JP2015137604A - 排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法 - Google Patents

排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】排気ガス温度が低いガソリンエンジンにおいても飽和炭化水素を効率良く浄化できるようにすると共に、飽和炭化水素以外の芳香族炭化水素及び不飽和炭化水素をも効率良く酸化浄化できるようにする。
【解決手段】排気ガス浄化触媒装置1は、エンジンの排気ガス通路内に配置され、触媒金属としてのPtを含み且つPd及びRhを含まない第1触媒10と、第1触媒10よりも排気ガス流れ方向下流側に配置され、HCトラップ材を含むHCトラップ部20と、HCトラップ部20よりも排気ガス流れ方向下流側に配置され、触媒金属としてのPd及びRhを含む第2触媒30とを備え、第1触媒10におけるPtはサポート材としてのシリカ−アルミナに担持されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法に関する。
従来、ガソリンエンジンから排出される排気ガスの浄化には、主に白金(Pt)、パラジウム(Pd)及びロジウム(Rh)を触媒金属として含むトリメタル触媒が用いられている。このようなトリメタル触媒においては、一層の触媒層内に上記3種の触媒金属が混合された触媒、並びに触媒層の下層にPdを含み、上層にRhを含み、下層及び上層の少なくとも一方の層にPtを含む二層タイプの触媒が提案されている。また、これらの他に、排気ガス流れ方向上流側と下流側とで上記触媒金属が分離担持された触媒、及びハニカム担体の中心部と周縁部とで異なる触媒金属種が担持されている、又は異なる担持濃度に調製された触媒等の種々のタイプの触媒が提案されている。
ところで、近年、次世代のエンジン燃焼技術として、予混合圧縮自己着火(Homogeneous Charge Compression Ignition:HCCI)燃焼が注目されている。HCCI燃焼は、エンジンの運転状態に応じて、燃焼室内のガソリンをリーン雰囲気で圧縮自己着火させて燃焼させる燃焼方式である。HCCI燃焼は、筒内最高圧力(Pmax)や筒内圧力上昇率(dP/dθ)の制約があることから、現状ではその運転領域が限られているため、エンジンの低負荷側をHCCI燃焼による運転領域とし、高負荷側を点火プラグによるアシストで燃料を燃焼させる火花点火(Spark Ignition:SI)燃焼による運転領域として燃焼モードを切り替えるエンジンの開発が進められている。HCCI燃焼の排気ガス組成について本発明者らが調べたところ、その排気ガスには炭素数5の飽和炭化水素(n−ペンタン、i−ペンタン)やCOが大量に含まれていることが判明した。これは、燃料がガソリンであり、これを低温燃焼させることが原因であると考えられる。
このような飽和炭化水素は、HCCI燃焼エンジンの排気ガスほどではないものの、通常のストイキ近傍で燃焼させるエンジンの排気ガスにおいても含有されている。このため、通常のガソリンエンジンにおいて、エンジン始動時のような排気ガス温度が低温である場合には、上記触媒金属が未だ活性化していないので、上記飽和炭化水素が十分に酸化浄化されずに排出されてしまう。
上記飽和炭化水素を酸化させるための触媒として、アルミニウム(Al)/ケイ素(Si)原子比が5〜60のシリカ−アルミナに白金族金属が担持されてなる炭化水素燃焼用触媒が特許文献1に提示されている。特許文献1によると、上記触媒において白金族金属としてPdを担持した場合、飽和炭化水素であるプロパン(C)の燃焼に優れ、その用途としては、ボイラー、航空機用ジェットエンジン、自動車用ガスタービン、発電用ガスタービン等の触媒燃焼方式を利用した高温燃焼器に用いる触媒として好適であるとされている。
特開平5−309270号公報
しかしながら、特許文献1の触媒では、上記の通り、プロパンの燃焼に優れているものの、プロパンよりも炭素数が多く、燃焼され難いペンタン(C12)を効率良く燃焼できるかどうか明らかでない。また、自動車エンジンのように運転条件によって空燃比が大きく変化し、始動直後においては触媒温度が比較的低温である場合、触媒性能を十分に発揮できずに炭化水素を浄化し難いという問題もある。特に、上記HCCI燃焼時はリーン燃焼であるため、触媒金属としてPdを用いた場合、Pdが酸化状態で維持されて炭化水素の燃焼が十分にできない。また、排気ガス成分としては、上記飽和炭化水素以外に芳香族炭化水素や不飽和炭化水素も含まれており、さらに炭化水素以外に排気ガス成分としてCOやNOが含まれており、これらを効率良く浄化できるようにすることも重要である。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排気ガス温度が低いガソリンエンジンにおいても飽和炭化水素を効率良く浄化できるようにすると共に、飽和炭化水素以外の芳香族炭化水素及び不飽和炭化水素等の他の排気ガス成分をも効率良く浄化できるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、排気ガス浄化触媒装置において、触媒金属としてのPtをシリカ−アルミナに担持させ、このPtを担持するシリカ−アルミナを含む第1触媒を排気ガス通路内の配置し、その下流側にHCトラップ部を配置し、さらにその下流側に第2触媒を配置した。
