JP6552159B2 - シリカ被覆有機物粒子およびその製造方法 - Google Patents

シリカ被覆有機物粒子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シリカ被覆有機物粒子及びその製造方法に関する。
粉体は流動性などの取扱性が充分で無いことがあった。例えば、粉末成形を行う場合に粉末状の樹脂の流動性(金型内への充填性など)が問題になる。例えば樹脂粉末間で凝集が起こるようであると金型内に供給することが困難になるし、金型内に供給できても圧縮性が高く無いと最終成形品の物理特性も充分なものを作成することが困難になる。
特開2011−213514号公報
フッ素樹脂の表面・界面の制御技術とその応用、藤田英二、ダイキン工業、2010年2月1日、3ページ、3.1PTFE、http://www.daikin.co.jp/chm/products/pdfDown.php?url=pdf/technology/technology01.pdf
本出願人は無機酸化物粒子について新規な知見を提供している(例えば、特許文献1)。その中で有機物粒子の表面にナノメートルオーダーのシリカ粒子を付着させることで流動特性を向上できることを見出した。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、ナノメートルオーダーのシリカ粒子を表面に付着させたシリカ被覆有機物粒子及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
(1)上記課題を解決する本発明のシリカ被覆有機物粒子の製造方法は、一次粒子の体積平均粒径が200nm以下の原料シリカ粒子に対し、嵩密度が450g/L以下になるように解砕する解砕工程と、
前記解砕工程にて得られたシリカ粒子と前記シリカ粒子の一次粒子よりも体積平均粒径が大きい有機物粒子とを混合して前記有機物粒子の表面に前記シリカ粒子を付着させる混合工程とを有し、
前記原料シリカ粒子は、
水を含む液状媒体中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによって表面処理する表面処理工程と、
前記液状媒体を除去する工程と、
をもつ前処理工程にて処理されており、
該シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
該シランカップリング剤と該オルガノシラザンとのモル比は、該シランカップリング剤:該オルガノシラザン=1:2〜1:10である。
有機物粒子の表面に上述の特性を持つシリカ粒子を付着させることにより、付着したシリカ粒子が有機物粒子の間に介在して有機物粒子の流動特性が向上している。上述の特性を持つシリカ粒子はナノメートルオーダーの粒径をもつにも拘わらず殆ど一次粒子にまで分離している粉体である。
上記(1)について下記(2)の構成を採用することができる。
(2)前記表面処理工程は、
前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
該第2の処理工程は、該第1の処理工程後に行う。
(2)に開示した条件にて原料シリカ粒子を表面処理することにより更に凝集した粒子の分離が実現できる。
(3)上記課題を解決する本発明のシリカ被覆有機物粒子は、一次粒子の体積平均粒径が200nm以下、嵩密度が450g/L以下であるシリカ粒子と、
前記シリカ粒子の一次粒子よりも体積平均粒径が大きく前記シリカ粒子が表面に付着する有機物粒子とを有し、
前記シリカ粒子は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とを表面にもつ。(上記式(1)、(2)中;Xはフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
本発明のシリカ被覆有機物粒子は凝集しやすいナノメートルオーダーのシリカ粒子について一次粒子にまで分離した状態に近づけているため、有機物粒子の表面に付着させたときにも一次粒子に近い状態で存在することが可能になる。そのため、有機物粒子の表面において、"ころ"のような作用を発揮することができる。
試験例1のシリカ粒子と球状ポリスチレンとからなるシリカ被覆有機物粒子のSEM写真である。 球状ポリスチレンのSEM写真である。 図1に示したシリカ被覆有機物粒子及び図2に示した球状ポリスチレンの剪断試験の結果を示すグラフである。 図1に示したシリカ被覆有機物粒子及び図2に示した球状ポリスチレンの流速試験の結果を示すグラフである。 試験例1のシリカ粒子とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子とからなるシリカ被覆有機物粒子のSEM写真である。 PTFE粒子のSEM写真である。 図5に示したシリカ被覆有機物粒子及び図6に示した球状ポリスチレンの剪断試験の結果を示すグラフである。 図5に示したシリカ被覆有機物粒子及び図6に示した球状ポリスチレンの流速試験の結果を示すグラフである。 粒子表面への試験試料1の付着の密度を検討するために行った試験におけるSEM写真である。 粒子表面への試験試料1の付着の密度を検討するために行った試験におけるSEM写真である。 実施例における評価2Bで用いたPTFE(ファインパウダー)に対して剪断力を加えたときの様子を示すSEM写真である。
以下に本発明のシリカ被覆有機物粒子、及びその製造方法について実施形態に基づき以下詳細に説明する。
