JP2013153754A - 惣菜用揚げ衣食品の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】該製造法は、惣菜用揚げ衣食品用中種を準備する工程(A)と、中種を包むための澱粉、グルテン、油脂及び水を含有する生地用原料と、バッター及びパン粉を含む衣用材料とを準備する工程(B)と、工程(B)で準備した生地用原料を、中種の少なくとも一部を包む厚さ4mm未満の生地に成形する工程(C)と、工程(C)で成形した生地により、工程(A)で準備した中種を包む工程(D)と、中種を包んだ生地の外表面に、工程(B)で準備したバッターとパン粉とをこの順で付着させる工程(E)とを含み、得られた未油ちょうの惣菜用揚げ衣食品用の中種含有成形体を製造する。
【選択図】なし
Description
近年、このような惣菜用揚げ衣食品は、デパート、スーパーマーケット等の惣菜売場で多く販売されるようになっている。しかし、常時、揚げたてが食せるものではなく、一般に、油ちょうから数時間経過後に食することが多い。このように、油ちょうから時間が経過すると、衣のサクサク感が低下し、噛み切り難くなり、本来の好ましい惣菜用揚げ衣食品の食感が味わえなくなる。
そこで、従来より上記課題を解決するために、衣用材料であるバッターやパン粉に種々の工夫がなされており、その組成や形態が研究されている。
例えば、特許文献1には、フライドベーカリーの揚げたてのサクサク感を維持するために、フライドベーカリーに、食用油脂を分散させたバッター液を付着させ、必要によりパン粉も付着させうること、また、ベーカリー生地に、保水剤としてグルテンを含有させうることが記載されている。
しかし、特許文献1に記載されたフライドベーカリーは、ベーカリー製品であって、惣菜用揚げ衣食品のような、衣の噛み切り易さについては要求されず、食感が異なる食品である。
この製造法は、衣用材料として、餅生地、バッター及びパン粉を用いるものであるが、その課題は、衣表面が米菓様のパリパリ性を示すとともに衣内部は餅様の食感を有しており、これまでの小麦粉を主体とした衣を用いたコロッケとは全く異なる食感を有する新規な揚げ物の製造法を提供するものである。従って、得られる揚げ物は、衣のサクサク感や、噛み切り易さ等の食感の経時的な低下を抑制した惣菜用揚げ衣食品とは、その構成も課題も大きく異なる。
本発明の別の課題は、製造時における衣用材料による中種の被覆を、効率的に、しかも工業的に実施可能な惣菜用揚げ衣食品、並びに未油ちょうの該惣菜用揚げ衣食品の製造法を提供することにある。
また本発明によれば、上記製造法により製造した未油ちょうの惣菜用揚げ衣食品を、油ちょうする工程を含む惣菜用揚げ衣食品の製造法が提供される。
従って、特に、各種コロッケ、メンチカツ、チキンカツ、トンカツ、エビカツ、魚フライ、フライドチキン等の、デパート、スーパーマーケット等の惣菜売場や、コンビニエンスストア、テイクアウト弁当屋、仕出し、路面店等において販売される、油ちょう後、数時間経過後に食することが多い惣菜用揚げ衣食品の製造に有用である。
本発明の製造法は、惣菜用揚げ衣食品用中種を準備する工程(A)を含む。
工程(A)において、惣菜用揚げ衣食品用中種は、惣菜用揚げ衣食品に使用される中種であれば特に限定されず、例えば、クリームソース、ジャガイモ、カボチャ、サツマイモ、マッシュポテト、ニンジン、タマネギ、魚肉、練り肉、挽肉、カレー、チーズ、各種調味料や、これらを2種以上組み合わせた、例えば、各種コロッケの中種、メンチカツの中種、チキンカツの中種、トンカツの中種、エビカツの中種、魚フライの中種又はフライドチキンの中種を挙げることができる。
上記中種の調製は、その種類に応じて公知の方法により行うことができる。
工程(B)において生地用原料に用いる澱粉としては、例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、ハイアミロースコーンスターチ、緑豆澱粉又はこれらの各種加工澱粉からなる群より選択される1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
得られる揚げ衣の噛み切り易さをより良好にするためには、アミロペクチン含量のあまり高くない澱粉で、かつα化処理していないものが好ましく、具体的には、例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
生地の製造時における分散性等の点からは、融点が25℃以上50℃以下である油脂が好ましい。具体的には例えば、ショートニング、ラード、ヘット、バター、マーガリン又はこれらの2種以上の混合物が好ましく挙げられる。
また、生地の製造時における温度変化による物性の安定性等の点からは融点が0℃以下である油脂が好ましい。具体的には例えば、大豆油、菜種油、コーン油又はこれらの2種以上の混合物が好ましく挙げられる。
他の成分の配合割合は、その成分の種類に応じて適宜決定することができるが、他の成分の合計配合割合は、通常30質量%以下が好ましい。
