JP2013203650A - シリカ粒子及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】体積平均粒子直径が1nmから100nmであって、表面がシランカップリング剤及びオルガノシラザンで処理されており、そのシランカップリング剤の熱分解温度未満で熱処理されており、350℃までにおける熱分解が1.5%以下である、イソプロパノール、PMG、MEK、酢酸エチル、及びトルエンからなる群より選択される1種又は2種以上の分散媒に全体の質量を基準として10質量%分散させた分散液100mLを(ラボランスクリュー管瓶 No.8)に入れ、超音波(KOWA GIKEN社製 MUC−HS−206)を5分間かけた後、JISP3801規格の5種Cのろ紙で吸引ろ過したときに95%以上が通過するシリカ粒子材料と、前記シリカ粒子材料を分散する熱可塑性樹脂とを有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
(1)本発明は以上の知見に基づき完成したものであり、体積平均粒子直径が1nmから100nmの原料シリカに対して、表面がシランカップリング剤及びオルガノシラザンで処理されており、且つ前記シランカップリング剤の分解温度未満で加熱処理がなされており、室温から350℃までを5℃/分の昇温速度で加熱したときの質量減少が1.5質量%以下で、イソプロパノール、PMG、MEK、酢酸エチル、及びトルエンからなる群より選択される1種又は2種以上の分散媒に全体の質量を基準として10質量%分散させた分散液100mLに対して超音波を5分間照射した後、JISP3801規格の5種Cのろ紙で吸引ろ過したときに95%以上が通過するシリカ粒子材料と、
前記シリカ粒子材料を分散する熱可塑性樹脂と、
を有することを特徴とする。
(2)前記オルガノシラザンによる処理の少なくとも一部は、前記シランカップリング剤による処理後であって、前記原料シリカが乾燥状態であり且つ前記原料シリカ表面に残存するシラノール基よりも前記オルガノシラザンの量が過剰になるように処理が行われる。
(3)前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ乳酸、及びポリイミドからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂材料である。
(4)前記シリカ粒子材料は、式(1):−OSiX1X2X3で表される官能基及び式(2):−OSiY1Y2Y3で表される官能基と、両官能基が表面に結合するシリカ粒子とからなる。上記式(1)、(2)中;X1はフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X2、X3は−OSiR3及び−OSiY4Y5Y6よりそれぞれ独立して選択され;Y1はRであり;Y2、Y3はR及び−OSiY4Y5Y6よりそれぞれ独立して選択される。Y4はRであり;Y5及びY6は、R及び−OSiR3からそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X2、X3、Y2、Y3、Y5、及びY6の何れかは、近接する官能基のX2、X3、Y2、Y3、Y5、及びY6の何れかと−O−にて結合しても良い。
(8)前記原料シリカ材料は、水を含む液状媒体中でシランカップリング剤及びオルガノシラザンによって原料シリカ粒子を表面処理する表面処理工程をもつ表面処理方法により処理され、
前記シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
前記シランカップリング剤と前記オルガノシラザンとのモル比は、前記シランカップリング剤:前記オルガノシラザン=1:2〜1:10である。
(5)前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である。
(6)前記X1は前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm2)あたり0.5〜2.5個である。
(7)前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm2)あたり1〜10個である。
(9)前記表面処理工程は、前記原料シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、前記原料シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、前記第2の処理工程は、前記第1の処理工程後に行い、後半では前記原料シリカの表面が乾燥している。
(10)前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ。
(11)前記表面処理工程後に、前記シリカ粒子材料を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る固形化工程を備える。
(12)前記シランカップリング剤は、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、エポキシトリメトキシシラン、メタクリルトリメトキシシラン、アミノトリメトキシシラン、ウレイドトリメトキシシラン、メルカプトトリメトキシシラン、イソシアネート、又はアクリルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも一種である。
(13)前記オルガノシラザンは、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザンから選ばれる少なくとも一種である。
