以下、空調用レジスタの一実施形態について、図1〜図21を参照して説明する。この空調用レジスタは車両に用いられるものであり、横方向の寸法が縦方向の寸法よりも小さな薄型の形状をなしている。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
車室内において、車両の前席(運転席及び助手席)の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その車幅方向についての中央部、側部等には本実施形態の空調用レジスタが組込まれている。この空調用レジスタの主な機能は、一般的な非薄型の空調用レジスタと同様、空調装置から送られてきて車室内に吹き出す空調用空気の向き(吹き出し方向)を調整すること、空調用空気の吹き出しを遮断すること等である。
図1及び図2に示すように、空調用レジスタは、ケース10、下流側フィン群、上流側フィン群、操作ノブ70及びリンク機構75を備えている。次に、空調用レジスタを構成する各部について説明する。
<ケース10>
ケース10は、空調装置の通風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものであり、上流側リテーナ11、下流側リテーナ12及びベゼル13を備えている。ケース10は、両端が開放され、かつ横方向の寸法が縦方向の寸法よりも小さな略四角筒状をなしている。このケース10の内部空間は、空調用空気Aの流路(以下「通風路20」という)とされている。
ここで、上記通風路20での空調用空気Aの通風方向に直交する面上において、互いに直交する2方向の一方を第1方向とし、他方を第2方向とする。本実施形態では、上下方向を第1方向とし、車幅方向(左右方向)を第2方向としている。なお、本明細書では、「通風方向」は、下流側フィン群及び上流側フィン群によって向きを変えられる前に空調用空気Aが流れる方向をいうものとする。また、空調用レジスタの各部の位置関係を説明するに当たり、通風路20の中央部を基準とし、中央部に近づく側を「内側」、「内方」等といい、中央部から遠ざかる側を「外側」、「外方」等というものとする。
上流側リテーナ11は、ケース10の最上流側部分を構成する部材である。下流側リテーナ12は、上流側リテーナ11の下流側に配置されており、自身の上流側端部において上流側リテーナ11の下流側端部に連結されている。ベゼル13は、空調用レジスタの意匠面を構成する部材であり、ケース10の最下流部に位置し、下流側リテーナ12に下流側から連結されている。ベゼル13は縦長の略四角枠状をなしており、空調用空気Aの吹出口14を有している。
上記通風路20は、ケース10の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、互いに平行な状態で第2方向(左右方向)に相対向する一対の第1壁部21と、互いに平行な状態で第1方向(上下方向)に相対向する一対の第2壁部22とからなる。
図5に示すように、上側の第2壁部22の下流端は、下側の第2壁部22の下流端よりも上流側に位置している。従って、ベゼル13及び吹出口14は、下側ほど下流側に位置するように両第2壁部22に対し傾斜していることとなる。
図2及び図7に示すように、上側の第2壁部22において、吹出口14から上流側へ僅かに離れた箇所には下流側軸受部24が設けられている。また、下側の第2壁部22において、吹出口14から上流側へ僅かに離れた2箇所には、下流側軸受部25がそれぞれ設けられている。両下流側軸受部25は、第2方向(左右方向)については、中央部と、一方(図1の右方)の第1壁部21の近傍とに設けられている。
各第1壁部21の複数箇所には上流側軸受部26が設けられている。第1壁部21毎の複数の上流側軸受部26は、通風方向については、上流側リテーナ11と下流側リテーナ12との境界部分に位置し、第1方向(上下方向)については、互いに略等間隔で離れた箇所に位置している。
<下流側フィン群>
図2、図8〜図10に示すように、下流側フィン群は、少なくとも第1方向(上下方向)へ延びる下流側フィン31と、第1方向(上下方向)及び通風方向にそれぞれ延びる下流側フィン32とからなる。下流側フィン32は、通風方向よりも第1方向(上下方向)に細長い板状をなしている。各下流側フィン31,32は、第1方向(上下方向)についての両方の端面から外方へ向けて突出する支軸33を有している。下流側フィン31,32毎の両支軸33は、上記下流側軸受部24,25により両第2壁部22に対し、第2方向(左右方向)への傾動可能に支持されている。
図2及び図7に示すように、各下流側フィン31,32の上部において、上記支軸33から上流側へ偏倚した箇所には、上方へ延びる連結軸34が設けられている。下流側フィン31,32毎の連結軸34は、第2方向(左右方向)に延びる長尺状の下流側連結ロッド35によって連結されている。そして、これらの下流側フィン31,32、支軸33、連結軸34、下流側連結ロッド35等により、下流側フィン31を下流側フィン32に同期した状態で傾動させるリンク機構が構成されている。
下流側フィン32において、その長さ方向についての中間部にはゴム状弾性体36が取付けられている。ゴム状弾性体36は、後述する操作ノブ70に接触することにより、同操作ノブ70のスライド操作時に操作荷重を付与するためのものである。