本発明のシリカ被覆有機物粒子はどのような用途に用いても良い。特に最終製品が粒子状態であるもの、製造途中などにおいて粒子状態での取り扱いを行うものに採用することが望ましい。粒子状態での取り扱いを行ったものについても、最終製品において本発明のシリカ被覆有機物粒子がそのまま含有される場合や、最終製品中には本発明のシリカ被覆有機物粒子の形態はそのまま見いだせないがそれを製造する過程のみにおいて本発明のシリカ被覆有機物粒子を主要構成要素として、又は、添加物として採用している場合がある。
具体的に採用できる用途としては、樹脂や有機物を主成分とする粒子そのもの、複写機や印刷装置に用いるトナー用途、インク用途、塗料用途、フッ素樹脂を用いた基板用途、難燃剤用途、発泡剤用途が例示できる。
粒子そのものの用途としては、特に限定しないが、例えば粉末成形などでは流動性が高いことにより金型の形状再現性や金型への充填速度向上などが期待できる。
トナー用途としてはトナーそのものに混合している場合、トナーの製造に用いる場合のいずれであっても良い。例えば、顔料、バインダー、外添剤、内添剤が挙げられる。本発明のシリカ被覆有機物粒子は流動性に優れており、単独であっても他の粉粒体と混合する場合であってもいずれの場合でも取扱性に優れる。また、他の物体の表面に付着させる場合を想定すると流動性に優れるため、均一に付着させることが容易である。
インクや塗料への用途としては顔料、染料、その他の添加剤(ビヒクル、分散剤、その他の添加剤)として用いることができる。更には粉体塗料の場合には粉体の流動性調整剤などに採用することもできる。
フッ素樹脂を用いた基板用途としてはフッ素樹脂の混合量など(例えばシリカ、アルミナなどの無機材料と混合して、又は単独で、更には他の有機材料と混合して用いることができる)を調整することにより誘電率などの性質を調整(例えば低誘電率にする。高周波を利用する用途などに好適である。多層基板にすることも出来る)することが出来る。フッ素樹脂としてはポリテトラフルオロエチレンなどのパーフルオロアルキル重合体、エチレンーテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどである。
難燃剤は樹脂材料などに混合することで得られる樹脂組成物における難燃性を向上したり、難燃性を付与したい対象物(織物、編み物、不織布、繊維圧縮品などの繊維製品)の表面に付着させることで難燃性を向上したりできる。本発明を難燃剤に応用することによりその流動性を向上することができるため、樹脂組成物中において、より均一に分散できたり、表面への付着がより均一にできたりすることが期待され、結果、少ない量にて同等の難燃性を付与することができる。
発泡剤は成形品の原料になる樹脂材料などに混合することで得られる樹脂組成物を所定の条件下で加熱などを行うことにより発泡させる。本発明を発泡剤に応用することによりその流動性を向上することができるため、樹脂組成物中において、より均一に分散できることが期待され、結果、少ない量にて同等の発泡性を付与することができる。
(シリカ被覆有機物粒子)
本実施形態のシリカ被覆有機物粒子は有機物粒子とその有機物粒子の表面に付着したシリカ粒子とを有する。有機物粒子の表面にシリカ粒子を付着させる方法としては特に限定されず、単純に混合したり、混合した後に振動を与えたりすることで実施できる。有機物粒子表面へのシリカ粒子の付着は乾燥状態にて行うことができる。有機物粒子とシリカ粒子との混合割合は特に限定しない。僅かな量であってもシリカ粒子が有機物粒子の表面に存在すればシリカ粒子による流動特性改善効果が発現できるものと考えられる。例えばシリカ粒子の含有量は有機物粒子の質量を基準として、上限が10%、5%、2%程度を好ましい範囲として採用でき、下限が0.001%、0.005%、0.01%程度を好ましい範囲として採用できる。
有機物粒子は有機物単独又は有機物を主成分(質量基準で50%以上)であること以外特に限定しない。有機物粒子は粒径が小さいほど凝集性が高まるため本願発明のシリカ被覆有機物粒子にする効果が高くなる。従って、有機物粒子の体積平均粒径は望ましくは100μm以下、より望ましくは50μm以下、更に望ましくは10μm以下である。
有機物粒子を構成する有機物としては樹脂(天然樹脂、合成樹脂を問わない)、高分子(先述の樹脂と重なるものもあるが、天然、合成を問わず、合成高分子としてはポリエチレンポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、アクリル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる)の他、高分子でない化合物であっても良い。更には樹脂材料中に添加する添加剤(難燃剤、発泡剤、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、造核剤、帯電防止剤、可塑剤など)についても粉末状のものであれば樹脂材料への混合前に本発明を適用することにより流動性を改善することができる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(PCTFE)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などである。
この中でPTFEは乳化重合で得られるファインパウダーと称されるものと、懸濁重合で得られるモールディングパウダーと称されるものとが知られている(非特許文献1)。ファインパウダーは剪断力により容易に変形して繊維化する。繊維化を望まない場合に本実施形態のシリカ被覆有機物粒子を構成する有機物粒子として採用すると、剪断力などの外力が加わっても繊維化しがたくなり、取扱中においても粉末としての特性を長い間、保つことができる。ファインパウダーを粉末のまま利用する態様としてはドリップ防止剤としての利用がある。ドリップ防止剤とは樹脂が燃焼する際のしずくの落下を防止するものであり、延焼防止などを目的として添加するものである。モールディングパウダーは外力により変形し難く、圧縮成形などに採用しやすい。
