JP2014170857A - 有機半導体溶液、当該有機半導体溶液を用いた有機半導体インク - Google Patents

有機半導体溶液、当該有機半導体溶液を用いた有機半導体インク Download PDF

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Abstract

【課題】複素芳香族環とベンゼン環を有し、5環以上からなる縮合環を有する有機半導体材料を含有し、有機半導体膜の形成に適した有機半導体溶液を提供する。
【解決手段】複素芳香族環とベンゼン環を有し、かつ、5環以上の縮合環構造を有する有機半導体材料と、脂肪族基置換芳香族系溶媒(A)と、N,N置換アミド系溶媒(B)と、を含む有機半導体溶液。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体溶液、当該有機半導体溶液を用いた有機半導体インク、有機半導体膜、有機薄膜トランジスタ、及び該有機薄膜トランジスタを有する電子機器に関する。
薄膜トランジスタ(TFT)は、液晶表示装置等の表示用のスイッチング素子として広く用いられている。代表的なTFTは、基板上にゲート電極、絶縁体層、半導体層をこの順に有し、半導体層上に、所定の間隔をあけて形成されたソース電極及びドレイン電極を有している。TFTは、半導体層がチャネル領域を成しており、ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
従来、このTFTは、アモルファスや多結晶シリコンを用いて作製されていたが、このようなシリコンを用いたTFTの作製に用いられる化学気相成長(CVD)装置は、非常に高額であり、TFTを用いた表示装置等の大型化は、製造コストの大幅な増加を伴うという問題点があった。また、アモルファスや多結晶のシリコンを成膜するプロセスは非常に高い温度下で行われるので、基板として使用可能な材料の種類が限られ、軽量な樹脂基板等は使用できないという問題があった。
このような問題を解決するために、アモルファスや多結晶シリコンに代えて有機物を用いたTFT(有機TFT)が提案されている。有機物でTFTを製造する際に用いる成膜方法として真空蒸着法や塗布法等が知られている。これらの成膜方法によれば、製造コストの上昇を抑えつつ、多数のTFTを備えた電子素子の大型化が実現可能になる。
また、成膜時に必要となるプロセス温度を比較的低温にすることができる。
このように、有機TFTでは、基板に用いる材料の選択の制限が少ないという利点があり、その実用化が期待されており、盛んに研究報告がなされている。
有機半導体材料を基板上に成膜する方法として、例えば、真空蒸着法が挙げられる。真空蒸着で得られる膜は、均一性が高い。しかしながら、有機半導体材料が低分子材料である場合、多結晶化が生じるため、得られる膜の性能が低下しやすかった。また、有機半導体材料が高分子材料の場合、熱分解等によって得られる膜の性能が低下しやすかった。
一方、グラビア印刷、オフセット印刷等の有版印刷法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法等の塗布法により有機半導体材料等の有機電子材料の薄膜を基板上に形成する場合は、真空蒸着に比して有機半導体を安価に容易に塗布することが可能である。しかしながら、均一な膜が得にくいという問題がある。
塗布法により有機半導体材料等の均一な薄膜を形成するため、例えば、特許文献1では有機半導体材料をトルエンとm-ジクロロベンゼンを組み合わせた混合溶媒に溶解した有機半導体溶液を使用し、塗布により有機半導体薄膜及び素子を形成することが開示されている。
特許文献2では、チオフェン環を含む構造単位を繰り返し単位とする有機半導体材料とシスヒドリンダン等の溶媒とを含む有機半導体組成物が開示されている。
特許文献3ではナフタレン環とチオフェン環を有する縮合多環有機半導体材料を開示し、その中で有機半導体膜の製造方法として単一溶媒又は混合溶媒を用いたウェット法でも製造可能であることを開示している。
特許文献4では有機半導体材料の前駆体溶液を含有するインクを用いて部材を作製した後、前駆体を熱分解することによって有機半導体材料膜を形成する技術が開示されている。
国際公開第WO2008/132878号 特開2008−192669号公報 特開2009−267134号公報 特開2012−23334号公報
有機半導体溶液を塗布法によって塗布して有機半導体薄膜を形成し、有機TFTを製造する場合、十分な素子性能を発揮する有機半導体薄膜を形成するには、適切な濃度で有機半導体材料を溶解させる必要がある。
有機半導体材料には、芳香族環を有する材料が多く用いられている。特に、縮合多環芳香族構造を有する材料が高い有機薄膜トランジスタ性能を発揮することが知られている。
しかしながら、高い素子性能を発揮しうる特性を有する有機半導体材料は、単一の溶媒への溶解性が低い材料が多く、特に、複素芳香族環とベンゼン環を有して5環以上からなる縮合環を有する有機半導体材料では、その傾向が強いという課題があった。
本発明の目的は、複素芳香族環とベンゼン環を有し、5環以上からなる縮合環を有する有機半導体材料を含有し、有機半導体膜の形成に適した有機半導体溶液を提供することである。
本発明の一態様によれば、複素芳香族環とベンゼン環を有し、かつ、5環以上の縮合環構造を有する有機半導体材料と、脂肪族基置換芳香族系溶媒(A)と、N,N置換アミド系溶媒(B)と、を含む有機半導体溶液が提供される。
本発明によれば、複素芳香族環とベンゼン環を有し、5環以上からなる縮合環を有する有機半導体材料を含有し、有機半導体膜の形成に適した有機半導体溶液を提供できる。
