本発明の詳細な説明
詳細に本発明を説明する前に、次の用語を規定するのがその理解に役立つかもしれない:
本明細書中に使用されるとき、用語「抗体」には、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、及び抗原結合フラグメント、例えば、F(ab’)2及びFabタンパク質分解フラグメントなどが含まれる。遺伝子操作された完全な抗体又はフラグメント、例えば、キメラ抗体、Fvフラグメント、一本鎖抗体等、並びに合成抗原結合ペプチド、及びポリペプチドなどもまた、含まれる。非ヒト抗体は、ヒト・フレームワークと定常領域上に非ヒトCDRsをグラフトするか、又は非ヒト可変ドメイン全体を組み込む(場合により、露出した残基の置き換えによってヒト様表面でそれらを「覆う(cloaking)」、ここで、得られるものが「ベニヤ(veneered)」抗体である)ことによって、ヒト化されるかもしれない。場合によっては、ヒト化抗体は、特有の結合特徴を高めるようにヒト可変領域フレームワーク・ドメイン内に非ヒト残基を保有するかもしれない。抗体をヒト化することで、生物学的半減期は延長されるかもしれず、且つ、ヒトへの投与の際の不利な免疫反応の可能性が低減される。
用語「単独又は複数のキメラ抗体」は、異なる種に属す免疫グロブリン可変及び定常領域の遺伝子から、通常、遺伝子工学によって、その軽鎖と重鎖の遺伝子が構築された抗体を指す。例えば、マウス・モノクローナル抗体からの可変部分の遺伝子が、ヒト定常部分、例えば、γ1やγ3などに接合されるかもしれない。これにより、代表的な治療用キメラ抗体は、マウス抗体からの可変又は抗原結合ドメインと、ヒト抗体からの定常ドメインで構成されたハイブリッド・タンパク質であるか、あるいは、他の哺乳動物種が使用されるかもしれない。
本明細書中に使用されるとき、用語「免疫グロブリン」は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドから成るタンパク質を指す。免疫グロブリンの1つの形態が、抗体の基本的な構造単位を構成する。この形態は、四量体であり、そして、2つの同一の免疫グロブリン鎖の組から成り、各組には1本の軽鎖と1本の重鎖がある。各組では、軽鎖と重鎖の可変領域が、抗原への結合に共に関与し、そして、定常領域が、抗体エフェクター機能に関与する。
完全長の免疫グロブリン「軽鎖」(約25Kd又は214個のアミノ酸)は、NH2末端の可変領域遺伝子(約110個のアミノ酸)と、COOH末端のκ又はλ定常領域遺伝子によってコードされる。完全長の免疫グロブリン「重鎖」(約50Kd又は446個のアミノ酸)は、可変領域遺伝子(約116個のアミノ酸)と、他の前述の定常領域遺伝子(約330個のアミノ酸)のうちの1つによって同様にコードされる。重鎖は、γ、μ、α、δ、又はεに分類され、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEと抗体のアイソタイプを規定する。軽鎖と重鎖の中では、可変領域と定常領域は、約12個以上のアミノ酸から成る「J」領域によって繋ぎ合わせられていて、また、重鎖も約10個のさらなるアミノ酸からなる「D」領域を含んでいる(一般に、Fundamental Immunology (Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y., 1989)、Ch. 7(あらゆる目的で、その全体を本明細書中に援用する))。
免疫グロブリンの軽鎖又は重鎖可変領域は、3ヵ所の超可変領域によって中断される「フレームワーク」領域から成る。これにより、用語「超可変領域」は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含んで成る(すなわち、軽鎖可変ドメイン内の第24〜34残基(L1)、第50〜56残基(L2)、及び第89〜97残基(L3)、並びに重鎖可変ドメイン内の第31〜35残基(H1)、第50〜65残基(H2)、及び第95〜102残基(H3)(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))、及び/又は「超可変ループ」からのそれらの残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン内の第26〜32残基(L1)、第50〜52残基(L2)、及び第91〜96残基(L3)、並びに重鎖可変ドメイン内の第26〜32残基(H1)、第53〜55残基(H2)、及び第96〜101残基(H3);Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196: 901-917)(その両方をを本明細書中に援用する)。「フレームワーク領域」又は「FR」残基は、本明細書中に規定される超可変領域残基以外のそれらの可変ドメイン残基である。異なる軽鎖又は重鎖のフレームワーク領域の配列は、種の中で比較的に保存されている。これにより、「ヒト・フレームワーク領域」は、天然に存在するヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域と実質的に同一(約85%以上、通例90〜95%以上)のフレームワーク領域である。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成要素である軽鎖と重鎖の組み合わせられたフレームワーク領域は、CDR’sの位置合わせや、整列に役立つ。CDR’sは、主として抗原のエピトープへの結合に関与する。
従って、用語「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒト・フレームワーク領域と、非ヒト(通常マウス又はラット)免疫グロブリンからの1つ以上のCDR’sを含んで成る免疫グロブリンを指す。CDR’sを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプタ」と呼ばれる。定常領域は提供される必要はないが、存在するならばそれらが、ヒト免疫グロブリン定常領域に実質的に同一、すなわち、少なくとも約85〜90%、好ましくは約95%以上同一でなければならない。したがって、もしかするとCDR’sを除いた、ヒト化免疫グロブリンのすべての部分が、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖、及びヒト化重鎖免疫グロブリンを含んで成る抗体である。例えば、ヒト化抗体は、先に規定される代表的なキメラ抗体を網羅しないだろう、例えば、キメラ抗体の可変領域全体が非ヒトであるため。
用語「遺伝子操作された抗体」は、アミノ酸配列が天然の抗体のものから変えられた抗体を意味する。抗体の創出の際の組み換えDNA技術に関連するため、当業者は天然の抗体に見られるアミノ酸の配列に制限される必要はない;抗体は所望の特徴を得るために再設計されてもよい。可能な変形形態は、たくさんのものであり、例えば、可変又は定常領域のたった1つ又はいくつかのアミノ酸の変化から完全な再設計までに及ぶ。定常領域の変更は、通例、例えば、補体結合、膜との相互作用、及び他のエフェクター機能などの特徴を改善するか、又は変更するために行われるだろう。可変領域の変更は、抗原結合特徴を改善するために行われるだろう。
抗体に加えて、免疫グロブリンは、例えば、一本鎖、又はFv、Fab、及び(Fab’)2、並びに(先に記載の、そして、Lanzavecchia et al., Eur. J. Immunol. 17, 105 (1987)に詳細に記載されるような)二重特異性抗体、直鎖抗体(linear antibodies)、多価性又は多特異的ハイブリッド抗体などを含めた他のさまざまな形態で、そして、一本鎖(例えば、Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 5879-5883 (1988)、及びBird et al., Science, 242, 423-426 (1988)、上記文献を本明細書中に援用する)で存在するかもしれない(一般に、Hood et al., "Immunology", Benjamin, N.Y., 2nd ed. (1984)、及びHunkapiller and Hood, Nature, 323, 15-16 (1986)を参照のこと)。
本明細書中に使用されるとき、用語「一本鎖Fv」、「一本鎖抗体」、「Fv」、又は「scFv」は、重鎖と軽鎖の両方からの可変領域を含んで成るが、定常領域を欠き、ポリペプチド一本鎖の範疇にある抗体フラグメントを指す。一般に、一本鎖抗体は、抗原結合を可能にするだろう所望の構造を形成することを可能にするVHとVLドメイン間のポリペプチド・リンカーをさらに含んで成る。一本鎖抗体は、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds. Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)によって詳細に議論されている;また、国際特許出願公開番号WO 88/01649及び米国特許番号第4,946,778号、及び同第5,260,203号も参照のこと、目的に応じて上記文献の開示を本明細書中に援用する。具体的な態様において、一本鎖抗体は、また、二重特異性であっても、及び/又はヒト化されてもよい。
「Fabフラグメント」は、1の軽鎖及びCH1、及び1の重鎖可変領域を含んでなる。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
「Fab’フラグメント」は、1本の軽鎖と、CH1とCH2ドメインの間に定常領域よりも多くのものを含む1本の重鎖を含んでおり、その結果、鎖間ジスルフィド結合が2本の重鎖の間で形成されて、F(ab’)2分子を形成することができる。
「F(ab’)2フラグメント」は、鎖間ジスルフィド結合が2本の重鎖の間で形成されるように、CH1とCH2ドメインの間に定常領域の一部を含む2本の重鎖と2本の軽鎖を含んでいる。
不正確な解析法(例えば、ゲル電気泳動)によって決定された重合体の分子量及び長さは、近似値であることが理解されるだろう。そのような値が「約」X(「about」X又は「approximately」X)として表現されるとき、Xの表示値は、厳密には±10%であると理解されるだろう。
本明細書中に引用されたすべての参考文献は、それらの全体が援用される。
本発明は、2006年12月7日付けで米国特許公報番号第2006-0275296号として公開された2006年5月8日付けで出願された共同所有の米国特許出願第11/430,066号に記載されているモノクローナル抗体のアミノ酸配列の測定に一部基づいており、上記文献を本明細書中に援用する。先に記載のヒトIL-31に対する中和モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマは、ブダペスト条約の下で原初の寄託物としてアメリカ組織培養細胞株統保存機関(ATCC;10801 University Blvd, Manassas VA 20110-2209)特許寄託機関に寄託され、そして、以下のATCC寄託番号:クローン292.12.3.1(2005年6月29日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6815);クローン292.72.3.1(2005年6月29日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6816);クローン292.63.5.3(2005年7月6日寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6829);クローン292.118.6.4(2005年7月6日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6830);クローン294.163.2.1(2005年7月6日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6831);クローン292.84.1.6(2005年7月19日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6871);クローン294.35.2.6.3(2005年7月19日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6872);クローン294.154.5.6(2005年7月19日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6875);及びクローン294.144.3.5(2005年7月19日に寄託されたATCC特許寄託表示PTA-6873)が与えられた。
本発明は、IL−31リガンドに結合し、そしてヒトIgG4Fc分子と併せて使用され、例えば融合タンパク質として発現されて、IL−31に拮抗作用し、それにより一般的に炎症、そして皮膚炎及び掻痒性疾患の症状を阻害するか、遮断するか、軽減するか、又は中和する抗体及び抗体フラグメントを創出するために使用されるこれらのハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖可変領域のアミノ酸配列を提供する。そのような抗体は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含んで成るか、若しくはそれらから成る抗体又は抗体フラグメントを含むことができ、そしてその受容体に対するIL-31の効果を、中和するか、阻害するか、軽減するか、予防するか、又は最小にするキメラ、ヒト化、又は抗体フラグメントであってもよい。抗体又は抗体フラグメントの臨床転帰は、例えば、本明細書中にさらに記載されているような皮膚炎や掻痒性疾患などの炎症性疾患の軽減であってもよい。ある態様において、皮膚炎はアトピー性皮膚炎である。他の態様において、皮膚炎は結節性痒疹である。他の態様において、皮膚炎は湿疹である。
IL-31は、マウスで過剰発現されると皮膚炎のような症状をもたらす、最近発見されたT細胞サイトカインである。また、Dillon, et al., Nature Immunol. 5: 752-760, 2004を参照のこと。皮膚ホーミングT細胞と表皮ケラチノサイトの両方が、ヒトの皮膚病の病理に関係していた。IL-31のmRNA及びタンパク質の発現は、アトピー性皮膚炎(AD)患者と正常人の両者において皮膚ホーミングCLA+T細胞集団に制限されているいっぽうで、免疫組織化学(IHC)によるIL-31の受容体であるIL-31RAの分析は、正常人と比べて、急性及び慢性AD患者からの皮膚生検中の皮膚ケラチノサイトにおけるわずかに高いレベルのIL-31RA発現を示す。
IL-31は、公開米国特許出願においてZcyto17rligとして以前に記載されたサイトカインのHUGO名である(公開番号第20030224487号、Sprecher, Cindy et al., 2003を参照のこと、上記文献を本明細書中に援用する)。また、Dillon, et al., Nature Immunol.前掲も参照のこと。IL-31のヘテロ二量体受容体もまた、オンコスタチンM受容体β(OSMRbeta)とヘテロ二量体を形成するzcytor7(HUGO名、IL-31RA)として20030224487に記載された。IL-31は、CD3に関して選択された活性化ヒト末梢血液細胞(hPBCs)から作り出されたcDNAライブラリーから単離された。CD3は、リンパ系起源の細胞、特にT細胞に独特の細胞表面マーカーである。ヒトIL-31のポリペプチド配列は、配列番号2に示されている。マウスIL-31のポリペプチド配列は、配列番号4に示されている。本明細書中では用語IL-31は、先に示されている米国特許公開番号第20030224487号に使用されているIL-31を意味する。IL-31の分泌シグナル配列は、(配列番号2に示されているように)アミノ酸残基1(Met)〜23(Ala)を含んで成り、そして、成熟ポリペプチドは、アミノ酸残基24(Ser)〜164(Thr)を含んで成る。293T細胞からの精製IL-31のさらなるN末端配列解析で、(配列番号2に示されているように)成熟ポリペプチドがアミノ酸残基27(Leu)〜164(Thr)を含んで成る、配列番号2に示される残基27(Leu)のN末端を示した。
IL-31は、公開米国特許出願においてZcyto17rligとして以前に記載されたサイトカインのHUGO名である(公開番号第20030224487号、Sprecher, Cindy et al., 2003を参照のこと、上記文献を本明細書中に援用する)。また、Dillon, et al., Nature Immunol.前掲も参照のこと。IL-31のヘテロ二量体受容体もまた、オンコスタチンM受容体β(OSMRbeta)とヘテロ二量体を形成するzcytor7(HUGO名、IL-31RA)として20030224487に記載された。IL-31は、CD3に関して選択された活性化ヒト末梢血液細胞(hPBCs)から作り出されたcDNAライブラリーから単離された。CD3は、リンパ系起源の細胞、特にT細胞に独特の細胞表面マーカーである。ヒトIL-31のポリヌクレオチドとポリペプチド配列は、それぞれ配列番号1と2に示されている。マウスIL-31のポリヌクレオチドとポリペプチド配列は、それぞれ配列番号3と4に示されている。本明細書中では用語IL-31は、先に示されている米国特許公開番号第20030224487号に使用されているIL-31を意味する。IL-31の分泌シグナル配列は、(配列番号2に示されているように)アミノ酸残基1(Met)〜23(Ala)を含んで成り、そして、成熟ポリペプチドは、アミノ酸残基24(Ser)〜164(Thr)を含んで成る。293T細胞からの精製IL-31のさらなるN末端配列解析で、(配列番号2に示されているように)成熟ポリペプチドがアミノ酸残基27(Leu)〜164(Thr)を含んで成る、配列番号2に示される残基27(Leu)のN末端を示した。
IL-3IRA(IL-31受容体)のポリペプチド配列は、配列番号5に示され、そして、オンコスタチンM受容体β(OSMRbeta)のポリペプチド配列は、配列番号6に示されている。
IL-31RAとOSMRbeta受容体は、クラスIサイトカイン受容体サブファミリーに属し、これだけに制限されることなく、IL-2、IL-4、IL-7、Lif、IL-12、IL-15、EPO、TPO、GM-CSF、及びG-CSFの受容体を含んでいる(総説に関して、Cosman, "The Hematopoietin Receptor Superfamily" in Cytokine 5(2): 95-106, 1993を参照のこと)。IL-31RAサブユニットは、共同所有のPCT特許出願番号US01/20484(WIPO公開番号WO 02/00721)の中に十分に記載されている。IL-31RAサブユニットのmRNAの組織分布の分析は、活性化CD4+及びCD8+T細胞サブセット、CD14+単球における発現、そして、CD19+B細胞におけるより弱い発現を明らかにした。そのうえ、前記mRNAは、休止又は活性化の両方の単球細胞株THP-1(ATCC番号TIB-202)、U937(ATCC番号CRL-1593.2)、及びHL60(ATCC番号CCL-240)に存在していた。
本明細書中で「IL-31結合分子」又は「IL-31拮抗薬」と呼ばれる軽鎖可変ドメイン、及び/又は重鎖可変ドメインを含んで成る分子による阻害、中和、又は遮断シグナル伝達は、当業者に知られている多くのアッセイによって計測されることができる。例えば、増殖の低減を計測するアッセイには、例えば、AlamarBlue(商標)(AccuMed International, Inc. Westlake, Ohio)、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル・テトラゾリウム・ブロマイド(Mosman, J. Immunol. Meth. 65: 55-63, 1983);3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-3-カルボキシメトキシフェニル-2H-テトラゾリウム;2,3-ビス(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-5-[(フェニルアミノ)カルボニル]-2H-テトラゾリウム水酸化物;及びシアノジトリルテトラゾリウム・クロライド(それらは、Polysciences, Inc., Warrington, PAから市販されている)などの色素の減色に関するアッセイ;例えば、3H-チミジンの取り込みの測定などの細胞***アッセイ;例えば、ナフタレン・ブラック又はトリパン・ブルー、を使用した色素排除アッセイ;ジアセチル・フルオレセインを使用した色素取り込み;及びクロム遊離が含まれる。一般的に、Freshney, Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique. 3rd ed., Wiley-Liss, 1994を参照のこと、上記文献を本明細書中に援用する。前記に加えて、IL-31RAと完全長OSMRbetaを発現するBaF3細胞の実施例に関して、公開された米国特許公報番号第20030224487号(Sprecher, Cindy et al., 2003)を参照のこと。
(DNAとRNAを含めた)本明細書中に記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを調製するための方法は、当該技術分野で周知である。全RNAは、グアニジウム・イソチオシアネート抽出と、それに続くCsClグラジエント中での遠心分離による分離を使用することで調製される(Chirgwin et al., Biochemistry 18: 52-94, 1979)。ポリ(A)+RNAは、AvivとLederの方法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69: 1408-12, 1972)を使用することで全RNAから調製される。相補DNA(cDNA)は、公知の方法を使用することでポリ(A)+RNAから調製される。別の手段において、ゲノムDNAが単離されてもよい。IL-31抗体をコードするポリヌクレオチドは、次に、例えば、ハイブリダイゼーション又はPCR法によって特定され、そして、単離される。
本発明には、また、IL-31ポリペプチドの機能的なフラグメント、及びそのような機能的なフラグメントをコードする核酸分子に結合するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬も含まれる。本明細書中に規定される「機能的な」IL-31又はそのフラグメントは、その増殖又は分化活性か、特殊化した細胞機能を誘発又は抑制するその能力か、あるいは、抗IL-31抗体若しくはIL-31RAと、又は(可溶性若しくは固定化されている)これらの受容体の、抗体若しくはIL-31RA/OSMRbetaヘテロ二量体と特異的に結合するその能力を特徴する。本明細書中で先に記載したように、IL-31は、配列番号2に示されているように、ヘリックスA(アミノ酸残基38〜52)、ヘリックスB(アミノ酸残基83〜98)、ヘリックスC(アミノ酸残基104〜117)、及びヘリックスD(アミノ酸残基137〜152)を含んで成る4ヘリックス束構造を特徴とする。これにより、本発明は、以下の:(a)先に記載の1つ以上のヘリックスを含んで成るポリペプチド分子;及び(b)これらのヘリックスの1つ以上を含んで成る機能性フラグメント、を包含する融合タンパク質をさらに提供する。前記融合タンパク質のその他のポリペプチド部分は、例えば、IL-15、IL-2、IL-4、及びGM-CSFなどの別の4ヘリックス束サイトカインによって、及び/又は融合タンパク質の分泌を容易にする非天然、及び/又は非関連の分泌シグナル・ペプチドによって提供されるかもしれない。
本発明は、また、本明細書中に記載のIL-31ポリペプチドのエピトープ担持部分を含んで成るポリペプチド・フラグメント若しくはペプチドに結合するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬も提供する。そのようなフラグメント又はペプチドは、タンパク質全体が免疫原として使用されたときに抗体応答を誘発するタンパク質の一部である「免疫原性エピトープ」を含んで成るかもしれない。免疫原性エピトープ担持ペプチドは、標準的な方法を使用して特定することができる(例えば、Geysen et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 81:3998 (1983)を参照のこと)。これらの機能的なフラグメントへの抗体の結合は、その類似した受容体へのIL-31のシグナル伝達の阻害、遮断、中和、及び/又は低減をもたらす。
対照的に、ポリペプチド・フラグメント又はペプチドは、抗体が特異的に結合するタンパク質分子の領域である「抗原性エピトープ」を含んで成るかもしれない。特定のエピトープは、直線状の又は隣接した一続きのアミノ酸から成り、そのようなエピトープの抗原性は変性剤によって妨害されない。あるタンパク質のエピトープを模倣できる比較的に短い合成ペプチドが、そのタンパク質に対する抗体作成を刺激するのに使用されることが当該技術分野で知られている(例えば、Sutcliffe et al., Science 219:660 (1983)を参照のこと)。従って、本発明の抗原性エピトープ担持ペプチド及びポリペプチドは、本明細書中に記載のポリペプチドに結合する抗体(例えば、中和抗体)を産生させるのに有用である。Hopp/Woods親水特性は、最も高い抗原性が見込める領域を決定するのに使用される(Hopp et al., 1981、同書中、及びHopp, 1986、同書中)。例えば、ヒトIL-31では、親水性領域には、配列番号2のアミノ酸残基54〜59、配列番号2のアミノ酸残基129〜134、配列番号2のアミノ酸残基53〜58、配列番号2のアミノ酸残基35〜40、及び配列番号2のアミノ酸残基33〜38が含まれる。例えば、マウスIL-31では、親水性領域には、配列番号4のアミノ酸残基34〜39、配列番号4のアミノ酸残基46〜51、配列番号4のアミノ酸残基131〜136、配列番号4のアミノ酸残基158〜163、及び配列番号4のアミノ酸残基157〜162が含まれる。
抗原エピトープ担持ペプチドとポリペプチドには、好ましくは配列番号2又は配列番号4の少なくとも4〜10個のアミノ酸、少なくとも10〜14個のアミノ酸、又は約14〜約30個のアミノ酸が含まれる。そのようなエピトープ担持ペプチド及びポリペプチドは、本明細書中に記載したように、IL-31ポリペプチドを断片化することによってか、又は化学的なペプチド合成によって産生できる。そのうえ、エピトープは、ランダム・ペプチド・ライブラリーのファージ・ディスプレイによって選択されてもよい(例えば、Lane and Stephen, Curr. Opin. Immunol. 5:268 (1993);及びCortese et al., Curr. Opin. Biotechnol. 7: 616 (1996))。エピトープを含んで成る小型のペプチドからエピトープを特定し、抗体を産生するための標準的な方法は、例えば、Mole, "Epitope Mapping," in Methods in Molecular Biology, Vol. 10, Manson (ed.), pages 105-116 (The Humana Press, Inc. 1992);Price, "Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies," in Monoclonal Antibodies: Production. Engineering, and Clinical Anplication, Ritter and Ladyman (cds.), pages 60-84 (Cambridge University Press 1995)、及びColigan et al. (eds.), Current Protocols in Immunology, pages 9.3.1-9.3.5 and pages 9.4.1-9.4.11 (John Wiley & Sons 1997)によって記載されている。
本明細書中に記載した抗体の活性は、IL-31RA受容体を発現する細胞の増殖、及び/又は上記細胞への結合を計測するさまざまなアッセイを使用して増殖を阻害又は低減するそれらの能力によって計測できる。特に興味深いのは、IL-31依存性細胞における変化である。IL-31に依存するように設計される好適な細胞株には、IL-3依存性BaF3細胞株(Palacios and Steinmetz, Cell 44: 727-734, 1985;Mathey-Prevot et al., Mol. Cell. Biol. 6: 4133-4135, 1986)、FDC-P1(Hapel et al., Blood 64: 786-790, 1984)、及びMO7e(Kiss et al., Leukemia 7: 235-240, 1993)が含まれる。増殖因子依存性細胞株は、公開されている方法によって樹立される(例えば、Greenberger et al., Leukemia Res. 8: 363-375, 1984;Dexter et al., in Baum et al. Eds., Experimental Hematology Today, 8th Ann. Mtg. Int. Soc. Exp. Hematol. 1979, 145-156, 1980)。