<上流側フィン群>
上流側フィン群は、1つの特定上流側フィン41と、複数(4つ)の通常上流側フィンとからなる。これらの特定上流側フィン41及び通常上流側フィンは、上記両下流側フィン31,32よりも上流側において、第1方向(上下方向)に配列されている。特定上流側フィン41は、通風路20において第1方向(上下方向)についての中央部に配置されている。
複数の上記通常上流側フィンを区別するために、特定上流側フィン41の上下両隣に位置する通常上流側フィンの一方(ここでは、下方の通常上流側フィン)を隣接通常上流側フィン44という。上記特定上流側フィン41を挟んで隣接通常フィン44から遠ざかる側に位置する通常上流側フィン、すなわち、特定上流側フィン41よりも上側に位置する2つの通常上流側フィンを第1通常上流側フィン42,43という。また、隣接通常上流側フィン44を挟んで特定上流側フィン41から遠ざかる側に位置する1つの通常上流側フィン、すなわち、隣接通常上流側フィン44よりも下側に位置する1つの通常上流側フィンを第2通常上流側フィン45というものとする。
なお、第1通常上流側フィン42,43、隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45を特に区別する必要がない場合には、これらを単に「通常上流側フィン42〜45」と記載するものとする。また、特定上流側フィン41及び上記通常上流側フィン42〜45を特に区別する必要がない場合には、これらを単に「上流側フィン41〜45」と記載するものとする。
特定上流側フィン41及び各通常上流側フィン42〜45は、基本構造として、第2方向(左右方向)及び通風方向にそれぞれ延びる板状部46を有している。各板状部46は、第2方向(左右方向)にも通風方向にも同程度の寸法を有している。
各板状部46の第2方向(左右方向)についての両方の端面からは、フィン軸がそれぞれ同方向についての外方に向けて突出している。ここで、各フィン軸を区別するために、特定上流側フィン41に対応するものをフィン軸47といい、各通常上流側フィン42〜45に対応するものを、それぞれフィン軸48,49,50,51というものとする。
各フィン軸47〜51は、通風方向については、各板状部46の略中央部に位置している。特定上流側フィン41の両フィン軸47、及び各通常上流側フィン42〜45の両フィン軸48〜51は、上述した上流側軸受部26により両第1壁部21に対し、第1方向(上下方向)への傾動可能に支持されている。
図3及び図4に示すように、特定上流側フィン41は、フィン本体54及び伝達体60からなる。表現を変えると、上記通常上流側フィン42〜45がそれぞれ一部品からなるのに対し、特定上流側フィン41は、フィン本体54及び伝達体60に分割されている。フィン本体54は、上記板状部46及びフィン軸47に加え、一対の突片55及び一対の係合部を有している。板状部46の下流端には、上流側へ向けて凹む凹部56が形成されている。この凹部56は、後述する操作ノブ70が下流側フィン32に沿って略上下方向へスライド操作された場合に、フォーク部71の板状部46との干渉を回避するために設けられている。
両突片55は、板状部46の第2方向(左右方向)についての両側部に設けられている。両突片55は、板状部46においてフィン軸47よりも下流側となる箇所から上方へ突出している。各係合部は、上記突片55の下流端上部から第2方向(左右方向)についての外方へ突出する係合突部57によって構成されている。
伝達体60は、ケース10の各第1壁部21の内側近傍に配置されて上記板状部46を第2方向(左右方向)についての両側から挟み込む一対の傾動板部61を備えている。両傾動板部61は、それらの下流端部間に配置されて第2方向(左右方向)へ延びる伝達軸部62によって相互に連結されている。表現を変えると、伝達軸部62は、両傾動板部61の下流端部間に架設されている。フィン本体54が伝達体60に組付けられた状態(図4参照)では、伝達軸部62はフィン本体54よりも下流側に位置する。
各傾動板部61の上流端には、同傾動板部61から第2方向(左右方向)についての外方へ突出する支軸63が設けられている。そして、伝達体60は、フィン本体54のフィン軸47から上流側へ偏倚した箇所で上記両支軸63によりケース10の両第1壁部21に傾動可能に支持されている。
各傾動板部61において、伝達軸部62と支軸63との間には、被係合部としての長孔64があけられている。各長孔64は支軸63に向けて延びており、この長孔64に上記係合突部57が移動可能に係合されている。上記係合突部57の長孔64との係合により、フィン本体54が伝達体60に駆動連結されている。そのため、伝達体60の支軸63を支点とする傾動が係合突部57(係合部)及び長孔64(被係合部)を介してフィン本体54に伝達される。この伝達により、フィン本体54が両フィン軸47を支点として傾動させられる。
また、各傾動板部61において、上記支軸63と長孔64との間には、同傾動板部61の上端縁から下方へ円弧状に延びる切欠き部65が設けられており、ここに上記フィン本体54のフィン軸47が移動可能に配置されている。切欠き部65は、フィン軸47と傾動板部61との干渉を回避するためのものである。
