JP2013207915A - 電圧変換装置の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧変換装置におけるリアクトル電流の平均値を正確に検出する。
【解決手段】電圧変換装置の制御装置(30)は、リアクトル電流(IL)を検出する電流検出手段(18,310)と、ゲート信号(PWC)の1周期における入力電圧(VL)の平均値(aveVL)及び出力電圧(VH)の平均値(aveVH)を夫々算出する平均電圧算出手段(332)と、入力電圧及び出力電圧の平均値、並びにリアクトル(L1)のインダクタンス(L)を用いて、リアクトル電流の変化率(di/dt)を算出する変化率算出手段(333)と、リアクトル電流及びリアクトル電流の変化率を用いて、ゲート信号の1周期におけるリアクトル電流の平均値(aveIL)を推定する平均電流推定手段(336)と、推定されたリアクトル電流の平均値に基づいて電圧変換装置(12)の動作を制御する制御手段(350)とを備える。
【選択図】図9
【解決手段】電圧変換装置の制御装置(30)は、リアクトル電流(IL)を検出する電流検出手段(18,310)と、ゲート信号(PWC)の1周期における入力電圧(VL)の平均値(aveVL)及び出力電圧(VH)の平均値(aveVH)を夫々算出する平均電圧算出手段(332)と、入力電圧及び出力電圧の平均値、並びにリアクトル(L1)のインダクタンス(L)を用いて、リアクトル電流の変化率(di/dt)を算出する変化率算出手段(333)と、リアクトル電流及びリアクトル電流の変化率を用いて、ゲート信号の1周期におけるリアクトル電流の平均値(aveIL)を推定する平均電流推定手段(336)と、推定されたリアクトル電流の平均値に基づいて電圧変換装置(12)の動作を制御する制御手段(350)とを備える。
【選択図】図9
Description
本発明は、例えば車両等に搭載される電圧変換装置の制御装置の技術分野に関する。
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタ等)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する電動車両が注目されている。この電動車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。
これらの電動車両においては、発進時や加速時に蓄電装置から電力を受けて走行のための駆動力を発生するとともに、制動時に回生制動によって発電を行なって蓄電装置に電気エネルギを蓄えるためのモータジェネレータを備える場合がある。このように、走行状態に応じてモータジェネレータを制御するために、電動車両にはインバータが搭載される。
このような車両においては、車両状態によって変動するインバータが利用する電力を安定的に供給するために、蓄電装置とインバータとの間に電圧変換装置(コンバータ)が備えられる場合がある。このコンバータにより、インバータの入力電圧を蓄電装置の出力電圧より高くして、モータの高出力化ができるとともに、同一出力時のモータ電流を低減することで、インバータ及びモータの小型化、低コスト化を図ることができる。
そして、電動車両のさらなる燃費向上のためには、このコンバータの損失を低減して効率を向上させることが重要である。このため、例えば特許文献1から3では、昇圧コンバータを片アームだけでスイッチング駆動させるという技術が提案されている。このような技術によれば、電流リプルを減らせる分、コンバータの損失を低減させることができるとされている。
コンバータは、リアクトルに流れる電流の平均値に基づいて、その動作が制御される。しかしながら、上述した片アーム駆動を行う場合には、正の電流に対応するアームが駆動される際に負の電流を流すことができず、負の電流に対応するアームが駆動される際には正の電流を流すことができない。よって、リアクトル電流がゼロ付近となると、通常の方法ではリアクトル電流の平均値を求めることが困難となってしまう。
具体的には、リアクトル電流の平均値は、例えばスイッチング素子のオンオフを切替えるゲート信号を生成するためのキャリア信号に応じたタイミングでリアクトル電流がサンプリングされることで検出される。これは、キャリア信号の山及び谷が、スイッチング素子の切替えタイミング(言い換えれば、リアクトル電流の山及び谷)のほぼ中間地点となることを利用している。
これに対し、片アーム駆動を行う場合には、いずれか一方の極性でしか電流を流すことができないため、リアクトル電流がゼロ付近となる際に非線形的な制御が行われる。このため、キャリア信号の山及び谷が、スイッチング素子の切替えタイミングの中間地点からずれることになる。よって、キャリア信号に基づくタイミングでリアクトル電流をサンプリングしても、正確な平均値を推定することができない。
以上のように、上述した特許文献1から3に記載されている片アーム駆動には、リアクトル電流の平均値をゼロ付近において正確に検出することが困難であるという技術的問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、片アーム駆動を行う電圧変換装置において、リアクトル電流の平均値を高い精度で推定することが可能な電圧変換装置の制御装置を提供することを課題とする。
本発明の電圧変換装置の制御装置は上記課題を解決するために、リアクトルに夫々直列に接続される第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を択一的にオンとすることで、前記第1スイッチング素子を含んでなる第1アーム及び前記第2スイッチング素子を含んでなる第2アームのいずれか一方のみによる片アーム駆動を実現可能な電圧変換装置の制御装置であって、前記リアクトルを流れる電流であるリアクトル電流を検出する電流検出手段と、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の各々のオンオフを切替えるゲート信号の1周期における入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値を夫々算出する平均電圧算出手段と、前記入力電圧の平均値及び前記出力電圧の平均値、並びに前記リアクトルのインダクタンスを用いて、前記リアクトル電流の変化率を算出する変化率算出手段と、前記リアクトル電流及び前記リアクトル電流の変化率を用いて、前記ゲート信号の1周期におけるリアクトル電流の平均値を推定する平均電流推定手段と、前記推定されたリアクトル電流の平均値に基づいて、前記電圧変換装置の動作を制御する制御手段とを備える。
本発明に係る電圧変換装置は、例えば車両に搭載されるコンバータであり、リアクトルに夫々直列に接続される第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を備えている。第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、或いは電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
なお、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々には、例えばダイオードが並列に接続されており、それぞれ第1アーム及び第2アームを形成している。即ち、第1スイッチング素子は第1アームを形成しており、そのスイッチング動作によって、第1アームにおける駆動のオンオフを切替えることができる。同様に、第2スイッチング素子は第2アームを形成しており、そのスイッチング動作によって、第2アームにおける駆動のオンオフを切替えることができる。
また、本発明に係る電圧変換装置は特に、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を択一的にオンとするように制御することで、第1スイッチング素子を含んでなる第1アーム及び第2スイッチング素子を含んでなる第2アームのいずれか一方のみによる片アーム駆動を実現することが可能とされている。
片アーム駆動が行われる際には、例えば出力すべき電圧値や電流値等に基づいて、第1アーム及び第2アームのいずれのアームで片アーム駆動を行うべきかが判定される。より具体的には、例えば電圧変換装置に接続されるモータジェネレータが回生動作を行う場合に第1アームによる片アーム駆動が選択され、力行動作を行う場合に第2アームによる片アーム駆動が選択される。このように、片アーム駆動時には、第1アームによる片アーム駆動及び第1アームによる片アーム駆動が適宜切替えられる。