本明細書中に記載の抗IL-31抗体の活性は、受容体結合とそれに続く生理学的な細胞応答に関連した細胞外の酸性化速度又はプロトン排出を計測するシリコン・ベースのバイオセンサ・マイクロフィジオメーター(microphysiometer)によって計測できる。代表的なデバイスは、Molecular Devices, Sunnyvale, CAによって製造されたCytosensor(商標)Microphysiometerである。例えば、細胞増殖や、イオン輸送や、エネルギー生産や、炎症反応や、調節的及び受容体活性化などのさまざまな細胞応答が、この方法によって計測できる。例えば、McConnell, H.M. et al., Science 257: 1906-1912, 1992;Pitchford, S. et al, Meth. Enzymol. 228: 84-108, 1997;Arimilli, S. et al., J. Immunol. Meth. 212: 49-59, 1998;Van Liefde, I. et al., Eur. J. Pharmacol. 346: 87-95, 1998を参照のこと。
拮抗薬もまた、リガンド−受容体相互作用の部位を特徴づけるための研究試薬として有用である。拮抗薬は、造血作用の調整にかかわる細胞の増加(expansion)、増殖、活性化、及び/又は分化を抑制するのに有用である。IL-31活性の阻害剤(IL-31拮抗薬)には、抗IL-31抗体及び可溶性IL-31受容体、並びに他のペプチド及び(リボザイムを含めた)非ペプチド作用物質が含まれる。
IL-31の活性の阻害は、多くのアッセイによって計測できる。本明細書中に開示されるそれらのアッセイに加えて、サンプルは、受容体の結合、IL-31依存性細胞応答の刺激/阻害、又はIL-31RA受容体を発現する細胞の増殖を計測するように設計されたさまざまなアッセイの中でIL-31活性の阻害に関して試験されてもよい。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を含めたIL-31結合ポリペプチドは、また、リガンドの精製に使用できる。ポリペプチドは、固体支持体、例えば、アガロース、架橋処理されたアガロース、ガラス、セルロース樹脂、シリカ・ベースの樹脂、ポリスチレン、架橋したポリアクリルアミド、又は使用条件下で安定である同様の材料のビーズなどの上に固定される。固体支持体にポリペプチドを連結するための方法は、当該技術分野で公知であり、アミン化学、臭化シアン活性化、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、及びヒドラジド活性化が含まれる。得られた媒質は、一般に、カラムの形態に構成され、そして、リガンドを含む液体をそのカラムに1回以上通して、受容体ポリペプチドにリガンドを結合させる。そして、リガンドは、リガンド−受容体結合を妨げるための、塩類濃度、カオトロピック試薬(グアニジンHCl)、又はpHの変化を使用して溶出される。
リガンド結合受容体(又は、抗体、補体/抗補体対の一方のメンバー)又はその結合フラグメントを使用するアッセイ系、及び市販のバイオセンサ装置(BIAcore, Pharmacia Biosensor, Piscataway, NJ)が有利に用いられるかもしれない。そのような受容体、抗体、補体/抗補体対のメンバー、又はフラグメントは、受容体チップの表面上に固定される。この装置の使用は、Karlsson, L Immunol. Methods 145: 229-40, 1991及びCunningham and Wells. J. Mol. Biol. 234:554-63, 1993によって開示されている。受容体、抗体、メンバー、又はフラグメントを、フロー・セルの中に金膜に取り付けられているデキストラン繊維に、アミン又はスルフヒドリル基の化学反応を使用して共有結合させる。試験サンプルは、セルを通り抜ける。リガンド、エピトープ、又は補体/抗補体対の相手のメンバーがサンプル中に存在した場合には、それが、それぞれ固定された受容体、抗体、又はメンバーに結合し、媒質の屈折率の変化を引き起こして、それが金膜の表面プラズモン共鳴の変化として検出される。この系は、結合親和力をそれから計算することができる結合(on-)及び解離(off-)速度の定量、並びに結合の化学量論の評価を可能にする。あるいは、リガンド/受容体結合は、SELDI(商標)技術(Ciphergen, Inc., Palo Alto, CA)を使用することで分析される。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、炎症誘発性IL-31の生物学的作用を遮断するのに使用されることができるので、本明細書中に記載したさまざまな疾患における抗炎症性治療薬として有用である。当業者は、抗原性の、エピトープ担持ポリペプチドが、IL-31ポリペプチド(例えば、配列番号2)の少なくとも6個の配列、好ましくは少なくとも9個、そして、より好ましくは少なくとも15〜約30個の隣接アミノ酸残基を含んでいることを認識しているだろう。IL-31ポリペプチドのより大きな部分を含むアミノ酸配列、すなわち、30〜100個の残基から全長までを含んで成るポリペプチドが含まれる。抗原又は免疫原性エピトープには、また、本明細書中に記載したように、付属のタグ、アジュバント、ビヒクル、及び担体も含まれる。好適な抗原には、配列番号2のアミノ酸番号24〜アミノ酸番号164によってコードされたIL-31ポリペプチド、又はその隣接した9〜141アミノ酸フラグメントが含まれる。他の好適な抗原には、本明細書中に記載した完全長及び成熟IL-31、IL-31の4ヘリックス束構造のヘリックスA〜D、並びに個別の又は複数のヘリックスA、B、C、及びDが含まれる。抗原として使用するのに好ましいペプチドは、本明細書中に記載の、疎水度プロットから当業者が予測したもの、例えば、配列番号2のアミノ酸残基114〜119、101〜105、126〜131、113〜118、及び158〜162;及び配列番号4のアミノ酸残基34〜39、46〜51、131〜136、158〜163、及び157〜162などの親水性ペプチドである。そのうえ、例えば、DNASTARプロテアン・プログラム(DNASTAR, Inc., Madison, WT)を使用したJameson-Wolfプロットによって予測されるIL-31抗原エピトープは、好ましい抗原として役立ち、そして、それは当業者によって容易に決定される。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は:1)それらが閾値レベルの結合活性を示し、且つ、2)それらが関連ポリペプチド分子と著しく交差反応しない場合に、特異的に結合すると考えられる。結合の閾値レベルは、本明細書中のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬が、対照(非IL-31)ポリペプチドへの結合親和力に比べて、少なくとも10倍高い親和力でIL-31ポリペプチド、ペプチド、又はエピトープに結合する場合に測定される。抗体が、106M-1以上の結合親和力(Ka)を示すことが好ましく、好ましくは107M-1以上、より好ましくは108M-1以上、そして、最も好ましくは109M-1以上である。IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の結合親和力は、例えば、Scatchard解析(Scatchard, G., Ann. NY Acad. Sci. 51: 660-672, 1949)により、当業者によって容易に測定される。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬が関連ポリペプチド分子と顕著に交差反応するかどうかは、標準的なウェスタンブロット分析(Ausubel et al.、同書中)を使用してIL-31ポリペプチドを検出するが、公知の関連ポリペプチドを検出しないIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によって示される。公知の関連ポリペプチドの例は、従来技術で開示されたもの、例えば、公知のオーソログや、パラログ、及びタンパク質ファミリーの類似した公知のメンバーなどである。スクリーニングは、また、非ヒトIL-31、及びIL-31突然変異体ポリペプチドを使用してもおこなわれ得る。そのうえ、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、IL-31ポリペプチドに特異的に結合する集団を単離するために、公知の関連ポリペプチドに「対してスクリーニングされる」ことができる。例えば、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を、不溶性基質に接着された関連ポリペプチドに吸着させる;IL-31結合分子又はIL-31に特異的なIL-31拮抗薬を、適切なバッファー条件下で上記基質に通すだろう。Antibodies: A Laboratory Manual. Harlow and Lane (cds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988; Current Protocols in Immunology, Cooligan, et al. (eds.), National Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc., 1995。
組織培地から精製されたモノクローナル抗体は、BaF3/MPL-IL-31細胞による精製された組み換え型huIL-31の受容体結合活性を遮断するか、又は低減する(「中和アッセイ」)それらの能力を特徴とする。
IL-31結合分子及びIL-31拮抗薬の結合親和力が、測定できる。ヤギ抗ラットIgG-Fcγ特異的抗体(Jackson)が、CM5 Biacoreチップ上に固定される。アッセイは、抗ラット捕獲表面上に各mAbが結合するように最適化され、次に、IL-31の濃度系列がmAbに一律に投入され、結合(Ka)及び解離(Kd)が調べられる。それぞれが実行された後に、表面が20mMのHClの2回の注入を用いて抗ラット抗体まで戻るように再生される。データは、それぞれに関して作成され、そして、評価ソフトウェア(BIAevaluation software version 3.2, Pharmacia BIAcore, Uppsala, Sweden)が、IL-31タンパク質に結合する抗IL-31抗体の動態を評価するために使用される。
クローン番号292.12.3.1、292.84.1.6、292.63.5.3、294.144.3.5、292.39.5.3、292.51.5.2、292.64.6.5.5、292.105.4.1、292.109.4.4、292.118.6.4、292.72.3.1の軽鎖及び重鎖可変領域のポリヌクレオチド及びポリペプチド配列が、実施例1に示されるように測定された。クローン番号の軽鎖及び重鎖可変領域のアミノ末端のポリペプチド配列が、実施例2に示されるように測定された。
組織培地中のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、精製組み換え型タンパク質のヒトIL-31の存在下で培養したときの、受容体結合を遮断するか、阻害するか、予防するか、又は低減するそれらの能力を特徴としている。例えば、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、結合(すなわち、各抗体があらゆる他のものの結合を阻害し得る場合に判断される)、相対的親和性、及び中和を含めた多くの方法で特徴づけできる。
本明細書中に記載の方法で作り出されたIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、さまざまな方法によって中和に関して試験できる。例えば、公開米国特許出願に記載のルシフェラーゼ・アッセイ(公開番号第20030224487号、Sprecher, Cindy et al., 2003を参照のこと)が使用される。加えて、中和は、リガンド及びモノクローナル抗体の存在下でのケラチノサイト培養物からの炎症誘発性ケモカイン、例えば、TARCやMDCなどの産生の減少を計測することによって試験できる。中和はまた、本明細書中に記載の生体内モデルによっても計測できる。
1つの態様において、本発明のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、本発明のヒト抗原結合抗体フラグメントであり、そして、これだけに制限されることなく、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、及びVL又はVH領域のどちらかを含んで成るフラグメントが含まれる。一本鎖抗体を含めた抗原結合抗体フラグメントは、可変領域(すなわち、配列番号1、2、3、若しくは4)を単独で、あるいは、以下の:ヒンジ部、CH1、CH2、及びCH3ドメインの全体又はその一部と組み合わせて含んで成るかもしれない。また、ヒンジ部、CH1、CH2、及びCH3ドメインと可変領域のいずれかの組み合わせも同様に含んで成る抗原結合フラグメントも、本発明に含まれる。
他の態様において、本発明のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、単一特異的、二重特異的、三重特異的、又はより多くの多特異的であるかもしれない。多特異的抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピトープに特異的であるかもしれないか、又は本発明の両方のポリペプチド、並びに異種エピトープ、例えば、異種ポリペプチド又は固体担体物質などに特異的であるかもしれない。例えば、PCT公開WO 93/17715;WO 92/08802;WO 91/00360;WO 92/05793;Tutt, et al., J. Immunol. 347: 60-69 (1991);米国特許番号第4,474,893号;同第4,714,681号;同第4,925,648号;同第5,573,920号;同第5,601,819号;Kostelny et al., J. Immunol. 148: 1547-1553 (1992)を参照のこと。
本発明には、また、先に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬と機能的に同等である遺伝子操作されたIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬も含まれる。改善された安定性、及び/又は治療効果を提供する修飾IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬が好まれる。修飾抗体の例には、アミノ酸残基の保存的置換、又は抗原の結合有用性を著しく悪い方向に変化させない1つ以上のアミノ酸の付加及び欠失を有するものが含まれる。置換は、1つ以上のアミノ酸残基の変更又は修飾から、治療的有用性が維持される限り、領域の再設計にまで及ぶ。本発明のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、翻訳後に修飾されても(例えば、アセチル化、及びリン酸化)、合成により修飾されてもよい(例えば、標識基の付加)。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬にはまた、キメラ抗体又はキメラ・フラグメントが含まれ、それらは、本明細書中に記載の可変領域、並びに上記キメラ抗体又はキメラ・フラグメントが、より長い半減期を有し、且つ、ヒト被験者に投与された場合により低い免疫原性であるようなヒト由来の定常領域を含んで成る。キメラ抗体及びキメラ・フラグメントの作製方法は、当該技術分野で知られている。これらのIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の可変領域が、所望のキメラ抗体を形成するようにヒトIgGの定常領域につなげられてもよい。IgG Fc分子が、IL-31結合分子に融合されてもよい。エフェクター機能の誘導を避けるために、IgG Fc分子は、IgG4 Fc分子からであってもよい。これにより、前記可変領域、及び本明細書中に開示される可変領域のアミノ酸配列が、定常領域がヒトIgG分子であり、且つ、軽鎖と重鎖可変領域がクローン292.12.3.1、292.84.1.6、292.63.5.3、294.144.3.5、292.39.5.3、292.51.5.2、292.64.6.5.5、292.105.4.1、292.109.4.4、292.118.6.4、及び292.72.3.1のものから選択され得るキメラ抗体を作り出すのに使用される。そのようなキメラ抗体は:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;又はj)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域を持ち、そして、ヒトIgG4 Fc分子と併用して使用されるであろう。
そのような可変領域はまた、シグナル配列のあるなしにかかわらず作り出され得る。これにより、前記可変領域、及び本明細書中に開示される可変領域のアミノ酸配列が、キメラ抗体を作り出すのに使用され、ここで、定常領域がヒトIgG分子であり、そして、軽鎖及び重鎖可変領域が、シグナル配列を持っていてもよく、且つ、クローン292.12.3.1、292.84.1.6、292.63.5.3、294.144.3.5、292.39.5.3、292.51.5.2、292.64.6.5.5、292.105.4.1、292.109.4.4、292.118.6.4、及び292.72.3.1のものから選択されてもよい。そのようなキメラ抗体は:a)配列番号31のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号32のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号2のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号4のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号35のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号36のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号37のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号38のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号39のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号40のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号41のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号42のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号43のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号44のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号45のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号46のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号47のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号48のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;j)配列番号49のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号50のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域を持ち、そして、ヒトIgG4 Fc分子と併用して使用されるであろう。そのような可変領域が、シグナル配列のあるなしにかかわらず作り出され得る。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬には、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬のヒト化バージョンが含まれる。ヒト化IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬には、マウス・ドナー免疫グロブリンのCDR’s、及びヒト・アクセプタ免疫グロブリンの重鎖と軽鎖フレームワークが含まれる。ヒト化抗体の作製方法は、米国特許番号第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号;同第6,180,370号に開示される(それぞれその全体を本明細書中に援用する)。そして、これらの抗体のCDR’sは、所望のヒト化抗体を作り出すために、当該技術分野で知られているいずれかの選択されたヒト・フレームワークにグラフトされる。
本発明はまた、本発明のポリペプチド、好ましくは配列番号2又は配列番号4のポリペプチドへのモノクローナル抗体の結合を拮抗阻害するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬も提供する。拮抗阻害は、当該技術分野で知られているいずれかの方法によって、例えば、本明細書中に記載の競合的結合アッセイを使用して、測定される。好ましい態様において、抗体は、配列番号2又は配列番号4のポリペプチドへの、本発明のモノクローナル抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、又は少なくとも50%まで拮抗阻害する。
本発明は、また、競争結合を測定するための当該技術分野で知られているいずれかの方法、例えば、本明細書中に記載の免疫学的アッセイによって測定されるように、本発明のエピトープへの抗体の結合を拮抗阻害するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を提供する。好ましい態様において、抗体は、エピトープへの結合を少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、又は少なくとも50%まで拮抗阻害する。
本発明のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬には、修飾された誘導体が含まれ、例えば、制限するためではなく、上記誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、ホスフィル化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解的開裂、細胞リガンド又は他のタンパク質へのリンケージなどによって、修飾されたIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬が含まれる。多数の化学修飾のいずれかが、これだけに制限されることなく、特定化学開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などを含めた公知の技術によって行われるかもしれない。さらに、誘導体は、1つ以上の非古典的なアミノ酸を含むかもしれない。
本発明のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬はまた、15日間より長い、好ましくは20日間より長い、25日間より長い、30日間より長い、35日間より長い、40日間より長い、45日間より長い、2カ月より長い、3カ月より長い、4カ月より長い、又は5カ月より長い哺乳動物、好ましくはヒトにおける半減期(例えば、血清半減期)を有するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を網羅する。哺乳動物、好ましくはヒトにおける本発明の抗体又はそのフラグメントの延長された半減期は、哺乳動物における上述の抗体又は抗体フラグメントのより高い血清力価をもたらし、これにより、上述の抗体又は抗体フラグメントの投与頻度を減らし、及び/又は上述の抗体又は抗体フラグメントの投与されるべき濃度を低下させる。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の生体内半減期は、FcドメインとFcRn受容体との相互作用に関与すると特定されたアミノ酸残基を修飾すること(例えば、置換、欠失、又は付加)によって(例えば、国際公開番号WO 97/34631及びWO 02/060919を参照のこと、上記文献の全体を本明細書中に援用する)、又は、例えば、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー分子を取り付けることによって増強される。PEGは、多機能リンカーにかかわらず、PEGの部位特異的結合を通じて上述の抗体若しくは抗体フラグメントのN又はC末端に取り付けられるか、又はリジン残基上に存在するε-アミノ基を介して取り付けられる。生物学的活性の最小限の損失につながる直線又は分岐ポリマー誘導体化が使用されるだろう。連結の程度は、SDS-PAGE及びマススペクトル法によって厳密に観察されて、PEG分子の抗体への適切な連結が確保されるだろう。未反応PEGは、例えば、サイズ排除又はイオン交換クロマトグラフィーによって、抗体−PEG連結物から分離できる。
当該方法によって設計されたヒト化IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、抗原結合又は他の免疫グロブリン機能に実質的に影響しない追加の保存的なアミノ酸置換を有するかもしれないことは理解されている。例えば、gly、ala;val、ile、leu;asp、glu;asn、gln;ser、thr;lys、arg;phe、tyrなどの組み合わせが、保存的な置換によって対象とされる。
非ヒト抗体をヒト化するための方法は当該技術分野で周知である。一般に、ヒト化抗体を含めたヒト化免疫グロブリンは、遺伝子工学によって構築された。先に記載した大部分のヒト化免疫グロブリン(Jones et al.、前掲書中;Verhoeyen et al.、前掲書中;Riechmann et al.、前掲書中)には、特定のヒト免疫グロブリン鎖のフレームワークと同一であるフレームワーク、アクセプタ、及び非ヒト・ドナー免疫グロブリン鎖からの3つのCDR’sを含んで成る。具体的には、ヒト化抗体は、ヒト以外の種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR’s)、及びヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を持つ所望の抗原に結合するヒト以外の種の抗体からの抗体分子である。
本発明には、ヒト化免疫グロブリン鎖を含んで成る抗体の親和力を増強するために、アクセプタよりむしろドナーのそれらの位置においてアミノ酸と同じくなるように選択されるヒト化免疫グロブリン鎖のフレームワーク内のアミノ酸の数を制限する基準が含まれる。
本発明のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、(一例に、CDR’sの起源としてマウス抗体を使用した)ヒト化抗体を作り出す事前手段における親和性喪失の2つの寄与原因は、以下のとおりであるモデルに一部基づいている:
(1)マウスCDR’sがヒト・フレームワークに組み合わせられるとき、CDR’sに近接するフレームワーク内のアミノ酸は、マウスではなくヒトに適している。理論に縛られるつもりはないが、これらの変更されたアミノ酸は、それらがドナー・マウス抗体と比べて、異なる静電気力又は疎水性力を生じるので、CDR’sをわずかに歪めるかもしれず、そして、ひずんだCDR’sが、ドナー抗体内でCDR’sがしたのと同じくらい有効な抗原との接触を作らないかもしれない;そして
(2)CDR’sに近接しているが、その一部ではない(すなわち、それでも、フレームワークの一部の)元のマウス抗体のアミノ酸は、親和力に貢献する抗原との接触を作り出すかもしれない。すべてのフレームワーク・アミノ酸はヒトで作られているので、抗体がヒト化されるときに、これらのアミノ酸は失われる。
これらの問題を回避し、且つ、所望の抗原に対して非常に強い親和力を有するヒト化抗体を作り出すために、本発明は、ヒト化免疫グロブリンを設計するのに以下の原則の1つ以上を使用する。また、基準は、所望の親和力又は他の特性を獲得するために、単独で、又は必要であるときには組み合わせて、使用されるかもしれない。
原則は、アクセプタとして、フレームワークは、通常、ヒト化されるドナー免疫グロブリンに相同である特定のヒト免疫グロブリンから使用されるか、又は多くのヒト抗体からのコンセンサス・フレームワークを使用する。例えば、データバンク(例えば、National Biomedical Research Foundation Protein Identification Resource)における、ヒト重鎖(又は軽鎖)可変領域に対するマウス重鎖(又は軽鎖)可変領域の配列の比較は、異なるヒト領域に対する相同性の程度が、通常、約40%から約60〜70%まで、大きく異なることを示している。アクセプタ免疫グロブリンとして、ドナー免疫グロブリンの(それぞれ軽鎖)重鎖可変領域に最も相同であるヒト(それぞれ軽鎖)重鎖可変領域の1つを選ぶことによって、ドナー免疫グロブリンからヒト化免疫グロブリンに進む際に、より少ないアミノ酸が変更されるだろう。したがって、また一方では、理論に縛られるつもりはないが、それらの立体構造を歪めるCDR’s付近でアミノ酸を変更するよりわずかな機会が存在すると考えられている。そのうえ、ヒト化免疫グロブリン鎖を含んで成るヒト化抗体の正確な全体的な形状は、ドナー抗体の形状により厳密に類似するかもしれず、また、CDR’sを歪める機会を減らす。
通常、少なくとも約10〜20個の異なるヒト重鎖の代表的な収集物の中の3〜5個の最も相同の重鎖可変領域配列の1つが、重鎖フレームワークを提供するアクセプタとして選ばれ、そして、軽鎖に関しても同様に選ばれるだろう。好ましくは、1〜3個の最も相同の可変領域の中の1つが使用されるだろう。選択されたアクセプタ免疫グロブリン鎖は、最も好ましくは、ドナー免疫グロブリンに対してフレームワーク領域において少なくとも約65%の相同性を有するだろう。
