JP2014024749A - 光学ガラス、プレス成形用ガラス素材および光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プレス成形用ガラス素材および光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率成分を多量に含有する場合でも着色が少ないこと。
【解決手段】屈折率ndが1.97以上で、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が40mol%〜80mol%の範囲内であり、かつ、下式(1)に示すβOH値が0.1mm−1以上である光学ガラスならびにこれを用いたプレス成形用ガラス素材および光学素子。
・式(1) βOH=−ln(B/A)/t
〔式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる光学ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、プレス成形用ガラス素材および光学素子に関するものである。
撮像光学系、投射光学系の高機能化、コンパクト化に有効な光学素子の材料として、高屈折率の光学ガラスが必要とされている。高屈折率の光学ガラスはガラス成分としてTi、Nb、W、Biなどの高屈折率成分を多量に含有している。高屈折率成分を多く含む光学ガラスでは、その製造に際して熔融過程でこれらの成分が還元され、可視光域の短波長側の光吸収が強まる。このため、光学ガラスの着色が増大するという問題がある。このような問題を解決する手段として、特許文献1に記載の技術が提案されている。
特許文献1に記載の技術では、ガラス熔融中に非酸化性ガスをバブリングすることによって、熔融ガラス中の余分な酸素成分の排出を促進し、これにより、Nb成分の還元を低減し、熔融容器を構成する白金などの貴金属材料のガラス中への溶け込みを低減する方法が提案されている。ここで、バブリングガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素などの不活性ガス、一酸化炭素、水素などの還元性ガス、あるいはこれらガス種を混合したものがよいとされている。
さらに特許文献1には、一旦得られたガラスを、(ガラス転移温度Tg−100)℃以上(ガラス転移温度Tg+100)℃以下の範囲内の再加熱温度にて再度加熱して熱処理することも提案されている。この熱処理によって、ガラス中に還元されたNb成分が含まれている場合でも、Nb成分を酸化してガラスの着色を低減できる。
特開2011−246344号公報
特許文献1に記載の技術の技術思想は、(1)Nb成分が還元してガラスの着色に悪影響を与えない範囲で熔融ガラス中の余剰な酸素成分を排除して金属製熔融容器の侵蝕を防ぎ、(2)Nb成分が多少還元したとしてもガラスを熱処理することでNb成分を酸化し、着色を低減するというものである。しかし、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素などの不活性ガスをバブリングするとNb成分が還元され、ガラス成形後に熱処理してもガラスの着色を大幅に低減することは困難である。
また、Ti、Nb、W、Biなどの高屈折率成分を多量に含有するガラスを熔融し、特許文献1に記載されている一酸化炭素、水素などの還元性ガスでバブリングすると、高屈折率成分が還元されて金属化し、熔融容器を構成する白金などの金属材料と合金を作り、熔融容器の強度、耐久性が著しく低下するという問題がおきる。したがって、特許文献1に記載の技術を用いても、依然として高屈折率の光学ガラスの着色を大幅に低減することは困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高屈折率成分を多量に含有する場合であっても着色の少ない光学ガラスならびにこれを用いたプレス成形用ガラス素材および光学素子を提供することを目的とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明の光学ガラスは、屈折率ndが1.97以上であり、ガラス成分として、TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含む酸化物ガラスであり、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が40mol%〜80mol%の範囲内であり、かつ、下式(1)に示すβOH値が0.1mm−1以上であることを特徴とする。
・式(1) βOH=−ln(B/A)/t
〔式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる光学ガラスの厚み(mm)を表し、Aは光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
本発明の光学ガラスの一実施形態は、ガラス成分としてPを10mol%〜35mol%の範囲内で含むことが好ましい。
本発明の光学ガラスの他の実施形態は、下式(2)を満たすことが好ましい。
・式(2) λτ80<aX+b
