JP2016166926A - 液体現像剤 - Google Patents

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浩信 徳永
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裕哉 岩越
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Abstract

【課題】低温定着性に優れ、トナー粒子の小粒径化および粒径の均一化を実現でき、さらには、耐熱保管安定性に優れた液体現像剤を提供する。
【解決手段】液体現像剤は、絶縁性液体と、絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える。トナー粒子は、コア/シェル構造を有する。コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ且つコア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有する。コア樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。シェル樹脂は、第1ビニルモノマーに由来する第1構成単位を有する。第1ビニルモノマーは、第1高分子に由来するサブ構成単位を側鎖として含む。コア樹脂のSP値と第1高分子のSP値との差が0.4以上2以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤に関する。
液体現像剤は、絶縁性液体と、絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える。このような液体現像剤には、様々な性能が要求されている。その中でも、特に、低温での定着(低温定着性)、トナー粒子の小粒径化、および、トナー粒子の粒径の均一化が、液体現像剤に要求されている。
低温定着性については次に示すことが考えられている。液体現像剤では、乾式現像剤とは異なり、トナー粒子の粒径を2μm以下に制御できる。そのため、記録媒体への液体現像剤の付着量を記録媒体への乾式現像剤の付着量よりも大幅に低減させることができる。このことは、低温定着性に対して優位に働く。また、低温での定着を実現させる方法として、例えば、シャープメルト性の高い樹脂(例えばポリエステル樹脂)を用いることが提案されている。
トナー粒子の小粒径化およびトナー粒子の粒径の均一化に対しては、コア/シェル構造を有するトナー粒子を用いることが提案されている(例えば、特開2009−96994号公報(特許文献1)、および、特開2014−66887号公報(特許文献2))。コア/シェル構造とは、コア樹脂を含むコア粒子とシェル樹脂とを有する構造を意味し、コア/シェル構造では、シェル樹脂は、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、コア樹脂とは異なる樹脂である。このようなシェル樹脂は、コア粒子の分散性を高める作用を有する。
特開2009−96994号公報 特開2014−66887号公報
しかしながら、コア樹脂とシェル樹脂との組み合わせ等によっては、コア樹脂とシェル樹脂とが相溶する場合がある。コア樹脂とシェル樹脂とが相溶すると、シェル樹脂がコア粒子の表面に存在し難くなるので、シェル樹脂の上記作用(コア粒子の分散性を高める作用)が低下する。そのため、コア粒子の合一化を招き、よって、液体現像剤の性能低下を引き起こす。この不具合は、液体現像剤を高温下(例えば50〜60℃)で保管した場合に顕著となる。なぜなら、液体現像剤を高温下で保管すると、コア樹脂の粘度またはシェル樹脂の粘度が低下し易くなるので、コア樹脂とシェル樹脂との相溶が起こり易くなるからである。また、液体現像剤を高温下で保管すると、コア樹脂の粘度が低下し易くなるので、コア粒子が合一化され易くなるからである。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低温定着性に優れ、トナー粒子の小粒径化および粒径の均一化を実現でき、さらには、耐熱保管安定性に優れた液体現像剤を提供することである。
本発明者らは、コア樹脂とシェル樹脂との相溶を防止できれば液体現像剤の耐熱保管安定性を高めることができると考え、コア樹脂とシェル樹脂との相溶を防止する方法を鋭意検討した。その結果、コア樹脂のSP値とシェル樹脂に含まれる特定の構成単位のSP値との差(SP値の差)が所定値以上であればコア樹脂とシェル樹脂との相溶を防止できることが分かった。
しかし、SP値の差が大きすぎる場合であっても液体現像剤の耐熱保管安定性の低下を引き起こすことが分かった。このような知見に基づいて本発明が完成した。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える。トナー粒子は、コア/シェル構造を有する。コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ且つコア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有する。コア樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。シェル樹脂は、第1ビニルモノマーに由来する第1構成単位を有する。第1ビニルモノマーは、第1高分子に由来するサブ構成単位を側鎖として含む。コア樹脂のSP値と第1高分子のSP値との差が0.4以上2以下である。
「コア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂」とは、コア樹脂とシェル樹脂とで化学構造および分子量のうちの少なくとも1つが異なることを意味する。
「ビニルモノマー」とは、重合性二重結合を含むモノマーを意味する。「シェル樹脂は、第1ビニルモノマーに由来する第1構成単位を有」するとは、第1ビニルモノマーの重合後の化学構造が構成単位としてシェル樹脂に含まれていることを意味する。
「第1ビニルモノマーは、第1高分子に由来するサブ構成単位を側鎖として含」むとは、第1高分子の反応後の化学構造(詳細には、第1ビニルモノマーの主鎖を構成することとなる材料と第1高分子との反応後における当該第1高分子の化学構造)が第1ビニルモノマーの側鎖として含まれていることを意味する。「第1ビニルモノマーは、第1高分子に由来するサブ構成単位を側鎖として含」むには、第1高分子に由来するサブ構成単位が、第1ビニルモノマーが有する重合性二重結合を構成する炭素原子に結合されている場合が含まれる。
第1ビニルモノマーの側鎖とは、第1ビニルモノマーの主鎖から枝分かれした炭素鎖を意味し、第1ビニルモノマーの主鎖とは、重合性二重結合を含む炭素鎖を意味する。本明細書では、「炭素鎖」は、炭素原子同士の結合のみからなる分子鎖に限定されない。「炭素鎖」には、炭素原子同士の結合だけでなく、炭素原子とは異なる原子と炭素原子との結合、および、炭素原子とは異なる原子同士の結合(同一原子同士の結合だけでなく異なる原子間の結合も含まれる)のうちの少なくとも1つをさらに含む分子鎖も含まれる。
「SP値」とは、正則溶液論(ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された理論)により定義された値であり、溶解パラメーター、溶解度パラメーター、溶解性パラメーターまたはヒルデブラントパラメーターとも呼ばれる。2以上の高分子材料において、SP値の差が小さいほど相溶され易く、SP値の差が大きいほど相溶され難い。
コア樹脂は、好ましくは非晶性ポリエステル樹脂を含み、より好ましくは結晶性ポリエステル樹脂をさらに含む。
ポリエステル樹脂は、カルボン酸(酸成分に由来する構成単位)とアルコール(アルコール成分に由来する構成単位)との重縮合反応により合成されるものである。そのため、カルボン酸に由来する部分が酸成分に由来する構成単位となり、アルコールに由来する部分がアルコール成分に由来する構成単位となり、これらの構成単位が繰り返されることによってポリエステル樹脂が構成される。
「非晶性ポリエステル樹脂」とは、アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における芳香族系モノマーに由来する構成単位の含有割合が50質量%以上であることを意味する。アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における芳香族系モノマーに由来する構成単位の含有割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。
「アルコール成分に由来する構成単位」とは、アルコールのヒドロキシル基(OH基)から水素原子が外れたものを意味し、アルコールに含まれる少なくとも1つのヒドロキシル基から水素原子が外れたものを含む。「酸成分に由来する構成単位」とは、カルボン酸のカルボキシル基(COOH基)からヒドロキシル基が外れたものを意味し、カルボン酸に含まれる少なくとも1つのカルボキシル基からヒドロキシル基が外れたものを含む。「芳香族系モノマー」には、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸の低級アルキルエステル、芳香族カルボン酸の酸無水物、及び、芳香族アルコールが含まれる。「芳香族カルボン酸」とは、分子内に芳香環を有するカルボン酸を意味する。「芳香族アルコール」とは、分子内に芳香環を有するアルコールを意味する。
「結晶性ポリエステル樹脂」とは、アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における脂肪族系モノマーに由来する構成単位の含有割合が50質量%以上であることを意味する。アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における脂肪族系モノマーに由来する構成単位の含有割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。
「脂肪族系モノマー」には、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸の低級アルキルエステル、脂肪族カルボン酸の酸無水物、及び、脂肪族アルコールが含まれる。「脂肪族カルボン酸」とは、分子内に芳香環を有さないカルボン酸を意味する。「脂肪族アルコール」とは、分子内に芳香環を有さないアルコールを意味する。
第1ビニルモノマーは下記一般式(I)により表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016166926
上記一般式(I)において、R1は、水素原子またはメチル基を示す。R2は、炭素数が1以上5以下であるアルキレン基を示す。R3は、エステル結合を主鎖に有し且つ数平均分子量が1500以上7000以下である第1官能基を示す。ここで、第1官能基の主鎖とは、第1官能基に含まれる炭素鎖のうち炭素原子の個数が最も多い炭素鎖を意味する。
第1ビニルモノマーは、第1マクロモノマーであることが好ましい。第1マクロモノマーは、重合性二重結合を有し且つ数平均分子量が2000以上30000以下であることが好ましい。
「マクロモノマー」とは、重合反応可能な官能基を有し且つ分子量が大きなモノマーを意味し、他のモノマーとの共重合によってグラフトポリマーを容易に合成可能である。「グラフトポリマー」とは、側鎖として別のポリマーを含むポリマーを意味する。
本明細書では、「耐熱保管安定性に優れる」または「耐熱保管安定性を高める」とは、液体現像剤を50〜60℃で1週間、保管した場合であっても当該液体現像剤の性能が維持されていることを意味する。一方、「耐熱保管安定性の低下」とは、液体現像剤を50〜60℃で1週間、保管したことに起因して当該液体現像剤の性能が低下することを意味する。液体現像剤は耐熱保管安定性に優れることが好ましい。なぜなら、液体現像剤は、通常、50〜60℃で保管されるからである。
本発明の液体現像剤は、低温定着性に優れ、トナー粒子の小粒径化および粒径の均一化を実現でき、さらには、耐熱保管安定性に優れる。
電子写真方式の画像形成装置の一部の概略概念図である。