さらに、図6(A)には、図5から上流側フィン41〜45が取り出されて示されている。図5及び図6(A)に示すように、上記通常上流側フィン42〜45は、それぞれ下流側ほど特定上流側フィン41に近づくように、同特定上流側フィン41に対し傾斜した状態で配設されている。すなわち、空調用空気Aの流れ方向の調整時には、第1通常上流側フィン42,43は、下流側ほど特定上流側フィン41に対し上方から近づくように、同特定上流側フィン41に対し傾斜させられる。ここで、第1通常上流側フィン42,43が特定上流側フィン41に対し傾斜する角度を第1傾斜角度θ1とする。表現を変えると、通風方向について特定上流側フィン41に平行な直線L11に対し、第1通常上流側フィン42,43をそれぞれ通る直線L12のなす角が、第1傾斜角度θ1である。
また、隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45は、下流側ほど特定上流側フィン41に下方から近づくように、同特定上流側フィン41に対し、上記第1通常上流側フィン42,43とは反対側から傾斜させられる。ここで、隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45が特定上流側フィン41に対し傾斜する角度を第2傾斜角度θ2とする。表現を変えると、上記直線L11に対し、通風方向について隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45をそれぞれ通る直線L13のなす角が、第2傾斜角度θ2である。
さらに、図6(B)には、図6(A)中のフィン軸47〜51が取り出されて、それらの位置関係が示されている。図6(A),(B)に示すように、特定上流側フィン41及び隣接通常上流側フィン44の両フィン軸47,50を通る線を基準線L0とする。
特定上流側フィン41のフィン軸47を通り、かつ基準線L0に対し上記第1傾斜角度θ1に応じた角度(ここでは同一の角度)だけ下流側(図6(A),(B)の左側)へ傾斜した直線を第1傾斜線L21という。隣接通常上流側フィン44のフィン軸50を通り、かつ基準線L0に対し上記第2傾斜角度θ2に応じた角度だけ上記下流側へ傾斜した直線を第2傾斜線L22というものとする。
第1通常上流側フィン42,43のフィン軸48,49は上記第1傾斜線L21上に配置されている。従って、フィン軸48,49は、基準線L0よりも下流側へ偏倚した箇所に位置している。また、第2通常上流側フィン45のフィン軸51は第2傾斜線L22上に配置されている。従って、フィン軸51は、基準線L0よりも下流側へ偏倚した箇所に位置している。
なお、図6(B)において、隣り合うフィン軸47〜51間を繋ぐ屈曲状の太線は、連結ロッド78に相当する。
<操作ノブ70>
図1及び図7に示すように、操作ノブ70は、吹出口14からの空調用空気Aの吹き出し方向を調整する際に乗員によって操作される部材である。操作ノブ70の主要部は本体部72によって構成されており、この本体部72は、上記下流側フィン32上に、その長さ方向(略第1方向)へのスライド可能に外嵌されている。本体部72は、下流側フィン32と一緒に、上下両支軸33を支点として第2方向(左右方向)へ傾動(旋回)可能であり、また、下流側フィン32上をスライドすることで、その下流側フィン32の長さ方向へ変位可能である。
本体部72の上流端には、上流側へ向けて延びる一対のフォーク部71が一体形成されている。両フォーク部71は、略第1方向(略上下方向)へ互いに一定間隔離れている。両フォーク部71の間隔は、上記特定上流側フィン41の伝達軸部62の直径よりも僅かに大きく設定されている。両フォーク部71は、操作ノブ70の略第1方向(略上下方向)への動き(スライド)を伝達軸部62を通じて特定上流側フィン41に伝達するためのものであり、同伝達軸部62を略第1方向(略上下方向)についての両側から挟み込んでいる。
両フォーク部71の略第1方向(略上下方向)についての寸法は、本体部72よりも小さい。両フォーク部71の第2方向(左右方向)についての寸法は、本体部72と同程度である。両フォーク部71の通風方向についての寸法(長さ)は、本体部72の上下位置に拘わらず常に伝達軸部62を挟み込むのに必要な長さ(伝達軸部62から外れない長さ)に設定されている。
操作ノブ70は、通常可動領域R1と特定可動領域R2とにおいてスライド操作可能である。通常可動領域R1は、上流側フィン41〜45を傾動させて空調用空気Aの流れ方向を調整する際に操作ノブ70がスライド操作される領域である。特定可動領域R2は、上流側フィン41〜45によって通風路20を閉鎖する際に操作ノブ70がスライド操作される領域である。なお、図7での通常可動領域R1及び特定可動領域R2は、本体部72の長さ方向(略第1方向)についての中央部が変位する領域として示されている。後述する図12、図15及び図18についても同様である。
<リンク機構75>
図1及び図5に示すように、リンク機構75は、全ての通常上流側フィン42〜45を特定上流側フィン41に動力伝達可能に連結し、特定上流側フィン41に同期した状態で全ての通常上流側フィン42〜45を傾動させるための機構である。
