JP2015109827A - 果汁入り低カロリー飲料 - Google Patents
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近年、健康に対する意識向上やダイエット志向などから、より低カロリーの飲食物が強く要望されるようになり、果汁入り飲料は、甘味料によるカロリーの上昇や、配合成分である果汁自体のカロリーが問題となっている。
しかし、これら文献には、具体的に、酒石酸とクエン酸とを組み合わせて特定量配合することにより、果汁量を少なくし、低カロリーを維持した果汁入り飲料であっても、優れた果汁入り飲料らしい風味や、好ましい酸味と爽やか感に優れ、更には、酒石酸の有する
苦みを抑制しうる果汁入り飲料が得られる点については記載されていない。
しかし、該文献には、具体的に、酒石酸とクエン酸とを組み合わせて特定量配合することにより、果汁量を少なくし、低カロリーを維持した果汁入り飲料であっても、優れた果汁入り飲料らしい風味や、好ましい酸味と爽やか感に優れ、更には、酒石酸の有する苦みを抑制しうる果汁入り飲料が得られる点については記載されていない。
ところで、酒石酸は、果汁、特にブドウ果汁に含まれる有機酸として良く知られている。しかし、ブドウ果汁入り飲料に酒石酸をある程度含有させると苦みが生じ、そのような風味が好まれない場合もある。また、酒石酸の濃度を高くすると、該酒石酸の析出等が生じるおそれがある。
本発明の別の課題は、低カロリー飲料とするために、含有する果汁量が少ないにも係らず、果汁入り飲料らしい風味や、好ましい酸味と爽やか感に優れ、しかも苦み感が抑えられ、更には、液色の経時的褐変と赤ブドウ果汁による赤色の経時的退色を抑制することができ、保存安定性にも優れる果汁入り低カロリー飲料を提供することにある。
また、本発明によれば、果汁として、赤ブドウ果汁、又は白ブドウ果汁、又は赤ブドウ果汁と白ブドウ果汁とを含む上記本発明の飲料が提供される。
更に、果汁として、特に、赤ブドウ果汁、又は赤ブドウ果汁と白ブドウ果汁とを含有させた場合、上記効果に加えて、液色の経時的褐変と赤ブドウによる赤色の経時的退色を抑制することができ、保存安定性にも優れる。
本発明に用いる果汁としては、例えば、レモン、グレープフルーツ(ホワイト種、ルビー種)、ライム、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ等のオレンジ類、温州みかん、タンゴール、なつみかん、甘夏、はっさく、ひゅうがなつ、シイクワシャー、すだち、ゆず、かぼす、だいだい、いよかん、ぽんかん、きんかん、さんぼうかん、オロブランコ(別名スウィーティー)、ぶんたん、あんず(別名アプリコット)、さくらんぼ、うめ、にほんすもも、プルーン等のすもも類、もも、ネクタリン、黄桃等のもも類、マスカット、リースリング、デラウェア、巨峰等のブドウ類、いちご、バナナ、ラズベリー、ラックベリー、ブルーベリー、グランベリー等のベリー類、ざくろ、りんご、にほんなし、中国なし、西洋なし等のなし類、かりん、キウイフルーツ、パイナップル、パッションフルーツ、アセロラ、ライチ、メロン、すいか、あけび、アテモヤ、アボガド、いちじく、オリーブ、かき、キワノ、グァバ、マンゴー、ぐみ、ココナッツ、ごれんし(別名スターフルーツ)、タンゼロ、チェリモヤ、ドリアン、なつめ、なつめやし、ハスカップ、ピタヤ、びわ、りゅうがん、ホワイトサポテ、まくわうり、マルメロ、マンゴスチン、やまももが挙げられる。
ブドウ類のうち、赤ブドウとしては特に制限はなく、例として、デラウェア、巨峰、ピオーネ、キャンベル・アーリーA、ピオーネ、コンコード、カベルネ・ソービニヨン、サンジョベーゼ、メルロー、ピノ・ノワール、シラー、藤稔、マスカット・ベーリーA、スチューベン、レッドグローブ等が挙げられる。
また、白ブドウとしては特に制限はなく、例として、マスカット・オブ・アレキサンドリア、ナイアガラ、甲州、トンプソン・シードレス、シャルドネ、ケルナー、ソービニヨン・ブラン、ピノ・ブラン等が挙げられる。
赤ブドウ果汁、もしくは赤ブドウ果汁及び/又は白ブドウ果汁を使用する場合には、分光測色計で測定したハンターLab表色系での色調が後述する範囲となるように配合することが好ましい。
ここで、果汁率とは、果実を搾汁して得られる果汁を100%としたときの相対濃度であり、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)に示される糖用屈折計示度の基準(°Bx)又は酸度の基準(%)に対する割合である。
糖度はデジタル屈折計(アタゴ社:RX-5000α)にて測定した。
甘味料の含有割合は、特に、後述する本発明の飲料のエネルギー、並びに得られる飲料の風味等を考慮して、その種類に応じて適宜選択することができる。
例えば、高甘味度甘味料を用いる場合、本発明の飲料中におけるその含有割合の下限値は、通常0.003質量%、好ましくは0.005質量%であり、その上限値は特に限定されないが、通常0.1質量%、好ましくは0.07質量%である。
