JP2014097443A - 水素分離膜、水素分離器、有機ハイドライドシステム - Google Patents

水素分離膜、水素分離器、有機ハイドライドシステム Download PDF

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Abstract

【課題】第1には、水素分離膜の支持体として加工の容易な金属性の支持体を使用することにより複雑な形状に加工でき、第2には、高濃度有機溶媒存在下でも水素脆化による損傷が発生しない水素分離膜、水素分離器、有機ハイドライドシステムを提供すること。
【解決手段】ステンレスフィルターを担持体とし、そのステンレスフィルターの表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金をメッキした水素分離膜であって、ステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターの網目を圧縮して押し潰すことにより、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するように構成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素ガスを分離するための水素分離膜、水素分離器、有機ハイドライドシステムに関する。
従来の水素分離膜として、パラジウムまたはパラジウム合金の担持体として、セラミックス等の多孔性燒結金属をしようしたものが各種提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
特許第4759664号公報 特開2006−346621号公報 特開2010−119921号公報 特開2011−206629号公報
しかし、前述の特許文献1〜4の水素分離膜は、水素分離膜の支持体(担持体)として、セラミックスなどの多孔性燒結金属を使用しているため、複雑な形状に加工することは困難であるという課題があった。特に、最近は、水素分離膜の水素自動車等への適用も検討されているが、セラミックスなどの多孔性燒結金属を支持体(担持体)として使用したのでは、複雑な形状や小型の形状に加工できないという問題があった。
また、メタン改質においてステンレスフィルター等の金属性のフィルターを支持体(担持体)として使用したパラジウムをメッキする水素分離膜は広く検討されているが、単に、ステンレス等の金属性の線材を織り込んだフィルターに対しパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金を無電解メッキによりを形成した水素分離膜は、高濃度のメチルシクロへキサン等の有機溶媒に対し、水素分離膜近傍に生成する液膜により水素透過量の低下やいわゆる水素脆化といわれるような損傷を起こしやすく、有効な膜の報告は認められない。
そこで、本発明は、このような課題に着目してなされたもので、第1には、水素分離膜の支持体(担持体)として加工の容易な金属性の支持体(担持体)を使用することにより複雑な形状に加工でき、第2には、高濃度有機溶媒存在下でも水素脆化による損傷が発生しない水素分離膜、水素分離器、有機ハイドライドシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る水素分離膜は、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターを担持体とし、そのステンレスフィルターの表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金をメッキしたことを特徴とする。
ここで、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターは、ステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターの網目を圧縮して押し潰すことにより形成すると良い。
また、本発明に係る水素分離器は、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターをパイプ状に形成したポーラス部と、ポーラス部の内部を通過した水素が通過するようパイプ状に形成すると共にその表面に孔を有しないノンポーラス部とからなり、少なくともポーラス部の表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金をメッキすることにより水素分離膜を形成し、反応器の中でポーラス部表面の水素分離膜により水素ガスを分離してポーラス部およびノンポーラス部の中を通し、ノンポーラス部の開放した他端から水素ガスを排出することを特徴とする。
ここで、反応器の中の条件を、使用圧力差0.2Mpa、温度域140℃以上に対して水素分離膜の透過水素流束を2.0[m/m・h・MPa]以下とし、高濃度のメチルシクロへキサン等の有機溶媒存在下において、その水素分離膜による水素純度を99%以上とするようにしても良い。
また、本発明に係る有機ハイドライドシステムは、前述の水素分離器を使用して水素ガスと高濃度のメチルシクロへキサン等の有機溶媒ガスとの混合ガスより水素ガスを水素脆化が生じずに分離することを特徴とする。
本発明の水素分離膜、水素分離器、有機ハイドライドシステムによれば、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターを担持体とし、そのステンレスフィルターの表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金をメッキして水素分離膜を形成したため、水素分離膜を直線状のパイプや、螺旋状のパイプ、さらには板状等の複雑な形状に加工することができる。また、水素分離膜として、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmを有するステンレスフィルターの表面にパラジウム−銅合金製膜を形成するようにしたため、高濃度有機溶媒存在下でも水素脆化による損傷を防止できる。
(a),(b)それぞれ、本実施形態1の水素分離器における反応器以外の簡略構造を示す正面図、斜視図である。 ステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターの網目を示す電信顕微鏡写真図である。 ステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターの網目を潰して設けた細孔を示す電信顕微鏡写真図である。 ポーラス部とノンポーラス部との間の溶接部で水素分離膜のメッキが剥離している状態を示す電信顕微鏡写真図である。 ステンレスフィルターへの水素分離膜に先立ち行われる前処理の一例を示す図である。 本実施形態の水素分離器の水素分離膜による分離と他の水素分離法との性能比較結果を示す図である。 、本実施形態の水素分離器により分離した水素や、その水素に含まれる不純物の濃度を示す図である。 本実施形態の水素分離器による窒素透過試験の結果を示す図である。 本実施形態の水素分離器による水素透過試験の結果を示す図である。 (a),(b)それぞれ、本実施形態の水素分離器による水素脆化試験の結果を示す図である。 本実施形態の水素分離器による高濃度有機溶媒存在下におけるパラジウム製膜が損傷(破損)する温度を示す図である。 (a),(b)それぞれ、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜による高濃度有機溶媒存在下におけるパラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜の損傷を示す図である。 本発明に係る有機ハイドライドシステムの構成を示す図である。 (a),(b)それぞれ、反応器の中に水素分離器を4本設けた一例を示す平面図、断面図である。 (a),(b)それぞれ、図14(b)におけるA部分の拡大断面図、B部分の拡大断面図である。 (a),(b)それぞれ、螺旋状に構成したポーラス部を反応器の中に収容した水素分離器の一例を示す平面図、断面図である。 (a)〜(c)それぞれ、板状に構成したポーラス部を反応器の中に収容した水素分離器の一例を示す平面図、正面断面図、側面図である。
以下、本発明に係る水素分離膜、水素分離器、有機ハイドライドシステムの実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
実施形態1.