ここで、バッターではなく、例えば、パン粉を付着させるために水のみを用いた場合は、本発明の効果が発揮できないので、バッターは必須である。
工程(C)において、原料中の澱粉がα化しないように混合するには、例えば、0〜50℃、好ましくは0〜30℃の水を用いて行うことができる。ここで、水の代わりに熱湯を用いて混合するような、或いは混合中又は混合後に蒸す等の加熱を行い、原料中の澱粉が50℃を超えるような、原料中の澱粉がα化するような条件で混合した場合、揚げ衣の噛み切り易さの経時的な低下を抑制することが困難になる恐れがある。
工程(C)において、前記混合は、各成分が略均一になる程度に混合できれば良く、例えば、公知の撹拌器等を用いて行うことができる。各成分の混合順序は特に限定されず、撹拌器にすべての成分を同時に投入して混合しても、各成分を適当な順で投入し、混合しても良い。
生地の厚さが4mmを超える場合は、揚げ衣の噛み切り易さの経時的な低下を抑制することが困難になり、例えば、ベーカリー製品のような異なる食感になる恐れがある。
工程(D)において、上記中種を包むには、中種全体を被覆するような大きさに上記生地をカットしたもので包む方法、中種全体を完全に被覆した後に生地をカットする方法、または中種の一部をある程度被覆した後に生地をカットしその後完全に包む方法により行うことができる。該被覆は、手作業でも可能であるが、工業的には、例えば、市販の自動包餡機を用いて行うことができる。
工程(E)において、工程(B)で準備したバッターとパン粉とをこの順で付着させるには、公知の惣菜用揚げ衣食品で実施されている方法により行うことができる。また、バッターを付着させるにあたり、打ち粉等を予め生地外表面に付着させることも可能である。
前記冷凍は、公知の方法で実施することができ、例えば、−15℃以下に冷凍することで、保存性を確保することが可能であり、また、輸送等においても冷凍状態を維持することで広範囲における販売が可能になる。
上記油ちょう工程は、公知の方法で実施することができ、惣菜用揚げ衣食品の種類に応じて、例えば、150〜200℃程度で行うことができる。また、油ちょう時間は、惣菜用揚げ衣食品の中種の調理方法に応じて適宜選択することができ、通常、30秒〜15分間程度である。
本発明の製造法では、上記油ちょう工程後の惣菜用揚げ衣食品に対して、更に冷凍工程を行うこともできる。
このような冷凍工程は、上記(F)工程と同様に実施することができ、得られた冷凍品は、例えば、電子レンジ、オーブン、オーブントースター等により解凍調理することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
以下に、各例における評価基準を示す。
<揚げ衣のサクサク感の官能評価>
専門パネル5人により、得られた惣菜用揚げ衣食品の揚げ衣のサクサク感について時間経過毎に評価した。時間経過は、油ちょう後、5分間放冷し、得られた惣菜用揚げ衣食品をパックに入れ、25℃、湿度70%に調整した恒温恒湿機にて静置保管後に行った。
非常にサクサク感があるを5.0点、サクサク感がかろうじて残っているを3.0点、全くサクサク感がないを1.0点とし、1.0〜5.0点で評価してもらいその平均点を結果とした。合格点は3.0点とした。
<揚げ衣の噛み切り易さの官能評価>
専門パネル5人により、得られた惣菜用揚げ衣食品の揚げ衣の噛み切り易さ感について時間経過毎に評価した。時間経過は、油ちょう後、5分間放冷し、得られた惣菜用揚げ衣食品をパックに入れ、25℃、湿度70%に調整した恒温恒湿機にて静置保管後に行った。
抵抗を感じることなく軽く噛み切れるを5.0点、自然な咀嚼で噛み切れるを4.0点、歯に抵抗を感じるものの自然に咀嚼で噛み切れるを3.0点、噛むのに力が必要で噛み切りにくさを感じるを2.5点、強く噛まないと噛み切ることができないを2.0点、噛み切ることが困難を1.0点とし、1.0〜5.0点で評価してもらいその平均点を結果とした。合格点は3.0点とした。
<ねちゃつき感の官能評価>
専門パネル5人により、得られた惣菜用揚げ衣食品の揚げ衣のねちゃつき感について時間経過毎に評価した。時間経過は、油ちょう後、5分間放冷し、得られた惣菜用揚げ衣食品をパックに入れ、25℃、湿度70%に調整した恒温恒湿機にて静置保管後に行った。
咀嚼時に歯に全くくっつかないを5.0点、咀嚼時にほとんど歯にくっつかないを4.0点、咀嚼時にややねちゃつきを感じるが気にならないを3.5点、ねちゃつきをやや感じるが、咀嚼を続けると歯に残らないを3.0点、ねちゃつきをやや感じ、咀嚼を続けても歯に残るを2.5点、強いねちゃつきを感じるを2.0点、ねちゃつきがひどく歯にまとわりつくを1.0点とし、1.0〜5.0点で評価してもらいその平均点を結果とした。合格点は3.0点とした。
<中種を包む生地の成形適正評価>
自動包餡機を用いても中種を包むことに問題がないを(A)、中種を包むことに問題はないが自動包餡機を用いた場合に歩留まりが低下するを(B)、中種を包むことができないを(C)とした。
<中種の製造>
