JP2015065029A - 全固体電池 - Google Patents

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Takamasa Otomo
崇督 大友
久嗣 山崎
Hisatsugu Yamazaki
久嗣 山崎
祐樹 加藤
Yuki Kato
祐樹 加藤
真世 川上
Masatsugu Kawakami
真世 川上
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Abstract

【課題】サイクル特性を向上させることが可能な全固体電池を提供する。【解決手段】負極活物質を有する負極、及び、正極活物質を有する正極と、これらの間に配置された固体電解質層と、負極に接続された負極集電体、及び、正極に接続された正極集電体とを有し、負極と負極集電体との間、及び/又は、正極と正極集電体との間に金属層が配置され、上記金属層が、負極と負極集電体との間に配置された負極側金属層である場合には、負極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境において金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属が負極側金属層に用いられ、上記金属層が、正極と正極集電体との間に配置された正極側金属層である場合には、正極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境において金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属が正極側金属層に用いられている、全固体電池とする。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体電池に関する。
難燃性の固体電解質を用いた固体電解質層を有する金属イオン二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池等。以下において「全固体電池」ということがある。)は、安全性を確保するためのシステムを簡素化しやすい等の長所を有している。
リチウムイオン二次電池に関する技術として、例えば特許文献1には、第1の金属層と、該第1の金属層に積層された第2の金属層と、を含む非水溶媒二次電池用集電体であって、第1及び第2の金属層を構成するそれぞれの金属のビッカース硬さ(HV1、HV2)、並びに第1及び第2の金属層のそれぞれの厚さ(T1、T2)が、HV1>HV2、且つ、T1<T2を満足し、第1の金属及び第2の金属の組合せが、(第1の金属、第2の金属)=(鉄、アルミニウム)、(チタン、アルミニウム)、(ステンレス鋼、アルミニウム)、(ニッケル、銅)、(鉄、銅)、(チタン、銅)、(ステンレス鋼、銅)のいずれかである、非水溶媒二次電池用集電体が開示されている。また、特許文献2には、集電体と、該集電体上に形成された薄膜型の活物質層と、を有し、集電体のビッカース硬度が、活物質層のビッカース硬度よりも低く、且つ、400〜600の範囲内である全固体二次電池用電極体が開示されている。また、特許文献3には、集電体と、該集電体の少なくとも一方の面に形成された負極活物質層と、を含み、負極活物質層が、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質と、応力緩和材と、を含む、リチウムイオン二次電池用負極が開示されている。また、特許文献4には、アルミニウム箔の少なくとも一方の表面に亜鉛層、銅層、インジウム防錆層がこの順で設けられているリチウムイオン二次電池負極用集電体が開示されている。
特開2013−69708号公報 特開2013−26031号公報 特開2010−272357号公報 特開2012−59484号公報
特許文献1乃至特許文献4に開示されている技術によれば、集電体と活物質層との密着性を高めることが可能になると考えられる。しかしながら、このような効果を奏するために用いる金属層や応力緩和材は、その材質によっては、例えば、負極活物質に金属イオンが吸蔵されたり負極活物質から金属イオンが放出されたりする電位範囲(以下において、当該電位範囲を「負極電位」ということがある。)において、正極活物質と負極活物質との間を移動する金属イオンを吸蔵したり放出したりする場合がある。このような事態が生じると、金属層や応力緩和材が膨張収縮することにより体積変化するため、集電体と活物質層との密着性が低下し、その結果、サイクル特性が低下しやすかった。
そこで本発明は、サイクル特性を向上させることが可能な全固体電池を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、負極集電体と負極活物質層(以下において、「負極という。)との間に柔らかい金属層を配置する場合には、この金属層を、正極活物質と負極活物質との間を移動する金属イオンを負極電位において吸蔵放出しない金属材料によって構成することにより、サイクル特性を向上させることが可能になることを知見した。また、正極集電体と正極活物質層(以下において、「正極」という。)との間に柔らかい金属層を配置する場合には、正極活物質と負極活物質との間を移動する金属イオンを、正極活物質に金属イオンが吸蔵されたり正極活物質から金属イオンが放出されたりする電位範囲(以下において、当該電位範囲を「正極電位」ということがある。)において吸蔵放出しない金属材料によって、上記金属層を構成することにより、サイクル特性を向上させることが可能になることを知見した。本発明は、このような知見に基づいて完成させた。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
