JP2019026549A - 光学ガラスおよび光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐酸性および耐候性に優れる光学ガラスおよび光学素子を提供すること。【解決手段】カチオン成分として、Li+、Na+およびK+からなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオンを含み、かつP5+、B3+、およびBa2+を含むリン酸塩ガラスであって、Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量が10カチオン%以上であり、P5+およびB3+の合計含有量が30〜50カチオン%であって、P5+の含有量とP5+およびB3+の合計含有量とのカチオン比が0.50以上0.84以下であり、Li+、Na+、K+が5カチオン%以上であり、Ba2+の含有量が5カチオン%以上であり、Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量が10カチオン%以上であって、アッベ数νdが40以上である、光学ガラス。【選択図】図1

Description

本発明は、耐酸性および耐候性に優れる光学ガラスに関する。また、本発明は、係る光学ガラスからなる光学素子に関する。
近年、デジタルカメラ等の画像品質および解像度の向上に伴い、非球面レンズが幅広く取り扱われることになり、そのため、中程度の屈折率、中程度の分散性を有し、さらに高い透過率を有するガラスが求められている。
しかし、従来、中屈折率中分散性のガラスは、耐酸性および耐候性が不十分であった。このため、例えば車載用等の高い耐久性が求められる用途では、さらなる改善が求められる。
特許文献1には、中屈折率中分散性の光学ガラスが開示されているが、耐酸性が十分でない。
特表2016−533312号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、耐酸性および耐候性に優れる光学ガラスおよび光学素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ガラスを構成する各種ガラス構成成分(以下、ガラス成分という)の含有比率を調整することにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)カチオン成分として、Li、NaおよびKからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオンを含み、かつP5+、B3+、およびBa2+を含むリン酸塩ガラスであって、
Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]が10カチオン%以上であり(ただし、Ln3+は、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+およびLu3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]を表す。)、
5+およびB3+の合計含有量[P5++B3+]が30〜50カチオン%であって
、P5+の含有量とP5+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[P5+/(P5++B3+)]が0.50以上0.84以下であり、
Li、Na、K[Li+Na+K]が5カチオン%以上であり、
Ba2+の含有量が5カチオン%以上であり、
Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]が10カチオン%以上であって、
アッベ数νdが40以上である、光学ガラス。
(2)P5+の含有量が20〜40カチオン%であり、
3+の含有量が4〜15カチオン%であり、
Liの含有量が5〜30カチオン%である、(1)に記載の光学ガラス。
(3)JOGISに基づく耐酸性重量減少率Daが0.8%未満である、(1)または(2)に記載の光学ガラス。
(4)JOGISに基づく耐酸性が1〜3等級である、(1)〜(3)のいずれかに記載の光学ガラス。
(5)JOGISに基づく耐候性Dが1等級である、(1)〜(4)のいずれかに記載の光学ガラス。
(6)ガラス転移温度Tgが590℃以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の光学ガラス。
(7)JOGISに基づく耐酸性重量減少率Daが0.8%未満であり、
ガラス転移温度Tgが590℃以下であり、
アッベ数νdが40以上である、光学ガラス。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光学ガラスからなる、光学素子。
本発明によれば、耐酸性および耐候性に優れる光学ガラスおよび光学素子を提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態の光学ガラスにおける、Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量と耐酸性重量減少率Daとの関係を示したものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、カチオン%表示での各成分の含有比率に基づいて本発明に係る光学ガラスを説明する。したがって、以下、各含有量は特記しない限り、カチオン%にて表示する。
本明細書では、屈折率は、特記しない限り、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
アッベ数νdは、分散に関する性質を表す値として用いられるものであり、下式(1)で表される。ここで、nFは青色水素のF線(波長486.13nm)における屈折率、nCは赤色水素のC線(656.27nm)における屈折率である。
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(1)
カチオン%表示とは、全てのカチオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率をいう。また、合計含有量とは、複数種のカチオン成分の含有量(含有量が0%である場合も含む)の合計量をいう。また、カチオン比とは、カチオン%表示において、カチオン成分同士の含有量(複数種のカチオン成分の合計含有量も含む)の割合(比)をいう。
カチオン成分の価数(例えばB3+の価数は+3、Si4+の価数は+4、La3+の価数は+3)は、慣習により定まった値であり、ガラス成分としてのB、Si、Laを酸化物基準で表記する際、B、SiO、Laと表記するのと同様である。したがって、ガラス組成を分析する際、カチオン成分の価数まで分析しなくてもよい。また、アニオン成分の価数(例えばO2-の価数がー2)も慣習により定まった値であり、上
記のように酸化物基準におけるガラス成分を、例えばB、SiO、Laと表記するのと同様である。したがって、ガラス組成を分析する際、アニオン成分の価数まで分析しなくてもよい。
ガラス成分の含有量は、公知の方法、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)等の方法で定量できる。また、本明細書および本発明において、構成成分の含有量が0%とは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、該成分が不可避的不純物レベルで含まれることを許容する。
以下に、第1実施形態としてガラス組成に基づいて本発明の光学ガラスを説明し、第2実施形態として物性値に基づいて本発明の光学ガラスを説明する。
第1実施形態
第1実施形態に係る光学ガラスは、
カチオン成分として、Li、NaおよびKからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオンを含み、かつP5+、B3+、およびBa2+を含むリン酸塩ガラスであって、
Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]が10カチオン%以上であり(ただし、Ln3+は、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+およびLu3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]を表す。)、
