JP2015001710A - 液体現像剤セット - Google Patents

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Abstract

【課題】高い定着品質を有し、所望の画質が得られる液体現像剤セットを提供する。
【解決手段】第1トナー粒子を含むブラック現像剤と第2トナー粒子を含む有彩色現像剤とを含む液体現像剤セットであって、第1トナー粒子は、第1樹脂およびブラック着色剤を含み、第2トナー粒子は、第2樹脂および有彩色着色剤を含み、第1樹脂および第2樹脂は、それぞれ少なくとも2以上のポリエステルがイソシアネート基を有する化合物に由来の構成単位により結合されているウレタン変性ポリエステル樹脂であり、式3000≦Mk<Mc≦50000、および式Uc<Ukを満たす(式中、Mkは第1樹脂の数平均分子量を示し、Mcは第2樹脂の数平均分子量を示し、Ukは第1樹脂のウレタン基濃度を示し、Ucは第2樹脂のウレタン基濃度を示す)。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体現像剤セットに関する。
電子写真方式の画像形成装置に用いられる液体現像剤(湿式現像剤とも呼ばれる)としては、種々のものが知られている。たとえば、特開2004−287314号公報(特許文献1)は、結着樹脂と着色剤とからなるトナー粒子を含み、該結着樹脂が、ポリウレタン樹脂と結晶性樹脂とからなる、液体現像剤を開示している。
特開2004−287314号公報
液体現像剤は、トナー粒子の粒径が0.5μm〜3μm程度であり、乾式現像剤に比べて、トナー粒子の粒径が小さいという利点を有している。これにより、液体現像剤ではトナー粒子の付着量を少なくしながら高画質を実現することができる。
そして、電子写真方式のカラー画像形成では、ブラック現像剤と、たとえば、シアン現像剤などの有彩色現像剤とを含む液体現像剤セットが使用されている。すなわち、画像形成装置内において複数色の液体現像剤が同時併用され、各色のトナー像を重ね合わせて記録材に転写し、定着させることにより、記録材上にカラー画像が形成される。
このような液体現像剤セットとしての使用態様を考慮すると、液体現像剤セットに含まれる各色の液体現像剤は、同一の温度条件で定着可能であり、かつ各色材間で同一の定着品質を有することが望ましい。
また、各色の画像濃度を均一にするという観点から、各色の液体現像剤において、トナー粒子の付着量は同一量とすることが望ましい。
しかしながら、以下に説明するように、従来技術においては、ブラック現像剤のトナー粒子の付着量とその他有彩色現像剤のトナー粒子の付着量とを同一量としながら、それぞれのトナー粒子を同一の温度条件で定着させ、かつ同一の定着品質を得ることは極めて困難であった。
一般に、各色の液体現像剤それぞれにおいて、着色剤の着色力は異なっている。たとえば、ブラック着色剤として、一般に使用されているカーボンブラックは、シアン着色剤である銅フタロシアニンや、マゼンタ着色剤であるカーミン6Bなどの有彩色着色剤と比べて、着色力が低い傾向にある。したがって、ブラック現像剤と、たとえば、シアン現像剤とが液体現像剤セットとして使用される場合には、ブラック現像剤におけるトナー粒子の着色剤含有率は、シアン現像剤におけるトナー粒子の着色剤含有率に比べて高く設計することが求められる。しかしながら、着色剤の含有率が高くなるとトナー粒子が溶融し難くなるため、ブラック現像剤の定着可能な温度域は高温側へシフトしてしまう。このため、ブラック現像剤とシアン現像剤とを同一の温度条件で定着させることが困難になる。
とりわけ、液体現像剤においては、上記のようにトナー粒子の粒径が小さいため、着色剤含有率の定着温度への影響が大きく、ブラック現像剤とその他有彩色現像剤との定着温度の差がより一層大きくなる傾向があった。
さらに、ブラック着色剤であるカーボンブラックは、電子写真方式の画像形成のために求められる電気的特性が不十分であり、他の有機系着色剤と混合して用いられる場合がある。これにより、ブラック現像剤におけるトナー粒子の着色剤含有率はさらに高いものとなり、その他有彩色現像剤と比べて、定着温度域はさらに高温側へシフトすることになる。
ところで、電子写真方式の画像形成装置において、複数色の液体現像剤を同時併用し、カラー画像を形成するためには、定着温度は、それらのうち最も高い定着温度に合わせて設定されるのが一般的である。したがって、画像形成装置の定着温度は、ブラック現像剤の定着温度に合わせて設定されることになる。この場合、ブラック現像剤以外の有彩色現像剤は、定着工程において、適正な定着温度よりも高い温度に曝されることになる。その結果、定着後のカラー画像において、有彩色はブラックに比べて光沢度が低下する。したがって、各色材間で光沢度にバラツキが生じるため、液体現像剤セットとして所望の定着品質を確保することができない。
かかる不具合に対して、従来の液体現像剤セットでは、色ごとにトナー粒子を構成する樹脂の分子量を変えて、定着温度域を調整する方法が用いられてきた。しかしながら、ブラック現像剤の定着温度を下げることを目的として、単にトナー粒子の樹脂分子量を下げると、分子間にキャリア液が残存し易いことが判明した。そして、このような場合、定着工程を経た後でも、トナー膜内にキャリア液が残存するため、トナー膜の強度が低下し、十分な定着強度が得られない。したがって、この方法によっては、各色材間で定着強度にバラツキが生じるため、液体現像剤セットとして所望の定着品質を確保することができない。
このように、ブラック現像剤の付着量と有彩色現像剤の付着量とを同一量とすると、所望の定着品質を確保することができない。
特許文献1は、単色の液体現像剤において、定着強度などを向上させることを指向したものであり、上記のような液体現像剤セットに関する課題に対して、十分な解決手段を提供するものではない。
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、ブラック現像剤のトナー粒子の付着量と有彩色現像剤のトナー粒子の付着量とが同一量であっても、高い定着品質を有し、所望の画質が得られる液体現像剤セットを提供することにある。
上述したように、液体現像剤セットにおいて、ブラック現像剤に含まれるトナー粒子の樹脂分子量を、その他有彩色現像剤に含まれるトナー粒子の樹脂分子量より低く調整することにより、ブラック現像剤とその他有彩色現像剤との定着温度域を合わせることは可能である。ところが、かかる方法によって、ブラック現像剤の定着温度域を調整した場合、ブラック現像剤の定着強度が低下するという新たな課題が生じた。
本発明者は、上記の方法によって定着強度が低下した要因を鋭意調査した結果、樹脂分子量の低下によって、分子間のファンデルワールス力が弱まり、分子間の結合力が弱まったために生じた分子間の隙間にキャリア液が入り込みやすくなっていることを知見し、さらに、分子間の隙間に入り込んだキャリア液は、定着工程を経た後においても、残存しやすい傾向があり、これにより定着後のトナー膜の強度が低下していることを知見した。
そして、本発明者は、このようなキャリア液の入り込みを抑制する手段を鋭意検討した結果、ウレタン変性ポリエステル樹脂が、キャリア液が入り込み難い構造を有することを見出した。さらに、本発明者は、これに留まらず、液体現像剤セットとしての構成をより詳細に検討したところ、ブラックトナー粒子を構成するウレタン変性ポリエステル樹脂およびその他有彩色トナーを構成するウレタン変性ポリエステル樹脂の分子量とウレタン基濃度とを調整することにより、付着量を同一とし、かつ有彩色の光沢度を低下させずに、ブラック現像剤および有彩色現像剤の定着温度域を同一とすることができるのではないかとう着想に至った。そして、本発明者は、この着想に基づきさらに検討を重ねることにより本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の液体現像剤セットは、第1トナー粒子を含むブラック現像剤と第2トナー粒子を含む有彩色現像剤とを含む液体現像剤セットであって、該第1トナー粒子は、第1樹脂およびブラック着色剤を含み、該第2トナー粒子は、第2樹脂および有彩色着色剤を含み、該第1樹脂および該第2樹脂は、それぞれ少なくとも2以上のポリエステルがイソシアネート基を有する化合物に由来の構成単位により結合されているウレタン変性ポリエステル樹脂であり、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
3000≦Mk<Mc≦50000・・・(1)
Uc<Uk・・・(2)
式(1)中、Mkは上記第1樹脂の数平均分子量を示し、Mcは上記第2樹脂の数平均分子量を示す。式(2)中、Ukは上記第1樹脂のウレタン基濃度を示し、Ucは上記第2樹脂のウレタン基濃度を示す。
ここで、上記第1樹脂と上記第2樹脂とは、互いに分子構造内に共通の構成単位を含み、該共通の構成単位はそれぞれの分子構造内において全構成単位のうち80%以上を占めることが好ましい。
また、上記第1樹脂と上記第2樹脂とは、それぞれ実質的に同一のポリマー種であっても良い。
さらに、また、上記液体現像剤セットは、以下の条件1および/または条件2を満たすことが好ましい。
条件1:上記第1トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル粒子がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有し、該コア樹脂が上記第1樹脂である。
条件2:上記第2トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル粒子がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有し、該コア樹脂が上記第2樹脂である。
本発明の液体現像剤セットは、上記のような構成を有することにより、ブラック現像剤のトナー粒子の付着量と有彩色現像剤のトナー粒子の付着量とが同一量であっても、所望の画像濃度が得られるとともに、さらに高い定着品質が得られるという優れた効果を有する。
電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。
以下、本発明に係わる実施の形態について、さらに詳細に説明する。
<液体現像剤セット>
本実施の形態の液体現像剤セットは、ブラック現像剤と有彩色現像剤とを含む。ここで、有彩色現像剤は少なくとも1種以上含まれるものとし、複数の有彩色現像剤が含まれていても良い。
なお、有彩色とは、ブラック、ホワイト、グレー以外の色を意味している。このような有彩色としては、典型的には、たとえば、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を挙げることができる。
<液体現像剤>
本実施の形態の液体現像剤セットに含まれる液体現像剤は、絶縁性液体(キャリア液)とトナー粒子とを少なくとも含み、当該トナー粒子は絶縁性液体中に分散している。かかる液体現像剤は、これらの成分を含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、たとえばトナー分散剤(トナー粒子に含まれる後述の顔料分散剤とは異なり、トナー粒子を分散させるために絶縁性液体中に含まれる分散剤であり、本実施の形態では便宜上「トナー分散剤」という)、荷電制御剤、増粘剤等を挙げることができる。