有機薄膜トランジスタの素子構成の一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの素子構成の一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの素子構成の一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの素子構成の一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの素子構成の一例を示す図である。 有機薄膜トランジスタの素子構成の一例を示す図である。
[有機半導体溶液]
本発明の一態様である、有機半導体溶液は、複素芳香族環とベンゼン環を有し、かつ、5環以上の縮合環構造を有する有機半導体材料と、脂肪族基置換芳香族系溶媒(A)と、N,N置換アミド系溶媒(B)とを、必須の成分として含むことを特徴とする。
本発明の有機半導体溶液は、上記の有機半導体材料に対して、特定の部分構造を有する2種類の溶媒(A)及び(B)を組み合わせて用いることで、十分な濃度で有機半導体材料を溶解させることができる。
有機半導体材料は、炭化水素芳香族環が縮合した部分構造を有するものが多く、その極性は低いものが多い。よって、溶媒としては同様の構造を有する低極性芳香族溶媒が主たる溶媒として好ましい。
しかし、有機半導体材料が複素芳香族環と炭化水素芳香族環が縮合した部分構造を有する場合、複素芳香族環の部分はやや極性が高くなり、低極性の芳香族溶媒のみでは溶解力が不十分となる。このように、部分的に高極性な溶質を溶解させる場合、アルコール系溶媒やエステル系溶媒等の高極性の溶媒を副溶媒として添加する技術が一般に知られている。
ところが、複素芳香族環と炭化水素芳香族環が縮合した部分構造を有する有機半導体材料においては、アルコール系溶媒やエステル系溶媒を添加してもその溶解性は向上せず、むしろ低下する場合が多い。本発明は、脂肪族基置換芳香族系溶媒(A)にN,N置換アミド系溶媒(B)を添加した場合に、上記の有機半導体材料の溶解性が向上することを見出したものである。
以下、本発明の有機半導体溶液の各成分について説明する。
1.有機半導体材料
有機半導体材料としては、複素芳香族環(例えばフラン、チオフェン)とベンゼン環を有し、5環以上からなる縮合環構造を有する有機半導体材料を使用する。また、前記5環以上の縮合環を複数含む、オリゴマー、ポリマー有機半導体材料を使用することもできる。尚、縮合環構造部分の環数の上限は特にないが、例えば、10環以下である。
複素芳香族環が、硫黄原子又は酸素原子を含むものが好ましく、特に、縮合環化合物が、ジベンゾチオフェン骨格又はジベンゾフラン骨格を有することが好ましい。
複素芳香族環とベンゼン環を有する5環以上の縮合環部分を例示する。
Figure 2014170857
上記の構造は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルケニル基、炭素数1〜30のハロアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のハロアルコキシ基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数1〜30のハロアルキルチオ基、炭素数1〜30のアルキルアミノ基、炭素数2〜60のジアルキルアミノ基(アルキル基は互いに結合して窒素原子を含む環構造を形成してもよい)、炭素数1〜30のアルキルスルホニル基、炭素数1〜30のハロアルキルスルホニル基、炭素数3〜60のアリール基、炭素数3〜20のアルキルシリル基、炭素数5〜60のアルキルシリルエチニル基、炭素数3〜60のアリールアミノ基、炭素数6〜120のジアリールアミノ基又はシアノ基であり、これら各基は置換基を有していてもよい。
なかでも、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルケニル基が好ましい。
有機半導体材料の具体例を以下に示す。
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
Figure 2014170857
上記の有機半導体材料については、例えば、WO2012/090462、特開2009−267140、WO2011/074232を参照できる。
有機半導体材料の質量割合は、成膜法にもよるが、好ましくは本発明の有機半導体溶液全体の0.05〜2%であり、0.05〜1.0%であることがさらに好ましく、特に、0.08〜0.8%であることが好ましい。
2.溶媒(A)
溶媒(A)である脂肪族基置換芳香族系溶媒は、有機半導体溶液の主たる溶媒である。置換基である脂肪族基については特に制限はなく、例えば、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基等が挙げられる。また、芳香族環の一辺を共有する脂肪環でもよい。脂肪族基の炭素数の合計は6以下が好ましい。
脂肪族基置換芳香族系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、インデン、インダン、テトラリン、1−メチルナフタレンが挙げられ、好ましくはメシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリンが挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
脂肪族基置換芳香族系溶媒の質量割合は、好ましくは有機半導体溶液全体の55〜95%であり、より好ましくは60〜90%である。
55〜95%であれば、溶媒(B)との調和がよく、有機半導体材料の溶解性が向上しやすい。
3.溶媒(B)
溶媒(B)のN,N置換アミド系溶媒は、有機半導体溶液の副溶媒である。尚、一方の窒素上の置換基が一分子内の他の部位と結合して環構造を形成してもよい。