5+およびB3+の合計含有量[P5++B3+]が30〜50カチオン%であって
、P5+の含有量とP5+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[P5+/(P5++B3+)]が0.50以上0.84以下であり、
Li、Na、およびK合計含有量[Li+Na+K]が5カチオン%以上であり、
Ba2+の含有量が5カチオン%以上であり、
Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]が10カチオン%以上であって、
アッベ数νdが40以上であることを特徴とする。
以下、第1実施形態に係る光学ガラスについて詳しく説明する。
第1実施形態に係る光学ガラスは、Li、NaおよびKからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオンを含み、かつP5+、B3+、およびBa2+を含む。また、ガラスのネットワーク形成成分としてP5+を主成分として含むリン酸塩ガラスである。ガラス成分としてP5+およびB3+を含むことで、耐失透性が向上する。また、アルカリ金属イオンを含むことにより耐失透性、ガラスの熱的安定性が向上し、ガラス転移温度が低下する。ここで、アルカリ金属イオンとはLi、Na、Kのいずれかである。さらに、Ba2+を含むことで、屈折率ndの低下が抑制され、またガラス化時の失透が抑制される。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]は10%以上である。合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]の下限は、好ましくは12%であり、さらには15%、18%の順により好ましい。
ここで、Ln3+はLa3+、Gd3+、Y3+、Yb3+およびLu3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]を表す。
Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+は耐酸性の向上に寄与する成分である。図1に示すように、合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]が増加するにしたがって、耐酸性重量減少率Daは低下する。よって、合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]は上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+およびB3+の合計含有量[P5+
3+]は30〜50%である。合計含有量[P5++B3+]は、好ましくは32〜48%であり、より好ましくは34〜46%であり、さらに好ましくは36〜45%である。
また、第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量とP5+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[P5+/(P5++B3+)]は0.50以上0.84以下である。カチオン比[P5+/(P5++B3+)]の下限は、好ましくは0.60であり、さらには0.70の方がより好ましい。また、カチオン比[P5+/(P5++B3+)]の上限は、好ましくは0.83であり、さらには0.82の方がより好ましい。
ガラスのネットワーク形成成分としてP5+およびBを含有すると耐失透性を向上できるが、過剰に含有すると耐候性が悪化する。また、ネットワーク形成成分の中でもP5+の割合を所定の範囲とすることで、耐失透性をより向上できる。したがって、合計含有量[P5++B3+]およびカチオン比[P5+/(P5++B3+)]は上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li、Na、Kの合計含有量[Li+Na+K]は5%以上である。Li、Na、Kは、いずれもガラスの熱的安定性を改善する働きを有し、ガラス転移温度Tgを下げる。一方、これらの合計含有量が多くなると、耐酸性が低下する。合計含有量[Li+Na+K]の下限は、好ましくは6%であり、さらには8%、10%の順により好ましい。合計含有量[Li+Na+K]の上限は、好ましくは30%であり、さらには28%、26%、25%の順により好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ba2+の含有量は5%以上である。Ba2+の含有量の下限は、好ましくは7%であり、さらには9%、11%、13%の順により好ましい。また、Ba2+の含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには28%、26%、24%の順により好ましい。
Ba2+の含有量を上記範囲とすることで、屈折率ndの低下が抑制され、またガラス化時の失透が抑制される。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]は10%以上である。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+のいずれもガラスの耐酸性、熱的安定性および耐失透性を改善する働きを有するガラス成分である。合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]を10%以上にすることにより、ガラスの耐酸性、熱的安定性および耐失透性を改善することができる。合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]の下限は、好ましくは15%であり、さらには16%、17%、18%の順により好ましい。一方、これらガラス成分の含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。したがって、合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]の上限は、好ましくは40%であり、さらには38%、36%、35%の順により好ましい。熱的安定性および耐失透性を維持する観点から、合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]のは上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、アッベ数νdは40以上である。アッベ数νdは40〜65の範囲であってもよい。アッベ数νdは、たとえばAl3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]のうち、Al3+の割合を大きくすることにより高めることができ、また小さくすることにより低減できる。
(ガラス成分)
第1実施形態に係る光学ガラスにおける上記以外のガラス成分の含有量および比率について、以下に詳述する。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量の下限は、好ましくは20%であり、さらには22%、24%、26%の順により好ましい。また、P5+の含有量の上限は、好ましくは40%であり、さらには39%、38%、37%の順により好ましい。
5+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、また、耐失透性を向上させる成分である。一方、P5+を過剰に含むと耐候性が悪化する。したがって、P5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、B3+の含有量の下限は、好ましくは4%であり、さらには5%、6%の順により好ましい。また、B3+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには13%、12%の順により好ましい。