以下、本発明の実施の形態(以下では「本実施形態」と記す)について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[液体現像剤の構成]
本実施形態の液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機若しくは簡易印刷機等の電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、又は、電子ペーパー用インクとして有用である。本実施形態の液体現像剤は、絶縁性液体と絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備え、好ましくは10〜50質量%のトナー粒子と50〜90質量%の絶縁性液体とを備える。本実施形態の液体現像剤は、絶縁性液体及びトナー粒子とは異なる任意の成分を含んでいても良い。かかる任意の成分としては、例えば、トナー分散剤、荷電制御剤又は増粘剤等が挙げられる。
<トナー粒子>
本実施形態のトナー粒子は、コア/シェル構造を有する。コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ且つコア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有する。トナー粒子がコア/シェル構造を有するので、トナー粒子の小粒径化とトナー粒子の粒径の均一化とを実現できる。
本実施形態のトナー粒子では、着色剤は、コア樹脂およびシェル樹脂のうちの少なくとも一方に分散していることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%の樹脂(コア樹脂およびシェル樹脂)と10〜50質量%の着色剤とを有する。本実施形態のトナー粒子は、樹脂および着色剤とは異なる任意の成分を含んでいても良い。かかる任意の成分としては、例えば、顔料分散剤、ワックスまたは荷電制御剤などが挙げられる。
好ましくは、トナー粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50(以下では「トナー粒子のメジアン径D50」と記す)は0.5μm以上5.0μm以下である。このメジアン径D50は、従来の乾式現像剤に含まれるトナー粒子の粒径よりも小さく、本実施形態の特徴の一つである。トナー粒子のメジアン径D50が0.5μm以上であれば、トナー粒子の粒径を確保できるので、電界でのトナー粒子の移動性が改善され、よって、現像性を高めることができる。トナー粒子のメジアン径D50が5.0μm以下であれば、トナー粒子の分散性を確保できるので、画質を高めることができる。より好ましくは、トナー粒子のメジアン径D50は1.0μm以上2.0μm以下である。
好ましくは、トナー粒子の平均円形度は0.85以上0.95以下であり、トナー粒子の円形度の標準偏差は0.01以上0.1以下である。これにより、転写性とクリーニング性とが向上する。なお、「円形度」とは、2次元に投影した粒子面積と等しい面積の円の周囲長を粒子周囲長で除した数値を意味する。「平均円形度」とは、算出された円形度の相加平均値を意味する。
例えばフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製の品番「FPIA−3000S」)等を用いて、トナー粒子のメジアン径D50を計測可能である。この分析装置では、溶剤をそのまま分散媒体として使用することが可能である。よって、この分析装置を用いれば、水系で測定するよりも実際の分散状態に近い状態におけるトナー粒子の状態を計測できる。
好ましくは、コア樹脂とシェル樹脂との質量比[(コア樹脂の質量):(シェル樹脂の質量)]は99:1〜30:70である。トナー粒子の粒径の均一性および液体現像剤の耐熱安定性などの観点では、シェル樹脂とコア樹脂との上記質量比は、より好ましくは98:2〜50:50であり、さらに好ましくは97:3〜65:35である。シェル樹脂の質量がコア樹脂の質量とシェル樹脂の質量との合計の1質量%以上であれば、トナー粒子の耐ブロッキング性を高く維持できる。シェル樹脂の質量がコア樹脂の質量とシェル樹脂の質量との合計の70質量%以下であれば、トナー粒子の粒径均一性を高く維持できる。
コア樹脂は、ポリエステル樹脂を含む。ここで、ポリエステル樹脂は、シャープメルト性の高い樹脂である。そのため、コア樹脂がポリエステル樹脂を含むことにより、低温定着性に優れた液体現像剤を提供できる。
シェル樹脂は、第1ビニルモノマーに由来する第1構成単位を有する。このようにシェル樹脂がビニル樹脂(ビニルモノマーの重合体)からなれば、トナー粒子の製造時において当該トナー粒子の形状を制御し易くなる。
第1ビニルモノマーは、第1高分子に由来するサブ構成単位を側鎖として含む。そして、コア樹脂のSP値と第1高分子のSP値との差(以下では単に「SP値の差」と記すことがある)が0.4以上2以下である。SP値の差が0.4以上であれば、コア樹脂とシェル樹脂との相溶を防止できる。これにより、シェル樹脂がコア粒子の表面に存在することとなるので、コア粒子の分散性を高めるというシェル樹脂の作用が十分に発揮されることとなる。よって、液体現像剤を高温下で保管しても、コア粒子の合一化を防止できるので、液体現像剤の性能を高く維持できる。例えば、液体現像剤を高温下で保管しても、液体現像剤の粘度が変化することを防止できる。つまり、耐熱保管安定性に優れた液体現像剤を提供できる。SP値の差が0.4以上であればコア樹脂とシェル樹脂との相溶を防止できる理由としては、断定できないが、次に示すことが考えられる。
コア/シェル構造を有するトナー粒子を絶縁性液体に均一に分散させるなどの目的から、シェル樹脂は、通常、コア樹脂に対して親和性を有するモノマーに由来する構成単位(親コア構成単位)と、絶縁性液体に対して親和性を有するモノマーに由来する構成単位(親オイル構成単位)とを含む。
本実施形態では、第1ビニルモノマーが、コア樹脂に対して親和性を有するモノマーとして機能し、第1ビニルモノマーに由来する第1構成単位が、親コア構成単位として機能する。ここで、第1ビニルモノマーは、主鎖と側鎖とを有する。第1ビニルモノマーの主鎖は、重合性二重結合を含むので、シェル樹脂の主鎖の少なくとも一部を構成する。そのため、第1ビニルモノマーの側鎖がシェル樹脂の側鎖の少なくとも一部を構成する。
このようにシェル樹脂もまた側鎖を有する。そのため、シェル樹脂の主鎖はコア粒子の表面に近接し難く(シェル樹脂の側鎖による立体障害)、シェル樹脂の側鎖がコア粒子の表面に近接することとなる。本実施形態では、第1ビニルモノマーが、コア樹脂に対して親和性を有するモノマーとして機能し、また、シェル樹脂の側鎖には、第1ビニルモノマーの側鎖(第1高分子に由来するサブ構成単位)が含まれている。よって、第1高分子に由来するサブ構成単位が、コア樹脂の表面に近接することとなる。したがって、第1高分子に由来するサブ構成単位とコア樹脂との相溶を防止できれば、コア樹脂とシェル樹脂との相溶を防止できる。
ここで、第1高分子に由来するサブ構成単位は、第1ビニルモノマーの主鎖を構成することとなる材料と第1高分子との反応後における当該第1高分子の化学構造からなる。そのため、第1高分子に由来するサブ構成単位と第1高分子とでは、化学構造は殆ど同じである。また、本明細書では、SP値は算出された値である(後述)。これらのことから、第1高分子に由来するサブ構成単位と第1高分子とにおいて、化学構造が殆ど同じであれば、同じSP値を示すこととなる。以上のことから、SP値の差が0.4以上であればコア樹脂とシェル樹脂との相溶を防止できると考えられる。
SP値の差が2以下であれば、トナー粒子の製造時にはシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され易くなる。これにより、シェル樹脂がコア粒子の表面に設けられ易くなるので、コア粒子の分散性を高めるというシェル樹脂の作用が発揮され易くなる。よって、液体現像剤の耐熱保管安定性を高めることができる。それだけでなく、SP値の差が2以下であれば、トナー粒子の製造時にはシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され易くなるので、コア/シェル構造を有するトナー粒子を容易に製造できる。SP値の差は、好ましくは0.5以上2以下であり、より好ましくは0.5以上1.5以下である。
なお、本実施形態では、SP値の差が0.4以上である。そのため、シェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され易くなっても、コア粒子に含まれるコア樹脂とシェル樹脂とが相溶することを防止できる。
SP値の差を0.4以上2以下とする具体的な方法としては、例えば、コア樹脂の材料の最適化(後述)、第1高分子の材料の最適化(後述)、または、シェル樹脂の材料の最適化(後述)などが挙げられる。SP値の差が0.4以上2以下であれば、コア樹脂のSP値の方が第1高分子のSP値より大きくても良いし、第1高分子のSP値の方がコア樹脂のSP値より大きくても良い。
本明細書では、「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された値を示す。例えば、1H−NMR分析を行ってその積分比により決定するという方法、または、13C−NMR分析を行って化学構造を定性的に解析するという方法によって、コア樹脂の材料(トナー粒子に含まれている状態のコア樹脂の材料)を確認する。次に、Fedorsによる方法によって、当該材料(コア樹脂)のSP値を算出する。このようにしてコア樹脂のSP値を求めることができる。
同様に、例えば、1H−NMR分析を行ってその積分比により決定するという方法、または、13C−NMR分析を行って化学構造を定性的に解析するという方法によって、第1高分子の材料(第1高分子に由来するサブ構成単位がトナー粒子のシェル樹脂の側鎖に含まれている状態の当該第1高分子の材料)を確認する。次に、Fedorsによる方法によって、当該材料(第1高分子)のSP値を算出する。このようにして第1高分子のSP値を求めることができる。
例えば、次に示すようにしてコア樹脂およびシェル樹脂を設計できる。まず、SP値の差が0.4以上2以下となるように、コア樹脂となるポリエステル樹脂と第1高分子となる高分子とを決定する。このとき、第1高分子を決定した後に、SP値の差が0.4以上2以下であることを満足するポリエステル樹脂をコア樹脂として決定しても良い。また、コア樹脂となるポリエステル樹脂を決定した後に、SP値の差が0.4以上2以下であることを満足する高分子を第1高分子として決定しても良い。次に、第1高分子を用いて第1ビニルモノマーを合成し、合成された第1ビニルモノマーを用いてシェル樹脂を合成する。
<シェル樹脂>
上述したように、シェル樹脂は、第1ビニルモノマーに由来する第1構成単位(親コア構成単位)を含み、好ましくは親オイル構成単位をさらに含む。つまり、シェル樹脂は、第1ビニルモノマーと絶縁性液体に対して親和性を有するモノマー(以下では「第2ビニルモノマー」と記す)とが重合されて得られた共重合体であることが好ましい。なお、シェル樹脂は、第1ビニルモノマーおよび第2ビニルモノマーとは異なるビニルモノマー(以下では「第3ビニルモノマー」と記す)に由来する構成単位をさらに含んでも良い。
(第1ビニルモノマー(コア樹脂に対して親和性を有するモノマー))
SP値の差を0.4以上2以下とするためには、第1高分子の材料の最適化が好ましい。例えば、第1高分子に由来するサブ構成単位を側鎖として含む第1ビニルモノマーは、下記一般式(I)により表される化合物、および、第1マクロモノマー(後述)のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
(下記一般式(I)により表される化合物)
一般式(I)は以下に示すとおりである。
Figure 2016166926
上記一般式(I)において、R1は、水素原子またはメチル基を示す。R2は、炭素数が1以上5以下であるアルキレン基を示す。R3は、エステル結合を主鎖に有し且つ数平均分子量(以下では「Mn」と記す)が1500以上7000以下である第1官能基を示す。なお、上記一般式(I)では、第1高分子に由来するサブ構成単位は、ビニル基の置換基であってR1とは異なる置換基である。