具体的に、本発明に係る排気ガス浄化触媒装置は、エンジンから排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化触媒装置であって、エンジンの排気ガス通路内に配置され、触媒金属としてのPtを含み且つPd及びRhを含まない第1触媒と、第1触媒よりも排気ガス流れ方向下流側に配置され、HCトラップ材を含むHCトラップ部と、HCトラップ部よりも排気ガス流れ方向下流側に配置され、触媒金属としてのPd及びRhを含む第2触媒とを備え、第1触媒におけるPtはサポート材としてのシリカ−アルミナに担持されていることを特徴とする。
本発明に係る排気ガス浄化触媒装置では、Ptを担持するサポート材としてシリカ−アルミナを用いており、シリカ−アルミナは、比表面積が大きく、担持されるPtの分散性を向上できる。さらに、シリカ−アルミナは、細孔径が小さいため、Ptを細孔内でなく、表面上に多く担持することができる。これらにより、Ptと飽和炭化水素を含む排気ガスとの接触性を向上できる。Ptは、飽和炭化水素の酸化浄化性能に優れており、このようなPtと飽和炭化水素を含む排気ガスとの接触性を向上することにより、飽和炭化水素を高効率で酸化浄化することが可能となる。また、Ptが担持されたシリカ−アルミナ(Pt担持シリカ−アルミナ)は、エンジンにより近い排気ガス通路の上流側に設けられた第1触媒に含有されており、比較的に早く昇温して触媒活性を上げることができる。このため、上記飽和炭化水素を効率良く酸化浄化することができる。また、Pt担持シリカ−アルミナは、特に炭素数5以上の飽和炭化水素の酸化浄化能に優れており、炭素数5以上の飽和炭化水素が酸化浄化されると、他のCOやトルエン等の排気ガス成分が酸化される場合よりも多くの生成熱が生じる。このため、第1触媒で生じた生成熱により、下流側に設けられた第2触媒の触媒温度を昇温できて触媒性能を十分に発揮させることが可能となる。また、本発明の排気ガス浄化触媒装置では、第1触媒と第2触媒との間にHCトラップ材を含むHCトラップ部が設けられており、エンジン始動直後の排気ガス温度が低温である際に、HCをトラップすることができる。その後、排気ガス温度が上昇することでトラップされたHCを脱離することができる。このため、エンジン始動直後の排気ガス温度が低温であり、未だ第2触媒が十分に活性化していない際には、HCトラップ部がHCをトラップして第2触媒に流入するHC量を低減することができる。その後、HCトラップ部及び第2触媒に流入する排気ガスの温度が上昇することで、HCトラップ部からHCが脱離し、また、第2触媒が活性化するため、活性化した第2触媒で脱離されたHCを効率良く酸化浄化することができる。第2触媒には、Rh及びPdが含まれており、Rhはスチームリフォーミング反応に寄与し、この反応によりHが生成されるため、NOの還元浄化を促進でき、また、飽和炭化水素やその他の芳香族炭化水素及び不飽和炭化水素等のHC及びCOの部分酸化にも寄与する。一方、Pdは低温酸化能に優れており、Rhにより部分酸化された上記HC及びCOを高効率で酸化できる。すなわち、本発明に係る排気ガス浄化触媒装置によると、高効率で排気ガスを浄化することができる。
本発明に係る排気ガス浄化触媒装置において、第2触媒は、HCトラップ材を含むHCトラップ層と、該HCトラップ層の上に触媒金属としてのPd及びRhを含むPd/Rh含有層が設けられてなる積層構造を含むことが好ましい。
このようにすると、排気ガス温度が低温時に、HCトラップ部のみならず、第2触媒におけるHCトラップ層においてもHCをトラップでき、排気ガス温度の上昇後にHCを脱離し、活性化した第2触媒により効率良くHCを酸化浄化することができる。
本発明に係る排気ガス浄化触媒装置において、第1触媒よりも排気ガス流れ方向上流側における排気ガス通路内壁に断熱手段が設けられていることが好ましい。このとき、断熱手段としては、二重管構造及び低熱伝導材からなる断熱層のうち少なくとも一方を用いることができる。
このようにすると、エンジンから排出された排気ガスを、その温度を維持して第1触媒に流すことができるため、第1触媒の触媒活性を効率良く向上することができる。
本発明に係る排気ガス浄化触媒装置において、エンジンは、HCCI燃焼が可能なエンジンであることが好ましい。
上述の通り、HCCI燃焼の排気ガスには炭素数5の飽和炭化水素(n−ペンタン、i−ペンタン)が大量に含まれており、そのような飽和炭化水素の浄化能が高い本発明に係る排気ガス浄化触媒装置をHCCI燃焼が可能なエンジンに適用することで、排気ガスの浄化を高効率で行うことができる。
本発明に係る排気ガス浄化方法は、上記の排気ガス浄化触媒装置を用いてエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法であって、エンジン始動直後に排出される排気ガス中の炭化水素をHCトラップ部でトラップし、第1触媒によりエンジン始動以降の排気ガス中の炭素数5以上の飽和炭化水素を酸化浄化し、その酸化浄化による生成熱によってHCトラップ部及び第2触媒に流入する排気ガス温度を高め、HCトラップ部に流入する排気ガス温度の上昇によって、トラップされた前記の炭化水素を脱離させ、第2触媒に流入する排気ガス温度の上昇によって、第2触媒におけるPd及びRhを活性化させ、第2触媒により脱離された炭化水素を酸化浄化することを特徴とする。