3+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの耐失透性を改善する働きを有する。一方、B3+の含有量が多いと、耐酸性が低下する傾向がある。したがって、B3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Si4+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%の順により好ましい。また、Si4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Si4+の含有量は0%であってもよい。
Si4+は、ガラスのネットワーク形成成分であり、ガラスの化学的耐久性を改善する働きを有する。一方、Si4+の含有量が多いと、ガラスの耐失透性が低下する傾向がある。したがって、Si4+の含有量の上限は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Al3+の含有量の下限は、好ましくは1.0%であり、さらには1.2%、1.5%の順により好ましい。Al3+の含有量の下限を0%とすることもできる。また、Al3+の含有量の上限は、好ましくは24%であり、さらには23%、22%、21%の順により好ましい。なお、Al3+の含有量は0%であってもよい。
Al3+は、ガラスの耐酸性を改善する働きを有するガラス成分である。一方、Al3+の含有量が多くなると、ガラスの耐失透性が低下する。したがって、Al3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Liの含有量の下限は好ましくは5%であり、さらには6%、8%、10%の順により好ましい。また、Liの含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには28%、26%、25%の順により好ましい。
Liは、ガラス転移温度Tgを下げる働きを有する。一方、Liの含有量が多くなると、耐酸性が低下する。したがって、Liの含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Naの含有量の上限は好ましくは12%であり、さらには10%、8%、6%、4%の順により好ましい。また、Naの含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Naの含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Kの含有量の上限は、好ましくは12%であり、さらには10%、8%、6%、4%の順により好ましい。また、Kの含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Kの含有量は0%であってもよい。
NaおよびKは、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、屈折率、熱的安定性、耐酸性が低下する。したがって、NaおよびKの各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
Liの含有量とLi、NaおよびKの合計含有量とのカチオン比[Li/(Li+Na+K)]は0.5以上であることが好ましい。カチオン比[Li/(Li+Na+K)]の下限は、より好ましくは0.6であり、さらには0.7、0.8、0.9の順により好ましい。
1価成分であるLi、NaおよびKを含むことでガラス転移温度Tgの上昇が抑制される。また、その中でもLiを多く含むことで耐酸性が向上し、屈折率ndの低下も抑制される。したがって、カチオン比[Li/(Li+Na+K)]を上記範囲とすることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Rbの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、Rbの含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Rbの含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Csの含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%の順により好ましい。また、Csの含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Csの含有量は0%であってもよい。
RbおよびCsは、いずれも、ガラスの熔融性を改善する働きを有するが、これらの含有量が多くなると、屈折率nd、ガラスの熱的安定性、耐酸性、耐候性が低下する。したがって、RbおよびCsの各含有量は、それぞれ上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Mg2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには14%、12%、10%の順により好ましい。また、Mg2+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Mg2+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ca2+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには14%、12%、10%の順により好ましい。また、Ca2+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Ca2+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Sr2+の含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには9%、8%、7%の順により好ましい。また、Sr2+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Sr2+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zn2+の含有量の上限は、好ましくは10%であり、さらには9%、8%、7%の順により好ましい。また、Zn2+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Zn2+の含有量は0%であってもよい。
Zn2+は、ガラスの転移温度を低下させ、熱的安定性を改善する働きを有するガラス成分である。一方、Zn2+の含有量が多すぎると熔融性が悪化し、アッベ数νdが減少する。したがって、Zn2+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Y3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%の順により好ましい。また、Y3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Y3+の含有量は0%であってもよい。
3+は耐酸性を改善する働きを有する成分である。一方、Y3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。したがって、Y3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、La3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%の順により好ましい。また、La3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、La3+の含有量は0%であってもよい。
La3+は耐酸性を改善する働きを有する成分である。一方、La3+の含有量が多くなるとガラスの熱的安定性および耐失透性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなる。したがって、熱的安定性および耐失透性の低下を抑制する観点から、La3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Gd3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%の順により好ましい。また、Gd3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Gd3+の含有量は0%であってもよい。
