JP2014015446A - 4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属塩化物や有機硫黄化合物等の添加剤を用いることなく、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類を収率よく製造する。
【解決手段】アセトフェノンに、フェノールまたはフェノールのオルト位にメチル基を有するフェノール誘導体と、臭化水素酸または臭化水素ガスとを加えて反応させる。
【選択図】なし
【解決手段】アセトフェノンに、フェノールまたはフェノールのオルト位にメチル基を有するフェノール誘導体と、臭化水素酸または臭化水素ガスとを加えて反応させる。
【選択図】なし
Description
本発明は、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法に関するものである。
4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール(以下、ビスフェノールAPともいう)は、ポリカーボネート、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリスルホン、ポリアクリレート等の原料として、また感熱紙用顕色剤の中間体として有用である。特に、ビスフェノールAPを原料とするエポキシ樹脂、ポリスルホン等は、そのほとんどが電子材料として使用されている。
ビスフェノールAPを製造する方法として、特許文献1には塩化水素と塩化亜鉛を触媒として、60℃、2日間の反応により、アセトフェノン転化率92%、収率84.6%でビスフェノールAPを得る方法が記載されている。また、特許文献2には塩化水素と金属塩化物とメルカプト基含有有機硫黄化合物からなる触媒を用いてビスフェノールAPを製造する方法が記載されている。また、特許文献3には触媒として硫酸および/またはスルホン酸を加え、さらにメルカプト基を有する有機硫黄化合物を使用するビスフェノールAPの製造方法が記載されている。さらに、特許文献4には触媒としてメルカプト基を有する有機化合物と塩化水素とを使用し、塩化水素ガス加圧下で反応を行う方法が記載されている。
アセトフェノンはビスフェノールAの原料であるアセトンに比べてフェノールとの反応性が低いため、ビスフェノールAPの生成率が低くなったりする。このため、上記特許文献に記載されている製造方法においては、反応促進のためにルイス酸として金属塩化物を加えたり、メルカプト基を有する有機硫黄化合物を添加したり、あるいは塩化水素ガス加圧下で反応を行うなどの工夫を凝らしている。しかしながらビスフェノールAPの用途の中には金属イオンの混在を極端に嫌うものがあったり、また有機硫黄化合物は臭気が強く、作業環境上好ましくないなど工業的な製法としては、未だ改善の余地がある。
アセトフェノンとフェノールからビスフェノールAPを製造する反応はいわゆるフリーデル−クラフツ反応に相当し、反応系における水は反応の妨げになるために水を留去しながら反応を進行させることが常識である。ところが、本発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことに、臭化水素ガスを水溶液とした臭化水素酸を用いることで、金属塩化物や有機硫黄化合物等の添加剤を用いることなく、温和な条件下でビスフェノールAP類を得る方法を見出し本発明に至った。また、臭化水素ガスを用いることでも、同様に温和かつ短時間で目的とするビスフェノールAP類が得られることを見出し本発明に至った。すなわち、本発明は、ビスフェノールAP類を添加剤を用いることなく簡便に得ることが可能なビスフェノールAP類の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法は、アセトフェノンに、フェノールまたはフェノールのオルト位(以下、o位という)にメチル基を有するフェノール誘導体(以下、単にフェノール誘導体ともいう)と、臭化水素酸または臭化水素ガスとを加えて反応させることを特徴とするものである。
前記臭化水素酸の濃度は1〜60質量%であって、前記臭化水素酸の使用量はアセトフェノン1モルに対して0.1〜10モルであることが好ましい。
前記臭化水素ガスの使用量はアセトフェノン1モルに対して0.1〜10モルであることが好ましい。
前記臭化水素ガスの使用量はアセトフェノン1モルに対して0.1〜10モルであることが好ましい。
前記臭化水素酸は反応後に回収した臭化水素酸を含むものであってもよい。