〔式(2)中、λτ80は、光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長280〜700nmの範囲における内部透過率を測定した後、当該測定された内部透過率に基づいて光学ガラスの厚みが10mmであると仮定して計算した内部透過率が、80%となる波長(nm)を表し、aは、定数(1.8359nm/mol%)を表し、bは、定数(351.06nm)を表し、Xは、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量(mol%)を表す。〕
本発明の光学ガラスの他の実施形態は、Sbに換算で、酸化アンチモンを1000ppm未満含むことが好ましい。
本発明のプレス成形用ガラス素材は、本発明の光学ガラスを含むことを特徴とする。
本発明の光学素子は、本発明の光学ガラスを含むことを特徴とする。
本発明によれば、高屈折率成分を多量に含有する場合であっても着色の少ない光学ガラスならびにこれを用いたプレス成形用ガラス素材および光学素子を提供することができる。
表1に示す組成からなるNo.1ガラスのβOH値を変化させた場合において、βOH値に対して、厚さ5mmのNo.1ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長450nmにおける外部透過率(T450)の変化を示したグラフである。
本実施形態の光学ガラスは、屈折率ndが1.97以上であり、ガラス成分として、TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含む酸化物ガラスであり、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が40mol%〜80mol%の範囲内であり、かつ、下式(1)に示すβOH値が0.1mm−1以上であることを特徴とする。
・式(1) βOH=−ln(B/A)/t
ここで、式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる光学ガラスの厚み(mm)を表し、Aは光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。
なお、「外部透過率」とは、光学ガラスの表面における表面反射も考慮した透過率であり、後述する「内部透過率」とは、光学ガラスの表面における表面反射が無い場合の透過率(すなわち光学ガラスを構成するガラス材料自体の透過率)である。また、以下の説明において、「光学ガラス用ガラス素材」とは熔融容器内の熔融ガラスを所定の形状に成形する成形工程を経て作製されたガラスであって、かつ、熱処理を受ける前の濃く着色した状態のガラスを意味する。さらに、「光学ガラス」とは、濃く着色した状態の光学ガラス用ガラス素材を、熱処理したガラスを意味する。すなわち、「光学ガラス」は「光学ガラス用ガラス素材」よりも熱処理により着色が低減されたガラスである。また、「光学ガラス用ガラス素材」および「光学ガラス」、ならびに、「光学ガラス用ガラス素材」または「光学ガラス」を用いて作製された「プレス成形用ガラス素材」、「光学素子」および「その他のガラス物品」は、いずれもアモルファス状のガラスであり、結晶化ガラスではない。
本実施形態の光学ガラスでは、TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の高屈折率成分を合計含有量で40mol%〜80mol%もの範囲内で多量に含有するにも係らず、着色が少ない。このような効果が得られる理由については、本発明者は以下の通りであると推定している。
まず、白金などの貴金属製の熔融容器を用いて、TiO、Nb、WOおよびBiなどの高屈折率成分を含む高屈折率のガラスを熔融する際、熔融ガラスを還元側にして熔融すると熔融ガラスへの金属イオンの溶け込みを抑制することができる。しかし、熔融ガラスを過剰に還元側にすると、既述したように熔融容器が合金化されてしまう。また、熔融ガラスを過剰に還元しないまでも高屈折率成分が還元されることによって光学ガラス用ガラス素材の着色度合が強まると、後工程にてこの光学ガラス用ガラス素材に対して熱処理を行っても着色の低減度合は小幅なものにとどまる。
このような問題を解決するには、熔融容器を構成する金属材料がイオン化して熔融ガラスに溶け込まない状態を作りつつ、一旦得られた光学ガラス用ガラス素材を熱処理することで着色を大幅に低減することができる光学ガラス用ガラス素材を作ればよい。
本発明者は、熱処理により光学ガラス用ガラス素材の着色が低減される現象について次のように考えた。まず、光学ガラス用ガラス素材を酸化性雰囲気で熱処理することにより得られる光学ガラスの着色は少なくなるが、これは還元状態のTi、Nb、W、Biなどの各イオンが酸化され、各イオンの可視光吸収が弱まることによると考えられる。光学ガラス用ガラス素材を熱処理してもTi、Nb、W、Biを酸化するスピードが遅いと着色の改善は小幅なものにとどまる。光学ガラス用ガラス素材の着色を大幅に低減するには、熱処理時のTi、Nb、W、Biの酸化スピードを大きくすればよい。仮に光学ガラス用ガラス素材中を移動しやすいイオンがあり、このイオンが直接着色に影響を与えるものでなければ、熱処理時にこのようなイオンが光学ガラス用ガラス素材中を速やかに移動して電荷を受け渡し、短時間でTi、Nb、W、Biの還元による着色を低減することが可能になる。このようなイオンとしてはHが適していると考えられるが、Hをより移動しやすくするには、ガラス構造中にOHを導入し、OHを起点にHがホッピングできるようにすることで、熱処理時の酸化スピードを増加させることができると考えられる。