本発明に係る排気ガス浄化方法によると、Pt担持シリカ−アルミナを含む第1触媒では飽和炭化水素のうちC12等の炭素数5以上の飽和炭化水素を効率良く酸化浄化でき、その際に生じる生成熱は上記の通り大きいため、第1触媒で生じた生成熱により、その後に排気ガスに接触するように配置された第2触媒の触媒温度を昇温できて触媒性能を十分に発揮させることが可能となる。これにより、排気ガス成分を効率良く浄化することができる。また、エンジン始動直後の排気ガス中のHCをHCトラップがトラップするため、排気ガス温度が未だ上昇しておらず触媒活性が十分に発揮されないときに、HCが浄化されずに外部に排出することを防止できる。そして、排気ガス温度が上昇した際にHCを脱離して下流の第2触媒により酸化浄化することができる。
本発明に係る排気ガス浄化触媒装置及び排気ガス浄化方法によると、Ptを担持するサポート材としてシリカ−アルミナを用いているため、Ptと飽和炭化水素を含む排気ガスとの接触性を向上できるので、飽和炭化水素を高効率で酸化浄化することが可能となる。さらに、Pt担持シリカ−アルミナを含む第1触媒を第2触媒よりも、排気ガス流れ方向上流側に設けているため、飽和炭化水素の酸化浄化により生じた生成熱によって、第2触媒の活性を向上することができる。また、エンジン始動直後の排気ガス中のHCをHCトラップがトラップするため、排気ガス温度が未だ上昇しておらず触媒活性が十分に発揮されないときに、HCが浄化されずに外部に排出することを防止できる。
本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒装置における第1触媒の斜視図及び部分拡大図である。 本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒装置における第1触媒の触媒層構成を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒装置における第2触媒の触媒層構成の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒装置における第2触媒の触媒層構成の他の例を示す断面図である。 Pt担持シリカ−アルミナとPt担持γアルミナとに対して行ったX線回折(XRD)の結果を示すグラフ図である。 (a)及び(b)は、Pt担持シリカ−アルミナ及びPt担持γアルミナの細孔分布を示すグラフ図であり、(a)はエージング処理を行っていない場合を示し、(b)はエージング処理を行った場合を示している。 Pt担持シリカ−アルミナ及びPt担持γアルミナのC12浄化性能を示すグラフ図である。 実施例及び比較例のHC浄化率を示すグラフ図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでない。
図1は、本発明の実施形態に係る排気ガス浄化触媒装置1の構成を示しており、2はエンジンのシリンダヘッド、3はエンジンの排気ポートに接続された排気マニホールド、4は排気マニホールドの排気ガス流れ方向下流端に接続された排気管を示している。また、10は排気マニホールド3の排気ガス流れ方向下流側に位置する集合部に設けられた第1触媒、20は排気管4の排気ガス流れ方向上流側に設けられたHCトラップ部、30は排気管4の排気ガス流れ方向下流側に設けられた第2触媒をそれぞれ示している。すなわち、排気ガス通路内において、排気ガス流れ方向上流側から下流側に向かって第1触媒10、HCトラップ部20及び第2触媒30が順次配置されている。また、本実施形態において、排気マニホールド3の内壁には断熱手段としての断熱層40が設けられている。このように第1触媒10よりも排気ガス流れ方向上流側に断熱層40が設けられることで、エンジンからの排気ガスを、その温度を維持して第1触媒10にまで流すことができて、第1触媒10の触媒活性を向上することができる。断熱層40としては、排気ガス通路壁の材料よりも熱伝導率が低い材料からなるものであれば特に限られず、例えばジルコニア等の無機酸化物の他に、Siを主体とするシリコーン樹脂やケイ酸ガラス等を用いることができる。なお、断熱手段としては断熱層40に限られず、例えば排気マニホールド3を二重管構造にしてもよい。また、本実施形態におけるエンジンは、通常の点火プラグによるアシストで燃料を燃焼させる火花点火(Spark Ignition:SI)燃焼のみを行うものに限られない。この他に、例えばエンジンの低負荷側を予混合圧縮自己着火(Homogeneous Charge Compression Ignition:HCCI)燃焼による運転領域とし、高負荷側を上記点火プラグによるアシストで燃料を燃焼させる火花点火(Spark Ignition:SI)燃焼による運転領域として燃焼モードを切り替えるエンジンであってもよいし、低負荷から高負荷までの全域でHCCI燃焼を行うエンジンであってもよい。
図2は第1触媒10の構成について示している。第1触媒10は、コージェライト製のハニカム担体11の排気ガス通路壁に触媒層12が配設されて構成されている。なお、第2触媒30は、第1触媒10と比較して、触媒層12の構成成分が異なるのみであり、他の構成は同一である。また、HCトラップ部20は、第1触媒10と比較して、触媒層12の代わりにHCトラップ材を含むHCトラップ層がハニカム担体11の排気ガス通路壁に形成されていることのみが異なり、他の構成は同一である。
<触媒層の構成>