前記フェノールまたはフェノール誘導体は反応後に回収したフェノールまたはフェノール誘導体を含むものであってもよい。
前記アセトフェノンは反応後に回収したアセトフェノンを含むものであってもよい。
反応温度は40〜180℃であることが好ましい。
前記フェノールまたはフェノール誘導体は反応後に回収したフェノールまたはフェノール誘導体を含むものであってもよい。
前記アセトフェノンは反応後に回収したアセトフェノンを含むものであってもよい。
反応温度は40〜180℃であることが好ましい。
本発明は、アセトフェノンにフェノールまたはフェノール誘導体を反応させてビスフェノールAP類を得る製造方法において、金属塩化物や有機硫黄化合物等の添加剤を用いることなく、触媒として臭化水素酸または臭化水素ガスのみを使用して反応させることにより、簡便でかつ温和な条件下でビスフェノールAP類を製造することができる。
本発明のビスフェノールAP類の製造方法は、アセトフェノンにフェノールまたはフェノール誘導体と、臭化水素酸または臭化水素ガスを加えて反応させることを特徴とし、下記反応式で示されるものである。
本発明で使用するアセトフェノンは市販のものでよく、またクメン法によるフェノール製造プロセスにおいて副生し、蒸留塔底液から得られる粗アセトフェノンでもよく、さらにはこれらの混合物であってもよい。また、本発明で使用するフェノールおよびo位にメチル基を有するフェノール誘導体(o−クレゾールまたは2,6−キシレノール)は市販のものの他、反応において溶媒の代わりとして過剰に使用したフェノールまたはフェノール誘導体を蒸留して回収されたものを含んでいてもよく、反応に用いるフェノールまたはフェノール誘導体の全てが回収されたものであってもよい。
触媒として用いる臭化水素酸の濃度は1〜60質量%の範囲であることが好ましい。濃度が薄い場合は使用する臭化水素酸の量がフェノールまたはフェノール誘導体よりも多くなり容積効率が悪くなる。このため、好ましくは20〜60質量%の範囲であることが好ましく、さらには40〜60質量%の範囲であることがより好ましい。臭化水素酸の使用量はアセトフェノン1モルに対して0.1モル以上であれば上限はないが、工業的な面や経済的な面を考慮すると、0.1〜10モル程度が好ましく、さらには1〜5モル程度がより好ましい。
臭化水素酸は比重が重いため、アセトフェノンとフェノールまたはフェノール誘導体の反応終了後は二層となって下層に遊離してくるため、分液によって容易に分離することができ、分離した臭化水素酸を再使用することができる。あるいは蒸留によってフェノールまたはフェノール誘導体とともに回収した場合も同様に、回収した臭化水素酸をフェノールまたはフェノール誘導体とともにそのまま使用することもでき、工業的に極めて経済効率が高い。
触媒として用いる臭化水素ガスの量は触媒量でよいが、多めの使用により反応性をよくしたり、反応温度を低く抑えることができたり、さらには反応時間を短くしたりすることができる。使用量としては、アセトフェノン1モルに対して0.1モル以上であれば上限はないが、工業的な面や経済的な面を考慮すれば、0.1〜10モル程度が好ましい。
臭化水素ガスはフェノールまたはフェノール誘導体を溶媒の代わりに使用した場合には、蒸留によってフェノールまたはフェノール誘導体中に回収されてくるため、これを用いることもできる。
臭化水素ガスはフェノールまたはフェノール誘導体を溶媒の代わりに使用した場合には、蒸留によってフェノールまたはフェノール誘導体中に回収されてくるため、これを用いることもできる。
反応は0℃からフェノールの場合にはフェノールの沸点である180℃、o−クレゾールの場合にはo−クレゾールの沸点である191℃、2,6−キシレノールの場合には2,6−キシレノール沸点である203℃までの範囲の任意の温度で行うことができる。臭化水素酸を用いる場合は使用量により40℃以下でも液状を保てる場合があるため0℃であってもよいが、あえて冷却する必要はなく、好ましくは40〜180℃の範囲であり、さらには60〜100℃の範囲であることが好ましい。臭化水素ガスを使用する場合は、液状での反応を行うため、フェノールの融点である40℃以上(o−クレゾールの場合はo−クレゾールの融点である31℃以上、2,6−キシレノールの場合には2,6−キシレノールの融点である46℃以上)にする必要がある。このため好ましくは融点〜180℃の範囲であり、さらには60〜100℃の範囲であることが好ましい。