本発明は、負極活物質を有する負極、及び、正極活物質を有する正極と、これらの間に配置された固体電解質層と、負極に接続された負極集電体、及び、正極に接続された正極集電体と、を有し、負極と負極集電体との間、及び/又は、正極と正極集電体との間に金属層が配置され、該金属層が、負極と負極集電体との間に配置された金属層(負極側金属層)である場合には、負極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境において金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属が、負極側金属層に用いられ、金属層が、正極と正極集電体との間に配置された金属層(正極側金属層)である場合には、正極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境において金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属が、正極側金属層に用いられている、全固体電池である。
本発明において、金属層が、負極と負極集電体との間に配置されている場合、この金属層を「負極側金属層」と呼び、金属層が、正極と正極集電体との間に配置されている場合、この金属層を「正極側金属層」と呼ぶ。また、「金属イオン」とは、全固体電池の作動時に負極活物質と正極活物質との間を移動する金属イオンである。また、「負極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境」とは、より具体的には、負極活物質に金属イオンが吸蔵され始めてから負極活物質に金属イオンがそれ以上吸蔵されなくなるまでの電位範囲、又は、負極活物質から金属イオンが放出され始めてから、負極活物質から金属イオンがそれ以上放出されなくなるまでの電位範囲、をいう。ここで、負極活物質に金属イオンが吸蔵される電位範囲と、負極活物質から金属イオンが放出される電位範囲とを、「又は」で繋いでいるのは、負極活物質は、前者の電位範囲と後者の電位範囲とが完全に一致しない場合(所定のヒステリシスを持つ場合)があるためである。また、「正極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境」とは、より具体的には、正極活物質に金属イオンが吸蔵され始めてから正極活物質に金属イオンがそれ以上吸蔵されなくなるまでの電位範囲、又は、正極活物質から金属イオンが放出され始めてから、正極活物質から金属イオンがそれ以上放出されなくなるまでの電位範囲、をいう。ここで、正極活物質に金属イオンが吸蔵される電位範囲と、正極活物質から金属イオンが放出される電位範囲とを、「又は」で繋いでいるのは、正極活物質は、前者の電位範囲と後者の電位範囲とが完全に一致しない場合(所定のヒステリシスを持つ場合)があるためである。なお、金属の「伸び率」は、「改訂3版 金属データブック、日本金属学会編、丸善株式会社」を参照すれば良い。
負極側金属層に用いられている金属は、負極電位において、負極活物質と正極活物質との間を移動する金属イオンと電気化学反応をしない。そのため、負極と負極集電体との間に配置される負極側金属層は、充放電反応に寄与しないので、充放電反応に起因する体積変化が生じない。このような形態にすることにより、負極と負極集電体との密着性を高めた状態を維持することが可能になるので、サイクル特性を向上させることが可能になる。また、正極側金属層に用いられている金属は、正極電位において、負極活物質と正極活物質との間を移動する金属イオンと電気化学反応をしない。そのため、正極と正極集電体との間に配置される正極側金属層は、充放電反応に寄与しないので、充放電反応に起因する体積変化が生じない。このような状態にすることにより、正極と正極集電体との密着性を高めた状態を維持することが可能になるので、サイクル特性を向上させることが可能になる。このような効果は、負極と負極集電体との間にのみ金属層を介在させた形態や、正極と正極集電体との間にのみ金属層を介在させた形態であっても奏することが可能である。そして、負極と負極集電体との間に金属層を介在させ、且つ、正極と正極集電体との間に金属層を介在させた形態とすることにより、より高い効果を奏することが可能になる。
本発明によれば、サイクル特性を向上させることが可能な、全固体電池を提供することができる。
本発明の全固体電池の形態例を説明する図である。 本発明の全固体電池の他の形態例を説明する図である。 本発明の全固体電池の他の形態例を説明する図である。 1サイクル目の充放電曲線を説明する図である。 放電比容量のサイクル特性を説明する図である。 充放電サイクル時の放電容量維持率を説明する図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明について説明する。なお、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下に示す形態に限定されない。