本発明に係る電圧変換装置の制御装置は、上述した電圧変換装置の動作を制御する装置であって、例えば、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、各種プロセッサ又は各種コントローラ、或いは更にROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ又はフラッシュメモリ等の各種記憶手段等を適宜に含み得る、単体の或いは複数のECU(Electronic Controlled Unit)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る。
本発明に係る電圧変換装置の制御装置の動作時には、電流検出手段によって、リアクトルを流れる電流であるリアクトル電流が検出される。電流検出手段は、例えばリアクトル周辺に設けられる電流センサ及び適切なタイミングでリアクトル電流をサンプリングするADC(Analog to Digital Converter)等によって構成される。
また本発明では、平均電圧算出手段によって、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々のオンオフを切替えるゲート信号の1周期における入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値が夫々算出される。なお、ここでの「入力電圧」とは、電圧変換装置による昇圧前の電圧(即ち、バッテリ等から入力される電圧)を意味しており、「出力電圧」とは、電圧変換装置による昇圧後の電圧(即ち、インバータ等に出力される電圧)を意味している。入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値は、例えばキャリア信号の山及び谷のタイミングで電圧値をサンプリングし、キャリア信号の山に対応する電圧値及び谷に対応する電圧値の中間値をとることで算出できる。
入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値が算出されると、変化率算出手段によって、リアクトル電流の変化率が算出される。変化率算出手段は、平均電圧算出手段において算出された入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値、並びに予め記憶されたリアクトルのインダクタンスを用いてリアクトル電流の変化率を算出する。より具体的には、リアクトル電流の変化率は、出力電圧の平均値から入力電圧の平均値を差し引いた値を、更にリアクトルのインダクタンスで割った値として算出できる。
なお、リアクトル電流の変化率は、例えばリアクトル電流を2点でサンプリングし、それらの差分から算出することもできる。しかしながら、リアクトル電流がゼロに極めて近い場合には、リアクトル電流が一瞬でゼロに達してしまうおそれがある。このような場合には、仮に高速でサンプリングしたとしても、サンプリングされた値が既にゼロに達している状況が発生し得る。よって、リアクトル電流を直接サンプリングして変化率を算出しようとする場合、サンプリングされた値がゼロであるため正確な変化率を算出できないおそれがある。
しかるに本態様では、上述したように入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値からリアクトル電流の変化率が算出される。よって、リアクトルがゼロ付近である場合にも、平均値を確実に算出することができる。
リアクトル電流の変化率が算出されると、平均電流推定手段によって、ゲート信号の1周期(例えば、ゲート信号の立ち上がりタイミングから次の立ち上がりタイミングまでの期間)におけるリアクトル電流の平均値が推定される。以下では、リアクトル電流の平均値の算出方法の一例を示す。
リアクトル電流の平均値を算出する際には、先ずリアクトル電流がゼロとなるゲート信号の立ち上がりタイミングから立ち下がりタイミングまでの第1の期間にリアクトルに流れる第1の電流量が算出される。より具体的には、第1の電流量は、第1の期間の長さを底辺とし、立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流(言い換えれば、リアクトル電流のピーク値)を高さとする三角形の面積として算出できる。
続いて、立ち下がりタイミング後にリアクトル電流がゼロとなるタイミングが算出される。リアクトル電流がゼロとなるタイミングは、立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流及びリアクトル電流の変化率から予測できる。
リアクトル電流がゼロとなるタイミングが推定されると、立ち下がりタイミングからリアクトル電流がゼロとなるタイミングまでの第2の期間にリアクトルに流れる第2の電流量が算出される。より具体的には、第2の電流量は、第2の期間の長さを底辺とし、立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流(言い換えれば、リアクトル電流のピーク値)を高さとする三角形の面積として算出できる。
第1の電流量及び第2の電流量が算出されると、第1の電流量及び第2の電流量に加えて、ゲート信号の1周期分の期間を用いて、リアクトル電流の平均値が算出される。より具体的には、リアクトル電流の平均値は、上述したように三角形の面積として算出される第1の電流量及び第2の電流量を互いに足し合わせた値(即ち、ゲート信号1周期において流れる総電流量)を、ゲート信号1周期分の期間の長さで割った値(言い換えれば、総電流量に対応する三角形と同じ面積を有する、ゲート信号1周期分の期間を長さとする長方形の高さ)として算出できる。
なお、リアクトル電流の平均値の推定方法としては、例えばキャリア信号に基づいてリアクトル電流をサンプリングして算出する方法も考えられる。しかしながら、片側アーム駆動を行う場合には、アームを切替えない限りいずれか一方の極性でしか電流を流すことができないため、キャリア信号とリアクトル電流との対応関係が通常の駆動(即ち、片アーム駆動でない駆動)を行う場合とは異なる状況が生じ得る。例えば、片アーム駆動では、リアクトル電流がゼロ付近となる場合に非線形的な制御を行うため、リアクトル電流の周期的な上下が一時的に乱れる。よって、仮にキャリア信号に基づいて平均値を算出しようとしても、片アーム駆動を行っている場合には、正確な値とはならないおそれがある。
しかるに本発明では、上述したように、リアクトル電流の平均値が、入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値から算出されたリアクトル電流の変化率を用いて推定される。よって、片アーム駆動を行う場合であっても、正確にリアクトル電流の平均値を推定することができる。
リアクトル電流の平均値が算出されると、制御手段によって、推定されたリアクトル電流の平均値に基づく電圧変換装置の制御が行われる。例えば、リアクトル電流の平均値に基づいて第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のデューティ比が決定される。デューティ比はデューティ信号として出力され、キャリア信号と比較されることでゲート信号が生成される。本発明に係る電圧変換装置の制御装置によれば、リアクトル電流の平均値が正確に推定されるため、電圧変換装置を適切に制御することが可能である。
本発明の電圧変換装置の制御装置の一態様では、前記平均電流推定手段は、前記ゲート信号の立ち下がりタイミングにおける前記リアクトル電流が所定の閾値以下である場合に、前記リアクトル電流の平均値を推定する。
この態様によれば、平均電流推定手段によってリアクトル電流の平均値が推定される前に、ゲート信号の立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流(言い換えれば、リアクトル電流のピーク値)が所定の閾値以下であるか否かが判定される。そして、平均電流推定手段によるリアクトル電流の平均値の推定は、ゲート信号の立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流が所定の閾値以下である場合に行なわれる。
なお、ここでの「所定の閾値」とは、平均電流推定手段によるリアクトル電流の平均値の推定を行なうのに適した状況であるか否かを判定するための閾値として設定されている。ここで、本願発明者の研究するところによれば、リアクトル電流のピーク値が比較的大きい値である場合には、リアクトルのインダクタンスが変動し、上述したリアクトル電流の変化率を正確に算出できなくなるおそれがあることが判明している。また、上述した入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値からリアクトル電流の変化率を求める方法以外の方法で、リアクトル電流の平均値を求めることが可能であることも判明している。