乾燥マッシュポテト22質量部と水78質量部とを撹拌器(型名「ケンミックス・アイコー・プロ KM-230型(ケンウッド社製)を用いて十分混合し、長径70mm、短径60mm、厚さ25mmの小判型に成型し、ポテトコロッケ用中種を製造した。
以下に使用した成分を示し、後述する各表に示す各成分を、撹拌器(型名「ケンミックス・アイコー・プロ KM-230型(ケンウッド社製)を用いて20℃の環境下で十分混合し、所定の厚さ及び上記中種を被覆しうる大きさに成形した。
コーンスターチ(商品名コーンスターチY、三和澱粉工業株式会社製)、小麦澱粉(浮粉、三和澱粉工業株式会社製)、薄力粉(商品名バイオレット:日清製粉株式会社製又は商品名月桂冠:昭和産業株式会社製)、強力粉(商品名カメリア:日清製粉株式会社製)、もち粉(糯粉:三和澱粉工業株式会社製)、グルテン(商品名ファイングルEX、グリコ栄養食品株式会社製)、イースト(ドライイースト)、ショートニング(商品名ユニショートNT、不二製油株式会社製)、水(約20℃程度)、熱湯(投入時沸騰水)。
バッターは、後述する各表に示す各成分を撹拌して使用した。また、パン粉は市販の10mmパン粉を用いた。
上記中種40.0gを、上記生地16.0gで包んだ。この際、上記中種を包む生地の成形適正評価を行った。成形可能な生地の外表面に打ち粉0.50gをまぶし、バッター7.0gで該表面を被覆した後、パン粉9.0gを該表面全体に付着させた。得られた未油ちょうのポテトコロッケを−35℃で一晩凍結した後、170〜180℃で7分間油ちょうしてポテトコロッケを製造して評価を行った。
表1に示す成分を用いて上記方法によりポテトコロッケを調製し、各評価を行った。結果を表1に示す。但し、比較例3は生地を用いない例であり、上記ポテトコロッケの製造において、生地の無い分中種量を56.0gにした。また、比較例4はバッターを用いずに、パン粉を付着させるために水1.0gを使用した。更に比較例5は、生地の厚さを4mmにしたため、中種と生地の量をそれぞれ28.0gとしてポテトコロッケを製造した。
特開平6−277012号公報に記載の生地として、餅生地を使用した場合の相違を示すために、表2に示す成分を用いて上記方法によりポテトコロッケを調製し、各評価を行った。結果を上記実施例1の結果とともに表2に示す。
比較例11では、生地原料の澱粉とグルテンの代わりに薄力粉を用い、実施例6では、該薄力粉の蛋白質含量が同一になるようグルテンを配合した。一方、比較例12では、生地原料の澱粉とグルテンの代わりに強力粉を用い、実施例7では、該強力粉の蛋白質含量が同一になるようグルテンを配合して、表3に示す成分を用いて上記方法によりポテトコロッケを調製し、各評価を行った。結果を表3に示す。
Claims (9)
- 惣菜用揚げ衣食品用中種を準備する工程(A)と、
澱粉、グルテン、油脂及び水を含有する、中種を包むための生地用原料と、バッター及びパン粉を含む衣用材料とを準備する工程(B)と、
工程(B)で準備した生地用原料を、原料中の澱粉がα化しないように混合し、厚さ1〜3mmの生地に成形する工程(C)と、
工程(C)で成形した生地により、工程(A)で準備した中種を包む工程(D)と、
中種を包んだ生地の外表面に、工程(B)で準備したバッターとパン粉とをこの順で付着させる工程(E)とを含む、未油ちょうの惣菜用揚げ衣食品の製造法。 - 工程(B)で準備する、中種を包むための生地用原料が、澱粉30〜60質量%、グルテン1〜25質量%、油脂1〜30質量%及び水5〜30質量%を含有する請求項1記載の製造法。
- 工程(B)で準備する澱粉が、コーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、米澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、ハイアミロースコーンスターチ、緑豆澱粉、加工澱粉又はこれらの混合物からなる群より選択される請求項1又は2記載の製造法。
- 工程(B)で準備する油脂が、ショートニング、ラード、ヘット、バター、マーガリン、大豆油、菜種油、コーン油又はこれらの混合物からなる群より選択される請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
- 工程(D)を、自動包餡機を用いて実施する請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
- 工程(E)で調製した未油ちょうの惣菜用揚げ衣食品を冷凍する工程(F)を含む請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
- 惣菜用揚げ衣食品が、コロッケ、メンチカツ、チキンカツ、トンカツ、エビカツ、魚フライ又はフライドチキンである請求項1〜6のいずれかに記載の製造法。
- 請求項1〜7のいずれかで製造した未油ちょうの惣菜用揚げ衣食品を、油ちょうする工程を含む惣菜用揚げ衣食品の製造法。
- 油ちょうする工程の後、冷凍する工程を含む請求項8記載の惣菜用揚げ衣食品の製造法。
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