JP2013240162A - 電圧変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スイッチング素子において十分な耐圧性能を実現しつつ、スイッチング速度の低下による損失を効果的に低減する。
【解決手段】電圧変換装置(12)は、互いに直列に接続された第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)の制御によって電圧を変換する。電圧変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のうち少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧(Vce)を検出するサージ電圧検出手段(211,212)と、サージ電圧に基づいて、少なくとも一方の素子のゲート抵抗値(Rg)を変更するゲート抵抗値変更手段(213)とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】電圧変換装置(12)は、互いに直列に接続された第1スイッチング素子(Q1)及び第2スイッチング素子(Q2)の制御によって電圧を変換する。電圧変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のうち少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧(Vce)を検出するサージ電圧検出手段(211,212)と、サージ電圧に基づいて、少なくとも一方の素子のゲート抵抗値(Rg)を変更するゲート抵抗値変更手段(213)とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば車両等に搭載される電圧変換装置の技術分野に関する。
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタ等)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する電動車両が注目されている。この電動車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。
これらの電動車両においては、発進時や加速時に蓄電装置から電力を受けて走行のための駆動力を発生するとともに、制動時に回生制動によって発電を行なって蓄電装置に電気エネルギを蓄えるためのモータジェネレータを備える場合がある。このように、走行状態に応じてモータジェネレータを制御するために、電動車両にはインバータが搭載される。
このような車両においては、車両状態によって変動するインバータが利用する電力を安定的に供給するために、蓄電装置とインバータとの間に電圧変換装置(コンバータ)が備えられる場合がある。このコンバータにより、インバータの入力電圧を蓄電装置の出力電圧より高くして、モータの高出力化ができるとともに、同一出力時のモータ電流を低減することで、インバータ及びモータの小型化、低コスト化を図ることができる。
コンバータには、例えばトランジスタ等のスイッチング素子が複数備えられており、これらのスイッチング制御を行うことで、蓄電装置から入力された電圧が変換され出力される。スイッチング素子にはゲート抵抗が設けられており、このゲート抵抗値が高いほど、スイッチング素子の耐圧性能は高くなる。一方で、ゲート抵抗値が高くなるほど、スイッチング素子のスイッチング速度は低下してしまう。
スイッチング速度の低下は、スイッチング制御時の損失を増大させる原因となる。特にスイッチング制御を高周波化する場合、スイッチング制御時の損失は周波数の倍率で増大するため、その影響は無視できない。よって、スイッチング素子のゲート抵抗値は、適切な耐圧性能を実現しつつ、できるだけ速いスイッチング速度を実現できるような値として設計されることが好ましい。
ここで、スイッチング素子や回路には製造ばらつき等によって少なからず特性に違いが生じる。このため、スイッチング素子は、例えばゲート抵抗に多少のマージンを持たせて設計される。即ち、十分な耐圧性能が確保できるよう、ゲート抵抗値が適正値より多少高い値となるよう設計される。この場合、スイッチング素子において必要以上の損失が生じてしまうおそれがある。
このようなスイッチング素子における損失を低減させるための技術として、例えば特許文献1では、スイッチング素子のゲート・エミッタ間の電圧が設定電圧に達するまでの時間に基づいて、スイッチング素子のゲート抵抗値を適宜適切な値へと変更するという技術が提案されている。
コンバータにおけるスイッチング素子には、例えば配線の寄生インダクタンスに起因するサージ電圧が印加される。サージ電圧は、通常スイッチング素子に印加される電圧と比べて高い電圧であるため、スイッチング素子の耐圧性能を適切なものとするためには、このサージ電圧に応じたゲート抵抗値が設定されることが好ましい。
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている技術では、スイッチング素子におけるゲート抵抗値を変更する際に、サージ電圧については何ら考慮されていない。よって、仮にゲート抵抗値が可変であったとしても、サージ電圧に応じたゲート抵抗値を実現することは困難である。即ち、特許文献1に記載されている技術には、サージ電圧に耐え得る十分な耐圧性能を実現できないおそれがあるという技術的問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、スイッチング素子において十分な耐圧性能を実現しつつ、スイッチング速度の低下による損失を効果的に低減することが可能な電圧変換装置を提供することを課題とする。
本発明の電圧変換装置は上記課題を解決するために、互いに直列に接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の制御によって電圧を変換する電圧変換装置であって、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のうち少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧を検出するサージ電圧検出手段と、前記サージ電圧に基づいて、前記少なくとも一方の素子のゲート抵抗値を変更するゲート抵抗値変更手段とを備える。
本発明に係る電圧変換装置は、例えば車両に搭載されるコンバータであり、互いに直列に接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を備えている。第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、或いは電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