光学ガラス用ガラス素材中にHとOHとを導入するには光学ガラス用ガラス素材中にHOを導入すればよい。ここで光学ガラス用ガラス素材中の水分量は、着色が少なくなり透明度が向上した光学ガラスについてOHによる赤外吸収の強さを測定することで間接的に定量化することができる。
したがって、屈折率ndが1.97以上であり、ガラス成分として、TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含む酸化物ガラスであり、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が40mol%〜80mol%の範囲内である光学ガラス用ガラス素材において、光学ガラス用ガラス素材中、言い換えれば光学ガラス中のOH含有量の指標であるβOH値を0.1mm−1以上とすることにより、着色を小さくすることができる。
さらに、βOH値が0.1mm−1以上となるように水分を多く含む光学ガラス用ガラス素材の作製に際しては、熔融ガラスの熔融に用いる熔融容器を構成する金属材料(合金材料も含む)に起因する着色の増大も抑制することができる。なお、βOH値は、濃く着色した状態の光学ガラス用ガラス素材についても光学ガラスと同様に測定可能である。光学ガラス用ガラス素材は赤外線を透過するためである。
次に、本実施形態の光学ガラスにおいて、βOH値の下限を0.1mm−1に設定した理由について説明する。図1は、表1に示す組成からなるNo.1ガラスのβOH値を変化させた場合において、βOH値に対して、厚さ5mmのNo.1ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長450nmにおける外部透過率(T450)の変化を示したグラフである。なお、図1に示す外部透過率(T450)の値は、No.1ガラスを大気中で570℃で4.5時間、熱処理した後の値であり、βOH値も熱処理後の値である。また、No.1ガラスは、屈折率ndが1.97以上であり、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が40mol%〜80mol%の範囲内である。すなわち、No.1ガラスは屈折率ndおよびガラス組成において、本実施形態の光学ガラスと同一である。
Figure 2014024749
さらに、図1に示す5点のβOH値は、No.1ガラスを熔融する際のガラス熔融雰囲気に導入する水蒸気の量を調整することによって設定された値である。図1から明らかなように、βOH値の増加に伴い外部透過率(T450)も増加していることがわかる。そして図1に示されるβOH値に対する外部透過率(T450)の変化の傾向からは、βOH値が0.1mm−1以上であれば外部透過率(T450)が30%を確実に上回ることが把握できる。
一方、本実施形態の光学ガラスは屈折率が高いため、レンズの肉厚を薄くすることができる。ここで、レンズの薄肉化を考慮すると、撮像光学系、投射光学系などの光学系を構成する光学素子の材料として好適な透過率特性は、外部透過率(T450)が30%以上であると考えられる。したがって、以上に説明した事項を考慮すれば本実施形態の光学ガラスでは、βOH値の下限値は0.1mm−1以上であることが必要である。
ところで、光学素子を鏡筒などに固定する際、紫外線硬化型の接着剤を用いると作業性が格段に向上する。これまで屈折率ndが1.97以上の高屈折率の光学ガラスを使用した光学素子では、可視光域の短波長側の光が光学ガラスによってカットされるため、光学素子超しに接着剤硬化用の光を照射し硬化させることが困難であった。しかし、可視光域の短波長側の透過率を改善することにより、紫外線硬化型の接着剤を用いた接着も可能になる。
したがって、光学系を構成する光学素子の光線透過性と、紫外線硬化型接着剤を使用した際の接着操作の利便性とを考慮すると、βOH値の下限値は、0.15mm−1、0.2mm−1、0.25mm−1、0.3mm−1、0.35mm−1、0.4mm−1、0.45mm−1、0.5mm−1、0.55mm−1、0.6mm−1、0.65mm−1、0.7mm−1、0.75mm−1、0.8mm−1、0.85mm−1、0.9mm−1の順でより大きくなるほど一層好ましい。このようにβOH値を大きくすることにより、外部透過率(T450)が増加し、かつ、光学ガラスの着色も小さくすることがより容易となる。