樹脂や高分子ではそれら樹脂や高分子化合物を整形(粉末成形、射出成形など)するときに流動特性に優れることになる。薬品などを粉体状態で製剤化する場合などにおいて、その製剤中に含まれる薬剤、賦形剤、添加物などの粉末を有機物粒子として採用することにより製剤化(打錠など)を適正に行うことが可能になる。
シリカ粒子は一次粒子の体積平均粒径が200nm以下、嵩密度が450g/L以下である。一次粒子の体積平均粒径としては、好ましい上限として、100nm、70nm、50nmが挙げられる。また、好ましい下限として、1nmが挙げられる。シリカ粒子としてはすべて300nm以下の粒径であることが望ましい。
本明細書における嵩密度の測定は筒井理化学器械(株)製:電磁振動式カサ密度測定器(MVD−86型)を使用して行う。具体的には試料槽としての上部500μm篩に測定対象のサンプルを投入し、加速度4Gの条件で電磁振動により上部・下部の2つの500μm篩を通してサンプルを分散させ100mLの試料容器に落下投入した後、質量を測定し、その質量と体積とからかさ密度を算出した。自重による嵩密度の低下を防止するため測定は落下投入後1時間以内に実施する。
嵩密度の好ましい上限としては400g/L、370g/L、350g/L、300g/L、280g/L、250g/Lが挙げられる。好ましい下限としては100g/Lが挙げられる。嵩密度をこれら上限よりも下の値にすることにより一次粒子の分離がより確実に行われる。また、嵩密度をこれら下限よりも上の値にすることで嵩が小さく取り扱いやすくなる。
本実施形態のシリカ粒子は表面に炭素を含む官能基が表面に導入されている。炭素を含む官能基の具体的な構成及びシリカ粒子表面への導入方法などについては後述するシリカ粒子の製造方法にて詳述するため、ここでの説明は省略する。
(シリカ被覆有機物粒子の製造方法)
本実施形態のシリカ被覆有機物粒子の製造方法は、原料シリカ粒子に対して解砕工程を行い製造したシリカ粒子を有機物粒子の表面に付着させる方法である。前述の本実施形態のシリカ被覆有機物粒子の製造に好適に利用できる方法である。原料シリカ粒子は一次粒子同士が結合している割合が多いが、その結合を解砕工程にて分離することが出来る。
解砕工程は特に方法は問わない。好ましくは凝集体の凝集を分離する程度の作用が加えられる方法が良く、凝集体を構成する一次粒子を破壊するような方法でない方が良い。例えば乾燥状態で行う粉砕に類する方法にて行うことができ、ジェットミル、ピンミル、ハンマーミルが例示できる。特に望ましくはジェットミルにて行う。工程の終期は原料シリカ粒子の嵩密度の値から判断する。適正な嵩密度後としては先述した範囲内から選択できる。ジェットミルは原料シリカ粒子を気流に乗せて粉砕を行う装置である。ジェットミルの種類は問わない。ジェットミルによる解砕は乾式にて行うことが望ましい。
原料シリカ粒子は一次粒径の体積平均粒径が200nm以下である。その他、上限としては100nm、70nm、50nmが挙げられる。原料シリカ粒子の製造方法は特に限定しない。例えば水ガラス法、アルコキシド法、VMC法が例示でき、水ガラス法を採用することが望ましい。水ガラス法は水ガラスに対して、イオン交換、化学反応による置換基の導入・脱離、pHや温度などの制御などを行うことにより原料シリカ粒子を析出させる方法である。例えば、水ガラスをイオン交換樹脂でイオン交換することによって、ナノメートルオーダーのシリカ粒子が分散された水性スラリーを調製することができる。原料シリカ粒子を構成する二次粒子の粒径は特に限定しないが、体積平均粒径が10μm以上、100μm以上などの値を示すこともある。更に、金属ケイ素をアルカリ溶液などに溶解させた後に析出させることで(水ガラス法類似の方法)、原料シリカ粒子を製造することが出来る。
原料シリカ粒子の調製には前処理工程を適用する。前処理工程は表面処理工程と液状媒体を除去する工程(固形化工程)とをもつ。表面処理工程は水を含む液状媒体(水、水の他にアルコールなどを含むもの)中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによって表面処理する工程である。シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基とをもつ。シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比は、(シランカップリング剤):(オルガノシラザン)=1:2〜1:10である。
表面処理工程は、前述のシランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、その後、オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、をもつ。
表面処理工程は、上述の方法にて得られたシリカ粒子に対して、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とが表面に結合した原料シリカ粒子を得る工程である。以下、式(1)で表される官能基を第1の官能基と呼び、式(2)で表される官能基を第2の官能基と呼ぶ。
第1の官能基におけるXは、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基である。X、Xは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。YはRである。Y、Yは、それぞれ、R又は−OSiRである。
