JP2014047509A - 短柱構造及び短スパン梁構造 - Google Patents

短柱構造及び短スパン梁構造 Download PDF

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行信 黒瀬
Hideo Nakajima
秀雄 中島
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和光 高梨
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Abstract

【課題】短柱或いは短スパン梁のせん断破壊を防止すると共に靭性能を向上させ、短柱構造或いは短スパン梁構造の脆性破壊を防止して建物の耐震性を向上させることを目的としている。
【解決手段】短柱8又は短スパン梁のコンクリート造の躯体の表面に樹脂製の補強塗膜3が被覆され、前記補強塗膜3が、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、短柱構造及び短スパン梁構造に関する。
建物の計画上、断面成に大して柱長さが小さくならざる負えない場合がある。例えば垂れ壁と袖壁とが柱に一体的に接合されている場合、垂れ壁と袖壁との間の領域において柱が短柱となる。しかしながら、このように柱が短柱化すると、柱のせん断破壊が卓越して柱の脆性破壊を招くという不具合が生じる。そこで、従来、例えば下記の特許文献1に示されているように、柱の短柱化を防止する構造が提案されている。
一方、建物の計画上、断面成に大して梁長さが小さくならざる負えない場合がある。例えば間隔が狭い柱間に梁が架設された構造では、その梁は短スパン梁となりうる。このように梁が短スパン梁であると、上述した短柱の場合と同様に、梁のせん断破壊が卓越して梁の脆性破壊を招くという不具合が生じる。
特開平11−172951号公報
しかしながら、上記した従来の技術では、柱と二次壁(垂れ壁、袖壁)との間にスリットを形成し、そのスリットに減衰材を充填するため、施工が煩雑である。特に、柱と二次壁との間にスリットが無い既存の建物の場合には、スリットを形成するために二次壁を切削しなければならず、施工が非常に煩雑である。さらに、上記した従来の技術は、短スパン梁に適用することができない。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、短柱或いは短スパン梁のせん断破壊を防止すると共に靭性能を向上させ、短柱構造或いは短スパン梁構造の脆性破壊を防止して建物の耐震性を向上させることを目的としている。
本発明に係る短柱構造は、短柱のコンクリート造の躯体の表面に樹脂製の補強塗膜が被覆されてなり、前記補強塗膜が、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなることを特徴としている。
なお、短柱とは、柱の断面成(D)に対する柱長さ(l)のスパン比(l/D)が例えば3以下である柱を指し、上記スパン比(l/D)が1以下の極短柱も含む。
また、本発明に係る短スパン梁構造は、短スパン梁のコンクリート造の躯体の表面に樹脂製の補強塗膜が被覆されてなり、前記補強塗膜が、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなることを特徴としている。
なお、短スパン梁とは、梁の断面成(D´)に対する梁長さ(l´)のスパン比(l´/D´)が例えば3以下である梁を指し、上記スパン比(l´/D´)が1以下の極短スパン梁も含む。
本発明では、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなる補強塗膜が、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性(強度、伸び)に優れた合成樹脂であり、例えば10〜25MPa程度の高強度と例えば200%以上の大きな破断伸び(伸び変形性能)を有する。このため、躯体の変形が塑性域に達しても、補強塗膜が躯体の大変形に追従して伸び変形するので、補強塗膜によって躯体の変形に応じたエネルギー吸収性能が発揮される。したがって、せん断応力に対応することが可能な短柱構造或いは短スパン梁構造を設けることができる。