反応圧力は大気圧でよく特に加圧にする必要はない。このため、設備的な面で圧力を調整するといった特殊な設備を必要とせず、工業的な製造方法として優れる。
本反応はアセトフェノン1モルに対してフェノールまたはフェノール誘導体2モルが理論反応量であるので、フェノールまたはフェノール誘導体の使用量は2モル以上であれば任意のモル比でよいが、この反応は通常フェノールまたはフェノール誘導体を溶媒の代わりとして使用することで反応性の向上を図ることができるため、過剰に使用することが好ましい。従って、フェノールまたはフェノール誘導体の使用量は、アセトフェノンに対して2〜20倍モルが好ましく、工業的な面や反応性を考慮すれば2.4〜10倍モルがより好ましい。フェノールまたはフェノール誘導体を過剰に使用しない場合は溶媒としてn−ヘキサンあるいはシクロヘキサン等を使用することができる。
本発明のビスフェノールAP類の製造方法は、臭化水素酸を用いる場合、アセトフェノンとフェノールまたはフェノール誘導体を混合し、これに臭化水素酸を加えて液状の状態にし、撹拌するのみで反応が進行する。反応時間はアセトフェノン、フェノールまたはフェノール誘導体、臭化水素酸の濃度や使用量、反応温度といった条件にもよるが、数時間から数十時間である。
臭化水素ガスを用いる場合は、まずアセトフェノンとフェノールまたはフェノール誘導体を混合しフェノールまたはフェノール誘導体の融点付近に加温して液状とした後、臭化水素ガスを吹き込み、臭化水素ガスが所定の量に達したら所定の温度で撹拌するだけで反応が進行する。反応時間はアセトフェノン、フェノールまたはフェノール誘導体、臭化水素ガスの使用量や反応温度といった条件にもよるが、1〜数十時間である。反応時には水が発生するが、通常のフリーデル−クラフツ反応のように水を留去する必要はなく、工業的製造として簡便である。
反応終了後、ビスフェノールAP類の溶解度が低い有機溶媒で懸濁し濾過するのみで目的のビスフェノールAP類を得ることができる。有機溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ビフェニル、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶媒、メチレンジクロライド、クロロホルム、四塩化炭素、エチレンジクロライド、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、その他アセトニトリル、ピリジン、ピコリン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
フェノールまたはフェノール誘導体を過剰に使用している場合には、過剰のフェノールまたはフェノール誘導体を常圧または減圧蒸留によって回収し、残渣をビスフェノールAP類の溶解度が低い有機溶媒で懸濁、濾過すればよい。臭化水素酸を使用した場合は使用量にもよるが、二層となる場合が多く、この場合は下層である臭化水素酸層を分液し上層を上記と同様に有機溶媒で懸濁、濾過する。臭化水素酸をフェノールまたはフェノール誘導体と一緒に蒸留回収した場合も同様の操作で目的とするビスフェノールAP類を得ることができる。
フェノールまたはフェノール誘導体とともに蒸留によって回収した未反応のアセトフェノンや、臭化水素酸あるいは臭化水素ガスは、過剰に使用したフェノールまたはフェノール誘導体とともに、再度、本発明のビスフェノールAP類の製造にそのまま使用することができる。回収した原料や触媒をそのまま新たな製造に使用することができるので、ロスが非常に少なく、高効率でビスフェノールAP類を製造することができる。また、触媒として塩化亜鉛等を用いると、反応後に脱金属工程が必要であるが、本発明は金属塩化物を用いないので、この工程が必要でなく、工業的製造方法として簡便で非常に優れている。
以下、本発明の製造方法を実施例によりさらに詳細に示す。
以下、本発明の製造方法を実施例によりさらに詳細に示す。
(参考例1)
アセトフェノン12.0g(0.1モル)にフェノール112.9g(1.2モル)を加え、これに塩化亜鉛0.7g(5ミリモル)、n−ブチルメルカプタン0.7g(8ミリモル)を加えた後、塩化水素ガス7.2g(0.2モル)を吹込み50℃で反応した。15時間後HPLCで分析したところ、アセトフェノンの残存率29.6%、ビスフェノールAPの生成率68.3%であった。
