JP2015090870A - 強磁性トンネル接合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 強磁性トンネル接合体に用いられるトンネルバリア層として、MgAl2O4やAl2O3(スピネル系)を結晶性バリアとして得るための製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法は、強磁性トンネル接合体に用いられるトンネルバリア層として、プラズマ酸化を行う前の金属アルミニウムやMgAl2合金の成長のときに、成長装置のベース真空度をある特定の範囲とすることで、前記トンネルバリア層に得られるアルミ酸化物の層が結晶化されている状態であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】 本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法は、強磁性トンネル接合体に用いられるトンネルバリア層として、プラズマ酸化を行う前の金属アルミニウムやMgAl2合金の成長のときに、成長装置のベース真空度をある特定の範囲とすることで、前記トンネルバリア層に得られるアルミ酸化物の層が結晶化されている状態であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、強磁性トンネル接合体に用いられるトンネルバリア層として、スピネル構造や不規則化スピネル材料のような結晶構造を有するトンネルバリア層に用いて好適な、強磁性トンネル接合体の製造方法に関する。
強磁性トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction:MTJ)は、強磁性金属/絶縁体(トンネルバリア)/強磁性金属という3層構造を基本とする素子である。磁気ヘッド等に使われる実際のMTJでは、3層の基本構造の下部および上部に種々の機能や成長制御のための多層構造が付加されたり、3層構造の部分にも構造制御・特性向上のための挿入層が入れられることがある。1995年に室温で動作するMTJの報告がされた当時、および2000年頃にヘッドへの実用化進められた時期には、絶縁体であるトンネルバリア層はアルミナであった。トンネルバリア層の厚みは、トンネル電流が流れるように1〜2nm 程度である。
トンネルバリア層の製造方法は、アルミナをスパッタ方等で直接成長させたり、アルミニウムを成長させた後に酸化させるものであり、この酸化には、プラズマ酸化、ラジカル酸化、自然酸化などがある。得られた極薄(1〜2nm)のアルミナ層は基本的にアモルファスである。そして、MTJ素子の積層構造を維持するためには、高温(例えば500℃以上)熱処理は行うことができないため、アモルファス状態が維持される。
2004年頃に、理論計算の予測の基、結晶性のMgOバリアが開発された(非特許文献1、2)。主な性能指数であるTMR(Tunnel Magneto-Resistance)比が200%程度からそれ以上のものが得られ、大きな技術的進歩となった。これにより、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)の開発に弾みがついた。なお、アモファスアルミナでは、TMR比は最高でも70%程度である。結晶性のトンネルバリアでは、コヒーレントトンネルという現象が起こり、原理的に大きなTMR比を得ることが可能である。Fe(100)やCoFe(100)の強磁性電極を用いたり、CoFeB/MgOの固相エピタキシーにより、(100)配向させることで、原理的に大きなTMR比を得ることが可能となる。
特許文献1、2に開示されているように、MgO以外の結晶性トンネルバリアが提案されている。これらによると、Fe(100)面などの上に結晶性のMgAl2O4やAl2O3を成長させ、MgOと同等(特定の特性に関してはそれ以上)の性能を有するMTJが提案されている。
高集積度のMRAMの開発では、FeやCoFeを強磁性電極に用いたMTJでは性能が十分でない可能性があり、強磁性用新材料としてL10構造を有する高磁気異方性合金をMTJに用いる提案が行われている(例えば特許文献3、4参照)。それらの合金の多くは、MgOとの格子不整合が大きく、新規結晶性バリアの開発が望まれている。
高集積度のMRAMの開発では、FeやCoFeを強磁性電極に用いたMTJでは性能が十分でない可能性があり、強磁性用新材料としてL10構造を有する高磁気異方性合金をMTJに用いる提案が行われている(例えば特許文献3、4参照)。それらの合金の多くは、MgOとの格子不整合が大きく、新規結晶性バリアの開発が望まれている。
Yuasa et al., Nature Mater. 3, 868 (2004)
Parkin et al., Nature Mater. 3, 862 (2004)