Gd3+は耐酸性を改善する働きを有する成分である。一方、Gd3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性および耐失透性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなり、また、比重が増大する。ガラスの比重を増大させる。ガラスの比重が増大すると、光学素子の質量が増大する。例えば、質量の大きいレンズをオートフォーカス式の撮像レンズに組み込むと、オートフォーカス時にレンズの駆動に要する電力が増大し、電池の消耗が激しくなる。したがって、Gd3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Yb3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Yb3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Yb3+の含有量は0%であってもよい。
Yb3+は耐酸性を改善する働きを有する成分である。一方Yb3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性および耐失透性が低下し、製造中にガラスが失透しやすくなり、また、比重が増大する。したがって、Yb3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Lu3+の含有量の上限は、好ましくは3%であり、さらには2%、1%の順により好ましい。また、Lu3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Lu3+の含有量は0%であってもよい。
Lu3+は耐酸性を改善する働きを有する成分である。一方、Lu3+の含有量が多くなり過ぎるとガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。また、比重が増大する。したがって、Lu3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+およびLu3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]の上限は、好ましくは7%であり、さらには6%、5%、4%の順により好ましい。また、合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]の下限は、好ましくは0%である。なお合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]は0%であってもよい。La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]が上記範囲であることより、耐酸性、熱的安定性および耐失透性を改善できる。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ti4+の含有量の上限は、好ましくは7%であり、さらには6%、5%、4%の順により好ましい。また、Ti4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Ti4+の含有量は0%であってもよい。
Ti4+は、耐酸性を改善する働きを有する成分である。一方Ti4+の含有量が多くなり過ぎると、アッベ数が大幅に低下する。また、Ti4+は、比較的ガラスの着色を増大させやすく、熔融性も悪化する。したがって、Ti4+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Zr4+の含有量の上限は、好ましくは7%であり、さらには6%、5%の順により好ましい。また、Zr4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Zr4+の含有量は0%であってもよい。
Zr4+は、ガラスの耐酸性を改善する働きを有するガラス成分である。一方、Zr4+の含有量が多すぎると、熱的安定性、耐失透性が低下する。したがって、Zr4+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Nb5+の含有量の上限は、好ましくは15%であり、さらには14%、12%、10%の順により好ましい。また、Nb5+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Nb5+の含有量は0%であってもよい。
Nb5+は、ガラスの耐酸性を改善する働きを有するガラス成分である。また、ガラスの熱的安定性を改善するガラス成分でもある。一方、Nb5+の含有量が多くなりすぎると、アッベ数が大幅に低下する。また、ガラスの着色が強まる傾向がある。したがって、Nb5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ta5+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%の順により好ましい。また、Ta5+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Ta5+の含有量は0%であってもよい。
Ta5+は、ガラスの耐酸性を改善する働きを有するガラス成分である。一方、Ta5+の含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性が低下する。したがって、Ta5+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Bi3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%の順により好ましい。また、Bi3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Bi3+の含有量の0%であってもよい。
Bi3+は、適量を含有させることにより、Tgを低下させ、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、Bi3+の含有量を高めると、ガラスの着色が増大する。したがって、Bi3+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、W6+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2%の順により好ましい。また、W6+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、W6+の含有量の0%であってもよい。
6+は、適量を含有させることにより、Tgを低下させ、ガラスの熱的安定性を改善する働きを有する。一方、W6+の含有量を高めると、ガラスの着色が増大する。したがって、W6+の含有量は上記範囲であることが好ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ga3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.1%、0.05%の順により好ましい。また、Ga3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Ga3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、In3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.1%、0.05%の順により好ましい。また、In3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、In3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Sc3+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.1%、0.05%の順により好ましい。