従って、ゲート信号の立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流が所定の閾値以下である場合に、平均電流推定手段によってリアクトル電流の平均値を推定するようにすれば、適切な条件下でリアクトル電流の平均値を推定することが可能となる。なお、ゲート信号の立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流が所定の閾値を超える場合には、平均電流推定手段以外の手段によってリアクトル電流の平均値を推定するようにすればよい。
上述したリアクトル電流が所定の閾値以下である場合に平均値を推定する態様では、前記所定の閾値は、前記リアクトルのインダクタンスが一定である領域に対応して設定されてもよい。
この場合、ゲート信号の立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流が所定の閾値以下であるか否かを判定することで、リアクトルが一定であるか(即ち、予め記憶された値のままであるか)、或いはリアクトルが変動しているか(即ち、予め記憶された値と異なる値となっているか)を判定できる。
なお、ここでの「一定」とは、リアクトルのインダクタンスが全く変動しない場合を意味する他、リアクトルの変動がリアクトル電流の変化率の算出に影響を与えないまでに小さい場合を含む広い概念である。即ち、本態様における「一定」には、多少のマージンが含まれていてもよい。
上述した構成によれば、リアクトルが変動することに起因して、リアクトル電流の変化率を正確に算出できないという事態を確実に回避できる。従って、リアクトル電流の平均値を正確に推定することができる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る電圧変換装置の制御装置が搭載される車両の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。
先ず、第1実施形態に係る電圧変換装置の制御装置が搭載される車両の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。
図1において、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置が搭載される車両100は、エンジン40及びモータジェネレータMG1及びMG2を動力源とするハイブリッド車両として構成されている。但し、車両100の構成はこれに限定されるものではなく、蓄電装置からの電力によって走行可能な車両(例えば、電気自動車や燃料電池自動車)等にも適用可能である。また、本実施形態では、電圧変換装置の制御装置が車両100に搭載される構成について説明するが、車両以外でも交流電動機により駆動される機器であれば適用が可能である。
車両100は、直流電圧発生部20と、負荷装置45と、平滑コンデンサC2と、ECU30とを備えて構成されている。
直流電圧発生部20は、蓄電装置28と、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
蓄電装置28は、例えばニッケル水素又はリチウムイオン等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置を含んで構成される。また、蓄電装置28が出力する直流電圧VLは、電圧センサ10によって検出される。そして、電圧センサ10は、検出した直流電圧VLの検出値をECU30に出力する。
システムリレーSR1は、蓄電装置28の正極端子及び電力線PL1の間に接続され、システムリレーSR2は、蓄電装置28の負極端子及び接地線NLの間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、ECU30からの信号SEにより制御され、蓄電装置28からコンバータ12への電力の供給と遮断とを切替える。
コンバータ12は、本発明の「電圧変換装置」の一例であり、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。スイッチング素子Q1及びQ2は、本発明の「第1スイッチング素子」及び「第2スイッチング素子」の一例であり、電力線PL2及び接地線NLの間に直列に接続される。スイッチング素子Q1及びQ2は、ECU30からのゲート信号PWCによって制御される。
スイッチング素子Q1及びQ2には、例えばIGBT、電力用MOSトランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置される。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1及びQ2の接続ノードと電力線PL1の間に設けられる。また、平滑コンデンサC2は、電力線PL2及び接地線NLの間に接続される。
電流センサ18は、本発明の「電流検出手段」の一例であり、リアクトルL1を流れるリアクトル電流を検出し、その検出値ILをECU30に出力する。
負荷装置45は、インバータ23と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン40と、動力分割機構41と、駆動輪42とを含む。また、インバータ23は、モータジェネレータMG1を駆動するためのインバータ14と、モータジェネレータMG2を駆動するためのインバータ22とを含む。なお、図1のようにインバータ及びモータジェネレータを2組備えることは必須ではなく、たとえばインバータ14とモータジェネレータMG1、あるいはインバータ22とモータジェネレータMG2のいずれか1組のみを備える構成としてもよい。
モータジェネレータMG1,MG2は、インバータ23から供給される交流電力を受けて車両推進のための回転駆動力を発生する。また、モータジェネレータMG1,MG2は、外部から回転力を受け、ECU30からの回生トルク指令によって交流電力を発電するとともに回生制動力を車両100に発生する。
また、モータジェネレータMG1,MG2は、動力分割機構41を介してエンジン40にも連結される。そして、エンジン40の発生する駆動力とモータジェネレータMG1,MG2の発生する駆動力とが最適な比率となるように制御される。また、モータジェネレータMG1,MG2のいずれか一方を専ら電動機として機能させ、他方のモータジェネレータを専ら発電機として機能させてもよい。なお、本実施形態においては、モータジェネレータMG1をエンジン40により駆動される発電機として機能させ、モータジェネレータMG2を駆動輪42を駆動する電動機として機能させるものとする。
動力分割機構41には、エンジン40の動力を、駆動輪42とモータジェネレータMG1との両方に振り分けるために、例えば遊星歯車機構(プラネタリギヤ)が使用される。
インバータ14は、コンバータ12から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン40を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン40から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された回生電力をコンバータ12に出力する。このときコンバータ12は、降圧回路として動作するようにECU30によって制御される。
インバータ14は、電力線PL2及び接地線NLの間に並列に設けられ、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17を含んで構成される。各相上下アームは、電力線PL2及び接地線NLの間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続される。スイッチング素子Q3〜Q8は、ECU30からのゲート信号PWIによって制御される。
例えばモータジェネレータMG1は、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の接続ノードと接続される。
インバータ22は、コンバータ12に対してインバータ14と並列的に接続される。
インバータ22は駆動輪42を駆動するモータジェネレータMG2に対してコンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された回生電力をコンバータ12に出力する。このときコンバータ12は降圧回路として動作するようにECU30によって制御される。インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明については省略する。