上記一般式(I)により表される化合物では、R3がエステル結合を主鎖に有する。ここで、コア樹脂はポリエステル樹脂を含む。そのため、第1ビニルモノマーが上記一般式(I)により表される化合物であれば、当該第1ビニルモノマーはコア樹脂に対して親和性を有するモノマーとして機能することとなる。
上記一般式(I)におけるR1は、メチル基を示すことが好ましい。これにより、上記一般式(I)により表される化合物を容易に合成できる。
上記一般式(I)におけるR2の具体例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n−ブチレン基またはn−ペンチル基などが挙げられる。R2はエチレン基を示すことが好ましく、これにより、上記一般式(I)により表される化合物を容易に合成できる。
上記一般式(I)におけるR3に含まれるエステル結合としては、例えば、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオールとの重縮合により形成されるエステル結合、セバシン酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合により形成されるエステル結合、セバシン酸とエチレングリコールとの重縮合により形成されるエステル結合、ドデカン二酸と1,6ヘキサンジオールとの重縮合により形成されるエステル結合、ドデカン二酸と1,4ブタンジオールとの重縮合により形成されるエステル結合、または、ドデカン二酸とエチレングリコールとの重縮合により形成されるエステル結合などが挙げられる。これにより、上記一般式(I)におけるR3のMnが1500以上となるので、液体現像剤の耐熱保管安定性を高めることができる(後述)。
なお、上記一般式(I)におけるR3がこのようなエステル結合を有するのであれば、当該R3の化学構造は特に限定されない。例えば、上記一般式(I)におけるR3は、上記エステル結合以外に、アミド基、ウレタン基、および、ウレア結合のうちの少なくとも1つを有することが好ましい。上記一般式(I)におけるR3の一例としては、例えば、イプシロンカプロラクタムとテレフタル酸とエチレングリコールとを反応させて得られるポリアミド、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオールとの重縮合により得られたポリエステルとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させて得られるウレタン、または、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオールとの重縮合により得られたポリエステルとヘキサメチレンジイソシアネートと水とを反応させて得られるポリウレタンウレアなどが挙げられる。
より好ましくは、上記エステル結合は、セバシン酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合により形成されるエステル結合、または、ドデカン二酸と1,6ヘキサンジオールとの重縮合により形成されるエステル結合である。これにより、上記一般式(I)におけるR3のMnが1500以上となり易くなるので、液体現像剤の耐熱保管安定性をさらに高めることができる(後述)。
上記一般式(I)におけるR3のMnが1500以上であれば、当該R3がコア粒子へ吸着され易くなるので、コア粒子へのシェル樹脂の吸着力を高めることができる。これにより、トナー粒子の製造時にはシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され易くなるので、シェル樹脂がコア粒子の表面に設けられ易くなる。よって、コア粒子の分散性を高めるというシェル樹脂の作用が発揮され易くなる。したがって、液体現像剤の耐熱保管安定性を高めることができる。それだけでなく、上記一般式(I)におけるR3のMnが1500以上であれば、コア粒子へのシェル樹脂の吸着力を高めることができるので、コア/シェル構造を有するトナー粒子を容易に製造できる。
上記一般式(I)におけるR3のMnが7000以下であれば、当該R3の製造が容易となるので、上記一般式(I)により表される化合物を容易に合成できる。より好ましくは、上記一般式(I)におけるR3のMnは4000以上5000以下である。例えば、トナー粒子を高温の水に1000時間浸漬させた後、分解された成分(上記一般式(I)におけるR3に相当)を分離し、分離されたその成分のMnを測定するという方法によって、上記一般式(I)におけるR3のMn(上記一般式(I)により表される化合物に由来する構成単位がトナー粒子のシェル樹脂に含まれている状態の当該上記一般式(I)におけるR3のMn)を求めることができる。
なお、上記一般式(I)により表される化合物は、ビニルモノマー(H2C=CHR1)に由来する構成単位と、カルボン酸(HCOOH)に由来する構成単位と、ウレタン化合物(R2(OH)−NH−C(=O)O−R3)に由来する構成単位とを含む。例えば次に示す方法にしたがって上記一般式(I)により表される化合物を合成できる。まず、アルコール(R3−OH)とイソシアネート(R2(OH)−N=C=O)とを反応させる。得られたウレタン化合物(R2(OH)−NH−C(=O)O−R3)とカルボン酸(HCOOH)とを反応(脱水縮合反応)させる。得られた反応生成物とビニルモノマー(H2C=CHR1)とを反応(付加反応)させる。
(第1マクロモノマー)
第1マクロモノマーは、重合性二重結合を有し、Mnが2000以上30000以下である。第1マクロモノマーでは、第1高分子に由来するサブ構成単位は、ビニル基の置換基であってコア粒子へのシェル樹脂の吸着力を高めることが可能な置換基である。
第1マクロモノマーは、エステル基およびアルキル基のうちの少なくとも1つをさらに有することが好ましい。これにより、コア粒子へのシェル樹脂の吸着力を高めることができる。よって、トナー粒子の製造時にはシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され易くなるので、シェル樹脂がコア粒子の表面に設けられ易くなる。したがって、第1ビニルモノマーが第1マクロモノマーであれば、当該第1ビニルモノマーはコア樹脂に対して親和性を有するモノマーとして機能することとなる。
第1マクロモノマーのMnが2000以上であれば、第1マクロモノマーに由来する構成単位がコア粒子へ吸着され易くなるので、コア粒子へのシェル樹脂の吸着力を高めることができる。これにより、トナー粒子の製造時にはシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され易くなるので、シェル樹脂がコア粒子の表面に設けられ易くなる。よって、コア粒子の分散性を高めるというシェル樹脂の作用が発揮され易くなる。したがって、液体現像剤の耐熱保管安定性を高めることができる。それだけでなく、第1マクロモノマーのMnが2000以上であれば、コア粒子へのシェル樹脂の吸着力を高めることができるので、コア/シェル構造を有するトナー粒子を容易に製造できる。
また、第1マクロモノマーのMnが2000以上であれば、トナー粒子の製造時にはシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され易くなるので、シェル樹脂がコア粒子の表面に設けられ易くなる。これにより、第1マクロモノマーは、コア樹脂に対して親和性を有するモノマーとして機能することとなる。よって、コア樹脂を構成するポリエステル樹脂の種類に依らず(例えば、かかるポリエステル樹脂のモノマー種の種類に依らず)、液体現像剤の耐熱保管安定性を高めることができる。したがって、第1ビニルモノマーとしては、上記一般式(I)により表される化合物よりも第1マクロモノマーを用いることが好ましい。液体現像剤の耐熱保管安定性をさらに高めるという観点では、第1マクロモノマーのMnは、より好ましくは2500以上であり、さらに好ましくは4000以上である。
第1マクロモノマーのMnが30000以下であれば、トナー粒子の表面が硬くなり過ぎることを防止できるので、低温での定着を容易に実現できる。これにより、低温定着性にさらに優れた液体現像剤を提供できる。低温定着性をさらに向上させるという観点では、第1マクロモノマーのMnは、より好ましくは20000以下であり、さらに好ましくは15000以下である。例えば、トナー粒子を高温の水に1000時間浸漬させた後、分解された成分(第1マクロモノマー)を分離し、分離されたその成分のMnを測定するという方法によって、第1マクロモノマーのMn(第1マクロモノマーに由来する構成単位がトナー粒子のシェル樹脂に含まれている状態の当該第1マクロモノマーのMn)を求めることができる。
第1マクロモノマーは、例えば、主鎖(ポリスチレン主鎖)の一端に(メタ)アクリロイル基またはスチリル基を有するポリスチレンであることが好ましい。また、第1マクロモノマーは、主鎖(ポリ(メタ)アクリル酸アルキル主鎖)の一端に(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル酸アルキル[アルキル基の炭素数が1以上4以下。例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、または、ポリ(メタ)アクリル酸i−ブチルなど]であっても良い。
第1マクロモノマーが上記化合物[主鎖(ポリスチレン主鎖)の一端に(メタ)アクリロイル基またはスチリル基を有するポリスチレン、または、主鎖(ポリ(メタ)アクリル酸アルキル主鎖)の一端に(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリル酸アルキル]であれば、第1マクロモノマーのMnが2000以上となるので、液体現像剤の耐熱保管安定性を高めることができる。本明細書では、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルのうちの少なくとも1つを意味する。また、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルのうちの少なくとも1つを意味する。
市場で入手可能な第1マクロモノマーとしては、片末端メタクリロイル化ポリスチレン(Mn=6000、東亞合成化学工業株式会社製の商品名「商品名AS−6」)、片末端メタクリロイル酸メチル(Mn=6000、東亞合成化学工業株式会社製の商品名「AA−6」)、または、片末端メタクリロイル化ポリアクリル酸n−ブチル(Mn=6000、東亞合成化学工業株式会社製の商品名「AB−6」)などが挙げられる。
(第2ビニルモノマー(絶縁性液体に対して親和性を有するモノマー))
第2ビニルモノマーは、重合性二重結合を有するのであれば特に限定されないが、例えば、重合性二重結合と第2炭素鎖(絶縁性液体に対して親和性を有する炭素鎖)とを有するビニルモノマーであることが好ましい。第2炭素鎖は、例えば、炭素数が12以上27以下の直鎖状の炭化水素鎖、炭素数が12以上27以下の分岐状の炭化水素鎖、炭素数が4以上20以下のフルオロアルキル鎖、または、ポリジメチルシロキサン鎖などであることが好ましい。第2炭素鎖からなる化合物のSP値と絶縁性液体のSP値との差は2以下であることが好ましい。
第2ビニルモノマーは、例えば、以下に示す第1〜第3モノマーであることが好ましい。第2ビニルモノマーとしては、第1〜第3モノマーのいずれかであっても良いし、第1〜第3モノマーのうちの2種以上を併用しても良い。
第1モノマーは、炭素数が12以上27以下(好ましくは炭素数が16以上25以下)の直鎖状炭化水素鎖(第2炭素鎖)と重合性二重結合とを有するモノマーであり、例えば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルまたは不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルなどである。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸は、カルボキシル基を含み炭素数が3以上24以下のビニルモノマーであることが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸またはシトラコン酸などであることが好ましい。第1モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルまたは(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
