することで、PZT前駆体乾燥膜中の有機物成分を分解させ、PZT強誘電体材料のアモルファス膜を得た(熱分解工程、S103)。
そしてアモルファス膜が形成されたシリコンウエハ基板6は、搬送装置12により冷却ステージ17に移動し、冷却ステージ17上に2分間(以上)留め置かれることによりウェハ温度を室温まで冷却した(冷却工程、S104)。
その後、前記塗布工程〜冷却工程(S101〜S104)をさらに2回(合計3回:X=3)繰り返してPT配向制御層4の上にPZT強誘電体材料のアモルファス膜を3回積層させる。
アモルファス膜が積層されたシリコンウエハ基板6は、搬送装置12により、アライナー13での芯出し工程を経てふたたびRTA装置16に投入される。RTA装置16により、結晶化温度:680℃にて5分間加熱されることで、PT配向制御層4上のPZT前駆体材料のアモルファス膜が結晶化される、即ち、第1層目のPZT酸化物結晶層5−1をPT配向制御層4上に形成する(結晶化工程、S105)。
そして酸化物結晶層5−1が形成されたシリコンウエハ基板6は、搬送装置12により冷却ステージ17に移動し、冷却ステージ17上に2分間(以上)留め置かれることによりウェハ温度を室温まで冷却した(冷却工程、S106)
上述の工程により、第1層目の1つの酸化物結晶層5−1が形成される(SY1)。
そして、所望の厚みのPZT強誘電体膜が得られるまで、図1のX=3、Y=9、即ちPZT前駆体液の塗布工程から冷却工程(S101〜S104)のプロセスを3回繰り返すごとに結晶化処理を行うプロセスを9回繰り返した。この工程により、PZT酸化物結晶層を9層(5−1〜5−9)積層成膜した(図4、SY1〜SY9)。
まとめると、本発明の成膜工程は、アモルファス膜を成膜する第1工程を所定回数実施した後に、アモルファス膜を結晶化する第2工程を1回実施して酸化物結晶層を成膜する工程と、酸化物結晶層の成膜工程を複数回数繰り返して複数の前記酸化物結晶層が積層した強誘電体膜を前記配向制御層の上に形成する工程とを有している。
本実施例においては、第1工程はPZT前駆体を塗布する塗布工程と、PZT前駆体の塗膜を乾燥する乾燥工程と、PZT前駆体の塗膜を熱分解してアモルファス膜を形成する熱分解工程と、アモルファス膜を冷却する冷却工程と、を含む(S101〜S104)。また、第2工程は冷却されたアモルファス膜を結晶化する結晶工程と、酸化物結晶層を冷却する冷却工程を有する(S105、S106)。
本発明では、PZT酸化物結晶層が積層された強誘電体膜を成膜する際、積層された複数の酸化物結晶層の上層になるにしたがって厚みを薄くしている。
本実施例では、PZT前駆体を塗布する塗布工程(S101)において、酸化物結晶層が上層(5−9)になるほど図5に示すスピンカーブに従って膜厚を薄くする操作を行った。即ち、PZT前駆体液を塗布する際、酸化物結晶層の上層(5−9)になるにしたがってスピン回転条件を早く設定することで酸化物結晶層の上層の厚みを薄くする。
具体的には、Y=1即ち第1層目のPZT酸化物結晶層(5−1)を成膜する際のスピン回転条件が最大2000rpmだったのに対し、Y=2、即ち第2層目のPZT酸化物結晶層(5−2)を成膜する際のスピン回転条件は最大2500rpm、第3層目(5−3)では最大3000rpmと、各結晶層の成膜毎にスピン回転条件を500rpmずつ速く設定する塗布条件の変更を行った。(最終第9層目(5−9)成膜時は6000rpm)(S101、S201、S301、S401、S501、S601、S701、S801、S901参照)
一方、乾燥、熱分解、結晶化の各熱処理条件は、各結晶層の成膜時とも共通の条件とした。そして上述のプロセスを経てPZT強誘電体膜の形成した結果、シリコンウエハ基板6上には、厚さおよそ2μmのPZT強誘電体膜を形成することができた。
このPZT強誘電体膜5のX線回折結果を図6(b)に示す。下部電極の白金膜が(111)配向であるにもかかわらず、得られたPZT強誘電体膜5は、(100)に配向されたPT配向制御層4によって制御された、良好な圧電性を発現する(100)優先配向をしていることが分かる。
<(4)加工>
上述にようにして前記得られた強誘電体膜上に上部電極を真空蒸着、スパッタリング、イオンプレ−ティングなどの公知の手法で成膜する。上部電極の膜厚についても特に制限はないが、通常は0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmである。