特定上流側フィン41の一方(図1の右方)のフィン軸47の一部と、各通常上流側フィン42〜45の一方(図1の右方)のフィン軸48〜51の一部とは、それぞれ第1壁部21から第2方向(左右方向)についての外方へ突出している。各フィン軸47〜51の外端部には、同フィン軸47〜51を起点として、同フィン軸47〜51に直交する方向へ延びる長尺状のアーム76が一体に形成されている。各アーム76としては、特定上流側フィン41及び各通常上流側フィン42〜45に共通するものが用いられている。各アーム76は、各上流側フィン41〜45が略水平状態にされたとき(図5参照)、いずれも下流側ほど高くなるように傾斜する。
図2及び図5に示すように、各アーム76の下流端からは、ピン77が第2方向(左右方向)についての外方へ突出している。各アーム76におけるフィン軸47〜51からピン77までの軸間距離は、特定上流側フィン41及び通常上流側フィン42〜45で共通している。アーム76毎のピン77は、ケース10の第1壁部21の外方近傍に配置され、かつ第1方向(上下方向)に延びる連結ロッド78によって連結されている。そして、これらの上流側フィン41〜45、フィン軸47〜51、アーム76、ピン77及び連結ロッド78によってリンク機構75が構成されている。
前記のようにして本実施形態の空調用レジスタが構成されている。次に、この空調用レジスタの作用について説明する。
この空調用レジスタでは、図1及び図7に示すように、空調用空気Aは、上流側フィン41〜45及び両下流側フィン31,32に沿うことで流れ方向を変えられた後、ケース10の吹出口14から吹き出す。
ここで、一般に、空調用レジスタでは、ケース10内に配置された部品は、吹出口14の実開口面積を小さくする要因となり得る。実開口面積は、吹出口14での空調用空気Aの通風方向に直交する面において、上記各部品が投影されていない箇所の面積である。操作ノブ70(本体部72)の動きを特定上流側フィン41に伝達する部位も、実開口面積を小さくする要因の1つとなり得る。そして、実開口面積が小さくなるに従い通風抵抗が増し、圧力損失が増大したり、騒音が発生したりする。従って、こうした圧力損失や騒音を抑制するうえでは、吹出口14での空調用空気Aの通風方向に直交する面において、ケース10内の部品が投影される面(投影面)を小さくすることが重要である。
この点、本実施形態の空調用レジスタでは、伝達軸部62を上下から挟み込む一対のフォーク部71によって操作ノブ70の第1方向(上下方向)の動きが特定上流側フィン41に伝達される。両フォーク部71は、伝達軸部62を挟み込むだけのものであり、下流側フィン32の長さ方向(略第1方向:略上下方向)についても厚み方向(第2方向:左右方向)についても小さい。これに伴い、フォーク部71の投影面も小さくなり、フォーク部71による実開口面積の減少が少なくなる。空調用空気Aが通風路20を通過する際のフォーク部71による抵抗(通風抵抗)が小さくなる。
上記操作ノブ70の下流端に対し、下流側フィン32の厚み方向(第2方向:左右方向)へ向かう力が加えられると、同下流側フィン32が両支軸33を支点として同方向へ傾動させられる。この下流側フィン32の傾動は、連結軸34及び下流側連結ロッド35を介して下流側フィン31の連結軸34に伝達される。この伝達により、下流側フィン31が上記下流側フィン32に連動して傾動させられる。
この際、両フォーク部71が特定上流側フィン41の伝達軸部62を略上下から挟み込んだ状態で、同伝達軸部62に沿って移動する。そのため、両フォーク部71の動きは伝達軸部62に伝達されない。従って、特定上流側フィン41はもちろんのこと、全ての通常上流側フィン42〜45も傾動させられない。空調用空気Aは、傾動させられた下流側フィン31,32に沿うことで第2方向(左右方向)についての流れ方向を変えられる。
次に、操作ノブ70が下流側フィン32に沿って、同下流側フィン32の長さ方向(略第1方向:略上下方向)へスライド操作された場合の作用について、(i)操作ノブ70が通常可動領域R1でスライド操作された場合と、(ii)操作ノブ70が特定可動領域R2でスライド操作された場合とに分けて説明する。
(i)操作ノブ70が通常可動領域R1でスライド操作された場合
図7及び図11は、操作ノブ70が通常可動領域R1の中間部に位置しているときの空調用レジスタの状態を示している。このときの操作ノブ70の位置を「基準位置」というものとする。操作ノブ70が基準位置にあるときには、各上流側フィン41〜45がいずれも略水平な状態(両第2壁部22に略平行な状態)となっている。このときの各上流側フィン41〜45の位置を「中立位置」というものとする。空調用空気Aは、特定上流側フィン41、通常上流側フィン42〜45及び両第2壁部22に沿って略水平方向に流れる。
また、このときには、上流側フィン41〜45毎のアーム76が下流側ほど高くなる傾斜状態となっている。
図12〜図14は、上記基準位置から操作ノブ70が下流側フィン32に沿って略上方へスライド操作された場合の空調用レジスタの状態を示している。
操作ノブ70の上記スライド操作に伴い、両フォーク部71が略上方へ移動(上動)させられる。伝達体60の伝達軸部62に対し、移動方向後側(下側)のフォーク部71が接触し、同伝達軸部62を上方へ押圧する。この際、伝達体60は、一対の傾動板部61、両傾動板部61間の伝達軸部62、及び傾動板部61毎の支軸63が一体となった状態で作動する。