MgOは大きなTMRを示すバリア材料であるが、MgOと組み合わせてMTJを構成することができるのは、MgOと格子整合する強磁性電極材料に制限されるという問題があった。また、大きなTMRを示すMTJは(100)配向であるために、かつてのGMR(Giant Magneto-Resistance)ヘッドで培われてきた技術との整合性が悪い。GMRヘッドでは、fcc(face-centered cubic)構造の強磁性体やスペーサ層をもちいており、基本的にfcc(111)配向を技術の土台としている。Fcc(111)配向に基づく、反強磁性体によるピン層の形成や応用は技術的完成度が高く、大いに活用したい技術であるが、(100)配向を基本とする従来の結晶性MTJとは両立しないという課題があった。
本発明は、上記の課題を解決したもので、強磁性トンネル接合体に用いられるトンネルバリア層として、MgOと異なる格子定数を持ち、MgOとの組合せが適当でなかった強磁性金属・合金群とともに使うことができるMgAl2O4やAl2O3(スピネル系)を結晶性バリアとして得るための製造方法を提供することを目的とする。
特にAl2O3は長きにわたりアモルファス構造であることが信じられて来ており、MBEを用いた反応蒸着の詳細な実験においてもアモルファスであった。装置や成長条件を選べば結晶性Al2O3が得られることが最近あきらかになったが(例えば特許文献1、2参照)、その詳細はノウハウとされていたために、高い歩留まりで結晶性バリアを形成するための改良研究が出来なかったり、産業展開する上での支障になっていた。
特にAl2O3は長きにわたりアモルファス構造であることが信じられて来ており、MBEを用いた反応蒸着の詳細な実験においてもアモルファスであった。装置や成長条件を選べば結晶性Al2O3が得られることが最近あきらかになったが(例えば特許文献1、2参照)、その詳細はノウハウとされていたために、高い歩留まりで結晶性バリアを形成するための改良研究が出来なかったり、産業展開する上での支障になっていた。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法は、上記の課題を解決するもので、強磁性トンネル接合体に用いられるトンネルバリア層として、プラズマ酸化を行う前の金属アルミニウムの成長のときに、成長装置のベース真空度をある特定の範囲とすることで、前記トンネルバリア層に得られるアルミ酸化物の層が結晶化されている状態であることを特徴とする。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、前記ベース真空度は、下限値として、残留水分によって、Alの酸化が確認される程度の真空度とし、前記ベース真空度の上限値は、ターゲット酸化による安定的なスパッタができる程度であるとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、前記ベース真空度の下限値は、5x10−5Paから1x10−3Paであるとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、前記成長装置に供給されるプロセスガスに対して酸化性ガス種を前記プロセスガスの10%以下混入させて、結晶性の前記トンネルバリア層を形成するとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、前記ベース真空度の下限値は、5x10−5Paから1x10−3Paであるとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、前記成長装置に供給されるプロセスガスに対して酸化性ガス種を前記プロセスガスの10%以下混入させて、結晶性の前記トンネルバリア層を形成するとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、前記成長装置のベース真空度を5x10−5Paより高圧として、結晶性の前記トンネルバリア層を形成するとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、前記トンネルバリア層として、MgxAl1−x−O(0<x<0.9)およびAl−Oを強磁性トンネル接合用に製造するときに、酸化処理前の金属層(MgAl、Al)の成長時に、酸化性ガス種を前記プロセスガスの10%以下混入させて、結晶性の前記トンネルバリア層を形成するとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、前記トンネルバリア層として、MgxAl1−x−O(0<x<0.9)およびAl−Oを強磁性トンネル接合用に製造するときに、酸化処理前の金属層(MgAl、Al)の成長時に、酸化性ガス種を前記プロセスガスの10%以下混入させて、結晶性の前記トンネルバリア層を形成するとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法において、好ましくは、酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、前記成長装置のベース真空度を5x10−5Paより高圧として、結晶性の前記トンネルバリア層を形成すると共に、前記トンネルバリア層の結晶性Al−Oバリアを加熱処理することなく形成させるとよい。