図1は、本発明の全固体電池の一形態を説明する図である。図1に示した全固体電池10は、負極11及び正極12と、これらの間に配置された固体電解質層13と、負極11に接続された負極集電体14と、正極12に接続された正極集電体15と、を有し、さらに、負極11と負極集電体14との間に配置された負極側金属層16と、正極12と正極集電体15との間に配置された正極側金属層17と、を備えている。負極11は、負極活物質11a及び硫化物固体電解質13aを有している。また、正極12は、正極活物質12aと、硫化物固体電解質13aと、導電助剤12bと、を有している。また、固体電解質層13は、硫化物固体電解質13aを有している。全固体電池10において、負極活物質11aはグラファイトであり、正極活物質12aはLiNi1/3Co1/3Mn1/3であり、負極側金属層16はLi箔であり、正極側金属層17はIn箔である。
ここで、グラファイトである負極活物質11aは、Li基準(vs Li/Li。以下において同じ。)で0.6Vよりも高い2.5V位からリチウムイオンが吸蔵放出され始め、Li基準で0.1Vと0Vとの間の電位においてリチウムイオンがそれ以上吸蔵放出されなくなる。グラファイトにリチウムイオンが吸蔵される電位やグラファイトからリチウムイオンが放出される電位を平均すると、Li基準で約0.1Vである。
また、LiNi1/3Co1/3Mn1/3である正極活物質12aは、Li基準で4〜5V程度の電位でリチウムイオンが吸蔵放出され始め、Li基準で1〜2V程度の電位でリチウムイオンがそれ以上吸蔵放出されなくなる。LiNi1/3Co1/3Mn1/3にリチウムイオンが吸蔵される電位やLiNi1/3Co1/3Mn1/3からリチウムイオンが放出される電位を平均すると、Li基準で約3.8Vである。
また、金属Liがリチウムイオンになったりリチウムイオンが金属Liになったりする電位は、Li基準で0Vであり、金属Inがリチウムイオンを吸蔵放出する平均の電位は、Li基準で約0.6Vである。
全固体電池10における負極側金属層16を構成しているLiは、負極活物質11aと正極活物質12aとの間を移動するリチウムイオンが負極活物質11aに吸蔵放出される電位環境(負極電位)において、リチウムイオンと電気化学反応をしない。したがって、全固体電池10を作動させても、負極側金属層16はリチウムイオンを吸蔵放出しないので、負極側金属層16自体は、リチウムイオンの吸蔵放出に伴う体積変化がない。また、Li箔は、伸び率が22%よりも大きい。したがって、全固体電池10は、負極側金属層16を介して、長時間に亘って、負極11と負極集電体14とを密着させることが可能である。
さらに、全固体電池10における正極側金属層17を構成しているInは、リチウムイオンが正極活物質12aに吸蔵放出される電位環境(正極電位)において、リチウムイオンと電気化学反応をしない。したがって、全固体電池10を作動させても、正極側金属層17はリチウムイオンを吸蔵放出しないので、正極側金属層17自体は、リチウムイオンの吸蔵放出に伴う体積変化がない。また、In箔は、伸び率が22%である。したがって、全固体電池10は、正極側金属層17を介して、長時間に亘って、正極12と正極集電体15とを密着させることが可能である。
このように、全固体電池10によれば、長時間に亘って、負極11と負極集電体14とを負極側金属層16を介して密着させることが可能であり、且つ、正極12と正極集電体15とを正極側金属層17を介して密着させることが可能である。負極11と負極集電体14とを長時間に亘って密着させ、且つ、正極12と正極集電体15とを長時間に亘って密着させることにより、サイクル特性を向上させることが可能になるので、本発明によれば、サイクル特性を向上させることが可能な、全固体電池10を提供することができる。
負極11は、例えば、負極活物質11a及び硫化物固体電解質13aを所定の割合(重量比)で混合することにより得られる負極合材をプレスする等の過程を経て作製することができる。また、正極12は、例えば、正極活物質12a、導電助剤12b、及び、硫化物固体電解質13aを所定の割合(重量比)で混合することにより得られる正極合材をプレスする等の過程を経て作製することができる。また、固体電解質層13は、例えば、硫化物固体電解質13aをプレスする等の過程を経て作製することができる。このようにして、負極11、正極12、及び、固体電解質層13を作製したら、図1に示したように、一方から他方へ向かって、負極集電体14、負極側金属層16、負極11、固体電解質層13、正極12、正極側金属層17、及び、正極集電体15がこの順で配置されるように、不活性雰囲気(例えば、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気、ヘリウム雰囲気等。)でこれらを積層することにより積層体を形成し、その後、当該積層体をプレスする等の過程を経ることにより、全固体電池10を作製することができる。全固体電池10を作製する際、負極11、正極12、及び、固体電解質層13の形態は、特に限定されない。例えば、抵抗が小さい全固体電池10を作製する場合には、固体電解質層13を薄くすることができ、エネルギー密度の高い全固体電池10を作製する場合には、負極11や正極12を厚くすることができ、パワー密度の高い全固体電池10を作製する場合には、負極11や正極12を薄くすることができる。