なお、本実施形態の光学ガラスは、リン酸塩系ガラスであることが好ましい。リン酸塩系ガラスはホウ酸塩系ガラスよりも水分を取り込み易いため、光学ガラスの着色を小さくすることがより容易となる。この場合、本実施形態の光学ガラスは、ガラス成分としてPを10mol%〜35mol%の範囲内で含むことが好ましい。Pの含有量を10mol%以上とすることにより、光学ガラス中の含水量を高め、βOH値をより大きくすることが容易となる。一方、Pの含有量を35mol%以下とすることにより、高い屈折率を維持しやすくなる。なお、Pの含有量の好ましい下限値は12mol%であり、好ましい上限値は33mol%である。
なお、光学ガラスの着色度合は、着色度を示す指標であるλτ80により定量化することができる。λτ80とは、光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長280〜700nmの範囲における内部透過率を測定した後、当該測定された内部透過率に基づいて光学ガラスの厚みが10mmであると仮定して計算した内部透過率(内部透過率τ)が、80%となる波長(nm)を意味する。ここで、内部透過率τは、入射側及び出射側における表面反射損失を除いた透過率であり、厚さの異なる2つの試料を用いて、各試料の表面反射損失を含む透過率T1、T2を波長280nm〜1550nmの範囲にて行い、それら測定値を用いて下式(2)に基づいて算出される値である。
・式(2) logτ=−(logT1−logT2)×10/Δd
ここで、式(2)中、T1は、厚みがd1(mm)の第一の試料について、その厚み方向と平行に光を入射した際の波長280nm〜1550nmの範囲内において測定した表面反射損失を含む透過率(%)を表し、T2は、第一の試料と同一のガラスからなる厚みがd2(mm)の第二の試料について、その厚み方向と平行に光を入射した際の波長280nm〜1550nmの範囲内において測定した表面反射損失を含む透過率(%)を表す。なお、λτ80は波長280〜700nmにおける透過率測定の結果を用いて算出されるので、透過率T1、T2の測定は波長280〜700nmの範囲で行ってもよい。また、Δdは、厚みd1と厚みd2との差の絶対値(mm)を表し、厚みd1と厚みd2とは、d1≠d2なる関係を満たす。
λτ80はTiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が増加するに伴って増加する。mol%表示によるTiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量をXとすると、熱処理に先立ち光学ガラス用ガラス素材中の含水量を増加させずに、この光学ガラス用ガラス素材を熱処理して作製された光学ガラスでは、Xとλτ80との関係は下式(3)に示す関係となる。このため、λτ80の大幅な改善は難しい。
・式(3) λτ80>aX+b
なお、式(3)中、aは、定数(1.8359nm/mol%)を表し、bは、定数(351.06nm)を表す。
一方、本実施形態の光学ガラスでは、下記(4)式を満たす範囲にλτ80を低減することができる。
・式(4) λτ80<aX+b
なお、式(4)中、aおよびbは式(3)に示したものと同様である。
なお、本実施形態の光学ガラスは、さらに下式(5)を満たすことがより好ましく、下式(6)を満たすことがさらに好ましい。
・式(5) λτ80<aX+c
・式(6) λτ80<aX+d
ここで式(5)中、aは式(3)に示したものと同様であり、cは定数(348.06nm)を表す。また、式(6)中、aは式(3)に示したものと同様であり、dは定数(345.06nm)を表す。
本実施形態の光学ガラスによれば、λτ80以上かつ700nm以下の波長域において、厚さ10mmに換算した内部透過率は80%以上となり、好ましくはλτ80以上かつ1550nm以下の波長域においても、厚さ10mmに換算した内部透過率は80%以上となる。
なお、従来、ガラス熔融中に高屈折率成分の還元を抑制するため、酸化作用のある酸化アンチモンの添加が行われてきた。しかし、本実施形態の光学ガラスの製造に際しては、酸化アンチモンの酸化作用を利用しなくても、着色を小さくできる。さらに酸化アンチモンを添加することにより、熔融容器を構成する金属材料が酸化されてイオンになって光学ガラス用ガラス素材中に溶け込み、最終的に得られる光学ガラスを着色する要因になる。
このため、本実施形態の光学ガラスでは、Sbに換算して、酸化アンチモンの含有量を1000ppm未満にすることが好ましく、700ppm未満にすることがより好ましい。なお、酸化アンチモンの含有量の上限は、600ppm、500ppm、400ppm、300ppm、200ppm、100ppmの順で、これらの値未満とすることがより一層好ましい。さらに、本実施形態の光学ガラスは、酸化アンチモンを含有しなくてもよい。
本実施形態の光学ガラスでは、Pと、少なくともTiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物と、を含む組成が好ましく、これに加えてさらに、任意成分としてアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、B、SiOなどを含む組成がより好ましい。このような組成からなる光学ガラスにおいてもPの含有量、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量の好ましい範囲は既述したとおりである。