第2モノマーは、炭素数が12以上27以下(好ましくは炭素数が16以上25以下)の分岐状炭化水素鎖(第2炭素鎖)と重合性二重結合とを有するモノマーであり、例えば、不飽和モノカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルまたは不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルなどである。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸については第1モノマーで記載したとおりである。第2モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどが挙げられる。
第3モノマーは、炭素数が4以上20以下のフルオロアルキル鎖(第2炭素鎖)と重合性二重結合とを有するモノマーである。第3モノマーの具体例としては、例えば、第1モノマーの具体例または第2モノマーの具体例において炭化水素鎖をフルオロアルキル鎖に置換したものなどが挙げられる。
(第3ビニルモノマー)
第3ビニルモノマーは、重合性二重結合を有するのであれば特に限定されず、例えば、下記(1)〜(3)で列挙された化合物であることが好ましい。
(1) カルボキシル基を有するビニルモノマーおよびそれらの塩
カルボキシル基を含むビニルモノマーは、例えば、炭素数が3以上15以下である不飽和モノカルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸など]、炭素数が3以上30以下である不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸など]、炭素数が3以上10以下である不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1以上10以下である)エステル(例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステルなど)などであることが好ましい。
上記モノマーの塩は、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩、または、第4級アンモニウム塩などであることが好ましい。
(2) 窒素を有するビニルモノマー
窒素を含むビニルモノマーとしては、例えば、下記(2−1)〜(2−4)で示すビニルモノマーが挙げられる。
(2−1)アミノ基を有するビニルモノマーおよびそれらの塩
アミノ基を含むビニルモノマーは、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールおよびアミノメルカプトチアゾールなどであることが好ましい。
アミノ基を含むビニルモノマーの塩としては、例えば上記「(1) カルボキシル基を含むビニルモノマーおよびそれらの塩」において「上記モノマーの塩」として列挙した塩が挙げられる。
(2−2) アミド基を有するビニルモノマー
アミド基を含むビニルモノマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドまたはN−ビニルピロリドンなどであることが好ましい。
(2−3) ニトリル基を有し炭素数が3以上10以下であるビニルモノマー
ニトリル基を含み炭素数が3以上10以下であるビニルモノマーは、例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンまたはシアノアクリレートなどであることが好ましい。
(2−4) ニトロ基を有し炭素数が8以上12以下であるビニルモノマー
ニトロ基を含み炭素数が8以上12以下であるビニルモノマーは、例えば、ニトロスチレンなどであることが好ましい。
(3) 重合性二重結合を有し炭素数が4以上16以下であるエステル
重合性二重結合を有し炭素数が4以上16以下であるエステルは、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数が1以上11以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2以上8以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2以上8以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(例えば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど)、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合とを有するモノマー[例えば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下では「エチレンオキサイド」を「EO」と記す)10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレートなど]、または、ポリ(メタ)アクリレート類{例えば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などであることが好ましい。本明細書では、「(メタ)アリロ」とは、アリロおよびメタリロのうちの少なくとも1つを意味する。
このようなシェル樹脂は、コア粒子の表面において、粒子状に形成されていても良いし、膜状に形成されていても良い。シェル粒子(シェル樹脂を含む粒子)またはシェル膜(シェル樹脂を含む膜)は、着色剤または任意の成分(例えば、顔料分散剤、ワックスまたは荷電制御剤等)を更に含んでも良い。
トナー粒子のメジアン径D50が所望の範囲となるように、シェル分散液に含まれるシェル粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50(以下では「シェル粒子のメジアン径D50」と記す)を適宜、調整することが好ましい。シェル粒子のメジアン径D50は、好ましくは0.0005μm以上3μm以下である。シェル粒子のメジアン径D50の上限は、より好ましくは2μmであり、更に好ましくは1μmである。シェル粒子のメジアン径D50の下限は、より好ましくは0.01μmであり、更に好ましくは0.02μmであり、より一層好ましくは0.04μmである。例えば、メジアン径D50が1μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径D50は、好ましくは0.0005μm以上0.3μm以下であり、より好ましくは0.001μm以上0.2μm以下である。また、メジアン径D50が10μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径D50は、好ましくは0.005μm以上3μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上2μm以下である。
シェル粒子のメジアン径D50は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製の品番「LA−920」またはベックマン・コールター社製の品番「マルチサイザーIII」)、または、光学系としてレーザードップラー法を用いる粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製の品番「ELS−800」)などを用いて測定可能である。異なる測定測定を用いてシェル粒子のメジアン径D50を測定したときにその測定値に差が生じた場合には、粒度分布測定装置(大塚電子株式会社製の品番「ELS−800」)での測定値を採用する。
<コア樹脂>
(コア樹脂の材料)
コア樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。ここで、非晶性ポリエステル樹脂では、アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における芳香族系モノマーに由来する構成単位の含有割合が50質量%以上である。また、一般的には、芳香族系モノマーからなる樹脂は硬度が高いと言われている。これらのことから、コア樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含むことにより、コア樹脂の硬度を高めることができるので、コア粒子(コア粒子はコア樹脂を含む)の硬度を高めることができる。よって、コア粒子の合一化をさらに防止できるので、液体現像剤の耐熱保管安定性をさらに高めることができる。この効果を有効に得るためには、コア樹脂は、70質量%以上の非晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましく、75質量%以上の非晶性ポリエステル樹脂を含むことがさらに一層好ましい。
コア樹脂は、95質量%以下の非晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。これにより、コア樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂とは異なる樹脂を含むことができる。そして、非晶性ポリエステル樹脂とは異なる樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を選択した場合には、液体現像剤の低温定着性をさらに高めることができる。よって、コア樹脂は、5質量%以上の結晶性ポリエステル樹脂を含むことがさらに好ましい。コア樹脂が70質量%以上の非晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましいという点を考慮すれば、コア樹脂は、5質量%以上30質量%以下の結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより一層好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の含有率及び結晶性ポリエステル樹脂の含有率は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)(商品名:「Lambda400」、日本電子株式会社製)を用いて1H−NMR分析を行い、その積分比より決定できる。測定溶媒はクロロホルム−d(重クロロホルム)溶剤を用いることができる。アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における脂肪族系モノマーに由来する構成単位の含有割合、及び、アルコール成分に由来する構成単位と酸成分に由来する構成単位との両構成単位における芳香族系モノマーに由来する構成単位の含有割合についても、同様の方法で測定できる。
(コア樹脂の酸価)
コア樹脂の酸価は、20mgKOH/g以上であることが好ましい。これにより、コア樹脂に含まれるカルボキシル基残渣の量が多くなるので、コア樹脂が極性を有することとなる。これにより、コア樹脂と絶縁性液体との親和性が低くなるので、転写時に過剰な量の絶縁性液体がコア樹脂とともに記録媒体に供給されることを防止できる。よって、絶縁性液体がコア樹脂と記録媒体との間に侵入することを防止できるので、記録媒体へのトナー粒子の接着強度を高めることができる。したがって、メジアン径D50の小さなトナー粒子を用いた場合であっても(例えば液体現像剤を用いて画像形成を行った場合であっても)、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を高めることができる。