なお、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々には、例えばダイオードが並列に接続されており、それぞれ第1アーム及び第2アームを形成している。即ち、第1スイッチング素子は第1アームを形成しており、そのスイッチング動作によって、第1アームにおける駆動のオンオフを切替えることができる。同様に、第2スイッチング素子は第2アームを形成しており、そのスイッチング動作によって、第2アームにおける駆動のオンオフを切替えることができる。
より具体的には、本発明に係る電圧変換装置の動作時には、例えば第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々のオンオフを切替えるゲート信号が夫々生成される。ゲート信号は、例えば第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のデューティ比率に対応するデューティ指令信号、及び第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のスイッチング周波数に対応するキャリア信号が互いに比較されることで生成される。生成されたゲート信号は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に供給され、これにより電圧変換装置の第1アーム及び第2アームの駆動が制御されることになる。
ここで本発明に係る電圧変換装置では特に、その動作時に、サージ電圧検出手段によって、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のうち少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧が検出される。サージ電圧は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に設けられた電圧センサ等によって直接的に検出されてもよいし、他のパラメータから間接的に検出(言い換えれば、推定)されてもよい。
サージ電圧が検出されると、ゲート抵抗値変更手段によって、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のゲート抵抗値(正確には、サージ電圧が検出されたスイッチング素子のゲート抵抗値)がサージ電圧に基づく値へと変更される。ゲート抵抗値変更手段は、例えばデジタルポテンショメータ等として構成されており、検出されたサージ電圧が所定の閾値より低ければゲート抵抗値を小さくし、検出されたサージ電圧が所定の閾値より高ければゲート抵抗値を大きくする。
上述したようにゲート抵抗値を変更すれば、例えばサージ電圧が比較的低い場合には、ゲート抵抗値が小さくされることでスイッチング速度が高速化される。これにより、スイッチング制御時の損失を低減できる。一方で、サージ電圧が比較的高い場合には、ゲート抵抗値が大きくされることで耐圧性能が高められる。これにより、高いサージ電圧に耐え得る耐圧性能を実現できる。
なお、上述したサージ電圧の検出及びゲート抵抗値の変更は、電圧変換装置の動作時において繰り返し実行される。これにより、スイッチング素子に印加されるサージ電圧が変化した場合であっても、適切なゲート抵抗値を実現することができる。
以上説明したように、本発明の電圧変換装置によれば、サージ電圧に応じてスイッチング素子のゲート抵抗値が変更される。従って、スイッチング素子において十分な耐圧性能を実現しつつ、スイッチング速度の低下による損失を効果的に低減することが可能である。
本発明に係る電圧変換装置の一態様では、前記サージ電圧検出手段は、前記少なくとも一方の素子に電気的に接続された配線の寄生インダクタンスに発生するサージ電圧を検出するインダクタンス電圧検出手段と、前記配線の寄生インダクタンスに発生するサージ電圧から前記少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧を推定するサージ電圧推定手段とを有する。
この態様によれば、サージ電圧検出手段によるサージ電圧の検出時には、先ずインダクタンス電圧検出手段によって、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のうち少なくとも一方の素子に電気的に接続された配線の寄生インダクタンスに発生するサージ電圧が検出される。
続いて、検出された寄生インダクタンスに発生するサージ電圧から、スイッチング素子に印加されるサージ電圧が推定される。即ち、本態様では、スイッチング素子に印加されるサージ電圧は直接検出されず、寄生インダクタンスに発生するサージ電圧から間接的に推定される。なお、スイッチング素子のサージ電圧は、例えば電圧変換装置から出力されるシステム電圧に、寄生インダクタンス全てにおけるサージ電圧を加算することで推定できる。
ここで、スイッチング素子に印加されるサージ電圧は、例えば1200V程度の高い電圧であるため、直接検出しようとすると、検出回路の体格が大きくなり、部品数の増加によって製造コストが増大してしまう。具体的には、高電圧を測定可能な電圧に分圧する分圧回路や、絶縁破壊から回路を保護するための絶縁回路が求められるため、電圧値に比例して回路規模、領域面積が増え、コストも増加してしまう。
しかるに本態様では、上述したように、スイッチング素子に印加されるサージ電圧が比較的低い寄生インダクタンスに発生するサージ電圧(例えば200V程度)から推定される。よって、電圧の検出動作は、比較的簡単な構成とされたインダクタンス電圧検出手段で済む。従って、検出回路の大型化及び製造コストの増大を防止できる。
上述したインダクタンス電圧検出手段及びサージ電圧推定手段を備える態様では、前記インダクタンス電圧検出手段は、前記配線の寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧を検出し、前記サージ電圧推定手段は、前記配線の寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧から前記配線の寄生インダクタンスの他部に発生するサージ電圧を推定すると共に、前記配線の寄生インダクタンスの一部及び他部に発生するサージ電圧から前記少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧を推定するように構成してもよい。