液体現像剤の配合割合は、たとえばトナー粒子を10〜50質量%とし、残部を絶縁性液体等とすることができる。トナー粒子の配合量が10質量%未満では、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性が低下する傾向を示し、また必要な画像濃度を得るためには多量の液体現像剤を供給する必要があり、紙等の記録材上に付着する絶縁性液体の量が増加し、定着時にそれを乾燥させる必要が生じるとともに発生したその蒸気により環境上の問題が生じる可能性がある。一方、トナー粒子の配合量が50質量%を超えると、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上および取り扱い上、困難になる傾向を示す。
このような液体現像剤は、電子写真方式の画像形成装置用の現像剤として有用である。より具体的には、複写機、プリンタ、デジタル印刷機、簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置において使用される電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インクまたは電子ペーパー用インクなどとして用いることができる。
<トナー粒子>
上記の液体現像剤に含まれるトナー粒子は、樹脂と、該樹脂中に分散された着色剤とを含む。かかるトナー粒子は、これらの成分を含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、たとえば顔料分散剤、ワックス、荷電制御剤等を挙げることができる。ここで、樹脂と着色剤との配合割合は、トナー粒子を所望の付着量で適用した場合に発現される濃度が所望の濃度となるように決定するとよい。
本実施の形態において、トナー粒子のメジアン径は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。かかるメジアン径は、従来の乾式現像剤のトナー粒子の粒径に比べて小さいものとなり、本実施の形態の特徴の一つとなるものであるが、このメジアン径が0.5μm未満では、粒子が小径過ぎて、電界での移動性が悪化し、現像性が低下する場合があり、5μmを超えると、均一性が低下し画質が低下する場合がある。なお、ここでいうメジアン径とはD50を示している。また、より好ましいメジアン径は、0.5μm以上2.0μm以下である。
また、本実施の形態において、トナー粒子の平均円形度は0.85以上0.95以下であり、かつ円形度の標準偏差は0.01以上0.1以下であることが好ましい。その理由は、トナー粒子の平均円形度および円形度の標準偏差が、かかる範囲を占めることにより、転写性およびクリーニング性が向上するという効果が付与されるからである。
なお、ここでいう円形度とは、2次元に投影した粒子面積と等しい面積の円の周囲長を粒子周囲長で除した数値を示しており、平均円形度とは該数値の相加平均値を示している。
本実施の形態において、トナー粒子のメジアン径、平均円形度および円形度の標準偏差は、ともにフロー式粒子画像分析装置(商品名:「FPIA−3000S」、Sysmex社製)等を用いて求めることができる。この装置は、絶縁性液体をそのまま分散媒体として使用することが可能であるため、水系で測定する系に比し、実際の分散状態における粒子の状態を計測することができるため好ましい。
<ブラック現像剤および有彩色現像剤>
本実施の形態において、ブラック現像剤は、第1トナー粒子を含み、第1トナー粒子は第1樹脂およびブラック着色剤を含む。そして、有彩色現像剤は、第2トナー粒子を含み、第2トナー粒子は第2樹脂および有彩色着色剤を含む。
<ウレタン変性ポリエステル樹脂>
本実施の形態において、上記の第1樹脂および第2樹脂はウレタン変性ポリエステル樹脂である。ここで、ウレタン変性ポリエステル樹脂とは、ポリエステルの末端をウレタン結合で鎖長した構造を有する樹脂である。すなわち、ウレタン変性ポリエステル樹脂とは、少なくとも2以上のポリエステルがイソシアネート基を有する化合物に由来の構成単位により結合されている樹脂である。かかるウレタン変性ポリエステル樹脂は結晶性を示すことが好ましい。
このようなウレタン変性ポリエステル樹脂は、まず骨格となるポリエステル樹脂を重合によって得、該ポリエステル樹脂の末端をジ(トリ)イソシアネートにより鎖長させることにより得られる。なお、ジ(トリ)イソシアネートとは、ジイソシアネートおよび/またはトリイソシアネートを意味している。
そして、本実施の形態の液体現像剤セットは、第1樹脂の数平均分子量をMkとし、第2樹脂の数平均分子量をMcとしたとき、MkおよびMcが下記式(1)を満たし、かつ第1樹脂のウレタン基濃度をUkとし、第2樹脂のウレタン基濃度をUcとしたとき、UkおよびUcが下記式(2)を満たすことを特徴としている。
3000≦Mk<Mc≦50000・・・(1)
Uc<Uk・・・(2)
上記の構成を有することにより、本実施の形態の液体現像剤セットは、ブラック現像剤と有彩色現像剤の付着量を同一量としながら、それらを同一の定着温度域で定着可能であり、かつ同一の定着性を確保することができるとともに、所望の画質を実現し得るという優れた効果を有する。すなわち、高い定着品質を有することができる。
ここで、ウレタン基濃度および数平均分子量は、たとえば、ウレンタン変性ポリエステル樹脂の原料であるポリエステル樹脂を合成する際の、ポリカルボン酸成分の酸基量とポリオール成分の水酸基量との当量比([酸基]/[水酸基])と、ポリエステル樹脂同士を結合させるためのイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基量と、ポリエステル樹脂の水酸基量との当量比([イソシアネート基]/[水酸基])とを調整することにより、所望の範囲に制御することができる。
なお、本実施の形態において、液体現像剤セットが複数の有彩色現像剤を含む場合、いずれか1つ以上の有彩色現像剤と、ブラック現像剤との間で、上記式(1)および(2)の関係を満たしていれば、本発明の効果は示される。また、ブラック現像剤といずれか1つ以上の有彩色現像剤とが、上記の関係を満たす限り、他に上記の関係を満たさない有彩色現像剤が含まれていても、本発明の範囲を逸脱するものではない。
ここで、Mkが3000未満であると、樹脂が過度に柔らかくなり、定着の際、オフセットが発生しやすい傾向にあり、Mcが50000を超えると、樹脂が溶融し難くなり、定着強度が低下しやすい傾向にある。したがって、本実施の形態において、上記式(1)に示すとおり、第1樹脂および第2樹脂の数平均分子量は、3000以上50000以下であることを要する。なお、第1樹脂および第2樹脂の数平均分子量のより好ましい範囲は、10000以上30000以下である。
<数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)>
本明細書において、樹脂(ポリウレタン樹脂を除く)の数平均分子量(以下「Mn」とも記す)および重量平均分子量(以下「Mw」とも記す)は、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略記する)の可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC(Gel Permeation Chromatography)、以下「GPC」と略記する)を用いて、以下の条件で測定されたものである。なお、ウレタン変性ポリエステル樹脂のMnおよびMwはこの方法により測定されたものである。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8120」
カラム:東ソー(株)製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー(株)製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
また、本明細書において、ポリウレタン樹脂のMnおよびMwは、GPCを用いて、以下の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」
カラム:東ソー(株)製の「TSK guardcolumn α」(1本)と東ソー(株)製の「TSKgel α−M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
本実施の形態では、上記式(1)および(2)に示すとおり、単に有彩色トナー粒子の樹脂分子量に対して、ブラックトナー粒子の樹脂分子量を下げるのではなく、同時に、ブラックトナー粒子のウレタン基濃度を、有彩色トナー粒子のウレタン基濃度に対して、高くしている。ウレタン基濃度を高めることにより、樹脂が強靭となるため、分子間へのキャリア液の入り込みを抑制することができる。したがって、上記のような構成により、ブラックトナー粒子の低分子量化に伴う定着強度の低下を補うことができ、以って、ブラック現像剤の定着強度と有彩色現像剤の光沢度とを両立させることができる。すなわち、高い定着品質を有することができる。そして、これにより、ブラックトナー像と有彩色トナー像とが重ねられた画像でも均質な画像濃度で高画質を実現することができる。
換言すれば、本実施の形態の液体現像剤セットは、ブラック現像剤と有彩色現像剤の付着量を同一としながら、それらを同一の定着温度域で定着可能であり、高い定着品質を有し、所望の画質が得られる液体現像剤セットである。
<ウレタン基濃度>
「ウレタン基濃度(質量%)」とは、樹脂に含まれるウレタン基の質量を、同樹脂の質量で除した値に100を乗じた値を意味している。ここで、ウレタン基濃度は、高温時の弾性維持の観点から、Ucは0.5以上であることが好ましく、また、耐ドキュメントオフセットのような耐熱性の観点から、Ukは8以下であることが好ましい。かかるウレタン基濃度は、以下の方法で測定することができる。
たとえば、ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer))を用いて、第1樹脂および第2樹脂のウレタン基濃度を測定することができる。具体的には、第1樹脂または第2樹脂であるウレタン変性ポリエステル樹脂を熱分解してから、GCMSを用いて以下の条件で、それぞれの樹脂のウレタン基濃度を測定する。そして、熱分解されたウレタン変性ポリエステル樹脂より検出されたイオン強度の比率を用いて、ウレタン変性ポリエステル樹脂中のウレタン基濃度を算出する。
本明細書において、ウレタン変性ポリエステル樹脂の熱分解は、以下の条件で行なわれたものである。
測定装置:フロンティア・ラボ(株)製の「PY−2020iD」
測定の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分。
また、本明細書において、ウレタン変性ポリエステル樹脂のウレタン基濃度の測定は、上記の条件で、熱分解を行なったのち、以下の条件で測定されたものである。
測定装置:(株)島津製作所製の「QP2010」