第2の官能基におけるYはRである。Y、Yは、それぞれ、−OSiR3又は−OSiYである。
第1の官能基および第2の官能基に含まれる−OSiRが多い程、原料シリカ粒子の表面にRを多く持つ。第1の官能基および第2の官能基に含まれるR(炭素数1〜3のアルキル基)が多い程、原料シリカ粒子は凝集し難い。
第1の官能基に関していえば、X、Xがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、XおよびXがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第2の官能基に関していえば、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、YおよびYがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第1の官能基に含まれるXの数、第1の官能基に含まれるRの数、第2の官能基に含まれるRの数は、RとXとの存在数比や、原料シリカ粒子の粒径や用途に応じて適宜設定すれば良い。
なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。例えば、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。同様に、第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかが、この第2の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。さらには、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。
原料シリカ粒子において、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であれば、原料シリカ粒子の表面にXとRとがバランス良く存在する。このため、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60である原料シリカ粒子は、樹脂に対する親和性および凝集抑制効果に特に優れる。また、Xが原料シリカ粒子の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個であれば、原料シリカ粒子の表面に充分な数の第1の官能基が結合し、第1の官能基および第2の官能基に由来するRもまた充分な数存在する。したがってこの場合にも、樹脂に対する親和性および原料シリカ粒子の凝集抑制効果が充分に発揮される。
何れの場合にも、原料シリカ粒子の単位表面積(nm)あたりのRは、1個〜10個であるのが好ましい。この場合には、原料シリカ粒子の表面に存在するXの数とRの数とのバランスが良くなり、樹脂に対する親和性および原料シリカ粒子の凝集抑制効果との両方がバランス良く発揮される。
原料シリカ粒子においては、シリカ粒子の表面に存在していた水酸基の全部が第1の官能基または第2の官能基で置換されているのが好ましい。第1の官能基と第2の官能基との和が、原料シリカ粒子の単位表面積(nm)あたり2.0個以上であれば、原料シリカ粒子において、シリカ粒子の表面に存在していた水酸基のほぼ全部が第1の官能基または第2の官能基で置換されているといえる。
原料シリカ粒子は、表面にRを持つ。これは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる。詳しくは、原料シリカ粒子の赤外線吸収スペクトルを固体拡散反射法で測定すると、2962±2cm−1にC−H伸縮振動の極大吸収がある。
また、上述したように原料シリカ粒子は凝集し難い。
なお、原料シリカ粒子は、例え僅かに凝集した場合にも、超音波処理することによって再度分散可能である。詳しくは、原料シリカ粒子をメチルエチルケトンに分散させたものに、発振周波数39kHz、出力500Wの超音波を照射することで、原料シリカ粒子を実質的に一次粒子にまで分散できる。このときの超音波照射時間は10分間以下で良い。原料シリカ粒子が一次粒子にまで分散したか否かは、粒度分布を測定することで確認できる。詳しくは、この原料シリカ粒子のメチルエチルケトン分散材料をマイクロトラック装置等の粒度分布測定装置で測定し、原料シリカ粒子の粒度分布があれば、原料シリカ粒子が一次粒子にまで分散したといえる。
原料シリカ粒子は、凝集し難いため、水やアルコール等の液状媒体に分散されていない原料シリカ粒子として提供できる。この場合、液状媒体の持ち込みがないために、樹脂材料用のフィラーとして好ましく用いられる。
また、原料シリカ粒子は凝集し難いために、水で容易に洗浄できる。
原料シリカ粒子は、水を含む液状媒体中で、シランカップリング剤およびオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する工程(表面処理工程)にて処理される。シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基(すなわち上記のX)とを持つ。