さらに上部電極が成膜された強誘電体膜を後加工プロセスに投入し、センサ、アクチュエーター等の各種電子素子に加工される。これら本発明の手法で成膜された強誘電体膜を加工して得られた各種素子の性能は、強誘電体膜が、要求される特性が最も良好になる結晶方位に優先配向されているため、良好な性能を発揮する。
例えば、電子素子がインクジェットヘッド等に応用する圧電アクチュエーターの場合、PZT強誘電体膜上に上部電極となる白金膜(厚み0.1μm)をスパッタリング法にて成膜し、フォトリソ、エッチング加工等の所定の微細加工処理を施す。この圧電アクチュエーターは、それを駆動させるPZT強誘電体膜が、良好な圧電性を発現する(100)優先配向をしている為、良好なアクチュエーター特性を発現している。
<<第2実施例>>
なお、上述の第1実施例では、図1、4で示すように、PZT前駆体材料のアモルファス膜をPT配向制御層4上に3回積層形成、いったんシリコンウエハ基板6を冷却ステージ17で冷却させた後、ふたたびRTA装置16に投入、結晶化を行っている。
しかし、図7、8で示すように、第2実施例として、同じRTA装置16で行うPZT前駆体材料の熱分解工程と連続して加熱・結晶化処理を行っても良い、即ち、シリコンウエハ基板6をRTA装置16から取り出して冷却させることなく加熱・結晶化処理を行っても良い。この際、アモルファス膜の成膜直後の冷却は行わない。
なお、準備したPZT前駆体液の生成方法及びシリコンウエハ1上に成膜した密着層2と白金下部電極3及びは及びPT配向制御層4の構成は上記第1実施例と同じであるので、説明を省略する。
ここで本実施例において、上述の第1工程はPZT前駆体を塗布する塗布工程(S111)と、PZT前駆体の塗膜を乾燥する乾燥工程(S112)と、PZT前駆体の塗膜を熱分解してアモルファス膜を形成する熱分解工程(S113)と、を含む。また、第2工程は熱いアモルファス膜を結晶化する結晶工程(S114)と酸化物結晶層を冷却化する冷却工程(S115)を含む。
この場合において、所望の厚みのPZT強誘電体膜が得られるまで、図7のフローのX=3、Y=9、つまりPZT前駆体液の塗布工程から熱分解工程(S111〜S113)までのプロセスを3回繰り返すごとに冷却処理と結晶化処理を行う(S114、S115)プロセスを9回繰り返した。この工程により、PZT酸化物結晶層を9層(5−1〜5−9)積層成膜した(SY1〜SY9)。
本実施例では、PZT前駆体を塗布する塗布工程(S111)において、上記第1実施例と同様に、積層された複数の酸化物結晶層の上層になるほど、図5に示すスピンカーブに従って膜厚を薄くする操作を行った。即ち、PZT前駆体液を塗布する際、積層酸化物結晶層の上層(5−9)になるにしたがってスピン回転条件を早く設定することで、その結晶層の厚みを薄くする。
具体的には、Y=1即ち第1層目のPZT酸化物結晶層(5−1)を成膜する際のスピン回転条件が最大2000rpmだったのに対し、Y=2即ち第2層目のPZT酸化物結晶層(5−2)を成膜する際のスピン回転条件は最大2500rpm、第3層目(5−3)では最大3000rpmと、各結晶層の成膜毎にスピン回転条件を500rpmずつ速く設定する塗布条件の変更を行った。(最終第9層目(5−9)成膜時は6000rpm)(S111、S211、S311、S411、S511、S611、S711、S811、S911参照)
一方、乾燥、熱分解、結晶化の各熱処理条件は、各結晶層の成膜時とも共通の条件とした。そして上述のようなプロセスを経てPZT強誘電体膜が形成した結果、シリコンウエハ基板6上には、厚さおよそ2μmのPZT強誘電体膜を得られた。
本実施例の手法でも、第1実施例と同様に、得られたPZT強誘電体膜5は、(100)に配向されたPT配向制御層4によって制御され、良好な圧電性を発現する(100)優先配向をする。
<<第3実施例>>
次に、(111)優先配向したPZT強誘電体膜を成膜する第3実施例について図9〜11を用いて説明する。ここで、準備したPZT前駆体液の生成の工程(SP1)及びシリコンウエハ1上に成膜した密着層2と白金下部電極3についての構成は上記第1実施例と同じであるので、説明を省略する。
本実施例において、第2の前段階工程SP2において成膜するPZT強誘電体膜を(111)配向させる配向制御層には、厚さ10nmのSrRuO酸化物(ルテニウム酸化物ストロンチウム)電極4Aを採用した。(SrRuO配向制御層)