また、Sc3+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Sc3+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Hf4+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.1%、0.05%の順により好ましい。また、Hf4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Hf4+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ge4+の含有量の上限は、好ましくは5%であり、さらには4%、3%、2.5%、2%、1.5%、1%、0.5%、0.1%、0.05%の順により好ましい。また、Ge4+の含有量の下限は、好ましくは0%である。なお、Ge4+の含有量は0%であってもよい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ti4+、Nb5+、Bi3+およびW6+の合計含有量とAl3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量とのカチオン比[(Ti4++Nb5++Bi3++W6+)/(Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+)]の上限は、好ましくは0.7であり、さらには0.6、0.5、0.4の順により好ましい。また、その下限は、0であってもよい。
カチオン比[(Ti4++Nb5++Bi3++W6+)/(Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+)]を上記範囲とすることで、アッベ数νdを所望の範囲とすることができる。また良好な光透過性を得る上でも望ましい。
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、Al3+の含有量とAl3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量とのカチオン比[Al3+/(Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+)]の上限は、1であっても良い。また、その下限は、好ましくは0.2であり、さらには0.3、0.4、0.5、0.6の順により好ましい。
カチオン比[Al3+/(Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+)]を上記範囲とすることで、良好な耐酸性を得つつ、アッベ数νdを所望の範囲とすることができる。
第1実施形態に係る光学ガラスのカチオン成分は、主として上述の成分、すなわち、必須成分としてLi、NaおよびKからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオン、P5+、B3+、およびBa2+、任意成分としてSi4+、Al3+、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+、Y3+、La3+、Gd3+、Yb3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+、W6+、Ga3+、In3+、Sc3+、Hf4+、Lu3+およびGe4+で構成されていることが好ましく、上述の成分の合計含有量は、95%よりも多くすることが好ましく、98%よりも多くすることがより好ましく、99%よりも多くすることがさらに好ましく、99.5%よりも多くすることが一層好ましい。
本発明のガラスは、酸化物ガラスであり、アニオン成分における主成分はO2−である。アニオン成分であるO2−の含有量は、95アニオン%以上100アニオン%以下範囲であることが好ましく、95アニオン%を超え100アニオン%以下範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは97アニオン%を超え100アニオン%以下、99アニオン%を超え100アニオン%以下、99.5アニオン%を超え100アニオン%以下、99.9アニオン%を超え100アニオン%以下、100アニオン%の順により好ましい。
本発明のガラスは、O2−以外のアニオン成分を含んでいてもよい。O2−以外のアニオン成分として、F、Cl、Br、Iを例示できる。しかし、F、Cl、Br、Iは、いずれもガラスの熔融中に揮発しやすい。これらの成分の揮発によって、ガラスの特性が変動する、ガラスの均質性が低下する、熔融設備の消耗が著しくなる等の問題が生じる。したがって、F、Cl、BrおよびIの含有量の合計は、5アニオン%未満であることが好ましく、より好ましくは3アニオン%未満、さらに好ましくは1アニオン%未満、特に好ましくは0.5アニオン%未満、一層好ましくは0.1アニオン%未満、より一層好ましくは0アニオン%である。
なお、アニオン%とは、全てのアニオン成分の含有量の合計を100%としたときのモル百分率である。
第1実施形態の光学ガラスは、基本的に上記成分により構成されることが好ましいが、本発明の作用効果を妨げない範囲において、その他の成分を含有させることも可能である。また、本発明において、不可避的不純物の含有を排除するものではない。
<その他の成分組成>
Pb、As、Cd、Tl、Be、Seは、いずれも毒性を有する。そのため、第1実施形態の光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
U、Th、Raはいずれも放射性元素である。そのため、第1実施形態の光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Pr,Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ceは、ガラスの着色を増大させ、蛍光の発生源となり得る。そのため、第1実施形態の光学ガラスがこれら元素をガラス成分として含有しないことが好ましい。
Sb(Sb)、Sn(SnO)、Ce(CeO)は清澄剤として機能する任意に添加可能な元素である。このうち、Sb(Sb)は、清澄効果の大きな清澄剤である。しかし、Sb(Sb)は酸化性が強く、Sb(Sb)の添加量を多くしていくと、精密プレス成形のときに、ガラスに含まれるSb(Sb)がプレス成形型の成形面を酸化する。そのため、精密プレス成形を重ねるうちに、成形面が著しく劣化し、精密プレス成形ができなくなる。また、成形した光学素子の表面品質が低下する。Sn(SnO)、Ce(CeO)は、Sb(Sb)と比較し、清澄効果が小さい。Ce(CeO)は、多量に添加するとガラスの着色が強まる。したがって、清澄剤を添加する場合は、添加量に注意しつつ、Sb(Sb)を添加することが好ましい。
下記清澄剤の含有量については、酸化物換算した値を示す。
Sbの含有量は、外割り表示とする。すなわち、Sb、SnOおよびCeO以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのSbの含有量は、好ましくは1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、さらに好ましくは0.1質量%未満の範囲である。Sbの含有量は0質量%であってもよい。
SnOの含有量も、外割り表示とする。すなわち、SnO、SbおよびCeO以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのSnOの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満の範囲である。SnOの含有量は0質量%であってもよい。SnOの含有量を上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
CeOの含有量も、外割り表示とする。すなわち、CeO、Sb、SnO以外の全ガラス成分の合計含有量を100質量%としたときのCeOの含有量は、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満、一層好ましくは0.1質量%未満の範囲である。CeOの含有量は0質量%であってもよい。CeOの含有量を上記範囲とすることによりガラスの清澄性を改善できる。