仮に、せん断応力を受けることにより躯体の変形が塑性域に達してコンクリートが破壊されても、補強塗膜は伸びることはあっても破断せず、補強塗膜によって躯体の表面が被覆された状態が維持される。これにより、躯体のコンクリート片の散逸が防止され、また、躯体が転倒したり崩壊したりせずに自立した形状が保持される。例えば、躯体が短柱や短スパン梁の場合において、大地震時にせん断応力を受けることによって破壊が生じたコンクリート片が散乱して避難の障害となったり、そのコンクリート片が周囲に飛散したりするといった被害の増大を防止することができる。
しかも、補強塗膜は変形抵抗を有しているので、地震時に短柱や短スパン梁の躯体が撓み変形したときに、補強塗膜の変形抵抗力によって躯体を元の形状に戻す力が働く。その結果、躯体は、一旦大きく撓み変形した後に若干戻され、最終的な変形量が小さく抑えられる。
また、本発明の短柱構造や短スパン梁構造によれば、躯体に補強塗膜を吹き付けや塗布することによって形成されるので、従来技術のようにスリットを形成して減衰材を充填する場合に比べて、容易に且つ安価に施工することができ、既設の躯体においても容易に施工できる。
また、本発明に係る短柱構造は、前記補強塗膜が、前記躯体のうち3面以上に設けられていることが好ましい。
これにより、躯体の3面以上が補強塗膜によって包み込まれた状態となり、その効果(ラッピング効果)により、上記した形状保持がより効果的に発揮される。
さらに、本発明に係る短柱構造は、前記補強塗膜が、前記躯体の全周に亘って設けられていることがより好ましい。
これにより、閉じられた形状(筒状)の補強塗膜の内側に躯体が収容された状態となり、上記したラッピング効果が大きくなり、高い形状保持が発揮される。
また、本発明に係る短スパン梁構造は、前記補強塗膜が、前記躯体のうち3面以上に設けられていることが好ましい。
これにより、躯体の3面以上が補強塗膜によって包み込まれた状態となり、その効果(ラッピング効果)により、上記した形状保持がより効果的に発揮される。
さらに、本発明に係る短スパン梁構造は、前記補強塗膜が、前記躯体の下面及び両側の側面にそれぞれ設けられて断面視略コ字状に形成されていることがより好ましい。
これにより、U字溝状に形成された補強塗膜の内側に躯体が収容された状態となり、上記したラッピング効果が大きくなり、高い形状保持が発揮される。
本発明に係る短柱構造によれば、短柱のせん断破壊を防止すると共に靭性能を向上させることができ、短柱構造の脆性破壊を防止して構造物の耐震性を向上させることができる。
また、本発明に係る短スパン梁構造によれば、短スパン梁のせん断破壊を防止すると共に靭性能を向上させることができ、短スパン梁構造の脆性破壊を防止して建物の耐震性を向上させることができる。
本発明の実施の形態による短柱構造の概略構成を示す側面図である。 図1に示すA−A間の断面図である。 本発明の実施の形態による短スパン梁構造の概略構成を示す側面図である。 図3に示すB−B間の断面図である。 ポリウレア樹脂の力学的特性を示すためのグラフであり、各材料の応力ひずみ関係を示すグラフである。 躯体の一部分を拡大した断面図である。 実施例1による試験結果を示す図である。 実施例2による試験結果を示す図である。 実施例3による試験結果を示す図である。 本発明の変形例を説明するための短柱の横断面図であり、(a)は柱面に沿って壁が設けられた構成を示しており、(b)は柱幅の中間部分に壁が接合された構成を示している。
以下、本発明に係る短柱構造及び短スパン梁構造の実施の形態について、図面に基いて説明する。
[短柱構造]
図1および図2を参照して、本発明に係る短柱構造の実施の形態の構成を説明する。
図1に示す柱1は、建物の柱構造体であり、鉄筋コンクリート造の柱である。この柱1の上部の両側には、上側のスラブ4Aから垂設された垂れ壁5,5がそれぞれ配設されている。これらの垂れ壁5,5は、鉄筋コンクリート造の壁であり、柱1と一体的に接合されている。また、柱1の下部の両側には、下側のスラブ4Bの上面に立設された袖壁6,6がそれぞれ配設されている。これらの袖壁6,6は、鉄筋コンクリート造の壁であり、柱1と一体的に接合されている。上記した垂れ壁5の下端面と袖壁6の上端面との間には間隔が開けられており、垂れ壁5と袖壁6との間に開口部7が形成されている。
上記した柱1の中間部分には、垂れ壁5にも袖壁6にも接合されていない部分があり、この部分が、いわゆる短柱8となっている。すなわち、本実施の形態における短柱8とは、柱1のうちの、垂れ壁5,5の下端と袖壁6,6の上端との間の範囲を指している。この短柱8は、柱1の断面成Dに対する柱長さlのスパン比(l/D)が例えば3以下となっており、特に本実施の形態では、上記スパン比(l/D)が例えば1以下である極短柱となっている。ただし、本発明に係る短柱構造は、上記スパン比(l/D)が「3≧l/D>1」の範囲内であってもよい。
