以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、表示コード1(図2参照)により、紙メディア文書と電子メディア文書との結合を実現することができる点について説明する。
なお、ここでいう「文書」は、レター、メモ、ノート、通知書、報告書、請求書、領収書、契約書、証明書、説明書、論文、記事、小説、カタログ、パンフレット、マニュアル、広告、写真、絵画等、文字や記号等を書き記したものを広く含む。また、説明の便宜上、ユーザが最初に目にすることを予定して作成された文書を「一次文書」といい、一次文書を目にしたユーザに必要に応じて取得させることを予定して作成された文書を「二次文書」という。
図1は一次文書の一例として製品説明書を示している。図1中の製品説明書2は紙メディア文書である。製品説明書2は、例えばA4サイズの用紙である。製品説明書2には、製品(この例ではカメラ)の取扱上の注意事項を記載した文章3、および製品の使い方の概要を短くまとめた文章4が印刷されている。さらに、製品説明書2には、「Manual」というメッセージを表す記号配列パターン13(図2参照)を有する表示コード1の表示コード画像5が印刷されている。
製品説明書2は、製品を購入した者に製品と共に引き渡される。購入者は、製品説明書2の文章3および4を目で直接読むことにより、製品の取扱上の注意および大まかな使い方を素早く理解することができる。
また、製品のより詳しい使い方を知りたいときには、購入者は、情報処理装置52(図9参照)から操作マニュアルを取得することができる。この操作マニュアルは二次文書の一例である。操作マニュアルは電子メディア文書であり、具体的には文書ファイルである。
購入者のオフィスまたは自宅には情報処理装置52が設けられている。情報処理装置52は、本発明を適用した複合機であり、通常の複合機と同様に、原稿読取機能、印刷機能、コピー機能、ファクシミリ機能、文書保存機能等を備えている。さらに、情報処理装置52は、後述するように、表示コード生成機能、表示コード画像組込機能、表示コード読取機能および表示コード画像シート出力機能を備えている。さらに、情報処理装置52は、インターネットを介して外部のサーバ53に相互通信可能に接続されており、文書ファイルをサーバ53に転送し、またはサーバ53から転送された文書ファイルを受け取る機能を備えている。
情報処理装置52から操作マニュアルの文書ファイルを取得するに当たり、購入者は、通常の複写機で原稿をコピーするのと同様の方法で、製品説明書2に印刷された表示コード画像5を情報処理装置52に読み取らせる。すなわち、購入者は、製品説明書2を情報処理装置52のプラテンガラスの上に載置し、情報処理装置52に設けられた表示コード読取開始ボタンを押す。これにより、情報処理装置52においてプラテンガラスの下に設けられた原稿読取部62(例えばスキャナ)が製品説明書2に印刷された表示コード画像5を光学的に読み取る。表示コード画像5に含まれる記号配列パターン13に対応する記号バイナリー情報43(図8参照)は、操作マニュアルの文書ファイルと対応関係が形成されており、この文書ファイルはサーバ53に保存されている。情報処理装置52は、読み取った表示コード画像5を分析し、当該表示コード画像5に含まれる記号配列パターン13等に基づいて、当該文書ファイルを特定する。続いて、情報処理装置52は、サーバ53と通信を行い、当該文書ファイルをサーバ53から受け取る。続いて、情報処理装置52は、サーバ53から受け取った操作マニュアルの文書ファイルの内容を、情報処理装置52に設けられたモニター部64に表示し、操作マニュアルの内容を購入者に確認させる。購入者は、操作マニュアルを確認し、操作マニュアルの文書ファイルを、文書ファイルのまま(電子データとして)取得するか、操作マニュアルの文書ファイルを印刷出力したものを取得するかを選択する。これにより、情報処理装置52は、購入者の選択に応じ、操作マニュアルの文書ファイルを情報処理装置52に接続されたパーソナルコンピュータ等の端末装置54に送信し、または、操作マニュアルの文書ファイルを印刷出力する。
操作マニュアルには、製品の有するあらゆる機能につき、それらの使い方が詳細に記載されている。このため、操作マニュアルに記載された文章量は膨大であり、それゆえ、操作マニュアルの全部を印刷出力することにより得られる印刷物は膨大なページ数となる。もし、操作マニュアルの印刷物を一律に製品に同梱して購入者に引き渡す方法を採るとすれば、購入者は、製品を購入した直後から、かさばる印刷物の保管を強いられることとなる。これに対し、上述したように、購入者が必要な場合に限り、操作マニュアルの文書ファイルまたはそれを印刷したものを情報処理装置52から出力する方法によれば、購入者は、製品を購入した直後から、かさばる印刷物の保管を強いられることがない。
このように、表示コード1により、紙メディア文書である製品説明書2と電子メディア文書である操作マニュアルとの結合を実現することができる。これにより、記録された内容を素早く読み取ることができるという紙メディア文書の長所と、保管が容易であるという電子メディア文書の長所との双方を生かし、または、保管が困難であるという紙メディア文書の短所と、記録された内容を読み取るのに手間や時間がかかるという電子メディア文書の短所とを相互に補い合い、情報伝達媒体としての文書の利便性を高めることができる。
また、表示コード1は、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターン13を有するコードであるので、紙メディア文書に表示コード1を印刷しても、当該文書が見にくくならず、デザインが悪くなることもない。
また、記号配列パターン13は、人が目視して認識することができるメッセージを表しているので、購入者は、表示コード1を見ることで、表示コード1を介して、紙メディア文書に関連づけられた電子メディア文書の存在や内容を連想することができる。具体的には、購入者は、表示コード画像5中の「Manual」という記号配列パターン13を見ることで、操作マニュアルの存在やその取得方法を連想することができる。この結果、購入者は、操作マニュアルを迷わずに取得することができ、製品説明書2から操作マニュアルへスムーズに読み進めることができる。
以下、まず、表示コード1について説明する。その次に、本発明の実施形態である情報処理装置52について説明する。
(表示コードの外観上の構造)
図2は表示コードの外観上の構造を示している。図2において、表示コード1は、人が目視してメッセージとして認識可能であり、かつ光学的読取機能を備えた機器により認識可能な記号配列パターンに前記メッセージとは異なる付加情報45(図8参照)を付加することにより形成されるコードである。より詳しく説明すると、表示コード1は、複数の升目12を格子状に配列することによりコード空間11を形成し、このコード空間11における複数の升目12のうちから1つ以上の升目12を選び、この選ばれた各升目12に所定の形状を有するパターン要素15を配置することにより、人が目視して認識することができるメッセージを表す記号配列パターン13が形成され、かつ、コード空間11における複数の升目12のうち、記号配列パターン13を形成するために、パターン要素15が配置された升目15をオンとし、パターン要素15が配置されていない升目12をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報である記号バイナリー情報に前記メッセージとは異なる付加情報45が付加されたコードである。
すなわち、コード空間11は、縦方向および横方向に拡がる外形が四角形の二次元空間である。コード空間11には、個々の形状が例えば正方形の升目12が、格子を形作るように縦方向および横方向に複数敷き詰められている。