シリカ粒子材料は体積平均粒径が1nm〜100nmのシリカからなる粒子である原料シリカを処理して得られる材料である。望ましくは2nm以上であり、特に望ましくは5nm以上であり、10nm以上が更に望ましい。また、80nm以下が望ましく、50nm以下が更に望ましい。なお、原料シリカに対して表面処理を行った粒子であるシリカ粒子材料については原料シリカよりも粒径が大きくはなるが、原料シリカと同様の粒径になることが望ましい。そしてその表面にはシランカップリング剤とオルガノシラザンとで処理されている。そして、採用したシランカップリング剤の分解温度未満の温度で加熱処理を行う。分解温度未満での加熱処理がなされていることで、得られた熱可塑性樹脂組成物について、その温度にまで加熱しても、加熱生成物(例えば脱水反応の進行による水分の生成)の発生が抑制でき、その加熱生成物による熱可塑性樹脂組成物の劣化が抑制できる。加熱時間としては特に限定されない。加熱を行うことによりシリカ粒子材料から何らかの加熱生成物が僅かであっても生成除去できるからである。望ましい加熱時間としてはその加熱温度(200℃)にて加熱を行っても質量変化が生じないことを確認(確認方法としては、2時間加熱を行っても1.5質量%以上の質量変化が認められない場合が例示できる)使用可能なシランカップリング剤としては分解温度が300℃以上のフェニルシランやスチリルシランといったベンゼン環やナフタレンなど芳香族基のシランカップリング剤や、環状もしくは直鎖状のシロキサン系の官能基のシランカップリング剤などが例示できる。
シリカ粒子材料は、式(1):−OSiX1X2X3で表される官能基と、式(2):−OSiY1Y2Y3で表される官能基とが表面に結合した材料である。特に表面にシラノール基が実質的に存在しない(1nm2当たり0.5個以下)ことが望ましい。以下、式(1)で表される官能基を第1の官能基と呼び、式(2)で表される官能基を第2の官能基と呼ぶ。
その1に示すシリカ粒子材料に代えて、以下に示す表面処理を行ったシリカ粒子材料を採用することもできる。なお、以下の方法によりシリカ粒子材料(その1)を得ることもできるため、その1とその2とは排他的なものではない。
熱可塑性樹脂は加熱により溶融乃至軟化する樹脂材料であれば特に限定しない。透明性が求められる用途に本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を用いる場合には結晶性が低い材料を採用することが望ましい。熱可塑性樹脂は何らか反応により架橋反応などを進行させることが可能で、その反応以後に熱可塑性を喪失する材料であっても良い。例えば、化学構造中に架橋可能な官能基を有し、熱可塑性樹脂が溶融する条件以外の条件(溶融温度以上の加熱、高エネルギー線(光、放射線)の照射など)によりその官能基が反応するものが挙げられる。
(本発明の熱可塑性樹脂組成物が含有するシリカ粒子材料について)
・試験例1
(試料の調製)
シリカ粒子として、コロイダルシリカの一種であるスノーテックスOS(日産化学工業株式会社製、平均粒径10nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を準備した。
アルコールとして、イソプロパノールを準備した。
シランカップリング剤として、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−103)を準備した。
オルガノシラザンとして、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、信越化学工業株式会社製、HDMS−1)を準備した。
(1)準備工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール60質量部を加え、室温(約25℃)で混合することで、シリカ粒子が液状媒体に分散されてなる分散液を得た。
この分散液にフェニルトリメトキシシラン1.8質量部を加え、40℃で72時間混合した。この工程により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときフェニルトリメトキシシランは、必要な量の水酸基(一部)が表面処理されず残存するように計算して加えた。
次いで、この混合物に、ヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加え、40℃で72時間放置した。この工程によって、シリカ粒子が表面処理され、シリカ粒子材料が得られた。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水及びイソプロパノールの中で安定に存在できなくなり、凝集・沈殿した。なお、フェニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液を5質量部を加え、シリカ粒子材料を沈殿させた。沈殿物をろ紙(アドバンテック社製 5A)で濾過した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄した後に2時間真空乾燥して、表面を乾燥状態にした。
乾燥状態の粒子にヘキサメチルジシラザンを混合させた。ヘキサメチルジシラザンの量は粒子の表面に存在するシラノール基に対して過剰量とした。混合後、200℃で2時間加熱を行った。
得られたシリカ粒子材料についてTG−DTAを測定した。測定はリガク社製、サーモプラス TG8120により行った。測定条件は昇温速度5℃/分で25℃から800℃まで行った。結果を図1に示す。350℃における質量減少は1.4%であった。
(試料の調製)
試験例1における第3工程を行わずにシリカ粒子材料を得た。シリカ粒子材料の表面には処理前には2.5個/nm2のシラノール基が存在し、そのシラノール基の74%がこれらの処理によって消費された。
得られたシリカ粒子材料についてTG−DTAを試験例1と同様に測定した。結果を図2に示す。350℃における質量減少は2.7%であった。
最後の加熱(200℃で2時間)を行わない以外は試験例1におけるものと同様の操作を行った。
得られたシリカ粒子材料についてTG−DTAを試験例1と同様に測定した。350℃における質量減少は1.7%であった。