図2は、上記した短柱8の横断面を示している。なお、図2では図面を簡略化するために鉄筋の図示を省略している。
図2に示すように、短柱8の躯体2の表面には、樹脂製の補強塗膜3が被覆されている。この補強塗膜3は、躯体2の全周に亘って設けられている。つまり、本実施の形態における補強塗膜3は、横断面視の形状が環状(閉じられた形状)、すなわち筒形状に形成されている。また、図1に示すように、本実施の形態における補強塗膜3は、柱1のうちの短柱8の部分の表面にのみ被覆されており、垂れ壁5,5に接合される柱1の上部の表面や、袖壁6,6に接合される柱1の下部の表面には被覆されていない。ただし、本発明に係る短柱構造では、補強塗膜3が、短柱8の部分の表面だけでなく、垂れ壁5,5に接合される柱1の上部の表面や、袖壁6,6に接合される柱1の下部の表面にも被覆されていてもよい。
[短スパン梁構造]
次に、図3および図4を参照して、本発明に係る短スパン梁構造の実施の形態の構成を説明する。
図3に示す梁10は、建物の梁構造体であり、鉄筋コンクリート造の梁である。この梁10は、2本の柱50,50の間に架設されて両端がそれらの柱50,50にそれぞれ一体的に接合された両端支持梁である。また、梁10は、鉄筋コンクリート造のスラブ40にも一体的に接合されている。
上記した2本の柱50,50の間隔は狭く、梁10は短スパン梁となっている。この梁10(短スパン梁)は、梁10の断面成D´に対する梁長さl´のスパン比(l´/D´)が例えば3以下となっている。本実施の形態では、上記したスパン比(l´/D´)が1よりも大きいが、本発明に係る短スパン梁構造では、スパン比(l´/D´)が例えば1以下の極短スパン梁であってもよい。
図4は、上記した梁10の横断面を示している。なお、図4では図面を簡略化するために鉄筋の図示を省略している。また、以下、梁10を、短スパン梁10と記す。
図4に示すように、短スパン梁10の躯体20の表面には、樹脂製の補強塗膜30が被覆されている。この補強塗膜30は、躯体20の下面20a及び両側の側面20b,20bにそれぞれ設けられている。つまり、本実施の形態における補強塗膜30は、横断面視の形状が略コ字状、すなわちU字溝状に形成されている。また、補強塗膜30の上端部はスラブ40の下面に沿って屈曲した形状となっており、補強塗膜30の端部はスラブ40の下面まで延びている。
[補強塗膜]
上記した補強塗膜3,30は、躯体2,20の表面に吹き付けやローラーなどで塗布される樹脂製の塗膜であって、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤との化学反応により形成された化合物からなる。例えば、補強塗膜3,30としては、イソシアネートとアミンとの化学反応により形成された化合物であるポリウレア樹脂を用いることができる。
補強塗膜3,30は、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性(強度、伸び)に優れた合成樹脂からなり、例えばポリウレア樹脂の場合は、図5に示す応力ひずみ特性を有する。補強塗膜3,30を構成する合成樹脂としては、例えば引張強度が鉄筋の十分の一程度の20MPa程度(10〜25MPa)であって、破断伸びが200%以上の物性を有する樹脂からなる。ポリウレア樹脂としては、例えば「スワエールAR−100(登録商標:三井化学産資株式会社製)」が用いられる。なお、補強塗膜3,30の厚さ寸法Dは、2mm以上であることが好ましい。
ここで、躯体2,20に補強塗膜3,30を被覆する施工方法としては、塗布するコンクリート表面を十分に清掃して塵等を取り除いた後、プライマーを塗布し、その後、補強塗膜材料を躯体2,20の表面に所定厚さだけ塗布する。これにより、躯体2,20の表面に補強塗膜3,30が形成される。なお、プライマーの塗布は省略することも可能であり、或いは、補強塗膜3,30と躯体2,20との付着性を高めるために躯体2,20の表面を斫って凸凹に加工してもよい。
次に、上記した構成からなる短柱構造及び短スパン梁構造の作用について、具体的に説明する。
上述したように、本実施の形態では、補強塗膜3,30が、せん断付着力が高く、曲げ引張強度が高く、かつ伸び性能が高い力学的特性(強度、伸び)に優れた合成樹脂であるため、躯体2,20の変形が塑性域に達しても、補強塗膜3,30が躯体2,20の大変形に追従して伸び変形するので、補強塗膜3,30によって躯体2,20の変形に応じたエネルギー吸収性能が発揮される。したがって、せん断応力に対応することが可能な短柱構造或いは短スパン梁構造を設けることができる。