次に、本実施形態の第1触媒10及び第2触媒30の触媒層構成について説明する。図3は第1触媒10の触媒層構成を示す断面図であり、図4は第2触媒30の触媒層構成を示す断面図である。
図3に示すように、第1触媒10では、ハニカム担体11の排気ガス通路壁(基材)上に触媒層としてPt含有触媒層13が設けられている。Pt含有触媒層13には、シリカ−アルミナにPtが担持されてなるPt担持シリカ−アルミナが含まれている。また、Pt含有触媒層13には、バインダーが含まれており、バインダー原料としては、例えば硝酸ジルコニルが用いられ得る。また、第1触媒10において、触媒金属としてPtの他にPdが含まれていてもよい。この場合、Pt含有触媒層13にPdが含まれていてもよいし、以下に説明するPd含有触媒層31をPt含有触媒層13とハニカム担体11の排気ガス通路壁との間に設けて二層構造としてもよい。
一方、第2触媒30では、図4に示すように、ハニカム担体11の排気ガス通路壁(基材)上に、Pd含有触媒層(下層)31が形成され、該Pd含有触媒層31上、すなわち排気ガス通路側にRh含有触媒層(上層)32とが形成されている。
Pd含有触媒層31には、サポート材に担持された触媒金属としてのPdが含まれている。例えば、Pd含有触媒層31は、活性アルミナ(γアルミナ)にPdが担持されたPd担持アルミナ、並びにZr及びCeを含有するZrCe系複合酸化物にPdが担持されたPd担持ZrCe系複合酸化物を含む。さらに、Pd含有触媒層31は、酸素吸蔵放出能(OSC)を有するセリア等のOSC材を含んでいてもよい。また、Pd含有触媒層31には、バインダーが含まれており、バインダー原料としては、例えば硝酸ジルコニルが用いられ得る。
一方、Rh含有触媒層32は、サポート材に担持された触媒金属としてのRhが含まれている。また、Rh含有触媒層32には、例えば活性アルミナ(γアルミナ)にRhが担持されたRh担持アルミナ、及びZr及びCeを含有するZrCe系複合酸化物にRhが担持されたRh担持ZrCe系複合酸化物が含まれている。さらに、Rh含有触媒層32にもバインダーが含まれており、バインダー原料としては、例えば硝酸ジルコニルが用いられ得る。
ここでは、第2触媒30としてPd含有触媒層31とRh含有触媒層32との二層構造を含む構成について説明したが、Pd及びRhを含む一層の触媒層がハニカム担体11の排気ガス通路壁上に形成された構成であっても構わない。また、図5に示すように、このPd及びRhを含む一層のPd/Rh含有触媒層33とハニカム担体11の排気ガス通路壁との間にHCトラップ材を含むHCトラップ層34が設けられた構成であっても構わない。さらに、上記Pd含有触媒層31及びRh含有触媒層32の二層構造触媒層と、ハニカム担体20の排気ガス通路壁との間にHCトラップ層34が設けられた構成であってもよい。
このようにHCトラップ層を設けることで、排気ガス温度が低温時に、HCトラップ部20のみならず、第2触媒30におけるHCトラップ層34においてもHCをトラップでき、排気ガス温度の上昇後にHCを脱離し、活性化した第2触媒30により効率良くHCを酸化浄化することができる。
<触媒材の調製方法>
次に、上記の触媒層に含まれる触媒材の調製方法について説明する。
まず、Pd含有触媒層に含まれるPd担持ZrCe系複合酸化物の調製方法について説明する。ここでは、ZrCe系複合酸化物としてZrCeNd複合酸化物を用いた場合について説明する。ZrCeNd複合酸化物は共沈法を用いて調製できる。具体的に、硝酸セリウム6水和物、オキシ硝酸ジルコニウム溶液、硝酸ネオジム6水和物及びイオン交換水を混合してなる硝酸塩溶液に、28質量%アンモニア水の8倍希釈液を混合して中和することにより共沈物を得る。この共沈物を含む溶液を遠心分離器にかけて上澄み液を除去する(脱水)、そこにさらにイオン交換水を加えて撹拌する(水洗)、という操作を必要回数繰り返す。その後、共沈物を大気中において150℃程度で一昼夜乾燥し、粉砕した後、大気中において500℃程度で2時間焼成する。これにより、CeZrNd複合酸化物の粉末を得ることができる。また、得られたZrCeNd複合酸化物の粉末に対して、硝酸パラジウム水溶液を用いた蒸発乾固法を行うことによってZrCeNd複合酸化物にPdを担持できる。
具体的に、蒸発乾固法は、以下のようにして行うことができる。まず、ZrNdPr複合酸化物粒子材にイオン交換水を加えてスラリー状にし、それをスターラー等により十分に撹拌する。続いて、撹拌しながらそのスラリーに所定量のジニトロジアミンPd硝酸溶液を滴下し、十分に撹拌する。その後、加熱しながらさらに撹拌を続けて、水分を完全に蒸発させる。蒸発後、大気中において500℃程度で2時間焼成することにより、Pd担持ZrCeNd複合酸化物が得られる。このZrCe系複合酸化物は、Ndの他にLaやY等の希土類金属が添加されたものでもよい。
次に、Pd担持アルミナの調製方法について説明する。本実施形態では、熱安定性を向上させるために、アルミナとして例えば4質量%のLaを含有するLa含有アルミナを用いることができる。このLa含有アルミナに対して、上記と同様にジニトロジアミンPd硝酸溶液を用いた蒸発乾固法を行うことによって、Pd担持アルミナを得ることができる。
上記のようにして得られたPd担持ZrCeNd複合酸化物及びPd担持アルミナと、セリア及びZrCeNd複合酸化物等のOSC材とに、硝酸ジルコニル等のバインダー及びイオン交換水を加え、混合してスラリー状にする。このスラリーを担体上にコーティングし、150℃程度で乾燥させた後、500℃程度で2時間焼成することにより、担体上にPd含有触媒層を形成することができる。