カラム:フロンティア・ラボ(株)製の「UltraALLOY−5」(内径:0.25mm、長さ:30m、厚さ:0.25μm)
昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)
昇温速度:20℃/分。
<結晶性・非結晶性>
また、本実施の形態の第1樹脂および第2樹脂は、結晶性を示すことが好ましい。結晶性を示す樹脂構造とすることにより、低温でも高い光沢度が得られ易いという優れた効果が付与される。
本明細書において、「結晶性」とは、樹脂の軟化点(以下「Tm」と略記する)と樹脂の融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と略記する)との比(Tm/Ta)が0.8以上1.55以下であることを意味し、示差走査熱量測定(DSC(Differential Scanning Calorimetry))により得られた結果は階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な吸熱ピークを有することを意味する。また、本明細書において、「非結晶性」とは、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きいことを意味する。TmおよびTaは以下の方法で測定することができる。
なお、本実施の形態の第1樹脂および第2樹脂のTmは40℃以上であることが好ましく、低温定着性の観点から80℃以下であることが好ましい。
高化式フローテスター(たとえば(株)島津製作所製の「CFT−500D」)を用いて、Tmを測定することができる。具体的には、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより上記測定試料に1.96MPaの荷重を与え、直径1mmおよび長さ1mmのノズルから上記測定試料を押し出す。そして、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」との関係をグラフに描く。プランジャーの降下量が当該降下量の最大値の1/2であるときの温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分がノズルから押し出されたときの温度)をTmとする。
示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル(株)製の「DSC210」)を用いてTaを測定することができる。具体的には、まず、Taを測定するために用いる試料に対して前処理を行なう。試料を、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温させ、その後、70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温させる。次に、DSC法により、試料を昇温速度20℃/分で昇温させて当該試料の吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。このとき、20〜100℃に観測される吸熱ピークの温度をTa’とする。吸熱ピークが複数ある場合には最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。そして、試料を、(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
次に、DSC法により、上記前処理が施された試料を降温速度10℃/分で0℃まで冷却してから昇温速度20℃/分で昇温させて吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。そして、吸熱量が最大値をとったときの温度を融解熱の最大ピーク温度(Ta)とする。
上記のような結晶性を有するウレタン変性ポリエステル樹脂を得るためには、樹脂の構成成分として、たとえば、炭素数が4以上である直鎖状のアルキル骨格を有する単量体を用いることが好ましい。そのような単量体としては、たとえば、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジオールなどが好適である。なお、これらは好適例に過ぎず、結晶性が発現する限り、芳香族ジカルボン酸や芳香族ジオールなどを含んでいても良い。
以下、ウレタン変性ポリエステル樹脂を構成する単量体の好適例について説明する。
ポリエステル樹脂の出発原料である脂肪族ジカルボン酸として好ましいものは、炭素数が4〜20であるアルカンジカルボン酸、炭素数が4〜36であるアルケンジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などである。また、脂肪族ジカルボン酸としてより好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、もしくはフマル酸など、またはこれらのエステル形成性誘導体などである。
また、ポリエステル樹脂の出発原料である脂肪族ジオールとして好ましいものは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、または1,10−デカンジオールなどである。
次に、上記のようなジカルボン酸単量体およびジオール単量体を重合させることにより得られたポリエステル樹脂同士を結合させ、連結させることにより、ウレタン変性ポリエステル樹脂とするためのイソシアネート基を有する化合物について説明する。
本実施の形態のイソシアネート基を有する化合物としては、分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。そのような化合物としては、鎖状脂肪族ポリイソシアネートおよび環状脂肪族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。
鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記する)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、ならびに2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、またはこれら2種以上の併用などが挙げられる。
環状脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略記する)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(以下、「水添MDI」とも記す)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(以下、「水添TDI」とも記す)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、ならびに2,6−ノルボルナンジイソシアネート、またはこれら2種以上の併用などが挙げられる。
また、本実施の形態において、ウレタン変性ポリエステル樹脂である第1樹脂と第2樹脂とは、互いに分子構造内に共通の構成単位を含み、該共通の構成単位はそれぞれの分子構造内において全構成単位のうち80%以上を占めることが好ましい。このように、第1樹脂と第2樹脂の分子構造を近似させることにより、それぞれの液体現像剤の定着温度および光沢度を、より精細に整合させることが可能になり、上記のような本発明の優れた効果をより一層高めることができる。
さらに、より好ましくは、上記第1樹脂と上記第2樹脂とは、それぞれ実質的に同一のポリマー種である。ここで、実質的に同一のポリマー種であるとは、ポリマーを構成する主成分が等しいことを示し、上記のように第1樹脂と第2樹脂とが互いに分子構造内に共通の構成単位を含み、該共通の構成単位はそれぞれの分子構造内において全構成単位のうち90%以上を占めていることを意味している。
<トナー粒子の製造方法>
本実施の形態におけるトナー粒子(すなわち、第1トナー粒子および第2トナー粒子)は、たとえば造粒法、粉砕法等の従来公知の技法に基づいて製造することができる。
ここで、粉砕法は、予め樹脂と顔料等の着色剤とを溶融混練し、粉砕する方法である。かかる粉砕は乾式状態や絶縁性液体中での湿式状態で行なうことができる。
また、造粒法には、トナー粒子の形成機構の違いから、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加し析出する法、スプレードライ法等や、2種類の異なる樹脂によりトナー粒子の樹脂の構成をコア・シェル構造とするような製造方法もある。
本実施の形態のトナー粒子の製造方法は特に限定されないが、小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、粉砕法よりも造粒法を採用することが好ましい。これは、溶融性の高い樹脂や結晶性の高い樹脂は、常温でも柔らかく粉砕し難いからである。造粒法によれば、このような樹脂であっても所望の粒径を得やすく好適である。
また、上記のような製造法の中でも、良溶媒に樹脂を溶解しコア樹脂溶液とし、SP値がこの良溶媒と異なる貧溶媒に対して、該コア樹脂溶液を界面張力調整剤とともに混合してせん断を与えて、液滴を形成した後、良溶媒を揮発させてコア樹脂微粒子を形成する。
この方法によれば、せん断の与え方、界面張力差、または界面張力調整剤(シェル樹脂微粒子)を適宜調整することにより、トナー粒子の粒度および形状を高度に制御することができるため、所望の粒度分布および形状を有するトナー粒子を得る方法として好適である。
<コア・シェル型トナー粒子>
上述した本実施の形態の好ましい態様の一つである、トナー粒子のメジアン径や円形度などの特徴は、トナー粒子がコア・シェル構造を有するコア・シェル型トナー粒子であることにより、実現されやすい。
したがって、本実施の形態の第1樹脂および/または第2樹脂は、シェル樹脂を含むシェル粒子がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有することが好ましい。
換言すれば、本実施の形態の液体現像剤セットは、以下の条件1および/または条件2を満たすことが好ましい。
条件1:第1トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル粒子がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有し、該コア樹脂が第1樹脂である。
条件2:第2トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル粒子がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有し、該コア樹脂が第2樹脂である。
以下、コア・シェル型トナー粒子について説明する。なお、以下の説明において、便宜上、コア・シェル型トナー粒子をトナー粒子(C)、トナー粒子(C)を含む液体現像剤を液体現像剤(X)と記すことがある。
トナー粒子(C)は、シェル樹脂(a)を含むシェル粒子(A)がコア樹脂(b)を含むコア粒子(B)の表面に付着または被覆されてなる構造を有する。
ここで、本実施の形態においては、上記コア樹脂(b)が上記第1樹脂または上記第2樹脂(すなわち、ウレタン変性ポリエステル樹脂)であり、コア粒子(B)が上記第1トナー粒子または第2トナー粒子である。