本発明の全固体電池に関する上記説明では、負極側金属層16及び正極側金属層17を有する形態を例示したが、本発明の全固体電池は当該形態に限定されない。本発明の全固体電池は、負極側金属層を有し且つ正極側金属層を有しない形態にすることも可能であるほか、正極側金属層を有し且つ負極側金属層を有しない形態にすることも可能である。そこで、これらの形態の全固体電池を、図2及び図3に示す。
図2は、本発明の全固体電池の他の一形態を説明する図である。図2に示した全固体電池20は、正極側金属層17を有しないことを除いて、全固体電池10と同様に構成されている。すなわち、全固体電池20は、負極11及び正極12と、これらの間に配置された固体電解質層13と、負極11に接続された負極集電体14と、正極12に接続された正極集電体15と、を有し、さらに、負極11と負極集電体14との間に配置された負極側金属層16を備えている。負極11は、負極活物質11a及び硫化物固体電解質13aを有し、正極12は、正極活物質12aと、硫化物固体電解質13aと、導電助剤12bと、を有し、固体電解質層13は、硫化物固体電解質13aを有している。全固体電池20において、負極活物質11aはグラファイトであり、正極活物質12aはLiNi1/3Co1/3Mn1/3であり、負極側金属層16はLi箔である。
全固体電池20において、負極側金属層16を構成しているLiは、負極活物質11aと正極活物質12aとの間を移動するリチウムイオンが負極活物質11aに吸蔵放出される電位環境(負極電位)において、リチウムイオンと電気化学反応をしない。したがって、全固体電池20を作動させても、負極側金属層16はリチウムイオンを吸蔵放出しないので、負極側金属層16自体は、リチウムイオンの吸蔵放出に伴う体積変化がない。また、Li箔は、伸び率が22%よりも大きい。したがって、全固体電池20は、負極側金属層16を介して、長時間に亘って、負極11と負極集電体14とを密着させることが可能なので、サイクル特性を向上させることが可能である。
図3は、本発明の全固体電池の他の一形態を説明する図である。図3に示した全固体電池30は、負極側金属層16を有しないことを除いて、全固体電池10と同様に構成されている。すなわち、全固体電池30は、負極11及び正極12と、これらの間に配置された固体電解質層13と、負極11に接続された負極集電体14と、正極12に接続された正極集電体15と、を有し、さらに、正極12と正極集電体15との間に配置された正極側金属層17を備えている。負極11は、負極活物質11a及び硫化物固体電解質13aを有し、正極12は、正極活物質12aと、硫化物固体電解質13aと、導電助剤12bと、を有し、固体電解質層13は、硫化物固体電解質13aを有している。全固体電池10において、負極活物質11aはグラファイトであり、正極活物質12aはLiNi1/3Co1/3Mn1/3であり、正極側金属層17はIn箔である。
全固体電池30において、正極側金属層17を構成しているInは、リチウムイオンが正極活物質12aに吸蔵放出される電位環境(正極電位)において、リチウムイオンと電気化学反応をしない。したがって、全固体電池30を作動させても、正極側金属層17はリチウムイオンを吸蔵放出しないので、正極側金属層17自体は、リチウムイオンの吸蔵放出に伴う体積変化がない。また、In箔は、伸び率が22%である。したがって、全固体電池30は、正極側金属層17を介して、長時間に亘って、正極12と正極集電体15とを密着させることが可能なので、サイクル特性を向上させることが可能である。
このように、負極側金属層及び正極側金属層から選択された一方を有する形態であっても、サイクル特性を向上させることが可能である。ただし、サイクル特性を向上させやすい形態にする観点からは、負極と負極集電体との密着性、及び、正極と正極集電体との密着性を、長時間に亘って維持することが有効と考えられるので、本発明の全固体電池は、負極側金属層及び正極側金属層を有する形態にすることが好ましい。
本発明において、負極に含有させる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な公知の負極活物質を適宜用いることができる。そのような負極活物質としては、例えば、カーボン活物質、酸化物活物質、及び、金属活物質等を挙げることができる。カーボン活物質は、炭素を含有していれば特に限定されず、例えば天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。酸化物活物質としては、例えばNb、LiTi12、SiO等を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、Si、及び、Sn等を挙げることができる。また、負極活物質として、リチウム含有金属活物質を用いても良い。リチウム含有金属活物質としては、少なくともLiを含有する活物質であれば特に限定されず、Li金属であっても良く、Li合金であっても良い。Li合金としては、例えば、Liと、In、Al、Si、及び、Snの少なくとも一種とを含有する合金を挙げることができる。負極活物質の形状は、例えば粒子状、薄膜状等にすることができる。負極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、負極における負極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