コンバータ12は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1及びQ2が相補的かつ交互にオンオフするように制御される。コンバータ12は、昇圧動作時には、蓄電装置28から供給された直流電圧VLを直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)に昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1及び逆並列ダイオードD1を介して、電力線PL2へ供給することにより行われる。
また、コンバータ12は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2及び逆並列ダイオードD2を介して、接地線NLへ供給することにより行われる。
これらの昇圧動作及び降圧動作における電圧変換比(VH及びVLの比)は、上記スイッチング周期におけるスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、スイッチング素子Q1及びQ2をオン及びオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
平滑コンデンサC2は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ23へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC2の両端の電圧、すなわち、システム電圧VHを検出し、その検出値をECU30へ出力する。
インバータ14は、モータジェネレータMG1のトルク指令値が正(TR1>0)の場合には、平滑コンデンサC2から直流電圧が供給されるとECU30からのゲート信号PWI1に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するようにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、モータジェネレータMG1のトルク指令値が零の場合(TR1=0)には、ゲート信号PWI1に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるようにモータジェネレータMG1を駆動する。これにより、モータジェネレータMG1は、トルク指令値TR1によって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
更に、車両100の回生制動時には、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1は負に設定される(TR1<0)。この場合には、インバータ14は、ゲート信号PWI1に応答したスイッチング動作により、モータジェネレータMG1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を、平滑コンデンサC2を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
インバータ22についても同様に、モータジェネレータMG2のトルク指令値に対応したECU30からのゲート信号PWI2を受け、ゲート信号PWI2応答したスイッチング動作によって、直流電圧を交流電圧に変換して所定のトルクになるようにモータジェネレータMG2を駆動する。
電流センサ24,25は、モータジェネレータMG1,MG2に流れるモータ電流MCRT1,MCRT2を検出し、その検出したモータ電流をECU30へ出力する。なお、U相,V相,W相の各相の電流の瞬時値の和はゼロであるので、図1に示すように電流センサ24,25は2相分のモータ電流を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)26,27は、モータジェネレータMG1,MG2の回転角θ1,θ2を検出し、その検出した回転角θ1,θ2をECU30へ送出する。ECU30では、回転角θ1,θ2に基づきモータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2及び角速度ω1,ω2(rad/s)を算出できる。なお、回転角センサ26,27については、回転角θ1,θ2をECU30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置しないようにしてもよい。
ECU30は、本発明の「電圧変換装置の制御装置」の一例であり、例えばCPU(Central Processing Unit)、記憶装置及び入出力バッファを含み、車両100の各機器を制御する。なお、ECU30の行う制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
代表的な機能として、ECU30は、入力されたトルク指令値TR1,TR2、電圧センサ10によって検出された直流電圧VL、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VH及び電流センサ24,25からのモータ電流MCRT1,MCRT2、回転角センサ26,27からの回転角θ1,θ2等に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2がトルク指令値TR1,TR2に従ったトルクを出力するように、コンバータ12及びインバータ23の動作を制御する。すなわち、コンバータ12及びインバータ23を上記のように制御するためのゲート信号PWC,PWI1,PWI2を生成して、コンバータ12及びインバータ23へそれぞれ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、ECU30は、システム電圧VMをフィードバック制御し、システム電圧VMが電圧指令値に一致するようにゲート信号PWCを生成する。
また、ECU30は、車両100が回生制動モードに入ると、モータジェネレータMG1,MG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにゲート信号PWI1、PWI2を生成してインバータ23へ出力する。これにより、インバータ23は、モータジェネレータMG1,MG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、ECU30は、車両100が回生制動モードに入ると、インバータ23から供給された直流電圧を降圧するようにゲート信号PWCを生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、モータジェネレータMG1,MG2が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、さらに降圧されて蓄電装置28に供給される。
次に、コンバータ12動作時の電流変動について、図2から図5を参照して説明する。ここに図2は、両アーム駆動時における電流値の変動を示すチャート図である。また図3は、下アーム駆動時の電流の流れを示す概念図であり、図4は、上アーム駆動時の電流の流れを示す概念図である。図5は、片アーム駆動時における電流値の変動を示すチャート図である。
図2において、コンバータ12が両アーム駆動(即ち、スイッチング素子Q1,Q2の両方をオンとする駆動)を行う場合には、スイッチング素子Q1のオンオフを切替えるゲート信号であるPWC1、及びスイッチング素子Q2のオンオフを切替えるゲート信号であるPWC2がそれぞれスイッチング素子Q1,Q2に供給されることで、リアクトル電流ILの値が制御される。
なお、両アーム駆動時には、スイッチング素子Q1,Q2の各々によって、正の電流及び負の電流を流すことができるため、例えば図に示すような0を跨ぐ電流制御においても、通常と同様の制御が可能である。
図3及び図4において、本実施形態に係るコンバータ12は、上述した両アーム駆動に加えて、スイッチング素子Q1及びQ2のいずれか一方のみをオンとする片アーム駆動を実現することが可能とされている。具体的には、力行時においては、スイッチング素子Q2のみをオンとする下アーム駆動が行われる。この場合、図3に示すように、スイッチング素子Q1側に流れる電流はダイオードD1を介して流れ、スイッチング素子Q2側に流れる電流はスイッチング素子Q2を介して流れる。一方、回生時においては、スイッチング素子Q2のみをオンとする下アーム駆動が行われる。この場合、図4に示すように、スイッチング素子Q1側に流れる電流はスイッチング素子Q1を介して流れ、スイッチング素子Q2側に流れる電流はダイオードD2を介して流れる。