アセトフェノン12.0g(0.1モル)にフェノール112.9g(1.2モル)を加え、これに塩化亜鉛0.7g(5ミリモル)、n−ブチルメルカプタン0.7g(8ミリモル)を加えた後、塩化水素ガス7.2g(0.2モル)を吹込み50℃で反応した。15時間後HPLCで分析したところ、アセトフェノンの残存率29.6%、ビスフェノールAPの生成率68.3%であった。
(参考例2)
アセトフェノン6.0g(50ミリモル)にフェノール56.5g(0.6モル)を加え、濃塩酸10.1g(0.1モル)を加えて80℃で反応した。25時間後、HPLCで分析したところ、アセトフェノンの残存率44.7%、ビスフェノールAPの生成率51.8%であった。
アセトフェノン6.0g(50ミリモル)にフェノール56.5g(0.6モル)を加え、濃塩酸10.1g(0.1モル)を加えて80℃で反応した。25時間後、HPLCで分析したところ、アセトフェノンの残存率44.7%、ビスフェノールAPの生成率51.8%であった。
(実施例1)
アセトフェノン12.0g(0.1モル)にフェノール112.9g(1.2モル)を加え、これに48%臭化水素酸67.4g(0.4モル)を加え80℃で25時間反応した。反応液を減圧で濃縮した。臭化水素酸63.3g、フェノール90.2gを回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流した。冷却後、濾取。収量24.9g、収率85.8%、HPLCによる分析で95.0%の純度であった。
アセトフェノン12.0g(0.1モル)にフェノール112.9g(1.2モル)を加え、これに48%臭化水素酸67.4g(0.4モル)を加え80℃で25時間反応した。反応液を減圧で濃縮した。臭化水素酸63.3g、フェノール90.2gを回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流した。冷却後、濾取。収量24.9g、収率85.8%、HPLCによる分析で95.0%の純度であった。
(実施例2)
アセトフェノン60.1g(0.5モル)にフェノール564.7g(6モル)を加え、48%臭化水素酸168.6g(1モル)を加えた。80℃で25時間反応した。反応液を減圧蒸留した。584.8gの臭化水素酸とフェノールの混合物を得た。残渣にトルエンを加え、加熱還流した。冷却後、濾取。収量112.9g、収率77.8%、HPLCによる分析で98.6%の純度であった。
アセトフェノン60.1g(0.5モル)にフェノール564.7g(6モル)を加え、48%臭化水素酸168.6g(1モル)を加えた。80℃で25時間反応した。反応液を減圧蒸留した。584.8gの臭化水素酸とフェノールの混合物を得た。残渣にトルエンを加え、加熱還流した。冷却後、濾取。収量112.9g、収率77.8%、HPLCによる分析で98.6%の純度であった。
(実施例3)
アセトフェノン60.1g(0.5モル)に実施例2で回収した臭化水素酸とフェノールの混合物584.1gを加え、フェノール141.2g(1.5モル)と48%臭化水素酸8.4g(0.05モル)を加え、80℃で25時間反応した。反応液を減圧蒸留し、584.6gの臭化水素酸とフェノールの混合物を得た。残渣にトルエンを加え、加熱還流した。冷却後、濾取。収量110.7g、収率76.3%、HPLCによる分析で97.3%の純度であった。
アセトフェノン60.1g(0.5モル)に実施例2で回収した臭化水素酸とフェノールの混合物584.1gを加え、フェノール141.2g(1.5モル)と48%臭化水素酸8.4g(0.05モル)を加え、80℃で25時間反応した。反応液を減圧蒸留し、584.6gの臭化水素酸とフェノールの混合物を得た。残渣にトルエンを加え、加熱還流した。冷却後、濾取。収量110.7g、収率76.3%、HPLCによる分析で97.3%の純度であった。
(実施例4)
クメン法によるフェノール製造プロセスにおいて副生し、蒸留塔底液から得られた粗アセトフェノン(純度85%)14.14g(0.1モル)に蒸留回収されたフェノール112.9g(1.2モル)、回収された臭化水素酸(47%品)34.5g(0.2モル)を加え、80℃で25時間反応した。反応液を減圧蒸留し、126.3gの臭化水素酸とフェノールの混合物を得た。残渣にトルエンを加え、加熱還流した。冷却後、濾取。収量23.2g、収率79.8%、HPLCによる分析で86.8%の純度であった。
クメン法によるフェノール製造プロセスにおいて副生し、蒸留塔底液から得られた粗アセトフェノン(純度85%)14.14g(0.1モル)に蒸留回収されたフェノール112.9g(1.2モル)、回収された臭化水素酸(47%品)34.5g(0.2モル)を加え、80℃で25時間反応した。反応液を減圧蒸留し、126.3gの臭化水素酸とフェノールの混合物を得た。残渣にトルエンを加え、加熱還流した。冷却後、濾取。収量23.2g、収率79.8%、HPLCによる分析で86.8%の純度であった。