次に、Rh含有触媒層に含まれるRhを含有する触媒成分の調製方法について説明する。まず、Rh担持ZrCe系複合酸化物としてのRh担持ZrCeNd複合酸化物の調製方法を説明する。Rh担持ZrCeNd複合酸化物は、上記のように調製したZrCeNd複合酸化物に対して硝酸ロジウム水溶液を用いて、上記と同様に蒸発乾固法を行うことにより得られる。
また、Rh担持アルミナも同様に、アルミナに対して硝酸ロジウム水溶液を用いて蒸発乾固法を行うことにより得られる。ここで、本実施形態においては、アルミナとして、上記と同様にLa含有アルミナを用いてもよいし、Zrを含むZr系複合酸化物を担持したLa含有アルミナであるZr−La含有アルミナを用いてもよい。
次に、Pt含有触媒層に含まれるPtを含有する触媒成分の調製方法について説明する。まず、Ptを担持するためのシリカ−アルミナの調製方法について説明する。所定量のアルミニウムアルコキシドとケイ素アルコキシドとをグリコールに懸濁し、その懸濁液に対して窒素等の不活性ガス雰囲気で200℃〜400℃程度の熱処理を2時間程度行う。その後、得られた反応物をメタノール等で洗浄し、乾燥した後、500℃〜1500℃程度で2時間焼成する。これにより、シリカ−アルミナを得ることができる。得られたシリカ−アルミナに対し、ジニトロジアミンPt硝酸溶液を用いて上記蒸発乾固法を行うことにより、Pt担持シリカ−アルミナを得ることができる。また、別の方法として、ゾルゲル法によりシリカ−アルミナを得て、これに上記蒸発乾固法でPtを担持させてもよい。
<HCトラップ部の形成方法>
HCトラップ部に用いるHCトラップ材としては、通常用いられるHCトラップ材を用いることができ、例えばβゼオライトを用いることができる。βゼオライトを所定の溶媒と混合し、ハニカム担体の排気ガス通路壁にコーティングした後、150℃程度で乾燥し、500℃程度で2時間焼成することでHCトラップ部を得ることができる。
<シリカ−アルミナについて>
本実施形態では、上記のようにPtを担持するサポート材として、通常の活性アルミナ(γアルミナ)ではなく、シリカ−アルミナを用いている。本実施形態で用いられるシリカ−アルミナは、SiOとAlとが単に混合されたもの、或いはZSM−5に代表される10Å前後の特定の細孔径を有したゼオライトではなく、AlがSiにより修飾されたものであり、Si原子とAl原子とがO原子を介して結合している複合酸化物の状態である。ここで、本実施形態で用いられるPt担持シリカ−アルミナと、通常のγアルミナにPtが担持されたPt担持γアルミナに対してX線回折(XRD)を行って、それらの結晶構造を解析した結果を図6に示す。
図6に示すように、Pt担持γアルミナにおいては、複数のγアルミナに係るピーク(●で示している)が認められた。また、当然に、Pt担持γアルミナにおいて、SiOに係るピーク(◇で示している)は認められなかった。一方、Pt担持シリカ−アルミナにおいても、γアルミナに係る複数の大きいピークが認められ、SiOに係るピークは認められなかった。すなわち、シリカ−アルミナは、SiOの結晶構造を有しておらず、Al結晶構造中のOにSiが結合しており、Si原子がAl原子と共にO原子を共有するようにSi原子とAl原子とがO原子を介して結合している複合酸化物の状態となっていると考えられる。
なお、図6において、Pt担持シリカ−アルミナ(20)は、シリカ−アルミナ中にSiOが20重量%含まれているものであり、同様にPt担持シリカ−アルミナ(14)は、シリカ−アルミナ中にSiOが14重量%含まれているものであり、Pt担持シリカ−アルミナ(7)は、シリカ−アルミナ中にSiOが7重量%含まれているものである。但し、上記の通り、シリカ−アルミナ中にはSiとAlとが共有するOが含まれており、例えばPt担持シリカ−アルミナ(20)では、Alと共有するOを含めてSiOが20重量%含有されているものとする。Pt担持シリカ−アルミナ(20)、Pt担持シリカ−アルミナ(14)及びPt担持シリカ−アルミナ(7)を比較すると、それらの間で大きな差は認められなかった。また、本発明において、シリカ−アルミナ中に含有させるSiO量は特に限定しないが、30重量%程度になるとSiOの結晶相が単離することで比表面積の低下を招くおそれがあるので、30重量%未満が好ましく、20重量%以下であればより好ましい。
次に、上記のようなシリカ−アルミナを、Ptを担持するサポート材として用いる利点について以下に説明する。
まず、Pt担持シリカ−アルミナと、シリカを含まないPt担持γアルミナとの細孔分布及び比表面積を測定し、それらを比較した結果について説明する。ここでは、SiOが20重量%含まれているシリカ−アルミナにPtが0.5重量%担持されたPt担持シリカ−アルミナと、シリカを含まないγアルミナにPtが担持されたもの(Pt担持γアルミナ)との細孔分布を測定し、また、比表面積を測定した。なお、Pt担持シリカ−アルミナ及びPt担持γアルミナに対して、2%O、10%HO、Nガス雰囲気下で1000℃、24時間のエージング処理を行った場合と該処理を行わなかった場合のものに対してそれぞれ上記測定を行った。上記細孔分布の測定結果を図7(a)及び(b)に示す。なお、図7(a)は上記エージング処理を行っていない場合の結果を示し、図7(b)は上記エージング処理を行った場合の結果を示している。また、比表面積の測定結果を表1に示す。