多くの場合、アクセプタ配列として同じヒト抗体からの軽鎖と重鎖を使用することが好ましく、確かに、ヒト化軽鎖と重鎖が互いに好都合な接触を作るので望ましいと考えられるかもしれない。この場合、ドナー軽鎖及び重鎖は、完全な配列が知られているヒト抗体、例えば、Eu、Lay、Pom、Wol、Sie、Gal、Ou、及びWEA抗体、からの鎖に対してのみ比較される(Kabat et al.;時々、ヒト鎖の最後の数アミノ酸が知られていないので、他のヒト抗体に対する相同性によって推測しなければならない)。軽鎖及び重鎖可変領域配列が、総合すれば、ドナー軽鎖及び重鎖可変領域配列に対して全般的に最も相同であるところのヒト抗体が選ばれる。たまに、より高い重要性が重鎖配列に与えられるだろう。そして、選ばれたヒト抗体は、軽鎖及び重鎖アクセプタ配列の両方を提供するだろう。実施において、多くの場合、ヒトEu抗体がこの役割を担うことがわかっている。
「best-fit」法により、齧歯動物の抗体の可変ドメインの配列が、公知のヒト可変ドメイン配列の全体ライブラリーに対してスクリーニングされる。そして、齧歯動物のそれと最も近似しているヒト配列が、ヒト化抗体のヒト・フレームワーク(FR)として受け入れられる(Sims et al., J. Immunol., 151: 2296 (1993);Chothia et al., J. Mol. Biol., 196: 901 (1987))。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループの中のすべてのヒト抗体のコンセンサス配列から得られた特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークが、いくつかの異なるヒト化抗体に使用されるかもしれない(Carter et al., Proc, Natl. Acad. Sci. USA, 89: 4285 (1992);Presta et al., J. Immnol., 151: 2623 (1993))。
アクセプタ免疫グロブリンがどのように選ばれるかにかかわらず、ヒト化免疫グロブリン鎖のフレームワーク内の少数のアミノ酸を、アクセプタ内よりもドナー内のそれらの位置のアミノ酸と同じくするように選択することによって、より高い親和力が獲得されるかもしれない。多くの場合、ヒト・フレームワーク領域のフレームワーク残基は、抗原結合を修正する、好ましくは改善するために、CDR’sドナー抗体からの対応する残基で置換されるだろう。これらのフレームワーク置換は、当該技術分野で周知の方法によって、例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を特定するためのCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリング、及び特定の位置における珍しいフレームワーク残基を特定するための配列比較によって特定される(例えば、Queen et al.、米国特許番号第5,585,089号;Riechmann et al., Nature 332: 323 (1988)を参照のこと、上記文献の全体を本明細書中に援用する)。抗体は、例えばCDRグラフティング(EP 239,400;PCT公開WO 91/09967;米国特許番号第5,225,539号;同第5,530,101号;及び同第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)又は再表面化(EP 592,106;EP 519,596;Padlan, Molecular Immunology 28(4/5): 489-498 (1991);Studnicka et al, Protein Engineering 7(6): 805-814 (1994);Roguska et al., PNAS 91: 969-973 (1994)、及びchain shuffling(米国特許番号第5,565,332号)を含めた当該技術分野で公知のさまざまな技術を使用してヒト化される。従って、前述の「ヒト化」抗体は、実質的に完全とは言えないヒト可変ドメインがヒト以外の種からの対応の配列によって置換されたキメラ抗体(米国特許番号第4,816,567号)である。
ヒト化抗体には、一般に、マウス、又は、場合によっては、ヒト治療に使用するためのキメラ抗体を超える少なくとも3つの潜在的な利点がある:
(1)エフェクター部分がヒトであるので、それが、ヒト免疫系の他の部品とより良好な相互作用をするかもしれない(例えば、補体依存性細胞障害作用(CDC)又は抗体依存性細胞障害(ADCC)によってより効果的に標的細胞を破壊する)。
(2)ヒトの免疫系は、ヒト化抗体のフレームワーク又は定常領域を異物として認識しないはずなので、そのため、そのような注射された抗体に対する抗体応答は、完全に異物のマウス抗体又は部分的に異物のキメラ抗体より少ないはずである。
(3)注射されたマウス抗体は、通常の抗体の半減期よりに比べて、はるかに短いヒト循環中での半減期しか持たないと報告された(D. Shaw et al., J. Immunol., 138, 4534-4538 (1987))。おそらく、注射されたヒト化抗体は、天然に生じるヒト抗体により類似した半減期を有し、よりわずかで、且つ、頻繁の少ない投薬を与えればよいようにする。
1つの側面において、本発明は、アクセプタ・ヒト・フレームワーク領域をコードするDNAセグメントに取り付けられた、例えば、IL-31などの所望の抗原に結合することができるドナー免疫グロブリンからの重鎖及び軽鎖CDR’sをコードする組み換えDNAセグメントを発現することによって作り出されるヒト化抗体を設計することに向けられる。
前記DNAセグメントには、通常、天然に関連したか、又は異種のプロモーター領域を含めた、ヒト化免疫グロブリン・コード配列に作動できるように連結された発現制御DNA配列がさらに含まれるだろう。発現制御配列は、真核生物宿主細胞を形質転換又は形質移入させることができるベクター内の真核細胞プロモータ・システムになるだろうが、原核生物宿主のための制御配列もまた、使用されるかもしれない。ベクターが適切な宿主内に組み込まれるとすぐに、その宿主はヌクレオチド配列の高レベルの発現に好適な条件下で維持され、そして、所望であれば、ヒト化軽鎖、重鎖、軽鎖/重鎖二量体、又は完全な抗体、結合フラグメント、あるいは、他の免疫グロブリン形態の回収及び精製が続くかもしれない(S. Beychok, Cells of Immunoglobulin Synthesis, Academic Press, N.Y., (1979)を参照のこと、上記文献を本明細書中に援用する)。抗IL-31分子は、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞やHEK 293F細胞などの哺乳動物宿主細胞における発現によって作製できる。
ヒト定常領域DNA配列は、さまざまなヒト細胞からであるが、好ましくは不死化B細胞から、周知の手順に従って単離される(Kabat前掲書中、及びWP87/02671を参照のこと)。本発明の免疫グロブリンを作り出すためのCDR’sは、同様に、IL-31などの所定の抗原に結合することができるモノクローナル抗体に由来し、そして、マウス、ラット、ウサギを含めたいずれかの都合のよい哺乳動物起源、又は抗体を作り出すことができる他の脊椎動物において周知の方法によって作り出される。定常領域及びフレームワークDNA配列に関する好適な起源細胞、及び免疫グロブリン発現と分泌のための宿主細胞は、例えば、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションなどの多くの起源から得ることができる("Catalogue of Cell Lines and Hybridomas," sixth edition (1988) Rockville, Md. U.S.A.、上記文献を本明細書中に援用する)。
具体的に本明細書中に記載されるヒト化免疫グロブリンに加えて、天然の配列に対して「実質的に相同」の他の修飾免疫グロブリンは、当業者に周知のさまざまな組み換えDNA技術を利用して容易に設計され、そして、製造され得る。さまざまな異なるヒト・フレームワーク領域が、本発明のヒト化免疫グロブリンの基礎として、単独で、又は組み合わせて使用されるかもしれない。一般的に、遺伝子の修飾は、例えば、部位特異的突然変異誘発などのさまざまな周知の技術によって容易に達成されるかもしれない(Gillman and Smith, Gene, 8, 81-97 (1979)及びS. Roberts et al., Nature, 328, 731-734 (1987)を参照のこと、上記両文献を本明細書中に援用する)。
本発明のヒト化抗体には、フラグメント、並びに完全な抗体が含まれる。通常、これらのフラグメントは、抗原結合のためにそれらが取り出された完全な抗体と競合する。前記フラグメントは、一般的に少なくとも107M-1、そして、より一般的には108又は109M-1の親和力で(すなわち、完全な抗体と同じ範囲内で)結合する。ヒト化抗体フラグメントには、別々の重鎖、軽鎖、Fab、F(ab’)2、及びFvが含まれる。フラグメントは、組み換えDNA技術、あるいは、完全な免疫グロブリンの酵素的又は化学的分離によって作り出される。
ヒト化抗体のさらなる詳細に関しては、ヨーロッパ特許番号EP 239,400、EP 592,106、及びEP 519,596;国際公開番号WO 91/09967及びWO 93/17105;米国特許番号第5,225,539号、同第5,530,101号、同第5,565,332号、同第5,585,089号、同第5,766,886号、及び同第6,407,213号;そして、Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5): 489 498;Studnicka et al., 1994, Protein Engineering 7(6): 805 814;Roguska et al., 1994, PNAS 91: 969 973;Tan et al., 2002, J. Immunol. 169: 1119 25;Caldas et al, 2000, Protein Eng. 13: 353 60;Morea et al., 2000, Methods 20: 267 79;Baca et al., 1997, J. Biol. Chem. 272: 10678 84;Roguska et al., 1996, Protein Eng. 9: 895 904;Couto et al., 1995, Cancer Res. 55 (23 Supp): 5973s 5977s;Couto et al., 1995, Cancer Res. 55: 1717 22;Sandhu, 1994, Gene 150: 409 10;Pedersen et al., 1994, J. Mol. Biol. 235: 959 73;Jones et al., 1986, Nature 321: 522-525;Reichmann et al., 1988, Nature 332: 323-329;及びPresta, 1992, Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596を参照のこと。
さまざまな技術が、抗体フラグメントの作成のために開発された。伝統的に、これらのフラグメントは、完全な抗体のタンパク質分解により取り出された(Morimoto et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24: 107-117 (1992)及びBrennan et al., Science, 229: 81 (1985)を参照のこと)。しかしながら、これらのフラグメントは、ここで、組み換え宿主細胞によって直接的に作り出される。例えば、抗体フラグメントは、先に議論された抗体ファージ・ライブラリーから単離される。あるいは、Fab’-SHフラグメントは、E.コリ(E. coli)から直接的に回収され、そして、F(ab’).sub.2フラグメントを形成するように化学的にカップリングされる(Carter et al., Bio/Technology 10: 163-167 (1992))。別のアプローチによると、F(ab’).sub.2フラグメントは、組み換え宿主細胞培養物から直接的に単離される。抗体フラグメントを作り出すための他の技術は、熟練した専門家には明らかであるだろう。さらに、一本鎖Fv及び抗体を作り出すのに使用される技術の例には、米国特許番号第4,946,778号及び同第5,258,498号;Huston et al., Methods in Enzymology 203: 46-88 (1991);Shu et al., PNAS 90: 7995-7999 (1993);及びSkerra et al., Science 240: 1038-1040 (1988)に記載のものが含まれる。
本発明は、融合タンパク質を作り出すために、本発明のポリペプチド(又はその一部、好ましくはそのポリペプチドの少なくとも10、20、又は50個のアミノ酸)に組み換えにより融合させたか、又は(共有結合と非共有結合の両方を含めて)化学的に結合させた抗体を網羅する。これにより、本発明はまた、例えば、化学療法薬、毒素、(例えば、酵素的に活性な細菌、真菌、植物、又は動物起源の毒素又はそのフラグメント)、放射性同位体(すなわち、放射性複合体(radioconjugate))などの細胞毒性薬に複合化した本明細書中に記載した抗体を含んで成る免疫抱合体にも関係する。
本発明は、融合タンパク質を作り出すために、本発明のポリペプチド(又はその一部、好ましくはそのポリペプチドの少なくとも10、20、又は50個のアミノ酸)に組み換えにより融合させたか、又は(共有結合と非共有結合の両方を含めて)化学的に結合させた抗体を網羅する。前記融合は、必ず直接的である必要はないが、リンカー配列を通して起こるかもしれない。抗体は、本発明のポリペプチド(又はその一部、好ましくはそのポリペプチドの少なくとも10、20、又は50個のアミノ酸)以外の抗原に特異的であるかもしれない。例えば、抗体は、試験管内又は生体内において、特定の細胞表面受容体に特異的な抗体に本発明のポリペプチドを融合するか、又は結合することによって、特定の細胞型に対して本発明のポリペプチドを標的とするのに使用されるかもしれない。本発明のポリペプチドに融合させるか、又は結合させた抗体はまた、試験管内における免疫学的アッセイ、及び当該技術分野で公知の方法を使用した精製方法に使用されるかもしれない。例えば、Harbor et al.、前記、及びPCT公開WO 93/21232;EP 439,095;Naramura et al., Immunol. Lett. 39:91-99 (1994);米国特許番号第5,474,981号;Gillies et al., PNAS 89: 1428-1432 (1992);Fell et al., J. Immunol. 146: 2446-2452(1991)を参照のこと、上記文献の全体を本明細書中に援用する。
本発明には、異種のポリペプチド配列(例えば、可変領域以外の抗体ドメイン)に融合されるか、又は結合された本発明のポリペプチド(例えば、免疫原性又は抗原性エピトープを含んで成るもの)を含んで成る組成物がさらに含まれる。例えば、本発明のポリペプチドは、抗体Fc領域又はその一部に融合されるか、又は結合されるかもしれない。例えば、(そのフラグメント又は変形形態を含めた)本発明のポリペプチドは、キメラ・ポリペプチドをもたらす免疫グロブリン(IgA、IgE、IgG、IgM)の定常ドメイン、又はその一部(CH1、CH2、CH3、又はいずれかのその組み合わせ、及びその一部)に融合されるかもしれない。本発明のポリペプチドに融合された抗体部分は、定常領域、ヒンジ部、CH1ドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメイン、又は全ドメイン、若しくはその一部のいずれかの組み合わせを含んで成るかもしれない。ポリペプチドはまた、多量体を形成するために、上記抗体部分に融合されるか、又は結合されるかもしれない。例えば、本発明のポリペプチドに融合させたFc部分は、Fc部分の間のジスルフィド結合を通じて二量体を形成する。より高い多量体形態は、IgA及びIgMの一部にポリペプチドを融合することによって作製できる。抗体部分に本発明のポリペプチドを融合するか又は結合するための方法は、当該技術分野で公知である。例えば、米国特許番号第5,336,603号;同第5,622,929号;同第5,359,046号;同第5,349,053号;同第5,447,851号;同第5,112,946号;EP 307,434;EP 367,166;PCT公開WO 96/04388;WO 91/06570;Ashkenazi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535-10539 (1991);Zheng et al., J. Immunol. 154: 5590-5600 (1995);及びVil et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 11337-11341(1992)を参照のこと(上述の文献の全体を本明細書中に援用する)。別の制限されることのない例を通して、(そのフラグメント又は変形形態を含めた)本発明のポリペプチド、及び/又は抗体は、(これだけに制限されることなく、組み換えヒト血清アルブミン、そのフラグメント、又は変形形態を含む)アルブミンに融合されるかもしれない(例えば、1999年3月2日付けで公開された米国特許番号第5,876,969号、EP特許番号第0 413 622号、1998年6月16日付けで公開された米国特許番号第5,766,883号を参照のこと、上記文献の全体を本明細書中に援用する)。(そのフラグメント又は変形形態を含めた)本発明のポリペプチド、及び/又は抗体は、異種タンパク質(例えば、免疫グロブリンFcポリペプチド又はヒト血清アルブミン・ポリペプチド)のN又はC末端端部のいずれかに融合されるかもしれない。本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドはまた、本発明によって網羅される。
先に議論されたように、本発明のポリペプチドは、そのポリペプチドの生体内半減期を延長するために、又は当該技術分野で公知の方法を使用した免疫学的アッセイにおける使用のために、先の抗体部分に融合されるか、又は結合されるかもしれない。さらに、本発明のポリペプチドは、精製を容易にするために、先の抗体部分に融合されるか、又は結合されるかもしれない。ある報告されている例には、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2つのドメイン、及び哺乳動物免疫グロブリンの重鎖又は軽鎖の定常領域のさまざまなドメインから成るキメラ・タンパク質が記載されている(例えば、EP 394,827;Traunecker et al., Nature 331:84-86 (1988)を参照のこと)。免疫系まで上皮バリアを越える抗原の増強されたデリバリーが、例えば、IgG又はFcフラグメントなどのFcRn結合パートナーに結合させた抗原(例えば、インスリン)に関して実証された(例えば、PCT公開WO 96/22024及びWO 99/04813を参照のこと)。本発明のポリペプチドはまた、単量体の分泌タンパク質又はタンパク質フラグメント単独に比べて、他の分子に結合し、そして、中和するのにもより効果的であるかもしれない(IgGによる)ジスルフィド結合した二量体構造を持った抗体にも融合されるか、又は結合された(Fountoulakis et al., J. Biochem. 270:3958-3964 (1995))。多くの場合、融合タンパク質内のFc部分は、治療及び診断において有益であるので、これにより、例えば、改善された薬物動態学的特性をもたらすことができる(EP A232,262)。融合タンパク質が発現され、検出され、精製された後にFc部分を除去することが、所望されるだろう。例えば、前記融合タンパク質が免疫化のための抗原として使用される場合、Fc部分が治療及び診断を妨げるかもしれない。薬物の発見において、例えば、ヒトタンパク質、例えば、hIL-5などは、hIL-5の拮抗薬を同定するための高速大量処理スクリーニング・アッセイの目的でFc部分と融合された(D. Bennett et al., J. Molecular Recognition 8: 52-58 (1995);K. Johanson et al., J. Biol. Chem. 270: 9459-9471 (1995))。そのような技術には、これだけに制限されることなく、二機能性結合作用物質の使用が含まれる(例えば、米国特許番号第5,756,065号;同第5,714,631号;同第5,696,239号;同第5,652,361号;同第5,505,931号;同第5,489,425号;同第5,435,990号;同第5,428,139号;同第5,342,604号;同第5,274,119号;同第4,994,560号;及び同第5,808,003号を参照のこと、上記各文献の内容の全体を本明細書中に援用する)。
そのうえ、本発明のポリペプチド(例えば、抗体又はそのフラグメント)は、例えば、それらの精製を促進するためのペプチドなどのマーカー配列に融合させてもよい。さらなる態様において、(これだけに制限されることなく、免疫原性、及び/又は抗原性エピトープをコードする他の核酸を含む)本発明のポリペプチドをコードする核酸はまた、発現されたポリペプチドの検出、そして、精製を助けるエピトープ標識(例えば、赤血球凝集素タグ「HA」又はフラグ・タグ)としての着目の遺伝子と再結合されてもよい。好ましい態様において、マーカー・アミノ酸配列は、ヘキサ−ヒスチジン・ペプチド、例えば、pQEベクター内に提供されたタグ(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, Calif, 91311)、とりわけ、その多くが市販のものであるなどである。Gentz et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824 (1989)に記載のように、例えば、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の都合のよい精製を提供する。精製に有用な他のタグには、これだけに制限されることなく、他のペプチド、インフルエンザ血球凝集素タンパク質由来のエピトープに相当する「HA」タグ(Wilson et al., Cell 37: 767 (1984))、及び「フラグ」タグが含まれる。
本発明は、診断薬又は治療薬に結合されたIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬をさらに網羅する。IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、例えば、与えられた治療、診断、検出、及び/又は予防レジメンの有効性を判断するための、臨床試験手順の一部として、例えば、腫瘍の発生又は進行を観察するために診断的に使用されてもよい。検出は、検出可能な物質と前記抗体をカップリングすることによって容易にされ得る。検出可能な物質の例には、さまざまな酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射性物質、さまざまなポジトロン放射断層撮影法を使用したポジトロン発光金属、及び非放射性常磁性金属イオンが含まれる。本発明により診断法としての使用のために抗体に結合される金属イオンに関して、例えば、米国特許番号第4,741,900号を参照のこと。好適な酵素の例には、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、アルカリ・ホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれ;好適な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチン、及びアビジン/ビオチンが含まれ;好適な蛍光物質の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセイン・イソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン・フルオレセイン、ダンシル・クロリド、又はフィコエリトリンが含まれ;発光物質の例には、ルミノールが含まれ;生物発光物質の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンが含まれ;そして、好適な放射活性物質の例には、125I、131I、111In、又は99Tcが含まれる。
さらに、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、細胞毒などの治療薬、例えば、細胞増殖抑制物質若しくは細胞破壊物質、又は放射性金属イオンなどの治療学的な部分に結合されるかもしれない。細胞毒又は細胞毒性薬は、細胞に有害なあらゆる作用物質が含まれる。例には、パクリタキソール、シトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン・ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシ・アントラシン・ジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン、並びにその類似体又は相同体が含まれる。治療薬には、これだけに制限されることなく、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル・デカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びcis-ジクロロジアミン・プラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン(AMC))、及び抗有糸***剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)が含まれる。
本発明の複合体は、所定の生物学的反応を修飾するのに使用され、治療薬又は薬物部分は、古典的な化学治療薬に限定すると解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性があるタンパク質又はポリペプチドであるかもしれない。そのようなタンパク質には、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、又はジフテリア毒素などの毒素;例えば、腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板誘導成長因子、組織型プラスミノーゲン活性化因子、血栓作用物質、抗血管新生作用物質、例えば、アンギオスタチン又はエンドスタチンなどのタンパク質;又は、例えば、リンフォカイン、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6、(「IL-6」)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(「GM-CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、又は他の増殖因子などの生物学的反応調節物質が含まれるかもしれない。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬はまた、特に、標的抗原の免疫学的アッセイ又は精製に有用である固体支持体に取り付けられるかもしれない。そのような固体支持体には、これだけに制限されることなく、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、塩化ポリビニル、又はポリプロピレンが含まれる。
そのような治療学的部分を抗体に結合するための技術は、周知であり、例えば、Arnon et al., "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy", in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R, Liss, Inc. 1985);Hellstrom et al., "Antibodies For Drug Delivery", in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987);Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review", in Monoclonal Antibodies '84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985);"Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy", in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985), and Thorpe et al., "The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates", Immunol. Rev. 62:119-58 (1982)を参照のこと。
あるいは、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、米国特許番号第4,676,980号(上記文献の全体を本明細書中に援用する)の中でSegalによって記載されているように抗体ヘテロ複合体を形成するための第二抗体に結合されてもよい。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、それに結合された治療学的な部分のあるなしにかかわらず、単独で、又は細胞毒性因子、及び/又は治療薬として使用され得るサイトカインと組み合わせて投与される。