この場合、インダクタンス検出手段では、寄生インダクタンスの全部に発生するサージ電圧ではなく、一部に発生するサージ電圧のみが検出される。一方、サージ電圧推定手段では、配線の寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧から配線の寄生インダクタンスの他部(即ち、寄生インダクタンス全体で見た場合の、サージ電圧が検出される一部を除いた部分)に発生するサージ電圧が推定される。
なお、寄生インダクタンスの他部に発生するサージ電圧は、例えば電圧が検出された寄生インダクタンスの一部が全体に占める割合から推定することができる。具体的には、例えば寄生インダクタンスの一部が全体の1/2を占めており、100Vのサージ電圧が検出された場合、寄生インダクタンスの他部も全体の1/2を占めていると考えられるため、同様に100Vのサージ電圧が発生していると推定できる。よって、寄生インダクタンス全体で見れば、合計200Vのサージ電圧が発生していると推定することができる。
寄生インダクタンスの他部に発生するサージ電圧が推定されると、サージ電圧推定手段では更に、配線の寄生インダクタンスの一部及び他部に発生するサージ電圧(即ち、寄生インダクタンス全体に発生するサージ電圧)から、スイッチング素子に印加されるサージ電圧が推定される。本態様では、寄生インダクタンス全体に発生するサージ電圧を検出する場合と比べて、検出されるサージ電圧がより低い電圧となる。よって、検出回路の大型化及び製造コストの増大を効果的に防止できる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。
先ず、第1実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。
図1において、本実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両100は、エンジン40及びモータジェネレータMG1及びMG2を動力源とするハイブリッド車両として構成されている。但し、車両100の構成はこれに限定されるものではなく、蓄電装置からの電力によって走行可能な車両(例えば、電気自動車や燃料電池自動車)等にも適用可能である。
また、本実施形態では、電圧変換装置が車両100に搭載される構成について説明するが、車両以外でも交流電動機により駆動される機器であれば適用が可能である。
車両100は、直流電圧発生部20と、負荷装置45と、平滑コンデンサC2と、ECU30とを備えて構成されている。
直流電圧発生部20は、蓄電装置28と、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
蓄電装置28は、例えばニッケル水素又はリチウムイオン等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置を含んで構成される。
システムリレーSR1は、蓄電装置28の正極端子及び電力線PL1の間に接続され、システムリレーSR2は、蓄電装置28の負極端子及び接地線NLの間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、ECU30からの信号SEにより制御され、蓄電装置28からコンバータ12への電力の供給と遮断とを切替える。
コンバータ12は、本発明の「電圧変換装置」の一例であり、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
スイッチング素子Q1及びQ2は、本発明の「第1スイッチング素子」及び「第2スイッチング素子」の一例であり、電力線PL2及び接地線NLの間に直列に接続される。スイッチング素子Q1及びQ2は、ECU30からのスイッチング制御信号PWCによって制御される。
スイッチング素子Q1及びQ2には、例えばIGBT、電力用MOSトランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置される。
リアクトルL1は、スイッチング素子Q1及びQ2の接続ノードと電力線PL1の間に設けられる。また、平滑コンデンサC2は、電力線PL2及び接地線NLの間に接続される。リアクトルを流れる電流であるリアクトル電流ILは、電流センサ18によって検出され、ECU30へと出力される。
なお、本実施形態に係るコンバータ12には、スイッチング素子Q1及びQ2のゲート抵抗値を変更するための手段が備えられているが、ここでは説明の便宜上、図示を省略している。ゲート抵抗値を変更する手段の構成については、後に詳述する。
負荷装置45は、インバータ23と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン40と、動力分割機構41と、駆動輪42とを含む。また、インバータ23は、モータジェネレータMG1を駆動するためのインバータ14と、モータジェネレータMG2を駆動するためのインバータ22とを含む。なお、図1のようにインバータ及びモータジェネレータを2組備えることは必須ではなく、たとえばインバータ14とモータジェネレータMG1、あるいはインバータ22とモータジェネレータMG2のいずれか1組のみを備える構成としてもよい。
モータジェネレータMG1,MG2は、インバータ23から供給される交流電力を受けて車両推進のための回転駆動力を発生する。また、モータジェネレータMG1,MG2は、外部から回転力を受け、ECU30からの回生トルク指令によって交流電力を発電するとともに回生制動力を車両100に発生する。
また、モータジェネレータMG1,MG2は、動力分割機構41を介してエンジン40にも連結される。そして、エンジン40の発生する駆動力とモータジェネレータMG1,MG2の発生する駆動力とが最適な比率となるように制御される。また、モータジェネレータMG1,MG2のいずれか一方を専ら電動機として機能させ、他方のモータジェネレータを専ら発電機として機能させてもよい。なお、本実施形態においては、モータジェネレータMG1をエンジン40により駆動される発電機として機能させ、モータジェネレータMG2を駆動輪42を駆動する電動機として機能させるものとする。
動力分割機構41には、エンジン40の動力を、駆動輪42とモータジェネレータMG1との両方に振り分けるために、例えば遊星歯車機構(プラネタリギヤ)が使用される。
インバータ14は、コンバータ12から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン40を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン40から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された回生電力をコンバータ12に出力する。このときコンバータ12は、降圧回路として動作するようにECU30によって制御される。