シランカップリング剤で表面処理することで、シリカ粒子の表面に存在する水酸基がシランカップリング剤に由来する官能基で置換される。シランカップリング剤に由来する官能基は式(3);−OSiXで表される。式(3)で表される官能基を第3の官能基と呼ぶ。第3の官能基におけるXは式(1)で表される官能基におけるXと同じである。X、Xは、それぞれ、アルキコキシ基である。オルガノシラザンで表面処理することで、第3の官能基のX、Xがオルガノシラザンに由来する−OSiY(式(2)で表される官能基、第2の官能基)で置換される。シリカ粒子の表面に存在する水酸基の全てが第3の官能基で置換されていない場合には、シリカ粒子の表面に残存する水酸基が第2の官能基で置換される。このため、表面処理された原料シリカ粒子の表面には、式(1):−OSiXで表される官能基(すなわち第1の官能基)と、式(2):−OSiYで表される官能基と(すなわち第2の官能基)が結合する。なお、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比は、シランカップリング剤:オルガノシラザン=1:2〜1:10であるため、得られた原料シリカ粒子における第1の官能基と第2の官能基との存在数比は理論上1:12〜1:60となる。
表面処理工程においては、シリカ粒子をシランカップリング剤及びオルガノシラザンで同時に表面処理しても良い。または、先ずシリカ粒子をシランカップリング剤で表面処理し、次いでオルガノシラザンで表面処理しても良い。または、先ずシリカ粒子をオルガノシラザンで表面処理し、次いでシランカップリング剤で表面処理し、さらにその後にオルガノシラザンで表面処理しても良い。何れの場合にも、シリカ粒子の表面に存在する水酸基全てが第2の官能基で置換されないように、オルガノシラザンの量を調整すれば良い。なお、シリカ粒子の表面に存在する水酸基は、全てが第3の官能基で置換されても良いし、一部のみが第3の官能基で置換され、他の部分が第2の官能基で置換されても良い。第3の官能基に含まれるX、Xは、全て第2の官能基で置換されるのが良い。
なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤で置き換えても良い。第2のシランカップリング剤としては、3つのアルコキシ基と、1つのアルキル基とを持つものを用いることができる。この場合には、第3の官能基に含まれるX、Xが、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。第4の官能基は式(4);−OSiYで表される。Yは第2の官能基におけるYと同じRであり、X、Xはそれぞれアルコキシ基または水酸基である。第4の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、または、別の第4の官能基で置換される。この場合には、原料シリカ粒子の表面に存在するRの量をさらに多くする事ができる。なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤に置き換える場合、第2のシランカップリング剤で表面処理した後に、再度オルガノシラザンで表面処理する必要がある。第4の官能基に含まれるX、Xを、最終的にはオルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換するためである。
オルガノシラザンの一部を第2のシランカップリング剤で置き換える場合、上述した第1の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。X、Xが第4の官能基で置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換されるか、別の第4の官能基によって置換される。第4の官能基に含まれるX、Xが別の第4の官能基によって置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換される。このため第2のシランカップリング剤は、第1のカップリング剤及びオルガノシラザンのみで表面処理する場合(オルガノシラザンを第2のシランカップリング剤で置き換えなかった場合)に設定されるオルガノシラザンの量(a)molに対して、最大限5a/3mol置き換えることができる。この場合に必要になるオルガノシラザンの量は、8a/3molである。
シランカップリング剤および第2のシランカップリング剤のアルコキシ基は特に限定しないが、比較的炭素数の小さなものが好ましく、炭素数1〜12であることが好ましい。アルコキシ基の加水分解性を考慮すると、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基の何れかであることがより好ましい。
シランカップリング剤として、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
オルガノシラザンとしては、シリカ粒子の表面に存在する水酸基およびシランカップリング剤に由来するアルコキシ基を、上述した第2の官能基で置換できるものであれば良いが、分子量の小さなものを用いるのが好ましい。具体的には、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。
第2のシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なお、表面処理工程において、シランカップリング剤の重合や第2のシランカップリング剤の重合を抑制するため、重合禁止剤を加えても良い。重合禁止剤としては、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、p−メトキシフェノール(メトキノン)等の一般的なものを用いることができる。
原料シリカ粒子は、表面処理工程後に固形化工程を備えても良い。固形化工程は、表面処理後の原料シリカ粒子を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、原料シリカ粒子の固形物を得る工程である。上述したように、一般的なシリカ粒子は非常に凝集し易いため、一旦固形化したシリカ粒子を再度分散するのは非常に困難である。しかし、原料シリカ粒子は凝集し難いため、固形化しても凝集し難く、また、例え凝集しても再分散し易い。なお、洗浄工程においては、原料シリカ粒子の抽出水(詳しくは、シリカ粒子を121℃で24時間浸漬した水)の電気伝導度が50μS/cm以下となるまで、洗浄を繰り返すのが好ましい。