当業者に公知のさまざまなアッセイが、IL-31タンパク質又はポリペプチドへの、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の結合を検出するのに利用される。典型的なアッセイの例は、Antibodies: A Laboratory Manual. Harlow and Lane (Eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988の中に詳細に記載されている。そのようなアッセイの代表的な例には:同時免疫電気泳動法、放射免疫測定法、放射免疫−沈殿法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ドットブロット法若しくはウェスタンブロット・アッセイ、阻害若しくは競合アッセイ、及びサンドイッチ・アッセイが含まれる。加えて、抗体は、突然変異体IL-31タンパク質又はポリペプチドに対する、野生型への結合に関してスクリーニングされてもよい。
IL-31に対するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、IL-31を発現する細胞にタグを付与するために;アフィニティー精製によってIL-31を単離するために; IL-31ポリペプチドの循環値を測定するための診断アッセイのために;潜在する病理又は疾患のマーカーとして可溶性IL-31を検出又は定量するために;FACSを用いた解析法において;発現ライブラリーのスクリーニングのために;抗イディオタイプ抗体を作り出すために;そして、試験管内若しくは生体内においてIL-31活性を遮断するための中和抗体若しくは拮抗薬として、使用されるかもしれない。好適な直接的なタグ又は標識には、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁性粒子等が含まれ;間接的なタグ又は標識には、中間体としてビオチン−アビジン、又は他の補体/抗補体対の使用を特徴とするかもしれない。本明細書中に記載の抗体はまた、薬物、毒素、放射性核種等に直接的又は間接的に結合されるかもしれず、そして、これらの複合体は、生体内診断、又は治療上の適用に使用される。そのうえ、IL-31に対する抗体又はそのフラグメントは、アッセイ、例えば、ウェスタンブロット又は当該技術分野で公知の他のアッセイにおいて、変性IL-31又はそのフラグメントを検出するために試験管内において使用されるかもしれない。
Fcドメインの選択は、(i)抗体のエフェクター機能(FcγR結合(ADCC)/C1q結合(CDC))、及び潜在的に関連している副作用、(ii)半減期を含めた薬物動態学的特性(FcRn結合)、及び(iii)もしかすると、免疫複合体クリアランスに関係があるかもしれない。Fcドメインのエフェクター機能には、食作用、炎症媒介物質の放出、抗体産生の調整、及び最も重要なことには、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)が含まれる。これらのエフェクター機能のいずかが誘発されている程度は、Fcドメインと関連タンパク質伝達物質、Fcγ受容体とC1qの相互作用によって誘導され、そして、IgGサブクラス定常領域(Fc)とこれらのタンパク質とそれらの相互作用によって異なる。
IgG1のFcドメインは、免疫系エフェクター細胞上のFcγRI、FcγRIIa、及びFcγRIIIと相互作用する。異なるFcγ受容体の正確な役割は、解明されずに残っているが、FcγRIIIAは、主としてNK細胞上であるが、単球とマクロファージ上にも発現される最も重要なADCC媒介受容体であると考えられている。IgG1はまたC1qにも結合し、そして、FcγRIIIを発現するNK細胞によって主に媒介されるCDCを引き起こし得る。Gessner, J.E., et al., The IgG Fc Receptor Family, Aim. Hematol. 1998 Jun: 76(6): 231-248を参照のこと。IgG4 Fcドメインは、異なるFcγ受容体及びC1qに対する結合親和力を大きく低減し、低減されたADCC及びCDCに対応した。例えば、Shsrmaらは、それぞれCD4を標的とした同一の可変領域をもつIgG1 mAbとそのIgG4誘導体の直接比較を検討した。両方のmAbsは、同じ線量レベルまでCD4発現を減少させ、そして、同等の薬物動態学的特性を有していたが、IgG1形態がより強力なADCC効果を示した。Sharma A., et al., Comparative pharmacodynamics of keliximab and clenoliximab in transgenic mice bearing human CD4. J Pharmacol Exp Ther. 2000 Apr; 293(1): 33-41を参照のこと。
エフェクター陰性IgG4 mAbの結合親和力は、他のIgGアイソタイプmAbsと比べると、消失しないにしても大きく低減される。しかしながら、Brambell受容体(FcRn)と相互作用する能力が、IgG4に保有され、これにより、延長された半減期を通じてIgG4アイソタイプmAbの薬物動態に影響した。IgG1は、通常、ADCC及びCDCの両方に対して高い活性を示す一方で、IgG4はADCC又はCDC活性が低いかそれらの活性がないと見なされた。
IgG4アイソタイプmAbsのいくつかの例が、市販されているか、臨床にあるか、又は研究開発のさまざまな段階にある。これらの治療的なmAbsが、腫瘍学、自己免疫及び炎症、並びに抗ウイルス治療におけるさまざまな適応症に関して開発されている。
Aalberseらによって報告されているとおり(Aalberse RC, Schuurman, J. IgG4 breaking the rules, Immunology 2002, 105: 9-19を参照のこと)、ヒト(IgG4)は、分泌されたヒトIgG4の一部のヒンジ部内の内部重鎖ジスルフィド・架橋の不均一性のため、2種類の分子形態で存在する。この不均一性は、HL「半抗体(half-antibody)」が検出される変性、非還元条件下で明らかにされるだけであり、他のヒトIgGアイソタイプに見られない現象である。Taylorは、還元剤に晒されることによる急激なジスルフィド・スクランブリングや再酸化などのサンプル処理中の人為的な現象が半抗体の存在量に寄与することを報告している(Taylor FR, et al., Suppression of Sodium Dodecyl Sulfate-Polyacrylamide Gel Electrophoresis Sample Preparation Artifacts for Analysis of IgG4 Half-Antibody. Analytical Biochemistry 2006, 353: 204-208)。自然件下では、非共有結合的な相互作用は、抗体がH2L2四量体として一緒に保持されるのを確実にする。とはいえ、IgG4が、循環中で他のIgG4分子と共にヘテロ二量体化していることが報告された。ヒトIgG重鎖の抗体のF[ab]及びFc部分を接続するヒンジ配列の分析は、第241残基におけるセリンの存在が、この不均一性の原因であるかもしれないことを示唆している:IgG4ヒンジ部には、IgG1の場合、Cys-Pro-Pro-Cys配列よりむしろCys-Pro-Ser-Cys配列が含まれる。マウス/ヒト・キメラ重鎖内の(IgG1とIgG2のその位置で見つかる)241位におけるセリンのプロリンへの変更は、均質な抗体の産生につながり、そして、不均一性を消失させる。さらに、変異体IgG4は、本来のキメラIgG4と比較して、顕著に延長された血中半減期を有し、且つ、改善された組織分布を示す。
好適な検出可能な分子が、直接的又は間接的にポリペプチド又は抗体に取り付けられ、そして、それには、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁性粒子等が含まれるかもしれない。好適な細胞傷害性分子が、直接的又は間接的にポリペプチド又は抗体に取り付けられ、そして、それには、細菌又は植物毒(例えば、ジフテリア毒素、サポリン、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素、リシン、アブリン等)、並びに(ポリペプチド又は抗体に直接的に取り付けられるか、又は例えば、キレート部分の手法によって間接的に取り付けられる)治療上の放射性核種、例えば、ヨウ素131、レニウム188、又はイットリウム90などが含まれるかもしれない。ポリペプチド又は抗体はまた、細胞毒性薬物、例えば、アドリアマイシンなどに結合されるかもしれない。検出可能分子又は細胞傷害性分子の間接的な取り付けのために、検出可能分子又は細胞傷害性分子を、補体/抗補体対のメンバーと結合させて、ここで、もう片方のメンバーをポリペプチド又は抗体部分に結合させる。これらの目的のために、ビオチン/ストレプトアビジンが、典型的な相補性のもの/抗相補性のものの対である。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬はまた、試験管内又は生体内におけるIL-31の結合、そして、シグナル伝達を遮断するためのIL-31「拮抗薬」として作用する。これらのIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、IL-31活性又はタンパク質結合を抑制するのに有用であるだろう。
ポリペプチド−毒素融合タンパク質又は抗体−毒素融合タンパク質は、(例えば、癌細胞又は組織に対する)標的細胞若しくは組織の阻害又は除去に使用できる。あるいは、ポリペプチドが多機能ドメイン(すなわち、活性化ドメイン、又は受容体結合ドメイン、加えて、標的化ドメイン)があるなら、標的化ドメインだけが含まれる融合タンパク質は、検出可能な分子、細胞傷害性分子、若しくは相補性分子を、着目の細胞又は組織型に向けさせるのに好適であるかもしれない。ドメインのみの融合タンパク質が相補性分子を含んでいる場合には、抗相補性分子が、検出可能分子又は細胞傷害性分子に結合される。そのようなドメイン−相補性分子融合タンパク質は、これにより、一般的な抗相補性−検出可能/細胞傷害性分子複合体の細胞/組織特異的デリバリーのための一般的なターゲッティング担体/ビヒクルに相当する。
本発明のさらなる目的は、本明細書中で先に又は以下に記載する抗体のいずれか、あるいは、その相補鎖又は縮重配列をコードする単離された核酸分子である。この点で、用語「核酸分子」は、これだけに制限されることなく、デオキシリボ核酸(例えば、DNA、cDNA、gDNA、合成DNAなど)、リボ核酸(例えば、RNA、mRNAなど)、及びペプチド核酸(PNA)を含めた、すべての異なるタイプの核酸を網羅する。好ましい態様において、核酸分子は、DNA分子、例えば、二本鎖DNA分子又はcDNA分子などである。用語「単離した」は、天然起源においてそれが本来結び付いている少なくとも1種類の共雑核酸分子から同定され、そして、分離された核酸分子を意味する。単離された核酸分子は、それが天然に見られる形態又は環境以外の状態で存在する。そのため、単離された核酸分子は、それが天然の細胞内に存在しているのと同じ核酸分子と区別される。縮重配列は、基準ヌクレオチド配列と同じアミノ酸配列をコードするが、遺伝コード縮重の結果として異なるヌクレオチド配列を含んで成るあらゆるヌクレオチド配列を指定する。
本願発明のさらなる目的は、先に又は以下に記載した抗体のいずれかをコードするDNAを含んで成るベクターである。そのベクターは、いずれかの原核生物又は真核細胞において機能的である、統合的又は自己複製する、あらゆるクローニング又は発現ベクターであるかもしれない。特に、ベクターは、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ、エピソーム、人工染色体等であるかもしれない。そのベクターは、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサ、選択マーカー、複製開始点などの調節エレメントを含んで成るかもしれない。そのようなベクターの具体例には、以下で議論されるだろう、原核生物プラスミド、例えば、pBR、pUC、又はpcDNAプラスミドなど;レトロウイルス、アデノウイルス、又はAAVベクターを含めたウイルス・ベクター;バクテリオファージ;バキュロウイルス;BAC又はYACなどが含まれる。適切な核酸配列が、さまざまな手順でベクター内に挿入されるかもしれない。一般に、DNAは、当該技術分野で公知の技術を使用して、適切な制限エンドヌクレアーゼ部位に挿入される。これらの成分の1つ以上を含む好適なベクターの構築には、当業者に公知の標準的な連結反応技術を利用する。
本発明のさらなる側面は、組み換え宿主細胞であり、ここで、上述の細胞は、先に規定される核酸分子又はベクターを含んで成る。その宿主細胞は、原核生物又は真核細胞であるかもしれない。原核細胞の例には、E.コリなどの細菌が含まれる。真核細胞の例には、あらゆる細胞初代培養物又は樹立細胞株(例えば、3T3、Vero、HEK293、TN5など)を含めた、酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、及び昆虫細胞である。グリコシル化タンパク質の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物に由来する。脊椎動物細胞の例には、ドロソフィラ(Drosophila)S2及びスポドプテラ(Spodoptera)Sf9などの昆虫細胞、及び植物細胞が含まれる。有用な哺乳動物宿主細胞株の例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)及びCOS細胞が含まれる。より具体的な例には、SV40(COS-7、ATCC CRL 1651)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児腎臓株(浮遊培養において成長に関してサブクローニングされて293又は293細胞、Graham et al., J. Gen Virol., 36:59 (1977));チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub and Chasin, Proc. Natl, Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウス・セルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);及びマウス***腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL 51)が含まれる。本発明の特に好ましい哺乳動物細胞は、CHO細胞である。
本明細書中で先に開示されたように、本発明の抗体は、当該技術分野において自体公知のいずれかの技術、例えば、組み換え技術、化学合成、クローニング、連結反応など、又はその組み合わせによって作り出されるかもしれない。特定の態様において、抗体は、例えば、好適な宿主細胞における対応する核酸の発現による、組み換え技術によって作り出される。そのため、本願発明の別の目的は、本発明の抗体を作り出す方法であって、その方法は、核酸分子の発現を可能にする条件下で本発明の組み換え宿主細胞を培養し、産生されたポリペプチドを回収するステップを含んで成る。産生されたポリペプチドは、グリコシル化されるか又はされないかもしれず、又は使用される宿主細胞型によって、他の翻訳後修飾を含むかもしれない。多くの書籍及び総説が、ベクターと原核生物又は真核生物宿主細胞を使用して、どのようにして組み換えタンパク質をクローンニングし、そして、作り出すかに関する教示を提供している。例えば、一連の"A Practical Approach" published by Oxford University Pressの中のいくつかのタイトル("DNA Cloning 2: Expression Systems", 1995;"DNA Cloning 4: Mammalian Systems", 1996;"Protein Expression", 1999;"Protein Purification Techniques", 2001)などである。
本発明により抗体を作り出す方法において使用されるベクターは、いずれかの好適な手段(形質転換、形質移入、接合、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、ダイレクト・マイクロインジェクションなど)によって適切な宿主細胞内に導入され得る、エピソーム又は非/相同的に組み込むベクターである。特定のプラスミド、ウイルス、又はレトロウイルス・ベクターを選択するのに重要な要因は:ベクターを含む受容細胞が、ベクターを含まない受容細胞から認識され、そして、選択するのに容易である;特定の宿主において所望されるベクターのコピー数;及び異なる種の宿主細胞間のベクターが「往復(shuttle)」できることが望ましいか否か、である。前記ベクターは、適切な転写開始/停止調節配列の制御下、原核又は真核宿主細胞において、本発明のポリペプチド又は融合タンパク質の発現を可能にするべきであり、上記調節配列は、構成的に活性であるか、若しくは前述の細胞において誘導されうるように選ばれる。そして、そのような細胞が実質的に豊富である細胞株が、単離されて、安定な細胞株を提供する。
宿主細胞は、タンパク質生産のために、本明細書中に記載の発現又はクローニング・ベクターで形質移入又は形質転換され、プロモーターを誘導するのに、形質転換体を選択するのに、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するのに適当に修飾された従来の栄養培地中で培養される。培地、温度、pHなどの培養条件は、必要以上の実験なしで当業者によって選択され得る。一般に、細胞培養の生産性を最大にするための原則、プロトコール、及び実用技術は、Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach, M. Butler, ed. (IRL Press, 1991) and Sambrook et al.、前掲の中に見ることができる。
本発明に使用されるべき好ましい細胞は、真核宿主細胞、例えば、ヒト、サル、マウスなどの哺乳動物細胞、及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞であって、なぜなら、それらは、正しい折り畳み又は正しい部位でのグリコシル化反応を含めた翻訳後修飾をタンパク質分子に提供するからである。好適な哺乳動物宿主細胞の例には、アフリカ・ミドリ・ザル腎臓細胞(Vero;ATCC CRL 1587);ヒト胎児腎臓細胞(293-HEK;ATCC CRL 1573)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK-21、BHK-570;ATCC CRL 8544、ATCC CRL 10314)、イヌ腎臓細胞(MDCK;ATCC CCL 34)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-K1;ATCC CCL 61;CHO DG44(Chasin et al., Som. Cell. Molec. Genet. 12:555, 1986)、ラット下垂体細胞(GH1;ATCC CCL 82)、HeLa S3細胞(ATCC CCL 2.2)、ラット・ヘパトーマ細胞(H-4-II-E;ATCC CRL 1548)、SV40で形質転換したサル腎培養細胞(COS-1;ATCC CRL 1650)、Bowes黒色腫及びヒト肝細胞癌(例えば、Hep G2)、マウス胚細胞(NIH-3T3;ATCC CRL 1658)、及び多くの他の細胞株が含まれる。代替の真核宿主細胞は、酵母発現ベクターで形質転換された酵母細胞(例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)など)である。また、酵母細胞は、グリコシル化反応を含めた翻訳後ペプチド修飾もおこなう。酵母における所望のタンパク質の製造に利用される強力なプロモーター配列と高いコピー数のプラスミドを利用する多くの組み換えDNAストラテジーが存在している。酵母細胞は、クローンニングされた哺乳動物遺伝子産物内のリーダー配列を認識し、そして、リーダー配列を担持しているポリペプチド(すなわち、プレ-ペプチド)を分泌する。
組み換えポリペプチドの長期間にわたる高収率の産生のために、安定した発現が好まれる。例えば、着目のポリペプチドを安定して発現する細胞株は、同じ又は別々のベクター上にウイルス複製開始点、及び/又は内因性発現要素、及び選択マーカー遺伝子を含むかもしれない発現ベクターを使用して形質転換されるかもしれない。ベクターの導入に続いて、細胞は、強化培地中で1〜2日間、増殖させた後で、それらは選択培地に切り換えられるかもしれない。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を与えることであり、その存在が、導入された配列をうまく発現する細胞の増殖と回収を可能にする。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に適切な組織培養技術を使用して増殖させることができる。そして、そのような細胞が実質的に豊富である細胞株が、単離されて、安定した細胞株が提供できる。
本発明の組み換えポリペプチドの高収率産生に特に好ましい方法は、US 4,889,803に記載の連続的に高められたレベルのメトトレキサートを使用することによる、DHFR欠損CHO細胞におけるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)増幅の使用である。得られたポリペプチドは、グリコシル化形態であるかもしれない。
本明細書中に開示された抗体は、また、他の真核細胞、例えば、鳥類、真菌、昆虫、酵母、又は植物細胞などにおいても発現されるかもしれない。バキュロウイルス系は、昆虫細胞にクローン化遺伝子を導入する効果的な手段を提供する。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系のための材料は、とりわけ、Invitrogenからキットの形で市販されている。
組み換えDNA技術に加えて、本願発明の抗体は、化学合成技術によって調製されるかもしれない。化学合成技術の例には、固相合成法と液相合成法がある。固相合成法の場合、例えば、合成されるべきポリペプチドのカルボキシ末端に相当するアミノ酸が、有機溶剤中で不溶性である支持体に結合され、そして、反応の交互の繰り返しによって(例えば、それらのアミノ基と、適切な保護基によって保護されている側鎖官能基を用いたアミノ酸の連続的な縮合により)、ポリペプチド鎖が伸長される。固相合成法は、使用される保護基のタイプにより、tBoc法とFmoc法に大きく分類される。全体として合成タンパク質は、文献中に開示されている(Brown A et al., 1996)。
本発明の抗体は、使用、及び/又は製造の所望の方法により好まれ得る他の選択的な形態で製造するか、処方するか、投与するか、又は一般的に使用されることができる。本発明のタンパク質は、例えば、グリコシル化反応によって翻訳後修飾され得る。本発明のポリペプチド又はタンパク質は、単離された(又は精製された)生物学的に活性な形態で、あるいは、その前駆体、誘導体、及び/又は塩として提供されてもよい。
他の態様において、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬融合タンパク質は、IL-31受容体が発現される標的組織の生体内における殺滅に使用されてもよい (一般に、Hornick et al., Blood 89: 4437-47, 1997を参照のこと)。記載した融合タンパク質は、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の、所望の作用部位への標的化を可能にし、その結果、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の高い局所濃度を提供し、望ましくない細胞又は組織(すなわち、腫瘍又は白血病)を標的化し、そして、融合したサイトカインが、エフェクター細胞による向上した標的細胞の分解を媒介する。この目的のための好適なサイトカインには、例えば、インターロイキン2及び顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれる。
本発明のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、これだけに制限されることなく、NC/Ngaモデル、Ova皮膚モデル、慢性過敏症モデル、及び慢性ハプテン・モデルを含めた、当該技術分野で公知の、及び本明細書中に記載のさまざまな生体内モデルによって測定されるように、IL-31リガンドを阻害、遮断、又は中和するそれらの能力が計測され得る。
皮膚ホーミングT細胞と表皮ケラチノサイトの両方が、ヒトの皮膚病の病理に関係した。IL-31 mRNA及びタンパク質の発現は、ヒトにおいて皮膚ホーミングCLA+T細胞集団に制限されている。2006年2月14日付けで出願された米国特許出願番号第11/353,427号を参照のこと(上記文献を本明細書中に援用する)。そういうものとして、抗体又は受容体アンタゴニストを含めたIL-31に対する拮抗薬は、CLA+T細胞を発現する皮膚及び表皮疾患の治療に有効である。そのような疾患には、例えば、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡が含まれる。TARCやMDCなどのケモカイン・マーカーは、IL-31に対する中和モノクローナル抗体の効果を計測するのに有用である。本明細書中に計測のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を用いた治療の阻害作用は、TARCとMDCのレベルを観察することによって計測できる。
接触皮膚炎
アレルギー性の接触性皮膚炎は、皮膚と接触する抗原に対するT細胞媒介性免疫反応と規定される。アレルゲン依存性T細胞応答が、主に細胞のCLA+集団に限局しているので、CLA+T細胞集団によって皮膚炎の開始に関与していると考えられる(Santamaria-Babi, L.F., et al., J Exp Med: 181, 1935, (1995)を参照のこと)。最近のデータによって、一般的な接触過敏性アレルゲンであるニッケルに対する応答において、メモリ(CD45RO+)CD4+CLA+のみが急増し、CD8+T細胞は急増せず、そして、タイプ-1(IFN)とタイプ-2(IL-5)のサイトカインの両方が産生されることがわかった。さらに、CD4、CD45RO(メモリ)、又はCD69と組み合わせてCLAを発現する細胞が、ニッケル特異的刺激後に増強され、そして、ケモカイン受容体CXCR3、CCR4、CCR10を発現するが、CCR6は発現しない。Moed H., et al., Br J Dermatol: 51, 32, (2004)を参照のこと。
動物モデルにおいて、アレルギー性の接触性皮膚炎がT細胞に依存していて、且つ、アレルギー応答型T細胞がアレルゲン適用部位に遊走することが実証された。一般に:Engeman T.M., et al., J Immunol: 164, 5207, (2000);Ferguson T.A. & Kupper T.S. J Immunol: 150, 1172, (1993);及びGorbachev A.V. & Fairchild R.L. Crit Rev Immunol: 21, 451 (2001)を参照のこと。CLA+T細胞がIL-31を産生し、そして、皮膚ケラチノサイトのIL-31刺激がTARCやMDCなどの炎症誘発性ケモカインを誘導し得るので、IL-31は、接触皮膚炎の病理に関与するかもしれない。接触過敏症のマウス・モデルにおける中和IL-31抗体を使用することによる、実施例5を参照のこと。
これにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和が、疾患に関連する炎症、及び/又は引っ掻きの阻害、低減、中和、予防、又は遮断によって接触過敏症の臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎(AD)は、ここ数十年間にわたって発生率が劇的に上昇している、慢性的に再発する炎症性皮膚疾患である。臨床的にADは、掻痒感の激しい、多くの場合、すりむけたプラーク、及び慢性的な再発性の経過を示す丘疹を特徴とする。ADの診断は、大部分が、主要な又は軽微な臨床所見に基づいている。Hanifin J.M., Arch Dermatol: 135, 1551 (1999)を参照のこと。組織病理は、急性病変における海綿状態、過剰、且つ、限局性の錯角化を明らかにした一方で、病変が表皮過形成に付けた、超-、リンパ球と豊富な肥満細胞を伴った真皮の過剰な錯角化症、棘層肥厚/顆粒層肥厚、及び血管周囲性浸潤が、慢性病変の顕著な特徴である。
T細胞は、組織における局所免疫応答の開始で中心的な役割を果たし、そして、徴候は、特に、皮膚浸潤T細胞が、皮膚における調節不全免疫応答の開始と維持において重要な役割を果たすかもしれないことを示唆している。皮膚炎症部位における浸潤T細胞の約90%が、E-セレクチンに結合する皮膚リンパ球関連Ag(CLA+)、内皮上の誘導性接着分子を発現する(Santamaria-Babi L.F., et al., Eur J Dermatol: 14, 13, (2004)で概説される)。対照個体と比較して、AD患者の中の循環CLA+T細胞の有意な増加が記録され(Terald Y., et al., Br J Dermatol: 143, 373 (2000))、その一方で、他のものは、AD患者からのメモリCLA+T細胞が、CLA集団と比較して、アレルゲン抽出物に対して選択的に反応することを実証した(Santamaria-Babi, L.F., et al., J Exp Med: 181, 1935, (1995)を参照のこと)。ヒトにおいて、皮膚のアトピー性障害の病因は、高いレベルの、IL-5及びIL-13 9、10様のTh-2タイプ・サイトカインを発現するCLA+T細胞の増加に関連した。Akdis M., et al., Eur J Immunol: 30, 3533 (2000);及び Hamid Q., et al., J Allergy Clin Immunol: 98, 225 (1996)を参照のこと。