シランカップリング剤としてフェニルトリメトキシシランに代えてメタクリルシランを用いた以外は試験例1におけるものと同様の操作を行った。
得られたシリカ粒子材料についてTG−DTAを試験例1と同様に測定した。300度付近にメタクリル基の熱分解に伴う発熱ピークと重量減少がみられ、350℃における質量減少は4%以上であった。
試験例1〜4のシリカ粒子材料について、液状媒体中における凝集性を測定した。
詳しくは、試験例1〜4については、シリカ粒子材料10gとメチルエチルケトン40gとの混合物を攪拌し、シリカ粒子材料の分散試料を得た。
得られた各分散試料に含まれるシリカ粒子材料の粒度分布を、粗粒分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック)により測定した。
試験例1、3、4のシリカ粒子材料は、凝集のない一次粒子の状態で分散していることが分かった。これは、肉眼でも確認できた。試験例1ではシリカ粒子材料の粒度分布(ピーク)が、粒子径10nm程度の位置に一つのみ現れていることから裏付けられる。シリカ粒子材料が二次粒子であれば(すなわち、少しでも凝集があれば)、粒子径100nm以上の位置に少なくとも一つのピークが現れる。このため、試験例1のシリカ粒子材料は、一旦固形化したにもかかわらず、その殆どが一次粒子であり、殆ど凝集していないことがわかる。これに対して、試験例2のシリカ粒子材料は、攪拌するだけでは分散せず、攪拌後に発振周波数39kHz、出力500Wで1時間以上超音波照射しても、肉眼で凝集が確認でき、一次粒子にまで分散しなかった。
以下に本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
熱可塑性樹脂としてのポリアミドイミド樹脂(トーロン ソルベイアドバンスドポリマー)を60質量部、試験例1のシリカ粒子材料を40質量部用い、パーカーコーポレーション製の同方向回転二軸押出機(HK−25D(41D))にて、樹脂温度250℃にて混練し、本実施例の試験試料とした。
試験例1のシリカ粒子材料に代えて、試験例2のシリカ粒子材料(試験例B)、試験例3のシリカ粒子材料(試験例C)、試験例4のシリカ粒子材料(試験例D)を採用した以外は試験例Aと同様の方法で混練し、本試験例の試験試料とした。
試験例A〜Dの試験試料について検討を行った結果、試験例Aの試料は、試験例B〜Dの試料に比べて着色の程度が少なく(殆どなく)劣化が抑制されていることが分かった。また、手で触ったり曲げたりした感じでも試験例Aの試料では試験例B〜Dの試料よりも触感が良く且つ強度が高いことが分かった。具体的な強度としては、テストピースを作成し、強度(引っ張り強度)を測定したところ、試験例Aの試料の強度を基準として50%以下の強度になっていた。従って、重量減少が1.5%以下であることで高温に曝しても強度を維持できることが分かった。
(試験例5)
(材料)
シリカ粒子として、コロイダルシリカの一種であるスノーテックスOS(日産化学工業株式会社製、平均粒径10nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を準備した。
アルコールとして、イソプロパノールを準備した。
シランカップリング剤として、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−103)を準備した。
オルガノシラザンとして、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、信越化学工業株式会社製、HDMS−1)を準備した。
(1)準備工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール60質量部を加え、室温(約25℃)で混合することで、シリカ粒子が液状媒体に分散されてなる分散液を得た。
この分散液にフェニルトリメトキシシラン1.8質量部を加え、40℃で72時間混合した。この工程により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときフェニルトリメトキシシランは、必要な量の水酸基(一部)が表面処理されず残存するように計算して加えた。
次いで、この混合物に、ヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加え、40℃で72時間放置した。この工程によって、シリカ粒子が表面処理され、シリカ粒子材料が得られた。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水及びイソプロパノールの中で安定に存在できなくなり、凝集・沈殿した。なお、フェニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液を5質量部を加え、シリカ粒子材料を沈殿させた。沈殿物をろ紙(アドバンテック社製 5A)で濾過した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄した後に100℃で真空乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得た。
試験例6のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランにかえてビニルトリメトキシシランを用い、ビニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が2:5であったこと以外は、試験例5のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、ビニルトリメトキシシラン1.36質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加えた。