また、本発明では、固体電解質層のみならず、負極や正極にも、必要に応じて、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を含有させることができる。負極に固体電解質を含有させる場合、負極には、負極電位で分解しない固体電解質を含有させることが可能であり、正極に固体電解質を含有させる場合、正極には、正極電位で分解しない固体電解質を含有させることが可能である。負極や正極に含有させることが可能な固体電解質としては、例えば、LiO−B−P、LiO−SiO、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiO−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P、LiPS、LiI、LiN、LiLaTa12、LiLaZr12、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、Li3.6Si0.60.4等を挙げることができる。ただし、全固体電池の性能を高めやすい形態にする等の観点から、固体電解質は硫化物固体電解質を用いることが好ましい。本発明の全固体電池に用いる固体電解質の製造方法は特に限定されず、公知の製造方法で製造した固体電解質を適宜用いることができる。例えば、固体電解質を合成する際の出発原料は特に限定されず、その合成方法も、乾式のボールミル処理や、ヘプタン等の溶剤を用いる湿式のボールミル処理のほか、機械的エネルギーを付与することにより化学反応を進行させる他のメカノケミカル処理等を適宜用いることができる。また、固体電解質は、非晶質であっても良く、結晶であっても良い。
さらに、負極には、負極活物質や固体電解質を結着させるバインダーや導電性を向上させる導電助剤が含有されていても良い。負極には、リチウムイオン二次電池の負極に含有させることが可能な公知のバインダーを適宜用いることができ、具体的には、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。また、負極には、リチウムイオン二次電池の負極に含有させることが可能な公知の導電助剤を適宜用いることができる。負極に含有させることが可能な導電材としては、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料のほか、全固体電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を例示することができる。そして、例えば、上記負極活物質、固体電解質、導電助剤、及び、バインダー等を液体に分散して調整したスラリー状の負極組成物を用いて負極を作製する場合、使用可能な液体としてはヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。また、負極の厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、全固体電池の性能を高めやすくするために、負極はプレスする過程を経て作製されることが好ましい。本発明において、負極をプレスする際の圧力は200MPa以上とすることが好ましく、400MPa程度とすることより好ましい。
また、本発明において、正極に含有させる正極活物質としては、全固体電池で使用可能な正極活物質を適宜用いることができる。そのような正極活物質としては、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiCoO、LiNiO、LiFePO、LiMn等を例示することができる。正極活物質の形状は、例えば粒子状や薄膜状等にすることができる。正極活物質の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。また、正極層における正極活物質の含有量は、特に限定されないが、質量%で、例えば40%以上99%以下とすることが好ましい。
また、必要に応じて、正極にも、固体電解質を含有させることができる。正極に含有させることが可能な固体電解質としては、負極に含有させることが可能な上記固体電解質を例示することができる。
固体電解質として硫化物固体電解質を用いる場合、正極活物質と固体電解質との界面に高抵抗層が形成され難くすることにより、電池抵抗の増加を防止しやすい形態にする観点から、正極活物質は、イオン伝導性酸化物で被覆されていることが好ましい。正極活物質を被覆するリチウムイオン伝導性酸化物としては、例えば、一般式LiAO(Aは、B、C、Al、Si、P、S、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta又はWであり、x及びyは正の数である。)で表される酸化物を挙げることができる。具体的には、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiMoO、LiWO等を例示することができる。また、リチウムイオン伝導性酸化物は、複合酸化物であっても良い。正極活物質を被覆する複合酸化物としては、上記リチウムイオン伝導性酸化物の任意の組み合わせを採用することができ、例えば、LiSiO−LiBO、LiSiO−LiPO等を挙げることができる。また、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する場合、イオン伝導性酸化物は、正極活物質の少なくとも一部を被覆してれば良く、正極活物質の全面を被覆していても良い。