また、コード空間11の中央部分には記号配列パターン13が配置される。記号配列パターン13は、単一の記号パターン14または複数の記号パターン14の配列により形成され、人が目視して認識可能なメッセージ(例えば「Manual」)を表現する。コード空間11には、例えば、最大12個の記号パターン14を配列可能な行を5行設けることができ、これにより最大60個の記号パターン14からなる記号配列パターン13を形成することができる。なお、表示コード1を形成するに当たり、コード空間11に配置される記号パターン14の個数は1個でもよい。また、記号配列パターン13を形成するためにコード空間11に配置可能な記号パターン14の最大個数、一行当たりの最大個数および行数は限定されない。
一方、コード空間11の周縁部分には、後述の情報処理装置52等、表示コード読取機能を有する機器(以下、これを「表示コード読取装置」という。)を制御するための制御パターンが配置される。制御パターンには、ガイドパターン21、22、23、拡張パターン24、配列情報パターン25、識別情報パターン26がある。なお、制御パターンは、人が目視して認識可能なメッセージを表すものではない。
また、コード空間11に配置された記号配列パターン13および制御パターン(21〜26)を画像化したものが表示コード画像5であり、これが上述したように紙メディア文書(例えば図1中の製品説明書2)に印刷される。
(記号パターンの構造と種類)
図3は、表示コード1における記号配列パターン13を形成する記号パターン14の構造を示している。図4は記号パターン14の様々な具体例を示している。図3に示すように、記号配列パターン13を形成する各記号パターン14は、升目12が縦方向に13個、横方向に5個配列された合計65個の升目12からなる記号パターン領域31内に形成される。記号パターン14は、記号パターン領域31内の65個の升目12のうちから、記号パターン14を形作るように、単一または複数の升目12を選び、選ばれた各升目12にパターン要素15を配置することにより形成される。各パターン要素15は、升目12とほぼ同一形状およびほぼ同一の大きさを有する。
図4に示すように、記号パターン領域31を形成する65個の升目12にパターン要素15を適宜配置することにより、数字(0〜9)、アルファベット(A〜Z、a〜z)およびその他の記号(「!」、「"」、「#」、「$」、「%」、「&」、「'」、「()、「」」、…)を表す記号パターン14をそれぞれ形成することができる。このように、表示コード1によれば、パーソナルコンピュータのキーボードをタイプすることにより直接入力してモニターに表示することが可能な全ての記号(JISコード32ないし126)を記号パターン14により表すことができる。さらに、これら以外の記号を記号パターン14により表すことも可能である。
また、図4に示す記号パターン14の集まりは、記号パターンセット47として例えば情報処理装置52の記憶部92に記憶される。
(ガイドパターン・拡張パターン)
図5はガイドパターン21、22、23および拡張パターン24を示している。ガイドパターン21、22、23は、表示コード読取装置が記号配列パターン13を読み取るときに表示コード読取装置の読取部(例えば、後述する情報処理装置52の原稿読取部62)と記号配列パターン13との位置ずれを補正し、または表示コード読取装置の読取部が記号配列パターン13の読取方向を認識するためのパターンである。ガイドパターン21は、図5(a)に示すように、コード空間11における所定領域内に配置された複数の升目12のうちから、ガイドパターン21を形作るように、単一または複数の升目12を選び、選ばれた各升目12にパターン要素15を配置することにより形成される。ガイドパターン22、23も、ガイドパターン21と同様に形成される。ガイドパターン21、22、23は、図5(a)、(b)、(c)に示すように、それぞれ固有な態様(形状)を有する。すなわち、ガイドパターン21、22、23の態様は、それぞれ互いに異なり、また、ガイドパターン21、22、23以外の他のいずれの制御パターンの態様とも異なり、さらに、いずれの記号パターン14の態様とも異なる。そして、図2に示すように、ガイドパターン21はコード空間11の左上角部に配置され、ガイドパターン22はコード空間11の右上角部に配置され、ガイドパターン23はコード空間11の右下角部に配置されている。
記号配列パターン13が配置される領域の外形が長方形または正方形である場合には、当該領域の4つの頂点のうち3つの頂点の位置が判明すれば、当該領域の外形を把握することができる。したがって、ガイドパターン21、22、23により、記号配列パターン13の外形を表示コード読取装置4に認識させることができる。
また、ガイドパターン21とガイドパターン22とを結ぶ直線は、記号配列パターン13の横方向と平行である。したがって、ガイドパターン21、22により、記号配列パターン13の横方向の読取方向を表示コード読取装置の読取部に認識させることができる。また、ガイドパターン22とガイドパターン23とを結ぶ直線は、記号配列パターン13の縦方向と平行である。したがって、ガイドパターン22、23により、記号配列パターン13の縦方向の読取方向を表示コード読取装置の読取部に認識させることができる。
さらに、ガイドパターン21は記号配列パターン13の最左側に位置する。したがって、ガイドパターン21により、記号配列パターン13の読取開始位置を表示コード読取装置の読取部に認識させることができる。また、ガイドパターン22、23は記号配列パターン13の最右側に位置する。したがって、ガイドパターン22またはガイドパターン23により、記号配列パターン13の読取終了位置を表示コード読取装置の読取部に認識させることができる。また、記号配列パターン13の行数が2行以上の場合には、ガイドパターン21またはガイドパターン22により、記号配列パターン13の最初の行を表示コード読取装置の読取部に認識させることができ、ガイドパターン23により、記号配列パターン13の最後の行を表示コード読取装置の読取部に認識させることができる。なお、ガイドパターン21、22、23の態様(形状)は、図5(a)、(b)、(c)に示す態様に限定されない。
一方、拡張パターン24は、例えば図5(d)に示すように固有な態様を有し、図2に示すように、コード空間11の左下角部に配置されている。拡張パターン24には、その固有な態様またはコード空間11内における固有な位置を利用して、固有な機能を与え、または固有な情報を割り当てることができる。例えば、拡張パターン24の態様を、表示コード1を付すべき物品ごとに変化させ、表示コード1を付すべき物品ごとに態様が異なる複数の拡張パターン24のそれぞれに、互いに異なる情報を割り当ててもよい。また、例えば、拡張パターン24がコード空間11の右下角部に配置されていることを利用して、ガイドパターン21、22、23を用いた表示コード読取装置の読取部における位置ずれ補正または読取方向の認識を補佐する機能を拡張パターン24に持たせてもよい。
(配列情報パターン)
図6は配列情報パターン25を示している。配列情報パターン25は、表示コード1における記号配列パターン13を形成する記号パターン14の配列の桁数および行数を示すパターンである。配列情報パターン25はコード空間11の上端中央部に配置されている(図2参照)。配列情報パターン25は、横方向に連続して配列された8つの升目12に、記号配列パターン13を形成する記号パターン14の配列の桁数および行数を表す8ビットの2値情報を示すようにパターン要素15を配置することにより形成される。例えば、8ビットの2値情報のうち、下位4ビットが桁数を表し、上位4ビットが行数を表す。