インバータ14は、電力線PL2及び接地線NLの間に並列に設けられ、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17を含んで構成される。各相上下アームは、電力線PL2及び接地線NLの間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続される。スイッチング素子Q3〜Q8は、ECU30からのスイッチング制御信号PWIによって制御される。
例えばモータジェネレータMG1は、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の接続ノードと接続される。
インバータ22は、コンバータ12に対してインバータ14と並列的に接続される。
インバータ22は駆動輪42を駆動するモータジェネレータMG2に対してコンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された回生電力をコンバータ12に出力する。このときコンバータ12は降圧回路として動作するようにECU30によって制御される。インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明については省略する。
コンバータ12は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1及びQ2が相補的かつ交互にオンオフするように制御される。コンバータ12は、昇圧動作時には、蓄電装置28から供給された直流電圧VLを直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)に昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1及び逆並列ダイオードD1を介して、電力線PL2へ供給することにより行われる。
コンバータ12は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2及び逆並列ダイオードD2を介して、接地線NLへ供給することにより行われる。
これらの昇圧動作及び降圧動作における電圧変換比(VH及びVLの比)は、上記スイッチング周期におけるスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、スイッチング素子Q1及びQ2をオン及びオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
なお本実施形態では、昇圧前の直流電圧VLが電圧センサ10によって検出され、昇圧後の直流電圧VHが電圧センサ13によって検出される。検出された直流電圧VL及びVHの各々は、ECU30に出力される構成となっている。
平滑コンデンサC2は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ23へ供給する。
インバータ14は、モータジェネレータMG1のトルク指令値が正(TR1>0)の場合には、平滑コンデンサC2から直流電圧が供給されるとECU30からのスイッチング制御信号PWI1に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するようにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、モータジェネレータMG1のトルク指令値が零の場合(TR1=0)には、スイッチング制御信号PWI1に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクがゼロになるようにモータジェネレータMG1を駆動する。これにより、モータジェネレータMG1は、トルク指令値TR1によって指定されたゼロまたは正のトルクを発生するように駆動される。
更に、車両100の回生制動時には、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1は負に設定される(TR1<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号PWI1に応答したスイッチング動作により、モータジェネレータMG1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を、平滑コンデンサC2を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
インバータ22についても同様に、モータジェネレータMG2のトルク指令値に対応したECU30からのスイッチング制御信号PWI2を受け、スイッチング制御信号PWI2応答したスイッチング動作によって、直流電圧を交流電圧に変換して所定のトルクになるようにモータジェネレータMG2を駆動する。
電流センサ24,25は、モータジェネレータMG1,MG2に流れるモータ電流MCRT1,MCRT2を検出し、その検出したモータ電流をECU30へ出力する。なお、U相,V相,W相の各相の電流の瞬時値の和はゼロであるので、図1に示すように電流センサ24,25は2相分のモータ電流を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)26,27は、モータジェネレータMG1,MG2の回転角θ1,θ2を検出し、その検出した回転角θ1,θ2をECU30へ送出する。ECU30では、回転角θ1,θ2に基づきモータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2及び角速度ω1,ω2(rad/s)を算出できる。なお、回転角センサ26,27については、回転角θ1,θ2をECU30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置しないようにしてもよい。
ECU30は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及び入出力バッファを含み、車両100の各機器を制御する。なお、ECU30の行う制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