また、本実施形態の光学ガラスには、LiO等のアルカリ金属酸化物が含まれていてもよい。ここで、アルカリ金属酸化物としてLiOを用いる場合、高屈折率ガラスを得る観点から、その含有量は0mol%を超え10mol%未満であることが好ましく、0mol%を超え9mol%以下であることがより好ましく、0mol%を超え8mol%以下であることがさらに好ましい。また、本実施形態の光学ガラスには、GeOおよび/またはGaが含まれていてもよい。但し、これら酸化物は高価であるため、Gaが光学ガラス中に全く含まれなくてもよいが、含まれる場合は、その含有量をできる限り少なくすることが好ましい。ここで、光学ガラス中にGeOが含まれる場合の含有量は、0mol%を超え5mol%以下であることが好ましく0mol%を超え2mol%以下であることがより好ましく、0mol%を超え1mol%以下であることがさらに好ましい。また、光学ガラス中にGaが含まれる場合の含有量は、0mol%を超え0.5mol%以下であることが好ましく0mol%を超え0.2mol%以下であることがより好ましく、0mol%を超え0.1mol%以下であることがさらに好ましい。本実施形態の光学ガラスは、LiOを含まなくてもよいし、GeOを含まないくてもよし、Gaを含まなくてもよい。
本実施形態の光学ガラスでは、環境影響の負荷を考慮するとガラス成分としてPb、As、Cd、U、Thを含有しないことが好ましい。また着色の増大を防ぐ上から、Cr、Ni、Eu、Er、Tb、Fe、Cu、Ndなど、可視光を吸収する成分を含まないことが好ましい。Teは本発明の目的を損なわない範囲で含有させてもよいが、環境影響への負荷を考慮するとガラス成分として含有しないことが好ましい。なお、本願明細書において、含有しないとは、不純物として不可避的に混入することまでも排除するものではない。
次に本実施形態の光学ガラスの製造方法について説明する。本実施形態の光学ガラスの製造方法では、熔融ガラスを得るために、熔融容器内にてガラス原料を加熱・熔融する加熱・熔融工程と、熔融容器内の熔融ガラスを所定の形状に成形する成形工程とを、少なくとも経ることにより、ガラス成分として、TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含む酸化物ガラスであり、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が40mol%〜80mol%の範囲内である光学ガラス用ガラス素材を製造する。続いて、この光学ガラス用ガラス素材を酸化性雰囲気ガス中にて熱処理することで本実施形態の光学ガラスを得る。ここで、加熱・熔融工程において、熔融容器内の熔融ガラスに含まれる水分量を調整することにより、光学ガラスのβOH値が0.1mm−1以上となるように制御すればよい。
本実施形態の光学ガラスの製造において、ガラス原料の調整法、ガラス原料の加熱法、熔融法、熔融ガラスの成形法については公知の方法が適宜採用できる。また、均質な光学ガラスを得る観点から、熔融容器は金属材料によって構成されることが好ましい。ここで、溶融容器を構成する金属材料としては、耐蝕性、耐熱性に優れることから白金、金等の貴金属、および、白金合金、金合金等の貴金属合金が好ましい。
ここで、熔融ガラスに含まれる水分量の調整方法としては、熔融ガラスを熔融している雰囲気中へ水蒸気を供給する第一の水分量調整方法、溶融ガラス中に水蒸気をバブリングしながら供給する第二の水分量調整方法、および、第一の水分量調整方法と第二の水分量調整方法とを組み合わせた第三の水分量調整方法、から選択されるいずれかを利用することが好ましい。なお、熔融容器内の熔融ガラスに含まれる水分量の調整とは、主として上述した第一〜第三の水分量調整方法のように熔融ガラスに含まれる水分量を増加させる操作を意味する。
なお、熔融容器内の熔融ガラスに含まれる水分量の調整方法としては、ガラス原料として水分を含む化合物を用いる方法、例えば、正リン酸やホウ酸を含むガラス原料を用いることで熔融ガラス中の水分量を増やす方法も挙げられる。しかし、この方法ではガラス原料を熔かす過程で水分が蒸散し、光学ガラス用ガラス素材および光学ガラス中での十分な含水量を確保することは困難である。さらに、化合物を調合して原料とし、この原料を粗熔解してカレットを作り、カレットを再調合して熔融容器中で再熔融する方式では、原料中に当初含まれていた水分はさらに失われ、熔融容器中で再熔融するときには含水量は大幅に減少してしまう。
したがって、ガラス原料として、正リン酸やホウ酸などの水分を含む化合物を使用する場合であっても、熔融ガラスからの水分の蒸散を抑制するために、熔融雰囲気の水蒸気分圧を高めることが好ましい。あるいは、ガラス原料して水分を含む化合物を使用する場合、熔融容器を気密化し、加熱・熔融工程で水蒸気が熔融容器外へと散逸しないようにしてもよい。このような操作も熔融容器内の熔融ガラスに含まれる水分量の調整に含まれる。