置換基については特に制限はないが、少なくとも一方の窒素上の置換基の水素原子を除いた元素数の合計は3以下が好ましい。3以下であれば、有機半導体材料への溶媒和が容易であり、有機半導体材料の溶解性が向上する。
溶媒(B)としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、N−メチルカプロラクタム等が挙げられ、好ましくはN,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドンである。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒(B)の質量割合は、好ましくは有機半導体溶液全体の3〜43%であり、より好ましくは10〜40%である。質量割合が3〜43%であれば、溶媒(A)との調和がよく、有機半導体材料の溶解性が向上しやすい。
4.溶媒(C)
有機半導体材料を塗布した有機薄膜トランジスタを製造しようとする場合、有機半導体溶液の液物性を使用する印刷(塗布)法に応じて調整する必要がある。液物性を調整するための方法は各種公知であるが、添加物を用いる場合、添加物が有機薄膜トランジスタ内に残留すると、素子特性や素子の保存安定性に悪影響を及ぼすおそれがあるため十分な量を添加できない場合がある。従って、できる限り乾燥時に上記溶媒(A)及び溶媒(B)ととともに蒸発する第3の溶媒(溶媒(C))を用いることによって、有機半導体溶液の調製時に液物性を調整することが望ましい。
溶媒(C)は、溶媒(A)及び溶媒(B)の効果を損なわない範囲であれば特に制限はないが、脂肪族系溶剤が好ましい。その理由は、有機半導体材料はこれまでに述べた縮合環部分の他に炭化水素鎖を有するものが多く、脂肪族系溶剤は炭化水素鎖部分との親和性が高いためである。
溶媒(C)として使用可能な溶媒としては、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビシクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ドデセン等が挙げられ、好ましくはビシクロヘキシル、デカヒドロナフタレンが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒(C)の質量割合は、好ましくは有機半導体溶液全体の1〜20%であり、より好ましくは5〜15%である。
本発明の有機半導体溶液は、有機半導体インク等として好適に使用できる。
[有機半導体インク]
本発明の他の態様に係る有機半導体インクは、上述した本発明の有機半導体溶液と、樹脂材料とを含み、有機半導体材料と樹脂材料との質量比(有機半導体材料:樹脂材料)が95:5〜25:75である。
樹脂材料としては、例えば、公知のバインダー樹脂が使用できる。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリαメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ナイロン、ポリイミド、環状オレフィン・コポリマー、エポキシポリマー、セルロース、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、生分解性プラスチック、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及び各種ポリマーを組み合わせたコポリマー等が用いられる。特に、10000以下の質量平均分子量のポリスチレンを用いる事が好ましい。
また、これら絶縁性の樹脂に限らず、有機半導体高分子や導電性高分子を用いても良い。
有機半導体材料と樹脂材料との質量比(有機半導体材料:樹脂材料)は95:5〜25:75である。この範囲であれば、有機半導体材料が有機TFTのチャネル部分に電気的に連続した状態で存在し、かつ、樹脂材料による膜強度の向上効果が得られ、電気的性能と物理的強度に優れる有機TFTとなる。好ましくは、80:20〜30:70であり、特に好ましくは、70:30〜35:65である。
有機半導体インクは、使用する印刷法に合わせて液物性を調整するために、溶媒(A)、溶媒(B)、有機半導体材料、及び樹脂材料、必要により溶媒(C)の他に、界面活性剤、レオロジーコントロール剤等を本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
界面活性剤としては、脂肪酸等が挙げられる。
レオロジーコントロール剤としては、無機微粒子等が挙げられる。
界面活性剤を配合する場合、界面活性剤の濃度は全体の0.01〜0.2質量%であることが好ましく、特に、0.03〜0.1質量%であることが好ましい。
レオロジーコントロール剤を配合する場合、レオロジーコントロール剤の濃度は全体の0.01〜3質量%であることが好ましく、特に、0.05〜2質量%であることが好ましい。
本発明の有機半導体インクは、有機半導体材料、溶媒(A)、溶媒(B)、樹脂材料、及び任意に溶媒(C)、界面活性剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤の少なくとも1つから実質的になっていてもよく、また、これらの成分のみからなっていてもよい。「実質的になる」とは、上記インクが、主に有機半導体材料、溶媒(A)、溶媒(B)、樹脂材料、及び任意に溶媒(C)からなること、例えば、これら成分が原料全体に対し、95質量%以上、又は98質量%以上であることを意味する。これに、上記の添加剤をさらに含んでいてもよい。
有機半導体インクの表面張力は、29〜40mN/mであることが好ましい。この範囲であれば、均一性の高い有機半導体インクの塗膜を基材上に形成することが容易となる。より好ましくは、32〜38mN/mである。
尚、表面張力は、懸滴法で測定した値である。
[有機半導体膜]