図7(a)及び(b)に示すように、エージング処理を行った場合、及びエージング処理を行っていない場合のいずれの場合でも、Pt担持シリカ−アルミナでは10nm以下に最も大きいピークがあり、Pt担持γアルミナでは20nm〜30nm程度に最も大きいピークがある。すなわち、Pt担持γアルミナよりもPt担持シリカ−アルミナの方が、細孔径が小さい。本実施形態では、上述のジニトロジアミンPt硝酸溶液を用いた蒸発乾固法によりPtをサポート材に担持しており、この場合、担持されるPtの粒径は10nm程度となる。このため、Pt担持γアルミナでは、Pt粒子が細孔内に多く担持され、一方、Pt担持シリカ−アルミナでは、Pt粒子がシリカ−アルミナの細孔内でなく、表面上により多く担持され得る。このため、Pt担持シリカ−アルミナを用いると、Ptがシリカ−アルミナの表面上に多く存在するので、Ptと排気ガスとの接触性を向上することが可能となり、排気ガス中の飽和炭化水素の燃焼を高効率で行うことができることが示唆される。
また、表1に示すように、上記エージング処理を行った場合、及び行わなかった場合のいずれの場合においても、Pt担持γアルミナよりもPt担持シリカ−アルミナの方が、比表面積が高いことがわかる。このため、シリカ−アルミナにPtを担持する方が、Ptの分散性を向上できる。すなわち、Pt担持シリカ−アルミナを用いると、Ptと排気ガスとの接触性を向上することが可能となり、排気ガス中の飽和炭化水素の燃焼を高効率で行うことができることが示唆される。
次に、Pt担持シリカ−アルミナ及びPt担持γアルミナのペンタン(C12)の燃焼性能を測定し、それらを比較した。Pt担持シリカ−アルミナ及びPt担持γアルミナのペンタンの燃焼性能を測定するために、以下の試験を行った。
まず、担体として、セル壁の厚さが3.5milであり、1平方インチ当たりのセル数が600である担体容量25mlのコージェライト製六角セルハニカム担体(直径25.4mm、長さ50mm)に、上記Pt担持シリカ−アルミナ、及びPt担持γアルミナをそれぞれ設けた。具体的には、上記のようにPt担持シリカ−アルミナ及びPt担持γアルミナのそれぞれに、イオン交換水及びバインダーを加えて、得られたスラリーを上記担体にコーティングし、乾燥及び焼成することにより、それらを担体上に設けた。なお、サポート材であるシリカ−アルミナ又はγアルミナは、担体に100g/L(担体1L当たりの担持量、以下同じ。)設け、Ptは、それぞれ0.5g/L担持した。また、シリカ−アルミナにおけるSiOとAlとの重量比をSiO:Al=20:80とした。このようにして得られたハニカム触媒に対して、上記細孔分布の測定と同様のガス雰囲気下において900℃で50時間のエージング処理を行った後に、C12の浄化率を測定した。
この測定のために、まず、作製した各ハニカム触媒を、モデルガス流通反応装置に取り付け、ペンタン(イソペンタン)を含むモデルガスを導入した。モデルガスの組成は、イソペンタン(i−C12)が3000ppmC、COが1700ppm、Oが10.5%、COが13.9%、HOが10%、残部がNである。また、ガスの流量を26.1L/minとし、空間速度をSV=60000h−1とした。触媒に流入するモデル排気ガスの温度を常温から漸次上昇させていき、その触媒から流出するガスのC12の濃度変化を検出し、流出するC12量に基づいて、各ハニカム触媒のC12浄化率を測定した。この測定結果を図8に示す。
図8に示すように、ガス温度が500K程度まで上昇すると、Pt担持シリカ−アルミナがPt担持γアルミナよりも高いC12浄化率を示し、測定した750K程度までPt担持シリカ−アルミナの方が常に高いC12浄化率を示した。この結果から、シリカ−アルミナにPtを担持することにより、ペンタン等の飽和炭化水素をより高効率で浄化できることが示唆された。
次に、Ptを担持するシリカ−アルミナにおけるシリカ(SiO)とアルミナ(Al)との重量比と触媒性能との関係について検討するために、それらの重量比を変化させて、C12の浄化率を測定した。ここでは、C12浄化性能としてライトオフ温度(T50)の測定を行った。ライトオフ温度(T50)は、触媒に流入させるモデルガスの温度を常温から漸次上昇させていき、C12の浄化率が50%に達したときの触媒入口ガス温度である。モデルガスの組成は、上記試験と同一である。Ptを担持するシリカ−アルミナにおけるSiOの重量比を20重量%、10重量%又は5重量%とした。これら3種のPt担持シリカ−アルミナの他に、シリカ−アルミナでなくシリカにPtを担持したPt担持シリカについてもC12の浄化率(T50)を測定した。それらの測定結果を表2に示す。
表2に示すように、シリカ−アルミナにおいてSiOの含有量を20重量%とした場合が最もH12の浄化性能が高く、SiOの含有量を小さくするに従って、浄化性能も低減した。また、シリカ−アルミナでなくシリカにPtを担持した場合では、シリカ−アルミナにPtを担持したものと比較して、H12の浄化性能は明らかに低減した。このことから、Ptを担持するサポート材としてシリカ−アルミナを用いることで、H12を高効率で浄化できることがわかる。
以上のように、本実施形態に係る触媒によると、第1触媒10にPt含有触媒層13が設けられており、それらの中に含まれるシリカ−アルミナは比表面積が大きく、担持されたPtの分散性を向上でき、また、細孔径が小さいため、Ptを細孔内でなく、表面上に多く担持することができる。このため、Ptと飽和炭化水素を含む排気ガスとの接触性を向上できる。Ptは、飽和炭化水素の酸化浄化性能に優れており、このようなPtと飽和炭化水素を含む排気ガスとの接触性を向上することにより、飽和炭化水素を高効率で酸化浄化することが可能となる。