また、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆する方法は、特に限定されず、公知の方法で、正極活物質の表面をイオン伝導性酸化物で被覆することができる。また、正極活物質を被覆するイオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、0.1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。なお、イオン伝導性酸化物の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて測定することができる。
また、正極には、リチウムイオン二次電池の正極層に含有させることが可能な公知のバインダーを用いることができる。そのようなバインダーとしては、負極に含有させることが可能な上記バインダー等を例示することができる。さらに、正極には、導電性を向上させる導電助剤が含有されていても良い。正極に含有させることが可能な導電助剤としては、負極に含有させることが可能な上記導電助剤等を例示することができる。そして、例えば、上記正極活物質、固体電解質、導電助剤、及び、バインダー等を液体に分散して調整したスラリー状の正極組成物を用いて正極を作製する場合、使用可能な液体としてはヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。また、正極の厚さは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、全固体電池の性能を高めやすくするために、正極はプレスする過程を経て作製されることが好ましい。本発明において、正極をプレスする際の圧力は100MPa程度とすることができる。
また、固体電解質層に含有させる固体電解質としては、全固体電池に使用可能な公知の固体電解質を適宜用いることができる。そのような固体電解質としては、正極や負極に含有させることが可能な上記固体電解質等を例示することができる。このほか、固体電解質層には、可塑性を発現させる等の観点から、固体電解質同士を結着させるバインダーを含有させることができる。そのようなバインダーとしては、負極に含有させることが可能な上記バインダー等を例示することができる。ただし、高出力化を図りやすくするために、固体電解質の過度の凝集を防止し且つ均一に分散された固体電解質を有する固体電解質層を形成可能にする等の観点から、固体電解質層に含有させるバインダーは5質量%以下とすることが好ましい。また、液体に上記固体電解質等を分散して調整したスラリー状の固体電解質組成物を基材に塗布する過程を経て固体電解質層を作製する場合、固体電解質等を分散させる液体としては、ヘプタン等を例示することができ、無極性溶媒を好ましく用いることができる。固体電解質層における固体電解質材料の含有量は、質量%で、例えば60%以上、中でも70%以上、特に80%以上であることが好ましい。固体電解質層の厚さは、電池の構成によって大きく異なるが、例えば、0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
また、負極集電体や正極集電体は、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。
また、負極側金属層には、負極電位において金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属を用いることができる。そのような金属は、負極活物質に応じて選択することができる。例えば、負極活物質がグラファイトである場合、負極側金属層に用いることが可能な金属としては、Li、Cu、Au、Ti、Fe、Nb、Ni等を例示することができる。このほか、例えば、負極活物質がLiTi12である場合、負極側金属層に用いることが可能な金属としては、Li、Cu、Au、Ti、Fe、Nb、Ni、In、Zn、Al、Ca、Ag、Zr、Sn、Pt等を例示することができる。
また、正極側金属層は、正極電位において金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属を用いることができる。そのような金属は、正極活物質に応じて選択することができる。例えば、正極活物質がLiCoOやLiNi1/3Co1/3Mn1/3である場合、正極側金属層に用いることが可能な金属としては、Li、In、Zn、Al、Ca、Zr、Sn、W、Ti、Fe、Nb、Ni、V、Pd、Mn、Mo等を例示することができる。
また、図示は省略したが、本発明の全固体電池は、全固体電池に使用可能な公知の外装体に収容された状態で使用することができる。そのような外装体としては、公知のラミネートフィルムや金属製の筐体等を例示することができる。
本発明に関する上記説明では、全固体電池がリチウムイオン二次電池である形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明の全固体電池は、負極と正極との間を、リチウムイオン以外のイオンが移動する形態であっても良い。そのようなイオンとしては、ナトリウムイオンやカリウムイオン等を例示することができる。リチウムイオン以外のイオンが移動する形態とする場合、負極活物質、正極活物質、及び、固体電解質は、移動するイオンに応じて適宜選択すれば良い。また、選択された負極活物質に応じて、負極側金属層に用いる金属を選択すれば良く、選択された正極活物質に応じて、正極側金属層に用いる金属を選択すれば良い。