(実施例5)
ガス吹込み管、温度計、撹拌機、塩化カルシウム管を取付けた200mlの4つ口フラスコにアセトフェノン12.0g(0.1モル)とフェノール112.9g(1.2モル)を加え、40〜50℃に加温し溶解した。これに臭化水素ガスを吹き込んだ。吹込み量は2.5g(0.03モル)であった。60℃で8時間加熱撹拌した。反応液を減圧で濃縮し、フェノールを74.9g回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流した。冷却したところ結晶が析出していた。濾取。収量23.0g、収率79.1%、HPLCによる分析で96.8%の純度であった。
ガス吹込み管、温度計、撹拌機、塩化カルシウム管を取付けた200mlの4つ口フラスコにアセトフェノン12.0g(0.1モル)とフェノール112.9g(1.2モル)を加え、40〜50℃に加温し溶解した。これに臭化水素ガスを吹き込んだ。吹込み量は2.5g(0.03モル)であった。60℃で8時間加熱撹拌した。反応液を減圧で濃縮し、フェノールを74.9g回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流した。冷却したところ結晶が析出していた。濾取。収量23.0g、収率79.1%、HPLCによる分析で96.8%の純度であった。
(実施例6)
実施例5と同様の装置にアセトフェノン12.0g(0.1モル)とフェノール22.6g(0.24モル)を加え、60℃に加熱撹拌した。この液に臭化水素ガス3.4g(0.04モル)を吹込み15時間60℃で反応した。トルエンを加えて加熱還流し、その後冷却した。析出結晶を濾取した。収量19.3g、収率66.4%、HPLCによる分析で97.3%の純度であった。
実施例5と同様の装置にアセトフェノン12.0g(0.1モル)とフェノール22.6g(0.24モル)を加え、60℃に加熱撹拌した。この液に臭化水素ガス3.4g(0.04モル)を吹込み15時間60℃で反応した。トルエンを加えて加熱還流し、その後冷却した。析出結晶を濾取した。収量19.3g、収率66.4%、HPLCによる分析で97.3%の純度であった。
(実施例7〜18)
上記と同様の実験操作で反応を行い、表1に示す各種の反応条件で反応を行った。上記実施例1〜6の反応条件とともに生成率を表1に示す。なお、表中、APはアセトフェノン、BPAP類は4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類を示している。
上記と同様の実験操作で反応を行い、表1に示す各種の反応条件で反応を行った。上記実施例1〜6の反応条件とともに生成率を表1に示す。なお、表中、APはアセトフェノン、BPAP類は4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類を示している。
(実施例19)
ビスフェノールC−APの合成
アセトフェノン120.2g(1モル)にo−クレゾール1297.7g(12モル)を加え、これに50%臭化水素酸325.6g(2モル)を加えて80℃で17時間反応した。反応液を減圧で濃縮し、過剰のo−クレゾール及び臭化水素酸を回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流後、冷却した。析出した結晶を濾取した。収量260.6g、収率81.8%、HPLCによる分析で98.9%の純度であった。
ビスフェノールC−APの合成
アセトフェノン120.2g(1モル)にo−クレゾール1297.7g(12モル)を加え、これに50%臭化水素酸325.6g(2モル)を加えて80℃で17時間反応した。反応液を減圧で濃縮し、過剰のo−クレゾール及び臭化水素酸を回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流後、冷却した。析出した結晶を濾取した。収量260.6g、収率81.8%、HPLCによる分析で98.9%の純度であった。
(実施例20)
ビスフェノール26X−APの合成