NC/Ngaマウスは、6〜8週齢位で非特定病原菌除去(non-SPF)条件に収容された場合に、臨床経過及び標徴、組織病理及び免疫病理を含めた多くの側面においてヒトADに似ているAD様の病変を発現する。対照的に、SPF条件下で飼われたNC/Ngaマウスは、皮膚病変を発現しない。しかしながら、自然発症皮膚病変と引っ掻き行動の発現は、未精製塵ダニ抗原の毎週の皮内注射によって、特定病原体除去設備に収容したNC/Ngaマウスにおいて同時に発生し得る。Matsuoka H., et al., Allergy: 58, 139 (2003)を参照のこと。そのため、NC/NgaにおけるADの発現は、ADの治療のための新規治療薬の評価のための有用なモデルである。
また、自然発症ADのNC/Ngaモデルに加えて、OVAを使用するマウスの皮膚感作は、感作マウスの皮膚における単核浸潤による抗原依存性上皮及び皮膚肥厚を引き起こすモデルとして使用される。これは、通例、総IgE、及び特異的なIgEの高い血清レベルと同時に起こるが、しかしながら、通常、皮膚バリア機能不全又は皮膚掻痒がこのモデルでは起こらない。Spergel J.M., et al., J Clin Invest, 101: 1614, (1998)を参照のこと。このプロトコールは、OVAを用いたDO11.10 OVA TCR遺伝子導入マウスを感作することによって、皮膚バリアの調節不全と掻痒感を引き起こすように変更されてもよい。感作抗原を認識できる抗原特異的T細胞数の増加は、目に見える引っ掻き行動、及び皮膚の苔せん化/スケーリング(scaling)を引き起こす皮膚における炎症レベルを高めるかもしれない。
NC/Ngaの自然発症ADモデル、及びOVA皮膚DO11.10モデルの両方が、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の、IL-31の効果を阻害、低減、又は中和する能力を評価するのに使用される。引っ掻きの休止が皮膚炎の進行を止め、その発現が引っ掻きに依存しているので、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の投与が、これだけに制限されることなく、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、及び湿疹を含めた掻痒性疾患を治療するのに有効であり得る引っ掻きの低減をもたらすことができる。
本明細書中に記載のIL-31結合分子及びIL-31拮抗薬の阻害作用を計測するためのさらなるモデルは、Umeuchi, H. et al., European Journal of Pharmacology, 518: 133-139, 2005;及びYoo, J. et al., J. Experimental Medicine, 202: 541-549, 2005によって説明されている。
これにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、疾患に関連した炎症、及び/又は引っ掻きを阻害、低減、予防、又は遮断することによって、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、及び湿疹を含めた皮膚炎及び掻痒性疾患の臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応
薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応は、非常に不均一であり、多くの異なる病態生理学的事象を反映するかもしれない。Brockow K., et al., Allergy: 57, 45 (2002)を参照のこと。これらの反応にかかわる免疫学的機序は、抗体又は細胞媒介性のどちらかとして示された。即時型薬物アレルギーでは、IgE媒介性抗体反応が、20分後の陽性皮膚プリック、及び/又は皮内テストによって実証されたが、その一方で、薬物に対する非即時型反応は、最後の薬物摂取の1時間後より後に起こり、且つ、多くの場合、T細胞媒介性である。非即時型T細胞媒介性遅延型反応は、例えば、ペニシリンに対して有害薬物反応を有する患者において起こる。ペニシリンに対する増殖性T細胞応答は、ペニシリン・アレルギー患者からのT細胞のメモリ(CD45RO+)CLA+亜集団に限定されることが示されたが、その一方で、CD45RO+CLAサブセットは、増殖反応を全く示さない。Blanca M., Leyva L., et al., Blood Cells Mol Dis: 31, 75 (2003)を参照のこと。遅延型過敏(DTH)反応は、マウスにおいて人工的に再現でき、DTH応答の開始と持続にかかわるかもしれない因子の評価を可能する。IL-31を中和するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、遅延型過敏反応に有効であるかもしれない。
中毒性表皮壊死症(TEN)は、広範囲に及ぶ水疱を伴う表皮の広範囲のアポトーシスを特徴とする、非常に稀ではあるが、しかし、非常に重い薬物反応である。研究は、水疱に浸潤するリンパ球が、CLA+T細胞であり、表皮ケラチノサイトに向けて細胞毒性を示すことを示した。Leyva L., et al.,. J Allergy Clin Immunol: 105, 157 (2000);及びNassif A., Bensussan A., et al., J Allergy Clin Immunol: 114, 1209 (2004)を参照のこと。それによって、OVAが、マウスの表皮及び毛包ケラチノサイトにおけるケラチン5(K5)プロモーターの制御下で発現されるところのトランスジェニック・マウス系は、TENの動物モデルを樹立するために作り出された。K5-OVAマウス内に適合移植されたとき、OVA特異的CD8+T細胞は、皮膚のリンパを集めるリンパ節における活性化と増殖を受け、そして、K5-OVAマウスの皮膚を標的化して、TENによく似ている皮膚病変の発現をもたらす。Azukizawa H., et al., Eur J Immunol: 33, 1879 (2003)を参照のこと。
これにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、疾患に関連した炎症、及び/又は引っ掻きを阻害、低減、予防、又は遮断することによって、TENの臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
類天疱瘡
類天疱瘡は、好中球と好酸球の皮膚内浸潤を伴った表皮下の水疱として現れる表皮下の障害である。診断は、表皮、及び真皮−表皮接合部の固有の接着タンパク質に対する抗原特異的抗体の存在を特徴とする。Jordon R.E., et al., JAMA: 200, 751 (1967)を参照のこと。PBL及び皮膚疱疹T細胞の分析による類天疱瘡の発症機序におけるT細胞の役割を分析する研究で、高められたレベルの、IL-4及びIL-13様のTh2-サイトカインを発現するCLA+T細胞の優位性がわかった。Teraki Y., et al., J Invest Dermatol: 117, 1097 (2001)を参照のこと。全身性コルチコステロイドを用いた治療後の類天疱瘡患者において、CLA+であって、CLA−ではない、インターロイキン-13産生細胞の頻度が有意に減少する。コルチコステロイド治療に続くCLA+細胞の減少は、臨床改善に関連する。Teraki、前掲書を参照のこと。
これにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、疾患に関連する炎症、及び/又は引っ掻きを阻害、低減、予防、又は遮断することによって類天疱瘡の臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
円形脱毛症
円形脱毛症(AA)は、リンパ球浸潤の継続的な活性のために、小胞活性が阻まれている毛嚢の組織制限形自己免疫疾患と見なされる。AAは、無毛病変であっても毛嚢の実際の喪失は発生しないが、体のどこにでも完全な脱毛の斑点を生じる。炎症の臨床徴候は欠けているが、活性な疾患部位からの皮膚生検は、CD8+の毛包内浸潤と共に、主としてCD4+細胞の毛包周囲のリンパ球性炎症を示す。Kalish R.S. & Gilhar A. J Investig Dermatol Symp Proc: 8, 164 (2003)を参照のこと。
研究は、頭皮皮膚浸潤CD4+又はCD8+リンパ球がCLAを発現すること、及びAAの個体の末梢血中、CLA+ CD4+又はCD8+リンパ球の割合が正常対照のものに比べて有意に高いことを示した。さらに、重度の又は進行性のAAの患者が、疾患から回復した患者と比較して、はるかに高いCLA陽性を示し、そして、CLA+細胞の割合の減少が良い臨床経過と一致した。Yano S., et al., Ada Derm Venereal: 82, 82 (2002)を参照のこと。そのため、これらの研究は、CLA+リンパ球がAAにおいて重要な役割を果たすかもしれないことを示唆している。異種移植モデルは、AAの発症機序において活性T細胞が役割を担っている可能性があることを実証した。ヌード・マウスにグラフトされたAA患者からの損傷性頭皮は、移植片から浸潤リンパ球の消失と一致して髪が再生し、そして、SCIDマウスへの活性化された損傷性T細胞の移動が、SCIDマウスでのヒト頭皮外植片に脱毛を移動させ得る。Kalish R.S. & Gilhar A. J Investig Dermatol Symp Proc: 8, 164 (2003)を参照のこと。
さまざまな免疫賦活療法がこの障害に関する通常の治療の一部であるが、しかしながら、これらの治療のいずれも、それらの有効性が一貫していなかった。Tang L., et al., J Invest Dermatol: 120, 400 (2003);Tang L., et al., (2004);及びTang L., et al., J Am Acad Dermatol: 49, 1013 (2003)を参照のこと。それにもかかわらず、妥当な動物モデルにおけるそれらの使用は、治療効果の分子機序を細かく調べるツールを提供する。Shapiro J., et al., J Investig Dermatol Symp Proc: 4, 239 (1999);Tang L., et al., Old wine in new bottles: reviving old therapies for alopecia areata using rodent models (2003);及びVerma D.D., et al., Eur J Dermatol: 14,332 (2004)を参照のこと。
これにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、疾患に関連する炎症、及び/又は引っ掻きを阻害、低減、予防、又は遮断することによって、円形脱毛症の臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
酒さ性座瘡/尋常性座瘡
毛嚢脂腺器官の障害である尋常性座瘡は、青年期の最も一般的な肌の不調である。毛包角質化における異常が、にきび病変を生じると考えられている。酒さ性座瘡は、赤色の丘疹、膿疱、包嚢、及び広範囲の毛細血管拡張症の存在、そして、面皰(白にきび)の不存在によって尋常性座瘡と区別される。皮脂腺からの増加した皮脂***物が、尋常性座瘡の病態生理において重要な要因である。他の皮脂腺機能にはまた、脂腺の炎症誘発性脂質;局所的な産生される異なるサイトカイン;脂腺細胞によって産生される、例えば、コルチコトロフィン放出ホルモンなどの腺周囲ペプチド及び神経ペプチド、並びににきび患者の正常に見える腺の付近にて神経末端で発現されるサブスタンスPが含まれ、にきびの発現にも関連する。Zouboulis C.C. Clin Dermatol: 22, 360 (2004)を参照のこと。
尋常性座瘡と酒さ性座瘡の病態生理は、未知のまま残っているが、臨床観察、及び組織病理学的研究は、毛嚢脂腺の毛包の炎症が酒さ性座瘡と尋常性座瘡の発症機序の中心となるかもしれないことを示唆している。酒さ病変(rosacea legions)に浸潤するT細胞サブセットの分析による初期研究は、T細胞の大部分がCD4を発現したことを示した。Rufli T. & Buchner S.A. Dermatologica 169, 1 (1984)を参照のこと。
CD4+T細胞がIL-31を産生し、そして、IL-31発現に関する皮膚のIHC分析は、IL-31が皮脂腺と汗腺で発現されることを示唆している。表皮ケラチノサイトのIL-31刺激は、IL-31が皮膚における炎症誘発性応答に寄与するかもしれないことを示唆する細胞浸潤を生じさせる可能性があるケモカインの発現を誘発する。Dillon S.R., et al., Nat Immunol: 5, 752 (2004)を参照のこと。そのため、IL-31は、酒さ性座瘡、及び尋常性座瘡の病態生理に寄与するかもしれない。
これにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、疾患に関連する炎症、及び/又は引っ掻きを阻害、低減、予防、又は遮断することによって尋常性座瘡の臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
結節性痒疹
結節性痒疹は、治療が困難である、難治性の掻痒感によって引き起こされる苔癬化した又は擦りむけた結節から成る皮疹である。長期の摩擦が苔癬化をもたらし、且つ、引っ掻きが直線的な擦りむきをもたらす一方で、痒く、炎症を起こした皮膚をつぶし、そして、えぐる個体は、個人は、結節性痒疹として知られる顕著に厚くなった丘疹を生じやすい。結節性痒疹は、アトピー性皮膚炎に特異的でないが、これらの結節をもつ多くの患者はまた、アレルギー性鼻炎、喘息、又は食物アレルギーとして現れるアトピー反応も持っている。T細胞は、痒疹病変における浸潤細胞の大部分を占め、そして、多くの場合、これらの病変がアトピー患者における最も痒疹感のある皮膚病変に当たる。
小知覚皮神経において神経ペプチド様のサブスタンスPの喪失によって掻痒感と疼痛の認知を妨げる抗掻痒アルカロイドであるカプサイシンを用いた結節性痒疹の局所治療は、皮膚病変の一掃をもたらす有効、且つ、安全なレジメンであることが判明した。Stander S., et al, J Am Acad Dermatol: 44, 471 (2001)を参照のこと。カプサイシン治療を使用したNC/Ngaマウスにおける痒み応答の研究は、皮膚炎病変の突発的な発現がほぼ完璧に予防されたことを示した。さらに、血清IgEレベルの上昇が顕著に抑制され、そして、カプサイシン処置マウスの損傷性皮膚中の浸潤した好酸球と肥満細胞の数が低減された。Mihara K., et al., Br J Dermalol: 151, 335 (2004)を参照のこと。この群からの観察は、引っ掻き行動が、さまざまな免疫応答を促進することによって皮膚炎の発現に寄与し、そのため、痒い感覚、及び/又は痒みに関連した引っ掻き行動の予防がADの効果的な治療であるかもしれないことを示唆している。Mihara K., et al., Br J Dermatol: 151, 335 (2004)。これにより、本明細書中に記載の抗II-31抗体は、それらがNC/Ngaマウスにおいて引っ掻く量を低減することが本明細書中で示されたので、AD、結節性痒疹、及び他の掻痒性疾患の影響を最小限にする際に有用になるだろう。
IL-31の慢性的なデリバリーは、マウスにおいて掻痒症と脱毛症と、それに続く、皮膚炎に類似した皮膚病変の発現を引き起こし、IL-31が痒みを引き起こすかもしれないことを示唆している。Dillon S.R., et al., Nat Immunol: 5, 752 (2004)を参照のこと。2つの方法:(i)IL-31処置マウスのカプサイシン処置、及び(ii)神経ペプチドの発現の喪失のための侵害受容性疼痛反応が有意に低減したTac1ノックアウト・マウスのIL-31処置による痒み応答の誘導におけるIL-31の関与が、実施例10で試験される。加えて、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を用いたIL-31処置マウスにおけるIL-31の中和が、掻痒症及び脱毛症を予防するかどうか実施例12で試験される。
それにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、疾患に関連する炎症、及び/又は引っ掻きを阻害、低減、予防、又は遮断することによって結節性痒疹の臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
皮膚指向性ウイルス、及びウイルス関連掻痒症
末梢血中の単純ヘルペスウイルス(HSV)特異的CD8+T細胞、及びヘルペス病巣から回収されたHSV特異的CD8+T細胞は、高レベルのCLAを発現するが、非皮膚指向性単純ヘルペスウイルス特異的CD8+T細胞は、CLA発現を欠く。Koelle D.M., et al., J Clin Invest: 110,537 (2002)を参照のこと。HSV-2反応性CD4+Tリンパ球もまたCLAを発現するが、CD8+Tリンパ球に関して以前に観察されたものに比べて、よりレベルでの発現であった。Gonzalez J.C., et al., J Infect Dis: 191, 243 (2005)を参照のこと。掻痒症もまた、ヘルペスウイルス感染に関連し(Hung K.Y., et al., Blood Purif: 16, 147 (1998)を参照のこと)、やはり、HIVのような他のウイルス性疾患もまた、痒疹の皮膚病変に関連した。多くの場合、紅斑性丘疹(erythematopapular)皮膚病変、及び過好酸球増加症に関連する重度の、手に負えない掻痒症は、一部の非アトピー性のHIV感染患者36において観察された病態である。Singh F. & Rudikoff D, Am .7 Clin Dermatol; 4, 177 (2003);及びMilazzo F., Piconi S., et al., Allergy: 54, 266 (1999)を参照のこと。
掻痒症を伴う皮膚指向性ウイルスと、CLA+T細胞の関連は、IL-31産生T細胞が、ウイルス感染症の病態生理に関与するかもしれないことを示唆している。
これにより、本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、疾患に関連する炎症、及び/又は引っ掻きを阻害、低減、予防、又は遮断するくことによって、皮膚指向性ウイルスに関連する掻痒症の臨床成果を改善するために使用されるかもしれない。
痒み応答の誘導へのIL-31の関与、及び本明細書中に記載のIL-31結合分子によるその低減、遮断、阻害、又は中和は、多くのやり方で計測できる。
方法I(IL-31処理マウスにおけるカプサイシン処置):
10週齢のBALB/c動物(CRL)に、麻酔し、そして、0.1mg/kgにて持続性鎮痛薬である塩酸ブプレノルフィン(bupranorphine hydrochloride)を皮下注射し、その後に、生理的食塩水中、10%のエタノール及び10%のTween-80の中に4mg/mlのカプサイシンの溶液0.25mlを、頚部のうなじに皮下注射する。動物を、神経毒処置後、少なくとも30分間、麻酔下に保つ。48時間後に、14日型浸透ポンプを、14日間の20ug/日のIL-31の連続したデリバリーのために皮下に移植する。マウスを、以下の評価基準:0=引っ掻きなし、動物は正常に見える、1=狭い面積で毛皮が薄くなる、引っ掻きに気づいた、2=わずかな抜け毛(小斑)、引っ掻き、3=中程度の抜け毛、引っ掻き、及び4=重度の抜け毛、過度の引っ掻き、を使用して脱毛症及び掻痒症に関して6日間、毎日観察した。この実験が実施されたとき、その結果は、非カプサイシン処置マウスが、IL-31デリバリーの3日間後に2.625の引っ掻き/抜け毛の平均スコアを示すのに対して、カプサイシン処置マウスは、1の有意に低いスコアを示すことを実証した。これにより、IL-31デリバリーの前にカプサイシンによって処置したマウスは、引っ掻きと抜け毛の発生の遅延と、6日間にわたる実験の間の引っ掻きと抜け毛の程度における低いスコアの両方を示した。これらのデータは、IL-31によって誘導される脱毛症及び掻痒症に寄与する何らかの神経成分をIL-31が誘導することを示唆している。そのため、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和は、痒みにかかわる皮膚障害に罹患している患者における痒みと、それによる、皮膚炎の発生及びその強さを低減させるかもしれない。
方法II:
Tac1遺伝子に関してホモ接合欠損のマウスは、検出可能なサブスタンスP又はニューロキニンAを発現しない。これらのマウスは、中程度〜非常に強い刺激に対して有意に低減された侵害受容疼痛反応しかないので、そのため、疼痛/痒みプロセシング、及び炎症性疾患の状態へのタキキニン・ペプチドの寄与を研究するための有用なツールである。12週齢のTac1ノックアウト・マウスに、1ug/日のIL-31タンパク質をデリバリーする14日型浸透ポンプを移植し、そして、以下の評価基準:0=引っ掻きなし、動物は正常に見える、1=狭い面積で毛皮が薄くなる、引っ掻きに気づいた、2=わずかな抜け毛(小斑)、引っ掻き、3=中程度の抜け毛、引っ掻き、及び4=重度の抜け毛、過度の引っ掻き、を使用して脱毛症及び掻痒症に関して毎日観察した。
この研究の結果は、Tac1欠損マウスが、野生型対照マウスと比べて、IL-31に誘発された引っ掻き/抜け毛に影響を受けやすいことを示している。100%(10/10)の野生型マウスが、IL-31処置の6日目までに引っ掻き及び抜け毛の徴候を発現した一方で、33.3%(2/6)のTac1欠損マウスしか、同じ時点で、引っ掻き及び抜け毛の兆候を示さなかった。これらのデータは、IL-31がIL-31処置マウスにおいて引っ掻き/抜け毛の表現型に寄与する神経成分を誘発するので、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和が皮膚炎との関連において引っ掻きの発生及び強度を低減させるかもしれないことを示している。
方法III(IL-31中和抗体の投与):
約8〜12週齢の正常雌BALB/cマウス(CRL)に、1ug/日のmIL-31をデリバリーする14日型浸透ポンプ(Alzet、#2002)を皮下移植した。マウス群に、IL-31デリバリーの1週間前に開始する週2回の10mg/kg(200ug/マウス)のラット抗マウスIL-31モノクローナル抗体の腹腔内(i.p.)注射を与えた。対照マウス群には、同一の服薬スケジュールで、ビヒクル(PBS/0.1%のBSA)のi.p.注射を与えた。マウスを、以下の評価基準:0=引っ掻きなし、動物は正常に見える、1=狭い面積で毛皮が薄くなる、引っ掻きに気づいた、2=わずかな抜け毛(小斑)、引っ掻き、3=中程度の抜け毛、引っ掻き、及び4=重度の抜け毛、過度の引っ掻き、を使用して脱毛症及び掻痒症に関して毎日スコア化した。
すべての実験において、ラット抗mIL-31 mAbで処置したマウスは、約5〜7日間の症状の発症の遅延があり、そして、脱毛症及び掻痒症に関して全般的に低いスコアであった。mAb処置マウスのすべての群が(投薬回数又は濃度にかかわらず)、研究の13日目までに対照マウスと同様に脱毛症及び掻痒症を発現した。これらのデータは、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬によるIL-31の中和がIL-31によって誘導される引っ掻き/抜け毛応答の発症を遅らせることができることを示唆している。IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の効果は、引っ掻き、痒み、皮膚炎の阻害、ケラチノサイトにおけるIL-31RAの発現の低減、及び/又は脱毛症と掻痒症に関するスコアの低下によって計測される。
炎症は、病原体の侵入を回避するための生物体による防御応答である。炎症は、多くの細胞性及び液性伝達物質にかかわるカスケード事象である。一方で、炎症反応の抑制は、宿主を免疫不全状態のままにすることがある;しかしながら、抑制が利かないまま残されれば、炎症は、慢性炎症性疾患(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患等)、敗血症ショック、及び多臓器不全を含めた重大な合併症につながる可能性がある。重要なことには、これらのさまざまな病状は、共通の炎症媒介物質を共有する。炎症を特徴とする集団的な疾患は、ヒトの罹患率と死亡率に大きな影響がある。そのため、本明細書中に記載の抗IL-31抗体や結合ポリペプチドなどの抗炎症性抗体及び結合ポリペプチドは、膨大な数のヒト及び動物の疾患、喘息やアレルギー〜自己免疫や敗血症ショックのための極めて重要な治療的有効性を有するかもしれないことを明らかにする。そういうものとして、本明細書中に記載の抗炎症性の抗IL-31抗体及び結合ポリペプチドの使用は、特に、関節炎、エンドトキシン血症、炎症性腸疾患、乾癬、関連疾病等の疾患において、本明細書中に記載のIL-31拮抗薬として治療的に使用され得る。
1.関節炎
変形性関節症、関節リウマチ、傷害の結果関節炎の関節等を含めた関節炎は、例えば、本発明の抗IL-31抗体や結合ポリペプチドなどの抗炎症性抗体及び結合ポリペプチドの治療的使用から恩恵を受ける一般的な炎症状態である。例えば、関節リウマチ(RA)は、全身的に影響を受ける全身性疾患であり、関節炎の最も一般的な形態の1つである。それは、関節内膜の炎症を特徴とし、疼痛、こわばり感、熱感、発赤、及び腫れを引き起こす。炎症細胞は、骨と軟骨を消化するかもしれない酵素を放出する。関節リウマチの結果として、炎症を起こした関節の内膜、滑膜、骨及び軟骨に侵入し、そして、損害を与え、他の生理学的影響に共通する関節の障害及び激痛につながる。罹患関節は、その形状と配置を失い、疼痛と運動の損失をもたらす。
関節リウマチ(RA)は、重度の障害と死亡率の上昇につながる、炎症と、その後の組織損傷を特に特徴とする免疫媒介疾患である。さまざまなサイトカインが、リウマチ様関節内で局所的に産生される。非常に多くの研究が、IL-1とTNF-αの2種類の典型的な炎症誘発性サイトカインが滑膜炎と進行性の関節破壊に関与する作用機序で重要な役割を果たすことを実証した。実際、RA患者におけるTNF-α及びIL-1阻害剤の投与は、炎症の臨床的及び生物学的な兆候の劇的な改善、並びに骨浸食及び軟骨破壊の放射線学的兆候の低下につながった。これらの励まされる結果にもかかわらず、有意なパーセンテージの患者がこれらの作用物質に対して応答せず、他の伝達物質もまた、関節炎の病態生理にかかわることを示唆している(Gabay, Expert. Opin. Biol. Ther. 2(2): 135-149, 2002)。それらの伝達物質の1つがIL-31であるかもしれず、そういうものとして、抗IL-31抗体又は結合パートナーのようなIL-31に結合する分子が、関節リウマチ、及び他の関節炎疾患において炎症を低減するための貴重な治療薬として役立つかもしれない。
当該技術分野で知られている、関節リウマチについてのいくつかの動物モデルが存在する。例えば、コラーゲン誘導関節炎(CIA)モデルでは、マウスは、ヒト関節リウマチに酷似している慢性炎症性関節炎を示す。CIAは、RAと類似した免疫学的及び病理学的特性を共有するので、このことが、それを潜在的ヒト抗炎症性化合物をスクリーニングするための理想的なモデルにする。CIAモデルは、生じるために免疫応答と炎症反応の両方に依存するマウスにおいて周知のモデルである。免疫応答は、抗原として与えられるコラーゲンに対する応答におけるB細胞とCD4+T細胞の相互作用を含んで成り、そして、抗コラーゲン抗体の産生につながる。炎症期は、マウスの天然コラーゲンと交差反応し、そして、補体カスケードを活性化するこれらの抗体の一部の影響としての炎症の伝達物質からの組織反応の結果である。CIAモデルを使用する利点は、発症機序の基本機構が知られていることである。コラーゲンII型上の関連T細胞及びB細胞エピトープが同定され、そして、免疫媒介関節炎に関連するさまざまな免疫学的パラメーター(例えば、遅延型過敏症と抗コラーゲン抗体)、及び炎症パラメーター(例えば、サイトカイン、ケモカイン、及びマトリクス分解酵素)が測定されて、これにより、CIAモデルにおいて試験化合物の有効性を評価するのに使用される(Wooley, Curr. Opin. Rheum. 3:407-20, 1999; Williams et al., Immunol. 89:9784-788, 1992;Myers et al., Life Sci. 61:1861-78, 1997;及びWang et al., Immunol. 92:8955-959, 1995)。
CIAモデル・マウスへの、例えば、IL-31RA-Fc4又は他のIL-31RA可溶性及び融合タンパク質などの(本明細書中に記載のヘテロ二量体及び多量体受容体を含めた)ポリペプチドを含んで成る可溶性IL-31RAの投与は、症状を改善する、及び疾患の経過を変えるためのIL-31RAの使用を評価するために使用される。免疫及び炎症反応を調節する分子として、IL-31は、関節リウマチの発症機序に関係があるSAAの産生を誘発するかもしれず、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、試験管内及び生体内においてSAA活性を低減するするかもしれず、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の全身的又は局所的な投与は、RAにおける炎症反応を抑制する可能性がある。