本発明の他の態様に係る有機半導体膜は、上述した本発明の他の態様である有機半導体溶液もしくは有機半導体インクを印刷(塗布)乾燥することにより形成できる。
塗布法としては、グラビア印刷、オフセット印刷等の有版印刷法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法等が適用できる。
本発明の有機半導体インクは、吐出性能及び薄膜形成性能に優れるため、インクジェット印刷に好適に用いることができる。上記組成物をインクジェット印刷装置にて塗布することにより、例えば、有機半導体層のチャネル部に、移動度の向上に有効な平板状の有機半導体結晶を形成することができる。
[有機薄膜トランジスタ]
本発明の他の態様に係る有機薄膜トランジスタは、上述した本発明の他の態様である有機半導体膜を有する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態である有機薄膜トランジスタの素子構成の例を示す図である。いずれも有機半導体膜は有機半導体層としてチャネル部に使用されている。
図1の有機薄膜トランジスタ1は、基板10上に、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極11及びドレイン電極12を有する。そして、ソース電極11、ドレイン電極12及びそれらの間の間隙を覆うように有機半導体層13が形成され、さらに、絶縁体層14が積層されている。絶縁体層14の上部であって、かつソース電極11及びドレイン電極12の間の間隙上にゲート電極15が形成されている。
有機薄膜トランジスタ1において、チャネル部は図中13aで示す領域である。
図2の有機薄膜トランジスタ2は、基板10上に、ゲート電極15及び絶縁体層14をこの順に有し、絶縁体層14上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極11及びドレイン電極12を有し、その上に有機半導体層13が形成される。有機半導体層13の領域13aがチャネル部を成しており、ゲート電極15に印加される電圧でソース電極11とドレイン電極12の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
図3の有機薄膜トランジスタ3は、基板10上に、ゲート電極15、絶縁体層14及び有機半導体層13をこの順に有し、有機半導体層13上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極11及びドレイン電極12を有する。有機半導体層13の領域13aがチャネル部である。
図4の有機薄膜トランジスタ4は、基板10上に有機半導体層13を有し、有機半導体層13上に、所定の間隔をあけて形成された一対のソース電極11及びドレイン電極12を有する。そして、さらに絶縁体層14及びゲート電極15をこの順に有している。有機半導体層13の領域13aがチャネル部である。
有機薄膜トランジスタは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)構造を有している。上述したとおり、電極の位置、層の積層順等によりいくつかの構成がある。有機薄膜トランジスタは、有機半導体層(有機化合物層)と、相互に所定の間隔をあけて対向するように形成されたソース電極及びドレイン電極と、ソース電極、ドレイン電極からそれぞれ所定の距離をあけて形成されたゲート電極とを有し、ゲート電極に電圧を印加することによってソース−ドレイン電極間に流れる電流を制御する。ここで、ソース電極とドレイン電極の間隔は本発明の有機薄膜トランジスタを用いる用途によって決定され、通常は0.1μm〜1mm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは5μm〜100μm、さらに好ましくは2μm〜60μmである。
尚、有機薄膜トランジスタは、上記有機薄膜トランジスタ1〜4の素子構成以外にも、有機薄膜トランジスタとして種々の構成が提案されている。ゲート電極に印加される電圧でソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作や増幅等の効果が発現する仕組みであればこれらの素子構成に限定されるものではない。
例えば、産業技術総合研究所の吉田らにより第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集27a−M−3(2002年3月)において提案されたトップアンドボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ(図5参照)や、千葉大学の工藤らにより電気学会論文誌118−A(1998)1440頁において提案された縦形の有機薄膜トランジスタ(図6参照)のような素子構成を有するものであってもよい。
本発明の有機薄膜トランジスタは、上述した有機半導体層を有していればよく、電極等の他の構成部については、公知のものを適用できる。
以下、有機薄膜トランジスタの構成部材の例について説明する。
(有機半導体層)
有機半導体層の膜厚は、特に制限されることはないが、通常、0.5nm〜1μmであり、2nm〜250nmであると好ましい。ここで、有機半導体層の膜厚とは、有機薄膜トランジスタのチャネル部における平均厚さのことである。
チャネル部分を形成する有機半導体層は、例えば、上述した本発明の有機半導体溶液又は有機半導体インクをチャネル部となる位置に付着させる工程と、その付着させた溶液又はインクから溶媒を除去する工程を有する成膜法により形成できる。インクジェット法を用いて有機半導体溶液又は有機半導体インクをチャネル部となる位置に付着させることが好ましい。
有機半導体層の結晶性を向上させると電界効果移動度が向上するため、成膜後にアニーリングを実施すると高性能デバイスが得られるため好ましい。アニーリングの温度は50〜200℃が好ましく、70〜200℃であるとさらに好ましく、時間は10分〜12時間が好ましく、1時間〜10時間がより好ましく、30分〜10時間であるとさらに好ましい。