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法によれば、結晶性のバリア層が高い歩留まりでえられることで、MgAl2O4やAl2O3および類似物質群を用いて、コヒーレントトンネルによる大きなTMR比をしめすMTJ素子の製造が可能になる。また、fcc(111)配向の場合でも結晶化バリアが得られるため、fcc(111)配向を基本構造とするMTJ素子の開発・改良が可能となる。
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による強磁性トンネル接合素子の構造模式図である。図において、強磁性トンネル接合素子は、基板10、下部層12、下部強磁性電極層14、トンネルバリア層16、上部強磁性電極層18、上部層20を含んで構成されている。なお、強磁性トンネル接合素子を磁気抵抗素子として使用する場合、上部層20としてスペーサ層とキャップ層が設けられる。
図1は、本発明の一実施の形態による強磁性トンネル接合素子の構造模式図である。図において、強磁性トンネル接合素子は、基板10、下部層12、下部強磁性電極層14、トンネルバリア層16、上部強磁性電極層18、上部層20を含んで構成されている。なお、強磁性トンネル接合素子を磁気抵抗素子として使用する場合、上部層20としてスペーサ層とキャップ層が設けられる。
基板10は、(001)または(111)配向したエピタキシャルトンネル接合を作製できるものであれば良く、例えばMgO、スピネルMgAl2O4、サファイヤ、Si、Ge又はGaAsを用いるのが好適である。この基板上に必要に応じて、MgAl2O4、CoFe合金、Cr、Ag、Ti、TiN、Ta、TaN、あるいはMgOからなるバッファー層を形成する。また、基板として熱酸化膜付きSiを用いることもできる。この場合、その上にArガス圧やスパッタパワーなどを制御した成膜条件で、fcc構造の金属・合金をスパッタすることで(111)配向したMTJを、または、MgOターゲットもしくはMg−Al−Oターゲットをスパッタすることで(001)配向した酸化物膜を成長させておくことで、(001)配向したMTJを作製できる。
下部層12は、例えば配向層と下地層を含んで構成される。配向層はMgO、TiN、TaN、NiTa合金の少なくとも一種類を含むものがよい。配向層は、強磁性電極層を(100)方向に配向させる作用を持つものであればよい。下地層は金属又は合金であり、磁気抵抗測定用の電極となる。下地層には、例えばAg、Al、Cu、Au、Cr 等の少なくとも一種類を含む金属や、これら金属元素の合金が用いられる。なお、さらに配向層の下に別の下地層を追加してもよい。
トンネルバリア層16は、マグネトロンスパッタ装置を用いて、下部強磁性電極層14の上に最初に0.4〜2.0nm程度のMg1−xAlx(0<x≦1)薄膜をスパッタし、プラズマ酸化もしくは酸素導入による自然酸化を行い、適切な温度で熱処理を行うことで、Mg−Al−O不規則化スピネル構造を形成して、製造する。ここでの不規則構造とは、規則スピネルのO原子位置はほとんど変わらないまま規則スピネル構造の半分の格子定数を持ち、本来では占有されないO原子の四面***置及び八面***置に陽イオンが位置する構造である。
トンネルバリア層16では、Mg1−xAlx層積層前に純Mg層を0.1〜1.0nm程度挿入することで、結晶品質の向上効果が現れる。更に、強磁性層材料としてfcc構造を持つものを選定することで、下部磁性層、Mg−Al−O不規則化スピネルバリア層及び上部磁性層が(111)エピタキシャル成長したMTJを作製でき、または、強磁性層材料をトンネルバリア層16との格子整合が良いbcc構造を持つものを選定することで、下部磁性層、Mg−Al−O不規則化スピネルバリア層及び上部磁性層が(001)エピタキシャル成長したMTJを作製できる。Mg−Al−O不規則化スピネルバリア層は立方晶構造もしくは、隣接する強磁性層によって面内もしくは面直にやや引き伸ばされた構造を持つ。トンネルバリア層16としては、不規則化したスピネル構造を持つ立方晶もしくは正方晶であり、不規則化前の格子定数が半減していると見なせれば良い。不規則化前の構成物質としては、スピネル構造が安定相として持つ非磁性の酸化物であればよく、MgAl2O4の他、ZnAl2O4、MgCr2O4、MgMn2O4、CuCr2O4、NiCr2O4、GeMg2O4、SnMg2O4、TiMg2O4、SiMg2O4、CuAl2O4、Li0.5Al2.5O4、γ−Al2O3(立方晶アルミナ)などの材料を用いることができる。また、構成する元素は酸素を除いて、必ずしも1つもしくは2つである必要がなく、(Mg,Zn)(Al,Ga)2O4など多元材料でも良い。これらの不規則化スピネル材料を用いて、図1に示したとおり基板/下部層(導電層)/下部強磁性電極層/不規則化スピネルバリア層/上部強磁性電極層/導電層(図示せず)というMTJを含む構造を用いることで効果が得られる。