(ガラス特性)
<屈折率nd>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndは、好ましくは1.58以上であり、さらには、1.59以上、1.60以上の順により好ましい。
<耐酸性重量減少率Da>
日本光学硝子工業会規格JOGIS06−2009の規定に従って測定する。具体的には、比重に相当する重量の粉末ガラス(粒度425〜600μm)を白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その処理前後での重量減少率(%)を測定する。耐酸性重量減少率Daによる等級を表1に示す。
Figure 2019026549
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、耐酸性重量減少率Daは、好ましくは0.8%未満であり、より好ましくは0.60%未満、さらに好ましくは0.30%未満である。また、その等級は、好ましくは1〜4等級であり、より好ましくは1〜3等級、さらに好ましくは1〜2等級である。耐酸性重量減少率Daは、合計量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]を大きくすることにより低減できる。
<耐候性D
日本光学硝子工業会規格JOGIS07−2009の規定に従って測定する。具体的には、30×30×3mmの対面研磨されたガラス試料を、上記規格で規定された高温高湿度の温度サイクル環境化で48時間処理したときのヘイズ(%)(散乱光/入射光)を測定する。ヘイズによる等級を表2に示す。
Figure 2019026549
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、耐候性Dは、好ましくは1等級である。耐候性Dにおけるヘイズは、P5+およびB3+の合計含有量[P5++B3+]を30
〜50%とすることにより低減できる。
<ガラス転移温度Tg>
第1実施形態に係る光学ガラスのガラス転移温度Tgは、好ましくは590℃以下であり、さらには570℃以下、560℃以下、550℃以下の順により好ましい。
ガラス転移温度Tgの上限が上記範囲を満たすことにより、ガラスの成型温度およびアニール温度の上昇を抑制することができ、プレス成形用設備およびアニール設備への熱的ダメージを軽減できる。また、ガラス転移温度Tgの下限が上記範囲を満たすことにより、所望のアッベ数、屈折率を維持しつつ、ガラスの熱的安定性を良好に維持しやすくなる。
<ガラスの光線透過性>
第1実施形態に係る光学ガラスの光線透過性は、着色度λ80およびλ5により評価できる。
厚さ10.0mm±0.1mmのガラス試料について波長200〜700nmの範囲で分光透過率を測定し、外部透過率が80%となる波長をλ80、外部透過率が5%となる波長をλ5とする。
第1実施形態に係る光学ガラスのλ80は、好ましくは450nm以下であり、より好ましくは440nm以下であり、さらに好ましくは430nm以下である。また、λ5は、好ましくは350nm以下であり、より好ましくは340nm以下であり、さらに好ましくは330nm以下である。
<ガラスの比重>
第1実施形態に係る光学ガラスにおいて、比重は、好ましくは4.0以下であり、さらには、3.9以下、3.8以下の順により好ましい。ガラスの比重を低減することができれば、レンズの重量を減少できる。その結果、レンズを搭載するカメラレンズのオートフォーカス駆動の消費電力を低減できる。
(光学ガラスの製造)
本発明の第1実施形態に係る光学ガラスは、上記所定の組成となるようにガラス原料を調合し、調合したガラス原料により公知のガラス製造方法に従って作製すればよい。例えば、複数種の化合物を調合し、十分混合してバッチ原料とし、バッチ原料を石英坩堝や白金坩堝中に入れて粗熔解(ラフメルト)する。粗熔解によって得られた熔融物を急冷、粉砕してカレットを作製する。さらにカレットを白金坩堝中に入れて加熱、再熔融(リメルト)して熔融ガラスとし、さらに清澄、均質化した後に熔融ガラスを成形し、徐冷して光学ガラスを得る。熔融ガラスの成形、徐冷には、公知の方法を適用すればよい。
なお、ガラス中に所望のガラス成分を所望の含有量となるように導入することができれば、バッチ原料を調合するときに使用する化合物は特に限定されないが、このような化合物として、酸化物、炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、フッ化物、塩化物等が挙げられる。
(光学素子等の製造)
本発明の第1実施形態に係る光学ガラスを使用して光学素子を作製するには、公知の方法を適用すればよい。例えば、ガラス原料を熔融して熔融ガラスとし、この熔融ガラスを鋳型に流し込んで板状に成形し、本発明に係る光学ガラスからなるガラス素材を作製する。得られたガラス素材を適宜、切断、研削、研磨し、プレス成形に適した大きさ、形状のカットピースを作製する。
カットピースを加熱、軟化して、公知の方法でプレス成形(リヒートプレス)し、光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを作製する。光学素子ブランクをアニールし、公知の方法で研削、研磨して光学素子を作製できる。
カットピースを粗研磨加工(バレル研磨)して重量を均等化するとともに表面に離型剤を付着し易くして、再加熱し、軟化したガラスを所望の光学素子の形状に近似した形状にプレス成形し、最後に研削・研磨して光学素子を製造することもできる。
または、所定重量の熔融ガラスを成形型上に分離して直接にプレス成形し、最後に研削および研磨して光学素子を製造してもよい。
作製した光学素子の光学機能面には使用目的に応じて、反射防止膜、全反射膜などをコーティングしてもよい。
光学素子としては、球面レンズなどの各種レンズ、プリズム、回折格子などが例示できる。
第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る光学ガラスは、
JOGISに基づく耐酸性重量減少率Daが0.8%未満であり、
ガラス転移温度Tgが590℃以下であり、
アッベ数νdが40以上であることを特徴とする。
以下、第2実施形態に係る光学ガラスについて詳しく説明する。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、JOGISに基づく耐酸性重量減少率Daは0.8%未満である。耐酸性重量減少率Daは、好ましくは0.60%未満であり、より好ましくは0.30%未満である。また、その等級は、好ましくは1〜4等級であり、より好ましくは1〜3等級、さらに好ましくは1〜2等級である。耐酸性重量減少率Daは、合計量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]を大きくすることにより低減できる。
第2実施形態に係る光学ガラスの耐酸性重量減少率Daは、第1実施形態と同様の方法で測定される。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、ガラス転移温度Tgは590℃以下である。ガラス転移温度Tgは、好ましくは570℃以下であり、より好ましくは560℃以下であり、特に好ましくは550℃以下である。
第2実施形態に係る光学ガラスでは、アッベ数νdは40以上である。アッベ数νdは40〜65の範囲であってもよい。アッベ数νdは、たとえばAl3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]のうち、Al3+の割合を大きくすることにより高めることができ、また小さくすることにより低減できる。
(ガラス成分)
第2実施形態に係る光学ガラスのガラス成分について、以下に詳述する。