(基板)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける基板は、有機薄膜トランジスタの構造を支持する役目を担うものであり、材料としてはガラスの他、金属酸化物や窒化物等の無機化合物、プラスチックフィルム(PET,PES,PC)や金属基板又はこれら複合体や積層体等も用いることが可能である。また、基板以外の構成要素により有機薄膜トランジスタの構造を十分に支持し得る場合には、基板を使用しないことも可能である。また、基板の材料としてはシリコン(Si)ウエハが用いられることもある。この場合、Si自体をゲート電極兼基板として用いることができる。また、Siの表面を酸化し、SiOを形成して絶縁層として活用することも可能である。この場合、基板兼ゲート電極のSi基板にリード線接続用の電極として、Au等の金属層を成膜することもある。
(電極)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料は、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等を用いることができる。
電極の形成方法としては、例えば、蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、大気圧プラズマ法、イオンプレーティング、化学気相蒸着、電着、無電解メッキ、スピンコーティング、印刷又はインクジェット等の手段が挙げられる。また、必要に応じてパターニングする方法としては、上記の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法等がある。
このようにして形成された電極の膜厚は電流の導通さえあれば特に制限はないが、好ましくは0.2nm〜10μm、さらに好ましくは4nm〜300nmの範囲である。この好ましい範囲内であれば、膜厚が薄すぎることにより抵抗が高くなり電圧降下を生じることがない。また、厚すぎないため膜形成に時間がかからず、保護層や有機半導体層等他の層を積層する場合に、段差が生じることが無く積層膜が円滑にできる。
本発明の有機薄膜トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極は、上記の導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、分散液等の流動性電極材料を用いて形成することができる。特に、導電性ポリマー、又は白金、金、銀、銅を含有する金属微粒子を含む流動性電極材料が好ましい。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60質量%以上、好ましくは90質量%以上含有する溶媒又は分散媒体であることが好ましい。金属微粒子を含有する分散物としては、例えば、公知の導電性ペースト等を用いてもよいが、通常粒子径が0.5nm〜50nm、1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物であると好ましい。この金属微粒子の材料としては、例えば、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。これらの金属微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。このような金属微粒子の分散物の製造方法としては、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法等の物理的生成法や、コロイド法、共沈法等の、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられ、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報等に記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
これらの金属微粒子分散物を用いて直接インクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。また凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。前記電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100℃〜300℃、好ましくは150℃〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成できる。
さらに、別のゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の材料として、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン(ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。これらの材料によりソース電極とドレイン電極の有機半導体層との接触抵抗を低減することができる。これらの形成方法もインクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。また凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタでは、例えば、注入効率を向上させる目的で、有機半導体層とソース電極及びドレイン電極との間に、バッファ層を設けてもよい。バッファ層としてはn型有機薄膜トランジスタに対しては有機ELの陰極に用いられるLiF、LiO、CsF、NaCO、KCl、MgF、CaCO等のアルカリ金属、アルカリ土類金属イオン結合を持つ化合物が望ましい。また、Alq等、有機EL素子で電子注入層、電子輸送層として用いられる化合物を挿入してもよい。