固形化工程で用いる鉱酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが例示でき、特に塩酸が望ましい。鉱酸はそのまま用いても良いが、鉱酸水溶液として用いるのが好ましい。鉱酸水溶液における鉱酸の濃度は0.1質量%以上が望ましく、0.5質量%以上が更に望ましい。鉱酸水溶液の量は、洗浄対象である原料シリカ粒子の質量を基準として6〜12倍程度にすることができる。
鉱酸水溶液による洗浄は複数回数行うことも可能である。鉱酸水溶液による洗浄は原料シリカ粒子を鉱酸水溶液に浸漬後、撹拌することが望ましい。また、浸漬した状態で1時間から24時間、更には72時間程度放置することができる。放置する際には撹拌を継続することもできるし、撹拌しないこともできる。鉱酸含有液中にて洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
その後、洗浄して懸濁させた原料シリカ粒子をろ取した後、水にて洗浄する。使用する水はアルカリ金属などのイオンを含まない(例えば質量基準で1ppm以下)ことが望ましい。例えば、イオン交換水、蒸留水、純水などである。水による洗浄は鉱酸水溶液による洗浄と同じく、原料シリカ粒子を分散、懸濁させた後、ろ過することもできるし、ろ取した原料シリカ粒子に対して水を継続的に通過させることによっても可能である。水による洗浄の終了時期は、上述した抽出水の電気伝導度で判断しても良いし、原料シリカ粒子を洗浄した後の排水中のアルカリ金属濃度が1ppm以下になった時点としても良いし、抽出水のアルカリ金属濃度が5ppm以下になった時点としても良い。なお、水で洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
原料シリカ粒子の乾燥は、常法により行うことができる。例えば、加熱や、減圧(真空)下に放置する等である。
本発明のシリカ被覆有機物粒子及びその製造方法について実施例に基づき説明を行う。なお、本実施例では粒径について言及するときには特に一次粒子の粒径であるとの記載が無い場合には二次粒子の粒径について記載する。
〔試験例1〕
(シリカ粒子の製造)
・原料シリカ粒子の製造
シリカ粒子を水系媒質としての水に分散させた水系スラリーとしてのコロイドシリカスノーテックスOS(シリカ分20%:日産化学製:一次粒子の粒径が10nm)100質量部に対して前処理工程(表面処理工程及び乾燥工程)を行った。
(表面処理工程)
(1)準備工程
水系スラリー100質量部にイソプロパノール40質量部を加え、室温(約25℃)で混合することで、シリカ粒子が液状媒体に分散されてなる分散液を得た。
(2)第1工程
この分散液にフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM103)1.82質量部を加え40℃で72時間混合した。この工程により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときフェニルトリメトキシシランは必要な量の水酸基(一部)が表面処理されず残存するように計算して加えた。
(3)第2工程
次いで、この混合物にヘキサメチルジシラザン3.71質量部を加え、40℃で72時間放置した。この工程によって、シリカ粒子が表面処理され、シリカ粒子材料が得られた。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水及びイソプロパノールの中に安定に存在できなくなり、凝集・沈殿した。なお、フェニルトリメトキシシランとメキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
(固形化工程)
表面処理工程で得られた混合物に35%塩酸水溶液を4.8質量部加え、シリカ粒子材料を沈殿させた。沈殿物をろ紙(アドバンテック社製 5A)で濾過した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄した後に100℃で真空乾燥して、シリカ粒子材料の固形物(原料シリカ粒子)を得た。
得られたシリカ粒子はD10が8.8μm、D50が124.5μm、D90が451.9μmであった。
(解砕工程)
得られた原料シリカ粒子に対して解砕工程を行い、本試験例のシリカ粒子を得た。解砕工程はジェットミル((株)セイシン企業製、型番STJ−200)を用い、解砕圧0.3MPa、供給量10kg/hの条件で実施した。得られたシリカ粒子は嵩密度が251.7g/L、D10が0.8μm、D50が1.8μm、D90が4.0μm、一次粒子の体積平均粒径が10nmであった。
〔試験例2〕
試験例1における解砕工程に代えてスプレードライ法にて噴霧乾燥を行ったものを本試験例の試験試料とした。具体的には固形化工程にて得られた原料シリカ粒子100質量部をIPA200質量部に分散させ、それを180℃、5L/hの流量で噴霧して乾燥した。得られたシリカ粒子は嵩密度が341.3g/Lであった。
〔試験例3〕
試験例1における解砕工程を実施せずに固形化工程で得られたものを本試験例の試験試料とした。得られたシリカ粒子は嵩密度が0.769kg/L、D10が8.8μm、D50が124.5μm、D90が451.9μmであり、一次粒子の体積平均粒径が10nmであった。
〔試験例4〕
市販のシリカ粒子(日本アエロジル(株)製、AEROSIL R972)を本試験例の試験試料とした。本試験例のシリカ粒子は嵩密度が41.0g/Lであった。