図1(a),(b)は、本実施形態1の水素分離器1における反応器以外の簡略構造を示す図である。
この水素分離器1は、図1(a),(b)に示すように、その外周面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金のメッキによる本発明に係る水素分離膜を形成したパイプ状(中空状)のポーラス部11と、ポーラス部11と同様にパイプ状(中空状)のノンポーラス部12とからなり、ポーラス部11は、一端に盲栓13がTig溶接等により溶接される一方、他端にノンポーラス12部の一端がTig溶接等により溶接されて構成され、ノンポーラス部12は、その一端がポーラス部11にTig溶接等により溶接される一方、他端を開放端としている。なお、少なくともポーラス部11と盲栓13は、図示しない反応器の中に収容しており、本発明に係る水素分離膜をその表面に形成したポーラス部11の外側に水素ガスとメチルシクロヘキサン(MCH)ガス等の有機溶媒ガスの混合ガスを注入して、ポーラス部11表面の水素分離膜により水素ガスを分離して、ポーラス部11およびノンポーラス部12の中を通し、ノンポーラス部12の開放した他端から水素ガスを排出するように構成する。
ポーラス部11は、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターを担持体とし、そのステンレスフィルターの表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金をメッキして水素分離膜を形成している。
ここで、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターは、例えば、図2に示すようにSUS304等の10〜30μm程度の直径のステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターの網目を圧縮して押し潰すことにより、図3に示すような2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を形成している。これは、ポーラス部11は、US304等のステンレス製線材を織り込んで強度を持たせているが、ステンレス製線材の織り込みだけでは、図2に示すように、その網目が10μm程度で大きく、パラジウムやパラジウム合金をメッキしても、そのメッキに孔が開いてしまい、水素分離膜を形成できないからである。
そのため、本発明者は、実験を繰り返し行って、SUS304等のステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターからなるポーラス部11に圧力(外力)を加えて圧縮して押し潰すことにより、孔径が10μm程度のポーラス部11の網目を2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの0.5μm程度の細孔にし、そのポーラス部11の表面に無電解メッキによってパラジウムやパラジウム合金をメッキした場合、ポーラス部11の表面に孔のない水素分離膜を形成されることを確認した。
ここで、水素分離膜の担持体(支持体)であるステンレスフィルターを構成するSUS304等のステンレス製線材は、耐食性が良く、かつ、加工が容易であるという特性を有している。そのため、SUS304等のステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターは、加工することにより、直線状のポーラス部11(図14参照。)だけでなく、螺旋状のポーラス部11(図15参照。)や、板状のポーラス部11’(図16参照。)等の複雑な形状に容易に加工できる。また、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターに、パラジウムやパラジウム合金を無電解メッキすることで、水素分離膜を均一の膜厚にメッキすることが可能となる。なお、本発明では、ステンレスフィルターを形成する線材は、SUS304線材に限られること無く、SUS303や、SUS305等の他のステンレス鋼でも良い。
なお、ポーラス部11にパラジウムまたはパラジウム合金の水素分離膜をメッキするための有効表面積は、ポーラス部11の外径を1/2インチ(1.27cm)、ポーラス部11の長さを100mm(10cm)、ノンポーラス部の長さを150mm(15cm)とすると、
有効表面積=2πr×長さ=2×3.14×0.635×10=39cm
となる。
ノンポーラス部12は、ポーラス部11と同径のパイプ状(中空状)の両端開放のSUS304等のその表面に孔が形成されていないステンレス管から構成されている。また、盲栓13は、ポーラス部11と同径のSUS304等の中実のステンレス棒から構成されている。