次に、上記排気ガス浄化触媒装置1を用いて、排気ガスを浄化する方法について説明する。本方法では、まず、エンジン始動直後において排出される排気ガス中の炭素数5以上の飽和炭化水素以外の炭化水素を優先的にHCトラップ部20でトラップする。また、第1触媒10によりエンジン始動以降の排気ガス中の特に炭素数5以上の飽和炭化水素を酸化浄化し、その酸化浄化による生成熱によってHCトラップ部20及び第2触媒に流入する排気ガス温度を高める。そうすると、HCトラップ部20に流入する排気ガス温度の上昇によって、トラップされた炭素数5以上の飽和炭化水素以外の炭化水素が脱離し、また、第2触媒30に流入する排気ガス温度の上昇により第2触媒30の活性が向上する。これによりHCトラップ部20から脱離された炭素数5以上の飽和炭化水素以外の炭化水素を活性化した第2触媒30が酸化浄化する。
このような排気ガス浄化方法によると、飽和炭化水素のうちC12等の炭素数が大きい飽和炭化水素を酸化浄化すると、その際に生じる生成熱は大きく、排気ガス流れ方向上流側に設けられたPt担持シリカ−アルミナを含む第1触媒で生じた生成熱により、下流側に設けられた第2触媒の触媒温度を昇温できて触媒性能を十分に発揮させることが可能となる。これにより、排気ガスを高効率で浄化することが可能となる。また、HCとラップ部により、第2触媒の活性が向上するまで、排気ガス中のHCをトラップすることができるため、エンジン始動直後等の触媒が活性化していない段階で外部に排出されるHC量を低減することができる。
以下に、本発明に係る排気ガス浄化触媒装置を詳細に説明するための実施例を示す。本実施例では、Pt担持シリカ−アルミナを含む第1触媒、HCトラップ材を含むHCトラップ部及びPd及びRhを含む第2触媒を排気ガス流れ方向上流側から下流側に向かって順次設けた排気ガス浄化触媒装置のHC浄化率を測定した。また、比較例として、第1触媒においてPt担持シリカ−アルミナではなく、Pt担持シリカとPt担持アルミナとの混合物を用いた触媒装置を作製し、このHC浄化率を測定した。
具体的に、実施例では、セル壁の厚さが3.5milであり、1平方インチ当たりのセル数が600である担体容量25mlのコージェライト製六角セルハニカム担体(直径25.4mm、長さ50mm)に、Pt担持シリカ−アルミナを含むPt含有触媒層を形成して第1触媒を得た。Pt含有触媒層は、上記Pt含有触媒層の調製方法に従って作製した。なお、シリカ−アルミナにおけるSiOとAlとの重量比をSiO:Al=20:80とした。このシリカ−アルミナ粉末に対して5重量%のジニトロジアミンPt硝酸溶液を用いて蒸発乾固法によりPtを担持した。調製したPt担持シリカ−アルミナに、イオン交換水及びバインダーを加えて、得られたスラリーを上記ハニカム担体にコーティングし、その後、150℃で乾燥及び500℃で2時間焼成することにより、Pt含有触媒層を担体上に設けた。なお、担体には、100g/L(担体1L当たりの担持量)のPt担持シリカ−アルミナが含まれるようにPt含有触媒層を設けた。
また、第2触媒のPd含有触媒層及びRh含有触媒層は、上記Pd含有触媒層及びRh含有触媒層の調製方法に従って作製した。それらの触媒層の成分を表3に示す。なお、表3では、各成分量を担体1L当たりの量(g/L)で示している。
表3において、Pd含有触媒層におけるOSC材及びPd担持セリアのZrCeNd複合酸化物の組成は、ZrO:CeO:Nd=67:23:10(質量比)であり、Rh含有触媒層のRh担持セリアのZrCeNd複合酸化物の組成は、ZrO:CeO:Nd=80:10:10(質量比)である。なお、本実施例では、Pd及びRhの蒸発乾固法による担持は、450℃で乾燥及び焼成を行った。また、上記触媒材とイオン交換水とを混合して調製されたスラリーを担体にコーティングした後の乾燥及び焼成は、担体を常温から450℃になるまで一定の昇温速度で1.5時間かけて昇温し、その温度に2時間保持することにより行った。さらに、本実施例では、Pd含有触媒層及びRh含有触媒層が設けられた担体に酢酸バリウム水溶液を含浸した。含浸後、担体を常温から200℃まで略一定の昇温速度で1.5時間かけて昇温し、その温度に2時間保持(乾燥)した。その後、200℃から500℃まで略一定の昇温速度で4時間かけて昇温し、その温度に2時間保持し(焼成)した。
また、HCトラップ部は、ハニカム担体に100g/Lになるようにβゼオライトをコーティングし、150℃で乾燥及び500℃で2時間焼成することにより得た。
一方、比較例は、上記実施例と比較して第2触媒及びHCトラップ部の構成は同一であり、第1触媒の構成のみが異なる。具体的に、比較例において、第1触媒のPt含有触媒層には、Pt担持シリカ−アルミナの代わりにPt担持シリカとPt担持アルミナとが20:80(質量比)の割合で含有されている。Pt担持シリカは、シリカ粉末に対してジニトロジアミンPt硝酸溶液を用いて蒸発乾固法によりPtを担持して得た。また、Pt担持アルミナは、アルミナ粉末に対して5重量%のジニトロジアミンPt硝酸溶液を用いて蒸発乾固法によりPtを担持して得た。調製したPt担持シリカ及びPt担持アルミナを20:80の質量比で混合し、イオン交換水及びバインダーを加えて、得られたスラリーを上記ハニカム担体にコーティングし、その後、150℃で乾燥及び500℃で2時間焼成することにより、Pt含有触媒層を担体上に設けた。なお、担体には、100g/L(担体1L当たりの担持量)のPt担持シリカ及びPt担持アルミナが含まれるようにPt含有触媒層を設けた。