例えば、図2に示す記号配列パターン13は、「M」、「a」、「n」、「u」、「a」、「l」をそれぞれ表す6つの記号パターン14を1行に配列したものである。したがって、この記号配列パターン13の桁数は6であり、行数は1である。この場合、配列情報パターン25が示す8ビットの2値情報は「00010110」となり、これに対応する配列情報パターン25は図6に示す通りである。
なお、配列情報パターン25の配置や態様は図2に示す位置や図6に示す態様に限定されない。例えば、配列情報パターン25をコード空間11の下端中央部、左端中央部、または右端中央部に配置してもよい。また、例えば、配列情報パターン25を横方向または縦方向に連続して配列された16個の升目12により構成し、16ビットの2値情報を示すようにしてもよいし、配列情報パターン25により記号配列パターン13を形成する記号パターン14の総数(記号数)を示してもよい。
(識別情報パターン)
図7は識別情報パターン26を示している。識別情報パターン26は、表示コード1における記号配列パターン13に付加された付加情報45を識別するためのパターンである。後述するように、表示コード1における記号配列パターン13には、相互に異なる複数の付加情報45を付加することできる。記号配列パターン13に複数の付加情報45が付加されている場合、情報処理装置52は、識別情報パターン26に基づき、記号配列パターン13に付加された複数の付加情報45のうち1つの付加情報45を特定することができる。識別情報パターン26はコード空間11の下端中央部に配置されている(図2参照)。識別情報パターン26は、横方向に連続して配列された8つの升目12に、記号配列パターン13に付加された付加情報45の識別番号(識別情報44)を表す8ビットの2値情報を示すようにパターン要素15を配置することにより形成される。
なお、識別情報パターン26の配置や態様は図2に示す位置や図7に示す態様に限定されない。例えば、識別情報パターン26をコード空間11の上端中央部、左端中央部、または右端中央部に配置してもよい。また、例えば、識別情報パターン25を横方向または縦方向に連続して配列された16個の升目12により構成し、16ビットの2値情報を示すようにしてもよい。
(組合せ情報)
図8は表示コード1における組合せ情報を示している。組合せ情報41は、主として、表示コード1における記号配列パターン13と、この記号配列パターン13に付加された付加情報45との対応関係を示す情報(対応関係情報)である。組合せ情報41は、後述の情報処理装置52等、表示コード生成機能を有する機器(以下、これを「表示コード生成装置」という。)により、表示コード1が生成される過程において生成され、表示コード読取装置の記憶部または表示コード読取装置と通信可能に接続された外部装置の記憶部に記憶される。そして、表示コード読取装置が、記号配列パターン13を読み取って、この記号配列パターン13に付加された付加情報45を印刷出力または送信するとき、組合せ情報41を参照して、読み取った記号配列パターン13に付加された付加情報45を特定する。
組合せ情報41は、図8に示すように、メッセージテキスト情報42、記号バイナリー情報43、識別情報44および付加情報45(または付加情報特定情報46)により構成されている。
メッセージテキスト情報42は、表示コード1における記号配列パターン13が表現しているメッセージをテキストで表したものである。例えば、図2に示す表示コード1における記号配列パターン13が表現しているメッセージは「Manual」なので、図8に示す通り、メッセージテキスト情報42は「Manual」である。
記号バイナリー情報43は、表示コード1における記号配列パターン13を二値化した二値情報である。すなわち、記号バイナリー情報43は、コード空間11における複数の升目12のうち、記号配列パターン13を形成するために、パターン要素15が配置された升目12をオンとし、パターン要素15が配置されていない升目12をオフとし、これらのオン、オフによって特定される二値情報である。
記号バイナリー情報43は、記号配列パターン13を形成する個々の記号パターン14を二値化した二値情報を生成し、これら二値情報を、記号配列パターン13における記号パターン14の配列順序に従って接続することにより生成する。そして、個々の記号パターン14の二値情報は、図3に示す記号パターン領域31の各升目12の位置を桁番号xおよび行番号yを用いて(x,y)と表すとすると、(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5)、(1,6)、(1,7)、(1,8)、(1,9)、(1,10)、(1,11)、(1,12)、(1,13)、(2,1)、(2,2)、(2,3)、(2,4)、…、(2,13)、(3,1)、…、(3,13)、(4,1)、…、(4,13)、(5,1)、…(5,13)の順序で、各升目12のオン、オフに「1」、「0」をそれぞれ割り当てることにより生成する。例えば、図3に示すように「M]を表す記号パターン14の二値情報は、「1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,0,0,0,1,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,1,1,1,0,0,0,0,0,0,0,0,0,1,0,0,0,0,0,0,0,0,0,0,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,0,0,」である。
また、図8中に示した記号バイナリー情報43は、図2に示すように「Manual」を表す記号配列パターン13に対応している。なお、記号配列パターン13を二値化する方法は、上述した方法に限らない。
一方、識別情報44は、記号配列パターン13に複数の付加情報45が付加されている場合に、個々の付加情報45を識別するための番号である。識別情報44は互いに相違する固有な番号である。なお、図8に示す例では、識別情報44を表す識別情報パターン26が8ビットの2値情報を示すパターンとして形成されるので、識別情報44を2値情報として示している。
付加情報45は、表示コード1における記号配列パターン13に付加された情報である。組合せ情報41の構造に照らして厳密に述べると、付加情報45は、表示コード1における記号バイナリー情報43(またはメッセージテキスト情報42)に組み合わされた情報である。付加情報45は、1つの記号配列パターン13に複数付加することができる。
なお、付加情報45の全部を組合せ情報に含めることにより、付加情報45を記号配列パターン13へ付加してもよいし、付加情報45を特定することができる付加情報特定情報46を組合せ情報に含めることにより、付加情報45を記号配列パターン13へ付加してもよい。例えば、付加情報45が文書ファイルである場合には、文書ファイル自体を組合せ情報に含めてもよいし、文書ファイルのファイル名のみを組合せ情報に含めてもよい。
また、付加情報45は、テキストデータ、文書データ、音声データ、静止画データ、動画データ、コンピュータプログラム等でもよい。
(情報処理装置の構成)
図9は本発明の実施形態による情報処理装置52を含む情報処理システム51を示し、図10および図11は情報処理システム51の操作パネル部を示す。また、図12は情報処理装置52のモニター部を示している。
図9において、情報処理システム51は、情報処理装置52、サーバ53、および端末装置54を備えている。情報処理装置52および端末装置54は、例えばルータ55等を備えたローカルエリアネットワーク(LAN)56により相互に通信可能に接続されている。また、このローカルエリアネットワーク56は、例えばモデム57等を介してインターネット58に接続されており、情報処理装置52および端末装置54は、サーバ53と相互通信可能にそれぞれ接続されている。なお、ローカルエリアネットワーク56には複数の端末装置54を接続することができる。