PZT強誘電膜5Aを成膜する際の乾燥、熱分解、結晶化の各熱処理条件についても上述の第1実施例と同じである。
本実施例の方法でも、第1工程を所定回数実施した後に第2工程を1回実施して酸化物結晶層を成膜する工程と、酸化物結晶層の成膜工程を複数回数繰り返して複数の酸化物結晶層が積層した強誘電体膜を前記配向制御層の上に形成する工程とを有している。この際、積層された複数の酸化物結晶層の上層になるにしたがって厚みを薄くする。
なお、本実施例において、第1工程はPZT前駆体を塗布する塗布工程と、PZT前駆体の塗膜を乾燥する乾燥工程と、PZT前駆体の塗膜を熱分解してアモルファス膜を形成する熱分解工程と、そのアモルファス膜を冷却する冷却工程とを含む(S121〜S124)。また、第2工程は冷却されたアモルファス膜を結晶化する結晶工程と酸化物結晶層を冷却する工程とを含む(S125、S126)。
本実施例では、PZT前駆体液の塗布条件は積層する各結晶層(5−1〜5−10)とも共通で最大スピン回転数が3000rpm、所望の膜厚(2μm)のPZT強誘電膜を得るまでに積層するPZT酸化物結晶層は10層(図1でY=10)である。
本実施例において酸化物結晶層を成膜する際、積層された酸化物結晶層の下層(5−1)では第1工程を複数回実施した後に第2工程を1回実施し、上層(5−10)になるにしたがって第1工程を少ない工数回実施した後に第2工程を1回実施することで、その酸化物結晶層の厚みを薄くしている。
より詳しくは、図9に示すように、各結晶層の結晶化工程まで繰り返す塗布工程〜冷却工程(第1工程、S121〜S124)の回数と変更することによって、積層される結晶層の上層ほど、その膜厚が薄くなるように成膜する。図1のフローの「X」について、第1、2層目の結晶層:X=4(図9でSY1、SY2)、第3〜5層目の結晶層:X=3(SY3、SY4、SY5)、第6、7層目の結晶層:X=2(SY6、SY7)、第8〜10層目の結晶層:X=1(SY8、SY9、SY10)と設定する。
図10(a)にこの第3実施例にて成膜したPZT強誘電体膜5Aの厚み方向の結晶配向の分布を示す。図10(b)に同じ基板条件(シリコンウエハ1〜配向制御層4Aの条件)にて、従来の上層でも層の厚みを変えない方法で(図1のフローでX=3、Y=8)にて成膜したPZT強誘電体膜5Aの厚み方向の結晶配向の分布を示す。図10(a)及び10(b)の分布は(電子線後方散乱回折法)EBDS法にて解析した結果を示す。
従来手法(図10(b))では、強誘電体膜の上部になる(配向制御層から遠ざかる)にしたがって狙いとする(111)配向性が低下してしまうのに対し、本発明の手法では、強誘電体膜5Aの上部まで狙いとする(111)配向性が保たれていることが明らかである。
なお、本実施例の、積層された複数の酸化物結晶層の下層では第1工程を複数回実施した後に第2工程を1回実施し、上層になるにつれて第1工程を少ない工数回実施した後に第2工程を1回実施することと、第1実施例のスピン回転数の調整を組み合わせてもよい。
<<第4実施例>>
なお、上記第3実施例の図8の説明では、PZT前駆体材料のアモルファス膜をSrRuO配向制御膜4A上に作成または複数回積層し、いったんシリコンウエハ基板6を冷却ステージ17で冷却させた後、再びRTA装置16に投入して結晶化を行っている。
しかし、図7及び図11で示すフローのように、第4実施例として同じRTA装置16で行うPZT前駆体材料の熱分解工程と連続して加熱・結晶化処理を行ってもよい、即ち一度シリコンウエハ基板6をRTA装置16から取り出して冷却させることなく加熱・結晶化処理を行ってもよい。この際、アモルファス膜の成膜直後の冷却は行わない。
なお、準備したPZT前駆体液の生成方法及びシリコンウエハ1上に成膜した密着層2と白金下部電極3及びは及び配向制御層4Aの構成は上記第3実施例と同じであるので、説明を省略する。
ここで本実施例において、第1工程は、PZT前駆体を塗布する塗布工程と、PZT前駆体の塗膜を乾燥する乾燥工程と、PZT前駆体の塗膜を熱分解してアモルファス膜を形成する熱分解工程と、を含む(S131〜S133)。また、第2工程は、冷却されたアモルファス膜を結晶化する結晶工程、結晶層を冷却する工程を含む(S134、S135)。