第2実施形態に係る光学ガラスは、Li、NaおよびKからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオン、P5+、B3+、およびBa2+を含むことができる。好ましくは、ガラスのネットワーク形成成分としてP5+を主成分として含むリン酸塩ガラスである。ガラス成分としてP5+およびB3+を含むことで、耐失透性が向上する。また、アルカリ金属イオンを含むことにより耐失透性、ガラスの熱的安定性が向上し、ガラス転移温度が低下する。ここで、アルカリ金属イオンとはLi、Na、Kのいずれかである。さらに、Ba2+を含むことで、屈折率ndの低下が抑制され、またガラス化時の失透が抑制される。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]の下限は、好ましくは10%であり、さらには12%、15%、18%の順により好ましい。
ここで、Ln3+はLa3+、Gd3+、Y3+、Yb3+およびLu3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]を表す。
Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+は耐酸性の向上に寄与する成分である。図1に示すように、合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]が増加するにしたがって、耐酸性重量減少率Daは低下する。よって、合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]は上記範囲とすることが好ましい。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+およびB3+の合計含有量[P5+
3+]は、好ましくは30〜50%であり、より好ましくは32〜48%であり、さらに好ましくは34〜46%であり、特に好ましくは36〜45%である。
また、第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、P5+の含有量とP5+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[P5+/(P5++B3+)]は、好ましくは0.50以上0.84以下である。カチオン比[P5+/(P5++B3+)]の下限は、より好ましくは0.60であり、さらに好ましくは0.70である。また、カチオン比[P5+/(P5++B3+)]の上限は、より好ましくは0.83であり、さらに好ましくは0.82である。
ガラスのネットワーク形成成分としてP5+、Bを含有すると耐失透性を向上できるが、過剰に含有すると耐候性が悪化する。また、ネットワーク形成成分の中でもP5+の割合を所定の範囲とすることで、耐失透性をより向上できる。したがって、合計含有量[P5++B3+]およびカチオン比[P5+/(P5++B3+)]は上記範囲とすることが好ましい。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Li、Na、およびKの合計含有量[Li+Na+K]は、好ましくは5%以上であり、さらには6%、8%、10%の順により好ましい。また、合計含有量[Li+Na+K]の上限は、好ましくは30%であり、さらには28%、26%、25%の順により好ましい。Li、Na、およびKは、いずれもガラスの熱的安定性を改善する働きを有し、ガラス転移温度Tgを下げる。一方、これらの合計含有量が多くなると、耐酸性が低下する。よって、合計含有量[Li+Na+K]は上記範囲とすることが好ましい。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Ba2+の含有量の下限は、好ましくは5%であり、さらには7%、9%、11%、13%の順により好ましい。また、Ba2+の含有量の上限は、好ましくは30%であり、さらには28%、26%、24%の順により好ましい。
Ba2+の含有量を上記範囲とすることで、屈折率ndの低下が抑制され、またガラス化時の失透が抑制される。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]の下限は、好ましくは10%であり、さらには15%、16%、17%、18%の順により好ましい。また、合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]の上限は、好ましくは40%であり、さらには38%、36%、35%の順により好ましい。Mg2+、Ca2+、Sr2+およびBa2+のいずれもガラスの耐酸性、熱的安定性および耐失透性を改善する働きを有するガラス成分である。合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]を10%以上にすることにより、ガラスの耐酸性、熱的安定性および耐失透性を改善することができる。一方、これらガラス成分の含有量が多くなると、ガラスの熱的安定性および耐失透性が低下する。したがって、熱的安定性および耐失透性を維持する観点から、合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]のは上記範囲であることが好ましい。
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、上記以外のガラス成分およびその他の成分の含有量および比率について、第1実施形態と同様とすることができる。
(ガラス特性)
<屈折率nd>
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、屈折率ndは、好ましくは1.58以上であり、さらには、1.59以上、1.60以上の順により好ましい。
<耐候性D
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、耐候性Dは、好ましくは1等級である。耐候性Dにおけるヘイズは、P5+およびB3+の合計含有量[P5++B3+]を30
〜50%とすることにより低減できる。
第2実施形態に係る光学ガラスの耐候性Dは、第1実施形態と同様の方法で測定される。
<ガラスの光線透過性>
第2実施形態に係る光学ガラスのλ80は、好ましくは450nm以下であり、より好ましくは440nm以下であり、さらに好ましくは430nm以下である。また、λ5は、好ましくは350nm以下であり、より好ましくは340nm以下であり、さらに好ましくは330nm以下である。
第2実施形態に係る光学ガラスのλ80およびλ5は、第1実施形態と同様の方法で測定される。
<ガラスの比重>
第2実施形態に係る光学ガラスにおいて、比重は、好ましくは4.0以下であり、さらには、3.9以下、3.8以下の順により好ましい。ガラスの比重を低減することができれば、レンズの重量を減少できる。その結果、レンズを搭載するカメラレンズのオートフォーカス駆動の消費電力を低減できる。
第2実施形態に係る光学ガラスの製造および光学素子等の製造は、第1実施形態と同様とすることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表3〜6に示すガラス組成を有するガラスサンプルを以下の手順で作製し、各種評価を行った。
なお、表3〜6ではカチオン%表示にてガラス組成を表示しているが、いずれもアニオン成分の全量がO2−である。すなわち、表3〜6に記載されている組成は、いずれもO2−の含有量が100アニオン%である。
[光学ガラスの製造]
ガラスの構成成分に対応する酸化物、水酸化物、炭酸塩、および硝酸塩を原材料として準備し、得られる光学ガラスのガラス組成が、表3〜6に示す各組成となるように上記原材料を秤量、調合して、原材料を十分に混合した。得られた調合原料(バッチ原料)を、白金坩堝に投入し、1000℃〜1400℃で2時間加熱して熔融ガラスとし、攪拌して均質化を図り、清澄してから、熔融ガラスを適当な温度に予熱した金型に鋳込んだ。鋳込んだガラスを、ガラス転移温度Tg付近で熱処理し、炉内で室温まで放冷することにより、ガラスサンプルを得た。
[ガラス成分組成の確認]
得られたガラスサンプルについて、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)で各ガラス成分の含有量を測定し、表3〜6に示す各組成のとおりであることを確認した。
[耐酸性重量減少率Daの測定]
日本光学硝子工業会規格JOGIS06−2009の規定に従い、得られたガラスサンプルを比重に相当する重量の粉末ガラス(粒度425〜600μm)にし、白金かごに入れ、それを0.01mol/L硝酸水溶液の入った石英ガラス製丸底フラスコ内に浸漬し、沸騰水浴中で60分間処理し、その処理前後での重量減少率(%)を測定した。結果を表7、8に示す。