仮に、せん断応力を受けることにより躯体2,20の変形が塑性域に達してコンクリートが破壊されても、補強塗膜3,30は伸びることはあっても破断せず、補強塗膜3,30によって躯体2,20の表面が被覆された状態が維持される。これにより、躯体2,20のコンクリート片の散逸が防止され、また、躯体2,20が転倒したり崩壊したりせずに自立した形状を保持される(形状保持)。例えば、躯体2,20が短柱8や短スパン梁10の場合において、大地震時にせん断応力を受けることによって破壊が生じたコンクリート片が散乱して避難の障害となったり、そのコンクリート片が周囲に飛散したりするといった被害の増大を防止することができる。
また、補強塗膜3,30は変形抵抗を有しているので、地震時に短柱8や短スパン梁10の躯体2,20が撓み変形したときに、補強塗膜3,30の変形抵抗力によって躯体2,20を元の形状に戻す力が働く。その結果、躯体2,20は、一旦大きく撓み変形した後に若干戻され、最終的な変形量が小さく抑えられる。
また、補強塗膜3,30を躯体2,20の表面に吹き付けたり塗布したりするだけなので、容易に且つ安価に施工することができ、既設の躯体2,20に対しても容易に施工できる。
また、図6に示すように、躯体2(20)にクラックC(ひび割れ)が生じても、補強塗膜3(30)はその伸縮性によって破断しない。この場合、補強塗膜3(30)は伸び変形しているので、補強塗膜3(30)の弾性力によって戻る方向の力Eが作用する。この力は、クラックCの幅を拡げる力Sに抵抗する方向に作用するため、結果的に、クラックCの開き量dが小さく抑えられる。
また、本実施の形態の短柱構造及び短スパン梁構造では、補強塗膜3,30が躯体2,20のうち3面以上に設けられているので、躯体2,20が補強塗膜3,30によって包み込まれた状態となり、そのようなラッピング効果により、上記した形状保持がより効果的に発揮される。
特に、本実施の形態の短柱構造では、補強塗膜3が躯体2の全周に亘って設けられているので、閉じられた形状(筒状)の補強塗膜3の内側に躯体2が収容された状態となり、上記したラッピング効果が大きくなり、高い形状保持が発揮される。
また、特に、本実施の形態の短スパン梁構造では、補強塗膜30が躯体20の下面20a及び両側の側面20b,20bにそれぞれ設けられて断面視略コ字状に形成されているので、U字溝状に形成された補強塗膜30の内側に躯体20が収容された状態となり、上記したラッピング効果が大きくなり、高い形状保持が発揮される。
上述したように、本実施の形態の短柱構造及び短スパン梁構造によれば、短柱8或いは短スパン梁10のせん断破壊を防止すると共に靭性能を向上させることができ、短柱構造或いは短スパン梁構造の脆性破壊を防止して建物の耐震性を向上させることができる。
次に、上述した実施の形態による短柱構造及び短スパン梁構造の効果を裏付けるために行った試験例(実施例1、2、3)について以下説明する。
(実施例1)
実施例1では、矩形断面の鉄筋コンクリート製の梁材を試験体に使用し、その梁材の表面にポリウレア樹脂を塗布した試験体1、2、3と、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体4とに対して載荷装置を使用した衝撃曲げ試験を行い、ポリウレア樹脂の塗布状況を変えた試験体1〜4の変形状態(亀裂や剥離)を確認した。
各試験体1〜4の梁材は、縦100mm×横120mmで長さ寸法が1200mmの6面を有する構造体であり、4週強度で25N/mm2のコンクリートを使用している。さらに、試験体1〜4の内部にD13(芯被り35mm)、せん断補強筋D6を使用している。そして、載荷条件としては、試験体1〜4を長さ方向を水平方向に向けて配置し、試験体1〜4の長さ方向の中心部に対して30kNの荷重を準静的な0.0001m/sの速度で載荷を付与した。
ここで、試験体1は梁材の6面に塗布厚4mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体2は梁材の6面に塗布厚2mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体3は梁材のうち長さ方向を水平方向に向けた状態で上面および下面の2面のみに塗布厚2mmのポリウレア樹脂を塗布したもの(4側面にポリウレア樹脂を塗布しない場合)であり、試験体4はポリウレア樹脂を施していないものである。