また、本発明において、伸び率とは、例えば、JIS Z2241に規定されている「伸び(%)」とすることができる。また、「伸び率が22%以上である金属」とは、例えば、In、及び、Inよりも柔らかい金属からなる群より選択した金属とすることができる。
[試料の作製]
<実施例1>
・正極合材
正極活物質には、三元系層状正極活物質LiNi1/3Co1/3Mn1/3(日亜化学工業株式会社製、平均粒径(D50)=4〜6μm)を用いた。この表面に、転動流動コーティング装置(MP−01、パウレック社製)を用いて、厚さ10nmのLiNbO層(被覆層)を形成した。
被覆層を形成した正極活物質と、硫化物固体電解質(30LiI・70(0.07LiO・0.68LiS・0.25Pガラス))と、導電助剤(気相成長炭素繊維)とを、重量比で、被覆層を形成した正極活物質:硫化物固体電解質:導電助剤=73:24:3の割合で混合することにより、正極合材を得た。
・負極合材
負極活物質には、天然黒鉛(三菱化学株式会社製、平均粒径(D50)=10μm)を用いた。この天然黒鉛と、硫化物固体電解質(30LiI・70(0.07LiO・0.68LiS・0.25Pガラス))とを、重量比で、天然黒鉛:硫化物固体電解質=50:50の割合で混合することにより、負極合材を得た。
・固体電解質
LiI(アルドリッチ社製、純度99.9%)、LiO(株式会社高純度化学研究所製、純度99%)、LiS(日本化学工業株式会社製、純度99.9%)、及び、P(アルドリッチ社製、純度99%)を出発原料として、これらを、30LiI・70(0.07LiO・0.68LiS・0.25P)の組成比(mol比)となるように、それぞれ秤量した。そして、秤量したLiI、LiS、及び、Pを混合することにより、混合物を得た。次いで、この混合物を遊星型ボールミルの容器(ZrO製)に投入し、脱水ヘプタン(関東化学株式会社製)を投入し、さらにZrOボールを投入した後、容器を完全に密閉した(Ar雰囲気)。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、台盤回転数毎分500回転で、1時間処理及び15分休止のメカニカルミリングを20回行った。その後、遊星型ボールミルの上記容器へ、秤量した上記LiOを投入し、容器を完全に密閉した(Ar雰囲気)。この容器を遊星型ボールミル機(フリッチュ製P7)に取り付け、台盤回転数毎分500回転で、1時間処理及び15分休止のメカニカルミリングを20回行った。その後、得られた試料を、ヘプタンを除去するように乾燥することにより、ガラス状の硫化物固体電解質を得た。得られた硫化物固体電解質の組成は、30LiI・70(0.07LiO・0.68LiS・0.25P)であった。なお、ここでは、LiI、LiS、及び、Pについてボールミル処理を行った後に、LiOを加えてさらにボールミル処理を行ったが、例えば、秤量した全ての出発原料を混合することにより作製した混合物について、1時間処理及び15分休止のメカニカルミリングを40回行うことにより、ガラス状の硫化物固体電解質を作製することも可能である。
・集電体
負極集電体及び正極集電体には、ステンレス鋼(SUS)を用いた。
・金属層
In箔(株式会社ニラコ製、厚さ100μm)及びLi箔(本荘ケミカル株式会社製、厚さ250μm)を用いた。
・容器
ガラス製の密閉容器を用いた。容器内は、乾燥Ar雰囲気とした。
・全固体電池の作製
マコール製のシリンダの中に、80mgの硫化物固体電解質(30LiI・70(0.07LiO・0.68LiS・0.25P))を入れ、その後、98MPaでプレスした。次に、シリンダ内の硫化物固体電解質の上に、17.8mgの正極合材を入れ、その後、98MPaでプレスすることにより、正極を作製した。次に、シリンダ内の硫化物固体電解質(正極が配置されていない側)の上に、15.0mgの負極合材を入れ、その後、392MPaでプレスすることにより、負極を作製した。次に、シリンダ内の正極の表面にIn箔を入れ、さらにその表面にSUS製の正極集電体を入れ、シリンダ内の負極の表面にLi箔を入れ、さらにその表面にSUS製の負極集電体を入れた後、98MPaでプレスすることにより、図1に示した全固体電池10と同様の形態の積層体を作製した。この積層体を、乾燥Ar雰囲気にしたガラス製の密閉容器内へと収容することにより、実施例1の全固体電池を作製した。なお、この後、ボルト締結等による加圧は一切行わなかった。
<実施例2>
負極と負極集電体との間、及び、正極と正極集電体との間に、Li箔を配置したほかは、実施例1と同様にして、実施例2の全固体電池を作製した。実施例2の全固体電池も、この後、ボルト締結等による加圧は一切行わなかった。
<実施例3>
・負極合材
負極活物質には、LiTi12を用いた。このLiTi12と、硫化物固体電解質(30LiI・70(0.07LiO・0.68LiS・0.25Pガラス))と、導電助剤(アセチレンブラック、電気化学工業株式会社製)とを、重量比で、LiTi12:硫化物固体電解質:導電助剤=27:64:9の割合で混合することにより、負極合材を得た。