本発明の果汁入り飲料は、甘味度として6〜20度、好ましくは8〜18度、より好ましくは8〜16度程度である。ここで、甘味度は、甘味強度、甘味比ともいわれる、甘味の強さを示す尺度のことであり、ショ糖1重量%の甘味を1として、このショ糖の甘味の
強さに対する倍率を示す。
高甘味度甘味料以外の糖類としては、例えば、ショ糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖コーンシロップ、転化糖、メープルシロップ、ハチミツ、黒糖糖蜜、サトウキビ糖蜜、甜菜糖蜜、サトウモロコシシロップ、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、グリシルリジン、D−タガトース、エリトリトール、メソ−エリトリトール、マルニトール、麦芽糖、乳糖、フラクトオリゴ糖、羅漢果、モグロサイドV、ステビオール配糖体、キシロース、アラビノース、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、トレハロース、ラムノース、リボース、タウマチン、モネリン、ブラゼイン、l−アラニン、グリシン、異性化液糖、砂糖混合異性化液糖が挙げられる。
本発明の飲料において、クエン酸の含有割合の下限値は、0.03質量%、好ましくは0.04質量%、更に好ましくは0.05質量%、特に好ましくは0.09質量%であり、その上限値は0.2質量%である。
クエン酸の含有割合が0.03質量%未満では、飲料の爽やか感が低下し、更に、果汁入り飲料らしい風味も低下する場合がある。クエン酸の含有割合が0.2質量%を超える場合には、酸味が強くなり、更に、果汁入り飲料らしい風味も低下する場合がある。
本発明の飲料において、酒石酸の含有割合の下限値は、0.03質量%、好ましくは0.04質量%、更に好ましくは0.05質量%、特に好ましくは0.1質量%であり、その上限値は0.2質量%である。
酒石酸の含有割合が0.03質量%未満では、飲料の好ましい酸味又は爽やか感が低下し、更に、果汁入り飲料らしい風味も低下する場合がある。酒石酸の含有割合が0.2質量%を超える場合には、飲料の爽やか感が低下し、更に、果汁入り飲料らしい風味も低下する場合がある。
上記(酒石酸/クエン酸)の割合が、上述の範囲外であるある場合には、本発明の効果が低下するおそれがある。
本発明の飲料には、通常、飲食品に配合される酒石酸及びクエン酸以外の有機酸や無機酸を含有させることもできる。該有機酸又は無機酸としては、例えば、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、コハク酸、フマール酸、フィチン酸、リン酸が挙げられる。これらの含有割合は、本発明の効果を阻害しないように適宜選択することができる。
上記色調aの下限値は通常10、好ましくは11、更に好ましくは12である。色調aの上限値は特に限定されないが、例えば、ロゼ風飲料とする場合、好ましくは17、更に好ましくは13である。
本明細書における炭酸ガスのガスボリュームとは、炭酸飲料中に溶解している炭酸ガスの体積を炭酸飲料の体積で除したものをいう。測定方法はJAS法に準拠し、以下のように
して炭酸ガスボリュームを測定した。試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定に達したときの値(MPa)を記録した。ガス内圧計から試料を取り外し、開栓して温度計で液温を
測定し記録した。ガス内圧力と液温を炭酸ガス吸収係数表に当てはめ、試料の炭酸ガスボリュームを導いた。
該成分としては、例えば、クエン酸三ナトリウム等のpH調整剤、香料、色素が挙げられる。
その他の成分の含有量は、本発明の所望の効果を損なうことなく、その含有効果に応じて適宜選択することができる。
実施例1〜10、比較例1〜8及び評価基準品1
表1に示す果汁率となるように赤ブドウ果汁及び白ブドウ果汁と、また、表1に示す含有割合(質量%)となるように有機酸、甘味料及び香料とを、水に添加混合し、クエン酸三ナトリウムでpHを3.5に調整した。続いて、95℃で殺菌を行い、その後5℃まで冷却して飲料原液を調製した。
得られた飲料原液に対して、炭酸ガスボリュームが2.4になるように水と無添加炭酸水とによって規定量にメスアップした後、ペットボトルとアルミ缶に充填した。その後、
コールドスポットで65℃、10分間が確保できる後殺菌を行い、容器詰め炭酸飲料を得た。
表2に各例で調製した炭酸飲料の果汁率、(酒石酸/クエン酸)比、甘味度、pH及びエネルギーを示す。
表1に示す果汁率となるように赤ブドウ果汁及び白ブドウ果汁と、また、表1に示す含有割合(質量%)となるように有機酸、甘味料及び香料とを、水に添加混合し、クエン酸三ナトリウムでpHを3.5に調整し、規定量にメスアップした。続いて、95℃で殺菌を行い、スチール缶に充填し、容器詰め飲料を調製した。
表2に各例で調製した飲料の果汁率、(酒石酸/クエン酸)比、甘味度、pH及びエネルギーを示す。