好ましくは、コア樹脂の酸価が30mgKOH/g以上である。これにより、コア樹脂の極性がさらに大きくなるので、メジアン径D50の小さなトナー粒子を用いた場合であっても記録媒体へのトナー粒子の定着強度をさらに高めることができる。なお、実際、コア樹脂の酸価を100mgKOH/gよりも大きくすることは難しい。また、コア樹脂の酸価を100mgKOH/gよりも大きくすることができたとしても、その熱物性を制御するのは困難である。
「コア樹脂の酸価」とは、JIS K 0070:1992(化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法)に記載の方法に準拠して測定されたコア樹脂の酸価を意味し、コア樹脂に含まれるカルボキシル基の量に基づく。「コア樹脂に含まれるカルボキシル基」とは、脂肪族ポリエステル樹脂および芳香族ポリエステル樹脂を合成する際の重縮合においてヒドロキシル基と反応しなかったカルボキシル基残渣の量に相当する。
(構成単位)
酸成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、又は、1,18−オクタデカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの低級アルキルエステルを用いても良いし、これらの酸無水物を用いても良い。ポリエステル樹脂の結晶性が促進されるという観点では、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、又は、1,12−ドデカンジカルボン酸を用いることがより好ましい。このような脂肪族系モノマーとしては、上記のいずれかを単独で用いても良いし、上記のいずれかの2種以上を組み合わせて用いても良い。
アルコール成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、又は、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。ポリエステル樹脂の結晶性が促進されるという観点では、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、又は、1,10−デカンジオールを用いることが好ましい。このような脂肪族系モノマーとしては、上記のいずれかを単独で用いても良いし、上記のいずれかの2種以上を組み合わせて用いても良い。
酸成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとしては、芳香族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸の低級アルキルエステル、又は、芳香族多価カルボン酸の酸無水物等を挙げることができる。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、又は、トリメリット酸等を挙げることができる。入手容易性の観点では、テレフタル酸、イソフタル酸、又は、5−tert−ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
アルコール成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとしては、芳香族多価アルコール等を挙げることができる。具体的には、下記式(II)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
Figure 2016166926
上記式(II)中、R4及びR5は、それぞれ独立して、炭素数2又は3のアルキレン基を示す。m及びnは、それぞれ独立して、0又は正の整数を示す。mとnとの和は、1以上16以下である。
SP値の差を0.4以上2以下とするためには、コア樹脂の材料の最適化が好ましい。例えば、酸成分に由来する構成単位となる脂肪族系モノマーは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、および、1,9−ノナンジカルボン酸のうちの少なくとも1つであることが好ましい。また、酸成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーは、テレフタル酸、イソフタル酸、および、5−tert−ブチルイソフタル酸のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂のMnは1000以上25000以下であることが好ましく、非晶性ポリエステル樹脂の質量平均分子量(以下では「Mw」と記す)は2000以上200000以下であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂のMnは1000以上25000以下であることが好ましく、結晶性ポリエステル樹脂のMwは2000以上200000以下であることが好ましい。なお、非晶性ポリエステル樹脂のMn及びMwは、GPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定できる。結晶性ポリエステル樹脂のMn及びMwについても同様のことが言える。
コア樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂以外の他の樹脂を10質量%未満含んでも良い。非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂又はエポキシ樹脂等を挙げることができる。その含有率が10質量%以上となると、ポリエステル樹脂の分子鎖を規則的に配列し難くなることがある。
(結晶性と非晶性)
DSC(Differential Scanning Calorimetry)法により測定されたポリエステル樹脂の溶融熱が下記数式(1)及び(2)を満たす場合、ポリエステル樹脂は結晶性樹脂であると定義される。一方、下記数式(1)及び(2)のうちの少なくとも1つを満たさない場合、ポリエステル樹脂は非晶性樹脂であると定義される。
5≦H1≦100 ・・・数式(1)
0.2≦H2/H1≦1.0・・・数式(2)
上記数式(1)及び(2)において、H1は、DSC法による初回昇温時の融解熱(J/g)を表し、H2は、DSC法による2回目昇温時の融解熱(J/g)を表す。
H1は、ポリエステル樹脂の溶融速度の指標である。一般に、融解熱を有する樹脂は、シャープメルト性を有するため、少ないエネルギーで溶融する。ポリエステル樹脂のH1が100を超えると、定着エネルギーの低減を図ることが難しい。そのため、トナー粒子の定着性の低下を招く。一方、ポリエステル樹脂のH1が5未満であれば、定着エネルギーが少なくなり過ぎるため、ドキュメントオフセットが発生し易くなる。しかし、ポリエステル樹脂のH1が上記数式(1)を満たせば、ドキュメントオフセットの発生を防止でき、また、トナー粒子の定着性の低下を防止できる。好ましくは15≦H1≦80であり、より好ましくは35≦H1≦70である。
上記数式(2)におけるH2/H1は、ポリエステル樹脂の結晶化速度の指標である。一般に、樹脂からなる粒子(樹脂粒子)を溶融させた後に冷却して使用する場合、当該樹脂粒子中の結晶成分に結晶化されていない部分が存在していれば、当該樹脂粒子の抵抗値が下がる、又は、当該樹脂粒子が可塑化されるなどという不具合が生じる。このような不具合が発生すると、冷却により得られた樹脂粒子の性能が当初設計した性能と異なることがある。以上のことから、樹脂粒子中の結晶成分を速やかに結晶化させ、樹脂粒子の性能に影響を与えないようにする必要がある。H2/H1は、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。また、ポリエステル樹脂の結晶化速度が速ければ、H2/H1は1.0に近づくため、H2/H1は、1.0に近い値を取ることが好ましい。
なお、上記数式(2)におけるH2/H1は、理論的には1.0を超えないが、DSC法による実測値では1.0を超えることがある。DSC法による実測値(H2/H1)が1.0を超えた場合も、上記数式(2)を満たすものとする。
H1及びH2は、JIS−K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠して測定することができる。具体的には、まず、ポリエステル樹脂を5mg採取して、アルミパンに入れる。示差走査熱量測定装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の品番「RDC220」又はセイコーインスツル株式会社製の品番「DSC20」等)を用いて、昇温速度を毎分10℃として、溶融によるポリエステル樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S1を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S1から、H1を算出することができる。H1を算出してから、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、昇温速度を毎分10℃として、溶融によるポリエステル樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S2を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S2から、H2を算出することができる。
H1及びH2は、示差走査熱量計(例えばセイコーインスツル株式会社製の品番「DSC210」)を用いて、以下に示す方法にしたがって測定することもできる。まず、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料とポリエステル樹脂とを加熱し、標準試料の熱量とポリエステル樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差がポリエステル樹脂のDSC法による溶融熱H1である。その後、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料とポリエステル樹脂とを加熱し、標準試料の熱量とポリエステル樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差がポリエステル樹脂のDSC法による溶融熱H2である。
<着色剤>
着色剤は、非晶性ポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂のうちの少なくとも一方に分散されており、好ましくは0.3μm以下の粒径を有する。着色剤の粒径が0.3μm以下であれば、着色剤の分散性をより一層高めることができるので、画像の光沢度をより一層高めることができ、よって、所望の色目の実現が容易となる。
着色剤としては、従来公知の顔料等を特に限定されることなく使用できるが、コスト、耐光性、及び、着色性等の観点から以下の顔料を使用することが好ましい。なお、色彩構成上、これらの顔料は、通常、ブラック顔料とイエロー顔料とマゼンタ顔料とシアン顔料とに分類される。基本的には、ブラック以外の色彩(カラー画像)は、イエロー顔料、マゼンタ顔料又はシアン顔料の減法混色により調色される。以下に示す顔料を単独で用いても良いし、必要に応じて以下に示す顔料の2種以上を併用して用いても良い。
ブラック着色剤に含まれる顔料(ブラック顔料)としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック又はランプブラック等のカーボンブラックを用いても良いし、バイオマス由来のカーボンブラック等を用いても良いし、マグネタイト又はフェライト等の磁性粉を用いても良い。紫黒色染料であるニグロシン(アジン系化合物)を単独又は併用して用いても良い。ニグロシンとしては、C.I.ソルベントブラック7又はC.I.ソルベントブラック5等を用いることができる。
マゼンタ着色剤に含まれる顔料(マゼンタ顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、又は、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロー着色剤に含まれる顔料(イエロー顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、又は、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