2.エンドトキシン血症
エンドトキシン血症は、一般的に、細菌や他の感染病病原菌などの伝染性物質、敗血症、中毒性ショック症候群、又は免疫低下患者における日和見感染等を原因とする重い症状である。抗炎症抗体、及び結合ポリペプチド、例えば、本発明の抗-IL-31抗体や結合ポリペプチドなどの治療的な有効性は、ヒト及び動物におけるエンドトキシン血症を予防、及び治療することにより支援され得る。例えば、IL-31RAポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、又は本発明の抗IL-31抗体又は結合パートナー等を含めた他の見込みのある治療薬は、エンドトキシン血症における炎症と病理学的影響を軽減する貴重な治療薬として役に立つであろう。
リポ多糖(LPS)誘発エンドトキシン血症は、感染病において病理学的影響を生じる炎症誘発性伝達物質の多くを関与させ、そして、齧歯動物におけるLPS誘発エンドトキシン血症は幅広く使用されるので、見込みのある炎症誘発性物質又は免疫調節物質の薬理効果を研究するために許容されるモデルである。グラム陰性菌で産生されるLPSは、敗血症ショックの発症機序において主要な原因物質である(Glausner et al., Lancet 338: 732, 1991)。ショックに似た状況は、実際、動物へのLPSの単回投与によって実験的に引き起こされ得る。LPSに応答して細胞によって産生される分子は、直接的又は間接的に病原菌を標的とする。これらの生物反応は、病原菌の侵入に対抗して宿主を保護するが、それらはまた、悪影響をもたらすかもしれない。これにより、重度のグラム陰性細菌感染の結果として起こる生来の免疫の広範な刺激は、サイトカイン及び他の分子の過剰な産生につながり、そして、発熱、低血圧、汎発性血管内凝固、及び多臓器不全を特徴とする致命的な症候群、敗血症ショック症候群の発現につながる(Dumitru et al. Cell 103: 1071-1083, 2000)。
LPSのこれらの中毒作用は、複数の炎症媒介物質の放出につながるマクロファージ活性化に大部分は関連している。これらの伝達物質の中で、TNFが、中和抗TNF抗体の投与によるLPS毒性の予防によって示されるとおり、極めて重要な役割を果たしていると思われる(Beutler et al., Science 229:869, 1985)。C57B1/6マウスへの1ugのE.コリLPSの注射が、注射の約2時間後に循環中のIL-6、TNF-α、IL-1、及び急性期タンパク質(例えば、SAA)の有意な増加をもたらすことは十分に明らかになっている。LPSの毒性は、受動免疫物質としてのこれらのサイトカインによって媒介されると考えられ、これらの伝達物質が、低い死亡率をもたらし得る(Beutler et al., Science 229:869, 1985)。敗血症ショックの予防、及び/又は治療のための見込みのある免疫介入ストラテジーには、抗-TNF mAb、IL-1受容体アンタゴニスト、LIF、IL-10、及びG-CSFが含まれる。LPSはエンドトキシン血症の病理に寄付すると思われる炎症誘発性因子の産生を誘導するので、拮抗性IL-31ポリペプチドによるIL-31活性、SAA、又は他の炎症誘発性因子の中和が、エンドトキシン・ショックで見られるようなエンドトキシン血症の症状を軽減するために使用され得る。他の見込みのある治療薬には、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬が含まれる。
3.炎症性腸疾患(IBD)
合衆国では、ざっとみても多くの人々が、結腸と直腸(潰瘍性大腸炎)のいずれか、又はその両方、大小腸(クローン病)に影響し得る、炎症性腸疾患(IBD)に罹患している。これらの疾患の発症機序は不明瞭であるが、それらは罹患組織の慢性炎症を伴う。見込みのある治療薬には、IBD及び関連疾病において炎症及び病理学的影響を軽減するための貴重な治療薬として役立つであろう、IL-31RAポリペプチド、可溶性ヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチド、あるいは、本発明の抗IL-31抗体又は結合パートナー等が含まれる。
潰瘍性大腸炎(UC)は、結腸の粘膜又は最深部内膜の炎症及び潰瘍を特徴とする、一般的に結腸と呼ばれる大腸の炎症性疾患である。この炎症が、結腸を頻繁に空にして、下痢症状を引き起こす。症状には、大便を緩くする、及び関連する腹筋けいれん、発熱、そして、体重減少が含まれる。UCの正確な原因はわからないが、最近の研究は、体の自然防御能が、体が異物であると思う体内のタンパク質に対する働きかけであることを示唆している(「自己免疫反応」)。おそらく、それらが腸内の細菌性タンパク質に類似しているので、これらのタンパク質が、結腸の内膜を破壊し始める炎症過程を引き起こすのか、又は刺激するのかもしれない。結腸の内膜が破壊されるので、潰瘍は、粘液、膿、及び血液の放出を生じる。前記疾患は、通常、直腸域で始まり、最終的には、大腸全体にわたって広がるかもしれない。繰り返される炎症の発現は、瘢痕組織を伴う腸壁と直腸の肥厚につながる。結腸組織の死滅、又は敗血症は、重度の疾患に伴って起こるかもしれない。潰瘍性大腸炎の症状は、重症度において異なり、且つ、それらの発症は、緩やかであるかもしれないし、突然であるかもしれない。発作は、呼吸器感染症又はストレスを含めた多くの要因によって引き起こされるかもしれない。
現在、潰瘍性大腸炎に利用可能な療法は存在しないが、治療は、結腸内膜における異常な炎症過程を抑制すること集中される。コルチコステロイド系免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン、及びメトトレキサート)及びアミノサリチラート(aminosalicytates)を含めた治療が、前記疾患を治療するために利用可能である。しかしながら、コルチコステロイドやアザチオプリンなどの免疫抑制剤の長期の使用は、骨の肉薄化、白内障、感染、及び肝臓と骨髄作用を含めた重大な副作用をもたらす。現在の治療法が成功していない患者において、外科手術が選択肢である。外科手術は、結腸全体と直腸の摘出を伴う。
慢性の潰瘍性大腸炎を部分的に模倣できるいくつかの動物モデルが存在する。最も幅広く使用されるモデルは、結腸において慢性炎症と潰瘍形成を誘発する、2,4,6-トリニトロベンスルホン酸/エタノール(TNBS)誘発結腸炎モデルである。直腸内点滴注入法により感受性マウスの結腸にTNBSを導入すると、それが結腸粘膜においてT細胞媒介性免疫応答を引き起こし、この場合、大腸壁全体の至るところでのT細胞とマクロファージの深い浸潤を特徴とする大規模な粘膜の炎症につながる。そのうえ、この組織病理学的画像は、進行性の体重減少(消耗)、出血性下痢、直腸脱、及び大腸壁肥厚の臨床画像を伴う(Neurath et al. Intern. Rev. Immunol. 19: 51-62, 2000)。
別の大腸炎モデルは、好中球の浸潤による出血性下痢、体重減少、結腸の短縮、及び粘膜潰瘍によって明らかにされる急性結腸炎を引き起こすデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を使用する。DSS誘発結腸炎は、粘膜固有層内への炎症細胞の浸潤、リンパ組織過形成、限局性の陰眼損傷、及び上皮の潰瘍形成によって組織学的に特徴づけられる。これらの変化は、上皮に対するDSSの中毒作用のために、そして、粘膜固有層細胞の食作用及びTNF-αとIFN-γの産生によって発現すると考えられる。その一般的用法にもかかわらず、ヒトの疾病への関連性に関するDSSの作用機序に関するいくつかの問題が解決されないままで残っている。DSSは、それがSCIDマウスなどのT細胞欠損動物において観察されるので、T細胞独立モデルと見なされる。
TNBS又はDSSモデルへの、抗IL-31抗体又は結合パートナー、(ヘテロ二量体及び多量体受容体を含めた)ポリペプチドを含んで成る可溶性IL-31RA、例えば、IL-31RA-Fc4又は他のIL-31RA可溶性若しくは融合タンパク質などの投与は、症状を改善するためのIL-31拮抗薬の使用を評価するために、及び胃腸疾患の経過を変えるために使用される。IL-31は、大腸炎において炎症反応の中で役割を果たしているかもしれないので、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を投与することによるIL-31活性の中和は、IBDのための見込みのある治療方法である。
4.乾癬
乾癬は、700万人を超えるアメリカ人を襲う慢性的な皮膚症状である。乾癬は、新しい皮膚細胞が異常に成長すると起こり、古い皮膚が十分に素早く落ちていない皮膚の炎症、腫大、うろこ状の斑点をもたらす。最も一般的な形態である斑状乾癬は、銀白色の薄片で覆われた炎症を起こしている皮膚の斑点(「病変」)を特徴とする。乾癬は、いくつかのプラークに限られるか、又は最も一般的には、頭皮、膝、肘、及び胴体に現れる、皮膚の中程度〜広い領域に影響を与えるかもしれない。それは非常に目につくが、乾癬は伝染病でない。その疾患の発症機序は、罹患組織の慢性炎症にかかわる。可溶性のヘテロ二量体及び多量体受容体ポリペプチドであるIL-31RAポリペプチド、又は本発明の抗IL-31抗体若しくは結合パートナー等が、乾癬、他の炎症性皮膚疾患、皮膚及び粘膜アレルギー、並び関連疾病の炎症及び病理学的影響を軽減するための貴重な治療薬として役立つかもしれない。
乾癬は、かなり不快な症状を引き起こす皮膚のT細胞媒介性炎症性障害である。それは、療法が全くなく、あらゆる年齢の人々を襲う疾患である。乾癬は、ヨーロッパ及び北アメリカの人々の約2パーセントに影響を及ぼす。軽い乾癬の人は、多くの場合、局所治療薬でそれらの疾患を制御するが、世界中の100万以上の患者は紫外線又は全身的な免疫抑制療法を必要とする。残念ながら、紫外線照射の不便さと危険性、及び多くの治療法の毒性が、それらの長期使用を制限している。そのうえ、患者には、通常、乾癬の再発がある(場合によっては)。
IL-31は、重要な免疫学的機能をもつことが知られており、且つ、免疫系において役割を果たす細胞を含む組織から単離された。IL-31は、CD3+選択、活性化末梢血液細胞において発現され、そして、IL-31発現がその後のT細胞活性化を増強することがわかった。そのうえ、本明細書中の実施例の項に記載の実験の結果は、本発明のポリペプチドが、単球/マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、及び/又は単球/マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、又はこれらの細胞の祖先の分化状態の成長/増加に効果を有することを示唆している。造血系幹細胞の増殖、及び成熟細胞の活性化の両方を刺激する因子が一般に知られているが、しかしながら、増殖と活性化にはまた、追加的な増殖因子も必要とする可能性がある。例えば、IL-7とSteel因子(c-kitリガンド)が、NK祖先のコロニー形成に必要であることがわかった。IL-7及びSteel因子と組み合わせたIL-15+IL-2が、より効果的であった(Mrozek et al., Blood 87: 2632-2640, 1996)。しかしながら、未同定のサイトカインが、NK細胞、及び/又はNK祖先の特定のサブセットの増殖に必要であるかもしれない(Robertson et. al., Blood 76: 2451-2438, 1990)。同様に、IL-31は、単球/マクロファージ、T細胞、B細胞、又はNK細胞の成長、増殖、増加、及び分化の変更を促進するために単独で、又は他のサイトカインと共同で、又は相乗的に作用するかもしれない。
本発明は、単球/マクロファージの活性化又は分化を抑制するための方法を提供する。単球は、それらが成熟して、マクロファージになるさまざまな組織に遊走する不完全に分化された細胞である。マクロファージは、リンパ球に抗原を提示することによって免疫応答において中心的な役割を果たし、そして、多数のサイトカインを分泌することによって、リンパ球に対して補助細胞として補助的な役割を果たしている。マクロファージは、細胞外分子を吸収することができ、活性化により、細胞内の微生物及び腫瘍細胞を死滅させる増強された能力を有する。活性化マクロファージはまた、急性又は局所的な炎症の刺激にも関与する。
所定のサイトカインに対する受容体の組織分布は、そのサイトカインの作用の候補地の強力な目安を提供する。IL-31RAの発現は、CD3+、CD4+、及びCD8+T細胞の活性化により発現の劇的な増加を伴って、単球及びB細胞において見られた。加えて、2つの単球細胞株、THP-1(Tsuchiya et al., Tnt. J. Cancer 26: 171-176, 1980)及びU937(Sundstrom et al., Int. J. Cancer 17: 565-577, 1976)もまた、IL-31RA発現に関して陽性である。
OSMRの発現は、非常に幅広いことが報告されている(Mosley et al, JBC 271: 32635-32643, 1996)。IL-31RA及びOSM受容体のこの分布は、免疫応答、特に活性化によるT細胞の増加におけるIL-31の役割、又は免疫系の単球/マクロファージ腕における役割を裏付けている。
これにより、本発明の特定の態様は、炎症性及び免疫疾患、又は膵炎、I型糖尿病(IDDM)、膵臓癌、膵炎、グレーブス病、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、結腸と腸の癌、憩室炎、自己免疫疾患、敗血症、臓器又は骨髄移植;外傷、外科手術、若しくは感染による炎症;アミロイドーシス;脾腫;移植片対宿主病などの病態;並びに炎症の阻害、免疫抑制、造血細胞、免疫細胞、炎症細胞若しくはリンパ球細胞、マクロファージ、(Th1及びTh2細胞、CD4+及びCD8+細胞を含めた)T細胞の増殖の減少、病原菌又は抗原に対する免疫反応の抑制における拮抗薬としてのIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の使用に向けられる。そのうえ、活性化CD4+及びCD19+細胞のような活性化免疫細胞におけるIL-31RA発現の存在は、IL-31RA受容体が、外来の侵入物:例えば、微生物や細胞破片など、に対する体の免疫防衛反応に関与するかもしれず、炎症及び癌形成の間、免疫応答において役割を果たしているであろうことを示した。そういうものとして、IL-31などのIL-31RA受容体機能に対して作動性又は拮抗性である本発明の抗体及び結合パートナーは、免疫応答及び炎症を改善するのに使用される。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬はまた、IL-31の循環レベルの検出のための診断システムにも使用されるかもしれない。関連する態様の中で、IL-31ポリペプチドに特異的に結合する抗体又は他の作用物質が、循環IL-31ポリペプチドを検出するのに使用され得る。リガンド・ポリペプチドの高い又は低いレベルは、癌を含めた病的な状態を示唆しているかもしれない。IL-31ポリペプチドは、病理学的過程に寄与するかもしれないので、原疾患の間接的なマーカーとなり得る。
アテローム性動脈硬化症では、最初の異常の1つが、内皮細胞への単球/マクロファージの局在である。これらの病変は、IL-31に対する拮抗薬の使用で予防できるだろう。IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬もまた、IL-31に対する拮抗薬として使用できる。そのうえ、単芽球白血病は、マクロファージの生物学的産物の放出を反映するさまざまな臨床的異常に関連し、例としては、血清及び尿中の高レベルのリゾチーム、並びに高熱が含まれる。そのうえ、そのような白血病は、単球細胞の異常な増加を示す。これらの影響は、おそらく、本明細書中に記載したようなIL-31に対する拮抗薬によって予防できるだろう。そのうえ、抗IL-31は、本明細書中に記載したような毒性部分やサイトカインなどの分子に結合して、白血病単球細胞を死滅へと向かわせることができる。
IL-31は、T細胞、マクロファージ、及び単球特異的な様式で発現され、且つ、これらの疾患が、例えば、細胞増殖、機能、局在、及び活性化などの単球細胞の異常に関与するので、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、及び抗体は、そのような単球細胞異常を検出し、そして、疾患の存在を示す診断として使用できる。そのような方法は、例えば、血液、唾液、又は生検検体などの生物学的サンプルを患者から採取し、そして、それを正常対照サンプルと比較するステップを伴う。組織学的方法、細胞学的方法、フローサイトメトリーによる方法、生化学的方法、及びその他の方法が、正常対照と比較して、患者サンプル中のIL-31、又はIL-31を発現する細胞、すなわち、単球の相対的レベル又は局在を測定するのに使用できる。対照と比較した、IL-31発現レベルの変化(増減)又は単球の数又は局在の変化(例えば、通常、それらが存在しない組織中の単球細胞の増加又は浸潤)は、疾患を示唆しているだろう。そのような診断法はまた、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、又は抗体に付された放射性、蛍光、及び比色タグの使用も含まれ得る。そのような方法は、当該技術分野で周知であり、且つ、本明細書中に開示されている。
IL-31は、活性化単球で発現されることが示され、そして、炎症の調整に関与するかもしれない。そういうものとして、本発明のポリペプチドは、炎症を修正するそれらの能力に関してアッセイされ、そして、使用されることができるか、又は炎症のマーカーとして使用されることができる。IL-31の炎症誘発性及び抗炎症性の特質を測定する方法は、当該技術分野で知られていて、且つ、本明細書中で議論されている。そのうえ、それは、急性期反応物質、例えば、血清アミロイドA(SAA)、α1-アンチキモトリプシン、及びハプトグロビンの産生の上方制御に関与するかもしれず、かかるIL-31RA受容体リガンドの発現は、炎症反応に関与するリポ多糖(LPS)生体内における注射によって増加するかもしれない(Dumoutier, L. et al., Proc. Nat'1. Acad. Sci. 97: 10144-10149, 2000)。SAAなどの急性期タンパク質の産生は、炎症が有益である短期生存機構であると考えられる;しかしながら、より長期間にわたる急性期タンパク質の維持は慢性炎症に関与するので、ヒト健康に有害である可能性がある。総説のために、Uhlan CM and Whitehead, AS, Eur. J. Biochem. 265: 501-523, 1999及びBaumann H. and Gauldie, J. Immunology Today 15: 74-80, 1994を参照のこと。そのうえ、急性期タンパク質であるSAAは、いくつかの慢性炎症性疾患の発症機序に関係し、アテローム性動脈硬化と関節リウマチに関係し、そして、アミロイドーシスにおいて沈着するアミロイドAタンパク質に対する前駆体である(Ulilar, CM and Whitehead、前記)。これにより、例えば、IL-31などのリガンドが、炎症誘発性分子として作用し、且つ、SAAの産生を誘発する場合に、拮抗薬が、炎症性疾患、及びそのリガンドによって誘導される急性期反応タンパク質に関連している他の疾患を治療するのに有用であるだろう。そのような拮抗薬は、本発明によって提供される。炎症を軽減する方法は、炎症を軽減するのに十分である、ある量のIL-31又は抗IL-31抗体(例えば、中和抗体)の組成物を、炎症のある哺乳動物に投与するステップを含んで成る。そのうえ、炎症のある哺乳動物の炎症反応を抑制する方法は、以下のステップ:(1)血清アミロイドAタンパク質のレベルを測定し;(2)許容される医薬担体中、本明細書中に記載したようなIL-31ポリペプチド又は抗ILが-31抗体を含んで成る組成物を投与し;(3)血清アミロイドAタンパク質の投与後レベルを測定し;(4)ステップ(1)における血清アミロイドAタンパク質のレベルと、ステップ(3)における血清アミロイドAタンパク質のレベルを比較する;ここで、血清アミロイドAタンパク質レベルの増加又は減少の欠如が、炎症反応の抑制を示唆する、を含んで成る。
そのIL-31RA受容体cDNAに相当するmRNAの組織分布は、mRNA値が単球と前立腺細胞において最も高く、そして、活性化単球、並びに活性化CD4+、活性化CD8+、及び活性化CD3+細胞において上昇したことを示した。したがって、IL-31RA受容体はまた、炎症、及び免疫応答を誘発する際にも関係する。これにより、本発明の特定の態様は、炎症性及び免疫疾患、又は膵炎、I型糖尿病(IDDM)、膵臓癌、膵炎、グレーブス病、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、結腸と腸の癌、憩室炎、自己免疫疾患、敗血症、臓器又は骨髄移植;外傷、外科手術、若しくは感染による炎症;アミロイドーシス;脾腫;移植片対宿主病などの病態;並びに炎症の阻害、免疫抑制、造血細胞、免疫細胞、炎症細胞若しくはリンパ球細胞、マクロファージ、(Th1及びTh2細胞、CD4+及びCD8+細胞を含めた)T細胞の増殖の減少、病原菌又は抗原に対する免疫反応の抑制における拮抗薬としてのIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の使用に向けられる。そのうえ、活性化CD3+、単球、CD4+、及びCD19+細胞のような活性化免疫細胞におけるIL-31RA受容体及びIL-31発現の存在は、IL-31RA受容体が、外来の侵入物:例えば、微生物や細胞破片など、に対する体の免疫防衛反応に関与するかもしれず、炎症及び癌形成の間、免疫応答において役割を果たしているであろうことを示した。そういうものとして、IL-31RA受容体機能に対して作動性又は拮抗性である本発明のIL-31及びIL-31抗体は、免疫応答及び炎症を改善するのに使用される。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬は、以下のことに有用である:
1)急性炎症の、外傷、組織傷害、外科手術、敗血症、又は感染の結果としての炎症の、及び、例えば、喘息、炎症性腸疾患(IBD)、慢性大腸炎、脾腫、関節リウマチ、再帰的な急性炎症性症状の発現(例えば、結核)などの慢性炎症性疾患の治療における、並びにアミロイドーシス及びアテローム性動脈硬化、カースルマン病、喘息、及び急性期反応の誘導に関連した他の疾患の治療におけるIL-31RAを含んで成る受容体を介したシグナル伝達との拮抗又はその遮断。
2)IL-31RA受容体を介した免疫細胞(例えば、リンパ球、単球、白血球)におけるシグナル伝達の予防又は阻害のための、自己免疫疾患、例えば、IDDM、多発性硬化症(MS)、全身性Lupusエリテマトーデス(SLE)、重症筋無力症、関節リウマチ、及びIBDなどの治療におけるIL-31RA受容体を介したシグナル伝達との拮抗又はその遮断(Hughes C et al., J. Immunol 153: 3319-3325, 1994)。あるいは、IL-31に対するモノクローナル抗体(MAb)などの抗体はまた、自己免疫疾患を治療するために、望ましくない免疫細胞を削減するための拮抗薬として使用される。喘息、アレルギー、及び他のアトピー性疾患は、免疫応答を抑制するか、又は間違った細胞を削減するための、例えば、抗IL-31抗体、可溶性IL-31RA受容体可溶性受容体、又はIL-31RA/CRF2-4ヘテロ二量体、に対するMAbで治療されるかもしれない。本発明のポリペプチド及び抗体を使用したIL-31RAを介したシグナル伝達の遮断又は阻害はまた、膵臓、腎臓、下垂体、及び神経細胞の疾患にも恩恵があるかもしれない。IDDM、NIDDM、膵炎、及び膵臓癌は恩恵を受けるかもしれない。IL-31RAは、拮抗性MAbが、癌の増殖を阻害し、且つ、免疫を媒介した殺滅を狙う癌のMAb治療法のための標的として役立つかもしれない(Holliger P, and Hoogenboom, H: Nature Biotcch. 16: 1015-1016, 1998)。可溶性IL-31RA受容体単量体、ホモ二量体、ヘテロ二量体、及び多量体に対するMabsもまた、糸球体硬化症、膜性神経障害、アミロイドーシス(また、他の組織の中でも腎臓に影響する)、腎動脈硬化症、さまざまな起源の糸球体腎炎、腎臓の線維増殖性疾患などのネフロパシー、並びにSLE、IDDM、II型糖尿病(NIDDM)、腎腫瘍、及び他の疾患に関連する腎機能障害を治療するためにも有用であるかもしれない。
3)例えば、TDDM、MS、SLE、重症筋無力症、関節リウマチ、及びIBDなどの自己免疫疾患の治療におけるIL-31RA受容体を介したシグナル伝達の作動又は開始。TL31は、分化するように、増殖を変化させるように、又はa自己免疫を改善するサイトカイン又は細胞表面タンパク質の産生を変えるようにリンパ球又は他の免疫細胞に合図するかもしれない。具体的には、サイトカイン分泌の代替パターンへのTヘルパー細胞応答の調節は、疾患を改善するための自己免疫応答を逸脱させるかもしれない(Smith JA et al., J. Immunol. 160: 4841-4849, 1998)。同様に、IL-31は、喘息、アレルギー、及びアトピー性疾患に関与する免疫細胞にシグナルを送る、削減する、及び逸脱させるのに使用されるかもしれない。IL-31RA受容体を介したシグナル伝達はまた、膵臓、腎臓、下垂体、及び神経細胞の疾患の恩恵を与えるかもしれない。IDDM、NIDDM、膵炎、及び膵臓癌は、恩恵を受けるかもしれない。IL-31RAは、シグナル伝達MAbが癌の増殖を阻害し、且つ、免疫が媒介した殺滅を狙うところの膵臓癌のMAb治療法の標的として役立つかもしれない(Tutt, AL et al., J Immunol. 161: 3175-3185, 1998)。同様に、T細胞に特異的な白血病、リンパ腫、形質細胞疾患(例えば、多発性骨髄腫)、及び癌腫は、本発明のIL-31RAを含んで成る可溶性受容体に対するモノクローナル抗体(例えば、中和抗体)を用いて治療されるかもしれない。
通例、投与されるIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の投薬量は、患者の年齢、体重、身長、性別、全般的な病状、及び以前の病歴といった要因によって異なるだろう。状況が左右するように、より少ない又は多い投薬量もまた投与されるかもしれないが、通常、約1pg/kg〜10mg/kg(作用物質の量/患者の体重)の範囲にあるIL-31ポリペプチドの投薬量を受容者に提供することが望ましい。当業者は、当該技術分野で公知の方法を使用して、そのような投薬量を容易に決定し、そして、それに合わせることができる。
対象へのIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の投与は、局部、吸入、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸膜腔内、くも膜下腔内、局所カテーテルを通じた注入によって、又は病変内直接注入によってであってもよい。注射による治療用タンパク質を投与するとき、その投与は、連続点滴によってか、又は単回若しくは複数回のボーラスによってであるかもしれない。
追加的な投与経路には、経口、粘膜−膜、肺、及び経皮が含まれる。経口デリバリーは、ポリエステル・ミクロスフェア、ゼイン・ミクロスフェア、プロテイノイド・ミクロスフェア、ポリシアノアクリラート・ミクロスフェア、及び脂質ベースのシステムに好適である(例えば、DiBase and Morrel, "Oral Delivery of Microencapsulated Proteins," in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), pages 255-288 (Plenum Press 1997)を参照のこと)。鼻腔内デリバリーの実現可能性は、インシュリン投与のそのような方法によって例示される(例えば、Hinchcliffe and Ilium, Adv. Drug Deliv. Rev. 35: 199 (1999)を参照のこと)。IL-31を含んで成る乾燥又は液体粒子が、調製され、そして、乾燥粉末分散機、液体エアロゾル発生装置、又はネブライザを用いて吸入される(例えば、Pettit and Gombotz, TIBTECH 76: 343 (1998);Fatten et al., Adv. Drug Deliv. Rev. 35: 235 (1999))。このアプローチは、煙霧化したインスリンを肺にデリバリーする携帯電気吸入器であるAERX糖尿病管理システムによって例証される。研究は、48,000kDa位の大きさのタンパク質が、低周波超音波を用いて治療濃度にて皮膚を越えてデリバリーされたことを示し、経皮投与の実現可能性を例証した(Mitragotri et al., Science 269: 850 (1995))。エレクトロポレーションを使用した経皮デリバリーは、IL-31結合活性を有する分子を投与する別の手段を提供する(Potts et al., Pharm. Biotechnol. 10: 213 (1997))。IL-31結合活性を有するIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を含んで成る医薬組成物は、医薬的に有用な組成物を調製する公知の方法に従って処方され、それにより、治療用タンパク質は、医薬として許容される担体との混合物中に組み合わせられる。組成物は、その投与が受容患者によって許容されるなら、「医薬として許容される担体」であると言われる。無菌のリン酸緩衝化生理的食塩水は、医薬として許容される担体の1つの例である。その他の好適な担体は、当業者に周知のことである。例えば、Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company 1995)を参照のこと。