p型有機薄膜トランジスタに対してはFeCl、TCNQ、F4−TCNQ、HAT等のシアノ化合物、CFxやGeO、SiO、MoO、V、VO、V、MnO、Mn、ZrO、WO、TiO、In、ZnO、NiO、HfO、Ta、ReO、PbO等のアルカリ金属、アルカリ土類金属以外の金属酸化物、ZnS、ZnSe等の無機化合物が望ましい。これらの酸化物は多くの場合、酸素欠損を起こし、これが正孔注入に好適である。さらにはTPDやNPD等のアミン系化合物やCuPc等有機EL素子において正孔注入層、正孔輸送層として用いられる化合物でもよい。また、上記の化合物二種類以上からなるものが望ましい。
バッファ層は電極と有機半導体層との間に薄く存在すればよく、その厚みは0.1nm〜30nm、好ましくは0.3nm〜20nmである。
(絶縁体層)
本発明の有機薄膜トランジスタにおける絶縁体層の材料としては、電気絶縁性を有し薄膜として形成できるものであるのなら特に限定されず、金属酸化物(珪素の酸化物を含む)、金属窒化物(珪素の窒化物を含む)、高分子、有機低分子等室温での電気抵抗率が10Ωcm以上の材料を用いることができ、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。
無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、ランタン酸化物、フッ素酸化物、マグネシウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸ビスマス、ニオブ酸化物,チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、五酸化タンタル、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム及びこれらを組合せたもの等が挙げられ、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンが好ましい。
また、窒化ケイ素(Si、SixNy(x、y>0))、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
さらに、絶縁体層は、アルコキシド金属を含む前駆物質で形成されていてもよく、この前駆物質の溶液を、例えば基板に被覆し、これを熱処理を含む化学溶液処理をすることにより絶縁体層が形成される。
前記アルコキシド金属における金属としては、例えば、遷移金属、ランタノイド、又は主族元素から選択され、具体的には、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、タンタル(Ta)、ジルコン(Zr)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉛(Pb)、ランタン(La)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)等が挙げられる。また、前記アルコキシド金属におけるアルコキシドとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等を含むアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、ペントキシエタノール、ヘプトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール、ブトキシプロパノール、ペントキシプロパノール、ヘプトキシプロパノールを含むアルコキシアルコール類等から誘導されるものが挙げられる。
本発明において、絶縁体層を上記したような材料で構成すると、絶縁体層中に分極が発生しやすくなり、トランジスタ動作のしきい電圧を低減することができる。また、上記材料の中でも、特に、Si、SixNy、SiONx(x、y>0)等の窒化ケイ素で絶縁体層を形成すると、空乏層がいっそう発生しやすくなり、トランジスタ動作のしきい電圧をさらに低減させることができる。
有機化合物を用いた絶縁体層としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリシロキサン、ポリウレタン、ノボラック樹脂、メラミン樹脂、及びシアノエチルプルラン、等を用いることもできる。特に、光硬化性アクリレートが好ましい。
その他、ワックス、ポリエチレン、ポリクロロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル酸)、レゾール樹脂、ポリキシリレン、エポキシ樹脂に加え、プルラン等の高い誘電率を持つ高分子材料を使用することも可能である。
また有機材料は、サイトップ(登録商標)のようなフッ素樹脂であってもよい。
また、図1及び図4に示すようなトップゲート構造を用いるときに、ポリパラキシリレン誘導体やフッ素樹脂のような有機化合物を絶縁体層の材料として用いると、有機半導体層に与えるダメージを小さくして成膜することができるため有効な方法である。
前記絶縁体層は、前述したような無機又は有機化合物材料を複数用いた混合層であってもよく、これらの積層構造体であってもよい。この場合、必要に応じて誘電率の高い材料と撥水性を有する材料を混合したり、積層することによりデバイスの性能を制御することもできる。
また、前記絶縁体層は、陽極酸化膜、又は該陽極酸化膜を構成として含んでもよい。陽極酸化膜は封孔処理されることが好ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸又はそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/cm、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/cmで20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