<シェル樹脂(a)>
本実施の形態におけるシェル樹脂(a)は、熱可塑性樹脂であっても良いし、熱硬化性樹脂であっても良い。シェル樹脂(a)としては、たとえば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、および、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。なお、シェル樹脂(a)として、上記列挙された樹脂の2種以上を併用してもよい。
本実施の形態に係る形状のトナー粒子が得られやすいという観点では、シェル樹脂(a)として、好ましくは、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、および、エポキシ樹脂の少なくとも1つを用いることが好ましく、より好ましくは、ポリエステル樹脂、および、ポリウレタン樹脂の少なくとも1つを用いることが好適である。
<ビニル樹脂>
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有する単量体が単独重合されて得られた単独重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む単独重合体)であっても良いし、重合性二重結合を有する二種以上の単量体が共重合されて得られた共重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む共重合体)であっても良い。重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1) 重合性二重結合を有する炭化水素
重合性二重結合を有する炭化水素は、たとえば、下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、または、下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などであることが好ましい。
(1−1) 重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素は、たとえば、下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、または、下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素などであることが好ましい。
(1−1−1) 重合性二重結合を有する鎖状炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素としては、たとえば、炭素数が2〜30のアルケン(たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンまたはオクタデセンなど);炭素数が4〜30のアルカジエン(たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンなど)などが挙げられる。
(1−1−2) 重合性二重結合を有する環状炭化水素
重合性二重結合を有する環状炭化水素としては、たとえば、炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(たとえば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセンまたはエチリデンビシクロヘプテンなど);炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(たとえば、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンなど)などが挙げられる。
(1−2) 重合性二重結合を有する芳香族炭化水素
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素としては、たとえば、スチレン;スチレンのハイドロカルビル(たとえば、炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体(たとえば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンまたはトリビニルベンゼンなど);ビニルナフタレンなどが挙げられる。
(2) カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸など];炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[たとえば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸など];炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(たとえば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステルなど)などが挙げられる。本明細書では、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
上記単量体の塩としては、たとえば、アルカリ金属塩(たとえば、ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとえば、カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩、および、4級アンモニウム塩などが挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されず、たとえば、1級アミン塩(たとえば、エチルアミン塩、ブチルアミン塩またはオクチルアミン塩など);2級アミン塩(たとえば、ジエチルアミン塩またはジブチルアミン塩など);3級アミン塩(たとえば、トリエチルアミン塩またはトリブチルアミン塩など)などが挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、たとえば、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩およびトリブチルラウリルアンモニウム塩などが挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、たとえば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウムなどが挙げられる。
(3) スルホ基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
(4) ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体およびその塩
(5) ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体
(6) 重合性二重結合を有する含窒素単量体
重合性二重結合を有する含窒素単量体としては、たとえば、下記(6−1)〜(6−4)で示す単量体が挙げられる。
(6−1) アミノ基と重合性二重結合を有する単量体
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールおよびアミノメルカプトチアゾールなどが挙げられる。
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、上記列挙した単量体の塩であっても良い。上記列挙した単量体の塩としては、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩」において「上記単量体の塩」として列挙した塩が挙げられる。
(6−2) アミド基と重合性二重結合を有する単量体
アミド基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
(6−3) ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体としては、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよびシアノアクリレートなどが挙げられる。
(6−4) ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体としては、たとえば、ニトロスチレンなどが挙げられる。
(7) エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体
(8) ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体
(9) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルとしては、たとえば、酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;酪酸ビニル;ジアリルフタレート;ジアリルアジペート;イソプロペニルアセテート;ビニルメタクリレート;メチル−4−ビニルベンゾエート;シクロヘキシルメタクリレート;ベンジルメタクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;ビニルメトキシアセテート;ビニルベンゾエート;エチル−α−エトキシアクリレート;炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど];ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど);ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[たとえば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノ(メタ)アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下「エチレンオキサイド」を「EO」と略記する)10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレートなど];ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などが挙げられる。なお、本明細書では、「(メタ)アリロ」とは、アリロおよび/またはメタリロを意味する。
ビニル樹脂の具体例としては、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体およびスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