片アーム駆動によれば、スイッチング素子Q1及びQ2のいずれか一方のみがオンとされるため、スイッチング素子Q1及びQ2の短絡を防止するために設定されるデッドタイムが不要となる。よって、例えば装置の小型化に伴って高周波化が求められている場合であっても、コンバータ12の昇圧性能が低下してしまうことを防止できる。
図5において、下アーム駆動が行われる力行時(即ち、リアクトル電流ILが正の場合)には、スイッチング素子Q1のオンオフを切替えるゲート信号であるPWC1は供給されず、スイッチング素子Q2のオンオフを切替えるゲート信号であるPWC2のみが供給される。また、上アーム駆動が行われる回生時(即ち、リアクトル電流ILが負の場合)には、スイッチング素子Q1のオンオフを切替えるゲート信号であるPWC1のみが供給され、スイッチング素子Q2のオンオフを切替えるゲート信号であるPWC2は供給されない。
ここで特に、下アーム駆動時には負の電流を流すことができないため、リアクトル電流ILの下限がゼロにかかるような場合には、ゲート信号であるPWC2のデューティ比率を変更して、非線形的な制御を行うことが求められる。同様に、上アーム駆動時には正の電流を流すことができないため、リアクトル電流ILの上限がゼロにかかるような場合には、ゲート信号であるPWC1のデューティ比率を変更して、非線形的な制御を行うことが求められる。即ち、片−アーム駆動時には、リアクトル電流ILがゼロに近づいた場合に、通常とは異なる比較的複雑な制御が求められる。
本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置は、上述した片アーム駆動時において、ゼロ付近でのリアクトル電流ILの平均値を正確に推定することを目的としている。
次に、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置であるECU30の具体的な構成について、図6を参照して説明する。ここに図6は、第1実施形態に係るECUの構成を示すブロック図である。なお、図6では、説明の便宜上、ECU30に備えられる各部位のうち本実施形態に関連の深いもののみを示し、その他の詳細な部位については適宜図示を省略している。
図6において、ECU30は、ADC310と、電圧制御部320と、平均リアクトル電流推定回路330と、電流制御部340と、ゲート信号出力回路350と、キャリア信号出力部360とを備えて構成されている。
ADC310は、本発明の「電流検出手段」の一例であり、リアクトル電流ILの値を複数のタイミングでサンプリングして、平均リアクトル電流推定回路320へと出力する。またADC310は、入力電圧VL(即ち、電圧センサ10で検出された昇圧前の電圧値)及び出力電圧VH(即ち、電圧センサ13で検出された昇圧後の電圧値)の各々をサンプリングして、それぞれ電圧制御部320及び平均リアクトル電流推定回路330へと出力する。なお、ADC310におけるサンプリングタイミングは、ゲート信号出力回路350から入力されるアクティブなスイッチング素子を示す信号に基づいて決定される。ADC310における具体的なサンプリングタイミングについては、後に詳述する。
電圧制御部320は、ADC310においてサンプリングされた出力電圧VH及び入力電圧VLに基づいて電圧偏差を演算し、リアクトル電流指令値ILREFを算出する。算出されたリアクトル電流指令値ILREFは、電流制御部340へと出力される。
平均リアクトル電流推定回路330は、リアクトル電流ILの平均値aveILを推定する。平均リアクトル電流推定回路330で推定されたリアクトル電流ILの平均値aveILは、電流制御部340に出力されフィードバック制御に用いられる。リアクトル電流の平均値aveILの具体的な推定方法については、後に詳述する。
電流制御部340は、電圧制御部320から入力されたリアクトル電流指令値ILREFと、推定されたリアクトル電流aveILとに基づいて電流偏差を演算し、スイッチング素子Q1,Q2のデューティ指令信号DUTYを算出する。算出されたデューティ指令信号DUTYは、ゲート信号出力回路350に出力される。
ゲート信号出力回路350は、本発明の「制御手段」の一例であり、電流制御部340から入力されたデューティ指令信号DUTYと、キャリア信号生成部360において生成されたキャリア信号CRとに基づいて、スイッチング素子Q1,Q2のゲート信号であるPWC1及びPWC2を生成する。
キャリア信号生成部360は、ゲート信号PWC1及びPWC2を生成するために、所定周期のキャリア信号CRを生成する。キャリア信号CRは、ゲート信号出力回路350及びADC310に出力される。
以上説明したECU30は、上述した各部位を含んで構成された一体の電子制御ユニットであり、上記各部位に係る動作は、全てECU30によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係る上記部位の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
次に、上述したECU30に含まれる平均リアクトル電流推定回路330の具体的な構成について、図7を参照して説明する。ここに図7は、第1実施形態に係る平均リアクトル電流推定回路の構成を示す回路図である。
図7において、平均リアクトル電流推定回路330は、第1電流量算出部331と、平均電圧算出部332と、電流変化率算出部333と、ゼロタイミング算出部334と、第2電流量算出部335と、平均電流算出部336とを備えて構成されている。
第1電流量算出部331は、リアクトル電流ILがゼロとなるゲート信号PWCの立ち上がりタイミングから立ち下がりタイミングまでの第1の期間に、リアクトルL1に流れる第1の電流量を算出する。第1電流算出部331は、第1の期間の長さ及びゲート信号PWCの立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流(言い換えれば、リアクトル電流のピーク値)を用いて第1の電流量を算出する。
平均電圧算出部332は、本発明の「平均電圧算出手段」の一例であり、ADC310によってサンプリングされた出力電圧VH及び入力電圧VLの値から、ゲート信号PWCの1周期における出力電圧VHの平均値及び入力電圧VLの平均値をそれぞれ算出する。
電流変化率算出部333は、本発明の「変化率算出手段」の一例であり、平均電圧算出部332で算出された出力電圧VHの平均値及び入力電圧VLの平均値と、予め記憶されているリアクトルのインダクタンス値を用いて、ゲート信号PWCの立ち下がりタイミング後におけるリアクトル電流ILの変化率を算出する。
ゼロタイミング算出部334は、ゲート信号PWCの立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流と、電流変化率算出部333で算出されたリアクトル電流ILの変化率とを用いて、リアクトル電流ILがゼロとなるタイミングを予測する。
第2電流量算出部335は、ゲート信号PWCの立ち下がりタイミングからリアクトル電流ILがゼロとなるタイミングまでの第2の期間にリアクトルL1に流れる第2の電流量を算出する。第2電流量算出部335は、第2の期間の長さ及びゲート信号PWCの立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流を用いて第2の電流量を算出する。
平均電流算出部336は、本発明の「平均電流推定手段」の一例であり、第1の電流量及び第2の電流量を用いて、リアクトル電流ILの平均値aveILを算出する。平均電流算出部は、第1の電流量及び第2の電流量を互いに足し合わせた値(即ち、ゲート信号1周期において流れる総電流量)を、ゲート信号1周期分の期間の長さで割った値として、リアクトル電流ILの平均値aveILを算出する。
次に、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置の動作について、図8から図10を参照して説明する。ここに図8は、第1実施形態に係る電圧変換装置の制御装置の動作を示すフローチャートである。また図9は、下アーム駆動時における平均リアクトル電流の推定方法を示すチャート図であり、図10は、上アーム駆動時における平均リアクトル電流の推定方法を示すチャート図である。なお、以下では、本実施形態に特有の平均リアクトル電流の算出に係る処理について詳細に説明し、その他の一般的な処理については、適宜説明を省略するものとする。