治療法の目的のために、IL-31結合活性を有する分子と、医薬として許容される担体が、患者に治療的有効量で投与される。IL-31結合活性を有するタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドと、医薬として許容される担体の組み合わせは、投与された量が生理学的に有意であるなら、「治療的有効量」で投与されたと言われる。その存在が受容患者の生理に検出可能な変化をもたらすなら、作用物質は生理学的に有意である。例えば、炎症を治療するのに使用される作用物質は、その存在が炎症反応の少なくとも一部を緩和するなら、生理学的に有意である。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を含んで成る医薬組成物は、液体、エアロゾル、又は固体で提供される。液体は、注射液、エアロゾル、液滴、トポロジカル・ソリューション(topological solutions)、及び経口懸濁剤によって例証される。代表的な固体には、カプセル剤、錠剤、及び制御放出形態が含まれる。後者の形態は、小型浸透圧ポンプ及び移植片によって例証される(Bremer et al., Pharm. Biotechnol. 10:239 (1997);Ranade, "Implants in Drug Delivery," in Drug Delivery Systems, Ranade and Hollinger (eds.), pages 95-123 (CRC Press 1995);Bremer et al., "Protein Delivery with Infusion Pumps," in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), pages 239-254 (Plenum Press 1997);Yewey et al., "Delivery of Proteins from a Controlled Release Injectable Implant," in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), pages 93-117 (Plenum Press 1997))。その他の固体には、クリーム剤、ペースト剤、他のトポロギカルな適用(topological applications)等が含まれる。
本明細書中に開示されたIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬はまた、免疫リポソームとして処方されるかもしれない。抗体を含むリポソームは、例えば、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980);及び米国特許番号第4,485,045号と同第4,544,545号に記載のものなどの当該技術分野で知られている方法によって調製される。長い循環時間を有するリポソームは、米国特許番号第5,013,556号に開示されている。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の治療用製剤は、保管のために任意の生理学的に許容される担体、賦形剤、又は安定化剤と、所望の純度を有する抗体を混合することによって(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、利用された投薬量及び濃度にて受容者に対して無毒であって、そして、例えば、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含めた抗酸化剤;保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキル・パラベン、例えば、メチル若しくはプロピル・パラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなどのタンパク質;例えば、ポリビニルピロリドンなどの親水性重合体;例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含めた単糖、二糖、及びその他の炭水化物;例えば、EDTAなどのキレート剤;例えば、ショ糖、マンニトール、トレハロース、又はソルビトールなどの糖;例えば、ナトリウムなどの塩を形成する対イオン;金属複合物(例えば、Zn−タンパク質複合体);及び/又は例えば、Tween.TM.、Pluronics.TM.、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤、が含まれる。
本明細書中の製剤はまた、治療すべき特定の適応症の必要に応じて2種類以上の活性化合物、好ましくは互いに悪影響を与えない相補的な活性を有するものを含むかもしれない。例えば、1つの製剤中にIL-31に結合する抗体をさらに提供することが望ましいかもしれない。あるいは又は加えて、前記組成物は、化学療法薬又はサイトカインを含んで成るかもしれない。そのような分子は、意図した目的のために有効である量の組み合わせで好適に存在する。
有効成分はまた、例えば、液滴形成技術によって若しくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル内に、例えば、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン・マイクロカプセル、及びポリ-(メチルメタクリラート)マイクロカプセルは、それぞれ、コロイド状薬物デリバリー・システム(例えば、リポソーム、アルブミン・ミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)内に、又はマクロエマルジョン内に、封じ込められるかもしれない。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A, Ed. (1980)に開示されている。
生体内投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜を通す濾過によって容易に達成される。
徐放性製剤が調製されるかもしれない。徐放性製剤の適切な例には、マトリックスが成形品の形である、抗体を含む固形疎水性ポリマーの半浸性材料、例えば、フィルム又はマイクロカプセルが含まれる。徐放性放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許番号第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタマートの共重合体、非崩壊性エチレン−酢酸ビニル、崩壊性乳酸−グリコール酸共重合体、例えば、Lupron Depot.TM.など(乳酸−グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドで構成された注射用ミクロスフェア)、並びにポリ-D-(−)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。例えば、エチレン−酢酸ビニルや乳酸−グリコール酸などの重合体は、100日間を超える分子放出を可能にするが、特定のヒドロゲルは、より短期間、タンパク質を放出する。封入された抗体が長期間、体内に残っていると、それらは、37℃にて湿気に晒される結果として変性又は凝集し、生物学的活性の喪失と免疫原性の起こり得る変化をもたらすかもしれない。合理的なストラテジーは、関与する作用機序に依存して安定化のために対処できる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換による分子間S-S結合形成であることを見つけたなら、安定化は、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含量の制御、適切な添加物の使用、及び特定の重合体マトリックス組成物の開発によって達成されるかもしれない。
IL-31結合活性を有するポリペプチドは、タンパク質マイクロカプセル化の標準的な技術を使用してリポソーム内にカプセル化されてもよい(例えば、Anderson et al., Infect. Immun. 31: 1099 (1981)、Anderson et al, Cancer Res. 50:1853 (1990)、及びCohen et al., Biochim. Biophvs. Acta 1063:95 (1991)、Alving et al., "Preparation and Use of Liposomes in Immunological Studies," in Liposome Technology, 2nd Edition, Vol. III, Gregoriadis (ed.), page 317 (CRC Press 1993)、Wassef et al., Meth. Enzymol 149:124 (1987)を参照のこと)。先に述べたように、治療的に有効なリポソームは、さまざまな成分を含むかもしれない。例えば、リポソームはポリ(エチレングリコール)の脂質誘導体を含んで成るかもしれない(Alien et al., Biochim. Biophys. Acta 1150:9 (1993))。
崩壊性重合体ミクロスフェアは、治療用タンパク質の高い全身レベルを維持するように設計されている。ミクロスフェアは、例えば、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)、ポリ酸無水物、ポリ(オルト・エステル)、非生物分解性エチル酢酸ビニル重合体などの分解性高分子から調製され、タンパク質がその重合体中に封じ込められている(Gombotz and Pettit, Bioconjugate Chem. 6: 332 (1995);Ranade, "Role of Polymers in Drug Delivery," in Drug Delivery Systems, Ranade and Hollinger (eds.), pages 51-93 (CRC Press 1995);Roskos and Maskiewicz, "Degradable Controlled Release Systems Useful for Protein Delivery," in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), pages 45-92 (Plenum Press 1997);Bartus et al., Science 281: 1161 (1998);Putney and Burke, Nature Biotechnology 16: 153 (1998);Putney, Curr. Opin. Chem. Biol. 2: 548 (1998))。ポリエチレングリコール(PEG)コートしたナノスフェアはまた、治療用タンパク質の静脈内投与のための担体も提供する(例えば、Gref et al., Pharm. Biotechnol. 10: 167 (1997))。
他の投与形態は、例えば、Ansel and Popovich, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th Edition (Lea & Febiger 1990), Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company 1995)、及びRanade and Hollinger, Drug Delivery Systems (CRC Press 1996)によって示されるように当業者によって対処される。
例証として、医薬組成物は、IL-31ポリペプチド又はIL-31拮抗薬(例えば、IL-31ポリペプチドに結合する抗体又は抗体フラグメント)を含んで成るコンテナを含んで成るキットとして供給されるかもしれない。治療用ポリペプチドは、単回若しくは複数回の用量のための注射液の形態で、又は注射前に再構成される無菌の粉末として提供されてもよい。あるいは、そのようなキットには、乾燥粉末分散機、液体エアロゾル発生装置、又は治療用ポリペプチド投与のためのネブライザが含まれる。
ある側面の中で、本発明は、ヒトIL-31に結合する単離抗体に関係し、ここで、上述の抗体は、以下の:a)ATCC特許寄託表示PTA-6815;b)ATCC特許寄託表示PTA-6816;c)ATCC特許寄託表示PTA-6829;d)ATCC特許寄託表示PTA-6830;e)ATCC特許寄託表示PTA-6831;f)ATCC特許寄託表示PTA-6871;g)ATCC特許寄託表示PTA-6872;h)ATCC特許寄託表示PTA-6875;及びi)ATCC特許寄託表示PTA-6873から選択されるATCC特許寄託表示をもつアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)に寄託されたハイブリドーマによって産生されたモノクローナル抗体由来のヒト化抗体であり、且つ、ここで、上述の抗体は、ヒトIgG4である重鎖免疫グロブリン定常ドメインを含んで成る。ある態様において、ヒトIgG4定常ドメインは、溶液中で安定であり、補体活性化活性がほとんどない突然変異型である。特定の態様において、重鎖免疫グロブリン定常領域ドメインは、241位(カバット番号付け)でのSerからProへの突然変異を有するヒトIgG4定常ドメインである。
他の側面の中で、これらの抗体は、本明細書中に記載のように、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡を含めた疾患を治療するのに使用される。
ある態様において、本発明は、免疫グロブリン軽鎖定常領域ドメインがκ又はλヒト免疫グロブリン軽鎖の定常領域から成る群から選択される、本明細書中に開示される単離抗体に関係する。好ましくは、免疫グロブリン軽鎖定常領域ドメインは、κヒト免疫グロブリン軽鎖の定常領域である。
ある側面において、本発明は、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインがクローン292.12.3.1、292.84.1.6、292.63.5.3、294.144.3.5、292.39.5.3、292.51.5.2、292.64.6.5.5、292.105.4.1、292.109.4.4、292.118.6.4、及び292.72.3.1のCDR配列を含んで成る、本明細書中に開示されるような単離抗体に関係する。CDR配列は、図面、及び以下の表3に示されている。
ある側面において、本発明は、本明細書中に開示されるような単離抗体に関係し、ここで、a)重鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号51から成る第1CDR配列、配列番号52又は配列番号57から成る第2CDR配列、及び配列番号53から成る第3CDR配列を含んで成るり;そして、b)軽鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号54から成る第1CDR配列、配列番号55から成る第2CDR配列、及び配列番号56から成る第3CDR配列を含んで成る。ある態様において、抗体は、本明細書中で議論されるように、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡を含めた疾患を治療するために使用される。他の態様において、TARC又はMDCなどのケモカインが計測される。
ある態様において、本発明は、本明細書中に開示されるように単離抗体に関係し、ここで、a)重鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号51から成る第1CDR配列、配列番号58から成る第2CDR配列、及び配列番号59から成る第3CDR配列を含んで成り;且つ、b)軽鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号60から成る第1CDR配列、配列番号61から成る第2CDR配列、及び配列番号62から成る第3CDR配列を含んで成る。ある態様において、抗体は、本明細書中で議論されるように、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡を含めた疾患を治療するために使用される。他の態様において、TARC又はMDCなどのケモカインが計測される。
ある態様において、本発明は、本明細書中に開示されるように単離抗体に関係し、ここで、a)重鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号63から成る第1CDR配列、配列番号64から成る第2CDR配列、及び配列番号65から成る第3CDR配列を含んで成り、且つ、b)軽鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号66から成る第1CDR配列、配列番号67から成る第2CDR配列、及び配列番号68から成る第3CDR配列を含んで成る。ある態様において、抗体は、本明細書中で議論されるように、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡を含めた疾患を治療するために使用される。他の態様において、TARC又はMDCなどのケモカインが計測される。
ある態様において、本発明は、本明細書中に開示されるように単離抗体に関係し、ここで、a)重鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号69から成る第1CDR配列、配列番号70又は配列番号79から成る第2CDR配列;及び配列番号71から成る第3CDR配列を含んで成り、且つ、b)軽鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号72から成る第1CDR配列、配列番号73から成る第2CDR配列、及び配列番号74から成る第3CDR配列を含んで成る。ある態様において、抗体は、本明細書中で議論されるように、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡を含めた疾患を治療するために使用される。他の態様において、TARC又はMDCなどのケモカインが計測される。
ある態様において、本発明は、本明細書中に開示されるように単離抗体に関係し、ここで、a)重鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号75から成る第1CDR配列、配列番号76から成る第2CDR配列、及び配列番号65から成る第3CDR配列を含んで成り、且つ、b)軽鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号77から成る第1CDR配列、配列番号78から成る第2CDR配列、及び配列番号68から成る第3CDR配列を含んで成る。ある態様において、抗体は、本明細書中で議論されるように、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡を含めた疾患を治療するために使用される。他の態様において、TARC又はMDCなどのケモカインが計測される。
ある態様において、本発明は、本明細書中に開示されるように単離抗体に関係し、ここで、a)重鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号80から成る第1CDR配列、配列番号817から成る第2CDR配列、及び配列番号82から成る第3CDR配列を含んで成り、且つ、b)軽鎖可変ドメインが、アミノ酸配列の配列番号83から成る第1CDR配列、配列番号84から成る第2CDR配列、及び配列番号85から成る第3CDR配列を含んで成る。ある態様において、抗体は、本明細書中で議論されるように、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、薬物誘導性アレルギー反応、皮膚指向性ウイルス及びウイルス関連掻痒症、白斑、皮膚T細胞性リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性座瘡、尋常性座瘡、結節性痒疹、並びに類天疱瘡を含めた疾患を治療するために使用される。他の態様において、TARC又はMDCなどのケモカインが計測される。
1つの側面の中で、本発明は、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対する特異的結合に競合するモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを提供し、ここで、上記モノクローナル抗体は、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。ある態様の中で、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、IL-31(配列番号2)の、IL-31RA(配列番号5)との相互作用を阻害するか、遮断するか、又は中和する。他の態様の中で、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、以下の:(a)マウス・モノクローナル抗体又は抗体フラグメント;(b)ヒト化抗体又は抗体フラグメント;(c)ヒト・モノクローナル抗体から成る群から選択される。他の態様の中で、抗体はペグ化をさらに含んで成る。
他の側面の中で、本発明は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成るモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを提供し、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、以下の:a)配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対する特異的結合に競合するモノクローナル抗体又は抗体フラグメント、ここで、上記軽鎖可変領域と重鎖可変領域が、以下の:i)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;ii)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択されるモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを含んで成り;そして、b)配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対する特異的結合に競合するモノクローナル抗体又は抗体フラグメント、ここで、上記軽鎖可変領域と重鎖可変領域が、以下の:i)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;ii)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;iii)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;iv)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;v)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;vi)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;vii)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;vii)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択されるモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される、から成る群から選択される。ある態様の中では、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、IL-31(配列番号2)のIL-31RA(配列番号5)との相互作用を阻害するか、遮断するか、又は中和する。他の態様の中で、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに特異的に結合する競争し、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。他の態様の中では、モノクローナル抗体は、以下の:(a)マウス・モノクローナル抗体又は抗体フラグメント;(b)ヒト化抗体又は抗体フラグメント;(c)ヒト・モノクローナル抗体、から成る群から選択される。他の態様の中では、抗体は、ペグ化をさらに含んで成る。他の態様の中では、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに特異的に結合するために競合し、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成る。他の態様の中では、モノクローナル抗体は、以下の:(a)マウス・モノクローナル抗体又は抗体フラグメント;(b)ヒト化抗体又は抗体フラグメント;(c)ヒト・モノクローナル抗体、から成る群から選択される。他の態様の中では、抗体は、ペグ化をさらに含んで成る。
他の側面の中で、本発明は、哺乳動物において炎症を、軽減、遮断、阻害、又は中和する方法であって、その哺乳動物に配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対する特異的結合に競合するモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを投与するステップを含んで成る前記方法を提供し、ここで、上記モノクローナル抗体が、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。ある態様の中では、哺乳動物への抗体の投与は、炎症誘発性ケモカインの産生を、低減、遮断、阻害、又は中和する。さらなる態様の中で、炎症誘発性ケモカインは、TARC又はMDCである。他の態様の中では、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに特異的に結合するために競合し、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;及びb)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。他の態様の中では、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに特異的に結合するために競合し、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成る。
他の側面の中で、本発明は、哺乳動物において掻痒症を軽減する、遮断する、阻害する、又は中和する方法であって、その哺乳動物に、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対する特異的結合に競合するモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを投与するステップを含んで成る前記方法を提供し、ここで、上記モノクローナル抗体が、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。ある態様の中では、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに特異的に結合するために競合し、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;及びb)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。他の態様の中で、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに特異的に結合するために競争し、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;及びh)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成る。他の態様の中では、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントの投与は、皮膚炎を軽減するか、遮断するか、阻害するか、又は中和する。さらなる態様の中で、皮膚炎は、アトピー性皮膚炎又は結節性痒疹である。
