以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における印刷システムの構成例を示す図である。図1に示される印刷システム1において、一以上のユーザ端末30、メールサーバ40、管理サーバ10、認証サーバ50、保存サーバ60、及び一以上の画像形成装置20等は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークN1を介して通信可能に接続されている。ネットワークN1の一部又は全部は無線通信ネットワークでもよい。また、ユーザ端末30とネットワークN1との間には、移動体通信網が介在してもよい。なお、印刷システム1は、企業等の或る組織内において運用されていることとする。本発明の実施の形態において、当該組織を、「企業A」という。
ユーザ端末30は、印刷システム1のユーザが直接操作する情報処理装置である。例えば、ユーザは、ユーザ端末30を操作して、印刷システム1に対する印刷要求を入力する。ユーザ端末30の一例として、PC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistance)等が挙げられる。複数のユーザ端末30のそれぞれが、相互に異なる機種であってもよい。
なお、本実施の形態において、印刷システム1のユーザは、「正規ユーザ」と「ゲストユーザ」とに区別される。正規ユーザは、印刷システム1に対して(厳密には、後述されるユーザ情報記憶部52に対して)、当該ユーザの情報が登録されているユーザをいう。すなわち、正規ユーザは、印刷システム1のユーザとして予定されているユーザである。正規ユーザの一例として、企業Aの従業員が挙げられる。ゲストユーザは、印刷システム1に対して、当該ユーザの情報が登録されていないユーザをいう。すなわち、ゲストユーザは、本来であれば、印刷システム1の利用権限を有さないユーザである。ゲストユーザの一例として、企業Aの従業員以外の者が挙げられる。
メールサーバ40は、ユーザ端末30から送信される電子メールや、管理サーバ10から送信される電子メール等の転送を行うコンピュータである。例えば、ユーザ端末30は、ユーザからの指示に応じ、印刷要求を含む電子メールを管理サーバ10宛に送信する。印刷要求を含む電子メールには、印刷対象の電子データが添付されている。電子データのデータ形式は所定のものに限定されない。以下、ユーザ端末30から送信される、印刷要求を含む電子メールを、「印刷要求メール」という。
認証サーバ50は、企業Aのユーザごとの情報(以下、「ユーザ情報」という。)を管理し、ユーザ情報を用いた処理を実行するコンピュータである。例えば、認証サーバ50は、ユーザ名及びパスワード等が指定された認証要求に応じ、認証処理を実行する。また、認証サーバ50は、メールアドレスの存在確認要求、メールアドレスに対応するユーザ名の取得要求に応じた処理を実行する。すなわち、ユーザ情報には、ユーザ名に対応付けられて、当該正規ユーザのメールアドレスが含まれている。
管理サーバ10は、印刷要求メールの受信に応じ、印刷要求メールに含まれている電子データについて、印刷データの生成等を実行するコンピュータである。印刷データは、画像形成装置20が解釈可能なデータ形式を有する。管理サーバ10は、生成された印刷データを、印刷要求メールの送信元(送信者)のユーザのユーザ名、又は印刷要求メールごとに生成される識別子に関連付けて、保存サーバ60に送信する。印刷要求メールの送信元アドレスが、ユーザ名に対応付けられて認証サーバ50によって管理されている場合、印刷データにはユーザ名が関連付けられる。印刷要求メールの送信元アドレスが、ユーザ名に対応付けられて認証サーバ50によって管理されていない場合、印刷データには印刷要求メールごとに生成される識別子が関連付けられる。以下、当該識別子を、「PIN(Personal Identification Number)コード」という。なお、PINコードは、当該PINコードに係る印刷データの出力権限を示す識別子であるともいえる。
保存サーバ60は、管理サーバ10より送信された印刷データを保存するコンピュータである。
画像形成装置20は、保存サーバ60に保存されている印刷データのうち、ユーザによって当該画像形成装置20に入力されるユーザ名又はPINコードに関連付いている印刷データの印刷を実行する機器である。
図2は、本発明の実施の形態における管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。図2の管理サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
管理サーバ10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って管理サーバ10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
図3は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図3において、画像形成装置20は、コントローラ21、スキャナ22、プリンタ23、モデム24、操作パネル25、ネットワークインタフェース26、及びSDカードスロット27等のハードウェアを有する。
コントローラ21は、CPU211、RAM212、ROM213、HDD214、及びNVRAM215等を有する。ROM213には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM212は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU211は、RAM212にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD214には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM215には、各種の設定情報等が記憶される。