端末装置54は、例えばパーソナルコンピュータである。サーバ53は、例えばクラウドコンピューティングによるサービスの提供に用いることができるサーバコンピュータである。なお、サーバ53は外部装置の具体例である。
情報処理装置52は、例えば複合機である。情報処理装置52は、原稿読取機能、印刷機能、コピー機能、ファクシミリ機能、文書ファイル保存機能等を備えている。また、情報処理装置52は、表示コード生成機能、表示コード画像印刷機能、表示コード読取機能および表示コード画像シート出力機能を備えている。また、情報処理装置52は、サーバ53との間で文書ファイルを相互に転送する機能を備えている。
情報処理装置52は、自動原稿搬送装置(シートフィーダ)61、プラテンガラス(図示せず)、原稿読取部62、操作パネル部63、モニター部64、印刷部65、用紙収容部(給紙カセット)66、排紙トレイ67等を備えている。自動原稿搬送装置61は、原稿搬入部61Aに置かれた原稿をプラテンガラス上に自動的に搬送する装置である。プラテンガラスは、読み取るべき原稿を載置する台である。原稿読取部62は、プラテンガラス上に載置された原稿を光学的に読み取る装置であり、例えばラインスキャナである。
操作パネル部63は、ユーザが情報処理装置52を操作するための装置である。操作パネル部63には、図10に示すように、ファンクションボタンが設けられている。ファンクションボタンには、印刷ボタン71、コピーボタン72、ファクシミリボタン73、原稿スキャンボタン74、表示コード生成・文書保存ボタン75、表示コード画像組込ボタン76、表示コード読取・文書出力ボタン77等がある。また、操作パネル部63には、テンキー78、開始ボタン79、電源ボタン80、表示コード画像シートの出力ボタン84等が設けられている。また、操作パネル部63にはタッチ操作画面81が設けられている。タッチ操作画面81は、例えば液晶ディスプレイ装置とタッチパネルとを重ね合わせることにより形成されている。タッチ操作画面81には、図11に示すように、文字、数字、記号等を入力することができるキーボード82が表示される。また、タッチ操作画面81には、ユーザがキーボード82を操作して入力した文字、数字、記号、記号配列パターン等が表示される。
モニター部64は、ユーザが情報処理装置52の処理を確認するための装置である。モニター部64は、例えば液晶ディスプレイ装置とタッチパネルとを重ね合わせることにより形成されている。図12に示すように、表示コード画像5を紙メディア文書である一次文書に組み込むとき、モニター部64に一次文書83が表示される。ユーザは、モニター部64を見て、表示コード画像5の一次文書83上の位置を確認することができる。また、二次文書の文書ファイルを出力するとき、モニター部64に当該文書ファイルの内容が表示される。ユーザは、当該文書ファイルを印刷出力する前に、当該文書ファイルの内容等を確認することができる。
印刷部65は、文書データを印刷出力する装置である。印刷部65は、原稿読取部62により読み取られた原稿の文書データ、情報処理装置52の記憶部92に記憶された文書データ、端末装置54からローカルエリアネットワーク56を介して送信された文書データ、サーバ53からインターネットを介して送信された文書データを印刷出力することができる。また、印刷部65は、表示コード画像を組み込んだ紙メディア文書、または表示コード画像シート等を印刷出力することができる。用紙収容部66は、文書を印刷する用紙を収容する機構である。排紙トレイ67は、文書が印刷された用紙が排出される部分である。
図13は情報処理装置52の電気的構成を示している。図13に示すように、情報処理装置52は、CPU(中央処理装置)91、記憶部92、ファクシミリ通信部93、インターネット通信部94、およびLAN通信部95を備えている。これらはバスを介して相互に接続されている。また、バスには、上述した自動原稿搬送装置61、原稿読取部62、操作パネル部63、モニター部64、および印刷部65が接続されている。
CPU91は、記憶部92に記憶された制御プログラムを実行することにより、表示コード生成部96、表示コード画像組込部97、表示コード読取部98および表示コード画像シート生成部99として機能する。表示コード生成部96は、表示コードの生成および文書ファイルの保存に関する処理を行う。表示コード画像組込部97は、表示コード画像の紙メディア文書への組込に関する処理を行う。表示コード読取部98は、表示コードの読取および文書ファイルの出力に関する処理を行う。表示コード画像シート生成部99は表示コード画像シートの生成および出力に関する処理を行う。表示コード生成部96、表示コード画像組込部97、表示コード読取部98および表示コード画像シート生成部99の詳細については後述する。また、CPU91は、情報処理装置52における原稿読取、コピー、印刷、ファクシミリ通信、端末装置54との通信、サーバ53との通信等の諸機能を実現するために、自動原稿搬送装置61、原稿読取部62、操作パネル部63、モニター部64、印刷部65、記憶部92、ファクシミリ通信部93、インターネット通信部94、およびLAN通信部95を制御する。
記憶部92は、例えばハードディスク装置であり、上述した制御プログラムのほか、記号パターンセット47、組合せ情報41、文書ファイル48、表示コード画像データ49等が記憶される。
インターネット通信部94は、インターネット58を介して通信を行うための制御を行う通信回路である。LAN通信部95は、ローカルエリアネットワーク56を介して通信を行うための通信回路である。ファクシミリ通信部93は、ファクシミリ送受信を制御するための通信回路である。
(表示コード生成・文書ファイル保存)
図14は、情報処理装置52における表示コード生成処理および文書保存処理を示している。文書(例えば製品の操作マニュアル)を情報処理装置52またはサーバ53に保存したいと考えているユーザは、まず、次の2通りの方法のうちのいずれかの方法で、文書を情報処理装置52に入力する(ステップS1)。すなわち、保存したい文書が紙メディア文書である場合には、ユーザは、当該文書を情報処理装置52に光学的に読み取らせる。当該文書を情報処理装置52に読み取らせるに当たり、ユーザは、操作パネル部10の表示コード生成・文書保存ボタン75を押し、プラテンガラス上(または用紙搬入部61A)に文書を置き、開始ボタン79を押す。これに応じ、原稿読取部62は当該文書を光学的に読み取る。続いて、CPU91が、原稿読取部62により読み取られたデータから当該文書に対応する文書データのまとまりである文書ファイルを生成する。一方、保存したい文書が電子メディア文書、すなわち文書ファイルである場合には、ユーザは、端末装置54(図9参照)から情報処理装置52へ文書ファイルを送信する。これにより、CPU91は、LAN通信部95を介して当該文書ファイルを受け取る。
続いて、ユーザは、操作パネル部63を操作し、メッセージ(例えば、「Manual」)、上記保存したい文書のファイル名(例えば、「OperationsManual.pdf」)、および文書名(例えば「操作マニュアル」)を入力する(ステップS2)。例えば、図11に示すように、ユーザは、タッチ操作画面81中のキーボード82を操作し、メッセージを表すテキスト、ファイル名を表すテキスト、および文書名を表すテキストを入力する。