〔試験例5〜7〕
試験例1における解砕工程において解砕圧及び供給量を調節することにより嵩密度を調節した。嵩密度は試験例5の試験試料が271.3g/L、試験例6の試験試料が364.6g/L、試験例7の試験試料が249.8g/Lであった。解砕圧を大きくすることにより嵩密度が大きくなる傾向があった。以下の表には詳しい結果は示さないが、以下の評価試験と同様の試験を行うことにより試験例1の試験試料と同様の効果を発揮することが明らかになった。
(評価1:有機物粒子として球状ポリスチレンを採用)
得られた各試験例のシリカ粒子を0.5質量部、体積平均粒径5μmの球状ポリスチレン(以下「球状ポリスチレン」と称する。綜研化学株式会社製、ケミスノーSX−500H)を100質量部との混合物を震とう機(ヤマト科学株式会社製:SA300)を用い、250rpmで1分間震とうを行った。得られた混合物のFE−SEM写真を図1に示す。球状ポリスチレン単独についてもFE−SEM写真を図2に示す。
図より明らかなように、試験例1の試験試料(図1)は球状ポリスチレンの表面に一次粒子の状態にてシリカ粒子が付着していることが分かった。付着した試験試料を構成する一次粒子は凝集せずに球状ポリスチレンの表面に付着している。
得られた混合物及び球状ポリスチレン単独について、付着性(Cohesion)と基本流動性エネルギー(Basic Flowability Energy)とを粉体層剪断力測定装置(スペクトリス株式会社製、パウダーレオメーターFT4)にて測定した。付着性はせん断試験の結果(図3:剪断力が0kPaの値を外挿して求めた)から算出し、基本流動性エネルギーは流速試験の結果(図4:流速100mm/s時の結果)から算出した。結果、球状ポリエチレン単独では付着性が0.59kPa、基本流動性エネルギーが257mJであったのに対して、試験例1の混合物(シリカ被覆有機物粒子)では付着性が−0.16kPa、基本流動性エネルギーが50mJであった。すなわち、球状ポリスチレンの表面にシリカ粒子を付着させることにより流動性が向上することが分かった。
(評価2A:有機物粒子としてポリテトラフルオロエチレン粒子(PTFE粒子)を採用)
得られた各試験例のシリカ粒子を0.5質量部、体積平均粒径3μmのPTFE粒子(株式会社セイシン企業製、TFW−3000FK)を100質量部との混合物を震とう機(ヤマト科学株式会社製:SA300)を用い、250rpmで5分間震とうを行った。得られた混合物のFE−SEM写真を図5に示す。PTFE粒子単独についてもFE−SEM写真を図6に示す。
図より明らかなように、試験例1の試験試料(図5)はPTFE粒子の表面に一次粒子の状態にてシリカ粒子が付着していることが分かった。付着した試験試料を構成する一次粒子は凝集せずにPTFE粒子の表面に付着している。
得られた混合物及びPTFE粒子単独について、付着性と基本流動性エネルギーとを評価1と同様にして測定した。付着性はせん断試験の結果(図7)から算出し、基本流動性エネルギーは流速試験の結果(図8)から算出した。結果、PTFE粒子単独では付着性が2.62kPa、基本流動性エネルギーが1198mJであったのに対して、試験例1の混合物(シリカ被覆有機物粒子)では付着性が0.57kPa、基本流動性エネルギーが830mJであった。すなわち、PTFE粒子の表面にシリカ粒子を付着させることにより流動性が向上することが分かった。
(評価2B:有機物粒子としてポリテトラフルオロエチレン粒子(PTFE粒子)を採用)
得られた各試験例のシリカ粒子を0.5質量部、体積平均粒径3μmのPTFE粒子(ダイキン工業株式会社製、FA-500H(平均粒径400−500μm、乳化重合により製造)を100質量部との混合物を震とう機(ヤマト科学株式会社製:SA300)を用い、250rpmで5分間震とうを行った。用いたPTFE粒子(ダイキン工業)は、ドリップ防止剤としても利用できる。ドリップ防止剤とは、プラスティックの難燃剤と関連するもので有り、樹脂に対して燃焼したときのドリップ防止性を付与するための添加剤である。また、剪断力を加えることにより繊維化する性質をもつ(図11参照:図11(a)から(c)へと剪断力を加えることにより繊維化する様子を表している。(a)、(b)、(c)へと進むにつれて左右方向の中央付近に存在する粒子が細長くなっていることが分かる)。
得られた混合物及びPTFE粒子単独について、触感を比較した。その結果、試験例1の試料を混合した混合物(シリカ被覆有機物粒子)では、触感としてはさらさら感が増していた。
更に、付着性と基本流動性エネルギーとを評価1と同様にして測定した。付着性はせん断試験の結果から算出し、基本流動性エネルギーは流速試験の結果から算出した。結果、PTFE粒子単独では付着性が6.7kPa、基本流動性エネルギーは測定時にかかる弱い力で繊維化するため測定不可であったのに対して、試験例1の試料を混合した混合物(シリカ被覆有機物粒子)では付着性が5.1kPa、基本流動性エネルギーが3200mJであった。すなわち、PTFE粒子の表面にシリカ粒子を付着させることにより流動性が向上することが分かった。
以上、有機物粒子の表面に一次粒子の状態のシリカ粒子(試験例1のシリカ粒子)を付着させることにより流動性が向上できた。
詳細な数値データは示さないが試験例2〜4のシリカ粒子についても試験例1のシリカ粒子と同様にしてシリカ被覆有機物粒子を調製して触感を比べたところ、試験例1のシリカ粒子を用いたシリカ被覆有機物粒子と比べてさらさら感が低かった。