スキャナ22は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ23は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム24は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル25は、ユーザからの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段等を備えたハードウェアである。液晶パネルは、タッチパネル機能を有していてもよい。この場合、当該液晶パネルは、入力手段の機能をも兼ねる。ネットワークインタフェース26は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット27は、SDカード80に記憶されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置20では、ROM213に記憶されたプログラムだけでなく、SDカード80に記憶されたプログラムもRAM212にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD−ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード80が代替されてもよい。すなわち、SDカード80の位置付けに相当する記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット27は、記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。
なお、本実施の形態において、画像形成装置20は、スキャナ22及びモデム24を必ずしも有していなくてもよい。すなわち、画像形成装置20は、複合機ではなく、プリンタでもよい。
図4は、本発明の実施の形態における印刷システムの機能構成例を示す図である。図4において、管理サーバ10は、メール受信部11、アドレス確認部12、機器グループ特定部13、機器リスト取得部14、PINコード生成部15、印刷情報生成部16、応答メール生成部17、メール返信部18、及び印刷情報送信部19等を有する。これら各部は、管理サーバ10にインストールされた一以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理によって実現される。管理サーバ10は、また、機器グループ記憶部111及び機器リスト記憶部112等を利用する。これら各記憶部は、補助記憶装置102、又は管理サーバ10にネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現可能である。
メール受信部11は、印刷要求メールを受信する。厳密には、メール受信部11は、印刷要求メールの宛先とされているメールアドレス宛の電子メールを、POP(Post Office Protocol)等を利用して、メールサーバ40より取得する。印刷要求メールには、ユーザが印刷させたい印刷対象データ(例えば、メール本文や添付ファイル等)が含まれる。例えば、ユーザは、ユーザ端末30から印刷対象データを含むメールを、特定のドメインのメールアドレスを宛先とする送信する。メール受信部11は宛先に当該特定のドメインが設定されたメールを受信することで、当該メールが印刷要求メールであることを認識する。本実施の形態では、印刷要求メールの宛先とされるメールアドレス(以下、「宛先アドレス」という。)は複数用意される。したがって、メール受信部11は、複数の宛先アドレスのそれぞれに対する印刷要求メールをメールサーバ40より取得する。複数の宛先アドレスは、印刷先として利用可能な画像形成装置20の集合が相互に異なる。換言すれば、宛先アドレスごとに、印刷先として利用可能な画像形成装置20が制限される。以下、各宛先アドレスに対応する1以上の画像形成装置20の集合を、「機器グループ」という。ユーザは、自らが印刷先として利用した画像形成装置20が属する機器グループに対応する宛先アドレスに、印刷要求メールを送信する必要が有る。
アドレス確認部12は、認証サーバ50に対して、印刷要求メールの送信元アドレスの存在確認要求を送信することにより、当該送信元アドレスが、認証サーバ50に登録されているか否かを確認する。アドレス確認部12は、送信元アドレスが認証サーバ50に登録されている場合、当該送信元アドレスに対応するユーザ名を、認証サーバ50より取得する。
機器グループ特定部13は、メール受信部11によって受信された印刷要求メールの宛先アドレスを、機器グループ記憶部111が記憶する情報に当てはめることにより、当該印刷要求メールに対応する機器グループの名前(以下、「機器グループ名」という。)を特定する。機器グループ記憶部111は、宛先アドレスごとに、機器グループ名を対応付けて記憶する。
機器リスト取得部14は、機器グループ特定部13によって特定された機器グループ名に係る機器グループに属する画像形成装置20の識別情報の一覧(以下、「機器リスト」という。)を、機器リスト記憶部112から取得する。機器リスト記憶部112は、印刷システム1において利用可能な画像形成装置20ごとに、当該画像形成装置20の属性情報を記憶する。属性情報には、当該画像形成装置20が属する機器グループの機器グループ名が含まれる。
PINコード生成部15は、送信元アドレスが認証サーバ50に登録されていない場合に、PINコードを生成する。すなわち、ゲストユーザからの印刷要求メールに対してPINコードが生成される。印刷情報生成部16は、印刷要求メールに対応する印刷情報を生成する。印刷情報には、印刷データや当該印刷データの印刷ジョブに関する情報の他、ユーザ名又はPINコードや、機器グループ特定部13によって特定された機器グループ名等が含まれる。