メッセージ、ファイル名および文書名の入力が完了すると、CPU91の表示コード生成部96が、メッセージを表す記号配列パターン13(図2参照)を生成する(ステップS3)。メッセージを表す記号配列パターン13を生成するに当たり、表示コード生成部96は、記憶部92に記憶された記号パターンセット47(図4参照)を参照し、入力されたメッセージを表すテキストに対応する記号パターン14を記号パターンセット47の中から選択し、選択した記号パターン14を配列する。続いて、表示コード生成部96は、図11に示すように、生成した記号配列パターン13をタッチ操作画面81に表示する。
続いて、表示コード生成部96は識別情報パターン26を生成する(ステップS4)。同一の記号配列パターン13を有する他の表示コード1が存在する場合、表示コード生成部96は、当該他の表示コード1が有する識別情報パターン26とは異なる識別情報パターン26を生成する。さらに、表示コード生成部96は、識別情報パターン26以外の必要な制御パターンを生成する。
続いて、表示コード生成部96は、表示コード画像5を生成する(ステップS5)。表示コード画像5を生成するに当たり、表示コード生成部96は、ステップS3で生成された記号配列パターン13を構成する記号パターン14の配列の桁数および行数に従ってコード空間11の大きさを判断し、コード空間11の中央部分に記号配列パターン13を配置する。続いて、表示コード生成部96は、コード空間11の四隅に、予め生成されたガイドパターン21〜23および拡張パターン24を配置する。続いて、表示コード生成部96は、記号配列パターン13を構成する記号パターン14の配列の桁数および行数を表す配列情報パターン25を生成し、これをコード空間11の上端中央部に配置する。続いて、表示コード生成部96は、コード空間11の下端中央部に識別情報パターン26を配置する。
続いて、表示コード生成部96は、ステップS2で入力されたメッセージを表すテキストであるメッセージテキスト情報42、ステップS3で生成した記号配列パターン13に対応する記号バイナリー情報43、ステップS4で生成した識別情報パターン26に対応する識別情報44、およびステップS2で入力されたファイル名である付加情報特定情報46からなる組合せ情報41を形成する(ステップS6)。
続いて、ユーザは、上記文書の文書ファイルを保存する場所を選択する。すなわち、文書ファイルは、ユーザの選択に応じ、情報処理装置52の記憶部92およびサーバ53のいずれかに保存することができる。
ユーザが、保存場所として情報処理装置52の記憶部92を選択した場合には(ステップS7:NO)、表示コード生成部96は、組合せ情報41および文書ファイルを情報処理装置52の記憶部92に記憶する(ステップS8)。一方、ユーザが、保存場所としてサーバ53を選択した場合には(ステップS7:YES)、表示コード生成部96は、組合せ情報41および文書ファイルをサーバ53へ送信する(ステップS9)。送信された組合せ情報41および文書ファイルは、サーバ53の記憶部に記憶される。
続いて、表示コード生成部96は、ステップS3およびS4で生成した表示コード画像5の画像データである表示コード画像データ49を、ステップS2で入力された文書ファイルのファイル名、ステップS2で入力された文書名を表す文書名情報、および現在の日時を示す保存日時情報と共に記憶部92に記憶する(ステップS10)。
情報処理装置52における表示コード生成処理および文書保存処理によれば、ユーザは、表示コード1の作成と文書ファイルの保存とを同じ場所で、同じタイミングで、一連の操作に従って容易に行うことができる。
(表示コード画像の組込)
図15は、情報処理装置52における表示コード画像組込処理を示している。図14に示す表示コード生成処理により生成された表示コード1の表示コード画像5を一次文書である紙メディア文書(例えば製品説明書2)に組み込みたいと考えているユーザは、図15に示すように、まず、次の2通りの方法のうちのいずれかの方法で、表示コード画像5を組み込む紙メディア文書を情報処理装置52に入力する(ステップS21)。すなわち、紙メディア文書を手書きで作成した場合のように、当該紙メディア文書に対応する文書ファイルが存在しない場合には、ユーザは、当該紙メディア文書を情報処理装置52に光学的に読み取らせる。当該紙メディア文書を情報処理装置52に読み取らせるに当たり、ユーザは、操作パネル部10の表示コード画像組込ボタン76を押し、プラテンガラス上(または用紙搬入部61A)に紙メディア文書を置き、開始ボタン79を押す。これに応じ、原稿読取部62は当該紙メディア文書を光学的に読み取る。続いて、CPU91が、原稿読取部62により読み取られたデータから当該紙メディア文書に対応する文書ファイルを生成する。一方、表示コード画像5を組み込む紙ディア文書を端末装置54(図9参照)で作成した場合のように、当該紙メディア文書の文書ファイルが存在する場合には、ユーザは、端末装置54から情報処理装置52へ当該文書ファイルを送信する。これにより、CPU91は、LAN通信部95を介して当該文書ファイルを受け取る。
続いて、ユーザは、紙メディア文書に組み込みたいと考えている表示コード画像5を選択する(ステップS22)。表示コード画像組込部97は、表示コード画像5をユーザに選択させるために、情報処理装置52の記憶部92に記憶された表示コード画像5、並びに当該表示コード画像5に対応するファイル名、文書名情報および保存日時情報(当該表示コード画像5に対応する表示コード画像データ49と共に記憶部92に記憶されたファイル名、文書名情報および保存日時情報)をモニター部64に表示する。ユーザは、モニター部64に表示された表示コード画像5、ファイル名、文書名情報および保存日時情報を見て、紙メデイア文書に組み込みたい表示コード画像5を特定し、モニター部64の画面にタッチして、特定した表示コード画像5を選択する。
続いて、ユーザは、一次文書である紙メディア文書において、選択した表示コード画像5を配置する位置を設定する(ステップS23)。モニター部64には、紙メディア文書の画像が表示される。ユーザはモニター部64の画面にタッチして、表示コード画像5を紙メディア文書の画像上において移動させ、表示コード画像5の配置を確認しながら決めることができる。
紙メディア文書上における表示コード画像5の配置が決まった後、表示コード画像組込部97は、表示コード画像5(表示コード画像データ49)を紙メディア文書のデータに組み込む(ステップS24)。
続いて、表示コード画像組込部97は、表示コード画像5が組み込まれた紙メディア文書のデータを印刷出力する(ステップS25)。これにより、表示コード画像5が組み込まれた紙メデイア文書が生成される。
情報処理装置52における表示コード画像組込処理によれば、ユーザは、表示コード画像5が組み込まれた紙メディア文書を容易に作成することができる。
なお、白紙の用紙に表示コード画像5のみを印刷出力することもできる。この場合には、ステップS21において、ユーザは、操作パネル部10を操作し、白紙の用紙に表示コード画像5を印刷出力する旨の指示を情報処理装置52へ入力し、開始ボタン79を押す。これに応じ、表示コード画像組込部97が、白紙の用紙に対し、ステップS22〜S25の処理を行う。ユーザは、表示コード画像5のみが印刷された用紙に手書きで文章等を書き込むことにより、表示コード画像5が組み込まれた紙メディア文書を作成することができる。また、ユーザは、後述するように、白紙の用紙に表示コード画像5のみを印刷出力する機能を利用して、文書カード(図20参照)を作成することができる。
また、後述するように、表示コード画像5が組み込まれた紙メディア文書のデータをファクシミリ通信部93によりファクシミリ送信することもできる。
(表示コード読取・文書データ出力)
