JP2013204147A - 鉄及び銅の腐食を抑制するための薬剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉄防食剤と、銅防食剤と、ケイ酸及びケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ成分と、を含む、水系流路内の水による鉄及び銅の腐食を抑制するための薬剤。上記薬剤において、前記鉄防食剤の重量:前記銅防食剤の重量:前記シリカ成分のSiO2換算重量の比が10〜40:1〜3:50以上であることが好ましい。
【選択図】図3
Description
本発明の薬剤は、水系流路内の水による鉄及び銅の腐食を抑制するための薬剤であって、鉄防食剤と、銅防食剤と、ケイ酸及びケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ成分と、を含む。
水系流路としては、例えば、循環水系流路が挙げられる。水系流路は、例えば、管路を含み、更に開放式冷却塔及び密閉式冷却塔等の冷却塔、及び熱交換器等を含んでいてもよい。管路、冷却塔、及び熱交換器を含む水系流路の一例としては、循環水を冷却する冷却塔と、熱交換器と、冷却された循環水を冷却塔から熱交換器へ供給する循環水供給管路と、循環水を熱交換器から冷却塔へ回収する循環水回収管路とを備える水系流路が挙げられる。
本発明で用いられる鉄防食剤としては、特に限定されず、公知の鉄防食剤を用いることができる。鉄防食剤としては、例えば、ホスホン酸系化合物、(メタ)アクリル酸系重合体、及び重合リン酸系化合物が挙げられる。鉄防食剤は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる銅防食剤としては、特に限定されず、公知の銅防食剤を用いることができる。銅防食剤としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール等のアゾール系化合物が挙げられる。銅防食剤は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるシリカ成分は、ケイ酸及びケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である。ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリ金属塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。ケイ酸塩は、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。シリカ成分は、粉末の状態で使用しても、水溶液の状態で使用してもよい。
本発明の腐食抑制剤は、上記の成分に加えて、必要に応じて、マレイン酸重合体等の硬度分散剤、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のpH調整剤、リチウム塩等のトレーサ(水系流路内の水に添加された本発明の腐食抑制剤の濃度を測定するための成分。トレーサの濃度を測定することで、間接的に上記腐食抑制剤の濃度を測定する)、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸等の殺菌剤、水等の溶媒等を含んでもよい。
本発明の腐食抑制剤は、上記の成分を混合することで製造することができる。また、シリカ成分を含む第1パートとシリカ成分以外の成分を含む第2パートとからなる2パート型の薬剤として製造してもよい。本発明の腐食抑制剤において、鉄防食剤の重量:銅防食剤の重量:シリカ成分のSiO2換算重量の比は、10〜40:1〜3:50以上であることが好ましく、15〜35:1.5〜2.5:50以上であることがより好ましい。これらの成分の含有量の重量比が上記の範囲内であると、鉄防食剤及び銅防食剤の使用量を抑えつつ、高い腐食抑制効果を得ることが容易である。
本発明の腐食抑制剤は、水系流路内の水による鉄及び銅の腐食を抑制するために用いられる。具体的には、水系流路の少なくとも一部を構成する鉄及び銅の腐食を抑制するために用いられる。この場合、上記腐食抑制剤は、水系流路内の水に添加される。
上記腐食抑制剤は、水系流路内の水に連続的に添加してもよいし、断続的に添加してもよい。
本発明の腐食抑制剤による腐食抑制効果を評価するために、JIS K 0100−1990(工業用水腐食性試験方法)に規定の回転法に準じて腐食試験を行った。即ち、鉄試験片2枚と銅試験片2枚とを試験片保持器に交互に取付け、1Lビーカーに満たした試験水中に浸漬した。ビーカーを恒温槽中に入れて、試験水の温度を37℃に保った。試験片保持器をモーター回転軸に取り付け、上記試験片を150rpmで回転させた。6日間、マイクロチューブポンプを用いて流速50mL/時で連続的に試験水を上記ビーカーに補給した。試験前後の試験片の重量減少量より腐食量(mdd)を下記式:
腐食量(mdd)=X/(Y×Z)
(式中、Xは、試験前後の試験片の重量減少量(mg)を、Yは、試験片の表面積(dm2)を、Zは、試験日数(日)を示す)
により計算した。鉄については、腐食量(mdd)が200以下であれば、腐食抑制効果が良好であると判断し、銅については、腐食量(mdd)が1.5以下であれば、腐食抑制効果が良好であると判断した。
鉄試験片(SS400、寸法:1.6mm×30mm×30mm、全面#400研磨、主面中心に4mmφの貫通孔)
銅試験片(C1220P、寸法:1.6mm×30mm×30mm、全面#400研磨、主面中心に4mmφの貫通孔)
また、試験水の詳細は、各実施例及び比較例中で説明する。
下記の水質を有する軟水1に、表1に示す添加量で、ケイ酸及び表2に示す防食剤混合物を添加して、試験水を調製した。この試験水を用いて腐食試験を行った。結果を表1並びに図1及び2に示す。
軟水1の水質:塩化物イオン200mg/L、硫酸イオン200mg/L、酸消費量(pH4.8)300mgCaCO3/L、ケイ酸50mg/L(SiO2換算)、硬度0mgCaCO3/L
鉄防食剤1:ホスホノエタン−1,2−ジカルボン酸四ナトリウムとホスホノブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸六ナトリウムとの混合物
鉄防食剤2:2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸・アクリル酸共重合物
銅防食剤:1,2,3−ベンゾトリアゾール
pH調整剤1:48重量%水酸化カリウム
pH調整剤2:25重量%水酸化ナトリウム
トレーサ:リチウム塩
下記の水質を有する軟水2に、表3に示す添加量で、ケイ酸及び表2に示す防食剤混合物を添加して、試験水を調製した。この試験水を用いて腐食試験を行った。結果を表3及び図3に示す。
軟水2の水質:塩化物イオン140mg/L、硫酸イオン140mg/L、酸消費量(pH4.8)120mgCaCO3/L、ケイ酸50mg/L(SiO2換算)、硬度0mgCaCO3/L
(1)鉄の腐食試験について
比較例1〜3の結果(表1、図1(a))から分かるように、試験水中のケイ酸濃度が50mg/Lという低い値である場合、鉄防食剤を合計で24.8mg/Lの濃度となるように添加しても、鉄防食剤を全く添加しなかった場合にほぼ等しい鉄腐食量を示した。鉄防食剤を合計で49.6mg/Lの濃度となるように添加して初めて鉄腐食量は49mddまで減少した。
比較例1〜3の結果(表1、図1(b))から分かるように、試験水中のケイ酸濃度が50mg/Lである場合、銅防食剤を2mg/L以上の濃度となるように添加することで、十分な腐食抑制効果が得られた。
(1)及び(2)より、50mg/L(SiO2換算)のケイ酸を含む軟水に対し、24.8mg/Lの鉄防食剤、2mg/Lの銅防食剤、及び50又は100mg/L(SiO2換算)のシリカ成分を添加することにより、十分な腐食抑制効果が得られることが分かった。
Claims (2)
- 鉄防食剤と、銅防食剤と、ケイ酸及びケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のシリカ成分と、を含む、水系流路内の水による鉄及び銅の腐食を抑制するための薬剤。
- 前記薬剤において、前記鉄防食剤の重量:前記銅防食剤の重量:前記シリカ成分のSiO2換算重量の比が10〜40:1〜3:50以上である請求項1に記載の薬剤。
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