応答メール生成部17は、印刷要求メールに対する応答としての電子メール(以下、「応答メール」という。)を生成する。応答メールには、各印刷データに基づく印刷ジョブの識別情報が含まれる。応答メールには、また、印刷要求メールに関してPINコードが生成された場合、当該PINコードが含まれる。
メール返信部18は、印刷要求メールの送信元アドレス宛に、応答メールを返信する。印刷情報送信部19は、印刷情報生成部16によって生成された印刷情報を保存サーバ60に送信して、当該印刷情報を保存サーバ60に保存させる。
認証サーバ50は、要求応答部51及びユーザ情報記憶部52等を有する。ユーザ情報記憶部52は、正規ユーザごとに、ユーザ情報を記憶する。要求応答部51は、認証要求、メールアドレスの存在確認要求、及びメールアドレスに対応するユーザ名の取得要求等に応じた処理を実行する。なお、要求応答部51は、認証サーバ50にインストールされたプログラムが、認証サーバ50のCPUに実行させる処理により実現される。ユーザ情報記憶部52は、認証サーバ50の補助記憶装置、又は認証サーバ50にネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現可能である。
保存サーバ60は、印刷情報受信部61、印刷情報記憶部62、及び印刷情報提供部63等を有する。印刷情報受信部61は、管理サーバ10より送信される印刷情報を受信し、当該印刷情報を印刷情報記憶部62に記憶(保存)する。印刷情報提供部63は、画像形成装置20からの印刷情報の取得要求に応じ、印刷情報記憶部62に記憶(保存)されている印刷情報の中で、当該取得要求に指定されているユーザ名又はPINコードを含む印刷情報を画像形成装置20に返信する。但し、機器グループ名が含まれている印刷情報については、返信が制限される。すなわち、当該印刷情報の返信先は、当該機器グループ名に係る機器グループに属する画像形成装置20に限定される。
なお、印刷情報受信部61及び印刷情報提供部63は、保存サーバ60にインストールされた一以上のプログラムが、保存サーバ60のCPUに実行させる処理により実現される。印刷情報記憶部62は、保存サーバ60の補助記憶装置、又は保存サーバ60にネットワークを介して接続される記憶装置等を用いて実現可能である。
画像形成装置20は、認証制御部221、印刷情報取得部222、及び印刷制御部223等を有する。これら各部は、画像形成装置20にインストールされた一以上のプログラムが、CPU211に実行させる処理により実現される。認証制御部221は、ユーザより、ユーザ名及びパスワード、又はPINコードの入力を受け付ける。ユーザ名及びパスワードが入力された場合、認証制御部221は、当該ユーザ名及びパスワードの認証を、認証サーバ50に要求する。印刷情報取得部222は、印刷情報の取得要求を保存サーバ60に送信する。当該取得要求には、認証制御部221が受け付けた、ユーザ名及びPINコードの少なくともいずれか一方が指定される。印刷制御部223は、印刷情報取得部222によって取得される印刷データに関して印刷処理を実行する。
以下、印刷システム1において実行される処理手順について説明する。図5は、本発明の実施の形態における印刷データの保存処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
ステップS101において、ユーザ端末30は、ユーザからの指示入力に応じ、印刷要求メールを、印刷先として利用したい画像形成装置20が属する機器グループに対応する宛先アドレス宛に送信する。印刷要求メールには、印刷対象の電子データが添付されている。
但し、ユーザがゲストユーザである場合、当該ゲストユーザは、印刷要求メールのCc(Carbon copy)に、いずれかの正規ユーザのメールアドレスを指定する。以下、Ccに指定されたメールアドレスを、「Ccアドレス」という。
Ccアドレスに指定されるメールアドレスの一例としては、例えば、ユーザによる印刷に対する費用の負担先の部署に属する正規ユーザのメールアドレスが挙げられる。例えば、ユーザは、当該部署に属する正規ユーザaとの打ち合わせのために、資料を印刷する必要が有り、正規ユーザaに了承を得た上で、Ccアドレスに正規ユーザaのメールアドレスを指定することが考えられる。
メールサーバ40は、一般的な電子メールの転送用の通信プロトコルに従って、印刷要求メールを管理サーバ10宛に転送する(S102)。メールサーバ40は、また、印刷要求メールにCcアドレスが指定されている場合には、当該Ccアドレス宛に対して、印刷要求メールを転送する。その結果、印刷要求メールのCcアドレスにメールアドレスを指定された正規ユーザは、自らのメールアドレスを利用して印刷を行おうとしている者の存在を知ることができる。したがって、仮に、無断でメールアドレスが利用された場合、当該メールアドレスに係る正規ユーザは、そのことを知ることができる。
印刷要求メールは、メールサーバ40を経由して管理サーバ10のメール受信部11によって受信される。印刷要求メールの受信に応じ、管理サーバ10のアドレス確認部12は、印刷要求メールの送信元アドレスを指定して、当該メールアドレスの存在確認要求を認証サーバ50に送信する(S103)。
当該存在確認要求の受信に応じ、認証サーバ50の要求応答部51は、存在確認要求に指定されているメールアドレスが、ユーザ情報記憶部52に記憶されているか否かを確認する(S104)。
図6は、ユーザ情報記憶部の構成例を示す図である。図6において、ユーザ情報記憶部52は、企業Aの正規ユーザごとに、ユーザ情報を記憶する。ユーザ情報には、例えば、ユーザ名、パスワード、及びメールアドレス等が含まれる。一ユーザに対して、PC用及び携帯端末用等、複数のメールアドレスが登録されてもよい。
ステップS104において、要求応答部51は、存在確認要求に指定されているメールアドレスが、ユーザ情報記憶部52に記憶されているいずれかのユーザ情報のメールアドレスとして含まれているか否かを確認する。