すなわち、上記のように伝達軸部62が下側のフォーク部71によって押圧されると、同フォーク部71から伝達軸部62に加わる押圧力は両傾動板部61に伝達される。この伝達により、伝達体60が傾動板部61毎の両支軸63を支点として上方へ傾動させられる。なお、フォーク部71の上記上動に伴い、伝達軸部62のフォーク部71との接触箇所は上流側へ変化する。伝達体60の傾動は、長孔64(被係合部)及び係合突部57(係合部)を介してフィン本体54に伝達される。この伝達により、フィン本体54(特定上流側フィン41)がフィン軸47を支点として上記中立位置から上方へ傾動させられる。
このように、操作ノブ70の略上方への直線運動が、特定上流側フィン41のフィン軸47を支点とした上方への傾動運動(回転運動)に変換される。フィン本体54(特定上流側フィン41)の上記傾動に伴い係合突部57が長孔64内の上流側へ移動する。また、フィン軸47が切欠き部65の奥部へ移動する。
また、特定上流側フィン41の上記傾動は、リンク機構75を介して全ての通常上流側フィン42〜45に伝達される。すなわち、特定上流側フィン41の上方への上記傾動に伴い、アーム76がフィン軸47を支点として上方へ傾動し、ピン77がフィン軸47の周りを上方へ旋回する。特定上流側フィン41(アーム76)のピン77の動き(旋回)は、連結ロッド78を介して、全ての通常上流側フィン42〜45(アーム76)のピン77に伝達される。通常上流側フィン42〜45(アーム76)毎のピン77がフィン軸48〜51の周りを上方へ旋回する。これらの旋回により、各アーム76の傾きが急峻となる。
その結果、特定上流側フィン41に連動して、全ての通常上流側フィン42〜45がフィン軸48〜51を支点として上記中立位置から上方へ傾動させられ、下流側ほど高い傾斜状態となる。そのため、空調用空気Aは、特定上流側フィン41及び各通常上流側フィン42〜45に沿って流れることで、流れ方向を斜め上方へ変えられる。
なお、上記図12〜図14の位置から操作ノブ70が下流側フィン32に沿って略下方へスライド操作された場合には、各上流側フィン41〜45は、上記とは逆の動作を行なう。
一方、図15〜図17は、上記図12〜図14とは逆に、上記基準位置(図7参照)から操作ノブ70が略下方へスライド操作された場合の空調用レジスタの状態を示している。
操作ノブ70の上記スライド操作に伴い、両フォーク部71が略下方へ移動(下動)させられる。特定上流側フィン41の伝達軸部62が、移動方向後側(上側)のフォーク部71によって略下方へ押圧される。
上側のフォーク部71から伝達軸部62に加わる押圧力は両傾動板部61に伝達される。この伝達により、伝達体60が両支軸63を支点として下方へ傾動させられる。なお、フォーク部71の上記下動に拘わらず、伝達軸部62のフォーク部71との接触箇所はほとんど変化しない。両傾動板部61の傾動は、長孔64(被係合部)及び係合突部57(係合部)を介してフィン本体54に伝達される。この伝達により、フィン本体54(特定上流側フィン41)がフィン軸47を支点として上記中立位置から下方へ傾動させられる。
また、特定上流側フィン41の上記傾動に伴い、アーム76がフィン軸47を支点として下方へ傾動し、ピン77がフィン軸47の周りを下方へ旋回する。特定上流側フィン41(アーム76)のピン77の動き(旋回)は、連結ロッド78を介して、全ての通常上流側フィン42〜45(アーム76)のピン77に伝達される。通常上流側フィン42〜45(アーム76)毎のピン77がフィン軸48〜51の周りを下方へ旋回し、各アーム76の傾きが緩やかとなる。
その結果、特定上流側フィン41に連動して、全ての通常上流側フィン42〜45がフィン軸48〜51を支点として上記中立位置から下方へ傾動させられ、下流側ほど低い傾斜状態となる。そのため、空調用空気Aは、特定上流側フィン41及び各通常上流側フィン42〜45に沿って流れることで、流れ方向を斜め下方へ変えられる。
なお、上記図15〜図17の位置から操作ノブ70が下流側フィン32に沿って略上方へスライド操作された場合には、各上流側フィン41〜45は、上記とは逆の動作を行なう。
ところで、操作ノブ70が操作されて、空調用空気Aの流れ方向が調整されるときには、第1通常上流側フィン42,43は、下流側ほど特定上流側フィン41に上側から近づくように、同特定上流側フィン41に対し傾斜させられる。また、隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45は、下流側ほど特定上流側フィン41に下側から近づくように、同特定上流側フィン41に対し、第1通常上流側フィン42,43とは反対側から傾斜させられる。そのため、第1通常上流側フィン42,43に沿って流れる空調用空気Aは、特定上流側フィン41に沿って流れる空調用空気Aに収束される。また、隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45に沿って流れる空調用空気Aは、特定上流側フィン41に沿って流れる空調用空気Aに対し、上記第1通常上流側フィン42,43に沿って流れる空調用空気Aとは反対側から収束される。このように収束された空調用空気Aは、全ての通常上流側フィン42〜45が特定上流側フィン41に対し平行に配置されたものに比べ、ケース10から早い流速で吹き出すとともに、ケース10から遠く離れた箇所まで流れる。