下部強磁性電極層14と上部強磁性電極層18は、トンネルバリア層16との格子整合のよい物質であればよい。例えば、格子ミスフィットが10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下であることが望ましく、Mg―Al―O(001)をバリア層とした場合は、Co基フルホイスラー合金又はbcc CoFe合金、L10型FePt合金などが利用可能である。Mg―Al―O(111)をバリア層とした場合はfcc CoFe合金、L11型Co基合金などが利用可能である。
上部層20としてのキャップ層は表面の保護のための金属又は合金よりなる。配向層、下地層、スペーサ層及びキャップ層の各層は、それぞれ1種類の材料を用いても良いし、2種類以上の材料を積層させたものでもよい。
続いて、本発明によるトンネルバリア層の製造工程を詳細に説明する。
図2は、本発明の一実施の形態によるトンネルバリア層の形成プロセスの説明図で、(A)は金属層の成長工程、(B)は金属層の酸化工程である。図2(A)に示すように、トンネルバリア層16aとして、プラズマ酸化を行う前の金属アルミニウムの成長のときに、成長装置のベース真空度をある次の範囲に定める。即ち、ベース真空度の下限値は、残留水分によって、Alの酸化が確認される程度の真空度とし、具体的には5x10−5Paから1x10−3Paであるとよい。ベース真空度の上限値は、ターゲット酸化による安定的なスパッタができる程度であるとよい。
図2は、本発明の一実施の形態によるトンネルバリア層の形成プロセスの説明図で、(A)は金属層の成長工程、(B)は金属層の酸化工程である。図2(A)に示すように、トンネルバリア層16aとして、プラズマ酸化を行う前の金属アルミニウムの成長のときに、成長装置のベース真空度をある次の範囲に定める。即ち、ベース真空度の下限値は、残留水分によって、Alの酸化が確認される程度の真空度とし、具体的には5x10−5Paから1x10−3Paであるとよい。ベース真空度の上限値は、ターゲット酸化による安定的なスパッタができる程度であるとよい。
ここで、酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、成長装置に供給されるプロセスガスに対して、酸化性ガス種を当該プロセスガスの10%以下混入させて、結晶性のトンネルバリア層を形成するとよい。真空度を上記の特定の範囲とすることで、トンネルバリア層に得られるアルミ酸化物の層が結晶化されている状態となる。
ここで、トンネルバリア層として、MgxAl1−x−O(0<x<0.9)およびAl−Oを強磁性トンネル接合用に製造する場合には、酸化処理前の金属層(MgAl、Al)の成長時に、酸化性ガス種をプロセスガスの10%以下混入させて、結晶性のトンネルバリア層を形成するとよい。ここで、トンネルバリア層の結晶性Al−Oバリアは、加熱処理することなく形成させるとよい。特性の調整のための後熱処理の温度は、典型的には400℃以下を指すから、必要に応じて金属層の酸化工程において、例えば200℃から350℃の範囲で一定時間保持してもよい。
このようにして、アルミ酸化物の層が結晶化されたトンネルバリア層16が得られる。
このようにして、アルミ酸化物の層が結晶化されたトンネルバリア層16が得られる。
実施例1は、Si基板上のNiFe(111)の上に形成した結晶性Al2O3バリア を示している。なお、比較例1として、Si基板上のNiFe(111)の上に形成したアモルファスAl2O3バリアを示している。比較例1は、本発明によらない従来技術で製造した場合の結果を示している。図3は、本発明の実施例1とその比較例1のAl酸化物層表面の反射高速電子線回折(RHEED)の観察像である。図3(1)は、実施例1を示すもので、(111)配向した多結晶Ni80Fe20合金層の上に、2x10-4Paのベース真空度でAlを1nm成長させ、その後プラズマ酸化した場合を示している。図3(2)は、比較例1を示すもので、(111)配向した多結晶Ni80Fe20合金層の上に、<5x10-5Paのベース真空度でAlを1nm成長させ、その後プラズマ酸化した場合を示している。実施例1のAl2O3のRHEED像には回折点が見られ、結晶化していることがわかる。一方、比較例1では明瞭な回折点は見られ図アモルファスである。この実施例と比較例の違いは300℃の後熱処理によって一層明瞭になる。