実施例1〜10及び比較例1〜8で調製した容器詰め炭酸飲料については、評価基準品1で調製した容器詰め炭酸飲料を基準に、また、実施例11で調製した容器詰め飲料については、評価基準品2で調製した容器詰め飲料を基準にそれぞれ専門パネル13〜14人により以下の評価法にしたがって評価した。評価結果の平均値を表3及び表4に示す。
評価項目
(1)果汁飲料らしい風味(数値が高い方(+側)が好ましく、数値が低い方(−側)が
好ましくない結果である。)
(2)酸味の好ましさ(数値が高い方(+側)が好ましく、数値が低い方(−側)が好ま
しくない結果である。)
(3)苦み(数値が高い方(+側)が苦みが弱く、数値が低い方(−側)が苦みが強い結
果である。)
(4)爽やかさ(数値が高い方(+側)が爽やかさがあり、数値が低い方(−側)が爽や
かさがない結果である。)
評価方法
各評価項目について各評価基準品と比較し、僅かに差を感じるものを±1点、やや差があるものを±2点、差があるものを±3点、かなり差があるものを±4点で評価した。
表1〜4より、酒石酸の含有割合が0.03質量%未満の比較例1及び2では、果汁飲料らしい風味が低下することがわかる。実施例5と比較例3とを比較すると(酒石酸/クエン酸)比が22を超えると爽やかさが低下することがわかる。実施例6と比較例1とを比較すると(酒石酸/クエン酸)比が1未満では果汁飲料らしい風味及び爽やかさが低下することがわかる。比較例5又は6より、クエン酸及びリンゴ酸、もしくはクエン酸及び乳酸の組み合わせで、酒石酸を用いない場合は酸味の好ましさや爽やかさが低下することがわかる。比較例7より、酒石酸及びリンゴ酸の組み合わせでクエン酸を用いない場合は果汁飲料らしさや爽やかさが低下することがわかる。比較例8より、酒石酸及び乳酸の組み合わせでクエン酸を用いない場合は苦みが増すことがわかる。
表5に示す果汁率となるように赤ブドウ果汁及び白ブドウ果汁と、また、表5に示す含有割合(質量%)となるように有機酸、甘味料及び香料とを、水に添加混合し、クエン酸三ナトリウムでpHを3.5に調整した。続いて、95℃で殺菌を行い、その後5℃まで冷却して飲料原液を調製した。
得られた飲料原液に対して、炭酸ガスボリュームが2.4になるように水と無添加炭酸水とによって規定量にメスアップした後、ペットボトルとアルミ缶に充填した。その後、コールドスポットで65℃、10分間が確保できる後殺菌を行い、容器詰め炭酸飲料を得た。
表6に各例で調製した炭酸飲料の果汁率、(酒石酸/クエン酸)比、甘味度、pH及びエネルギーを示す。尚、実施例12は実施例2と、また実施例13は実施例1と、更に実施例15は実施例3と同じ組成である。
実施例12〜16で調製した容器詰め炭酸飲料について、以下の方法で外観評価及び色調測定を行った。結果を表7に示す。
外観評価
55℃、5日間保存品と、イニシャル品とで外観について比較し、以下の基準により専門パネル10人で評価した。平均結果を表7に示す。
全く同じ:0点、ほとんど同じ:−1点、やや差がある:−2点、差がある:−3点、大きな差がある:−4点とした。
色調測定
測定には、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−3500dとソフトウェア「SpectraMagic NX」を用いた。設定として、正反射光処理はSCI(正反射光込み方法)、測定径はφ30mm、測定方法は透過測定、ターゲットマスクはφ30mm用を選択した。付属品の透過用ゼロ校正板でゼロ校正を、イオン交換水で100%校正をした。測定する試料は20℃に温調し、容器は光路長10mmのガラスセルを用いた。
表7よりイニシャル品の色調a値を大きくすることで、外観の保存性が向上することがわかる。この色調a値から10以上が特に好ましいことがわかる。
Claims (9)
- 果汁、甘味料、クエン酸、酒石酸及び水を含み、クエン酸の含有割合が0.03〜0.2質量%、酒石酸の含有割合が0.03〜0.2質量%、果汁率が50%以下であり、かつエネルギーが20kcal/100mL以下である果汁入り低カロリー飲料。
- (酒石酸/クエン酸)の割合が質量比で0.2〜6である請求項1記載の果汁入り低カロリー飲料。
- 果汁として、ブドウ果汁を含む請求項1又は2記載の果汁入り低カロリー飲料。
- ブドウ果汁として、赤ブドウ果汁を含む請求項3記載の果汁入り低カロリー飲料。
- ブドウ果汁として、赤ブドウ果汁及び白ブドウ果汁を含む請求項3記載の果汁入り低カロリー飲料。
- 分光測色計で測定したハンターLab表色系での色調が10≦aである請求項4又は5記載の果汁入り低カロリー飲料。
- 甘味料として、高甘味度甘味料を含む請求項1〜6のいずれかに記載の果汁入り低カロリー飲料。
- 甘味料として、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム及びエリトリトールからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれかに記載の果汁入り低カロリー飲料。
- 炭酸及び/又はアルコールを含む請求項1〜8のいずれかに記載の果汁入り低カロリー飲料。
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