代表的な機能として、ECU30は、入力されたトルク指令値TR1,TR2、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VH及び電流センサ24,25からのモータ電流MCRT1,MCRT2、回転角センサ26,27からの回転角θ1,θ2等に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2がトルク指令値TR1,TR2に従ったトルクを出力するように、コンバータ12及びインバータ23の動作を制御する。すなわち、コンバータ12及びインバータ23を上記のように制御するためのスイッチング制御信号PWC,PWI1,PWI2を生成して、コンバータ12及びインバータ23へそれぞれ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、ECU30は、システム電圧VHをフィードバック制御し、システム電圧VHが電圧指令値に一致するようにスイッチング制御信号PWCを生成する。
また、ECU30は、車両100が回生制動モードに入ると、モータジェネレータMG1,MG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号PWI1、PWI2を生成してインバータ23へ出力する。これにより、インバータ23は、モータジェネレータMG1,MG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、ECU30は、車両100が回生制動モードに入ると、インバータ23から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号PWCを生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、モータジェネレータMG1,MG2が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、さらに降圧されて蓄電装置28に供給される。
次に、上述したコンバータ12のより具体的な構成について、図2を参照して説明する。ここに図2は、第1実施形態に係る電圧変換装置の具体的な構成を示す部分構成図である。
図2において、本実施形態に係るコンバータ12のスイッチング素子Q1には、コレクタ及びエミッタ間のサージ電圧を検出するための電圧測定端子211aが設けられている。電圧測定端子211aは、一端がスイッチング素子Q1のコレクタ直近及びエミッタ直近に電気的に接続されており、他端が電圧測定器212に電気的に接続されている。
電圧測定器212は、例えばADコンバータ(Analog to Digital Converter)やコンパレータ等として構成されており、測定した電圧値をスイッチング素子駆動回路213へと出力する。なお、ここでの電圧測定器212は、上述した電圧測定端子211aと共に、本発明の「サージ電圧検出手段」の一例として機能する。
スイッチング素子駆動回路213は、スイッチング素子Q1のゲート抵抗を可変とするデジタルポテンショメータ214を含んで構成されており、電圧測定器212で測定された電圧値に応じてゲート抵抗値を変更する。即ち、ここでのスイッチング素子駆動回路213は、本発明の「ゲート抵抗値変更手段」として機能する。
他方で、スイッチング素子Q2側も、上述したスイッチング素子Q1側と同様の構成とされている。即ち、スイッチング素子Q2には、スイッチング素子Q2に印加されるサージ電圧を検出する電圧測定端子221a及び電圧測定器222、並びにスイッチング素子Q2に印加されるサージ電圧に応じてゲート抵抗値を変更するスイッチング素子駆動回路223がそれぞれ設けられている。
また、スイッチング素子Q1及びQ2に接続される配線には、寄生インダクタンスL2、L3、L4、L5、L6、L7、L8及びL9が存在している。
次に、本実施形態に係るコンバータ12の動作時に実行されるゲート抵抗値の変更処理について、図3を参照して説明する。ここに図3は、第1実施形態に係る電圧変換装置におけるゲート抵抗値の変更処理を示すフローチャートである。
図3において、本実施形態のコンバータ12の動作時には、先ずスイッチング制御信号PWCが生成されることで、スイッチング素子Q1及びQ2がスイッチング制御される(ステップS101)。そして、スイッチング素子Q1及びQ2の制御時には、電圧測定器212及び222によって、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceがそれぞれ検出される(ステップS102)。
スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceが検出されると、スイッチング素子駆動回路213及び223において、サージ電圧Vceと所定の閾値Vsetが互いに比較される(ステップS103)。なお、所定の閾値Vsetは、スイッチング素子Q1及びQ2において検出されたサージ電圧Vceに耐え得るゲート抵抗値を実現するために設定される値であり、装置の特性等に基づいて予め決定され、スイッチング素子駆動回路213及び223が有するメモリ等に記憶されている。
ここで特に、検出されたサージ電圧Vceが所定の閾値Vsetより大きくない場合(ステップS103:NO)、デジタルポテンショメータ214及び224によってゲート抵抗値Rgが小さくされる(ステップS104)。このようにすれば、ゲート抵抗値Rgが小さくされた分、スイッチング素子Q1及びQ2のスイッチング速度が高速化される。これにより、スイッチング制御時の損失を低減できる。なお、ゲート抵抗値Rgが小さくされた分、スイッチング素子Q1及びQ2の耐圧性能は低下してしまうが、サージ電圧Vceが所定の閾値Vset以下であるため、十分な耐圧性能が実現される。
一方、検出されたサージ電圧Vceが所定の閾値Vsetより大きい場合(ステップS103:YES)、デジタルポテンショメータ214及び224によってゲート抵抗値Rgが大きくされる(ステップS105)。このようにすれば、ゲート抵抗値Rgが大きくされた分、スイッチング素子Q1及びQ2の耐圧性能が向上する。よって、サージ電圧Vceが所定の閾値Vsetより大きい場合であっても、十分な耐圧性能が実現される。
なお、上述した一連の処理は、コンバータ12の動作時において繰り返し実行される。これにより、一度の変更ではゲート抵抗値Rgを適切な値にできなかった場合であっても、段階的に最適値へと近づけることができる。また、スイッチング素子に印加されるサージ電圧Vceが変化した場合であっても、適切なゲート抵抗値Rgを実現することができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る電圧変換装置によれば、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceに応じて、スイッチング素子Q1及びQ2のゲート抵抗値Rgが変更される。従って、スイッチング素子Q1及びQ2において十分な耐圧性能を実現しつつ、スイッチング速度の低下による損失を効果的に低減することが可能である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電圧変換装置について説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて一部の構成が異なるのみであり、その他の部分については概ね同様である。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