図7は、上記試験体1〜4において、横軸を載荷点の変形量δ(mm)とし、縦軸を荷重P(kN)とした曲げ試験結果を示している。
図7に示すように、試験体4の場合には、変形量δが略40mmで破壊し、その破壊箇所においてコンクリート片が生じた。
上下2面にポリウレア樹脂2mmを塗布した試験体3の場合は、変形量δが略60mmで破壊しているが、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体4の場合よりはじん性が高い、つまり拘束効果(ラッピング効果)を有し、一定の形状保持効果があることが確認された。
また、梁材の表面全周(6面)にポリウレア樹脂を塗布した試験体1、2においては、降伏後(図7の降伏点P1より右側)でも30kNの荷重が維持されていることが確認できることから、ラッピング効果が大きく、形状保持効果が高いことがわかる。
(実施例2)
次に、実施例2では、上記実施例1における梁材の6面に塗布厚2mmでポリウレア樹脂を塗布し、衝撃曲げ試験で載荷速度を変えた試験を行い、変形状態(亀裂や剥離)を確認した。
第1試験T1は4m/s(高速)の載荷速度とし、第2試験T2は0.5〜1m/s(中速)の載荷速度とし、第3試験T3は0.1〜0.5m/s(低速)の載荷速度とし、第4試験T4は0.0001m/s(準静的速度)の載荷速度とした。
図8は、上記第1試験T1〜第4試験T4において、横軸を載荷点の変形量δ(mm)とし、縦軸を荷重P(kN)とした曲げ試験結果を示している。
図8に示すように、各試験T1〜T4ともに降伏後でも準静的最大荷重が維持されていることがわかる。このことから、ポリウレア樹脂を梁材の6面全体にわたって塗布する場合には、載荷速度にかかわらず、準静的最大荷重が維持されることを確認することができる。このとき、梁材の試験体は大きく変形し、約5度程度の角度で屈曲していたが、コンクリート片が生じることもなく、梁材としての形状が保持されていた。このように、ポリウレア樹脂を塗布した梁材は、衝撃や持続的な加力に対して有効であり、コンクリート片の発生を防ぐことができることが確認できた。
(実施例3)
実施例3では、矩形断面の鉄筋コンクリート製の梁材を試験体に使用し、その梁材の表面にポリウレア樹脂を塗布した試験体1´、2´と、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体3´とに対して載荷装置を使用した衝撃曲げ試験を行い、ポリウレア樹脂の塗布状況を変えた試験体1´〜3´の変形状態(亀裂や剥離)を確認した。
各試験体1´〜3´の梁材は、縦150mm×横150mmで長さ寸法が450mmの6面を有する構造体であり、4週強度で25N/mm2のコンクリートを使用している。さらに、試験体1´〜3´の内部にD13(芯被り35mm)、せん断補強筋D6を使用している。そして、載荷条件としては、試験体1´〜3´を長さ方向を水平方向に向けて配置し、試験体1´〜3´の長さ方向の中心部に対して30kNの荷重を準静的な0.0001m/sの速度で載荷を付与した。
ここで、試験体1´は梁材の6面に塗布厚4mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体2´は梁材の上面以外の5面に塗布厚4mmのポリウレア樹脂を塗布したものであり、試験体3´はポリウレア樹脂を施していないものである。
図9は、上記試験体1´〜3´において、横軸を載荷点の変形量δ(mm)とし、縦軸を荷重P(kN)とした曲げ試験結果を示している。
図9に示すように、試験体3´の場合には、変形量δが略0.65mmで破壊し、その破壊箇所においてコンクリート片が生じた。
上面以外の5面にポリウレア樹脂4mmを塗布した試験体2´の場合は、変形量δが略9mmで破壊しているが、ポリウレア樹脂を塗布しない試験体3´の場合よりはじん性が高い、つまり拘束効果(ラッピング効果)を有し、一定の形状保持効果があることが確認された。
また、梁材の表面全周(6面)にポリウレア樹脂を塗布した試験体1´においては、変形量δが略30〜35mmで破壊しているが、5面にポリウレア樹脂を塗布した試験体2´の場合よりは更にじん性が高い、つまりラッピング効果が大きく、形状保持効果が高いことがわかる。