本実施例において第3実施例と同様に、酸化物結晶層を成膜する際、酸化物結晶層の下層(5−1)では第1工程を複数回実施した後に第2工程を1回実施し、上層(5−10)になるにしたがって第1工程を少ない工数回実施した後に第2工程を1回実施することで、その酸化物結晶層の厚みを薄くしている。
より詳しくは、図11に示すように、各結晶層の結晶化工程まで繰り返す塗布工程〜熱分解工程(第1工程、S131〜S133)の回数を変更することによって、積層される結晶層の上層(5−10)ほどその膜厚が薄くなるように成膜した。具体的には、図7のプロセスフローの「X」について、第1、2層目の結晶層:X=4(図11でSY1、SY2)、第3〜5層目の結晶層:X=3(SY3、SY4、SY5)、第6、7層目の結晶層:X=2(SY6、SY7)、第8〜10層目の結晶層:X=1(SY8、SY9、SY10)と設定する。
本実施例の手法でも、第3実施例と同様に(111)配向されたSrRuO配向制御層4Aを用いて、強誘電体膜5Aの上部まで狙いとする(111)配向性が保つことができる。
上述のように本発明の第1実施例〜第4実施例では、繰り返し成膜・積層される酸化物結晶層の上層になるにしたがって、1度の結晶化プロセスで成膜・積層される酸化物結晶層の厚みを薄くする方法で膜を形成している。積層する結晶層の厚みを薄くすると、酸化物結晶層界面における歪み量の増加、また一度の結晶化プロセスで形成される結晶層の内部で無秩序な結晶化が生じる現象が抑制される。この方法によって酸化物結晶層を繰り返し成膜・積層するにつれて生じる結晶配向性の低下を避けることが可能となる。
上述のような強誘電体膜の成膜手法を採用することにより得られる強誘電体膜は、その内部に生じる歪み量が小さく抑制され、良好な結晶配向性を示すようになる。またその結果、良好な強誘電体特性を出現することができる。
<<搭載例1>>
上述の発明に係る成膜方法で成膜された強誘電体膜を備えた電子素子の一例である電気機械変換素子(圧電素子、圧電アクチエータ)を用いた液滴吐出ヘッドについて例示する。
図12は本発明の方法で成膜された強誘電体膜が含まれる電気機械変換素子を用いた液滴吐出ヘッドを例示する断面図である。図12において、液滴吐出ヘッド30はノズル板31と、圧力室基板34と、振動板35と、電気機械変換素子40とを有する。ノズル板31にはインク滴を吐出するノズル32が形成されている。ノズル板31、圧力室基板34、及び振動板35により、ノズル32に連通する圧力室(圧力発生室)33が形成されている。なお、圧力室33にはインク流路、加圧液室が形成されている。振動板35はインク流路の壁面の一部を形成している。
電気機械変換素子40は密着層41と、下部電極42と、電気機械変換膜43と、上部電極44とを含んで構成され、圧力室33内のインクを加圧する機能を有する。密着層41は例えばTi、TiO、TiN、Ta、Ta、Ta等からなる層であり、下部電極42と振動板35との密着性を向上する機能を有する。但し、密着層41は電気機械変換素子40の必須の構成要素ではない。
電気機械変換膜43は上述の実施形態で説明した強誘電体膜の代表的な一例である。
上述のように、強誘電体膜をCSD法によって作成する際、得ようとする膜厚が厚くなる、即ち結晶層の積層回数が増えるにつれてその結晶配向性が低下する。
この問題は、特に本搭載例のようにインクジェット記録ヘッド等に使用する圧電アクチェーターに応用する強誘電体膜の成膜(膜厚:約1μm〜2μm)に適用する場合、膜厚がFeRAM等の電子デバイスと比較して非常に厚くなるため、顕著に現れる。
しかし、電気機械変換膜43は、例えばPZTを用いて、上述の成膜方法で成膜されたもの、即ち、この酸化物結晶層を積層成膜する際に酸化物結晶層が上層になるにしたがってその厚みを薄くする方法で成膜されている。そのため、電気機械変換膜43は良好な圧電性を発現する(100)優先配向をしているため、良好な圧電特性を発現している。
電気機械変換素子40において下部電極42と上部電極44との間に電圧が印加されると、電気機械変換膜43が機械的に変位する(伸縮する、或いはたわむ)。電気機械変換膜43の機械的変位にともなってシリコン等からなる振動板35が例えば横方向(d31方向)に変形変位し、圧力室33内の体積が収縮・膨張しインクを加圧・減圧する。この圧力変化により、ノズル32からインク滴を吐出させることができる。
なお、図13に示すように液滴吐出ヘッド30を複数個並設して液滴吐出ヘッド50を構成することもできる。