シアン着色剤に含まれる顔料(シアン顔料)としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、又は、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
<トナー粒子における任意の成分(顔料分散剤)>
トナー粒子における任意の成分の一例として、顔料分散剤が挙げられる。顔料分散剤は、トナー粒子において着色剤(顔料)を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤であることが好ましい。塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、そのガラス製スクリュー管をペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過した。このようにして得られたろ液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、堀場製作所社製)
を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
このような塩基性分散剤の種類は特に限定されない。塩基性分散剤は、例えば、アミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、又は、イミダゾリウム基等の官能基を分子内に有する化合物であることが好ましい。なお、分散剤としては、通常、分子内に親水性部分と疎水性部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当する。しかし、トナー粒子において着色剤(顔料)を均一に分散させる作用を有するのであれば、界面活性剤に限定されず、種々の化合物を用いることができる。
このような塩基性分散剤の市販品としては、例えば、味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)又は「アジスパーPB−881」(商品名)等を用いても良いし、日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)又は「ソルスパーズ37500」(商品名)等を用いても良い。
顔料分散剤としては、絶縁性液体に溶解しないものを選択することがより好ましい。この点を考慮すれば、味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)又は「アジスパーPB−881」(商品名)等を用いることがより好ましい。詳細なメカニズムは不明であるが、このような顔料分散剤を使用すると、所望の形状を有するトナー粒子が得られ易くなる。
このような顔料分散剤は、着色剤(顔料)に対して、好ましくは1〜100質量%添加され、より好ましくは1〜40質量%添加されている。顔料分散剤の添加量が1質量%以上であれば、着色剤(顔料)の分散性を確保できるので、必要なID(画像濃度)を達成でき、また、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を確保できる。顔料分散剤の添加量が100質量%以下であれば、顔料分散剤の添加量が過剰となることを防止できるので、顔料分散剤の余剰分が絶縁性液体へ溶解することを防止でき、よって、トナー粒子の荷電性又はトナー粒子の定着強度等を良好な状態に維持できる。上記顔料分散剤を単独で用いても良いし、必要に応じて上記顔料分散剤の2種以上を併用しても良い。
<絶縁性液体>
絶縁性液体は、その抵抗値が静電潜像を乱さない程度(1011〜1016Ω・cm程度)であることが好ましく、臭気及び毒性が低い溶媒であることが好ましい。絶縁性液体としては、一般的には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素又はポリシロキサン等が挙げられる。特に、低臭気、低害性、低コスト等の観点から、絶縁性液体としては、ノルマルパラフィン系溶媒又はイソパラフィン系溶媒を用いることが好ましい。より好ましくは、モレスコホワイト(商品名、松村石油株式会社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル製)又はシェルゾール(商品名、シェルケミカルズジャパン株式会社製)等を用いることであり、IPソルベント1620、IPソルベント2028又はIPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産株式会社製)等を用いることである。
<液体現像剤の製造>
本実施形態の液体現像剤の製造方法としては、特に限定されず、例えば造粒法または粉砕法などの従来公知の技法が挙げられる。小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、粉砕法よりも造粒法を採用することが好ましい。溶融性の高い樹脂または結晶性の高い樹脂は、常温でも柔らかく、粉砕され難い。そのため、粉砕法では、トナー粒子の粒径を所望の粒径に制御できないことがある。しかし、造粒法では、所望の粒径を有するトナー粒子を得ることができる。
造粒法には、トナー粒子の形成機構の違いから、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加してトナー粒子を析出させる方法、または、スプレードライ法などが含まれる。
より好ましくは、樹脂溶液に貧溶媒を添加してトナー粒子を析出させる方法を採用する。この方法では、まず、コア樹脂を良溶媒に溶解させてコア樹脂形成用溶液(分散相)を得る。コア樹脂形成用溶液を界面張力調整剤(例えばシェル樹脂(連続相))とともに貧溶媒(SP値が良溶媒とは異なる)に混合した後、せん断を与えて液滴を形成する。その後、良溶媒を揮発させると、トナー粒子を含む液体現像剤が得られる。この方法では、せん断の与え方、界面張力差、または、界面張力調整剤(例えばシェル樹脂)を適宜調整することにより、トナー粒子の粒度又はトナー粒子の形状を高度に制御できる。よって、この方法は、所望の粒度分布および所望の形状を有するトナー粒子を得る方法として好適である。
コア樹脂形成用溶液をシェル樹脂とともに貧溶媒に混合する場合、シェル樹脂を含むシェル粒子が貧溶媒に分散されてなる分散液(シェル用分散液)にコア樹脂形成用溶液を混合することが好ましい。例えば次の[1]〜[7]のうちのいずれかの方法でシェル粒子を製造することが好ましい。シェル粒子の製造し易さという観点では、[4]、[6]または[7]の方法でシェル粒子を製造することが好ましく、[6]または[7]の方法でシェル粒子を製造することがより好ましい。
[1] ジェットミルなどの公知の乾式粉砕機を用いてシェル樹脂を乾式で粉砕させる
[2] シェル樹脂の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミルなどの公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる
[3] スプレードライヤーなどを用いてシェル樹脂の溶液を噴霧し、乾燥させる
[4] シェル樹脂の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、シェル樹脂を過飽和させて析出させる
[5] シェル樹脂の溶液を水または有機溶剤中に分散させる
[6] シェル樹脂の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法または懸濁重合法などにより重合させる
[7] シェル樹脂の前駆体を有機溶剤中で分散重合などにより重合させる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に限定されない。
<製造例1>[非晶性ポリエステル樹脂(A)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのプロピオンオキサイド2モル付加物674質量部とテレフタル酸324質量部とチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮合触媒)2質量部とを入れた。生成する水を除去しながら、180℃で、窒素気流下で、8時間反応させた。
次に、220℃まで徐々に昇温しながら、また、生成する水を除去しながら、窒素気流下で4時間反応させた。その後、0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。上記反応容器に無水トリメリット酸54質量部をさらに入れ、180℃で1時間反応させた。このようにして非晶性ポリエステル樹脂(A)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(A)のMn、酸価およびSP値を前述の方法で測定したところ、Mnは8000であり、酸価は30mgKOH/gであり、SP値は11.0であった。
<製造例2>[非晶性ポリエステル樹脂(B)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、プロピレングリコール465質量部とテレフタル酸267質量部とイソフタル酸267質量部とチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮合触媒)2質量部とを入れた。生成する水を除去しながら、180℃で、窒素気流下で、8時間反応させた。
次に、220℃まで徐々に昇温しながら、また、生成する水を除去しながら、窒素気流下で4時間反応させた。その後、0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。上記反応容器に無水トリメリット酸54質量部をさらに入れ、180℃で1時間反応させた。このようにして非晶性ポリエステル樹脂(B)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(B)のMn、酸価およびSP値を前述の方法で測定したところ、Mnは8000であり、酸価は30mgKOH/gであり、SP値は12.0であった。
<製造例3>[結晶性ポリエステル樹脂(a)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、ヘキサンジオール480質量部とアジピン酸520質量部とチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮合触媒)2質量部とを入れた。生成する水を除去しながら、180℃で、窒素気流下で、8時間反応させた。
次に、220℃まで徐々に昇温しながら、また、生成する水を除去しながら、窒素気流下で4時間反応させた。その後、0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。このようにして結晶性ポリエステル樹脂(a)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(a)のMn、酸価およびSP値を前述の方法で測定したところ、Mnは4000であり、酸価は0mgKOH/gであり、SP値は10.4であった。
<製造例4>[コア樹脂形成用溶液(C−1)の製造]
非晶性ポリエステル樹脂(A)400質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、非晶性ポリエステル樹脂(A)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(C−1)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(C−1)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価(コア樹脂の酸価に相当。以下同様)と固形分のSP値(コア樹脂のSP値に相当。以下同様)とを前述の方法で測定したところ、固形分の酸価は30mgKOH/gであり、固形分のSP値は11.0であった。