以上、本発明に係る短柱構造及び短スパン梁構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、垂れ壁5,5及び袖壁6,6が柱1に一体に接合されることで短柱8が形成される構造について説明しているが、本発明に係る短柱構造は、垂れ壁5,5及び袖壁6,6のうちの何れか一方だけが柱1に一体に接合されることで短柱が形成される構成であってもよい。或いは、本発明に係る短柱構造は、垂れ壁5,5や袖壁6,6が無くても短柱となっている構造に対して適用することが可能である。
また、上記した実施の形態では、補強塗膜3が短柱8の躯体2の全周に亘って被覆されているが、本発明に係る短柱構造は、例えば図10(a)に示すように壁5Aが一体に接合された短柱8Aにおいて、補強塗膜3Aが短柱8Aの躯体2Aの表面のうちの3面だけを被覆した構成であってもよく、この場合でも、上記したラッピング効果を発揮することができる。さらに、補強塗膜3が短柱8の表面のうちの2面或いは1面だけを被覆している構成であってよく、この場合であっても、上記したラッピング効果が発揮されないが、上記した形状保持の効果を奏することができる。なお、例えば図10(b)に示すように壁5Bが一体に接合された短柱8Bにおいて、一対の補強塗膜3B,3Bが短柱8Bの躯体2Bを両側から覆うようにして短柱8Bの躯体2Bの4面全てを被覆する構成であってもよい。
また、上記した実施の形態では、短スパン梁10が柱50,50間に架設された構造について説明しているが、本発明に係る短スパン梁構造は、梁の端部が柱以外の構造体に接合された構成であってもよく、例えば梁の端部が耐震壁に接合された構成であってもよい。
また、上記した実施の形態では、補強塗膜30が短スパン梁10の躯体20の下面20a及び両側の側面20b,20bに被覆されているが、本発明に係る短スパン梁構造は、補強塗膜30が短スパン梁10の躯体20の下面20a及び両側の側面20b,20bのうちの2面或いは1面だけを被覆している構成であってよく、この場合であっても、上記したラッピング効果が発揮されないが、上記した形状保持の効果を奏することができる。
さらに、補強塗膜3,30において、例えばガラス片やガラス繊維、ガラスフリット等を分散させてなる不燃性を有する混入材を、ポリウレア樹脂に混入させることも可能である。あるいは混入材として、例えばコンクリート、煉瓦、瓦、石綿スレート、鉄鋼、アルミニウム、モルタル、漆喰等のガラス以外の不燃材料であっても良い。
また、上記した実施の形態では、補強塗膜3,30として、イソシアネートとアミンとの化学反応により形成された化合物からなるポリウレア樹脂が用いられているが、本発明は、イソシアネートとポリオールとの化学反応により形成された化合物からなるポリウレタン樹脂を補強塗膜として用いることも可能であり、また、イソシアネートとポリオールとアミンとの化学反応により形成された化合物からなる樹脂を補強塗膜として用いることも可能である。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1・・・柱
2,20・・・躯体
3,30・・・補強塗膜
8・・・短柱
10・・・短スパン梁

Claims (6)

  1. 短柱のコンクリート造の躯体の表面に樹脂製の補強塗膜が被覆されてなり、
    前記補強塗膜は、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなることを特徴とする短柱構造。
  2. 前記補強塗膜は、前記躯体のうち3面以上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の短柱構造。
  3. 前記補強塗膜は、前記躯体の全周に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載の短柱構造。
  4. 短スパン梁のコンクリート造の躯体の表面に樹脂製の補強塗膜が被覆されてなり、
    前記補強塗膜は、イソシアネートと、ポリオール及びアミンのうちの少なくとも一方からなる硬化剤と、の化学反応により形成された化合物からなることを特徴とする短スパン梁構造。
  5. 前記補強塗膜は、前記躯体のうち3面以上に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の短スパン梁構造。
  6. 前記補強塗膜は、前記躯体の下面及び両側の側面にそれぞれ設けられて断面視略コ字状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の短スパン梁構造。
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