比較として試験例4のシリカ粒子(フュームドシリカ(アエロジル(株) アエロジルR972))を同様に添加した場合の安息角は、ポリスチレンパウダー単独が60°、ポリスチレンパウダーに試験例1のシリカ粒子を0.5質量部添加したものが23°、ポリスチレンパウダーに試験例4のシリカ粒子を0.5質量部添加したものが30°となり、試験例4(フュームドシリカ)を添加した場合に比べ本発明の試験例1のシリカ粒子は流動化に効果が見られた。
(シリカ粒子の付着量の評価)
体積平均粒径0.5μmの粒子(シリカ)100質量部に対して試験試料1を0.33質量部混合した混合物を震とう機(ヤマト科学株式会社製:SA300)を用い、250rpmで1分間震とうを行った(混合物A)。
体積平均粒径1.5μmの粒子(シリカ)100質量部に対して試験試料1を0.25質量部混合した混合物を震とう機(ヤマト科学株式会社製:SA300)を用い、250rpmで1分間震とうを行った(混合物B)。
得られたそれぞれの混合物のFE−SEM写真を図9及び10に示す。図から単位面積(300nm平方)当たりに付着しているシリカ粒子(試験試料1)の量の平均値を算出した。結果、混合物A(図9)では5個/(300nm)、混合物B(図10)では6個/(300nm)であった。
混合物A及びB共に試験試料1を添加する前よりも流動性が向上することが明らかになっており、5個/(300nm)以上の密度でシリカ粒子を表面に付着させることにより確実に効果を発現できることが分かった。
シリカ粒子の個数の測定はFE−SEMにて撮影した写真を用い、粒子材料の表面からランダムに300nm×300nmの領域を10箇所選択し、そこに存在するシリカ粒子の数を数えて平均値を求めることで行う。本実施形態のシリカ粒子であるか否かはその粒子が粒子材料の表面にて一次粒子として存在するかどうかで判断する。ここで一次粒子で存在するとはSEM写真において、粒子同士が接触している状態から互いに離散している状態の間である粒子を意味する。なお、本試験はシリカ(無機酸化物)にて試験を行っているが、本発明の有機物粒子にもその結果は適用できる。
(評価3:有機物粒子として難燃剤を採用)
得られた試験例1のシリカ粒子と種々の難燃剤及び発泡剤とを表1に示す割合で混合したものについて流動性を評価した。表1に示す難燃剤・発泡剤の種類にて記載した数値は平均粒径を意味する。流動性の評価は、粉体の嵩密度や、粉体の形態などの性状から適正に選択される、基本流動性データ(BFE:パウダーレオメータにより測定)、又は、圧縮率にて評価した。BFE及び圧縮率の測定はパウダーレオメータ(スペクトリス株式会社製、パウダーレオメーターFT4)を用いて行った。結果を表1に示す。表1にはBFE及び圧縮率の一方のみを示しており、それぞれ試験例1のシリカ粒子を添加しないときの値を100としたときの相対値で示す。BFE及び圧縮率の双方共に値が小さい方が流動性が高い。
表より明らかなように、シリカ粒子を添加することにより流動性が向上することが分かった。これらの結果から有機物粒子としてどのようなものを採用しても流動性を向上する効果を発揮できることが推測される。

Claims (5)

  1. 一次粒子の体積平均粒径が200nm以下の原料シリカ粒子に対し、嵩密度が450g/L以下になるように解砕する解砕工程と、
    前記解砕工程にて得られたシリカ粒子(表面にアミノ基をもつものを除く)と前記シリカ粒子の一次粒子よりも体積平均粒径が大きい有機物粒子とを混合して前記有機物粒子の表面に前記シリカ粒子を付着させる混合工程とを有し、
    前記原料シリカ粒子は、
    水を含む液状媒体中でシランカップリング剤およびオルガノシラザンによって表面処理する表面処理工程と、
    鉱酸水溶液にて処理する固形化工程と、
    前記液状媒体を除去する工程と、
    をもつ前処理工程にて処理されており、
    該シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
    該シランカップリング剤と該オルガノシラザンとのモル比は、該シランカップリング剤:該オルガノシラザン=1:2〜1:10であり、
    前記オルガノシラザンの量は、前記シランカップリング剤由来の前記アルコキシ基が最終的に残存しない量である、
    ことを特徴とするシリカ被覆有機物粒子の製造方法。
  2. 前記表面処理工程は、
    前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
    前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
    該第2の処理工程は、該第1の処理工程後に行う請求項1に記載のシリカ被覆有機物粒子の製造方法。
  3. 前記有機物粒子は樹脂であり、
    前記シリカ被覆有機物粒子は粉末成形用である請求項1又は2に記載のシリカ被覆有機物粒子の製造方法。
  4. 一次粒子の体積平均粒径が200nm以下、嵩密度が450g/L以下であるシリカ粒子(表面にアミノ基を有するものを除く)と、
    前記シリカ粒子の一次粒子よりも体積平均粒径が大きく前記シリカ粒子が表面に付着する有機物粒子とを有し、
    前記シリカ粒子は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とを表面にもち、実質的にアルコキシ基を表面に持たないシリカ被覆有機物粒子。(上記式(1)、(2)中;Xはフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
  5. 前記有機物粒子は樹脂であり、
    前記シリカ被覆有機物粒子は粉末成形用である請求項4に記載のシリカ被覆有機物粒子。
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