<製造例5>[コア樹脂形成用溶液(C−2)の製造]
非晶性ポリエステル樹脂(A)320質量部と結晶性ポリエステル樹脂(a)80質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、これらのポリエステル樹脂をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(C−2)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(C−2)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価と固形分のSP値とを前述の方法で測定したところ、固形分の酸価は24mgKOH/gであり、固形分のSP値は10.9であった。
<製造例6>[コア樹脂形成用溶液(C−3)の製造]
非晶性ポリエステル樹脂(B)400質量部とアセトン600質量部とをビーカーに入れて攪拌し、非晶性ポリエステル樹脂(B)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂形成用溶液(C−3)を得た。得られたコア樹脂形成用溶液(C−3)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。また、固形分の酸価と固形分のSP値とを前述の方法で測定したところ、固形分の酸価は30mgKOH/gであり、固形分のSP値は12.0であった。
<製造例7>[シェル用分散液(S−1)の製造]
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸n−オクチル(第2ビニルモノマー)45質量部とメタクリル酸2−デシルテトラデシル(第2ビニルモノマー)15質量部とメタクリル酸(カルボキシル基を有するビニルモノマー)15質量部と片末端メタクリロイル酸メチル(東亞合成化学工業株式会社製の商品名「AA−6」)25質量部とアゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.1質量部とを入れ、20℃で撹拌した。これにより、単量体溶液を得た。
本製造例では、片末端メタクリロイル酸メチルが第1ビニルモノマー(マクロモノマー(Mn=6000))に相当し、片末端メタクリロイル酸メチルにおけるポリメチルメタクリレート(SP値=9.9)が第1高分子に相当する。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。この反応容器にTHF100質量部を入れ、滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、単量体溶液を密閉下70℃で1時間かけてTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を単量体溶液に添加した。70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液200質量部を撹拌下の絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)300質量部に滴下した後、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを除去した。このようにしてシェル用分散液(S−1)を得た。シェル用分散液(S−1)に含まれるシェル樹脂のMnを前述の方法で測定したところ、40000であった。
<製造例8>[シェル用分散液(S−2)の製造]
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸n−オクチル(第2ビニルモノマー)45質量部とメタクリル酸2−デシルテトラデシル(第2ビニルモノマー)15質量部とメタクリル酸(カルボキシル基を有するビニルモノマー)15質量部と片末端メタクリロイル化ポリスチレン(東亞合成化学工業株式会社製の商品名「商品名AS−6」)25質量部とアゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.1質量部とを入れ、20℃で撹拌した。これにより、単量体溶液を得た。
本製造例では、片末端メタクリロイル化ポリスチレンが第1ビニルモノマー(マクロモノマー(Mn=6000))に相当し、片末端メタクリロイル化ポリスチレンにおけるポリスチレン(SP値=10.6)が第1高分子に相当する。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。この反応容器にTHF100質量部を入れ、滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、単量体溶液を密閉下70℃で1時間かけてTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を単量体溶液に添加した。70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液200質量部を撹拌下の絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)300質量部に滴下した後、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを除去した。このようにしてシェル用分散液(S−2)を得た。シェル用分散液(S−2)に含まれるシェル樹脂のMnを前述の方法で測定したところ、40000であった。
<製造例9>[シェル用分散液(S−3)の製造]
(a) 上記一般式(I)におけるR3となるポリエステル樹脂の合成
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、アジピン酸520質量部とヘキサンジオール480質量部とチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(縮合触媒)1質量部とを入れた。生成する水を除去しながら、180℃で、窒素気流下で、8時間反応させた。
220℃まで徐々に昇温しながら、また、生成する水を除去しながら、窒素気流下で4時間反応させた。その後、0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。このようにして、上記一般式(I)におけるR3となるポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂のMnを前述の方法で測定したところ、Mnは4000であった。
(b) 第1ビニルモノマー(上記一般式(I)により表される化合物)の合成
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。この反応容器にTHF100質量部と上記(a)で得られたポリエステル樹脂(上記一般式(I)におけるR3となるポリエステル樹脂)192質量部とを入れ、反応容器の気相部を窒素で置換した後、65℃で当該ポリエステル樹脂をTHFに溶解させた。
イソシアネート基を有するモノマー(昭和電工株式会社製の商品名「カレンズMOI」)8.5質量部と商品名「ネオスタンU−600」(日東化成株式会社製)0.2質量部とをさらに入れ、70℃で4時間反応させた。このようにして第1ビニルモノマーが得られた。
本製造例では、第1ビニルモノマーは上記一般式(I)により表される化合物(表1には「エステル結合を含む化合物」と記載)である。第1ビニルモノマーを高温の水に1000時間浸漬させた後、分解された成分(上記一般式(I)におけるR3に相当)を分離し、GPC、1H−NMR、および、13C−NMRによって本製造例における第1ビニルモノマーの化学構造を調べた。その結果、製造された第1ビニルモノマーでは、上記一般式(I)において、R1がメチル基であり、R2がエチレン基であり、R3がポリエステル基(Mn=4000)であった。第1高分子は、上記一般式(I)により表される化合物に含まれるビニル基の置換基であってR1とは異なる置換基であり、第1高分子のSP値は、10.5であった。
(c)(シェル用分散液(S−3)の製造)
ガラス製ビーカーに、メタクリル酸n−オクチル45質量部とメタクリル酸2−デシルテトラデシル15質量部とメタクリル酸15質量部と上記(b)で得られた第1ビニルモノマー25質量部とアゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.1質量部とを入れ、20℃で撹拌した。これにより、単量体溶液を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。この反応容器にTHF100質量部を入れ、滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、単量体溶液を密閉下70℃で1時間かけてTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を単量体溶液に添加した。70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液200質量部を撹拌下の絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)300質量部に滴下した後、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを除去した。このようにしてシェル用分散液(S−3)を得た。シェル用分散液(S−3)に含まれるシェル樹脂のMnを前述の方法で測定したところ、40000であった。
<製造例10>[着色剤分散液の製造]
ビーカーに、銅フタロシアニン(DIC株式会社製の商品名「Fastogen Blue FDB-14」)(着色剤(顔料))25質量部と顔料分散剤(味の素ファインテクノ株式会社製の商品名「アジスパーPB−821」)4質量部とアセトン75質量部とを入れて撹拌し、銅フタロシアニンを均一に分散させた。ビーズミルを用いて銅フタロシアニンを微分散して着色剤分散液を得た。着色剤分散液における銅フタロシアニンのメジアン径D50は0.2μmであった。
<実施例1>[液体現像剤(1)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(C−1)410質量部と着色剤分散液190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部とシェル用分散液(S−1)60質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(1)を得た。液体現像剤(1)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例2>[液体現像剤(2)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(C−1)410質量部と着色剤分散液190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部とシェル用分散液(S−2)60質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(2)を得た。液体現像剤(2)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例3>[液体現像剤(3)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(C−2)410質量部と着色剤分散液190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部とシェル用分散液(S−1)60質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(3)を得た。