本搭載例では電気機械変換素子40を液滴吐出ヘッド30又は50の構成部品として用いる例を示した。しかし、電気機械変換素子40は例えば、マイクロポンプ、超音波モータ、加速度センサ、プロジェクター用2軸スキャナ、輸液ポンプ等の構成部品として用いてもよい。
なお、インクジェット記録ヘッド等に用いられる圧電アクチュエーターとして強誘電体膜を活用する場合、強誘電体膜を形成する酸化物結晶の(100)面が優先的に結晶配向されているとその強誘電体膜は最も大きなe31圧電定数を保有するようになる。このため、下部電極上に(100)優先配向した酸化物結晶の強誘電体膜を成膜するのが好ましい。
まず(100)配向し易い配向制御層を強誘電体膜の下に設け、さらに上述の強誘電体膜の成膜手法を用いて、積層酸化物結晶層の上層になるほど膜厚を薄くした強誘電体膜は、その内部に生じる歪み量が小さく抑制され、良好な結晶配向性(100)を示すようになる。またその結果、良好な強誘電体特性を出現することができる。
よって、本発明を利用した電気機械変換膜43は良好な圧電性を発現する(100)優先配向をしているため、良好な圧電特性を発現している。
<<搭載例2>>
他の搭載例の応用例として、液滴吐出ヘッド50(図13参照)を備えた液滴吐出装置の一例としてインクジェット記録装置を例示する。図14は本発明の方法で成膜された強誘電体膜が含まれる圧電素子(電子部材)が搭載されたインクジェット記録装置を例示する斜視図である。図15は図14の圧電素子(電子部材)が搭載されたインクジェット記録装置(電子機器)の機構部を例示する側面図である。
図13及び図14を参照して、インクジェット記録装置60は記録装置本体61の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ73に設けられ、キャリッジ73に搭載した液滴吐出ヘッド50の一実施形態であるインクジェット記録ヘッド74を収納する。又、インクジェット記録装置60は、インクジェット記録ヘッド74へインクを供給するインクカートリッジ75等で構成される印字機構部62等を収納する。
記録装置本体61の下方部には、多数枚の用紙Pを積載可能な給紙カセット64(或いは給紙トレイでもよい)を抜き差し自在に装着することができる。又、用紙Pを手差しで給紙するための手差しトレイ65を開倒することができる。給紙カセット64或いは手差しトレイ65から給送される用紙Pを取り込み、印字機構部62によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ66に排紙する。
印字機構部62は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド71と従ガイドロッド72とでキャリッジ73を主走査方向に摺動自在に保持する。キャリッジ73には、インクジェット記録ヘッド74を、複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。なお、インクジェット記録ヘッド74は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する。又、キャリッジ73は、インクジェット記録ヘッド74に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ75を交換可能に装着している。
インクカートリッジ75は、上方に大気と連通する図示しない大気口、下方にはインクジェット記録ヘッド74へインクを供給する図示しない供給口を、内部にはインクが充填された図示しない多孔質体を有している。多孔質体の毛管力によりインクジェット記録ヘッド74へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。又、インクジェット記録ヘッド74としてここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドを用いてもよい。
キャリッジ73は、用紙搬送方向下流側を主ガイドロッド71に摺動自在に嵌装し、用紙搬送方向上流側を従ガイドロッド72に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ73を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ77で回転駆動される駆動プーリ78と従動プーリ79との間にタイミングベルト80を張装し、主走査モータ77の正逆回転によりキャリッジ73が往復駆動される。タイミングベルト80は、キャリッジ73に固定されている。