ここで、パラジウムまたはパラジウム合金を表面にメッキして水素分離膜を形成するポーラス部11と、ノンポーラス部12または盲栓13との溶接部は、凸部で円滑な表面でないこと等から、溶接後にメッキして水素分離膜を形成すると、図4の電子顕微鏡写真に示すように、溶接部近傍のメッキ、すなわち水素分離膜が剥離して浮き上がり、そこから水素ガスや水素ガスと有機溶媒ガスとの混合ガスの漏洩が生じる場合がある。そのため、本発明者は、溶接部近傍の水素分離膜の浮き上がりを防止して、ガス漏洩を防止するため、その溶接部の漏えい部分に、高温接着剤や、はんだ付け、蒸着等の目潰しを試したが、良い結果が得られなかった。
そこで、本発明では、ポーラス部11と、ノンポーラス部12または盲栓13との溶接部近傍では、ポーラス部11の表面だけでなく、ノンポーラス部12および盲栓13側にも1cm程度の長さだけパラジウムまたはパラジウム合金を表面にメッキし、さらに、図1に示すように、その溶接部近傍であって水素分離膜を形成したポーラス部11の両側にOリング14を嵌めることにより、溶接部におけるメッキ、すなわち水素分離膜の浮き上がりを防止して、混合ガスの漏れを防止した。
次に、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターからなるポーラス部11の表面に、パラジウムやパラジウム合金のメッキによる水素分離膜の形成方法について説明する。
まず、ステンレスフィルターへの水素分離膜に先立ち、よく洗浄したステンレスフィルターに対して、例えば、室温にて図5に示すような手順(1)〜(7)による前処理を行う。なお、(2)〜(7)は、合計3回繰り返す。
次に、以上のような前処理工程を行ったステンレスフィルターからなるポーラス部11の表面に対して、一般に知られているパラジウム−無電解メッキ方法によりパラジウムまたはパラジウム合金の水素分離膜を生成する。ここで、パラジウム合金としては、例えば、パラジウム−銅(Pd−Cu)合金を使用する。
パラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜の生成方法は、まず、パラジウム−無電解メッキ方法によりパラジウム製膜を生成した後、その上に銅製膜を生成する。銅製膜は、例えば、金属塩・硫酸銅(II)五水和物10g/L、錯化剤エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物30g/Lを配合し、水酸化ナトリウムでpHを10〜12に調整して無電解銅メッキ浴とした。メッキ温度は40〜60℃でも可能であるが、メッキ浴中の溶存酸素を低下させるため65℃以上が望ましい。還元剤としてホルムアルデヒドを3.3g/L添加して、銅を製膜する。ここで、この銅メッキ浴には、安定剤と界面活性剤を使用することができる。安定剤には2,2’ービピリジン、界面活性剤にはポリエチレングリコールを使用した。テープによる剥離が少ないため、添加量はどちらも5mg/Lが望ましい。また、この銅製膜のメッキ浴槽の材質は、表面にメッキがされにくいガラスを用いた。メッキ面積(A)に対するメッキ液量(V)の比であるV/A比は、4〜6が最適である。V/A比が小さいとメッキの膜厚が小さく、大きいと飽和状態になり消費されない金属塩が多く残るためである。
以上のように、この実施形態の水素分離器1では、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターからなるポーラス部11の表面に対して、パラジウム−銅製膜を交互に行って積層し、銅の重量比40%とした後、合金化を行った。ただし、合金化時にクラックが生じるため、銅の膜厚は一度に7μmを超えないよう、1回あたりのメッキ時間を60〜90分に調整して銅製膜を行うと良い。また、合金化は、675℃、16時間水素雰囲気で処理を行う。これにより、ポーラス部11の表面に形成したパラジウム製膜は、fcc(面心立方格子構造)からbcc(体心立方格子構造)へ構造が転移する。なお、ポーラス部11の表面に生成するパラジウム製膜、あるいはパラジウム−銅合金製膜の水素分離膜は、ともに全体の膜厚は30μm以下とする。
次に、以上のようにして構成した本発明の水素分離器1の性能についての実験結果を示す。
図6は、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜と他の水素分離法との性能比較結果を示す。
図6において、横軸は、触媒温度[℃]、縦軸は水素純度[%]を示しており、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜によって分離した水素純度と、ガス冷却と高分子膜分離によって分離した水素純度と、ガス冷却分離によって分離した水素純度とを、それぞれ、丸印、三角印、四角印で示した。図6からも明らかなように、本実施形態の水素分離器1によって分離した水素は、燃料電池性能が低下しない99%以上の純度で、ガス冷却分離(四角印)や、ガス冷却分離+高分子膜(三角印)よりも高い純度の水素が得られることがわかった。なお、丸印で示す水素分離器1の水素分離膜の場合には、分離前の混合ガスにおける水素ガスの割合(入口水素)は、8.9%である一方、四角印で示したガス冷却分離などの場合には、混合ガスにおける水素ガスの割合(入口水素)は、7.4%であった。