ビニル樹脂としては、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体の単独重合体または共重合体であっても良いし、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体と分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)とが重合されたものであっても良い。分子鎖(k)としては、炭素数12〜27の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖およびポリジメチルシロキサン鎖などが挙げられる。単量体(m)中の分子鎖(k)と絶縁性液体(L)とのSP値の差は2以下であることが好ましい。本明細書では、「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された数値である。
分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)としては、特に限定されないが、たとえば、下記の単量体(m1)〜(m3)などが挙げられる。単量体(m)としては、単量体(m1)〜(m3)の2種以上を併用しても良い。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の直鎖状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m1)
このような単量体(m1)としては、たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどが挙げられる。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸およびシトラコン酸などの炭素数が3〜24のカルボキシル基含有ビニル単量体などが挙げられる。
単量体(m1)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルおよび(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の分岐状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m2)
このような単量体(m2)としては、たとえば、不飽和モノカルボン酸の分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどが挙げられる。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、単量体(m1)において不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸の具体例として列挙したものと同様のものが挙げられる。
単量体(m2)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどが挙げられる。
その他炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖と重合性二重結合を有する単量体(m3)なども挙げられる。
<融点>
シェル樹脂(a)の融点は、好ましくは0〜220℃であり、より好ましくは30〜200℃であり、さらに好ましくは40〜80℃である。トナー粒子の粒度分布および形状、ならびに、液体現像剤(X)の粉体流動性、耐熱保管安定性および耐ストレス性などの観点から、シェル樹脂(a)の融点は液体現像剤(X)を製造するときの温度以上であることが好ましい。シェル樹脂の融点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低いと、トナー粒子同士が合一することを防止し難くなることがあり、トナー粒子が***することを防止し難くなることがある。それだけでなく、トナー粒子の粒度分布における分布幅が狭くなり難い、別の言い方をすると、トナー粒子の粒径のバラツキが大きくなるおそれがある。
本明細書において、融点は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル(株)製の「DSC20」または「SSC/580」など)を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠して測定されたものである。
<Mn(数平均分子量)>
シェル樹脂(a)のMn(GPCで測定して得られたもの)は、好ましくは100〜5000000であり、好ましくは200〜5000000であり、より好ましくは500〜500000である。
<SP値>
シェル樹脂(a)のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm31/2であり、より好ましくは8〜14(cal/cm31/2である。
<シェル粒子(A)>
本実施の形態におけるシェル粒子(A)は、シェル樹脂(a)を含む。シェル粒子(A)の製造方法は、公知のいかなる方法も採用することができ、特に限定されない。たとえば、以下の[1]〜[7]のような方法を挙げることができる
[1]:ジェットミルなどの公知の乾式粉砕機を用いて、シェル樹脂(a)を乾式で粉砕させる
[2]:シェル樹脂(a)の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミルなどの公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる
[3]:スプレードライヤーなどを用いてシェル樹脂(a)の溶液を噴霧し、乾燥させる
[4]:シェル樹脂(a)の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、シェル樹脂(a)を過飽和させて析出させる
[5]:シェル樹脂(a)の溶液を水または有機溶剤中に分散させる
[6]:シェル樹脂(a)の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、または、懸濁重合法などにより重合させる
[7]:シェル樹脂(a)の前駆体を有機溶剤中で分散重合などにより重合させる。
これらの方法のうち、シェル粒子(A)の製造のしやすさの観点から、[4]、[6]および[7]の方法が好ましく、より好ましくは、[6]および[7]の方法が好適である。
<体積平均粒径>
この場合、シェル粒子(A)の体積平均粒径は、所望の粒径のトナー粒子(C)を得るのに適した粒径になるように適宜調整することができる。シェル粒子(A)の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜3μmである。シェル粒子(A)の体積平均粒径の上限は、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは1μmである。シェル粒子(A)の体積平均粒径の下限は、より好ましくは0.01μmであり、さらに好ましくは0.02μmであり、最も好ましくは0.04μmである。たとえば体積平均粒径が1μmのトナー粒子(C)を得たい場合には、シェル粒子(A)の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜0.3μmであり、より好ましくは0.001〜0.2μmである。たとえば体積平均粒径が10μmのトナー粒子(C)を得たい場合には、シェル粒子(A)の体積平均粒径は、好ましくは0.005〜3μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。
<コア樹脂(b)およびコア粒子(B)>
前述のように、本実施の形態において、トナー粒子(C)がコア・シェル型トナー粒子である場合、コア樹脂(b)は、上記のウレタン変性ポリエステル樹脂である。そして、コア粒子(B)はコア樹脂(b)を含む。
<SP値>
コア樹脂(b)のSP値は適宜調整すればよい。コア樹脂(b)のSP値は、好ましくは8〜16(cal/cm31/2であり、より好ましくは9〜14(cal/cm31/2である。
<コア・シェル構造>
本実施の形態のトナー粒子に含まれる樹脂は、前述の通り、シェル樹脂(a)を含むシェル粒子(A)がコア樹脂(b)を含むコア粒子(B)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有することが好ましい。
シェル粒子(A)とコア粒子(B)との質量比[(A):(B)]は、好ましくは1:99〜70:30である。トナー粒子(C)の粒径の均一性および液体現像剤(X)の耐熱安定性などの観点から、上記比率[(A):(B)]は、より好ましくは2:98〜50:50であり、さらに好ましくは3:97〜35:65である。シェル粒子(A)の含有率(質量比)が低すぎると、トナー粒子の耐ブロッキング性が低下することがある。コア粒子の含有率(質量比)が高すぎると、トナー粒子の粒径均一性が低下することがある。
トナー粒子(C)の粒度分布および液体現像剤(X)の耐熱安定性の観点から、トナー粒子(C)のコア・シェル構造は、トナー粒子(C)の質量に対して、1〜70質量%(より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜35質量%)のシェル粒子(A)と、30〜99質量%(より好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは65〜90質量%)のコア粒子(B)とで構成されることが好ましい。
トナー粒子(C)の定着性と液体現像剤(X)の耐熱安定性との観点から、液体現像剤(X)におけるトナー粒子(C)の含有率は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。
<添加剤など>
本実施の形態におけるトナー粒子(C)は、シェル粒子(A)およびコア粒子(B)の少なくとも一方に、着色剤を含んでいることが好ましく、着色剤以外の添加剤(たとえば顔料分散剤、ワックス、荷電制御剤、充填剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤など)をさらに含んでいても良い。
<着色剤>
本実施の形態のトナー粒子に含まれる着色剤は、上記の樹脂(シェル粒子(A)および/またはコア粒子(B))中に分散されている。このような着色剤の体積平均粒径は、0.3μm以下であることが好ましい。着色剤の体積平均粒径が0.3μmを超えると分散が悪くなり、光沢度が低下し所望の色目を実現できなくなる場合がある。
このような着色剤としては、従来公知の顔料等を特に限定することなく使用することができるが、コスト、耐光性、着色性等の観点から、たとえば以下の顔料を使用することが好ましい。なお、色彩構成上、これらの顔料は、通常ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料に分類され、基本的にブラック以外の色彩(カラー画像)はイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料の減法混色により調色される。
ブラック着色剤に含まれる顔料(ブラック顔料)としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、バイオマス由来のカーボンブラック等を挙げることができ、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。また、紫黒色染料であるアジン系化合物であるニグロシンを単独または併用して用いることもできる。ニグロシンとしてはC.I.ソルベントブラック7またはC.I.ソルベントブラック5等から選ばれる。