次に、第2実施形態に係る電圧変換装置について説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて一部の構成が異なるのみであり、その他の部分については概ね同様である。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
先ず、第2実施形態に係るコンバータ12の具体的な構成について、図4を参照して説明する。ここに図4は、第2実施形態に係る電圧変換装置の具体的な構成を示す部分構成図である。
図4において、第2実施形態に係るコンバータ12のスイッチング素子Q1には、寄生インダクタンスL2に発生するサージ電圧を検出するための電圧測定端子211bが設けられている。電圧測定端子211bは、一端が寄生インダクタンスL2の両側に電気的に接続されており、他端が電圧測定器212に電気的に接続されている。電圧測定器212は、測定した寄生インダクタンスL2に発生するサージ電圧をスイッチング素子駆動回路213へと出力する。即ち、ここでの電圧測定端子211b及び電圧測定器212は、本発明の「インダクタンス電圧検出手段」の一例として機能する。
スイッチング素子駆動回路213は、電圧測定器212で測定された寄生インダクタンスL2に発生するサージ電圧からスイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧を推定する。即ち、ここでのスイッチング素子駆動回路213は、本発明の「サージ電圧推定手段」として機能する。続いて、スイッチング素子駆動回路213は、推定されたスイッチング素子Q1のサージ電圧に応じてゲート抵抗値を変更する。
他方で、スイッチング素子Q2側も、上述したスイッチング素子Q1側と同様の構成とされている。即ち、スイッチング素子Q2には、寄生インダクタンスL2に発生するサージ電圧を検出する電圧測定端子221b及び電圧測定器222、並びに寄生インダクタンスL2に発生するサージ電圧からスイッチング素子Q2に印加されるサージ電圧を推定してゲート抵抗値を変更するスイッチング素子駆動回路223がそれぞれ設けられている。
次に、第2実施形態に係るコンバータ12の動作時に実行されるゲート抵抗値の変更処理について、図5を参照して説明する。ここに図5は、第2実施形態に係る電圧変換装置におけるゲート抵抗値の変更処理を示すフローチャートである。
図5において、第2実施形態のコンバータ12の動作時には、先ずスイッチング制御信号PWCが生成されることで、スイッチング素子Q1及びQ2がスイッチング制御される(ステップS201)。そして、スイッチング素子Q1及びQ2の制御時には、電圧測定器212及び222によって、寄生インダクタンスL2に発生するサージ電圧Vsrgが検出される(ステップS202)。
寄生インダクタンスL2に発生するサージ電圧Vsrgが検出されると、スイッチング素子駆動回路213及び223において、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceが推定される(ステップS203)。
以下では、第2実施形態に係るサージ電圧Vceの推定方法について、図6を参照して具体的に説明する。ここに図6は、第2実施形態に係るサージ電圧の推定方法を示す概念図である。なお、図6では、説明の便宜上、スイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧に影響を与える部材のみを図示しており、その他の部材は適宜図示を省略している。このため、図4とは一部構成が異なる部分がある。
図6において、スイッチング素子Q1のエミッタ側の寄生インダクタンスLaに発生するサージ電圧Vsrg1が、電圧測定器212によって200Vであると検出されたとする。ここで、電流傾きはエミッタ側及びコレクタ側で共通であるため、エミッタ側の寄生インダクタンスLaに発生するサージ電圧Vsrg1が検出されれば、L値を用いてコレクタ側の寄生インダクタンスLbに発生するサージ電圧Vsrg2を算出できる。ここでは、寄生インダクタンスLbに発生するサージ電圧Vsrg2が200Vと算出されたものとする。
スイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧Vceは、スイッチング素子Q1に電気的に接続される配線の全ての寄生インダクタンスで発生するサージ電圧及び出力されるシステム電圧VHの和として算出できる。よって、ここでのスイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧Vceは、200+200+650=1050Vと推定できる。なお、スイッチング素子Q2側においても同様に、寄生インダクタンスに発生するサージ電圧を用いてスイッチング素子Q2に印加されるサージ電圧Vceを推定できる。
図5に戻り、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceが推定されると、スイッチング素子駆動回路213及び223において、サージ電圧Vceと所定の閾値Vsetが互いに比較される(ステップS204)。
ここで特に、検出されたサージ電圧Vceが所定の閾値Vsetより大きくない場合(ステップS204:NO)、デジタルポテンショメータ214及び224によってゲート抵抗値Rgが小さくされる(ステップS205)。一方、検出されたサージ電圧Vceが所定の閾値Vsetより大きい場合(ステップS204:YES)、デジタルポテンショメータ214及び224によってゲート抵抗値Rgが大きくされる(ステップS206)。
スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧は、例えば1200V程度の高い電圧であるため、直接検出しようとすると、検出回路の体格が大きくなり、部品数の増加によって製造コストが増大してしまう。具体的には、高電圧を測定可能な電圧に分圧する分圧回路や、絶縁破壊から回路を保護するための絶縁回路が求められるため、電圧値に比例して回路規模、領域面積が増え、コストも増加してしまう。