図7は、本実施形態の水素分離器1により分離した水素や、その水素に含まれる不純物の濃度を示す図である。
図7は、14回試験を行い、最大濃度と、最小濃度と、平均濃度とを示しており、分離した水素は、最大濃度が99.71%、最小濃度が98.44%、平均濃度が99.28%である。また、分離した水素に含まれる不純物としては、水素貯蔵原料であるメチルシクロヘキサン(MCH)から分解した副生ガスであるメタンが平均濃度0.72%で、メチルシクロヘキサン(MCH)や、シクロヘキサン(CYH)、メチルシクロヘキサン(MCH)から水素を取り出した有機ガスであるトルエン(TOL)や、発がん性があるベンゼン(BEN)は、水素に含まれていなかった。なお、メタンが5%含まれていても、燃料電池の被毒成分にならないことを確認しているので、本実施形態の水素分離器1は、燃料電池に使用できる。
図8は、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜による窒素透過試験の結果を示す図である。
図8において、横軸はメッキ膜厚[μm]、縦軸は窒素透過流束[m/m・h・MPa]を示しており、曲線L81は、最大径3μmを有する多孔質ステンレスフィルターにパラジウム製膜を生成した場合の窒素透過流束[m/m・h・MPa]を示している。また、曲線L82は、平均4μm〜0.6μmの径を有するステンレスフィルターにパラジウム製膜をメッキした水素分離器1による窒素透過流束[m/m・h・MPa]を示している。最大径3μmを有する多孔質ステンレスフィルターにパラジウム製膜を生成した場合には、曲線L81に示すように、窒素透過流束[m/m・h・MPa]が曲線L82の場合より高く、パラジウム製膜のメッキ膜厚を30[μm]程度に厚くしても、窒素ガスを阻止できないことがわかる。
これに対し、平均0.4μm〜0.6μmの径を有するステンレスフィルターにパラジウム製膜をメッキした本実施形態の水素分離器1の場合、曲線L82に示すように、パラジウム製膜のメッキ膜厚が25μm以下で、窒素ガスを阻止できることがわかる。
図9は、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜による水素透過試験の結果を示す図である。図9において、横軸は、時間[h]を示す一方、縦軸は、水素の透過流束[m/m・h・MPa]または温度[℃]を示しており、水素透過試験を水素ガスボンベ(99.5%)雰囲気で行った。図9において、窒素透過流束は、四角印で示し、水素透過流束は、丸印で示し、温度変化をバツ印で示しており、4時間過ぎ〜6時間過ぎの間で、窒素ガスと水素ガスとを切り替えて試験を行った。
この図9に示す実験結果からも、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜は、ほとんどの温度で、窒素を透過させず、水素をおよそ45[m/m・h・MPa]で透過することがわかった。その結果、図8および図9に示す実験結果から、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜は、平均径が0.4μm〜0.6μmの細孔を有する多孔質ステンレスフィルターでは、水素分離膜のめっき膜の厚みを25μm以下とすると、水素透過流束は45[m/m・h・MPa]、窒素透過流束は0.0[m/m・h・MPa]以下(検出限界値)となることがわかった。
図10は、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜による水素脆化試験の結果を示す図であり、(a)は横軸に時間[h]をとり、縦軸に水素の透過流束[m/m・h・MPa]とパラジウム製膜の温度[℃]をとった図である一方、(b)は横軸にパラジウム製膜の温度[℃]とる一方,縦軸に水素の透過流束[m/m・h・MPa]をとった図である。試験の条件としては、ステンレスフィルターからなるポーラス部11の表面のメッキはパラジウム製膜で、供給する水素は水素濃度が99.5%で、水素ガスの圧力が0.2MPaの水素ガスボンベを使用する。なお、図10(a)において、曲線L91は、パラジウム製膜の温度変化[℃]を示している一方、曲線L92は、水素の透過流束[m/m・h・MPa]の変化を示している。図10(a),(b)から明らかなように、パラジウム製膜が水素ガスに起因する水素脆化が発生するのは、パラジウム製膜の膜温度がおよそ120℃の場合である。
図11は、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜による高濃度有機溶媒存在下におけるパラジウム製膜が損傷(破損)する温度を示す図である。
図11において、横軸は本実施形態の水素分離器1の反応器の加熱温度[℃]をとる一方,縦軸に水素の純度[%]と透過流束[m/m・h・MPa]をとって、水素純度、水素透過流束、窒素透過流束を、それぞれ、四角印、丸印、三角印で示している。この図11からすると、反応器の加熱温度[℃]が250℃より下がると、水素純度が99%より小さくなるので、250℃でパラジウム製膜が破損することがわかる。