なお、加熱・熔融工程は、通常、ガラス原料を加熱することで熔解して熔融ガラスにする熔解工程と、熔融ガラスの脱泡を促進する清澄工程と、清澄後の熔融ガラスを降温して成形に適した粘度にするとともに撹拌して均質化する均質化工程とを含む。ガラス原料としてカレットを使用する場合は、前述のように化合物を調合したガラス原料、所謂、バッチ原料を粗熔解してカレット化するカレット化工程が熔解工程の前に実施される。
カレットを作製する方式であっても、バッチ原料を直接熔解工程で熔解する方式であっても、Ti、Nb、WおよびBiの過剰な還元を抑えるとともに、熔融容器が金属材料から構成される場合にその金属材料のイオン化を抑制し、光学ガラス用ガラス素材および光学ガラス中の含水量を確保する観点から、加熱・熔融工程中のガラスの加熱温度を1400℃以下に維持することが好ましく、1300℃以下に維持することがより好ましい。さらに清澄性を改善しつつ、着色の少ない光学ガラスを得る観点からは、加熱・熔融工程中のガラスの加熱温度が清澄工程で最も高くなるように設定する、すなわち、清澄温度以下でガラスを熔融することが好ましい。
また、加熱・熔融工程の開始から終了までの時間を長くすると、高屈折率成分の還元、熔融容器が金属材料からなる場合においてその金属材料のイオン化を助長し、光学ガラス中の含水量も低下傾向を示すことになる。このため、加熱・熔融工程の開始から終了までの時間は100時間以内にすることが好ましい。なお、加熱・熔融工程の開始から終了までの時間は熔融容器の容量の大小などにより適宜調整すればよい。このようにして熔融、成形した光学ガラス用ガラス素材を酸化性雰囲気中で熱処理することにより、光学ガラスの着色を小さくすることができる。
酸化性雰囲気ガスとしては空気、空気に酸素を加えたガス、酸素などを使用すればよい。また、熱処理温度、熱処理時間は、λτ80が式(4)を満たすように設定することが好ましく、λτ80が式(5)を満たすように設定することがより好ましく、λτ80が式(6)を満たすように設定することがさらに好ましい。
本実施形態のプレス成形用ガラス素材および本実施形態の光学素子は、本実施形態の光学ガラスを含むものであり、一般的には、本実施形態の光学ガラスのみから構成される。
プレス成形用ガラス素材は、光学ガラスを加熱、軟化してプレス成形することによりプレス成形品、具体的には光学素子ブランクあるいは光学素子などを得るためのガラス素材である。プレス成形用ガラス素材の作製法としては、たとえば、流出する熔融ガラス流を分離して熔融ガラス塊とし、この熔融ガラス塊を冷却する過程でプレス成形用ガラス素材に成形する方法や、熔融ガラスを鋳型に鋳込んでガラスブロックを成形し、ガラスブロックを加工してプレス成形用ガラス素材にする方法などが挙げられる。
光学素子の例としては、球面レンズ、非球面レンズなどの各種のレンズ、プリズムなどが挙げられる。本実施形態の光学素子は、本実施形態の光学ガラスを、後加工する後加工工程を少なくとも経ることで作製される。後加工としては、加熱処理、成形、研磨等の各種公知の後加工が適宜実施でき、必要に応じて2種類以上の後加工処理を組み合わせることもできる。後加工により光学素子を作製する方法としては、光学ガラス(あるいはプレス成形用ガラス素材)を加熱、軟化してプレス成形して光学素子ブランクを作製し、光学素子ブランクを加工して光学素子を得る方法、プレス成形用ガラス素材を加熱、軟化して精密プレス成形して光学素子を得る方法、熔融ガラスをプレス成形して光学素子ブランクを作製し、光学素子ブランクを加工して光学素子を得る方法などが挙げられる。
なお、プレス成形用ガラス素材および光学素子の作製に際しては、本実施形態の光学ガラスの作製に用いる光学ガラス用ガラス素材を用いて、成形、研磨等の各種加工を行い、その後に着色を低減するための熱処理を行うことで作製してもよい。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでは無い。
(実施例1〜6)
バッチ原料を粗熔解してカレットを作製し、カレットを白金製坩堝に入れて加熱、熔融、成形して、表1に示すNo.1、No.2の各光学ガラスを以下の手順で作製した。まず最初に、リン酸塩、正リン酸、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩を秤量し、十分混合して調合した原料(バッチ原料)とし、このバッチ原料を石英製容器に入れて液相温度LT〜1300℃の範囲で加熱し、熔融ガラスとし、この熔融ガラスを水中に滴下してカレット原料を作製した。
次に、カレット原料を乾燥させた後、カレット原料を再調合し、白金製坩堝(熔融容器)に投入して白金製の蓋をした。この状態で、白金製坩堝内のカレット原料を、当該カレット原料のガラス組成の液相温度LT〜1250℃の範囲内で加熱し、カレット原料を熔解して熔融ガラス化(熔解工程)した。さらに熔融ガラスを液相温度LT〜1300℃の範囲内にて昇温して清澄(清澄工程)した後、液相温度LT〜1250℃の範囲内にて降温して撹拌、均質化(均質化工程)し、清澄、均質化した熔融ガラスをガラス流出パイプから流出させて鋳型に鋳込むことで、ガラスブロックを成形した。