(ii)操作ノブ70が特定可動領域R2でスライド操作された場合
この場合にも、基本的には、上述した操作ノブ70が通常可動領域R1でスライド操作された場合と同様に、リンク機構75が作動する。
操作ノブ70が特定可動領域R2の下端までスライド操作されると、空調用レジスタは、図18〜図20に示す状態になる。この状態では、伝達軸部62のフォーク部71との接触箇所は上流側へ変化する。係合突部57は長孔64の上流側部分に位置する。フィン軸47が切欠き部65から上方へ離脱する。各アーム76が下流側ほど低くなるように傾斜する。これに伴い、上流側フィン41〜45が通風方向に対し略直交した状態にされる。
傾動方向後側の上流側フィン41〜44の下流部分が、傾動方向前側の上流側フィン41,43〜45の上流部分に重ね合わされる。通風路20が全ての上流側フィン41〜45によって略閉鎖された状態となり、空調用空気Aの吹出口14からの吹き出しが大きく規制される。
なお、上記図18〜図20の位置から操作ノブ70が下流側フィン32に沿って略上方へスライド操作された場合には、各上流側フィン41〜45は、上記とは逆の動作を行なう。
ここで、比較例として、特定上流側フィン41がフィン本体54及び伝達体60に分割されておらず、伝達軸部62がピン77及び係合突部57と同一軸線上に位置していてフィン軸47を支点として傾動するものを想定する。この場合には、通風路20を上流側フィン41〜45によって閉鎖する際、閉鎖しないもの(流れ方向を調整するのみのもの)よりも、操作ノブ70を大きくスライド操作して、フォーク部71によって伝達軸部62をフィン軸47の周りで大きく旋回させることで、特定上流側フィン41を大きく傾動させる必要がある。この場合、フィン軸47の周りで伝達軸部62を旋回させようとする力よりも、同伝達軸部62をフィン軸47側へ押付けようとする力が強くなる。そのため、操作ノブ70を大きな操作荷重でスライド操作しなければならなくなる。
この点、特定上流側フィン41が図14、図17及び図20に示すように、フィン本体54及び伝達体60に分割されている本実施形態では、伝達体60の支軸63がフィン本体54のフィン軸47から偏倚した箇所に位置していることから、操作ノブ70をスライド操作した場合、伝達軸部62は支軸63の周りでもフィン軸47の周りでも旋回する。また、図21に示すように、上記支軸63はフィン軸47よりも上流側に位置していることから、支軸63周りでの伝達軸部62の旋回角度γは、フィン軸47周りでの伝達軸部62(ピン77、係合突部57)の旋回角度δよりも小さくなる。従って、フォーク部71の少ない移動量で、伝達軸部62(ピン77、係合突部57)を支軸63の周りで小さな旋回角度γ旋回させ、ピン77(係合突部57)をフィン軸47の周りで大きな旋回角度δ旋回させることができる。フィン軸47を支点としてアーム76及びフィン本体54を大きな角度傾動させて、通風路20を閉鎖することが可能となる。操作ノブ70の移動量が少なくてすむことから、同操作ノブ70を特定可動領域R2でスライド操作する際の操作荷重が小さくなる。また、操作ノブ70を通常可動領域R1でスライド移動させる場合と、特定可動領域R2でスライド操作させる場合とで操作荷重の差が少なくなる。
また、本実施形態では図6(A),(B)に示すように、第1通常上流側フィン42,43のフィン軸48,49が第1傾斜線L21上に配置され、第2通常上流側フィン45のフィン軸51が第2傾斜線L22上に配置されている。このことから、通風路20の上記閉鎖時には、第1通常上流側フィン42,43及び第2通常上流側フィン45は、全てのフィン軸47〜51が同一直線上に配置された場合とは異なる挙動を示す。
すなわち、全てのフィン軸47〜51が同一直線上に配置された場合には、第1通常上流側フィン42,43と第2通常上流側フィン45とが特定上流側フィン41に対し互いに反対方向へ傾斜させられている。このことから、特定上流側フィン41とその隣の第1通常上流側フィン43との間や、隣り合う2つの第1通常上流側フィン42,43の間に生ずる隙間の大きさと、特定上流側フィン41と隣接通常上流側フィン44との間や、隣接通常上流側フィン44と第2通常上流側フィン45との間に生ずる隙間の大きさとが異なる。
しかし、フィン軸47〜51が上記図6(A),(B)に示す箇所に配置されることにより、すなわち、基準線L0よりも下流側に配置されることにより、隣り合う上流側フィン41〜45が互いに接触又は接近する位置まで傾動された場合に、上記隙間の大きさが同程度となる。その結果、通風路20の封鎖時には、図18に示すように、隣り合う上流側フィン41〜45の間で生ずる隙間は極めて小さなものとなる。これは、フィン軸48,49,51が基準線L0よりも下流側へ偏倚した箇所に配置されることで、上述した上流側フィン41〜45間の隙間が相殺されるからである。