これに対し第2実施形態では、上述したように、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧が比較的低い寄生インダクタンスに発生するサージ電圧(例えば200V程度)から推定される。よって、検出回路の大型化及び製造コストの増大を防止できる。
なお、ここでは寄生インダクタンスに発生するサージ電圧Vsrgから推定されるスイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceに基づいてゲート抵抗値Rgを変更する実施例について説明したが、所定の閾値VsetをVsrgに対応するものとして設定すれば、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceを推定する処理を行うことなく、寄生インダクタンスに発生するサージ電圧Vsrgに基づいてゲート抵抗値Rgを変更することもできる。
以上説明したように、第2実施形態に係る電圧変換装置によれば、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceを直接検出せずに済むため、より好適にスイッチング素子Q1及びQ2のゲート抵抗値Rgを変更することが可能である。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る電圧変換装置について説明する。なお、第3実施形態は、上述した第1実施形態及び第2実施形態と比べて一部の構成が異なるのみであり、その他の部分については概ね同様である。このため、以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
次に、第3実施形態に係る電圧変換装置について説明する。なお、第3実施形態は、上述した第1実施形態及び第2実施形態と比べて一部の構成が異なるのみであり、その他の部分については概ね同様である。このため、以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
先ず、第3実施形態に係るコンバータ12の具体的な構成について、図7を参照して説明する。ここに図7は、第3実施形態に係る電圧変換装置の具体的な構成を示す部分構成図である。
図7において、第3実施形態に係るコンバータ12のスイッチング素子Q1には、寄生インダクタンスL2の一部に発生するサージ電圧を検出するための電圧測定端子211cが設けられている。電圧測定端子211cは、一端が寄生インダクタンスL2の端及び中心に電気的に接続されており、他端が電圧測定器212に電気的に接続されている。電圧測定器212は、測定した寄生インダクタンスL2の一部に発生するサージ電圧をスイッチング素子駆動回路213へと出力する。
スイッチング素子駆動回路213は、電圧測定器212で測定された寄生インダクタンスL2の一部に発生するサージ電圧から寄生インダクタンスL2の全部に発生するサージ電圧を推定する。そして、スイッチング素子駆動回路213は、推定した寄生インダクタンスL2の全部に発生するサージ電圧からスイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧を推定する。最後に、スイッチング素子駆動回路213は、推定されたスイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧に応じてゲート抵抗値を変更する。
他方で、スイッチング素子Q2側も、上述したスイッチング素子Q1側と同様の構成とされている。即ち、スイッチング素子Q2には、寄生インダクタンスL2の一部に発生するサージ電圧を検出する電圧測定端子221c及び電圧測定器222、並びに寄生インダクタンスL2の一部に発生するサージ電圧からスイッチング素子Q2に印加されるサージ電圧を推定してゲート抵抗値を変更するスイッチング素子駆動回路223がそれぞれ設けられている。
次に、第3実施形態に係るコンバータ12の動作時に実行されるゲート抵抗値の変更処理について、図8を参照して説明する。ここに図8は、第3実施形態に係る電圧変換装置におけるゲート抵抗値の変更処理を示すフローチャートである。
図8において、第3実施形態のコンバータ12の動作時には、先ずスイッチング制御信号PWCが生成されることで、スイッチング素子Q1及びQ2がスイッチング制御される(ステップS301)。そして、スイッチング素子Q1及びQ2の制御時には、電圧測定器212及び222によって、寄生インダクタンスL2の一部に発生するサージ電圧Vsrgpが検出される(ステップS302)。
寄生インダクタンスL2の一部に発生するサージ電圧Vsrgpが検出されると、スイッチング素子駆動回路213及び223において、寄生インダクタンスL2の全部に発生するサージ電圧Vsrgが推定される(ステップS303)。
寄生インダクタンスL2の全部に発生するサージ電圧Vsrgが推定されると、スイッチング素子駆動回路213及び223において、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceが推定される(ステップS304)。
以下では、第3実施形態に係るサージ電圧Vceの推定方法について、図9を参照して具体的に説明する。ここに図9は、第3実施形態に係るサージ電圧の推定方法を示す概念図である。なお、図9では、説明の便宜上、スイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧に影響を与える部材のみを図示しており、その他の部材は適宜図示を省略している。このため、図7とは一部構成が異なる部分がある。
図9において、スイッチング素子Q1のエミッタ側の寄生インダクタンスLaの一部に発生するサージ電圧Vsrgpが、電圧測定器212によって100Vであると検出されたとする。ここで、サージ電圧Vsrgpが検出された寄生インダクタンスLaの一部が、寄生インダクタンスLaの1/2を占めているとすると、寄生インダクタンスLaの一部を除く他部も寄生インダクタンスLaの1/2を占めていると考えられるため、寄生インダクタンスLaの他部に発生するサージ電圧Vsrgqは100Vと推定できる。ちなみに、寄生インダクタンスLaの一部が、寄生インダクタンスLaの1/3を占めているとすると、寄生インダクタンスLaの他部に発生するサージ電圧Vsrgqは200Vと推定できる。
寄生インダクタンスLaの全体に発生するサージ電圧Vsrg1は、寄生インダクタンスLaの一部に発生するサージ電圧寄生Vsrgpと、インダクタンスLaの他部に発生するサージ電圧Vsrgqとの和として算出できる。よって、寄生インダクタンスLaの全体に発生するサージ電圧Vsrg1は、100+100=200Vと推定できる。