図8及び図9において、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置の動作時には、先ずADC310によって、所定のタイミングでリアクトル電流ILがサンプリングされる(ステップS101)。具体的には、リアクトル電流ILは、ゲート信号PWC2の立ち下がりタイミングであるA点でサンプリングされる(図9参照)。
続いて、第1電流量算出部331によって、第1の電流量W1が算出される(ステップS102)。ここで第1の電流量W1は、図9におけるリアクトル電流ILがなす三角形ACDのうち、A点から見て左側の三角形(即ち、D点からA点までの期間を底辺とし、A点におけるリアクトル電流ILaを高さとする三角形)の面積に相当する。このため、第1の電流量W1は以下の数式(1)を用いて算出することができる。
W1=(TimA−TimD)×ILa/2 ・・・(1)
なお、上記数式における“TimA”はA点における時刻(即ち、ゲート信号PWC2の立ち下がりタイミング)であり、“TimD”はD点における時刻(即ち、ゲート信号PWC2の立ち上がりタイミング)である。
なお、上記数式における“TimA”はA点における時刻(即ち、ゲート信号PWC2の立ち下がりタイミング)であり、“TimD”はD点における時刻(即ち、ゲート信号PWC2の立ち上がりタイミング)である。
続いて、ADC310によって、所定のタイミングで出力電圧VH及び入力電圧VLがサンプリングされる(ステップS103)。具体的には、出力電圧VH及び入力電圧VLの各々は、キャリア信号の山及び谷のタイミング(即ち、図9中のa点及びb点)でサンプリングされる。
出力電圧VH及び入力電圧VLがサンプリングされると、平均電圧算出部332によって、出力電圧VH及び入力電圧VLのゲート信号PWC2の1周期における平均値が算出される(ステップS104)。ここで、出力電圧VHの平均値aveVH及び入力電圧VLの平均値aveVLは、a点でサンプリングされた出力電圧をVHa、b点でサンプリングされた出力電圧をVHbとし、a点でサンプリングされた入力電圧をVLa、b点でサンプリングされた入力電圧をVLbとすると、それぞれ以下の数式(2)及び(3)を用いて算出することができる。
aveVH=(VHa+VHb)/2 ・・・(2)
aveVL=(VLa+VLb)/2 ・・・(3)
即ち、出力電圧VHの平均値aveVH及び入力電圧VLの平均値aveVLは、出力電圧及び入力電圧の最大値と最小値との中間値として算出できる。
aveVL=(VLa+VLb)/2 ・・・(3)
即ち、出力電圧VHの平均値aveVH及び入力電圧VLの平均値aveVLは、出力電圧及び入力電圧の最大値と最小値との中間値として算出できる。
出力電圧VHの平均値aveVH及び入力電圧VLの平均値aveVLが算出されると、電流変化率算出部333によって、リアクトル電流ILの変化率di/dtが算出される(ステップS105)。リアクトル電流ILの変化率di/dtは、出力電圧VHの平均値aveVH及び入力電圧VLの平均値aveVL、並びにリアクトルL1のインダクタンス値Lを用いて、以下の数式(4)で算出することができる。
di/dt=(aveVH−aveVL)/L ・・・(4)
リアクトル電流ILの変化率di/dtが算出されると、A点からどのようにリアクトル電流ILが下降していくかが分かる。よって、ゼロタイミング算出部334では、リアクトル電流ILの変化率di/dtを利用して、リアクトル電流ILがゼロとなるタイミング(即ち、図中のC点の時刻TimC)が算出される(ステップS106)。C点の時刻TimCは、以下の数式(5)を用いて算出できる。
リアクトル電流ILの変化率di/dtが算出されると、A点からどのようにリアクトル電流ILが下降していくかが分かる。よって、ゼロタイミング算出部334では、リアクトル電流ILの変化率di/dtを利用して、リアクトル電流ILがゼロとなるタイミング(即ち、図中のC点の時刻TimC)が算出される(ステップS106)。C点の時刻TimCは、以下の数式(5)を用いて算出できる。
TimC=−ILa/di/dt+TimA ・・・(5)
TImCが算出されると、第2電流量算出部335によって、第2の電流量W2が算出される(ステップS107)。ここで、第2の電流量W2は、図9におけるリアクトル電流ILがなす三角形ACDのうち、A点から見て右側の三角形(即ち、A点からC点までの期間を底辺とし、A点におけるリアクトル電流ILaを高さとする三角形)の面積に相当する。このため、第2の電流量W2は以下の数式(6)を用いて算出することができる。
TImCが算出されると、第2電流量算出部335によって、第2の電流量W2が算出される(ステップS107)。ここで、第2の電流量W2は、図9におけるリアクトル電流ILがなす三角形ACDのうち、A点から見て右側の三角形(即ち、A点からC点までの期間を底辺とし、A点におけるリアクトル電流ILaを高さとする三角形)の面積に相当する。このため、第2の電流量W2は以下の数式(6)を用いて算出することができる。
W2=(TimC−TimA)×ILa/2 ・・・(6)
第1の電流量W1及び第2の電流量W2が算出されると、平均電流算出部336によって、ゲート信号PWC2の1周期におけるリアクトル電流ILの平均値aveILが算出される(ステップS108)。リアクトル電流ILの平均値aveILを算出する際には、先ずゲート信号PWC2の1周期において流れるリアクトル電流ILの総電流量Waが算出される。ここで、総電流量Waは、図9における三角形ACDの面積に相当する。このため、総電流量Waは、第1電流量W1及び第2電流量W2を用いて、以下の数式(7)で表せる。
第1の電流量W1及び第2の電流量W2が算出されると、平均電流算出部336によって、ゲート信号PWC2の1周期におけるリアクトル電流ILの平均値aveILが算出される(ステップS108)。リアクトル電流ILの平均値aveILを算出する際には、先ずゲート信号PWC2の1周期において流れるリアクトル電流ILの総電流量Waが算出される。ここで、総電流量Waは、図9における三角形ACDの面積に相当する。このため、総電流量Waは、第1電流量W1及び第2電流量W2を用いて、以下の数式(7)で表せる。
Wa=W1+W2 ・・・(7)
なお、総電流量Waは、上述したように第1電流量W1及び第2電流量W2として別々に算出せずとも、まとめて算出することができる。具体的には、D点からC点までの期間を底辺とし、A点におけるリアクトル電流ILaを高さとする三角形)の面積として算出できる。よって、総電流量Waは、以下の数式(8)を用いることでも算出できる。
なお、総電流量Waは、上述したように第1電流量W1及び第2電流量W2として別々に算出せずとも、まとめて算出することができる。具体的には、D点からC点までの期間を底辺とし、A点におけるリアクトル電流ILaを高さとする三角形)の面積として算出できる。よって、総電流量Waは、以下の数式(8)を用いることでも算出できる。
Wa=(TimC−TimD)×ILa/2 ・・・(8)
リアクトル電流ILの平均値aveILは、図9に示すように、ゲート信号PWC2の1周期分の長さを有し、三角形ACDと面積が同じである長方形SQの高さとして算出できる。ここで、三角形ACDの面積は総電流量Waであるので、ゲート信号PWC2の1周期分の長さをTpwc2とすると、aveILは、以下の数式(9)を用いて算出できる。
リアクトル電流ILの平均値aveILは、図9に示すように、ゲート信号PWC2の1周期分の長さを有し、三角形ACDと面積が同じである長方形SQの高さとして算出できる。ここで、三角形ACDの面積は総電流量Waであるので、ゲート信号PWC2の1周期分の長さをTpwc2とすると、aveILは、以下の数式(9)を用いて算出できる。
aveIL=Wa/Tpwc2 ・・・(9)
以上のように、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置では、ゲート信号PWCの周期単位でリアクトル電流ILの平均値aveILが算出される。なお、リアクトル電流ILの平均値aveILの推定方法としては、例えばキャリア信号CRに基づいてリアクトル電流をサンプリングして算出する方法も考えられる。しかしながら、片側アーム駆動を行う場合には、アームを切替えない限りいずれか一方の極性でしか電流を流すことができないため、キャリア信号CRとリアクトル電流ILとの対応関係が通常の駆動(即ち、片アーム駆動でない駆動)を行う場合とは異なる状況が生じ得る。例えば、片アーム駆動では、リアクトル電流ILがゼロ付近となる場合に非線形的な制御を行うため、リアクトル電流ILの周期的な上下が一時的に乱れる。よって、仮にキャリア信号CRに基づいて平均値aveILを算出しようとしても、片アーム駆動を行っている場合には、正確な値とはならないおそれがある。