図12は、本実施形態の水素分離器1の水素分離膜による高濃度有機溶媒存在下におけるパラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜の損傷を示しており、(a)では、横軸に反応器の加熱温度[℃]をとる一方,縦軸に水素の純度[%]と透過流束[m/m・h・MPa]をとって、水素純度と水素透過流束を、それぞれ、四角印、丸印で示している。また、(b)では、横軸に反応器の加熱温度[℃]をとる一方、縦軸に反応器の電力量[Wh]をとっている。
触媒と同じ反応器で水素を取り出すことにより、前行程の触媒温度350℃の残熱ガス温度でパラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜温度が140℃に昇温し、図12(b)に示すように、パラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜の加熱の消費電力量がゼロになった。パラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜温度が、すなわち反応器の加熱温度が140℃でも、図12(a)に示すように水素純度は98%強あり、99%を若干下回ったものの、水素透過流束がほぼ2.0[m/m・h・MPa]弱で変化がなく、パラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜の損傷なしと判断できる。なお、これは、パラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜の試料の水素透過流束が、図12(a)に示すように2.0[m/m・h・MPa](基準値以下)を用いた影響と考える。
従って、本実施形態の水素分離膜および水素分離器によれば、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターを担持体とし、そのステンレスフィルターの表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム−銅(Pd−Cu)合金等をメッキして水素分離膜を形成するようにしたため、水素分離器1を複雑な形状に加工することができる。
特に、パラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム−銅(Pd−Cu)合金等をメッキするステンレスフィルターからなるポーラス部11とノンポーラス部12との溶接部や、ポーラス部11と盲栓13との溶接部には、図1に示すように、Oリング14を嵌めるようにしたため、溶接部における水素分離膜が剥離することを防止でき、ポーラス部11から混合ガスが漏れることを防止できる。
また、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターの表面にパラジウム製膜をメッキした場合、図10に示すように水素脆化が発生する膜温度は、120℃であったが、高濃度有機溶媒を使用する有機ハイドライド系では、図11に示すように、反応器の加熱温度が250℃でもパラジウム製膜の破損が発生する。しかし、ステンレスフィルターの表面にパラジウム−銅(Pd−Cu)合金をメッキすると、図12に示すように、反応器の加熱温度が140℃でもパラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜の破損が発生せず、高濃度有機溶媒を使用する有機ハイドライド系でも、水素脆化による損傷を防止できる。
実施形態2.
次に、実施形態1の水素分離器1を使用した本発明に係る有機ハイドライドシステムを、実施形態2として説明する。
図13は、本発明に係る有機ハイドライドシステム2の構成を示す図である。
この有機ハイドライドシステム2は、図13に示すように、MCH(メチルシクロへキサン)タンク21と、定量ポンプ22と、水素ボンベ23と、実施形態1の水素分離器1と、冷却分離器25と、回収タンク26と、燃料電池27とを有する。
実施形態1の水素分離器1は、反応器24の中に水素分離膜を形成したポーラス部11と、白金(プラチナ)等の触媒を収容しており、反応器24の中に、水素ボンベ23からの水素ガスとMCH(メチルシクロへキサン)タンク21からのMCH(メチルシクロへキサン)ガスの混合ガスを流入させて、ポーラス部11表面の水素分離膜に水素ガスのみ分離してポーラス部11とノンポーラス部12の中を通す。そして、ポーラス部11とノンポーラス部12の中を通った水素ガスは、ノンポーラス部12の開放端(図1参照。)から燃料電池27へ供給するように構成する一方、水素分離膜を通過しなかった水素貯蔵原料(有機溶媒)であるメチルシクロヘキサン(MCH)ガスや、トルエン(TOL)等の有機ガスは、冷却分離器25へ供給するように構成している。