アセトフェノン6.0g(0.05モル)の2,6−キシレノール73.3g(0.6モル)を加え、これに50%臭化水素酸16.3g(0.1モル)を加えて80℃で50時間反応した。反応液を減圧で濃縮し、過剰のキシレノール及び臭化水素酸を回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流後、冷却した。析出した結晶を濾取した。収量6.8g、収率39.0%、HPLCによる分析で95.1%の純度であった。
ビスフェノール26X−APの合成
アセトフェノン6.0g(0.05モル)の2,6−キシレノール73.3g(0.6モル)を加え、これに50%臭化水素酸16.3g(0.1モル)を加えて80℃で50時間反応した。反応液を減圧で濃縮し、過剰のキシレノール及び臭化水素酸を回収した。残渣にトルエンを加えて加熱還流後、冷却した。析出した結晶を濾取した。収量6.8g、収率39.0%、HPLCによる分析で95.1%の純度であった。
表1に示すように、本発明のビスフェノールAP類の製造方法によれば、参考例1に示すような金属塩化物や有機硫黄化合物等の添加剤を用いることなく、温和かつ短時間で目的とするビスフェノールAP類を収率よく得ることができた。なお、実施例12は反応条件を、より温和な条件としているために他の実施例よりもBPAP類の生成率は下がった。また、実施例20では2,6キシレノールの立体障害のため反応性が悪いにもかかわらず収率は低いが、目的物を得ることができた。これらにしても、本発明のビスフェノールAP類の製造方法では、未反応のアセトフェノンやフェノールあるいはフェノール誘導体、臭化水素酸は回収してそのまま新たな反応に再利用することができるため、工業的に製造する場合の実質的な生成率はこれよりも高くなる。
参考例2は本発明の臭化水素酸に代えて濃塩酸(塩化水素酸)を用いたもので、反応条件は実施例7とほぼ同じであるが、この場合にはAP残存率が44.7%と反応性が低く、BPAP生成率も同条件の実施例に比べて低かった。このことから、塩化水素酸の場合には、塩化水素ガスの場合と同様反応性が低く、また反応系における水が反応の妨げになっていると考えられる。
Claims (7)
- アセトフェノンに、フェノールまたは該フェノールのオルト位にメチル基を有するフェノール誘導体と、臭化水素酸または臭化水素ガスとを加えて反応させることを特徴とする4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法。
- 前記臭化水素酸の濃度が1〜60質量%であって、前記臭化水素酸の使用量がアセトフェノン1モルに対して0.1〜10モルであることを特徴とする請求項1記載の4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法。
- 前記臭化水素ガスの使用量がアセトフェノン1モルに対して0.1〜10モルであることを特徴とする請求項1記載の4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法。
- 前記臭化水素酸が反応後に回収した臭化水素酸を含むものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法。
- 前記フェノールまたは前記フェノール誘導体が反応後に回収したフェノールまたはフェノール誘導体を含むものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法。
- 前記アセトフェノンが反応後に回収したアセトフェノンを含むものであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法。
- 反応温度が40〜180℃であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法。
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JP2012277711A JP2014015446A (ja) | 2012-06-12 | 2012-12-20 | 4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール類の製造方法 |
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Family Applications (1)
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2012
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