続いて、要求応答部51は、確認結果を含む応答を管理サーバ10に返信する(S105)。確認結果は、メールアドレスの存否を示す情報である。アドレス確認部12は、当該確認結果を受信する。
アドレス確認部12は、確認結果が、メールアドレスが存在しないことを示す場合であって、印刷要求メールにCcアドレスが指定されている場合は、当該Ccアドレスを指定して、当該メールアドレスの存在確認要求を認証サーバ50に送信する(S106)。
当該存在確認要求の受信に応じ、認証サーバ50の要求応答部51は、ステップS104と同様に、存在確認要求に指定されているメールアドレスが、ユーザ情報記憶部52に記憶されているか否かを確認する(S107)。続いて、要求応答部51は、確認結果を含む応答を管理サーバ10に返信する(S108)。当該確認結果には、例えば、Ccアドレスに対応するユーザ名が含まれる。
ステップS105又はS108における確認結果の受信に応じ、管理サーバ10は、印刷要求メールに関して、印刷情報の生成処理を実行する(S109)。続いて、管理サーバ10のメール返信部18は、印刷要求メールに対する応答メールを、印刷要求メールの送信元アドレス宛に返信する(S110)。応答メールは、メールサーバ40によって、印刷要求メールの送信元のユーザ端末30に転送される(S111)。なお、応答メールは、印刷情報生成処理において生成される。
一方、応答メールの返信後、管理サーバ10の印刷情報送信部19は、印刷情報生成処理において生成された印刷データ、及び当該印刷データに関連付けられている情報等を含む印刷情報を、保存サーバ60に送信する(S112)。
保存サーバ60の印刷情報受信部61は、印刷情報を受信すると、当該印刷情報を印刷情報記憶部62に記憶(保存)する(S113)。
図7は、本発明の実施の形態の印刷情報記憶部の構成例を示す図である。図7において印刷情報記憶部62は、印刷情報ごとに、印刷情報の書誌情報を記憶する。各書誌情報は、ジョブ名、日時、ユーザ名、PINコード、課金先、機器グループ名、及びファイルパス名等を含む。
ジョブ名は、印刷データごと又は印刷データごとに実行される印刷ジョブごとの識別情報である。ジョブ名は、印刷対象の電子データのファイル名であってもよい。日時は、例えば、印刷情報が保存サーバ60において受信された日時である。ユーザ名は、印刷要求メールの送信元アドレスに対応付けられてユーザ情報記憶部52に記憶されているユーザ名である。ゲストユーザからの印刷要求メールには、該当するユーザ名は無い。そこで、本実施の形態では、「guest_user」が、各ゲストユーザに対して共通のユーザ名として付与される。PINコードは、印刷要求元のユーザが、ゲストユーザである場合に、当該ユーザに割り当てられたPINコードである。課金先は、ゲストユーザによる印刷ジョブに関する費用を負担すべきユーザのユーザ名である。本実施の形態では、印刷要求メールのCcアドレスに指定されたメールアドレスに対応するユーザ名に係るユーザが、課金先とされる。機器グループ名は、当該印刷情報の印刷先として利用可能な機器グループの機器グループ名である。ファイルパス名は、当該印刷情報に含まれる印刷データについて、保存サーバ60における保存先のパス名である。
なお、ユーザ名、PINコード、課金先、及び機器グループ名等は、ステップS109の印刷情報生成処理において特定され、印刷情報に含められる。
続いて、ステップS109の詳細について説明する。図8は、本発明の実施の形態における印刷情報生成処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図5のステップS105において受信された確認結果が、印刷要求メールの送信元アドレスの存在を示すものである場合(S201でYes)、アドレス確認部12は、当該送信元アドレスに対応するユーザ名を、認証サーバ50より取得する(S202)。すなわち、ユーザ情報記憶部52において、当該送信元アドレスが対応付けられているユーザ名が取得される。
続いて、印刷情報生成部16は、印刷要求メールの本文及び添付されている電子データ(印刷対象データ)それぞれの印刷データを生成する(S203)。但し、添付されている電子データのみが印刷データの生成対象とされてもよい。また、当該電子データが、複数のファイルを含むzip形式等の書庫ファイル形式であった場合、印刷情報生成部16は、当該電子データを解凍し、解凍されたファイルごとに印刷データを生成する。すなわち、一つの印刷要求メールに対して複数の印刷データ(印刷ジョブ)が生成されてもよい。
続いて、印刷情報生成部16は、印刷データごとに、印刷情報を生成する(S204)。すなわち、各印刷データに対して、ジョブ名が生成され、当該ジョブ名が印刷データと共に印刷情報に含められる。また、各印刷情報には、ステップS202において取得されたユーザ名が設定される。ここで生成された印刷情報が、図5のステップS112において、保存サーバ60に送信される。
続いて、応答メール生成部17は、各印刷情報のジョブ名が、例えば、本文に記載された応答メールを生成する(S205)。当該応答メールが、図5のステップS110及びS111において、印刷要求メールの送信元のユーザ端末30に転送される。当該応答メールを閲覧したユーザは、印刷要求メールに応じて生成された各印刷データに対応するジョブ名を知ることができる。但し、送信元アドレスがユーザ情報記憶部52に存在する場合には、必ずしも、応答メールは返信されなくてもよい。例えば、ジョブ名が、電子データのファイル名等に基づいて生成される場合、ユーザは、後述される画像形成装置20の操作時において、各ジョブ名に対応する印刷データの内容を把握可能であるからである。