又、インクジェット記録装置60には、給紙カセット64から用紙Pを分離給装する給紙ローラ81、フリクションパッド82、用紙Pを案内するガイド部材83、給紙された用紙Pを反転させて搬送する搬送ローラ84を設けている。更に、インクジェット記録装置60には、搬送ローラ84の周面に押し付けられる搬送コロ85、搬送ローラ84からの用紙Pの送り出し角度を規定する先端コロ86を設けている。これにより、給紙カセット64にセットした用紙Pを、インクジェット記録ヘッド74の下方側に搬送される。搬送ローラ84は副走査モータ87によってギヤ列を介して回転駆動される。
用紙ガイド部材である印写受け部材89は、キャリッジ73の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ84から送り出された用紙Pをインクジェット記録ヘッド74の下方側で案内する。この印写受け部材89の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ91、拍車92が設けられている。更に、用紙Pを排紙トレイ66に送り出す排紙ローラ93及び拍車94と、排紙経路を形成するガイド部材95、96とを配設されている。
画像記録時には、キャリッジ73を移動させながら画像信号に応じてインクジェット記録ヘッド74を駆動することにより、停止している用紙Pにインクを吐出して1行分を記録し、用紙Pを所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙Pの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙Pを排紙する。
キャリッジ73の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、インクジェット記録ヘッド74の吐出不良を回復するための回復装置97を有する。回復装置97はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有する。キャリッジ73は、印字待機中に回復装置97側に移動されてキャッピング手段でインクジェット記録ヘッド74をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。又、記録途中等に記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でインクジェット記録ヘッド74の吐出口を密封しチューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出す。又、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。更に、吸引されたインクは本体下部に設置された図示しない廃インク溜に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、インクジェット記録装置60は液滴吐出ヘッド50の一実施形態であるインクジェット記録ヘッド74を搭載している。液滴吐出ヘッド50は良好な圧電性を発現する(100)優先配向をしており良好な圧電特性を発現する電気機械変換膜43を備えているため、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られ、画像品質を向上できる。なお、インクジェット記録装置60は本発明に係る電子機器の代表的な一例である。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
1 シリコンウエハ
2 密着膜
3 下部電極
4、4A 配向制御層(膜)
5、5A 強誘電体膜
5−1、5−2・・・5−9、5−10 酸化物結晶層(アモルファス膜)
6、19 シリコンウエハ基板
10 自動成膜装置
11 収納部材
12 搬送装置
13 アライナー
14 スピナー塗布装置(塗布装置)
15 ホットプレート
16 RTA装置
17 冷却ステージ
30、50 液滴吐出ヘッド
31 ノズル板
32 ノズル
33 圧力室
34 圧力室基板
35 振動板
40 電気機械変換素子
41、152 密着層
42、153 下部電極
43 電気機械変換膜
44 上部電極
60 インクジェット記録装置