試験例7のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランにかえてビニルトリメトキシシランを用い、ビニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:5であったこと以外は、試験例5のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、ビニルトリメトキシシラン1.36質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン7.41質量部を加えた。
試験例8のシリカ粒子の表面処理方法においては、シリカ粒子として、コロイダルシリカの一種であるスノーテックスOL(日産化学工業株式会社製、平均粒径50nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を用いた。また、第1工程においてシランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)0.48質量部を加えた。さらに、このシランカップリング剤に加えて重合禁止剤(3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、関東化学株式会社製)を0.01質量部加えた。また、第2工程において、ヘキサメチルジシラザン0.78質量部を加えた。さらに、固形化工程においては、表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液2.6質量部を加えてシリカ粒子材料を沈殿させた。これ以外は、試験例8のシリカ粒子の表面処理方法は、試験例5のシリカ粒子の表面処理方法と同じであった。なお、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
試験例9のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:1であったこと以外は、試験例5のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、フェニルトリメトキシシラン4.5質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加えた。
試験例10のシリカ粒子の表面処理方法は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が2:1であったこと以外は、試験例8のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.48質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン0.16質量部を加えた。
試験例11のシリカ粒子の表面処理方法は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:1であったこと以外は、試験例8のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.48質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン0.31質量部を加えた。
試験例5〜11のシリカ粒子材料について、液状媒体中における凝集性を測定した。
試験例5〜11のシリカ粒子材料を準備し、この試料の赤外線吸収スペクトルを、サーモニコレット社製 FT−IR Avatorを用いた粉体拡散反射法で測定した。このときの測定条件は、分解能4、スキャン回数64であった。結果、試験例5〜11のシリカ粒子材料の赤外吸収スペクトルは、何れも、2962cm−1にC-H伸縮振動の極大吸収(ピーク)を持つ。このため、これらのシリカ粒子材料は、アルキル基を持つこと(すなわち、アルキル基を持つオルガノシラザンで表面処理されていること)がわかる。なお、試験例9〜11のシリカ粒子材料のピーク高さは、試験例5〜8のシリカ粒子材料のピーク高さに比べて低かった。この結果は、試験例9〜11のシリカ粒子材料においては、充分な量のアルキル基を持たないことを示唆している。詳しくは、試験例5〜8のシリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルにおいては、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが3倍以上であった。試験例9〜11のシリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルにおいては、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが2倍以下であった。上述したように、試験例5〜8のシリカ粒子材料は凝集し難く、試験例9〜11のシリカ粒子材料は凝集し易かった。これらの結果から、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが3倍以上であるシリカ粒子材料は凝集し難いといえる。
試験例5〜11のシリカ粒子材料について、シリカ粒子材料の質量あたりに存在する炭素の量(質量%)を測定した。測定には、有機炭素測定装置(HORIBA社製、EMIA−320V)を用いた。
試験例5〜11のシリカ粒子材料について、シリカ粒子材料の単位表面積(nm2)あたりのX1の存在数を測定した。試験例5及び試験例9のシリカ粒子材料におけるX1はフェニル基であり、試験例6、7のシリカ粒子材料におけるX1はビニル基であり、試験例8、10、11のシリカ粒子材料におけるX1はメタクリロキシ基であった。シリカ粒子材料の表面積(比表面積)は窒素を用いたBET法で測定した。X1の存在数はシリカ粒子材料の炭素量を基に算出した。詳しくは、第1工程後のシリカ粒子を、水で洗浄し遠心分離した後に乾燥して、シランカップリング剤処理後のシリカ粒子試料を得た。この試料の炭素量を、有機炭素測定装置を用いて測定し、測定値を基にX1数を算出した。