絶縁体層の厚さとしては、層の厚さが薄いと有機半導体に印加される実効電圧が大きくなるので、デバイス自体の駆動電圧、閾電圧を下げることができるが、逆にソース−ゲート間のリーク電流が大きくなるので、適切な膜厚を選ぶ必要があり、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜2μm、さらに好ましくは100nm〜1μmである。
また、前記絶縁体層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。その好ましい例としては、絶縁体層表面に撥水化処理等を施し絶縁体層と有機半導体層との相互作用を低減させ有機半導体層の結晶性を向上させる方法であり、具体的には、シランカップリング剤、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸等の自己組織化配向膜材料を、液相又は気相状態で、絶縁膜表面に接触させ自己組織化膜を形成後、適度に乾燥処理を施す方法が挙げられる。また、液晶の配向に用いられるように、絶縁膜表面にポリイミド等で構成された膜を設置し、その表面をラビング処理する方法も好ましい。
前記絶縁体層の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報に記載の大気圧プラズマ法等のドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布による方法、印刷やインクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤又は水に必要に応じて界面活性剤等の分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
本発明の有機薄膜トランジスタの形成方法としては、特に限定されず公知の方法によればよい。好ましくは有機半導体層成膜以後の工程は大気に全く触れさせない工程とする。また、p型TFT材料の中には一旦大気にふれさせ、酸素等を吸着させることにより性能が向上するものもあるので、材料によっては適宜大気にふれさせる。
さらに、例えば、大気中に含まれる酸素、水等の有機半導体層に対する影響を考慮し、有機トランジスタ素子の外周面の全面又は一部に、ガスバリア層を形成してもよい。ガスバリア層を形成する材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフロロエチレン等が挙げられる。さらに、前記絶縁体層で例示した、絶縁性を有する無機物も使用できる。
本発明の有機薄膜トランジスタを用いた装置とは、本発明の有機薄膜トランジスタを用いる装置であればよく、例えば、回路、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、携帯電話、薄膜ディスプレイに用いる電子デバイス等の表示用電子機器、プラスチックICカードや情報タグ等のウエアラブル電子機器、バイオセンサ等の医療機器や測定装置等である。
[有機半導体溶液の調製]
実施例1
WO2012/090462を参考に合成した、下記式(1)で表わされる有機半導体材料1mgを秤量し、そこに溶媒(A)としてメシチレン800mg、溶媒(B)としてN−メチルピロリドン199mgを添加して50℃に加熱して有機半導体材料を溶解させ有機半導体溶液を調製した。
Figure 2014170857
調製後、5℃に20時間冷却してから室温(23℃)で10日間保管した後の析出物の有無を目視で観察することで溶液の安定性を評価した。その結果、析出物は見られず、有機半導体材料が安定に溶解していることを確認した。結果を表1に示す。尚、安定性評価の結果、析出物が観察されなかった場合を○とした。
実施例2〜8、比較例1〜3
表1に示す溶媒を用いた他は、実施例1と同様にして有機半導体溶液を調製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2014170857
比較例1及び2では、加熱直後には溶解していた有機半導体材料の一部が液中に針状結晶として析出し、比較例3では、加熱時においてもすべての有機半導体材料を溶解させることができず、意図した濃度の有機半導体溶液は得られなかった。
実施例9〜14、比較例4
表2に示すように、有機半導体材料(下記式(2)、(3)又は(4))、及び溶媒を使用し、混合した他は、実施例1と同様にして有機半導体溶液を調製し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 2014170857
Figure 2014170857
[有機半導体インクの調製]
実施例15
実施例1と同じ上記式(1)で表される有機半導体材料2mgをテトラリン1700mgとN−メチルピロリドン293mgからなる混合溶媒に溶解させ有機半導体溶液を調製した。さらにポリスチレン樹脂(質量平均分子量2,500)5mgを添加、溶解させて有機半導体インクを調製した。有機半導体インクの25℃における粘度は2.8mPa・s、表面張力は35.8mN/mであった。
尚、粘度の測定は、(株)エー・アンド・デイ製SV−1A型粘度計(商品名)(振動式粘度計)を用いて行い、表面張力の測定は、協和界面科学(株)製DropMaster DM700(商品名)(表面張力計)を用いて行った。
[有機薄膜トランジスタの製造及び評価]
実施例16
実施例15にて調製した有機半導体インクを用いて、有機薄膜トランジスタを製造した。
(1)ゲート電極の作製