冷却分離器25は、水素分離膜を通過しなかったメチルシクロヘキサン(MCH)ガスや、トルエン(TOL)等をおよそ5℃くらいまで冷却して、さらに、水素ガスと、メチルシクロヘキサン(MCH)ガスや、トルエン(TOL)等の有機ガスとに分離して、水素ガスは燃料電池27に供給する一方、メチルシクロヘキサン(MCH)ガスや、トルエン(TOL)等の有機ガスは、回収タンク26へ供給して回収し、再利用する。
次に、反応器24の中における水素分離膜を形成したポーラス部11の設置形式について具体的に説明する。
図13に示すように、反応器24の中に水素分離膜を形成したポーラス部11を1本設けても良いが、これでは、水素分離の効率があまり良くない。そこで、反応器24の中に、水素分離膜を形成した複数本のポーラス部11を設けると良い。
図14は、反応器24の中に水素分離膜を形成したポーラス部11を4本設けた一例を示している。反応器24は、縦横100mmで、200mmの長さの大きさで、この中に4本のポーラス部11を収容している。また、図14において、24aは水素ガスとメチルシクロヘキサンの混合ガスの入口であり、24bはその混合ガスから水素ガスが分離された残余ガスの排出口である。なお、混合ガスの入口と出口とを逆にすることもできる。なお、ノンポーラス部12は、反応器24の外に設ける。ここで、水素分離器1は、上述したようにポーラス部11とノンポーラス部12や、ポーラス部11と盲栓13との間の溶接部では、水素分離膜のめっき不良が生じ、ガス漏れが生じるため、後述する図15に示すようにOリング14を設けている。
ここで、反応器24内の条件は、例えば、次の通りとする。
水素透過流束:20[m/m・h・MPa]。
窒素透過流束:2[m/m・h・MPa]以下。
水素透過量:1.5L/min(燃料電池の100W相当)。
圧力差:0.2MPa
使用温度域:140℃以上
Pd膜透過水素純度:99%以上
Pd合金製膜のめっき有効面積:225cm
これは、1kWh出力に必要な水素量は、理論値で13.88L/分(832L/H)であるが、燃料電池27内を未反応で通過する未利用水素があるため、一般には、1[m/kWh]と言われている。そして、100Wの燃料電池27に必要な水素量は、100[L/h]÷60[min]≒1.5[L/min](1.5×60=90[L/h])・0.09[m/h]となる。
水素分離膜の性能は、水素パーミアンス[m/m・h・MPa]で示される。20[m/m・h・MPa]を有する水素分離膜は、1[m/h]の水素を取り出すにために、0.05[m](500[cm])の表面積が必要となり、0.2[MPa]で補正すると、500×1/0.2=2500[cm]となる。そのため、100W相当の燃料電池27の水素透過量が1.5[L/min](0.09[m/h]が必要であることから、2500[cm]×0.09=225[cm]となる。
従って、水素分離膜を設けたポーラス部11として、仮に、径が1/2インチのステンレス製管を4本設ける場合には、225[cm]÷(2×3.14×2.54/4)×4≒14[cm]となり、その長さは約14cmで十分となり、10cm×10cm×20cmの大きさの反応器24の外径寸法内に収まる。しかし、本実施形態では、径が1/2インチで長さ20cmのステンレス製管を使用するため、その表面積は、1本当り、2πr×長さ=2×3.14×2.54/4×20cm=80[cm]であり、4本のステンレス製管を使用するため、80×4=320[cm]となる。これは、パラジウム(Pd)合金製膜のめっき有効面積である225[cm]より大きくなる。
従って、この有機ハイドライドシステム2では、反応器24内に収容された後述するポーラス部11,11’に表面に形成された水素分離膜の表面積が225[cm]以上とすることにより、100W相当の燃料電池27の水素透過量である1.5[L/min]を達成できる。
図15は、実施形態2の有機ハイドライドシステム2における水素分離器1へのOリング14の取り付け方法を示す図で、(a)はポーラス部11とノンポーラス部12との間の溶接部である図14(b)におけるA部分の拡大断面図、(b)はポーラス部11と盲栓13との間の溶接部である図14(b)におけるB部分の拡大断面図である。
図15(a)に示すように、反応器24の上部には、ポーラス部11とノンポーラス部12との溶接部近傍を支持する上側支持部24cが設けられており、上側支持部24cの内周面には切溝24c1を設けておき、その切溝24c1にガス漏れを防止するため、12.7mmの外径を有するポーラス部11とノンポーラス部12が挿入可能で、かつ、ポーラス部11表面の水素分離膜の浮きを押さえるため、内径が12.0〜12.5mm程度のOリング14を嵌めている。なお、Oリング14は、切溝24c1に接着剤などで固定しておくと、さらに、Oリング14と切溝24c1との間を通過することを防止できるので、さらにガス漏れを防止できる。また、上側支持部24cの外周面には、ネジ部24c2を設け、そのネジ部24c2には内周面にネジ溝15aを有する袋ナット15をネジ結合により嵌めている。ただし、図15(a)に示す袋ナット15の場合、水素分離器1のポーラス部11およびノンポーラス部12とを通す必要があるため、その中心にポーラス部11およびノンポーラス部12の外径である12.7mmの孔が形成されている。なお、図15(a)の場合、袋ナット15の先端が、切溝24c1に嵌めたOリング14まで届いていないが、袋ナット15の先端をOリング14まで届くように伸ばして、袋ナット15によるOリング14の締付け効果を増大させても良い。