他の側面の中で、本発明は、哺乳動物の引っ掻きを低減するか、遮断するか、阻害するか、又は中和する方法であって、その哺乳動物に、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対する特異的結合に競合するモノクローナル抗体又は抗体フラグメントを投与するステップを含んで成る前記方法を提供し、ここで、上記モノクローナル抗体が、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;i)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;j)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。他の態様の中で、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに特異的に結合するために競合し、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号8のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号9のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号26のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号27のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成り、且つ、ここで、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、ヒトIgG4 Fc分子と共に使用される。他の態様の中では、モノクローナル抗体又は抗体フラグメントは、配列番号2のアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドに対する特異的結合に競合する、上記モノクローナル抗体又は抗体フラグメントが、以下の:a)配列番号10のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号11のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;b)配列番号12のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号13のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;c)配列番号14のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号15のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;d)配列番号16のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号17のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;e)配列番号18のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号19のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;f)配列番号20のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号21のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;g)配列番号22のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号23のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域;h)配列番号24のアミノ酸配列を含んで成る軽鎖可変領域と配列番号25のアミノ酸配列を含んで成る重鎖可変領域、から成る群から選択される軽鎖可変領域と重鎖可変領域を含んで成る。
他の側面の中で、本発明は、造血細胞及び造血始原細胞のIL-31誘発性増殖又は分化を阻害するための方法であって、可溶性サイトカイン受容体の不存在下で培養された骨髄又は末梢血液細胞と比較した場合に、骨髄又は末梢血液細胞の中の造血細胞の増殖若しくは分化を低減するのに十分な量の本明細書中に開示されるIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を含んで成る組成物と一緒に、骨髄又は末梢血液細胞を培養するステップを含んで成る前記方法を提供する。1つの態様において、造血細胞及び造血始原細胞のIL-31誘発性増殖又は分化を阻害する方法は、先に開示されたとおりのものである、ここで、上記造血細胞及び造血始原細胞はリンパ系細胞である。他の態様において、造血細胞及び造血始原細胞のIL-31誘発性増殖又は分化を阻害する方法は、先に開示されたとおりのものである、ここで、上記リンパ系細胞は、マクロファージ又はT細胞である。
他の側面の中で、本発明は、IL-31誘発性炎症を軽減する方法であって、炎症のある哺乳動物に、炎症を軽減するの十分な量の本明細書中に開示されるIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の組成物を投与するステップを含んで成る前記方法を提供する。
他の側面の中で、本発明は、炎症のある哺乳動物の炎症反応を抑制する方法であって、以下のステップ:(1)炎症分子のレベルを測定し;(2)許容される賦形薬中に本明細書中で開示されるIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を含んで成る組成物を投与し;(3)投与後の上記炎症分子のレベルを測定し;(4)ステップ(1)における炎症分子のレベルを、ステップ(3)における炎症分子のレベルと比較し、ここで、炎症分子レベルの増加又は減少の欠如が、炎症反応の抑制を示唆している、を含んで成る前記方法を提供する。1つの態様において、抗体は、先に開示されているとおりのものである、ここで、上記抗体が、放射性核種、酵素、基質、補因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチド・タグ、磁性粒子、薬物、又は毒素をさらに含んで成る。
他の側面の中で、本発明は、造血細胞及び造血始原細胞のIL-31誘発性増殖又は分化を阻害するための方法であって、可溶性サイトカイン受容体の不存在下で培養された骨髄又は末梢血液細胞と比較した場合に、骨髄又は末梢血液細胞の中の造血細胞の増殖若しくは分化を低減するのに十分な量の本明細書中に開示されるIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を含んで成る組成物と一緒に、骨髄又は末梢血液細胞を培養するステップを含んで成る前記方法を提供する。1つの態様において、造血細胞及び造血始原細胞のIL-31誘発性増殖又は分化を阻害する方法は、先に開示されたとおりのものである、ここで、上記造血細胞及び造血始原細胞はリンパ系細胞である。他の態様において、造血細胞及び造血始原細胞のIL-31誘発性増殖又は分化を阻害する方法は、先に開示されたとおりのものである、ここで、上記リンパ系細胞は、マクロファージ又はT細胞である。
他の側面の中で、本発明は、IL-31誘発性炎症を軽減する方法であって、炎症のある哺乳動物に、炎症を軽減するの十分な量の本明細書中に開示されるIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の組成物を投与するステップを含んで成る前記方法を提供する。
他の側面の中で、本発明は、炎症のある哺乳動物の炎症反応を抑制する方法であって、以下のステップ:(1)炎症分子のレベルを測定し;(2)許容される賦形薬中に本明細書中で開示される抗体、IL-31結合分子、又はIL-31拮抗薬を含んで成る組成物を投与し;(3)投与後の上記炎症分子のレベルを測定し;(4)ステップ(1)における炎症分子のレベルを、ステップ(3)における炎症分子のレベルと比較し、ここで、炎症分子レベルの増加又は減少の欠如が、炎症反応の抑制を示唆している、を含んで成る前記方法を提供する。
他の側面の中で、本発明は、IL-31が役割を果たしている炎症性疾患を患っている哺乳動物を治療する方法であって、以下のステップ:上記哺乳動物に、炎症が軽減されるようにIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を投与し、ここで、上記拮抗薬が、IL-31(配列番号2)のポリペプチド又はポリペプチド断片に特異的に結合する、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬から成る群から選択される、を含んで成る前記方法を提供する。1つの態様において、炎症性疾患を患っている哺乳動物を治療する方法は、先に開示されるとおりのものである、ここで、上記疾患は、慢性炎症性疾患である。他の態様において、炎症性疾患を患っている哺乳動物を治療する方法は、先に開示されているとおりのものである、ここで、上記疾患が、以下の:炎症性腸疾患;潰瘍性大腸炎;クローン病;アトピー性皮膚炎;湿疹;及び乾癬から成る群から選択される慢性炎症性疾患である。他の態様において、炎症性疾患を患っている哺乳動物を治療する方法は、先に開示されるとおりのものである、ここで、上記疾患が、急性炎症性疾患である。他の態様において、炎症性疾患を患っている哺乳動物を治療する方法は、先に開示されているとおりのものである、ここで、上記疾患が、以下の:内毒素血症;敗血症;中毒性ショック症候群;及び感染病から成る群から選択される急性炎症性疾患である。他の態様において、炎症性疾患を患っている哺乳動物を治療する方法は、先に開示されているとおりのものである、ここで、上記抗体が、放射性核種、酵素、基質、補因子、蛍光マーカー、化学発光マーカー、ペプチド・タグ、磁性粒子、薬物、又は毒素をさらに含んで成る。
他の側面の中で、本発明は、患者の炎症を検出するための方法であって、以下のステップ:患者から組織又は生物学的サンプルを得;上記組織又は生物学的サンプルを、本明細書中に開示されるIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬と共に、そのIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬が上記組織又は生物学的サンプル内のその相補的なポリペプチドに結合する条件下でインキューベートし、上記組織又は生物学的サンプルに結合したIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を視覚化し;そして、患者からの組織又は生物学的サンプルに結合したIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬のレベルを、正常対照組織又は生物学的サンプルと比較し、ここで、正常対照組織又は生物学的サンプルに対する、患者の組織又は生物学的サンプルに結合したIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬のレベルの増大が、患者の炎症を示唆している、を含んで成る前記方法を提供する。
本発明は、以下の制限されることのない実施例によってさらに例証される。
可変領域の定量
軽鎖及び重鎖可変領域の配列を、以下の方法で決定した:
RNA抽出/5’RACE対応cDNA生成:
ハイブリドーマ細胞株(約4.5×106細胞)を、1×PBSで洗浄した後に、遠心分離によって回収した。RNAを、取扱説明書に従い、QiagenのRNeasyミニ精製キットを使用して精製した。得られたRNAを、確認のために1.2% E-ゲルにより見えるようにした。最初の鎖のcDNA合成を、5’RACE対応cDNAを提供するBD BiosciencesのBD SMART RACE cDNA Amplification Kitを使用して実施した。
軽鎖と重鎖可変領域配列の増幅:
5’RACE対応cDNAを、BD BiosciencesのBD SMART RACE cDNA Amplification Kitに記載のPCR法の鋳型として使用した。重鎖及び軽鎖の両方のPCR増幅には、5’PCRオリゴヌクレオチドとして、前記キットによって提供される10×UPM(汎用プライマーミックス)を使用した。3’PCRオリゴヌクレオチドは、以下のとおりであった:
マウスκ(zc54289: 5’-CGACT GAGCC ACCTC CAGAT GTTAA CTGCT CAC-3’ 配列番号28)
マウスIgG1(zc54983:5’-CAGGG GCCAG TGGAT AGACA GATGG GGG-3’ 配列番号29)
マウスIgG2a(zc55640:5’-CAGGG GCCAG TGGAT AGACC GATGG GG-3’ 配列番号30)
軽鎖及び重鎖可変領域配列PCR産物を、GE Healthcare illustra GFX tm PCR DNA及びGel Band Purification Kitを使用してゲル精製し、そして、Invitrogen TOPO TA Cloning Kitを用いてクローンニングした。1つの可変領域あたり1つのハイブリドーマにつき8つの別個のコロニーを、M13R及びMI3Fキット・プライマーを用いたコロニーPCR法によってスクリーニング糸、そして、配列決定のために提出した。配列決定を、ABI PRISM BigDye Terminator v3.0 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems、Foster City, CA)を使用して実施した。配列決定反応物を、EdgeBioSystems Centriflex Gel Filtration Cartridges(Gaithersburg、MD)を使用して精製し、そして、ABI PRISM 377 DNAシーケンサ(Applied Biosystems、Foster City, CA)で作動させた。得られた配列データを、Sequencher v4.1ソフトウェア(GeneCodes Corporation、Ann Arbor, MI.)を使用して組み合わせ、そして、編集した。
表1は、可変領域の配列について配列番号を示し、それは、図1〜4にさらに記載されている。
表2は、可変領域の配列について配列番号を示し、それは、図1〜4にさらに記載されている。
ハイブリドーマ292.12.3.1と292.84.1.6は、互いに広範囲に及ぶ配列同一性を共有する軽鎖と重鎖を発現する。292.12.3.1と292.84.1.6の軽鎖及び重鎖可変領域のアミノ酸配列整列を、図2に示す。高度な共有配列同一性は、軽鎖可変領域が、同じ軽鎖可変領域生殖系列の遺伝子に由来し、そのうえ、重鎖可変領域もまた、同じ重鎖可変領域生殖系列の遺伝子に由来することを示唆している。加えて、軽鎖及び重鎖のCDR3とFR4の両方にわたる同一性は、軽鎖中の同じJL、そして、重鎖CDR3中の同じJH及びD領域、並びにNやPヌクレオチド付加の利用を示している。ハイブリドーマ292.12.3.1及び292.84.1.6の両方がκ軽鎖を発現するが、292.12.3.1がIgG1重鎖を発現し、それに対して、292.84.1.6がIgG2a重鎖を発現する。これらのハイブリドーマの両方が同じ初期B細胞免疫グロブリン座転位事象の誘導体であり、且つ、292.84.1.6がIgG2a重鎖へのその後のクラススイッチの結果物であると思われる。クラススイッチの前か、又はクラススイッチの後に、292.12.3.1と292.84.1.6は軽鎖中の単一アミノ酸の相違、及び重鎖中の4個のアミノ酸の相違につながるさらなる体細胞突然変異の取り込みによって分岐した。
アミノ末端のタンパク質配列決定
N末端のタンパク質配列決定を、重鎖及び軽鎖抗体配列を決定するために使用した。抗体を、ピログルタマート・アミノ・ペプチダーゼ(PGAP)処理を使って、又はそれを使わずに加工した。未処理サンプルを、100ピコモル(pmol)のタンパク質及び水の添加によって加工した。PGAP処理サンプルを、1×PGAPバッファー中の100pmolのタンパク質、水、0.03%のSDS、5×PGAPバッファー(Takara Bio Inc.、Japan)、及びPGAP酵素(1mU)の添加によって加工した。PGAP反応を、95℃にて10分間実施した。この酵素的処理は、ピログルタミン酸基のN末端ブロッキングを取り除いた。還元SDS PAGEバッファーを、無処理及びPGAP処理サンプルの両方に追加し、次に、そのサンプルを、沸騰水浴中で5分間加熱した。そのサンプルを、SDS PAGE勾配ゲル上に流した。ゲルを、PVDF膜に移し取り、そして、クマシー・ブルーで染色した。2つの可視バンドを、50kDaと25kDaの見かけ上のSDS PAGE分子量で、各サンプルに関して観察した。各バンドを、切り出し、そして、N末端タンパク質配列決定にかけた。20配列決定サイクルを、配列を決定するために実行した。
アデノウイルスSTAT/SREレポーター遺伝子での一過性感染を介したヒト形質転換上皮細胞株におけるルシフェラーゼ・アッセイ
IL-31活性の阻害、低減、及び/又は中和は、ルシフェラーゼ・アッセイによって計測される。例えば、ヒト形質転換細胞株を、各細胞型について指定される通常の成長培地中に10,000細胞/ウェルにて96ウェル平底プレート内に蒔いた。翌日、その細胞に、5000の感染の多重度にてアデノウイルス・レポーター構築物であるKZ136を感染させる。KZ136レポーターは、血清応答要素に加えてSTAT要素を含む。全容積は、2mMのL-グルタミン(GibcoBRL)、1mMのピルビン酸ナトリウム(GibcoBRL)、及び1×インスリン−トランスフェリン−セレン・サプリメント(GibcoBRL)を補ったDMEM(以降、無血清培地と呼ぶ)を使用して100ul/ウェルである。細胞を、一晩培養する。
翌日、培地を取り除き、100ulの誘導培地で置き換える。誘導培地は、100ng/ml、50ng/ml、25ng/ml、12.5ng/ml、6.25ng/ml、3.125ng/ml、及び1.56ng/mlにて無血清培地中に希釈したヒトIL-31である。20%のFBSの陽性対照は、アッセイの確認のために、且つ、アデノウイルスによる感染がうまくいくようにするために使用する。細胞を、培地を吸引する時間である5時間誘導する。次に、その細胞を、50μl/ウェルのPBSで洗浄し、続いて、30μl/ウェルの1×細胞分解バッファー(Promega)で溶菌する。室温にて10分のインキュベーション後に、25μl/ウェルの溶解物を、不透明の白い96ウェル・プレートに移す。そして、そのプレートを、40μl/ウェルのルシフェラーゼ基質(Promega)の注入した状態で、5秒積分を使用したルミノメータにより読出しされる。
IL-31の生物学的アッセイ
hzCYTOR17(IL-31RA)、hOSMRB、及びKZ134で形質転換したBAF3細胞を、5×105と1×106細胞/mLまで培養する。細胞を、アッセイ培地(RPMI 1640、10%のFBS、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、及びPen/Strep(すべてGibco))で洗浄し、そして、アッセイ培地中に3×105細胞/mLにて再懸濁する。不透明な96ウェル・プレート内で、hIL-31標準を、100μL/ウェル、1:2段階希釈によって、アッセイ媒体中に600pg/mL〜9.38pg/mLの二重反復試験で力価を測る。品質管理標準物質を、100μL中に350pg/mL及び35pg/mLにてプレートに二重反復で加える。試験サンプルは、多くの場合、1:2〜1:4希釈し、そして、サンプル・ウェルに二重反復で加える。100μLの洗浄したBAF3細胞を、3×104細胞/ウェルの終濃度を得るために各ウェルに加える。そのプレートを、5%のCO2インキュベーター内、+37℃にて16〜24時間インキューベートする。そのプレートを、1200rpmにて5分間遠心分離し、培地を払い落とし、そして、25μL/ウェルの溶解バッファー(Promega)を各ウェルに加えた。10分後に、そのプレートを、ルミノメータ(Berthold)により読出した。ルミノメータに、40μL/ウェルのルシフェラーゼ基質ミックス(Promega)を加え、そして、4秒間のルミネッセンスを積分した。ルミネセンス値を、それらが分析されるスプレッドシートに保存し、1mLの体積についての106細胞あたりのIL-31のピコグラムに変換する。
生体内における接触過敏症の開始と持続におけるIL-31関与
方法I
BALB/cマウスに、ピペットを使用してアセトン:オリーブ(4:1)溶液中、溶解した0.5%のDNFB(2,4-ジニトロ-フルオロ-ベンゼン、Sigma, St. Louis MO)25ulを、毛を剃った中背部に塗る。ビヒクル対照群には、25ulのアセトン:オリーブ油のみを与える。5日後に、マウスを、吸入チャンバー内、イソフルオランで麻酔し、そして、実験及び対照動物の両方の耳介を、技術者用マイクロメータ(engineer’s micrometer)(Mitutoyo)で計測して、ベースライン測定値を得る。次に、すべてのマウスのそれぞれの耳の両側に、アセトン:オリーブ油(4:1)中、0.25%のDNFBを10ul適用することによって、マウスに抗原投与する。接触過敏症を、右耳(抗原投与)と左耳(未処理)の相違として24時間後と48時間後に計測する。すべての測定を、技術者用マイクロメータを用いておこなう。バックグラウンド値を、非投薬マウスの抗原投与した耳と抗原投与していない耳の間の耳介腫脹の相違によって測定する。
FACS、及び/又はELISA分析のための全血及び血清を、屠殺前に採取し、そして、組織像のために耳を採取する。
方法II(Th2応答の誘発)
BALB/cマウスには、1、2、及び8日目に、ピペッターを使用してアセトン/フタル酸ジブチル(MSDSを入手可能)の1:1溶液中、0.5%のFITC(フルオレセイン・イソチオシアネート)100ulを毛を剃った中背部に塗る。13日目に、マウスを、吸入チャンバー内、イソフルオランで麻酔し、そして、実験及び対照動物の両方の耳介を、技術者用マイクロメータ(engineer’s micrometer)(Mitutoyo)で計測して、ベースライン測定値を得る。それぞれの耳の背面に(1:1のアセトン/フタル酸ジブチル中)0.5%のFITCを25ul適用することによって、マウスに抗原投与する。接触過敏症を、右耳(抗原投与)と左耳(未処理)の相違として24時間後と48時間後に計測する。すべての測定を、技術者用マイクロメータを用いておこなう。バックグラウンド値を、非投薬マウスの抗原投与した耳と抗原投与していない耳の間の耳介腫脹の相違によって測定する。FACS、及び/又はELISA分析のための全血及び血清を、屠殺前に採取し、そして、組織像のために耳を採取する。
方法III(Th1応答の誘発)
BALB/cマウスには、ピペッターを使用して(4:1のアセトン/オリーブ油中)2%のオキサゾロン(oxazalone)25ulを毛を剃った中背部に塗る。7日目に、マウスを、吸入チャンバー内、イソフルオランで麻酔し、そして、実験及び対照動物の両方の耳介を、技術者用マイクロメータ(engineer’s micrometer)(Mitutoyo)で計測して、ベースライン測定値を得る。それぞれの耳の背面に8ulのオキサゾロンを適用することによって、マウスに抗原投与する。接触過敏症を、右耳(抗原投与)と左耳(未処理)の相違として24時間後と48時間後に計測する。すべての測定を、技術者用マイクロメータを用いておこなう。バックグラウンド値を、非投薬マウスの抗原投与した耳と抗原投与していない耳の間の耳介腫脹の相違によって測定する。FACS、及び/又はELISA分析のための全血及び血清を、屠殺前に採取し、そして、組織像のために耳を採取する。
接触過敏症の開始と持続におけるIL-31の関与は、実験の感作期と抗原投与期の両方において、IL-31に対して本明細書中に記載のIL-31結合分子又はIL-31拮抗薬を使用して試験する。
生体内におけるアトピー性皮膚炎へのIL-31の関与
方法I(NC/Ngaマウスの感作)
4週齢の雄NC/Ngaマウス(CRL、Japan)を、SPF隔離条件の中に4週間収容して、順応させる。マウスは、抗原感作の開示時点で約10〜11週齢である。マウスを、イソフルオランで麻酔し、そして、背中を電気バリカンで剃った。約10ugのヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)(Dp)(Indoor Biotechnologies、特注品)抽出物を、マウスが皮膚病変を発現するまでの5〜6週間、1週間に3回、襟首に皮内注射する。対照動物には、週間に3回、10ulのPBSの皮内注射を与えた。Dp抽出物を、Matsuokaらによる方法(Matsuoka H., et al., Allergy: 58, 139 (2003))に従って調製する。簡単に言えば、595mgのDpの凍結乾燥した培養後培養物の抽出物を、12mLの無菌のPBS(Gibco)中に溶解させる。Dpを、50mL容のfalconチューブの中で振盪ロッカーにより30分間混合する。抽出物を、2000rpmにて10分間遠心し、上清を採取し、1mL容の凍結バイアル・チューブの中に等分し、そして、−20℃にて保存する。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の効果を、引っ掻き、痒み、又は皮膚炎の阻害によって計測する。
方法II(DO11.10マウスの感作)
DO11.10遺伝子導入マウスを、自家コロニーから飼育し、そして、抗原感作の開始時点で9.5〜14週齢である。皮膚感作の24時間前に、マウスを、イソフルオランで麻酔し、そして、マウスの胴体の全体(背部と腹部)を電気バリカンで剃る。次に、そのマウスに、背部にエラスチン外科用テープ(Johnson and Johnson)を縞模様に貼り付ける。1cm2の滅菌ガーゼ・パッチを、500ugのオボアルブミン(Calbiochem 32467)又は無菌のPBS(Gibco)のどちらで湿らせ、そして、DuoDerm Extra Thin Dressing(ConvaTec 187932)でマウスの左背面に接着する。次に、マウスが前記パッチを取り出したり、破壊したりできないように、パッチと包帯を、エラスチン外科用テープのボディー・ラップで覆った。パッチを、7日間身につけさせ、そして、取り外す。皮膚感作の別のラウンドの前に、マウスを2週間休ませる。マウスには、合計3回、1週間の感作を与える。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の効果を、引っ掻き、痒み、及び/又は皮膚炎の阻害、そして/あるいは、ケラチノサイトのIL-31RA発現の低減によって計測する。
ADマウス・モデルにおける抗IL-31抗体に対応するTARC及びMDCの低減
方法I
6週齢の雄NC/Ngaマウス(CRL、Japan)を、背部に1週間に3回、50μgの塵ダニ抽出物(ヤケヒョウヒダニ(D. pteronyssinus)、Indoor Biotechnologies)で皮内感作し、AD様病変についてスコアをつけた。感作の5週間後に、前記マウスを、安楽死させ、そして、右耳を切り取り、RPMI+2%のFBS(GIBCO Invitrogen)を補った48ウェル培養皿(Corning)の単一ウェル内に置く。プレートを、5%のCO2の湿度制御インキュベーター内に置く。上清を、24時間後に採取し、そして、さらなる分析まで−20℃にて凍結する。
方法II
12週齢の雌NC/Ngaマウス(CRL、Japan)を、1週間に3回、耳内と背部に、10μgのSEB(Toxin Technology)で皮内感作する。そのマウスを、AD様病変についてスコア化する。感作の5週間後に、マウスを、安楽死させ、6mmの生検検体パンチを、それぞれのマウスの注射した耳から採取し、そして、RPMI+2%のFBSを補った48ウェル培養皿の単一ウェル内に置く。プレートを、5%のCO2の湿度制御インキュベーター内に置く。上清を、24時間後に採取し、そして、さらなる分析まで−20℃にて凍結する。
両方の研究において、マウス群には、感作の1〜2週間後に開始して、1週間に2回、IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬で腹腔内処置する。
24時間上清サンプル中のTARCとMDC濃度を、従来のELISA(R&D Systems)によって計測する。
IL-31中和抗体の投与
約8〜12週齢の正常な雌BALB/cマウス(CRL)に、1ug/日のmIL-31をデリバリーする14日型浸透ポンプ(Alzet、#2002)を皮下移植する。マウス群には、IL-31デリバリーの1週間前に始まる、毎週2回のラット抗マウスIL-31モノクローナル抗体10mg/kg(200ug/マウス)の腹腔内(i.p.)注射を与える。対照マウス群には、同一の服薬スケジュールでビヒクル(PBS/0.1%のBSA)のi.p.注射を与える。マウスを、以下の評価基準:0=引っ掻きなし、動物は正常に見える、1=狭い面積で毛皮が薄くなる、引っ掻きに気づいた、2=わずかな抜け毛(小斑)、引っ掻き、3=中程度の抜け毛、引っ掻き、及び4=重度の抜け毛、過度の引っ掻き、を使用して脱毛症及び掻痒症に関して毎日スコア化した。
IL-31結合分子又はIL-31拮抗薬の効果を、約5〜7日の症状の発症の遅延と、脱毛症及び掻痒症に関する全般的に低いスコアによって計測する。
組み換えキメラ抗ヒトIL-31モノクローナル抗体の発現
2つの別々のマウス抗ヒトIL-31モノクローナル抗体である292.12.3.1と292.63.5.3からの重鎖及び軽鎖可変領域配列するを、PCR法によって得た。DNA配列を決定し、そして、発現構築物を、ヒト定常領域DNA配列を利用して作り出した。
軽鎖発現構築物は、ヒト免疫グロブリンκ定常領域に融合させたキメラ・マウス抗IL-31可変領域の発現を指示するハイブリッドMPSV/CMVプロモーター/エンハンサから成った。
重鎖発現構築物は、228位のセリンがプロリンに変化した、ヒンジ領域内のアミノ酸置換を含むヒト免疫グロブリンIgG4定常領域に融合させたキメラ・マウス抗IL-31可変領域の発現を指示するハイブリッドMPSV/CMVプロモーター/エンハンサから成った。
各ハイブリドーマからのキメラ軽鎖及び重鎖をコードする軽鎖及び重鎖発現構築物を、HEK 293F細胞内に同時感染させた。馴化培地を、4日後に収集した。ウェスタンブロット分析は、非還元SDS-PAGEにより予想したサイズの完全なキメラ抗体であると実証した。
キメラ抗体の抗原結合能を、見かけ上のEC50(固定濃度にて50%の抗原を結合する実効濃度)を計測するためのELISAベースのプロトコールによって測定した。アッセイ形式は、未加工の細胞培養馴化培地からのヒト・モノクローナル抗体の捕獲のためのヤギ抗ヒトFc固定を利用した。ビオチン化IL-31の連続希釈は、IL-31のng/mL又はnM単位での見かけ上のKd(又はEC50)をもたらす4パラメーター当てはめの中の「C」パラメーターを試験した。アッセイ感度は、低濃度のモノクローナル抗体又はキメラ抗体の細胞培養馴化培地が評価できるほど十分に高い。この方法で測定されるKdは、通常、Biacoreを使用して計測される精製した均質のモノクローナル抗体に関して計測されるKdに匹敵する。両キメラ抗IL-31抗体は、表3に示されているように、対照「親」マウス・ハイブリドーマ・モノクローナル抗体である292.63.5.3と比較して同様のEC50を示した。
前記から、本発明の具体的な態様を、本明細書中に例証の目的で記載したが、さまざまな変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく作られるかもしれないことは、理解されるだろう。従って、本発明は、添付の請求項以外に制限されることはない。