マゼンタ着色剤に含まれる顔料(マゼンタ顔料)としては、たとえばC.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロー着色剤に含まれる顔料(イエロー顔料)としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
シアン着色剤に含まれる顔料(シアン顔料)としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
なお、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することが可能である。
<顔料分散剤>
顔料分散剤は、トナー粒子中に着色剤(顔料)を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤を使用することが好ましい。ここで、塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、それをペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、堀場製作所社製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
このような塩基性分散剤は、その種類は特に限定されない。たとえば、分散剤の分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基等の官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。なお分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、上記の通り着色剤(顔料)を分散させる作用を有する限り、種々の化合物を用いることができる。
このような塩基性分散剤の市販品としては、たとえば味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)や日本ルーブリゾール社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)、「ソルスパーズ37500」(商品名)等を挙げることができる。
また、顔料分散剤としては、絶縁性液体(キャリア液)に溶解しないものを選択することがより好ましい。その理由から味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)がより好ましい。詳細なメカニズムは不明ながら、このような顔料分散剤を使用すると、所望の形状が得やすくなった。
このような顔料分散剤の添加量は、着色剤(顔料)に対して、1〜100質量%添加することが好ましい。より好ましくは、1〜40質量%である。1質量%未満では、着色剤(顔料)の分散性が不十分となる場合があり、必要なID(画像濃度)が達成できないとともに、定着強度が低下する場合がある。また100質量%を超えると、顔料分散に対する必要量以上の分散剤が添加されることになり、余剰の分散剤が絶縁性液体中へ溶解する場合があり、トナー粒子の荷電性や定着強度に悪影響を及ぼす場合がある。
このような顔料分散剤は、1種単独でまたは2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
<絶縁性液体>
本実施の形態の液体現像剤に含まれる絶縁性液体は、静電潜像を乱さない程度の抵抗値(1011〜1016Ω・cm程度)のものであれば良い。さらに、臭気、毒性が低い溶媒が好ましい。一般的に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒が好ましい。具体的には、モレスコホワイト(商品名、松村石油研究所社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル社製)、シェルゾール(商品名、シェルケミカルズジャパン(株)製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産社製)等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>[ポリエステル樹脂の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、ドデカン二酸286質量部、1,6−ヘキサンジオール190質量部および縮合触媒としてのチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れて、180℃で窒素気流下で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に0.007〜0.026MPaの減圧下で、1時間反応させた。これにより、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂については、融点は68℃であり、Mnは4900であり、Mwは10000であった。
なお、融点、Mn、Mwの測定は、前述の方法を採用した(以下において同じ)。
<製造例2>[シェル粒子(A1)の分散液(W1)の製造]
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸2−デシルテトラデシル80質量部、メタクリル酸メチル5質量部、メタクリル酸5質量部、イソシアネート基含有モノマー(商品名:「カレンズMOI」、昭和電工(株)製)と上記製造例1で得られたポリエステル樹脂との等モル反応物20質量部、および、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.5質量部を入れ、20℃で撹拌して混合した。これにより、単量体溶液を得た。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。その反応容器にTHF195質量部を入れ、反応容器が備える滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけて単量体溶液を反応容器内のTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を反応容器に入れ、70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
次いで、得られた共重合体溶液400質量部を攪拌下のIPソルベント2028(出光興産社製)600質量部に滴下した後、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを留去した。これにより、シェル粒子(A1)の分散液(W1)を得た。この分散液(W1)中のシェル粒子(A1)の体積平均粒径は、0.13μmであった。
<製造例3>[コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:6000)971質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI29質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b1)を得た。次いで、コア樹脂(b1)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b1)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)を得た。
<製造例4>[コア樹脂(b2)形成用溶液(Y2)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、イソフタル酸(モル比1:0.6:0.4)から得られたポリエステル樹脂(Mn:2000)931質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI69質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b2)を得た。次いで、コア樹脂(b2)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b2)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b2)形成用溶液(Y2)を得た。
<製造例5>[コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:4000)957質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI43質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b3)を得た。次いで、コア樹脂(b3)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b3)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を得た。
<製造例6>[コア樹脂(b4)形成用溶液(Y4)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、イソフタル酸(モル比1:0.6:0.4)から得られたポリエステル樹脂(Mn:1200)890質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI110質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b4)を得た。次いで、コア樹脂(b4)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b4)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b4)形成用溶液(Y4)を得た。
<製造例7>[コア樹脂(b5)形成用溶液(Y5)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:4000)956質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI45質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b5)を得た。次いで、コア樹脂(b5)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b5)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b5)形成用溶液(Y5)を得た。