従って、特定上流側フィン41よりも上側の2つの第1通常上流側フィン42,43を、互いに接触又は接近する位置まで傾動させた場合、特定上流側フィン41とその下側の隣接通常上流側フィン44との間や、同隣接通常上流側フィン44と第2通常上流側フィン45との間に生ずる隙間が小さく、空調用空気Aが隙間から漏れ出にくい。また、上記とは逆に、隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45を、互いに接触又は接近する位置まで傾動させようとした場合に、特定上流側フィン41とその隣の第1通常上流側フィン43とが干渉したり、上側の2つの第1通常上流側フィン42,43が互いに干渉したりすることが起こりにくい。
さらに、上流側へ延びる一対のフォーク部71によって挟み込まれた伝達軸部62がフィン本体54に近い箇所に位置していると、操作ノブ70をスライドさせた場合に、フォーク部71がフィン本体54と干渉するおそれがある。この点、本実施形態では、伝達軸部62がフィン本体54よりも下流側に位置していることから、フォーク部71が伝達軸部62を挟み込む箇所がフィン本体54から下流側へ遠ざけられ、フォーク部71のフィン本体54との干渉が抑制される。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)第1通常上流側フィン42,43を、下流側ほど特定上流側フィン41に近づくように同特定上流側フィン41に対し第1傾斜角度θ1だけ傾斜させた状態で配設する。また、隣接通常上流側フィン44及び第2通常上流側フィン45を下流側ほど特定上流側フィン41に近づくように同特定上流側フィン41に対し第2傾斜角度θ2だけ傾斜させた状態で配設する(図6(A))。
そのため、空調用空気Aの通風方向の調整時には、通常上流側フィン42〜45に沿って流れる空調用空気Aを、特定上流側フィン41に沿って流れる空調用空気Aに収束させることができる。
その結果、空調装置から空調用レジスタに供給される空調用空気の量(風量)が同一であるとの条件のもと、全ての通常フィンが特定フィンに平行に配置された空調用レジスタに比べ、次の点で有利である。
・空調用レジスタから一定距離離れた箇所では、吹出口14から吹き出される空調用空気の流速が速い。
・空調用空気が空調用レジスタの吹出口14からより遠く離れた地点に到達する。
上記両効果が得られることから、乗員は空調用空気のより強い流れ(風)を受けることができる。
また、全ての通常フィンが特定フィンに平行に配置された空調用レジスタにおいて上記両効果を得るには、風量を多くして対応することとなる。しかし、風量が多くなるに従い、空調装置が多くの電力を必要とし、また、空調装置の作動に伴う騒音が大きくなる懸念がある。
この点、上記実施形態では、上述したように空調用空気Aの流速が速くなり、到達距離が長くなることから、風量を多くしなくてすむ。空調装置の作動に必要な電力が少なくてすみ、作動に伴う騒音の増大を抑制することができる。
(2)第1通常上流側フィン42,43のフィン軸48,49を、特定上流側フィン41のフィン軸47を通り、かつ基準線L0に対し第1傾斜角度θ1に応じた角度だけ下流側へ傾斜した第1傾斜線L21上に配置する。また、第2通常上流側フィン45のフィン軸51を、隣接通常上流側フィン44のフィン軸50を通り、かつ基準線L0に対し第2傾斜角度θ2に応じた角度だけ下流側へ傾斜した第2傾斜線L22上に配置している(図6(A),(B))。
そのため、通風路20の閉鎖時には、隣り合う上流側フィン41〜45間の隙間を均等に小さくし、それらの隙間から空調用空気Aが漏れ出るのを抑制することができる。
(3)第1傾斜線L21を、基準線L0に対し第1傾斜角度θ1と同じ角度だけ下流側へ傾斜させる。また、第2傾斜線L22を、基準線L0に対し第2傾斜角度θ2と同じ角度だけ下流側へ傾斜させている。
そのため、通風路20の閉鎖時に、特定上流側フィン41とその隣の第1通常上流側フィン43との間の隙間や、隣り合う第1通常上流側フィン42,43間の隙間を最小にし、それらの隙間から漏れ出る空調用空気Aを最少にすることができる。
また、通風路20の閉鎖時に、特定上流側フィン41と隣接通常上流側フィン44との間の隙間や、同隣接通常上流側フィン44と第2通常上流側フィン45との間の隙間を最小にし、それらの隙間から漏れ出る空調用空気Aの量を最少にすることができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<下流側フィン群について>
・下流側フィン群は、1つ又は3つ以上の下流側フィンによって構成されてもよい。
・下流側フィン群が4つ以上の下流側フィンからなる場合、上流側フィン群に代え、又は加え、下流側フィン群において、複数のフィンのうちの1つが特定フィンとされ、残りのフィンが通常フィンとされてもよい。
この場合、上記実施形態と同様に、隣接通常フィン、第1通常フィン、第2通常フィン、基準線、第1傾斜角度、第2傾斜角度、第1傾斜線及び第2傾斜線が設定される。
このように、特定フィン及び通常フィンの対象が変更された場合にも上記実施形態と同様の効果が得られる。
<特定上流側フィン(特定フィン)について>
・並設方向についての中間部分の1つのフィンであることを条件として、上流側フィン群のうち、上記実施形態とは異なるフィン、すなわち、並設方向についての中央のフィンとは異なるフィンが特定上流側フィン(特定フィン)とされてもよい。