なお、熔解工程、清澄工程、均質化工程の実施に際しては、白金製の蓋に設けた開口部から白金製パイプを白金製坩堝内へ挿入し、必要に応じてこの白金製パイプを通して水蒸気を白金製坩堝内の空間へと供給した。白金製坩堝内に供給した単位時間あたりの水蒸気流量を表2に示す。なお、表2中に示す、水蒸気流量は常温での流量に換算した値であり、単位はリットル/分である。また、坩堝内へ水蒸気を供給しない場合は、開口部のない白金製の蓋で白金製坩堝を密閉し、熔解工程から清澄工程を経て均質化工程に至までの間、白金製坩堝内を気密化して熔解過程にあるカレット原料および熔融ガラスからの水分の蒸散を抑制した。
次に上記ガラスブロックを大気中で25℃から2時間かけて570℃まで昇温し、570℃にてアニール(熱処理)し、ガラスブロック(光学ガラス用ガラス素材)の着色を低減する操作を行った。その後、ガラスブロックを降温速度−30℃/hrで常温まで冷却した。なお、ガラスブロックを570℃で保持した時間は4時間30分である。
アニール後、ガラスブロック(光学ガラス)のβOH値、λτ80、屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度Tgを測定した。No.1の光学ガラスについて、βOH値、T450、λτ80の値を表2に、No.1およびNo.2の各光学ガラスの屈折率nd、アッベ数νd、ガラス転移温度Tgを表1に示す。
なお、表1に示した屈折率nd、アッベ数νdの測定値は、毎時30℃の冷却速度で冷却した試料を用いて測定した値であり、液相温度LTの測定値については、試料を再加熱して、2時間保持後、室温まで冷却し、光学顕微鏡によるガラス内部の結晶析出の有無を確認し、結晶が認められない最低温度を液相温度としたものである。
表2の実施例1〜実施例3は白金製パイプから熔融容器内へと水蒸気を導入しないで作製した光学ガラスについてのデータ、実施例4〜実施例6は白金製パイプから熔融容器内へと水蒸気を導入して作製した光学ガラスについてのデータである。実施例1〜実施例3は正リン酸原料を使用するとともに熔融容器の気密性を高めることにより、熔融ガラスに水分を導入するとともに熔融容器からの水蒸気の散逸を抑制している。さらに、実施例4〜実施例6では熔融容器内の水蒸気分圧も積極的に高めている。
実施例1〜実施例3の光学ガラスのT450、λτ80と実施例4〜実施例6の光学ガラスとのT450、λτ80を比較すると、熔融容器内の水蒸気分圧を積極的に高めた実施例4〜実施例6の光学ガラスのほうがβOH値も大きく、一層大幅な着色度合の低減がなされていることがわかる。このようにして熱処理によって着色の小さい表1のNo.1に示す組成の光学ガラスを得ることができた。
Figure 2014024749
なお、実施例1〜6において、作製する光学ガラスを表1に示すNo.1の組成の光学ガラスから、No.2に示す組成の光学ガラスに変更しても着色度合を大幅に小さくすることができる。また、実施例1〜6では、熔融容器として白金製坩堝を使用したが、白金合金製坩堝、金製坩堝、金合金製坩堝を使用して光学ガラスを作製し、得られた光学ガラスを熱処理しても、着色度合を大幅に小さくした光学ガラスを得ることができた。さらに、実施例4〜6では、蓋をした白金坩堝内にパイプを介して水蒸気を供給したが、白金坩堝内の熔融ガラス中に水蒸気を吹き込んでバブリングしても同様の効果を得ることができ、これは、作製する光学ガラスの組成を表1に示すNo.2の組成に変更した場合も同様である。
また、実施例4〜6において、白金製坩堝内へ供給した水蒸気としては、ボイラーを使用して水を沸騰させることで得られた水蒸気を使用した。しかしながら、光学ガラス用ガラス素材の作製に際しては、他の方法により得られた水蒸気も適宜利用できる。たとえば、白金製坩堝などの熔融容器を収容する耐火物製のガラス熔解炉内へ水をミスト状に噴射して水蒸気化し、ガラス熔解炉内部および熔融容器内部の雰囲気の水蒸気分圧を高めてもよい。あるいは、ポンプを用いてガラス熔解炉中に水を供給し、熔解炉内の熱により水を沸騰させることで、水蒸気化し、ガラス熔融雰囲気中の水蒸気分圧を高めてもよい。これらの方法を利用しても光学ガラス用ガラス素材中の含水量を高めることができる。
(比較例1)
白金製蓋を取り外して熔融容器雰囲気を開放した以外は実施例1〜3と同様にしてガラスブロック(光学ガラス用ガラス素材)を作製した後、実施例1〜6と同様にして熱処理を行った。しかしながら、熱処理されたガラスブロック(光学ガラス)の着色度合は、実施例1〜6よりも大きかった。
また、ガラス組成を表1に記載のNo.1の組成の代わりにNo.2の組成とした以外は、比較例1と同様にガラスブロック(光学ガラス用ガラス素材)を作製し、熱処理した。しかしながら、熱処理されたガラスブロック(光学ガラス)の着色度合は、実施例1〜6よりも大きかった。
(比較例2)
熔融容器内に水蒸気の代わりに窒素ガスを導入した以外は実施例4〜6と同様にしてガラスブロック(光学ガラス用ガラス素材)を作製した後、実施例1〜6と同様にして熱処理を行った。しかしながら、熱処理したガラスブロック(光学ガラス)の着色度合は、比較例1のガラスブロック(光学ガラス)よりも非常に大きくなった。
(比較例3)
熔融容器内に水蒸気の代わりに一酸化炭素ガスなどの還元性ガスを導入した以外は実施例4〜6と同様にしてガラスブロック(光学ガラス用ガラス素材)を作製した後、実施例1〜6と同様にして熱処理を行った。しかしながら、熱処理したガラスブロック(光学ガラス)の着色度合は、比較例1のガラスブロック(光学ガラス)よりも非常に大きくなった。