図16は、情報処理装置52における表示コード読取処理および文書出力処理を示している。図16に示すように、紙メディア文書(例えば製品説明書2)に印刷された表示コード画像5の記号配列パターン13に付加された文書ファイルを取得するときには、ユーザは、当該紙メディア文書を情報処理装置52のプラテンガラス上に載置し、操作パネル部63に設けられた表示コード読取・文書出力ボタン77を押し、開始ボタン79を押す。これに応じ、表示コード読取部98が、当該紙メディア文書に印刷された表示コード画像5を読み取る(ステップS31)。具体的には、表示コード読取部98は、原稿読取部62を制御し、当該紙メディア文書の紙面全体を走査し、当該紙メディア文書の紙面全体の画像を得る。続いて、表示コード読取部98は、表示コード画像5中のガイドパターン21〜23等を検出し、当該紙メディア文書の紙面全体の画像における表示コード画像5の位置を認識し、当該表示コード画像5を切り出す。紙メディア文書に印刷されている表示コード画像5が1つの場合(ステップS32:NO)、表示コード読取部98は、当該切り出した表示コード画像5を以下の処理の対象として特定し、処理をステップS34へ進める。
一方、紙メディア文書に複数の表示コード画像5が印刷されている場合には(ステップS32:YES)、表示コード読取部98は、当該紙メディア文書の紙面全体の画像における各表示コード画像5の位置を認識し、各表示コード画像5を切り出す。続いて、表示コード読取部98は、ユーザに表示コード画像5を選択させるために、切り出した複数の表示コード画像5をモニター部64またはタッチ操作画面81に並べて表示する(ステップS33)。ユーザは、例えばモニター部64またはタッチ操作画面81に指で触れ、所望の1つの表示コード画像5を選択することができる。ユーザが1つの表示コード画像5を選択したとき、表示コード読取部98は、ユーザが選択した当該表示コード画像5を以下の処理の対象として特定し、処理をステップS34へ進める。
ステップS34において、表示コード読取部98は、処理の対象として特定された表示コード画像5から、記号配列パターン13に対応する記号バイナリー情報43および識別情報パターン26に対応する識別情報44を取得する。具体的には、表示コード読取部98は、紙メディア文書の紙面全体の画像から切り出され、処理の対象として特定された表示コード画像5中から、記号配列パターン13、配列情報パターン25、および識別情報パターン26をそれぞれ切り出す。続いて、表示コード読取部98は、配列情報パターン25から、記号配列パターン13を構成する記号パターン14の桁数および行数を認識し、これらを参考にして、記号配列パターン13を構成する各記号パターン14を切り出して二値情報に変換し、記号配列パターン13に対応する記号バイナリー情報43を生成する。さらに、表示コード読取部98は、切り出した識別情報パターン26から、これに対応する識別情報44を生成する。
続いて、表示コード読取部98は、ステップS34で取得した記号バイナリー情報43および識別情報44を含む組合せ情報41を見つけ出すために、情報処理装置52の記憶部92を検索する(ステップS35)。
情報処理装置52の記憶部92を検索した結果、ステップS34で取得した記号バイナリー情報43および識別情報44を含む組合せ情報41が見つかった場合には(ステップS35:YES)、表示コード読取部98は、当該組合せ情報41に含まれる付加情報特定情報46に基づき、文書ファイルを特定する。この文書ファイルは、上記紙メディア文書に印刷された表示コード画像5中の記号配列パターン13に付加された文書ファイル(例えば操作マニュアル)である。続いて、表示コード読取部98は、当該文書ファイルを記憶部92から読み出す(ステップS36)。
一方、情報処理装置52の記憶部92を検索した結果、ステップS34で取得した記号バイナリー情報43および識別情報44を含む組合せ情報41が見つからなかった場合には(ステップS35:NO)、表示コード読取部98は、ステップS34で取得した記号バイナリー情報43および識別情報44をサーバ53へ送信し、文書ファイルの送信を要求する(ステップS37)。
記号バイナリー情報43および識別情報44を受信したサーバ53は、当該受信した記号バイナリー情報43および識別情報44を含む組合せ情報41を見つけるために、サーバ53の記憶部を検索する。そして、受信した記号バイナリー情報43および識別情報44を含む組合せ情報41が見つかった場合には、サーバ53は、当該組合せ情報41に含まれる付加情報特定情報46に基づき、文書ファイルを特定する。この文書ファイルは、上記紙メディア文書に印刷された表示コード画像5中の記号配列パターン13に付加された文書ファイル(例えば操作マニュアル)である。続いて、サーバ53は、当該文書ファイルを情報処理装置52へ送信する。そして、情報処理装置52は当該文書ファイルを受信する(ステップS38)。
続いて、情報処理装置52において、表示コード読取部98は、ステップS36で情報処理装置52の記憶部92から読み出した文書ファイル、またはステップS38でサーバ53から受信した文書ファイルを、ユーザの選択に応じて、端末装置54へ送信し、または印刷出力する(ステップS39)。
一方、サーバ53の記憶部を検索した結果、ステップS34で取得した記号バイナリー情報43および識別情報44を含む組合せ情報41が見つからなかった場合には、サーバ53はエラー情報を情報処理装置52へ送信する。エラー情報を受信した情報処理装置52の表示コード読取部98は、上記紙メディア文書に印刷された表示コード画像5中の記号配列パターン13に付加された文書ファイルが見つからない旨をモニター部64等に表示する。なお、エラー情報の送信および表示については図16において図示を省略している。
情報処理装置52における表示コード読取処理および文書出力処理によれば、ユーザは、複合機で普通に原稿のコピーをとるのとほぼ同じ方法で、紙メディア文書に組み込まれた表示コード画像5を読み取らせ、記号配列パターン13に付加された文書ファイルを直ちに取得することができる。
(表示コード画像シート生成・出力)
図17は、情報処理装置52における表示コード画像シート生成・出力処理を示している。
情報処理装置52またはサーバ53には複数の文書ファイルを保存することができる。情報処理装置52は、上述した表示コード生成処理および文書保存処理により、情報処理装置52またはサーバ53に保存する文書ファイルごとに表示コード画像5を生成し、当該生成した表示コード画像5(表示コード画像データ49)を記憶部92に記憶する(図14中のステップS10参照)。したがって、ユーザが情報処理装置52を用いて複数の文書ファイルを情報処理装置52またはサーバ53に保存した場合、情報処理装置52の記憶部92には複数の表示コード画像5が記憶されている。情報処理装置52は、ユーザの指示に従い、記憶部92に記憶された、いずれか1つの表示コード画像5が配置され、または複数の表示コード画像5が配列された表示コード画像シート(図18、20参照)を生成し、出力することができる(表示コード画像シート出力機能)。なお、複数の表示コード画像5が配列された表示コード画像シートは表示コード画像配列の具体例である。
情報処理装置52は、表示コード画像シートを例えば次のように生成し、出力する。すなわち、ユーザが、操作パネル部63の表示コード画像シートの出力ボタン84(図10参照)を押すと、図17に示すように、表示コード画像シート生成部99が、記憶部92に記憶された複数の表示コード画像5(表示コード画像データ49)を読み出す(ステップS41)。
続いて、表示コード画像シート生成部99は、表示コード画像シートに載せる表示コード画像5をユーザに選ばせるために、読み出した表示コード画像5をモニター部64に表示する(ステップS42)。ユーザは、例えばモニター部64に指で触れることにより、所望の1つまたは複数の表示コード画像5を選択することができる。また、ユーザは、例えばモニター部64内の隅部に表示された全選択ボタン(図示せず)に指で触れることにより、記憶部92に記憶されたすべての表示コード画像5を選択することもできる。