以上のように、本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置では、ゲート信号PWCの周期単位でリアクトル電流ILの平均値aveILが算出される。なお、リアクトル電流ILの平均値aveILの推定方法としては、例えばキャリア信号CRに基づいてリアクトル電流をサンプリングして算出する方法も考えられる。しかしながら、片側アーム駆動を行う場合には、アームを切替えない限りいずれか一方の極性でしか電流を流すことができないため、キャリア信号CRとリアクトル電流ILとの対応関係が通常の駆動(即ち、片アーム駆動でない駆動)を行う場合とは異なる状況が生じ得る。例えば、片アーム駆動では、リアクトル電流ILがゼロ付近となる場合に非線形的な制御を行うため、リアクトル電流ILの周期的な上下が一時的に乱れる。よって、仮にキャリア信号CRに基づいて平均値aveILを算出しようとしても、片アーム駆動を行っている場合には、正確な値とはならないおそれがある。
これに対し本実施形態では、上述したように、リアクトル電流ILの平均値aveILがゲート信号PWCの周期単位で推定される。ここでゲート信号PWCの周期は、キャリア信号CRとは違い、片アーム駆動においてもリアクトル電流ILとの対応関係が崩れない。より具体的には、リアクトル電流ILは、ゲート信号PWCの立ち上がりタイミングにおいて上昇を開始し、ゲート信号PWCの立ち下がりタイミングで下降を開始する。従って、ゲート信号PWCの周期単位で平均値aveILを算出するようにすれば、片アーム駆動を行う場合であっても、正確な値を推定することができる。
なお、上述した例では、下アーム駆動を行う場合(即ち、スイッチング素子Q1を常にオフとし、スイッチング素子Q2のオンオフを切替えて駆動する場合)について説明したが、上アーム駆動を行う場合(即ち、スイッチング素子Q2を常にオフとし、スイッチング素子Q1のオンオフを切替えて駆動する場合)であっても、同様の方法でリアクトル電流ILの平均値aveILを推定できる。
具体的には、図9に示すように、下アーム駆動を行う場合と上アーム駆動を行う場合とでは、リアクトルILの極性が逆転する。このような場合であっても、三角形ADCと同じ面積を有する長方形SQの高さを求めることで、リアクトル電流ILの平均値aveILを推定できる。
図8に戻り、リアクトル電流ILの平均値aveILが推定されると、電流制御部340においてスイッチング素子Q1及びQ2のデューティ比が決定される(ステップS109)。決定されたデューティ比は、デューティ指令信号DUTYとしてゲート信号出力回路350に出力される。
ゲート信号出力回路350では、デューティ指令信号DUTYとキャリア信号が比較されることで、ゲート信号PWCが生成される(ステップS110)。そして、このゲート信号PWCによって、スイッチング素子Q1及びQ2のスイッチングが制御される(ステップS111)。
以上説明したように、推定されたリアクトル電流ILの平均値aveILは、コンバータ12の制御に用いられる。本実施形態に係る電圧変換装置の制御装置によれば、上述したように、片アーム駆動を行う場合であっても正確にリアクトル電流ILの平均値aveILを推定できるため、コンバータ12の制御を好適に行うことが可能である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電圧変換装置の制御装置について説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については概ね同様である。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
次に、第2実施形態に係る電圧変換装置の制御装置について説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については概ね同様である。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
先ず、第2実施形態に係る電圧変換装置の制御装置であるECU30の構成について、図11を参照して説明する。ここに図11は、第2実施形態に係るECUの構成を示すブロック図である。
図11において、第2実施形態に係るECU30は、第1実施形態に係るECU30の各構成要素に加え、切替判定部370と、第2平均リアクトル電流推定回路380を備えて構成されている。
切替判定部370は、リアクトル電流ILの平均値aveILを推定する際に、平均リアクトル電流推定回路330及び第2平均リアクトル電流推定回路380のいずれを用いるかを切替える。切替判定部370は、ゲート信号PWCの立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流ILが所定の閾値以下であるか否かによって、平均リアクトル電流推定回路330及び第2平均リアクトル電流推定回路380を切替えて、選択的にリアクトル電流の平均値を算出させる。
第2平均リアクトル電流推定回路380は、平均リアクトル電流推定手段330とは異なる方法で、リアクトル電流ILの平均値aveILを推定する。具体的には、第2平均リアクトル電流推定回路380は、平均リアクトル電流推定回路330のように出力電圧VH及び入力電圧VLを用いずに、リアクトル電流ILのみで、リアクトル電流ILの平均値aveILを推定する。第2平均リアクトル電流推定回路380における、より具体的な平均値aveILの算出方法については、後に詳述する。
次に、第2実施形態に係る電圧変換装置の制御装置の動作について、図12から図16を参照して説明する。ここに図12は、第2実施形態に係る電圧変換装置の制御装置の動作を示すフローチャートである。また図13は、下アーム駆動時における推定手段の切替判定方法を示すチャート図である。図14は、リアクトル電流とリアクトルのインダクタンス値との関係を示すグラフであり、図15は、リアクトル電流とサンプリングタイミングとの関係を示すグラフである。図16は、上アーム駆動時における推定手段の切替判定方法を示すチャート図である。
図12及び図13において、第2実施形態に係る電圧変換装置の制御装置の動作時には、先ずADC310によって、所定のタイミングでリアクトル電流ILがサンプリングされる(ステップS201)。具体的には、リアクトル電流ILは、ゲート信号PWC2の立ち下がりタイミングであるA点、及びA点の直後(例えば、数μ秒後)のB点でそれぞれサンプリングされる(図13参照)。サンプリングされたリアクトル電流ILa及びILbは、切替判定部370へと出力される。
続いて、切替判定部370によって、ゲート信号PWC2の立ち下がりタイミングであるA点のリアクトル電流ILaが、所定の閾値L1以下であるか否かが判定される(ステップS202)。ここで特に、所定の閾値L1は、リアクトル電流ILの平均値aveILの推定手段として、平均リアクトル電流推定回路330及び第2平均リアクトル電流推定回路380のいずれを用いるかを判定するための閾値であり、リアクトルL1のインダクタンス値Lと、リアクトル電流ILとの関係に基づいて設定されている。
図14において、リアクトルL1のインダクタンス値Lは、リアクトル電流ILが比較的低い領域では(具体的には、リアクトル電流ILが0から閾値IL1となるまでは)、設計値Ldのまま一定である。しかしながら、リアクトル電流ILが閾値IL1を超えると、リアクトルL1のインダクタンス値Lは徐々に低下する。このように、リアクトル電流ILが閾値IL1を超えると、リアクトルL1のインダクタンス値Lは変動し、設計値Ldとは異なる値となる。
ここで、平均リアクトル電流推定回路330では、上述した第1実施形態で説明したように、リアクトル電流の変化率di/dtを求める際に、リアクトルL1のインダクタンス値Lを用いる。この際、リアクトル電流ILが閾値IL1以下であればインダクタンス値Lとして設計値Ldを用いることができるが、リアクトル電流ILが閾値IL1を超えている場合には設計値Ldを用いることができない。よって、リアクトル電流ILが閾値IL1を超えている場合には、平均リアクトル電流推定回路330によってリアクトル電流ILの平均値aveILを推定することが難しい。
以上のような理由から、切替判定部370は、A点のリアクトル電流ILaが、所定の閾値L1以下である場合に(ステップS202:YES)、平均リアクトル電流推定回路330を用いてリアクトル電流ILの平均値aveILを推定する(ステップS203)。