従って、ポーラス部11とノンポーラス部12との溶接部のポーラス部11側にOリング14を設けたことにより、ポーラス部11とノンポーラス部12との溶接部近傍にメッキされた水素分離膜の浮きを押さえることができると共に、反応器24の中に充填された混合ガスがポーラス部11の外周面を伝わってポーラス部11とノンポーラス部12との溶接部に達することを阻止して、ポーラス部11とノンポーラス部12との溶接部からポーラス部11の中に入り込むことを防止できる。特に、Oリング14は、反応器24の上側支持部24cの切溝24c1に嵌められており、その上側支持部24cは、袋ナット15によりネジ結合により締付けられているため、袋ナット15を設けない場合よりも、Oリング14の膨張を抑制することが可能であり、ガス漏れをさらに防止できる。
また、図15(b)に示すように、反応器24の下部には、ポーラス部11と盲栓13との溶接部近傍を支持する下側支持部24dが設けられており、下側支持部24dの内周面には切溝24d1を設けておき、その切溝24d1にガス漏れを防止するため、ポーラス部11と盲栓13が挿入可能で、かつ、ポーラス部11表面の水素分離膜の浮きを押さえるOリング14を嵌めている。なお、上側支持部24cと同様に、Oリング14は、切溝24d1に接着剤などで固定しておくと、さらに、より効果的にガス漏れを防止できる。また、下側支持部24dの外周面には、ネジ部24d2を設け、そのネジ部24d2には内周面にネジ溝15a’を有する袋ナット15’をネジ結合により嵌めている。ただし、図15(b)に示す袋ナット15’の場合、孔は必要ない。また、図15(b)の場合も、袋ナット15’の先端が、切溝24d1に嵌めたOリング14まで届いていないが、袋ナット15’によるOリング14の締付け効果を増大させるため、袋ナット15’の先端をOリング14まで伸ばしても良い。
従って、ポーラス部11と盲栓13との溶接部のポーラス部11側にOリング14を設けたことにより、ポーラス部11と盲栓13との溶接部近傍にメッキされた水素分離膜の浮きを押さえることができると共に、反応器24の中に充填された混合ガスがポーラス部11の外周面を伝わってポーラス部11と盲栓13との溶接部に達することを阻止して、ポーラス部11と盲栓13との溶接部からポーラス部11の中に入り込むことを防止できる。特に、Oリング14は、反応器24の下側支持部24dの切溝24d1に嵌められており、その下側支持部24dは、袋ナット15’によりネジ結合により締付けられているため、袋ナット15’を設けない場合よりも、Oリング14の膨張を抑制することが可能であり、ガス漏れをさらに防止できる。
そして、図13に示すような有機ハイドライドシステム2において、実施形態1の有効表面積39[cm]の水素分離膜を形成したポーラス部11を使用した場合、350℃から250℃まで暫時、温度を低下させて各5時間運転しても、水素脆化がないことが確認できた。350℃で水素純度99.48%、水素透過流束5.7[m]/m・h・MPa]、窒素透過流束0.3[m/m・h・MPa]、250℃で水素純度98.96%、水素透過流束6.8[m/m・h・MPa]、窒素透過流束3.0[m/m・h・MPa]であった。なお、250℃未満では水素分離膜に損傷が見られたため、水素分離膜の加熱が必要となり消費電力の大幅な削減はできない。
また、図13に示すような有機ハイドライドシステム2において、水素分離膜を280℃で連続運転した場合、100時間後に水素純度99.24%、水素透過流束7.1[m/m・h・MPa]、窒素透過流束1.1[m/m・h・MPa]となり、膜の損傷はなかった。
また、有効表面積39[cm]のパラジウム−銅合金製膜を使用し、260℃から140℃まで暫時温度を低下させ各5時間運転し、水素脆化がないことを確認した。260℃で水素純度99.36%、水素透過流束1.9[m/m・h・MPa]、窒素透過流束2.3[m/m・h・MPa]、140℃で水素純度98.10%、水素透過流束2.0[m/m・h・MPa]、窒素透過流束2.3[m/m・h・MPa]であった。
また、図13に示すような有機ハイドライドシステム2では、140℃では、触媒加熱の排熱が利用できるため、水素分離膜の加熱に必要な消費電力は0となる。よって、パラジウム−銅(Pd−Cu)合金製膜では消費電力の大幅な削減が可能である。
また、99.5%の工業レベルの水素ガス雰囲気において、有効表面積39[cm]の水素分離膜を形成したポーラス部11を使用し、328℃から140℃まで暫時温度を低下させ、各7時間以上運転した場合も、水素脆化がないことを確認した。水素透過流束は、328℃で63.5[m/m・h・MPa]、140度で46.9[m/m・h・MPa]であった。なお、140℃未満では水素透過流束が大幅に増加し、水素分離膜の損傷が見られた。