Claims (13)
- 体積平均粒子直径が1nmから100nmの原料シリカに対して、表面がシランカップリング剤及びオルガノシラザンで処理されており、且つ前記シランカップリング剤の分解温度未満で加熱処理がなされており、室温から350℃までを 5℃/分の昇温速度で加熱したときの質量減少が1.5質量%以下で、イソプロパノール、PMG、MEK、酢酸エチル、及びトルエンからなる群より選択される1種又は2種以上の分散媒に全体の質量を基準として10質量%分散させた分散液100mLに対して超音波を5分間照射した後、JISP3801規格の5種Cのろ紙で吸引ろ過したときに95%以上が通過するシリカ粒子材料と、
前記シリカ粒子材料を分散する熱可塑性樹脂と、
を有する熱可塑性樹脂組成物。 - 前記オルガノシラザンによる処理の少なくとも一部は、前記シランカップリング剤による処理後であって、前記原料シリカが乾燥状態であり且つ前記原料シリカ表面に残存するシラノール基よりも前記オルガノシラザンの量が過剰になるように処理が行われる請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ナイロン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ乳酸、及びポリイミドからなる群から選択される1種又は2種以上の樹脂材料である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記シリカ粒子材料は、式(1):−OSiX1X2X3で表される官能基及び式(2):−OSiY1Y2Y3で表される官能基と、両官能基が表面に結合するシリカ粒子とからなる請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。(上記式(1)、(2)中;X1はフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X2、X3は−OSiR3及び−OSiY4Y5Y6よりそれぞれ独立して選択され;Y1はRであり;Y2、Y3はR及び−OSiY4Y5Y6よりそれぞれ独立して選択される。Y4はRであり;Y5及びY6は、R及び−OSiR3からそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X2、X3、Y2、Y3、Y5、及びY6の何れかは、近接する官能基のX2、X3、Y2、Y3、Y5、及びY6の何れかと−O−にて結合しても良い。)
- 前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記X1は前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm2)あたり0.5〜2.5個である請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm2)あたり1〜10個である請求項4〜6の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記原料シリカ材料は、水を含む液状媒体中でシランカップリング剤及びオルガノシラザンによって原料シリカ粒子を表面処理する表面処理工程をもつ表面処理方法により処理され、
前記シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
前記シランカップリング剤と前記オルガノシラザンとのモル比は、前記シランカップリング剤:前記オルガノシラザン=1:2〜1:10である請求項1〜7の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 前記表面処理工程は、
前記原料シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
前記原料シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
前記第2の処理工程は、前記第1の処理工程後に行い、後半では前記原料シリカの表面が乾燥している請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、
前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ請求項8又は9に記載の熱可塑性樹脂組成物。 - 前記表面処理工程後に、前記シリカ粒子材料を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る固形化工程を備える請求項7〜9の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記シランカップリング剤は、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、エポキシトリメトキシシラン、メタクリルトリメトキシシラン、アミノトリメトキシシラン、ウレイドトリメトキシシラン、メルカプトトリメトキシシラン、イソシアネート、又はアクリルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも一種である請求項8〜11の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記オルガノシラザンは、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザンから選ばれる少なくとも一種である請求項8〜12の何れか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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