一方、図5のステップS105において受信された確認結果が、印刷要求メールの送信元アドレスの不在を示すものであり(S201でNo)、ステップS108において受信された確認結果が、Ccアドレスの存在を示すものである場合(S206でYes)、ステップS207〜S212が実行される。
ステップS207において、機器グループ特定部13は、印刷要求メールの宛先アドレスに対応する機器グループ名を、機器グループ記憶部111を参照して特定する。
図9は、機器グループ記憶部の構成例を示す図である。図9において、機器グループ記憶部111は、宛先アドレスに対応付けて、機器グループ名を記憶する。なお、宛先アドレスに対して2以上の機器グループ名が対応付けられてもよい。この場合、宛先アドレス間において、一部の機器グループ名が重複してもよい。例えば、宛先アドレスAには、group1及びgroup2が対応付けられ、宛先アドレスBには、group2及び機器group3が対応付けられてもよい。
続いて、機器リスト取得部14は、機器グループ特定部13によって特定された機器グループ名(以下、「対象グループ名」という。)に対応する機器リストを、機器リスト記憶部112から取得する(S208)。
図10は、機器リスト記憶部の構成例を示す図である。図10において、機器リスト記憶部112は、画像形成装置20ごとに、機体ID、IPアドレス、機器名、及び機器グループ名等を含む属性情報を記憶する。
機体IDは、画像形成装置20の機体(個体)ごとの識別情報である。例えば、シリアル番号が機体IDとして用いられてもよい。IPアドレスは、当該画像形成装置20に対して設定されているIPアドレスである。機器名は、当該画像形成装置20に対して設定されているホスト名である。機器グループ名は、当該画像形成装置20が属する機器グループの機器グループ名である。機体IDが「7」である画像形成装置20のように、一台の画像形成装置20が複数の機器グループに属してもよい。なお、画像形成装置20の性能又は能力等を示す情報が、属性情報に含まれてもよい。
ステップS208では、機器リスト記憶部112において、対象グループ名に対応付けられている機器名の一覧が、機器リストとして取得される。なお、機器名の代わりに、機体ID又はIPアドレス等が、機器リストに含められてもよい。
続いて、PINコード生成部15は、印刷要求メールごとのPINコードを生成する(S209)。PINコードは、印刷要求メールごとに異なる値となれば、どのような方法によって生成されてもよい。但し、PINコードは、画像形成装置20の操作パネル25又は操作パネル25に表示されるソフトウェアキーボードを介して容易に入力可能な文字によって構成されるのが望ましい。
続いて、印刷情報生成部16は、印刷要求メールの本文及び添付されている電子データ(印刷対象データ)それぞれの印刷データを生成する(S210)。ステップS210の処理内容は、ステップS203と同様でよい。
続いて、印刷情報生成部16は、印刷データごとに、印刷情報を生成する(S211)。すなわち、各印刷データに対して、ジョブ名が生成され、当該ジョブ名が印刷データと共に印刷情報に含められる。また、各印刷情報には、ユーザ名として「guest_user」が含められ、課金先として、図5のステップS108の確認結果に含まれているユーザ名が含められる。更に、各印刷情報には、対象グループ名、及びステップS209において生成されたPINコード等が含められる。ここで生成された印刷情報が、図5のステップS112において、保存サーバ60に送信される。なお、対象グループ名の代わりに、ステップS208において取得された機器リストが、印刷情報に含められてもよい。この場合、印刷情報記憶部62には、機器グループ名の代わりに、機器リストが記憶されればよい。
続いて、応答メール生成部17は、各印刷情報のジョブ名に加えPINコードが、例えば、本文に記載された応答メールを生成する(S212)。ステップS208において取得された機器リストが応答メールの本文に含められてもよい。当該応答メールが、図5のステップS110及びS111において、印刷要求メールの送信元のユーザ端末30に転送される。当該応答メールを閲覧したユーザは、印刷要求メールに応じて生成された印刷データの印刷時に画像形成装置20に対して入力が必要とされる、PINコードを知ることができる。また、ユーザは、当該各印刷データに対応するジョブ名を知ることができる。但し、応答メールにジョブ名は必ずしも含まれていなくてもよい。更に、ユーザは、応答メールの本文に記載されている機器リストを参照して、印刷先として利用可能な画像形成装置20を知ることができる。
送信元アドレス及びCcアドレスの双方が存在しない場合、又は送信元アドレスが存在せずに、Ccアドレスが指定されていない場合(S206でNo)、応答メール生成部17は、例えば、エラーメッセージを含む応答メール(以下、「エラーメール」という。)を生成する(S213)。この場合、ステップS110において、エラーメールが返信される。また、この場合、印刷情報は生成されない。したがって、図5のステップS112及びS113は実行されない。すなわち、ユーザは、印刷を行うことはできない。
なお、図8に示される処理手順によれば、正規ユーザからの印刷要求メールに基づく印刷情報には、機器グループ名は含まれない。これは、正規ユーザ(すなわち、企業Aの従業員)であれば、企業A内のいずれの画像形成装置20でも利用可能であるという利便性の優先を考慮したためである。但し、正規ユーザに対しても、宛先アドレスに応じて印刷先として利用可能な画像形成装置20を制限したい場合は、例えば、ステップS202の後に、ステップS207及びS208が実行されてもよい。この場合、ステップS204において生成される印刷情報には、機器グループ名が含まれてもよい。
その後、エラーメール以外の応答メールを受信したユーザは、画像形成装置20の設置場所に赴き、画像形成装置20を操作する。続いて、ユーザの操作に応じて画像形成装置20が実行する処理手順について説明する。