電流傾きはエミッタ側及びコレクタ側で共通であるため、エミッタ側の寄生インダクタンスLaに発生するサージ電圧Vsrg1が検出されれば、L値を用いてコレクタ側の寄生インダクタンスLbに発生するサージ電圧Vsrg2を算出できる。ここでは、寄生インダクタンスLbに発生するサージ電圧Vsrg2が200Vと算出されたものとする。
スイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧Vceは、スイッチング素子Q1に電気的に接続される配線の全ての寄生インダクタンスに発生するサージ電圧及び出力されるシステム電圧VHの和として算出できる。よって、ここでのスイッチング素子Q1に印加されるサージ電圧Vceは、200+200+650=1050Vと推定できる。なお、スイッチング素子Q2側においても同様に、寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧を用いてスイッチング素子Q2に印加されるサージ電圧Vceを推定できる。
図8に戻り、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceが推定されると、スイッチング素子駆動回路213及び223において、サージ電圧Vceと所定の閾値Vsetが互いに比較される(ステップS305)。
ここで特に、検出されたサージ電圧Vceが所定の閾値Vsetより大きくない場合(ステップS305:NO)、デジタルポテンショメータ214及び224によってゲート抵抗値Rgが小さくされる(ステップS306)。一方、検出されたサージ電圧Vceが所定の閾値Vsetより大きい場合(ステップS305:YES)、デジタルポテンショメータ214及び224によってゲート抵抗値Rgが大きくされる(ステップS307)。
第3実施形態では、寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧を検出するため、上述した第2実施形態のように寄生インダクタンス全体に発生するサージ電圧を検出する場合と比べて、検出されるサージ電圧がより低い電圧となる。よって、検出される電圧が高くなることに伴う検出回路の大型化及び製造コストの増大を効果的に防止できる。
なお、ここでは寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧Vsrgpから推定されるスイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceに基づいてゲート抵抗値Rgを変更する実施例について説明したが、所定の閾値VsetをVsrgpに対応するものとして設定すれば、スイッチング素子Q1及びQ2に印加されるサージ電圧Vceを推定する処理を行うことなく、寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧Vsrgpに基づいてゲート抵抗値Rgを変更することもできる。
以上説明したように、第3実施形態に係る電圧変換装置によれば、より好適にスイッチング素子Q1及びQ2のゲート抵抗値Rgを変更することが可能である。
なお、上述した各実施形態では、スイッチング素子Q1及びQ2における処理について併せて説明したが、ゲート抵抗値Rgを変更するための一連の処理は、スイッチング素子Q1側とQ2側とで互いに独立して実行されてよい。また、スイッチング素子Q1及びQ2の両方にゲート抵抗値Rgを変更する手段が備えられる場合について説明したが、スイッチング素子Q1及びQ2のいずれかにのみゲート抵抗値Rgを変更する手段が備えられる場合であっても、上述した効果は相応に発揮される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電圧変換装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10,13…電圧センサ、12…コンバータ、18…電流センサ、20…直流電圧発生部、22,23…インバータ、28…蓄電装置、30…ECU、40…エンジン、41…動力分割機構、42…駆動輪、45…負荷装置、100…車両、211a,221a,211b,221b,211c,221c…電圧測定端子、212,222…電圧測定器、213,223…スイッチング素子駆動回路、214,224…デジタルポテンショメータ、スイッチングC2…平滑コンデンサ、D1,D2…ダイオード、IL…リアクトル電流、L1…リアクトル、L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,La,Lb…寄生インダクタンス、MG1,MG2…モータジェネレータ、PWC…ゲート信号、Q1,Q2…スイッチング素子、Rg…ゲート抵抗値、SR1,SR2…システムリレー。
Claims (3)
- 互いに直列に接続された第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の制御によって電圧を変換する電圧変換装置であって、
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子のうち少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧を検出するサージ電圧検出手段と、
前記サージ電圧に基づいて、前記少なくとも一方の素子のゲート抵抗値を変更するゲート抵抗値変更手段と
を備えることを特徴とする電圧変換装置。 - 前記サージ電圧検出手段は、
前記少なくとも一方の素子に電気的に接続された配線の寄生インダクタンスに発生するサージ電圧を検出するインダクタンス電圧検出手段と、
前記配線の寄生インダクタンスに発生するサージ電圧から前記少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧を推定するサージ電圧推定手段と
を有することを特徴とする請求項1に記載の電圧変換装置。 - 前記インダクタンス電圧検出手段は、前記配線の寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧を検出し、
前記サージ電圧推定手段は、前記配線の寄生インダクタンスの一部に発生するサージ電圧から前記配線の寄生インダクタンスの他部に発生するサージ電圧を推定すると共に、前記配線の寄生インダクタンスの一部及び他部に発生するサージ電圧から前記少なくとも一方の素子に印加されるサージ電圧を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の電圧変換装置。
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