ガラス基板を、イソプロピルアルコール、純水、イソプロピルアルコールの順に各5分超音波洗浄した後、スパッタ法にてクロムを50nmの厚さで成膜し、ゲート電極を作製した。次いで、この基板をイソプロピルアルコールで10分超音波洗浄した後に乾燥窒素ガスを吹き付け乾燥した。
(2)ゲート絶縁膜の作製
下記式(5)で表されるトリシクロデカンジメタノールジアクリレート0.6g、重合開始剤であるベンゾインイソブチルエーテルを0.06g、溶媒として1−メトキシ―2―アセトキシプロパンを2g混合させ、絶縁材料(膜)形成用組成物を得た。
Figure 2014170857
絶縁膜形成用組成物を0.2ミクロンのPTFEメンブレンフィルターによりろ過した後、窒素雰囲気中で上記基板上に滴下し、500rpmで3秒間のプレスピンコートの後に、3000rpmで30秒間スピンコートした。その後、365nmの紫外光に暴露し架橋させることで膜厚500nmのゲート絶縁体層を形成した。
(3)ソースドレイン電極の作製
真空蒸着装置で金属マスクを通して、絶縁層上に金を50nmの膜厚で成膜することにより、互いに接しないソース電極及びドレイン電極を、間隔(チャンネル長L)が50μmになるように形成した。このときソース電極とドレイン電極の幅(チャンネル幅W)は500μmとなるように成膜した。
そして、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンチオール0.0274mlと、イソプロピルアルコール200mlとを混合しガラス容器に入れ、先ほどの基板を10分間浸漬させることで金電極上にチオール処理を行った。
(4)有機薄膜トランジスタの作製及び評価
ソース電極及びドレイン電極を形成した基板の上に、実施例15にて調製した有機半導体インクを用いて、インクジェット装置(FUJIFILM社:Dimatix DMP−2831、1滴容量10pl)を用いてインクジェット技術で540plの液滴を滴下し大気下100℃で30分乾燥させ有機半導体層を形成し、有機薄膜トランジスタを作製した。
得られた有機薄膜トランジスタのゲート電極に0〜−30Vのゲート電圧を印加し、ソース−ドレイン間に−30Vの電圧を印加して電流を流し、閾値電圧(Vth)及び電界効果移動度μを評価した。各電圧の印加及びソース−ドレイン電極間電流の測定は、半導体特性評価システム(ケースレーインスツルメンツ(株)製 4200SCS)を用いて行った。
この場合、正孔が有機半導体層のチャンネル領域(ソース−ドレイン間)に誘起され、p型トランジスタとして動作した。電流飽和領域での正孔の電界効果移動度μを下記式(A)より算出した。
ID=(W/2L)・Cμ・(VG−VT)2 (A)
(式中、IDはソース−ドレイン間電流、Wはチャンネル幅、Lはチャンネル長、Cはゲート絶縁体層の単位面積あたりの電気容量、VTはゲート閾値電圧、VGはゲート電圧である。)
その結果、電流飽和領域での閾値電圧は−1.0V、電界効果移動度μは1.6cm/Vsであった。
脂肪族基置換芳香族系溶媒(A)とN,N置換アミド系溶媒(B)とを組み合わせることによって、複素芳香族環とベンゼン環を有して5環以上からなる縮合環を有する有機半導体材料の溶液を安定して調製でき、その溶液をもとに調製したインクを用いることによって、高性能な有機薄膜トランジスタを製造することができる。
1〜6 有機薄膜トランジスタ
10 基板
11 ソース電極
12 ドレイン電極
13 有機半導体層
13a チャネル部
14 絶縁体層
15 ゲート電極

Claims (12)

  1. 複素芳香族環とベンゼン環を有し、かつ、5環以上の縮合環構造を有する有機半導体材料と、
    脂肪族基置換芳香族系溶媒(A)と、
    N,N置換アミド系溶媒(B)と、を含む有機半導体溶液。
  2. 前記有機半導体材料の質量割合が0.05〜2%であり、前記溶媒(A)の質量割合が55〜95%であり、前記溶媒(B)の質量割合が3〜43%である、請求項1に記載の有機半導体溶液。
  3. さらに、脂肪族炭化水素系溶媒(C)を1〜20質量%含む請求項1又は2に記載の有機半導体溶液。
  4. 前記複素芳香族環が、硫黄原子又は酸素原子を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の有機半導体溶液。
  5. 前記縮合環化合物が、ジベンゾチオフェン骨格又はジベンゾフラン骨格を有する請求項1〜4のいずれかに記載の有機半導体溶液。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の有機半導体溶液と、樹脂材料と、を含み、
    有機半導体材料と樹脂材料との質量比(有機半導体材料:樹脂材料)が95:5〜25:75である、有機半導体インク。
  7. 表面張力が29〜40mN/mである、請求項6に記載の有機半導体インク。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の前記有機半導体溶液又は前記有機半導体インクをチャネル部となる位置に付着させる工程と、
    前記付着させた前記有機半導体溶液又は前記有機半導体インクから溶媒を除去し、有機半導体薄膜を形成する工程を有する有機薄膜トランジスタの製造方法。
  9. インクジェット法を用いて前記有機半導体溶液又は前記有機半導体インクをチャネル部となる位置に付着させる、請求項8に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の有機半導体溶液又は有機半導体インクを成膜してなる有機半導体膜。
  11. 請求項10に記載の有機半導体膜を有する有機薄膜トランジスタ。
  12. 請求項11に記載の有機薄膜トランジスタを有する電子機器。
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