なお、還元性ガスの濃度を高くすると還元されたガラス成分が白金坩堝と合金化し、坩堝の破壊が起こる。これは、ガラス組成を表1に記載のNo.2の組成に変更した場合ついても同様である。
(熱処理前後におけるガラスブロックの着色度合の観察結果の詳細)
表3に、各実施例および比較例で作製したガラスブロックの熱処理前後の着色度合の観察結果を示す。なお、着色度合は、白色の用紙上に、平面形状が略円形状のガラスブロックを配置して、室内光下にて目視観察することにより評価した。なお、観察に用いたいずれの実施例および比較例のガラスブロックも厚みはほぼ同じである。また、表3中に示す透明度の評価基準は以下の通りである。
A:ガラスブロック(光学ガラス)が薄く着色しているものの、ガラスブロック(光学ガラス)の下方に位置する用紙の白さも十分に認識できる程に透明度が高い(高透明度)。
B:ガラスブロック(光学ガラス)が着色しているが、ガラスブロック(光学ガラス)の下方に位置する用紙は十分に認識できる程度の透明度はある(中透明度)。
C:ガラスブロック(光学ガラス)が濃く着色しており、ガラスブロック(光学ガラス)の下方に位置する用紙が僅かに認識できる程度の低い透明度しかない(低透明度)。
D:ガラスブロック(光学ガラス)は完全に不透明であり、ガラスブロック(光学ガラス)の下方に位置する用紙の存在は全く認識できない(不透明)。
Figure 2014024749
(白金混入等の確認)
実施例1〜6および比較例1〜3で用いた熱処理後のガラスブロックのうち、透明度の評価がDのものを除いてガラスブロックの内部を光学顕微鏡により観察した。その結果、いずれのガラスブロックにおいてもその内部に、混入した白金異物および析出した結晶は確認されなかった。また、実施例1〜6および比較例1〜3で用いたガラスブロック中の白金溶解量をICP発光分光法により測定したところ、いずれも2ppm未満であった。
(実施例7)
実施例1〜6で作製した光学ガラスをプレス成形用ガラス素材に加工し、加熱、軟化してプレス成形し、光学素子ブランクを作製した。さらに光学素子ブランクを加工して球面レンズ、プリズムなどの光学素子を作製した。さらにレンズ表面、プリズム表面に反射防止膜をコートして最終製品を得た。表1に記載のNo.2の光学ガラスについても同様にしてプレス成形用ガラス素材、光学素子ブランク、光学素子を作製した。

Claims (6)

  1. 屈折率ndが1.97以上であり、
    ガラス成分として、TiO、Nb、WOおよびBiから選択される少なくとも1種の酸化物を含む酸化物ガラスであり、
    TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量が40mol%〜80mol%の範囲内であり、かつ、
    下式(1)に示すβOH値が0.1mm−1以上であることを特徴とする光学ガラス。
    ・式(1) βOH=−ln(B/A)/t
    〔式(1)中、tは外部透過率の測定に用いる前記光学ガラスの厚み(mm)を表し、Aは前記光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2500nmにおける外部透過率(%)を表し、Bは前記光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長2900nmにおける外部透過率(%)を表す。また、lnは自然対数である。〕
  2. 請求項1に記載の光学ガラスにおいて、
    前記ガラス成分としてPを10mol%〜35mol%の範囲内で含むことを特徴とする光学ガラス。
  3. 請求項1または2に記載の光学ガラスにおいて、
    下式(2)を満たすことを特徴とする光学ガラス。
    ・式(2) λτ80<aX+b
    〔式(2)中、λτ80は、前記光学ガラスに対してその厚み方向と平行に光を入射した際の波長280〜700nmの範囲における内部透過率を測定した後、当該測定された内部透過率に基づいて前記光学ガラスの厚みが10mmであると仮定して計算した内部透過率が、80%となる波長(nm)を表し、aは、定数(1.8359nm/mol%)を表し、bは、定数(351.06nm)を表し、Xは、TiO、Nb、WOおよびBiの合計含有量(mol%)を表す。〕
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の光学ガラスにおいて、
    Sbに換算で、酸化アンチモンを1000ppm未満含むことを特徴とする光学ガラス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光学ガラスを含むことを特徴とするプレス成形用ガラス素材。
  6. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光学ガラスを含むことを特徴とする光学素子。
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