<製造例8>[コア樹脂(b6)形成用溶液(Y6)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:2000)914質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI86質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b6)を得た。次いで、コア樹脂(b6)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b6)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b6)形成用溶液(Y6)を得た。
<製造例9>[コア樹脂(b7)形成用溶液(Y7)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:6000)975質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI25質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b7)を得た。次いで、コア樹脂(b7)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b7)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b7)形成用溶液(Y7)を得た。
<製造例10>[コア樹脂(b8)形成用溶液(Y8)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:6000)973質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI27質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b8)を得た。次いで、コア樹脂(b8)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b8)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b8)形成用溶液(Y8)を得た。
<製造例11>[コア樹脂(b9)形成用溶液(Y9)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:4000)954質量部およびアセトン1300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にIPDI47質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水フタル酸28質量部を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b9)を得た。次いで、コア樹脂(b9)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b9)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b9)形成用溶液(Y9)を得た。
<数平均分子量およびウレタン基濃度の測定>
このようにして得られた、コア樹脂(b1)〜コア樹脂(b9)の数平均分子量およびウレタン基濃度を、前述の方法にしたがって測定した。結果を表1に示す。
Figure 2015001710
<製造例12>[シアン着色剤分散液(P1)の製造]
ビーカーに、シアン着色剤としての酸性処理銅フタロシアニン(商品名:「Fastogen Blue FDB-14」、DIC社製)20質量部、顔料分散剤(商品名:「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ(株)製)5質量部およびアセトン75質量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、シアン着色剤分散液(P1)を得た。シアン着色剤分散液(P1)中の銅フタロシアニンの体積平均粒径は0.2μmであった。
<製造例13>[ブラック着色剤分散液(P2)の製造]
ビーカーに、ブラック着色剤としてのカーボンブラック(商品名:「モーガルL」、キャボット社製)15質量部、酸性処理銅フタロシアニン(商品名:「Fastogen Blue FDB-14」、DIC社製)5質量部、顔料分散剤(商品名:「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ(株)製)5質量部およびアセトン75質量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、ブラック着色剤分散液(P2)を得た。ブラック着色剤分散液(P2)中の銅フタロシアニンの体積平均粒径は0.2μmであった。
<製造例14>[シアン現像剤(Z−1)の製造]
ビーカーに、コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)40質量部およびシアン着色剤分散液(P1)20質量部を投入し、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて8000rpmで撹拌し、均一に分散させて樹脂溶液(Y1P1)を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光興産社製)67質量部およびシェル粒子(A1)の分散液(W1)11質量部を投入して均一に分散した。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌しながら、樹脂溶液(Y1P1)60質量部を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温後、同温度で0.039MPaの減圧下、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで樹脂溶液(Y1P1)からアセトンを留去した。これにより、トナー粒子(C−1)中の着色剤(顔料)含有率が17質量%のシアン現像剤(Z−1)を得た。なお、トナー粒子(C−1)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b1)からなるコア粒子(B1)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例15>[シアン現像剤(Z−2)の製造]
製造例14において、コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)を、コア樹脂(b2)形成用溶液(Y2)に変更し、樹脂溶液(Y2P1)を得る以外は、製造例14と同様にして、トナー粒子(C−2)中の着色剤(顔料)含有率が17質量%のシアン現像剤(Z−2)を得た。なお、トナー粒子(C−2)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b2)からなるコア粒子(B2)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例16>[ブラック現像剤(Z−3)の製造]
ビーカーに、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)40質量部およびブラック着色剤分散液(P2)20質量部を投入し、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて8000rpmで撹拌し、均一に分散させて樹脂溶液(Y3P2)を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光興産社製)67質量部およびシェル粒子(A1)の分散液(W1)11質量部を投入して均一に分散した。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌しながら、樹脂溶液(Y3P2)60質量部を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温後、同温度で0.039MPaの減圧下、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで樹脂溶液(Y3P2)からアセトンを留去した。これにより、トナー粒子(C−3)中の着色剤(顔料)含有率が30質量%のブラック現像剤(Z−3)を得た。なお、トナー粒子(C−3)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b3)からなるコア粒子(B3)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例17>[ブラック現像剤(Z−4)の製造]
製造例16において、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を、コア樹脂(b4)形成用溶液(Y4)に変更し、樹脂溶液(Y4P2)を得る以外は、製造例16と同様にして、トナー粒子(C−4)中の着色剤(顔料)含有率が30質量%のブラック現像剤(Z−4)を得た。なお、トナー粒子(C−4)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b4)からなるコア粒子(B4)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例18>[ブラック現像剤(Z−5)の製造]
製造例16において、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を、コア樹脂(b5)形成用溶液(Y5)に変更し、樹脂溶液(Y5P2)を得る以外は、製造例16と同様にして、トナー粒子(C−5)中の着色剤(顔料)含有率が30質量%のブラック現像剤(Z−5)を得た。なお、トナー粒子(C−5)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b5)からなるコア粒子(B5)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例19>[ブラック現像剤(Z−6)の製造]
製造例16において、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を、コア樹脂(b6)形成用溶液(Y6)に変更し、樹脂溶液(Y6P2)を得る以外は、製造例16と同様にして、トナー粒子(C−6)中の着色剤(顔料)含有率が30質量%のブラック現像剤(Z−6)を得た。なお、トナー粒子(C−6)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b6)からなるコア粒子(B6)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例20>[ブラック現像剤(Z−7)の製造]
製造例16において、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を、コア樹脂(b7)形成用溶液(Y7)に変更し、樹脂溶液(Y7P2)を得る以外は、製造例16と同様にして、トナー粒子(C−7)中の着色剤(顔料)含有率が30質量%のブラック現像剤(Z−7)を得た。なお、トナー粒子(C−7)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b7)からなるコア粒子(B7)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例21>[ブラック現像剤(Z−8)の製造]