図11は、本発明の実施の形態において画像形成装置が実行する処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
例えば、保存サーバ60に保存されている印刷データの印刷機能の呼び出しに応じ、認証制御部221は、ログイン画面を操作パネル25に表示させる(S301)。
図12は、ログイン画面の表示例を示す図である。図12において、ログイン画面510は、ユーザ名、パスワード、及びPINコード等の入力領域を有する。
例えば、画像形成装置20の操作者が正規ユーザである場合、ログイン画面510には、ユーザ名及びパスワードが入力される。一方、当該操作者がゲストユーザである場合、ログイン画面510には、応答メールで通知されているPINコードが入力される。
なお、企業Aの従業員であっても、PINコードが入力されてもよい。例えば、企業Aの従業員が、プライベート用のユーザ端末30のメールアドレス、すなわち、ユーザ情報記憶部52には記憶されていないメールアドレスから印刷要求メールを送信した場合、当該ユーザ端末30に返信される応答メールにはPINコードが含まれている。当該従業員は、管理サーバ10によって、ゲストユーザとして認識されるからである。一方、当該従業員は、別途、ユーザ情報記憶部52に記憶されているメールアドレスから印刷要求メールを送信している場合もある。この場合、当該正規ユーザに関しては、PINコードに関連付けられた印刷データと、ユーザ名に関連付けられた印刷データとが保存サーバ60に保存されている。双方の印刷データに関して、1回のログイン操作で印刷処理の実行を可能とするため、ユーザ名及びパスワードと、PINコードとの双方が同時に入力されてもよい。
ユーザ名及びパスワード、並びにPINコードの少なくともいずれか一方がログイン画面510に入力され、OKボタン511が押下されると、認証制御部221は、ログイン画面510において、ユーザ名及びパスワードが入力されているか否かを判定する(S302)。ユーザ名及びパスワードが入力されている場合(S302でYes)、認証制御部221は、認証処理を実行する(S303)。具体的には、認証制御部221は、入力されたユーザ名及びパスワードが指定された認証要求を、認証サーバ50に送信する。認証サーバ50の要求応答部51は、当該認証要求に指定されているユーザ名及びパスワードの組が、ユーザ情報記憶部52に記憶されているか否かを判定する。当該組が、ユーザ情報記憶部52に記憶されている場合、認証は成功となる。当該組が、ユーザ情報記憶部52に記憶されていない場合、認証は失敗となる。要求応答部51は、認証の正否を示す情報を、認証要求元の画像形成装置20の認証制御部221に返信する。
認証に成功した場合(S304でYes)、印刷情報取得部222は、ログイン画面510に入力されたユーザ名を、指定情報に追加する(S305)。指定情報とは、後段のステップS308において保存サーバ60から印刷情報の一覧を取得する際に、指定される情報をいう。認証に失敗した場合(S304でNo)、ステップS305は実行されない。
ログイン画面510にユーザ名及びパスワードが入力されなかった場合(S302でNo)、ユーザ名及びパスワードに基づく認証に失敗した場合(S304でNo)、又はステップS305に続いて、印刷情報取得部222は、ログイン画面510において、PINコードが入力されているか否かを判定する(S306)。PINコードが入力されている場合(S306でYes)、印刷情報取得部222は、当該PINコードと、当該画像形成装置20が属する機器グループの機器グループ名とを、指定情報に追加する(S307)。機器名の代わりに、当該画像形成装置20の機体ID又はIPアドレスが、指定情報に追加されてもよい。なお、PINコードが入力されていない場合(S306でNo)、ステップS307は実行されない。
続いて、印刷情報取得部222は、指定情報を指定して、印刷情報の一覧を保存サーバ60より取得する(S308)。より詳しくは、印刷情報取得部222は、指定情報を指定して、印刷情報の一覧の取得要求を保存サーバ60に送信する。当該取得要求に応じ、保存サーバ60の印刷情報提供部63は、当該取得要求に指定されている指定情報を含む印刷情報を、印刷情報記憶部62(図7)より取得する。すなわち、指定情報にユーザ名が含まれている場合、印刷情報提供部63は、当該ユーザ名を「ユーザ名」の項目に含む印刷情報を、印刷情報記憶部62から取得する。また、指定情報にユーザ名と共にPINコードが含まれている場合、印刷情報提供部63は、当該PINコードを「PINコード」の項目に含む印刷情報をも、印刷情報記憶部62から取得する。一方、指定情報にユーザ名が含まれておらず、PINコードが含まれている場合、印刷情報提供部63は、当該PINコードを「PINコード」の項目に含む印刷情報であって、かつ、当該指定情報に含まれている機器グループ名を「機器グループ名」の項目に含む印刷情報を印刷情報記憶部62から取得する。すなわち、操作対象とされている画像形成装置20が属する機器グループが印刷先として許容される印刷情報が、取得される。
なお、ステップS307において、機器グループ名の代わりに、当該画像形成装置20の機体ID、IPアドレス、又は機器名が指定情報に追加されてもよい。この場合、印刷情報提供部63は、機器グループ記憶部111を参照して、当該機体ID、IPアドレス、又は機器名に係る画像形成装置20が属する機器グループの機器グループ名を特定してもよい。または、印刷情報に、機器グループ名の代わりに機器リストが含まれている場合、印刷情報提供部63は、指定情報に指定された機体ID、IPアドレス、又は機器名を、当該機器リストに含む印刷情報を取得してもよい。
印刷情報提供部63は、取得された印刷情報の一覧を、画像形成装置20に返信する。なお、ここで返信される各印刷情報には、印刷データは含まれていなくてよい。すなわち、印刷情報の書誌情報のみが返信されればよい。