61 記録装置本体
62 印字機構部
64 給紙カセット
65 手差しトレイ
66 排紙トレイ
71 主ガイドロッド
72 従ガイドロッド
73 キャリッジ
74 インクジェット記録ヘッド
75 インクカートリッジ
77 主走査モータ
78 駆動プーリ
79 従動プーリ
80 タイミングベルト
81 給紙ローラ
82 フリクションパッド
83 ガイド部材
84 搬送ローラ
85 搬送コロ
86 先端コロ
87 副走査モータ
89 印写受け部材
91 搬送コロ
92 拍車
93 排紙ローラ
94 拍車
95、96 ガイド部材
97 回復装置
P 用紙
特許第4122430号公報 特開2002−367985号公報

Claims (12)

  1. 化学溶液堆積法を用いた、配向制御層の上に形成される強誘電体膜の成膜方法であって、
    アモルファス膜を成膜する第1工程を所定回数実施した後に、前記アモルファス膜を結晶化する第2工程を1回実施して酸化物結晶層を成膜する工程と、
    前記酸化物結晶層の成膜工程を複数回数繰り返して複数の前記酸化物結晶層が積層した強誘電体膜を前記配向制御層の上に形成する工程と、を有し
    前記積層された複数の酸化物結晶層の上層になるにしたがって膜厚を薄くすることを特徴とする強誘電体膜の成膜方法。
  2. 前記第1工程は前駆体液をスピンコーティング法によって塗布する塗布工程を含み、
    前記前駆体液を塗布する際、前記酸化物結晶層の上層になるにしたがってスピン回転条件を早く設定することで、前記酸化物結晶層の上層になるにしたがって厚みを薄くすることを特徴とする請求項1に記載の強誘電体膜の成膜方法。
  3. 前記酸化物結晶層を成膜する際、前記酸化物結晶層のすべての層について、前記第1工程を所定の複数回実施した後に前記第2工程を1回実施して前記酸化物結晶層を成膜することを特徴とする、請求項2に記載の強誘電体膜の成膜方法。
  4. 前記酸化物結晶層を成膜する際、前記酸化物結晶層の下層では前記第1工程を複数回実施した後に前記第2工程を1回実施し、上層になるにしたがって前記第1工程を少ない工数回実施した後に前記第2工程を1回実施することで、前記酸化物結晶層の上層になるにしたがって厚みを薄くすることを特徴とする請求項1項に記載の強誘電体膜の成膜方法。
  5. 前記第1工程は前駆体液をスピンコーティング法によって塗布する塗布工程を含み、
    前記前駆体液を塗布する際、前記酸化物結晶層のすべての層についてスピン回転条件を同一に設定することを特徴とする請求項4に記載の強誘電体膜の成膜方法。
  6. 前記第1工程は前駆体液をスピンコーティング法によって塗布する塗布工程を含み、
    前記前駆体液を塗布する際、前記酸化物結晶層の上層になるにしたがってスピン回転条件を早く設定することで、前記酸化物結晶層の上層になるにしたがって厚みを薄くすることを特徴とする請求項4に記載の強誘電体膜の成膜方法。
  7. 前記第1工程は、
    前駆体を塗布する塗布工程と、
    前記前駆体の塗膜を乾燥する乾燥工程と、
    前記前駆体の塗膜を熱分解してアモルファス膜を形成する熱分解工程と、を含むことを特徴とする請求項1〜6項のいずれか1項記載の強誘電体膜の成膜方法。
  8. 前記第1工程は、
    前駆体を塗布する塗布工程と、
    前記前駆体の塗膜を乾燥する乾燥工程と、
    前記前駆体の塗膜を熱分解してアモルファス膜を形成する熱分解工程と、
    前記アモルファス膜を冷却する冷却工程と、を含むことを特徴とする請求項1〜6項のいずれか1項記載の強誘電体膜の成膜方法。
  9. 前記第2工程は、
    前記アモルファス膜を結晶化して前記酸化物結晶層を生成する工程と、
    前記酸化物結晶層を冷却する工程と、を含むことを特徴とする請求項7又は8記載の強誘電体膜の成膜方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の強誘電体膜の成膜方法により成膜された強誘電体膜を備えた電子素子。
  11. 前記配向制御層は下部電極上に成膜され、
    前記電子素子は生成された強誘電体膜上に、成膜された上部電極を有することを特徴とする請求項10に記載の電子素子。
  12. 請求項10又は11記載の電子素子を備えた電子機器。
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