製造例16において、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を、コア樹脂(b8)形成用溶液(Y8)に変更し、樹脂溶液(Y8P2)を得る以外は、製造例16と同様にして、トナー粒子(C−8)中の着色剤(顔料)含有率が30質量%のブラック現像剤(Z−8)を得た。なお、トナー粒子(C−8)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b8)からなるコア粒子(B8)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<製造例22>[ブラック現像剤(Z−9)の製造]
製造例16において、コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を、コア樹脂(b9)形成用溶液(Y9)に変更し、樹脂溶液(Y9P2)を得る以外は、製造例16と同様にして、トナー粒子(C−9)中の着色剤(顔料)含有率が30質量%のブラック現像剤(Z−9)を得た。なお、トナー粒子(C−9)は、シェル粒子(A1)が、コア樹脂(b9)からなるコア粒子(B9)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有していた。
<メジアン径および平均円形度の測定>
このようにして得られたトナー粒子(C−1)〜トナー粒子(C−9)のメジアン径(体積分布)および平均円形度をフロー式粒子画像分析装置(商品名:「FPIA−3000S」、Sysmex社製)を用いて測定した。フロー溶媒として各液体現像剤の絶縁性液体と同じIPソルベント2028を用いた。
分散剤(商品名:「S13940」、日本ルーブリゾール社製)30mgを加えた20gのIPソルベント2028中に各液体現像剤50mgを投入することにより懸濁液を調製し、その懸濁液を超音波分散器(商品名:「ウルトラソニッククリーナ モデル VS−150」、ウエルボクリア社製)を用いて約5分間分散処理を行なった。
その後、この懸濁液を用いて、トナー粒子の体積分布のメジアン径(D50)、円形度(粒子面積と等しい円の周囲長/粒子周囲長)および平均円形度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2015001710
<実施例1>
ブラック現像剤Z−3と、有彩色現像剤としてシアン現像剤Z−1とを使用して、実施例1に係る液体現像セットを構成した。
<実施例2〜実施例4および比較例1〜比較例3>
表3に示すように、製造例のブラック現像剤と、製造例のシアン現像剤(有彩色現像剤)とを組み合わせて、実施例2〜実施例4および比較例1〜比較例3に係る液体現像剤セットを、それぞれ構成した。なお、表3中、「液体現像剤セット」の欄に示す「Z−3/Z−1」などの記載は、液体現像剤セットを構成する液体現像剤の組み合わせを示している。たとえば、「Z−3/Z−1」は、実施例1に係る液体現像剤セットが、ブラック現像剤Z−3とシアン現像剤Z−1とからなることを意味している。
<評価>
<画像形成装置>
液体現像剤セットの評価用画像の作製に使用した画像形成装置の概略概念図を図1に示す。この装置のプロセス条件およびプロセスの概略は以下の通りである。
なお、今回の評価では感光体から中間転写体に1次転写した後、記録材に2次転写する画像形成装置を示しているが、感光体から直接記録材に転写する方式でも同様の効果が得られる。
また、図1には、説明を簡略化し、説明の理解を容易なものとするため、単色の画像形成装置を示しているが、実際の評価には、複数の現像槽および転写ローラを有する、複数の現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置を使用した。
まず、画像形成装置100の現像槽5には、液体現像剤6が入れられている。液体現像剤6はアニロックスローラ22でくみ上げられ、ならしローラ21に送られる。アニロックスローラ22表面の余分な液体現像剤6は、ならしローラ21に達する前にアニロックス規制ブレード23でかきとられ、ならしローラ21では液体現像剤6が均等の層厚を持つように調整される。次いで、液体現像剤6は、ならしローラ21から現像剤担持体24に転移する。
感光体1は、帯電部7で帯電され、露光部8で潜像が形成される。潜像が形成された像に対応して、液体現像剤6は現像チャージャー26でトナー粒子に荷電を与えられた後、感光体1に現像される。感光体1に転移しなかった液体現像剤6は、現像部下流にあるクリーニングブレード25でかきとられ回収される。
感光体1に現像された液体現像剤6は、1次転写部2で中間転写体10に静電1次転写される。中間転写体10に担持された液体現像剤6(トナー粒子)は、2次転写部3にて記録材12に静電2次転写される。記録材12に転写された液体現像剤6(トナー粒子)は、図示しない定着装置で定着されプリントアウトされた画像が完成する。
転写しきれず感光体1に残留する液体現像剤6は、像担持体クリーニング部のクリーニングブレード9によりかきとられ、感光体1は再び帯電、露光、現像の工程を繰り返し、プリント動作を行なう。同様に転写しきれず中間転写体10に残留する液体現像剤6は、クリーニングブレード11によりかきとられる。
トナー粒子は現像チャージャー26でプラス極性に帯電される。中間転写体10の電位は−400Vとし、転写ローラ4の電位は−1200Vとした。搬送速度は400mm/sとした。
なお、今回の評価においては、記録材として、コート紙(商品名:「OKトップコート」(128g/m2)、王子製紙社製)を用いた。
<光沢度の評価>
前述した画像形成装置を用いて、シアン現像剤およびブラック現像剤でソリッドパターン(10cm×10cm、トナー粒子の付着量:2g/m2)を、同一の付着量で、同一の記録材(コート紙)上に形成し、引き続きヒートローラで定着した(120℃×ニップ時間40msec.)。
その後、上記で得られた定着画像のシアンソリッド部およびブラックソリッド部の光沢度を75度光沢計(商品名:「VG−2000」、日本電色社製)により、それぞれ測定した。その結果を表3に示す。表3中、「光沢度」の欄において、「差(絶対値)」が10以下であるものは、光沢度の差が小さく良好である。
<定着強度の評価>
上記と同様にして得た定着画像のシアンソリッド部およびブラックソリッド部の定着強度の評価を、定着画像のテープ剥離試験により行なった。すなわち、画像定着後のコート紙上の測定対象部位にテープを貼り付けた後、そのテープを剥離し、テープに剥離されてきた画像の画像濃度(ID)を、反射濃度計(商品名:「X−Rite model 404」、X−Rite社製)により測定し、以下の2段階のランク評価を行なった。その結果を表3に示す。なお、テープとしては、「スコッチメンディングテープ」(商品名、3M社製)を用いた。
A:画像濃度(ID)0.1未満
B:画像濃度(ID)0.1以上
剥離されてきた画像の画像濃度の数値が小さいほど、定着強度が高いことを示す。したがって、「シアン」および「ブラック」の欄がともに「A」であるものは、液体現像剤セットとして良好な定着強度を有している。一方、「シアン」および「ブラック」の欄のうち、いずれか一方が「B」であるものは、液体現像剤セットとしては十分な定着強度を有していない。
Figure 2015001710
表3より明らかな通り、第1トナー粒子を含むブラック現像剤と第2トナー粒子を含む有彩色現像剤とを含む液体現像剤セットであって、該第1トナー粒子は、第1樹脂およびブラック着色剤を含み、該第2トナー粒子は、第2樹脂および有彩色着色剤を含み、該第1樹脂および該第2樹脂は、それぞれ少なくとも2以上のポリエステルがイソシアネート基を有する化合物に由来の構成単位により結合されているウレタン変性ポリエステル樹脂であり、上記式(1)および(2)を満たす、実施例の液体現像剤セットは、極めて良好な光沢度および定着強度を有し、それらが高度に両立されている。すなわち、実施例の液体現像剤セットは、高い定着品質を有し、所望の画質が得られる液体現像剤セットであることが確認できた。
これに対して、かかる条件を満たさない比較例の液体現像剤セットは、光沢度と定着強度とが両立されておらず、十分な定着品質が得られていない。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体、2 1次転写部、3 2次転写部、4 転写ローラ、5 現像槽、6 液体現像剤、7 帯電部、8 露光部、9 クリーニングブレード、10 中間転写体、11 クリーニングブレード、12 記録材、21 ならしローラ、22 アニロックスローラ、23 アニロックス規制ブレード、24 現像剤担持体、25 クリーニングブレード、26 現像チャージャー、100 画像形成装置。

Claims (4)

  1. 第1トナー粒子を含むブラック現像剤と第2トナー粒子を含む有彩色現像剤とを含む液体現像剤セットであって、
    前記第1トナー粒子は、第1樹脂およびブラック着色剤を含み、
    前記第2トナー粒子は、第2樹脂および有彩色着色剤を含み、
    前記第1樹脂および前記第2樹脂は、それぞれ少なくとも2以上のポリエステルがイソシアネート基を有する化合物に由来の構成単位により結合されているウレタン変性ポリエステル樹脂であり、
    下記式(1)および(2)を満たす、液体現像剤セット。
    3000≦Mk<Mc≦50000・・・(1)
    Uc<Uk・・・(2)
    (式(1)中、Mkは前記第1樹脂の数平均分子量を示し、Mcは前記第2樹脂の数平均分子量を示す。式(2)中、Ukは前記第1樹脂のウレタン基濃度を示し、Ucは前記第2樹脂のウレタン基濃度を示す。)
  2. 前記第1樹脂と前記第2樹脂とは、互いに分子構造内に共通の構成単位を含み、前記共通の構成単位はそれぞれの分子構造内において全構成単位のうち80%以上を占める、請求項1に記載の液体現像剤セット。
  3. 前記第1樹脂と前記第2樹脂とは、それぞれ実質的に同一のポリマー種である、請求項1または2に記載の液体現像剤セット。
  4. 前記液体現像剤セットは、以下の条件1および/または条件2を満たす、請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤セット。
    条件1:前記第1トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル粒子がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有し、前記コア樹脂が前記第1樹脂である。
    条件2:前記第2トナー粒子は、シェル樹脂を含むシェル粒子がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有し、前記コア樹脂が前記第2樹脂である。
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