[耐候性Dの測定]
日本光学硝子工業会規格JOGIS07−2009の規定に従い、得られたガラスサンプルを30×30×3mmの大きさで対面研磨して、上記規格で規定された高温高湿度の温度サイクル環境化で48時間処理したときのヘイズ(%)(散乱光/入射光)を測定した。結果を表7、8に示す。
[光学特性の測定]
得られたガラスサンプルを、さらにガラス転移温度Tg付近で約30分から約2時間アニール処理した後、炉内で降温速度−30℃/時間で室温まで冷却してアニールサンプルを得た。得られたアニールサンプルについて、屈折率nd、アッベ数νd、比重、ガラス転移温度Tg、λ80およびλ5を測定した。結果を表7、8に示す。
(i)屈折率ndおよびアッベ数νd
上記アニールサンプルについて、JIS規格 JIS B 7071−1の屈折率測定法により、屈折率nd、ng、nF、nCを測定し、下式(1)に基づきアッベ数νdを算出した。
νd=(nd−1)/(nF−nC) ・・・(1)
(ii)比重
比重は、アルキメデス法により測定した。
(iii)ガラス転移温度Tg
ガラス転移温度Tgは、NETZSCH JAPAN社製の示差走査熱量分析装置(DSC3300SA)を使用し、昇温速度10℃/分にて測定した。
(iv)λ80、λ5
上記アニールサンプルを、厚さ10mmで、互いに平行かつ光学研磨された平面を有するように加工し、波長280nmから700nmまでの波長域における分光透過率を測定した。光学研磨された一方の平面に垂直に入射する光線の強度を強度Aとし、他方の平面から出射する光線の強度を強度Bとして、分光透過率B/Aを算出した。分光透過率が80%になる波長をλ80とし、分光透過率が5%になる波長をλ5とした。なお、分光透過率には試料表面における光線の反射損失も含まれる。
Figure 2019026549
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試料No.5〜45では、耐酸性および耐候性に優れる光学ガラスが得られた。一方、試料No.1では、結晶が発生しλ80およびλ5が測定できなかった。また、耐候性Dの数値が高く、耐候性に劣ることがわかった。試料No.2では、結晶が多数発生し失透したため、屈折率nd、アッベ数νd、λ80およびλ5が測定できなかった。試料No.3、4では、耐酸性重量減少率Daの数値が高く、耐酸性に劣ることがわかった。
(実施例2)
表9、10に示すガラス組成を有するガラスサンプルを実施例1と同様に作製し、実施例1と同様に各種評価を行った。結果を表11に示す。
Figure 2019026549
Figure 2019026549
Figure 2019026549
また、表3、4に示すガラス組成に、さらにSbを外割で250質量ppm添加した組成を有するガラスサンプルを実施例1と同様に作製し、実施例1と同様に各種評価を行ったところ、実施例1のガラスサンプルと同様の特性および評価結果が得られた。
(実施例3)
実施例1、2で得られたガラスサンプルを使用し、公知の方法で精密プレス成形用プリフォームを作製した。得られたプリフォームを窒素雰囲気中で加熱、軟化し、プレス成形型で精密プレス成形し、光学ガラスを非球面レンズの形状に成形した。その後、成形した光学ガラスをプレス成形型から取り出し、アニールし、芯取りすることで、非球面レンズが得られた。
(実施例4)
実施例1、2で得られたガラスサンプルを、切断、研削してカットピースを作製した。カットピースをリヒートプレスによりプレス成形して、光学素子ブランクを作製した。光学素子ブランクを精密アニールし、所要の屈折率になるよう屈折率を精密に調整した後、公知の方法で研削、研磨することで、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ等の各種レンズが得られた。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上記に例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを作製できる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
(1)カチオン成分として、Li、NaおよびKからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオンを含み、かつP5+、B3+、およびBa2+を含むリン酸塩ガラスであって、
Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]が10カチオン%以上であり(ただし、Ln3+は、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+およびLu3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]を表す。)、
5+およびB3+の合計含有量[P5++B3+]が30〜50カチオン%であって、P5+の含有量とP5+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[P5+/(P5++B3+)]が0.50以上0.84以下であり、
Li、Na、K の合計含有量[Li+Na+K]が5カチオン%以上であり、
Ba2+の含有量が5カチオン%以上であり、
Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]が10カチオン%以上であって、
アッベ数νdが40以上である、光学ガラス。

Claims (8)

  1. カチオン成分として、Li、NaおよびKからなる群から選択される1種以上のアルカリ金属イオンを含み、かつP5+、B3+、およびBa2+を含むリン酸塩ガラスであって、
    Al3+、Ln3+、Ti4+、Zr4+、Nb5+、Ta5+、Bi3+およびW6+の合計含有量[Al3++Ln3++Ti4++Zr4++Nb5++Ta5++Bi3++W6+]が10カチオン%以上であり(ただし、Ln3+は、La3+、Gd3+、Y3+、Yb3+およびLu3+の合計含有量[La3++Gd3++Y3++Yb3++Lu3+]を表す。)、
    5+およびB3+の合計含有量[P5++B3+]が30〜50カチオン%であって
    、P5+の含有量とP5+およびB3+の合計含有量とのカチオン比[P5+/(P5++B3+)]が0.50以上0.84以下であり、
    Li、Na、K[Li+Na+K]が5カチオン%以上であり、
    Ba2+の含有量が5カチオン%以上であり、
    Mg2+、Ca2+、Sr2+、およびBa2+の合計含有量[Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+]が10カチオン%以上であって、
    アッベ数νdが40以上である、光学ガラス。
  2. 5+の含有量が20〜40カチオン%であり、
    3+の含有量が4〜15カチオン%であり、
    Liの含有量が5〜30カチオン%である、請求項1に記載の光学ガラス。
  3. JOGISに基づく耐酸性重量減少率Daが0.8%未満である、請求項1または2に記載の光学ガラス。
  4. JOGISに基づく耐酸性が1〜3等級である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学ガラス。
  5. JOGISに基づく耐候性Dが1等級である、請求項1〜4のいずれかに記載の光学ガラス。
  6. ガラス転移温度Tgが590℃以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の光学ガラス。
  7. JOGISに基づく耐酸性重量減少率Daが0.8%未満であり、
    ガラス転移温度Tgが590℃以下であり、
    アッベ数νdが40以上である、光学ガラス。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光学ガラスからなる、光学素子。
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