<通常上流側フィン42〜45について>
・第1通常上流側フィン42,43は、複数であることを条件に、上記実施形態とは異なる数に変更されてもよい。この場合、第1通常上流側フィン42,43毎に第1傾斜角度θ1が設定されてもよい。ただし、第1通常上流側フィン42,43毎のフィン軸48,49は、特定上流側フィン41のフィン軸47を通り、かつ基準線L0に対し、自身の第1傾斜角度θ1に応じた角度だけ下流側へ傾斜した第1傾斜線L21上に配置される。
このようにすると、複数の第1通常上流側フィン42,43について、第1通常上流側フィン42,43毎に第1傾斜角度θ1が設定される。そのため、複数の第1通常上流側フィン42,43に共通の第1傾斜角度θ1が設定される場合(上記実施形態がこれに該当する)よりも、各第1通常上流側フィン42,43を、より適した傾きで特定上流側フィン41に対し傾斜させることが可能となる。これに伴い、各第1通常上流側フィン42,43に沿って流れる空調用空気Aを、特定上流側フィン41に沿って流れる空調用空気Aに対し、より好適な態様で収束させ、空調用空気Aの流速や到達距離をより好適なものにすることが可能となる。
また、第1通常上流側フィン42,43毎のフィン軸48,49は、それぞれ特定上流側フィン41のフィン軸47を通り、かつ基準線L0に対し、自身の第1傾斜角度θ1に応じた角度だけ下流側へ傾斜した第1傾斜線L21上に配置される。このことから、通風路20の閉鎖時には、隣り合う第1通常上流側フィン42,43の間に生ずる隙間を小さくし、同隙間から空調用空気Aが漏れ出るのを抑制することが可能となる。
・また、第2通常上流側フィン45は、複数であることを条件に、上記実施形態とは異なる数に変更されてもよい。この場合、第2通常上流側フィン45毎に第2傾斜角度θ2が設定されてもよい。ただし、第2通常上流側フィン45毎のフィン軸51は、隣接通常上流側フィン44のフィン軸50を通り、かつ基準線L0に対し、自身の第2傾斜角度θ2に応じた角度だけ下流側へ傾斜した第2傾斜線L22上に配置される。
このようにすると、複数の第2通常上流側フィン45について、第2通常上流側フィン45毎に第2傾斜角度θ2が設定される。そのため、複数の第2通常上流側フィン45に共通の第2傾斜角度θ2が設定される場合よりも、各第2通常上流側フィン45を、より適した傾きで特定上流側フィン41に対し傾斜させることが可能となる。これに伴い、各第2通常上流側フィン45に沿って流れる空調用空気Aを、特定上流側フィン41に沿って流れる空調用空気Aに対し、より好適な態様で収束させ、空調用空気Aの流速や到達距離をより好適なものにすることが可能となる。
また、第2通常上流側フィン45毎のフィン軸51は、それぞれ隣接通常上流側フィン44のフィン軸50を通り、かつ基準線L0に対し、自身の第2傾斜角度θ2に応じた角度だけ下流側へ傾斜した第2傾斜線L22上に配置される。このことから、通風路20の閉鎖時には、隣り合う第2通常上流側フィン45の間に生ずる隙間を小さくし、同隙間から空調用空気Aが漏れ出るのを抑制することが可能となる。
・特定フィンの下側に隣接する通常フィンに代えて、上側に隣接する通常フィンが隣接通常フィンとされてもよい。この場合、第1通常フィンと第2通常フィンとの位置関係が上記実施形態とは逆になる。すなわち、特定フィンを挟んで隣接通常フィンから遠ざかる側(下側)に位置する通常フィンが第1通常フィンとされる。また、隣接通常フィンを挟んで特定フィンから遠ざかる側(上側)に位置する通常フィンが第2通常フィンとされる。
・第1傾斜線L21は、基準線L0に対し第1傾斜角度θ1に近似した角度だけ下流側へ傾斜するものであってもよい。
また、第2傾斜線L22は、基準線L0に対し第2傾斜角度θ2に近似した角度だけ下流側へ傾斜するものであってもよい。
<アーム76について>
・アーム76は、フィン軸47〜51に対し直交する方向へ延びることを条件に、上記実施形態とは異なる方向へ延びるものであってもよい。
<係合部及び被係合部について>
・伝達体60に設けられる被係合部として、傾動板部61を貫通する上記長孔64に代えて、傾動板部61の内側の面において開口する凹部が設けられ、この凹部にフィン本体54の係合突部57が係合されてもよい。
・上記実施形態とは逆に、フィン本体54に、係合部として孔又は凹部が設けられ、伝達体60に、被係合部として係合突部が設けられ、係合部が被係合部に係合されることで、フィン本体54が伝達体60に駆動連結されてもよい。
<適用箇所について>
・上記空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所、例えばダッシュボードに設けられる空調用レジスタにも適用可能である。
・上記空調用レジスタは、空調装置から送られてきて室内に吹き出す空調用空気の向きを調整し、フィンによって吹き出しを遮断することのできるものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
<その他>
・上記空調用レジスタは、吹出口14が横長となるように配置される薄型の空調用レジスタにも適用可能である。この場合、車幅方向(左右方向)が第1方向となり、上下方向が第2方向となる。