続いて、表示コード画像シート生成部99は、ユーザにより選択された表示コード画像5を配置または配列し、表示コード画像シートを生成する(ステップS43)。表示コード画像5の配列の規則(例えば、1枚の用紙にいくつの表示コード画像5を配列するか、等)は、予め定められている。また、ユーザは、操作パネル部63を操作し、当該配列の規則を任意に変更することができる。
続いて、表示コード画像シート生成部99は、生成した表示コード画像シートを用紙に印刷し、出力する(ステップS44)。
印刷出力された表示コード画像シートは、それ自体、紙メディア文書である。情報処理装置52の表示コード画像シート出力機能によれば、ユーザは、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書ファイルの管理を紙メディア文書により手軽に行うことが可能になる。
(表示コード画像シートの利用例1)
図18は、情報処理装置52により生成された表示コード画像シートを用いた文書リスト(表示コードインデックスシート)を示している。図19は、文書リストとしての複数枚の表示コード画像シートをバインダに綴じた状態を示している。
図18または図19に示す表示コード画像シート121は、情報処理装置52の表示コード画像シート出力機能(図17参照)により生成されたものである。この表示コード画像シート121には、複数の表示コード画像5A、5B、5C、5Dが印刷されている。これら表示コード画像5A、5B、5C、5Dはいずれも情報処理装置52の記憶部92に記憶されている表示コード画像であり、各表示コード画像5A、5B、5C、5Dの記号配列パターン13には、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書ファイルが付加されている。このように複数の表示コード画像が印刷された表示コード画像シート121は、以下に述べる通り、文書リストとして利用することができる。
すなわち、ユーザは、表示コード画像シート121に印刷された表示コード画像5A、5B、5C、5Dを目視することにより、情報処理装置52またはサーバ53に文書ファイルとして保存されている文書を素早く把握することができる。つまり、表示コード画像シート121に印刷された表示コード画像5A、5B、5C、5Dの記号配列パターン13はそれぞれ、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書ファイルを特定することができるメッセージを表している。具体的には、表示コード画像5Aの記号配列パターン13は操作マニュアルを表し、表示コード画像5Bの記号配列パターン13は「B12プロジェクト」の企画書を表している。また、表示コード画像5Cの記号配列パターン13は、製品番号「A−1995−260US」の製品仕様書を表し、表示コード画像5Dの記号配列パターン13は、「塚田屋XYZチョコレート」のパッケージのデザイン画を表している。ユーザは、表示コード画像シート121を目視することで、操作マニュアル、B12プロジェクトの企画書、製品番号「A−1995−260US」の製品仕様書、および塚田屋XYZチョコレートのパッケージデザイン画が情報処理装置52またはサーバ53に保存されていることを迅速に知ることができる。このように、表示コード画像シート121は、情報処理装置52またはサーバ53に保存されている文書のリストとして機能する。ユーザはこのような文書リストに基づき、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書の管理を簡単に行うことができる。
ここで、特に着目すべき点は、表示コード画像シート121には、表示コード画像5A、5B、5C、5Dのほかには、文字や記号が何も印刷されていない点である。ユーザは、表示コード画像5A、5B、5C、5Dの記号配列パターン13が表すメッセージを目視するだけで、表示コード画像5A、5B、5C、5Dにそれぞれ対応する文書を認識することができるので、表示コード画像5A、5B、5C、5D以外に、文字も記号も印刷する必要がないのである。もっとも、予備的な情報として、表示コード画像5A、5B、5C、5Dにそれぞれ対応する文書ファイルのファイル名、文書名情報等を表示コード画像シート121に印刷してもよい。
また、ユーザは、情報処理装置52の表示コード読取機能(図16参照)を用い、表示コード画像シート121に配列された各表示コード画像5A、5B、5C、5Dの記号配列パターン13に付加された文書ファイルを印刷物として、または電子データとして容易に取得することができる。
ユーザは、文書リストとしての表示コード画像シート121を用いることにより、情報処理装置52またはサーバ53に文書ファイルとして保存されている文書を素早く把握することができ、さらに、必要に応じ、文書を情報処理装置52またはサーバ53から容易に取り出すことができる。
このように、情報処理装置52によれば、文書リストとしての表示コード画像シート121と、情報処理装置52またはサーバ53に保存されている文書ファイルとの結合、すなわち紙メディア文書と電子メディア文書との結合を実現することができる。
(表示コード画像シートの利用例2)
図20は、情報処理装置52により生成された表示コード画像シートを用いた文書カードを示している。
図20に示す表示コード画像シート122は、情報処理装置52の表示コード画像組込機能(図15参照)または表示コード画像シート出力機能(図17参照)により生成されたものである。この表示コード画像シート121には、1つの表示コード画像5Eが印刷されている。この表示コード画像5Eは情報処理装置52の記憶部92に記憶されている表示コード画像であり、表示コード画像5Eの記号配列パターン13には、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書ファイルが付加されている。このように1枚のシートに1つの表示コード画像が印刷された表示コード画像シート122は、以下に述べるように文書カードとして利用することができる。
すなわち、情報処理装置52の表示コード画像組込機能または表示コード画像シート出力機能を利用して、1枚のカード型の用紙に1つの表示コード画像のみが印刷された文書カードを、例えば、情報処理装置52またはサーバ53に文書ファイルとして保存されたすべての文書について作成する。このようにして作成した複数の文書カードをバインダに綴じることで、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書を管理することができる。また、必要な文書がある場合には、当該文書に対応する文書カードをバインダから外し、その文書カードに印刷された表示コード画像を、情報処理装置52の表示コード読取機能(図16参照)により読み取る。これにより、当該文書の印刷物または電子データを取得することができる。
紙メディア文書と電子メディア文書との結合はこのような形でも実現することができる。
(表示コード画像シートの利用例3)
図21は、情報処理装置52により生成された表示コード画像シートを用いたファクシミリレターを示している。