図13において、CASE1におけるA点のリアクトル電流ILaは、閾値IL1より小さい値である。このため、CASE1においては、平均リアクトル電流推定回路330を用いてリアクトル電流ILの平均値aveILが推定される。即ち、出力電圧VH及び入力電圧VLを用いてリアクトル電流ILの平均値aveILが推定される。
一方で、CASE2におけるA点のリアクトル電流ILaは、閾値IL1より大きい値である。このように、A点のリアクトル電流ILaが閾値ILを超えている場合には(ステップS202:NO)、第2平均リアクトル電流推定回路380を用いてリアクトル電流ILの平均値aveILが推定される(ステップS204)。以下では、第2平均リアクトル電流推定回路380におけるリアクトル電流ILの平均値aveILの推定方法について詳細に説明する。
第2平均リアクトル電流推定回路380は、上述した平均リアクトル電流推定回路330と概ね同様の方法でリアクトル電流ILの平均値aveILを推定するが、ゲート信号PWC2の立ち下がりタイミング後におけるリアクトル電流ILの変化率di/dtを算出する際の方法が異なる。
具体的には、第2平均リアクトル電流推定回路380では、リアクトル電流ILの変化率di/dtが、A点でサンプリングされたリアクトル電流ILa及びB点でサンプリングされたリアクトル電流ILbの値を用いて算出される。即ち、第2平均リアクトル電流推定回路380では、短時間の間にサンプリングされた複数のリアクトル電流ILの値を用いて、リアクトル電流ILの変化率di/dtが算出される。この場合、リアクトル電流ILの変化率di/dtは、A点における時刻TimA及び電流値ILa、並びにB点における時刻TimB及び電流値ILbを用いて、以下の数式(10)で算出することができる。
di/dt=(ILb−ILa)/(TimB−TimA) ・・・(10)
第2平均リアクトル電流推定回路380によれば、インダクタンス値Lを用いずに済むため、リアクトル電流ILaが閾値IL1を超えている場合であっても、正確にリアクトル電流ILの変化率di/dtを算出することができる。よって、リアクトル電流ILがゼロとなるタイミングを正確に算出でき、リアクトル電流ILの平均値aveILを好適に推定できる。
第2平均リアクトル電流推定回路380によれば、インダクタンス値Lを用いずに済むため、リアクトル電流ILaが閾値IL1を超えている場合であっても、正確にリアクトル電流ILの変化率di/dtを算出することができる。よって、リアクトル電流ILがゼロとなるタイミングを正確に算出でき、リアクトル電流ILの平均値aveILを好適に推定できる。
図15において、CASE2のように、A点におけるリアクトル電流ILaが閾値IL1に達する場合には、A点及びB点の両方で適切にリアクトル電流の値がサンプリングできる。このため、上述したように、リアクトル電流ILa及びILbの値を用いてリアクトル電流ILの変化率di/dtを算出できる。
しかしながら、CASE1のように、A点におけるリアクトル電流ILaが閾値IL1より小さい場合には、A点を過ぎた後に、リアクトル電流ILが極めて短い期間でゼロに達してしまう。このような場合、B点においてサンプリングされるILbはゼロとなり、リアクトル電流ILa及びILbの値を用いてリアクトル電流ILの変化率di/dtを算出することができなくなってしまう。よって、切替判定部370は、A点のリアクトル電流ILaが、所定の閾値L1以下である場合に、平均リアクトル電流推定回路330を用いてリアクトル電流ILの平均値aveILを推定する。
上述したように、平均リアクトル電流推定回路330又は第2平均リアクトル電流推定回路380は、その適用可能範囲が互いに異なっている。このため、ゲート信号PWC2の立ち下がりタイミングにおけるリアクトル電流ILに基づいて、いずれの推定手段を用いるかを切替えるようにすれば、条件に応じた適切な推定手段を選択することができ、より好適にリアクトル電流ILの平均値aveILを推定することが可能となる。
図12に戻り、リアクトル電流ILの平均値aveILが推定されると、電流制御部340においてスイッチング素子Q1及びQ2のデューティ比が決定される(ステップS205)。決定されたデューティ比は、デューティ指令信号DUTYとしてゲート信号出力回路350に出力される。
ゲート信号出力回路350では、デューティ指令信号DUTYとキャリア信号が比較されることで、ゲート信号PWCが生成される(ステップS206)。そして、このゲート信号PWCによって、スイッチング素子Q1及びQ2のスイッチングが制御される(ステップS207)。
第2実施形態に係る電圧変換装置の制御装置によれば、上述したように、条件に応じて推定手段が選択されリアクトル電流ILの平均値aveILが推定されるため、コンバータ12の制御をより好適に行うことが可能である。
なお、上述した例では、下アーム駆動を行う場合について説明したが、上アーム駆動を行う場合であっても、同様の方法で推定手段を切替えることができる。
具体的には、図16に示すように、下アーム駆動を行う場合と上アーム駆動を行う場合とでは、リアクトルILの極性が逆転する。このような場合であっても、リアクトル電流ILのピーク値であるA点におけるリアクトル電流ILaがゼロ以上であるか否かを判定することによって、適切に推定手段を切替えることができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電圧変換装置の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…電圧センサ、12…コンバータ、13…電圧センサ、18…電流センサ、20…直流電圧発生部、22,23…インバータ、28…蓄電装置、30…ECU、40…エンジン、41…動力分割機構、42…駆動輪、45…負荷装置、100…車両、310…ADC、320…電圧制御部、330…平均リアクトル電流推定回路、331…第1電流量算出部、332…平均電圧算出部、333…電流変化率算出部333、334…ゼロタイミング算出部、335…第2電流量算出部、336…平均電流算出部、340…電流制御部、350…ゲート信号出力回路、360…キャリア信号生成部、370…切替判定部、380…第2平均リアクトル電流推定回路、aveIL…平均リアクトル電流、aveVH…平均出力電圧、aveVL…平均入力電圧、C2…平滑コンデンサ、CR…キャリア信号、D1,D2…ダイオード、IL…リアクトル電流、IL1…閾値、L1…リアクトル、MG1,MG2…モータジェネレータ、PWC1,PWC2…ゲート信号、Q1,Q2…スイッチング素子、SR1,SR2…システムリレー、VH…出力電圧、VL…入力電圧。
Claims (3)
- リアクトルに夫々直列に接続される第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を択一的にオンとすることで、前記第1スイッチング素子を含んでなる第1アーム及び前記第2スイッチング素子を含んでなる第2アームのいずれか一方のみによる片アーム駆動を実現可能な電圧変換装置の制御装置であって、
前記リアクトルを流れる電流であるリアクトル電流を検出する電流検出手段と、
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の各々のオンオフを切替えるゲート信号の1周期における入力電圧の平均値及び出力電圧の平均値を夫々算出する平均電圧算出手段と、
前記入力電圧の平均値及び前記出力電圧の平均値、並びに前記リアクトルのインダクタンスを用いて、前記リアクトル電流の変化率を算出する変化率算出手段と、
前記リアクトル電流及び前記リアクトル電流の変化率を用いて、前記ゲート信号の1周期におけるリアクトル電流の平均値を推定する平均電流推定手段と、
前記推定されたリアクトル電流の平均値に基づいて、前記電圧変換装置の動作を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電圧変換装置の制御装置。 - 前記平均電流推定手段は、前記ゲート信号の立ち下がりタイミングにおける前記リアクトル電流が所定の閾値以下である場合に、前記リアクトル電流の平均値を推定することを特徴とする請求項1に記載の電圧変換装置の制御装置。
- 前記所定の閾値は、前記リアクトルのインダクタンスが一定である領域に対応して設定されることを特徴とする請求項2に記載の電圧変換装置の制御装置。
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