実施例2は、MgO基板上のFe(100)の上に形成した結晶性Al2O3バリアを示している。なお、比較例2として、MgO基板上のFe(100)の上に形成したアモルファスAl2O3バリアを示している。比較例2は、本発明によらない従来技術で製造した場合の結果を示している。図4は、本発明の実施例2とその比較例2のAl酸化物層表面の反射高速電子線回折(RHEED)の観察像である。図4(1)は、実施例2を示すもので、Fe(100)単結晶層の上に、2x10-4Paのベース真空度でAlを1nm成長させ、その後プラズマ酸化した場合を示している。図4(2)は、比較例2を示すもので、Fe(100)単結晶層の上に、<5x10-5Paのベース真空度でAlを1nm成長させ、その後プラズマ酸化した場合を示している。実施例2では結晶化を示す縦長の回折点が現れているが、比較例2では回折点は見られない。
実施例3は、MTJ用の積層膜(NiFe/結晶性Al2O3/NiFe/IrMn)の磁気特性を測定したものである。図5はMTJ用の積層膜(NiFe/結晶性Al2O3/NiFe/IrMn)の磁化曲線を示している。
なお、上記の実施の形態においては、単体の積層膜として利用される場合を例に強磁性トンネル接合体の製造方法を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、強磁性トンネル接合体として利用できる素子や各種のデバイスの製造に利用できる。
本発明の強磁性トンネル接合体の製造方法は、MgO(100)結晶性バリアを用いることの出来ないMTJ構造において、歩留まり良く素子を製造することに有益である。MgOの適用に困難が生じ得る次世代のMRAM等において利用される。
10 基板
12 下部層
14 下部強磁性電極層
16 トンネルバリア層
18 上部強磁性電極層
12 下部層
14 下部強磁性電極層
16 トンネルバリア層
18 上部強磁性電極層
Claims (7)
- 強磁性トンネル接合体に用いられるトンネルバリア層として、プラズマ酸化を行う前の金属または合金、具体的にはスピネル系バリアを構成するカチオン元素からなる金属でアルミニウムまたはアルミニウムーマグネシウム合金などの成長のときに、成長装置のベース真空度をある特定の範囲とすることで、前記トンネルバリア層に得られる金属酸化物の層が結晶化されている状態であることを特徴とする強磁性トンネル接合体の製造方法。
- 請求項1に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、
前記ベース真空度は、下限値として、残留水分によって、アルミニウムまたはアルミニウムーマグネシウム合金など酸化が確認される程度の真空度とし、
前記ベース真空度の上限値は、ターゲット酸化による安定的なスパッタができる程度であることを特徴とする強磁性トンネル接合体の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、
前記ベース真空度の下限値は、5x10−5Paから1x10−3Paであることを特徴とする強磁性トンネル接合体の製造方法。 - 請求項1ないし3の何れか1項に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、
酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、前記成長装置に供給されるプロセスガスに対して酸化性ガス種を前記プロセスガスの10%以下混入させて、結晶性の前記トンネルバリア層を形成することを特徴とする強磁性トンネル接合体の製造方法。 - 請求項1ないし4の何れか1項に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、
酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、前記成長装置のベース真空度を5x10−5Paより高圧として、結晶性の前記トンネルバリア層を形成することを特徴とする強磁性トンネル接合体の製造方法。 - 請求項4又は5に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、
前記トンネルバリア層として、MgxAl1−x−O(0<x<0.9)およびAl−Oを強磁性トンネル接合用に製造するときに、酸化処理前の金属層(MgAl、Al)の成長時に、酸化性ガス種を前記プロセスガスの10%以下混入させて、結晶性の前記トンネルバリア層を形成することを特徴とする強磁性トンネル接合体の製造方法。 - 請求項6に記載の強磁性トンネル接合体の製造方法において、
酸化処理前のバリア層用金属層の成長時に、前記成長装置のベース真空度を5x10−5Paより高圧として、結晶性の前記トンネルバリア層を形成すると共に、
前記トンネルバリア層の結晶性Al−OまたはMgxAl1−x−O(0<x<0.9)バリアを加熱処理することなく形成させることを特徴とする強磁性トンネル接合体の製造方法。
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