次に、12mgの正極合材を使用したほかは実施例1と同様にして、シリンダ内の硫化物固体電解質の上に正極を形成した。また、得られた負極合材25mgをシリンダ内の硫化物固体電解質(正極が配置されていない側)の上に入れ、その後、392MPaでプレスすることにより負極を作製した。さらに、負極と負極集電体との間、及び、正極と正極集電体との間に、In箔を配置したほかは、実施例1と同様にして(より具体的には、負極合材及びその使用量、正極合材の使用量、並びに、負極側及び正極側にIn箔を配置した構成のほかは、実施例1と同様にして)、実施例3の全固体電池を作製した。実施例3の全固体電池も、この後、ボルト締結等による加圧は一切行わなかった。
<参考例>
負極と負極集電体との間、及び、正極と正極集電体との間に、In箔を配置したほかは、実施例1と同様にして、参考例の全固体電池を作製した。参考例の全固体電池も、この後、ボルト締結等による加圧は一切行わなかった。
[充放電測定]
得られた全固体電池について、25℃でCC充放電測定を行った。充放電測定の条件を表1に示す。
[結果]
図4に、1サイクル目の充放電曲線を示す。図4に示したように、実施例1の全固体電池では、三元系層状正極活物質の電位(正極電位)と天然黒鉛の電位(負極電位)との電位差である約3.7Vで、充電プラトーが確認された。また、実施例2の全固体電池では、充電時に2V付近で不明な充電容量が観測されたものの、三元系層状正極活物質の電位(正極電位)と天然黒鉛の電位(負極電位)との電位差である約3.7Vで、充電プラトーが確認された。2V付近で観測された反応は、正極活物質とLiとの反応に起因すると推測される。また、実施例3の全固体電池では、三元系層状正極活物質の電位(正極電位)とLiTi12の電位(負極電位)との電位差である約2.2Vで、充電プラトーが確認された。これに対し、参考例の全固体電池では、三元系層状正極活物質の電位(正極電位)と天然黒鉛の電位(負極電位)との電位差である約3.7Vではなく、約3.2Vで、充電プラトーが確認された。Inの反応電位は天然黒鉛の反応電位よりも約0.5V高いため、参考例の全固体電池では、負極と負極集電体との間に配置したIn箔が充電反応に寄与したと考えられる。
図5に、放電比容量のサイクル特性を示す。負極電位においてリチウムイオンと電気化学反応をしない負極側金属層を用いた実施例1〜3の全固体電池では、1サイクル目から5サイクル目までの間で、大きな容量減少は見られなかった。これに対し、負極電位においてリチウムイオンと電気化学反応をする負極側金属層を用いた参考例の全固体電池では、1サイクル目から5サイクル目までの間で、大きな容量減少が観測された。
図6に、充放電サイクル時の放電容量維持率を示す。ここで、1サイクル目の放電比容量をD1、Xサイクル目(X≧1)の放電比容量をDXとするとき、放電容量維持率D[%]は、D=100×DX/D1で求めることができる。図4に示したように、負極電位においてリチウムイオンと電気化学反応をしない負極側金属層を用いた実施例1〜3の全固体電池では、1サイクル目から5サイクル目までの間で、放電容量維持率に大きな変化は見られなかった。これに対し、負極電位においてリチウムイオンと電気化学反応をする負極側金属層を用いた参考例の全固体電池では、1サイクル目から5サイクル目までの間で、放電容量維持率が大きく減少した。なお、5サイクル目における各全固体電池の放電容量維持率は、実施例1の全固体電池が98%、実施例2の全固体電池が84%、及び、実施例3の全固体電池が110%であったのに対し、参考例の全固体電池は36%であった。
以上より、本発明によれば、サイクル特性を向上させることが可能な、全固体電池を提供できることが確認された。また、ボルト締結による加圧等を一切行わなかったにもかかわらず、実施例1〜3の全固体電池は、良好なサイクル特性を示した。この結果から、本発明の全固体電池は、使用時に全固体電池を拘束しなくても良好な充放電サイクル特性を発現できることが確認された。
10、20、30…全固体電池
11…負極
11a…負極活物質
12…正極
12a…正極活物質
12b…導電助剤
13…固体電解質層
13a…硫化物固体電解質
14…負極集電体
15…正極集電体
16…負極側金属層(金属層)
17…正極側金属層(金属層)

Claims (1)

  1. 負極活物質を有する負極、及び、正極活物質を有する正極と、これらの間に配置された固体電解質層と、前記負極に接続された負極集電体、及び、前記正極に接続された正極集電体と、を有し、
    前記負極と前記負極集電体との間、及び/又は、前記正極と前記正極集電体との間に、金属層が配置され、
    前記金属層が、前記負極と前記負極集電体との間に配置された負極側金属層である場合には、前記負極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境において前記金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属が、前記負極側金属層に用いられ、
    前記金属層が、前記正極と前記正極集電体との間に配置された正極側金属層である場合には、前記正極活物質に金属イオンが吸蔵放出される電位環境において前記金属イオンと電気化学反応せず、且つ、伸び率が22%以上である金属が、前記正極側金属層に用いられている、全固体電池。
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