燃料電池27の前段に取り付ける水素分離膜の加熱熱量は、140℃においては175.6[J/g・min(42.5caL/g・min)]であり、燃料電池27を60〜80℃で加湿するための熱量を補完できることになる。
なお、水素分離器1のポーラス部11は、実施形態1のところで説明したように加工容易なステンレス線材を編み込み、その網目を圧縮して押し潰すことにより、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターにより構成しているため、例えば、図16に示すように、螺旋状に形成した中空状のポーラス部11を反応器24の中に設けても良いし、さらには、図17に示すように、パイプ状のステンレスフィルターではなく、2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔(網目)を有する板状のステンレスフィルターにパラジウムまたはパラジウム合金をメッキして水素分離膜を設けた平板状のポーラス部11’を反応器24の中に設けても良い。
ただし、図17に示す平板状のポーラス部11’の場合、効率良く水素ガスが分離できるように、混合ガスの入口24aと出口24bとの間に、複数枚の板を階段状に配置してジグザグ状の混合ガス流通経路を設けており、平板状のポーラス部11’の表面に設けた水素分離膜で分離された水素ガスは、反応器24に設けた排出口24eから排出される。また、この場合、例えば、反応器24は、50mm×120mm×200mm程度の長さとし、運転条件は、図14に示す場合と同様で、水素透過流束20[m/m・h・MPa]、窒素透過流束2[m/m・h・MPa]以下、水素透過量1.5[L/min](燃料電池の100W相当)、圧力差0.2[MPa]、水素分離膜透過水素純度99%以上で、水素分離膜のメッキ有効表面積は225[cm]である。
また、ポーラス部11は、図14に示す直線状の管形状の場合、および図16に示す螺旋状の管形状の場合、ステンレスフィルターのポーラス部11とノンポーラス部12の溶接部や、ポーラス部11と盲栓13との溶接部から気体が漏れるため、図15に示すようにOリング14と袋ナット15,15’を用いたが、図17に示す平板形状の場合、反応器24とポーラス部11’との間には、ガスケットを使用してガス漏れを防止すると良い。
1 水素分離器
11 ポーラス部
12 ノンポーラス部
13 盲栓
14 Oリング
15,15’ 袋ナット
2 有機ハイドライドシステム
21 MCH(メチルシクロへキサン)タンク
22 定量ポンプ
23 水素ボンベ
24 反応器
24c1,24d1 切溝
25 冷却分離器
26 回収タンク
27 燃料電池

Claims (5)

  1. 2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターを担持体とし、そのステンレスフィルターの表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金をメッキしたことを特徴とする水素分離膜。
  2. 請求項1記載の水素分離膜において、
    2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターは、
    ステンレス製線材を織り込んだステンレスフィルターの網目を圧縮して押し潰すことにより形成したことを特徴とする水素分離膜。
  3. 2μm以下、Pdの効率化を考慮すると望ましくは平均径0.4〜0.6μmの細孔を有するステンレスフィルターをパイプ状に形成したポーラス部と、
    ポーラス部の内部を通過した水素が通過するようパイプ状に形成すると共にその表面に孔を有しないノンポーラス部とからなり、
    少なくともポーラス部の表面にパラジウムまたはパラジウムを基本としたパラジウム合金をメッキすることにより水素分離膜を形成し、反応器の中でポーラス部表面の水素分離膜により水素ガスを分離してポーラス部およびノンポーラス部の中を通し、ノンポーラス部の開放した他端から水素ガスを排出することを特徴とする水素分離器。
  4. 請求項3記載の水素分離器において、
    反応器の中の条件を、使用圧力差0.2Mpa、温度域140℃以上に対して水素分離膜の透過水素流束を2.0[m/m・h・MPa]以下とし、高濃度のメチルシクロへキサン等の有機溶媒存在下において、その水素分離膜による水素純度を99%以上とすることを特徴とした水素分離器。
  5. 請求項3または請求項4に記載された水素分離器を使用して水素ガスと高濃度のメチルシクロへキサン等の有機溶媒ガスとの混合ガスより水素ガスを水素脆化が生じずに分離することを特徴とする有機ハイドライドシステム。
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