液体現像剤(3)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<実施例4>[液体現像剤(4)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(C−2)410質量部と着色剤分散液190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部とシェル用分散液(S−3)60質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(4)を得た。液体現像剤(4)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<比較例1>[液体現像剤(5)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(C−3)410質量部と着色剤分散液190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部とシェル用分散液(S−1)60質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(5)を得た。液体現像剤(5)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<比較例2>[液体現像剤(6)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(C−2)410質量部と着色剤分散液190質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて16000rpmで撹拌した。このようにして、着色剤が均一に分散された樹脂溶液を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(出光興産株式会社製の商品名「IPソルベント2028」)670質量部とシェル用分散液(S−2)60質量部とを入れた。得られた溶液を25℃でクレアミックス(エム・テクニック株式会社製)を用いて20000rpmで撹拌しながら、上記樹脂溶液600質量部を入れ、2分間、撹拌した。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。同温度で、0.039MPaの減圧下で、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで、アセトンを混合液から除去した。これにより、液体現像剤(6)を得た。液体現像剤(6)では、トナー粒子における着色剤(顔料)の含有量が20質量%であり、液体現像剤におけるトナー粒子の含有量が24質量%であった。
<トナー粒子のメジアン径D50の測定>
前述の方法でトナー粒子のメジアン径D50を測定した。結果を表1に示す。
<耐熱保管安定性の評価>
まず、振動式粘度計を用いて液体現像剤の粘度(保管前の粘度)を測定した。次に、その液体現像剤10ccをスクリュー管に入れ、そのスクリュー管を封じた後に当該スクリュー管を50℃で1週間、保管した。その後、振動式粘度計を用いて液体現像剤の粘度(保管後の粘度)を測定した。結果を表1に示す。
表1では、下記式で表される粘度変化率が1.5以下であった場合に「A1」と記し、下記式で表される粘度変化率が1.5よりも大きく5以下であった場合に「B1」と記し、下記式で表される粘度変化率が5よりも大きかった場合に「C1」と記す。粘度変化率が小さい方が、高温下での保管による液体現像剤の性能低下が防止されていると考えられ、よって、液体現像剤は耐熱保管安定性に優れると言える。
(粘度変化率)=[{(保管後の粘度)−(保管前の粘度)}の絶対値]÷(保管前の粘度)。
<低温定着性の評価>
まず、後述の方法にしたがって、記録媒体(王子製紙株式会社製の商品名「OKトップコートプラス」(128g/m2))に画像を形成した。記録媒体へのトナー粒子の付着量は3g/m2であった。熱ローラ定着器を用いて、未定着画像を記録媒体に定着させた。ここで、ローラの設定温度は100℃であり、定着NIP時間は30msecであり、熱ローラ定着器を通過した直後の記録媒体の温度は80℃であった。
次に、画像が定着された記録媒体における測定対象部位にテープ(住友スリーエム株式会社製の商品名「スコッチメンディングテープ」)を貼り付けた後、そのテープを剥離させた。次に、反射濃度計(X−Rite社製の商品名「X−Rite model 404」)を用いて、テープに剥離された画像の画像濃度(ID)を求めた。結果を表1に示す。
表1では、画像濃度が0.1未満であった場合に「A2」と記し、画像濃度が0.1以上0.3未満であった場合に「B2」と記し、画像濃度が0.3以上であった場合に「C2」と記す。この画像濃度が低いほど、定着画像がテープによって剥離され難いので、トナー粒子の定着性に優れる、と言える。本実施例では定着時のローラの設定温度は120℃であり熱ローラ定着器を通過した直後の記録媒体の温度は100℃であるので、上記画像濃度が低ければ低温での定着が実現されている(低温定着性に優れる)と言える。
<画像の形成>
図1に示す画像形成装置を用いて画像を形成した。図1に示す画像形成装置の構成を以下に示す。液体現像剤21は、アニロックスローラ23により現像槽22内から汲み上げられる。アニロックスローラ23上の余剰の液体現像剤21は、アニロックス規制ブレード24により掻き取られ、残余の液体現像剤21は、ならしローラ25に送られる。ならしローラ25上では、液体現像剤21は厚さが均一且つ薄くなるように調整される。
ならしローラ25上の液体現像剤21は、現像ローラ26へ送られる。現像ローラ26上の液体現像剤21は現像チャージャー28により帯電されて感光体29上に現像され、余剰の液体現像剤は現像クリーニングブレード27により掻き取られる。詳細には、感光体29の表面は、帯電部30により一様に帯電されており、感光体29の周囲に配置された露光部31は、所定の画像情報に基づく光を感光体29の表面に照射する。これにより、感光体29の表面には、所定の画像情報に基づく静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像されることにより、トナー像が感光体29上に形成される。なお、感光体29上の余剰の液体現像剤はクリーニングブレード32に掻き取られる。
感光体29上に形成されたトナー像は一次転写部37において中間転写体33に一次転写され、中間転写体33に転写された液体現像剤は二次転写部38において記録媒体40(例えば上質紙)に二次転写される。二次転写されずに中間転写体33に残った液体現像剤は、中間転写体クリーニング部34により掻き取られる。
本実施例では、感光体29の表面は帯電部30によりプラスに帯電しており、中間転写体33の電位は−400Vであり、二次転写ローラ35の電位は−1200Vであった。記録媒体40の搬送速度は400mm/sであった。
<結果>
結果を表1に示す。
Figure 2016166926
表1において、「配合割合(質量%)*11」は、非晶性ポリエステル樹脂の配合量(質量)と結晶性ポリエステル樹脂の配合量(質量)との合計(コア樹脂の質量)に対する非晶性ポリエステル樹脂の配合量(質量)の割合を意味する。
「配合割合(質量%)*12」は、非晶性ポリエステル樹脂の配合量(質量)と結晶性ポリエステル樹脂の配合量(質量)との合計に対する結晶性ポリエステル樹脂の配合量(質量)の割合を意味する。
「Mn*13」には、第1ビニルモノマーがマクロモノマーである場合には当該マクロモノマーのMnを記し、第1ビニルモノマーが上記一般式(I)により表される化合物(エステル結合を含む化合物)である場合には当該一般式(I)におけるR3となるポリエステル樹脂のMnを記す。
「SP値の差*14」には、コア樹脂のSP値と第1高分子のSP値との差(絶対値)を記す。表1に記載の「酸価」および「コア樹脂の酸価」のそれぞれの単位はmgKOH/gである。
<考察>
表1に示すように、比較例1では、実施例1〜4に比べ、トナー粒子のメジアン径D50が大きく、耐熱保管安定性が低下し、低温定着性が低下した。その理由としては次に示すことが考えられる。
比較例1では、SP値の差が2よりも大きいので、トナー粒子の製造時にはシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され難い。そのため、コア/シェル構造を有するトナー粒子の製造が困難である。よって、トナー粒子の小粒径化を実現することが難しい。したがって、トナー粒子のメジアン径D50が大きくなったと考えられる。
また、トナー粒子の製造時にシェル樹脂がコア粒子の表面に吸着され難ければ、シェル樹脂がコア粒子の表面に設けられ難くなるので、コア粒子の分散性を高めるというシェル樹脂の作用の低下を引き起こす。そのため、液体現像剤の耐熱保管安定性が低下したと考えられる。
比較例2では、実施例1〜4に比べ、耐熱保管安定性が低下した。その理由としては次に示すことが考えられる。比較例2では、SP値の差が0.4未満であるので、コア樹脂とシェル樹脂との相溶を招く。これにより、シェル樹脂がコア粒子の表面に存在し難くなるので、コア粒子の分散性を高めるというシェル樹脂の作用の低下を引き起こす。そのため、液体現像剤の耐熱保管安定性が低下したと考えられる。
実施例1〜3では、実施例4に比べて、液体現像剤の耐熱保管安定性をさらに高めることができた。この結果から、第1高分子としてはマクロモノマーを用いることが好ましいと言える。
実施例3〜4では、実施例1〜2に比べて、低温定着性がさらに優れた。この結果から、コア樹脂は結晶性ポリエステル樹脂をさらに含むことが好ましいと言える。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
21 液体現像剤、22 現像槽、23 アニロックスローラ、24 アニロックス規制ブレード、25 ならしローラ、26 現像ローラ、27 現像クリーニングブレード、28 現像チャージャー、29 感光体、30 帯電部、31 露光部、32 クリーニングブレード、33 中間転写体、34 中間転写体クリーニング部、35 二次転写ローラ、37 一次転写部、38 二次転写部、40 記録媒体。

Claims (5)

  1. 絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える液体現像剤であって、
    前記トナー粒子は、コア/シェル構造を有し、
    前記コア/シェル構造は、コア樹脂を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ且つ前記コア樹脂とは異なる樹脂であるシェル樹脂とを有し、
    前記コア樹脂は、ポリエステル樹脂を含み、
    前記シェル樹脂は、第1ビニルモノマーに由来する第1構成単位を有し、
    前記第1ビニルモノマーは、第1高分子に由来するサブ構成単位を側鎖として含み、
    前記コア樹脂のSP値と前記第1高分子のSP値との差が0.4以上2以下である液体現像剤。
  2. 前記コア樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂を含む請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記コア樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂をさらに含む請求項2に記載の液体現像剤。
  4. 前記第1ビニルモノマーは、下記一般式(I)により表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤。
    Figure 2016166926

    上記一般式(I)において、R1は、水素原子またはメチル基を示す。R2は、炭素数が1以上5以下であるアルキレン基を示す。R3は、エステル結合を主鎖に有し且つ数平均分子量が1500以上7000以下である第1官能基を示す。
  5. 前記第1ビニルモノマーは、第1マクロモノマーであり、
    前記第1マクロモノマーは、重合性二重結合を有し且つ数平均分子量が2000以上30000以下である請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤。
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