上記実施例及び比較例のそれぞれの第1触媒、HCトラップ部及び第2触媒をモデルガス流通反応装置に取り付け、HC成分を含むモデルガスを流して、HC浄化性能を測定した。なお、第1触媒、HCトラップ部及び第2触媒は、第1触媒の排気ガス流れ方向下流側にHCトラップ部が位置し、HCトラップ部の排気ガス流れ方向下流側に第2触媒が位置するようにモデルガス流通反応装置に取り付けた。それらの触媒に対して予め、Oが2%、HOが10%の雰囲気下において800℃で24時間のエージング処理を行った。その後、N雰囲気下で100℃に温度を維持し、モデルガスを触媒に導入して5分後にモデルガス温度を100℃から30℃/分で上昇させると共に、第2触媒の出口におけるHC濃度を継続して測定し、その温度が250℃に上昇するまでの間のHC浄化率、及び300℃に上昇するまでの間のHC浄化率を測定した。モデルガスの組成は、n−ペンタンが1000ppmC、i−ペンタンが1000ppmC、トルエンが2000ppmC、COが1500ppm、NOが30ppm、Oが10%、HOが10%、残部がNである。また、ガスの流量を26.1L/minとし、空間速度をSV=42000h−1とした。実施例及び比較例の触媒の250℃及び300℃までの間のHC浄化率の測定結果を図9に示す。
図9に示すように、実施例の触媒と比較例の触媒とのHC浄化率を比較すると、実施例の触媒の方が、モデルガスの温度が250℃までの間のHC浄化率及び300℃までの間のHC浄化率の両方が高いことがわかる。これは、実施例では第1触媒にPt担持シリカ−アルミナが含まれており、特に、n−ペンタンやi−ペンタン等の酸化浄化能が比較例の触媒よりも高いためであると考えられる。さらに、n−ペンタンやi−ペンタン等の酸化による生成熱が下流側の第2触媒に流れて第2触媒の活性を向上するためであると考えられる。このように、Pt担持シリカ−アルミナを含む第1触媒を第2触媒の上流側に設けることで、HC等の排気ガス浄化性能を向上できることが示唆された。
1 排気ガス浄化触媒装置
2 シリンダヘッド
3 排気マニホールド
4 排気管
10 第1触媒
11 ハニカム担体
12 触媒層
13 Pt含有触媒層
20 HCトラップ部
30 第2触媒
31 Pd含有触媒層
32 Rh含有触媒層
33 Pd/Rh含有触媒層
34 HCトラップ層
40 断熱層

Claims (6)

  1. エンジンから排出される排気ガスを浄化する排気ガス浄化触媒装置であって、
    前記エンジンの排気ガス通路内に配置され、触媒金属としてのPtを含み且つPd及びRhを含まない第1触媒と、
    前記第1触媒よりも排気ガス流れ方向下流側に配置され、HCトラップ材を含むHCトラップ部と、
    前記HCトラップ部よりも排気ガス流れ方向下流側に配置され、触媒金属としてのPd及びRhを含む第2触媒とを備え、
    前記第1触媒における前記Ptはサポート材としてのシリカ−アルミナに担持されていることを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
  2. 前記第2触媒は、HCトラップ材を含むHCトラップ層と、該HCトラップ層の上に前記触媒金属としてのPd及びRhを含むPd/Rh含有層との積層構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化触媒装置。
  3. 前記第1触媒よりも排気ガス流れ方向上流側における排気ガス通路内壁に断熱手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化触媒装置。
  4. 前記断熱手段は、二重管構造及び低熱伝導材からなる断熱層のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項3に記載の排気ガス浄化触媒装置。
  5. 前記エンジンは、HCCI燃焼が可能なエンジンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の排気ガス浄化触媒装置。
  6. 請求1〜5のいずれか1項に記載の排気ガス浄化触媒装置を用いてエンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化方法であって、
    エンジン始動直後に排出される排気ガス中の炭化水素を前記HCトラップ部でトラップし、
    前記第1触媒によりエンジン始動以降の前記排気ガス中の炭素数5以上の飽和炭化水素を酸化浄化し、その酸化浄化による生成熱によって前記HCトラップ部及び第2触媒に流入する排気ガス温度を高め、
    前記HCトラップ部に流入する排気ガス温度の上昇によって、前記トラップされた前記炭化水素を脱離させ、
    前記第2触媒に流入する排気ガス温度の上昇によって、前記第2触媒におけるPd及びRhを活性化させ、前記第2触媒により前記脱離された炭化水素を酸化浄化することを特徴とする排気ガス浄化方法。
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