続いて、画像形成装置20の印刷情報取得部222は、返信された各印刷情報に含まれているジョブ名等の一覧を操作パネル25に表示させる(S309)。当該一覧は、印刷対象の候補である。すなわち、ユーザは、当該一覧に含まれている印刷情報に関して、印刷の実行指示の入力が可能である。
当該一覧の中から、1以上のジョブ名が選択されると、印刷情報取得部222は、当該ジョブ名に対応する印刷データを、保存サーバ60より取得する(S310)。より詳しくは、印刷情報取得部222は、当該ジョブ名に対応するファイルパス名が指定された印刷データの取得要求を保存サーバ60に送信する。保存サーバ60の印刷情報提供部63は、当該取得要求に応じ、当該取得要求に指定されているファイルパス名に係る印刷データを、画像形成装置20に返信する。以下、選択されたジョブ名に係る印刷情報を、「対象印刷情報」という。
なお、入力されたユーザ名やPINコードによって一つの印刷データに対する印刷情報しか取得されなければ、S309の処理を行わずに、印刷情報取得部222が印刷データを取得するようにしてもよい。また、印刷情報提供部63が印刷情報の一覧を画像形成装置20に返信する代わりに、ユーザ名やPINコードにより取得した印刷データを送信するようにしてもよい。
続いて、印刷制御部223は、当該印刷データに関する印刷ジョブの実行を制御する(S311)。その結果、当該印刷データが印刷された用紙が出力される。この際、印刷ジョブの実行を示すログには、対象印刷情報に含まれているユーザ名及び課金先が含まれる。したがって、ゲストユーザからの印刷要求メールに基づく印刷ジョブに関しても、費用の請求先が判定可能となる。なお、費用の請求先の識別情報と、各ユーザ名との対応情報は、例えば、HDD214に記憶されていてもよい。
また、画像形成装置20の操作者が正規ユーザである場合、印刷制御部223は、ステップS311において、ログイン時に入力されたユーザ名に対応する権限(印刷権限)の範囲内で、印刷ジョブを実行する。一方、画像形成装置20の操作者がゲストユーザである場合、印刷制御部223は、当該ゲストユーザに対応付けられている正規ユーザの権限の範囲内で、印刷ジョブを実行する。但し、ゲストユーザに対して共通に適用される権限の範囲内で印刷ジョブが実行されてもよい。なお、各正規ユーザの権限は、例えば、ユーザ情報記憶部52に記憶されていてもよい。
なお、指定情報にユーザ名が指定されておらず、PINコードが指定されている場合、ステップS308において、当該PINコードを「PINコード」の項目に含む全ての印刷情報が、画像形成装置20側に返信されてもよい。この場合、印刷情報取得部222は、ステップS309において、当該画像形成装置20が属さない機器グループに対応付けられている印刷情報のジョブ名については、グレーアウトして(選択不能な状態で)表示してもよい。そうすることで、ゲストユーザは、自らの印刷要求メールは正常に受信されているが、操作対象の画像形成装置20が適切でなかったことを知ることができる。
上述したように、本発明の実施の形態によれば、ユーザ名及びパスワード等のアカウントが認証サーバ50に登録されていないゲストユーザであっても、印刷権限を与えることができる。したがって、ゲストユーザが、正規ユーザに印刷を依頼する必要性を低減させることができる。また、ゲストユーザには、印刷要求メールごとのPINコードが通知される。したがって、ゲストユーザごとに、擬似的かつ一時的なアカウントを与えることができる。よって、各ゲストユーザが操作可能な印刷データは、当該ゲストユーザからの印刷要求メールに対応した印刷データに限定される。その結果、ゲストユーザ間で、他ユーザの印刷データの操作が容易に可能となってしまうといった状況の発生を回避することができる。
更に、ゲストユーザ用に専用の画像形成装置20を設置する必要性を低減させることもできる。
また、本実施の形態によれば、印刷要求メールの宛先アドレスによって、印刷先として利用可能な画像形成装置20を制限することができる。したがって、例えば、大規模な企業等において、一元的に印刷システム1が構築される場合に、或る地域に居るユーザからの印刷要求に基づく印刷ジョブが、他の地域の画像形成装置20によって実行可能となってしまうといった事態の発生を防止することができる。
すなわち、ユーザの利便性を考慮すると、PINコードの桁数は少ない方が望ましい。しかしながら、PINコードの桁数が少ないと、例えば、日本に所属しているユーザAが、故意に又は偶然に誤って入力したPINコードが、米国に所属しているユーザBに対して発行されたPINコードに一致してしまう可能性が高まる。そうすると、ユーザAは、ユーザBの印刷ジョブを実行できてしまう。
そこで、例えば、国又は地域ごとに宛先アドレスを設け、各宛先アドレスに対応する機器グループを、当該宛先アドレスに係る国又は地域に設置されている画像形成装置20によって構成される機器グループとすることで、このような事態の発生の可能性を低下させることができる。すなわち、ユーザAが日本において誤ってユーザBに対するPINコードを或る画像形成装置20に入力したとしても、当該画像形成装置20は、当該PINコードに対応付けられた機器グループに属していないため、ユーザAは、ユーザBの印刷ジョブを実行することはできない。
また、宛先メールごとに、印刷先として利用可能な画像形成装置20が制限されることで、例えば、企業Aに対する訪問者が、企業Aにおける不特定の画像形成装置20を利用できてしまうことによるセキュリティの劣化を回避することができる。
なお、ユーザが、印刷先として利用したい画像形成装置20に対する宛先アドレスを容易に把握可能とするため、各画像形成装置20に対して、当該画像形成装置20が属する機器グループに対する宛先アドレスが貼り付けられてもよい。
また、本実施の形態によれば、ゲストユーザからの印刷要求メールのCcアドレスには、いずれかの正規ユーザのメールアドレスが指定される。その結果、ゲストユーザによる印刷ジョブに対して、正規ユーザを関連付けることができ、当該関連付けに基づいて、印刷ジョブの費用の請求先等を判定することができる。