図21に示す表示コード画像シート123は、情報処理装置52の表示コード画像組込機能(図15参照)または表示コード画像シート出力機能(図17参照)により生成されたものである。この表示コード画像シート123には、1つの表示コード画像5Fが印刷されている。この表示コード画像5Fは情報処理装置52の記憶部92に記憶されている表示コード画像であり、表示コード画像5Fの記号配列パターン13には、サーバ53に保存された文書ファイルが付加されている。また、表示コード画像シート123の紙面には大きな余白がある。以下に述べるように、ユーザは、このような表示コード画像シート123をファクシミリレターとして用い、サーバ53に保存された操作マニュアルのファクシミリレター受取人への送付を実現することができる。
すなわち、甲のオフィスには情報処理装置52が置かれており、乙のオフィスにも別の情報処理装置52が置かれており、これら2台の情報処理装置52はいずれもインターネット58に接続されている。また、インターネット58にはサーバ53も接続されている。このような環境下において、甲は、甲のオフィスに置かれている情報処理装置52を用いて、操作マニュアルに対応する表示コード画像5Fが印刷された表示コード画像シート123を作成した後、その余白に操作マニュアルを送付する旨を手書きの文章124を、ボールペン等を用いて書き込む。その後、甲は、その表示コード画像シート123を甲のオフィスに置かれている情報処理装置52のファクシミリ機能により、乙へファクシミリ送信する。ファクシミリ送信された表示コード画像シート123は、乙のオフィスに置かれている情報処理装置52のファクシミリ機能により受信される。受信された表示コード画像シート123を手に取った乙は、その表示コード画像シート123に書き込まれた手書きの文書124を読み、そして、当該表示コード画像シート123に印刷された表示コード画像5Fを見る。その瞬間、乙は、操作マニュアルを取得することが可能であることを素早く認識する。そして、乙は、表示コード画像シート123に印刷された表示コード画像5Fを、乙のオフィスに置かれている情報処理装置52の表示コード読取機能により読み取り、サーバ53に保存されている操作マニュアルを印刷物または電子データとして取得する。
このように、表示コード画像シート123はファクシミリレターとして機能し、また、表示コード画像シート123をファクシミリ送信することで、サーバ53に保存された文書の他者への送付を実現することができる。
(表示コード画像シートの利用例4)
図22は、表示コード画像シートの他の利用例を示している。
図22に示す表示コード画像シート125は、表示コード画像シート出力機能(図17参照)により生成されたものである。この表示コード画像シート125には、1つの文書ファイルに対応する表示コード画像5Gと、この文書ファイルの各ページに対応する表示コード画像126A〜126Lが印刷されている。これら表示コード画像5G、および126A〜126Lはそれぞれ、情報処理装置52の記憶部92に記憶されている表示コード画像である。また、表示コード画像5Gの記号配列パターン13には、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書ファイルが付加されている。また、各表示コード画像126A〜126Lの記号配列パターン13には当該文書ファイルの1ページが付加されている。例えば、表示コード画像126Aの記号配列パターン13には当該文書ファイルの第1ページが付加され、表示コード画像126Bの記号配列パターン13には当該文書ファイルの第2ページが付加され、表示コード画像126Lの記号配列パターン13には当該文書ファイルの第12ページが付加されている。このような表示コード画像シート125によれば、ユーザは、情報処理装置52の表示コード読取機能により、表示コード画像5Gを読み取ることにより、文書ファイル全体を印刷物または電子データとして取得することができる。また、ユーザは、情報処理装置52の表示コード読取機能により、表示コード画像126A〜126Lのいずれかを読み取ることにより、文書ファイルの所望の1ページのみを印刷物または電子データとして取得することができる。
(表示コード画像シートの利用例5)
図23は、表示コード画像シートのさらなる他の利用例を示している。
図23に示す表示コード画像シート127は、表示コード画像シート出力機能(図17参照)により生成されたものであり、この表示コード画像シート127には、1つの文書ファイルに対応する表示コード画像5Hと、この文書ファイルの部分に対応する表示コード画像128A〜128Eが印刷されている。これら表示コード画像5H、および128A〜128Eはそれぞれ、情報処理装置52の記憶部92に記憶されている表示コード画像である。また、表示コード画像5Hの記号配列パターン13には、情報処理装置52またはサーバ53に保存された文書ファイルが付加されている。また、各表示コード画像128A〜128Eの記号配列パターン13には当該文書ファイルの部分が付加されている。例えば、表示コード画像128Aの記号配列パターン13には当該文書ファイルの第1ページから第22ページまでの部分が付加され、表示コード画像128Bの記号配列パターン13には当該文書ファイルの第23ページから第48ページまでの部分が付加され、表示コード画像128Eの記号配列パターン13には当該文書ファイルの第151ページから第189ページまでの部分が付加されている。このような表示コード画像シート127によれば、ユーザは、情報処理装置52の表示コード読取機能により、表示コード画像5Hを読み取ることにより、文書ファイル全体を印刷物または電子データとして取得することができる。また、ユーザは、情報処理装置52の表示コード読取機能により、表示コード画像128A〜128Eのいずれかを読み取ることにより、文書ファイルの所望の部分(所望のページ範囲)のみを印刷物または電子データとして取得することができる。
なお、上述した実施形態では、一次文書と二次文書の組合せとして、製品説明書と操作マニュアルを例にあげたが、ほかにも、例えば、レターと同封書類、論文と参考資料、申請書と添付書類、招待状と地図、訴状と証拠資料等、様々考えられる。
また、原稿読取部63およびLAN通信部95が文書データ入力部の具体例である。
また、操作パネル部63がメッセージ入力部の具体例である(図14中のステップS2参照)。また、表示コード生成部96が記号配列パターン生成部の具体例である(図14中のステップS3参照)。また、表示コード生成部96が対応関係情報生成部の具体例である(図14中のステップS6参照)。また、表示コード生成部96が第1の記憶制御部の具体例である(図14中のステップS8参照)。また、表示コード画像組込部97が第1の印刷制御部の具体例である(図15中のステップS25参照)。
また、表示コード読取部98が記号配列パターン読取部の具体例である(図16中のステップS31参照)。また、表示コード読取部98が文書データ読出部の具体例である(図16中のステップS36参照)。また、表示コード読出部98が第2の印刷制御部の具体例である(図16中のステップS39参照)。
また、表示コード生成部96が第1の送信部の具体例である(図14中のステップS9参照)。また、表示コード読出部98が第2の送信部の具体例である(図16中のステップS37参照)。また、表示コード読出部98が受信部の具体例である(図16中のステップS38参照)。また、表示コード読出部98が第3の送信部および第4の送信部の具体例である(図16中のステップS39参照)。
また、表示コード生成部96が第2の記憶制御部の具体例である(図14中のステップS10参照)。また、表示コード画像シート生成部99が表示コード画像配列生成部の具体例である(図17中のステップS41ないしS43)。また、表示コード画像シート生成部99が第3の印刷制御部の具体例である(図17中のステップS44参照)。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報処理装置もまた本発明の技術思想に含まれる。