また、正規ユーザであるにも拘わらず、正規ユーザに対して登録されているメールアドレスと異なるメールアドレスから印刷要求メールを送信することにより、当該正規ユーザがゲストユーザとして扱われる場合が考えられる。このような場合においても、当該印刷要求メールのCcアドレスには、正規ユーザのメールアドレスの指定が要求されるため、印刷ジョブの費用の請求先等を判定することができる。
なお、ゲストユーザの印刷要求において、正規ユーザのメールアドレスの指定先は、Ccでなくてもよい。正規ユーザのメールアドレスは、Bccに指定されてもよいし、印刷要求メールの宛先のアドレスと共に、Toに指定されてもよい。すなわち、正規ユーザのメールアドレスは、印刷要求メールの送信先に含まれればよい。Cc、Bcc又はToのいずれの場合においても、ゲストユーザによる印刷要求メールが、正規ユーザ宛に送信されることにより、正規ユーザは、自らの名義での印刷ジョブの登録を検知することができる。その結果、正規ユーザは、自らが意図していない不正な印刷ジョブの登録を検知することができる。
なお、同一のゲストユーザが複数の印刷要求メールを送信した場合、それぞれ異なるPINコードを含む複数の応答メールが当該ゲストユーザのユーザ端末30に返信される。このような状況を考慮して、ログイン画面510には、複数のPINコードを入力可能としてもよい。印刷情報取得部222は、当該複数のPINコードのいずれかを含む印刷情報を、保存サーバ60より取得するようにしてもよい。そうすることにより、PINコードごとにログイン及び印刷情報の一覧の表示等を繰り返さなければならないといった煩雑さを解消することができる。
または、管理サーバ10のPINコード生成部15は、生成されたPINコードを、印刷要求メールの送信元アドレスに対応付けて、例えば、補助記憶装置102に記憶しておくようにしてもよい。PINコード生成部15は、印刷要求メールの送信元アドレスが、PINコードに対応付けられて補助記憶装置102に記憶されている場合、新たなPINコードは生成せずに、記憶されているPINコードを出力する。この場合、当該PINコードを含む応答メールが返信される。
このようにすれば、同一のゲストユーザが複数の印刷要求メールを送信した場合、当該ゲストユーザには、印刷要求メールごとではなく、一つのPINコードが割り当てられる。したがって、当該ゲストユーザは、ログイン画面510に当該PINコードを入力することで、複数の印刷要求メールに対応した印刷情報の一覧の表示及び印刷等を画像形成装置20に実行させることができる。
なお、画像形成装置20は、PINコードを指定して取得された印刷情報に係る印刷データの印刷に関しては、印刷枚数に上限値を設けたり、カラー印刷は不可にしたりする等、制限を設けてもよい。そうすることにより、ゲストユーザによる大量な印刷等を防止することができる。
また、PINコードには、有効期限が設けられてもよい。有効期限を経過したPINコードは、無効とされてもよい。
なお、本実施の形態において、画像形成装置20による印刷を例に説明したが、本発明は印刷に限らず、例えばプロジェクタへの画像データの投影等の出力にも適用できる。すなわち、印刷対象データを、端末による表示、プロジェクタによる投影等の出力対象データに代えて本発明を適用することができる。
また、本実施の形態において、メールによる印刷対象データの送信を例に説明したが、メール以外の通信手段によって、印刷対象データが管理サーバ10に送信されるようにしてもよい。この場合、管理サーバ10は、ユーザ端末30から印刷対象データ及び正規ユーザのメールアドレス、又は更に、ゲストユーザのメールアドレスを受信する。当該正規ユーザのメールアドレスがユーザ情報記憶部52に記憶されており、ゲストユーザのメールアドレスが受信された場合、管理サーバ10は、PINコード生成し、当該PINコードを、ゲストユーザ及び正規ユーザのそれぞれのメールアドレス宛に送信する。
また、本実施の形態において、管理サーバ10及び保存サーバ60は、一台のコンピュータによって実現されてもよい。また、管理サーバ10及び保存サーバ60と共に認証サーバ50も一台のコンピュータよって実現されてもよい。また、画像形成装置20に、管理サーバ10、保存サーバ60、及び認証サーバ50の機能が実装されてもよい。
反対に、管理サーバ10、保存サーバ60、及び認証サーバ50のそれぞれは、複数のコンピュータに分散されて実現されてもよい。
また、上記各実施の形態では、管理サーバ10において印刷データが生成される例を説明したが、印刷要求メールに添付された電子データに関する印刷データの生成は、ユーザ端末30、管理サーバ10、保存サーバ60、又は画像形成装置20のいずれによって実行されてもよい。
なお、本実施の形態において、管理サーバ10、認証サーバ50、及び保存サーバ60は、情報処理システムの一例である。印刷要求メールは、出力要求の一例である。メール受信部11は、受信部の一例である。機器グループ記憶部111は、第一の記憶部の一例である。機器グループ特定部13は、機器特定部の一例である。機器グループ名、機体ID、IPアドレス、又は機器名等は、機器識別情報の一例である。PINコードは、権限識別情報の一例である。PINコード生成部15は、生成部の一例である。印刷情報は、出力情報の一例である。印刷情報送信部19は、記憶処理部の一例である。印刷情報記憶部62は、第二の記憶部の一例である。メール返信部18は、第一の返信部の一例である。印刷情報提供部63は、第二の返信部の一例である。アドレス確認部12は、ユーザ特定部の一例である。ユーザ情報記憶部52は、第三の記憶部の一例である。メールアドレスは、アドレス情報の一例である。ユーザ名は、ユーザ識別情報の一例である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。